JP2014069445A - 加飾シート、及び加飾樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材層上に、少なくとも、プライマー層、及び表面保護層を順に有する加飾シートにおいて、当該表面保護層を艶消し剤及び電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物から形成し、且つ当該プライマー層に疎水処理シリカ粒子を配合することによって、質感のある豊かな低艶感が表出された意匠性と、優れた成形性を兼ね備えさせ得る。
【選択図】なし
Description
項1. 基材層上に、少なくとも、プライマー層、及び表面保護層を順に有しており、
前記表面保護層が、艶消し剤及び電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物から形成されており、且つ
前記プライマー層が、疎水処理シリカ粒子を含有している、
ことを特徴とする、加飾シート。
項2. 電離放射線硬化性樹脂が、ポリカーボネート(メタ)アクリレート及び/又はアクリルシリコーン(メタ)アクリレートである、項1に記載の加飾シート。
項3. 前記基材層とプライマー層の間に、絵柄模様層が設けられている、項1又は2に記載の加飾シート。
項4. 前記プライマー層と表面保護層の間に、表面保護層との相互作用により低光沢領域を発現する低艶模様層が設けられている、項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
項5. 前記基材層とプライマー層の間に、透明樹脂層が設けられている、項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
項6. 前記疎水処理シリカ粒子の平均粒径が0.1〜5μmである、項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
項7. 前記艶消し剤が、アクリルビーズ、シリコーンゴムビーズ、及びウレタンビーズよりなる群から選択される少なくとも1種である、項1〜6のいずれかに記載の加飾シート。
項8. 前記艶消し剤の平均粒径が0.1〜25μmである、項1〜7のいずれかに記載の加飾シート。
項9. 前記表面保護層における艶消し剤の含有量が、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して1〜70質量部である、項1〜8のいずれかに記載の加飾シート。
項10. 少なくとも、射出樹脂層、基材層、プライマー層、及び表面保護層を順に有しており、
前記表面保護層が、艶消し剤及び電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物から形成されており、且つ
前記プライマー層が疎水処理シリカ粒子を含有している、
ことを特徴とする、加飾樹脂成形品。
項11. 下記工程を含む加飾樹脂成形品の製造方法:
項1〜9のいずれかに記載の加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、
真空成形された加飾シートの余分な部分をトリミングして成形シートを得る工程、及び
前記工程で得られた成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する工程。
項12. 下記工程を含む加飾樹脂成形品の製造方法:
項1〜9のいずれかに記載の加飾シートを、所定形状の成形面を有する可動金型の当該成形面に対し、前記加飾シートの基材が対面するように設置した後、当該加飾シートを加熱、軟化させると共に、前記可動金型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを当該可動金型の成形面に沿って密着させることにより、加飾シートを予備成形する工程、
成形面に沿って密着された加飾シートを有する可動金型と固定金型とを型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の樹脂成形材料を射出、充填して固化させることにより、形成された樹脂成形体と加飾シートを積層一体化させる射出成形工程、及び
可動金型を固定金型から離間させて、加飾シート全層が積層されてなる樹脂成形体を取り出す工程。
本発明の加飾シートは、基材層上に、少なくとも、プライマー層、及び表面保護層を順に有しており、前記表面保護層が、艶消し剤及び電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物から形成されており、且つ前記プライマー層が疎水処理シリカ粒子を含有していることを特徴とする。以下、本発明の加飾シートについて、詳述する。
本発明の加飾シートは、基材層上に、少なくとも、プライマー層、及び表面保護層を順に有する積層構造を有する。
[基材層]
基材層は、本発明の加飾シートにおいて支持体としての役割を果たす。基材層に使用される樹脂成分については、特に制限されず、三次元成形性や射出樹脂との相性等に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムが挙げられる。該熱可塑性樹脂としては、具体的には、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」と表記することもある)、アクリロニトリル/スチレン/アクリル酸エステル樹脂(以下「ASA樹脂」表記することもある)、アクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタラート(PET)等が挙げられる。これらの中でも、ABS樹脂が三次元成形性の観点から好ましい。また、基材層は、これら樹脂の単層シートで形成されていてもよく、また同種又は異種樹脂による複層シートで形成されていてもよい。
絵柄層は、加飾シートに装飾性を付与する目的で、基材層とプライマー層の間、又は隠蔽層を設ける場合は隠蔽層とプライマー層の間に、必要に応じて設けられる層である。
透明樹脂層は、耐薬品性や耐傷付き性を向上させる目的で、基材層とプライマー層の間、又は絵柄層を設ける場合は絵柄層とプライマー層の間に、必要に応じて設けられる層である。
プライマー層は、疎水処理シリカ粒子を含む層であり、基材層と表面保護層の間、絵柄層を設ける場合は絵柄層と表面保護層の間、低艶絵柄層を設ける場合は基材層と低艶絵柄層の間、絵柄層と低艶絵柄層を設ける場合は絵柄層と低艶絵柄層の間、透明樹脂層を設ける場合であれば透明樹脂層と表面保護層の間、又は透明樹脂層と低艶絵柄層を設ける場合は透明樹脂層と低艶絵柄層の間に設けられる。なお、低艶絵柄層を設ける場合、プライマー層は、図1及び3に示されるように、低艶絵柄層と表面保護層の双方に接面することがある。
(破断伸度測定の測定条件)
JIS K 7127:1999に準拠し、プライマー層を構成するプライマー組成物を架橋硬化(50℃72時間加熱)して製膜した幅25mm×長さ(チャック間距離)50mm×厚さ40±10μmのサンプルを120℃のオーブン投入後、120秒放置した後、引張速度:50mm/minで破断伸度を測定する。
低艶絵柄層は、表面の凹凸模様を良好に表出させて低艶感を強調する目的で、プライマー層と表面保護層の間に、必要に応じて設けられる層である。
表面保護層は、艶消し剤及び電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物から形成される層であり、加飾シートの最表面(プライマー層上、又は低艶絵柄層を設ける場合は低艶絵柄層上)に設けられる。
表面保護層に使用される艶消し剤とは、光を乱反射させて艶を消失又は減弱させる成分である。表面保護層に含有される艶消し剤としては、特に制限されず、塗料等の分野で一般的に使用されているもの用いることができ、合成樹脂粒子又は樹脂粒子のいずれであってもよい。艶消し剤として、具体的には、アクリルビーズ、ウレタンビーズ、ナイロンビーズ、シリコーンビーズ、シリコーンゴムビーズ、ポリカーボネートビーズ等の合成樹脂粒子;シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、これらの疎水処理物等の無機粒子等が挙げられる。これらの艶消し剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの艶消し剤の中でも、成形性をより一層向上させる、表出させる低艶感をより一層向上させる、射出成形後の艶上がりを押さえる、等の観点から、好ましくは合成樹脂粒子、更に好ましくはアクリルビーズ、シリコーンゴムビーズ、ウレタンビーズ、特に好ましくはウレタンビーズが挙げられる。
表面保護層の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜混合したものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、表面保護層の形成において好適に使用される。
電離放射線硬化性樹脂として使用されるポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端あるいは側鎖に(メタ)アクリレートを有するものであれば、特に制限されない。また、当該(メタ)アクリレートは、架橋、硬化を良好にするという観点から、1分子当たりの官能基の数として、通常2個以上、好ましくは2〜6個が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂として使用されるアクリルシリコーン(メタ)アクリレートとしては、特に限定されず、1分子中に、アクリル樹脂の構造の一部がシロキサン結合(Si−O)に置換しており、且つ官能基としてアクリル樹脂の側鎖及び/又は主鎖末端に(メタ)アクリロイルオキシ基(アクリロイルオキシ基又はメタアクリロイルオキシ基)を2個以上有しているものであればよい。このアクリルシリコーン(メタ)アクリレートの好適な例としては、例えば、特開2007−070544号公報に開示されるような側鎖にシロキサン結合を有するアクリル樹脂の構造が挙げられる。また、当該アクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、質感のある豊かな低艶感の表出効果と成形性をより一層向上させるという観点から、1分子当たりの官能基の数として、通常2個以上、好ましくは3〜8個が挙げられる。
表面保護層を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物には、表面保護層に備えさせる所望の物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
表面保護層の硬化後の厚さについては、特に制限されないが、例えば、1〜1000μm、好ましくは1〜50μm、更に好ましくは1〜30μmが挙げられる。このような範囲の厚さを満たすと、耐傷付き性、耐候性等の保護層としての十分な物性が得られると共に、電離放射線を均一に照射することが可能であるため、均一に硬化することが可能となり、経済的にも有利になる。更に、表面保護層の硬化後の厚さが前記範囲を充足することによって、加飾シートの三次元成形性が一層向上するため自動車内装用途等の複雑な3次元形状に対して高い追従性を得ることができる。このように、本発明の加飾シートは表面保護層の厚さを従来のものより厚くしても、十分に高い三次元成形性が得られることから、特に表面保護層に高い膜厚を要求される部材、例えば車両外装部品等の加飾シートとしても有用である。
表面保護層の形成は、艶消し剤及び電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、これを塗布し、架橋硬化することにより行われる。なお、電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗布方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよい。
接着層は、加飾樹脂製品の成形の際に射出樹脂との密着性を高めることを目的として、基材層の裏面(表面保護層とは反対側の面)に、必要に応じて設けられる層である。
本発明の加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートに射出樹脂を一体化させることにより成形されてなるものである。即ち、本発明の加飾樹脂成形品は、少なくとも射出樹脂層、基材層、プライマー層、及び表面保護層を順に有しており、当該表面保護層が、艶消し剤及び電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物から形成されており、且つプライマー層が疎水処理シリカ粒子を含有していることを特徴とする。
本発明の加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、
真空成形された加飾シートの余分な部分をトリミングして成形シートを得る工程、及び
前記工程で得られた成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する工程。
本発明の加飾シートを、所定形状の成形面を有する可動金型の当該成形面に対し、前記加飾シートの基材が対面するように設置した後、当該加飾シートを加熱、軟化させると共に、前記可動金型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを当該可動金型の成形面に沿って密着させることにより、加飾シートを予備成形する工程、
成形面に沿って密着された加飾シートを有する可動金型と固定金型とを型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の樹脂成形材料を射出、充填して固化させることにより、形成された樹脂成形体と加飾シートを積層一体化させる射出成形工程、及び
可動金型を固定金型から離間させて、加飾シート全層が積層されてなる樹脂成形体を取り出す工程。
基材層として、着色ABS樹脂フィルム(厚さ400μm)を用いた。当該基材層上に、アクリル樹脂を含むインキ組成物を用いて、木目柄の絵柄層(厚さ5μm)をグラビア印刷により形成した。絵柄層上に、表1に示す組成のプライマー層を乾燥後の厚みが2μmとなるように印刷した。次いで、当該プライマー層上に、表1に示す組成の電離放射線硬化性樹脂組成物を、硬化後の厚さが3μmとなるように塗工した。この電離放射線硬化性樹脂組成物に加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)を照射して硬化させ、表面保護層を形成した。斯して、基材層/絵柄層/プライマー層/表面保護層が順に積層された積層構造の加飾シートを得た。
基材層として、着色ABS樹脂フィルム(厚さ400μm)を用いた。当該基材層上に、アクリル樹脂を含むインキ組成物を用いて、木目柄の絵柄層(厚さ5μm)をグラビア印刷により形成した。絵柄層上に、表1に示す組成のプライマー層を乾燥後の厚みが2μmとなるように印刷した。次いで、当該プライマー層上に、ニトロセルロース樹脂100質量部、及びシリカ(吸油量200ml/100g、平均粒径5μm)100質量部を含むインキを用いて、絵柄層の木目の導管部と同調するように低艶模様層(厚さ1.0μm)をグラビア印刷にて形成した。当該低艶模様層の上から、表1に示す組成の電離放射線硬化性樹脂組成物を、硬化後の厚さが3μmとなるように塗工した。この電離放射線硬化性樹脂組成物に加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)を照射して硬化させ、表面保護層を形成した。斯して、基材層/絵柄層/プライマー層/低艶模様層/表面保護層が順に積層された積層構造の加飾シートを得た。
透明樹脂層として、実施例13では透明アクリルフィルム(厚さ100μm)、実施例14では両面がコロナ処理された透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)を用いた。当該透明樹脂層の一方面に、アクリル樹脂を含むインキ組成物を用いて、木目柄の絵柄層(厚さ5μm)をグラビア印刷により形成した。次いで、絵柄層を形成していない側の透明樹脂層の表面に、表1に示す組成のプライマー層(厚さ2μm)をグラビアリバースにて塗工した。更に、当該プライマー層上に、ニトロセルロース樹脂100質量部、及びシリカ(吸油量200ml/100g、平均粒径5μm)100質量部を含むインキを用いて、絵柄層の木目の導管部と同調するように低艶模様層(厚さ1.0μm)をグラビア印刷にて形成した。当該低艶模様層の上から、表1に示す組成の電離放射線硬化性樹脂組成物を、硬化後の厚さが3μmとなるように塗工した。この電離放射線硬化性樹脂組成物に加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)を照射して硬化させ、表面保護層を形成した。次いで、透明樹脂層に積層された絵柄層上に、ポリエステル系樹脂からなる接着剤を厚さ10μmとなるようにグラビアリバースで塗布し、これに基材層として、着色ABS樹脂フィルム(厚さ350μm)をドライラミネートにより積層させた。斯して、基材層/接着層/絵柄層/透明樹脂層/プライマー層/低艶模様層/表面保護層が順に積層された積層構造の加飾シートを得た。
基材層として、着色ABS樹脂フィルム(厚さ400μm)を用いた。当該基材層上に、アクリル樹脂を含むインキ組成物を用いて、木目柄の絵柄層(厚さ5μm)をグラビア印刷により形成した。絵柄層上に、ニトロセルロース樹脂100質量部、及びシリカ(吸油量200ml/100g、平均粒径5μm)100質量部を含むインキを用いて、絵柄層の木目の導管部と同調するように低艶模様層(厚さ1.0μm)をグラビア印刷にて形成した。当該低艶模様層の上から、表1に示す組成の電離放射線硬化性樹脂組成物を、硬化後の厚さが3μmとなるように塗工した。この電離放射線硬化性樹脂組成物に加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)を照射して硬化させ、表面保護層を形成した。斯して、基材層/絵柄層/低艶模様層/表面保護層が順に積層された積層構造の加飾シートを得た。
各実施例及び比較例で得られた加飾シートについて、以下の示す方法で、三次元成形性、耐傷付き性、低艶効果を評価した。
各加飾シートを赤外線ヒーターで160℃に加熱し、軟化させた。次いで、真空成形用型を用いて真空成形を行い(最大延伸倍率150%)、型の内部形状に成形した。成形後の加飾シートを冷却後、型から離型し、以下の判定基準に従って、三次元成形性を評価した。
(三次元成形性の判定基準)
◎:表面保護層に割れや白化が全く認められず、良好に型の形状に追従できた。
○:三次元形状部又は最大延伸部の一部に微細な塗膜割れ又は白化が認められたが実用上問題なし。
△:最大延伸部のみ、表面保護層に塗膜割れや白化が見られたが、その他の部分は良好であり、実用上問題なし。
×:型の形状に追従できずに表面保護層に著しい塗膜割れや白化が見られた。
各加飾シートを爪で20往復引っ掻き、各加飾シートの外観を測定し、下記の判定基準に従って、耐傷付き性を評価した。
(耐傷付き性の判定基準)
◎:傷付きがなかった。
○:表面に微細な傷が認められたが、塗膜の削れや白化はなかった。
△:表面に傷が認められ、傷付き部分のツヤ上がりが観察された。
×:表面に著しい傷があり、塗膜が削られた。
各加飾シートの木目柄の非導管部について、JIS K 7105に準拠してグロスメーターを用いて、60°グロス値を測定した。
結果を表1に示す。この結果から、基材層、プライマー層、及び表面保護層が順に積層されてなる加飾シートにおいて、プライマー層に疎水処理シリカ粒子を配合し、且つ表面保護層に艶消し剤を配合した場合(実施例1〜14)には、60°グロス値が低く、質感のある豊かな低艶感が表出された意匠性を備えていた。また、実施例1〜14の加飾シートでは、三次元成形性も実用的レベルを満足しており、更に耐傷付き性も良好であった。これに対して、プライマー層にシリカ粒子を配合せず、表面保護層のみに艶消し剤を配合した場合(比較例1及び3)では、60°グロス値が高く、十分な低艶感を表出させることができなかった。また、比較例3の加飾シートでは、三次元成形性も不十分であった。更に、プライマー層に表面処理をしていないシリカ粒子を配合し、且つ表面保護層に艶消し剤を配合した場合(比較例2)では、三次元成形性が悪く、実用化できるものではなかった。
表面保護層
表面保護層は、下記に示すEB1〜3に艶消し剤を添加した電離放射線硬化性樹脂組成物を用いて形成した。
(EB1)
2官能ポリカーボネートアクリレート(重量平均分子量;10,000) :94質量部
6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量;6,000):6質量部
ポリオレフィンワックス :6質量部
艶消し剤 :表1に示す所定量
(EB2)
2官能ポリカーボネートアクリレート(重量平均分子量;10,000):100質量部
ポリオレフィンワックス :6質量部
艶消し剤 :表1に示す所定量
(EB3)
3官能アクリルシリコーンアクリレート(重量平均分子量;20,000) :70質量部
6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量;5,000):30質量部
ポリオレフィンワックス :6質量部
艶消し剤 :表1に示す所定量
表1中、表面保護層に添加された艶消し剤の略記については、以下の通りである。
ウレタン:ウレタン樹脂製のビーズ(比重1.1〜1.2g/cm3、ガラス転移点-20〜-30℃)
シリコーン:シリコーン製のビーズ
シリカ:シリカ粒子(表面処理なし)
表1中、表面保護層における艶消し剤の添加量は、電離放射線硬化性樹脂組成物中の電離放射線硬化性樹脂100質量部に対する割合(質量部)である。
プライマー層は、アクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートを、アクリルポリオールの水酸基とヘキサメチレンジイソシアネートのNCOの当量比が1:1となるように混合したバインダー樹脂と、表1に示すシリカ粒子を混合したプライマー組成物を用いて形成した。
表1中、プライマー層におけるシリカ粒子の添加量は、バインダー樹脂(アクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートの総量)100質量部に対する割合(質量部)である。
表1中、プライマー層に添加されたシリカ粒子に関する表面処理のタイプの略記については、以下の通りである。
疎水:表面を疎水処理したシリカ粒子
未処理:表面処理を行っていないシリカ粒子
2 絵柄模様層
3 プライマー層
4 低艶模様層
5 表面保護層
6 低光沢領域
7 透明樹脂層
Claims (12)
- 基材層上に、少なくとも、プライマー層、及び表面保護層を順に有しており、
前記表面保護層が、艶消し剤及び電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物から形成されており、且つ
前記プライマー層が、疎水処理シリカ粒子を含有している、
ことを特徴とする、加飾シート。 - 電離放射線硬化性樹脂が、ポリカーボネート(メタ)アクリレート及び/又はアクリルシリコーン(メタ)アクリレートである、請求項1に記載の加飾シート。
- 前記基材層とプライマー層の間に、絵柄模様層が設けられている、請求項1又は2に記載の加飾シート。
- 前記プライマー層と表面保護層の間に、表面保護層との相互作用により低光沢領域を発現する低艶模様層が設けられている、請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記基材層とプライマー層の間に、透明樹脂層が設けられている、請求項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記疎水処理シリカ粒子の平均粒径が0.1〜5μmである、請求項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記艶消し剤が、アクリルビーズ、シリコーンゴムビーズ、及びウレタンビーズよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記艶消し剤の平均粒径が0.1〜25μmである、請求項1〜7のいずれかに記載の加飾シート。
- 前記表面保護層における艶消し剤の含有量が、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して1〜70質量部である、請求項1〜8のいずれかに記載の加飾シート。
- 少なくとも、射出樹脂層、基材層、プライマー層、及び表面保護層を順に有しており、
前記表面保護層が、艶消し剤及び電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物から形成されており、且つ
前記プライマー層が疎水処理シリカ粒子を含有している、
ことを特徴とする、加飾樹脂成形品。 - 下記工程を含む加飾樹脂成形品の製造方法:
請求項1〜9のいずれかに記載の加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、
真空成形された加飾シートの余分な部分をトリミングして成形シートを得る工程、及び
前記工程で得られた成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する工程。 - 下記工程を含む加飾樹脂成形品の製造方法:
請求項1〜9のいずれかに記載の加飾シートを、所定形状の成形面を有する可動金型の当該成形面に対し、前記加飾シートの基材が対面するように設置した後、当該加飾シートを加熱、軟化させると共に、前記可動金型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを当該可動金型の成形面に沿って密着させることにより、加飾シートを予備成形する工程、
成形面に沿って密着された加飾シートを有する可動金型と固定金型とを型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の樹脂成形材料を射出、充填して固化させることにより、形成された樹脂成形体と加飾シートを積層一体化させる射出成形工程、及び
可動金型を固定金型から離間させて、加飾シート全層が積層されてなる樹脂成形体を取り出す工程。
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