JP2014059377A - 個体認証用構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐クローン性のある微細な人工物である個体認証用構造体を製造する方法を提供する。
【解決手段】基体2上に化学線感応型のレジストを塗布してレジスト層11を形成し、このレジスト層11の所望部位に化学線を照射した後、レジスト層11に現像処理を施して基体2にレジスト構造体3を形成して個体認証用構造体1を製造するものとし、レジスト構造体3の形成では、レジスト層11に現像処理を施して形成されるレジストパターン5の少なくとも一部に外力を与えて、パターン凝集体6を1個以上形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、人工物に固有の特徴を利用して認証を行う技術に使用可能な個体認証用構造体の製造方法に関する。
近年、一人ひとりの人間に固有のバイオメトリック情報を利用して個人の認証を行うバイオメトリクスが様々な分野で実用化されている。バイオメトリック情報は、指紋、静脈などの身体的特徴や、音声、筆跡などの行動的特徴を含む情報であり、このような情報を用いて携帯電話や銀行カードの利用者認証、コンピューターへのログインの利用者認証といった場面に利用されている。バイオメトリクスは人間が対象であったが、同様な方法は物体の個体認証にも適用できる。これは人工物メトリクスと呼ばれている。人工物メトリクスは、人工物に固有の特徴を用いて人工物を認証する技術である。例えば、金融分野においては、証書やカードなどの人工物を用いた取引や処理が随所で行われており、その安全性や信頼性を高める手段として、人工物メトリクスが有用であると考えられている。
人工物メトリクスを利用した従来技術として、例えば、特許文献1〜2がある。特許文献1では、金属粒による人工物が配設されたチップが取り付けられたカードが提案されている。また、特許文献2では、繊維による人工物が配設されたチップが取り付けられた真贋識別カードが提案されている。
特開平10−44650号公報 特開2003−29636号公報
現在、セキュリティ性を高めるためにICチップ等が使用されているが、例えば、偽造が困難である耐クローン性を具備した人工物をICカード中へ組み込むことができれば、更なるセキュリティ性の向上が見込まれる。このように微細かつ耐クローン性のある人工物への期待は大きが、従来の技術では、耐クローン性のある微細な人工物を作製することは困難であった。
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、耐クローン性のある微細な人工物である個体認証用構造体を製造する方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明は、人工物を利用した個体認証用構造体の製造方法であって、基体上に化学線感応型のレジストを塗布してレジスト層を形成する工程と、前記レジスト層の所望部位に化学線を照射する工程と、前記レジスト層に現像処理を施してレジストパターンを形成する工程と、を有し、前記レジストパターンの少なくとも一部に外力を与えて、パターン凝集体を1個以上有するレジスト構造体を前記基体上に形成するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記外力として、前記現像処理後のリンス処理における処理液の表面張力、荷電粒子線照射による帯電で発生する静電気力、流体噴射による流体圧力、超音波振動による振動圧の少なくとも1種を用いるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記基体に前記レジスト構造体を形成した後に、前記レジスト構造体をマスクとして前記基体をエッチングして凹凸構造を形成する工程を有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記凹凸構造を形成する工程の後に、前記基体をモールドとして使用して基材上に凹凸構造を備える樹脂層を形成するインプリント工程を有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記インプリント工程では、前記樹脂層をマスクとして前記基材をエッチングして凹凸構造を形成するような構成とした。
本発明では、基体上にレジスト構造体を形成し、当該レジスト構造体はレジストパターンの少なくとも一部に外力を与えて形成したパターン凝集体を1個以上有しており、このパターン凝集体は偽造が困難であり耐クローン性を発現することができ、これにより、耐クローン性のある微細な人工物である個体認証用構造体の製造が可能である。
本発明の個体認証用構造体の製造方法の一実施形態を示す工程図である。 個体認証用構造体を構成するレジスト構造体が有するパターン凝集体の形状例を説明するための図である。 本発明の個体認証用構造体の製造方法の他の実施形態を示す工程図である。 レジスト構造体をマスクとして基体をエッチングすることにより形成した凹凸構造を説明するための図である。 本発明の個体認証用構造体の製造方法の他の実施形態を示す工程図である。 実施例1の試料1−1〜試料1−10をSEMを用いて観察した結果を示す図面である。 実施例2の試料2−1〜試料2−9をSEMを用いて観察した結果を示す図面である。 実施例3の試料3−1〜試料3−10をSEMを用いて観察した結果を示す図面である。 実施例3の試料3−1をSEMを用いて観察した結果を示す図面である。 実施例3の試料3−1をSEMを用いて観察した結果を示す図面である。 実施例3の試料3−1をSEMを用いて観察した結果を示す図面である。 実施例3の試料3−1をSEMを用いて観察した結果を示す図面である。 実施例3の試料3−1をSEMを用いて観察した結果を示す図面である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
尚、図面は模式的または概念的なものであり、各部材の寸法、部材間の大きさの比等は、必ずしも現実のものと同一とは限らず、また、同じ部材等を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比が異なって表される場合もある。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の個体認証用構造体の製造方法の一実施形態を示す工程図である。
この実施形態は、基体上にレジスト構造体を備えた個体認証用構造体を製造する方法であり、まず、基体2の一の面2a上に化学線感応型のレジストを塗布してレジスト層11を形成する(図1(A))。
使用する基体2は、製造する個体認証用構造体に要求される特性、例えば、強度特性、電気特性、光学特性等を考慮して適宜選定することができ、例えば、石英ガラスやソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス等のガラス、シリコンや酸化シリコン、窒化シリコン、ガリウム砒素、窒化ガリウム等の半導体、クロム、タンタル、アルミニウム、ニッケル、チタン、銅、鉄、コバルト、スズ、ベリリウム、金、銀、白金、パラジウム、アマルガム等の金属基板および金属泊、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂基板および樹脂フィルム、あるいは、これらの材料の任意の組み合わせからなる複合体等を使用することができる。また、後述のようにレジスト構造体を形成する領域とは別の領域に他の構造物、例えば、半導体デバイスやディスプレイ等に用いられる微細配線や、フォトニック結晶構造、光導波路等の構造物が形成されたものを基体2としてもよい。
また、使用する化学線感応型のレジストは、電子線、X線、紫外線等の所望の化学線に感応可能なネガ型、ポジ型の公知のレジストを使用することができ、例えば、国際公開第2009/060869号に記載のネガ型レジスト組成物等を好適に使用することができる。形成するレジスト層11の厚みは、使用するレジストの物理的強度、後工程において形成するレジストパターンの形状、寸法、ピッチ等を考慮して、後工程にてパターン凝集体を形成できるように設定することが好ましく、例えば、10〜500nmの範囲で設定することができる。
次に、上記のレジスト層11の所望部位に化学線を照射して、レジストパターンの潜像11′を形成する(図1(B))。使用する化学線は、レジスト層11の感応性に応じて、例えば、電子線、X線、紫外線等を使用することができる。
次いで、レジスト層11に現像処理を施してレジストパターン5を形成し(図1(C))、レジストパターン5の少なくとも一部に外力を与えて、パターン凝集体6を1個以上形成し、これにより基体2の一の面2aにレジスト構造体3を形成して個体認証用構造体1とする(図1(D))。ここで、パターン凝集体6とは、レジストパターン5に傾斜、倒壊、滑り等の少なくとも1種の変形が生じて、離間していたパターン相互の寄りかかり、重なり、接近の少なくとも1種が生じた状態の三次元構造を言う。本発明では、化学線リソグラフィによりレジストパターン5を形成するので、個体認証用構造体を作製したい特定領域に選択的にレジストパターン5を形成することができる。
外力を作用させる前のレジストパターン5は、円柱、角柱等のピラー形状の複数のパターンからなるもの、ライン/スペースのパターンからなるもの、これらの組み合わせ等であってよく、少なくとも外力を与える領域において、任意の方向に任意の程度で傾斜、倒壊、滑り等の少なくとも1種の変形が生じ得るものである。例えば、レジストパターン5がピラー形状の複数のパターンを有する場合、上記の変形が生じ得るようにパターンの太さ、アスペクト比(高さと底部幅の比)、ピッチを適宜設定することができる。また、レジストパターン5がライン/スペースのパターンを有する場合、上記の変形が生じ得るようにラインとスペースの大きさ、ラインのアスペクト比(高さと底部幅の比)を適宜設定することができる。また、ライン/スペースのパターンでは、ラインを不連続形状とし、外力によるラインの変形を生じ易いものとしてもよい。
レジストパターン5に作用させる外力は、例えば、現像処理後に行われるリンス処理の乾燥工程における処理液の表面張力、荷電粒子線照射による帯電で発生する静電気力、流体噴射による流体圧力、超音波振動の振動圧等を挙げることができ、これらの少なくとも1種を用いることができる。これらの方法によれば、人為的に再現することが困難となるようにレジストパターン5に傾斜、倒れ、滑りの変形を容易に発生させることができる。その結果、三次元構造であるパターン凝集体6の形状は、再現性が極めて低いものとなる。
このような外力のうち、現像処理後のリンス処理における処理液の表面張力は、現像処理により形成されたレジストパターン5から現像液を除去するためのリンス処理の乾燥工程において、パターン間に存在するリンス液(主に超純水)から作用する力である。図1(C)に示されるレジストパターン5の形成時のリンス処理の乾燥工程において、近接位置にあるパターン間に存在するリンス液から作用する力σは、下記式で示される。
σ=6γcosθ(H/W)2/D
γ:リンス液の表面張力
θ:リンス液とパターンとの接触角
H:パターンの高さ
W:パターンの幅
D:パターン間隔
リンス液が乾燥する段階でリンス液とパターンとの間に作用する力σが生じ、この力σがレジストパターン5と基体2との接着力より大きい場合に、パターンに傾斜、倒れ、滑りの変形が生じ、図1(D)に示されるようなパターン凝集体6を有するパターン構造体3が基体2に形成される。
そして、レジストパターン5が有する複数のパターンは、その高さH、パターンの幅W、パターン間隔Dの設計値が同じであっても、個々のパターンの高さH、パターンの幅W、パターン間隔Dにはバラツキが存在する。このため、リンス処理の乾燥工程においてリンス液によりパターン相互間に作用する力σは、近傍に位置する他のパターン相互間に作用する力σと影響し合い、パターン毎に作用する力σの大きさ、方向が微妙に相違する。また、リンス液の乾燥条件によっても力σの大きさ、方向が微妙に相違する。したがって、離間していた複数のパターンに、寄りかかり、重なり、接近の少なくとも1種が生じた状態の三次元構造であるパターン凝集体6の形状は、再現性が極めて低いものとなる。このように基体2にレジスト構造体3を備えた個体認証用構造体1は、優れた耐クローン性を有するものとなる。そして、レジスト構造体3の三次元構造を認識して識別することにより、個体認証を行うことができる。また、三次元構造であるパターン凝集体6の平面視形状を認識して識別することによっても個体認証を行うことができる。この場合も、離間していた複数のレジストパターンに、寄りかかり、重なり、接近の少なくとも1種が生じた状態の三次元構造であるパターン凝集体6の構造内には、電子線リソグラフィの解像限界以下(例えば、20nm以下)であるパターン間隔が存在するので、パターン凝集体6の平面視形状にも、電子線リソグラフィの解像限界以下であるパターン形状が現れることになる。したがって、パターン凝集体6の平面視形状を偽造することは極めて困難である。
図2は、レジストパターンの変形により形成されるパターン凝集体6の形状例を2個のパターンを用いて説明する図である。図2(A)に示されるパターン凝集体6は、近接位置にあるパターン5が傾斜して相互に寄りかかる形状となっている。また、図2(B)に示されるパターン凝集体6は、近接位置にあるパターン5が倒壊して一部重なり合った形状となっている。また、図2(C)に示されるパターン凝集体6は、近接位置にあるパターン5の一方に滑りが生じると共に傾斜して他方に寄りかかる形状となっている。さらに、図2(D)に示されるパターン凝集体6は、近接位置にあるレジストパターン5の一方が倒壊するとともに滑って他方に接近もしくは当接した形状となっている。
図2では、近接位置にある2個のパターン5によるパターン凝集体6の形状を示したが、1個のパターン凝集体6を構成するパターン5の数は3個以上であってよく、パターン凝集体6の形状は上述の形状の組み合わせであってもよい。尚、パターン凝集体6の形状は図示例に限定されるものではない。
上記のようなリンス処理の乾燥工程においてリンス液から作用する力は、レジストパターン5の全域に作用するので、レジスト構造体3は、レジストパターン5の全域に亘る1個のパターン凝集体6、すなわち、全てのパターンに傾斜、倒れ、滑り等の少なくとも1種の変形が生して形成された1個のパターン凝集体6を有するものであってよく、また、複数のパターン凝集体6と、これらのパターン凝集体6の間にパターンが変形していない領域を有するものであってもよい。
本実施形態では、例えば、図1(C)に示されるレジストパターン5に電子線、イオンビーム等の荷電粒子線を照射して帯電させ、パターン相互間に発生する静電気力を、レジストパターン5に与える外力として利用することができる。また、噴射の強さ、方向、面積等を変化させながら図1(C)に示されるレジストパターン5に気体等の流体を噴射して作用する力(流体圧力)を、レジストパターン5に与える外力として利用することができる。さらに、レジストパターン5を超純水等の液体中に置き、超音波振動を液体に加えることにより伝搬される振動圧を、レジストパターン5に与える外力として利用することができる。このような外力は、リンス処理において傾斜、倒れ、滑り等のいずれの変形も生じないようなレジストパターン5に対してパターン凝集体6を形成するうえで有用である。
また、このような外力の少なくとも一種と、上記のリンス処理の乾燥工程におけるリンス液から作用する力とを組み合わせてもよい。この場合、リンス処理において生じた傾斜、倒れ、滑り等の少なくとも1種の変形に加えて、更なる変形を付与することができ、パターン凝集体6の構造をより複雑にすることができ、また、パターン凝集体6の個数、面積の制御が可能となる。
上述のような第1の実施形態では、基体2上にレジスト構造体3を形成して個体認証用構造体1とし、レジスト構造体3は、レジストパターン5の少なくとも一部に外力を与えて形成したパターン凝集体6を1個以上有しており、このパターン凝集体6は偽造が困難である耐クローン性を発現する。したがって、レジストパターン5を所望の微細なものとすることにより、耐クローン性のある微細な人工物である個体認証用構造体の製造が可能である。
また、本実施形態では、基体2上にレジスト構造体3を備える個体認証用構造体1を、所望の大きさのチップ、例えば2μm角〜100μm角の大きさのチップにダイシングして、個体認証が必要な他の対象物に組み込み可能な個体認証用構造体として製造してもよい。
また、基体2上にレジスト構造体3とともに、個体認証時の位置合せ用のマークを設けることができ、このような位置合せ用のマークは、上記のチップサイズの個体認証用構造体にも設けることができる。本発明では、化学線リソグラフィを用いるので、レジスト構造体3とともに個体認証時の位置合せ用のマークを同一工程で作製することが可能である。位置合せ用のマークは、レジスト構造体3を構成するレジストパターン5よりもパターン寸法を大きくすることで、基体2に対する十分な接着力をもたせて、レジストパターン5を変形させるために付与する外力、あるいは、使用時等に作用する外力により変形しないように構成しておくことが好ましい。
上述のように製造された個体認証用構造体1は、基体2と、この基体2の一の面2a上に位置する複数のレジストパターン5からなるレジスト構造体3と、を備え、各レジストパターン5と面2aとがなす角度、該角度が90°未満であるレジストパターン5の傾斜方向、および、レジストパターン5相互の間隔は、いずれも一定ではなく、レジストパターン5に相互の寄りかかり、重なり、接近の少なくとも1種の状態が存在して構成される三次元構造のパターン凝集体6がレジスト構造体3に1個以上存在している。このような個体認証用構造体1は、例えば、レジスト構造体3の平面視における輪郭形状、レジスト構造体3の断面視における立体形状、レジスト構造体3の高さ情報等を用いて個体認証を行うことができる。
[第2の実施形態]
図3は、本発明の個体認証用構造体の製造方法の他の実施形態を示す工程図である。
この実施形態は、基体に凹凸構造を備えた個体認証用構造体を製造する方法であり、まず、上述の第1の実施形態と同様に、パターン凝集体6を1個以上有するレジスト構造体3を基体2の一の面2a上に形成する(図3(A))。
次に、レジスト構造体3をマスクとして基体2をエッチングして凹凸構造8を備えた個体認証用構造体1′を作製する(図3(B))。基体2のエッチングとしては、例えば、反応性イオンエッチング、反応性ガスエッチング等のドライエッチング、イオンミリングのような物理エッチングを行うことができる。そして、基体2のエッチングレートとレジスト構造体3のエッチングレートを適宜設定することにより、種々の形状、寸法の凹凸構造8を形成することができる。
図4は、レジスト構造体3をマスクとして基体2を異方性のドライエッチングすることにより形成した凹凸構造8を説明するための図であり、上述の図2に示したパターン凝集体6をマスクとした例である。
図4(A)に示される凹凸構造8は、レジストパターン5が傾斜して相互に寄りかかる形状のパターン凝集体6(二点鎖線で示している)をマスクとして基体2をエッチングして形成したものである。パターン凝集体6は、これを構成するレジストパターン5の姿勢に応じてマスクとしての厚みが相違する部位を有している。図4(A)に示されるパターン凝集体6では、基体2に垂直方向の鎖線矢印で示すように、部位によってマスクとしての厚みが異なっている。このため、基体2のエッチング中にパターン凝集体6のマスクとしての厚みが薄い部位では、マスクが消失して基体2のエッチングが開始されることになる。したがって、パターン凝集体6のマスクとしての厚みの相違に対応して、パターン凝集体6が位置する部位の基体2のエッチングが時間差をもって開始され、当該部位に形成される凹凸構造8は複雑な形状を具備したものとなる。さらに、図4(A)に示される凹凸構造8の形状は、基体2のエッチングレートと、レジストパターン5のエッチングレートの設定により、図示例の形状と異なったものとすることができる。
また、図4(B)に示される凹凸構造8は、レジストパターン5が倒壊して一部重なり合った形状のパターン凝集体6(二点鎖線で示している)をマスクとして基体2をエッチングして形成したものである。この場合も、パターン凝集体6のマスクとしての厚みの相違に対応して、パターン凝集体6が位置する部位の基体2に形成される凹凸構造8は複雑な形状を具備したものとなる。
また、図4(C)に示される凹凸構造8は、レジストパターン5の一方に滑りが生じると共に傾斜して他方に寄りかかる形状のパターン凝集体6(二点鎖線で示している)をマスクとして基体2をエッチングして形成したものである。この場合も、パターン凝集体6のマスクとしての厚みの相違に対応して、パターン凝集体6が位置する部位の基体2に形成される凹凸構造8は複雑な形状を具備したものとなる。
さらに、図4(D)に示される凹凸構造8は、レジストパターン5の一方が倒壊するとともに滑って他方に接近もしくは当接した形状のパターン凝集体6(二点鎖線で示している)をマスクとして基体2をエッチングして形成したものである。この場合も、パターン凝集体6のマスクとしての厚みの相違に対応して、パターン凝集体6が位置する部位の基体2に形成される凹凸構造8は複雑な形状を具備したものとなる。
このようなパターン凝集体6をマスクとした基体2のドライエッチングでは、基体2のエッチングレートと、レジストパターン5のエッチングレートの設定により、パターン凝集体6が位置する部位の基体2がエッチングされる開始時期を制御することができ、また、マスクであるパターン凝集体6の消失の程度も制御することがでるので、種々の形状、寸法の凹凸構造8を形成することができる。そして、このような凹凸構造8においても電子線リソグラフィの解像限界以下のパターン形状が存在する。例えば、図4(A)に示される凹凸構造8の幅W1の部位、図4(C)に示される凹凸構造8の幅W2の部位は、電子線リソグラフィの解像限界以下となり得る。これにより、本実施形態のようにして製造した個体認証用構造体1′が備える凹凸構造8を、例えば、光学的に識別して得た平面視形状を偽造することは極めて困難であり、基体2に凹凸構造8を備えた個体認証用構造体1′は、優れた耐クローン性を有するものとなる。したがって、凹凸構造8の平面視形状を認識して識別することにより、個体認証を行うことが可能である。また、凹凸構造8の立体的な形状、寸法を認識して識別することによっても、個体認証を行うことが可能である。
上述のような第2の実施形態では、レジスト構造体3をマスクとしてエッチングにより基体2に凹凸構造8を形成して個体認証用構造体1′とし、この凹凸構造8が、偽造が困難である耐クローン性を発現する。したがって、レジスト構造体3を形成するレジストパターンを所望の微細なものとすることにより、耐クローン性のある微細な人工物である個体認証用構造体の製造が可能である。
本実施形態では、基体2に凹凸構造8を備えた個体認証用構造体1′を、所望の大きさのチップ、例えば2μm角〜100μm角の大きさのチップにダイシングして、個体認証が必要な他の対象物に組み込み可能な個体認証用構造体として製造してもよい。
また、レジスト構造体3とともに個体認証時の位置合せ用のマークを基体2に形成しておくことにより、基体2に凹凸構造8とともに、個体認証時の位置合せ用のマークとなる凹凸構造を設けることができる。このような位置合せ用のマークは、上記のチップサイズの個体認証用構造体にも設けることができる。
上述のように製造された個体認証用構造体1′は、基体2と、この基体2の一の面2aに位置する凹凸構造8と、を備え、基体2の厚み方向における凹凸構造8の凹部の底部位置、凸部の頂部位置は、いずれも一定ではなく、さらに、凹凸構造8は幅20nm以下の凹部および/または凸部を有している。このような個体認証用構造体1′は、例えば、凹凸構造8の平面視における輪郭形状、凹凸構造8の断面視における立体形状、凹凸構造8の高さ、深さ情報等を用いて個体認証を行うことができる。
[第3の実施形態]
図5は、本発明の個体認証用構造体の製造方法の他の実施形態を示す工程図である。
この実施形態は、インプリント方法により所望の基材上に個体認証用構造体を製造する方法であり、まず、上述の第1の実施形態と同様に、パターン凝集体6を1個以上有するレジスト構造体3を基体2上に形成し、次いで、上述の第2の実施形態と同様に、レジスト構造体3をマスクとして基体2をエッチングし凹凸構造8を形成して、モールド21とする(図5(A))。
次に、所望の基材32の一の面32a上に樹脂35を供給し、モールド21と基材32を近接させて凹凸構造8内に樹脂34を充填する(図5(B))。この状態で樹脂34を硬化させて樹脂層35とし、その後、モールド21と樹脂層35を離型することにより、凹凸構造8の反転形状である凹凸構造36を備えた樹脂層35を基材32に形成して個体認証用構造体31を作製する(図5(C))。
使用する基材32は、例えば、石英ガラスやソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス等のガラス、シリコンや酸化シリコン、窒化シリコン、ガリウム砒素、窒化ガリウム等の半導体、クロム、タンタル、アルミニウム、ニッケル、チタン、銅、鉄、コバルト、スズ、ベリリウム、金、銀、白金、パラジウム、アマルガム等の金属基板または金属泊、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂基板または樹脂フィルム、あるいは、これらの材料の任意の組み合わせからなる複合体等を使用することができる。また、例えば、半導体デバイスやディスプレイ等に用いられる微細配線や、フォトニック結晶構造、光導波路等の構造物が形成されたものを基材32として使用してもよい。
また、使用する樹脂34は、光硬化性、熱硬化性、あるいは、熱可塑性の樹脂材料を用いて形成することができ、例えば、基材32上に樹脂材料の液滴を供給し、基材32とモールド21を近接させて樹脂34の液滴を押し広げることにより凹凸構造8内に樹脂34を充填することができる。モールド21上に樹脂材料の液滴を供給してもよいことは勿論である。
このように作製された個体認証用構造体31は、樹脂層35が凹凸構造8の反転形状である凹凸構造36を備えており、上述のように、凹凸構造8において電子線リソグラフィの解像限界以下のパターン形状が存在することにより、凹凸構造36にも電子線リソグラフィの解像限界以下のパターン形状が存在することになる。したがって、例えば、本実施形態のようにして製造した個体認証用構造体31が備える凹凸構造36を光学的に識別して得た平面視形状を偽造することは極めて困難であり、インプリント方法で作製した個体認証用構造体31は、優れた耐クローン性を有する。このような凹凸構造36の平面視形状を認識して識別することにより、個体認証を行うことができる。また、凹凸構造36の立体的な形状、寸法を認識して識別することによっても、個体認証を行うことが可能である。
上述のような第3の実施形態では、凹凸構造8を有するモールド21を用いてインプリント方法で凹凸構造36を備えた樹脂層35を基材31上に形成して個体認証用構造体31とし、凹凸構造36が、偽造が困難である耐クローン性を発現するので、耐クローン性のある微細な人工物である個体認証用構造体の製造が可能である。
また、本実施形態では、モールド21を用いてインプリント方法で凹凸構造36を備えた樹脂層35を基材32の一の面32a上に形成した後、図5(D)に示されるように、樹脂層35をマスクとして基材32をエッチングして、基材32に凹凸構造37を備えた個体認証用構造体31′として製造することも可能である。上述のように、凹凸構造36はモールド21が有する凹凸構造8を反映した複雑な形状であり、また、電子線リソグラフィの解像限界以下のパターン形状が存在し得るものであるため、基材32をエッチングして形成した凹凸構造37も偽造することは極めて困難である。したがって、このようなインプリントリソグラフィにより作製した個体認証用構造体31′は、優れた耐クローン性を有するものとなる。
また、本実施形態では、作製した個体認証用構造体31,31′を所望の大きさのチップ、例えば2μm角〜100μm角の大きさのチップにダイシングして、個体認証が必要な他の対象物に組み込み可能な個体認証用構造体を製造してもよい。
また、樹脂層35に凹凸構造36とともに個体認証時の位置合せ用のマークとなる凹凸構造を設けることができ、また、基材32に凹凸構造37とともに個体認証時の位置合せ用のマークとなる凹凸構造を設けることができる。このような位置合せ用のマークは、上記のチップサイズの個体認証用構造体に設けてもよい。
上述のように製造された個体認証用構造体31は、基材32と、この基材32の一の面32aに位置する樹脂層35と、を備え、当該樹脂層35は凹凸構造36を有し、樹脂層35の厚み方向における凹凸構造36の凹部の底部位置、凸部の頂部位置は、いずれも一定ではなく、凹凸構造36は幅20nm以下の凹部および/または凸部を有している。また、上述のように製造された個体認証用構造体31′は、基材32と、この基材32の一の面32aに位置する凹凸構造37と、を備え、基材32の厚み方向における凹凸構造37の凹部の底部位置、凸部の頂部位置は、いずれも一定ではなく、凹凸構造37は幅20nm以下の凹部および/または凸部を有している。このような個体認証用構造体31,31′は、例えば、凹凸構造36,37の平面視における輪郭形状、凹凸構造36,37の断面視における立体形状、凹凸構造36,37の高さ、深さ情報等を用いて個体認証を行うことができる。
上述の本発明の各実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
基体として、石英基板(6インチ×6インチ×0.25インチ厚)を準備し、この石英基板上にスパッタリング法によりクロム薄膜(厚み約20nm)を成膜した。
次いで、ネガ型の電子線感応型レジストを以下のように調製した。すなわち、窒素雰囲気下、300mL三口フラスコ中で、3−メトキシフェノール12.4g(0.1モル)をエタノール200mLに溶解した。これを氷浴下で冷却しながらベンズアルデヒド10.6g(0.1モル)を加え、次いで、濃塩酸25mLをゆっくり滴下し、70℃で12時間反応させた。反応終了後、反応溶液を蒸留水500mL中に注ぎ込み、生じた沈殿(黄色固体)をろ過した後、中性になるまで蒸留水で洗浄した。これにより得たカリックスレゾルシンアレン誘導体100重量部と、その合計固形分量に対して、酸発生剤としてトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート10重量部と、架橋剤として4,4−メチレンビス[2,6−ビス(ヒドロキシメチル)]フェノール20重量部と、有機塩基性化合物としてトリ−n−オクチルアミン1重量部とを、シクロペンタノン(有機溶剤)に溶解し、固形分濃度が2.6重量部のネガ型の電子線感応型レジストとした。
このネガ型の電子線感応型レジストを上記の石英基板のクロム薄膜上にスピンコート法により塗布し、プリベーク処理(100℃、60秒間)を施して、膜厚220nmのレジスト層を形成した。
次に、このレジスト層に200μm×200μmの正方形領域を400μmピッチで10箇所画定し、各領域に対して電子線描画装置で一辺100nmの角柱形状のピラーが200nmピッチで配列(ピラーサイズ=100nm、ピッチ=200nm)するように電子線描画を行いパターン潜像を形成した。
次いで、ポストベーク処理(110℃、90秒間)を施した後、現像液(TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)を用いてレジスト層に現像処理を施し、その後、リンス液を用いてリンス処理を施して乾燥した。
これにより、上記のように画定した石英基板上の10箇所の領域に、レジスト構造体を形成して個体認証用構造体(試料1−1〜試料1−10)を得た。
このように作製した試料1−1〜試料1−10について、同一位置に当る角部の5μm×5μmの領域をSEM(走査型電子顕微鏡:日立HT(株)製 CD−SEM CG4000)を用いて観察し、結果を図6に示した。
図6に示されるように、試料1−1〜試料1−10では、リンス処理時のリンス液から作用する力によってレジストパターンが変形し、200μm×200μmの正方形領域のほぼ全域において、種々の形状のパターン凝集体を有するレジスト構造体が石英基板上に形成されており、同一形状のレジスト構造体は存在しないことが確認された。
以上のことから、基体と、この基体の一の面上に位置する複数のレジストパターンからなるレジスト構造体と、を備え、各レジストパターンと基体とがなす角度、該角度が90°未満であるレジストパターンの傾斜方向、および、レジストパターン相互の間隔は、いずれも一定ではなく、レジストパターンに相互の寄りかかり、重なり、接近の少なくとも1種の状態が存在して構成される三次元構造のパターン凝集体がレジスト構造体に1個以上存在する個体認証用構造体は、レジスト構造体の平面視の輪郭形状を拡大観察することで個体識別に利用可能であることが確認された。
[実施例2]
基体として、直径200mmのシリコン基板(厚み約725μm)を準備した。このシリコン基板に対して必要に応じて表面処理を施す場合があるが、本実施例では、適度なレジスト接着力を得るために、表面処理は行わなかった。
次に、実施例1と同様のネガ型の電子線感応型レジストを上記のシリコン基板にスピンコート法により塗布し、プリベーク処理(100℃、60秒間)を施して、膜厚220nmのレジスト層を形成した。
次に、このレジスト層に200μm×200μmの正方形領域を400μmピッチで10箇所画定し、試料2−1〜試料2−9とした。そして、試料2−1〜試料2−9に対して下記のように設定したピラーサイズ、ピッチの組み合わせで、電子線描画装置を用いて電子線描画を行って、9種のパターン潜像を形成した。
試料2−1 : ピラーサイズ=200nm、ピッチ=400nm
試料2−2 : ピラーサイズ=180nm、ピッチ=360nm
試料2−3 : ピラーサイズ=160nm、ピッチ=320nm
試料2−4 : ピラーサイズ=140nm、ピッチ=280nm
試料2−5 : ピラーサイズ=120nm、ピッチ=240nm
試料2−6 : ピラーサイズ=100nm、ピッチ=200nm
試料2−7 : ピラーサイズ=60nm、ピッチ=120nm
試料2−8 : ピラーサイズ=50nm、ピッチ=100nm
試料2−9 : ピラーサイズ=40nm、ピッチ=80nm
次いで、実施例1と同様に、レジスト層に現像処理を施し、その後、リンス処理、ポストベーク処理を施してレジストパターン(試料2−1〜試料2−9の9種)をシリコン基板に形成した。
次に、上記のように形成したレジストパターンをマスクとして、下記のドライエッチング条件でシリコン基板をドライエッチングして凹凸構造を形成した。
(シリコン基板のドライエッチング条件)
・反応性ガス : HBr
・ガス流量 : 900sccm
・ICPパワー : 400W
・RIEパワー : 150W
・圧力 : 2.0Pa
このように形成した9種の凹凸構造(試料2−1〜試料2−9)について、同一位置に当る角部の2μm×2μmの領域をSEM(走査型電子顕微鏡:日立HT(株)製 CD−SEM CG4000)を用いて観察し、結果を図7に示した。
図7に示されるように、試料2−5(ピラーサイズ=120nm、ピッチ=240nm)以上の大きなピラーサイズ、ピッチでは、エッチング後のシリコン基板に、平面視において同一形状である凹部が一定のピッチで存在し、固有の特徴を有する凹凸構造は存在しないものであった。このことから、本実施例で形成したレジストパターンでは、試料2−5(ピラーサイズ=120nm、ピッチ=240nm)以上の大きなピラーサイズ、ピッチでは、現像処理時のリンス液から作用する力によるレジストパターンの変形が発生せず、シリコン基板上にパターン凝集体を有するレジスト構造体が形成されないことが確認された。
また、試料2−6(ピラーサイズ=100nm、ピッチ=200nm)では、エッチング後のシリコン基板に、平面視において非同一形状の凹凸構造が200μm×200μmの正方形領域の一部に存在するものであった。このことから、試料2−6(ピラーサイズ=100nm、ピッチ=200nm)では、現像処理時のリンス液から作用する力によってレジストパターンの一部に変形が発生してパターン凝集体を有するレジスト構造体が形成されていることが確認された。また、試料2−6では、各正方形状の外縁部のレジストパターンに変形が発生しやすいことが確認された。各正方形状の外縁部は、その内側に比べて描画時の電子線の蓄積エネルギーが低くなり、その結果、パターン寸法が小さくなることでリンス処理時のリンス液から作用する力によるレジストパターンの変形が発生しやすくなるものと考えられる。尚、実施例1では、ピラーサイズ=100nm、ピッチ=200nmの設定で、種々の形状のパターン凝集体を有するレジスト構造体を200μm×200μmの正方形領域のほぼ全域に形成することができたが、上記のように、試料2−6(ピラーサイズ=100nm、ピッチ=200nm)では、レジストパターンの変形が200μm×200μmの正方形領域の外縁部に限られている。これは、石英とシリコンの基体材質の違いにより、レジストパターンの密着性に相違があることに起因するものである。
さらに、試料2−7(ピラーサイズ=60nm、ピッチ=120nm)、および、試料2−8(ピラーサイズ=50nm、ピッチ=100nm)では、エッチング後のシリコン基板に、平面視において非同一形状の凹凸構造が200μm×200μmの正方形領域のほぼ全域に存在するものであった。このことから、現像処理時のリンス液から作用する力によってレジストパターンのほぼ全域において変形が発生してパターン凝集体を有するレジスト構造体が200μm×200μmの正方形領域のほぼ全域に形成されていることが確認された。
しかし、試料2−9(ピラーサイズ=40nm、ピッチ=80nm)では、現像処理時のリンス液から作用する力によってレジストパターンの大部分が流されてしまい、レジスト構造体の形成が不可能であった。
[実施例3]
実施例2と同様のシリコン基板に、実施例2と同様に膜厚220nmのレジスト層を形成した。
次に、このレジスト層に200μm×200μmの正方形領域を400μmピッチで10箇所画定し、実施例2の試料2−8(ピラーサイズ=50nm、ピッチ=100nm)と同様のパターン設定で、各領域に対して電子線描画装置で電子線描画を行ってパターン潜像を形成した。
次いで、実施例1と同様に、レジスト層に現像処理を施し、その後、リンス処理、ポストベーク処理を施した。これにより、シリコン基板上の10箇所の正方形領域に、レジスト構造体を形成した。
次に、上記のように形成したレジスト構造体をマスクとして、実施例2と同様のドライエッチング条件でシリコン基板をドライエッチングして凹凸構造を形成して個体認証用構造体(試料3−1〜試料3−10)を得た。
このように作製した試料3−1〜試料3−10について、同一位置に当る角部の2μm×2μmの領域をSEM(走査型電子顕微鏡:日立HT(株)製 CD−SEM CG4000)を用いて観察し、結果を図8に示した。
図8に示されるように、試料3−1〜試料3−10では、リンス処理時のリンス液から作用する力によってレジストパターンが変形し、種々の形状のパターン凝集体を有するレジスト構造体がシリコン基板上に形成され、このようなレジスト構造体をマスクとしたエッチング後のシリコン基板は、200μm×200μmの正方形領域のほぼ全域に、非同一形状の凹凸構造を有することが確認された。
また、上記の試料3−1の200μm×200μmの正方形領域の中から、0.45μm×0.45μmの微小領域を5箇所選定して測定部位1〜測定部位5とし、各測定部位においてSEM(走査型電子顕微鏡:日立HT(株)製 CD−SEM CG4000)を用いて凹凸構造の平面視形状と深さ形状を観察し、結果を図9〜図13に示した。図9〜図13の各図において、(A)の□で囲まれた領域が0.45μm×0.45μmの微小領域であり、(B)はこの微小領域を拡大したものである。
図9〜図13に示されるように、凹凸構造の平面視形状(図中、黒く見える部位が凹部)では、電子線リソグラフィの解像限界以下(例えば、20nm以下)であるパターン間隔が存在することが確認された。また、各測定部位における深さ形状(各図の左右方向の鎖線部位における深さ程度を示す曲線)は複雑で、かつ、輪郭が完全に相違していることが確認された。
以上のことから、基体と、この基体の一の面に位置する凹凸構造と、を備え、基体の厚み方向における凹凸構造の凹部の底部位置、凸部の頂部位置は、いずれも一定ではなく、凹凸構造は幅20nm以下の凹部および/または凸部を有する個体認証用構造体は、凹凸構造の平面視の輪郭形状を拡大観察することで個体識別に利用可能である。
人工物に固有の特徴を用いた個体認証を行う種々の用途に適用できる。
1,1′,31,31′…個体認証用構造体
2…基体
3…レジスト構造体
5…レジストパターン
6…パターン凝集体
8,36,37…凹凸構造
11…レジスト層
21…モールド
32…基材

Claims (5)

  1. 人工物を利用した個体認証用構造体の製造方法において、
    基体上に化学線感応型のレジストを塗布してレジスト層を形成する工程と、
    前記レジスト層の所望部位に化学線を照射する工程と、
    前記レジスト層に現像処理を施してレジストパターンを形成する工程と、を有し、
    前記レジストパターンの少なくとも一部に外力を与えて、パターン凝集体を1個以上有するレジスト構造体を前記基体上に形成することを特徴とする個体認証用構造体の製造方法。
  2. 前記外力として、前記現像処理後のリンス処理における処理液の表面張力、荷電粒子線照射による帯電で発生する静電気力、流体噴射による流体圧力、超音波振動による振動圧の少なくとも1種を用いることを特徴とする請求項1に記載の個体認証用構造体の製造方法。
  3. 前記基体に前記レジスト構造体を形成した後に、前記レジスト構造体をマスクとして前記基体をエッチングして凹凸構造を形成する工程を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の個体認証用構造体の製造方法。
  4. 前記凹凸構造を形成する工程の後に、前記基体をモールドとして使用して基材上に凹凸構造を備える樹脂層を形成するインプリント工程を有することを特徴とする請求項3に記載の個体認証用構造体の製造方法。
  5. 前記インプリント工程では、前記樹脂層をマスクとして前記基材をエッチングして凹凸構造を形成することを特徴とする請求項4に記載の個体認証用構造体の製造方法。
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