JP2014067998A - 導電接続シート、端子間の接続方法、接続部の形成方法、半導体装置および電子機器 - Google Patents

導電接続シート、端子間の接続方法、接続部の形成方法、半導体装置および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】フラックス機能を有する化合物の樹脂組成物層中に対する添加を省略しても、溶融状態の金属材料を選択的に端子間に凝集させることができ、隣接する端子間におけるリーク電流の発生が低減された導電接続シート、かかる導電接続シートを用いた端子間の接続方法、接続部の形成方法、信頼性の高い半導体装置、および、電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明の導電接続シート1は、樹脂を含有する樹脂組成物層と、低融点の金属材料で構成される金属層とを備える積層体により構成される導電接続シートであって、前記金属層は、その前記樹脂組成物層と接触する面側に、前記金属層の酸化を防止する酸化防止膜を備えることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、導電接続シート、端子間の接続方法、接続部の形成方法、半導体装置および電子機器に関する。
近年、電子機器の高機能化および小型化の要求に伴い、電子材料における接続端子間の狭ピッチ化がますます進む方向にあり、微細な配線回路における端子間接続も高度化している。
端子間接続方法としては、例えば、ICチップを回路基板に電気的に接続する際に異方性導電接着剤または異方性導電フィルムを用いて多数の端子間を一括で接続するフリップチップ接続技術が知られている。このような異方性導電接着剤または異方性導電フィルムは、熱硬化性樹脂を主成分とする接着剤に導電性粒子を分散させたフィルムまたはペーストであり、これを接続すべき電子部材の間に配置して熱圧着することにより、対向する多数の端子間を一括で接続することができる一方、接着剤中の樹脂によって隣接する端子間の絶縁性を確保することが可能となる。
しかし、異方性導電接着剤または異方性導電フィルムにおいて、導電性粒子の凝集を制御することは困難であり、導電性粒子と端子、または導電性粒子同士が十分に接触せずに対向する端子間の一部が導通しなかったり、対向する端子間(導通性領域)以外の樹脂(絶縁性領域)中に導電性粒子が残存して隣接する端子間の絶縁性が十分に確保されないという問題があった。このため、端子間のさらなる狭ピッチ化に対応することが困難な状況であった。
他方、電子部材に接続端子を製造する場合、従来は金属パッドが設けられた基板上に半田ペーストを印刷し、半田リフロー装置等を用いて半田ペーストを加熱溶融させて行っていた。しかし、この方法では、接続端子が狭ピッチである場合、半田ペーストを印刷する時に使用するマスクのコストが高くなり、また接続端子が小さいと印刷できない場合があった。
また、半田ボールを接続端子に搭載し、半田リフロー装置等を用いて半田ボールを加熱溶融させて行う方法では、接続端子が小さいと、半田ボールの作製コストが高くなり、また、小径の半田ボールを作製することが技術的に困難な場合があった。
特開昭61−276873号公報 特開2004−260131号公報
かかる問題点を解決することを目的に、樹脂と、フラックス機能を有する化合物とを含有する樹脂組成物で構成される樹脂組成物層と、低融点の金属材料で構成される金属層とを備える積層体により構成される導電接続シートが検討されている。
かかる構成の導電接続シートを、対向する端子間に配置した状態で、低融点の金属材料
を融点以上の温度で加熱すると、溶融した金属材料が選択的に、対向する端子間に凝集し、この端子間の領域には樹脂が充填されることから、対向する多数の端子同士を一括して選択的に凝集した金属材料で接続することができ、さらに、樹脂組成物中に含まれる樹脂により隣接する端子間の絶縁性を確保することができるようになる。
ここで、導電接続シートが備える樹脂組成物層中にフラックス機能を有する化合物が含まれる構成とするのは、金属層の表面に酸化膜が生長するにしたがって、金属層を溶融させた際における金属材料の端子間への凝集力が低下するため、この凝集力の低下を抑制または防止することにある。したがって、フラックス機能を有する化合物が樹脂組成物層中に含まれていると、かかる化合物のフラックス作用により、たとえ酸化膜が生長したとしても、金属層の表面から酸化膜を除去することができ、その結果、溶融状態の金属材料を確実に対向する端子間に凝集させることができるようになる。
しかしながら、酸化膜を金属層の表面から確実に除去するために、樹脂組成物層中における含有量を多くすると、フラックス機能を有する化合物の種類によっては、かかる化合物を含有する樹脂による絶縁性が十分に確保することができず、隣接する端子間でリーク電流が生じるという問題があった。
そこで、本発明の目的は、フラックス機能を有する化合物の樹脂組成物層中に対する添加を省略しても、溶融状態の金属材料を選択的に端子間に凝集させることができ、隣接する端子間におけるリーク電流の発生が低減された導電接続シート、かかる導電接続シートを用いた端子間の接続方法、接続部の形成方法、信頼性の高い半導体装置、および、電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(11)に記載の本発明により達成される。
(1) 樹脂を含有する樹脂組成物層と、低融点の金属材料で構成される金属層とを備える積層体により構成される導電接続シートであって、
前記金属層は、その前記樹脂組成物層と接触する面側に、前記金属層の酸化を防止する酸化防止膜を備えることを特徴とする導電接続シート。
(2) 前記酸化防止膜は、有機材料を含む有機膜である上記(1)に記載の導電接続シート。
(3) 前記有機材料は、アゾール系化合物を含むものである上記(2)に記載の導電接続シート。
(4) 前記アゾール系化合物は、イミダゾール系化合物およびトリアゾール系化合物のうち少なくとも1種を含むものである上記(3)に記載の導電接続シート。
(5) 前記金属層を構成する金属材料は、錫(Sn)、鉛(Pb)、銀(Ag)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、アンチモン(Sb)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、金(Au)、ゲルマニウム(Ge)およびビスマス(Bi)からなる群から選択される少なくとも2種以上の金属の合金または錫の単体である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の導電接続シート。
(6) 前記樹脂組成物層は、フラックス機能を有する化合物を実質的に含有しない樹脂組成物で構成されたものである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の導電接続シート。
(7) 前記金属層は、前記酸化防止膜の形成に先立って洗浄処理が施されたものである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の導電接続シート。
(8) 上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の導電接続シートを、基材が有する端子と、対向基材が有する端子との間に配置する配置工程と、前記金属材料の融点以上であり、かつ、前記樹脂組成物層が変形可能な温度で前記導電接続シートを加熱する加熱工程と、前記樹脂組成物層を硬化または固化させる硬化・固化工程とを有することを特徴とする端子間の接続方法。
(9) 上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の導電接続シートを、端子を有する基材上に配置する配置工程と、前記金属材料の融点以上であり、かつ、前記樹脂組成物層が変形可能な温度で前記導電接続シートを加熱する加熱工程とを有することを特徴とする接続部の形成方法。
(10) 前記電子部品が有する端子と、対向電子部品が有する端子とが、上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の導電接続シートを用いて形成された接続部を介して電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
(11) 前記電子部品が有する端子と、対向電子部品が有する端子とが、上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の導電接続シートを用いて形成された接続部を介して電気的に接続されていることを特徴とする電子機器。
本発明の導電接続シートのように、金属層に酸化防止膜を設けた構成とすることで、たとえ樹脂組成物層が、フラックス機能を有する化合物を実質的に含有しない樹脂組成物で構成されたものであっても、導電接続シートにおいて、金属層の表面における酸化膜の生長を的確に防止または抑制することができる。
そのため、本発明の導電接続シートを用いて、端子同士間を電気的に接続する接続部の形成に適用すると、金属材料の加熱時における溶融性が増し、加熱溶融した金属材料をより優れた選択性をもって端子同士の間に凝集させて接続部を形成し、その周囲に樹脂により構成され、金属材料の混在が防止された封止層を形成することができる。その結果、封止層により隣接する端子間の絶縁性が確保されるので、隣接する端子同士の間でリーク電流が生じるのを確実に防止することができる。
さらに、導電接続シートを用いて、電極上に対応して設けられた接続端子の形成に適用すると、金属材料の加熱時における溶融性が増し、加熱溶融した金属材料をより優れた選択性をもって電極上に凝集させて接続端子を形成し、その周囲に樹脂により構成され、金属材料の混在が防止された補強層を形成することができる。その結果、補強層により隣接する接続端子間の絶縁性が確保されるので、隣接する接続端子同士の間でリーク電流が生じるのを確実に防止することができる。
本発明の導電接続シートを用いて製造された半導体装置の一例を示す縦断面図である。 本発明の導電接続シートの実施形態を示す縦断面図である。 本発明の導電接続シートが備える金属層の他の構成例を示す平面図である。 本発明の端子間の接続方法を用いて、半導体装置が備える接続部および封止層を製造する方法を説明するための縦断面図である。 本発明の接続部の形成方法を用いて、半導体チップが備える端子に対応して接続端子を形成する方法を説明するための縦断面図である。
以下、本発明の導電接続シート、端子間の接続方法、接続部の形成方法、半導体装置および電子機器を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明の導電接続シートを説明するのに先立って、本発明の導電接続シートを用いて製造された半導体装置について説明する。
<半導体装置>
図1は、本発明の導電接続シートを用いて製造された半導体装置の一例を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示す半導体装置10は、半導体チップ(半導体素子)20と、半導体チップ20を支持するインターポーザー(基板)30と、複数の導電性を有するバンプ(端子)70とを有している。
インターポーザー30は、絶縁基板であり、例えばポリイミド・エポキシ・シアネート・ビスマレイミドトリアジン(BTレジン)等の各種樹脂材料で構成されている。このインターポーザー30の平面視形状は、通常、正方形、長方形等の四角形とされる。
さらに、インターポーザー30の上面(一方の面)には、例えば、銅等の導電性金属材料で構成される端子41が、所定形状で設けられている。
また、インターポーザー30には、その厚さ方向に貫通して、図示しない複数のビア(スルーホール:貫通孔)が形成されている。
各バンプ70は、それぞれ、各ビアを介して、一端(上端)が端子41の一部に電気的に接続され、他端(下端)は、インターポーザー30の下面(他方の面)から突出している。
バンプ70のインターポーザー30から突出する部分は、ほぼ球形状(Ball状)をなしている。
このバンプ70は、例えば、半田、銀ろう、銅ろう、燐銅ろうのようなろう材を主材料として構成されている。
また、インターポーザー30上には、端子41が形成されている。この端子41に、接続部81を介して、半導体チップ20が有する端子21が電気的に接続されている。
なお、本実施形態では、図1に示すように、端子21は、半導体チップ20に形成されている面側から突出する構成をなしており、端子41も、インターポーザー30から突出する構成をなしている。
また、半導体チップ20と、インターポーザー30との間の間隙には、各種樹脂材料で構成される封止材が充填され、この封止材の硬化物により、封止層80が形成されている。この封止層80は、半導体チップ20と、インターポーザー30との接合強度を向上させる機能や、前記間隙への異物や水分等の浸入を防止する機能を有している。
かかる構成の半導体装置10において、接続部81と封止層80との形成に、本発明の
導電接続シートが適用される。
以下、本発明の導電接続シートについて説明する。
<導電接続シート>
図2は、本発明の導電接続シートの実施形態を示す縦断面図、図3は、本発明の導電接続シートが備える金属層の他の構成例を示す平面図である。なお、以下の説明では、図2中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
本発明の導電接続シートは、樹脂を含有する樹脂組成物層と、低融点の金属材料で構成される金属層とを備える積層体により構成される導電接続シートであって、金属層は、樹脂組成物層と接触する面側に、金属層の酸化を防止する酸化防止膜を備えることを特徴とする。
このように、導電接続シートにおいて、金属層が酸化防止膜を備えることで、金属層の表面における酸化膜の生長(形成)を的確に防止または抑制することができる。
そのため、このような導電接続シートを用いた、端子同士間を電気的に接続する接続部の形成に適用すると、金属層の表面に酸化膜が形成されていないことから、金属材料の融点がより低くなり、金属材料の加熱時における溶融性が増す。このことから、より低温で金属材料が溶融し、樹脂組成物層が高温に晒されることによりボイドが発生する等の不具合を抑え、また、樹脂組成物層に熱硬化性樹脂を含む場合は、熱硬化性樹脂が高粘度化する前に金属材料が溶融することができる。このようにして、加熱溶融した金属材料をより優れた選択性をもって端子同士の間に凝集させて接続部を形成し、その周囲に樹脂により構成され、金属材料の混在が防止された封止層を形成することができる。その結果、封止層により隣接する端子間の絶縁性が確保されるので、隣接する端子同士の間でリーク電流が生じるのを確実に防止することができる。
さらに、導電接続シートを用いて、電極上に対応して設けられた接続端子の形成に適用すると、金属層の表面に酸化膜が形成されていないことから、金属材料の融点がより低くなり、金属材料の加熱時における溶融性が増す。このことから、より低温で金属材料が溶融し、樹脂組成物層が高温に晒されることによりボイドが発生する等の不具合を抑え、また、樹脂組成物層に熱硬化性樹脂を含む場合は、熱硬化性樹脂が高粘度化する前に金属材料が溶融することができる。このようにして、加熱溶融した金属材料をより優れた選択性をもって電極上に凝集させて接続端子を形成し、その周囲に樹脂により構成され、金属材料の混在が防止された補強層を形成することができる。その結果、補強層により隣接する接続端子間の絶縁性が確保されるので、隣接する接続端子同士の間でリーク電流が生じるのを確実に防止することができる。
本実施形態では、このような導電接続シート1は、図2に示すように、第1の樹脂組成物層11と、金属層12と、第2の樹脂組成物層13とがこの順に互いに接合するように積層された三層構造をなす積層体、すなわち、金属層12の両面がそれぞれ第1の樹脂組成物層11と第2の樹脂組成物層13とで覆われた三層構造をなす積層体で構成されるものである。
かかる構成の導電接続シート1において、第1の樹脂組成物層11および第2の樹脂組成物層13が、樹脂を含有する樹脂組成物で構成され、金属層12が、低融点の金属材料で構成され、実質的にその表面に酸化膜を有さない金属箔で構成されている。
以下、導電接続シート1を構成する各層について順次説明するが、第1の樹脂組成物層11および第2の樹脂組成物層13については、ともに、樹脂を含有する樹脂組成物で構
成されるため、第1の樹脂組成物層11を代表に説明する。なお、以下では、第1の樹脂組成物層11および第2の樹脂組成物層13を、単に「樹脂組成物層11」および「樹脂組成物層13」と言うこともある。
<<金属層12>>
金属層(金属箔層)12は、低融点の金属材料で構成される金属箔で構成される層である。
かかる金属層12を、その融点以上に加熱して溶融すると、溶融状態の金属層12は濡れ性を有するものとなる。そのため、端子21、41との間に選択的に金属層12が凝集し、最終的には、このものの固化物により、接続部81が形成される。
ここで、本発明では、低融点の金属材料は、その融点が、330℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下、さらに好ましくは260℃以下のものが適宜選択される。これにより、半導体装置10における端子21、41間の接続においては、半導体装置10の各種部材が熱履歴により損傷してしまうのを的確に抑制または防止することができる。
さらに、接続部81形成後、すなわち端子21、41間の接続後における半導体装置10の耐熱性を確保するという観点からは、低融点の金属材料は、その融点が100℃以上、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上であるものが適宜選択される。
なお、低融点の金属材料すなわち金属層12の融点は、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
このような低融点の金属材料は、上述した融点を有するものであれば、特に限定されず、例えば錫(Sn)、鉛(Pb)、銀(Ag)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、アンチモン(Sb)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、金(Au)、ゲルマニウム(Ge)およびビスマス(Bi)からなる群から選択される少なくとも2種以上の金属の合金、または錫の単体等が挙げられる。
このような合金のうち、低融点の金属材料としては、その溶融温度および機械的物性等を考慮すると、Sn−Pbの合金、鉛フリー半田であるSn−Biの合金、Sn−Inの合金、Sn−Agの合金等のSnを含む合金で構成されるのが好ましい。
なお、低融点の金属材料としてSn−Pbの合金を用いた場合、錫の含有率は、30重量%以上100重量%未満であることが好ましく、35重量%以上100重量%未満であることがより好ましく、40重量%以上100重量%未満であることがさらに好ましい。また、鉛フリー半田を用いた場合、錫の含有率は、15重量%以上100重量%未満であることが好ましく、20重量%以上100重量%未満であることがより好ましく、25重量%以上100重量%未満であることがさらに好ましい。
具体的には、例えば、Sn−Pbの合金としては、Sn−37Pb(融点183℃)、鉛フリー半田としては、Sn−3.0Ag−0.5Cu(融点217℃)、Sn−3.5Ag(融点221℃)、Sn−58Bi(融点139℃)、Sn−9.0Zn(融点199℃)、Sn−3.5Ag−0.5Bi−3.0In(融点193℃)、Au−20Sn(融点280℃)等が挙げられる。
また、金属層12の厚さは、特に限定されないが、対向する端子21、41間のギャップ、および隣接する端子間21、41の離隔距離等に応じて適宜設定される。
例えば、本実施形態のように、半導体装置10における端子21、41間の接続においては、金属層12の厚みは、0.5μm以上であることが好ましく、0.8μm以上であることがより好ましく、1μm以上であることがさらに好ましく、また、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。金属層12の厚みが前記下限未満になると金属層12を構成する金属材料の不足により未接続の端子21、41が生じるおそれがあり、また、前記上限を超えると金属材料の余剰により隣接する端子21、41間で接続部81によるブリッジを起こし、ショートが生じるおそれがある。
なお、金属層12の作製方法は、特に限定されないが、インゴット等の塊から圧延により作製する方法、樹脂組成物層11へ直接蒸着、スパッタ、めっき等により形成する方法等が挙げられる。
また、導電接続シート1において、上述した低融点の金属材料の配合量、すなわち、金属層12の占有量は、導電接続シート1において、5重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましく、30重量%以上であることがさらに好ましい。また、100重量%未満であることが好ましく、80重量%以下であることがより好ましく、70重量%以下であることがさらに好ましい。
導電接続シート1における金属材料の配合量すなわち金属層12の占有量が前記下限未満になると金属層12を構成する金属材料の不足により未接続の端子21、41が生じるおそれがあり、また、前記上限を超えると金属材料の余剰により隣接する端子21、41間で接続部81によるブリッジを起こし、ショートが生じるおそれがある。
あるいは、金属層12の占有量を導電接続シート1に対する体積比率で定義してもよい。例えば、金属層12の占有量(配合量)は、導電接続シート1に対して1体積%以上であることが好ましく、2体積%以上であることがより好ましく、3体積%以上であることがさらに好ましい。また、90体積%以下であることが好ましく、80体積%以下であることがより好ましく、70体積%以下であることがさらに好ましい。金属層12の占有量が前記下限未満になると金属層12を構成する金属材料の不足により未接続の端子21、41が生じるおそれがあり、また、前記上限を超えると金属材料の余剰により隣接する端子21、41間で接続部81によるブリッジを起こし、ショートが生じるおそれがある。
なお、本実施形態では、図2に示すように、金属層12は、樹脂組成物層11の全面に形成されている場合について説明したが、かかる場合に限定されず、金属層12は、平面視で樹脂組成物層11の少なくとも一部に形成されていればよく、その形状は特に限定されない。
すなわち、金属層が、平面視で樹脂組成物層11の一部に形成されている場合、一定の形状が繰り返しパターン状に形成されていてもよいし、形状が不規則であってもよいし、規則的な形状と不規則な形状とが混在していてもよい。
具体的には、図3に示すように、樹脂組成物層11の上に、各種形状にパターニングされた金属層12が形成されている。例えば、金属層12の形状としては、点線の抜き模様状(a)、縞模様状(b)、水玉模様状(c)、矩形模様状(d)、チェッカー模様状(e)、額縁状(f)、格子模様状(g)または多重の額縁状(h)等が挙げられる。なお、これらの形状は一例であり、目的や用途に応じてこれらの形状を組み合わせたり、変形させて用いることができる。
また、繰り返しパターン状の金属層の作製方法は、特に限定されないが、平面状に形成した金属箔を所定のパターンに打抜く方法、エッチング等により所定のパターンを形成する方法、また、遮蔽板やマスク等を使用することにより蒸着、スパッタ、めっき等で形成する方法等が挙げられる。
以上のような金属層12は、最終的には、このものを溶融させた後の固化物により、接続部81を形成するものである。
そこで、金属層12、すなわち金属材料は、その融点以上に加熱して溶融した際に、端子21、41に対し優れた濡れ性を有し、端子21、41との間に選択的に凝集し易いものが求められる。しかしながら、金属層12の表面に酸化膜が形成されると、
金属層12の加熱による溶融性が低下し、端子21、41への凝集力が低下するため、その表面に実質的に酸化膜が形成されていないものが求められる。
また、このような実質的に酸化膜が形成されていない金属層12を形成しようとしても、導電接続シート1の製造の過程や、導電接続シート1の保存時に、樹脂組成物層11、13を透過した酸素や水分等により、金属層12の表面が酸化されることに起因して酸化膜が形成されてしまう。
そこで、本発明では、金属層12に、酸化膜が形成されるのに先立って、金属層12を、その表面に酸化防止膜を備える構成とした。この酸化防止膜は、金属層12の表面に酸化膜が形成されるのを防止するバリア層としての機能を発揮する。そのため、金属層12をかかる構成とすることで、導電接続シート1の製造の過程や、導電接続シート1の保存時に、金属層12の表面が酸化されるのを確実に防止することができる。すなわち、金属層12の表面における酸化膜の生長(形成)を的確に防止または抑制することができる。その結果、金属層12は、その融点以上に加熱した際に、優れた溶融性を示し、溶融した際に、端子21、41に対し優れた濡れ性を有するものとなるため、端子21、41との間に選択的に凝集することとなる。
酸化防止膜は、金属層12の表面が酸化されるのを防止するために設けられるものであり、金属層12の樹脂組成物層11、13と接触する面側に設けられるものである。
このような酸化防止膜は、酸化防止機能を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、Au、Ag等の金属材料を主材料とする金属膜、有機材料を主材料とする有機膜等が挙げられるが、中でも特に、有機膜であることが好ましい。酸化防止膜が有機膜であることにより、この酸化防止膜と樹脂組成物層11、13とは、ともに有機材料を含むこととなり、その結果、これらの相溶性が向上することとなる。そのため、導電接続シート1を用いて封止層80および接続部81を形成した際に、この有機材料は、樹脂組成物層11、13を構成する樹脂組成物に取り込まれて封止層80を形成する。したがって、有機材料が、金属層12から形成される接続部81に混在することが的確に抑制または防止されるため、接続部81の特性を変化させることなく形成することができる。
有機膜に用いられる有機材料は、特に限定されないが、例えば、チオール系有機化合物、チオフェノール系化合物、チオ硫酸系有機化合物、ケイ酸系有機化合物、脂肪族アルコール系化合物、フェノール系化合物、アミノ酸系化合物、脂肪族カルボン酸系化合物、芳香族アミン系化合物、ポリイミド系化合物、トコフェノール系化合物、アスコルビン酸系化合物、ポルフィリン系化合物、ビピリジン系化合物、エチレンジアミン系化合物およびアゾール系化合物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記のような有機材料の中でも、特に、チオフェノール系化合物、脂肪族カルボン酸系化合物、ポルフィリン系化合物、ビピリジン系化合物、エチレンジアミン系化合物およびアゾール系化合物であることが好ましい。これらに由来する配位子(誘導体)は、各種金属原子または金属イオン(以下、これらを合わせて単に「金属」ということもある)と容易に結合するものであり、金属と結合することで、錯体を形成するものである。
ここで、このように有機材料が金属と結合して錯体を形成するには、有機材料に由来する配位子が、結合することができる金属を認識し、かかる金属と選択的に結合することが求められる。
例えば、有機材料としてポルフィリン系化合物を用いた場合には、ポルフィリン系化合物に由来する配位子と結合する金属としては、Sn、Cu、Pd、Fe、Mn等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、例えば、有機材料としてビピリジン系化合物を用いた場合には、ビピリジン系化合物に由来する配位子と結合する金属としては、Pb、Cu、Pd,Mo等が挙げられる、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ところで、有機材料に由来する配位子が認識する金属の種類としては、まず、金属層12を構成する金属材料に由来するものが挙げられる。この金属層12に由来する金属と、配位子とが結合して錯体を形成すると、金属層12の表面に直接結合したような錯体を形成することができる。その結果、金属層12の表面側を錯体が覆うような構成となるため、金属層12が直接、酸素と結合することを防止することができる。また、かかる配位子が、このような金属層12に由来する金属と結合することにより、金属層12の表面側での、有機膜、すなわち酸化防止膜との密着性が優れたものとなる。
また、前述のように、金属は、かかる有機材料に由来する配位子と選択的に結合するものである。したがって、この配位子が認識するような金属を金属層12に添加することで、かかる配位子と、新たに添加した金属とを選択的に結合させて錯体を形成することもできる。すなわち、かかる配位子との結合性に優れる金属を、新たに金属層12に添加することで、容易に金属層12の表面に直接結合したような錯体を形成することができる。
また、前述したような配位子となる有機材料の中でも、特に、アゾール系化合物を含むことが好ましい。アゾール系化合物は、金属と容易に結合することができるため、金属層12に由来する金属や有機膜中に含まれる金属と、容易に結合することがきるものである。その結果、酸化防止機能をさらに優れたものとすることができる。
前記アゾール系化合物としては、特に限定されず、例えば、ピロール系化合物、イソチアゾール系化合物、チアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物およびテトラゾール系化合物等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせてを用いることができる。これらの中でも特に、イミダゾール系化合物およびトリアゾール系化合物のうち少なくとも1種を含むものが好ましい。かかる化合物は、多くの金属と容易に結合することができる。その結果、酸化防止機能をさらに優れたものとすることができる。
イミダゾール系化合物およびトリアゾール系化合物の具体例としては、例えば、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどのアルキルイミダゾール類、ベンゾイミダゾール、2−メチルベンゾイミダゾール、2−ウンデシルベンゾイミダゾール、2−フェニルベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどのベンゾイミダゾー
ル類、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、5−フェニル−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1−メチル−ベンゾトリアゾールおよびトリルトリアゾール等が挙げられる。
以上のように、金属層に酸化防止膜を設けることで、金属層12の表面が酸化されるのを防止することができる。
<<樹脂組成物層11>>
樹脂組成物層11は、樹脂を含有する樹脂組成物で構成される。
なお、本発明では、樹脂組成物としては、室温で液状、固形状のいずれの形態も使用することができる。なお、本明細書中において、「室温で液状」とは室温(25℃程度)で一定の形態を持たない状態を意味し、ペースト状もこれに含まれる。
樹脂組成物は、特に限定されず、硬化性樹脂組成物または熱可塑性樹脂組成物を用いることができる。
硬化性樹脂組成物としては、加熱により硬化する硬化性樹脂組成物、および、化学線を照射することにより硬化する硬化性樹脂組成物等が挙げられ、これらの中でも、加熱により硬化する硬化性樹脂組成物が好ましく用いられる。加熱により硬化する硬化性樹脂組成物は、硬化後の線膨張率や弾性率等の機械特性に優れる。
また、熱可塑性樹脂組成物としては、所定の温度に加熱することにより、成形が可能な程度に柔軟性を有するものであれば、特に限定されるものではない。
特に、本発明では、前述したように、金属層12の表面に酸化防止膜を備えていることから、金属層12の表面が酸化(酸化膜の生長)されるのを防止することができる。したがって、樹脂組成物中への、フラックス機能を有する化合物の添加が省略される。つまり、本発明では、樹脂組成物層11は、フラックス機能を有する化合物を実質的に含有しない樹脂組成物で構成されていてもよい。
なお、本明細書中において、「フラックス機能を有する化合物」とは、金属材料で構成される部材の表面に形成された酸化膜をフラックス作用により除去する作用を有するものである。
このようなフラックス機能を有する化合物は、特に限定されず、例えば、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸のような脂肪族カルボン酸や、フェノールフタリン、ジフェノール酸のような芳香族カルボン酸等が挙げられ、金属層の表面に形成された酸化膜を除去することを目的に樹脂組成物中に添加されるものである。
このようなフラックス機能を有する化合物を添加することなく、導電接続シート1を製造することができるので、導電接続シート1を用いて形成される封止層80において生じる、マイグレーションに起因して、隣接する端子21、41間同士でリーク電流が発生してしまうのをより一層抑制または防止することができる。
(a)硬化性樹脂組成物
硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂を含有し、加熱することにより溶融し硬化するものである。
また、フラックス機能を有する化合物を実質的に含有しない硬化性樹脂組成物には、硬化性樹脂の他に、必要に応じて、フィルム形成性樹脂、硬化剤、硬化促進剤、シランカップリング剤、充填材等が含まれていてもよい。
以下、硬化性樹脂組成物に含まれる各種材料について詳述する。
(i)硬化性樹脂
硬化性樹脂は、加熱することにより溶融し硬化するものであれば特に限定されないが、通常、半導体装置製造用の接着剤として使用できるものが用いられる。
このような硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)、ジアリルフタレート樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂(ポリイミド前駆体樹脂)、ビスマレイミド−トリアジン樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、マレイミド樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。特に、これらの中でも、硬化性と保存性、硬化物の耐熱性、耐湿性、耐薬品性に優れるという観点からエポキシ樹脂が好ましい。なお、これらの硬化性樹脂は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記エポキシ樹脂としては、特に限定されず、室温で液状および室温で固形状のいずれのエポキシ樹脂をも使用することができる。また、室温で液状のエポキシ樹脂と室温で固形状のエポキシ樹脂とを併用することも可能である。硬化性樹脂組成物が液状の場合には、室温で液状のエポキシ樹脂を用いることが好ましく、硬化性樹脂組成物が固形状の場合には、液状および固形状のいずれのエポキシ樹脂も使用することが可能であり、さらに、フィルム形成性樹脂を硬化性樹脂組成物が含有する構成とするのが好ましい。
室温(25℃)で液状のエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種を組み合わせて用いることができる。
室温で液状のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、150〜300g/eqであることが好ましく、160〜250g/eqであることがより好ましく、170〜220g/eqであることが特に好ましい。前記エポキシ当量が上記下限未満になると、用いるエポキシ樹脂の種類によっては、硬化物の収縮率が大きくなる傾向があり、半導体装置10やこの半導体装置10を備える電子機器に反りが生じるおそれがある。また、前記上限を超えると、硬化性樹脂組成物にフィルム形成性樹脂を併用する構成とした場合に、フィルム形成性樹脂、特にポリイミド樹脂との反応性が低下する傾向をしめすことがある。
さらに、室温(25℃)で固形状のエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、3官能エポキシ樹脂、4官能エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、固形3官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。
なお、室温で固形状のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、150〜3000g/eqが好ましく、160〜2500g/eqがより好ましく、170〜2000g/eqが特に好ましい。
室温で固形状のエポキシ樹脂の軟化点は、40〜120℃程度であることが好ましく、50〜110℃程度であることがより好ましく、60〜100℃程度であることが特に好ましい。前記軟化点が前記範囲内にあると、硬化性樹脂組成物のタック性を抑えることができ、容易に取り扱うことが可能となる。
また、硬化性樹脂組成物において、上述した硬化性樹脂の配合量は、使用する硬化性樹脂組成物の形態に応じて適宜設定することができる。
例えば、液状の硬化性樹脂組成物の場合には、硬化性樹脂の配合量は、硬化性樹脂組成物中において、10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることがより好ましく、20重量%以上であることがさらに好ましく、25重量%以上であることがさらにより好ましく、30重量%以上であることがなお好ましく、35重量%以上であることが特に好ましい。また、100重量%未満であることが好ましく、95重量%以下であることがより好ましく、90重量%以下がさらに好ましく、75重量%以下であることがさらにより好ましく、65重量%以下であることがなお好ましく、55重量%以下であることが特に好ましい。
また、固形状の硬化性樹脂組成物の場合には、硬化性樹脂の配合量は、硬化性樹脂組成物中において、5重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましく、15重量%以上であることがさらに好ましく、20重量%以上であることが特に好ましい。また、90重量%以下であることが好ましく、85重量%以下であることがより好ましく、80重量%以下であることがさらに好ましく、75重量%以下であることがさらにより好ましく、65重量%以下であることがなお好ましく、55重量%以下であることが特に好ましい。
硬化性樹脂組成物における硬化性樹脂の配合量が前記範囲内にあると、端子21、41間の電気的接続強度および機械的接着強度を十分に確保することが可能となる。
(ii)フィルム形成性樹脂
上述したように、硬化性樹脂組成物として、固形状のものを使用する場合、硬化性樹脂組成物には、前記硬化性樹脂の他に、さらにフィルム形成性樹脂を含有する構成とするのが好ましい。
このようなフィルム形成性樹脂としては、有機溶媒に可溶であり、単独で成膜性を有するものであれば特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のいずれのものも使用することができ、また、これらを組み合わせて用いることもできる。
具体的には、フィルム形成性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シロキサン変性ポリイミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ナイロン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これら中でも、(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂およびポリイミド樹脂が好ましい。
なお、本明細書中において、「(メタ)アクリル系樹脂」とは、(メタ)アクリル酸およびその誘導体の重合体、または(メタ)アクリル酸およびその誘導体と他の単量体との共重合体を意味する。ここで、「(メタ)アクリル酸」等と表記するときは、「アクリル酸またはメタクリル酸」等を意味する。
(メタ)アクリル系樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸−2−エチルヘキシル等のポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル等のポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリアクリルアミド、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル−α−メチルスチレン共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−アクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エチル−アクリロニトリル−N,N−ジメチルアクリルアミド共重合体等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、アクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エチル−アクリロニトリル−N,N−ジメチルアクリルアミドが好ましい。
また、フェノキシ樹脂の骨格は、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールFタイプおよびビフェニルタイプ等が挙げられる。
また、ポリイミド樹脂としては、繰り返し単位中にイミド結合を持つ樹脂であれば特に限定されず、例えば、ジアミンと酸二無水物を反応させ、得られたポリアミド酸を加熱、脱水閉環することにより得られるものが挙げられる。
ジアミンとしては、特に限定されず、例えば、3,3’−ジメチル−4,4’ジアミノジフェニル、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等のシロキサンジアミンが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、酸二無水物としては、例えば、3,3,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、ピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリイミド樹脂としては、溶剤に可溶なものでも、不溶なものでもよいが、他の成分(硬化性樹脂)と混合する際のワニス化が容易であり、取扱性に優れている点で溶剤可溶性のものが好ましい。特に、様々な有機溶媒に溶解できる点でシロキサン変性ポリイミド樹脂を用いることが好ましい。
フィルム形成性樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、8,000〜1,000,000程度であるのが好ましく、8,500〜950,000程度であるのがより好ましく、9,000〜900,000程度であるのがさらに好ましい。フィルム形成性樹
脂の重量平均分子量が上記の範囲であると、成膜性を向上させることが可能で、かつ、硬化前の樹脂組成物層11の流動性を抑制することができる。
なお、フィルム形成性樹脂の重量平均分子量は、例えば、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定することができる。
また、フィルム形成性樹脂としては、このものの市販品を使用することができ、さらに、本発明の効果を損ねない範囲で、可塑剤、安定剤、無機フィラー、帯電防止剤や顔料等の各種添加剤を配合したものを使用することもできる。
また、硬化性樹脂組成物において、上述したフィルム形成性樹脂の配合量は、使用する硬化性樹脂組成物の形態に応じて適宜設定することができる。
例えば、固形状の硬化性樹脂組成物の場合には、フィルム形成性樹脂の配合量は、硬化性樹脂組成物中において、5重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましく、15重量%以上であることがさらに好ましい。また、50重量%以下であることが好ましく、45重量%以下であることがより好ましく、40重量%以下であることがさらに好ましい。フィルム形成性樹脂の配合量が前記範囲内にあると溶融前の硬化性樹脂組成物の流動性を抑制することができ、樹脂組成物層(導電接続材料)11を容易に取り扱うことが可能となる。
(iii)硬化剤
硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、フェノール類、アミン類、チオール類等が挙げられる。このような硬化剤は、硬化性樹脂の種類等に応じて適宜選択することができる。例えば、硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂との良好な反応性、硬化時の低寸法変化および硬化後の適切な物性(例えば、耐熱性、耐湿性等)が得られる点で硬化剤としてフェノール類を用いることが好ましく、硬化性樹脂の硬化後の物性が優れている点で2官能以上のフェノール類がより好ましく用いられる。なお、このような硬化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ジアリルビスフェノールA、ビフェノール、ビスフェノールF、ジアリルビスフェノールF、トリスフェノール、テトラキスフェノール、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、溶融粘度、エポキシ樹脂との反応性が良好であり、硬化後の物性が優れている点でフェノールノボラック樹脂およびクレゾールノボラック樹脂が好ましい。
また、硬化性樹脂組成物において、上述した硬化剤の配合量は、使用する硬化性樹脂や硬化剤の種類、およびフラックス機能を有する化合物が硬化剤として機能する官能基を有する場合、その官能基の種類や使用量によって適宜設定される。
例えば、硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いた場合、硬化剤の含有量は硬化性樹脂組成物の全重量に対して、0.1〜50重量%程度であるのが好ましく、0.2〜40重量%程度であるのがより好ましく、0.5〜30重量%程度であるのがさらに好ましい。硬化剤の含有量が前記範囲内にあると端子21、41間に形成された接続部81の電気的接続強度および機械的接着強度を十分に確保することができる。
(iv)硬化促進剤
また、硬化性樹脂組成物には、さらに、硬化促進剤を添加することができる。これによ
り、硬化性樹脂組成物を、確実かつ容易に硬化させることができる。
硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4−メチルイミダゾリル(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル(1’)]−エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール化合物が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、硬化性樹脂組成物において、上述した硬化促進剤の配合量は、使用する硬化促進剤の種類に応じて適宜設定することができる。
例えば、イミダゾール化合物を使用する場合には、イミダゾール化合物の配合量は、硬化性樹脂組成物中において0.001重量%以上であることが好ましく、0.003重量%以上であることがより好ましく、0.005重量%以上であることがさらに好ましい。また、1.0重量%以下であることが好ましく、0.7重量%以下であることがより好ましく、0.5重量%以下であることがさらに好ましい。イミダゾール化合物の配合量が前記下限未満になると、用いる硬化促進剤の種類によっては、硬化促進剤としての作用が十分に発揮されず、硬化性樹脂組成物を十分に硬化できない傾向を示すことがある。また、イミダゾール化合物の配合量が前記上限を超えると、硬化性樹脂組成物の硬化が完了する前に溶融状態の金属層12が端子21、41の表面に十分に移動できず、絶縁性領域に形成される封止層80中に金属層12の一部が残存し、封止層80における絶縁性が十分に確保できなくなるおそれがある。
(v)シランカップリング剤
また、硬化性樹脂組成物には、さらに、シランカップリング剤を添加することができる。
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、エポキシシランカップリング剤、芳香族含有アミノシランカップリング剤等が挙げられる。このようなシランカップリング剤を添加することにより、インターポーザー30等の接合部材(被着体)と硬化性樹脂組成物との密着性を高めることができる。
なお、このようなシランカップリング剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いることもできる。
また、硬化性樹脂組成物において、上述したシランカップリング剤の配合量は、前記接合部材や硬化性樹脂等の種類に応じて適宜設定される。例えば、硬化性樹脂組成物中において0.01重量%以上であることが好ましく、0.05重量%以上であることがより好
ましく、0.1重量%以上であることがさらに好ましい。また、2重量%以下であることが好ましく、1.5重量%以下であることがより好ましく、1重量%以下であることがさらに好ましい。
(vi)充填材
また、硬化性樹脂組成物には、さらに、充填材を添加することができる。これにより、樹脂組成物に様々な物性を付加することや、信頼性の向上を図ることができる。充填材としては、ゴム粒子等の有機材料による充填材や、シリカ等の無機充填材を挙げることができるが、信頼性の向上という観点から、無機充填材が好ましい。無機充填材を含むことで、硬化後の樹脂組成物の線膨張係数を低下することができ、それによって信頼性を向上することができる。
前記無機充填材は、特に限定されないが、例えば、銀、酸化チタン、シリカ、マイカ、アルミナ等を挙げることができ、これらを複数種含めることもできる。このように無機充填材は複数種から選択することができるが、コスト等の観点からシリカを好ましく用いることができる。また、熱伝導性等の観点からは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、窒化珪素、窒化ホウ素、等を用いることもできる。シリカの形状としては、破砕シリカと球状シリカがあるが、球状シリカが好ましい。
前記無機充填材の平均粒径としては、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることが特に好ましい。また50μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることが特に好ましい。無機充填材の平均粒径が前記下限値以上、前記上限値以下であると、硬化性樹脂組成物における無機充填材の分散性に優れ、硬化性樹脂組成物の透明性に優れる。
前記無機充填材の含有量は、硬化性樹脂組成物の全重量に対して、1重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましく、20重量%以上であることが特に好ましい。また、80重量%以下であることが好ましく、70重量%以下であることがより好ましく、60重量%以下であることが特に好ましい。無機充填材の含有量が前記下限値以上、前記上限値以下であると、硬化後の樹脂組成物の密着性、耐熱性、耐湿性に優れ、良好な電気的な接続性を確保することができる。
(vii)錯体除去剤
また、金属層12の表面側に設けられた酸化防止膜が錯体を含む場合には、さらに、この錯体を除去するような成分を含んでいてもよい。
このような錯体除去剤は、特に限定されないが、例えば、α−アミノケトン系化合物などの熱または光塩基発生剤、有機フッ素化合物などの熱酸発生剤、ジフェニルヨードニウム系化合物などの光酸発生剤等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、硬化性樹脂組成物には、上述した各成分の他に、さらに、可塑剤、安定剤、粘着付与剤、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤および顔料等が配合されていてもよい。
また、上述したような硬化性樹脂組成物は、上記各成分を混合・分散させることによって調製することができる。各成分の混合方法や分散方法は特に限定されず、従来公知の方法で混合、分散させることができる。
また、前記各成分を溶媒中でまたは無溶媒下で混合して液状の硬化性樹脂組成物を調製してもよい。このとき用いられる溶媒としては、各成分に対して不活性なものであれば特
に限定はないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジイソブチルケトン(DIBK)、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール(DAA)等のケトン類、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ類、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ニ塩基酸エステル(DBE)、3−エトキシプロピオン酸エチル(EEP)、ジメチルカーボネート(DMC)等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、溶媒の使用量は、溶媒に混合した成分の固形分濃度が10〜60重量%となる量であることが好ましい。
(b)熱可塑性樹脂組成物
熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含有し、所定温度により軟化するものである。
また、フラックス機能を有する化合物を実質的に含有しない熱可塑性樹脂組成物には、熱可塑性樹脂成分の他に、必要に応じて、フィルム形成性樹脂、シランカップリング剤等が含まれていてもよい。
(i)熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シロキサン変性ポリイミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、イソブチレン樹脂、ビニルエーテル樹脂、液晶ポリマー樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブチルゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。これら熱可塑性樹脂は、単一の重合体でもよく、これら熱可塑樹脂の少なくとも2種以上の共重合体でもよい。
熱可塑性樹脂の軟化点は、特に限定されないが、導電接続シート1を構成する金属層12の融点より10℃以上低いことが好ましく、20℃以上低いことがより好ましく、30℃以上低いことがさらに好ましい。
また、熱可塑性樹脂の分解温度は、特に限定されないが、金属層12の融点よりも10℃以上高いことが好ましく、20℃以上高いことがより好ましく、30℃以上高いことがさらに好ましい。
また、熱可塑性樹脂組成物において、上述した熱可塑性樹脂の配合量は、使用する熱可塑性樹脂組成物の形態に応じて適宜設定される。
例えば、液状の熱可塑性樹脂組成物の場合には、熱可塑性樹脂の配合量は、熱可塑性樹脂組成物中において、10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることがより好ましく、20重量%以上であることがさらに好ましく、25重量%以上であることがさらにより好ましく、30重量%以上であることがなお好ましく、35重量%以上で
あることが特に好ましい。また、100重量%以下であることが好ましく、95重量%以下であることがより好ましく、90重量%以下がさらに好ましく、75重量%以下であることがさらにより好ましく、65重量%以下であることがなお好ましく、55重量%以下であることが特に好ましい。
また、固形状の熱可塑性樹脂組成物の場合には、熱可塑性樹脂の配合量は、熱可塑性樹脂組成物中において、5重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましく、15重量%以上であることがさらに好ましく、20重量%以上であることが特に好ましい。また、90重量%以下であることが好ましく、85重量%以下であることがより好ましく、80重量%以下であることがさらに好ましく、75重量%以下であることがさらにより好ましく、65重量%以下であることがなお好ましく、55重量%以下であることが特に好ましい。
熱可塑性樹脂組成物における熱可塑性樹脂の配合量が前記範囲内にあると、端子21、41間の電気的接続強度および機械的接着強度を十分に確保することが可能となる。
(ii)その他の添加剤
また、熱可塑性樹脂の他、フィルム形成性樹脂、シランカップリング剤や、可塑剤、安定剤、粘着付与剤、滑剤、酸化防止剤、充填材、帯電防止剤および顔料等が配合されていてもよいが、これらのものは、前述した「(a)硬化性樹脂組成物」において説明したものと同じものを用いることができる。さらに、好ましい化合物およびその配合量等についても同様である。
(iii)金属錯体除去剤
また、金属層12の表面側に設けられた酸化防止膜が錯体を含む場合には、この錯体を除去するような成分を含んでいてもよい。
これらのものは、前述した「(a)硬化性樹脂組成物」において説明したものと同じものを用いることができる。
なお、本発明においては、上述したもののうち、樹脂組成物としては、硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。中でも、樹脂組成物の全重量に対して、エポキシ樹脂10〜90重量%、硬化剤0.1〜50重量%、およびフィルム形成性樹脂5〜50重量%を含むものがより好ましい。また、樹脂組成物の全重量に対して、エポキシ樹脂20〜80重量%、硬化剤0.2〜40重量%、およびフィルム形成性樹脂10〜45重量%を含むものがさらに好ましい。また、樹脂組成物の全重量に対して、エポキシ樹脂35〜55重量%、硬化剤0.5〜30重量%、およびフィルム形成性樹脂15〜40重量%を含むものが特に好ましい。これにより、端子21、41間の電気的接続強度および機械的接着強度を十分に確保することが可能となる。
また、導電接続シート1における樹脂組成物層11の厚みは、特に限定されないが、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。また、樹脂組成物層11の厚みは、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。樹脂組成物層11の厚みが前記範囲内にあると、隣接する端子21、41間の間隙に樹脂組成物を十分に充填して封止層80を形成することができ、樹脂組成物の硬化後または固化後の機械的接着強度および対向する端子21、41間の電気的接続を十分に確保することができ、接続部81の形成も可能にすることができる。
なお、導電接続シート1は、第1の樹脂組成物層11と第2の樹脂組成物層13との2
層を備える構成であるが、第2の樹脂組成物層13は、上述した第1の樹脂組成物層11と同様の構成のものであればよく、第1の樹脂組成物層11と同一の組成のものであっても良く、異なる組成のものであっても良い。
以上のような導電接続シート1の形態は、樹脂組成物層11を構成する樹脂組成物の形態等に応じて適宜設定される。
例えば、硬化性樹脂組成物が液状をなす場合、金属層12を用意し、その両面に硬化性樹脂組成物を塗布し、このものを所定温度で半硬化(Bステージ化)することで樹脂組成物層11、13としたものを導電接続シート1として供することができる。また、ポリエステルシート等の剥離基材上に硬化性樹脂組成物を塗布し、このものを所定温度で半硬化(Bステージ化)等の目的で成膜させた後に、剥離基板から引き剥がし、金属層12に張り合わせてフィルム上にしたものを導電接続シート1として供することができる。
また、樹脂組成物が固形状をなす場合は、有機溶剤に溶解した樹脂組成物のワニスをポリエステルシート等の剥離基材上に塗布し、所定の温度で乾燥させて樹脂組成物層11、13を形成し、その後に金属層12を張り合わせたものを導電接続シート1として供することができる。また、上記と同様にして得られた樹脂組成物層11上に、蒸着等の手法を用いて金属層12を形成し、さらに金属層12上に上記と同様にして得られた樹脂組成物層13を貼り合わせてフィルム状にしたものを導電接続シート1として供することもできる。
なお、金属層12は、樹脂組成物層11との密着性を高めることを目的に、エンボス加工が施されたものであってもよい。
また、導電接続シート1の厚みは、特に限定されないが、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、5μm以上であることがさらに好ましく、また、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。導電接続シート1の厚みが前記範囲内にあると隣接する端子21、41間の間隙に樹脂組成物で構成される封止層80を十分に充填することができる。また、樹脂の硬化後または固化後の機械的接着強度および対向する端子間の電気的接続を十分に確保することができる。また、目的や用途に応じた接続端子の製造も可能にすることができる。
<導電接続シート1の製造方法>
次に、上述したような第1の構成の導電接続シート1は、例えば、以下のような製造方法により、製造することができる。
本実施形態の導電接続シートの製造方法は、母材の表面に洗浄処理を施した後、母材の両表面に酸化防止膜を設けることで金属層12を得る第1の工程と、さらに、金属層12の両面に、それぞれ、第1の樹脂組成物層11および第2の樹脂組成物層13を形成する第3の工程とを有する。以下各工程について説明する。
なお、本実施形態における導電接続シート1の製造方法においては、酸化防止膜として有機材料を含む有機膜を用いた場合について説明する。
[1]第1の工程
まず、母材の表面に洗浄処理を施した後、母材の両表面に酸化防止膜を設けることで金属層12を得る。
[1−1]
まず、母材を用意する。
金属層12を製造する方法としては、特に限定されないが、インゴット等の塊から圧延により作製する方法、蒸着、スパッタ、めっき等により作製する方法等が挙げられる。
インゴット等の塊から圧延により作製する方法を用いた場合、母材は、箔状(シート状)をなし、剥離基材上等に密着して形成されることなく、独立して製造される。
また、蒸着、スパッタ、めっき等により作製する方法を用いた場合、母材は、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂等のシートや、表面がフッ素樹脂やシリコン樹脂で離型処理された基材等の剥離基材上に密着した状態で製造される。
[1−2]
次いで、母材の表面に洗浄処理を施す。
母材の表面に洗浄処理を施すことにより、母材の表面に既に形成された酸化膜を除去することができる。
このような洗浄処理は、酸化膜を除去するものであれば、特に限定されないが、例えば、水素プラズマ処理、ギ酸雰囲気処理、シュウ酸洗浄、還元剤洗浄、ブラスト処理、酸洗浄、有機溶剤洗浄、超音波洗浄、ボンバード処理等の洗浄処理が挙げられ、これらの洗浄処理のうち1種または2種以上を組み合わせて行うことができる。中でも、特に、酸洗浄による洗浄処理が好ましい。これにより、母材の表面に形成された酸化膜を、容易に、かつ的確に除去することができる。
ここで、酸洗浄処理とは、母材を酸溶液中に浸漬することで、母材表面の酸化物を除去する洗浄処理をいう。
また、このような母材の表面に洗浄処理を施すことに先立って、エッチング処理を行うことが好ましい。このエッチング処理としては、例えば、プラズマガスエッチング、ウェットエッチング、ソフトエッチング、ハーフエッチング等のエッチング処理が挙げられ、これらのエッチング処理方法のうち1種または2種以上を組み合わせて行うことができる。中でも、特に、ソフトエッチング処理を用いることが好ましい。
このようなエッチング処理は、工程[1−1]にて得られた母材の表面側に生じた、母材と特性の異なる加工変質層を除去する処理である。ここで、加工変質層とは、工程[1−1]の加工時の応力により結晶格子が乱れる等、母材と特性が異なる層であり、結晶構造が不均一なため、クラック等が生じる恐れがあるものである。このような加工変質層を除去するために、かかるエッチング処理を施す。これにより、結果として母材の表面をクラック等の無い均一な状態とすることができる。
このようなソフトエッチング後に、酸洗浄を行うことで、母材の表面の平滑性を向上させることができるとともに、酸化膜を的確に取り除くことができる。
なお、前記の洗浄処理を組み合わせて行う場合、それぞれの洗浄処理との間に残渣洗浄処理を施してもよい。例えば、ソフトエッチング処理を行った後、水等の水系の洗浄液および有機系の洗浄液を用いた洗浄処理を実施し、そして酸洗浄処理による洗浄処理を行ってもよい。これにより、さらにソフトエッチング処理後の残渣成分を取り除くことができ、結果として、母材の表面に形成された酸化膜を、的確に除去することができる。
また、工程[1−1]で母材を用意した際に、その表面に酸化膜が形成されていないときは、この工程[1−2]を省略してもよい。
[1−3]
次いで、母材の両表面に酸化防止膜(有機材料を含む有機膜)を形成して金属層12を得る。
これにより、母材の両表面に酸化防止膜設けられた金属層12を得られ、その結果、金属層12の表面への酸化膜の形成が確実に防止される。
酸化防止膜を設ける方法としては、母材に、有機材料を含む液状材料を、含浸(浸漬)する含浸法、塗布する塗布法および噴霧する噴霧法等が挙げられるが、これらの中でも特に、含浸法が好ましい。これにより、金属層12の両表面全体に、均一な酸化防止膜を設けることが容易になる。
ここで、含浸法とは、母材を、有機材料を含む液状材料中に入れ、母材表面を隙間なく有機材料と接触させることで、母材表面に酸化防止膜を形成する方法である。
次に、母材に酸化防止膜を設けた後、このものをリンス(洗浄)し、十分に乾燥させる。
以上のような工程により、酸化防止膜が設けられた金属層12を得ることができる。換言すると、実質的に金属表面に酸化膜が形成されておらず、かつ、表面の酸化(酸化膜の生長)を防止することができる金属層12を得ることができる。
[2]第2の工程
次に、金属層12の両面に、それぞれ、第1の樹脂組成物層11および第2の樹脂組成物層13を形成する。
(I)金属層12が箔状をなし独立して存在する場合
まず、金属層12が箔状をなし独立して存在する場合、第1の樹脂組成物層11および第2の樹脂組成物層13は、例えば、以下のようにして製造することができる。
(i)25℃で樹脂組成物が液状をなす場合
第1の樹脂組成物層11および第2の樹脂組成物層13を構成する樹脂組成物が、25℃で液状をなす場合、まず、液状をなす樹脂組成物を脱気する。
次に、金属層12を、脱気がされた液状をなす樹脂組成物に中に含浸することにより、金属層12の両面に、液状の樹脂組成物を付着させた後、この樹脂組成物を所定温度で半硬化させることにより、金属層12の両面に樹脂組成物層11、13が形成される。
なお、形成すべき樹脂組成物層11、13に厚さの制御が必要な場合には、液状の樹脂組成物中に浸漬させた金属層12を一定の間隙を有するバーコーターを通過させたり、液状の樹脂組成物をスプレーコーター等により、非酸化雰囲気中で金属層12に吹き付けることにより、目的とする厚さの樹脂組成物層11、13を容易に製造することができる。
また、巻重状の金属層12を使用する場合、金属層12の両面に、液状の樹脂組成物を直接塗布し、その後、この樹脂組成物を半硬化させつつ巻き取ることにより、巻重状の導電接続シート1を得ることができる。
また、金属層12の両面に樹脂組成物層11、13を同時に形成する場合に限らず、一方の面に液状の樹脂組成物を供給した後、この樹脂組成物を所定温度で半硬化させることにより、第1の樹脂組成物層11、13を形成し、さらに、他方の面に液状の樹脂組成物を供給した後、この樹脂組成物を所定温度で半硬化させることにより、第2の樹脂組成物層13を形成するようにして、第1の樹脂組成物層11と第2の樹脂組成物層13とを順次形成するようにしてもよい。
(ii)25℃で樹脂組成物がフィルム状をなす場合
第1の樹脂組成物層11および第2の樹脂組成物層13を構成する樹脂組成物が、25℃でフィルム状をなす場合、まず、ポリエステルシート等の剥離基材を2つ用意する。
次に、樹脂組成物を有機溶剤に溶解して得られたワニスを、一方の剥離基材上に、塗布した後、所定の温度で乾燥させることにより、フィルム状の第1の樹脂組成物層11を形成する。また、これと同様の工程により、他方の剥離基材上に、フィルム状の第2の樹脂組成物層13を形成する。
次に、フィルム状の樹脂組成物層11、13の間に、金属層12を挾持した状態で、熱ロールでラミネートすることにより、金属層12の両面に樹脂組成物層11、13が形成される。
なお、巻重状の金属層12を使用する場合には、金属層12をベース基材として用いて、非酸化雰囲気中において金属層12の両面側に上述したフィルム状の樹脂組成物層11、13を、熱ロールを用いてラミネートしつつ巻き取ることで、巻重状の導電接続シート1を得ることができる。
(II)剥離基材上に金属層12が形成されている場合
次いで、剥離基材上に金属層12が形成されている場合、第1の樹脂組成物層11および第2の樹脂組成物層13は、例えば、以下のようにして製造することができる。
(i)25℃で樹脂組成物が液状をなす場合
第1の樹脂組成物層11および第2の樹脂組成物層13を構成する樹脂組成物が、25℃で液状をなす場合、まず、液状をなす樹脂組成物を脱気する。
次に、剥離基材が付着した状態で金属層12を、脱気がされた液状をなす樹脂組成物に中に含浸することにより、金属層12の一方の面に、液状の樹脂組成物を付着させた後、この樹脂組成物を所定温度で半硬化させることにより、第1の樹脂組成物層11を形成する。
次に、第1の樹脂組成物層11上にカバーシートを設けた後、再度、剥離基材を剥離し、この金属層12を、脱気がされた液状をなす樹脂組成物に中に含浸することにより、金属層12の他方の面に、液状の樹脂組成物を付着させた後、この樹脂組成物を所定温度で半硬化させることにより、第2の樹脂組成物層13を形成する。その後、第1の樹脂組成物層11からカバーシートを剥離することで、導電接続シート1を得ることができる。
(ii)25℃で樹脂組成物がフィルム状をなす場合
第1の樹脂組成物層11および第2の樹脂組成物層13を構成する樹脂組成物が、25℃でフィルム状をなす場合、まず、ポリエステルシート等の剥離基材を2つ用意する。
次に、樹脂組成物を有機溶剤に溶解して得られたワニスを、一方の剥離基材上に、塗布した後、所定の温度で乾燥させることにより、フィルム状の第1の樹脂組成物層11を形
成する。また、これと同様の工程により、他方の剥離基材上に、フィルム状の第2の樹脂組成物層13を形成する。
次に、金属層12の剥離基材と反対側の面上にフィルム状の樹脂組成物層11を配置し、この状態で、熱ロールでラミネートすることにより、金属層12の剥離基材と反対側の面に第1の樹脂組成物層11を形成する。
次に、金属層12から剥離基材を剥離した後、金属層12の第1の樹脂組成物層11と反対側の面上にフィルム状の第2の樹脂組成物層13を配置し、この状態で、熱ロールでラミネートすることにより、金属層12の第1の樹脂組成物層11と反対側の面に第2の樹脂組成物層13を形成する。その後、第1の樹脂組成物層11および第2の樹脂組成物層13に付着している剥離基材を剥離することで、導電接続シート1を得ることができる。
<本発明の端子間の接続方法>
以下では、まず、本発明の端子間の接続方法を適用して、接続部81と封止層80とを形成する場合について詳述する。
図4は、本発明の端子間の接続方法を用いて、半導体装置が備える接続部および封止層を製造する方法を説明するための縦断面図である。なお、以下の説明では、図4中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下に説明する接続部81および封止層80の形成方法では、導電接続シート1を半導体チップ(基材)20が有する端子21と、インターポーザー(対向基材)30に設けられた端子41との間に配置する配置工程と、金属材料の融点以上に導電接続シート1を加熱する加熱工程と、前記樹脂組成物を硬化または固化させる硬化(固化)工程とを有している。
なお、接続部81および封止層80を形成するに際し、導電接続シート1が備える樹脂組成物層11、13が硬化性樹脂組成物で構成される場合と、熱可塑性樹脂組成物で構成される場合とでは、その形成方法が若干異なる。そのため、以下では、樹脂組成物層11、13が硬化性樹脂組成物で構成される場合を第1実施形態とし、熱可塑性樹脂組成物で構成される場合を第2実施形態として実施形態ごとに説明する。
<<第1実施形態>>
導電接続シート1が備える樹脂組成物層11、13が硬化性樹脂組成物で構成される第1実施形態では、半導体チップ20が有する端子21と、インターポーザー30に設けられた端子41との間に導電接続シート1を配置する配置工程と、金属層12(金属材料)の融点以上で、かつ、樹脂組成物層11、13を構成する硬化性樹脂組成物の硬化が完了しない温度で導電接続シート1を加熱する加熱工程と、硬化性樹脂組成物の硬化を完了させる硬化工程とを有している。
以下、各工程について詳述する。
[1]配置工程
まず、端子21が設けられた半導体チップ20と、端子41が設けられたインターポーザー30とを用意する。
このとき、端子21、41の表面には、酸化防止膜を設けるのが好ましい。この酸化防止膜としては、前述した金属層12が備える酸化防止膜と、同様のものが挙げられる。これにより、端子21、41は、実質的に表面に酸化膜が形成されておらず、かつ、表面の
酸化(酸化膜の生長)が防止される。
なお、かかる酸化防止膜は、配置工程[1]に先立って、導電接続シート1にて説明した方法を用いて端子21、41の表面側に形成することができる。
次いで、導電接続シート1を、ロールラミネータまたはプレス等の装置を用いて、半導体チップ20の端子21側の面に熱圧着させる。そして、この状態で、半導体チップ20と、インターポーザー30とを、図4(a)に示すように、これらが備える端子21と端子41とがそれぞれ対向するように位置あわせする。
これにより、端子21と端子41とがそれぞれ対向した状態で、半導体チップ20と、端子41が設けられたインターポーザー30との間に、導電接続シート1が配置されることとなる。
なお、導電接続シート1を熱圧着する際の温度は、第1の樹脂組成物層11の溶融温度より高く、かつ、金属層12の溶融温度より5℃以上低い温度であるのが好ましく、10℃以上低い温度であるのがより好ましい。
なお、導電接続シート1は、図4(a)に示すように、半導体チップ20側に熱圧着される場合に限らず、インターポーザー30の端子41側に熱圧着されていてもよいし、これらの双方に熱圧着されていてもよい。
[2]加熱工程
次に、前記配置工程[1]において、半導体チップ20と、端子41が設けられたインターポーザー30との間に配置された導電接続シート1を、図4(b)に示すように、金属層12の融点以上で加熱する。
加熱温度は、金属層12の融点以上であればよく、例えば、加熱時間を短くするなど、加熱時間を調整することによって、金属材料が硬化性樹脂組成物中を移動できる範囲すなわち「硬化性樹脂組成物の硬化が完了しない」範囲であれば、その上限は特に制限されない。
具体的には、加熱温度は、金属層12の融点より5℃以上高い温度であるのが好ましく、10℃以上高い温度であるのがより好ましく、20℃以上高い温度であるのがさらに好ましく、30℃以上高い温度であるのが特に好ましい。
具体的には、加熱温度は、使用する金属層12および硬化性樹脂組成物の組成等によって適宜設定されるが、100℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましく、140℃以上であることがさらに好ましく、150℃以上であることが最も好ましい。なお、接続すべき半導体チップ20およびインターポーザー30等の熱劣化を防止するという観点から、加熱温度は、260℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがより好ましく、240℃以下であることがさらに好ましい。
このような温度で導電接続シート1を加熱すると、金属層12が溶融し、溶融した金属層12すなわち低融点の金属材料が、樹脂組成物層11、13中を移動できるようになる。
この際、金属層12は、酸化防止膜を備えているため、その表面に実質的に酸化膜が形成されておらず、かつ、その表面への酸化膜の形成(酸化膜の生長)が確実に防止される。このため、金属層12を加熱すると、この酸化膜が形成されていない金属層12は、酸
化膜を有する金属層12よりも、より低温で溶融することができる。さらに、かかる金属層12は、金属層12の表面に実質的に酸化膜が形成されていないため、端子21、41に対する優れた濡れ性を発揮することができる。
また、金属材料が低温で溶融することで、熱硬化性樹脂が加熱によって高粘度化することによる金属材料の凝集を妨害するのを防ぐことができる。
したがって、溶融した金属層12、すなわち金属材料が、対向して配置された端子21、41間に凝集し易い状態となる。換言すると、効率よく溶融した溶融状態の金属材料は、硬化性樹脂中を移動して端子21、41間に選択的に凝集し易い状態となる。その結果、金属層12は端子21、41間に凝集し、端子21と端子41とを好適に接合することができる。このように、金属層12の表面に酸化膜が形成されていないと、金属層12は、加熱により容易に溶融することで、端子21、41間への凝集力が特に向上するため、金属層12と端子21、41を好適に接合することができる。
これに対して、仮に、金属層12の表面に酸化膜が形成されていた場合には、加熱して金属材料の融点に達しても金属は溶融せず、端子21、41の間に凝集することができない。そこで、酸化膜を除去して、金属層12の溶融性を向上させるために、樹脂組成物層11、13にフラックス機能を有する化合物を含む必要があった。
本発明では、導電接続シート1を構成する金属層12が、酸化防止膜を備える構成のものとなっているため、たとえ樹脂組成物層11、13がフラックス機能を有する化合物を実質的に含有しないものであったとしても、金属層12は、優れた溶融性を有するものとなる。その結果、金属層12と端子21、41とを好適に接合することが可能となる。
なお、本発明では、金属層12が層状(箔状)をなしているため、溶融状態の金属層12が複数個に分断されて端子21、41の表面に凝集する際に、その一部が端子41に凝集することなく樹脂組成物層11、13中に残存してしまうのを的確に抑制または防止することができる。そのため、封止層80に金属層12の一部が残存することに起因するリーク電流の発生を確実に防止することができる。
以上のことから、図4(c)に示すように、端子21、41の間には金属材料で構成される接続部81が形成され、端子21と端子41とが接続部81を介して電気的に接続される。このとき、接続部81の周囲を取り囲んで硬化性樹脂組成物が、金属材料が混在することなく充填されて封止層80が形成される。その結果、隣接する端子21、41間の絶縁性が確保されることから、隣接する端子21、41間のショートが防止されることとなる。
以上のような導電接続シート1を用いた接続部81および封止層80の形成方法では、加熱溶融した金属材料を選択的に端子21、41間で凝集させて接続部81を形成し、その周囲に硬化性樹脂組成物で構成された封止層80を形成することができる。その結果、隣接する端子21、41間の絶縁性を確保してリーク電流の発生を確実に防ぐことができるので、端子21、41間の接続部81を介した接続の接続信頼性を高めることができる。
また、微細な配線回路においても多数の端子21、41間の電気的接続を一括で実施することが可能となる。さらに、次工程[3]において、硬化性樹脂組成物を硬化させることにより接続部81および封止層80の機械的強度を高めることができる。
なお、本工程[2]では、対向する端子21、41間の距離を近づけるように、半導体
チップ20とインターポーザー30とを加圧した状態で加熱してもよい。例えば、図4(b)中の半導体チップ20とインターポーザー30とが接近する方向に公知の熱圧着装置等の手段を用いて加熱および加圧することにより、対向する端子21、41間の距離を一定に制御することができるため、対向する端子21、41間の接続部81による電気的な接続信頼性を高めることが可能となる。
さらに、加圧または加熱する際に超音波や電場等を加えたり、レーザーや電磁誘導等の特殊加熱を適用してもよい。
[3]硬化工程
次に、前記加熱工程[2]において、接続部81と封止層80とを形成した後、硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、封止層80を固定する。
これにより、端子21、41間の接続部81による電気的信頼性、および、封止層80による機械的信頼性の双方を十分に確保することができる。
特に本実施形態では、高溶融粘度時に高絶縁抵抗値を有する硬化性樹脂組成物を使用しているため、封止層(絶縁性領域)80の絶縁性をより確実に確保することができる。
硬化性樹脂組成物の硬化は、硬化性樹脂組成物を加熱することによって実施することができる。硬化性樹脂組成物の硬化温度は、硬化性樹脂組成物の組成に応じて適宜設定することができる。具体的には、前記加熱工程[2]での加熱温度より少なくとも5℃低い温度であることが好ましく、少なくとも10℃低い温度であることがより好ましい。より具体的には、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、130℃以上であることがさらに好ましく、150℃以上であることが最も好ましい。また、300℃以下であることが好ましく、260℃以下であることがより好ましく、250℃以下であることがさらに好ましく、240℃以下であることが最も好ましい。硬化温度が前記範囲内にあると、導電接続シート1が熱分解してしまうのを確実に防止しつつ、硬化性樹脂組成物を十分に硬化させることができる。
以上のような工程を経て、半導体チップ20と、インターポーザー30との間に、接続部81および封止層80が形成される。
<<第2実施形態>>
導電接続シート1が備える樹脂組成物層11、13が熱可塑性樹脂組成物で構成される第2実施形態では、半導体チップ20と、端子41が設けられたインターポーザー30との間に導電接続シート1を配置する配置工程と、金属層12の融点以上で、かつ、樹脂組成物層11、13を構成する熱可塑性樹脂組成物が軟化する温度で導電接続シート1を加熱する加熱工程と、熱可塑性樹脂組成物を固化させる固化工程とを有している。
以下、各工程について詳述する。
[1]配置工程
樹脂組成物層11、13が熱可塑性樹脂組成物で構成される本実施形態においても、樹脂組成物層11、13が熱硬化性樹脂組成物で構成される前記第1実施形態と同様にして、端子21と端子41とがそれぞれ対向した状態で、半導体チップ20と、端子41が設けられたインターポーザー30との間に、導電接続シート1を配置する。
なお、端子21、41の表面には、酸化防止膜を設けるのが好ましい。この酸化防止膜としては、前述した金属層12が備える酸化防止膜と、同様のものが挙げられる。これにより、端子21、41は、実質的に表面に酸化膜が形成されておらず、かつ、表面の酸化
(酸化膜の生長)が防止される。
かかる酸化防止膜は、配置工程[1]に先立って、導電接続シート1にて説明した方法を用いて端子21、41の表面側に形成することができる。
[2]加熱工程
次に、前記配置工程[1]において、半導体チップ20と、端子41が設けられたインターポーザー30との間に配置された導電接続シート1を、図4(b)に示すように、金属層12の融点以上の温度で加熱する。
加熱温度は、金属層12の融点より5℃以上高い温度であるのが好ましく、10℃以上高い温度であるのがより好ましく、20℃以上高い温度であるのがさらに好ましく、30℃以上高い温度であるのが特に好ましい。
具体的には、加熱温度は、使用する金属層12および熱可塑性樹脂組成物の組成等によって適宜設定されるが、例えば、前述した第1実施形態の加熱工程[2]で説明したのと同様の温度範囲に設定される。
このような温度で導電接続シート1を加熱すると、金属層12が溶融し、溶融した金属層12すなわち低融点の金属材料が、樹脂組成物層11、13中を移動できるようになる。
この際、金属層12は、酸化防止膜を備えているため、その表面に実質的に酸化膜が形成されておらず、かつ、その表面への酸化膜の形成(酸化膜の生長)が確実に防止される。このため、金属層12を加熱すると、かかる酸化膜が形成されていない金属層12は、酸化膜を有する金属層12よりも、より低温で溶融することができる。さらに、かかる金属層12は、金属層12の表面に実質的に酸化膜が形成されていないため、端子21、41に対する優れた濡れ性を発揮することができる。
また、金属材料を比較的低温で溶融することができるため、熱可塑性樹脂が高温で加熱されることにより熱分解してしまうことを好適に防ぐことができる。
したがって、好適に溶融した金属層12、すなわち金属材料が、対向して配置された端子21、41間に凝集し易い状態となる。換言すると、溶融状態の金属材料は、熱可塑性樹脂中を移動して端子21、41間に選択的に凝集し易い状態となる。その結果、金属層12は端子21、41間に凝集し、端子21と端子41とを好適に接合することができる。
このように、金属層12の表面に酸化膜が形成されていないと、金属層12の溶融性が向上することで、これらへの凝集力が特に向上するため、金属層12と端子21、41を好適に接合することができる。
これに対して、仮に、金属層12の表面に酸化膜が形成されていた場合には、金属層12の、加熱による溶融性が低下してしまう。そこで、酸化膜を除去して、金属層12の溶融を可能とするために、樹脂組成物層11、13にフラックス機能を有する化合物を含む必要があった。
本発明では、導電接続シート1を構成する金属層12が、酸化防止膜を備える構成のものとなっているため、たとえ樹脂組成物層11、13がフラックス機能を有する化合物を実質的に含有しないものであったとしても、金属層12は、優れた溶融性を有するものと
なる。その結果、金属層12と端子21、41とを好適に接合することが可能となる。
なお、本発明では、金属層12が層状(箔状)をなしているため、溶融状態の金属層12が複数個に分断されて端子41の表面に凝集する際に、その一部が端子41に凝集することなく樹脂組成物層11、13中に残存してしまうのを的確に抑制または防止することができる。そのため、封止層80に金属層12の一部が残存することに起因するリーク電流の発生を確実に防止することができる。
以上のことから、溶融状態の金属材料は、熱可塑性樹脂中を移動して端子21、41間の間に選択的に凝集する。
以上のことから、図4(c)に示すように、端子21、41の間には金属材料で構成される接続部81が形成され、端子21と端子41とが接続部81を介して電気的に接続される。このとき、接続部81の周囲を取り囲んで硬化性樹脂組成物が、金属材料が混在することなく充填されて封止層80が形成される。その結果、隣接する端子21、41間の絶縁性が確保されることから、隣接する端子21、41間のショートが防止されることとなる。
以上のような接続部81および封止層80の形成方法では、加熱溶融した金属材料を選択的に端子21、41間で凝集させて接続部81を形成し、その周囲に熱可塑性樹脂組成物で構成された封止層80を形成することができる。その結果、隣接する端子21、41間の絶縁性を確保してリーク電流の発生を確実に防ぐことができるので、端子21、41間の接続部81を介した接続の接続信頼性を高めることができる。
また、微細な配線回路においても多数の端子21、41間の電気的接続を一括で実施することが可能となる。さらに、次工程[3]において、熱可塑性樹脂組成物を固化させることにより接続部81および封止層80の機械的強度を高めることができる。
[3]固化工程
次に、前記加熱工程[2]において、接続部81と封止層80とを形成した後、熱可塑性樹脂組成物を固化させることにより、封止層80を固定する。
これにより、端子21、41間の接続部81による電気的信頼性、および、封止層80による機械的信頼性の双方を十分に確保することができる。
熱可塑性樹脂組成物の固化は、前記加熱工程[2]で加熱した熱可塑性樹脂組成物を冷却することによって実施することができる。
熱可塑性樹脂組成物の冷却による熱可塑性樹脂組成物の固化すなわち封止層80の固定は、熱可塑性樹脂組成物の組成に応じて適宜選択される。具体的には、自然冷却による方法でもよく、また、冷気を吹きつける等の方法から適宜選択される。
熱可塑性樹脂組成物の固化温度は、特に限定されないが、金属層12の融点より低いことが好ましい。具体的には、熱可塑性樹脂組成物の固化温度は、金属層12の融点より10℃以上低いことが好ましく、20℃以上低いことがより好ましい。また、熱可塑性樹脂組成物の固化温度は、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂組成物の固化温度が前記範囲内にあると、接続部81を確実に形成することができるとともに、封止層80を優れた耐熱性を発揮するものとすることができる。その結果、隣接する端子21、41間の絶縁性が的確に確保され、隣接する端子21、41間のショートをより確実に防止するこ
とができる。
以上のような工程を経て、半導体チップ20と、インターポーザー30との間に、接続部81および封止層80が形成される。
なお、第1実施形態および第2実施形態では、端子21が、半導体チップ20に形成されている面側から突出し、端子41も、インターポーザー30から突出する構成をなしている場合について説明したが、本発明の端子間の接続方法は、かかる場合に限定されず、端子41が、インターポーザー30の端子41が形成されている面から突出することなく露出し、端子21が、半導体チップ20の端子21が形成されている面から突出する構成をなしている場合にも適用することができる。また、端子41が、インターポーザー30の端子41が形成されている面から突出することなく露出し、端子21も、半導体チップ20の端子が形成されている面側から突出することなく露出する構成をなしている場合にも適用することができる。
さらに、端子41が、インターポーザー30の端子41が形成されている面から突出し、端子21が、半導体チップ20の端子21が形成されている面から突出することなく、露出する構成をなしている場合にも適用することができる。
また、第1実施形態および第2実施形態では、半導体チップ20とインターポーザー30とがそれぞれ備える端子21と端子41との間に、接続部81を形成して電気的に接続する場合について説明したが、かかる場合に限定されず、各種電子機器が有する電子部品が備える端子同士を電気的に接続する場合に適用することができ、電子部品としては、例えば、半導体ウエハ、リジッド基板およびフレキシブル基板等が挙げられる。
<本発明の接続部の形成方法>
次に、本発明の接続部の形成方法を用いて、接続部81と封止層80とを形成する場合について説明する。
この場合、まず、本発明の接続部の形成方法を適用して、半導体チップ20の端子21側の面に接続端子85と補強層86とを形成し、次いで、これら接続端子85と補強層86が設けられた半導体チップ20を、インターポーザー30の端子41側の面に、接続(実装)することにより、接続部81と封止層80とが形成される。
以下では、本発明の接続部の形成方法を適用して、半導体チップ20の端子21側の面に接続端子85と補強層86とを形成する方法について詳述する。
図5は、本発明の接続部の形成方法を用いて、半導体チップが備える端子に対応して接続端子を形成する方法を説明するための縦断面図である。なお、以下の説明では、図5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下に説明する接続端子85および補強層86の形成方法では、半導体チップ20の端子21側の面に、導電接続シート1を配置する配置工程と、導電接続シート1を加熱する加熱工程とを有している。
なお、接続端子85と補強層86とを形成するに際し、導電接続シート1が備える樹脂組成物層11、13が硬化性樹脂組成物で構成される場合と、熱可塑性樹脂組成物で構成される場合とでは、その形成方法が若干異なる。そのため、以下では、樹脂組成物層11、13が硬化性樹脂組成物で構成される場合を第3実施形態とし、熱可塑性樹脂組成物で構成される場合を第4実施形態として実施形態ごとに説明する。
<<第3実施形態>>
導電接続シート1が備える樹脂組成物層11、13が硬化性樹脂組成物で構成される第3実施形態では、半導体チップ20の端子21側の面に、導電接続シート1を配置する配置工程と、金属層12の融点以上で、かつ、樹脂組成物層11、13を構成する硬化性樹脂組成物の硬化が完了しない温度で導電接続シート1を加熱する加熱工程とを有している。
以下、各工程について詳述する。
[1]配置工程
まず、図5(a)に示すように、上面側に端子21を備える半導体チップ20を用意する。
このとき、端子21の表面には、酸化防止膜を設けるのが好ましい。この酸化防止膜としては、前述した金属層12が備える酸化防止膜と、同様のものが挙げられる。これにより、端子21は、実質的に表面に酸化膜が形成されておらず、かつ、表面の酸化(酸化膜の生長)が防止される。
なお、かかる酸化防止膜は、配置工程[1]に先立って、導電接続シート1にて説明した方法を用いて端子21の表面側に形成することができる。
次いで、導電接続シート1を、ロールラミネータまたはプレス等の装置を用いて、半導体チップ20の端子21側の面に熱圧着(配置)させる。
[2]加熱工程
次に、前記配置工程[1]において、半導体チップ20の端子21側の面に配置された導電接続シート1(金属層12)を、図5(b)に示すように、金属層12の融点以上で加熱する。
導電接続シート1を加熱する温度は、前記第1実施形態の加熱工程[2]で導電接続シート1を加熱した温度と同様の温度に設定される。
このような温度で導電接続シート1を加熱すると、金属層12が溶融し、溶融した金属層12すなわち低融点の金属材料が、樹脂組成物層11、13中を移動できるようになる。
この際、金属層12は、酸化防止膜を備えているため、その表面に実質的に酸化膜が形成されておらず、かつ、その表面への酸化膜の形成(酸化膜の生長)が確実に防止される。このため、金属層12を加熱すると、かかる酸化膜が形成されていない金属層12は、酸化膜を有する金属層12よりも、より低温で溶融することができる。さらに、かかる金属層12は、金属層12の表面に実質的に酸化膜が形成されていないため、端子21に対する優れた濡れ性を発揮することができる。
また、金属材料が低温で溶融することで、熱硬化性樹脂が加熱によって高粘度化することによる金属材料の凝集を妨害するのを防ぐことができる。
したがって、好適に溶融した金属層12、すなわち金属材料が、対向して配置された端子21に凝集し易い状態となる。換言すると、溶融状態の金属材料は、硬化性樹脂中を移動して端子21に選択的に凝集し易い状態となる。その結果、金属層12は端子21に凝集することができる。このように、金属層12の表面に酸化膜が形成されていないと、金
属層12の溶融性が向上することで、これらへの凝集力が特に向上するため、金属層12と端子21、41を好適に接合することができる。
このように、金属層12の表面に酸化膜が形成されていないと、金属層12の溶融性が向上することで、これらへの凝集力が特に向上することができる。
これに対して、仮に、金属層12の表面に酸化膜が形成されていた場合には、金属層12の、加熱による溶融性が低下してしまう。そこで、酸化膜を除去して、金属層12の溶融を可能とするために、樹脂組成物層11、13にフラックス機能を有する化合物を含む必要があった。
本発明では、導電接続シート1を構成する金属層12が、酸化防止膜を備える構成のものとなっているため、たとえ樹脂組成物層11、13がフラックス機能を有する化合物を実質的に含有しないものであったとしても、金属層12は、優れた溶融性を有するものとなる。
なお、本発明では、金属層12が層状(箔状)をなしているため、溶融状態の金属層12が複数個に分断されて端子21の表面に凝集する際に、その一部が端子21に凝集することなく樹脂組成物層11、13中に残存してしまうのを的確に抑制または防止することができる。そのため、補強層86に金属層12の一部が残存することに起因するリーク電流の発生を確実に防止することができる。
以上のことから、図5(c)に示すように、端子21の表面には金属材料で構成される接続端子(接続部)85が形成される。このとき、接続端子85の周囲を取り囲んで硬化性樹脂組成物が充填されて補強層86が形成される。その結果、隣接する接続端子85間の絶縁性が確保されることから、隣接する接続端子85間のショートが確実に防止されることとなる。
以上のような接続端子85および補強層86の形成方法では、加熱溶融した金属材料を選択的に端子21に凝集させて接続端子85を形成し、その周囲に硬化性樹脂組成物で構成された補強層86を形成することができる。その結果、隣接する接続端子85間の絶縁性を確保することができる。
また、微細なピッチで複数の端子21を有する半導体チップ20においても端子21に対応して複数の接続端子85を一括して形成することが可能となる。
なお、本工程[2]では、導電接続シート1と端子21との距離を近づけるように、導電接続シート1と半導体チップ20とを加圧した状態で加熱してもよい。例えば、図5(b)中の導電接続シート1と半導体チップ20とが接近する方向に公知の熱圧着装置等の手段を用いて加熱および加圧することにより、導電接続シート1と端子21との距離を一定に制御することができるため、端子21の表面における溶融状態の金属材料の凝集能をより高めることが可能となる。
さらに、加圧または加熱する際に超音波や電場等を加えたり、レーザーや電磁誘導等の特殊加熱を適用してもよい。
以上のような工程[1]および工程[2]を経て、接続端子85および補強層86が形成される。すなわち、接続端子85および補強層86を形成するための、配置工程[1]および加熱工程[2]に、本発明の接続端子および補強層の形成方法が適用される。
なお、本実施形態のように、樹脂組成物層11、13に含まれる樹脂として、硬化性樹脂を用いる場合、前記加熱工程[2]では、硬化性樹脂組成物を完全には硬化させない状態としておくのが好ましい。これにより、接続端子85と補強層86とが設けられた半導体チップ20を、インターポーザー30の端子41側の面に実装する際に、補強層86を加熱することで、再度、溶融状態とすることができるようになる。
以上のように、導電接続シート1を用いて半導体チップ20の端子21側の面に接続端子85を形成する場合、接続端子85を形成しようとする部分に、導電接続シート1を配置して加熱することにより、溶融状態の金属層12が端子21上に選択的に凝集し、その結果、接続端子85が形成されることとなる。
このような接続端子85と補強層86とが設けられた半導体チップ20を、インターポーザー30の端子41側の面に配置した状態で、接続端子85と補強層86とを加熱することにより、接続端子85が再び溶融状態となるため、その後、冷却することで、半導体チップ20との間に、接続部81と封止層80とを形成することができる。
そして、本実施形態では、樹脂組成物層11、13に含まれる樹脂として、硬化性樹脂が含まれ、このものが未硬化の状態のものも存在するため、硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、封止層80を固定する。これにより、接続部81および封止層80の機械的強度を高めることができる。
<<第4実施形態>>
導電接続シート1が備える樹脂組成物層11、13が熱可塑性樹脂組成物で構成される第4実施形態では、半導体チップ20の端子21側の面に、導電接続シート1を配置する配置工程と、金属層12の融点以上で、かつ、樹脂組成物層11、13を構成する熱可塑性樹脂組成物が軟化する温度で導電接続シート1を加熱する加熱工程とを有している。
以下、各工程について詳述する。
[1]配置工程
樹脂組成物層11、13が熱可塑性樹脂組成物で構成される本実施形態においても、樹脂組成物層11、13が熱硬化性樹脂組成物で構成される前記第3実施形態と同様にして、半導体チップ20の端子21側に導電接続シート1を熱圧着(配置)させる。
なお、端子21の表面には、酸化防止膜を設けるのが好ましい。この酸化防止膜としては、前述した金属層12が備える酸化防止膜と、同様のものが挙げられる。これにより、端子21は、実質的に表面に酸化膜が形成されておらず、かつ、表面の酸化(酸化膜の生長)が防止される。
かかる酸化防止膜は、配置工程[1]に先立って、導電接続シート1にて説明した方法を用いて端子21の表面側に形成することができる。
[2]加熱工程
次に、前記配置工程[1]において、半導体チップ20の端子21側の面に配置された導電接続シート1(金属層12)を、図5(b)に示すように、金属層12の融点以上で加熱する。
導電接続シート1を加熱する温度は、前記第1実施形態の加熱工程[2]で導電接続シート1を加熱した温度と同様の温度に設定される。
このような温度で導電接続シート1を加熱すると、金属層12が溶融し、溶融した金属
層12すなわち低融点の金属材料が、樹脂組成物層11、13中を移動できるようになる。
この際、金属層12は、酸化防止膜を備えているため、その表面に実質的に酸化膜が形成されておらず、かつ、その表面への酸化膜の形成(酸化膜の生長)が確実に防止される。このため、金属層12を加熱すると、かかる酸化膜が形成されていない金属層12は、酸化膜を有する金属層12よりも、より低温で溶融することができる。さらに、かかる金属層12は、金属層12の表面に実質的に酸化膜が形成されていないため、端子21に対する優れた濡れ性を発揮することができる。
また、金属材料が比較的低温で溶融することができるため、熱可塑性樹脂が高温に加熱されることにより熱分解してしまうことを防ぐことができる。
したがって、好適に溶融した金属層12、すなわち金属材料が、対向して配置された端子21に凝集し易い状態となる。換言すると、溶融状態の金属材料は、熱可塑性樹脂中を移動して端子21に選択的に凝集し易い状態となる。その結果、金属層12は端子21に凝集することができる。
このように、金属層12の溶融性が向上することで、これらへの凝集力が特に向上することができる。
これに対して、仮に、金属層12の表面に酸化膜が形成されていた場合には、金属層12の、加熱による溶融性が低下してしまう。そこで、酸化膜を除去して、金属層12の溶融を可能とするために、樹脂組成物層11、13にフラックス機能を有する化合物を含む必要があった。
本発明では、導電接続シート1を構成する金属層12が、酸化防止膜を備える構成のものとなっているため、たとえ樹脂組成物層11、13がフラックス機能を有する化合物を実質的に含有しないものであったとしても、金属層12は、優れた溶融性を有するものとなる。
なお、本発明では、金属層12が層状(箔状)をなしているため、溶融状態の金属層12が複数個に分断されて端子21の表面に凝集する際に、その一部が端子21に凝集することなく樹脂組成物層11、13中に残存してしまうのを的確に抑制または防止することができる。そのため、補強層86に金属層12の一部が残存することに起因するリーク電流の発生を確実に防止することができる。
以上のことから、図5(c)に示すように、端子21の表面には金属材料で構成される接続端子85が形成される。この際、熱可塑性樹脂組成物が冷却されることにより、接続端子85の周囲を取り囲んで固化することで、補強層86が形成される。その結果、隣接する接続端子85間の絶縁性が確保されることから、隣接する接続端子85間のショートが確実に防止されることとなる。
以上のような接続端子85および補強層86の形成方法では、加熱溶融した金属材料を選択的に端子21に凝集させて接続端子85を形成し、その周囲に熱可塑性樹脂組成物で構成された補強層86を形成することができる。その結果、隣接する接続端子85間の絶縁性を確保することができる。
また、微細なピッチで複数の端子21を有する半導体チップ20においても端子21に対応して複数の接続端子85を一括して形成することが可能となる。
なお、本工程[2]では、導電接続シート1と端子21との距離を近づけるように、導電接続シート1と半導体チップ20とを加圧した状態で加熱してもよい。例えば、図5(b)中の導電接続シート1と半導体チップ20とが接近する方向に公知の熱圧着装置等の手段を用いて加熱および加圧することにより、導電接続シート1と端子21との距離を一定に制御することができるため、端子21の表面における溶融状態の金属材料の凝集能をより高めることが可能となる。
さらに、加圧または加熱する際に超音波や電場等を加えたり、レーザーや電磁誘導等の特殊加熱を適用してもよい。
以上のような工程[1]および工程[2]を経て、接続端子85および補強層86が形成される。すなわち、接続端子85および補強層86を形成するための、配置工程[1]および加熱工程[2]に、本発明の接続端子および補強層の形成方法が適用される。
以上のように、導電接続シート1を用いて半導体チップ20の端子21側の面に接続端子85を形成する場合、接続端子85を形成しようとする部分に、導電接続シート1を配置して加熱することにより、溶融状態の金属層12が端子21上に選択的に凝集し、その結果、接続端子85が形成されることとなる。
このような接続端子85と補強層86とが設けられた半導体チップ20を、インターポーザー30の端子41側の面に配置した状態で、接続端子85と補強層86とを加熱することにより、接続端子85が再び溶融状態となるため、その後、冷却することで、半導体チップ20との間に、接続部81と封止層80とを形成することができる。
そして、本実施形態では、樹脂組成物層11、13に含まれる樹脂として、熱可塑性樹脂が含まれるため、前記のように冷却することで熱可塑性樹脂組成物を固化させることができ、これにより、封止層80が固定されるため、接続部81および封止層80の機械的強度を高めることができる。
以上のような工程を経て、半導体チップ20の端子21が設けられている面上に、接続端子85が形成され、この接続端子85を取り囲むように補強層86が形成される。
なお、第3実施形態および第4実施形態では、半導体チップ20が備える端子21に対応するように接続端子85を形成する場合に、本発明の接続部の形成方法を適用する場合ついて説明したが、この場合に限定されず、各種電子機器に用いられる電子部品が備える端子(電極)上に、接続端子(バンプ)を形成する場合に適用することができ、各種電子部品としては、例えば、半導体ウエハおよびフレキシブル基板等が挙げられる。
以上、本発明の導電接続シート、端子間の接続方法、接続部の形成方法、半導体装置および電子機器について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の導電接続シートの各部の構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することもできる。
また、本発明の端子間の接続方法および接続部の形成方法には、必要に応じて任意の工程が追加されてもよい。
以上、本発明の導電接続シート、端子間の接続方法、接続部の形成方法、半導体装置および電子機器について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の導電接続シートの各部の構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することもできる。
また、本発明の端子間の接続方法および接続部の形成方法には、必要に応じて任意の工程が追加されてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.評価方法
各実施例および各比較例の導電接続シートを用いて、対向する端子同士を接続するために作製した端子接続体において、端子間の接続抵抗、導通路(接続部)形成性および導通路以外の領域に位置する封止層に残存する金属層の有無を以下の方法により測定または評価した。
(1)接続抵抗
得られた端子接続体中の対向する端子間の抵抗を4端子法(抵抗計:岩崎通信機(株)製、「デジタルマルチメータVOA7510」、測定プローブ:日置電機(株)製「ピン型リード9771」)により12点測定し、その平均値が30mΩ未満の場合を「A」、30mΩ以上の場合を「B」と判定した。
(2)導通路形成性
得られた端子接続体中の対向する端子10組について、その端子間の断面を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、「JSM−7401F」)で観察し、10組全てにおいて半田により円柱状の導通路(接続部)が形成されている場合を「A」、1組でも導通路が形成されていない端子が存在する場合を「B」、隣接している端子とショート接触している場合を「C」と判定した。
(3)残存半田の有無
得られた端子接続体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子社製、型番「JSM−7401F」)で観察し、全ての金属層(金属材料)が対向する端子間の導通路形成に寄与している場合を「A」、導通路形成に寄与せずに対向する端子間(接続部)以外の樹脂(封止層)中に金属層の一部が残存している場合を「B」と判定した。
2.導電接続シートの作製
[実施例1〜9、比較例1〜3]
まず、エポキシ樹脂1として、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(DIC(株)製、「EPICLON 840−S」、エポキシ当量185g/eq)を、フィルム形成性樹脂1として、フェノキシ樹脂(三菱化学(株)製、「YX6954」)を、硬化剤1として、フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト(株)製、「PR−53647」、水酸基当量104g/eq)を、硬化促進剤1として、2−フェニル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業(株)製、「キュアゾール2P4MZ」)を、シランカップリング剤1として、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、「KBM−303」)を、無機充填材1として、球状シリカ((株)アドマテックス製、「SE2050」、平均粒径0.5μm)を、フラックス機能を有する化合物1として、セバシン酸(東京化成工業(株)製、「セバシン酸」)をそれぞれ用意した。
そして、各実施例、各比較例の導電接続シートが備える樹脂組成物層を形成するための樹脂組成物を、実施例、比較例ごとに、表1に示す各配合をメチルエチルケトン(MEK
)に溶解して、固形分濃度40%の樹脂組成物のワニスを調製した。そして、得られたワニスを、コンマコーターを用いて、ポリエステルシートに塗布し、90℃×5分間の条件で乾燥させてフィルム状の厚さ30μmの樹脂組成物を得た。
次に、母材として、半田箔A(Sn/Pb=63/37(重量比)、融点:183℃、密度:8.4g/cm3、厚さ10μm)および半田箔B(Sn/Ag/Cu=96.5
/3.0/0.5(重量比)、融点:217℃、密度=7.4g/cm3、厚さ10μm
)を用意した。
その後、半田箔A、半田箔Bの表面に、25℃、1分間、15wt%の過酸化水素水溶液にてソフトエッチングを施した。次いで、水洗し、25℃、1分間、5wt%の硫酸水溶液にて酸洗浄を施し、半田箔A、半田箔Bの表面の自然酸化膜を除去した。
次に、金属層に酸化防止膜を設けるために、半田箔A、Bを、1−メチルイミダゾール化合物を含有する混合溶液に、40℃で、30秒間浸漬した。その後、水洗し、120℃、3分間乾燥させ、酸化防止膜を備えた半田箔A1、半田箔B1を調製した。
また、半田箔A、Bを、ベンゾトリアゾール化合物を含有する混合溶液に、40℃で、30秒間浸漬した。その後、水洗し、120℃、3分間乾燥させ、酸化防止膜を備えた半田箔A2、半田箔B2を調製した。
なお、上記調整を行わず、酸化防止膜を設けなかった半田箔A、半田箔Bを半田箔A´(酸化防止膜無し)、半田箔B´(酸化防止膜無し)と表す。
そして、実施例、比較例ごとに、表1に示すように、半田箔A1、半田箔A2、半田箔A´(酸化防止膜無し)、半田箔B1、半田箔B2および半田箔B´(酸化防止膜無し)の金属層を選択し、各実施例および各比較例用に調製したフィルム状の樹脂組成物を60℃、0.3MPa、0.3m/minの条件で、金属層の両面にラミネートすることにより、金属層の両面に厚さ30μmの樹脂組成物層を備える導電接続シートを作製した。
3.導電接続シートを用いた端子間の接続
次に、各実施例、各比較例の導電接続シートを用いて、対向する端子間の接続を行った。
より詳しくは、まず、基板として、FR−4基材(厚み0.1mm)と回路層(銅回路、厚み12μm)とで構成され、銅回路上にNi/Auメッキ(厚み3μm)を施して形成された接続端子(端子径100μm、隣接する端子の中心間距離300μm)を有するものを2つ用意した。
次に、実施例、比較例ごとに、かかる構成の基板間に、各実施例および各比較例の導電接続シートを配置し、この状態で、熱圧着装置(筑波メカニクス社製、「TMV1−200ASB」)を用いて、表1に示すような条件で熱圧着(基板間ギャップ50μm)を施して、対向する端子同士の間に接続部を形成することにより、端子間を電気的に接続した。その後、180℃で1時間加熱することにより樹脂組成物を硬化させて端子接続体を得た。
次に、得られた端子接続体について、前述した評価方法を用いて、対向する端子間の接続抵抗、端子間の導通路形成性および絶縁性領域中の残存半田の有無を前記方法に従って評価した。その結果を表1に示す。

表1から、各実施例では、金属層に酸化防止膜が設けられていることにより、金属層を選択的に端子同士の間に凝集させることができ、各評価とも優れた結果が得られることが判った。また、各実施例と各参考例との結果から、各実施例では、より短い時間で、金属層を選択的に端子同士の間に凝集させることが可能であった。したがって、かかる各実施例のように金属層に酸化防止膜を備える構成とすれば、より生産性を向上させることできることが判った。
これに対して、各比較例では、金属層に酸化防止膜が設けられていないため、十分に金属層の表面に形成された酸化膜を除去することができず、金属層を選択的に端子間に凝集させることができなかったため、各評価とも各実施例と比較して明らかに劣る結果となった。
1 導電接続シート
10 半導体装置
11 第1の樹脂組成物層
12 金属層
13 第2の樹脂組成物層
20 半導体チップ
21 端子
30 インターポーザー
41 端子
70 バンプ
80 封止層
81 接続部
85 接続端子
86 補強層

Claims (11)

  1. 樹脂を含有する樹脂組成物層と、低融点の金属材料で構成される金属層とを備える積層体により構成される導電接続シートであって、
    前記金属層は、その前記樹脂組成物層と接触する面側に、前記金属層の酸化を防止する酸化防止膜を備えることを特徴とする導電接続シート。
  2. 前記酸化防止膜は、有機材料を含む有機膜である請求項1に記載の導電接続シート。
  3. 前記有機材料は、アゾール系化合物を含むものである請求項2に記載の導電接続シート。
  4. 前記アゾール系化合物は、イミダゾール系化合物およびトリアゾール系化合物のうち少なくとも1種を含むものである請求項3に記載の導電接続シート。
  5. 前記金属層を構成する金属材料は、錫(Sn)、鉛(Pb)、銀(Ag)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、アンチモン(Sb)、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、金(Au)、ゲルマニウム(Ge)およびビスマス(Bi)からなる群から選択される少なくとも2種以上の金属の合金または錫の単体である請求項1ないし4のいずれかに記載の導電接続シート。
  6. 前記樹脂組成物層は、フラックス機能を有する化合物を実質的に含有しない樹脂組成物で構成されたものである請求項1ないし5のいずれかに記載の導電接続シート。
  7. 前記金属層は、前記酸化防止膜の形成に先立って洗浄処理が施されたものである請求項1ないし6のいずれかに記載の導電接続シート。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の導電接続シートを、基材が有する端子と、対向基材が有する端子との間に配置する配置工程と、前記金属材料の融点以上であり、かつ、前記樹脂組成物層が変形可能な温度で前記導電接続シートを加熱する加熱工程と、前記樹脂組成物層を硬化または固化させる硬化・固化工程とを有することを特徴とする端子間の接続方法。
  9. 請求項1ないし7のいずれかに記載の導電接続シートを、端子を有する基材上に配置する配置工程と、前記金属材料の融点以上であり、かつ、前記樹脂組成物層が変形可能な温度で前記導電接続シートを加熱する加熱工程とを有することを特徴とする接続部の形成方法。
  10. 前記電子部品が有する端子と、対向電子部品が有する端子とが、請求項1ないし7のいずれかに記載の導電接続シートを用いて形成された接続部を介して電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
  11. 前記電子部品が有する端子と、対向電子部品が有する端子とが、請求項1ないし7のいずれかに記載の導電接続シートを用いて形成された接続部を介して電気的に接続されていることを特徴とする電子機器。
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