JP2014074851A - 焦点検出装置および撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学系の焦点検出を適切に行なうことができる焦点検出装置を提供すること。
【解決手段】第1圧縮度で圧縮された画像信号から前記光学系による像面のずれ量に対応する像ずれ信号を取得し、検出可能な周波数帯域が最も高い第1フィルタを除く複数のフィルタのなかから、取得した像ずれ信号に適した周波数帯域を検出可能なフィルタを選択して、選択したフィルタによりフィルタ処理された像ずれ信号に基づいて、ずれ量を検出し、光学系の焦点状態が合焦範囲を含む合焦位置近傍にあると判定され、かつ、ずれ量を検出した際に用いられたフィルタが、検出可能な周波数帯域が2番目に高い第2フィルタであった場合には、第1圧縮度よりも圧縮度合いの低い第2圧縮度で圧縮した画像信号、または圧縮がされていない画像信号から光学系による像面のずれ量に対応する像ずれ信号を取得し、検出可能な周波数帯域が最も高い第1フィルタによりフィルタ処理された像ずれ信号に基づいて、ずれ量を検出することを特徴とする焦点検出装置。
【選択図】 図1
【解決手段】第1圧縮度で圧縮された画像信号から前記光学系による像面のずれ量に対応する像ずれ信号を取得し、検出可能な周波数帯域が最も高い第1フィルタを除く複数のフィルタのなかから、取得した像ずれ信号に適した周波数帯域を検出可能なフィルタを選択して、選択したフィルタによりフィルタ処理された像ずれ信号に基づいて、ずれ量を検出し、光学系の焦点状態が合焦範囲を含む合焦位置近傍にあると判定され、かつ、ずれ量を検出した際に用いられたフィルタが、検出可能な周波数帯域が2番目に高い第2フィルタであった場合には、第1圧縮度よりも圧縮度合いの低い第2圧縮度で圧縮した画像信号、または圧縮がされていない画像信号から光学系による像面のずれ量に対応する像ずれ信号を取得し、検出可能な周波数帯域が最も高い第1フィルタによりフィルタ処理された像ずれ信号に基づいて、ずれ量を検出することを特徴とする焦点検出装置。
【選択図】 図1
Description
本発明は、焦点検出装置および撮像装置に関する。
従来より、撮影光学系による像を撮像するための撮像素子に、結像光学系の異なる領域を通過した光束を受光する焦点検出用の画素を混在させて、該焦点検出用の画素の出力を用いて、撮影光学系の焦点状態の検出を行う技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来技術では、撮像素子からの出力を用いて焦点状態の検出をするための演算を行うため、演算に用いるデータ量が多くなり、そのため、演算負荷が大きいという問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、光学系の焦点検出を適切に行なうことができる焦点検出装置を提供することにある。
本発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。なお、以下においては、本発明の実施形態を示す図面に対応する符号を付して説明するが、この符号は本発明の理解を容易にするためだけのものであって発明を限定する趣旨ではない。
[1]本発明の焦点検出装置は、光学系(31,32,33)による像を撮像し、撮像した像に対応する画像信号を生成し、生成した画像信号を出力する撮像部(22)と、
所定の第1圧縮度で圧縮した画像信号、前記第1圧縮度よりも圧縮度合いの低い第2圧縮度で圧縮した画像信号、または圧縮がされていない画像信号の生成をするように前記撮像部を制御する撮像制御部(21)と、前記撮像部により出力された画像信号に基づいて、位相差を用いて、前記光学系による像面のずれ量を検出することで、前記光学系の焦点状態を検出する焦点検出部(21)と、前記光学系の焦点状態が、合焦位置近傍にあるか否かを判断する判断部(21)と、検出可能な周波数帯域が所定周波数帯域の第1フィルタと、検出可能な周波数帯域が前記第1フィルタよりも低い周波数である第2フィルタと、検出可能な周波数帯域が前記第2フィルタよりも低い周波数である第3フィルタとを有するフィルタ部(21)とを備え、前記焦点検出部は、前記第1圧縮度で圧縮された画像信号から前記光学系による像面のずれ量に対応する像ずれ信号を取得し、前記複数のフィルタのうち、前記第1フィルタを除く複数のフィルタのなかから、前記取得した像ずれ信号に適した周波数帯域を検出可能なフィルタを選択して、選択したフィルタによりフィルタ処理された像ずれ信号に基づいて、前記ずれ量を検出し、前記判断部により、前記光学系の焦点状態が前記合焦位置近傍にあると判断され、かつ、前記焦点検出部によって前記ずれ量を検出した際に用いられたフィルタが、前記第2フィルタであった場合には、前記第2圧縮度で圧縮された画像信号、または圧縮がされていない画像信号から前記光学系による像面のずれ量に対応する像ずれ信号を取得し、前記フィルタ部の前記複数のフィルタのうち、前記第1フィルタを選択して、前記第1フィルタによりフィルタ処理された像ずれ信号に基づいて、前記ずれ量を検出することを特徴とする。
所定の第1圧縮度で圧縮した画像信号、前記第1圧縮度よりも圧縮度合いの低い第2圧縮度で圧縮した画像信号、または圧縮がされていない画像信号の生成をするように前記撮像部を制御する撮像制御部(21)と、前記撮像部により出力された画像信号に基づいて、位相差を用いて、前記光学系による像面のずれ量を検出することで、前記光学系の焦点状態を検出する焦点検出部(21)と、前記光学系の焦点状態が、合焦位置近傍にあるか否かを判断する判断部(21)と、検出可能な周波数帯域が所定周波数帯域の第1フィルタと、検出可能な周波数帯域が前記第1フィルタよりも低い周波数である第2フィルタと、検出可能な周波数帯域が前記第2フィルタよりも低い周波数である第3フィルタとを有するフィルタ部(21)とを備え、前記焦点検出部は、前記第1圧縮度で圧縮された画像信号から前記光学系による像面のずれ量に対応する像ずれ信号を取得し、前記複数のフィルタのうち、前記第1フィルタを除く複数のフィルタのなかから、前記取得した像ずれ信号に適した周波数帯域を検出可能なフィルタを選択して、選択したフィルタによりフィルタ処理された像ずれ信号に基づいて、前記ずれ量を検出し、前記判断部により、前記光学系の焦点状態が前記合焦位置近傍にあると判断され、かつ、前記焦点検出部によって前記ずれ量を検出した際に用いられたフィルタが、前記第2フィルタであった場合には、前記第2圧縮度で圧縮された画像信号、または圧縮がされていない画像信号から前記光学系による像面のずれ量に対応する像ずれ信号を取得し、前記フィルタ部の前記複数のフィルタのうち、前記第1フィルタを選択して、前記第1フィルタによりフィルタ処理された像ずれ信号に基づいて、前記ずれ量を検出することを特徴とする。
[2]本発明の焦点検出装置において、合焦状態であるか否かを判定する合焦判定部(21)をさらに有し、前記合焦判定部が、一度、前記焦点検出部(21)により、前記ずれ量の検出が前記第1フィルタを用いて行われた後、再度、前記焦点検出部により、前記ずれ量の検出が前記第1フィルタを用いて行われるまで、合焦判定を行わないように構成することができる。
[3]本発明の焦点検出装置において、前記撮像制御部(21)が、前記撮像部(22)に備えられた光電変換素子の出力を加算する処理、または前記光電変換素子の出力を間引く処理により、前記撮像部に、圧縮された画像信号の生成を行わせるように構成することができる。
[4]本発明に係る撮像装置は、上記焦点検出装置を備えることを特徴とする。
本発明によれば、光学系の焦点検出を適切に行なうことができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ1を示す要部構成図である。本実施形態のデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、カメラ本体2とレンズ鏡筒3から構成され、これらカメラ本体2とレンズ鏡筒3はマウント部4により着脱可能に結合されている。
レンズ鏡筒3は、カメラ本体2に着脱可能な交換レンズである。図1に示すように、レンズ鏡筒3には、レンズ31,32,33、および絞り34を含む撮影光学系が内蔵されている。
レンズ32は、フォーカスレンズであり、光軸L1方向に移動することで、撮影光学系の焦点距離を調節可能となっている。フォーカスレンズ32は、レンズ鏡筒3の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ35によってその位置が検出されつつフォーカスレンズ駆動モータ36によってその位置が調節される。なお、エンコーダ35で検出されたフォーカスレンズ32の現在位置情報は、レンズ制御部37を介して後述するカメラ制御部21へ送出され、フォーカスレンズ駆動モータ36は、この情報に基づいて演算されたフォーカスレンズ32の駆動位置が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより駆動する。
絞り34は、上記撮影光学系を通過して撮像素子22に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り34による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより行われる。また、カメラ本体2に設けられた操作部28によるマニュアル操作により、設定された開口径がカメラ制御部21からレンズ制御部37に入力される。絞り34の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部37で現在の開口径が認識される。
レンズ制御部37は、カメラ制御部21とマウント部4に設けられた電気信号接点部41により電気的に接続され、カメラ制御部21からの指令に基づき、フォーカスレンズ32の駆動、絞り34による開口径の調節などを行なうとともに、フォーカスレンズ32の位置、絞り34の開口径などのレンズ情報をカメラ制御部21に送信する。
一方、カメラ本体2には、上記撮影光学系からの光束L1を受光する撮像素子22が、撮影光学系の予定焦点面に設けられ、その前面にシャッター23が設けられている。撮像素子22はCCDやCMOSなどのデバイスから構成され、受光した光信号を電気信号に変換してカメラ制御部21に送出する。カメラ制御部21に送出された撮影画像情報は、逐次、液晶駆動回路25に送出されて観察光学系の電子ビューファインダ(EVF)26に表示されるとともに、操作部28に備えられたレリーズボタン(不図示)が全押しされた場合には、その撮影画像情報が、記録媒体であるカメラメモリ24に記録される。なお、カメラメモリ24は着脱可能なカード型メモリや内蔵型メモリの何れをも用いることができる。撮像素子22の構造の詳細は後述する。
カメラ本体2には、撮像素子22で撮像される像を観察するための観察光学系が設けられている。本実施形態の観察光学系は、液晶表示素子からなる電子ビューファインダ(EVF)26と、これを駆動する液晶駆動回路25と、接眼レンズ27とを備えている。液晶駆動回路25は、撮像素子22で撮像され、カメラ制御部21へ送出された撮影画像情報を読み込み、これに基づいて電子ビューファインダ26を駆動する。これにより、ユーザは、接眼レンズ27を通して現在の撮影画像を観察することができる。なお、光軸L2による上記観察光学系に代えて、または、これに加えて、液晶ディスプレイをカメラ本体2の背面等に設け、この液晶ディスプレイに撮影画像を表示させることもできる。
カメラ本体2にはカメラ制御部21が設けられている。カメラ制御部21は、マウント部4に設けられた電気信号接点部41によりレンズ制御部37と電気的に接続され、このレンズ制御部37からレンズ情報を受信するとともに、レンズ制御部37へデフォーカス量や絞り開口径などの情報を送信する。また、カメラ制御部21は、上述したように撮像素子22から画素出力を読み出すとともに、読み出した画素出力について、必要に応じて所定の情報処理を施すことにより画像情報を生成し、生成した画像情報を、電子ビューファインダ26の液晶駆動回路25やカメラメモリ24に出力する。また、カメラ制御部21は、撮像素子22からの画像情報の補正やレンズ鏡筒3の焦点調節状態、絞り調節状態などを検出するなど、カメラ1全体の制御を司る。
また、カメラ制御部21は、上記に加えて、撮像素子22から読み出した画素データに基づき、位相検出方式による撮影光学系の焦点状態の検出、およびコントラスト検出方式による撮影光学系の焦点状態の検出を行う。なお、具体的な焦点状態の検出方法については、後述する。
操作部28は、シャッターレリーズボタンや、動画撮影開始スイッチなどの撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチであり、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換や、オードフォーカスモードの中でも、ワンショットモード/コンティニュアスモードの切換が行えるようになっている。この操作部28により設定された各種モードはカメラ制御部21へ送出され、当該カメラ制御部21によりカメラ1全体の動作が制御される。また、シャッターレリーズボタンは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。
次に、本実施形態に係る撮像素子22について説明する。
図2は、撮像素子22の撮像面を示す正面図、図3は、図2の焦点検出画素列22a付近を拡大して焦点検出画素222a,222bの配列を模式的に示す正面図である。
本実施形態の撮像素子22は、図3に示すように、複数の撮像画素221が、撮像面の平面上に二次元的に配列され、緑色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する緑画素Gと、赤色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する赤画素Rと、青色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する青画素Bがいわゆるベイヤー配列(Bayer Arrangement)されたものである。すなわち、隣接する4つの画素群223(稠密正方格子配列)において一方の対角線上に2つの緑画素が配列され、他方の対角線上に赤画素と青画素が1つずつ配列されている。このベイヤー配列された画素群223を単位として、当該画素群223を撮像素子22の撮像面に二次元状に繰り返し配列することで撮像素子22が構成されている。
なお、単位画素群223の配列は、図示する稠密正方格子以外にも、たとえば稠密六方格子配列にすることもできる。また、カラーフィルタの構成や配列はこれに限定されることはなく、補色フィルタ(緑:G、イエロー:Ye、マゼンタ:Mg,シアン:Cy)の配列を採用することもできる。
図4(A)は、撮像画素221の一つを拡大して示す正面図、図4(D)は断面図である。一つの撮像画素221は、マイクロレンズ2211と、光電変換部2212と、図示しないカラーフィルタから構成され、図4(D)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2212が造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2211が形成されている。光電変換部2212は、マイクロレンズ2211により撮影光学系の射出瞳(たとえばF1.0)を通過する撮像光束を受光する形状とされ、撮像光束を受光する。
また、撮像素子22の撮像面には、上述した撮像画素221に代えて焦点検出画素222a,222bが配列された5つの焦点検出画素列22a〜22eが設けられている。そして、図3に示すように、一つの焦点検出画素列は、複数の焦点検出画素222aおよび222bが、互いに隣接して交互に、横一列に配列されて構成されている。本実施形態においては、焦点検出画素222aおよび222bは、ベイヤー配列された撮像画素221の緑画素Gと青画素Bとの位置にギャップを設けることなく密に配列されている。
なお、図2に示す焦点検出画素列22a〜22eの位置は図示する位置にのみ限定されず、何れか一箇所、二箇所、三箇所、あるいは四箇所とすることもでき、また、六箇所以上の位置に配置することもできる。また、図3においては、16個の焦点検出画素222a,222bにより、焦点検出画素列を構成する例を示しているが、焦点検出画素列を構成する焦点検出画素の数は、この例に限定されるものではない。
図4(B)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す正面図、図4(E)は、焦点検出画素222aの断面図である。また、図4(C)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す正面図、図4(F)は、焦点検出画素222bの断面図である。焦点検出画素222aは、図4(B)に示すように、マイクロレンズ2221aと、半円形状の光電変換部2222aとから構成され、図4(E)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2222aが造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2221aが形成されている。また、焦点検出画素222bは、図4(C)に示すように、マイクロレンズ2221bと、光電変換部2222bとから構成され、図4(F)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2222bが造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2221bが形成されている。そして、これら焦点検出画素222aおよび222bは、図3に示すように、互いに隣接して交互に、横一列に配列されることにより、図2に示す焦点検出画素列22a〜22cを構成する。
なお、焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bは、マイクロレンズ2221a,2221bにより撮影光学系の射出瞳の所定の領域(たとえばF2.8)を通過する光束を受光するような形状とされる。また、焦点検出画素222a,222bにはカラーフィルタは設けられておらず、その分光特性は、光電変換を行うフォトダイオードの分光特性と、図示しない赤外カットフィルタの分光特性を総合したものとなっている。ただし、撮像画素221と同じカラーフィルタのうちの一つ、たとえば緑フィルタを備えるように構成することもできる。
また、図4(B)、図4(C)に示す焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bは半円形状としたが、光電変換部2222a,2222bの形状はこれに限定されず、他の形状、たとえば、楕円形状、矩形状、多角形状とすることもできる。
ここで、上述した焦点検出画素222a,222bの画素出力に基づいて撮影光学系の焦点状態を検出する、いわゆる位相差検出方式について説明する。
図5は、図3のV-V線に沿う断面図であり、撮影光軸L1近傍に配置され、互いに隣接する焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2が、射出瞳350の測距瞳351,352から照射される光束AB1−1,AB2−1,AB1−2,AB2−2をそれぞれ受光していることを示している。なお、図5においては、複数の焦点検出画素222a,222bのうち、撮影光軸L1近傍に位置するもののみを例示して示したが、図5に示す焦点検出画素以外のその他の焦点検出画素についても、同様に、一対の測距瞳351,352から照射される光束をそれぞれ受光するように構成されている。
ここで、射出瞳350とは、撮影光学系の予定焦点面に配置された焦点検出画素222a,222bのマイクロレンズ2221a,2221bの前方の距離Dの位置に設定された像である。距離Dは、マイクロレンズの曲率、屈折率、マイクロレンズと光電変換部との距離などに応じて一義的に決まる値であって、この距離Dを測距瞳距離と称する。また、測距瞳351,352とは、焦点検出画素222a,222bのマイクロレンズ2221a,2221bにより、それぞれ投影された光電変換部2222a,2222bの像をいう。
なお、図5において焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2の配列方向は一対の測距瞳351,352の並び方向と一致している。
また、図5に示すように、焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2のマイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2は、撮影光学系の予定焦点面近傍に配置されている。そして、マイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2の背後に配置された各光電変換部2222a−1,2222b−1,2222a−2,2222b−2の形状が、各マイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2から測距距離Dだけ離れた射出瞳350上に投影され、その投影形状は測距瞳351,352を形成する。
すなわち、測距距離Dにある射出瞳350上で、各焦点検出画素の光電変換部の投影形状(測距瞳351,352)が一致するように、各焦点検出画素におけるマイクロレンズと光電変換部の相対的位置関係が定められ、それにより各焦点検出画素における光電変換部の投影方向が決定されている。
図5に示すように、焦点検出画素222a−1の光電変換部2222a−1は、測距瞳351を通過し、マイクロレンズ2221a−1に向う光束AB1−1によりマイクロレンズ2221a−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、焦点検出画素222a−2の光電変換部2222a−2は測距瞳351を通過し、マイクロレンズ2221a−2に向う光束AB1−2によりマイクロレンズ2221a−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
また、焦点検出画素222b−1の光電変換部2222b−1は測距瞳352を通過し、マイクロレンズ2221b−1に向う光束AB2−1によりマイクロレンズ2221b−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、焦点検出画素222b−2の光電変換部2222b−2は測距瞳352を通過し、マイクロレンズ2221b−2に向う光束AB2−2によりマイクロレンズ2221b−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
そして、上述した2種類の焦点検出画素222a,222bを、図3に示すように直線状に複数配置し、各焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bの出力を、測距瞳351と測距瞳352とのそれぞれに対応した出力グループにまとめることにより、測距瞳351と測距瞳352とのそれぞれを通過する焦点検出光束が焦点検出画素列上に形成する一対の像の強度分布に関するデータが得られる。次いで、この一対の像の強度分布データに対し、フィルタ処理を行ない、フィルタ処理後データを算出する。
ここで、本実施形態においては、一対の像の強度分布データに対応する被写体の空間周波数に対応するように、検波周波数帯域(すなわち、検出可能な周波数帯域)の異なる複数の検波フィルタをカメラ制御部21に記憶している。すなわち、カメラ制御部21は、低周波被写体から高周波被写体まで、あらゆる被写体の空間周波数に対応できるように、検波周波数帯域の異なる複数の検波フィルタを記憶しており、本実施形態では、検波周波数帯域の異なる検波フィルタを3つ以上記憶しており、たとえば、検波周波数帯域の高い方から順に、第1フィルタf1、第2フィルタf2、第3フィルタf3、第4フィルタf4、第5フィルタf5の5つのフィルタが記憶されているような態様とすることができるが、特にこれに限定されるものではない。
そして、本実施形態では、上記にて得られた一対の像の強度分布データに対し、検波周波数帯域の異なる複数の検波フィルタのうちから、1つの検波フィルタを選択し、選択した検波フィルタを用いて、フィルタ処理を行なうことで、フィルタ処理後データを算出する。なお、検波フィルタの選択方法については後述する。そして、得られたフィルタ処理後データに対して、像ズレ検出演算処理(相関演算処理)を施すことにより、いわゆる位相差検出方式によるデフォーカス量を算出する。
具体的には、カメラ制御部21は、各焦点検出画素222aから読み出され、次いで、フィルタ処理することにより得られたフィルタ処理後第1像データ列a1,a2,...,anと、各焦点検出画素222bから読み出され、次いで、フィルタ処理することにより得られたフィルタ処理後第2像データ列b1,b2,...bnとを、一次元状に相対的にシフトさせながら、下記式(1)に示す相関演算を行う。
C(k)=Σ|a(n+k)−b(n)| …(1)
なお、上記式(1)において、Σ演算はnについての累積演算(相和演算)を示し、像ずらし量kに応じてa(n+k)、b(n)のデータが存在する範囲に限定される。また、像ずらし量kは整数であり、各焦点検出画素222a,222bの画素間隔を単位としたシフト量である。なお、上記式(1)の演算結果においては、一対の像データの相関が高いシフト量において、相関量C(k)は極小(小さいほど相関度が高い)になる。
C(k)=Σ|a(n+k)−b(n)| …(1)
なお、上記式(1)において、Σ演算はnについての累積演算(相和演算)を示し、像ずらし量kに応じてa(n+k)、b(n)のデータが存在する範囲に限定される。また、像ずらし量kは整数であり、各焦点検出画素222a,222bの画素間隔を単位としたシフト量である。なお、上記式(1)の演算結果においては、一対の像データの相関が高いシフト量において、相関量C(k)は極小(小さいほど相関度が高い)になる。
次いで、カメラ制御部21は、算出した相関量C(k)に基づいて、相関量の極小値を算出する。本実施形態では、たとえば、以下の下記式(2)〜(5)に示す3点内挿の手法を用いて、連続的な相関量に対する極小値C(x)と、極小値C(x)を与えるシフト量xを算出し、これを像ズレ量とする。なお、下記式に示すC(kj)は、上記式(1)で得られた相関量C(k)のうち、C(k−1)≧C(k)およびC(k+1)>C(k)の条件を満たす値である。
D={C(kj−1)−C(kj+1)}/2 …(2)
C(x)= C(kj)−|D| …(3)
x=kj+D/SLOP …(4)
SLOP=MAX{C(kj+1)−C(kj),C(kj−1)−C(kj)} …(5)
D={C(kj−1)−C(kj+1)}/2 …(2)
C(x)= C(kj)−|D| …(3)
x=kj+D/SLOP …(4)
SLOP=MAX{C(kj+1)−C(kj),C(kj−1)−C(kj)} …(5)
そして、カメラ制御部21は、相関量の極小値C(x)が得られるシフト量xに基づいて、下記式(6)に従い、デフォーカス量dfを算出する。なお、上記式(6)において、kは、相関量の極小値C(x)が得られるシフト量xをデフォーカス量に変換するための変換係数(kファクター)である。
df=x・k …(6)
df=x・k …(6)
また、カメラ制御部21は、撮像素子22の撮像画素221の出力を読み出し、読み出した画素出力に基づき、焦点評価値の演算を行う。この焦点評価値は、たとえば撮像素子22の撮像画素221からの画像出力の高周波成分を、高周波透過フィルタを用いて抽出し、これを積算することで求めることができる。また、遮断周波数が異なる2つの高周波透過フィルタを用いて高周波成分を抽出し、それぞれを積算することでも求めることができる。
そして、カメラ制御部21は、レンズ制御部37に制御信号を送出してフォーカスレンズ32を所定のサンプリング間隔(距離)で駆動させ、それぞれの位置における焦点評価値を求め、該焦点評価値が最大となるフォーカスレンズ32の位置を合焦位置として求める、コントラスト検出方式による焦点検出を実行する。なお、この合焦位置は、たとえば、フォーカスレンズ32を駆動させながら焦点評価値を算出した場合に、焦点評価値が、2回上昇した後、さらに、2回下降して推移した場合に、これらの焦点評価値を用いて、内挿法などの演算を行うことで求めることができる。
次いで、本実施形態におけるカメラ1の動作例を、図6に示すフローチャートに沿って説明する。なお、以下における動作は、カメラ1の電源がオンされることにより開始される。
まず、ステップS1では、カメラ制御部21によるスルー画像の生成、および観察光学系の電子ビューファインダ26による、スルー画像の表示が開始される。具体的には、カメラ制御部21が、撮像素子22に露光動作を行わせるための信号を送信し、これにより撮像素子22の露光動作が実行される。なお、この際において、カメラ制御部21は、撮像素子22に、図3に示す複数の撮像画素221の画素データおよび複数の焦点検出画素222a,222bの画素データのうち、一部を間引いて、カメラ制御部21に送信するように指令する。すなわち、撮像素子22は、図3に示す複数の撮像画素221の画素データおよび複数の焦点検出画素222a,222bのうち、一部の画素の画素データのみを間引いて読み出し、カメラ制御部21には、一部が間引かれた画素データが出力される。たとえば、焦点検出画素222a,222bを例示して説明すると、図3中において、焦点検出画素222a,222bが、交互に16個並んでいる構成となっているが、2個おきに間引きを行い、合計8個の焦点検出画素222a,222bからの画素データのみを、カメラ制御部21に出力するような構成とすることができる。また、この場合においては、撮像画素221についても、同様に縦方向において2個おきに間引きを行うことができる。
あるいは、ステップS1においては、カメラ制御部21は、図3に示す複数の撮像画素221の画素データおよび複数の焦点検出画素222a,222bの全ての画素の画素データをカメラ制御部21に送信するように指令し、カメラ制御部21は、全ての画素の画素データを取得して、カメラ制御部21により、一部の画素の画素データのみを間引くような構成としてもよい。
あるいは、ステップS1においては、カメラ制御部21は、図3に示す複数の撮像画素221の画素データおよび複数の焦点検出画素222a,222bの全ての画素の画素データをカメラ制御部21に送信するように指令し、カメラ制御部21は、全ての画素の画素データを取得して、カメラ制御部21により、一部の画素の画素データのみを間引くような構成としてもよい。
そして、カメラ制御部21は、読み出したデータに基づきスルー画像を生成し、生成されたスルー画像は液晶駆動回路25に送出され、観察光学系の電子ビューファインダ26に表示される。そして、これにより、接眼レンズ27を介して、ユーザは被写体の動画を視認することが可能となる。なお、このような画素データの生成・出力、スルー画像の生成、およびスルー画像の表示は、所定の間隔で繰り返し実行される。
ステップS2では、カメラ制御部21により、位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理が開始される。本実施形態では、位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理は、次のように行なわれる。すなわち、まず、カメラ制御部21により、撮像素子22の5つの焦点検出画素列22a〜22dを構成する各焦点検出画素222a,222bの画素データから一対の像に対応した一対の像データ(一対の像の強度分布に関するデータ)を生成する。なお、この際においては、上述したように、撮像素子21から出力される画素データは、所定の割合で間引かれたものであるため、間引かれた画素データを用いる。
あるいは、ステップS1において、カメラ制御部21により、全ての画素の画素データを取得して、カメラ制御部21により、一部の画素の画素データのみを間引くような構成とした場合には、カメラ制御部21は、この間引かれた画素データを用いて、一対の像データを生成する。
あるいは、ステップS1において、カメラ制御部21により、全ての画素の画素データを取得して、カメラ制御部21により、一部の画素の画素データのみを間引くような構成とした場合には、カメラ制御部21は、この間引かれた画素データを用いて、一対の像データを生成する。
そして、カメラ制御部21は、カメラ制御部21に記憶されている検波周波数帯域の異なる複数の検波フィルタのうち、検波周波数帯域が最も高い検波フィルタを除いた複数の検波フィルタのうち、生成した一対の像データに適した検波フィルタの選択を行う。ここで、一例として、カメラ制御部21に、検波周波数帯域の異なる複数の検波フィルタとして、検波周波数帯域の高い方から順に、第1フィルタf1、第2フィルタf2、第3フィルタf3、第4フィルタf4、第5フィルタf5の5つのフィルタが記憶されている場合を例示して説明すると、検波周波数帯域が最も高い検波フィルタである第1フィルタf1を除いた第2〜第5フィルタf2〜f5から、生成した一対の像データに適した検波フィルタを選択する処理がなされる。なお、以下においては、これら第1〜第5フィルタf1〜f5を備えている場合を例示して説明を行う。
また、第2〜第5フィルタf2〜f5から、生成した一対の像データに適した検波フィルタを選択する方法としては、たとえば、生成した一対の像データに含まれる周波数成分に応じて選択する方法などが挙げられる。すなわち、この方法においては、たとえば、生成した一対の像データに含まれる周波数成分の周波数帯域が高いほど、検波周波数帯域の高い検波フィルタが選択され、一方、生成した一対の像データに含まれる周波数成分の周波数帯域が低いほど、検波周波数帯域の低い検波フィルタが選択されることとなる。
次いで、カメラ制御部21は、第2〜第5フィルタf2〜f5のなかから、選択された検波フィルタを用いて、生成した一対の像データについてフィルタ処理を行い、フィルタ処理後データに基づいて像ズレ検出演算処理(相関演算処理)を実行する。具体的には、カメラ制御部21は、フィルタ処理後データに基づいて、上述した方法にしたがって像ズレ量を演算し、さらに像ズレ量をデフォーカス量に変換することで、デフォーカス量を算出する。
そして、このような第1フィルタf1以外の検波フィルタを用いたデフォーカス量の検出処理は、所定の間隔で繰り返し実行される。
ステップS3では、カメラ制御部21により、操作部28に備えられたシャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたかどうかの判断が行なわれる。第1スイッチSW1がオンした場合はステップS6に進む。一方、第1スイッチSW1がオンしていない場合は、第1スイッチSW1がオンされるまで、ステップS5を繰り返す。すなわち、第1スイッチSW1がオンされるまで、スルー画像の生成・表示、および位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理が繰り返し実行される。
ステップS4では、カメラ制御部21によって、位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理により、デフォーカス量の算出ができたか否かの判定が行なわれる。デフォーカス量が算出できた場合には、測距可能と判断して、ステップS5に進む。一方、デフォーカス量が算出できなかった場合には、測距不能と判断して、ステップS13に進む。そして、ステップS13において、第1スイッチSW1がオンされてから予め定められた所定時間tが経過したと判断された場合には、ステップS16に進み、非合焦処理がされ、所定時間tが経過していない場合には、ステップS4に戻る。なお、本実施形態においては、デフォーカス量の算出ができた場合でも、算出されたデフォーカス量の信頼性が低い場合には、デフォーカス量の算出ができなかったものとして扱い、ステップS13に進むこととする。本実施形態においては、たとえば、被写体のコントラストが低い場合、被写体が超低輝度被写体である場合、あるいは被写体が超高輝度被写体である場合などにおいて、デフォーカス量の信頼性が低いと判断される。また、ステップS16で行われる非合焦処理としては、たとえば、非合焦を示す表示を、電子ビューファインダ26に表示するとともに、フォーカスレンズ32を予め定められた所定の位置に駆動させることにより実行される。
ステップS5では、位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理により算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ33の駆動を開始させる処理が行われる。具体的には、カメラ制御部21により、位相差検出方式により算出されたデフォーカス量から、フォーカスレンズ33を合焦位置まで駆動させるのに必要となるレンズ駆動量の算出が行なわれ、算出されたレンズ駆動量が、レンズ制御部36を介して、レンズ駆動モータ36に送出される。そして、レンズ駆動モータ36は、カメラ制御部21により算出されたレンズ駆動量に基づいて、フォーカスレンズ33を合焦位置まで駆動させる。なお、本実施形態においては、レンズ駆動モータ36を駆動させ、フォーカスレンズ33を合焦位置まで駆動させている間においても、カメラ制御部21は、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出を繰り返し行っているため、その結果、新たなデフォーカス量が算出された場合には、カメラ制御部21は、新たなデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ33を駆動させる。
ステップS6では、カメラ制御部21により、位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理により算出されたデフォーカス量に基づいて、光学系の焦点状態が、所定の第1合焦範囲Dα内にあるか否かの判定が行われる。光学系の焦点状態が、第1合焦範囲Dα内にあると判定された場合には、ステップS7に進む。一方、光学系の焦点状態が、第1合焦範囲Dα内にないと判定された場合には、ステップS14に進む。そして、ステップS14において、第1スイッチSW1がオンされてから予め定められた所定時間tが経過したと判断された場合には、ステップS16に進み、非合焦処理がされ、所定時間tが経過していない場合には、ステップS6に戻る。なお、第1合焦範囲Dαは、合焦範囲を含む合焦位置近傍、たとえば、被写界深度あるいは焦点深度の2倍の範囲とすることができる。
次いで、ステップS7では、直前に行った位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理が、検波フィルタとして、第2フィルタf2(すなわち、カメラ制御部21に記憶されている複数の検波フィルタのうち、検波周波数帯域が2番目に高い検波フィルタ)を使用して行われたか否かの判定が行われる。検波フィルタとして、第2フィルタf2を使用して位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理が行われた場合には、ステップS8に進む。一方、第2フィルタf2以外の検波フィルタ、すなわち、第3〜第5フィルタf3〜f5(すなわち、第2フィルタf2よりも検波周波数帯域が低い検波フィルタ)を使用して位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理が行われた場合には、ステップ12に進む。そして、ステップS12において、合焦したとの判定がなされ、合焦ロック(フォーカスレンズ32の駆動を禁止する処理)が行なわれる。なお、この際においては、電子ビューファインダ26により、合焦表示を行なうような構成としてもよい。また、第2フィルタf2以外の検波フィルタ、すなわち、第3〜第5フィルタf3〜f5を使用して位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理が行われた場合には、光学系の焦点状態が、第1合焦範囲Dαよりも、より狭い範囲である第3合焦範囲Dγ内となった後に、合焦ロックを行うような構成としてもよい。ここで、第3合焦範囲Dγとしては、たとえば、被写界深度あるいは焦点深度以下の範囲(被写界深度あるいは焦点深度の1倍以下の範囲)とすることができる。
なお、本実施形態において、ステップS7にて、直前に行った位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理が、検波フィルタとして、第2フィルタf2を使用して行われたと判定された場合には、デフォーカス量の検出の対象となる主要被写体が、空間周波数が高い高周波成分を有する被写体である可能性が高いと考えられる。そのため、本実施形態においては、このような場合には、以下に説明するように、検波周波数帯域が最も高い検波フィルタである第1フィルタf1を用いて、位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理を行う。
すなわち、まず、ステップS8において、カメラ制御部21は、撮像素子22に、図3に示す複数の撮像画素221の画素データおよび複数の焦点検出画素222a,222bの全ての画素の画素データを、カメラ制御部21に送信するように指令する。すなわち、ステップS8においては、カメラ制御部21は、撮像素子22に、図3に示す複数の撮像画素221の画素データおよび複数の焦点検出画素222a,222bの画素データのうち、一部を間引いた画素データを出力させていたのに対し、全ての画素の画素データを出力するように指令する。そして、ステップS8以降において、全ての画素の画素データを生成・出力する処理が、スルー画像の生成、およびスルー画像の表示とともに、所定の間隔で繰り返し実行される。
次いで、ステップS9に進み、ステップS9では、カメラ制御部21により、第1フィルタf1(すなわち、カメラ制御部21に記憶されている複数の検波フィルタのうち、検波周波数帯域が最も高い検波フィルタ)を用いたデフォーカス量の検出処理が開始される。すなわち、ステップS9においては、第1フィルタf1以外の検波フィルタを用いたデフォーカス量の検出処理を終了し、第1フィルタf1を用いたデフォーカス量の検出処理が開始される。なお、第1フィルタf1を用いたデフォーカス量の検出処理は、第2〜第5フィルタf2〜f5の代わりに、第1フィルタf1を用いる以外は、第1フィルタf1以外の検波フィルタを用いたデフォーカス量の検出処理と同様にして行われる。また、この際においては、上述したように、撮像素子21から出力される画素データは、間引かれていない全ての画素の画素データであるため、図3に示す複数の焦点検出画素222a,222bの画素データから一対の像に対応した一対の像データを生成する際には、焦点検出画素222a,222bの画素データとして、間引かれていない全ての画素データを用いる。そして、ステップS9以降においては、第1フィルタf1を用いたデフォーカス量の検出処理が、所定の間隔で繰り返し実行される。
次いで、ステップS10では、カメラ制御部21により、第1フィルタf1を用いたデフォーカス量の検出処理により算出されたデフォーカス量に基づいて、光学系の焦点状態が、所定の第2合焦範囲Dβ内にあるか否かの判定が行われる。光学系の焦点状態が、第2合焦範囲Dβ内にあると判定された場合には、ステップS7に進む。一方、光学系の焦点状態が、第2合焦範囲Dβ内にないと判定された場合には、ステップS15に進む。そして、ステップS15において、第1スイッチSW1がオンされてから予め定められた所定時間tが経過したと判断された場合には、ステップS16に進み、非合焦処理がされ、所定時間tが経過していない場合には、ステップS10に戻る。なお、第2合焦範囲Dβは、たとえば、被写界深度あるいは焦点深度以下の範囲(被写界深度あるいは焦点深度の1倍以下の範囲)とすることができる。
次いで、ステップS11では、カメラ制御部21により、第1フィルタf1を用いたデフォーカス量の検出処理が2回以上実行されたか否かの判定が行われる。第1フィルタf1を用いたデフォーカス量の検出処理が2回以上実行された場合には、ステップS12に進み、ステップS12において、合焦したとの判定がなされ、合焦ロックが行われる。一方、第1フィルタf1を用いたデフォーカス量の検出処理が1回しか行われていない場合には、ステップS10に戻る。すなわち、本実施形態においては、デフォーカス量の検出の対象となる主要被写体が、空間周波数が高い高周波成分を有する被写体である場合には、第1フィルタf1を用いたデフォーカス量の検出処理により、デフォーカス量の検出精度が向上することが期待できる。そのため、本実施形態では、第1フィルタf1を用いたデフォーカス量の検出処理が1回しか行われていない場合には、該検出処理の結果に基づくフォーカスレンズ32の駆動が行われ、再度、第1フィルタf1を用いたデフォーカス量の検出処理を行った後(すなわち、ステップS11=Yes)に、合焦したとの判定を行う。
以上のように、本実施形態に係るカメラ1は動作する。
本実施形態においては、位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理を行う際に、図3に示す複数の焦点検出画素222a,222bの画素データのうち、一部が間引かれた画素データを用いて一対の像データを生成し、さらに、一対の像データについて、検波フィルタを用いてフィルタ処理する際に、検波周波数帯域が最も高い検波フィルタである第1フィルタf1以外の検波フィルタ、すなわち、第2〜第5フィルタf2〜f5を用いる(上述したステップS1、S2参照)。そして、本実施形態によれば、位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理を行う際には、図3に示す複数の焦点検出画素222a,222bの画素データのうち、一部が間引かれた画素データを用いるため、位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理に要する演算負荷を低減することができ、さらには、検波周波数帯域が最も高い検波フィルタである第1フィルタf1を用いないことにより、ノイズ成分などの高周波数成分が誤検出されてしまうことを有効に防止することができる。特に、空間周波数が比較的低い低周波被写体を検出する際には、焦点検出画素222a,222bの画素データのうち、一部を間引いた画素データを用いた場合でも、良好に検出できるため、一部を間引いた画素データを用いた場合でも、高精度に焦点状態の検出を行うことができる。
加えて、本実施形態においては、第1フィルタf1以外の検波フィルタを用いて、位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理を行った際に、光学系の焦点状態が、第1合焦範囲Dα内であり、かつ、検波フィルタとして、第2フィルタf2を使用して行われた場合(上述したステップS6,S7参照)には、デフォーカス量の検出の対象となる主要被写体が、空間周波数が高い高周波被写体である可能性が高いため、焦点検出画素222a,222bの画素データとして、間引かれていない全ての画素データを用いるとともに、検波フィルタとして、検波周波数帯域が最も高い検波フィルタである第1フィルタf1を用いて、位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理を行う(上述したステップS8,S9参照)。そして、本実施形態によれば、焦点検出画素222a,222bの画素データとして、間引かれていない全ての画素データを用いることで、空間周波数が比較的高い高周波被写体に対応する対の像データを適切に取得することができ、しかも、高周波被写体に適した検波フィルタを用いてフィルタ処理を行うため、高周波被写体についても、良好に検出でき、この場合でも、高精度に焦点状態の検出を行うことができる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
たとえば、上述した実施形態においては、第1フィルタf1以外の検波フィルタを用いて、位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理を行う際に、焦点検出画素222a,222bについて、2個おきに画素データの間引きを行い、2個おきに間引かれた画素データを用いる例を示したが(上述のステップS1参照)、たとえば、4個おきに画素データの間引きを行い、4個おきに間引かれた画素データを用いるような態様としてもよい。さらに、このような場合においては、第1フィルタf1を用いて、位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理を行う際において、焦点検出画素222a,222bについて、画素データの間引きを行わずに、間引かれていない画素データを用いる例を示したが(上述のステップS8参照)、たとえば、2個おきに画素データの間引きを行い、2個おきに間引かれた画素データを用いるような態様とすることができる。
なお、この場合において、カメラ制御部21により、全ての画素の画素データを取得して、カメラ制御部21により、一部の画素の画素データのみを間引くような構成とする場合においても、同様に、間引き数を変更するような構成とすることができる。
なお、この場合において、カメラ制御部21により、全ての画素の画素データを取得して、カメラ制御部21により、一部の画素の画素データのみを間引くような構成とする場合においても、同様に、間引き数を変更するような構成とすることができる。
また、上述した実施形態においては、第1フィルタf1以外の検波フィルタを用いて、位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理を行う際に、焦点検出画素222a,222bについて、画素データの間引きを行う例を示したが(上述のステップS1参照)、画素データの間引きに代えて、画素データを加算する処理を行うことで、画素データを圧縮するような態様としてもよい。そして、この場合においては、第1フィルタf1を用いて、位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理においては、加算する処理が行われていない画素データを用いてもよいし、あるいは、第1フィルタf1以外の検波フィルタを用いて、位相差検出方式によるデフォーカス量の検出を行う場合と比較して、加算度合いの低い(圧縮度合いの低い)態様で加算する処理がされた画素データを用いるような態様とすることができる。
なお、この場合においても、カメラ制御部21は、図3に示す複数の撮像画素221の画素データおよび複数の焦点検出画素222a,222bの全ての画素の画素データをカメラ制御部21に送信するように指令し、カメラ制御部21は、全ての画素の画素データを取得して、カメラ制御部21により、画素データを加算する処理するような態様とすることができる。
なお、この場合においても、カメラ制御部21は、図3に示す複数の撮像画素221の画素データおよび複数の焦点検出画素222a,222bの全ての画素の画素データをカメラ制御部21に送信するように指令し、カメラ制御部21は、全ての画素の画素データを取得して、カメラ制御部21により、画素データを加算する処理するような態様とすることができる。
さらに、上述した実施形態では、第1フィルタf1以外の検波フィルタを用いて、位相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理を行う際に、焦点検出画素222a,222bの画素データから一対の像に対応した一対の像データ(一対の像の強度分布に関するデータ)を生成し、生成した像データに適した検波フィルタを、第2〜第5フィルタf2〜f5のうちから選択し、選択した検波フィルタのみを用いて、一対の像データについてフィルタ処理を行うような態様を例示したが、たとえば、次のような態様としてもよい。すなわち、たとえば、生成した像データについて、第2〜第5フィルタf2〜f5のそれぞれを用いてフィルタ処理を行い、フィルタ処理後データを4個算出し、算出した4個のフィルタ処理後データに対して、像ズレ検出演算処理(相関演算処理)を施すことで、4個のデフォーカス量を算出する。そして、相関演算処理における演算結果等から、第2〜第5フィルタf2〜f5から、対応する被写体に適した検波周波数帯域を有する検波フィルタを選択し、選択された検波フィルタを用いて得られたデフォーカス量を、最終的なデフォーカス量として決定するような態様としてもよい。
また、上述した実施形態では、カメラ制御部21に、第1〜第5フィルタf1〜f5を記憶しているような態様とし、これらの検波フィルタを用いて、相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理を行うような態様としたが、第1〜第5フィルタf1〜f5に加えて、検波周波数帯域が第1フィルタf1よりも低く、第2フィルタf2よりも高い第6フィルタf6をさらに備えるような構成としてもよい。そして、この場合には、まず、第1フィルタf1、第6フィルタf6を除いた検波フィルタ、すなわち、第2〜第5フィルタf2〜f5を用いて、相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理を行い、光学系の焦点状態が、第1合焦範囲Dα内であり、かつ、検波フィルタとして、第2フィルタf2を使用して行われた場合には、第1フィルタf1および第6フィルタf6のうちいずれかを用いて、相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理を行うような態様としてもよい。なお、この場合において、第1フィルタf1および第6フィルタf6のうちいずれかを用いて、相差検出方式によるデフォーカス量の検出処理を行う際には、第2〜第5フィルタf2〜f5を用いる場合と同様に、第1フィルタf1および第6フィルタf6のうち、生成した一対の像データに適した検波フィルタを選択して用いるような態様とすればよい。
1…デジタルカメラ
2…カメラ本体
21…カメラ制御部
22…撮像素子
221…撮像画素
222a,222b…焦点検出画素
3…レンズ鏡筒
32…フォーカスレンズ
36…フォーカスレンズ駆動モータ
37…レンズ制御部
2…カメラ本体
21…カメラ制御部
22…撮像素子
221…撮像画素
222a,222b…焦点検出画素
3…レンズ鏡筒
32…フォーカスレンズ
36…フォーカスレンズ駆動モータ
37…レンズ制御部
Claims (4)
- 光学系による像を撮像し、撮像した像に対応する画像信号を生成し、生成した画像信号を出力する撮像部と、
所定の第1圧縮度で圧縮した画像信号、前記第1圧縮度よりも圧縮度合いの低い第2圧縮度で圧縮した画像信号、または圧縮がされていない画像信号の生成をするように前記撮像部を制御する撮像制御部と、
前記撮像部により出力された画像信号に基づいて、位相差を用いて、前記光学系による像面のずれ量を検出することで、前記光学系の焦点状態を検出する焦点検出部と、
前記光学系の焦点状態が、合焦位置近傍にあるか否かを判断する判断部と、
検出可能な周波数帯域が所定周波数帯域の第1フィルタと、検出可能な周波数帯域が前記第1フィルタよりも低い周波数である第2フィルタと、検出可能な周波数帯域が前記第2フィルタよりも低い周波数である第3フィルタとを有するフィルタ部とを備え、
前記焦点検出部は、前記第1圧縮度で圧縮された画像信号から前記光学系による像面のずれ量に対応する像ずれ信号を取得し、前記複数のフィルタのうち、前記第1フィルタを除く複数のフィルタのなかから、前記取得した像ずれ信号に適した周波数帯域を検出可能なフィルタを選択して、選択したフィルタによりフィルタ処理された像ずれ信号に基づいて、前記ずれ量を検出し、
前記判断部により、前記光学系の焦点状態が前記合焦位置近傍にあると判断され、かつ、前記焦点検出部によって前記ずれ量を検出した際に用いられたフィルタが、前記第2フィルタであった場合には、前記第2圧縮度で圧縮された画像信号、または圧縮がされていない画像信号から前記光学系による像面のずれ量に対応する像ずれ信号を取得し、前記フィルタ部の前記複数のフィルタのうち、前記第1フィルタを選択して、前記第1フィルタによりフィルタ処理された像ずれ信号に基づいて、前記ずれ量を検出することを特徴とする焦点検出装置。 - 請求項1に記載の焦点検出装置において、
合焦状態であるか否かを判定する合焦判定部をさらに有し、
前記合焦判定部は、一度、前記焦点検出部により、前記ずれ量の検出が前記第1フィルタを用いて行われた後、再度、前記焦点検出部により、前記ずれ量の検出が前記第1フィルタを用いて行われるまで、合焦判定を行わないことを特徴とする焦点検出装置。 - 請求項1または2に記載の焦点検出装置において、
前記撮像制御部は、前記撮像部に備えられた光電変換素子の出力を加算する処理、または前記光電変換素子の出力を間引く処理により、前記撮像部に、圧縮された画像信号の生成を行わせることを特徴とする焦点検出装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の焦点検出装置を備えた撮像装置。
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