JP2014062798A - 分析用担体、その製造方法および使用方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】生理活性物質を捕捉する機能を有する分析用担体であって、担体の表面に、重合体が固定化されており、前記重合体は、側鎖に親水性基を有する第1繰り返しユニットと、側鎖の末端にアミノ基と反応する官能基を有する第2繰り返しユニットと、を有することを特徴とする分析用担体であり、アミノ基と反応する官能基がエポキシ基である。
【選択図】なし
Description
担体が粒子の場合は、カラムや容器に充填して、生理活性物質の反応、分離、精製等にしばしば用いられる。あるいは診断薬としても用いられる。また、担体が基板の場合は、前記同様に診断ツールに用いるなどして使用される。さらに繊維、フィルター、膜、シートの場合は大量の分離、精製ツール等に用いることができる。
(1)生理活性物質を捕捉する機能を有する分析用担体であって、担体の表面に、重合体が固定化されており、前記重合体は、側鎖に親水性基を有する第1繰り返しユニットと、側鎖の末端にアミノ基と反応する官能基を有する第2繰り返しユニットと、を有することを特徴とする分析用担体。
(2)担体の表面に重合性官能基、または連鎖移動基を導入し、該担体と側鎖に親水性基を有する重合性モノマーと、生理活性物質を固定化するアミノ基と反応する官能基を有する重合性モノマーとを含む重合性成分を混合し、次いで重合反応を進行させることにより、
該担体表面に高分子化合物を含む層を形成した(1)記載の分析用担体。
(3)前記アミノ基と反応する官能基がエポキシ基である(1)または(2)に記載の分析用担体。
(4)前記側鎖に親水性基を有する重合性モノマーが下記の一般式[1]で表されるモノマーを含む請求の(2)乃至(3)いずれか1項に記載の分析用担体。
( 式中R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は親水性基を示す。Xはアルキレン
基または炭素数1〜10のアルキレングリコール残基を示し、pは1〜100の整数を示す。pが2以上100以下の整数である場合、繰り返されるXは、同一であっても、異なっていてもよい。また、Xがエチレングリコール残基の場合、これ自体が親水性を示すのでR2は任意の官能基を選択できる。)
(5)前記親水性基が、ベタイン構造を有する官能基である(1)乃至(4)いずれか1項に記載の分析用担体。
(6)前記ベタイン構造を有する官能基がホスホリルコリン基である請求の(5)に記載の分析用担体。
(7)前記側鎖に親水性基を有する重合性モノマーが、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを有する(4)乃至(6)いずれか1項に記載の分析用担体。
(8)生理活性物質を固定化するアミノ基と反応する官能基を有する重合性モノマーが下記の一般式[2] で表される物質である(2)乃至(7)いずれか1項に記載の分析用
担体。
( 式中R3は水素原子またはメチル基を示し、Yは炭素数1〜10のアルキレングリコ
ール残基またはアルキレン基を示す。Wはアミノ基と反応する官能基を示す。qは1〜100の整数を示す。qが2以上100以下の整数である場合、繰り返されるYは、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。)
(9)前記担体の表面に導入する重合性官能基がメタクリル基、アクリル基、及びビニル基よりなる群から選ばれる1種以上である(2)乃至(8)いずれか1項に記載の分析用担体。
(10)前記担体の表面に導入する連鎖移動基がメルカプト基である(2)乃至(8)いずれか1項に記載の分析用担体。
(11)前記担体が無機材料からなる(1)乃至(10)いずれか1項に記載の分析用担体。
(12)前記無機材料が無機酸化物からなる(11)に記載の分析用担体。
(13)前記無機酸化物が酸化ケイ素である請求の(12)に記載の分析用担体。
(14)前記担体の形状が粒子、基板、繊維、フィルター、膜、シートである(1)乃至(13)記載の分析用担体。
(15)前記担体の表面への重合性官能基、または連鎖移動基の導入が、重合性官能基、または連鎖移動基を有するシランカップリング剤と核となる担体表面の官能基との共有結合の形成によってなされる(2)乃至(14)いずれか1項に記載の分析用担体。
(16)前記重合性官能基、または連鎖移動基を有するシランカップリング剤が重合性官能基、または連鎖移動基を有するアルコキシシランである(15)に記載の分析用担体。(17)(1)乃至(16)いずれか1項に記載の分析担体であって、高分子化合物を含む層の前記アミノ基と反応する官能基を介して生理活性物質を固定化したことを特徴とする分析用担体。
(18)前記生理活性物質が酵素、抗体、レクチン、レセプター、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、糖タンパク質等のタンパク質、ペプチド、アミノ酸、ホルモン、核酸、糖、オリゴ糖、多糖、シアル酸誘導体、シアル化糖鎖等の糖鎖、脂質、低分子化合物、上述以外の高分子有機物質、無機物質、若しくはこれらの融合体、または、ウイルス、若しくは細胞を構成する分子などから選ばれる少なくとも一つである(17)に記載の分析用担体。
(19)(1)乃至(18)いずれか1項に記載の分析用担体の製造方法であって、重合性官能基、または連鎖移動基を有するアルコキシシランを酸性水溶液中で加水分解する工程、次いで前記重合性官能基、または連鎖移動基を有するアルコキシシランの酸性水溶液中で担体を撹拌下、加熱する工程、及び乾燥後、更に加熱する工程、を含む分析担体の製造方法。
(20)(1)乃至(18)いずれか1項に記載の分析用担体の製造方法であって、重合性官能基、または連鎖移動基を導入した担体と重合性モノマーを溶媒中で混合することにより重合反応を進行させる工程、及び乾燥する工程を含む分析担体の製造方法。
(21)前記重合反応がラジカル重合反応であることを特徴とする(19)に記載の分析用担体の製造方法。
(22)(1)乃至(18)いずれか1項に記載の分析用担体の製造方法であって、高分子化合物を含む層を形成した担体に生理活性物質をリン酸塩緩衝液に溶解した溶液を接触させる工程を含む生分析用担体の製造方法。
(23)前記リン酸塩緩衝液のリン酸塩濃度が0.1M以上5M以下である(22)に記載の分析用担体の製造方法。
(24)前記リン酸塩がリン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二カリウム、又はリン酸水素二ナトリウムのいずれかを含む(22)または(23)に記載の分析用担体の製造方法。
(25)(22)乃至(24)のいずれか1項に記載の生理活性物質固定化分析用担体を、標的生体分子の溶解液、血液、血漿、血清、細胞破砕液、細胞培養液、及び組織破砕液から選ばれる少なくとも一つの溶液に接触させることにより標的生体物質を回収することを特徴とする分析用担体の使用方法。
( 式中R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は親水性基を示す。Xはアルキレン
基または炭素数1〜10のアルキレングリコール残基を示し、pは1〜100の整数を示す。pが2以上100以下の整数である場合、繰り返されるXは、同一であっても、異なっていてもよい。また、Xがエチレングリコール残基の場合、これ自体が親水性を示すのでR2は任意の官能基を選択できる。)
なお、繰り返し数qが、2以上100以下の場合は、繰り返されるアルキレングリコール残基Yの炭素数は同一であっても、異なっていてもよい。
(式中R1は水素原子またはメチル基を示し、R2はベタイン構造を有する官能基を示す。Xはアルキレン基または炭素数1〜10のアルキレングリコール残基を示し、pは1〜100の整数を示す。pが2以上100以下の整数である場合、繰り返されるXは、同一
であっても、異なっていてもよい。)
(メタ)アクリレート及びその水酸基の一置換エステル、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びその水酸基の一置換エステル、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネートおよびその塩、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸およびその塩等、各親水性基を側鎖に有するモノマーに由来するものでもよい。
末端にアミノ基と反応する官能基を有するエチレン系不飽和重合性モノマーに由来するものが好ましい。
( 式中R3は水素原子またはメチル基を示し、Yはアルキレン基または炭素数1〜10
のアルキレングリコール残基を示す。Wはアミノ基と反応する官能基を示す。qは1〜100の整数を示す。qが2以上100以下の整数である場合、繰り返されるYは、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。)
また、アルキレングリコール残基Yの繰り返し数qは、特に限定されるものではないが、好ましくは1〜100の整数であり、より好ましくは2〜100の整数であり、更に好ましくは2〜95の整数であり、最も好ましくは4〜90の整数である。前記繰り返し数qが前記範囲内であると、特に非特異吸着の抑制に優れる。
くできる点でエポキシ基が最も好ましい。具体的なモノマーの例としては(メタ)アクリル酸グリシジルが挙げられる。
前記重合体の重量平均分子量は、特に限定されないが、5000〜1000000であることが好ましく、特に10000〜100000であることが好ましい。重量平均分子量が前記範囲内であると、合成時のハンドリングがよく、また、非特異吸着を効果的に抑制することができる。
できる。
前記重合体固定担体の作製について述べる。本発明の担体の合成方法は、特に限定されるものではないが、合成の容易さから、担体表面に、重合性官能基または連鎖移動基を有するシランカップリング剤を固定化し、前記側鎖に親水性基を有する重合性モノマーと、アミノ基と反応する官能基を有する重合性モノマーおよび該担体を含む混合物を、重合開始剤存在下、溶媒中でラジカル重合することが好ましい。
などの有機過酸化物などを挙げることができる。
本発明において生理活性物質を担体上に固定化する際には、生理活性物質を溶解又は分散させた液体を付着する方法が好ましい。生理活性物質を溶解又は分散した液体のpHは5.0〜11.0であることが好ましく、pH6.0〜10がより好ましい。この範囲外だと、生理活性物質が変性・分解する恐れがある。
固相表面の親水基の特性により、界面活性剤を含む水や緩衝液で洗浄することで、目的物以外の別の物質の固相表面への非特異吸着を抑制することが可能となる。
メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン(Gelest社製SIM6486.5)13gをpH3.0の酢酸水溶液50mLとエタノール50mLとの混合液に添加し、シランカップリング剤を加水分解した後に、シリカビーズ(平均粒径5μm、細孔径70Å、富士シリシア化学株式会社製SMB70−5)10gを投入し70℃で2時間攪拌した後、吸引ろ過により反応溶液からシリカビーズを回収し、100℃で1時間加熱した。その後、エタノールで分散させてよく振盪した後、遠心分離により上澄みを除去し乾燥させた。
得られた粒子20mgに対し、50μg/mLに調製したCRP抗体(Abnova製)のりん酸水素二カリウム溶液1mLを加え、室温にて1晩転倒混和した。0.05%Tween20含有PBSで3回洗浄した。さらに0.1mol/Lの2−アミノエタノール(溶媒:pH9.5、0.05mol/LのTris−HCl緩衝液)で室温下、1時間処理し、グリシジル基の不活性化を行った。
CRP抗体を固定化した粒子5mgに3μg/mLに調製したCRPのPBS溶液1mLを加え、室温にて1時間転倒混和した。遠心分離で粒子を回収後0.05%Tween20含有PBSで3回洗浄した。
CRPを反応させた粒子に、1μg/mLに調製したHRP標識化CRP抗体(Abnova製)溶液を1mL加え、室温にて1時間転倒混和した。遠心分離で粒子を回収後0.05%Tween20含有PBSで3回洗浄した。
HRP標識化CRP抗体を反応させた粒子を、住友ベークライト株式会社製ペルオキシダーゼ発色キットを用いて発色させ、450nmの吸光度を測定することによりCRPの捕捉量を見積もった。
CRP抗体を固定化せずに、2−アミノエタノールで不活性化のみを行った粒子に対し、実施例と同様のCRP捕捉量測定を行った。
Claims (25)
- 生理活性物質を捕捉する機能を有する分析用担体であって、
担体の表面に、重合体が固定化されており、
前記重合体は、側鎖に親水性基を有する第1繰り返しユニットと、
側鎖の末端にアミノ基と反応する官能基を有する第2繰り返しユニットと
を有することを特徴とする分析用担体。 - 担体の表面に重合性官能基、または連鎖移動基を導入し、
該担体と側鎖に親水性基を有する重合性モノマーと、生理活性物質を固定化するアミノ基と反応する官能基を有する重合性モノマーとを含む重合性成分を混合し、
次いで重合反応を進行させることにより、
該担体表面に高分子化合物を含む層を形成した請求項1記載の分析用担体。 - 前記アミノ基と反応する官能基がエポキシ基である請求項1または2に記載の分析用担体。
- 前記側鎖に親水性基を有する重合性モノマーが下記の一般式[1]で表されるモノマーを含む請求の請求項2乃至3いずれか1項に記載の分析用担体。
( 式中R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は親水性基を示す。Xはアルキレン
基または炭素数1〜10のアルキレングリコール残基を示し、pは1〜100の整数を示す。pが2以上100以下の整数である場合、繰り返されるXは、同一であっても、異なっていてもよい。また、Xがエチレングリコール残基の場合、これ自体が親水性を示すのでR2は任意の官能基を選択できる。) - 前記親水性基が、ベタイン構造を有する官能基である請求項1乃至4いずれか1項に記載の分析用担体。
- 前記ベタイン構造を有する官能基がホスホリルコリン基である請求の請求項5に記載の分析用担体。
- 前記側鎖に親水性基を有する重合性モノマーが、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを有する請求項4乃至6いずれか1項に記載の分析用担体。
- 生理活性物質を固定化するアミノ基と反応する官能基を有する重合性モノマーが下記の一般式[2] で表される物質である請求項2乃至7いずれか1項に記載の分析用担体。
( 式中R3は水素原子またはメチル基を示し、Yは炭素数1〜10のアルキレングリコ
ール残基またはアルキレン基を示す。Wはアミノ基と反応する官能基を示す。qは1〜100の整数を示す。qが2以上100以下の整数である場合、繰り返されるYは、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。) - 前記担体の表面に導入する重合性官能基がメタクリル基、アクリル基、及びビニル基よりなる群から選ばれる1種以上である請求項2乃至8いずれか1項に記載の分析用担体。
- 前記担体の表面に導入する連鎖移動基がメルカプト基である請求項2乃至8いずれか1項に記載の分析用担体。
- 前記担体が無機材料からなる請求項1乃至10いずれか1項に記載の分析用担体。
- 前記無機材料が無機酸化物からなる請求項11に記載の分析用担体。
- 前記無機酸化物が酸化ケイ素である請求の請求項12に記載の分析用担体。
- 前記担体の形状が粒子、基板、繊維、フィルター、膜、シートである請求項1乃至13記載の分析用担体。
- 前記担体の表面への重合性官能基、または連鎖移動基の導入が、重合性官能基、または連鎖移動基を有するシランカップリング剤と核となる担体表面の官能基との共有結合の形成によってなされる請求項2乃至14いずれか1項に記載の分析用担体。
- 前記重合性官能基、または連鎖移動基を有するシランカップリング剤が重合性官能基、または連鎖移動基を有するアルコキシシランである請求項15に記載の分析用担体。
- 請求項1乃至16いずれか1項に記載の分析担体であって、高分子化合物を含む層の前記アミノ基と反応する官能基を介して生理活性物質を固定化したことを特徴とする分析用担体。
- 前記生理活性物質が酵素、抗体、レクチン、レセプター、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、糖タンパク質等のタンパク質、ペプチド、アミノ酸、ホルモン、核酸、糖、オリゴ糖、多糖、シアル酸誘導体、シアル化糖鎖等の糖鎖、脂質、低分子化合物、上述以外の高分子有機物質、無機物質、若しくはこれらの融合体、または、ウイルス、若しくは細胞を構成する分子などから選ばれる少なくとも一つである請求項17に記載の分析用担体。
- 請求項1乃至18いずれか1項に記載の分析用担体の製造方法であって、重合性官能基、または連鎖移動基を有するアルコキシシランを酸性水溶液中で加水分解する工程、次いで前記重合性官能基、または連鎖移動基を有するアルコキシシランの酸性水溶液中で担体を撹拌下、加熱する工程、及び乾燥後、更に加熱する工程、を含む分析担体の製造方法。
- 請求項1乃至18いずれか1項に記載の分析用担体の製造方法であって、重合性官能基、または連鎖移動基を導入した担体と重合性モノマーを溶媒中で混合することにより重合反応を進行させる工程、及び乾燥する工程を含む分析担体の製造方法。
- 前記重合反応がラジカル重合反応であることを特徴とする請求項19に記載の分析用担体の製造方法。
- 請求項1乃至18いずれか1項に記載の分析用担体の製造方法であって、高分子化合物を含む層を形成した担体に生理活性物質をリン酸塩緩衝液に溶解した溶液を接触させる工程を含む生分析用担体の製造方法。
- 前記リン酸塩緩衝液のリン酸塩濃度が0.1M以上5M以下である請求項22に記載の分析用担体の製造方法。
- 前記リン酸塩がリン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二カリウム、又はリン酸水素二ナトリウムのいずれかを含む請求項22または23に記載の分析用担体の製造方法。
- 請求項22乃至24のいずれか1項に記載の生理活性物質固定化分析用担体を、標的生体分子の溶解液、血液、血漿、血清、細胞破砕液、細胞培養液、及び組織破砕液から選ばれる少なくとも一つの溶液に接触させることにより標的生体物質を回収することを特徴とする分析用担体の使用方法。
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