JP2014055931A - セシウム吸着材の後処理法 - Google Patents

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Abstract

【課題】セシウムを吸着した後のプルシアンブルー型錯体について、発熱による発火を回避すること、及び水との接触によりセシウムイオンが溶出することを回避することを可能とする後処理方法を提供する。
【手段】セシウムを吸着させた後のプルシアンブルー型錯体を、加熱して酸化鉄とすることにより、管理時の発熱反応に伴う発火などの懸念を払拭する。また、加熱温度を250℃から500℃の間に制御することにより、放射性セシウムが再び大気中に拡散することを回避すると共に、水と接触した際の放射性セシウムイオンの溶出を回避する。
【選択図】なし

Description

本技術は、セシウム吸着材にセシウムを吸着させた後の後処理方法に関する。
原子力発電の結果として排出される放射性廃液から特定の放射性元素を分離・除去する方法として、イオン交換材料の利用が研究されている。対象となるイオンとしては、例えば、セシウムやストロンチウム、アメリシウムなどに含まれる放射性元素の分離が挙げられる。
原子力発電所の事故の際には、大量の放射性物質が環境に飛散することがある。中でも、放射性であるセシウム134とセシウム137は遠距離まで飛散することが知られており、その対策が大きな課題となる。実際、先の原子力発電所の事故で、ある程度距離が離れた地域で時間が経った後に問題となったのは、この二つの放射性物質である。
特に、農地や校庭・空き地などの土壌に落下した放射性セシウムの土壌処理や、河川や海水の処理など、その処理の形態は多岐にわたる。そして、その処理量は膨大なものとなる。上記イオン交換材料を利用するにしても、大量処理・大量生産に好適に対応できることが必要となる。
プルシアンブルー型錯体は、放射性セシウムの吸着効率及び選択性の高さがよく知られた吸着材である。プルシアンブルーは、既に体内のセシウム除去剤として市販されているものに適用されている。この性質を利用した陽イオンの吸着材料として、特許文献1には、プルシアンブルーの鉄原子の一部を銅に置換して得られるプルシアンブルー型錯体の一例として、銅プルシアンブルー型錯体(Cu−PBA)を、官能基をもたない多孔性樹脂孔内に担持したものが開示されている。特許文献2には、鉄原子の一部を亜鉛に置換した亜鉛プルシアンブルー型錯体が、アルカリ性水溶液化でも安定的に放射性セシウムを吸着する吸着材として開示されている。
また、プルシアンブルー型錯体をナノ粒子化することにより、より高効率な吸着材として使用することも特許文献3に提案されている。さらには、これらの吸着材を用い、放射性セシウムに汚染された土壌や焼却灰を処理する方法も、特許文献4から6に開示されている。
プルシアンブルーを初めとするプルシアンブルー型錯体は、非常に安定な無機化合物であり、一般的な管理条件下では、分解などの危険性は極めて少ない。よって、基本的には一般的な管理で問題はないと考えられる。ただし、酸化物などに比べるとエネルギー的には高い状態であるため、通常の有機物、高分子などと同様に加熱により発熱反応を起こし酸化物となる場合がある。よって、例えば、意図しない火災に巻き込まれるなどの場合には、発熱反応に伴う発火の危険がある。また、これも通常の有機物等と同様に、硝酸などの強い酸化物と非常に高濃度に混在した場合、爆発的な反応が起こる可能性もある。
また、プルシアンブルーの構造が完全に破壊されるほどの変化を受けた場合、吸着した放射性セシウムの脱離も懸念される。よって、放射性セシウム吸着後のプルシアンブルーの管理については、一定の留意事項が存在する。例えば、非特許文献1においては、管理時に200℃以上の環境に置かれないよう留意することが明記されている。
これらの管理時の留意事項を軽減する方法として、放射性セシウムを吸着したプルシアンブルー型錯体とゼオライトの混合物を非還元性雰囲気の下で加熱処理する事により、不溶性フェロシアン化物の熱分解により揮発したセシウムが高比表面積のゼオライトに補足させる方法が非特許文献2に開示されている。しかしながらこの方法は高温処理のため、エネルギーコストが高い事と、作業時の取扱いが困難になることが懸念される。
特開平9−173832号公報 特願2012−029224 特願2012−024361 特願2012−023723 特願2011−186865 特願2011−179982
平成24年度除染技術評価等業務報告書(独立行政法人日本原子力研究開発機構)、25ページ http://www.jaea.go.jp/fukushima/techdemo/h23/techdemo_report.pdf 昭和電工発表資料(2012年7月26日) http://www.sdk.co.jp/news/12736/12989.html
本発明は、このような現状を鑑みてなされたものであって、セシウムを吸着した後のプルシアンブルー型錯体について、発熱による発火を回避すること、及び水との接触によりセシウムイオンが溶出することを回避することを可能とする後処理方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、プルシアンブルー型錯体を加熱酸化する際の条件を検討することにより、発熱による発火を回避すると共に、セシウムイオンの水への溶出も回避できるという知見を得た。
本発明は該知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)下記式(A)で表されるプルシアンブルー型錯体に放射性セシウムを吸着させた後の処理方法であって、
前記プルシアンブルー型錯体を、温度を180〜500℃に制御しながら加熱することにより、酸化鉄を主成分とする材料に変化させることにより、保管時の過剰な加熱及び/又はセシウムイオンの水への溶出を防ぐことを特徴とする後処理方法。
pM[Fe(CN)6]y・zH2O ・・・ (A)
(式中、Aは陽イオンに由来する原子であり、pは0〜2の数であり、yは0.6以上1.5以下の数であり、zは0.5以上10以下の数であり、Mは、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、亜鉛、ランタン、ユーロピウム、ガドリニウム、ルテチウム、バリウム、ストロンチウム、及びカルシウムからなる群より選ばれる一種または二種以上の金属原子である。)
(2)前記加熱において、温度制御法として、500℃以下で吸熱反応を起こす材料(以後、「吸熱材料」ということもある。)を前記プルシアンブルー型錯体に添加することを特徴とする(1)に記載の後処理方法。
(3)前記吸熱反応を起こす材料として、金属水酸化物を使用することを特徴とする(2)に記載の後処理方法。
(4)前記プルシアンブルー型錯体として、M=Feのプルシアンブルーを用いることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の後処理方法。
(5)前記金属水酸化物として、水酸化アルミニウム及びその含有物を用いることを特徴とする(4)に記載の後処理方法。
(6)前記金属水酸化物として、水酸化マグネシウム及びその含有物を用いることを特徴とする(4)に記載の後処理方法。
(7)前記プルシアンブルー型錯体を円筒状の容器に充填し、該容器を運動させながら加熱を行うことを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の後処理方法。
本発明の方法によれば、プルシアンブルー型錯体は加熱により酸化鉄となるため、その後の管理中の不測の事態等に起因する発熱反応及び、それに伴う発火などの懸念が払拭される。また、加熱温度を制御することにより、放射性セシウムが再び大気中に拡散することを回避できると共に、水と接触した際の放射性セシウムイオンの溶出を回避することができる。また、温度制御の方法として、500℃以下で吸熱反応を示す材料、具体的には、金属水酸化物を添加することにより、比較的低温の加熱条件である180〜500℃の加熱温度を容易に維持することが可能となる。さらには、温度制御の方法として、円筒状の容器にプルシアンブルー型錯体を充填し、運動させながら加熱することで、プルシアンブルー型錯体の発熱反応に伴う熱が適切に容器外に放熱され、180〜500℃の加熱温度の維持が可能となる。
吸着材と水酸化アルミニウムを2:1の割合で混合し、熱重量分析(TG)及び示差熱分析(DTA)を実施した結果を示す図 吸着材と水酸化アルミニウムを1:2の割合で混合し、熱重量分析(TG)及び示差熱分析(DTA)を実施した結果を示す図 セシウムを吸着した吸着剤を、常温から10℃/分の割合で昇熱後、200℃で3時間加熱した際の、熱重量分析(TG)及び示差熱分析(DTA)の結果を示す図 セシウムを吸着した吸着剤を、再度10℃/分で450℃まで加熱した際の、熱重量分析(TG)及び示差熱分析(DTA)の結果を示す図
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明においては、その加熱条件、特に温度が必要である。180〜500℃の比較的低温で焼成することにより、放射性セシウムの焼成時の揮発を回避すると共に、焼成後吸着材が水と接触する際の放射性セシウムの溶出を防ぐことができる。
ここで注意すべきことが、プルシアンブルー型錯体自体の酸化が発熱反応であるため、その酸化熱により過度の加熱が起き、所望の温度での加熱が起こらないことである。過度の加熱を防ぐ方法として、焼成時に、プルシアンブルー型錯体に500℃以下で吸熱反応を起こす吸熱材料の添加が有効である。さらに、プルシアンブルー型錯体の起こす発熱反応と、該吸熱材料の起こす吸熱反応の釣り合いがとれる様に混合比を制御してやることで、適切な温度での加熱が可能となる。このことにより、過度の発熱を防ぐことが簡単にできると共に、焼成温度の制御が可能となり、焼成後に水と接触した際の放射性セシウムの溶出を防ぐことができる。
なお、本発明の後処理は、前記吸熱材料を用いずとも、比較的低温、例えば250℃以下の温度で、時間をかけて行うことによっても達成できるが、上記のとおり、吸熱材料を用いることにより発生する熱を放熱することができるので、250℃以上に加熱して、後処理の時間を短縮することができる。
上記のとおり、本発明の方法においては、プルシアンブルー型錯体は200℃以上で発熱反応を起こすため、加熱時に適切に放熱させる必要があり、その一つの方法が、前述の吸熱材料の添加であるが、プルシアンブルー型錯体を充填した容器外へ放熱することも適切な方法である。
本発明においては、特に、円筒状の容器にプルシアンブルー型錯体を充填し、回転、振動等の運動をさせながら加熱することで、プルシアンブルー型錯体の発熱反応に伴う熱が適切に容器外に放熱され、180〜500℃の加熱温度の維持が可能となる。
以下、本発明に用いる、プルシアンブルー型錯体、吸熱材料、及び加熱時の容器について、さらに詳しく説明する。
<プルシアンブルー型錯体>
本発明においては、プルシアンブルー型錯体をセシウム吸着材として用いる。その組成は、ApM[Fe(CN)6]y・zH2O ・・・ (A)
(式中、Aは陽イオンに由来する原子であり、pは0〜2の数であり、yは0.6以上1.5以下の数であり、zは0.5以上10以下の数であり、Mは、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、亜鉛、ランタン、ユーロピウム、ガドリニウム、ルテチウム、バリウム、ストロンチウム、及びカルシウムからなる群より選ばれる一種または二種以上の金属原子である。)
で表され、放射性セシウム水溶液から放射性セシウムイオンを吸着するものであればよいが、M=Feのプルシアンブルー、M=Cuの銅置換プルシアンブルー型錯体、M=Znの亜鉛置換プルシアンブルー型錯体、M=Niのニッケル置換プルシアンブルー型錯体、M=Coのコバルト置換プルシアンブルー型錯体が望ましく、特にM=PBのプルシアンブルーが望ましい。Aは陰イオンを示す。ナトリウム、カリウム、ルビジウム、アンモニウムなどが使用できるが、ナトリウム、カリウムが好ましく、特にカリウムが好ましい。また、一次粒径、二次粒径共に特に制限はない。形状についても、適切に加熱が可能であれば問題はなく、他の材料との複合体であってもよく、粉末や粒状、もしくは不織布等の有機物にプルシアンブルー型錯体を担持させた吸着材等が使用できる。
<吸熱材料>
500℃以下で吸熱反応を起こす材料としては、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムが好ましい。水酸化アルミニウムは300℃周辺で脱水による吸熱反応を示す。水酸化マグネシウムは同様に400℃弱で吸熱反応を示す。さらに、所望の温度範囲で吸熱反応を起こすのであれば、材料は問わない。また、他の元素、材料等との複合体、混合物であってもよい。例えば、他にはポリ塩化アルミニウムなどが挙げられる。それらのどちらが好ましいかについては、加熱時間等その他の条件に依存する。また、加熱の際に、攪拌等の手段を用いてもよい。また、焼結時に新たに添加することをせずとも、吸着材製造時に添加することや、凝集沈殿材として当該材料を使用してもよい。上述のポリ塩化アルミニウムは、水酸化アルミニウムの一部の水分子が塩素に置換されたものであると共に、有名な凝集沈殿剤である。プルシアンブルー型吸着材を水からのセシウムイオン吸着に使用する場合として、スラリー状のものや、粉末状のものを水に添加し、凝集沈殿剤等を使用して固液分離することがあるが、このような場合にポリ塩化アルミニウムを使用することで、その後の焼結工程で吸熱剤として機能させることもできる。
<加熱時の容器>
加熱時の容器については、所定の加熱条件が維持できれば特に限定はないが、円筒状の容器に充填し、回転、振動などの運動を加えながら加熱することにより、加熱条件の維持が容易となる。プルシアンブルー型錯体は200℃以上で発熱反応を起こすため、加熱時に適切に放熱させる必要がある。その一つの方法が、前述の吸熱材料の添加であるが、プルシアンブルー型錯体を充填した容器外へ放熱することも適切な方法である。
その一つの方法として、円筒状の容器に充填し、運動させながらの加熱が挙げられる。この場合、初期状態においては、プルシアンブルー型錯体は円筒状容器に疎に充填されていても、密に充填されていてもよい。プルシアンブルー型錯体は、100℃程度で脱水を起こし、体積減少を伴うため、本発明で必要となる180℃以上の温度範囲では、初期充填状態にくらべ、体積が減っているため、初期状態で密に充填していても、加熱下では疎の状態になっており、適切な放熱が可能になるためである。
容器の運動の方法としては、適切に放熱が生じれば特に制限はないが、回転や振動が利用できる。いずれの場合も、特にその周波数等に制限はないが、回転の場合は、1〜1000回転/分が実際的であり、振動の場合は10〜5000回/分が実際的である。
容器は、運動及び加熱条件下での放熱に問題がなければ、材質に制限はないが、適切な加熱条件で形状の変化しないものである必要がある。例えば、アルミニウム、鉄、ステンレスなどの金属、PEEK、テフロン(登録商標)等の耐熱性樹脂、ガラス等の酸化物、セラミック、またはそれらの複合材が使用できる。形状については、おおむね円筒状であればよく詳細の制限はない。例えば取扱いに必要な突起物などがあってもよく、断面直径も一定である必要はない。大きさについても特に制限はないが、断面直径としては1mm〜3メートルが実際的であり、長さは1cm〜10メートルが実際的である。
本発明において、180〜500℃で加熱することで、水への放射性セシウムの溶出を回避できる理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。プルシアンブルー型錯体は主として鉄及びシアノ基からなる配位高分子であり、加熱により酸化が起こり、シアノ基はそのまま脱離するか酸化により二酸化炭素、窒素等となり、結果として気体として放出される。結果として、鉄が酸化された酸化鉄が主たる成分として含有される。酸化鉄は多形であり、加熱条件等で様々な形態を取るが、その一つにマグネタイトがある。マグネタイトはセシウムを吸着することが知られている材料である。このように、加熱後の酸化鉄の形態を、放射性セシウムを吸着する構造とするよう加熱温度を制御することにより、焼結後のセシウム溶出性を低減させることが可能となる。また、180〜500℃の比較的低温が好ましい理由としては、高温では鉄の酸化が進み、ヘマタイトに相転移することで、セシウムの吸着が困難になるためであると考えられる。
以下に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。
<実施例1>
(金属水酸化物添加による発熱回避)
プルシアンブルーナノ粒子造粒物吸着材を、以下のようにして準備した。
フェロシアン化ナトリウム・10水和物を水に溶解した水溶液(濃度:0.24g/mL)[反応液1]と、硝酸鉄・9水和物を水に溶解した水溶液(濃度:0.54g/mL)[反応液2]を準備し、撹拌部を有する装置の流路内に、反応液1及び反応液2を、それぞれ3.33L/min及び1.67L/minの速度で導入して分散液を得、得られた分散液を、スプレードライヤで乾燥、造粒し、これを水洗・乾燥させて、メジアン50μmの粉末を得た。
該粉末からなる吸着材P202と、水酸化アルミニウムを2:1の割合で計10mgとなるよう混合し、熱重量分析(TG)及び示唆熱分析(DTA)を行った。結果は図1に示すとおり、280℃付近で大きな発熱が発生した。この発熱反応に伴い、熱重量分析装置の制御温度速度を超えて温度が上がった。一方、同様に吸着材と水酸化アルミニウムを1:2の割合で吸着材が5mgとなるように混合し、熱重量分析(TG)及び示唆熱分析(DTA)を行ったところ、図2のようになった。これより、300℃前後の発熱ピークは消失していることがわかる。これは、吸熱剤の添加により、プルシアンブルー型錯体の加熱時に、発熱反応による加熱の加速が避けられることを示している。
<実施例2>
(適切な温度での加熱によるプルシアンブルー型錯体の酸化と、非溶出化)
吸着材P202を12g準備し、89.4mg/Lの濃度でセシウムを純水に溶解させた硝酸セシウム水溶液300mLに添加し、強力しんとう機TS−20で80rpmの条件で60分しんとうしたところ、99.99%のセシウムイオンが吸着された吸着材P203が得られた。このセシウムを吸着させた吸着材P203を電気炉で300℃で10分間加熱したところ、吸着材は黒色に変化した。この加熱後吸着材を純水に固液比1:50の割合で浸漬し、100分しんとうしたところ、セシウムイオンの水への溶出率は0.897%に留まった。
<実施例3>
(金属酸化物添加による温度制御とセシウム非溶出化)
吸着材P202をセシウム濃度が100ppmになるように調整した硝酸セシウム水溶液に固液比1:100で添加し、しんとうすることにより、セシウムを吸着した吸着材を作製した。この場合セシウムの吸着濃度が吸着材全体に対し0.23重量%であった。この吸着材と水酸化マグネシウムを1:2の割合で混合し、電気炉で300℃10分加熱した。加熱前の粉末は青い粉末と白い粉末の混合物であったが、加熱後の粉末は黒い粉末と白い粉末の混合物となった。黒い粉末に磁石を近づけたところ、引きつけられたことから、マグネタイト等の磁性体になっていることがわかった。次に、加熱後粉末を純水に浸漬し純水に溶出するセシウムの重量を誘導結合プラズマ質量分析装置で測定したところ、溶出率は0.44%であった。これにより、金属酸化物を添加しても、プルシアンブルー型錯体は加熱により酸化物に変化し、そのセシウム溶出性も低減出来ることがわかった。
<実施例4>
(吸熱材料を用いず、比較的低温で加熱することにより適切な処理を行う方法)
以下のようにして、吸熱材料等を混合しなくとも、比較的低温で長時間の加熱処理を行うことで、同様の効果を実現することが可能であることを確認した。
セシウムを吸着させた吸着材P203を、熱重量分析装置で、常温から10℃/分の割合で昇熱後、200℃で3時間加熱した際の、(TG)及び示唆熱分析(DTA)の結果を図3に示す。この場合の重量減少は46%であり、207℃付近で多少の温度上昇があったものの、図1に見られるような急激な発熱反応は見られなかった。P203を同様に200℃で3時間加熱した試料を準備し、再度10℃/分で450℃まで加熱したところ、この場合も図1に示すような急激な発熱反応は見られなかった(図4)。このように、比較的低温で長時間にわたり加熱する場合も、発熱反応を起こさない試料への転換が可能である。さらに、加熱後の吸着材0.4gを、50mLの水に浸漬し、100分のしんとうを行った後、水に溶出したCsイオンを測定したところ、溶出量は、吸着材に吸着させたCsの0.31%にとどまった。このように、比較的低温で長時間加熱することによっても、急激な発熱を起こさず、セシウムも水に溶出しない状態に転換することができた。
<実施例5>
(円筒状の容器を用いた加熱)
吸着材P202を、セシウム濃度が500ppmになるように調整した硝酸セシウム水溶液に、固液比1:4で添加し、しんとうすることにより、セシウムを吸着した吸着材を作製した。この場合、セシウムの吸着濃度は、吸着材全体に対し、0.2重量%となる。
この吸着材を直径5mmのガラス管に1g充填し、ビュッヒ製ガラスチューブオーブンB−585を使用し、240℃、30rpmの条件で60分、120分、180分、240分加熱し、試料P501、P502、P503、P504を得た。これらの試料をそれぞれ10mLの純水に浸漬し、2時間しんとうを行った後、3000rpm、10分の条件で遠心分離することにより、固液分離し、得られた上澄み液を0.2μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、Csイオン濃度を測定することにより、溶出率を評価した。溶出率は、P501、P502、P503、P504のそれぞれに対し、0.0092%、0.0244%、0.0354%、0.0994%となり、いずれの場合も0.1%以下の溶出にとどまった。これより、円筒状容器に充填し、回転させることにより、適切な加熱処理が可能なこと、及び加熱処理後の吸着材は、水と接触してもセシウム溶出率は極めて少ないことがわかる。

Claims (7)

  1. 下記式(A)で表されるプルシアンブルー型錯体に放射性セシウムを吸着させた後の処理方法であって、
    前記プルシアンブルー型錯体を、温度を180〜500℃に制御しながら加熱することにより、酸化鉄を主成分とする材料に変化させることにより、保管時の過剰な加熱及び/又はセシウムイオンの水への溶出を防ぐことを特徴とする後処理方法。
    pM[Fe(CN)6]y・zH2O ・・・ (A)
    (式中、Aは陽イオンに由来する原子であり、pは0〜2の数であり、yは0.6以上1.5以下の数であり、zは0.5以上10以下の数であり、Mは、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、亜鉛、ランタン、ユーロピウム、ガドリニウム、ルテチウム、バリウム、ストロンチウム、及びカルシウムからなる群より選ばれる一種または二種以上の金属原子である。)
  2. 前記加熱において、温度制御法として、180〜500℃で吸熱反応を起こす材料を前記プルシアンブルー型錯体に添加することを特徴とする請求項1に記載の後処理方法。
  3. 前記吸熱反応を起こす材料として、金属水酸化物を使用することを特徴とする請求項2に記載の後処理方法。
  4. 前記プルシアンブルー型錯体として、M=Feのプルシアンブルーを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の後処理方法。
  5. 前記金属水酸化物として、水酸化アルミニウム及びその含有物を用いることを特徴とする請求項4に記載の後処理方法。
  6. 前記金属水酸化物として、水酸化マグネシウム及びその含有物を用いることを特徴とする請求項4に記載の後処理方法。
  7. 前記プルシアンブルー型錯体を円筒状の容器に充填し、該容器を運動させながら加熱を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の後処理方法。
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