以下、図示の好適な実施の形態に従って本発明を詳述する。図1は画像形成システムを示し、シート上に画像形成する画像形成装置(ユニット)Aと、画像形成されたシートを部揃え集積して綴じ処理などの後処理を施す後処理装置(ユニット)Bで構成されている。本発明に係わるシート収納装置(ユニット)Cは後処理装置Bに内蔵されている。以下画像形成装置、後処理装置の順に説明する。
[画像形成装置]
図1に示す画像形成装置Aは、図示しないコンピュータ、ネットワークスキャナなどの画像取り扱い装置に連結され、これらの装置から転送された画像データに基づいて指定されたシートに画像を形成して所定の搬出口(後述する排紙口)に搬出する。また、このようなネットワーク構成以外に画像形成装置Aは、複写機、ファクシミリとして構成され、原稿スキャニングユニットで画像読取したデータに基づいてシート上に画像を複写形成する。
このため画像形成装置Aはハウジング1に複数の給紙カセット2が準備され、選択されたサイズのシートをカセットから下流側の給紙経路3に給送する。この給紙経路3には画像形成機構(画像形成部)4が設けられている。画像形成機構4としては、種々のものが知られている。例えばインクジェット印刷機構、静電印刷機構、オフセット印刷機構、シルクスクリーン印刷機構、リボン転写印刷機構などが知られている。本発明はいずれの印刷機構も採用可能である。
画像形成機構4の下流側には排紙経路5が設けられ、ハウジング1に配置した排紙口6(以下本体排紙口という)からシートを搬出する。なお印刷機構によっては排紙経路5に定着ユニット(不図示)が内蔵されている。このように給紙カセット2から選択されたサイズのシートを画像形成部4に送り、画像を形成した後に排紙経路5から本体排紙口6に搬出する。このほか、ハウジング1内にはデュープレックス経路7が配置されている。このデュープレックス経路7は画像形成部4でシートの表面に画像形成した後、このシートを装置内で表裏反転して再び画像形成部4に給送するための経路であり、シート裏面に画像を形成した後に本体排紙口6から搬出する。図示の装置は、本体排紙口6とは異なる搬出口8(図1参照)からシートを一旦ハウジング外部に繰り出した後に装置内にスイッチバック搬送し、これをUターン経路で表裏反転して画像形成部4に再送するようになっている。
前記本体排紙口6には、後述する後処理装置Bが連結されている。また、ハウジング1にはスキャナユニットと、このスキャナユニットに原稿シートを給送する原稿給送ユニットを一体的に組み込む装置構成も知られている。この場合のスキャナユニットは、プラテン上に載置若しくはフィーダ機構から給送した原稿シートを、スキャニングして画像読取し、その読取データを画像形成ユニットに転送する。また、原稿給送ユニットはスキャナユニットのプラテンに原稿シートを給送するフィーダ機構を備える。本発明はこのようなユニットを一体に備える装置構成も採用可能である。
[後処理装置]
図2に示す後処理装置Bはハウジング10と、このハウジング内に内蔵されたシート搬送経路(排紙経路;以下同様)11と、処理トレイ15と、スタックトレイ40で構成されている。以下その構成を説明する。
「シート搬送経路」
シート搬送経路11は前述の画像形成装置Aの本体排紙口6に連なる搬入口12と、排紙口13を備えている。そして搬入口12から画像形成されたシートを装置内に搬入し、排紙口13に搬出する。シート搬送経路11は、本体排紙口6から送られたシートを後述するスタックトレイ40に向けて移送する排紙経路として構成され、搬入口12にはシート先端を検出する搬入センサSe1と、排紙口13にはシート後端を検出する排紙センサSe2が配置され、経路中にはシートを搬送する搬送ローラ14a、14bが適宜間隔に配置されている。各搬送ローラ14a、14bには図示しないローラ駆動モータが連結されている。また、図示のシート搬送経路11はハウジング10を横断する略水平方向に略直線の経路で構成されている。このシート搬送経路11の排紙口13には、その下流側に処理トレイ15と、スタックトレイ40が以下の構成で配置されている。
「処理トレイ」
図2に示すように、処理トレイ15は、排紙口13と段差を形成して、その下流側にシートを積載支持する紙載台16と、この紙載台に配置されたシートの整合手段(不図示)と、後処理手段17で構成されている。図示の紙載台16は排紙口13からバック搬送(排紙反対方向のシート送り)されたシートの後端部を支持する形状に構成されている。そして後述するスタックトレイ40上にシート先端部を支持し、シート後端部を紙載台16に支持(ブリッジ支持)するように構成されている。このようにスタックトレイ40と処理トレイ15を略同一平面に配置し、シートの前半部をその一方のトレイで、後半部を他方のトレイで支持することによって前後にシート全体を支持するトレイを複数配置する場合に比べ装置を小型化することができる。
また、紙載台16にはシート後端を突き当て規制する後端規制ストッパ18と、シートの排紙直交方向を幅寄せ整合する整合機構(不図示)が配置されている。この整合機構はすでに種々の機構が知られているのでその説明を省くが、処理トレイ上に搬入されたシートは、予め設定された基準(センタ基準、サイド基準)に位置決めされる。図示の装置はセンタ基準を示している。
紙載台16には部揃え集積されたシート束を綴じ処理するステープルユニットが後処理手段17として配置されている。ステープルユニットは直線形上のステープル針をコの字状に折り曲げてシート束の上面から下面に刺入し、針斥先端を折り曲げる装置として知られている。このように後処理手段17としては、ステープルユニット、パンチユニット、スタンプユニット、トリマーユニットなどが装置仕様に応じて採用される。
シート搬送経路11の排紙口13には反転ローラ機構20が配置されている。この反転ローラ機構20は排紙口13に送られたシートを排紙方向下流側に搬送し、シート後端が排紙口13を通過した段階で搬送方向を反転する。これによってシートは排紙方向後端側から処理トレイ15の紙載台16に沿って後端規制ストッパ18に案内される。
処理トレイ15には、排紙口13に配置された後述する反転ローラ機構20と協働してシートを後端規制ストッパ18に案内する摩擦回転体19が配置されている。図示の摩擦回転体19は紙載台16上の積載シートに係合する位置に配置されている。この摩擦回転体19は掻込みローラ(ベルトであっても良い)で構成され、排紙ローラ14cと一体に回転するように駆動ベルトで伝動されている。そして自重で積載シートの上に係合している。この掻き込みローラである摩擦回転体19の回転で反転ローラ20からバック搬送されたシートは後端規制ストッパ18に搬送され、突き当て停止する。
「反転ローラ機構」
図3は後処理装置Bの排紙部機構を示す斜視説明図であり、排紙口13から搬送されるシートの幅方向中央に一対の反転ローラ20が配置されている。この反転ローラ20は排紙口13から送られたシートを排紙方向に移送した後、搬送方向を反転させて処理トレイ15に搬入する。図4にその反転ローラ機構20を詳細に示す。同図(a)は反転ローラ20の昇降機構を示し、(b)は上部ローラ21と下部ローラ22のローラ構造を示す。反転ローラ機構20は、排紙口13から送られたシートの上面と係合する上部ローラ21とシート下面と係合する下部ローラ22で構成されている。上部ローラ21は装置フレームFに揺動可能に支持され下部ローラ22に対して圧接した作動位置Apと離間した待機位置Wpとの間で昇降可能に構成されている。これと共に上部ローラ21にはローラ駆動モータ(正逆転モータ)RMの回転が伝達され、排紙方向(図示時計方向)と、排紙反対方向(図示反時計方向)に回転可能になっている。
装置フレームFには、揺動支点23を中心に揺動可能に左右一対のローラブラケット(揺動アーム)24が支持されている。この一対のローラブラケット24にはローラ回転軸25が回転可能に軸受け支持され、この回転軸に上部ローラ21が嵌合されている。揺動支点23は装置フレームに回転可能若しくは固定手段で支持され、この揺動支点23にローラブラケット24が直接若しくはカラー部材を介して嵌合されている。これによってブラケット基端部は揺動支点23を中心に任意の角度方向に揺動可能に支持されている。また、回転支軸23には、カラー部材(回転カラー)が遊嵌され、このカラー部材には上部ローラ21の回転軸25に回転を伝達する駆動プーリ26が連結されている。そして駆動プーリ26にはローラ駆動モータRMが連結されている。
上述のローラブラケット24には、上部ローラ21が下部ローラ22から離間した待機位置Wpと、下部ローラ22に圧接した作動位置Apとの間で上下動する昇降機構が設けられている。その昇降機構を図5に示す。同図(a)に示すように揺動支点23を中心に揺動するローラブラケット24の運動軌跡内に昇降レバー30が配置してある。この昇降レバー30は基端部を回転軸30aに揺動可能に支持されている。この回転軸30aには扇形ギア31が、昇降モータSMに連結されている。そして昇降モータSMの回転で昇降レバー30は所定角度範囲で回転(揺動)するように構成されている。
昇降レバー30の先端部には、作動ピン30bが一体に形成され、ローラブラケット24には作動ピン30bと係合する係合受部(長溝)24xが形成されている。この作動ピン30bと係合受部24xとは、作動ピン30bが係合受部24xと係合する図5(a)のときにはローラブラケット24は待機位置に位置し、作動ピン30bが係合受部24xから離れた状態のときには、ローラブラケット24は、その自重で上部ローラ21が下部ローラ22と圧接した作動位置に位置する。
更に、作動ピン30bが、可動バー28を押下すると加圧スプリング27が緊縮され、そのバネ力が上部ローラ21と下部ローラ22の圧接力としてローラブラケット24に付加される。このように昇降モータSMの角度制御で昇降レバー30を図5(a)の状態から(b)(c)の状態に変位させると、上部ローラ21は下部ローラ22から離間した状態と、低加圧力で圧接した状態と、高加圧力で圧接した状態に変位する。図示29はローラブラケット24に設けたストッパ片であり、可動バー28の揺動運動を上限規制している。
このような構成で、昇降モータSMを所定方向(図5時計方向)に回転すると昇降レバー30は、ローラブラケット24を上部ローラ21が下部ローラ22から離れる方向に上昇させて位置移動する。この状態でローラブラケット24は図示しないストッパに係止されて上昇した待機位置に移動し、モータ、伝動機構などの負荷でその位置に保持される。また、昇降モータSMを反対方向に回転すると昇降レバー30は同図反時計方向に回転し、ローラブラケット24は揺動支点23を中心に自重で降下(落下)する方向に回転し、上部ローラ21が下部ローラ22に圧接する。
このローラ昇降と共にローラ駆動モータRMは上部ローラ21に回転を伝達し、この駆動モータは正逆転可能なモータで構成されている。この場合、上部ローラ21の制御は次の第1と第2の方法を採る。
第1の方法は、上部ローラ21を下部ローラ22に圧接した状態で排紙方向に回転しながら排紙口13からシートを搬送する。ローラニップ間にシート先端が進入するとこのシートは排紙ローラ14cと反転ローラ20の両方から搬送力を受けて排紙方向に送り出される。
次にシート後端が排紙口13から離脱した段階(排紙センサSe2の検知信号の直後)で、上部ローラ21の回転方向を逆転させる。するとシート後端が排紙口13から処理トレイ15に落下するのと同時にシート先端が上部ローラ21でバック搬送される。なお、この排紙方法は、処理トレイ15に最初のシートを搬入するとき(シート同士が擦れ合うことがないとき)の制御として採用される。このときの上部ローラ21と下部ローラ22の圧接力は高加圧力(図5(c)の状態)に設定されている。
第2の方法は、下部ローラ22の上に既に先行するシートが積載されているとき、上部ローラ21を待機位置に保持した状態で排紙口13から搬出されるシートを待つ。シート後端が排紙口13から繰出されたタイミングで上部ローラ21を待機位置Wpから作動位置Apに下降させる。このローラ下降の動作と前後してローラ駆動モータRMを排紙方向と反対方向に回転させる。すると排紙口13から送られたシートはその後端が処理トレイ15に落下し、この後端側を先頭に上部ローラ21から受けた搬送力で後端規制ストッパ18に向かって移送される。このとき上部ローラ21の加圧力は低加圧力に設定されている。
なお、本発明にあって上部ローラ21は揺動支点23を中心にローラブラケット24とは異なる昇降レバー30によって、待機位置、低加圧圧接位置、高加圧圧接位置の間で上下動する構成を説明した。このほか、ローラブラケット24の揺動支軸23にバネクラッチを介在させ、このバネクラッチを介して回転軸(回転カラーなど)を正逆方向に駆動回転する。これによってバネクラッチが緊縮する方向に回転するとローラブラケット24を圧接位置から上昇位置に移動し、バネクラッチが弛緩する方向に回転するとローラブラケット24を上昇位置から圧接位置に下降させることとなる。なおこの場合に圧接加圧力を強弱2段階に調整する場合には、ローラブラケット24をバネ圧で加圧する加圧機構(加圧レバーなど)を付加する。
次に上部ローラ21と下部ローラ22の構成について図4(b)に従って説明する。上部ローラ21は上述したように下部ローラ22と圧接した作動位置Apと、離間した待機位置Wpとの間で位置移動し、作動位置では低加圧状態と高加圧状態に圧接力を調整可能とする。そこで上部ローラ21の構造について説明すると、上部ローラ21は大径ローラ体21aと小径ローラ体21bの組み合わせで構成され、大径・小径のローラ体が1対若しくは2対或いはそれ以上の組合せでシート幅方向に配列されている。図示の大径ローラ体21aと小径ローラ体21bはシートセンタを中心に等距離間隔に小径ローラ体21b、その外側に大径ローラ体21aが配置されている。
このように上部ローラ21はシートセンタを中心に左右対称に大径と小径のローラ体で構成されている。そして大径ローラ体21aは、小径ローラ体21bより外径がΔdだけ大きく、またスポンジ、軟質ゴムなどの軟質部材で構成されている。一方、小径ローラ体21bは大径ローラ体21aよりΔdだけ小さく、合成樹脂などの硬質部材で構成されている。このように異なる外径で構成された上部ローラ21に対し、下部ローラ22は同一外径の比較的硬度に富んだ素材で構成されている。
図6(a)は上部ローラの大径ローラ体21aと下部ローラ22が圧接した状態を示し、同図(b)は上部ローラの小径ローラ体21bと下部ローラ22が圧接した状態を示す。このとき(a)は低加圧状態に(b)は高加圧状態に設定されている。
図6(a)に示すように大径ローラ体21aは、前述の昇降レバー30による加圧力が作用しない低加圧力の設定時には、弾性変形することなく大径ローラ体21aの周面が下部ローラ22の周面と圧接する硬度に設定されている。また図6(b)に示すように昇降レバー30が作用した高加圧力の時には、大径ローラ体21aは、弾性変形して小径ローラ体20bが下部ローラ22と圧接する。なお、前述したように下部ローラ22は、上部ローラ21と対向する位置に配置され、合成樹脂例えばデルリン、ナイロンなどの硬質素材で構成されている。そしてその外径は同一径に形成されている。なお、ここで硬質素材とは上部ローラ21から高加圧力が作用しても大きく弾性変形することなくほぼその外径を維持した状態でシートを搬送する程度の硬さを意味する。
このように大径ローラ体21aと小径ローラ体21bの外径差(Δd)と硬度差は、低加圧力で下部ローラ22に圧接するときには、大径ローラ体21aは弾性変形することなく下部ローラ22と圧接し、小径ローラ体21bは下部ローラ22と間隔(ギャップ)を形成して圧接しないように設定されている(図6(a)の状態)。また、高加圧力で下部ローラ22に圧接するときには大径ローラ体21aは弾性変形して小径ローラ体21bと共に下部ローラ22と圧接する(図6(b)の状態)。
そして同図(a)に示すように大径ローラ体21aが弾性変形することなく下部ローラ22と圧接するときには、接触面積が小さくローラの回転によって付与される搬送力は小さくなる。これは、下部ローラ22の上にシートが積載され、その上に排紙口13からシートが送られ、このシートを上部ローラ21で排紙反対方向に搬送するときには、積載されているシートと搬入されたシートが互いに擦れ合うこととなる。このときローラの圧接力が大きいとシート相互間で画像インクが擦れるインク擦れを引き起こす。これと共にローラ表面に付着したインクなどがシート表面を汚損することとなる。
更に図示の装置は大径ローラ21aが変形することなく下部ローラ22と係合した状態では、シートの搬送方向が同図矢印に示すように紙載台16の紙載面とほぼ同一方向にシートを搬送するようにローラ圧接角度を設定してある。つまり同図に示す角度θaがゼロ若しくはゼロに近い状態に設定してある。これは処理トレイ15に搬入するシートが積載されているシートと擦れ合う程度を軽減するためである。このようなシート相互間の摩擦力の軽減は、上流側の画像形成装置Aで高速に画像を形成した場合、あるいは画像形成インクの特性でインク擦れし易い印刷条件の時に特に有効である。
図6(b)に示す大径ローラ体21aが弾性変形して下部ローラ22と圧接するときには接触面積が大きくローラ回転によってシートに付与される搬送力も大きくなる。これと共に、図示の装置は搬送方向が、紙載台16の紙面から同図角度θbだけ上向き方向に搬送される。
このように上部ローラ21を大径ローラ体21aと小径ローラ体21bで構成し、各ローラに付与する加圧力を高低2段階に変更することによって排紙口13に送られたシートを搬送モードに応じて図6(a)(b)のように搬送メカニズムを変更することが出来る。つまり、排紙口13に送られたシートを、スイッチバック搬送して処理トレイ15に案内するときにはシート相互間のインク擦れを防止し、排紙口13からシートをスタックトレイに搬送するときには、その排紙方向を上向き姿勢で放物線方向にトレイに向けて移送することとなり、トレイ上の紙面の比較的遠方にシートを搬出することができる。
このように反転ローラ20を大径と小径のローラ対で構成したのは次の理由による。反転ローラ20は後述する「第1排紙モード」と「第2排紙モード」で排紙口13に送られたシートをスタックトレイ40と処理トレイ15に選択的に排送する。第1排紙モードでは、排紙口13に送られたシートを1枚ずつ上部ローラ21と下部ローラ22でニップして下流側のスタックトレイ40に給送する。なおこの第1排紙モードは、スタックトレイ上にシートを部毎にジョグ仕分けするジョグ排出と、仕分けることなく搬出するストレート搬出に排紙動作を異ならせる。
従って第1排紙モードではシートが下部ローラ22と上部ローラ21の間に1枚ずつニップされているので、ローラとシートの間に滑りが発生することなくローラの回転で確実に下流側に搬送される。上記第2排紙モードでは、排紙口13から送られたシートは既に積載されている最上シートの上に搬入され、最上シートの紙面上を滑りながら排紙方向に、次いで上部ローラ21で押圧されて排紙反対方向に搬送される。
このように異なる搬送モードでは第1排紙モードのニップ搬送では強い圧接力でシート(後述する束搬出モードではシート束)を、下流側のスタックトレイ40に確実に排紙収納することができる。また、第2排紙モードでは、シート相互間の滑りが避けられず、この場合にシート表面に形成されている画像のインク擦れの恐れがあるので弱い圧接力で、シートを搬送することが望ましい。
さらに、ローラ表面を例えば画像形成インクとの相性(融着性)から、表面コーティングする場合がある。図示のローラはシートをニップして搬送する小径ローラ21bと下部ローラ22の各表面をセラミックコーティング、弗素コーティングなどの表面硬化処理を施している。これによってシート上のインクが不完全定着であってもローラ表面に溶着してインク擦れ、後続シートを汚損する恐れがない。
また、後述する第2排紙モードでは排紙口から送られたシートを紙載台と下部ローラの上に積層上に集積し、その最上シートの上に排紙口から送られたシートを上部ローラで排紙方向、次いで排紙反対方向に給送してスイッチバック搬送する。この上部ローラ21は、紙載台16上に積載されているシートと排紙口13から搬入されたシートを互いに強く擦り合わないように搬送して所定の後処理位置に搬送する必要がある。これはシート相互が擦れ合うときに画像のインク擦れが生ずる恐れと、ローラ表面に付着したインク層がシート面に付着する問題がある。このシート間の画像ズレと汚損を解決するため上部ローラ21を大径ローラで構成することと、スポンジなどの軟質ローラで構成している。これと共にローラ接点をシートが紙載台表面16に沿う方向に移動するようにローラの圧接角度θc(図6(a)参照)を設定している。
これと共に処理トレイ15に搬入されるシートは、大径ローラ21aのみがシート表面に圧接し小径ローラ21bは圧接することなくギャップが形成されている。このためローラとシートとの接触面積は小さく、同時にその加圧力が軽加圧力に設定されているからシート相互間(積載されているシートと搬入されたシート)に発生する静電気は微弱となり静電気が蓄積されて後続するシートの搬送を阻害することもない。
なお処理トレイ15に集積したシート束を綴じ処理した後、反転ローラ機構20で下流側のスタックトレイ40にシート束を搬送する構成を説明したが、このほか反転ローラ機構20と共に処理トレイ15からシート束を搬出するコンベア手段を配置することも可能である。
後端規制ストッパ18は図4に示すようにシート後端を突き当て規制する板状部材で構成され、シート幅方向に1カ所若しくは距離を隔てて複数箇所に配置する。このストッパは、ステープルユニット17などの後処理手段と共にシート後端縁に配置されるから、ステープルユニットをシート幅方向に位置移動可能に構成する場合には、この後端規制ストッパ18もステープルユニット17と連動してシート幅方向に位置移動するように構成する。また、ステープルユニット17をシート幅方向に位置移動することなく固定して配置するときには、このステープルユニットに後端規制ストッパ18を一体形成することも可能である。
[スタックトレイ]
次にスタックトレイについて説明する。図2及び図8に示すようにスタックトレイ40はシート搬送経路11の排紙口13の下流側に配置されている。そしてこの排紙口13の下流側には前述した処理トレイ15が配置され、排紙口13と処理トレイ15の搬出口13の下流側にスタックトレイ40が配置されている。なおここで、排紙口13からは単シートが送り出され、搬出口13からはシート束が送り出され、いずれもスタックトレイ40に収納される。
図示のものは排紙口13と搬出口13は実質的に同一個所に設置されている。これは搬紙口13から送られたシートは直接スタックトレイ40に収納する第1排紙モードと、排紙口13に送られたシートを処理トレイ15に搬送して後処理した後に、その搬出口からスタックトレイ40に収納する第2搬送モードを実行するためである。以下排紙口13と搬出口13を同一符号で説明する。
スタックトレイ40は、トレイ架台41と、紙載トレイ42で構成されている。トレイ架台41は装置フレームFに所定のストロークで上下動するように支持されている。紙載トレイ42はシートを積載収納するトレイ面を有するトレイ形状に構成されている。紙載トレイ42はトレイ架台41に支持されているが、このとき紙載トレイ42はトレイ架台41に対しシート幅方向に所定量ジョグシフトするように後述するジョグシフト機構が設けられている。
「トレイ昇降機構」
図8にスタックトレイ40の昇降機構を示す。装置フレームFには積載方向上下にガイドレール43(図8参照)が配置され、このガイドレール43に、トレイ架台41の連結部(ジョイントプレート)に固定したスライドコロ44が嵌合されている。ガイドレール43は棒状ガイド、チャンネル鋼、H形鋼などで構成され、これにトレイ架台41が摺動可能に嵌合されている。
トレイ架台41は、紙載トレイ42とこれに積載されたシートの荷重を支える強度のフレーム構造に構成され、同様に堅固に構成されたガイドレールに片持支持されている。また、装置フレームFにはガイドレール43の上端部に懸架プーリ45aが、下端部に巻上げプーリ45bが軸固定されている。そして両プーリ間には、例えばワイヤ、歯付ベルトなどの牽引部材45cが懸け渡されている。巻き上げプーリ45bには、巻き上げモータMMが減速機構を介して連結されている。
これと同時にトレイ架台41には、ウエイト軽減用のコイルスプリング46が装置フレームFとの間に架け渡してある。つまりスプリング46の一端(図8下端部)が装置フレームFに固定してあり、他端(図8上端部は)は牽引プーリ47を介してトレイ架台41に固定してある。このスプリング46には初張力が付加してある。従って、紙載トレイ42とこれに積載されたシートはコイルスプリング46の弾性力に応じてその重量が軽減され巻上げモータの負荷トルクが低減される。このほかコイルスプリングの代わりに重錘を吊下げプーリから垂下させるウエイト軽減機構を採用しても良い。
「紙載トレイ」
紙載トレイ42は、上方の排紙口13から送られたシートを積層状に載置する紙載面42aを備えている。この紙載面42aは水平姿勢であっても良いが、所定角度で傾斜している。これは積載したシートを自重で後端側に姿勢修正させるためである。この紙載面42aの傾斜角度は水平線に対しに30度から45度程度が適切である。30度以下のときにはシートの姿勢修正が難しく、45度以上のときにはカールしたシートがトレイ進入時に転倒する恐れが生ずる。紙載トレイ42はトレイ架台41に支持され、ガイドレール43に沿って上下動する。また装置フレームFにはシート後端部を規制する後端規制面48fを有するフェンスプレート48が配置されている。このフェンスプレート48は装置フレームに固定した壁面構造であっても良いが、図示のものは紙載トレイ42がシート幅方向に所定量ジョグシフトする構造のため、この紙載トレイと同時に、フェンスプレート48もジョグシフトするように構成している。その構造は後述する。
[ジョグシフト機構]
次に図9に示すトレイ架台41に支持された紙載トレイ42のジョグシフト機構について説明する。同図において、図面フロント側(前面側)に紙載トレイ42が位置し、リア側(背面側)に装置フレームFが位置している。このようなレイアウトで紙載トレイ42は、フェンスプレート48と凹凸嵌合され、同図左右方向(シート幅方向)に移動可能に結合されている。つまり、紙載トレイ42とフェンスプレート48の一方に凸部が、他方に凹部が形成され、両者が嵌合(アリホゾ嵌合など)され一体化されている。そしてフェンスプレート48にはスライドコロ48aが設けられ、このコロが横ガイドレール49に嵌合支持されている。横ガイドレール49はシート幅方向に装置フレームFに固定されている。
このような構成で、フェンスプレート48か紙載トレイ42のいずれかをシート幅方向に移動すると、両者は同時に同一方向に同一量移動する。図示の装置は装置フレームFにジョグシフトモータGMとこのモータに連結されたカム部材50を配置している。このカム部材50(図示のものはのものは偏心カム)に形成されたカム溝51にカムピン52が嵌合され、このカムピン52はフェンスプレート48に植設され一体化されている。なお上記にジョグシフトモータGMには、その回転軸に、エンコーダ53が配置され、回転角度を制御するようになっている。またこのモータ回転軸には図示しないホームポジションセンサが配置してある。
そこでジョグシフトモータGMを所定角度回転すると、これに連結されたカム部材50が所定角度回転する(図示のものは偏心カム)。そしてカム溝51に嵌合したがカムピン52が、これと一体のフェンスプレート48を所定量シート幅方向に移動する。この移動に伴って紙載トレイ42も同一方向に一体的に移動する。
[紙面レベル検出機構]
上述のスタックトレイ40には、積載紙面の高さ位置を検出するレベル検出機構55と、シート後端サポート機構65が配置されている。レベル検出機構55は、紙載トレイ42上に積載されたシートの最上紙面の高さレベルを検出する。レベル検出機構55は図10にその斜視構成を示すように紙押えユニット56が、紙載トレイ42のトレイ上方から退避した待機位置(図13(a)の状態)とトレイ上の最上シートと係合する作動位置(図13(b)及び(c)の状態)でトレイ内に出没するように構成されている。
つまりレベル検出機構55は、紙載トレイ42に上方の排紙口13からシートが落下して収納されるその軌跡から退避した待機位置に待機し、シートがトレイ上に収納された後にその最上紙面と係合して高さ位置を検出する。この場合、トレイ上に積載されているシートは、カールの影響、シート葉間の空気層、及び後述するステープル綴じ針の影響で、実質の高さより膨らんで高いレベルとなることがあるので、レベル検出機構はシート紙面の加圧手段を備えている。図示の装置はこの加圧手段を紙押えユニット56として以下の構成を備えている。
装置フレームFには揺動回転軸57が軸受支持され、この回転軸に揺動アーム58の基端部が揺動可能に支持されている。そして揺動アーム58の先端部にはローラ回転軸59が軸支持され、この回転軸に摩擦回転体60(紙圧部材60a、60b;以下同様)が固定されている。
揺動回転軸57と揺動アーム58はフェンスプレート48を境にトレイ上方の検出位置とトレイ外方の待機位置との間で摩擦回転体60を揺動させるアーム長さに設定されている。図示の摩擦回転体60は、間隔を隔てて左右一対のローラ体で構成されている。これはローラ対を回転させてトレイ内に収納したシートを、後端が後端規制面48fに突き当てるように掻き込むためである。このため摩擦回転体60には揺動回転軸57に駆動プーリが設けられ、このプーリにローラ駆動モータRM2(図11参照)が伝動ベルト60Vで連結してある。
図11に示すように、搬出口13に設けられた反転ローラ20(その下部ローラ22)の下方に紙押さえユニット56が配置してある。この紙押えユニット56は、搬出口13から最上紙面との間のシート収納軌跡の外側から紙面の上に移動する揺動機構で構成される。図示の機構は、図10に示すように揺動回転軸57を中心に揺動可能な揺動アーム部材58(ローラブラケットなど)と、このアーム部材に回転可能に軸受支持された摩擦回転体60(掻き込みローラ体;以下ローラ体という)で構成されている。図示のローラ体60は間隔を隔ててシート幅方向に間隔を隔てた一対のローラ体60a、60bで構成されている。揺動アーム58の揺動運動で、その先端にマウントされたローラ体60は、後端規制面(フェンスプレート)48fの内側に位置する待機位置(図13(a))から紙載トレイ42の最上紙面に係合する紙面係合位置(検出位置;図13(b)(c))との間で往復動する。
そして揺動回転軸57には、カラー部材を介してプレスレバー61が遊嵌されている。またプレスレバー61には図11に示す紙押えモータKMが連結されている。そしてプレスレバー61には加圧バネ62が固定され、このバネの先端は揺動アーム部材58に係合する位置に配置されている。従って、紙押えモータKMを予め設定された角度範囲で回転すると、プレスレバー61は図13(a)の状態から(b)の状態に回転する。このとき加圧バネのバネ圧は作用しない角度に設定され、紙押えユニット56(ローラ体60と揺動アーム部材58)の自重で最上紙面を押圧する。以下この状態を低加圧状態という。
また、紙押えモータKMを、更に所定角度同一方向に回転すると、プレスレバー61は図13(b)の状態から(c)の状態に回転し、このとき加圧バネは撓んでバネ力が揺動アーム部材58に作用する。するとローラ体60は、その自重にバネ力が付加された状態で最上紙面を押圧する。このときのバネ力は、紙載トレイ42に積載されているシートの膨らみ、盛り上がり、うねりなどを抑える付勢力に設定されている。
また、摩擦回転体60はゴムローラ、樹脂ローラなどで構成され、上述の低加圧状態で最上紙面との係合するときには、このシートを後端規制面48f側に移動するように移送するように搬送力を付与するローラ駆動モータRM2が伝動ベルト60Vで駆動伝達されている。
「センサ構造」
上述のように回転体で構成されている紙押えユニット56は、その揺動回転軸57に、角度検出用のフラグfrが設けてある。図示のものは紙載トレイ42の高さ位置を第1収納高さ位置H1と、第2収納高さ位置H2に設定する関係で、第1フラグfr1と第2フラグfr2と第3フラグfr3が設けてある。これらのフラグfr1、fr2、fr3で、紙載トレイ42の紙面高さが、予め設定した第1収納高さ位置H1に位置するか、第2収納高さ位置H2に位置するか、或いはその上に位置するか、下に位置するかを検出可能にしている。
なお、紙押えユニットとして、揺動アーム58と、これにマウントした摩擦回転体60で構成する場合を示したが、このような構成に限らず、例えば紙押えパットと、このパットを待機位置から検出位置に移動する揺動アームで構成しても良い。
以下スタックトレイ40にシートを収納する排紙モードと、各排紙モードにおけるトレイ高さの位置制御と、その高さ検知方法について説明する。
[排紙モード]
次に、本発明における排紙口13からスタックトレイ40に至るシートの排紙モードについて説明する。後述する制御手段85は、第1排紙モードと第2排紙モードを備える。第1排紙モードは、シート搬送経路11に送られたシートを排紙口13から紙載トレイ42に収納する排紙動作であり、排紙口13から送られたシートを部揃えオフセットすることなく搬出するストレート排紙動作と、排紙口13からシートを部毎にオフセットさせてトレイ上に収納するジョグ排紙動作を選択的に実行する。
また、第2排紙モードは、シート搬送経路11に送られたシートを排紙口13から処理トレイ15に部揃え集積して綴じ処理する。このときシートコーナの1個所をステープル綴じするコーナ綴じ処理と、シート中央部2個所をステープル綴じするセンタ綴じ処理の各動作を選択的に実行する。
そこで後述する制御手段(制御CPU;以下同様)85は、第1排紙モードのストレートの排紙動作及び、ジョグ排紙動作では、スタックトレイ40の最上シート高さを下記の「第1収納高さ位置H1」に設定し、第2排紙モードのコーナ綴じ動作及びセンタ綴じ動作ではスタックトレイ40の最上シート面の高さ位置を下記の「第2収納高さ位置H2」に設定する。
また、制御手段85は、前記第2排紙モードの実行時にはシート搬送経路11の排紙口13に送られたシートを処理トレイ15の綴じ位置に搬送する。このとき制御手段85は、スタックトレイ40の最上シート面を下記の「第1収納高さ位置H1」に位置決めする。
上述の第1第2の高さ位置を図7に従って説明する。「第1収納高さ位置H1」は、排紙口13と紙載トレイ42の最上紙面(最上シート面;以下同様)との間に高低差H1を形成する位置に設定されている。この高低差H1は排紙口13に送られるシートを基準点に、数枚のシートを積載する高さレベル(高低差)に設定する。この高低差H1を高く(大きく)設定すると、収納するシートの姿勢が落差で崩れることがあり、逆にこの高低差を低く(小さく)設定すると、トレイの繰下げ動作を頻繁に実行しなければならない。従って「第1収納高さ位置H1」の高低差は、トレイの繰下げ動作の頻度と、シートの収納整列性から最適値を実験などで設定する。
「第2収納高さ位置H2」は、処理トレイ15から綴じ処理されたシート束を紙載トレイ42の最上シートの上に落下させて収納する。このため搬出口13と最上シート面との間の高低差H2は、処理トレイ上で綴じ処理するシート束の許容最大束厚さHmaxより大きく設定する。この高低差H2は、例えば許容最大束厚さHmax(装置仕様)を基準点に積載量のバラツキ(積載シート間の空気層、波上うねり変形、カールなどの積層シートのバラツキ)を考慮して設定する。特にステープル綴じしたシート束を紙載トレイ42上に積載するとき(後述の第2排紙モード実行時)には綴じ針部が上方に積み重ねられて山盛り上に盛り上がる現象が発生する。このように紙載トレイ42に積載するシート束の紙面が不揃いとなる関係で「第2収納高さ位置H2」は許容最大束厚さHmaxより十分大きい高低差H2に設定してある。
なお、上述の「第2収納高さ位置H2」と処理トレイ15の搬出口13との間には、落下するシート束の後端を支持する後端サポート機構65が後述する構成で配置されている。そこでこの後端サポート部材66と第1収納高さ位置H1と第2収納高さ位置H2との関係を図7に従って説明する。
「第2収納高さ位置H2」は、搬出口13との間に高低差H2を有している。この高低差H2の中間位置にシート束の後端を支持する後端サポート部材66が紙載トレイ42の上方に出没可能に配置されている。この後端サポート部材66には、排紙口13から落下するシート束を支持するサポート面66fが設けられている。そして、搬出口13とサポート面66fとの間の高低差Haは許容最大シート束Hmaxより高く設定されている。これと共に、図示の装置はサポート面66fと、積載最上シート面との間の高低差Hbは許容最大シート束Hmaxより低く設定されている。
つまり、許容最大シート束厚さをHmaxとするとき、H2=Ha+Hb、Ha>Hmax>Hbで、これは搬出口13から落下されたシート束がサポート部材66の上に確実に載置されるようにHaは、許容最大シート束厚さHmaxより大きく(高く)設定してある。また、サポート面66fから積載最上シートの上に落下するシート束は、その落差をできるだけ小さく設定し、落下による衝撃を少なくする配慮がなされている。
なお本発明にあって、スタックトレイ40の高さ位置は、第1第2収納高さ位置(H1、H2)2段階に位置制御する場合を説明した。これは2段階に限らずそれ以上複数段階制御であっても良い。例えば、排紙口13から処理トレイ15にシートを搬入する際のスタックトレイ40の高さ位置は、処理トレイ15の紙載台16と同一平面となる高さ位置に設定しても良い。同様にシート束をスタックトレイ40に落下させて収納する際に、第2収納高さ位置H2より高い第3の第3収納高さ位置で搬出するシート束先端を紙載トレイ面で受け止め、このシート束搬出に合わせて第2収納高さ位置H2に降下させるように第3収納高さ位置を設定することも可能である。
上述の第2収納高さ位置H2に紙載トレイ42を位置決めする方法について説明する。前述したように、第2収納高さ位置H2は搬出口13とサポート面66f(後端サポート部材)との間の高低差Haとサポート面66fとトレイ最上シート面との間の高低差Hbの和に設定されている。つまり(H2=Ha+Hb)であり、「Ha」は設計値として、許容最大シート束厚さHmaxより大きい値に設定されている。また「Hb」は許容最大シート束厚さHmaxより小さい値で以下のように設定される。
紙載トレイ42の高さ位置を、上流側の処理トレイ15に待機しているシート束の束厚さを考慮する第1の高さ位置設定と、この束厚さを規定値に設定する第2の高さ位置設定のいずれかを採用する。
「第1の高さ位置設定」は、サポート面66fと紙載トレイ42上の最上紙面との間の高低差Hbを処理トレイ15上に集積される(或いは集積されている)シート束の束厚さを考慮して設定する。つまり高低差Hbに収納するシート束の束厚さを判別して、この束厚さを基準に高低差を設定する。これは、例えば(高低差Hb)=(収納する予定のシート束厚さ)+(クリアランスギャップ)に設定する。
なお、この場合のシート束の束厚さは、(1)処理トレイ15上に束厚さ検出センサを配置する。この検出センサは、例えば、処理トレイ15上に集積されたシート束の最上シート面と係合する係合片(不図示)の高さ位置をセンサで検出する。この他、(2)シート束の束厚さは、画像形成装置A若しくは排紙センサSe2で処理トレイ15上に搬出されるシートの枚数をカウントし、ジョブ終了信号でトータル枚数に平均的な紙厚さを乗算する。このように(1)又は(2)の何れかの方法でシート束の束厚さを判別することが出来る。
「第2の高さ位置設定」は、サポート面66fと紙載トレイ42上の最上紙面との間の高低差Hbを、予め設定した規定値に設定する。例えば(高低差Hb)=(許容最大シート束厚さ)+(クリアランスギャップ)に設定する。
[高さ位置検出]
上述したように紙押えユニット56には、その揺動回転軸57に、角度検出用のフラグfrが設けてある。第1フラグfr1と第2フラグfr2と第3フラグfr3には、その位置を検出するセンサが第1センサLSe1と第2センサLSe2と第3センサLSe3が装置フレームFに取り付けてある。
図12は、揺動回転軸57の回転角度と各フラグとの関係を示している。この三つのフラグを検出するセンサが第1センサLSe1と第2センサLSe2と第3センサLSe3が装置フレームFに取り付けてある。図12に示すようなセンサとフラグの位置関係において、第1センサLSe1のON/OFFと、第2センサLSe1のON/OFFと、第3センサLSe3のON/OFFで紙載トレイ上に積載されたシートの高さレベルを検出する。
第1センサLSe1=OFFで第2センサLSe2=OFFで第3センサLSe3=OFFのときには、紙押さえユニット56は、待機位置(ホームポジション;図7実線位置)に位置している(このような角度位置にセンサとフラグが配置してある)。また、第1センサLSe1=OFFで第2センサLSe2=ONでときには、第1収納高さより高い位置に位置していることを示している。第1センサLSe1=ONで第2センサLSe2=OFFのときには、第1収納高さより低い位置に位置していることを示している。
同様に第1センサLSe1=ONで第3センサLSe3=ONのときには、第2収納高さ(第2レベル)の適正位置に位置していることを示している。第1センサLSe1=ONで第3センサLSe3=OFFのときには、第2収納高さより高い位置に位置することを示している。第1センサLSe1=OFFで第3センサLSe3=ONのときには、第2収納高さより低い位置に位置することを示している。
なお、紙載トレイ42を第1収納高さ位置H1に設定するときには、前述の第1排紙モードでシートを1枚ずつの紙載トレイ42に収納する場合であり、このときの加圧手段(プレスレバー61)は非作動位置に保持されている。また、紙載トレイ42を第2収納高さ位置H2に設定するときには、後述する第2搬送モードでシート束を処理トレイから紙載トレイ42に収納する場合であり、このときの加圧手段(プレスレバー61)は加圧位置に保持されている。また、摩擦回転体60は、後述する第1排紙モードのときに排紙口13から最上紙面の上に収納したシートの後端を後端規制面48fに突き当てるように回転する。このとき回転体60は、低加圧力(ローラと揺動アームの自重)でシート紙面を押圧している。そして、処理トレイ15からシート束を搬出する第2排紙モードのときには摩擦回転体48には回転力を付与しない状態で単に紙面を押圧(高加圧力)させている。
[シート後端サポート機構]
前述したように図示の後処理装置Bは第1排紙モードと第2排紙モードを備え、第1排紙モードのときには排紙口13と紙載トレイ42の最上紙面との間の高低差を第1収納高さ位置 に設定する。また第2排紙モードのときには搬出口13と紙載トレイ42との高低差H2を第2収納高さ位置(H2;第2レベルHv2)に設定する。この第1高低差は低く、第2高低差は高い位置(高低差H1<高低差H2)に設定してある。
このような排紙条件で、第2排紙モードのとき搬出口13からシート束を紙載トレイ42の最上紙面の上に落下させて収納するとき、その中間位置に落下するシート束の後端部を支持する後端サポート機構を配置してある。以下この後端サポート機構について説明する。
図14は後端サポート機構65の斜視説明図であり、図示構成のサポート機構がシート幅方向に間隔を隔てて左右一対配置してある。この左右のサポート部材は図7にその位置関係が図示され、前述の紙押えユニット56の両側部に配置されている。図14に従ってその一方のサポート機構について説明(他方の機構も同一)する。
後端サポート機構65は、シート支持面66fを有する後端サポート部材66と、このサポート部材を紙載トレイ上方から退避させた待機位置Wpとトレイ上方の作動位置Apとの間で移動可能に支持するスライドガイド部材67(ホルダ部材;以下同様)と、サポート部材を待機位置と作動位置との間で位置移動するレバーシフト手段68で構成されている。
後端サポート部材66は、搬出口13からに落下するシート束の後端部を一時的に支持する。このためサポート部材66は搬出口13と最上シート紙面との間の中間位置に配置され、上方から落下するシート束の後端部を載置支持する支持面66f(サポート面という)を備える。このサポート部材66は、搬出口13と最上シート紙面との間に設定された高さ位置(図7に示す搬出口13との間隔Ha、最上シート紙面との間隔Hb)に配置されている。そして紙載トレイ42上方の作動位置Ap(図7実線)と、トレイ外部に退避した退避位置Wp(図7破線)との間で移動可能にスライドガイド部材67に嵌合支持されている。
スライドガイド部材67は装置フレームFに固定されている。そして搬出口13からシート束搬出する際には、その搬出タイミングに応じて退避位置から作動位置に移動し、その紙載面上に落下するシート束の後端部を紙面上方で支持し、その支持後に作動位置から退避位置に後端移動する。するとサポート面66fの上に支持したシート後端部は、退避位置の後端移動で積載シートの上に収納される。
図示のサポート部材66は、シート幅方向に所定の幅を有する板状レバー部材で構成され、装置フレームFの、フェンスプレート48からトレイ上に進入および後退するようになっている。このサポート部材66は、図7に示すように搬出口13と最上シート紙面との間の高低差H2の中間位置で図示高さHaは許容最大シート束の束厚さmaxhより大きい間隔(Ha>maxh)に設定されている。これと共にサポート面66fと最上シート紙面との間の間隔Hbは、搬出口13とサポート部材66との間隔Haより小さい間隔に設定されている。同時に、このサポート面66fと最上シート紙面との間の間隔Hbを許容最大シート束の束厚さmaxhより小さい間隔に設定すると、サポート面66fに支持したシート後端部をトレイの最上シートの上にソフトランディングさせることができる。
上述のようにサポート部材の高さ位置を設定するのは次の理由による。仮にサポート面が存在しないときにはシート束は搬出口13から高低差(H2=Ha+Hb)で落下する。このときの衝撃で落下するシート束自体と、紙載トレイ42上に積載されている積載シート束が位置ズレ、荷崩れなどその姿勢が乱れる。これに対し、高低差H2の中間位置(Ha)にサポート面66fを存在させると、搬出口13からシート束はまず高低差Haのサポート面に落下し、その次に高低差Hbの積載シート紙面に落下する。これにより、落下の衝撃が緩和され落下するシート束と積載されているシート束の荷崩れを防止することとなる。
そこで図示の装置はサポート部材66を、(1)板状レバー部材で構成すること、(2)サポート部材66をトレイに進入する角度とトレイから後退する角度を異ならせること。(3)サポート部材66の先端をトレイ上のシート束の紙面形状に倣う傾斜面に形成すること。(4)傾斜面に遊動コロを配置すること、を特徴としている。その各構成について説明する。
図14はサポート機構の斜視説明図、図15はサポート機構の組立状態の平面図であり、図16はサポート部材の動作状態を、図17はサポート部材が角度変位する状態を示す。サポート部材66は図14に示すように板状レバー部材で構成され、このレバー部材は装置フレームFに固定されたスライドガイド67(ホルダ部材)に支持されている。図16に示すようにレバー部材66はスライドガイド67に沿って同図の実線の待機位置から同図破線の作動位置に移動する。このためレバー部材には後述するラック69が設けられ、これに噛合するピニオン70にレバー作動モータLMが連結されている。
レバー部材66には板状表面に支持面66f(サポート面)が形成され、背面は傾斜面66kに形成されている。そしてレバー部材66の基端部66aは装置フレームFに形成したスライドガイド67に摺動可能に嵌合支持され、作動位置Apと待機位置Wpとの間で、所定ストロークで往復動するようになっている。
図示のスライドガイド67はレバー部材を設定されたストロークで直線運動させるのと同時に揺動運動させるようにスライドガイドにレバー部材の揺動運動を許容するギャップGaが設けられている。このギャップはGaレバー部材66を図17実線状態(第1角度姿勢;上向き角度姿勢)から破線状態(摩擦姿勢;下向き姿勢)に角度姿勢を異ならせるためである。従ってスライドガイド67とレバー部材66との間のギャップGaを大きく設定すると第1角度αと第2角度βとの角度差は大きく、逆にギャップGaを小さく設定すると角度差は小さくなる。
レバー部材66には背面側(積載紙面に面する下面側)にラック69が形成され、このラック69にレバー作動モータLMに連結した駆動ピニオンが歯車連結されている。レバー作動モータLMは装置フレームにマウントされ、減速ギアを介してフレームに取付けた駆動ピニオン71に連結されている。この駆動ピニオン71には、伝動ピニオン70が遊星歯車として所定角度範囲(γ;図17参照)で遊星運動するようにギアホルダ72に連結されている。つまり図17に示すようにギアホルダ72が駆動ピニオン71の回転支軸71cに回転可能に支持され、このギアホルダ72に伝動ピニオン70が回転可能に軸固定されている。
従って、伝動ピニオン70は駆動ピニオン71から回転を伝達され、その回転をレバー部材66のラック69に伝達する。これと同時に伝動ピニオン70は駆動ピニオン71の外周を遊星歯車として転動する。そしてギアホルダ72にはレバー部材66を第1角度姿勢(図16(a)状態)に付勢する付勢スプリング73が設けてある。この付勢スプリング73は一端をギアホルダ72に他端を装置フレームFに係止している。
上記付勢スプリング73はサポート部材66を常時の第1角度姿勢に付勢している。この付勢スプリング73は、シート束の重さで後端サポート部材66が第1角度姿勢から第2角度姿勢に変位するバネ圧に設定されている。例えば平均的なシートサイズと坪量で平均的な束厚さのシート束後端部が作用するシート重量が付勢スプリング73のバネ圧に勝るようにバネ設計されている。
レバー部材66の先端部には、紙載トレイ42に積載されたシートの紙面に倣う形状(図17に拡大した状態を示すが最上シート後端部の紙面角度とレバー先端部の傾斜面は略平行な角度関係)に形成されている。つまり、レバー部材66の先端部は先鋭形状の傾斜面66kが形成され、その傾斜角度はレバー部材66が第1角度姿勢のときには紙載トレイ42に積載されている最上シートに対し上方に迫り上がる傾斜角度α(図16(a))に設定されている。この状態を図16(a)に示す。これは、レバー部材66が第1角度姿勢でトレイに進入するときには、最上シートがカールしていてもこのシートをレバー進入方向に押し出すことなくレバーの傾斜面に沿って遊動コロ66rに案内するためである。
またレバー部材66が第2角度姿勢でトレイから後退するときには、レバー部材66の傾斜角度β(図16(b))は積載されている最上シートの紙面形状とほぼ同一の角度方向に後退するから、最上シートを後退方向に引き動かす作用が生ずる(この傾斜角度βによってシート束と最上シートとの高低差を最小に設定することが出来る)。このレバー部材66の後退時に最上シートをレバー後退方向に移動すると、シート後端縁は後端規制面48f(フェンスプレート)に突き当たって位置規制される。
板状レバー部材66はシート束の幅方向と同一幅に形成することも可能であるがシート束との接触面積を大きくすると、トレイ上に進入する負荷とトレイから退避する負荷が増大する。これに対しシート束後端を最上シートの紙面上方に係止して保持する機能はレバー部材66の幅にあまり影響を受けない。
つまりトレイ上に進入および後退する際の摩擦負荷と、シート束後端を支持する保持機能と、スペース効率からレバー部材66の幅形状を決定する。この板状レバー部材66は、間隔を隔ててシート束幅方向におけるステープル綴じ位置近傍に左右2個所に配置してある。このようにステープル綴じ位置近傍を支持することでステープル綴じ位置に盛り上がりがある場合にも、シート束とステープル綴じ位置の接触を防ぎ、傷の発生を低減することができるが、用紙幅方向におけるステープル部から離れた位置を支持してもよい。図示のものはシートセンタに前述の紙押えユニット56(摩擦回転体60)が配置され、その両側部に左右一対、同一構造で配置されている。この後端サポート部材66は、板状部材に限らず、シート束の後端部を支持する適宜形状のプレート部材が採用可能であり、また、シート後端縁に沿って二箇所以上、複数の箇所に配置することも可能である。
[後端サポート部材の作用]
図18に従って後端サポート部材66の作用を説明する。同図(a)は、サポート部材66が紙載トレイ42に進入し、上方の搬出口13からシート束が落下する状態を示す。この状態で後端サポート部材66は第1角度α(上向き姿勢)でトレイ42上方に進入する。このときトレイ上の最上シートが上方にカールして反り返っていても傾斜面66kがカールしたシートを遊動コロ66r方向に案内し、シートの姿勢を崩すことなくトレイ上に進入する。
同図(b)は後端サポート部材66のサポート面66fにシート束が落下した状態であり、サポート部材66はシート束の自重で付勢スプリング73に抗して最上シートの上に倒れるように揺動する。このときのサポート面は角度βで第2角度姿勢となる。同図(c)は、サポート部材66を第2角度姿勢で作動位置から待機位置に後退させる状態を示し、このときサポート部材66先端の傾斜面66kと遊動コロ66rはトレイ上に積載されている最上シートを後端規制面48fに突き当てるように引き動かす。
同図(d)は、サポート部材66が、後端規制面48fから待機位置に後退した状態を示し、このとき後端サポート部材66は第2角度姿勢から第1角度姿勢に復帰する。なお、上述のサポート部材66の待機位置と作動位置間の往復動は前述したレバー作動モータLMの正逆転で実行する。
[制御構成]
図1に示す画像形成システムの制御構成について図19に従って説明する。画像形成ユニットAには制御CPU75が設けられ、この制御CPU75には動作プログラムを記憶したROM76と、制御データを記憶したRAM77が接続されている。そして制御CPU75には給紙制御部78と画像形成制御部79と、排紙制御部80が設けられている。これと共に制御CPU75にはモード設定手段81と、入力手段82を備えたコントロールパネル83が接続されている。
また、上記制御CPU75は、「プリントアウトモード」と「ジョグモード」と「後処理モード」を選定するように構成されている。「プリントアウトモード」は画像形成したシートを仕上げ処理することなくスタックトレイ40に収納する。「ジョグモード」は画像形成されたシートを部揃え区分け可能にスタックトレイ40にオフセット収納する。また「後処理モード」は画像形成したシートを部揃え集積し、綴じ処理した後にスタックトレイ40に収納する。
後処理ユニットBには、後処理制御CPU85が設けられ、制御プログラムを記憶したROM86と制御データを記憶したRAM87が接続されている。そしてこの後処理制御CPU85には画像形成ユニットAの制御部からシートサイズ情報と、排紙指示信号と、後処理モードとプリントアウトモードのモード設定コマンドが転送される。
後処理制御CPU85は、排紙動作制御部88と、処理トレイ15にシートを部揃え集積する集積動作制御部89と、綴じ処理制御部90と、スタック制御部91が設けられている。
[動作説明]
上述の画像形成ユニットAの制御CPU75はROM76に記憶された画像形成プログラムに従って以下の画像形成動作を実行する。同様に上述の後処理ユニットBの制御CPU85はROM86に記憶された後処理プログラムに従って以下の後処理動作を実行する。
「画像形成動作」
制御CPU75は、「片面印刷モード」が選択されたときには設定されたサイズのシートを給紙部2から操出し、給紙経路3に給送する。これと前後して制御CPU75は印字部4に所定の画像データに従って画像を形成する。この画像データは図示しないデータ記憶部に記憶されているか、若しくは画像形成ユニットAに連結された外部装置から転送される。
また、制御CPU75は、「両面印刷モード」が選択されたときには、上述の動作を実行してシートの表面側に画像形成した後に、排紙部5に連設されたデュープレックス経路7で表裏反転して再び画像形成部4に給送し、シートの裏面側に画像形成した後に排紙経路5に送る。
次に後処理装置Bの制御CPU85は、本体排紙口6に送られたシートをシート搬送経路11の搬入口12に搬入する。このとき制御CPU85は画像形成装置Aからの排紙指示信号を受け、搬送経路中の搬送ローラ14を排紙方向に回転している。
上述の制御手段(後処理制御CPU)85は、画像形成ユニットAで設定された後処理モードに従ってROM86に内蔵されたプログラムに従って以下のシート排出動作を実行する。図示の制御手段85は、「第1排紙モード(プリントアウト排紙モード)」と、「第2排紙モード(後処理排紙モード)」を備えている。
「第1排紙モード」は搬入口12に送られたシートを搬送経路11からスタックトレイ40に搬出して収納する。つまりシート搬送経路11から送られたシートを排紙口13から反転ローラ21、22で処理トレイ15に搬送することなく直接スタックトレイ40に落下させて収納する。この第1搬送モードはストレート排紙動作とジョグ排紙動作を選択的に実行する。
「ジョグ排紙動作」は搬入口12に送られたシートを搬送経路11からスタックトレイ40に区分けして部揃した状態で収納する。このモードの実行時には前述のジョグシフトモータGMを作動して、紙載トレイ42を所定量シート幅方向にカム部材50でフェンスプレート48と一体に移動する。これによって紙載トレイ42上には一連のシートが幅方向に部揃い集積される。そして制御手段85は画像形成装置Aからのジョブ終了信号で紙載トレイ42を初期位置に復帰移動する。次いで制御手段85は後続するシートの画像形成信号と排紙指示信号を受けると、紙載トレイ42を先と反対方向に所定量移動する。
「第2排紙モード」は搬入口12に送られたシートをシート搬送経路11から処理トレイ15に集積し、綴じ処理してスタックトレイ40に収納する。このモードにおける排紙動作は先に説明したとおりである。
「排紙動作」
図20はジョグ排紙動作のフローを示す。なお、前述の紙押えユニット56は、紙載トレイ42の最上シートの上に係合して押圧する状態で上方の排紙口13から落下するシートを摩擦回転体19で後端規制面48fに沿わせるように掻き込む(実施形態1)。または、紙押えユニット56をトレイ外部の待機位置に待機させた状態で排紙口13からシートを落下させて収納し、後続シートが搬入するインターバル間で紙押えユニット56を最上シートの上に係合させてシートを押圧するのと同時に高さレベルを検出する(実施形態2)のいずれかの動作手順を選択して実行する。
図20は、前者の紙押えユニット56を紙載トレイ15上の最上シートの上に係合させた状態で、このユニットの摩擦回転体の上に排紙口13からシートを落下させて収納する紙押さえ制御を示している。
画像形成装置Aでジョグ排紙動作に設定されと、後処理装置Bの制御手段85は紙載トレイ42を予め設定されたジョグ位置にオフセット移動する。この移動はジョグシフトモータGMを所定量回転してカム部材50で紙載トレイ42とフェンスプレート48をシート幅方向に移動する。
次いで制御手段85は紙載トレイ42を第1収納高さ位置H1に位置移動する。このトレイ高さは紙押えユニット56の高さ位置を第1〜第3センサLSe1〜LSe3で検出し、巻き上げモータMMの回転量で制御する。
制御手段85はこのトレイ高さ位置設定の後に、紙押えユニット56をトレイ外部の待機位置からトレイ内部の作動位置に位置移動する。この動作は前述した紙押さえモータKMの回転角度調整と、フラグfr1、fr2、fr3を位置検出する第1〜第3センサLSe1〜LSe3でおこなう。なお、第1収納高さ位置H1に設定されている紙押さえユニット56は図13(b)に示すように摩擦回転体60が積載シート面を押圧する加圧力は、第2収納高さ位置H2に設定されている図13(c)より低い加圧力に設定されている。つまり図示構成では前者は加圧バネ62が作用しない状態であり、後者は加圧バネ62が作用する状態となっている。
次に排紙センサSe2がシート先端を検知すると所定時間後に反転ローラ20を待機位置Wpから作動位置Apに移動する。このとき昇降レバー30を加圧位置に昇降モータSMでシフトする。すると反転ローラ20は、上部ローラ21と下部ローラ22が高加圧力で圧接し、大径ローラ21aと小径ローラ21bは下部ローラ22に圧接する。この状態で上部ローラ21を排紙方向に回転すると、排紙口13からシートは紙載トレイ42に向かって搬出される。
次に制御手段85は画像形成装置Aからジョブ終了信号を受信すると、ジョグシフトモータGMを先と反対方向に回転させる。すると紙載トレイ42は所定の初期位置に復帰する。次ジョブの排紙指示信号が送られると紙押えユニット56のフラグ位置を前述の第1〜第3センサLSeでトレイ高さを検出する。なお、紙押えユニット56は、ジョブ終了信号で検出位置から待機位置に復帰させる。
後続するシートは先のシートと排紙直交方向に所定量オフセットされた状態で収納され、部毎に区分けされる。このような排紙動作の過程で紙載トレイ42上のシートがオペレータによって不用意に取り外されることがある。
図20(b)は、トレイ上のシートが不用意に取り外されたときの動作を示す。制御手段85は不用意なシート取り外しにかかわらず排紙動作を続行する。そして所定のタイミングでトレイ高さを検出する。この検出動作でトレイ紙面が所定の高さ位置より低いと制御手段は巻き上げモータMMを駆動してトレイ42を所定の高さ位置に移動する。
このトレイの上昇移動中に、画像形成装置Aからジョグシフト指示信号を受信すると制御手段85は、トレイの上昇動作を停止するか、若しくはトレイ上昇動作と並行して紙載トレイ42を所定のオフセット位置に位置移動する。そして制御手段85は紙載トレイ42が所定のオフセット位置に移動した後にトレイの上昇動作を再開する。
次に画像形成装置Aの後処理モード選定ステップで、第1排紙モードでストレート排紙動作が選定されたときの動作を図21に従って説明する。「ストレート排紙動作」にモード選択されたときには図21に従って動作する。後処理装置Bの制御手段85は、画像形成装置Aから、その排紙指示信号を受けると紙載トレイ42の最上シート面高さを第1収納高さ位置H1に移動する。このトレイ昇降動作の後に制御手段85は紙押えユニット56を待機状態から低加圧状態に移動する。そして、排紙センサSe2がシート先端を検出した信号を基準に反転ローラ20を離間状態から圧接状態に移動する。この動作はシート先端がローラ位置に到達したタイミングで上部ローラ21を下部ローラ22に降下させ両ローラを圧接する。このときのローラ圧接力は高加圧力に設定され、排紙口13に送られたシートは上部ローラ21と下部ローラ22間にニップされ下流側の紙載トレイ42に向けて搬出される。
これと共に制御手段85は、紙押えユニット56の摩擦回転体60を所定方向に回転する。(図2時計方向)に回転する。この動作でシートは排紙口13からスタックトレイ40に搬送される、シート後端が排紙口13を通過した後に紙載トレイ42の上に落下する。このシート先端は紙載トレイ42上に積載されている最上シートの上に支持され、シート後端は摩擦回転体60の上に落下する。このとき摩擦回転体60は、図2反時計方向に回転しているからシート後端側はローラ周面に沿って積載されているシートの上に掻き込まれ、その上に重ねられる。そしてこのシート後端縁は後端規制面48fに突き当て整合される。
このような動作の連続で紙載トレイ上に予め設定してある排紙回数シートが収納されると、制御手段85は、紙押えユニット56の高さ位置を検出する。そして検出した高さ位置に従って紙載トレイ42を所定量降下させる。このような動作後に画像形成装置Aからジョブ終了信号を得ると紙押えユニット56を待機位置に後退させてその処理を終える。
「ステープル綴じ」
次に画像形成装置Aの後処理モード選定ステップで第2排紙モードが選定されたときの動作を図22に従って説明する。画像形成装置Aでステープル綴じが後処理モードとして選択された(St01)とき、図示の装置は「センタ2ヶ所綴じ」と「コーナ1ヶ所綴じ」のいずれかを選択して実行するように構成されている(St02)。
「センタ2個所綴じ」
前述のステープルユニット17(後処理手段;以下同様)は、処理トレイ15(トレイ手段;以下同様)の端縁にシート幅方向に移動可能となるように装置フレームにマウントされている。このユニットには図示しないステープルシフトモータが連結され、単一のステープルユニットを移動して第1の綴じ動作、次いで第2の綴じ動作の順にシートセンタを基準に等間隔に実行する。以下この動作を単に綴じ動作という。
そこで制御手段85は、画像形成装置Aからジョブエンド信号を受信すると、処理トレイ15上のシート束を幅寄せ整合した後にステープルユニット17に綴じ処理コマンドを発信する。この信号を受けてステープルユニット17は処理トレイ上のシート束に綴じ処理を施す。
次いで制御手段85は、ステープルユニット17から処理エンド信号を受信すると処理トレイ15上のシート束を下流側のスタックトレイ40に向けて搬出する。この動作を実行する前に制御手段85は、シート束の排紙方向長さ(サイズ)を比較する(St03)。これは、トレイの高さ位置を第2収納高さ位置H2に設定するか、または第2収納高さ位置H2より高い位置(図示の装置は第1収納高さ位置H1)に設定するか判別する為である。
つまり図示の装置はシート束の排紙方向長さを基準に所定長さ以上のシート束のときにはトレイ高さを第2収納高さ位置H2に設定して排紙開始から終了までの排紙動作を実行させる。また、所定長さ以下のシート束のときには排紙初期には第1収納高さ位置H1に設定し排紙終了時には第2収納高さ位置H2に設定する。これは長さの短いシートを高い高低差のトレイ上に落下させて収納しようとするとシートが転倒して収納されるのを防止するためである。
「所定サイズ以下のとき」制御手段85は、処理トレイ15で綴じ処理されたシート束の排紙方向長さが所定サイズ以下のときには、第2収納高さ位置H2に設定するトレイ高さを、第1収納高さ位置H1次いで第2収納高さ位置H2にシート搬出に応じて2段階に高さ設定する。制御手段85はステープルユニット17の処理エンド信号を受けて紙載トレイ42を前述の第1収納高さ位置に位置決めする(St04)。
次に制御手段85はトレイ位置を第1収納高さ位置H1に上昇させた直後に前述の紙押えユニット56を待機位置からトレイ上方の検出位置に所定角度揺動運動させる(St05;パンチング動作)。この動作は図13(a)の状態から同図(b)の状態に待機位置から検出位置に移動することによってトレイ上に積載されているシートの端縁を紙押ユニット56(図示のものは摩擦回転体60)でパンチングして、シート後端部を規制面からトレイ側に押し出すためであり、トレイを昇降する動作中にシート端縁が後端規制面48fに引っ掛かるのを防止するためである。
なお、上述のパンチング動作は紙載トレイ42を段階的に繰り下げ下降する全てのシートサイズについて実行する必要はなく、所定のサイズ、例えば短冊状のシートサイズであるなど比較的極小サイズのシートについてその動作が必要となる。
このように制御手段85は処理トレイ15からスタックトレイ40に移送されるシート束の搬送方向長さが所定サイズ以下のときには、スタックトレイの高さ位置を第1収納位置H1、次いで第2収納高さ位置H2にシートの搬出タイミングに合わせて2段階にトレイ高さを下降する(St06、St07)。
次に制御手段85は紙載トレイ42の高さを第2収納高さ位置H2に設定した後に後端サポート部材66を待機位置から紙載トレイ42の上方に進入させる(St08)。次にシート束が後端サポート部材66の上に落下すると、後端サポート部材66は第1角度姿勢から第2角度姿勢に偏向する(St09)。次に制御手段85は、後端サポート部材66をトレイ上の作動位置からトレイ外部の待機位置に後退移動する(St10)。これによって搬出口13から落下したシート束は紙載トレイ42の最上シートの上に収納される。
次に制御手段85は紙押えユニット56を待機位置から紙載トレイ42上の最上シートの上に移動する。このときの加圧力は、高加圧力に設定され紙押えユニットの摩擦回転体60は高加圧力でシート束を圧接する(St23)。そこで制御手段85は紙押えユニット56の高さ位置を第1第3フラグfr1〜fr3と第1第3センサLSe1〜LSe3で検出する(St24)。この高さ位置検出後に制御手段85は紙押えユニット56を待機位置に移動し(St25)、これと前後して紙載トレイ42を所定量下降させる。
「所定サイズ以上のとき」
制御手段85は、処理トレイ15で綴じ処理されたシート束の排紙方向長さが所定サイズ以上のときには、紙載トレイ42の高さを第2収納高さ位置H2に設定する(St11)。このトレイ高さの設定後に制御手段85は、後端サポート部材66を待機位置から紙載トレイ42の上方に進入させる(St12)。次にシート束が後端サポート部材66の上に落下すると、後端サポート部材66は第1角度姿勢から第2角度姿勢に偏向する(St13)。次に制御手段85は、後端サポート部材66をトレイ上の作動位置からトレイ外部の待機位置に後退移動する(St14)。これによって搬出口13から落下したシート束は紙載トレイ42の最上シートの上に収納される。
次に制御手段85は紙押えユニット56を待機位置から紙載トレイ42上の最上シートの上に移動する。このときの加圧力は、高加圧力に設定され紙押えユニットの摩擦回転体60は高加圧力でシート束を圧接する(St23)。そこで制御手段85は紙押えユニット56の高さ位置を第1第3フラグfr1〜fr3と第1第3センサLSe1〜LSe3で検出する(St24)。この高さ位置検出後に制御手段85は紙押えユニット56を待機位置に移動し(St25)、これと前後して紙載トレイ42を所定量下降させる。
「コーナ1ヶ所綴じ」
制御手段85は、画像形成装置Aからのモード設定信号で、第2排紙モードとコーナ1個所綴じ動作に指定されると、以下の動作を実行する。
制御手段85は画像形成装置Aからジョブエンド信号を受信すると、処理トレイ15上のシート束を幅寄せ整合した後に、ステープルユニット17を綴じ位置(シートコーナ)に移動し、ステープル動作を実行させる。このユニットから処理エンド信号を受信すると制御手段85は処理トレイ15上のシート束を下流側のスタックトレイ40に向けて搬出する。
このシート束の搬出動作の前に制御手段85は紙載トレイ42を第2収納高さ位置H2に移動する(St15)。そして制御手段85は、紙押えユニット56を待機位置からトレイ上の最上シートの上(検出位置)に移動する。このときの加圧力は高加圧力に設定され、摩擦回転体60には回転力が付与されていない(St16)。
次いで制御手段85は、反転ローラ20を排紙方向に回転させてシート束をその先端からトレイ上の最上シートの上に滑らせながら搬出する(St17)。このときにトレイ上に、積載されているシート層(収納済みシート束)は、紙押えユニット56で押圧されているから搬出口13から搬入されたシートの搬送力によって積載されているシートが位置移動することがない。特に紙載トレイ上にコーナ綴じされたシート束が存在するときこのシート束のうえに処理トレイ15からシート束が強い摩擦係合力で押し出されると綴じ針端部が引きちぎられることがある。このときこの最上シート束は紙押えユニット56で押圧されて支持されている(St20)からこのような不具合が発生することがない。
次に制御手段85は、紙押えユニット56の高さ位置を第1第3フラグfr1〜fr3と第1第3センサLSe1〜LSe3で検出する(St21)。この高さ位置検出後に制御手段85は紙押えユニット56を待機位置に移動し(St22)、これと前後して紙載トレイ42を所定量下降させる。