JP2014060584A - スピーカ配置設計支援システム、スピーカ配置設計支援装置、スピーカ配置設計支援方法、及びプログラム - Google Patents

スピーカ配置設計支援システム、スピーカ配置設計支援装置、スピーカ配置設計支援方法、及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】簡便な処理で、適切なスピーカ配置を決定することができるスピーカ配置設計支援システム、スピーカ配置設計支援装置、スピーカ配置設計支援方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】本発明にかかるスピーカ配置設計支援システム10は、配置状態が変更可能であるスピーカ110と、ダミーヘッド210に装着されたマイクロフォン220を備えるダミーヘッド部200、スピーカ110から出力されマイクロフォン220から入力された測定信号に基づきインパルス応答を測定するインパルス応答測定部311と、インパルス応答に基づきスピーカ110の配置を決定するための評価データを算出する評価データ演算部312と、評価データに基づいて所望の定位位置に音像が定位されるスピーカ110の配置を決定するスピーカ配置決定部313と、を備えるスピーカ配置設計支援装置300とを備える。
【選択図】図14

Description

本発明は、所望の位置に音像を定位させることができるスピーカ配置を設計するためのスピーカ配置設計支援装置、スピーカ配置設計支援装置、スピーカ配置設計支援方法、及びプログラムに関するものである。
特許文献1には音像を定位するための車載スピーカの配置が開示されている。スピーカを主音軸がフロントガラスおよびインスツルメントパネル面にほぼ平行になるように指向させて配置している。さらに、フロントドア前方下部および又はダッシュサイドにそれぞれ対の中高音スピーカを設けている。この構成によれば、ステレオセパレーションが確保でき、偏りのない音像定位を形成することができる、と述べている。
特許2890764号公報
特許文献1による方法は、音楽鑑賞には適しているが、運転手に対して、所望の位置に音像を定位することが困難である。
自動車運転における警告音は、メータボックスに内蔵された圧電スピーカで発生させており、定位があいまいであった。運転において即座に何に対する警告音かを理解させることは非常に重要である。そのため、警告の対象となる対象物あるいは対象方向に警告音を定位させることは大いに理解の助けとなるはずである。
そこで、発明者らは、先に特願2011−089915号(出願時において未公開)の音場生成装置を開発している。この音場生成装置では、2チャンネル以上の音声を出力するスピーカを有し、前記スピーカから出力された音を反射させて聴取者に音を伝達させる反射部に向けて音響信号を出力するスピーカ部と、前記スピーカ部より出力され前記反射部により反射されて前記聴取者に到達した音響信号の音像が前記聴取者の位置において仮想音源として定位されている音声信号が入力され、前記入力された音声信号に対して前記反射部により反射されて前記聴取者に到達した音響信号の各チャンネル間におけるクロストークが前記聴取者の位置においてキャンセルされるように演算処理を行うクロストークキャンセル部と、を備えている。
この音場生成装置では、最も定位効果のあるスピーカ配置を決定するためには、車両形状や運転手周りの内装形状(ダッシュボート、メータボックス等)、内装材の吸音率等を入力データとして車内の音響シミュレーションを行う必要がある。このため、手間と時間がかかっていた。シミュレーションを省略し、単に反射させたスピーカ配置では、所望の方向に定位しないという課題がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡便な処理で、適切なスピーカ配置を決定することができるスピーカ配置設計支援装置、スピーカ配置設計支援装置、スピーカ配置設計支援方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るスピーカ配置設計支援システム(10)は、配置状態が変更可能であり測定信号を出力するスピーカ(110)と、ダミーヘッド(210)および前記ダミーヘッド(210)の左右の耳部に各々装着されたマイクロフォン(220)を備えるダミーヘッド装置(200)と、前記スピーカ(110)から出力され前記マイクロフォン(200)から入力された前記測定信号に基づきインパルス応答を測定するインパルス応答測定部(311)、前記インパルス応答測定部(311)において測定された前記インパルス応答に基づき前記スピーカ(110)の配置を決定するための評価データを算出する評価データ演算部(312)、前記評価データ演算部(312)によって算出された前記評価データに基づいて所望の定位位置に音像が定位される前記スピーカ(110)の配置を決定するスピーカ配置決定部(313)、を備えるスピーカ配置設計支援装置(300)と、を備えるものである。
本発明の一態様に係るスピーカ配置設計支援装置(300)は、測定信号を出力するスピーカ(100)から出力され、聴取位置に設置されたマイクロフォン(220)から入力された前記測定信号に基づきインパルス応答を測定するインパルス応答測定部(311)と、前記インパルス応答測定部(311)において測定された前記インパルス応答に基づき前記スピーカ(100)の配置を決定するための評価データを算出する評価データ演算部(312)と、前記評価データ演算部(312)によって算出された前記評価データに基づいて所望の定位位置に音像が定位される前記スピーカ(110)の配置を決定するスピーカ配置決定部(313)と、を備えるものである。
本発明の一態様に係るスピーカ配置設計支援方法は、測定信号を出力するスピーカ(110)から出力され、聴取位置に設置されたマイクロフォン(220)から入力された前記測定信号に基づきインパルス応答を測定するインパルス応答測定ステップと、前記インパルス応答測定ステップにおいて測定された前記インパルス応答に基づき前記スピーカ(110)の配置を決定するための評価データを算出する評価データ演算ステップと、前記評価データ演算ステップにおいて算出された前記評価データに基づいて所望の定位位置に音像が定位される前記スピーカ(110)の配置を決定するスピーカ配置決定ステップと、を備えるものである。
本発明の一態様に係るプログラムは、スピーカ配置設計支援装置(300)が備えるコンピュータ(310)に、測定信号を出力するスピーカ(110)から出力され、聴取位置に設置されたマイクロフォン(220)から入力された前記測定信号に基づきインパルス応答を測定するインパルス応答測定ステップと、前記インパルス応答測定ステップにおいて測定された前記インパルス応答に基づき前記スピーカ(110)の配置を決定するための評価データを算出する評価データ演算ステップと、前記評価データ演算ステップにおいて算出された前記評価データに基づいて所望の定位位置に音像が定位される前記スピーカ(110)の配置を決定するスピーカ配置決定ステップと、を実行させるものである。
以上のように、本発明によれば簡便な処理で、適切なスピーカ配置を決定することができるスピーカ配置設計支援システム、スピーカ配置設計支援装置、スピーカ配置設計支援方法、及びプログラムを提供することができる。
車内のメータボックスの位置にスピーカを配置した構成を示す図である。 (a)は実験室でのインパルス応答の測定結果である両耳応答を示すグラフであり、(b)は車内での両耳応答を示すグラフである。 メータボックスの位置にスピーカを置いた場合における反射音の経路を示す図である。 ダッシュボードの奥にスピーカを置いた場合における反射音の経路を示す図である。 図4に示す位置からスピーカをずらした場合における反射音の経路を示す図である。 メータボックスの位置にスピーカを配置した場合の両耳応答の測定結果を示す図である ダッシュボード奥にスピーカを配置した場合の両耳応答の測定結果を示す図である (a)は聴取者が左右のスピーカの右寄りに存在する状態を模式的に示す図であり、(b)は聴取者が左右のスピーカの真ん中に存在する状態を模式的に示す図である。 自動車の車内におけるスピーカの配置例を示す側面図である。 自動車の車内におけるスピーカの配置例を示す図である。 メータボックス位置のスピーカを運転手に向けた場合のクロストークキャンセル効果を測定した両耳応答の周波数特性を示すグラフである。 スピーカをダッシュボードの奥に置き、フロントガラスに反射させた場合のクロストークキャンセル効果を測定した両耳応答の周波数特性を示すグラフである。 スピーカをメータボックス位置に置き、フロントガラスの上方に反射させた場合のクロストークキャンセル効果を測定した両耳応答の周波数特性を示すグラフである。 本実施形態にかかるスピーカ配置設計支援システムの構成を示すブロック図である。 スピーカ配置設計支援システムにおけるスピーカの説明図である。 本実施形態にかかるスピーカ配置設計支援方法を示すフローチャート図である。 インパルス応答測定部のインパルス応答測定ステップの処理を示すフローチャート図である。 評価データ演算部における評価データ演算処理を示すフローチャートである。 評価データ演算部における評価データ演算処理で得られた評価データを示すテーブルである。 評価データによる評価項目を示すテーブルである。 スピーカ配置決定部におけるスピーカ配置決定処理を示すフローチャートである。 評価データ演算部における評価データ演算処理を示すフローチャートである。
(まえがき)
発明者らは、車内の運転席において通常のステレオスピーカ配置、すなわち運転手の正面に、運転手がLチャンネルスピーカ(Lsp)とRチャンネルスピーカ(Rsp)の中心となるようなスピーカ配置をしても通常のステレオ感が得られないことを経験した。自動車の車内は運転手に対して左右非対称な環境であり、例えば右ハンドルの場合、運転手から右側のサイドガラスまでの距離は、左側のサイドガラスまでの距離に比べて短くなる。よって、運転手の右耳に対して右側のサイドガラスによる反射の影響が大きく出てしまい左右の反射が不均一になってしまうためである。
発明者らは、所望の音場を生成するべく、特願2011−089915号の音場生成装置を開発した。この音場生成装置では、スピーカを反射部に向け、反射部により反射されて運転手に届く音響信号が、仮想音源からの音響信号と同等となるよう、反射部により反射されて運転手に到達した音響信号の各チャンネル間におけるクロストークが運転手の位置においてキャンセルされるように演算処理を行うクロストークキャンセル部を備えている。しかしながら反射さえすれば良いというものではないことがわかった。
例えば、図1に示すようにメータボックス手前の位置にスピーカを置き、フロントガラス上方に反射した音が運転手に届くよう傾けたスピーカ配置では、左側の定位が所望の角度より小さく感じられた。また形状の違う車のタイプを比べると、同じスピーカ配置でも、ワゴンタイプでは安定した定位感が得られたが、ハッチバックタイプでは音像がぼやけ、所望の角度より小さく感じられた。このことから、スピーカ配置によっても音像の定位に大きく影響することがわかる。
[車内音場について]
図2(a)、(b)は、ダミーヘッドの両耳のインパルス応答を示す。図2(a)は実験室(直方体)での測定結果であり、図2(b)は密閉された車内での測定結果である。LspLe,LspReは、LチャンネルスピーカLspをパルス性の信号で駆動させた際の左耳(Le)、右耳(Re)の応答である。RspLe,RspReはRチャンネルスピーカRspをパルス性の信号で駆動させた際の左耳、右耳の応答である。ダミーヘッドに対し、スピーカはどちらも対象となるように設置された。(a)実験室は駆動したスピーカ側の耳の応答が大きいのに対し、(b)車内では全体的に反射音が多く、ことさら右耳の方が振幅の大きい反射音が豊富であることがわかる。
図3はメータボックスの位置に配置されたスピーカ(音源)を運転手の方向に向けて配置し、両耳(受音点)に音がどのように届くか到達経路を示した図である。図3では、図面上部に位置している2つの丸印が、ダミーヘッドの両耳に装着されたマイクロフォンを示し、図面下部に位置している2つの○印が、LチャンネルスピーカおよびRチャンネルスピーカを示している。これら以外の線は、車両内部の形状や構成を示している。車両形状や運転手周りの内装形状(ダッシュボート、メータボックス等)、内装材の吸音率等を入力データとして幾何音響シミュレーションを行うことで得られる。図3におけるスピーカからマイクロフォンまでの直線は直接音で、他の線はガラスや天井などに反射する1〜5次反射音を示している。車内の場合、反射音が直接音よりもエネルギーが大きくなり聴こえ方に影響を及ぼす。高次の反射音は多くの反射部を反射し、受音点への到達経路も長くなるため、反射部での吸音や距離減衰もあり、エネルギーは小さく、低次の反射音に比べると聴こえ方への影響は少ない。通常の部屋では到来の仕方が左右対称になるのに対し、車内では運転手が右側に着座している場合は運転手の右側に偏っている。
[スピーカの配置について]
そこで、発明者らは車内においても、実験室と同じように音の「到来の仕方」が左右対称となるスピーカ配置を音響シミュレーションにて探索した。(注:スピーカの「配置」が左右対称ということではない)。図3〜図5に比較のために3パタンの図を示す。
1)前述したメータボックスの位置にスピーカを置いたもの(図3)
2)ダッシュボードの奥にスピーカを置いたもの(図4)
3)ダッシュボードの奥にスピーカを置くことでは2)と同じだが、少し位置をずらしたもの(図5)
図3〜図5は、直接音、1〜5次の反射音の経路を示している。メータボックスの位置では図3のような右窓の反射が見られた。スピーカをダッシュボード上の奥(車の前方)に置くと、図4のように右窓の影響は見られなかった。到達経路は完全な左右対称ではないが、ほぼ対称と言える。しかし、同じくダッシュボードの奥でも、少しずれたところでは図5のように、1次、2次の反射音が再び右窓から到来してしまう。
実測した両耳の応答を、図6、図7に示す。図6は、1)のメータボックスの位置にスピーカを配置した場合の測定結果であり、図7は、2)のダッシュボード奥にスピーカを置いた場合の測定結果である。図6では、LspReの振幅レベルが他より目立って高い。これはLspを鳴らしても右から聴こえるということである。図7では、LspLe,LspReを比較するとLspLeの方が高く、RspLe,RspReを比較するとRspReの方が高いので、再生した側から聴こえることがわかる。
[なぜ反射音の経路は左右対称がよいのか]
以下、理想的な条件を前提とするために、無響室のような直接音のみ発生する場合の時間遅延について考える。聴取者は、図8(a)のように左右のスピーカから等距離の位置ではなく、右寄りにいる。特願2011−089915号の音場生成装置はRspのクロストーク信号(RspLe)を左耳元でキャンセルするための逆相信号を、Lspから再生するが、LspLeの経路がRspLeより長いためにRspよりも前もって再生しなければならない。前もって再生するということは、警告音提示時間より前に再生しなければいけない。これは不可能であることから、逆にRspからの再生を遅らせることとなる。しかしこれは警告したい時刻より遅れて警告音が再生されるために、危険を回避できない可能性がある。したがって、この経路差はなるべく小さい方がよい、つまり左右対称であることが理想である。
次に車内の例を考える。図8(b)のように、聴取者がたとえ左右のスピーカから等距離の位置にあったとしても、クロストーク信号LspReはLspReの直接音よりも大きい反射音が右窓を経由して遅れて届き、先の無響室の場合と同じ状況となる。さらに、この大きな反射音を確実にキャンセルするためには、Rspから同じレベルの逆相信号を再生して、Reの位置でキャンセルされるよう時間調整する必要がある。しかしながら、遅れてRspReの右窓からの反射音が再びReに届くため、定位にとって邪魔な信号が聴こえることとなる。このように左右非対称であることにより信号が複雑になり、クロストークキャンセルが難しくなることがわかる。
以上のことから、反射音がなるべく左右対称になるスピーカ配置を選ぶとよいことがわかる。しかしこれは到来方向が必ずしも左右対称である必要はなく、ほぼ同じ時間に到達していればよい。なぜならば、両耳の位置、すなわち、点に所望の信号を届けるよう制御しているからである。
[スピーカの向きについて]
幾何音響シミュレーションは無指向性音源で計算しているが、実際のスピーカには指向性があり、さらに車内音場は非常に狭い空間である。波動的な振る舞いを考慮すれば、シミュレーション図に見られる以外の反射音も多数到達していると考える方が自然である。そうなれば、無響室で直接音を扱っていたのと同じように、車内で一番強力な、すなわちエネルギーの大きいメインの反射音を作り、伝達特性の全情報をその反射音に受け持たせ、他の反射音を弱めるようにする。このようにすれば、無響室と同じような効果が得られるのではないかと考えた。
そこで、シミュレーション結果の図4において、フロントガラスの低い位置で反射している反射音をメインとする。このため、スピーカの軸上を52度上方に向け、フロントガラスの反射点に当たるように設定した(図9、図10)。図7はこのような状態で測定した、運転席のダミーヘッドの両耳の応答である。Lspを駆動したときにはLeの振幅(LspLe)がReの振幅(LspRe)よりも大きく、Rspを駆動したときにはReの振幅(RspRe)がLeの振幅(RspLe)よりも大きくなり、反射音は多いが、無響室の応答と似たような形状になった。
[音像定位の効果について]
所望の位置に音像が定位できるかについては、クロストークキャンセルの効果が出ているかどうかを調べることによってわかる。すなわち、特願2011−089915号音場生成装置の実施の形態2において、Lch信号(実施の形態2のLs)を左耳元のみ、Rch信号(実施の形態2のRch)を右耳元のみに提示できているかを確認する。
図11〜図13のそれぞれにおいて、左側の図はLch信号をパルス性信号、Rch信号を無音として駆動した場合の両耳応答の周波数特性を示し、右側の図はLch信号を無音、Rch信号をパルス性の信号として駆動した場合の両耳応答の周波数特性を示している。図11〜図13において、LchLeは、左チャンネルスピーカからのLch信号をパルス性信号、右チャンネルスピーカからのRch信号を無音として駆動した場合の、左耳の測定結果である。また、LchReは、左チャンネルスピーカからのLch信号をパルス性信号、右チャンネルスピーカからのRch信号を無音として駆動した場合の、右耳の測定結果である。RchLeは、左チャンネルスピーカからのLch信号を無音、右チャンネルスピーカからのRch信号をパルス性の信号として駆動した場合の左耳の測定結果である。RchReは、左チャンネルスピーカからのLch信号を無音、右チャンネルスピーカからのRch信号をパルス性の信号として駆動した場合の右耳の測定結果である。また、それぞれの図において、横軸が周波数(Hz)であり、縦軸が音圧レベル(dB)を示している。
両者のレベルの差が大きいほどクロストークキャンセルの効果が出ていると判断することができる。図11はメータボックス位置のスピーカを運転手に向けた場合の測定結果である。図12は、スピーカをダッシュボードの奥に置き、フロントガラスに反射させた場合の測定結果である。図13は、スピーカをメータボックス位置におき、フロントガラスの上方に反射させた場合の測定結果である。
図11の測定結果では、1kHz〜3kHzにおいて、クロストークキャンセルの効果が出ていない。しかしながら、図12の測定結果では、クロストークキャンセルの効果が改善されている。図13の測定結果では、図11と比較すると、効果が出ていない帯域が低い帯域へ移動している。
実際に試聴してみたところ、図12のダッシュボード奥のフロントガラス反射、図13のメータボックスのフロントガラス反射、図11のメータボックス正面、の順で定位効果が良かった。
[まえがき 終わり]
以上、述べたように最適な音像定位効果を得るためには、スピーカの向きを含めた配置が非常に重要である。しかしながら、車内音場は車両の形状や内装形状によって異なった音場となるので対象車ごとに配置を検討せねばならない。すなわち、車両の形状や内装形状、内装材の吸音率等を入力データとして、スピーカ音源を複数置き、数日に及ぶ幾何音響シミュレーションを行って、左右対称な反射音経路を取るスピーカ位置及び傾きを調べる必要がある。しかしながら、これは非常に手間と時間がかかる作業である。このため、簡単に最適なスピーカ配置を求めることが可能な設計支援装置が望まれていた。数分〜数十分の実測で最適なスピーカ配置を決定するスピーカ配置設計支援装置について説明する。
(実施の形態)
図14は、本スピーカ配置設計支援システム10の構成を示す図である。スピーカ配置設計支援システム10は、スピーカ配置駆動部120およびスピーカ110から構成されるスピーカ部100、ダミーヘッド210およびその両耳部に各々装着されるマイクロフォン220からなるダミーヘッド部200、スピーカ配置設計支援装置300から構成される。本実施形態におけるスピーカ配置設計支援装置300は、パーソナルコンピュータ等を使った一部ソフトウェアを含む構成で実現される。
図14において、スピーカ配置設計支援装置300は、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)メモリ等から構成させる制御部310、表示部350、操作部360、増幅部370および記憶部380から構成される。また、制御部310は、プログラムが実行されることにより実現される、インパルス応答測定部311、評価データ演算部312、スピーカ配置決定部313およびスピーカ配置制御部314を備える。
スピーカ110に装着されたスピーカ配置駆動部120は、スピーカ配置制御部314からの制御によって、モータ等の駆動力を用いてスピーカ部100の傾きを自由に回転制御できる(図15参照)。すなわち、スピーカ配置駆動部120が駆動することで、スピーカ110の設置角度が制御される。スピーカ配置駆動部120の制御は、プログラムに基づき自動で制御してもよく、操作部360から入力される操作に基づきスピーカ配置制御部314が制御してもよい。
増幅部370はインパルス応答測定部311より出力された測定信号を増幅し、スピーカ110へ出力する。またマイクロフォン220は、運転席に設置されたダミーヘッド210の両耳に装着されており、マイクロフォン220に入力された測定信号は、図示しないマイクアンプによって増幅され、インパルス応答測定部311に入力される。マイクアンプは、ダミーヘッド部200に備えられていてもよく、スピーカ配置設計支援装置300に備えられていてもよい。
図16はスピーカ配置設計支援装置300が実行する処理のおおまかな流れを示すフローチャートである。インパルス応答測定部311で行うインパルス応答測定(ステップS1)は、あらゆるスピーカ位置(傾きの変化も含む)の両耳応答を測定する。評価データ演算部312で行う評価データ演算(ステップS2)ではすべてのスピーカ位置の両耳応答から評価データを算出する。スピーカ配置決定部313で行うスピーカ配置決定(ステップS3)は評価データ演算で得られた評価データを比較し、音像定位に最適なスピーカ配置を決定する。
詳細について説明する。まず、ユーザが、自動車の車内に、ダミーヘッド部200とスピーカ部100を設置する。ここで、ダミーヘッド部200とスピーカ部100が設置される空間は、実際にスピーカ配置の設計を行う自動車の車内と同じ空間か、またはそれと同等な空間であればよい。ユーザは両耳にマイクロフォン220を組み込んだダミーヘッド部200を運転席に設置する。スピーカ配置駆動部120が装着されたスピーカ110はダッシュボード上に置く。自動車の車内は、聴取者である運転手に対して非対称な空間となっている。
このとき前述した(まえがき参照)理由から、ダッシュボードの奥側にスピーカ部100を置くことが好ましい。またスピーカ110の初期角度は、後に角度を変えて測定していくので、地面に対して水平にしておくとわかりやすい。スピーカ部100を別の場所に置き換えて再度測定すれば、測定したすべてのデータの中から一番良いスピーカ位置を決定することができる。スピーカ部100をレール上に置く等することにより、その位置をコンピュータで制御しても良い。
特願2011−089915号の音場生成装置は少なくとも2以上のスピーカを用いることから、少なくとも2箇所以上の位置で測定することが必要である。また本スピーカ配置設計支援装置において、2ch以上の出力を備えて、順番に測定を行っても良い。
スピーカ部100、及びダミーヘッド部200を設置した後、インパルス応答測定を行う(ステップS1)。インパルス応答測定部311における詳細な動作を図17に示す。図17は、インパルス応答測定部311での処理を示すフローチャートである。
インパルス応答測定を開始すると、まず現在のスピーカ110の角度を0度とし、角度α=0と設定する(ステップS11)。この状態でスピーカ配置駆動部120を駆動し、両耳のマイクロフォン220でインパルス応答を測定する(ステップS12)。本実施形態では測定された応答をそれぞれ、スピーカをsp、左耳をLe、右耳Reと記して、spLe、spReと呼ぶことにする。
インパルス応答の測定方法は、幅の狭いパルス性(15−20μs、50−100V)の信号を駆動し、多数回平均化する同期加算法、M系列雑音やピンクノイズ信号を駆動し、マイクロフォン220で受音した信号と駆動信号の両者を用いて音源のパワースペクトルと音源・受音点間のクロスパワースペクトルから周波数伝達特性を求めて、フーリエ逆変換により計測するクロススペクトル法、タイムストレッチドパルス信号を駆動し、その応答と時間軸を反転させた駆動信号との畳み込みにより伝達関数を求めるタイムストレッチドパルス法などがある。
測定された両耳応答spLe,spReはスピーカ110の位置や傾きがわかるようなファイル名で記憶部380に保存される(ステップS13)。例えばA位置0度というフォルダにspLeとspReを保存する。
次に角度αが10度に更新される(ステップS14)。本実施例ではスピーカ配置駆動部120により変更されるスピーカ110の角度を10度おきとしているが、測定前に、スピーカ配置制御部314にて、スピーカ110の変更角度を設定することもできる。ここで、これ以上スピーカ110を傾けられない等の理由で測定を終了する場合(ステップS15のNO)は、図3のステップS2の評価データ演算へ進む。
測定を続ける場合は(ステップS15のYES)は、スピーカ配置制御部314によりスピーカ配置駆動部120が制御され、スピーカ110を10度上方に回転させる(ステップS16)。なお、操作部360にて、あらかじめ測定する角度の範囲を指定しておいて、スピーカ配置制御部314により測定終了まで自動制御させてもよい。
スピーカ110の角度が変わった状態でまたインパルス応答を測定する(ステップS12)。前回と同様に回転角度がわかるようにA位置10度のフォルダに測定データを保存する。このようにして、ステップS12からステップS16を繰り返し、スピーカ110の角度を回転させながら逐次両耳応答を測定、保存する。
例えば角度α=0度から180度まで測定した場合はA位置について19個(A0、A1、・・・、A170、A180)のフォルダができることになる。さらにスピーカ部100の位置を変えて測定したい場合は、適宜、スピーカ部100を異なるB位置に設置し、角度α=0から測定を始め、B0、・・・、B180とフォルダ名を変えてデータを保存していく。このように、インパルス応答測定部311は、スピーカ110の位置又はスピーカ110の角度を変えながらインパルス応答を測定する。
検討対象位置及び傾きのN個すべての測定が終了すると、次は評価データ演算部312が、スピーカ配置を決定するための評価データを演算する(図16のステップS2)。
評価データ演算部312は図14に示すように遅延時間演算部3121、エネルギー比演算部3122で構成されている。評価データ演算部312は対象位置ごと、すなわちフォルダごとに評価データを算出するため、図18に示すフローチャートの動作をフォルダごとに繰り返す。なお、後述する処理において、各記号は、以下の値を示している。
Vmax_s:両耳応答のうち、駆動したスピーカ側の応答の最大振幅値
Vmax_a:両耳応答のうち、駆動したスピーカとは反対側の応答の最大振幅値
Tmax_s:Vmax_sを取る時間
Tmax_a:Vmax_aを取る時間
Cv=Vmax_s/Vmax_a
Dt=Tmax_s−Tmax_a
E0:最大振幅の前までの総エネルギー
E1:最大振幅以降の総エネルギー
Re=E0/E1
遅延時間演算部3121の処理が開始されると、まず初めに両耳応答のそれぞれについて最初の振幅である直接音を探索し、spLeの直接音到達時間Tdl、spReの直接音到達時間Tdrをそれぞれ算出する(ステップS21)。スピーカ部100が左寄りに設置されている場合はTdl<Tdr、右寄りであればTdl>Tdrである。そこで、TdlとTdrを比較して、フラグsp_flagを設定する。例えば、Tdl<Tdrであれば、sp_flag=0、Tdl>Tdrであればsp_flag=1とする。Tdl=Tdrはsp_flag=2と設定し、フォルダ名に対応させて記憶部380に保存する(ステップS22)。
両耳の応答spLe,spReは、sp_flag=0である場合は左側のスピーカであるのでLspLe,LspReと判断でき、sp_flag=1であれば右側のスピーカであるのでRspLe,RspReと判断できる。以降のステップはスピーカ側の耳の応答といえばLspLe、RspRe,反対側の応答といえばLspRe、RspLeとして評価データを算出する。
次に最大振幅を探索し、スピーカ側の耳の応答の最大振幅値Vmax_sと最大振幅の到達時間Tmax_s、反対側の耳の応答の最大振幅値Vmax_aと最大振幅の到達時間Tmax_aを求めて値を保存する(ステップS23)。さらに、上記の値から、最大振幅の比Cv=Vmax_s/Vmax_a、時間差Dt=Tmax_s−Tmax_aを算出し、値を記憶部380に保存する(ステップS24)。
次にエネルギー比演算部3122が、各応答の最大振幅の前までの総エネルギーE0、最大振幅を含むそれ以降の総エネルギーE1を算出し、比Re=E0/E1を算出し、値を記憶部380に保存する(ステップS25)。図19のように評価データをテーブル化して保存すると良い。すなわち、上記のフォルダ名を有するフォルダに評価データが格納される。
これら算出された評価データを用いて、スピーカ配置決定部313は、最適なスピーカ配置を決定する(図3のステップS3)。スピーカ配置決定部313は、図20に示す評価項目について評価し、車内音場での音像定位に最適なスピーカ配置を決定する。図20は最適なスピーカ配置を決定するための条件である。各位置の両耳応答は評価項目1から順に評価される。前述したとおり(まえがき参照)、反射の多い車内音場では左右対称に反射音が到来するスピーカ配置にすると定位効果が高い。さらには、図2(a)に示した実験室での応答に近づけることが理想である。すなわち、以下の1)〜3)という特徴を持つ配置を決定しなければならない。
1)スピーカを駆動した側の耳の応答の方が最大振幅が大きい。
2)メインの反射音(最大振幅を取る反射音)がすぐに耳に届き、メインの反射音までに届く余計な反射音(直接音も含む)のレベルは小さく、数が少ない。
3)左右対称に音が到来する。
スピーカ配置決定部313は、まず各両耳応答について最適配置の選択対象になるかどうかを判断し、そのあと、Lsp,Rspの組み合わせについて評価し、決定する。スピーカ配置決定部313の処理のフローチャートを図21、及び図22に示す。
スピーカ配置決定部313の処理が開始されると、まずindexを0に初期化する(ステップS31)。そして、A0(A位置0度)における評価データを用いて、スピーカ側の耳の応答の最大振幅が、反対側の応答の最大振幅より大きいかどうか(評価項目1)、すなわちCv>1を判断する(ステップS32)。
Cv>1であれば(ステップS32のYES)、最適配置の選択対象であることを示すselect_flagデータを1と設定する(ステップS33)。Cv≦1であれば(ステップS32のNO)、select_flag=0とする(ステップS35)。select_flag=0となった応答は最適なスピーカ配置の選択対象から外れる。そして、indexをインクリメントし(ステップS36)、次の位置(フォルダ)の応答の評価へと進む。
ステップS33でselect_flag=1と設定されたら、スピーカ側の耳の応答の最大振幅となる時間と反対側応答の最大振幅となる時間の差が負であるか(評価項目2)、すなわちDt≦0を判断する(ステップS34)。Dt≦0であれば(ステップS34のYES)、ステップS36へ移行する。一方、Dt>0であった場合(ステップS34のNO)、select_flag=0に書き換える(ステップS35)。これにより、最適なスピーカ配置の対象から外れる。その後、indexをインクリメントする(ステップS36)。
ステップS36にてインクリメントされたindexをN(Nは2以上の整数)と比較する(ステップS37)。Nは、インパルス応答測定の測定回数に対応した数である。index<Nの場合(ステップS37のYES)、ステップS32に戻り、次の位置の応答の評価へと進む。そして、N個すべての応答について、上記したステップS32〜ステップS36の処理を実行して、select_flagを求める。
N個すべての応答についてselect_flagを求めたら(ステップS37のNO)、select_flag=1の応答についてのみ、両耳応答の最大振幅到達時間の合計、Tmax_s+Tmax_aを小さい順にソートし、結果をsortTとして記憶部380に保存する(ステップS38、評価項目3)。
同じくselect_flag=1の応答についてのみ、Re=(最大振幅の前までの総エネルギーE0/最大振幅を含む以降の総エネルギーE1)が小さい順にソートし、結果をsortEとして保存する(ステップS39、評価項目4)。Reが大きい値を持つと、メインの反射音の前に多くの反射音が存在する、ということになり、音像定位用のスピーカ配置としては好ましくない。
評価項目3及び評価項目4で上位に順位付けされた応答が最適配置の選択対象の候補となる。さらに、各応答の優劣をつけるために、順位をそのまま点数化し、合計点Pの少ない順にソートし、結果をsortPとして保存する(ステップS40)。本実施形態では順位をそのまま点数としたが、重み付けをしてもよい。
またこの時点で、操作部360にて上位何位までのスピーカ位置を選択対象とするかを設定しても良い。例えばsp_flagを見て、0(Lsp),1(Rsp)を同数ずつ選んでもよいし、選択対象の数があまりにも大きい場合には上位半分を対象範囲としても良い。このとき、選択対象から外れた応答についてはselect_flag=0に更新する。本実施形態では、sp_flag=0の上位半分と、sp_flag=1の上位半分を最適配置の選択対象として、sortPhを保存する(ステップS41)、
次にLsp、Rspの組合せについて評価する。選択対象となった応答から、スピーカ側の耳の応答の最大振幅となる時間Tmax_sが、Lsp側、Rsp側とでほぼ等しく、値が小さい、すなわち反射音が早く到達するもの同士をペアリングしたい。sp_flag=1とsp_flag=0とから一つずつ候補を選択して、左右のスピーカの最適配置とする。
このため、sp_flag=0のTmax_sと、sp_flag=1のTmax_sを比較していく。なお、sp_flag=0、1それぞれにおいて値の小さい順にソートし(ステップS42)、最小のTmax_sをTmax_sminとして、Tmax_smin+0.2msec以内である応答について選択対象として残すとよい(評価項目5)。車内は非常に狭く、左右の対象性が少しでもずれると音場が制御しにくいため0.2msec以内が望ましい。したがって各Tmax_s<Tmax_smin+0.2msecである応答を選択対象として残す(ステップS43)。
次のステップでは、スピーカ側の耳の最大振幅を取る時間と反対側の耳の最大振幅を取る時間の時間差DtがLsp側、Rsp側とでほぼ等しいものを選ぶ(評価項目6)。評価項目5,6を満足すれば、Lsp,Rspの反射音が左右対称に到来すると言えるので、最適なスピーカ配置として決定できる。すなわち、sp_flag=0のDtと、sp_flag=1のDtを比較していく。そして、Dt同士の差の絶対値が小さい順にソートし(ステップS44)、Dtの差の絶対値が0.1msec以内である応答について選択対象として残すとよい。したがって、Dtの差の絶対値が0.1msec以内であるsp_flag=0、1の組み合わせを選択対象として残す(ステップS45)。
次のステップではペアリングの優先順位を付けていく。ステップS45で残ったsp_flag=0、1の組み合わせはDtの差の絶対値の小さい順にソートされているので、上位から最適な配置が並んでいる。すなわち、両耳における反射音の到来が左右対称となるものから優先して、スピーカ配置を決定する(ステップS46)。先頭の組み合わせを1位として、例えばフォルダ名「A50、C30」というように表示部350に表示する。すなわち、左のスピーカ220LはA位置50度、右のスピーカ220RはC位置30度のペアが最適配置となる。これにより、左右のスピーカの最適な位置、及び角度がそれぞれ決定する。
もしステップS45で選択対象が0となった場合には別の位置での測定を促すよう、表示部350に表示する。L,Rの組合せは非常に重要で、評価項目が満たされない場合は定位効果が期待できないからである。
なお、前述したように(まえがき参照)、スピーカをダッシュボードの手前(運転手側)に置くと、直接音もある程度大きく受音される。そして、直接音に遅れて大きな反射音が届くのでRe=E0/E1が大きな値となり、最適位置として対象となることは少ない。フロントガラスは湾曲しているので机上の計算どおりには行かないが、もしフロントガラスに反射したメインの反射音を地面と水平に両耳に届ける場合には、スピーカはなるべくダッシュボードの奥(前方)に置く。
さらに、フロントガラスと両耳位置の関係から、フロントガラスと水平面とで成す角が45度を境に、45度より大きい場合にはスピーカの背を運転手、スピーカユニットをフロントガラスのほうへ向ける。フロントガラスと水平面とで成す角が45度である場合にはスピーカは真上に向ける(水平面に対し垂直)。フロントガラスと水平面とで成す角が45度から小さくなるにしたがってスピーカは真上から運転手のほうへ向けると良い。以上を参考に、検討位置を選択することでさらに測定時間は短縮される。なお、本実施形態は一例であり、図20に示した評価項目及び数値に限定されるものではない。
通常なら車両形状や内装形状を入力データとして音響シミュレーションを行うところ、本実施の形態では、自動でインパルス応答を測定し、実測データから最適配置を決定している。反射音の多い車内での音像定位に関し、スピーカを置くだけで自動測定、及び最適な配置を決定している。通常、1車種につき数日〜数十日かかっていた幾何音響シミュレーションの入力作業や、計算時間を大幅に短縮できる。自動車のタイプごとに最適な配置を決定すればよいため、簡便に最適配置を決定することができる。
また、本実施形態では、定位効果があるかどうかを測定せずに、両耳応答のみから最適な配置を決定している。これにより、さらに定位効果を検証するための時間も要せずに、音像定位効果の高いスピーカ配置を決定できる。さらに、最適な配置を条件化し、スピーカ配置決定に利用している。よって、車内の所望の位置から音が聴こえるように音響信号処理した信号を出力すれば、定位効果の高い音像位置を得ることができる。
上記のスピーカ配置設計支援方法を用いて、非対称な車内におけるスピーカ配置を短時間で最適化することができる。もちろん、自動車以外の乗り物や空間に対するスピーカ配置を決定することも可能である。上記の演算により求められた最適なスピーカ配置に基づいて、車内のスピーカ位置を決定する。これにより、聴取者に対して非対称な空間であっても、確実に音像を定位することができるスピーカシステムを得ることができる。
このスピーカシステムは、所望の位置に音像を定位させるべく信号処理がなされた信号が、少なくとも1つのスピーカから反射部に反射されて聴取者に届けられる左右のスピーカを有する。そして、左右のスピーカに関する両耳応答が、(スピーカ側の耳の応答の最大振幅到達時間)と(反対側の耳の応答の最大振幅到達時)との差が前記左右のスピーカにおいてほぼ等しく、スピーカ側の耳の応答の最大振幅となる時間が前記左右のスピーカにおいてほぼ等しく、それぞれのスピーカにおいて、スピーカ側の耳の応答の最大振幅値が反対側の耳の応答の最大振幅値より大きく、それぞれのスピーカにおいて、(スピーカ側の耳の応答の最大振幅到達時間)と(反対側の耳の応答の最大振幅到達時間)との差が負となるように、スピーカが配置されている。こうすることで、非対称な空間においても、確実に音像を定位することが可能になる。
なお、上記した演算は、コンピュータプログラムによって実行されても良い。上述した演算プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
また、コンピュータが上述の実施の形態の機能を実現するプログラムを実行することにより、上述の実施の形態の機能が実現される場合だけでなく、このプログラムが、コンピュータ上で稼動しているOS(Operating System)もしくはアプリケーションソフトウェアと共同して、上述の実施の形態の機能を実現する場合も、本発明の実施の形態に含まれる。
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
100:スピーカ部、110:スピーカ、120:スピーカ配置駆動部、200:ダミーヘッド部、210:ダミーヘッド、220:マイクロフォン、300:スピーカ配置設計支援装置、310:制御部、311:インパルス応答測定部、312:評価データ演算部、313:スピーカ配置決定部、314:スピーカ配置制御部、350:表示部、360:操作部、370:増幅部、380:記憶部

Claims (6)

  1. 配置状態が変更可能であり測定信号を出力するスピーカと、
    ダミーヘッドおよび前記ダミーヘッドの左右の耳部に各々装着されたマイクロフォンを備えるダミーヘッド装置と、
    前記スピーカから出力され前記マイクロフォンから入力された前記測定信号に基づきインパルス応答を測定するインパルス応答測定部、前記インパルス応答測定部において測定された前記インパルス応答に基づき前記スピーカの配置を決定するための評価データを算出する評価データ演算部、前記評価データ演算部によって算出された前記評価データに基づいて所望の定位位置に音像が定位される前記スピーカの配置を決定するスピーカ配置決定部、を備えるスピーカ配置設計支援装置と、を備えるスピーカ配置設計支援システム。
  2. 前記スピーカ配置設計支援装置は、前記スピーカの向きを制御するスピーカ配置制御部をさらに備え、
    前記スピーカは、前記スピーカ配置制御部の制御により前記スピーカの向きを変更可能とするスピーカ配置駆動部をさらに備え、
    前記インパルス応答測定部は、前記スピーカ配置制御部により制御された前記スピーカの向き毎に前記インパルス応答を測定することを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ配置設計支援システム。
  3. 測定信号を出力するスピーカから出力され、聴取位置に設置されたマイクロフォンから入力された前記測定信号に基づきインパルス応答を測定するインパルス応答測定部と、
    前記インパルス応答測定部において測定された前記インパルス応答に基づき前記スピーカの配置を決定するための評価データを算出する評価データ演算部と、
    前記評価データ演算部によって算出された前記評価データに基づいて所望の定位位置に音像が定位される前記スピーカの配置を決定するスピーカ配置決定部と、を備えるスピーカ配置設計支援装置。
  4. 前記評価データ演算部は、
    左右の耳部に装着された各々の前記マイクロフォンに入力された前記測定信号における直接音の到達時間差、最大振幅の到達時間差および最大振幅値の比を算出する遅延時間演算部と、
    前記左右の耳部に装着された各々の前記マイクロフォンに入力された前記測定信号における最大振幅前後のエネルギー比を算出するエネルギー比演算部と、を備え、
    前記到達時間差および前記エネルギー比に基づき前記評価データを算出することを特徴とする、請求項3に記載のスピーカ配置設計支援装置。
  5. 測定信号を出力するスピーカから出力され、聴取位置に設置されたマイクロフォンから入力された前記測定信号に基づきインパルス応答を測定するインパルス応答測定ステップと、
    前記インパルス応答測定ステップにおいて測定された前記インパルス応答に基づき前記スピーカの配置を決定するための評価データを算出する評価データ演算ステップと、
    前記評価データ演算ステップにおいて算出された前記評価データに基づいて所望の定位位置に音像が定位される前記スピーカの配置を決定するスピーカ配置決定ステップと、を備えるスピーカ配置設計支援方法。
  6. スピーカ配置設計支援装置が備えるコンピュータに、
    測定信号を出力するスピーカから出力され、聴取位置に設置されたマイクロフォンから入力された前記測定信号に基づきインパルス応答を測定するインパルス応答測定ステップと、
    前記インパルス応答測定ステップにおいて測定された前記インパルス応答に基づき前記スピーカの配置を決定するための評価データを算出する評価データ演算ステップと、
    前記評価データ演算ステップにおいて算出された前記評価データに基づいて所望の定位位置に音像が定位される前記スピーカの配置を決定するスピーカ配置決定ステップと、
    を実行させるプログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017056705A1 (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 ヤマハ株式会社 放音装置及び音響装置
CN115776633A (zh) * 2023-02-10 2023-03-10 成都智科通信技术股份有限公司 一种室内场景用扬声器控制方法及***

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