JP2014077091A - ポリエステルフィルム、太陽電池モジュール用バックシートおよび太陽電池モジュール - Google Patents

ポリエステルフィルム、太陽電池モジュール用バックシートおよび太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、耐湿熱性に優れ、黄変が抑制されたポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、ポリエステルと、環骨格にカルボジイミド基を1つ含み、その第一窒素と第二窒素が結合基により結合されている環状構造を分子内に少なくとも1つ有する環状カルボジイミド化合物と、イソシアネート基と反応する化合物とを含み、前記イソシアネート基と反応する化合物が、水酸基を有する化合物、カルボジイミド化触媒、または3量化触媒であるポリエステルフィルムに関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステルフィルム、太陽電池モジュール用バックシートおよび太陽電池モジュールに関する。具体的には、本発明は、ポリエステル樹脂と、環状カルボジイミド化合物と、イソシアネート基と反応する化合物を含むポリエステルフィルム、該ポリエステルフィルムを有する太陽電池モジュール用バックシート、該太陽電池モジュール用バックシートを積層した太陽電池モジュールに関する。
太陽電池モジュールは、一般に、太陽光が入射する受光面側からガラスまたはフロントシート/透明な充填材料(封止材)/太陽電池素子/封止材/バックシート(BS)がこの順に積層された構造を有している。具体的には、太陽電池素子は一般にEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)等の樹脂(封止材)で包埋し、さらにこの上に太陽電池用保護シートを貼り付けた構造に構成される。太陽電池用保護シート、その中でも特に最外層となる太陽電池モジュール用のバックシート(BS)は、屋外の風雨や直射日光などに曝されるような環境下に長期間置かれる状況が想定されるものであるため、優れた耐候性(耐湿熱性、耐熱性)が求められる。
太陽電池モジュール用バックシートには、従来、ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレート(以下、PET)フィルムが使用されている。ポリエステルフィルムは、優れた耐熱性、機械特性及び耐薬品性などを有しているため、工業的に多く用いられている。しかし、これらのフィルムは、耐加水分解性に乏しいため、加水分解により分子量が低下し、脆化が進行して機械物性などが低下する。このため、太陽電池用のバックシートとして長期間に渡り実用的な強度を保持することができなかった。
この問題を解決するために、例えば、特許文献1では、ポリエステルフィルムにポリカルボジイミドを添加することとしている。ポリカルボジイミドをポリエステルの末端カルボキシル基に反応させることによって、ポリエステルの加水分解が抑制され、耐加水分解性は向上する。しかし、ポリカルボジイミドと末端カルボキシル基が反応することにより、遊離のイソシアネートが発生し、製造工程でイソシアネートガスの揮散が起こるという問題がある。
このため、近年は、ポリカルボジイミドに変わって、環状カルボジイミド化合物を添加したポリエステルフィルムが提案されている。例えば、特許文献2および3では、ポリエステルフィルムに添加するカルボジイミド化合物として環状カルボジイミド化合物を採用することとしている。環状カルボジイミド化合物を末端封止剤として用いた場合、イソシアネートがポリエステルの末端に連結された状態となる。このため、特許文献2および3に開示されたポリエステルフィルムにおいては、イソシアネート化合物が遊離することがなく、イソシアネートガスの揮散を抑制することができる。
特開2011−222580号公報 国際公開2011−071211号パンフレット 国際公開2011−093478号パンフレット
しかしながら、特許文献2および3に開示された環状カルボジイミド化合物を添加したポリエステルフィルムを、高温環境下に置いたところ、ポリエステルフィルムが黄色に変色(黄変)するということが、本発明者らの検討により明らかになった。ポリエステルフィルムが太陽電池モジュールのバックシートとして用いられる場合、黄変は太陽電池モジュールの意匠性の悪化につながるため問題となる。
一方、特許文献1のように環状ではないポリカルボジイミドを用いた場合、黄変は、ある程度抑制されるが、製造工程においてイソシアネート化合物の遊離が起こるという問題がある。さらに、湿熱環境下で劣化が進行するという問題がある。
そこで本願発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、耐湿熱性に優れ、黄変が抑制されたポリエステルフィルムを提供することを目的として検討を進めた。すなわち、本発明は、特許文献1〜3の課題を全て解決したポリエステルフィルムを提供することを目的としている。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本願発明者らは、ポリエステルフィルムにポリエステルと、環状カルボジイミド化合物と、イソシアネート基と反応する化合物を含有することにより、耐湿熱性を高めると同時に、黄変を抑制できることを見出した。具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]ポリエステルと、環骨格にカルボジイミド基を1つ含み、その第一窒素と第二窒素が結合基により結合されている環状構造を分子内に少なくとも1つ有する環状カルボジイミド化合物と、イソシアネート基と反応する化合物とを含み、前記イソシアネート基と反応する化合物が、水酸基を有する化合物、カルボジイミド化触媒および3量化触媒のうち少なくとも1つを含むことを特徴とするポリエステルフィルム。
[2]前記環状カルボジイミド化合物は下記一般式(O−1)または一般式(O−2)で表されることを特徴とする[1]に記載のポリエステルフィルム。
Figure 2014077091
(一般式(O−1)中、R1およびR5は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R2〜R4およびR6〜R8は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R1〜R8は互いに結合して環を形成してもよい。X1およびX2は、それぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−NH−または−CH2−を表す。L1は2価の連結基を表す。)
Figure 2014077091
(一般式(O−2)中、R11、R15、R21およびR25は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R12〜R14、R16〜R18、R22〜R24およびR26〜R28は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R11〜R28は互いに結合して環を形成してもよい。X11、X12、X21およびX22は、それぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−NH−または−CH2−を表す。L2は4価の連結基を表す。)
[3]前記一般式(O−1)および(O−2)中、R1およびR5、ならびに、R11、R15、R21およびR25がそれぞれ独立に2級もしくは3級アルキル基、または、アリール基を表すことを特徴とする[2]に記載のポリエステルフィルム。
[4]前記一般式(O−1)中、R2およびR6がともに水素原子であることを特徴とする[2]または[3]に記載のポリエステルフィルム。
[5]前記ポリエステルに対する前記環状カルボジイミドの含有率を(B)とし、前記ポリエステルに対する前記イソシアネート基と反応する化合物の含有率を(C)とした場合、0.005≦(C)/(B)≦10であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[6]前記イソシアネート基と反応する化合物が、水酸基を有する化合物または3量化触媒を含むことを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[7]前記水酸基を有する化合物が1分子内に3つ以上の水酸基を有する化合物であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[8]前記水酸基は、フェノール性水酸基であることを特徴とする[7]に記載のポリエステルフィルム。
[9]前記フェノール性水酸基がヒンダードフェノール性水酸基であることを特徴とする[8]に記載のポリエステルフィルム。
[10]前記1分子内に3つ以上の水酸基を有する化合物がペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)]であることを特徴とする[7]に記載のポリエステルフィルム。
[11]前記3量化触媒がプロピオン酸カリウム、オクチル酸カリウムまたはステアリルトリメチルアンモニウムブロマイドであることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[12]前記カルボジイミド化触媒がリンを含む化合物であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[13]前記リンを含む化合物の分子量が250以上であることを特徴とする[12]に記載のポリエステルフィルム。
[14]前記リンを含む化合物がホスフィンオキシドまたはリン酸エステルであることを特徴とする[12]または[13]に記載のポリエステルフィルム。
[15]前記ポリエステルに対する前記環状カルボジイミドの含有率を(B)とし、前記ポリエステルに対する前記リンを含む化合物の含有率を(C)とした場合、0.05≦(C)/(B)≦10であることを特徴とする[12]〜[14]のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
[16]熱処理前のポリエステルフィルムの黄色度を(YI‐1)とし、180℃120時間熱処理した後のポリエステルフィルムの黄色度(YI‐2)とし、(YI‐2)―(YI‐1)で表される黄色変度をΔYIとしたときに、0.1≦ΔYI≦10であることを特徴とする請求項[1]〜[15]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[17]ポリエステルと、環骨格にカルボジイミド基を1つ含み、その第一窒素と第二窒素が結合基により結合されている環状構造を分子内に少なくとも1つ有する環状カルボジイミド化合物と、イソシアネート基と反応する化合物とを含む混合物を溶融して製膜する工程を含み、前記イソシアネート基と反応する化合物が、水酸基を有する化合物、カルボジイミド化触媒および3量化触媒のうち少なくとも1つを含むことを特徴とするポリエステルフィルムの製造方法。
[18]前記溶融の際の溶融温度は、120〜350℃であることを特徴とする[17]に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
[19]前記ポリエステルに対する前記環状カルボジイミドの添加率を(B)とし、前記ポリエステルに対する前記イソシアネート基と反応する化合物の添加率を(C)とした場合、0.005≦(C)/(B)≦10であることを特徴とする[17]または[18]に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
[20][17]〜[19]のいずれかの製造方法により製造したポリエステルフィルム。
[21][1]〜[16]のいずれかおよび[20]のいずれか1項に記載のポリエステルフィルムを用いた太陽電池モジュール用バックシート。
[22][21]に記載の太陽電池モジュール用バックシートを用いた太陽電池モジュール。
本発明によれば、高温環境下に長時間載置した場合であっても、ポリエステルフィルムの黄変を効果的に抑制することができる。さらに本発明によれば、優れた耐湿熱性を有するポリエステルフィルムを得ることができる。すなわち、本発明では、優れた耐湿熱性を有し、かつ黄変が抑制されたポリエステルフィルムを得ることができる。このように、本発明のポリエステルフィルムは、機能性と意匠性に優れるため、太陽電池のバックシートとして好ましく用いられる。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(ポリエステルフィルム)
本発明は、ポリエステルと、環状カルボジイミド化合物と、イソシアネート基と反応する化合物を含むポリエステルフィルムに関する。環状カルボジイミド化合物は、環骨格にカルボジイミド基を1つ含み、その第一窒素と第二窒素が結合基により結合されている環状構造を分子内に少なくとも1つ有する。イソシアネート基と反応する化合物は、水酸基を有する化合物、カルボジイミド化触媒、または3量化触媒である。
本発明のポリエステルフィルムは、黄色変度が一定範囲内であることが好ましい。本発明では、フィルムの初期(熱処理前)の黄色度を(YI‐1)とし、フィルムを180℃120時間熱処理した後の黄色度を(YI‐2)とし、(YI‐2)―(YI‐1)で表される黄色変度をΔYIとしたときに、0.1≦ΔYI≦10となる。ΔYIは、0.1以上であれば良く、0.5以上であることが好ましい。また、ΔYIは、10以下であれば良く、8以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。
このように、ΔYIを上記上限値以下とすることにより、長期に渡って太陽電池モジュールを外部環境に保存した後も黄変がなく、意匠性に優れるポリエステルフィルムを得ることができる。また、ΔYIを上記下限値以上とすることにより、環状カルボジイミドの量を適切な範囲で含有することができ、フィルムの機能性を高めることができる。なお、下限値は、製造適性や他の品質(例えば強度の耐湿熱性)への弊害が無いならば0であることが好ましいが、黄変の主要因であるイソシアネート基を限りなく0にするには、環状カルボジイミドの量を極端に減らしたり、イソシアネート基と反応する化合物を多量に使用する必要がある。しかし、これらの手法をとると、フィルムの強度の耐湿熱性が悪化する弊害が発生するため、実質的なYIの下限値は0.1となる。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、用途によって異なるが、太陽電池モジュール用バックシートの部材として用いる場合には、25〜300μmであることが好ましく、120〜300μmであることがより好ましい。厚みを上記下限値以上とすることにより、十分な力学強度が得られ、上記上限値以下とすることにより、コスト上のメリットが得られる。
本発明のポリエステルフィルムは延伸されていることが好ましく、2軸延伸されていることがさらに好ましく、平面2軸延伸されていることがチューブラーなどの延伸と比較して特に好ましく、逐次2軸延伸されていることがより特に好ましい。
なお、ポリエステルフィルムは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の添加剤を含んでいてもよく、添加剤としては、酸化防止剤や紫外線防止剤が例示される。
(ポリエステル)
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルを含む。ポリエステルの種類は特に制限されるものではなく、ポリエステルとして公知のものを使用することができる。
ポリエステルは、飽和ポリエステルであることが好ましい。このように飽和ポリエステルを用いることで、不飽和のポリエステルを用いたフィルムと比べて力学強度の観点で優れるポリエステルフィルムを得ることができる。ポリエステルとしては、例えば、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルを挙げることができる。
線状飽和ポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、このうち、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)が、力学的物性及びコストのバランスの点で特に好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより特に好ましい。
ポリエステルは、単独重合体であってもよいし、共重合体であっても良い。更に、ポリエステルに他の種類の樹脂、例えばポリイミド等を少量ブレンドしたものであっても良い。また、ポリエステルとして、溶融時に異方性を形成することができる結晶性のポリエステルを用いても良い。
ポリエステルの分子量は、耐熱性や粘度の観点から、重量平均分子量(Mw)は、5000〜30000であることが好ましく、8000〜26000であることが更に好ましく、12000〜24000であることが特に好ましい。ポリエステルの重量平均分子量は、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の値を用いることができる。
ポリエステルは、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、低分子量脂肪族ジオール又は高分子量ジオールとを反応させることにより得ることができる。ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、オルトフタル酸ジメチル、ナフタリンジカルボン酸ジメチル、パラフェニレンジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
低分子量脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
高分子量ジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
上記の構成成分からなる結晶性ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、テレフタル酸ブタンジオールポリテトラメチレングリコール共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いられても良く、2種類以上が併用されても良い。これに記載の芳香族ポリエステルの中で特に好ましいのは、ジカルボン酸として、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸を主成分に用いるもの、ジオールとしてエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールを主成分とするものが好ましく、より好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートであり、さらに好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートである。
ポリエステルは公知の方法によって合成することができる。例えば、公知の重縮合法や開環重合法などによってポリエステルを合成することができ、エステル交換反応及び直接重合による反応のいずれでも適用することができる。
本発明で用いるポリエステルが、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体と、ジオール又はそのエステル形成性誘導体とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体である場合には、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とを、エステル化反応又はエステル交換反応させ、次いで重縮合反応させることによって製造することができる。また、原料物質や反応条件を選択することにより、ポリエステルのカルボン酸価や固有粘度を制御することができる。なお、エステル化反応又はエステル交換反応及び重縮合反応を効果的に進めるために、これらの反応時に重合触媒を添加することが好ましい。
ポリエステルを重合する際の重合触媒としては、カルボキシル基含量を所定の範囲以下に抑える観点から、Sb系、Ge系、及びTi系の化合物を用いることが好ましいが、特にTi系化合物が好ましい。Ti系化合物を用いる場合、Ti系化合物を1ppm以上30ppm以下、より好ましくは3ppm以上15ppm以下の範囲で触媒として用いることにより重合する態様が好ましい。Ti系化合物の割合が前記範囲内であると、末端カルボキシル基を下記範囲に調整することが可能であり、ポリマー基材の耐加水分解性を低く保つことができる。
(環状カルボジイミド化合物)
本発明のポリエステルフィルムは、環状カルボジイミド化合物を含有する。ここで、環状カルボジイミド化合物とは、環骨格にカルボジイミド基を1つ含み、その第一窒素と第二窒素が結合基により結合されている環状構造を分子内に少なくとも1つ有する化合物をいう。環状カルボジイミド化合物は、ポリエステルの末端カルボキシル基と反応し、環状封止剤として機能する。なお、環状カルボジイミド化合物は、国際公開2011/093478号パンフレットに記載された方法によって調製することができる。
本発明で使用する環状カルボジイミド化合物は、環状構造を有する。環状カルボジイミド化合物は、環状構造を複数有していてもよい。環状構造は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている。一つの環状構造中には、1個のカルボジイミド基のみを有するが、例えば、スピロ環など、分子中に複数の環状構造を有する場合にはスピロ原子に結合するそれぞれの環状構造中に1個のカルボジイミド基を有していれば、化合物として複数のカルボジイミド基を有していても良い。環状構造中の原子数は、好ましくは8〜50、より好ましくは10〜30、さらに好ましくは10〜20、特に好ましくは10〜15である。
ここで、環状構造中の原子数とは、環構造を直接構成する原子の数を意味し、例えば、8員環であれば8、50員環であれば50である。環状構造中の原子数が8より小さいと、環状カルボジイミド化合物の安定性が低下して、保管、使用が困難となる場合がある。また反応性の観点より、環員数の上限値に関しては特別の制限はないが、50を超える原子数の環状カルボジイミド化合物は合成上困難となり、コストが大きく上昇する場合がある。かかる観点より環状構造中の原子数は好ましくは、10〜30、より好ましくは10〜20、特に好ましくは10〜15の範囲が選択される。
環状カルボジイミド化合物としては、下記一般式(O−1)または一般式(O−2)で表される環状カルボジイミド化合物を用いることが好ましい。
以下、本発明の環状カルボジイミド化合物の好ましい構造について、下記一般式(O−1)と一般式(O−2)の順に説明する。
まず、一般式(O−1)で表される環状カルボジイミド化合物について説明する。
Figure 2014077091
一般式(O−1)中、R1およびR5は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R2〜R4およびR6〜R8は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R1〜R8は互いに結合して環を形成してもよい。X1およびX2は、それぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−NH−または−CH2−を表す。L1は2価の連結基を表す。
上記一般式(O−1)中、R1およびR5は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表し、アルキル基またはアリール基を表すことが好ましく、2級もしくは3級アルキル基またはアリール基を表すことがポリエステルの末端に連結したイソシアエネートとポリエステルの水酸基末端の反応を抑制し、増粘を抑制する観点からより好ましく、2級アルキル基を表すことが特に好ましい。
1およびR5が表すアルキル基は、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素数2〜6のアルキル基であることが特に好ましい。R1およびR5が表すアルキル基は直鎖であっても分枝であっても環状であってもよいが、分枝または環状であることが、ポリエステルの末端に連結したイソシアエネートとポリエステルの水酸基末端の反応を抑制し、増粘を抑制する観点から好ましい。R1およびR5が表すアルキル基は2級または3級アルキル基であることが好ましく、2級アルキル基であることがより好ましい。R1およびR5が表すアルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、sec−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、シクロヘキシル基、などを挙げることができ、その中でもiso−プロピル基、tert−ブチル基、iso−ブチル基、iso−ペンチル基、iso−ヘキシル基、シクロヘキシル基が好ましく、iso−プロピル基、シクロヘキシル基、tert−ブチル基がより好ましく、iso−プロピル基およびシクロヘキシル基が特に好ましい。
1およびR5が表すアルキル基はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限されるものではない。但し、R1およびR5が表すアルキル基は、カルボン酸との反応性の観点から、さらに置換基を有さないことが好ましい。
1およびR5が表すアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましく、炭素数6のアリール基であることが特に好ましい。R1およびR5が表すアリール基は、R1とR2が縮合またはR5とR6が縮合して形成されたアリール基であってもよいが、R1およびR5は、それぞれR2およびR6と縮合して環を形成しないことが好ましい。R1およびR5が表すアリール基は、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができ、その中でもフェニル基がより好ましい。
1およびR5が表すアリール基はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限されるものではない。但し、R1およびR5が表すアリール基は、カルボン酸との反応性の観点から、さらに置換基を有さないことが好ましい。
1およびR5が表すアルコキシ基は、炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数2〜6のアルコキシ基であることが特に好ましい。R1およびR5が表すアルコキシ基は直鎖であっても分枝であっても環状であってもよいが、分枝または環状であることが、ポリエステルの末端に連結したイソシアエネートとポリエステルの水酸基末端の反応を抑制し、増粘を抑制する観点から好ましい。R1およびR5が表すアルコキシ基の好ましい例は、R1およびR5が表すアルキル基の末端に−O−が連結した基を挙げることがあり、好ましい範囲も同様にR1およびR5が表す好ましいアルキル基の末端に−O−が連結した基である。
1およびR5が表すアルコキシ基はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限されるものではない。但し、R1およびR5が表すアルコキシ基は、カルボン酸との反応性の観点から、さらに置換基を有さないことが好ましい。
1およびR5は、同じであっても異なっていてもよいが、コストの観点から同じであることが好ましい。
上記一般式(O−1)中、R2〜R4およびR6〜R8は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表し、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
2〜R4およびR6〜R8が表すアルキル基、アリール基またはアルコキシ基はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限されるものではない。
本発明の環状カルボジイミド化合物は、上記一般式(O−1)中、R2およびR6がともに水素原子であることが、R1およびR5に嵩高い置換基を導入しやすい観点から好ましい。ここで、WO2010/071211号公報には、上記一般式(O−1)においてR2およびR6に相当する部位(カルボジイミド基に対してメタ位)にアルキル基やアリール基が置換した化合物が例示されているが、これらの化合物はポリエステルの末端に連結したイソシアネートとポリエステルの水酸基末端との反応を抑制することができない上、前記一般式(O−1)においてR2およびR6に相当する部位(カルボジイミド基に対してオルト位)に置換基を導入することが困難である。
上記一般式(O−1)中、R1〜R8は互いに結合して環を形成してもよい。このときに形成される環は特に制限はないが、芳香族環であることが好ましい。例えば、R1〜R4の2以上が互いに結合して縮合環を形成してもよく、R1〜R4が置換しているベンゼン環とともに炭素数10以上のアリーレン基やヘテロアリーレン基を形成してもよい。このときに形成される炭素数10以上のアリーレン基としては、ナフタレンジイル基などの炭素数10〜15の芳香族基が挙げられる。
同様に、例えば、R5〜R8の2以上が互いに結合して縮合環を形成してもよく、R5〜R8が置換しているベンゼン環とともに炭素数10以上のアリーレン基やヘテロアリーレン基を形成してもよく、そのときの好ましい範囲はR1〜R4が置換しているベンゼン環とともに炭素数10以上のアリーレン基やヘテロアリーレン基を形成するときの好ましい範囲と同様である。
但し、本発明の環状カルボジイミド化合物は、上記一般式(O−1)中、R1〜R8は互いに結合して環を形成しないことが好ましい。
上記一般式(O−1)中、X1およびX2は、それぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−NH−および−CH2−から選択される少なくとも1種を表し、その中でも−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−NH−であることが好ましく、−O−、−S−であることが合成容易性の観点からより好ましい。
上記一般式(O−1)中、L1は2価の連結基を表し、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいても良く、2価の炭素数1〜20の脂肪族基、2価の炭素数3〜20の脂環族基、2価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせであることが好ましく、2価の炭素数1〜20の脂肪族基であることがより好ましい。
1が表す2価の脂肪族基として、炭素数1〜20のアルキレン基が挙げられる。炭素数1〜20のアルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、へキサデシレン基などが挙げられ、メチレン基、エチレン基、プロピレン基がより好ましく、エチレン基が特に好ましい。これらの脂肪族基は置換されていてもよい。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
1が表す2価の脂環族基として、炭素数3〜20のシクロアルキレン基が挙げられる。炭素数3〜20のシクロアルキレン基として、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロドデシレン基、シクロへキサデシレン基などが挙げられる。これらの脂環族基は置換されていてもよい。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
1が表す2価の芳香族基として、へテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアリーレン基が挙げられる。炭素数5〜15のアリーレン基として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換されていてもよい。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
上記一般式(O−1)中、カルボジイミド基を含む環状構造中の原子数は、好ましくは8〜50、より好ましくは10〜30、さらに好ましくは10〜20、特に好ましくは10〜15である。
ここで、カルボジイミド基を含む環状構造中の原子数とは、カルボジイミド基を含む環状構造を直接構成する原子の数を意味し、例えば、8員環であれば8、50員環であれば50である。環状構造中の原子数が8より小さいと、環状カルボジイミド化合物の安定性が低下して、保管、使用が困難となる場合があるためである。また反応性の観点よりは環員数の上限値に関しては特別の制限はないが、50を超える原子数の環状カルボジイミド化合物は合成上困難となり、コストが大きく上昇する場合が発生するためである。かかる観点より前記一般式(O−1)中、環状構造中の原子数は好ましくは、10〜30、より好ましくは10〜20、特に好ましくは10〜15の範囲が選択される。
次に、下記一般式(O−2)で表される環状カルボジイミド化合物について説明する。
Figure 2014077091
一般式(O−2)中、R11、R15、R21およびR25は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R12〜R14、R16〜R18、R22〜R24およびR26〜R28は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R11〜R28は互いに結合して環を形成してもよい。X11、X12、X21およびX22は、それぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−NH−または−CH2−を表す。L2は4価の連結基を表す。
上記一般式(O−2)中、R11、R15、R21およびR25の好ましい範囲は、上記一般式(O−1)中のR1およびR5の好ましい範囲と同様である。
11、R15、R21およびR25が表すアリール基は、R11とR12が縮合、R15とR16が縮合、R21とR22が縮合またはR25とR26が縮合して形成されたアリール基であってもよいが、R11、R15、R21およびR25は、それぞれR12、R16、R22およびR26と縮合して環を形成しないことが好ましい。
11、R15、R21およびR25は、同じであっても異なっていてもよいが、コストの観点から同じであることが好ましい。
上記一般式(O−2)中、R12〜R14、R16〜R18、R22〜R24およびR26〜R28の好ましい範囲は、上記一般式(O−1)中のR2〜R4およびR6〜R8の好ましい範囲と同様である。
12〜R14、R16〜R18、R22〜R24およびR26〜R28中、R12、R16、R22およびR26がともに水素原子であることが、R11、R15、R21およびR25に嵩高い置換基を導入しやすい観点から好ましい。
本発明では、このようにカルボジイミド基の近傍に、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基のように嵩高い基を導入することで、高温条件下に保存した場合であっても、カルボジイミド化合物が分解することを抑制することができる。さらに、カルボジイミド化合物のイソシアネート基がアミノ基に変性することを抑制することができる。
上記一般式(O−2)中、R11〜R28は互いに結合して環を形成してもよく、好ましい環の範囲は上記一般式(O−1)中、R1〜R8が互いに結合して形成する環の範囲と同様である。
上記一般式(O−2)中、X11、X12、X21およびX22の好ましい範囲は、上記一般式(O−1)中のX1およびX2の好ましい範囲と同様である。
上記一般式(O−2)中、L2は4価の連結基を表し、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、4価の炭素数1〜20の脂肪族基、4価の炭素数3〜20の脂環族基、4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせであることが好ましく、4価の炭素数1〜20の脂肪族基であることがより好ましい。
2が表す4価の脂肪族基として、炭素数1〜20のアルカンテトライル基などが挙げられる。炭素数1〜20のアルカンテトライル基として、メタンテトライル基、エタンテトライル基、プロパンテトライル基、ブタンテトライル基、ペンタンテトライル基、ヘキサンテトライル基、ヘプタンテトライル基、オクタンテトライル基、ノナンテトライル基、デカンテトライル基、ドデカンテトライル基、ヘキサデカンテトライル基などが挙げられ、メタンテトライル基、エタンテトライル基、プロパンテトライル基がより好ましく、エタンテトライル基が特に好ましい。これら脂肪族基は置換基を含んでいてもよい。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
2が表す4価の脂環族基として、脂環族基として、炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基が挙げられる。炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基として、シクロプロパンテトライル基、シクロブタンテトライル基、シクロペンタンテトライル基、シクロヘキサンテトライル基、シクロヘプタンテトライル基、シクロオクタンテトライル基、シクロノナンテトライル基、シクロデカンテトライル基、シクロドデカンテトライル基、シクロヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これら脂環族基は置換基を含んでいてもよい。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリーレン基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
2が表す4価の芳香族基として、へテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。炭素数5〜15のアレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換されていてもよい。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
上記一般式(O−2)中、4価の連結基であるL2を介して、カルボジイミド基を含む環状構造が2つ含まれる。
上記一般式(O−2)中における各カルボジイミド基を含む環状構造中の原子数の好ましい範囲はそれぞれ、上記一般式(O−1)中におけるカルボジイミド基を含む環状構造中の原子数の好ましい範囲と同様である。
本発明の環状カルボジイミド化合物は、分子内に2つ以上のカルボジイミド基の第一窒素と第二窒素とが連結基により結合した環構造を有さない芳香族カルボジイミドであること、すなわち本発明の環状カルボジイミド化合物は単環であり、上記一般式(O−1)で表されることが、増粘し難い観点から好ましい。
但し、揮散を抑制でき、製造時のイソシアネートガスの発生を抑制できる観点からは、本発明の環状カルボジイミド化合物は環状構造を複数有し、上記一般式(O−2)で表されることも好ましい。
本発明に用いる環状カルボジイミド化合物の分子量が、400以上であると、揮散性が小さく、製造時のイソシアネートガスの発生を抑制できるため好ましい。また、環状カルボジイミド化合物の分子量の上限は本発明の効果を損なわない限り特に限定はないが、カルボン酸との反応性の観点から、1500以下が好ましい。
本発明に用いる環状カルボジイミド化合物の分子量は、500〜1200であることがより好ましい。
上記一般式(O−1)または一般式(O−2)で表されることを特徴とする環状カルボジイミド化合物の具体例、すなわち本発明の環状カルボジイミド化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。但し、本発明は以下の具体例により限定されるものではない。
Figure 2014077091
Figure 2014077091
本発明の環状カルボジイミド化合物は、芳香環に隣接して−N=C=N−で表される構造(カルボイジイミド基)を少なくとも1つ有する化合物であり、例えば、適当な触媒の存在下に、有機イソシアネートを加熱し、脱炭酸反応で製造できる。また、本発明の環状カルボジイミド化合物は、特開2011−256337号公報に記載の方法などを参考にして合成することができる。
本発明の環状カルボジイミド化合物を合成するにあたり、カルボジイミド基の第一窒素と第二窒素に隣接するアリーレン基のオルト位に特定の嵩高い置換基を導入する方法としては特に制限はないが、例えば既知の方法でアルキルベンゼンをニトロ化することで、アルキル基が置換されたニトロベンゼンを合成することができ、それを元にWO2011/158958に記載の方法で環状カルボジイミドを合成することができる。
環状カルボジイミド化合物の含有率は、ポリエステルに対して、0.05〜5質量%であることが好ましい。環状カルボジイミド化合物の含有率は、0.05質量%以上であれば良く、0.1質量%以上であることが好ましい。また、環状カルボジイミド化合物の含有率は、5質量%以下であれば良く、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。環状カルボジイミド化合物の含有率を上記下限値以上とすることにより、環状カルボジイミドとポリエステルの末端カルボン酸を効率よく反応させることができ、耐湿熱性を改善することができる。環状カルボジイミド化合物の含有率を上記上限値以下とすることにより、ポリエステルのゲル化を抑制し、ポリエステルの延伸配向を進め、フィルム内に水分子を浸入させにくい構造を形成しやすくすることができ、耐湿熱性を改善することができる。
(イソシアネート基と反応する化合物)
本発明のポリエステルフィルムは、イソシアネート基と反応する化合物を含む。本発明で用いるイソシアネート基と反応する化合物は、上述した環状カルボジイミド由来のイソシアネート基と反応し、アミノ基へ変性を抑制することができる。これにより、ポリエステルフィルムが黄変することを抑制することができる。
本発明で用いるイソシアネート基と反応する化合物は、ポリエステルと反応し、ポリエステル成分の主鎖および/または側鎖に導入されていても良く、ポリエステル成分と反応せずに、配合時の構造を保っていても良い。イソシアネート基と反応する化合物が、ポリエステルの主鎖および/または側鎖に導入される反応には特に制限はないが、通常のエステル交換反応によって導入されることが好ましい。
イソシアネート基と反応する化合物は、3官能以上の化合物であることが好ましい。イソシアネート基と反応する化合物が3官能以上であると、ポリエステルの主鎖および/または側鎖に導入されたときにも少なくとも1つの反応性基をポリエステルと反応せずに残存させることができる。これにより、環状カルボジイミド由来のイソシアネート基と十分に反応することができる。
さらに、イソシアネート基と反応する化合物は、水酸基を有する化合物、カルボジイミド化触媒および3量化触媒のうち少なくとも1つを含む化合物であることが好ましい。中でも、イソシアネート基と反応する化合物は、水酸基を有する化合物であることが好ましい。なお、イソシアネート基と反応する化合物には、水酸基を有する化合物、カルボジイミド化触媒および3量化触媒の中から選んだ2種以上の化合物または触媒を含有することとしても良い。
イソシアネート基と反応する化合物の含有率は、ポリエステルに対して、0.001〜5質量%であることが好ましい。イソシアネート基と反応する化合物の含有率は、0.001質量%以上であれば良く、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、イソシアネート基と反応する化合物の含有率は、5質量%以下であれば良く、3質量%以下であれば良く、1質量%以下であることがより好ましい。イソシアネート基と反応する化合物の含有率を上記上限値以下とすることは、得られたポリエステルフィルムのガラス転移温度を高める観点から好ましい。さらに、上記上限値以下とすることで、イソシアネート基と反応する化合物自体の揮散を抑制することができる。また、イソシアネート基と反応する化合物の含有率を上記下限値以上とすることにより、イソシアネート基との反応性を高めることができ、ポリエステルフィルムが黄変することを防ぐことができる。
本発明のポリエステルフィルムにおいては、ポリエステルフィルム中における環状カルボジイミドの含有率(質量部)を(B)とし、ポリエステルフィルム中におけるイソシアネート基と反応する化合物の含有率(質量部)を(C)とした場合、0.005≦(C)/(B)≦10であることが好ましく、0.01≦(C)/(B)≦5であることがより好ましく、0.05≦(C)/(B)≦1であることがさらに好ましい。
(C)/(B)を上記下限値以上とすることにより、環状カルボジイミドとイソシアネート基と反応する化合物が効率よく反応でき、色味の変化を抑制することができる。また、(C)/(B)を上記上限値以下とすることにより、水酸基を有する化合物を余剰に含むことによる湿熱性に対する強度の悪化を防ぐことが出来る。
<水酸基を有する化合物>
水酸基を有する化合物は、環状カルボジイミド由来のイソシアネート基と反応し、アミノ基へ変性を抑制することができる。これにより、ポリエステルフィルムが黄変することを抑制することができる。
水酸基を有する化合物は、下記一般式(1)で表されるアルキレンオキシドを有する化合物であることが好ましい。
Figure 2014077091
一般式(1)中、Rは、炭素数1〜15のアルキレン基を表し、nは、1〜10の整数を表し、Xは、水酸基を表す。
上記一般式(1)中、−(O−R)−で表されるアルキレンオキシド単位の好ましい例として、炭素原子数1〜4である脂肪族アルキレンオキシド単位が有効であり、具体例としては、メチレンオキシド単位、エチレンオキシド単位、トリメチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位、テトラメチレンオキシド単位、1,2−ブチレンオキシド単位、2,3−ブチレンオキシド単位若しくはイソブチレンオキシド単位などを挙げることができる。本発明においては、特に耐久性、耐熱性などに優れるという点で、アルキレンオキシド単位としてエチレンオキシド単位又はプロピレンオキシド単位が含まれる化合物を使用するのが好ましく、耐加水分解性および靭性(引張破断伸度)に優れるという点で、プロピレンオキシド単位が含まれる化合物を使用することが特に好ましい。
上記一般式(1)中、nは1〜7の整数を表すことが好ましく、1〜5の整数を表すことがより好ましく、1〜4の整数を表すことがさらに好ましく、1〜3の整数を表すことが特に好ましい。
アルキレンオキシド単位数については、流動性および機械物性に優れるという点で、1官能基当たりのアルキレンオキシド単位が0.1〜20であることが好ましく、0.5〜10であることがより好ましく、1〜5であることがさらに好ましい。
イソシアネート基と反応する化合物が水酸基を有する場合は、1分子内に3つ以上の水酸基を有する化合物であること好ましい。1分子内に3つ以上の水酸基を有する化合物を用いた場合、1分子内に1つまたは2つの水酸基を有する化合物を用いた場合に比べて得られるポリエチレンテレフタレートフィルムの製膜安定性や密着性を改善することができる。1分子内に3つ以上の水酸基を有する化合物は、水酸基が3官能または4官能の化合物であることがより好ましく、水酸基が4官能の化合物であることがさらに好ましい。
また、1分子内に3つ以上の水酸基を有する化合物中の水酸基は、フェノール性水酸基であることが好ましい。さらに、1分子内に3つ以上の水酸基を有する化合物のフェノール性水酸基は、ヒンダードフェノール性水酸基であることが好ましい。ここで、ヒンダードフェノール性水酸基とは、フェノール性水酸基を有するベンゼン環の炭素原子に隣接する炭素原子の少なくとも一方に、嵩高い置換基(例えばtert−ブチル基)を有する構造の一部であるフェノール性水酸基のことを言う。ヒンダードフェノール性水酸基は、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル基中のフェノール性水酸基であることが好ましい。
1分子内に3つ以上の水酸基を有する化合物としては、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)]などのフェノール性水酸基を有する化合物を好ましく例示することができる。
一方、1分子内に3つ以上の水酸基を有する化合物が、アルキレンオキシドを有する化合物であることも好ましい。このようなアルキレンオキシドを有する化合物である1分子内に3つ以上の水酸基を有する化合物としては、(ポリ)オキシメチレングリセリン、(ポリ)オキシエチレングリセリン、(ポリ)オキシトリメチレングリセリン、(ポリ)オキシプロピレングリセリン、(ポリ)オキシエチレン−(ポリ)オキシプロピレングリセリン、(ポリ)オキシテトラメチレングリセリン、(ポリ)オキシメチレンジグリセリン、(ポリ)オキシエチレンジグリセリン、(ポリ)オキシトリメチレンジグリセリン、(ポリ)オキシプロピレンジグリセリン、(ポリ)オキシメチレントリメチロールプロパン、(ポリ)オキシエチレントリメチロールプロパン、(ポリ)オキシトリメチレントリメチロールプロパン、(ポリ)オキシプロピレントリメチロールプロパン、(ポリ)オキシエチレン−(ポリ)オキシプロピレントリメチロールプロパン、(ポリ)オキシテトラメチレントリメチロールプロパン、(ポリ)オキシメチレンジトリメチロールプロパン、(ポリ)オキシエチレンジトリメチロールプロパン、(ポリ)オキシトリメチレンジトリメチロールプロパン、(ポリ)オキシプロピレンジトリメチロールプロパン、(ポリ)オキシメチレンペンタエリスリトール、(ポリ)オキシエチレンペンタエリスリトール、(ポリ)オキシトリメチレンペンタエリスリトール、(ポリ)オキシプロピレンペンタエリスリトール、(ポリ)オキシエチレン−(ポリ)オキシプロピレンペンタエリスリトール、(ポリ)オキシテトラメチレンペンタエリスリトール、(ポリ)オキシメチレンジペンタエリスリトール、(ポリ)オキシエチレンジペンタエリスリトール、(ポリ)オキシトリメチレンジペンタエリスリトール、(ポリ)オキシプロピレンジペンタエリスリトール、(ポリ)オキシメチレングルコース、(ポリ)オキシエチレングルコース、(ポリ)オキシトリメチレングルコース、(ポリ)オキシプロピレングルコース、(ポリ)オキシエチレン−(ポリ)オキシプロピレングルコース、(ポリ)オキシテトラメチレングルコース等を挙げることができる。
これらの中でも、(ポリ)オキシプロピレントリメチロールプロパン、(ポリ)オキシプロピレンペンタエリスリトールエーテル、(ポリ)オキシプロピレンジグリセリンエーテルが好ましい。
本発明で用いる水酸基を有する化合物の分子量または重量平均分子量(Mw)は、流動性の観点から、50〜10000の範囲であることが好ましく、150〜8000の範囲であることがより好ましく、200〜3000の範囲であることがさらに好ましい。本発明において、水酸基を有する化合物のMwは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の値である。
本発明で用いる水酸基を有する化合物の含水分率は1%以下であることが好ましい。含水分率は、0.5%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることがさらに好ましい。なお、水酸基を有する化合物の含水分の下限は特になく、0であっても良い。
本発明で用いる水酸基を有する化合物は、金属成分を含有するものであっても良い。例えば、アルキレンオキシド単位を導入するために用いるアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む触媒などを含有するものであっても良い。
水酸基を有する化合物の含有率は、ポリエステルに対して、0.001〜5質量%であることが好ましい。水酸基を有する化合物の含有率は、0.001質量%以上であれば良く、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、水酸基を有する化合物の含有率は、5質量%以下であれば良く、3質量%以下であれば良く、1質量%以下であることがより好ましい。水酸基を有する化合物の含有率を上記上限値以下とすることは、得られたポリエステルフィルムのガラス転移温度を高める観点から好ましい。さらに、上記上限値以下とすることで、水酸基を有する化合物自体の揮散を抑制することができる。また、水酸基を有する化合物の含有率を上記下限値以上とすることにより、イソシアネート基との反応性を高めることができ、ポリエステルフィルムが黄変することを防ぐことができる。
本発明のポリエステルフィルムにおいては、ポリエステルフィルム中における環状カルボジイミドの含有率(質量部)を(B)とし、ポリエステルフィルム中における水酸基を有する化合物の含有率(質量部)を(C)とした場合、0.005≦(C)/(B)≦10であることが好ましく、0.01≦(C)/(B)≦5であることがより好ましく、0.05≦(C)/(B)≦1であることがさらに好ましい。
(C)/(B)を上記下限値以上とすることにより、環状カルボジイミドと水酸基を有する化合物が効率よく反応でき、色味の変化を抑制することができる。また、(C)/(B)を上記上限値以下とすることにより、水酸基を有する化合物を余剰に含むことによる湿熱性に対する強度の悪化を防ぐことが出来る。
<カルボジイミド化触媒>
カルボジイミド化触媒は、環状カルボジイミド由来のイソシアネート基をカルボジイミドに再生することができ、アミノ基へ変性することを抑制することができる。これにより、ポリエステルフィルムが黄変することを抑制することができる。
本発明で用いるカルボジイミド化触媒として用いる触媒は、環状カルボジイミド由来のイソシアネートを十分に環状カルボジイミドに再生することができるものであれば、特に制限されることはない。カルボジイミド化触媒としては、例えば、ホスフィンオキシド、リン酸エステル、ホスホレンオキシド、リン酸アミド、スルホキシド、ピリジンオキシドなどを挙げ挙げることができる。中でも、リン系化合物であることが好ましく、特に、リン系化合物はホスフィンオキシドおよびリン酸エステルから選択されるいずれか1種であることが好ましい。
カルボジイミド化触媒として、ホスフィンオキシドを用いることができる。ホスフィンオキシドは、本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はなく、公知のホスフィンオキシドを用いることができる。
ホスフィンオキシドとしては、以下の一般式(2)で表される化合物またはそのポリマーであることが好ましい。
Figure 2014077091
一般式(2)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基を表す。
1、R2およびR3が表す芳香族炭化水素基は、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基であることが好ましく、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基であることがより好ましく、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基であることがさらに好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。
1、R2およびR3が表す芳香族炭化水素基は、置換基を有さない芳香族炭化水素基であっても、置換基を有する芳香族炭化水素基であってもよい。R1、R2およびR3が表す芳香族炭化水素基が有していることが好ましい置換基としては、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシル基、アミノ基などを挙げることができる。
1、R2およびR3が表す肪族炭化水素基としては、炭素数1〜18のアルキル基または炭素数2〜18のアルケニル基であることが好ましく、炭素数2〜12のアルキル基または炭素数2〜12のアルケニル基であることがより好ましく、炭素数6〜10のアルキル基または炭素数2〜4のアルケニル基であることが特に好ましい。
ホスフィンオキシドがポリマーである場合、上記一般式(2)で表される化合物由来のホスフィンオキシドを含む構造単位を有するポリマーであれば、ポリマーの種類は特に限定されることはない。上記一般式(2)で表される化合物のポリマーとしては、好ましくはポリビニル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系を挙げることができる。
その中でも、上記一般式(2)で表される化合物のポリマーとしては、R1、R2およびR3が表すアルケニル基が重合してポリマー主鎖を形成したポリマーであることが好ましい。R1、R2およびR3が表すアルケニル基が重合してポリマー主鎖を形成したポリマーとしては、例えば、ポリビニルジフェニルホスフィンオキシドなどを好ましく挙げることができる。
上記一般式(2)で表される化合物のポリマーは、上記一般式(2)で表される化合物由来のホスフィンオキシドを有する構造単位以外に、その他の共重合成分を含む共重合体であってもよい。その他の共重合成分としては特に制限はないが、ポリスチレンであることが好ましい。
上記一般式(2)で表される化合物としては、より好ましくはトリフェニルホスフィンオキシド、(2,5−ジヒドロキシフェニル)ジフェニルホスフィンオキシド、トリ−n−オクチルホスフィンオキシド、ポリ(ビニルジフェニルホスフィンオキシド)を挙げることができ、特に好ましくはトリフェニルホスフィンオキシド、トリ−n−オクチルホスフィンオキシド、ポリ(ビニルジフェニルホスフィンオキシド)を挙げることができる。
カルボジイミド化触媒として、リンを含む化合物を用いることができる。リンを含む化合物は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はなく、公知のホスフィンオキシドを用いることができる。リンを含む化合物としては、例えばトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジキシレニルフェニルホスフェート、ヒドロキシノンビスフェノール、レゾルシノールビスホスフェート、ビスフェノールAビスホスフェート、芳香族縮合リン酸エステルなどを挙げることができる。この中でも、トリフェニルホスフェートが好ましい。
カルボジイミド化触媒として、ホスホレンオキシドを用いることができる。ホスホレンオキシドは、本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はなく、公知のホスフィンオキシドを用いることができる。ホスホレンオキシドとしては、例えば1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドや、これらの3−ホスホレン異性体等を挙げることができる。
本発明で用いるカルボジイミド化触媒の分子量または重量平均分子量(Mw)は、流動性の点で、50〜10000の範囲であることが好ましく、150〜8000の範囲であることがより好ましく、250〜3000の範囲であることがさらに好ましい。本発明において、カルボジイミド化触媒のMwは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の値である。
カルボジイミド化触媒がリンを含む化合物である場合、リンを含む化合物の分子量は250以上であることが好ましく、250〜50000であることがより好ましく、270〜30000であることが特に好ましい。
カルボジイミド化触媒の含有率は、ポリエステルに対して、0.001〜5質量%であることが好ましい。カルボジイミド化触媒の含有率は、0.001質量%以上であれば良く、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、カルボジイミド化触媒の含有率は、5質量%以下であれば良く、3質量%以下であれば良く、1質量%以下であることがより好ましい。
カルボジイミド化触媒がリンを含む化合物である場合、リンを含む化合物の含有率は、ポリエステルに対して、0.01〜5質量%であることが好ましい。リンを含む化合物の含有率は、0.01質量%以上であれば良く、0.02質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、カルボジイミド化触媒の含有率は、5質量%以下であれば良く、3質量%以下であれば良く、1質量%以下であることがより好ましい。
カルボジイミド化触媒と反応する化合物またはリンを含む化合物の含有率を上記上限値以下とすることは、得られたポリエステルフィルムのガラス転移温度を高める観点から好ましい。さらに、上記上限値以下とすることで、化合物自体の揮散を抑制することができる。また、上記下限値以上とすることにより、イソシアネート基との反応性を高めることができ、ポリエステルフィルムが黄変することを防ぐことができる。
本発明のポリエステルフィルムにおいては、ポリエステルフィルム中における環状カルボジイミドの含有量(質量部)を(B)とし、ポリエステルフィルム中におけるカルボジイミド化触媒の含有量(質量部)を(C)とした場合、0.005≦(C)/(B)≦10であることが好ましく、0.01≦(C)/(B)≦5であることがより好ましく、0.05≦(C)/(B)≦1であることがさらに好ましい。
カルボジイミド化触媒がリンを含む化合物である場合であって、ポリエステルフィルム中における環状カルボジイミドの含有量(質量部)を(B)とし、ポリエステルフィルム中におけるリンを含む化合物の含有量(質量部)を(C)とした場合、0.05≦(C)/(B)≦10であることが好ましく、0.08≦(C)/(B)≦5であることがより好ましく、0.1≦(C)/(B)≦1であることがさらに好ましい。
(C)/(B)を上記下限値以上とすることにより、環状カルボジイミドとカルボジイミド化触媒が効率よく反応でき、色味の変化を抑制することができる。また、(C)/(B)を上記上限値以下とすることにより、カルボジイミド化触媒を余剰に含むことによる湿熱性に対する強度の悪化を防ぐことが出来る。
なお、カルボジイミド化触媒は公知の方法で合成して用いても良いし、商業的に入手してもよい。
<3量化触媒>
3量化触媒は、環状カルボジイミド由来のイソシアネート基をカルボジイミドに再生することができ、アミノ基へ変性することを抑制することができる。これにより、ポリエステルフィルムが黄変することを抑制することができる。
本発明で用いる3量化触媒として用いる触媒は、環状カルボジイミド由来のイソシアネートを十分に3量化できるものであれば、特に制限されることはない。3量化触媒としては、例えば、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム(オクチル酸カリウム)等の炭素数1〜20の有機カルボン酸アルカリ金属塩、及びN−(2−ヒドロキシプロピル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニウム・オクチル酸塩、N−ヒドロキシアルキル−N,N,N−トリアルキルアンモニウム塩等、特開平9−104734号公報に開示された化合物等の第4級アンモニウム塩触媒や市販品のDabco−TMR、Dabco−TMR−2、ポリキャット41(エアプロダクツ)等を挙げることができる。
3量化触媒の含有率は、ポリエステルに対して、0.001〜5質量%であることが好ましい。3量化触媒の含有率は、0.001質量%以上であれば良く、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、3量化触媒の含有率は、5質量%以下であれば良く、3質量%以下であれば良く、1質量%以下であることがより好ましい。3量化触媒の含有率を上記上限値以下とすることは、得られたポリエステルフィルムのガラス転移温度を高める観点から好ましい。さらに、上記上限値以下とすることで、3量化触媒自体の揮散を抑制することができる。また、3量化触媒の含有率を上記下限値以上とすることにより、イソシアネート基との反応性を高めることができ、ポリエステルフィルムが黄変することを防ぐことができる。
本発明のポリエステルフィルムにおいては、ポリエステルフィルム中における環状カルボジイミドの含有量(質量部)を(B)とし、ポリエステルフィルム中における3量化触媒の含有量(質量部)を(C)とした場合、0.005≦(C)/(B)≦10であることが好ましく、0.01≦(C)/(B)≦5であることがより好ましく、0.05≦(C)/(B)≦1であることがさらに好ましい。
(C)/(B)を上記下限値以上とすることにより、環状カルボジイミドと3量化触媒が効率よく反応でき、色味の変化を抑制することができる。また、(C)/(B)を上記上限値以下とすることにより、3量化触媒を余剰に含むことによる湿熱性に対する強度の悪化を防ぐことが出来る。
(ポリエステルフィルムの製造方法)
以下において、ポリエステルフィルムの製造方法の各工程について詳細に説明する。
<フィルム形成工程>
フィルム形成工程においては、本発明で用いられるポリエステル、環状カルボジイミド化合物およびイソシアネート基と反応する化合物を含む混合物を溶融させた溶融体を冷却固化させることで、未延伸フィルムを製膜することができる。
溶融の際の溶融温度は、120〜350℃であることが好ましく、150〜320℃であることがより好ましく、180〜300℃であることがさらに好ましい。溶融温度を上記範囲内とすることにより、ポリエステル、環状カルボジイミド化合物およびイソシアネート基と反応する化合物の各々の反応性を高めることができる。
溶融体は、ギアポンプや濾過器を通すことが好ましく、濾過器を通った溶融体は、ダイを介して冷却ロールに押出され、冷却固化される。なお、押出された溶融体は、静電印加法を用いて冷却ロールに密着させることができる。この際、冷却ロールの表面温度は、おおよそ10℃〜40℃とすることが好ましい。
<延伸工程>
フィルム形成工程によって形成された未延伸フィルムは、延伸工程において、延伸処理を施すことができる。延伸工程においては、冷却ロールで冷却固化させた未延伸フィルムを1軸方向または2軸方向に延伸することが好ましく、2軸方向に延伸することがより好ましい。2軸方向への延伸(2軸延伸)は、長手方向(MD:Machine Direction)の延伸(以下「縦延伸」ともいう)及び幅方向(TD:Transverse Direction)の延伸(以下、「横延伸」ともいう)であることが好ましい。当該縦延伸、横延伸は各々1回で行っても良く、複数回に亘って実施しても良く、同時に縦、横に延伸してもよい。
延伸処理は、フィルムのガラス温度(Tg)℃〜(Tg+60)℃で行うのが好ましく、より好ましくはTg+3℃〜Tg+40℃、さらに好ましくはTg+5℃〜Tg+30℃である。
好ましい延伸倍率は少なくとも一方に280%〜500%、より好ましくは300%〜480%、さらに好ましくは320%〜460%である。2軸延伸の場合、縦、横均等に延伸してもよいが、一方の延伸倍率を他方より大きくし不均等に延伸するほうがより好ましい。縦(MD)、横(TD)いずれを大きくしてもよい。ここで云う延伸倍率は、以下の式を用いて求めたものである。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/(延伸前の長さ)
2軸延伸処理は、例えば、フィルムのガラス転移温度である(Tg1)℃〜(Tg1+60)℃で長手方向に1回もしくは2回以上、合計の倍率が3倍〜6倍になるよう延伸し、その後、(Tg1)℃〜(Tg+60)℃で幅方向に倍率が3〜5倍になるよう施すことができる。
2軸延伸処理は出口側の周速を速くした2対以上のニップロールを用いて、長手方向に延伸することができ(縦延伸)、フィルムの両端をチャックで把持しこれを直交方向(長手方向と直角方向)に広げておこなうことができる(横延伸)。
延伸工程においては、延伸処理の前又はその後、好ましくは延伸処理後に、フィルムに熱処理を施すことができる。熱処理を施すことによって、微結晶を生成し、力学特性や耐久性を向上させることができる。180℃〜210℃程度(更に好ましく185℃
〜210℃)で1秒間〜60秒間(更に好ましくは2秒間〜30秒間)の熱処理をフィルムに施してもよい。
延伸工程においては、熱処理後、熱緩和処理を施すことができる。熱緩和処理とは、フィルムに対して応力緩和のために熱を加えて、フィルムを収縮させる処理である。熱緩和処理は、フィルムのMD及びTDの両方向に施すことが好ましい。熱緩和処理における諸条件は、熱処理温度より低い温度で処理することが好ましく、130℃〜205℃が好ましい。また、熱緩和処理は、フィルムの熱収縮率(150℃)がMD及びTDがいずれも1〜12%であることが好ましく、1〜10%が更に好ましい。尚、熱収縮率(150℃)は、測定方向350mm、幅50mmのサンプルを切り出し、サンプルの長手方向の両端近傍300mm間隔に標点を付け、150℃の温度に調整されたオーブンに一端を固定、他端をフリーで30分間放置し、その後、室温で標点間距離を測定し、この長さをL(mm)とし、かかる測定値を用いて、下記式にて熱収縮率を求めることができる。
150℃熱収縮率(%)=100×(300−L)/300
また、熱収縮率が正の場合は縮みを、負は伸びを表わす。
以上説明したように、上述の方法によって、黄変が抑制されたポリエステルフィルムを作製することができる。本発明のポリエステルフィルムは、後述するように太陽電池モジュールの保護シート(太陽電池モジュール用バックシート)として好適に用いることができるのみならず、他の用途にも用いることができる。
また、本発明のフィルムは、その上に塗布層を設けた積層体として用いることもできる。
(太陽電池モジュール用バックシート)
本発明の太陽電池モジュール用バックシートは、上述したポリエステルフィルムを含むことを特徴とする。本発明のポリエステルフィルムは、黄変が抑制されているため、を太陽電池モジュール用バックシートに用いた場合であっても、太陽電池モジュール用の意匠性を損ねることがない。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートには、例えば、1軸延伸後及び/又は2軸延伸後のポリエステルフィルムに下記の機能性層を塗設してもよい。塗設には、ロールコート法、ナイフエッジコート法、グラビアコート法、カーテンコート法等の公知の塗布技術を用いることができる。
また、これらの塗設前に表面処理(火炎処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等)を実施してもよい。さらに、粘着剤を用いて貼り合わせることも好ましい。
<易接着性層>
本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池素子が封止剤で封止された電池側基板の該封止剤と向き合う側に、易接着性層を有していることが好ましい。封止剤(特にエチレン−酢酸ビニル共重合体)を含む被着物(例えば太陽電池素子が封止剤で封止された電池側基板の封止剤の表面)に対して接着性を示す易接着性層を設けることにより、バックシートと封止剤との間を強固に接着することができる。具体的には、易接着性層は、特に封止剤として用いられるEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)との接着力が10N/cm以上、好ましくは20N/cm以上であることが好ましい。
さらに、易接着性層は、太陽電池モジュールの使用中にバックシートの剥離が起こらないことが必要であり、そのために易接着性層は高い耐加水分解性を有することが望ましい。易接着層には、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン等のバインダーや、微粒子、架橋剤、添加剤を含有することができる。
本発明における易接着性層の形成方法としては、易接着性を有するポリマーシートをポリエステルフィルムに貼合する方法や塗布による方法があるが、塗布による方法は、簡便でかつ均一性の高い薄膜での形成が可能である点で好ましい。塗布方法としては、例えば、グラビアコーターやバーコーターなどの公知の方法を利用することができる。塗布に用いる塗布液の溶媒には、水を用いても良く、トルエンやメチルエチルケトンのような有機溶媒を用いても良い。溶媒は、1種類を単独で用いても良く、2種類以上を混合して用いても良い。
また、易接着性層を塗布により形成する場合は、熱処理後の乾燥ゾーンにおいて塗布層の乾燥と熱処理を兼ねることが好ましい。なお、後述する反射層(着色層)やその他の機能性層を塗布により形成する場合も同様である。
易接着性層の厚みには特に制限はないが、通常は0.05〜8μmが好ましく、より好ましくは0.1〜5μmの範囲である。易接着性層の厚みは、0.05μm以上であることで必要とする易接着性が得られやすく、8μm以下であることで面状をより良好に維持することができる。
また、本発明における易接着性層は、透明性を有していることが好ましい。
<反射層(着色層)>
本発明のポリエステルフィルムには、反射層(着色層)を設けることができる。着色層は、ポリエステルフィルムの表面に接触させて、あるいは他の層を介して配置される層であり、顔料やバインダーを用いて構成することができる。
着色層の第一の機能は、入射光のうち太陽電池セルで発電に使われずにバックシートに到達した光を反射させて太陽電池セルに戻すことにより、太陽電池モジュールの発電効率を上げることにある。第二の機能は、太陽電池モジュールをオモテ面側から見た場合の外観の装飾性を向上することにある。一般に太陽電池モジュールをオモテ面側から見ると、太陽電池セルの周囲にバックシートが見えており、バックシートに着色層を設けることにより装飾性を向上させることができる。
顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、群青、紺青、カーボンブラック等の無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料が挙げられる。これら顔料のうち、入射する太陽光を反射する反射層として着色層を構成する観点からは、白色顔料が好ましい。白色顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルクなどが好ましい。
着色層に好適なバインダーとしては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン等を用いることができる。バインダーは、耐久性の観点から、アクリル樹脂、ポリオレフィンが好ましい。また、アクリル樹脂として、アクリルとシリコーンとの複合樹脂も好ましい。好ましいバインダーの例として、以下のものが挙げられる。
前記ポリオレフィンの例としては、ケミパールS−120、同S−75N(ともに三井化学(株)製)などが挙げられる。前記アクリル樹脂の例としては、ジュリマーET−410、SEK−301(ともに日本純薬工業(株)製)などが挙げられる。前記アクリルとシリコーンとの複合樹脂の例としては、セラネートWSA1060、WSA1070(ともにDIC(株)製)、H7620、H7630、H7650(ともに旭化成ケミカルズ(株)製)等を挙げることができる。
本発明における着色層には、バインダー及び顔料以外に、必要に応じて、さらに架橋剤、界面活性剤、フィラー等を添加してもよい。
<下塗り層>
本発明のポリエステルフィルムには、下塗り層を設けることができる。下塗り層は、例えば、着色層が設けられるときには、着色層とポリエステルフィルムとの間に下塗り層を設けてもよい。下塗り層は、バインダー、架橋剤、界面活性剤等を用いて構成することができる。
下塗り層中に含有するバインダーとしては、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン等が挙げられる。下塗り層には、バインダー以外にエポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤、アニオン系やノニオン系等の界面活性剤、シリカ等のフィラーなどを添加してもよい。
<防汚層(フッ素系樹脂層・ケイ素系樹脂層)>
本発明のポリエステルフィルムには、フッ素系樹脂層及びケイ素系(Si系)樹脂層の少なくとも一方を防汚層として設けることが好ましい。フッ素系樹脂層やSi系樹脂層を設けることで、ポリエステル表面の汚れ防止、耐候性向上が図れる。具体的には、特開2007−35694号公報、特開2008−28294号公報、WO2007/063698明細書に記載のフッ素樹脂系塗布層を有していることが好ましい。
また、テドラー(DuPont社製)等のフッ素系樹脂フィルムを張り合わせることも好ましい。
[太陽電池モジュール]
本発明の太陽電池モジュールは、本発明のポリエステルフィルムまたは本発明の太陽電池モジュール用バックシートを含むことを特徴とする。
本発明の太陽電池モジュールは、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池素子を、太陽光が入射する透明性の基板と既述の本発明のポリエステルフィルム(太陽電池用バックシート)との間に配置して構成されている。基板とポリエステルフィルムとの間は、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂(いわゆる封止剤)で封止して構成することができる。
太陽電池モジュール、太陽電池セル、バックシート以外の部材については、例えば、「太陽光発電システム構成材料」(杉本栄一監修、(株)工業調査会、2008年発行)に詳細に記載されている。
透明性の基板は、太陽光が透過し得る光透過性を有していればよく、光を透過する基材から適宜選択することができる。発電効率の観点からは、光の透過率が高いものほど好ましく、このような基板として、例えば、ガラス基板、アクリル樹脂などの透明樹脂などを好適に用いることができる。
太陽電池素子としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、銅−インジウム−ガリウム−セレン、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル、ガリウム−砒素などのIII−V族やII−VI族化合物半導体系など、各種公知の太陽電池素子を適用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
[カルボジイミド化合物]
カルボジイミド化合物として、以下の化合物を用いた。なお、環状カルボジイミド(1)は特開2011−258641号公報の実施例に記載の分子量252の化合物であり、特開2011−258641号公報の参考例1に記載の合成方法を参考に合成した。
環状カルボジイミド(2)は特開2011−258641号公報の実施例に記載の分子量516の化合物であり、特開2011−258641号公報の参考例2に記載の合成方法を参考に合成した。
環状カルボジイミド(3)〜(5)はWO2010/071211号公報に記載の化合物であり、WO2010/071211号公報に記載の合成方法を参考に合成した。
Figure 2014077091
以下の構造の本発明の一般式(O−1)または(O−2)で表される環状カルボジイミド化合物を末端封止剤として、各実施例に用いた。
Figure 2014077091
上記の化合物1〜4のカルボジイミド化合物は、以下の方法によって合成した。
[合成例1]
(化合物1の合成)
水400ml、濃塩酸400ml、硝酸ナトリウム0.5モル、硝酸ランタン6水和物5ミリモルを、撹拌装置を取り付けた反応装置に仕込み、カルバクロール0.5モルをエーテル1Lに溶解した溶液を水冷下、1時間かけて滴下した。その後、空冷下で2時間反応させ、クロロホルム1Lで2回抽出し十分に水洗した。得られた有機相を硫酸マグネシウムで脱水した後、濃縮した。その後、カラムクロマトグラフィーにて精製し、カルバクロールのオルトニトロ体を202g得た。
次に上記で得られたニトロ体(0.1mol)と1,2−ジブロモエタン(0.05mol)、炭酸カリウム(0.3mol)、N,N−ジメチルホルムアミド200mlを攪拌装置および加熱装置を設置した反応装置にN2雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物A(ニトロ体)を得た。
次に中間生成物A(0.1mol)と5%パラジウムカーボン(Pd/C)(1g)、エタノール/ジクロロメタン(70/30)200mlを、攪拌装置を設置した反応装置に仕込み、水素置換を5回行い、25℃で水素を常に供給した状態で反応させ、水素の減少がなくなったら反応を終了させた。Pd/Cを回収し、混合溶媒を除去すると中間生成物B(アミン体)を得た。
次に攪拌装置および加熱装置を設置した反応装置に、N2雰囲気下、中間生成物B(0
.025mol)とイミダゾール(0.2mol)、二硫化炭素(0.2mol)、アセトニトリル150mlを仕込んだ。この反応溶液の温度を80℃にし、15時間反応させた。得られたアセトニトリル溶液を濃縮後、カラムクロマトグラフィーで精製することで中間生成物C(チオウレア体)を得た。
次に、攪拌装置を設置した反応装置に、N2雰囲気下、中間生成物C(0.025mol)、塩化パラトルエンスルホニル(0.1mol)、ピリジン50mlを仕込み攪拌した。25℃で3時間反応させた後、メタノール150mlを加え、さらに25℃で1時間攪拌した。その後クロロホルム500mlを加え、十分に水洗した。得られたクロロホルム溶液を硫酸マグネシウムで脱水し濃縮後、カラムクロマトグラフィーで精製することで目的の化合物を得た。構造はNMR、IRで確認した。
1H−NMR(CDCl3) δ(ppm); 1.22(12H)、2.33(6H)、3.41(2H)、4.18(4H)、6.94(4H)
以上の反応により、化合物1を合成した。
[合成例2]
(化合物2の合成)
合成例1で得たニトロ体(0.1mol)とペンタエリスリトールテトラブロミド(0.025mol)、炭酸カリウム(0.3mol)、N,N−ジメチルホルムアミド200mlを攪拌装置および加熱装置を設置した反応装置にN2雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物A(ニトロ体)を得た。
次に中間生成物A(0.02mol)と5%パラジウムカーボン(Pd/C)(1g)、エタノール/ジクロロメタン(70/30)200mlを、攪拌装置を設置した反応装置に仕込み、水素置換を5回行い、25℃で水素を常に供給した状態で反応させ、水素の減少がなくなったら反応を終了させた。Pd/Cを回収し、混合溶媒を除去すると中間生成物B(アミン体)を得た。
次に攪拌装置および加熱装置を設置した反応装置に、N2雰囲気下、中間生成物B(0.015mol)とイミダゾール(0.2mol)、二硫化炭素(0.2mol)、アセトニトリル150mlを仕込んだ。この反応溶液の温度を100℃にし、15時間反応させた。反応後析出した固体をろ過回収し、洗浄することで中間生成物C(チオウレア体)を得た。
次に、攪拌装置を設置した反応装置に、N2雰囲気下、中間生成物C(0.01mol)、塩化パラトルエンスルホニル(0.1mol)、ピリジン50mlを仕込み攪拌した。25℃で3時間反応させた後、メタノール150mlを加え、さらに25℃で1時間攪拌した。その後クロロホルム500mlを加え、十分に水洗した。得られたクロロホルム溶液を硫酸マグネシウムで脱水し濃縮後、カラムクロマトグラフィーで精製することで目的の化合物を得た。構造はNMR、IRで確認した。
以上の反応により、化合物2を合成した。
[合成例3]
(化合物3の合成)
3−ヒドロキシビフェニル171g(1.0mol)をニトロメタン1700mlに溶解し、氷浴で2℃に冷却した後、攪拌しながら発煙硝酸を34ml滴下し、そのまま12時間攪拌した。200mlの水を加え、500mlのクロロホルムで反応性生物を抽出して塩酸水200ml、水100mlで洗浄した後、濃縮した。その後、カラムクロマトグラフィーにて生成し、2−ニトロ−3−ヒドロキシビフェニルを41g(0.3mol)得た。
次に上記で得られたニトロ体(0.1mol)と1,2−ジブロモエタン(0.05mol)、炭酸カリウム(0.3mol)、N,N−ジメチルホルムアミド200mlを攪拌装置および加熱装置を設置した反応装置にN2雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物A(ニトロ体)を得た。
次に中間生成物A(0.1mol)と5%パラジウムカーボン(Pd/C)(1g)、エタノール/ジクロロメタン(70/30)200mlを、攪拌装置を設置した反応装置に仕込み、水素置換を5回行い、25℃で水素を常に供給した状態で反応させ、水素の減少がなくなったら反応を終了させた。Pd/Cを回収し、混合溶媒を除去すると中間生成物B(アミン体)を得た。
次に攪拌装置および加熱装置を設置した反応装置に、N2雰囲気下、中間生成物B(0
.025mol)とイミダゾール(0.2mol)、二硫化炭素(0.2mol)、アセトニトリル150mlを仕込んだ。この反応溶液の温度を80℃にし、15時間反応させた。得られたアセトニトリル溶液を濃縮後、カラムクロマトグラフィーで精製することで中間生成物C(チオウレア体)を得た。
次に、攪拌装置を設置した反応装置に、N2雰囲気下、中間生成物C(0.025mol)、塩化パラトルエンスルホニル(0.1mol)、ピリジン50mlを仕込み攪拌した。25℃で3時間反応させた後、メタノール150mlを加え、さらに25℃で1時間攪拌した。その後クロロホルム500mlを加え、十分に水洗した。得られたクロロホルム溶液を硫酸マグネシウムで脱水し濃縮後、カラムクロマトグラフィーで精製することで目的の化合物を得た。構造はNMR、IRで確認した。
以上の反応により、化合物3を合成した。
[合成例4]
(化合物4の合成)
合成例3で得たニトロ体(0.1mol)とペンタエリスリトールテトラブロミド(0.025mol)、炭酸カリウム(0.3mol)、N,N−ジメチルホルムアミド200mlを攪拌装置および加熱装置を設置した反応装置にN2雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物A(ニトロ体)を得た。
次に中間生成物A(0.02mol)と5%パラジウムカーボン(Pd/C)(1g)、エタノール/ジクロロメタン(70/30)200mlを、攪拌装置を設置した反応装置に仕込み、水素置換を5回行い、25℃で水素を常に供給した状態で反応させ、水素の減少がなくなったら反応を終了させた。Pd/Cを回収し、混合溶媒を除去すると中間生成物B(アミン体)を得た。
次に攪拌装置および加熱装置を設置した反応装置に、N2雰囲気下、中間生成物B(0
.015mol)とイミダゾール(0.2mol)、二硫化炭素(0.2mol)、アセトニトリル150mlを仕込んだ。この反応溶液の温度を100℃にし、15時間反応させた。反応後析出した固体をろ過回収し、洗浄することで中間生成物C(チオウレア体)を得た。
次に、攪拌装置を設置した反応装置に、N2雰囲気下、中間生成物C(0.01mol)、塩化パラトルエンスルホニル(0.1mol)、ピリジン50mlを仕込み攪拌した。25℃で3時間反応させた後、メタノール150mlを加え、さらに25℃で1時間攪拌した。その後クロロホルム500mlを加え、十分に水洗した。得られたクロロホルム溶液を硫酸マグネシウムで脱水し濃縮後、カラムクロマトグラフィーで精製することで目的の化合物を得た。構造はNMR、IRで確認した。
以上の反応により、化合物4を合成した。
(実施例1〜39、比較例1〜5)
実施例1〜39および比較例1〜5のポリエステルフィルムを下記の方法により作製した。カルボジイミド化合物またはイソシアネート基と反応する化合物の種類および添加量は表1の通りとした。
[ポリエステルフィルムの作製]
−工程(A)−
高純度テレフタル酸4.7トンとエチレングリコール1.8トンとを90分間かけて混合してスラリーを形成し、3800kg/hの流量で連続的に第一エステル化反応槽に供給した。次いで、クエン酸がTi金属に配位したクエン酸キレートチタン錯体(「VERTEC AC−420」、ジョンソン・マッセイ社製)のエチレングリコール溶液を連続的に第一エステル化反応槽に供給し、反応槽内温度250℃として攪拌しながら平均滞留時間約4.4時間で反応を行なってオリゴマーを得た。この際、クエン酸キレートチタン錯体は、Ti添加量が元素換算値で9ppmとなるように連続的に添加した。得られたオリゴマーの酸価は500eq/トンであった。
得られたオリゴマーを第二エステル化反応槽に移送し、反応槽内温度250℃・平均滞留時間1.2時間で攪拌して反応させ、酸価が180eq/トンのオリゴマーを得た。第二エステル化反応槽は内部が第1ゾーン〜第3ゾーンまでの3つのゾーンに仕切られており、第2ゾーンから酢酸マグネシウムのエチレングリコール溶液を、Mg添加量が元素換算値で75ppmになるように連続的に供給し、続いて第3ゾーンから、リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液を、P添加量が元素換算値で65ppmになるように連続的に供給した。なお、リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液は、25℃のエチレングリコール液に、25℃のリン酸トリメチル液を加え、25℃で2時間攪拌することにより調製した(溶液中のリン化合物含有量:3.8質量%)。
以上により、エステル化反応生成物を得た。
−工程(B)−
工程(A)で得られたエステル化反応生成物を連続的に第一重縮合反応槽に供給した。次いで、反応温度270℃・反応槽内圧力20torr(2.67×10-3MPa)でエステル化反応生成物を攪拌しながら、平均滞留時間約1.8時間で重縮合(エステル交換反応)させた。
次いで、得られた反応物を、第一重縮合反応槽から第二重縮合反応槽に移送した。その後、反応物を第二重縮合反応槽反応槽において、反応槽内温度276℃・反応槽内圧力5torr(6.67×10-4MPa)で攪拌し、滞留時間約1.2時間の条件で反応(エステル交換反応)させた。
次いで、エステル交換反応によって得られた反応物を、第二重縮合反応槽から、更に第三重縮合反応槽に移送し、この反応槽では、反応槽内温度278℃、反応槽内圧力1.5torr(2.0×10-4MPa)で攪拌しながら、滞留時間1.5時間の条件で反応(エステル交換反応)させ、カルボン酸価:22eq/ton、IV(固有粘度):0.65dl/gの反応物(ポリエチレンテレフタレート(PET))を得た。
更に、回転型真空重合装置を用いて、50Paの減圧下で、得られたPETに210℃で30時間加熱処理を行った。その後、真空重合装置内に、25℃の窒素ガスを流し、ペレットを25℃まで、冷却し、カルボン酸価12eq/ton、IVが0.75dl/gのポリエステル樹脂を得た。
<ポリエステル樹脂の評価>
得られたポリエステル樹脂を用いて、カルボン酸価を以下に示す方法により測定した。
(樹脂の酸価(末端COOH基量))
得られたポリエステル樹脂について、H.A.Pohl,Anal.Chem.26(1954)2145に記載の方法に従って、滴定法にて末端COOH基量を測定した。具体的には、ポリエステル樹脂を、ベンジルアルコールに205℃で溶解し、フェノールレッド指示薬を加え、水酸化ナトリウムの水/メタノール/ベンジルアルコール溶液で滴定を行った。
−押出成形(合成工程・フィルム形成工程)−
得られた上述のポリエステル樹脂を、直径50mmの2軸混練押出し機のホッパーに、主フィーダーで投入し、副フィーダーにカルボジイミド化合物とイソシアネート基と反応する化合物を投入し、それぞれの押出し量が表1となるように計量しながら、樹脂温度の最高到達温度が300℃になるよう溶融して押出した。押出した溶融体(メルト)をギアポンプ及び濾過器(孔径20μm)を通した後、ダイから20℃の冷却ロールに押出し、非晶性シートを得た。なお、押出されたメルトは、静電印加法を用い冷却ロールに密着させた。
イソシアネート基と反応する化合物のうち、水酸基を有する化合物には、以下のもの各々用いた。
化合物A:ポリオキシプロピレントリメチロールプロパン(日本乳化剤製TMP−F32)
化合物B:ポリオキシプロピレンペンタエリスリトールエーテル
化合物C:ポリオキシプロピレンジグリセリンエーテル
化合物D:ペンタエリスリトールテトラキス[3−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製Irg1010)
化合物E:ポリエチレングリコール(和光純薬製、Mw1000)
化合物F:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王社製エマルゲン120)
イソシアネート基と反応する化合物のうち、カルボジイミド化触媒であってリンを含む化合物には、以下のもの各々用いた。なお、各々のリン系化合物の構造を下記に示した。
リン系化合物(1):トリフェニルホスフィンオキシド(関東化学社製、Mw278)
リン系化合物(2):(2,5−ジヒドロキシフェニル)ジフェニルホスフィンオキシド(和光純薬社製、Mw310)
リン系化合物(3):3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド(和光純薬社製Mw192)
リン系化合物(4):トリオクチルホスフィンオキシド(東京化成社製Mw386)
リン系化合物(5):トリフェニルホスフェート(和光純薬社製Mw326)
Figure 2014077091
イソシアネート基と反応する化合物のうち、3量化触媒には、以下のもの各々用いた。
3量化化合物(1):プロピオン酸カリウム
3量化化合物(2):オクチル酸カリウム
3量化化合物(3):ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド
−延伸(2軸延伸工程)−
冷却ロール上に押出し、固化した未延伸フィルムに対し、以下の方法で逐次2軸延伸を施し、厚み250μmのポリエステルフィルムを得た。
<延伸方法>
(a)縦延伸
未延伸フィルムを周速の異なる2対のニップロールの間に通し、縦方向(搬送方向)に延伸した。なお、予熱温度を90℃、延伸温度を90℃、延伸倍率を3.5倍、延伸速度を3000%/秒として実施した。
(b)横延伸
縦延伸した前記フィルムに対し、テンターを用いて下記条件にて横延伸した。
<条件>
予熱温度:100℃
延伸温度:110℃
延伸倍率:4.2倍
延伸速度:70%/秒
−熱固定・熱緩和−
続いて、縦延伸及び横延伸を終えた後の延伸フィルムを下記条件で熱固定した。さらに、熱固定した後、テンター幅を縮め下記条件で熱緩和した。
<熱固定条件>
熱固定温度:198℃
熱固定時間:2秒
<熱緩和条件>
熱緩和温度:195℃
熱緩和率: 5%
−巻き取り−
熱固定及び熱緩和の後、ポリエステルフィルムの両端を10cmずつトリミングした。その後、両端に幅10mmで押出し加工(ナーリング)を行なった後、張力25kg/mで巻き取った。なお、幅は1.5m、巻長は2000mであった。
以上のようにして、実施例1〜39および比較例1〜5のポリエステルフィルムを作製した。
以下の方法で、実施例1〜39および比較例1〜5のポリエステルフィルムを評価し、結果を表1に示した。
−製造適性の評価−
(ガス揮散)
得られたポリエステルフィルムに対して、下記の基準にしたがってフィルム中の揮散成分の量をガスクロマトグラフィ(商品名P&T−GC/MS、日本分光(株)社製)により測定し、以下の基準で評価した。このうち、ランクAおよびBが実用上許容可能な範囲である。得られた結果を下記表1に記載した。
〈条件〉
300℃で10分加熱し、発生したガスを検出した。
〈基準〉
A:カルボジイミド由来の化合物およびイソシアネート化合物は、検出限界以下。
B:カルボジイミド由来の化合物はわずかに検出するが、
イソシアネート化合物は、検出限界以下。
C:カルボジイミド由来のイソシアネート化合物がわずかに検出された。
D:カルボジイミド由来のイソシアネート化合物が顕著に検出された。
−ポリエステルフィルムの耐湿熱性の評価−
耐湿熱性の評価は、破断伸度保持率半減期で評価した。
破断伸度保持率半減期
得られたポリエステルフィルムに対して、120℃、相対湿度100%の条件で保存処理(加熱処理)を行い、保存後のポリエステルフィルムが示す破断伸度(%)が、保存前のポリエステルフィルムが示す破断伸度(%)に対して50%となる保存時間(破断伸度保持率半減期)を測定することで評価した。
破断伸度保持率半減期が長い程、ポリエステルフィルムの耐湿熱性が優れていることを示す。
なお、破断伸度保持率半減期は、150時間以上が実用上必要であり、160時間以上であることが好ましく、170時間以上であることがより好ましい。
−ポリエステルフィルムの耐熱性(着色度合い)の評価−
耐熱性(着色度合い)の評価は、YI値で評価した。
YI値
まず、得られたポリエステルフィルムに対して、日本電色工業(株)製分光式色差計「Spe
ctro Color Meter SE2000」を用いて試料のYI値(YI−1)を測定した。その後、180℃、120時間の条件で保存処理(加熱処理)を行な
った。その後、日本電色工業(株)製分光式色差計「Spectro Color Mete
r SE2000」を用いて、再び試料のYI値(YI−2)を測定した。ΔYI=(YI−2)−(YI−1)を試料の着色の度合いとする。ΔYIは、0.1〜10が実用上許容可能な範囲である。
Figure 2014077091
実施例1〜39では、ポリエステルフィルム中に、環状カルボジイミド化合物とイソシアネート基と反応する化合物を含有しており、イソシアネート基と反応する化合物は、水酸基を有する化合物、カルボジイミド化触媒または3量化触媒である。
表1に示されているように、実施例1〜39では、破断伸度保持率半減期が150以上と長く、かつΔYIが10以下である。すなわち、実施例1〜39では、優れた耐湿熱性を有し、かつ黄変の少ないポリエステルフィルムが得られていることがわかる。
また、実施例6〜19および23〜27では、一般式(O−1)または(O−2)で表される環状カルボジイミド化合物を末端封止剤として用い、イソシアネート基と反応する化合物には水酸基を有する化合物を用いている。
表1に示されているように、実施例6〜19および23〜27では、一般式(O−1)または(O−2)で表される環状カルボジイミド化合物を末端封止剤として用いることにより、より耐湿熱性に優れ、より黄変の少ないポリエステルフィルムが得られていることがわかる。
中でも、実施例13〜19においては、一般式(O−1)または(O−2)で表される環状カルボジイミド化合物の添加率を0.01〜4質量%としている。添加率を0.01〜4質量%とすることにより、破断伸度保持率半減期はより長くなり、ΔYIもより小さな値となっている。実施例13〜19では、環状カルボジイミド化合物の添加率を好適な範囲とすることにより、より耐湿熱性に優れ、より黄変の少ないポリエステルフィルムが得られていることがわかる。
実施例27では、イソシアネート基と反応する化合物として水酸基を有するヒンダートフェノール性の化合物を用いている。このため、実施例27では、破断伸度保持率半減期が200と極めて良好であり、かつΔYIも1と極めて低い値を示している。水酸基を有するヒンダートフェノール性の化合物は、イソシアネート基との反応性が高いため、より耐湿熱性に優れ、より黄変の少ないポリエステルフィルムの形成に寄与することがわかる。
実施例28〜36では、イソシアネート基と反応する化合物として、リン系のカルボジイミド化触媒を用いている。中でも、実施例28、29、31、32では、分子量が250以上のリン系のカルボジイミド化触媒を用いており、この場合、より耐湿熱性に優れ、より黄変の少ないポリエステルフィルムが得られていることがわかる。
さらに、実施例32、34および35では、リン系のカルボジイミド化触媒の添加量を0.02〜4と好ましい範囲にしているため、より耐湿熱性に優れ、より黄変の少ないポリエステルフィルムが得られていることがわかる。
実施例37〜39では、イソシアネート基と反応する化合物として、3量化触媒を用いている。3量化触媒は、イソシアネート基との反応性が高いため、より耐湿熱性に優れ、より黄変の少ないポリエステルフィルムが得られていることがわかる。
一方、比較例1および2では、カルボジイミド化合物として環状カルボジイミドではなくモノカルボジイミドまたはポリカルボジイミドを用いている。特にモノカルボジイミドは、分子量が小さく、揮発性が高いため、比較例1では製造適性が悪い。また、比較例1および2は、破断伸度保持率半減期が短く、ΔYIの値も大きいため、得られたポリエステルフィルムの耐湿熱性は小さく、黄変が起きていることがわかる。
また、比較例3では、カルボジイミド化合物を添加していないため、着色は起きていないが、破断伸度保持率半減期が著しく短い。このため、耐湿熱性が極めて悪いことがわかる。
比較例4では、カルボジイミド化合物としてポリカルボジイミドを用いており、イソシアネート基と反応する化合物を添加していない。このため、ガス揮散が促進されており、比較例4では製造適性が悪い。また、ΔYIの値が大きく、黄変が起きていることがわかる。
また、比較例5では、カルボジイミド化合物として一般式(O−1)または(O−2)で表される環状カルボジイミド化合物を用いているがイソシアネート基と反応する化合物を添加していない。このため、ΔYIの値が大きく黄変を抑制できていないことがわかる。
続いて、実施例1〜39で得られたポリエステルフィルムを用いて、太陽電池モジュール用バックシートおよび太陽電池モジュールを作製した。
[バックシートの作製]
<反射層の形成>
−二酸化チタン分散物の調製−
下記二酸化チタン分散物の組成に示す各成分を混合し、その混合物をダイノミル型分散機により1時間、分散処理を施した。
(二酸化チタン分散物の組成)
・二酸化チタン(白色顔料、体積平均粒子径0.42μm) ・・・39.9部
〔タイペークR−780−2、石原産業社製、固形分100%〕
・ポリビニルアルコール ・・・16.0部
〔PVA−105、(株)クラレ製、固形分:10%〕
・界面活性剤〔デモールEP、花王(株)製、固形分:25%〕 ・・・0.5部
・蒸留水 ・・・51.6部
−反射層形成用塗布液の調製−
下記に示す各成分を混合し、反射層形成用塗布液を調製した。
(反射層形成用塗布液の組成)
・二酸化チタン分散物(白色顔料の分散物) ・・・80.0部
・シラノール変性ポリビニルアルコール ・・・19.2部
〔R1130、クラレ社製、固形分:7%〕
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(界面活性剤) ・・・3.0部
〔ナロアクティーCL95、三洋化成工業社製、固形分:1%〕
・オキサゾリン化合物(架橋剤) ・・・2.0部
〔エポクロスWS−700、日本触媒社製、固形分:25%〕
・蒸留水 ・・・7.8部
−反射層の形成−
得られた第1ポリマー層形成用塗布液を、支持体の一方面に塗布し、180℃で1分間乾燥させて、白色顔料(二酸化チタン)の量が5.5g/m2、厚みが5.5μmの反射層を形成した。
<裏面層の形成>
−顔料分散物の調製−
下記組成中の各成分を混合し、その混合物をダイノミル型分散機により1時間、分散処理を施した。
(顔料分散物の組成)
・二酸化チタン(白色顔料、体積平均粒子径0.42μm) ・・・39.9部
〔タイペークR−780−2、石原産業社製、固形分100%〕
・ポリビニルアルコール ・・・16.0部
〔PVA−105、(株)クラレ製、固形分:10%〕
・界面活性剤〔デモールEP、花王(株)製、固形分:25%〕 ・・・0.5部
・蒸留水 ・・・51.6部
−裏面層形成用塗布液の調製−
下記組成に示す各成分を混合し、裏面層形成用塗布液を調製した。
(裏面層形成用塗布液の組成)
・アクリル/シリコーン系バインダー(シリコーン系樹脂) ・・・362.3部
〔セラネートWSA−1070、DIC社製、固形分:40%〕
・カルボジイミド化合物(架橋剤) ・・・48.3部
〔カルボジライトV−02−L2、日清紡績社製、固形分:40%〕
・界面活性剤 ・・・9.7部
〔ナロアクティーCL95、三洋化成工業社製、固形分:1%〕
・上記顔料分散液 ・・・157.0部
・蒸留水 ・・・422.7部
−裏面層の形成−
得られた裏面層形成用塗布液を支持体1の第1ポリマー層を形成した面の反対面に、シリコーン系樹脂の量が塗布量で3.0g/m2になるように塗布し、180℃で1分間乾燥させて、乾燥厚みが3μmの裏面層を形成した。
<裏面保護層の形成>
−裏面保護層形成用塗布液の調製−
下記組成に示す各成分を混合し、裏面保護層形成用塗布液を調製した。
(裏面保護層形成用塗布液の組成)
・フッ素系バインダー(フッ素系樹脂) ・・・362.3部
〔オブリガートSW0011F、AGCコーテック社製、固形分:40%〕
・カルボジイミド化合物(架橋剤) ・・・24.2部
〔カルボジライトV−02−L2、日清紡績社製、固形分:40%〕
・界面活性剤 ・・・24.2部
〔ナロアクティーCL95、三洋化成工業社製、固形分:1%〕
・蒸留水 ・・・703.8部
−裏面保護層の形成−
得られた裏面保護層形成用塗布液を、裏面層の上に、フッ素系樹脂の量が塗布量で2.0g/m2になるように塗布し、180℃で1分間乾燥させて、乾燥厚み約2μmの裏面保護層を形成した。
上記の方法で、実施例1〜39で得られたポリエステルフィルムの一方の面に反射層、この反対面に裏面層と裏面保護層を形成し、バックシートを作成した。これらのバックシートにおいても、高い破断伸度保持率を得ることができ、良好な耐湿熱性を有することがわかった。また、ΔYIの値も0.1〜10の範囲内であり、良好な耐熱性を有することがわかった。
−太陽電池モジュールの作成−
厚さ3mmの強化ガラスと、EVAシート(三井化学ファブロ(株)製のSC50B)と、結晶系太陽電池セルと、EVAシート(三井化学ファブロ(株)製のSC50B)と、実施例40のバックシートとをこの順に重ね合わせ、真空ラミネータ(日清紡(株)製、真空ラミネート機)を用いてホットプレスすることにより、EVAと接着させた。
上記の方法で、実施例1〜39で得られたポリエステルフィルムを含むバックシートをその反射層を形成した側がEVAシートと接触するように配置した。このようにして、結晶系の太陽電池モジュールを作製した。作製した太陽電池モジュールを発電運転したところ、太陽電池として良好な発電性能を示した。
本発明によれば、優れた耐湿熱性を有し、黄変が抑制されたポリエステルフィルムを得ることができる。このため、本発明のポリエステルフィルムを用いれば、機能性と意匠性に優れた太陽電池モジュール用バックシートおよび太陽電子モジュールを製造することができ、産業上の利用価値が高い。

Claims (22)

  1. ポリエステルと、
    環骨格にカルボジイミド基を1つ含み、その第一窒素と第二窒素が結合基により結合されている環状構造を分子内に少なくとも1つ有する環状カルボジイミド化合物と、
    イソシアネート基と反応する化合物とを含み、
    前記イソシアネート基と反応する化合物が、水酸基を有する化合物、カルボジイミド化触媒および3量化触媒のうち少なくとも1つを含むことを特徴とするポリエステルフィルム。
  2. 前記環状カルボジイミド化合物は下記一般式(O−1)または一般式(O−2)で表されることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルフィルム。
    Figure 2014077091
    (一般式(O−1)中、R1およびR5は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R2〜R4およびR6〜R8は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R1〜R8は互いに結合して環を形成してもよい。X1およびX2は、それぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−NH−または−CH2−を表す。L1は2価の連結基を表す。)
    Figure 2014077091
    (一般式(O−2)中、R11、R15、R21およびR25は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R12〜R14、R16〜R18、R22〜R24およびR26〜R28は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R11〜R28は互いに結合して環を形成してもよい。X11、X12、X21およびX22は、それぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−NH−または−CH2−を表す。L2は4価の連結基を表す。)
  3. 前記一般式(O−1)および(O−2)中、R1およびR5、ならびに、R11、R15、R21およびR25がそれぞれ独立に2級もしくは3級アルキル基、または、アリール基を表すことを特徴とする請求項2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 前記一般式(O−1)中、R2およびR6がともに水素原子であることを特徴とする請求項2または3に記載のポリエステルフィルム。
  5. 前記ポリエステルに対する前記環状カルボジイミドの含有率を(B)とし、前記ポリエステルに対する前記イソシアネート基と反応する化合物の含有率を(C)とした場合、0.005≦(C)/(B)≦10であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
  6. 前記イソシアネート基と反応する化合物が、水酸基を有する化合物または3量化触媒を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
  7. 前記水酸基を有する化合物が1分子内に3つ以上の水酸基を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
  8. 前記水酸基は、フェノール性水酸基であることを特徴とする請求項7に記載のポリエステルフィルム。
  9. 前記フェノール性水酸基がヒンダードフェノール性水酸基であることを特徴とする請求項8に記載のポリエステルフィルム。
  10. 前記1分子内に3つ以上の水酸基を有する化合物がペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)]であることを特徴とする請求項7に記載のポリエステルフィルム。
  11. 前記3量化触媒がプロピオン酸カリウム、オクチル酸カリウムまたはステアリルトリメチルアンモニウムブロマイドであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
  12. 前記カルボジイミド化触媒がリンを含む化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
  13. 前記リンを含む化合物の分子量が250以上であることを特徴とする請求項12に記載のポリエステルフィルム。
  14. 前記リンを含む化合物がホスフィンオキシドまたはリン酸エステルであることを特徴とする請求項12または13に記載のポリエステルフィルム。
  15. 前記ポリエステルに対する前記環状カルボジイミドの含有率を(B)とし、前記ポリエステルに対する前記リンを含む化合物の含有率を(C)とした場合、0.05≦(C)/(B)≦10であることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
  16. 熱処理前のポリエステルフィルムの黄色度を(YI‐1)とし、180℃120時間熱処理した後のポリエステルフィルムの黄色度(YI‐2)とし、(YI‐2)―(YI‐1)で表される黄色変度をΔYIとしたときに、0.1≦ΔYI≦10であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
  17. ポリエステルと、環骨格にカルボジイミド基を1つ含み、その第一窒素と第二窒素が結合基により結合されている環状構造を分子内に少なくとも1つ有する環状カルボジイミド化合物と、イソシアネート基と反応する化合物とを含む混合物を溶融して製膜する工程を含み、
    前記イソシアネート基と反応する化合物が、水酸基を有する化合物、カルボジイミド化触媒および3量化触媒のうち少なくとも1つを含むことを特徴とするポリエステルフィルムの製造方法。
  18. 前記溶融の際の溶融温度は、120〜350℃であることを特徴とする請求項17に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  19. 前記ポリエステルに対する前記環状カルボジイミドの添加率を(B)とし、前記ポリエステルに対する前記イソシアネート基と反応する化合物の添加率を(C)とした場合、0.005≦(C)/(B)≦10であることを特徴とする請求項17または18に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  20. 請求項17〜19のいずれか1項の製造方法により製造したポリエステルフィルム。
  21. 請求項1〜16および請求項20のいずれか1項に記載のポリエステルフィルムを用いた太陽電池モジュール用バックシート。
  22. 請求項21に記載の太陽電池モジュール用バックシートを用いた太陽電池モジュール。
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