JP2014070234A - チタン酸化物系蒸着材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】亜酸化チタンの蒸着材料と同等の性能を持ち、十分な機械的強度を有し、スプラッシュの発生が抑制され、さらに、蒸着対象を問わず屈折率の高い二酸化チタン蒸着膜を安定して得ることができるチタン酸化物系蒸着材料を提供する。
【解決手段】組成式TiO(1.4≦x≦1.8)で表されるチタン酸化物からなる主成分と、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム及び酸化イッテルビウムからなる群より選択される少なくとも一種からなる第1の副成分と、ガーネット構造をとる化合物及び酸化イットリウムからなる群より選択される少なくとも一種からなる第2の副成分と、少なくとも一種のチタン酸塩からなる第3の副成分と、からなる焼結体を蒸着材料に含む。
【選択図】なし

Description

本発明はチタン酸化物を主成分とした蒸着材料に関するものである。
真空蒸着は、真空チャンバー内で蒸着材料を電子銃や抵抗加熱によって蒸発させ、対象物に蒸着膜を形成する技術である。二酸化チタン(TiO)蒸着膜は、チタン酸化合物系の蒸着材料から真空蒸着によって形成されるが、屈折率が非常に高く耐熱性に優れるため、従来からダイクロイックフィルター、ダイクロイックミラー等に用いられている。
二酸化チタンを蒸着材料として二酸化チタン蒸着膜を形成しようとすると、気化した蒸着材料が凝固して膜になる際(蒸着膜形成時)に酸素ガスを放出するため、蒸着膜の品位はよくない。そのため、蒸着材料は二酸化チタン以外の形態をとることが一般的である。例えば他のチタン酸化物や金属チタンの内のいくつかを組み合わせた形態をとる。
あるいは各種目的のために、蒸着材料中に他元素を添加する技術も存在する。特許文献1では、プラスチックや樹脂等蒸着時に温度を上げられない基板に対しても屈折率が2.0以上の高屈折率な光学薄膜が得られるよう、酸化チタン(TiO、A=1.0〜1.75)と酸化ジルコニウムを所定比で混合し、焼結又は溶融固化する技術が提案されている。
特許文献2では、蒸着によって形成される層について、溶融及び蒸着中にその組成が変化せず、且つ屈折率が2.0以上となるように、酸化チタンと酸化イッテルビウムとを所定のモル比で含有したものを蒸着材料とする技術が提案されている。
特許文献3では、二酸化チタンからなるスパッタリングターゲットの導電性を高め、且つスパッタリングによって付着される層の屈折率が2.3以上となるように、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等を二酸化チタンにドーピングさせる技術が提案されている。
特許文献4では、酸化チタンベースの焼結体蒸着材料の機械的強度を高めるために、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム及び酸化イッテルビウムからなる群からの酸化物をTiO(x=1.4〜1.8)に含有させる技術が提案されている。具体的には二酸化チタン、金属チタン及び酸化ジルコニウムを所定量混合、造粒し、減圧下で焼結させたものが開示されている。
しかし、特許文献4の技術では機械的強度をある程度改善できるものの、蒸着時のスプラッシュ発生を十分抑制できる程ではなかった。本出願人は、このような事情を踏まえ、一般式TiO(x=1.4〜1.8)で表されるチタン酸化物(亜酸化チタン)にガーネット構造をとる化合物を含有させる技術、あるいは亜酸化チタンに酸化イットリウムを必須とした複数種の酸化物を含有させる技術を提案し、先に出願した(特許文献5)。
特開平5−264804号公報 特表2006−519305号公報 特開2003−073820号公報 特開平9−241830号公報 特開2012−107276号公報
特許文献5の技術により、亜酸化チタンの蒸着材料と同等の性能を持ち、且つ機械的強度が改善され、蒸着時のスプラッシュの発生も抑止できるチタン酸化物系の蒸着材料が得られるようになった。しかし、その後の研究で本発明者らは、蒸着対象が樹脂等のように基板温度を高くできない材料の場合、得られる蒸着膜の屈折率が想定した値より低くなり得ることを発見した。蒸着される材料の用途によっては、求められる屈折率の規格が厳しいこともあり、依然改良の余地が残されていた。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、亜酸化チタンの蒸着材料と同等の性能を持ち、十分な機械的強度を有し、スプラッシュの発生が抑制され、さらに、蒸着対象を問わず屈折率の高い二酸化チタン蒸着膜を安定して得ることができるチタン酸化物系蒸着材料を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を重ね、本発明を完成するに至った。本発明者らは、特定組成のチタン酸化物に、特定の酸化物と、チタン酸塩とを含有させた焼結体を含む蒸着材料が、取り扱い時に破砕しにくく、破砕しても微粉がほとんど発生せず、且つ蒸着条件による屈折率の低下を防止できることを見出した。
本発明の蒸着材料は、組成式TiO(1.4≦x≦1.8)で表されるチタン酸化物からなる主成分と、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム及び酸化イッテルビウムからなる群より選択される少なくとも一種からなる第1の副成分と、ガーネット構造をとる化合物及び酸化イットリウムからなる群より選択される少なくとも一種からなる第2の副成分と、少なくとも一種のチタン酸塩からなる第3の副成分からなる焼結体であることを特徴とする。
前記第1の副成分は酸化アルミニウムであることが好ましい。
前記第3の副成分において、前記チタン酸塩は少なくとも一種のアルカリ土類金属チタン酸塩であることが好ましい。
前記第1の副成分、第2の副成分及び第3の副成分の合計は、前記焼結体に対して1重量%以上10重量%以下であることが好ましい。
前記蒸着材料は、0.1Pa〜1.0×10−4Paの圧力下、1300℃〜1750℃で焼成されてなる焼結体であることが好ましい。
本発明のチタン酸化物系蒸着材料は上記の特徴を備えているので、亜酸化チタンの性能と、機械的強度及びスプラッシュ抑止能力を維持しつつ、さらに、蒸着対象を問わず屈折率の高い二酸化チタン蒸着膜を安定して得ることができる。
以下、本発明の蒸着材料及びその製造方法について説明する。但し、本発明は以下の説明によって制限されるものではない。
本発明の蒸着材料は、主成分と、3種の副成分からなる焼結体を含む。以下、これらを中心に説明する。
<主成分>
主成分は、組成式TiO(1.4≦x≦1.8)で表される亜酸化チタンである。亜酸化チタンを蒸着材料とし、適度な酸素分圧下で蒸着すると、蒸着膜形成時のガス発生が抑えられ、品位の高い蒸着膜が得られる。蒸着材料が二酸化チタンの場合、ガス発生により、例えば蒸着膜内部に空孔が形成される等の不具合が生じ、蒸着膜の品位が劣る。
xの値は、1.4を下回ると蒸着膜が着色する傾向が、1.8を上回ると蒸着膜形成時のガス発生が増える傾向にあるので、1.4≦x≦1.8である必要がある。1.5≦x≦1.7であると、蒸着材料を気化させるのに必要なエネルギーが低くなるので好ましい。1.6≦x≦1.7(ほぼTiに相当する)であると、特に必要なエネルギーが低くなるのでより好ましい。
<第1の副成分>
第1の副成分は、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム及び酸化イッテルビウムからなる群より選択される少なくとも一種からなる。これらは、得られる焼結体の粒子間の結合強度を高める。その結果、亜酸化チタンの焼結体であるにも拘わらず容易に破砕して微粉を生じる不具合が抑制される。チタン酸化物系の焼結体においては、特に酸化アルミニウムがこれらの効果が高く、好ましい。但し、第1の副成分は焼成時に粒子成長を促し、焼結体中に粒界が増えることになる。この粒界は蒸着時のスプラッシュ発生の原因となるので、後述の第2の副成分が必要となる。
第1の副成分の含有量は、少なすぎればその効果が表れず、多すぎれば他の副成分の調整が必要になるので、適宜調節する。好ましい範囲は焼結体に対して0.5重量%以上2.0重量%以下であり、各種課題を克服し易い。より好ましい範囲は0.7重量%以上1.5重量%以下である。
<第2の副成分>
第2の副成分は、ガーネット構造をとる化合物及び酸化イットリウムからなる群より選択される少なくとも一種からなる。これらは得られる焼結体の粒子間の結合強度を高めると共に、焼成時の粒子成長を抑制する効果を有する。そのため、第1及び第2の副成分が存在することで、得られる焼結体の機械的強度が格段に高められると共に、蒸着時のスプラッシュ発生を抑制することができる。
ガーネット構造をとる化合物には、A(SiO(AはCa、Fe、Mn、Mgなど、BはAl、Cr、Tiなど)で表されるオルトケイ酸塩(いわゆる柘榴石)、イットリウム鉄ガーネット(YIG)に代表される希土類鉄ガーネット、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)に代表される希土類アルミニウムガーネットなどがある。中でも希土類アルミニウムガーネットが適度な強度の焼結体を得やすいので好ましい。
前記希土類アルミニウムガーネットの中でも、イットリウム、ランタン、ガドリニウム及びルテチウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素を希土類元素としたものは焼結体の特性を制御しやすいのでより好ましい。中でもYAGあるいは希土類元素の主成分がイットリウムであるものは製造バラツキが少なく特に好ましい。
前述のガーネット構造をとる化合物と同様の効果を有する単純酸化物として、酸化イットリウムがある。そのため、ガーネット構造をとる化合物、酸化イットリウムあるいは両者を用いることができる。
第2の副成分についても、第1の副成分と同様の理由で、好ましい含有量の範囲は、焼結体に対して0.5重量%以上2.0重量%以下である。より好ましくは0.7重量%以上1.5重量%以下である。
<第3の副成分>
第3の副成分は、少なくとも一種のチタン酸塩からなる。チタン酸塩は二酸化チタンと同等あるいはそれ以上の屈折率を有す傾向にあり、なおかつ第1及び第2の副成分と効果を相殺することがない。そのため、これらを第3の副成分として用いると、比較的低温でも安定して高屈折率膜を維持させることができ、第1の副成分と第2の副成分により低下する屈折率を抑制する。チタン酸塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属等のチタン酸塩が選択可能であるが、中でもアルカリ土類金属チタン酸塩は、第2の副成分と共存することでスプラッシュ抑制効果を相乗的に高め、さらに価格も安いので好ましい。特に、アルカリ土類金属がバリウム又はストロンチウムのいずれか、又は両方であると、安定して成膜できるのでより好ましい。
第3の副成分の含有量は、少なすぎればその効果が得られず、多すぎればスプラッシュ抑制効果が低下するので、適宜調節する。第3の副成分は、高屈折率膜を安定して成膜する鍵を握るため、第1及び第2の副成分に比べて好ましい範囲が多めである。好ましい範囲は焼結体に対して1.0重量%以上5.0重量%以下であり、各種課題を克服し易い。より好ましくは1.5重量%以上3.0重量%以下である。
<主成分及び副成分の割合>
本発明の蒸着材料において、主成分は蒸着材料としての基本的な特性を決めるものである。そのため、蒸着材料全体に対しておおよそ80重量%以上存在していれば主成分たるものとする。一方、副成分は多すぎると主成分の特性を損なう虞が、少なすぎると副成分による効果が発現しないので、適宜調整する。本発明において、副成分の合計が焼結体に対して1重量%以上10重量%以下なら、蒸着材料としての基本的な特性を維持しつつ亜酸化チタン特有の課題を解決できるので好ましい。より好ましい範囲は3重量%以上5重量%以下である。なお、目的に応じて、あるいは製造工程、蒸着工程等における混入によって、上記主成分、副成分以外の成分が含まれていてもよい。但し主成分が主成分として機能する程度までの範囲とする。
<副成分間の関係>
第1の副成分と第2の副成分について、その重量比が1:1に近いと微粉発生とスプラッシュ発生を共に効果的に抑制できるので好ましい。実質的にはその比が1:0.85から1:1.15程度の間なら十分効果的に抑制できる。第1及び第2の副成分と、第3の副成分について、高屈折率の蒸着膜を安定して得るには、第1及び第2の副成分の合計に対して第3の副成分が多い方が好ましい。両者の重量比が1:1.5〜1:3.0程度の間ならその効果が特に高く、且つ各種課題を克服し易いので特に好ましい。
<蒸着材料の製造方法>
次に、本発明の蒸着材料の製造方法について説明する。
本発明の蒸着材料は、混合工程及び焼成工程を含む工程を経て得られる焼結体を含む。以下、焼結体の製造方法を中心に説明する。
<混合工程>
主成分の原料と、副成分の原料を公知の方法で混合し、混合原料を得る。混合原料はさらに造粒、加圧成形等を施してもよい。
主成分の原料は、目的組成である市販の主成分を用いてもよいし、金属チタン及び各種チタン酸化物を目的組成に応じて適宜選択し、混合して用いてもよい。例えば金属チタンと二酸化チタン、一酸化チタンと二酸化チタン、金属チタンと一酸化チタンと五酸化三チタン、三酸化二チタンと二酸化チタン、等様々な組み合わせが可能である。原料入手のし易さ、価格、取り扱い易さ等を考慮すると、金属チタンと二酸化チタンを混合するのが好ましい。
副成分の原料は、目的組成の化合物を用いる。焼成時の予期せぬ反応を防ぐため、他の形態(例えばハロゲン化物、硫酸塩等)の原料は用いない。
<焼成工程>
混合工程で得られる混合原料を焼成し、焼結体を得る。焼成手法は炉内の雰囲気をチタンと反応しないように調整して電気炉等で焼成してもよいし、炉内の真空度を高めて(排気、減圧して)真空炉で焼成してもよい。後者の方が現実的な手法と言えて好ましい。前者の場合は、例えばアルゴン等の希ガス雰囲気を用いる。
焼成温度は、炉の構造、雰囲気等によって適宜決定する。低すぎれば焼結が不十分に、高すぎれば焼結体が堅くなりすぎたり粒子成長が起こりすぎたりする傾向にあるので注意が必要である。雰囲気焼成の場合は1200℃〜1500℃であればよく、好ましくは1300℃〜1400℃である。真空焼成の場合は、1300〜1750℃であればよく、好ましくは1650℃〜1720℃である。真空焼成は、雰囲気焼成に比べると、チタンが酸素以外の元素と反応するのをほぼ確実に防止できるのでより好ましい。
真空焼成する場合、10Pa以下の圧力範囲で焼成することで真空焼成としての意味をなす。真空度は高ければ高いに越したことはないが、コストや手間考慮すると、1.0×10−1Pa〜1.0×10−4Paの圧力範囲が現実的であり好ましい。
<その他の工程>
得られた焼結体は使用目的に応じて適宜粉砕工程を設けて粒度調整を行ってもよい。あるいは高水圧切断機等で特定の大きさの断片に切り分けてもよい。本発明の蒸着材料に含まれる焼結体は、通常の取り扱い中に意図しない破砕はほとんど起こらず、また、粉砕工程においても微粉がほとんど発生しない。
これらの工程を経て得られる焼結体は、主成分及び各副成分がそれぞれ独立して存在している。このことは粉末X線回折(XRD)によって確認できる。すなわち、XRDスペクトルの形状はおおよそ主成分のものと同等である。但し、バックグラウンドのノイズが増加し、スペクトルのピークは半値幅が広がり、ややブロードになる。このことから、化学的には変化が生じていないが、結晶的な特性に変化が生じていることが分かる。なお、相対的な量の少なさ故に、各副成分に係るスペクトルのピークははっきりとは観察できない。
以下、実施例を用いてより具体的に説明する。もちろん本発明は実施例にのみ限定されるものではない。
平均粒径0.5μmの二酸化チタン粉末85.3重量%、公称目開き45μmの金属製網篩によって粗大粒子が取り除かれた金属チタン粉末10.2重量%、チタン酸ストロンチウム2.5重量%、酸化アルミニウム粉末1.0重量%及びYAG粉末1.0重量%を撹拌混合機で混合して混合原料を得た。混合原料は造粒機で粒径0.5mm〜3.0mm程度の顆粒状に造粒した。得られた造粒品を、1Pa以下の減圧下、1700℃で2時間焼成し、焼結体を得た。得られた焼結体を粗粉砕し、粒径0.5mm〜3.0mm程度の焼結顆粒を得た。
二酸化チタン粉末85.7重量%、金属チタン粉末10.3重量%、チタン酸ストロンチウム2.0重量%を混合した以外は実施例1と同様にし、焼結顆粒を得た。
チタン酸ストロンチウムに代わり、チタン酸バリウム2.0重量%を混合した以外は実施例2と同様にし、焼結顆粒を得た。
[比較例1]
平均粒径0.5μmの二酸化チタン粉末86.6重量%、公称目開き45μmの金属製網篩によって粗大粒子が取り除かれた金属チタン粉末10.4重量%、酸化アルミニウム粉末1.0重量%及びYAG粉末2.0重量%を撹拌混合機で混合し、造粒機で粒径0.5mm〜3.0mm程度の顆粒状に造粒した。得られた造粒品を、1Pa以下の減圧下、1700℃で2時間焼成し、焼結体を得た。得られた焼結体を粗粉砕し、粒径0.5mm〜3.0mm程度の焼結顆粒を得た。
[比較例2]
平均粒径0.5μmの二酸化チタン粉末89.3重量%、公称目開き45μmの金属製網篩によって粗大粒子が取り除かれた金属チタン粉末10.7重量%とを撹拌混合機で混合し、造粒機で粒径0.5mm〜3.0mm程度の顆粒状に造粒した。得られた造粒品を、1Pa以下の減圧下、1700℃で2時間焼成し、焼結体を得た。得られた焼結体を粗粉砕し、粒径0.5mm〜3.0mm程度の焼結顆粒を得た。
[比較例3]
比較例2と同様にして混合原料を顆粒状に造粒した。得られた造粒品を、1Pa以下の減圧下、1800℃で2時間焼成し、溶融体を得た。得られた溶融体を粗粉砕し、粒径0.5mm〜3.0mm程度の顆粒を得た。
[比較例4]
平均粒径0.5μmの二酸化チタン粉末86.6重量%、公称目開き45μmの金属製網篩によって粗大粒子が取り除かれた金属チタン粉末10.4重量%及びチタン酸ストロンチウム3.0重量%を撹拌混合機で混合し、造粒機で粒径0.5〜3.0mm程度の顆粒状に造粒した。以下実施例1と同様にして焼結顆粒を得た。
<微粉発生率>
実施例1〜3及び比較例1〜4の焼結顆粒を保管用ナイロン袋に梱包し、蒸着装置まで移動させた後、保管用ナイロン袋から取り出し、蒸着装置に設置した。焼結顆粒を蒸着装置に設置するまでに発生した微粉は保管用ナイロン袋から分取し、公称目開き0.1mmの金属製網篩で篩分けた。篩分けられた微粉の焼結顆粒に対する割合(重量比)を微粉発生率とした。微粉発生率が大きいほど得られた焼結体は脆く、取り扱いにくい(ハンドリングが悪い)と言える。微粉発生率が0.5%程度に達すると、焼結体の取り扱いにくさが非常によく実感できる。
微粉が取り除かれた焼結顆粒を用い、電子ビーム蒸着装置で以下の要領でスプラッシュ発と蒸着膜の評価とを行った。
<スプラッシュ評価>
電子ビーム蒸着装置の銅製ハース(ルツボ)内に焼結顆粒を、試料台にガラス基板を設置し、装置内を5.0×10−4Paまで排気、減圧した。減圧後、加速電圧6kVで電子銃から250mAの電子ビームを発生させ、焼結顆粒を加熱、溶解した。焼結顆粒の加熱開始から、焼結顆粒全体が溶融するまでの間、電子ビーム蒸着装置の窓から銅製ハースを目視で観察し、スプラッシュの発生頻度を比較した。
<蒸着膜の評価>
焼結顆粒全体の溶解を確認した後、装置内部を1.4×10−2Paの酸素雰囲気に調整し、電子ビームの電流値を成膜速度0.3nm/secとなるような値に調整し、ガラス基板を80℃に保ちながら光学膜厚2λの蒸着膜を生成した。得られた蒸着膜について、分光光度計で透過・反射のピークを求めて波長分散特性を算出し、波長560nm付近における屈折率を求めた。なお、ガラス基板の温度は、樹脂基板に蒸着膜を生成する時の温度に合わせて低くしてある(通常は250℃)。
実施例1〜3及び比較例1〜4における、各原料の重量比を表1に、微粉発生率、スプラッシュ及び蒸着膜の評価結果、並びに焼結顆粒あるいは溶融体の嵩密度を表2に示す。
Figure 2014070234
Figure 2014070234
表1及び2より、第3の副成分を含むことで、得られる蒸着膜の屈折率が安定して2.24以上となっており、高屈折率の蒸着膜を安定して得られることが分かる。一方、第1あるいは第2の副成分が存在しないと、微粉発生率が高くなる、あるいはスプラッシュが多くなる、といった弊害が生じることが分かる。本発明の蒸着材料は、第1〜第3の副成分を含んでいるので、焼結体系の蒸着材料でありながら溶融体なみの性能を有する。一方、焼結体系の蒸着材料なので、溶融体のように、熱膨張差由来のルツボ破損リスクや、ルツボへの癒着による収率低下といったデメリットがない。
本発明の蒸着材料を用いることで、膜品位の高い二酸化チタン蒸着膜を、比較的低温でも形成することができる。そのため、本発明の蒸着材料は、蒸着対象の材質を問わず適用することができる。また、本発明の蒸着材料はその歩留まりが高く、ハンドリングがよいので、膜品位の高い二酸化チタン蒸着膜を多岐に渡る材料に安価に且つ安定して形成することができる。その結果、高屈折率で耐熱性の高い多様な光学機器が安価にかつ安定して製造できる。

Claims (6)

  1. 組成式TiO(1.4≦x≦1.8)で表されるチタン酸化物からなる主成分と、
    酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム及び酸化イッテルビウムからなる群より選択される少なくとも一種からなる第1の副成分と、
    ガーネット構造をとる化合物及び酸化イットリウムからなる群より選択される少なくとも一種からなる第2の副成分と、
    少なくとも一種のチタン酸塩からなる第3の副成分と、
    からなる焼結体を含む蒸着材料。
  2. 前記第1の副成分が酸化アルミニウムである、請求項1に記載の蒸着材料。
  3. 前記第3の副成分において、前記チタン酸塩が少なくとも一種のアルカリ土類金属チタン酸塩である、請求項1又は2に記載の蒸着材料。
  4. 前記第3の副成分において、前記チタン酸塩がチタン酸ストロンチウム及びチタン酸バリウムからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蒸着材料。
  5. 前記第1の副成分、前記第2の副成分及び前記第3の副成分の合計が、前記焼結体に対して1重量%以上10重量%以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の蒸着材料。
  6. 前記焼結体が、0.1Pa〜1.0×10−4Paの圧力下、1300℃〜1750℃で焼成されてなる焼結体である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の蒸着材料。
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