JP2014070255A - 金属平板粒子分散液とその製造方法および熱線遮蔽材 - Google Patents

金属平板粒子分散液とその製造方法および熱線遮蔽材 Download PDF

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Abstract

【課題】遮熱性能に優れる熱線遮蔽材を製造することができる金属平板粒子分散液の提供。
【解決手段】金属平板粒子を含み、前記金属平板粒子の一次粒子の平均粒径と、該一次粒子が凝集してできた二次粒子の平均粒径との比(二次粒子粒径/一次粒子粒径)が1.0〜3.0であり、pHが5〜10であり、前記金属平板粒子の含有量が22g/L以下であることを特徴とする金属平板粒子分散液。
【選択図】図2

Description

本発明は、金属平板粒子分散液とその製造方法および熱線遮蔽材に関する。より詳しくは、遮熱性能に優れる熱線遮蔽材を製造することができる金属平板粒子分散液とその製造方法および該金属平板粒子分散液を用いて製造される熱線遮蔽材に関する。
近年、二酸化炭素削減のための省エネルギー施策の一つとして、自動車や建物の窓に対する熱線遮蔽性付与材料が開発されている。熱線遮蔽性(日射熱取得率)の観点からは、吸収した光の室内への再放射(吸収した日射エネルギーの約1/3量)がある熱線吸収型より、再放射がない熱線反射型が望ましく、様々な提案がなされている。
例えば、特許文献1には、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子を60個数%以上有し、前記六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の主平面が前記金属粒子含有層の一方の表面に対して平均0°〜±30°の範囲で面配向している熱線遮蔽材により、反射波長選択性および反射帯域選択性が高く、可視光線透過性および電波透過性に優れた熱線反射型の熱線遮蔽材が提供できると記載されている。特許文献1では、塗布膜中の金属平板粒子の配向状態は規定しているが、金属平板粒子の分散液の状態や分散液中の銀平板粒子の状態は規定がなかった。例えば特許文献1の実施例には金属平板粒子分散液を合成した後、遠心分離して上澄み除去後、水を添加することのみが記載されており、再分散工程の条件についてはほとんど記載されていなかった。また、特許文献1には金属平板粒子の一次粒子径について言及があるものの、二次粒径については記載がなかった。
微粒子の分散状態を検討した例として、特許文献2にはポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン化合物からなる顔料微粒子の二次粒径の一次粒径に対する比(二次粒径/一次粒径)を規定して二次凝集を抑制する方法が記載されている。しかしながら、特許文献2で用いられている顔料微粒子は金属粒子ではなく、顔料以外の粒子について言及されていなかった。また、特許文献2に記載の方法では顔料のビルドアップ時に二次粒径の一次粒径に対する比を制御して二次凝集を抑制しており、特許文献1のように特定形状の粒子を合成した後の粒子を遠心分離後に再分散させるときに二次粒径の一次粒径に対する比を制御することについては言及がなかった。
特開2011−118347号公報 特開2011−68837号公報
本発明者らが特許文献1の実施例に記載の方法で金属平板粒子の分散液を調製したところ、分散性は良好ではないことがわかった。また、そのような分散状態があまり良好ではない金属平板粒子分散液から作製した熱線遮蔽材は、熱線遮蔽能(熱線反射率)が低くなってしまうことがわかった。
本発明が解決しようとする課題は、遮熱性能に優れる熱線遮蔽材を製造することができる金属平板粒子分散液を提供することにある。
上述の課題を解決するために本発明者らが鋭意検討したところ、二次粒径の一次粒径に対する比、pHおよび金属平板粒子の含有量が特定の範囲である、良好な分散状態の金属平板粒子分散液から作製した金属平板粒子塗布膜は優れた熱線遮蔽性を発揮することを見出し、遮熱性能に優れる熱線遮蔽材を製造することができる金属平板粒子分散液を提供できることを見出すに至った。
前記課題を解決するための具体的な手段である本発明は、以下のとおりである。
[1] 金属平板粒子を含み、前記金属平板粒子の一次粒子の平均粒径と、該一次粒子が凝集してできた二次粒子の平均粒径との比(二次粒子粒径/一次粒子粒径)が1.0〜3.0であり、pHが5〜10であり、前記金属平板粒子の含有量が22g/L以下であることを特徴とする金属平板粒子分散液。
[2] [1]に記載の金属平板粒子分散液は、前記金属平板粒子が、少なくとも銀を含むことが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の金属平板粒子分散液は、さらにゼラチンを含むことが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれか一項に記載された金属平板粒子分散液を用いて形成された金属粒子含有層を有することを特徴とする熱線遮蔽材。
[5] [4]に記載の熱線遮蔽材は、前記金属粒子含有層における前記金属平板粒子のRMS粒状度が15以下であることが好ましい。
本発明によれば、遮熱性能に優れる熱線遮蔽材を製造することができる金属平板粒子分散液を提供することができる。
図1は、二次粒子の平均粒径を測定する動的光散乱装置の構成の概略図である。 図2は、実施例1の熱線遮蔽材のSEM画像である。 図3Aは、実施例1の熱線遮蔽材のRMSパッチ処理前の画像である。 図3Bは、実施例1の熱線遮蔽材のRMSパッチ処理後の画像である。 図3Cは、実施例1の熱線遮蔽材のRMSパッチ処理後の画像から算出したヒストグラムを示した図である。 図4は、本発明の熱線遮蔽材の一例を示す概略図である。 図5Aは、本発明の熱線遮蔽材の他の一例を示す概略図である。 図5Bは、本発明の熱線遮蔽材の他の一例を示す概略図である。 図5Cは、本発明の熱線遮蔽材の他の一例を示す概略図である。 図6Aは、本発明の熱線遮蔽材に含まれる平板粒子の形状の一例を示した概略斜視図であって、円形状の平板状金属粒子を示す。 図6Bは、本発明の熱線遮蔽材に含まれる平板粒子の形状の一例を示した概略斜視図であって、六角形状の平板状金属粒子を示す。 図7Aは、本発明の熱線遮蔽材において、金属平板粒子を含む金属粒子含有層の存在状態を示した概略断面図であって、金属平板粒子を含む金属粒子含有層(基材の平面とも平行)と金属平板粒子の主平面(円相当径Dを決定する面)とのなす角度(θ)を説明する図を示す。 図7Bは、本発明の熱線遮蔽材において、金属平板粒子を含む金属粒子含有層の存在状態を示した概略断面図であって、金属粒子含有層の熱線遮蔽材の深さ方向における金属平板粒子の存在領域を示す図である。 図7Cは、本発明の熱線遮蔽材において、金属平板粒子を含む金属粒子含有層の存在状態の一例を示した概略断面図である。 図7Dは、本発明の熱線遮蔽材において、金属平板粒子を含む金属粒子含有層の存在状態の他の一例を示した概略断面図である。 図7Eは、本発明の熱線遮蔽材において、金属平板粒子を含む金属粒子含有層の存在状態の他の一例を示した概略断面図である。 図8は、各実施例および比較例の金属平板粒子分散液に含まれる金属平板粒子の二次粒径の一次粒径に対する比と、熱線遮蔽材に含まれる金属平板粒子のRMS粒状度との相関性を示した散布図である。
以下、本発明の熱線遮蔽材について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[金属平板粒子分散液]
本発明の金属平板粒子分散液は、金属平板粒子を含み、前記金属平板粒子の一次粒子の平均粒径と、該一次粒子が凝集してできた二次粒子の平均粒径との比(二次粒子粒径/一次粒子粒径)が1.0〜3.0であり、pHが5〜10であり、前記金属平板粒子の含有量が22g/L以下であることを特徴とする。
このような構成により、本発明の金属平板粒子分散液を用いると、遮熱性能に優れる熱線遮蔽材を製造することができる。
以下、本発明の金属平板粒子分散液の好ましい態様について説明する。
<金属平板粒子>
本発明の金属平板粒子分散液は、金属平板粒子を含み、前記金属平板粒子の一次粒子の平均粒径と、該一次粒子が凝集してできた二次粒子の平均粒径との比(二次粒子粒径/一次粒子粒径)が1.0〜3.0である。
(金属平板粒子の形状)
−一次粒子の平均粒径−
本発明の金属平板粒子分散液に含まれる金属平板粒子の一次粒子の平均粒径は70nm〜500nmが好ましく、100nm〜400nmがより好ましい。前記平均粒径が、70nm以上であると、銀平板粒子の吸収の寄与が反射の寄与より小さくなるため十分な熱線反射能が得られ、500nm以下であると、ヘイズ(散乱)が小さくなる。前記金属平板粒子の平均粒径が前記より好ましい範囲内であると、透過スペクトルのピーク波長の点で有利である。
前記一次粒子の平均粒径(円相当径、円相当直径と同義)とは特に断らない限り、JIS Z 8901に規定される投影面積円相当径として顕微鏡を用いて測定して求めた値の平均値を意味する。本明細書中においては、具体的にはTEMで粒子を観察して得た像から任意に選んだ200個の平板粒子の主平面直径(最大長さ)の平均値を意味する。
−二次粒子の平均粒径−
また本発明の金属平板粒子分散液に含まれる金属平板粒子の二次粒子の平均粒径は、一次粒子の平均粒径の1.0〜3.0倍であり、1.0〜2.8倍であることが好ましく、1.0〜2.5倍であることがより好ましい。この範囲外の平均粒径では一次粒子の分散性が不安定化して、一次粒子が凝集してしまうことがある。
上記二次粒子の平均粒径に関する測定とは特に断らない限り、金属平板粒子濃度1g/L〜50g/Lの金属平板粒子分散液をマッハツェンダー型干渉計と低コヒーレンス光源とを有する動的光散乱測定装置を用いて測定した値を意味する。具体的には、前記低コヒーレンス光源から発せられた光を二つに分割する手段と、前記分割された光の一方は参照光とされ、他方が粒子を含有する媒体を介して散乱光とされ、前記両光を結合する手段とを有する動的光散乱測定装置により測定することが好ましい。
図1は、マッハツェンダー型の干渉計を用いた本発明に用いることができる動的光散乱測定装置の一実施態様を概略的に示す装置構成図である。この動的光散乱測定装置10の光源には、低コヒーレンス光源(SLD;Super Luminescent Diode)1を用いている。F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7は光ファイバ(光伝播路)である。3は光カプラー(光分岐機構)である。6a、6b、6cはコリメーターレンズ(光伝播経路におけるファイバ中と空気中との接合器)である。7は位相変調器(変調器)である。2はサーキュレーター(光ファイバF3から来た光を光ファイバF4に抜き、光ファイバF4から入った光を光ファイバF6へ導く。光路変換機)である。12は対物レンズ(集光機)である。Sは媒体s2中に粒子s1を含有する散乱媒体試料である。4は光カプラー(光結合機構)である。5はバランス検出器(検出器)である。CはBNCケーブル(電気ケーブル)である。8はA/Dボード(電気信号読取部)である。9はPC(データ処理、解析部)である。
本実施態様において採用されるSLD光源1の光の波長は特に限定されないが、例えば0.125〜2μmであることが好ましく、0.250〜1.5μmであることがより好ましい。F1〜F7は光ファイバに代え例えば空間伝播にする手法を用いてもよい。光カプラー3の分岐比は測定対象に応じて変えることが可能である。コリメーターレンズ6a、6b、変調器7からなる変調部17は空間に出して変調を行っても、ファイバ中で変調させる機構としてもよい。あるいは、変調部17を他方の光路において採用されるサーキュレーター2、光ファイバF4、対物レンズ12からなる構造にして、試料(散乱媒体)Sを振動可能なミラーに替えて変調をかけることも可能である。対物レンズ12は測定系に応じて変更することが可能である。粒径が大きければ対物レンズを用いなくてよい。光ファイバF2から光ファイバF5の間に減衰器を介在させて光量を調整するということも必要により考慮される。A/Dボード8,PC9はスペクトルアナライザ等でも代用可能である。サーキュレーター2としては1:1のカプラーを使うことができ、入射光路と出射光路を分ける等の対応も可能である。
低コヒーレンス光源1の光は、光ファイバF1を伝搬後、光カプラー3に入射され、光カプラー3で2つの光に分割される。分割された一方の光は、光ファイバF2を通してコリメーターレンズ6aで平行光線にされ、位相変調器7を通り、コリメーターレンズ6bにより光ファイバF5に入り、光ファイバF5を通って光カプラー−4に到達する。この光を「参照光」という。光カプラー3から光カプラー4までの片道の光路長をdrefとすると、参照光の光路は光路長drefとなる。
光カプラー3で分割された他方の光は、光ファイバF3を通り、サーキュレーター2により光ファイバF4を通り、コリメータ6cで平行光線にされ、集光器12によって試料セル中の散乱媒体Sに入射される。散乱媒質からの後方散乱光は、再び集光器12、コリメーターレンズ6c、光ファイバF4を通って、サーキュレーター2により光ファイバF6を通り、光カプラー4に入射される。この光を「散乱光」という。光カプラー3から散乱媒体S内で散乱が起きた箇所までの光路長d1(散乱媒体のどこまでかは測定する条件や対象によって定義すればよく、例えば集光位置までに定めることができる。)と、散乱媒体S内で散乱が起きた箇所から光カプラー4までの光路長d2との合計をdscaと定義すると、散乱光の光路は光路長dsca=d1+d2となる。
光カプラー4に入射された前記参照光と散乱光は、光ファイバF7を通って、受光ダイオード(PD;Photo Detector)5に入射され、この電気変換信号がBNCケーブルCを通り、A/Dボード8を介してパソコン9上で光の干渉強度のパワースペクトルを出力する。このスペクトルを「ヘテロダインスペクトル」という。これに対して、参照光の光路を遮断して、散乱光のみの強度を検出して得られるパワースペクトルを「ホモダインスペクトル」という。これら一連の測定及び計算に係る低コヒーレンス光源のコヒーレンス関数、干渉光強度のパワースペクトル、散乱光スペクトル等の詳細については、特開2005−121600号公報を参照することができる。
本発明に用いることができる測定装置及び測定方法の実施形態は、前記実施形態に限定されるものではない。例えば、光ファイバを用いた干渉計以外で、空間伝播型の干渉計を用いることもできる。その他、種々の変更を施すことが可能である。
本発明の金属平板粒子分散液は、金属平板粒子を含み、六角形状乃至円形状の平板状の金属粒子を含むことが好ましい。
前記金属平板粒子としては、2つの主平面からなる粒子(図6A及び図6B参照)であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、六角形状、円形状、三角形状などが挙げられる。これらの中でも、可視光透過率が高い点で、六角形状以上の多角形状〜円形状であることがより好ましく、六角形状または円形状であることが特に好ましい。
本明細書中、円形状とは、後述する金属平板粒子(平板状金属粒子と同義)の平均円相当径の50%以上の長さを有する辺の個数が1個の金属平板粒子当たり0個である形状のことを言う。前記円形状の金属平板粒子としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で金属平板粒子を主平面の上方から観察した際に、角が無く、丸い形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本明細書中、六角形状とは、後述する金属平板粒子の平均円相当径の20%以上の長さを有する辺の個数が1個の金属平板粒子当たり6個である形状のことを言う。なお、その他の多角形についても同様である。前記六角形状の金属平板粒子としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で金属平板粒子を主平面の上方から観察した際に、六角形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、六角形状の角が鋭角のものでも、鈍っているものでもよいが、可視光域の吸収を軽減し得る点で、角が鈍っているものであることが好ましい。角の鈍りの程度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記金属平板粒子分散液は、六角形状乃至円形状の平板状の金属粒子は、金属粒子の全個数に対して、60個数%以上であることが好ましく、65個数%以上であることがより好ましく、70個数%以上であることが特に好ましい。前記六角形状乃至円形状の平板状の金属粒子の割合が、60個数%以上であると、可視光線透過率を高くなる傾向にある。
−金属平板粒子の厚み−
前記六角形状乃至円形状の平板状の金属粒子の厚みは20nm以下であることが好ましく、14nm以下であることがより好ましい。
前記六角形状乃至円形状の平板状の金属粒子のアスペクト比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、波長800nm〜1,800nmの赤外光領域での反射率が高くなる点から、6〜40が好ましく、8〜30がより好ましい。前記アスペクト比が8未満であると反射波長が800nmより小さくなり、40を超えると、反射波長が1,800nmより長くなり、十分な熱線反射能が得られないことがある。
前記アスペクト比は、金属平板粒子の一次粒子の平均粒径(平均円相当径)を金属平板粒子の平均粒子厚みで除算した値を意味する。平均粒子厚みは、金属平板粒子の主平面間距離に相当し、例えば、図6A及び図6Bに示す通りであり、原子間力顕微鏡(AFM)により測定することができる。
前記AFMによる平均粒子厚みの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス基板に金属平板粒子を含有する粒子分散液を滴下し、乾燥させて、粒子1個の厚みを測定する方法などが挙げられる。
(金属平板粒子の材料)
前記金属平板粒子の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱線(近赤外線)の反射率が高い点から、銀、金、アルミニウム、銅、ロジウム、ニッケル、白金などが好ましく、少なくとも銀を含むことがより好ましい。
(金属平板粒子の含有量)
本発明の金属平板粒子分散液は、前記金属平板粒子の含有量が22g/L以下であり、1〜22g/Lであることがより好ましい。
<ゲル(ゼラチン)>
本発明の金属平板粒子分散液を製造するときに、前記金属粒子を合成時に、ゲルを添加することが好ましい。前記ゲルとしては特に制限はないが、親水性コロイドであることが好ましい。
前記親水性コロイドとしては、ゼラチン、コロイド状アルブミン、寒天、アラビアゴム、アルギン酸、加水分解されたセルロースアセテ−ト、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、合成バインダー、例えばポリビニルアルコール、部分鹸化されたポリビニルアセテート、ポリアクリルアミド、ポリN、N−ジメチルアクリルアミド、ポリN−ビニルピロリドン、米国特許3,847,620号、同3,655,389号、同3,341,332号、同3,615,424号、同3,860,428号等に記載されているような水溶性ポリマー、米国特許2,614,928号、同2,525,753号に記載されているようなフェニルカルバミル化ゼラチン、アシル化ゼラチン、フタル化ゼラチン等のゼラチン誘導体、米国特許2,548,520号、同2,831,767号等に記載されているようなアクリル酸(エステル)、メタクリル酸(エステル)、アクリロニトリル等の重合可能なエチレン基を持つ単量体をゼラチンにグラフト共重合したもの等があげられる。これらのバインダーは必要に応じ、2つ以上の相溶性混合物として使用することができる。
これらの中でも、ゼラチンが好ましく、水溶液として添加できる観点から水溶性ゼラチンがより好ましい。すなわち、本発明の金属平板粒子分散液は、さらにゼラチンを含むことが好ましい。
前記ゼラチンの分子量は特に制限はないが、平均分子量1〜30万のゼラチンを用いることが好ましく、2万〜15万のゼラチンを用いることがより好ましい。
前記ゼラチンは2種以上用いてもよく、ゼラチンを2種以上用いる場合は、すべてのゼラチンの量に対して、平均分子量1万〜5万のゼラチンを0.1〜1.5質量%、平均分子量6万〜30万のゼラチンを0.1〜1.5質量%含むことが好ましい。
<金属平板粒子分散液のpH>
本発明の金属平板粒子分散液のpHは、5〜10であり、5〜8がより好ましい。pHが5未満になるとゼラチンの等電点に近づき粒子の荷電反発がなくなり、さらには加水分解が進行してしまうため、ゼラチンの保護コロイド性が低下して粒子が凝集してしまう。pHが10以上の場合も、加水分解の進行によりゼラチンの保護コロイド性が低下して粒子の分散性が低下してしまう。
(金属平板粒子の調製)
金属平板粒子を合成する方法として特に制限はないが、例えば、化学還元法、光化学還元法、電気化学還元法等の液相法などが挙げられる。これらの中でも、形状とサイズ制御性の点で、化学還元法、光化学還元法などの液相法が特に好ましい。
また、六角形〜三角形状の金属平板粒子を合成後、例えば、硝酸、亜硫酸ナトリウム等の銀を溶解する溶解種によるエッチング処理、加熱によるエージング処理などを行うことにより、六角形〜三角形状の金属平板粒子の角を鈍らせて、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子を得てもよい。
前記金属平板粒子の合成方法としては、前記の他、予めフィルム、ガラスなどの透明基材の表面に種晶を固定後、平板状に金属粒子(例えばAg)を結晶成長させてもよい。
本発明の金属平板粒子分散液を製造するときに、前記金属粒子の合成時には、アルカリ金属の炭酸塩、ホウ酸塩もしくはリン酸塩のようなpH緩衝剤、塩化物塩、臭化物塩、沃化物塩、ベンズイミダゾール類、ベンゾチアゾール類もしくはメルカプト化合物のような添加剤などを用いてもよい。
前記金属平板粒子は、所望の特性を付与するために、更なる処理を施してもよい。前記更なる処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高屈折率シェル層の形成、分散剤、酸化防止剤等の各種添加剤を添加することなどが挙げられる。
前記金属平板粒子は、可視光域透明性を更に高めるために、可視光域透明性が高い高屈折率材料で被覆されてもよい。
前記高屈折率材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、TiOx、BaTiO3、ZnO、SnO2、ZrO2、NbOxなどが挙げられる。
前記被覆する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Langmuir、2000年、16巻、p.2731−2735に報告されているようにテトラブトキシチタンを加水分解することにより銀の金属平板粒子の表面にTiOx層を形成する方法であってもよい。
また、前記金属平板粒子に直接高屈折率金属酸化物層シェルを形成することが困難な場合は、前記の通り金属平板粒子を合成した後、適宜SiO2やポリマーのシェル層を形成し、更に、このシェル層上に前記金属酸化物層を形成してもよい。TiOxを高屈折率金属酸化物層の材料として用いる場合には、TiOxが光触媒活性を有することから、金属平板粒子を分散するマトリクスを劣化させてしまう懸念があるため、目的に応じて金属平板粒子にTiOx層を形成した後、適宜SiO2層を形成してもよい。
前記金属平板粒子は、該金属平板粒子を構成する銀などの金属の酸化を防止するために、メルカプトテトラゾール、アスコルビン酸等の酸化防止剤を吸着していてもよい。また、酸化防止を目的として、Ni等の酸化犠牲層が金属平板粒子の表面に形成されていてもよい。また、酸素を遮断することを目的として、SiO2などの金属酸化物膜で被覆されていてもよい。
前記金属平板粒子は、分散性付与を目的として、例えば、4級アンモニウム塩、アミン類等のN元素、S元素、及びP元素の少なくともいずれかを含む低分子量分散剤、高分子量分散剤などの分散剤を添加してもよい。
−金属平板粒子の精製・濃縮−
また、本発明の金属平板粒子分散物は、金属平板粒子調製後、共存する金属平板粒子以外のイオンや残留還元剤等の不純物を取り除き精製し、同時に金属平板粒子を濃縮する事が出来る。
上記、精製・濃縮方法は、遠心分離、デカンテーション、吸引濾過法等いずれの方法もとることが出来るが、熱線遮蔽材を作製した際の、熱線遮蔽性能の観点から遠心分離を行うことが好ましい。
−攪拌(再分散)−
本発明の金属平板粒子分散液の製造方法は、NaOH水溶液を添加してから、前記金属平板粒子の一次粒子の平均粒径と、該一次粒子が凝集してできた二次粒子の平均粒径との比(二次粒子粒径/一次粒子粒径)が1.0〜3.0になるまで攪拌(以下、再分散ともいう)する工程を含む。
攪拌の方法としては特に制限はないが、撹拌子や卓上ホモジナイザーを用いることが好ましく、卓上ホモジナイザーを用いることがより好ましい。攪拌(再分散)条件としては、例えば、10000〜18000rpmで分散を行うことができ、13000〜16000rpmで分散を行うことが好ましい。
攪拌時間は特に制限はなく、前記金属平板粒子の一次粒子の平均粒径と、該一次粒子が凝集してできた二次粒子の平均粒径との比(二次粒子粒径/一次粒子粒径)が1.0〜3.0になるまで攪拌することが好ましい。例えば、上述の攪拌(再分散)条件では、2〜50分が好ましく、3〜40分がより好ましく、5〜30分が特に好ましい。
攪拌(再分散)後の金属平板粒子分散液は、pHを調整し、本発明の金属平板粒子分散液を製造することが好ましい。好ましいpHの範囲は、本発明の金属平板粒子分散液のpHの好ましい範囲と同様である。pHを調整する方法としては特に制限はない。
攪拌(再分散)後の金属平板粒子分散液は、pH調製後にろ過を行うことが好ましい。ろ過の方法としては特に制限はなく、再分散前の金属平板粒子分散液中に含まれる金属平板粒子の一次粒径にあわせて適切な方法でろ過をすることができる。例えば、金属平板粒子の一次粒径が70〜500nmの場合は、ろ過精度1〜10μmのフィルターを用いることができる。
また、本発明の金属平板粒子分散液の製造方法による金属平板粒子分散液の収率(ろ過前後の液質量比の百分率)は、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが特に好ましい。
[熱線遮蔽材]
本発明の熱線遮蔽材は、本発明の金属平板粒子分散液を用いて形成されてなる金属粒子含有層を有することを特徴とする。
本発明の熱線遮蔽材は、金属平板粒子のRMS粒状度が30以下であることが好ましい。本発明におけるRMS粒状度とは、「改訂写真工学の基礎−銀塩写真編−(コロナ社、1998年)」のP504に記載されている銀塩写真におけるRMS粒状度に対して、金属平板粒子の電顕写真から二値化し、金属平板粒子を抽出し、開口径が0.6μm□にしたものである。なお、RMSは、ルート・ミーン(ズ)・スクエアの略である。
本発明におけるRMS粒状度の求め方は、
(1)金属平板粒子の電顕写真を撮影し、
(2)写真を二値化して金属平板粒子を抽出し、
(3)0.6μm□のメッシュで濃度を平均化し、
(4)このメッシュの濃度の変動係数を求め、これを本発明におけるRMS粒状度とする。
本発明の熱線遮蔽材は、金属平板粒子のRMS粒状度が25以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、15以下であることが特に好ましい。一方、本発明の熱線遮蔽材は、熱線遮蔽の観点から、金属平板粒子のRMS粒状度が1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、4以上であることが特に好ましい。
本発明の熱線遮蔽材は、前記金属粒子含有層に加え、必要に応じて、粘着層、紫外線吸収層、基材、金属酸化物粒子含有層などのその他の層を有する態様も好ましい。
前記熱線遮蔽材10の層構成としては、図4に示すように、少なくとも1種の金属粒子を含有する金属粒子含有層2を有し、その表面に金属平板粒子3が偏在している態様が挙げられる。
また、図5Aに示すように、基材1と、該基材上に金属粒子含有層2と、該金属粒子含有層上に粘着層11とを有する態様が好適に挙げられる。
また、図5Bに示すように、基材1と、該基材上に金属粒子含有層2と、該金属粒子含有層上にオーバーコート層4と、該オーバーコート層上に粘着層11とを有する態様が好適に挙げられる。
また、図5Cに示すように、基材1の、金属粒子含有層2を有する側とは反対側に、金属酸化物微粒子含有層12と、その上にハードコート層5を有する態様も好適に挙げられる。
<金属粒子含有層>
前記金属粒子含有層は、本発明の金属平板粒子分散液を用いて形成されてなる層である。
前記金属粒子含有層の厚みをdとしたとき、前記六角形状乃至円形状の平板状の金属粒子の80個数%以上が、前記金属粒子含有層の表面からd/2の範囲に存在していることが好ましく、前記金属粒子含有層の表面からd/3の範囲に存在することよりが好ましい。いかなる理論に拘泥するものでもなく、また、本発明の熱線遮蔽材は以下の製造方法に限定されるものではないが、前記金属粒子含有層を製造するときに特定のポリマー(好ましくはラテックス)を添加することなどにより、金属平板粒子を前記金属粒子含有層の一方の表面に偏析させることができる。
(面配向)
本発明の熱線遮蔽材において、前記六角形状乃至円形状の平板状の金属粒子は、その主平面が金属粒子含有層の一方の表面(熱線遮蔽材が基材を有する場合は、基材表面)に対して、平均0°〜±30°の範囲で面配向していることが好ましく、平均0°〜±20°の範囲で面配向していることがより好ましく、平均0°〜±10°の範囲で面配向していることが特に好ましい。
前記金属平板粒子の存在状態は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後述する図7D、図7Eのように並んでいることが好ましい。
ここで、図7A〜図7Eは、本発明の熱線遮蔽材において、金属平板粒子を含む金属粒子含有層の存在状態を示した概略断面図であり、金属粒子含有層2中における金属平板粒子3の存在状態を示す。図7Aは、基材1の平面と金属平板粒子3の主平面(円相当径Dを決める面)とのなす角度(±θ)を説明する図である。図7Bは、金属粒子含有層2の熱線遮蔽材の深さ方向における存在領域を示すものである。
図7Aにおいて、基材1の表面と、金属平板粒子3の主平面または主平面の延長線とのなす角度(±θ)は、前記の面配向における所定の範囲に対応する。即ち、面配向とは、熱線遮蔽材の断面を観察した際、図7Aに示す傾角(±θ)が小さい状態をいい、特に、図7Dは、基材1の表面と金属平板粒子3の主平面とが接している状態、即ち、θが0°である状態を示す。基材1の表面に対する金属平板粒子3の主平面の面配向の角度、即ち図7Aにおけるθが±30°を超えると、熱線遮蔽材の所定の波長(例えば、可視光域長波長側から近赤外光領域)の反射率が低下してしまう。
前記金属粒子含有層の一方の表面(熱線遮蔽材が基材を有する場合は、基材表面)に対して金属平板粒子の主平面が面配向しているかどうかの評価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、適当な断面切片を作製し、この切片における金属粒子含有層(熱線遮蔽材が基材を有する場合は、基材)及び金属平板粒子を観察して評価する方法であってもよい。具体的には、熱線遮蔽材を、ミクロトーム、集束イオンビーム(FIB)を用いて熱線遮蔽材の断面サンプルまたは断面切片サンプルを作製し、これを、各種顕微鏡(例えば、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)等)を用いて観察して得た画像から評価する方法などが挙げられる。
本発明の熱線遮蔽材において、図7Bに示すように、金属粒子含有層2における金属平板粒子3を構成する金属のプラズモン共鳴波長をλとし、金属粒子含有層2における媒質の屈折率をnとするとき、前記金属粒子含有層2が、熱線遮蔽材の水平面からの深さ方向において、(λ/n)/4の範囲で存在することが好ましい。この範囲内であると、熱線遮蔽材の上側と下側のそれぞれの金属粒子含有層の界面での反射波の位相により反射波の振幅が強めあう効果が十分大きく、可視光透過率及び熱線最大反射率が良好となる。
前記金属粒子含有層における金属平板粒子を構成する金属のプラズモン共鳴波長λは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱線反射性能を付与する点で、400nm〜2,500nmであることが好ましく、可視光透過率を付与する点から、700nm〜2,500nmであることがより好ましい。
(金属粒子含有層の媒質)
前記金属粒子含有層における媒質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。本発明の熱線遮蔽材は、前記金属含有層がポリマーを含むことが好ましく、透明ポリマーを含むことがより好ましい。前記ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、(飽和)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンやセルロース等の天然高分子等の高分子などが挙げられる。その中でも、本発明では、前記ポリマーの主ポリマーがポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、(飽和)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂であることが好ましく、ポリエステル樹脂またはポリウレタン樹脂であることが前記六角形状乃至円形状の平板状の金属粒子の80個数%以上を前記金属粒子含有層の表面からd/2の範囲に存在させやすい観点からより好ましく、ポリエステル樹脂であることが本発明の熱線遮蔽材のこすり耐性をより改善する観点から特に好ましい。
前記ポリエステル樹脂の中でも、飽和ポリエステル樹脂であることが二重結合を含まないために優れた耐候性を付与できる観点からより特に好ましい。また、分子末端に水酸基またはカルボキシル基を持つことが、水溶性・水分散性の硬化剤等で硬化させることで高い硬度・耐久性・耐熱性を得られる観点から、より好ましい。
前記ポリマーとしては、商業的に入手できるものを好ましく用いることもでき、例えば、互応化学工業株式会社製の水溶性ポリエステル樹脂である、プラスコートZ−867などを挙げることができる。
また、本明細書中、前記金属含有層に含まれる前記ポリマーの主ポリマーとは、前記金属含有層に含まれるポリマーの50質量%以上を占めるポリマー成分のことを言う。
前記金属粒子含有層に含まれる前記金属粒子に対する前記ポリエステル樹脂の含有量が1〜10000質量%であることが好ましく、10〜1000質量%であることがより好ましく、20〜500質量%であることが特に好ましい。前記金属粒子含有層に含まれるバインダーを上記範囲以上とすることで、こすり耐性性等の物理特性を改善することができる。
前記媒質の屈折率nは、1.4〜1.7であることが好ましい。
(金属平板粒子の面積率)
前記熱線遮蔽材を上から見た時の基材の面積A(金属粒子含有層に対して垂直方向から見たときの前記金属粒子含有層の全投影面積A)に対する金属平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕としては、15%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。前記面積率が、15%未満であると、熱線の最大反射率が低下してしまい、遮熱効果が十分に得られないことがある。
ここで、前記面積率は、例えば熱線遮蔽材基材を上からSEM観察で得られた画像や、AFM(原子間力顕微鏡)観察で得られた画像を画像処理することにより測定することができる。
(金属平板粒子の平均粒子間距離)
前記金属粒子含有層における水平方向に隣接する金属平板粒子の平均粒子間距離としては、可視光線透過率及び熱線の最大反射率の点から、金属平板粒子の平均粒子径の1/10以上が好ましい。
前記金属平板粒子の水平方向の平均粒子間距離が、前記金属平板粒子の平均粒子径の1/10未満となると、熱線の最大反射率が低下してしまう。また、水平方向の平均粒子間距離は、可視光線透過率の点で、不均一(ランダム)であることが好ましい。ランダムでない場合、即ち、均一であると、可視光線の吸収が起こり、透過率が低下してしまうことがある。
ここで、前記金属平板粒子の水平方向の平均粒子間距離とは、隣り合う2つの粒子の粒子間距離の平均値を意味する。また、前記平均粒子間距離がランダムであるとは、「100個以上の金属平板粒子が含まれるSEM画像を二値化した際の輝度値の2次元自己相関を取ったときに、原点以外に有意な極大点を持たない」ことを意味する。
(金属粒子含有層の層構成)
本発明の熱線遮蔽材において、金属平板粒子は、図7A〜図7Eに示すように、金属平板粒子を含む金属粒子含有層の形態で配置される。
前記金属粒子含有層としては、図7A〜図7Eに示すように単層で構成されてもよく、複数の金属粒子含有層で構成されてもよい。複数の金属粒子含有層で構成される場合、遮熱性能を付与したい波長帯域に応じた遮蔽性能を付与することが可能となる。
(金属粒子含有層の厚み)
本発明の熱線遮蔽材は、前記金属粒子含有層の厚みが10〜80nmであることが好ましい。前記金属粒子含有層の厚みは、20〜80nmであることがより好ましく、30〜50nmであることが特に好ましい。
ここで、前記金属粒子含有層の各層の厚みは、例えば、熱線遮蔽材の断面試料をSEM観察した画像より測定することができる。
(各種添加物の添加)
本発明の熱線遮蔽材において、前記金属粒子含有層がポリマーを含み、前記ポリマーの主ポリマーがポリエステル樹脂である場合には、架橋剤を添加することが膜強度の観点から好ましい。前記架橋剤としては特に制限はなく、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。これらの中でカルボジイミド系及びオキサゾリン系架橋剤が好ましい。カルボジイミド系架橋剤の具体例としては、例えばカルボジライトV−02−L2(日清紡績(株)製)などがある。前記金属粒子含有層中の全バインダーに対して1〜20質量%の架橋剤由来の成分を含有することが好ましく、より好ましくは2〜20質量%である。
また、本発明の熱線遮蔽材において、前記金属粒子含有層がポリマーを含む場合、界面活性剤添加することがハジキの発生を抑えて良好な面状な層が得られる観点から好ましい。界面活性剤を前記界面活性剤としては、アニオン系やノニオン系等の公知の界面活性剤を用いることができる界面活性剤の具体例としては、例えばラピゾールA−90(日油株式会社製)、ナロアクティーHN−100(三洋化成工業株式会社製)などがある。前記金属粒子含有層中の全バインダーに対して0.05〜10質量%の界面活性剤を含有することが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
<その他の層>
<<粘着層>>
本発明の熱線遮蔽材は、粘着層を有することが好ましい。前記粘着層は、紫外線吸収剤を含むことができる。
前記粘着層の形成に利用可能な材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの材料からなる粘着層は、塗布により形成することができる。
さらに、前記粘着層には帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤などを添加してもよい。
前記粘着層の厚みとしては、0.1μm〜10μmが好ましい。
<<基材>>
本発明の熱線遮蔽材は、基材を有することが好ましい。
前記基材としては、光学的に透明な基材であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、可視光線透過率が70%以上のもの、好ましくは80%以上のもの、近赤外線域の透過率が高いものなどが挙げられる。
前記基材としては、その形状、構造、大きさ、材料などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記熱線遮蔽材の大きさなどに応じて適宜選択することができる。
前記基材の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリエチレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロースアセテート等のセルロース系樹脂などからなるフィルム又はこれらの積層フィルムが挙げられる。これらの中で、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好適である。
この基材フィルムの厚みとしては、特に制限はなく、日射遮蔽フィルムの使用目的に応じて適宜選択することができ、通常は10μm〜500μm程度であり、12μm〜300μmが好ましく、16μm〜125μmがより好ましい。
<<ハードコート層>>
耐擦傷性を付加するために、機能性フィルムがハードコート性を有するハードコート層を含むことも好適である。ハードコート層には金属酸化物粒子を含むことができる。
前記ハードコート層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜その種類も形成方法も選択することができ、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂などが挙げられる。前記ハードコート層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜50μmが好ましい。前記ハードコート層上に更に反射防止層及び/又は防眩層を形成すると、耐擦傷性に加え、反射防止性及び/又は防眩性を有する機能性フィルムが得られ好適である。
<<オーバーコート層>>
本発明の熱線遮蔽材において、物質移動による金属平板粒子の酸化・硫化を防止し、耐擦傷性を付与するため、本発明の熱線遮蔽材は、前記六角形状乃至円形状の平板状金属粒子が露出している方の前記金属粒子含有層の表面に密接するオーバーコート層を有していてもよい。また、前記金属粒子含有層と後述の紫外線吸収層との間にオーバーコート層を有していてもよい。本発明の熱線遮蔽材は特に金属平板粒子が金属粒子含有層の表面に偏在する場合は、金属平板粒子の剥落による製造工程のコンタミ防止、別層塗布時の金属平板粒子配列乱れの防止、などのため、オーバーコート層を有していてもよい。
前記オーバーコート層には紫外線吸収剤を含んでもよい。
前記オーバーコート層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、バインダー、マット剤、及び界面活性剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂などが挙げられる。
前記オーバーコート層の厚みとしては、0.01μm〜1,000μmが好ましく、0.02μm〜500μmがより好ましく、0.1〜10μmが特に好ましく、0.2〜5μmがより特に好ましい。
<<紫外線吸収剤>>
本発明の熱線遮蔽材は、紫外線吸収剤が含まれている層を有することが好ましい。
前記紫外線吸収剤を含有する層は、目的に応じて適宜選択することができ、粘着層であってもよく、また、前記粘着層と前記金属粒子含有層との間の層(例えば、オーバーコート層など)であってもよい。いずれの場合も、前記紫外線吸収剤は、前記金属粒子含有層に対して、太陽光が照射される側に配置される層に添加されることが好ましい。
前記紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<金属酸化物粒子>>
本発明の熱線遮蔽材は、長波赤外線を吸収するために、少なくとも1種の金属酸化物粒子を含有していても熱線遮蔽と製造コストのバランスの観点からは好ましい。この場合、金属酸化物粒子含有層12を単独で有していてもよいし、ハードコート層5が金属酸化物粒子を含んでいてもよい。ハードコート層5は、基材1を介して、前記金属粒子含有層2と積層されていてもよい。金属粒子含有層2が太陽光などの熱線の入射方向側となるように本発明の熱線遮蔽材を配置したときに、金属粒子含有層2で熱線の一部(または全部でもよい)を反射した後、ハードコート層5で熱線の一部を吸収することとなり、金属酸化物粒子含有層で吸収されずに熱線遮蔽材を透過した熱線に起因して熱線遮蔽材の内側で直接受ける熱量と、熱線遮蔽材の金属酸化物粒子含有層で吸収されて間接的に熱線遮蔽材の内側に伝わる熱量の合計としての熱量を低減することができる。
前記金属酸化物粒子の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、錫ドープ酸化インジウム(以下、「ITO」と略記する。)、錫ドープ酸化アンチモン(以下、「ATO」と略記する。)、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫、酸化アンチモン、ガラスセラミックスなどが挙げられる。これらの中でも、熱線吸収能力に優れ、金属平板粒子と組み合わせることにより幅広い熱線吸収能を有する熱線遮蔽材が製造できる点で、ITO、ATO、酸化亜鉛がより好ましく、1,200nm以上の赤外線を90%以上遮蔽し、可視光透過率が90%以上である点で、ITOが特に好ましい。
前記金属酸化物粒子の一次粒子の体積平均粒径としては、可視光透過率を低下させないため、0.1μm以下が好ましい。
前記金属酸化物粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、球状、針状、板状などが挙げられる。
<熱線遮蔽材の製造方法>
本発明の熱線遮蔽材の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塗布方法により、前記基材の表面に前記金属粒子含有層、前記紫外線吸収層、更に必要に応じてその他の層を形成する方法が挙げられる。
−金属粒子含有層の形成方法−
本発明の金属粒子含有層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記基材などの下層の表面上に、前記金属平板粒子を有する分散液を、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター等により塗布する方法、LB膜法、自己組織化法、スプレー塗布などの方法で面配向させる方法が挙げられる。本発明の熱線遮蔽材を製造するとき、後述の実施例で用いた金属粒子含有層の組成とし、ラテックスを添加する等によって、前記六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の金属平板粒子の80個数%以上が、前記金属粒子含有層の表面からd/2の範囲に存在するようにする。前記六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の金属平板粒子の80個数%以上が、前記金属粒子含有層の表面からd/3の範囲に存在するようにすることが好ましい。前記ラテックスの添加量に特に制限は無いが、例えば金属平板粒子に対して、1〜10000質量%添加することが好ましい。
なお、面配向を促進するために、金属平板粒子を塗布後、カレンダーローラーやラミローラーなどの圧着ローラーを通すことにより促進させてもよい。
<熱線遮蔽材の特性>
本発明の熱線遮蔽材の遮蔽係数としては、0.8以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましい。
本発明の熱線遮蔽材のヘイズとしては、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、1%以下であることが特に好ましい。本発明の熱線遮蔽材は、本発明の金属平板粒子分散液を用いて製造される結果、ヘイズ(散乱)も低ヘイズ化することができる。
本発明の熱線遮蔽材の可視光線透過率としては遮蔽係数が0.68であるときに、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。前記可視光線透過率が、60%未満であると、例えば、自動車用ガラスや建物用ガラスとして用いた時に、外部が見にくくなることがある。
<熱線遮蔽材の使用態様>
本発明の熱線遮蔽材を使って、既設窓ガラスの類に機能性付与する場合は、粘着剤を積層してガラスの室内側に貼り付ける。その際、反射層をなるべく太陽光側に向けた方が発熱を防ぐことになるので、前記金属平板粒子含有層の上に粘着剤層を積層し、その面から窓ガラスへ貼合するのが適切である。
本発明の熱線遮蔽材と、ガラス及びプラスチックのいずれかとを貼り合わせて、貼合せ構造体を製造することができる。
前記貼合せ構造体の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、上述のように製造した本発明の熱線遮蔽材を、自動車等の乗り物用ガラスまたはプラスチックや、建材用ガラスまたはプラスチックに貼合せる方法などが挙げられる。
本発明の熱線遮蔽材は、熱線(近赤外線)を選択的に反射または吸収するために使用される態様であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよく、例えば、乗り物用フィルムや貼合せ構造体、建材用フィルムや貼合せ構造体、農業用フィルムなどが挙げられる。これらの中でも、省エネルギー効果の点で、乗り物用フィルムや貼合せ構造体、建材用フィルムや貼合せ構造体であることが好ましい。
なお、本発明において、熱線(近赤外線)とは、太陽光に約50%含まれる近赤外線(780nm〜1,800nm)を意味する。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明する。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[製造例1]
−銀平板粒子A1の合成−
純水308mLに1%のクエン酸ナトリウム水溶液24.5mLおよび8g/Lのポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液16.7mLを添加し、35℃まで加熱した。この溶液に2.3重量%の水素化ほう素ナトリウム水溶液を1mL添加し、0.5mMの硝酸銀水溶液(Ag−1)363mLを攪拌しながら添加した。この溶液を30分間攪拌した後、1%のクエン酸ナトリウム水溶液24.5mLと10mMのアスコルビン酸水溶液33mLおよび純水211mLを添加した。さらに0.5mMの硝酸銀水溶液(Ag−2)199mLを攪拌しながら添加した。30分間攪拌した後、7.7%のヒドロキノンスルホン酸カリウム水溶液197mLおよび平均分子量10万の不活性ゼラチン33gと平均分子量2万の不活性ゼラチン22gを純水480mLに溶解したゼラチン水溶液を反応釜に添加した。次に、1Nの硝酸4.4mLを添加した後、予め、13.5%の亜硫酸ナトリウム水溶液64mL、10%硝酸銀水溶液217mLおよび純水351mLを混合してできた亜硫酸銀の白色沈殿物混合液を添加した。この溶液を300分間攪拌した後、1NのNaOH145mLを加えて、銀平板粒子分散液A1を得た。
[製造例2]
−銀平板粒子A2の合成−
銀平板粒子分散液A1を調製する際に、13.5%の亜硫酸ナトリウム水溶液64mL、10%硝酸銀水溶液217mLおよび純水351mLを混合してできた亜硫酸銀の白色沈殿物混合液を添加するのではなく、13.5%の亜硫酸ナトリウム水溶液134mL、10%硝酸銀水溶液454mLおよび純水734mLを混合してできた亜硫酸銀の白色沈殿物混合液を添加したこと以外は、銀平板粒子分散液A1と同様にして銀平板粒子分散液A2を合成した。
[製造例3]
−銀平板粒子A3の合成−
銀平板粒子分散液A1を調製する際に、13.5%の亜硫酸ナトリウム水溶液64mL、10%硝酸銀水溶液217mLおよび純水351mLを混合してできた亜硫酸銀の白色沈殿物混合液を添加するのではなく、13.5%の亜硫酸ナトリウム水溶液204mL、10%硝酸銀水溶液690mLおよび純水1117mLを混合してできた亜硫酸銀の白色沈殿物混合液を添加したこと以外は、銀平板粒子分散液A1と同様にして銀平板粒子分散液A3を合成した。
[実施例1〜11、比較例1〜10]
<銀平板粒子分散液の調製>
−銀平板粒子分散液B1の調製−
前記銀平板粒子分散液A1 800mLを40℃に保ち、1NのNaOHおよび/または1Nの硫酸を用いてpH=10に調製した。これを遠心分離機(日立工機社製、アングルローター)で9000rpmで60分間遠心分離を行い、上澄みを760mL捨てた。沈殿した銀平板粒子を卓上型ホモジナイザー(三井電気精機社製、SpinMix08)の容器に移し、0.2mmol/LのNaOH水溶液を360mL加えて、12000rpmで20分間分散させた。1NのNaOHおよび/または1Nの硫酸を用いてpH=4.5に調製した後、1μmのカートリッジフィルター(日本ポール株式会社製、プロファイルII)を通し、銀平板粒子分散液B1を作製した。これを比較例1の銀平板粒子分散液とした。
−銀平板粒子分散液B2の調製−
銀平板粒子分散液B1を調製する際に、pH=4.5に調整するのではなく、pH=5に調整したこと以外は、銀平板粒子分散液B1と同様にして銀平板粒子分散液B2を作製した。これを実施例2の銀平板粒子分散液とした。
−銀平板粒子分散液B3の調製−
銀平板粒子分散液B1を調製する際に、pH=4.5に調整するのではなく、pH=6に調整したこと以外は、銀平板粒子分散液B1と同様にして銀平板粒子分散液B3を作製した。これを実施例1の銀平板粒子分散液とした。
−銀平板粒子分散液B4の調製−
銀平板粒子分散液B1を調製する際に、pH=4.5に調整するのではなく、pH=8に調整したこと以外は、銀平板粒子分散液B1と同様にして銀平板粒子分散液B4を作製した。これを実施例3の銀平板粒子分散液とした。
−銀平板粒子分散液B5の調製−
銀平板粒子分散液B1を調製する際に、pH=4.5に調整するのではなく、pH=10に調整したこと以外は、銀平板粒子分散液B1と同様にして銀平板粒子分散液B5を作製した。これを実施例4の銀平板粒子分散液とした。
−銀平板粒子分散液B6の調製−
銀平板粒子分散液B1を調製する際に、pH=4.5に調整するのではなく、pH=10.5に調整したこと以外は、銀平板粒子分散液B1と同様にして銀平板粒子分散液B6を作製した。これを比較例2の銀平板粒子分散液とした。
−銀平板粒子分散液B7の調製−
銀平板粒子分散液B3を調製する際に、0.2mmol/LのNaOH水溶液を360mL加えるのではなく、0.2mmol/LのNaOH水溶液を760mL加えた以外は、銀平板粒子分散液B3と同様にして銀平板粒子分散液B7を作製した。これを実施例5の銀平板粒子分散液とした。
−銀平板粒子分散液B8の調製−
銀平板粒子分散液B3を調製する際に、0.2mmol/LのNaOH水溶液を360mL加えるのではなく、0.2mmol/LのNaOH水溶液を160mL加えた以外は、銀平板粒子分散液B3と同様にして銀平板粒子分散液B8を作製した。これを実施例6の銀平板粒子分散液とした。
−銀平板粒子分散液B9の調製−
銀平板粒子分散液B3を調製する際に、0.2mmol/LのNaOH水溶液を360mL加えるのではなく、0.2mmol/LのNaOH水溶液を60mL加えた以外は、銀平板粒子分散液B3と同様にして銀平板粒子分散液B9を作製した。これを比較例3の銀平板粒子分散液とした。
−銀平板粒子分散液B10の調製−
銀平板粒子分散液B3を調製する際に、卓上ホモジナイザーで20分分散させるのではなく、60分間分散させたこと以外は、銀平板粒子分散液B3と同様にして銀平板粒子分散液B10を作製した。これを比較例4の銀平板粒子分散液とした。
−銀平板粒子分散液B11の調製−
銀平板粒子分散液B3を調製する際に、卓上ホモジナイザーで20分分散させるのではなく、10分間分散させたこと以外は、銀平板粒子分散液B3と同様にして銀平板粒子分散液B11を作製した。これを実施例7の銀平板粒子分散液とした。
−銀平板粒子分散液B12の調製−
銀平板粒子分散液B3を調製する際に、卓上ホモジナイザーで20分分散させるのではなく、5分間分散させたこと以外は、銀平板粒子分散液B3と同様にして銀平板粒子分散液B12を作製した。これを実施例8の銀平板粒子分散液とした。
−銀平板粒子分散液B13の調製−
銀平板粒子分散液B3を調製する際に、卓上ホモジナイザーで20分分散させるのではなく、撹拌子で1時間再分散させたこと以外は、銀平板粒子分散液B3と同様にして銀平板粒子分散液B13を作製した。これを実施例9の銀平板粒子分散液とした。
−銀平板粒子分散液B14の調製−
銀平板粒子分散液B3を調製する際に、卓上ホモジナイザーで20分分散させるのではなく、手撹拌で5分再分散させたこと以外は、銀平板粒子分散液B3と同様にして銀平板粒子分散液B14を作製した。これを比較例5の銀平板粒子分散液とした。
−銀平板粒子分散液B15の調製−
銀平板粒子分散液B3を調製する際に、卓上ホモジナイザーで20分分散させるのではなく、再分散させなかったこと以外は、銀平板粒子分散液B3と同様にして銀平板粒子分散液B15を作製した。これを比較例6の銀平板粒子分散液とした。
−銀平板粒子分散液B16の調製−
前記銀平板粒子分散液A2 800mLを40℃に保ち、1NのNaOHおよび/または1Nの硫酸を用いてpH=10に調製した。これを遠心分離機(日立工機社製、アングルローター)で9000rpmで60分間遠心分離を行い、上澄みを760mL捨てた。沈殿した銀平板粒子を卓上型ホモジナイザー(三井電気精機社製、SpinMix08)の容器に移し、0.2mmol/LのNaOH水溶液を360mL加えて、12000rpmで20分間分散させた。1NのNaOHおよび/または1Nの硫酸を用いてpH=6に調製した後、2μmのカートリッジフィルター(日本ポール株式会社製、プロファイルII)を通し、銀平板粒子分散液B1を作製した。これを実施例10の銀平板粒子分散液とした。
−銀平板粒子分散液B17の調製−
銀平板粒子分散液B16を調製する際に、pH=6に調整するのではなく、pH=4に調整したこと以外は、銀平板粒子分散液B16と同様にして銀平板粒子分散液B17を作製した。これを比較例7の銀平板粒子分散液とした。
−銀平板粒子分散液B18の調製−
銀平板粒子分散液B16を調製する際に、pH=6に調整するのではなく、pH=11に調整したこと以外は、銀平板粒子分散液B16と同様にして銀平板粒子分散液B18を作製した。これを比較例8の銀平板粒子分散液とした。
−銀平板粒子分散液B19の調製−
前記銀平板粒子分散液A3 800mLを40℃に保ち、1NのNaOHおよび/または1Nの硫酸を用いてpH=10に調製した。これを遠心分離機(日立工機社製、アングルローター)で9000rpmで60分間遠心分離を行い、上澄みを760mL捨てた。沈殿した銀平板粒子を卓上型ホモジナイザー(三井電気精機社製、SpinMix08)の容器に移し、0.2mmol/LのNaOH水溶液を360mL加えて、12000rpmで20分間分散させた。1NのNaOHおよび/または1Nの硫酸を用いてpH=6に調製した後、3μmのカートリッジフィルター(日本ポール株式会社製、プロファイルII)を通し、銀平板粒子分散液B19を作製した。これを実施例11の銀平板粒子分散液とした。
−銀平板粒子分散液B20の調製−
銀平板粒子分散液B19を調製する際に、pH=6に調整するのではなく、pH=4に調整したこと以外は、銀平板粒子分散液B19と同様にして銀平板粒子分散液B20を作製した。これを比較例9の銀平板粒子分散液とした。
−銀平板粒子分散液B21の調製−
銀平板粒子分散液B19を調製する際に、pH=6に調整するのではなく、pH=11に調整したこと以外は、銀平板粒子分散液B19と同様にして銀平板粒子分散液B21を作製した。これを比較例10の銀平板粒子分散液とした。
<銀粒子の評価>
−平板粒子の割合、平均粒子径(平均円相当径)、変動係数−
銀平板粒子分散液A1中の粒子400個についてTEM画像を観察し、六角形状を主とする平板状粒子をA、それ以外の不定形粒子をBとして画像解析を行ったところ、Aに該当する粒子個数の割合(個数%)は91%であった。銀平板粒子分散液A1中のAに該当する粒子の平均粒子径は(平均円相当径)120nmであった。銀平板粒子分散液A1中の粒径分布の標準偏差を平均円相当径で割った平板粒子Aの平均円相当直径(変動係数)は18%であった。
同様に銀平板粒子分散液A2について測定したところ、銀平板粒子分散液A2中のAに該当する粒子個数の割合(個数%)は92%、平均粒子径は240nm、変動係数は21%であった。
同様に銀平板粒子分散液A3について測定したところ、銀平板粒子分散液A3中のAに該当する粒子個数の割合(個数%)は91%、平均粒子径は360nm、変動係数は25%であった。
−平均粒子厚み−
得られた銀平板状銀分散液A1、A2およびA3を、ガラス基板上に滴下して乾燥し、銀平板粒子100個の厚みを、原子間力顕微鏡(AFM)(NanocuteII、セイコーインスツル社製)を用いて測定し、その平均値を平均厚みとした。なお、AFMを用いた測定条件としては、自己検知型センサー、DFMモード、測定範囲は5μm、走査速度は180秒/1フレーム、データ点数は256×256とした。
銀平板粒子分散液A1、A2およびA3中の銀平板粒子の平均厚みはそれぞれ10.1nm、12.1nmおよび13.2nmであった。
−アスペクト比−
得られた銀平板粒子の平均円相当径(平均一次粒径)及び平均粒子厚みから、平均円相当径を平均粒子厚みで除算して、アスペクト比を算出した。
銀平板粒子分散液A1、A2およびA3中の銀平板粒子のアスペクト比はそれぞれ11.9、19.8および27.3であった。
<銀平板粒子分散液の評価>
−銀平板粒子濃度−
各実施例および比較例の銀平板粒子分散液中の銀平板粒子の濃度を以下の方法で測定した。
銀平板粒子分散液を10〜20%のエチレンジアミン四酢酸鉄アンモニウム水溶液で希釈した液の、ICP測定(Optima7300DV、パーキンエルマー社製)の銀量測定結果より換算した値を銀平板粒子濃度とした。得られた結果を下記表1に記載した。
−ろ過の収率−
収率は、各実施例および比較例の銀平板粒子分散液作製時における、カートリッジフィルターを通す前後の液質量比を測定した。得られた結果を百分率で表し、その結果を下記表1に記載した。
<実施例1の熱線遮蔽材の作製>
下記に示す組成で銀平板粒子分散液B3を含む銀平板粒子塗布液を調製した。
ポリウレタン水溶液:ハイドランHW−350
(DIC(株)製、固形分濃度30質量%) 1.08質量部
界面活性剤A:Fリパール8780P
(ライオン(株)製、固形分1質量%) 0.96質量部
界面活性剤B:ナロアクティーCL−95
(三洋化成工業(株)製、固形分1質量%) 1.19質量部
銀平板粒子分散液B3 32.74質量部
1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
(和光純薬(株)製、固形分2質量%) 0.61質量部
水 33.42質量部
メタノール 30質量部
この塗布液を基材として用いるPETフィルム(フジペット、富士フイルム(株)製、厚み:188μm)の表面上に、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の平均厚みが0.08μmになるように塗布した。その後、150℃で10分間加熱し、乾燥、固化し、銀平板粒子含有層を形成した。
得られたPETフイルムに厚み20nmになるようにカーボン薄膜を蒸着した後、SEM観察(日立製作所製、FE−SEM、S−4300、2kV、2万倍)した。PETフイルム上にAg六角平板粒子が凝集なく固定されており、下記のようにして測定したAg六角平板粒子の基板表面に占める面積率は23%であることが分かった。以上により、実施例1の熱線遮蔽材を作製した。
−面積率の評価−
得られた実施例1の熱線遮蔽材について、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して得たSEM画像を2値化し、熱線遮蔽材を上から見た時の基板の面積A(熱線遮蔽材に対して垂直方向から見たときの前記熱線遮蔽材の全投影面積A)に対する銀平板粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕を求めた。
<実施例2の熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、銀平板粒子分散液B3を銀平板粒子B2に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の熱線遮蔽材を作製した。
<実施例3の熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、銀平板粒子分散液B3を銀平板粒子B4に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の熱線遮蔽材を作製した。
<実施例4の熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、銀平板粒子分散液B3を銀平板粒子B5に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の熱線遮蔽材を作製した。
<実施例5の熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、銀平板粒子分散液B3 32.74質量部を銀平板粒子B7 65.48質量部に置き換え、過不足を水で調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の熱線遮蔽材を作製した。
<実施例6の熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、銀平板粒子分散液B3 32.74質量部を銀平板粒子B8 16.37質量部に置き換え、過不足を水で調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6の熱線遮蔽材を作製した。
<実施例7の熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、銀平板粒子分散液B3を銀平板粒子B11に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7の熱線遮蔽材を作製した。
<実施例8の熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、銀平板粒子分散液B3を銀平板粒子B12に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8の熱線遮蔽材を作製した。
<実施例9の熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、銀平板粒子分散液B3を銀平板粒子B13に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9の熱線遮蔽材を作製した。
<実施例10の熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、銀平板粒子分散液B3を銀平板粒子B16に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例10の熱線遮蔽材を作製した。
<実施例11の熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、銀平板粒子分散液B3を銀平板粒子B19に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例11の熱線遮蔽材を作製した。
<比較例1の熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、銀平板粒子分散液B3を銀平板粒子B1に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例1の熱線遮蔽材を作製した。
<比較例2の熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、銀平板粒子分散液B3を銀平板粒子B6に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の熱線遮蔽材を作製した。
<比較例3の熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、銀平板粒子分散液B3 32.74質量部を銀平板粒子B9 8.18質量部に置き換え、過不足を水で調製したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の熱線遮蔽材を作製した。
<比較例4の熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、銀平板粒子分散液B3を銀平板粒子B10に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4の熱線遮蔽材を作製した。
<比較例5の熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、銀平板粒子分散液B3を銀平板粒子B14に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5の熱線遮蔽材を作製した。
<比較例6の熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、銀平板粒子分散液B3を銀平板粒子B15に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例6の熱線遮蔽材を作製した。
<比較例7の熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、銀平板粒子分散液B3を銀平板粒子B17に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例7の熱線遮蔽材を作製した。
<比較例8の熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、銀平板粒子分散液B3を銀平板粒子B18に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例8の熱線遮蔽材を作製した。
<比較例9の熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、銀平板粒子分散液B3を銀平板粒子B20に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例9の熱線遮蔽材を作製した。
<比較例10の熱線遮蔽材の作製>
実施例1において、銀平板粒子分散液B3を銀平板粒子B21に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例10の熱線遮蔽材を作製した。
<熱線遮蔽材の評価>
次に、得られた熱線遮蔽材について、以下のようにして諸特性を評価した。
−熱線遮蔽性能−
各熱線遮蔽材の可視光透過率と遮蔽係数の関係は同一の分散物を用いた場合、塗布量によってある傾きをもって変化する。そこで各実施例および比較例の銀平板粒子分散液の液量を変化させて、各実施例および比較例毎に多数の熱線遮蔽材を製造した。
熱線遮蔽性能は、可視光透過率と遮蔽係数を以下の方法で測定し、x軸を可視光透過率(単位%)、y軸を遮蔽係数(単位なし)として、可視光透過率と遮蔽係数の関係をプロットしたグラフを作成した。得られたプロットを一次曲線(直線)に近似し、得られた一次曲線を外挿して各熱線遮蔽材固有のx切片の値(遮蔽係数0のときの可視光透過率の値(単位%))を求めた。
(1)可視光透過率の測定方法
作製した各熱線遮蔽材について、380〜780nmまで測定した各波長の透過率を、各波長の分光視感度により補正した値を可視光透過率とした。
(2)遮蔽係数の測定方法
作製した各熱線遮蔽材について、350〜2,100nmまで測定した各波長の透過率から、JIS 5759記載の方法に基づき、遮蔽係数を求めた。
《評価基準》
◎:実施例1の銀平板粒子分散液を用いて作製した熱線遮蔽材のグラフ中の一次曲線のx切片を基準として、x切片が+1%以上。
○:実施例1の銀平板粒子分散液を用いて作製した熱線遮蔽材のグラフ中の一次曲線のx切片を基準として、x切片が−1%以上、+1%未満。
×:実施例1の銀平板粒子分散液を用いて作製した熱線遮蔽材のグラフ中の一次曲線のx切片を基準として、x切片が−4%以上、−1%未満。
××:実施例1の銀平板粒子分散液を用いて作製した熱線遮蔽材のグラフ中の一次曲線のx切片を基準として、x切片が−4%未満。
得られた結果を下記表1に記載した。
なお、実施例1の銀平板粒子分散液を用いて作製した熱線遮蔽材の遮熱係数は、0.68であった。
−ヘイズ−
ヘイズメーター(NDH−5000、日本電色工業株式会社製)を用いて、前記の通りに得た遮熱フィルムのヘイズ(%)を測定した。
《評価基準》
◎:実施例1の銀平板粒子分散液を用いて作製した熱線遮蔽材を基準として、基準値の+10%以下。
○:実施例1の銀平板粒子分散液を用いて作製した熱線遮蔽材を基準として、基準値の+20%以内。
△:実施例1の銀平板粒子分散液を用いて作製した熱線遮蔽材を基準として、基準値の+40%未満。
×:実施例1の銀平板粒子分散液を用いて作製した熱線遮蔽材を基準として、基準値の+40%以上。
得られた結果を下記表1に記載した。
なお、実施例1の銀平板粒子分散液を用いて作製したヘイズは、0.9%であった。
−銀平板粒子のRMS粒状度−
作製した実施例1の熱線遮蔽材について、熱線遮蔽材の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、得られたSEM画像を二値化し、金属平板粒子と基板を分けた。その結果をRMSパッチ処理前画像として、図3Aに示した。そして、0.6μm□のメッシュ状に区分して、メッシュ内の濃度を平均化した画像を作成し、これをRMSパッチ処理後画像として、図3Bに示した。この図3Bよりメッシュ内の濃度を平均化した値を求め、図3Cに示すヒストグラムを作成した。この図3Cに示すヒストグラムから算出した、平均化した濃度の変動係数を実施例1の熱線遮蔽材の銀平板粒子のRMS粒状度とした。
なお、その他の各実施例および比較例の熱線遮蔽材についても実施例1と同様にして銀平板粒子のRMS粒状度を求めた。
得られた銀平板粒子のRMS粒状度の結果を下記表1に記載した。
また、各実施例および比較例の熱線遮蔽材中の銀平板粒子のRMS粒状度の、金属平板粒子の一次粒子の平均粒径と、該一次粒子が凝集してできた二次粒子の平均粒径との比(二次粒子粒径/一次粒子粒径)との関係を散布図にまとめたものを下記図8に示した。図8より、金属平板粒子の一次粒子の平均粒径と、該一次粒子が凝集してできた二次粒子の平均粒径との比(二次粒子粒径/一次粒子粒径)が1.0〜3.0であると、製造された熱線遮蔽材中の銀平板粒子のRMS粒状度が顕著に低くなることがわかった。

本発明の金属平板粒子分散液を用いて製造した熱線遮蔽材は、遮熱性能に優れることがわかった。また、本発明の金属平板粒子分散液を用いて製造した熱線遮蔽材は低ヘイズであった。
一方、各比較例より、金属平板粒子の一次粒子の平均粒径と、該一次粒子が凝集してできた二次粒子の平均粒径との比(二次粒子粒径/一次粒子粒径)が1.0〜3.0の範囲、pHが5〜10の範囲、また金属平板粒子含有量が22g/L以下の範囲を外れると、金属平板粒子分散液を用いて製造した熱線遮蔽材は、遮熱性能が悪いことが分かった。特に、比較例6は、特開2011−118347号公報の実施例に記載の方法を模して再分散を行った態様であるが、この方法では、pHや金属平板粒子含有量は範囲内であったものの、金属平板粒子の一次粒子の平均粒径と、該一次粒子が凝集してできた二次粒子の平均粒径との比(二次粒子粒径/一次粒子粒径)が1.0〜3.0の金属平板粒子分散液を得ることができないことがわかった。
本発明の熱線遮蔽材は、遮熱性能に優れるので、例えば自動車、バス等の乗り物用フィルムや貼合せ構造体、建材用フィルムや貼合せ構造体などとして、熱線の透過を防止することの求められる種々の部材として好適に利用可能である。
1 基材
2 金属粒子含有層
2a 金属粒子含有層の表面
3 金属平板粒子
4 オーバーコート層
5 ハードコート層
10 熱線遮蔽材
11 粘着層
12 金属酸化物粒子含有層
D 直径
L 厚み
F(λ) 粒子存在域厚み

Claims (5)

  1. 金属平板粒子を含み、
    前記金属平板粒子の一次粒子の平均粒径と、該一次粒子が凝集してできた二次粒子の平均粒径との比(二次粒子粒径/一次粒子粒径)が1.0〜3.0であり、
    pHが5〜10であり、
    前記金属平板粒子の含有量が22g/L以下であることを特徴とする金属平板粒子分散液。
  2. 前記金属平板粒子が、少なくとも銀を含むことを特徴とする請求項1に記載の金属平板粒子分散液。
  3. さらにゼラチンを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の金属平板粒子分散液。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載された金属平板粒子分散液を用いて形成された金属粒子含有層を有することを特徴とする熱線遮蔽材。
  5. 前記金属粒子含有層における前記金属平板粒子のRMS粒状度が15以下であることを特徴とする請求項4に記載の熱線遮蔽材。
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