JP2014064497A - 陽イオンまたは陰イオン系肥料成分担持人工土壌 - Google Patents

陽イオンまたは陰イオン系肥料成分担持人工土壌 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、保肥性の高い材料をもちいて、特定の肥料成分のみを吸着させたものを提供する。
【解決手段】 本発明は、粒状化した陽イオン吸着体に植物の生育に必要な少なくとも一種の陽イオンを吸着させた陽イオン系肥料成分担持人工土壌を提供する。また、本発明は、粒状化した陰イオン吸着対に植物の生育に必要な少なくとも一種の陰イオンを吸着させた陰イオン系肥料成分担持人工土壌を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、人工土壌、特に陽イオンまたは陰イオン系肥料担持人工土壌に関する。
近年、野菜価格の高騰や家庭菜園ブームにより、様々な人工土壌が商品化されてきたが、天然材料を使用したものがほとんどで、品質面でのばらつきが大きく、特にピートモスなどの天然有機材では、資源の枯渇や環境破壊の問題などにより良質な材料の入手が困難になってきている。
上記のように、天然の土壌に代わる人工的土壌資材の1つとしては、多孔質セル状のため軽量であり、通気性や保水性に優れるとともに、陽イオン交換容量が大きく保肥性に優れ、かつ安価であるなどの点からピートモスが好適に用いられてきた。しかしながら、ピートモスは上記のように多孔質セル状のため保水性に優れるが、一度完全に乾燥状態になると撥水性が強くなり、再び水分を加えても保水しにくくなるという問題があり、また、乾燥を防止するために水分を多量に供給すると水分を保持し過ぎて、通気性が悪くなり、根腐れや病害の原因となるという問題があった。
市販の各種肥料も多く存在している。それらは、一般的に水で容易に崩壊してしまう物が多く、しかも溶出肥料成分濃度が高く、植物にとって吸収しにくい。肥料成分がゆっくり出るように、崩壊を制御した肥料もあるが、その場合施肥効果が現れるのに逆に時間がかかったりする。また、市販の肥料の場合、肥料として必要な全成分が含まれているので、特定の肥料成分、例えばリンやカリウムだけが不足した場合に施肥することができず、不必要な成分を含めた肥料として施肥するしかなかった。
そのような問題を解決するため、アルギン酸ゲルや多孔性無機材料など、多くの天然の土壌の代替品が提案されてきた(特許文献1および2)。
特開2002‐80284号公報(特許文献1)には、陽イオン交換容量が50(cmol/kg)以上400(cmol/kg)以下、かつ、細孔分布のメディアン径が0.01(μm)以上15.00(μm)以下であり、外周部にゼオライトが形成されていることを特徴とする無機多孔質体が開示されている。しかしながら、上記無機多孔質体の孔径が15μm以下と小さいため植物が吸水しにくく、陽イオン交換容量について規定はあるが、陰イオン交換性材料が使用されておらず陰イオン交換容量は低いと考えられる。また、原料として鋳物工場の集塵装置から粉塵廃棄物として排出される廃砂(鋳物砂)であり、製造時に高温(800℃)で焼成する必要があり、また有害金属や有害薬品なども微量ではあるが含有しているなどの問題がある。
特開平11‐70384号公報(特許文献3)には、0.1〜10重量%のアルギン酸塩溶液を多価陽イオン溶液に滴下してアルギン酸を架橋結合させて製造することを特徴とするビード形アルギン酸ゲル水処理剤が開示されている。しかしながら、イオン吸着剤が含有されていないため、陽イオンおよび陰イオンの吸着能が低いという問題がある。
これら先行特許文献の肥料もやはり、肥料中の特定の成分のみの肥料が存在せず、一成分の不足でも全成分の肥料を使用しなければならなかった。
特開2002‐80284号公報 特開平11‐70384号公報
本発明は、保肥性の高い材料をもちいて、特定の肥料成分のみを吸着させたものを提供する。
即ち、本発明は、粒状化した陽イオン吸着体に植物の生育に必要な少なくとも一種の陽イオンを吸着させた陽イオン系肥料成分担持人工土壌を提供する。
また、本発明は、粒状化した陰イオン吸着体に植物の生育に必要な少なくとも一種の陰イオンを吸着させた陰イオン系肥料成分担持人工土壌を提供する。
更に、本発明は、上記の陽イオン系肥料成分担持人工土壌および上記の陰イオン系肥料成分担持人工土壌を含む肥料成分担持人工土壌も提供する。
本発明の人工土壌は、植物が根酸により容易に陽イオンまたは陰イオンを吸収することができるものである。
上記の陽イオン吸着体は、ゼオライト、スメクタイト、雲母、バーミキュライト、タルク、陽イオン交換樹脂、腐植およびそれらの混合物からなる群から選択されるものが好ましい。
上記の陽イオンはK、Ca2+、Mg2+、Fe2+、Mn2+、Zn2+、Ni2+、Cu2+、Mo2+およびそれらの混合であるのが好ましい。
上記前記陽イオンはKであるのがより好ましい。
上記の陰イオン吸着体は、複水酸化物及び複水酸化物類、アロフェン、イモゴライト、カオリン、陰イオン交換樹脂およびそれらの混合物であるのが好ましい。
上記陰イオンは、NO 、PO 3−、SO 2−、Clおよびそれらの混合であるのが好ましい。
また、上記陰イオンは、NO 及びPO 3−およびそれらの混合であるのがより好ましい。
天然の土壌では保肥力が小さいため、無機肥料を多量に混合すると、雨などにより殆どが流亡してしまうため、緩効性肥料や有機肥料として混合しなければならず、これらの使用は肥料効果の発現が遅くなる。また、堆肥などの有機肥料などは詳細な含有成分の明細が不明であるため、不足している成分を必要な量だけ混合することが難しく、肥料を追加しても一部の肥料成分が不足したり、逆に特定の肥料成分が過多になることがある。
市販の化成肥料も窒素(N)、リン(P)およびカリウム(K)の成分が混合されていたり、単肥と言われる肥料でも中性塩のものは、KClやMgSO、Ca(NO)など必ず陽イオン、陰イオンの両イオンが含有されているため、陽イオンだけ、陰イオンだけいった単独の肥料成分を土壌に追加することが難しい。
また、野菜毎に適した肥料配合があるにもかかわらず、汎用の土壌や培養土では栽培したい野菜に適合しているのかどうかや混合成分が不明なため、自分で不足肥料成分などを補うこともできず、成り行きまかせの栽培となっている。
それに対して、本発明はカリウムのみ、リンのみ、窒素のみといった肥料成分ごとの人工土壌であるため、使用者が自由に肥料の成分構成や混合比率を変えることができ、現行の土壌にもピンポイントで施肥することができ、また、野菜に最適な肥料配合もピンポイントで行うことができる。
更には保水性が優れた成分や排水性に優れた成分を組み合わせることもでき、肥料成分といった化学性と保水・通気性といった物理性を自由にデザインすることも可能で対象植物により最適な土壌の設計が可能になる。
また、本発明の人工土壌では、人工土壌に吸着された肥料成分である陽イオンや陰イオンがが、根から分布される根酸などにより、溶離し、水に溶け込み、植物の根から吸収されるため、植物が生育できる。根酸の分泌すなわち植物が養分を必要として根酸を分泌するときのみ肥料成分が溶離されるため、人工土壌中のイオン濃度が過剰になり、肥料焼けを起こしたり、イオン濃度が過少になり、養分不足になることがない。また、人工土壌自体に保肥性があるので、灌水などの水の供給により、造粒体内の肥料成分が流亡することもなく、長期的に肥料成分を放出することができる。
本発明の人工土壌は、陽イオン吸着体に植物の生育に必要な陽イオンを吸着させたものと、陰イオン吸着体に植物の生育に必要な陰イオンを吸着させたものの大きくは2種類に分類されるが、陽イオンおよび陰イオンは更に細かくイオンごとに分類することができる。本発明の人工土壌の市販の形態としては、それぞれのイオンの種類ごとに販売する場合や、いくつかのイオン種を混合した形で流通させることができる。
植物の生育に必要な陽イオン種としては、イオン形態で示すと、K、Ca2+、Mg2+、Fe2+、Mn2+、Zn2+、Ni2+、Cu2+、Mo2+が挙げられ、それらの混合した形態でもよい。3大栄養素として重要な陽イオン種としては、Kである。
植物の生育に必要な陰イオン種としては、イオンの形態で示すと、NO 、PO 3−、SO 2−、Clが挙げられ、それらの混合した形態でもよい。3大栄養素として重要な陰イオン種としては、NO およびPO 3−が挙げられる。
陽イオン吸着体はゼオライト、スメクタイト系鉱物、雲母系鉱物、バーミキュライト、陽イオン交換樹脂、腐植などが挙げられる。上記陽イオン交換樹脂としては、弱酸性陽イオン交換樹脂、強酸性陽イオン交換樹脂などが挙げられる。
陰イオン吸着体としては、ハイドロタルサイト等の複水酸化物および複水酸化物類、アロフェン、イモゴライト、カオリン、陰イオン交換樹脂などが挙げられる。上記陰イオン交換樹脂として弱塩基性陰イオン交換樹脂、強塩基性陰イオン交換樹脂などが挙げられる。
イオン吸着体を粒状化する方法は市販の粒状ゼオライトやベントナイトを適当な粒径に分級して使用したり、粉体状のイオン吸着体を造粒機などで球状やペレット状に造粒したり、アルギン酸塩などの架橋ゲル多糖類やカラギーナンなどの増粘性多糖類で造粒する方法があるが、耐水性や保水性などの観点からアルギン酸塩などで架橋造粒するか、カラギーナンなどの増粘多糖類で撹拌造粒する方法が好ましい。
上記イオン吸着体は具体的には、単体として1次粒子形態でも1次粒子が結合して2次団粒化した形態でもよいが、粒径0.2〜10mm、好ましくは0.5〜5.0mmに造粒する。イオン吸着体の粒径が0.2mmより小さいと、灌水時に保水した状態で通気性がなくなり、根から空気を取り込みにくくなってしまう。また、10mmより大きいと保水性が著しく低下してしまったり、植物の横倒れを防止する機能が低下してしまう。
イオン吸着体のアルギン酸塩を用いる造粒方法は、アルギン酸塩、その架橋剤(多価金属イオン)およびイオン吸着体を用いる。
上記アルギン酸塩は、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウムなどが挙げられる。多価金属イオンの例としては、基本的にアルギン酸塩と反応してゲル化が起きる2価以上の金属塩であれば特に限定されないが、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化ストロンチウム、塩化ニッケル、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化コバルトなどの多価金属の塩化物、硝酸カルシウム、硝酸バリウム、硝酸アルミニウム、硝酸鉄、硝酸銅、硝酸コバルトなどの多価金属の硝酸塩、乳酸カルシウム、乳酸バリウム、乳酸アルミニウム、乳酸亜鉛などの多価金属の乳酸塩、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸コバルトなどの多価金属の硫酸塩などが挙げられる。
アルギン酸塩を用いる造粒は、保肥性フィラーをアルギン酸塩水溶液に混合、撹拌して混合液を形成し、得られた混合液を多価金属イオン水溶液中へ滴下してゲル化粒子を形成する。上記保肥性フィラーの配合量は、アルギン酸塩水溶液100質量部に対して、2〜40質量部、好ましくは5〜40質量部、より好ましくは5〜30質量部であることが望ましい。上記アルギン酸塩水溶液のアルギン酸塩の濃度としては、0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%が望ましい。上記多価金属イオン水溶液の金属イオン濃度としては、1〜20質量%、好ましくは2〜10質量%、より好ましくは5〜10質量%が望ましい。
造粒には、アルギン酸塩ではなく、バインダーを用いて造粒方法も使用できる。バインダーとしては、高分子樹脂類(例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレン、酢酸ビニル、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース)、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等)、多糖類(例えば、カラギーナン、寒天等)、ガム類(例えば、キサンタンガム、グアーガム、ジェランガム等)が挙げられる。
バインダーを用いる造粒方法は、いろいろな方法が考えられる。例えば、バインダーと保肥性フィラーとをバインダーが溶融する状態で混合し、混合後固化させてから適当な大きさに粉砕する方法や特開2006−169064号公報に記載の造粒機を用いる方法などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明では、イオン吸着体が多孔質であるのが、保水性の観点から好ましい。アルギン酸塩などで架橋造粒したものやカラギーナンなどの増粘多糖類で撹拌造粒したものでもある程度の保水性は有するが、粒状化したイオン吸着体の保水性を更に高めるには、いくつかの方法が考えられる。例えば、イオン吸着体自体を多孔質にする方法、多孔質な保水性フィラーをイオン吸着体と共に用いて造粒する方法などが考えられる。
造粒物自体を多孔質にするには、凍結乾燥などの手段で多孔質にすることができる。
多孔質な保水性フィラーを用いる場合には、製造時に保肥性フィラーと共に保水性フィラーを混入すればよい。保水性フィラーも保肥性フィラーと同様に、粒径0.2〜10mmであるのが製造上好ましい。
保水性フィラーの例としては、各種親水性のある鉱物や無機材料、例えばゼオライトやスメクタイト系鉱物、雲母系鉱物、タルク、複水酸化物など;多孔質な粒子状物体、例えば発泡ガラス、多孔質金属、多孔質セラミック、高分子多孔体(具体的には、ポリウレタンフォーム粉砕品、PVA(ポリビニルアルコール)フォーム粉砕品、親水性PE(ポリエチレン)焼結体粉砕品など)、親水性繊維球などが挙げられる。
本発明の人工土壌には、上記イオン吸着体と保水性フィラーの他に、必要に応じて他のフィラーを配合しても良い。他のフィラーの例としては、シリカ、活性炭、セルロース粉、ビニロン短繊維などが挙げられる。これらは、増量、色調節、形状保持性の増強など種々の目的のために使用される。これらその他のフィラーは、保肥性フィラーと保水性フィラーと共に、造粒時に適当量配合される。
本発明の人工土壌中の保肥性フィラーの量は、全体の量(ゲル化し乾燥した人工土壌の量)の20〜95質量%、好ましくは30〜80質量%である。20質量%より少ないと、保肥力が不足する。95質量%より多いと、保水性が不足する傾向にある。
本発明の人工土壌中の保水性フィラーの量は、全体の量(同じく、ゲル化し乾燥した人工土壌の量)の5〜70質量%、好ましくは5〜60質量%である。5質量%より少ないと、保水力が不足する。70質量%より多いと、保肥性が不足する傾向にある。
その他のフィラーは、目的に応じて配合されるものであり、使用量は限定的ではないが、本発明の人工土壌中のその他のフィラーの量は全体(同じく、ゲル化し乾燥した人工土壌の量)の90質量%以下である。90質量%を超えると、保肥性や保水性が不足する。
上記のように得られた粒状のイオン吸着体に肥料成分を担持させる。肥料成分の担持方法は、造粒後イオン溶液に浸漬する方法、造粒時に試薬や市販肥料などの肥料成分をフィラーとして同時に混合する方法、造粒時に化学反応によるイオン化物質として担持させる方法、それらを組み合わせた方法などが存在する。
植物の成長には、主として、カリウム、リン、窒素が必要な元素であり、それらは、特に野菜ではK等の陽イオン、またNO 、PO 3−等の陰イオンの形態で必要である。また、それら以外にも、カルシウム、マグネシウム、硫黄などの中量必要元素やマンガン、ホウ素などの微量に必要な元素などがある。
上記イオン吸着体は、これらの植物に必要な元素を含む溶液でイオン交換をして、所望の肥料を担持させるが、イオン吸着体には陽イオン吸着体と陰イオン吸着体の2種類があるので、陽イオン吸着体を肥料として使用される硝酸カリウム溶液と接触させるとカリウムイオン(K)のみが陽イオン吸着体に吸着されて、陰イオンである硝酸イオン(NO )は吸着されない。従って、この方法ではカリウムイオン(K)のみが担持された人工土壌が形成される。この例でイオン吸着体として陰イオン吸着体を使用すると、同じく硝酸カリウムの場合、カリウムイオン(K)は吸着されずに、硝酸イオン(NO )のみが吸着された人工土壌が形成される。
一般的にこの方法に使用できる肥料成分としては、硝酸カリウム溶液(陽イオンとしてカリウムと陰イオンとして窒素)、塩化カルシウム溶液(カルシウム)、リン酸2水素カルシウム(陽イオンとしてカリウムと陰イオンとしてリン酸イオン(PO 3−)の形態で燐)が使用できる。これらの水溶液にイオン吸着体、必要に応じて保水性フィラーを浸漬すると、イオン交換が行われてそれぞれのイオンを有する人工土壌が得られる。
本発明の人工土壌は、各イオンのクエン酸などの根酸成分による総抽出量が40meq/L以上、好ましくは50〜150meq/Lである。上記総抽出量が40meq/Lより小さいと、人工土壌として使用する場合に、一般的な土壌に施肥する際の施肥基準5〜12meq/Lを満足することができない。施肥基準は、例えば奈良農業技術センターでは、K:10〜50Kg/10a=2〜10.6meq/L、NO :10〜50Kg/10a=2〜8.1meq/L、(PO3−:10〜35Kg/10a=3〜11.1meq/Lとなっている基準である。
本発明で得られた人工土壌は、植物の生育に必要な特定の陽イオンあるいは陰イオンを担持した人工土壌であるので、植物の生育状態に応じて必要な肥料、特に必要な元素をピンポイントで施肥できるので、非常に有用である。もちろん、そのようなピンポイントのイオンを有している人工土壌を混ぜれば、2種類のイオンを有している人工土壌、あるいはそれ以上のイオンを有している人工土壌などを簡単に作成することができるので、それぞれの土壌に応じた、あるいは植物種に応じた施肥が可能となり、利用範囲が大きく広がる。
本発明の人工土壌は、これに水を加えるだけで植物の生育が可能であるが、必要に応じて他の土壌成分や土などと混合して使用することも可能である。
また、本発明の人工土壌は、植物の生育が終われば肥料成分が当然少なくなるが、必要に応じて必要な元素を再度チャージして使用することもできる。
本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。本発明はこれら実施例に限定されるものと解してはならない。
実施例1
陽イオン吸着体としてゼオライト(陽イオン交換性)10gを0.5重量%アルギン酸ナトリウム溶液に入れて家庭用ミキサー(三洋電機(株)製の「SM−L57」)を用いて3分間撹拌して、混合液を作製した。次いで、混合液をメスピペットを用いて、多価金属イオン水溶液として5重量%の塩化カルシウム水溶液へ、1滴/秒の速度でゆっくりと滴下した。滴下した液滴が粒子状にゲル化した後、ゲル化した粒子を回収した。得られたゲル粒子を5重量%KNO水溶液にゆっくりと撹拌しながら6時間浸漬してイオン交換を行い、その後十分に水洗し、55℃の乾燥機中で24時間乾燥した後、スクリーンメッシュで2mmオーバーおよび4mmアンダーに粒径調整したカリウム(K)を含む人工土壌を作製した。
得られた人工土壌について、吸着イオンの総放肥量を以下の方法で測定した:
人工土壌における吸着イオンの総放出量の測定方法
メスシリンダーに上記人工土壌を振とうしながら充填し50ccを秤取った。次いで、その人工土壌をクロマト菅に充填し、100ccのイオン交換水をゆっくりと注水し、水が流下した後、再度100ccの水を注水するのを50回繰り返した。その後、100ccのクエン酸をゆっくりと注いで、人工土壌中の吸着イオンを抽出した。抽出液をC3濾紙で濾過し、濾液注の抽出イオンの量を測定した。このクエン酸を用いる抽出操作も50回繰り返し、吸着イオンの総抽出量を測定した。
実施例2〜11
使用するイオン吸着体、必要に応じてその他のフィラー、アルギン酸塩、架橋剤および担持肥量成分を表1〜2に示すものに変更する以外は実施例1と同様に、処理して人工土壌を形成した。得られた人工土壌を用いて吸着イオンの総放肥量を実施例1と同様に調べた。結果を表1〜2に示す。
比較例1〜6
表3および4に記載の材料を用いる以外は実施例1と同様にイオン吸着処理した。尚、比較例1〜6では、本発明のイオン吸着体を用いないで、その他の充填剤(カオリンクレー、シリカ、砂、発泡ガラス)を用いて実施例1と同様のイオン吸着処理をした。実施例と同様に、総放肥量を測定した。結果を表3および4に示す。
比較例7
比較例7では、市販の培養土(花ごころ製、花ちゃん培養土)を用いた例である。同じく、総放肥量を測定し、結果を表4に示す。
比較例8〜9
砂と肥料を用いた例で、砂100cc当たり表4に記載の肥料を所定量混合したものである。同じく、総放肥量を測定し、結果を表4に示す。
Figure 2014064497
Figure 2014064497
Figure 2014064497
Figure 2014064497
(注1)株式会社エコウエル製人工ゼオライト「琉球ライト600」
(注2)カサネン工業株式会社製ベントナイト「関西ベントナイト」
(注3)陽イオン交換樹脂:オルガノ製アンバーライトIRC−76
(注4)和光純薬工業株式会社製試薬のハイドロタルサイト
(注5)陰イオン交換樹脂:オルガノ製アンバーライトIRA400J
(注6)昭和ケミカル社製カオリンクレー
(注7)HESS PUMICE社製シリカ
(注8)砂:市販標準砂
(注9)トリム社製発泡ガラス
(注10)肥料1 ハイポネックス社製マグアンプK
(注11)肥料2 コーナン商事社製苦土石灰
(中12)和光純薬製試薬のアルギン酸ナトリウム
(注13)アルギン酸カリウム:キミカ製キミカアルギンK−3
(注14)アルギン酸アンモニウム:キミカ製キミカアルギンNH-3
比較例1〜6の本発明のイオン吸着体を用いない例では、保肥量(総放肥量)が少なく、肥料としての使用は困難である。比較例7の市販の培養土や、比較例8〜9では、複数の肥料成分が既に混合されており、任意の肥料成分を選定することができない。
本発明の陽イオン系または陰イオン系肥料成分担持人工土壌は、肥料成分の内、不足している肥料成分だけを担持した人工土壌であり、不足成分をピンポイントで施肥することが可能となる。

Claims (11)

  1. 粒状化した陽イオン吸着体に植物の生育に必要な少なくとも一種の陽イオンを吸着させた陽イオン系肥料成分担持人工土壌。
  2. 植物が根酸により容易に陽イオンを吸収することができる請求項1記載の陽イオン系肥料成分担持人工土壌。
  3. 前記陽イオン吸着体が、ゼオライト、スメクタイト、雲母、バーミキュライト、タルク、陽イオン交換樹脂、腐植およびそれらの混合物からなる群から選択される請求項2記載の陽イオン系肥料成分担持人工土壌。
  4. 前記陽イオンがK、Ca2+、Mg2+、Fe2+、Mn2+、Zn2+、Ni2+、Cu2+、Mo2+およびそれらの混合である請求項3記載の陽イオン系肥料成分担持人工土壌。
  5. 前記陽イオンがKである請求項4記載の陽イオン系肥料成分担持人工土壌。
  6. 粒状化した陰イオン吸着体に植物の生育に必要な少なくとも一種の陰イオンを吸着させた陰イオン系肥料成分担持人工土壌。
  7. 植物が根酸により容易に陰イオンを吸収することができる請求項6記載の陰イオン系肥料成分担持人工土壌。
  8. 前記陰イオン吸着体が、複水酸化物及び複水酸化物類、アロフェン、イモゴライト、カオリン、陰イオン交換樹脂およびそれらの混合物である請求項7記載の陰イオン系肥料成分担持人工土壌。
  9. 前記陰イオンが、NO 、PO 3−、SO 2−、Clおよびそれらの混合である請求項8記載の陰イオン系肥料成分担持人工土壌。
  10. 前記陰イオンが、NO およびPO 3−およびそれらの混合である請求項9記載の陰イオン系肥料成分担持人工土壌。
  11. 請求項1記載の陽イオン系肥料成分担持人工土壌および請求項6記載の陰イオン系肥料成分担持人工土壌を含む肥料成分担持人工土壌。
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