JP2014080709A - 紡績糸 - Google Patents

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Abstract

【課題】繊維化した際の構造安定性および100℃未満における分散染料への染色性を両立させた、常圧分散可染性ポリエステルを少なくとも一部に用いた紡績糸を提供する。
【解決手段】主たる繰り返し成分がエチレンテレフタレートからなるポリエステル組成物であって、全ジオール成分に対する側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分が5〜10モル%、ポリエステル組成物に対するポリエチレングリコールの含有量が2〜4重量%である常圧分散可染ポリエステルを少なくとも一部に用いた紡績糸。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維の構造安定性に優れ、染色する際に染色温度を低下させても分散染料への染色性に優れる常圧分散可染性ポリエステルを少なくとも一部に使用した紡績糸に関する。染色温度低下が可能となるため、他素材との混合使用の際に他素材の品位を損ねることが少なく、染色時の二酸化炭素排出量を削減することができる。
ポリエチレンテレフタレートを衣料用に繊維化した場合、ポリエチレンテレフタレート構造は染色されにくく、例えば、染色する際には染色釜を加圧し、温度を130℃に上昇させなければ染色されにくいことが知られている。
このポリエチレンテレフタレートを他素材と複合化し100℃以上の染色温度で染色すると、強度低下や他素材への染料汚染など、品位が低下してしまう。他素材の品位を損なわないよう、染色温度を下げて(100℃未満、例えば93℃〜98℃)染色すると、強度低下や他素材への汚染は少なくなるものの、ポリエチレンテレフタレートの染色性が劣る、という課題が見られる。かかる課題を解決するため、ポリエチレンテレフタレートの改質が検討されてきた。
例えば、数平均分子量600〜4000のポリエチレングリコールを3重量%以上、10重量%以下共重合し、ポリエチレングリコールの酸化分解性を向上させるためヒンダードフェノール系抗酸化剤を共存させた改質ポリエステル組成物を用いることで、染色が容易となる改質ポリエステル組成物の製造方法が明示されている(特許文献1)。
また、ウールの熱劣化が抑えられるという考え方に基づき、常圧で染色できる常圧可染ポリエステルとウールとを混用することは知られている(特許文献2)。しかしながら、この方法では、常圧分散可染性を付与するためポリエチレングリコールを多量に共重合しているために、成型品の分子構造が安定せず、例えば繊維化したものについては、乾熱収縮率や遅延収縮率などが大きく、商品価値が劣るという課題がある。さらには、そのまま用いた場合は得られる成型品の強度低下が生じ、強度低下を抑制するためヒンダードフェノール系抗酸化剤の併用が必要となるが、ヒンダードフェノール系の抗酸化剤は、それ自体が紫外線などにより構造変化を起こし、成型品が黄変してしまうという課題も見られる。
また、染色性、延伸性と強度が改良されたポリエステル繊維として、テレフタル酸とC2〜C6のアルキレングリコールとの混合物に、2−メチル−1,3−プロパンジオールを1〜15モル%加えて重縮合反応を行ったポリエステル共重合物とその繊維が明示されている(特許文献3)。しかしながら、この方法は、ポリエチレングリコールを合わせ用いるようなものではなく、2−メチル−1,3−プロパンジオールを12モル%程度共重合させなければ100℃未満で染色した際の十分な染色性を得ることができない。また、2−メチル−1,3−プロパンジオールを12モル%共重合すると繊維構造の安定性に欠けるなどの課題が見られるため、染色温度の低下と繊維構造の安定化を両立させるポリマー組成ではない。また、2−メチル−1,3−プロパンジオールの沸点が212℃であることから、C2〜C6のアルキレングリコールとの沸点が近いため(例えば、C2のエチレングリコールの沸点は197℃)、重縮合反応中にC2〜C6のアルキレングリコールと2−メチル−1,3−プロパンジオールが、ともに重縮合反応中に留去され、得られるポリエステル組成物中に残存する2−メチル−1,3−プロパンジオールの共重合量が安定化せず、繊維化した際の品質バラツキが生じやすいという課題が見られる。
また、低温染色性に優れた改質ポリエステル組成物として、アルコキシ化2−メチル−1,3−プロパンジオール、アルキレングリコールとテレフタル酸またはそのアルキルエステルとを重縮合反応させた改質ポリエステル繊維についても明示がある(参考文献4)。
しかしながら、この方法でも、染色温度100℃未満で染色した場合に充分な染色性を得るためにはアルコキシ化2−メチル−1,3−プロパンジオールを10モル%程度共重合させなければならない。ここで、アルコキシ化2−メチル−1,3−プロパンジオールを10モル%以上共重合すると、得られる繊維構造の安定性に欠けるなど別の課題が見られ、染色温度の低下と繊維構造の安定化を両立させるポリマー組成とならない。
つまり、上記背景技術においては、100℃未満における分散染料への染色性と、繊維化した際の構造安定性を両立させた常圧分散可染性ポリエステルを少なくとも一部に用いた織編物は実質的に得られていない。
特開平2−38421(特許請求の範囲) 特開平9−157947(特許請求の範囲) 特開平11−350251(特許請求の範囲) 特開2004−277987(特許請求の範囲)
本発明の課題は、繊維化した際の構造安定性および、100℃未満での分散染料染色性を両立させた、常圧分散可染性ポリエステル組成物を使用した紡績糸を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために次の構成を有するものである。
(1)主たる繰り返し成分がエチレンテレフタレートであるポリエステル組成物を重合、紡糸してなる繊維を用いた紡績糸であって、該ポリエステルを構成する全ジオール成分における側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分の含有割合が5〜10モル%であり、該ポリエステル組成物におけるポリエチレングリコールの含有量が2〜4重量%である紡績糸。
(2)該側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分が、2−メチル−1,3−プロパンジオールである上記(1)に記載の紡績糸。
(3)該紡績糸が芯鞘構造を有し、鞘成分の短繊維束が、芯成分の短繊維束の周りにほぼ一定の間隔で巻き付いており、実質的に無撚りである上記(1)または(2)に記載の紡績糸。
(4)該紡績糸の糸長10m当たりにおける長さ1mm以上の毛羽が、30個以上250個未満、長さ5mm以上の毛羽が5個未満である上記(3)に記載の紡績糸。
本発明の紡績糸は、繊維化した際の構造安定性に優れ、100℃未満での分散染料染色性に優れる。また染色温度低下が可能なため、加圧染色が不要となり、他素材との複合使用に際しても他素材の品位を損ねることがなく、染色の際の二酸化炭素排出量も削減することができる。
また、本発明で用いる常圧分散可染性ポリエステルを少なくとも一部に用いた紡績糸は極濃色でも、先染ポリエステルを使用することなく、良好な堅牢度を確保でき、高品質であり、加工コストも安く抑えることができる。
さらに、本発明の紡績糸として、芯鞘構造とし、実質的に無撚りとすることで毛羽を少なくすることができる。
以下、本発明の紡績糸について、さらに詳細に説明する。
本発明のポリエステル組成物の主成分は、ジカルボン酸またはそのエステル誘導体及び、ジオールまたはそのエステル誘導体を、エステル化反応またはエステル交換反応させた後に得られるポリエステル組成物である。該ポリエステル組成物においては、側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分を、全ジオール成分中5〜10モル%含み、かつ全ポリエステル組成物中ポリエチレングリコールを2〜4重量%含むことが、繊維化した際の構造安定性および常圧における分散染料への染色性を両立させるために必須である。側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分、もしくはポリエチレングリコールのどちらか一方の成分が上記範囲外となると、100℃未満での分散染料への染色性と繊維構造安定性とを両立することができなくなる。好ましくは、側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分が7〜9モル%かつポリエチレングリコールが2.5〜3.5重量%である。
本発明のポリエステル組成物に含まれるポリエチレングリコールは、ポリエステル中に共重合すると常圧における分散染料への染色性に優れる特性を持つ一方で、共重合された後もゴム弾性を有するため繊維化した際の分子鎖の構造が不安定となる特性を持つが、側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分を共重合することで、その側鎖部分がポリエチレングリコールのゴム弾性を適度に抑制することが出来るようになり、繊維化した際の構造が安定し、ポリエチレングリコールの持つ易染色性の特徴をさらに優れたものにする。つまり、ポリエチレングリコールと側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分とを両方共重合することで、これまで成し得なかった繊維化した際の構造安定性と、常圧における分散染料への染色性を両立させることが出来るのである。
側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分において、側鎖としては、炭素数1〜6のアルキル基や、フェニル基等のアリール基が好ましい。また、側鎖をプロパンジオールの2位の位置に有することが好ましい。
具体的には、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−フェニル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール エチレンオキサイド付加物などが挙げられる。中でも側鎖部分の立体障害が大きすぎると染色性繊維構造安定性への効果が小さくなるため、側鎖の部分がメチル基を有する2−メチル−1,3−プロパンジオールもしくは2−メチル−1,3−プロパンジオールのエチレンオキサイド付加物が好ましく使用される。これらメチル基を有する炭素鎖数が3のジオール成分を用いることで、ポリエチレングリコールとの相乗効果をより発揮しやすくなる。
本発明のポリエチレングリコールは、数平均分子量は特に限定しないが、数平均分子量400〜4000のものが好ましく使用される。小さすぎると粘度が少なくなるため作業性の点で400以上が好ましく、乾熱収縮を抑えるという点で4000以下のものが好ましい。更に好ましくは、分子量が小さいほど繊維構造を安定化できることから、数平均分子量600〜2000である。
本発明の常圧分散可染性ポリエステル組成物は、環状ダイマーを0.35重量%以下の割合で含むことが好ましい。環状ダイマーは、下記(1)式で示される化合物が好ましく用いられる。環状ダイマー量が少ないと、繊維化した際の構造安定性に優れる。さらに好ましくは0.30重量%以下である。
Figure 2014080709
(ここでR1、R2は炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基である)。
例えば、側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分が2−メチル−1,3−プロパンジオールである場合は、環状ダイマーは下記(2)式で示される。
Figure 2014080709
本発明のポリエステル組成物は、そのポリマー粘度(o−クロロフェノール、25℃)が0.6〜0.8であることが好ましく、さらに好ましくは安定的に紡糸を行うことが出来るため0.65〜0.75である。本発明のポリエステル組成物は、そのb値(色差計で測定したハンター値)が8.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは7.0以下である。
本発明においては、ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体を重縮合触媒の存在下で重縮合してポリエステル組成物を製造する方法において、ポリエステル組成物を構成する全ジオール成分に対し、側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分が5〜10モル%となるよう添加し、ポリエステル組成物に対するポリエチレングリコールの含有量が2〜4重量%となるよう添加する。その他、本発明のポリエステル組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で公知の添加剤を含有することが出来る。例えば、リン酸、リン酸トリメチルなどの耐熱剤、酸化チタン、カーボンブラック等の含量のほか従来公知の抗酸化剤、着色防止剤、耐光剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等が添加されても良い。
本発明においては、上記ポリエステル組成物を重合し、公知の方法にて繊維を製造する。断面形状としては、丸断面、中空断面、三葉断面等の多様断面、偏平断面、その他の異形断面についても自由に選択することが可能であり、用途に応じて適宜選択することが出来る。
本発明の紡績糸に用いられる上記繊維は常圧分散可染性、乾熱収縮率などの構造安定性に優れ、酸化窒素堅牢度等の色調安定性に優れる。
本発明の紡績糸に用いられる上記繊維は、例えば黒系の分散染料(Dianix Black S−Rの5%owf)を用い95℃で染色を行った場合、L値が16.5未満となり、130℃にて染色したポリエチレンテレフタレートからなる繊維と同等の染色性を示す。
本発明の紡績糸に用いられる上記繊維は、繊維の構造安定性を示す指標である乾熱収縮率(未延伸糸の160℃熱処理前後の繊維長変化率)も10%未満となり、ポリエチレンテレフタレートからなる繊維と同等となり汎用性に優れる。
本発明の紡績糸に用いられる上記繊維は、繊維の構造安定性を示す指標である遅延収縮率(未延伸糸の200時間経過前後の繊維長変化率)も1.5%未満となり、ポリエチレンテレフタレートからなる繊維と同等となり汎用性に優れる。
本発明の紡績糸に用いられる上記繊維は、経時での色調変化が小さくなる。ポリエチレングリコールを共重合したポリエステルは、一般的にポリエチレングリコールが原因の耐熱性低下を抑制するために添加したヒンダードフェノール系抗酸化剤を添加することが知られている。しかしながら、そのヒンダードフェノール系抗酸化剤は空気中の酸化窒素と反応するため構造が変化し、この構造が変化したものは黄色を呈することがある。そのため、ポリエステル組成物は黄味を帯び(黄変)、商品価値を損なう可能性がある。しかしながら、本発明のポリエステル繊維を少なくとも一部に用いた紡績糸は、ポリエチレングリコール量をミニマム化し、ヒンダードフェノール系抗酸化剤をミニマム化することができるため、黄変が見られない紡績糸を製造することができる。
ポリエステル繊維の単繊維繊度としては、0.5〜4.0デシテックスの範囲が好ましい。単繊維繊度が0.5デシテックス未満では、前紡工程を含めた紡績工程通過性が悪化する場合があり、単繊維繊度が4.0デシテックスより大きくなると、肌触り感が劣る傾向となる上、紡績糸自体の構成繊維本数が少なくなり、紡績糸としての強度が低下する傾向がある。さらには0.6〜3.0デシテックスの範囲にあることが好ましい。
本発明の紡績糸としては、その他繊維を混用することが好ましい。混用する繊維としては、ウール、カシミア等の獣毛繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ポリウレタン繊維、アセテート繊維などが好ましい。中でも、上記ポリエステル繊維は常圧分散可染性に優れるため、獣毛繊維や、アクリル繊維等の高圧染色において劣化しやすい繊維と混用した場合に、劣化を生じることなく染色をすることができるという優れた効果を発揮する。
ウールやポリエステル繊維に通常のリング紡績方法によって実撚りを付与した紡績糸とした場合、衣料表面に突出している繊維毛羽等が着用時の表面摩擦により絡み毛玉に成長し、いわゆるピリングが発生して、衣料の外観を著しく損なう場合がある。
そのため本発明の紡績糸は、実質的に無撚りであることが好ましい。具体的には、本発明の常圧可染性のポリエステル繊維と獣毛繊維等の繊維を用い、空気精紡機を用いて紡績糸とすることで無撚りの紡績糸とすることが好ましい。
実質的に無撚りである糸とは、一般的なリング精紡機によって得られる実撚り糸のような撚りトルクによる短繊維束間の拘束がなく、紡績糸の比較的内側に存在する芯成分の短繊維束が撚トルクのない状態で、比較的外側に存在する鞘成分の短繊維端を巻き込んだ糸構造を意味する。織編物とした際の毛羽も少ないことから、生地表面の接触面積が少なく(凸凹が少ない)、ドライ感が得られるとともに抗ピル性に優れる。
紡績糸の製造に用いられる空気精紡機は、紡速を変化させることで糸形態を変化させることができ、紡出条件として紡速が遅くなるほど紡績糸の芯成分の比率が増し、糸結束力が強くなり糸強力が安定するが、布帛にした際の粗硬感が強くなる。また、糸結束力が増すことで短繊維束間の空隙が少なくなり、張り、腰が強くなる。逆に紡速が早い場合、短繊維束間の空隙は増し風合いもソフトとなり好ましいが、糸強力の低下、毛羽が増加する傾向にあるため、紡速は250m/分〜400m/分であることが好ましい。
実質的に無撚りの紡績糸表面に存在する毛羽の内50%(±25%)はループ状となり、毛羽端が紡績糸内部に入り込むことから、肌へのチクチク感が軽減される。
紡績糸の糸長10m当たりの長さ1mm以上の毛羽数は250個未満であることが好ましく、長さ5mm以上の毛羽数は5個未満であることが好ましい。さらには、糸長10m当たりの長さ1mm以上の毛羽数は、30個以上、200個未満であることが好ましく、長さ5mm以上は3個未満であることがより好ましい。ここでいう紡績糸の糸長10m当たりの毛羽数の測定方法は実施例の中で説明する。
糸長10m当たりの長さ1mm以上の毛羽数が250個よりも多い場合、長さ5mm以上の毛羽数が30個よりも多い場合、生地表面の毛羽密度が高くなり、その結果毛羽がお互いに絡みやすくなり、抗ピル性を悪化させる場合がある。
本発明の紡績糸を用いた編地とする場合、JIS L 1076 A法に定められているICI法による抗ピリング性が2.5級以上とすることができ、外観に優れる。
本発明の紡績糸を用いて、織物や編物とすることができ、例えば、衣料用でピリングの発生が問題になることが多いユニフォームウエア類、アウターウエア類、肌着類、靴下類などに好ましく使用することができる。その他、裏地類、靴材類、手袋類などにも好適に用いられる。アウターウエア類ならば、婦人服、紳士服、子供服、作業服、礼服用、学生服用などに好ましく使用することができる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
品質評価は次の方法を用いた 。
(1)毛羽測定試験
シキボウ(株)製「F−INDEX TESTER」により、糸長10m当たりの1mm以上の毛羽および5mm以上の毛羽数を測定した。
(2)抗ピル性試験法(ICI法5時間)
JIS−1076A法に基づいて評価を行った。
評価結果は、以下の5段階で級判定を行った。また、各級の中間レベルの場合は、3.5(3級と4級の中間レベル)のように表示した。
5級:ピリングの発生がほとんどないもの
4級:ピリングの発生が少々あるもの
3級:ピリングの発生がかなりあるもの
2級:ピリングの発生が多いもの
1級:ピリングの発生が著しく多いもの
実施例1
反応槽に、エチレングリコール/テレフタル酸ジメチルのモル比率が2.0となるよう、エチレングリコールとテレフタル酸ジメチルを添加し、2−メチル−1,3−プロパンジオールを、全ジオール成分中8.0モル%となるよう添加した。ポリエステル組成物に対するポリエチレングリコール(分子量1000)の含有量は3.0重量%とした。その後、反応槽の温度を140℃から235℃まで昇温させながら、メタノールを留去させエステル交換反応を行い、低重合体を得た。次いで、重縮合反応槽内部の減圧を開始し、重縮合反応を実施した。その後、重縮合反応槽内部にあるポリマーを吐出して冷却後、直ちにカッティングしてポリエステルのペレットを得た。
得られたポリエステル組成物を乾燥後、紡糸して未延伸糸を得た。その後、延伸を行い、短繊維の紡績に必要な捲縮と原綿油剤の付与および切断を行って、ポリエステル短繊維を得た。
上記により得られた短繊維からなる原綿(1.45dtex×51mm)70重量%と、ウール(64S×51mm)30重量%をカードミックスで混綿し、前紡工程を通過させることにより、太さが3.5g/mのスライバーを作成した。このスライバーをローラー方式のドラフト機構を有する空気精紡機に仕掛け、ドラフト率を176倍、紡速を300m/minに設定して綿番手30’Sの無撚紡績糸を得た。なお、用いた空気精紡機の糸形成部は中空のエアーノズルを有し、エアーノズル内の空気流により短繊維が結束し、無撚の紡績糸を形成する機構であった。
この無撚紡績糸を用いて、24Gの丸編み機で32コース、目付が105g/mの編地を得た。
この編地における無撚紡績糸の糸長10m当たりの長さ1mm以上の毛羽数は65個、5mm以上の毛羽数は0個、風合いは硬化せずソフトであり、抗ピリング性は3.5級であった。
実施例2
実施例1において原綿(1.45dtex×51mm)と、ウール(64S×51mm)を用いる割合を、50重量%:50重量%とする以外は実施例1と同様にして、24Gの丸編み機で32コース、目付が105g/mの編地を得た。
この編地における無撚紡績糸の糸長10m当たりの長さ1mm以上の毛羽数は96.6個、5mm以上の毛羽数は0.3個、風合いは硬化せずソフトであり、抗ピリング性は3.0級であった。
実施例3
実施例1において原綿(1.45dtex×51mm)と、ウール(64S×51mm)を用いる割合を、30重量%:70重量%とする以外は実施例1と同様にして、24Gの丸編み機で32コース、目付が105g/mの編地を得た。
この編地における無撚紡績糸の糸長10m当たりの長さ1mm以上の毛羽数は104.2個、5mm以上の毛羽数は0.4個、風合いは硬化せずソフトであり、抗ピリング性は3.0級であった。
比較例1
ポリエチレンテレフタレート原綿(2.2dtex×51mm)を50重量%とウール(64S×51mm)を50重量%とを用い、カードミックスで混綿し、前紡工程を通過させることにより、太さが3.5g/mのスライバーを作成し、太さが0.6g/mの粗糸を作成し、リング精紡機に仕掛け、ドラフト率を30倍、撚係数を3.4に設定し、綿番手30’Sの撚の入ったリング紡績糸を得た。
このリング紡績糸を用いて、24Gの丸編み機で32コース、目付が105g/mの編地を得た。
この編地における無撚紡績糸の糸長10m当たりの長さ1mm以上の毛羽数は1300個、5mm以上の毛羽数は40.5個、風合いは硬化し、抗ピリング性は1.0級であった。

Claims (4)

  1. 主たる繰り返し成分がエチレンテレフタレートであるポリエステル組成物を重合、紡糸してなる繊維を用いた紡績糸であって、該ポリエステルを構成する全ジオール成分における側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分の含有割合が5〜10モル%であり、該ポリエステル組成物におけるポリエチレングリコールの含有量が2〜4重量%である紡績糸。
  2. 該側鎖を有する炭素鎖数が3のジオール成分が、2−メチル−1,3−プロパンジオールである請求項1に記載の紡績糸。
  3. 該紡績糸が芯鞘構造を有し、鞘成分の短繊維束が、芯成分の短繊維束の周りにほぼ一定の間隔で巻き付いており、実質的に無撚りである請求項1または2に記載の紡績糸。
  4. 該紡績糸の糸長10m当たりにおける長さ1mm以上の毛羽が、30個以上250個未満、長さ5mm以上の毛羽が5個未満である請求項3に記載の紡績糸。
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