JP2014066176A - 燃料噴射弁 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 連通路の弁座部材の開口部側端部に、連通路の軸方向に対して横方向に延びる横通路を形成した。
【選択図】 図3
Description
本発明は上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、スワール付与室に連通する連通路内の燃料の流れをなめらかにすることができる燃料噴射弁を提供することである。
実施例1の燃料噴射弁1について説明する。
[燃料噴射弁の構成]
図1は燃料噴射弁1の軸方向断面図である。この燃料噴射弁1は、自動車用ガソリンエンジンに用いられるものであって、インテークマニホールド内に向けて燃料を噴射する、所謂低圧用の燃料噴射弁である。以下では、図1において燃料噴射弁1の紙面上方を一端、紙面下方を他端と記す。
燃料噴射弁1は、磁性筒体2と、磁性筒体2内に収容されるコア筒体3と、軸方向に摺動可能な弁体4と、弁体4と一体に形成された弁軸5と、閉弁時に弁体4により閉鎖される弁座6を有する弁座部材7と、開弁時に燃料が噴射される燃料噴射孔を有するノズルプレート8と、通電時に弁体4を開弁方向に摺動させる電磁コイル9と、磁束線を誘導するヨーク10とを有している。
小径部12には、一部を薄肉化した薄肉部13が形成されている。小径部12は、薄肉部13より一端側にコア筒体3を収容するコア筒体収容部14と、薄肉部13より他端側に弁部材15(弁体4、弁軸5、弁座部材7)を収容する弁部材収容部16とに分けられている。薄肉部13は、後述するコア筒体3と弁軸5が磁性筒体2に収容された状態で、コア筒体3と弁軸5との間の隙間部分を取り囲むように形成されている。薄肉部13は、コア筒体収容部14と弁部材収容部16との間の磁気抵抗を増大させ、コア筒体収容部14と弁部材収容部16間を磁気的に遮断している。
コア筒体3は中空部19を有する円筒形に形成されており、磁性筒体2のコア筒体収容部14に圧入されている。中空部19には、圧入等の手段により固定されたばね受20が収容されている。このばね受20の中心には軸方向に貫通した燃料通路43が形成されている。
弁体4の外形は略球体状に形成されており、周上に燃料噴射弁1の軸方向に対して並行に削られた燃料通路面21を有している。
弁軸5は大径部22と、外形が大径部22より小径に形成された小径部23とを有している。大径部22の端部にはばね挿入孔24が穿設されている。このばね挿入孔24の底部は、ばね挿入孔24よりも小径に形成されたばね座り部25が形成されるとともに、段部のばね受部26が形成されている。小径部23の端部には燃料通路孔27が形成されている。この燃料通路孔27はばね挿入孔24と連通している。小径部23の外周と燃料通路孔27とは貫通した燃料流出孔28が形成されている。
弁座部材7は、略円錐状の弁座6と、弁座6より一端側に弁体4の径とほぼ同型に形成された弁体保持孔30と、弁体保持孔30から一端開口側に向かうにつれて大径に形成された上流開口部31と、弁座6の他端側に開口する下流開口部48とが形成されている。弁座6は、約角度45°で弁体保持孔30から下流開口部48へ向かって径が小さくなるように形成され、閉弁時には弁体4が弁座6に座るようになっている。
弁座部材7の他端側にはノズルプレート8が溶接されている。このノズルプレート8には、燃料にスワール(旋回流)を与える6つのスワール室41と、スワール室41においてスワールが与えられた燃料が噴射される燃料噴射孔44が形成されている。
磁性筒体2のコア筒体3の外周には電磁コイル9が挿嵌されている。すなわち、電磁コイル9はコア筒体3の外周に配置されることとなる。電磁コイル9は、樹脂材料により形成されたボビン32と、このボビン32に巻回されたコイル33とから構成されている。コイル33は、コネクタピン34を介して電磁コイル制御装置55に接続されている。
電磁コイル制御装置55は、クランク角を検出するクランク角センサからの情報に基づいて計算した燃焼室側に燃料を噴射するタイミングに応じて、電磁コイル9のコイル33に通電して燃料噴射弁1を開弁させる。
連結コア38は磁性金属材料等により略C字状に形成されている。ヨーク10は、小径部37および連結コア38を介して大径部35において磁性筒体2と接続しており、すなわち電磁コイル9の両端部で磁性筒体2と磁気的に接続されていることとなる。ヨーク10の他端側先端には、燃料噴射弁1をエンジンの吸気ポートと接続するためのOリング40を保持し、かつ磁性筒体先端を保護するためのプロテクタ52が取り付けられている。
燃料噴射弁1の図1に示すように、大部分が樹脂カバー53により被覆されている。樹脂カバー53に被覆されている部分は、磁性筒体2の大径部11の一端部を除いた部分から小径部12の電磁コイル9設置位置まで、電磁コイル9とヨーク10の中径部36との間、連結コア38の外周と大径部35との間、大径部35の外周、中径部36の外周、およびコネクタピン34の外周である。コネクタピン34の先端部分は樹脂カバー53が開口して形成されており、コントロールユニットのコネクタが差し込まれるようになっている。
図2は燃料噴射弁1のノズルプレート8付近の拡大断面図である。図3はノズルプレート8の斜視図である。図4はスワール室41の拡大斜視図である。図5はスワール室41の拡大平面図である。図6はノズルプレート8を弁座部材7に取り付けた状態を図である。図2〜図6を用いてノズルプレート8の構成について説明する。
ノズルプレート8の一端側側面にはスワール室41が形成されている。スワール室41は6つ形成されており、それぞれ横通路42と連通路45とスワール付与室46とから構成されている。
連通路45はノズルプレート8に対して放射状に形成した溝であって、連通路45の先にはスワール付与室46が形成され、連通路45はスワール付与室46の接線方向に接続している。スワール付与室46は内側面と底部とを有する有底凹状に形成されているおり、内側面をノズルプレート8の軸方向から見ると螺旋状(スワール状、渦形状)に形成されている。連通路45とスワール付与室46とは同じ深さに形成されている。スワール付与室46の底部には貫通孔である燃料噴射孔44が形成されている。
連通路45の根元(スワール付与室46と接続する側の反対側端部45a)には、連通路45の軸方向に対して横方向(ノズルプレート8の周方向)に延びる横通路42が接続している。横通路42は隣接する連通路45の根元を連結する溝であって、その深さは連通路45の深さよりも浅く形成されている。また図6に示すように横通路42は、弁座部材7の下流開口部48の内周よりも内側、すなわちノズルプレート8の中心側に配置されている。
(閉弁時の燃料の流れ)
電磁コイル9のコイル33に通電されていないときには、弁体4が弁座6に座るようにコイルバネ29により弁軸5を他端側に付勢している。そのため弁体4と弁座6との間が閉鎖され、ノズルプレート8側には燃料は供給されないようになっている。
(開弁時の燃料の流れ)
図7はスワール室41および燃料噴射孔44の斜視図に燃料の流れを記載した図である。
電磁コイル9のコイル33に通電されているときには、コイルバネ29の付勢力に抗して電磁力により弁軸5が一端側に引き上げられる。そのため、弁体4と弁座6との間が解放され、燃料がノズルプレート8側に供給される。
ノズルプレート8に供給された燃料は各連通路45を通ってスワール付与室46に流入する。連通路45はスワール付与室46の接線方向に接続しているため、連通路45を通過した燃料はスワール付与室46の内側面に沿って旋回する。
スワール付与室46において燃料に旋回力(スワール力)が付与されて、旋回力を持った燃料は燃料噴射孔44の側壁部分に沿うように旋回しながら噴射される。そのため、燃料噴射孔44から噴射された燃料は、燃料噴射孔44の接線方向に飛散する。燃料噴射孔44から噴射された直後の燃料噴霧は、燃料噴射孔44開口部のエッジ部分によって略中空円錐状の噴霧表面で燃料が膜状となる液膜状態となる。その後、膜状であった燃料噴霧が次第に***し始めて液糸状態となる。そして更に***が進み、燃料が粒状に***した液滴状態となる。
連通路45内の燃料の流れについて説明する。実施例1の連通路45内の燃料の流れについて説明する前に、比較例の連通路45内の燃料の流れについて説明する。図8は比較例としての横通路42を設けていないノズルプレート8の斜視図である。図9は比較例のスワール室41の拡大斜視図である。図10は比較例のスワール室41の拡大平面図である。図11は比較例のノズルプレート8を弁座部材7に取り付けた状態を図である。図12は比較例の開弁時の燃料の流れを示す図であり、図12(a)は弁体4および弁座部材7から燃料噴射孔44までの燃料の流れを示す図であり、図12(b)は図12(a)の点線部分の拡大図である。図13は連通路45およびスワール付与室46内の燃料の流れの解析結果を示す図であり、図13(a)は図10のB-B断面の解析結果、図13(b)は図10のC-C断面の解析結果、図13(c)は図10のD-D断面の解析結果である。図13では色の濃いほど(斜線・ハッチングの密度が高いほど)流速が遅く、色が薄いほど(斜線・ハッチングの密度が低いほど)流速が速いことを示す。
横通路42を設けなかった場合、連通路45の末端では燃料は上から(弁座部材7の下流開口部42から)下方向に向かって流れる。そのため、燃料の流れが連通路45の底側に偏り(図13で(A)で示す部分)、連通路45の上部には燃料の流れが滞る部分が生じる(図13で(B)で示す部分)。そのため、連通路45内の燃料の流れの抵抗が大きくなり、燃料噴射孔44から噴射される燃料噴霧の微粒化を妨げるおそれがあった。
連通路45内の燃料の流れをなめらかにするためには、連通路45の末端(スワール付与室46とは反対側の連通路端部)にある程度の体積を有する凹部を形成し、この凹部に貯留した燃料を連通路45に送ることが考えられる。しかし、凹部を形成してしまうとデッドボリュームの増大につながることとなる。デッドボリュームとは、燃料噴射弁1の閉弁時に、弁体4よりも下流に残留する燃料の体積のことを指す。燃料噴射弁1が燃料を噴射するインテークマニホールド内が負圧になると、残留した燃料が減圧沸騰し、燃料噴射の精度悪化や、不完全燃焼による炭化水素の増大、低パルス制御時の開閉弁の応答性の悪化、燃料噴射初期の噴霧粒子の粗大化を引き起こす原因となる。なおエンジンのシリンダ内に直接燃料を噴射する高圧用の燃料噴射弁の場合は、シリンダ内が負圧になることがないためデッドボリュームの影響は一般的には無い。このため、デッドボリュームはできるだけ削減することが望ましい。
そこで実施例1では、連通路45の根元45aに横通路42を設けた。図14は実施例1の開弁時の燃料の流れを示す図であり、図14(a)は弁体4および弁座部材7から燃料噴射孔44までの燃料の流れを示す図であり、図14(b)は図14(a)の点線部分の拡大図であり、図14(c)は図14(b)に示すAの方向から見た図である。図15は連通路45およびスワール付与室46内の燃料の流れの解析結果を示す図であり、図15(a)は図5のE-E断面の解析結果、図15(b)は図5のF-F断面の解析結果、図15(c)は図5のG-G断面の解析結果である。図15では色の濃いほど流速が遅く、色が薄いほど流速が速いことを示す。
図14、図15を参照して説明すると、横通路42を設けた場合、連通路45の末端では比較例と同じく燃料は上から下方向に向かって流れる(図14に示す(C))ものの、横通路42から連通路45の軸方向に対して横方向に向かう流れ(図14に示す(D))が生じる。そのため、燃料が上から下方向に向かう流れが弱まり、連通路45の上部と底部とにほぼ均等に燃料が流れる領域が増える(図15(a)の(E))。これにより、連通路45内の燃料の流れの効率が向上し、燃料噴霧の微粒化を促進することができる。また燃料噴霧の特性も安定化させることができる。また、連通路45内の燃料の流れの効率が向上することで、連通路45の体積を小さくすることができるためデッドボリュームを削減することができる。
また横通路42は、連通路45の末端に連通路45の軸方向に対して横方向の燃料の流れを作ることができれば良く、実施例1では連通路45の深さに対して横通路42の深さを浅く形成している。これにより、デッドボリュームの増大を抑制することができる。
さらに、横通路42を隣接する連通路45の根元45aを連結するように形成したため、連通路45が密集する部分においても横通路42を形成することができる。そして横通路42は、連通路の根元45aと連結するようにノズルプレート8の周方向に延設、もしくは環状に形成することができる。
実施例1の燃料噴射弁1の効果について以下に列記する。
(1)開閉弁可能に設けられた弁体4と、閉弁時に弁体4が座る弁座6が形成されるとともに、下流側に開口部を有する弁座部材7と、弁座部材7の下流も設けられたノズルプレート8と、ノズルプレート8に形成され内部で燃料を旋回させて旋回力を付与するスワール付与室46と、スワール付与室46の底部に形成され外部に貫通する噴射孔44と、ノズルプレート8に形成されスワール付与室46と弁座部材7の下流開口部48(開口部)とを連通する連通路45と、を備えた燃料噴射弁1において、連通路45の弁座部材7の下流開口部48側端部に、連通路の軸方向に対して横方向に延びる横通路42を形成した。
よって、連通路45内の燃料の流れの効率が向上し、燃料噴霧の微粒化を促進することができる。また燃料噴霧の特性も安定化させることができる。また、連通路45内の燃料の流れの効率が向上することで、連通路45の体積を小さくすることができるためデッドボリュームを削減することができる。
(2)横通路42は、隣接する連通路45を繋ぐようにした。
よって、連通路45が密集する部分においても横通路42を形成することができる。
以上、本願発明を実施例1に基づいて説明してきたが、各発明の具体的な構成は実施例1に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
実施例1の燃料噴射弁1では、スワール室41を6つ形成したが、スワール室41の個数は燃料噴射量の設計に応じて適宜変更しても良い。
図16〜図18はノズルプレート8の斜視図である。例えば、図16に示すようにスワール室41を2つ形成するようにしても良いし、図17に示すようにスワール室41を3つ形成するようにしても良いし、図18に示すようにスワール室41を4つ形成するようにしても良い。
(横通路の形状の変更)
実施例1の燃料噴射弁1では横通路42は隣接する連通路45を繋ぐように形成していたが、隣接する連通路45(もしくは連通路45の根元45a)を繋ぐように形成しなくとも良い。
図19〜図22はノズルプレートの斜視図である。例えば、図19〜図22に示すように、横通路42は隣接する連通路45を繋いでいなくとも良い。隣接する連通路45を互いに接続しないことにより、すなわち、横通路42が分割してノズルプレート8の周方向に配設されることにより、横通路42の体積が比較的低減されデッドボリュームの低減に寄与することができる。
また、図23,24に示すように横通路42を曲線でなく直線としても良い。
4 弁体
6 弁座
7 弁座部材
8 ノズルプレート
42 横通路
44 燃料噴射孔(噴射孔)
45 連通路
46 スワール付与室
48 下流開口部(開口部)
Claims (2)
- 開閉弁可能に設けられた弁体と、
閉弁時に前記弁体が座る弁座が形成されるとともに、下流側に開口部を有する弁座部材と、
前記弁座部材の下流に設けられたノズルプレートと、
前記ノズルプレートに形成され内部で燃料を旋回させて旋回力を付与するスワール付与室と、
前記スワール付与室の底部に形成され外部に貫通する噴射孔と、
前記ノズルプレートに形成され前記スワール付与室と前記弁座部材の前記開口部とを連通する連通路と、
を備えた燃料噴射弁において、
前記連通路の前記開口部側端部に、前記連通路の軸方向に対して横方向に延びる横通路を形成したことを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項1に記載の燃料噴射弁において、
前記横通路は、隣接する前記連通路を繋ぐことを特徴とする燃料噴射弁。
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