JP2014056042A - 光学シート、面光源装置、透過型表示装置、光学シートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】面光源装置10において導光板13の出光側に配置される光学シート14は、導光板13に対面する入光面が微細凹凸形状を有する粗面状であり、少なくとも入光面の周縁部となる領域における凹凸の平均間隔Smの値が、250μm以上650μm以下である。光学シート14は、入光面を粗面状に形成した後に、研磨具により所定の方向へ研磨してあらすことにより形成する。
【選択図】図1
Description
エッジライト型の面光源装置は、導光板の少なくとも一端面に面する位置に、光源を配置する形態であり、各種光学シートの背面側に光源を配置する直下型の面光源装置に比べて、面光源装置の厚さを薄くできる等の利点がある。そのため、エッジライト型の面光源装置を使用した液晶表示装置は、様々な用途に利用されており、その光学特性等に関する開発も盛んに行われている(例えば、特許文献1)。
このような光学密着(WET−OUTともいう)は、特に、出光面が平滑面状である導光板と、その出光側に配置された光学シートとの間で生じ易く、その光学シートの導光板側の面が平滑面で有る場合に著しく生じる。また、この光学密着は、圧力がかかる周縁部の近傍に生じ易く、光学密着が生じている部分が不定形の水に濡れたようなシミ状の明暗ムラとして観察されたり、干渉による虹状の色ムラ等として観察されたりする表示不良が生じ、良好な映像の視認の妨げとなる。
特許文献1では、このような光学密着やこれに起因する表示不良に対する対策は、なんら開示されていない。
請求項1の発明は、面光源装置において導光板の出光側に配置される光学シートであって、前記導光板に対面する第1の面(14a)は、粗面状であり、少なくとも前記第1の面の周縁部(A)は、その凹凸の平均間隔Smの値が250μm以上650μm以下であること、を特徴とする光学シート(14)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の光学シートにおいて、少なくとも前記第1の面(14a)の周縁部(A)には、微細ヘアライン形状が形成されており、前記Sm値は、前記微細ヘアライン形状の長手方向に直交する方向での値であること、を特徴とする光学シート(14)である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の光学シートにおいて、前記第1の面(14a)に対向する第2の面(14b)には、単位光学形状(141)が複数配列されていること、を特徴とする光学シート(14)である。
請求項5の発明は、請求項4に記載の面光源装置において、少なくとも前記光学シート(14)及び前記導光板(13)を、その周縁部に厚み方向に圧力をかけて加圧保持すること、を特徴とする面光源装置(10)である。
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5に記載の面光源装置(10)と、前記面光源装置によって背面側から照明される透過型表示部(11)と、を備える透過型表示装置(1)である。
請求項8の発明は、請求項7に記載の光学シートの製造方法において、前記不織布(32)の番手は、#400〜#600であり、前記粗し工程において、前記第1の面にかかる単位面積当たりの荷重は、0.22g/mm2以上0.55g/mm2であること、を特徴とする光学シートの製造方法である。
また、以下の説明において、板、シート等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は、適宜置き換えることができるものとする。
さらに、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
さらにまた、本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
図1は、本実施形態の透過型表示装置1の構成を説明する図である。
透過型表示装置1は、LCD(Liquid Crystal Display)パネル11と、面光源装置10とを備えている。この透過型表示装置1は、LCDパネル11をその背面側から面光源装置10によって照明し、LCDパネル11に形成される映像情報を観察可能に表示する。この透過型表示装置1は、例えば、液晶テレビジョン等として使用される。
なお、説明等は省略するが、透過型表示装置1には、この他に、映像表示装置として動作するために必要とされる通常の機器が備えられている。
本実施形態の透過型表示装置1の「正面方向」とは、表示面11aの法線方向であり、Z方向に平行である。また、この「正面方向」は、後述する光学シート14等のシート面や、導光板13の板面(出光面13c)への法線方向と一致するものとする。
シート面(板面)とは、各シート部材(板材)において、そのシート(板)全体として見たときにおける、シートの平面方向となる面を示すものであり、本明細書中、及び、特許請求の範囲においても同一の定義として用いている。
本実施形態のLCDパネル11は、略平板状であり、LCDパネル11の外形及び表示面11aは、Z方向から見て矩形形状である。そして、LCDパネル11は、Z方向から見て、X方向に平行な対向する2辺と、Y方向に平行な対向する2辺とを有している。
光源部12A,12Bは、LCDパネル11を照明する光を発する部分である。本実施形態の光源部12Aは、導光板13のY方向の一方(Y1側)の端面となる入光面13aに対面する位置に設けられ、光源部12Bは、導光板13のY方向の他方(Y2側)の端面となる入光面13bに対面する位置に設けられている。この光源部12A,12Bは、いずれも、複数の点光源121がX方向に沿って所定の間隔で複数配列されて形成されている。
また、本実施形態では、面光源装置10は、光源部12A,12Bを備える形態を示したが、これに限らず、画面サイズや光源種等に応じて、例えば、光源部12Aのみを備え、光源部12Bは配置しない形態(所謂、1灯式)の面光源装置としてもよい。
この導光板13は、入光面13a,13bと、出光面13cと、背面13dとを有している。
入光面13a,13bは、導光板13のY方向の両端部(Y1側、Y2側)に位置し、導光板13の板面の法線方向(Z方向)から見て、X方向に延在している。この入光面13a,13bは、X方向及びZ方向に対して平行であり、Y方向に対して直交している。
出光面13cは、光が出射する面であり、平滑面状(略平滑面状とみなせる状態も含む)となっている。
背面13dは、Z方向において出光面13cに対向する面である。この背面13dには、印刷等により、ドット状の拡散パターンが適宜形成されている。
導光板13の板面は、XY面に平行であり、本実施形態の出光面13c及び背面13dは、この板面に平行な面であるとする。
この導光板13は、光源部12A,12Bからの光を入光面13a,13bから入射させ、出光面13cと背面13dとで全反射させながら、各入光面13a,13bが対向する面側へ主としてY方向に導光し、出光面13cから光学シート14側(Z2側)へ適宜出射させる。
導光板13に使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂や、PC(ポリカーボネート)樹脂、COP(シクロオレフィンポリマー)樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。なお、上述の材料に限らず、例えば、ガラス等を用いてもよい。
光学シート14は、導光板13の出光側(Z2側)に配置されて、導光板13の出光面13cから出射した光の進行方向を制御する作用を有する。
光学シート14は、図1,図2に示すように、そのLCDパネル11側(出光側、Z2側)の出光面14bに、単位レンズ141が複数配列されている。また、光学シート14の導光板13側(入光側、Z1側)の入光面14aには、微細な凹凸形状が形成され、マット面(粗面)となっている。
単位レンズ141は、図1及び図2に示すように、LCDパネル11側(出光側、Z2側)に凸となる柱状であり、Y方向を長手方向(稜線方向)とし、X方向に複数配列されている。なお、これに限らず、単位レンズ141は、長手方向をX方向とし、Y方向に配列される形態としてもよい。
なお、単位レンズ141は、これに限らず、その断面形状が、円の一部形状等としてもよいし、複数種類の楕円や円を組み合わせてなる形状としてもよい。また、単位レンズ141は、その断面形状が、二等辺三角形状や、頂部が曲面で形成される二等辺三角形状等としてもよい。
本実施形態では、単位レンズ141配列ピッチP1は、配列方向におけるレンズ幅W1に等しい。また、この光学シート14の厚み(入光面14aから頂点141tまでのZ方向の寸法)は、D1である。
光学シート14の入光面14aは、微細凹凸形状等が形成されており、所謂、マット面(粗面)となっている。
本実施形態の入光面14aは、その周縁部となる領域A(外周端からの幅S1の部分)に、微細凹凸形状に加えて、さらに、微細凹凸形状よりもさらに微細な微細ヘアライン形状が形成されている。この微細ヘアライン形状は、その間隔や長さ等は不規則である。
本実施形態の入光面14aにおいて、この領域Aよりも内側の領域は、領域Bとする。この領域Bは、このような微細へライン形状を有しておらず、上述のようなマット面(粗面)となっている。
従って、図3に示すように、微細ヘアライン形状は、入光面14aのX方向の両端部であり、Y方向に平行な辺に隣接する領域Aでは、長手方向がY方向に平行に形成され、入光面14aのY方向の両端部であり、X方向に平行な辺に隣接する領域Aでは、長手方向がX方向に平行に形成されている。
この領域AのSm値は、250μm以上650μm以下であることが、導光板13の出光面13cと光学シート14の入光面14aとの光学密着(WET−OUT)を抑制する観点等から好ましい。
Sm値が、250μm未満である場合には、光学密着は改善されるが、微細ヘアライン形状が形成された領域Aが白っぽく見え、好ましくない。また、Sm値が、650μmよりも大きい場合には、微細ヘアライン形状の形成が不十分であり、光学密着が生じ易く、好ましくない。
なお、本実施形態では、光学シート14の入光面14aは、その周縁部となる領域Aに、微細ヘアライン形状が形成される例を示したが、これに限らず、入光面14a全面に微細ヘアライン形状が形成される形態としてもよい。
なお、光学シート14は、上記の例に限らず、例えば、アクリル系樹脂や、MBS(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体)樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、COP樹脂、PS(ポリスチレン)樹脂等のような光学部材として使用可能な光透過性や耐熱性を有する熱可塑性樹脂を押し出し成形して形成してもよい。また、PET樹脂製やPC樹脂製等のシート状の基材上に、紫外線硬化型樹脂により単位レンズ141を形成して光学シート14を作製してもよい。
図4は、本実施形態の光学シート14の製造方法の一例を説明する図である。
まず、PC樹脂を押し出し成形する等により、図4(a)に示すように、その一方の面(出光面14b)に単位レンズ141が配列され、他方の面(入光面14a)が微細凹凸形状を有する粗面である光学シート14を形成する(成形工程)。
ここで、入光面14aは、例えば、表面にブラスト加工やエンボス加工等が施された成形型を押圧して微細凹凸形状が形成されたマット面(粗面)として形成することができる。なお、これに限らず、例えば、光学シート14を成形後に、所定のマスキングを行い、略平滑面状の入光面14aに直接ブラスト加工等を施して微細凹凸形状が形成されたマット面(粗面)を形成してもよい。
研磨具30は、図4(c)に示すように、本体部31と、本体部31の下面に取り付けられたクロス部32と、本体部31の側面に設けられた取っ手部33とを有している。
本実施形態の本体部31は、略直方体状であり、クロス部32が下面に取り付けられている。本体部31は、その形状や材質を限定しないが、適度な荷重を有し、その荷重に偏りがなく、下面に略均一に荷重がかかる形態であることが好ましい。
クロス部32は、入光面14aに接し、入光面14aを研磨する部分である。このクロス部32は、研磨用の樹脂製等の不織布が好ましく、汎用の研磨クロスを用いることができる。
取っ手部33は、入光面14a上に載置した研磨具30を移動させる際に作業者が保持する部分である。この取っ手部33の形状や形成される位置は、安定して研磨具30を移動できる形状等であれば、特に限定されない。
研磨具30を移動させる速度は、0.3m/s〜0.9m/sであることが、良好な微細ヘアライン形状を形成する観点から好ましい。研磨具30を移動させる速度が0.9m/sよりも大きい場合には、光学シートの端部に未加工となる部分が生じたり、微細ヘアライン形状が蛇行したりする等の問題がある。また、研磨具30を移動させる速度が0.3m/sよりも小さい場合には、微細ヘアライン形状の凹凸が深く入りすぎてキズのように見え易くなるという問題や、作業性の低下という問題がある。従って、研磨具30を移動させる速度は、上記範囲とすることが好ましい。
このような粗し工程を行うことにより、図4(f)に模式的に示すように、領域Aに、微細凹凸形状に加えて微細ヘアライン加工が形成された光学シート14が作製される。
研磨具30が入光面14aに与える単位面積当たりの荷重が0.22g/mm2未満であると、入光面14aへの微細ヘアライン形状の形成が不十分となり、光学密着を低減する効果が得られない。
また、研磨具30が入光面14aに与える単位面積当たりの荷重が0.55g/mm2より大きい場合には、荷重がかかり過ぎることで、微細ヘアライン形状の凹凸が深く形成され、入光面14aがあらされ過ぎるため、研磨具30によって微細ヘアライン形状を形成した部分が白く視認され、好ましくない。
従って、研磨具30が入光面14aに与える単位面積当たりの荷重は、上記範囲を満たすことが好ましい。
番手が#600より大きい(#1000等)クロス部32を用いた場合には、番手が細かすぎ、より微細なヘアライン形状が所望する以上に無数に入るため、微細ヘアライン形状を形成した部分(領域A)が白く視認される。また、番手が細かすぎるため、研磨具30によって入光面14aにかかる荷重を大きくしても、微細なヘアライン形状(線状)ではなく、面状に研磨されてしまい、十分に微細ヘアライン形状を形成できない。
番手が#400より小さい(#150等)クロス部32を用いた場合には、番手が粗すぎ、微細ヘアライン形状の凹凸が深く形成され、筋状のキズとして視認される部分が生じる。
従って、クロス部32の番手は、#400〜#600とすることが好ましい。
また、クロス部32は、PE(ポリエステル)樹脂製の研磨用の不織布を用いることが好ましいが、これ以外に、例えば、ナイロン製やPP(ポリプロピレン)樹脂製、アラミド繊維製の不織布等も用いることができる。
プリズムシート15は、光学シート14のLCDパネル11側(Z2側)に配置されている。このプリズムシート15は、その出光側(Z2側)の面に、単位プリズム151が複数配列されている。
本実施形態の単位プリズム151は、二等辺三角柱形状であり、X方向を長手方向(稜線方向)として、Y方向に複数配列されている。なお、単位プリズム151の長手方向や配列方向は、適宜選択してよい。
偏光選択反射シート16は、特定の偏光状態の光を透過し、それ以外の偏光状態の光については反射する機能を有する光学部材である。偏光選択反射シート16を透過する偏光の偏光軸は、シート面の法線方向(Z方向)から見て、LCDパネル11の背面側(Z1側)に位置する不図示の偏光板(所謂、下偏光板)の透過軸と平行であることが、光の利用効率を高め、輝度を向上させる観点から好ましい。偏光選択反射シート16としては、例えば、DBEF(住友スリーエム株式会社製)を使用することができる。
本実施形態のLCDパネル11、光源部12A,12Bや、導光板13や光学シート14、プリズムシート15、偏光選択反射シート16は、枠体18及び背面板19、ネジ20等により保持され、透過型表示装置1が構成されている。
枠体18のLCDパネル11側(Z2側)端部は、透過型表示装置1の画面方向(XY平面)の中央側(内側)に突出するベゼル部18aとなっている。ベゼル部18aは、枠体18のLCDパネル11側(Z2側)の全周に設けられており、LCDパネル11の周縁部を押さえる形態となっている。
背面板19は、反射シート17の背面(Z1側の面)をLCDパネル11側(Z2側)に加圧する板材である。
枠体18及び背面板19は、金属製や樹脂製等であり、光透過性を有しないことが好ましい。
枠体18、背面板19、ネジ20は、偏光選択反射シート16、プリズムシート15、光学シート14、導光板13、反射シート17の周縁部において、厚み方向(Z方向)に圧力をかけて、これらを加圧保持している。
光学密着が生じた状態で、光源部12A,12Bを点灯して画面を観察した場合に、画面の周縁部に光学密着に起因して、濡れたようなしみ状の明暗ムラや干渉による虹状の色ムラ等が発生する。特に、導光板13のZ2側に配置されるレンズシート等の入光面が、平滑面状(略平滑面状とみなせる程度も含む)である場合や、不十分な微細凸形状が形成されている場合には、上述のような光学密着やこれに起因する表示不良が著しく生じ、良好な視認の妨げとなる。
また、本実施形態によれば、光学シート14の入光面14aの周縁部に研磨具30を載置し、所定の速度で移動させるだけで、周縁部となる領域Aに良好なSm値の範囲を満たす微細ヘアライン形状を形成できるので、製造も容易であり、生産コスト等も抑制できる。
本実施形態の光学シート14の実施例及び比較例に相当する光学シートを作製し、その光学性能(ヘイズ値及び全光線透過率)や、透過型表示装置1とした場合の光学密着及び表示不良の発生状況ついて調べた。
実施例1〜4及び比較例1〜4の光学シートは、いずれも、PC樹脂を押し出し成形して形成され、出光面に、単位レンズ141が複数配列されて形成されている点は共通しているが、入光面の領域Aの微細ヘアライン形状形成の有無等が異なる。
実施例1〜4及び比較例1〜4の光学シートは、そのXY面に平行な面の外形が、約1550×880mm(画面サイズ対角70インチ相当)であり、その総厚D1は、約400μmである。
実施例1〜4及び比較例1〜4の光学シートの出光面に形成される単位レンズ141は、長軸がシート面に直交する楕円柱形状であり、その配列ピッチP1=64μm、レンズ高さH1=27μmである。
比較例1,2の光学シートは、領域Aに微細ヘアライン形状を有しておらず、入光面は、全面に微細凹凸形状が形成されたマット面(粗面)となっている。
実施例1〜4及び比較例3,4の光学シートは、入光面の領域Bには、比較例1,2の光学シートの入光面と同様の微細凹凸形状が形成され、領域Aには、微細凹凸形状に加えて、研磨具30による微細ヘアライン形状が形成されている。
研磨具30は、クロス部32が入光面と接する部分の寸法が、70mm×130mmである。クロス部32は、#600のポリエステル製の不織布(株式会社コメリ製 ミガキクロス#600 NA600〜800)である。
これらのRa値、Rz値、Sm値は、いずれも、表面粗さ測定器(サーフコム(E−RM−S18B) 株式会社東京精密製)により、同一サンプルにおいて測定箇所を変えて3回測定して得られた値の平均値である。測定条件は、カットオフ:0.8mm、測定速度:0.3mm/s、測定長:10mmである。
このヘイズ値及び全光線透過率は、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製 NDH2000)によって、同一サンプルにおいて測定箇所を変えて3回測定して得られた値の平均値である。
このとき用いた導光板13は、アクリル樹脂製であり、出光面13cは、略平滑面状であり、その表面粗さは、Ra=0.0μm、Rz=0.2μm(測定条件等は、前述の光学シート14の入光面14aの測定と同様)である。なお、この出光面13cは、略平滑面であるため、Sm値については、測定不可能であった。背面13dには、拡散作用を有するドット状のパターンが形成されている。この導光板13は、所謂、印刷導光板である。
プリズムシート15は、UV樹脂製であり、単位プリズム151は、頂角90°の二等辺三角柱形状であり、配列ピッチが50μmである。このプリズムシート15の総厚は、295μmである。
偏向選択反射シートは、DBEF(住友スリーエム社製 DBEF−D3−340)である。
なお、これらのRa値、Rz値、Sm値の測定、ヘイズ値及び全光線透過率の測定は、実施例1〜4及び比較例3,4の光学シートについては、いずれも、微細ヘアライン形状の長手方向が主にX方向である領域A(Y方向端部近傍の領域A)と、微細ヘアライン形状の長手方向が主にY方向である領域A(X方向端部近傍の領域A)との双方について測定した。また、比較例1,2の光学シートにおいても、前述の実施例1〜4及び比較例3,4の光学シートにおける測定箇所と同様の測定箇所(Y方向及びX方向端部の領域Aに相当する領域)において測定した。
領域Aに微細ヘアライン形状が形成された実施例1〜4の光学シートは、領域AでのSm値が、いずれも、好ましい範囲(250μm以上650μm以下)を満たしていた。しかし、領域Aに微細ヘアライン形状が形成されていない比較例1,2の光学シートでは、領域AのSm値が好ましい範囲よりも大きくなっていた。
また、領域Aに微細ヘアライン形状が形成されているが、粗し工程での研磨具30の単位面積当たりの荷重が好ましい範囲(0.22g/mm2以上0.55g/mm2以下)よりも大きい比較例3の光学シートでは、領域AでのSm値が好ましい範囲よりも小さくなっていた。さらに、領域Aに微細ヘアライン形状が形成されているが、粗し工程での研磨具30の単位面積当たりの荷重が好ましい範囲よりも小さい比較例4の光学シートでは、領域AでのSm値が好ましい範囲よりも大きくなっていた。
比較例1,2の光学シートを用いた透過型表示装置では、光学密着による濡れたようなしみ状の明暗ムラ等の表示不良が生じていた。また、比較例3の光学シートを用いた透過型表示装置では、光学密着に起因する表示不良は生じていないが、領域A形成時の研磨具30の荷重が大きすぎ、微細ヘアライン形状が形成された領域Aが白く曇って観察された。さらに、比較例4の光学シートを用いた透過型表示装置では、領域Aが白く曇って観察されることはなかったが、領域A形成時の研磨具30の荷重が不十分であり、光学密着による表示不良が観察された。
また、実施例1〜4の光学シートの領域Aにおける全光線透過率は、領域Aに粗し加工を施さない比較例1,2の光学シートの領域Aの全光線透過率と略同等であり、微細ヘアライン形状による明るさの低下が生じておらず、光学部材として十分な透過率を有している。
以上のことから、実施例1〜4の光学シートによれば、導光板13との光学密着を大幅に抑制して光学密着に起因する表示不良を大幅に改善でき、明るく良好な面光源装置及び透過型表示装置とすることができる。
そして、この実施例3−2,3−3及び比較例1の光学シートにおいて、それぞれ画面中央での輝度を測定し、比較した。輝度の測定は、以下の2つの条件において行った。
条件1は、光源部12A,12B、導光板13、実施例3−2,3−3,比較例1のいずれかの光学シート、不図示の偏光板(LCDパネル11の下偏光板に相当)を備える面光源装置の状態である。
条件2は、光源部12A,12B、導光板13、実施例3−2,3−3,比較例1のいずれかの光学シート、プリズムシート15、偏光選択反射シート16、不図示の偏光板(LCDパネル11の下偏光板に相当)を備える面光源装置の状態である。
導光板13やプリズムシート15等は、いずれの条件の輝度測定においても、前述の光学密着による表示不良の有無の評価に用いたものと同様である。
また、輝度は、いずれの条件においても、暗室環境下において、光源部12A,12Bを点灯し、いずれも画面中央の輝度を、画面中央から法線方向に1mの位置から輝度計(Topcon社製 BM−9)により測定した。
また、実施例3−3の光学シートは、比較例1の光学シートの輝度を基準(100%)とした場合に、その輝度が、条件1において97.7%、条件2において98.3%であり、実施例3−2よりはわずかに低下したが、比較例1の光学シートと遜色ない良好な明るさを維持していた。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)本実施形態において、光学シート14の出光側(Z2側)には、プリズムシート15や偏光選択反射シート16が形成される例を示したが、これに限らず、他の光学作用や光学形状を有する部材を配置してもよい。
例えば、マイクロレンズアレイが形成されたマイクロレンズシートや、レンチキュラーレンズシート、表面に拡散材がコーティングされた拡散シートや、拡散材を含有する拡散シート等を配置してもよいし、これらを上述のプリズムシート15や偏光選択反射シート16と適宜組み合わせて用いてもよい。
面光源装置10及び透過型表示装置1の使用環境や所望する光学性能に合わせて、面光源装置10として導光板13と組み合わせて用いる各種光学シート等は、適宜選択して用いることができる。
また、導光板13は、導光方向において、入光面13a,13b側が厚く、中央部分が薄い形状としてもよい。さらに、光源部12Aのみを備える形態(所謂、1灯式)である場合には、導光板13は、入光面13a側が厚く対向する面13b側に向かって次第に薄くなる形態としてもよい。
10 面光源装置
11 LCDパネル
12A,12B 光源部
121 点光源
13 導光板
14 光学シート
15 プリズムシート
16 偏光選択反射シート
17 反射シート
18 枠体
19 背面板
20 ネジ
30 研磨具
31 本体部
32 クロス部
33 取っ手部
Claims (8)
- 面光源装置において導光板の出光側に配置される光学シートであって、
前記導光板に対面する第1の面は、粗面状であり、
少なくとも前記第1の面の周縁部は、その凹凸の平均間隔Smの値が250μm以上650μm以下であること、
を特徴とする光学シート。 - 請求項1に記載の光学シートにおいて、
少なくとも前記第1の面の周縁部には、微細ヘアライン形状が形成されており、前記Sm値は、前記微細ヘアライン形状の長手方向に直交する方向での値であること、
を特徴とする光学シート。 - 請求項1又は請求項2に記載の光学シートにおいて、
前記第1の面に対向する第2の面には、単位光学形状が複数配列されていること、
を特徴とする光学シート。 - 光を発する光源部と、
前記光源部からの光が入射する入光面と、光が出射する出光面とを備える導光板と、
前記導光板の出光側に配置される請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の光学シートと、
を備える面光源装置であって、
前記導光板の前記出光面は、平面状であって略平滑面状であること、
を特徴とする面光源装置。 - 請求項4に記載の面光源装置において、
少なくとも前記光学シート及び前記導光板を、その周縁部に厚み方向に圧力をかけて加圧保持すること、
を特徴とする面光源装置。 - 請求項4又は請求項5に記載の面光源装置と、
前記面光源装置によって背面側から照明される透過型表示部と、
を備える透過型表示装置。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の光学シートの製造方法であって、
粗面状である前記第1の面を備える前記光学シートを成形する成形工程と、
前記第1の面の周縁部をあらす粗し工程と、
を備え、
前記粗し工程では、研磨用の不織布により、前記周縁部を所定の一方向へ研磨し、前記周縁部の凹凸の平均間隔Smの値を250μm以上650μm以下とすること、
を特徴とする光学シートの製造方法。 - 請求項7に記載の光学シートの製造方法において、
前記不織布の番手は、#400〜#600であり、
前記粗し工程において、前記第1の面にかかる単位面積当たりの荷重は、0.22g/mm2以上0.55g/mm2であること、
を特徴とする光学シートの製造方法。
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