JP2014043600A - 成膜方法 - Google Patents

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吉田  隆
Masahiro Matsumoto
昌弘 松本
Noriaki Tani
典明 谷
Susumu Ikeda
進 池田
Masashi Kubo
昌司 久保
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Abstract

【課題】有機層の膜厚設定を厳密に行う。
【解決手段】無機層3上にフッ素含有樹脂からなる有機層4を形成する成膜方法であって、
蒸着された有機物膜厚を測定する膜厚測定工程S04と、
測定した膜厚の結果から、前記蒸着膜形成工程の条件を修正するようにフィードバックするパラメータを判定する判定工程S05と、
を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、成膜方法に用いて好適な技術に関する。
現在、携帯端末などの各種端末では、人体が直接パネル表面に接触して操作するタッチパネルが多く用いられている。このタッチパネルの表面は、人体が直接パネル表面に接触することから、傷や汚れがつきやすいので防汚層(有機層)が設けられている。
防汚層としては、フッ素系樹脂が用いられていることが多い。このようなフッ素系樹脂からなる膜の形成方法としては、真空蒸着法が知られている(例えば特許文献1)。
特開2010−106344号公報
しかし、特許文献1によれば、真空蒸着法により、効率的に膜質の優れた膜を形成することが可能であるが、数nmといった極めて薄い膜厚を有するために、膜質を維持するためには膜厚の均一性を維持することが重要であり、このため、防汚層となる有機層を仕様とされる所定の膜厚より厚めに形成するとともに、その後に除去する工程が必要となっていた。
このため作業時間が増大し工数が増えるとともに有機層材料におけるムダが発生するので、これらの製造コストを削減したいという要求があった。
また、複数枚を1バッチとして処理した際、バッチごとの膜厚にばらつきが発生する可能性があり、このような膜特性の低下に直結する膜厚ばらつきを防止したいという要求があった。
また、防汚層(有機層)を形成した後に、恒温恒湿雰囲気とする恒温恒湿処理をおこなう場合には、膜特性を維持することは比較的容易であるが処理時間がかかるため、これを短縮したいという要求があった。
ただし、このような場合でも、防汚層とその下層との間の密着性が使用状態により低下する、あるいは、摺動特性といった膜特性を低下させないようにする必要がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.有機層の除去工程を削減し、製造コストの削減を図ること。
2.防汚層となる有機層を形成する膜厚を所定の範囲とするように図ること。
3.複数枚のパネル(基板)を同時に処理した場合でも、膜厚のばらつきを抑えること。
4.バッチ間の膜厚ばらつきを抑制すること。
本発明の成膜方法は、被処理基板にフッ素含有樹脂からなる有機層を形成する成膜方法であって、
前記有機層を蒸着膜として形成する蒸着膜形成工程と、
前記蒸着膜の安定化・固定化を図るための仕上げ処理工程と、
を有することにより上記課題を解決した。
本発明は、上記の成膜方法であって、
前記被処理基板に予め無機層が形成されていることができる。
本発明は、上記の成膜方法であって、
前記有機層を形成する前に、プラズマを前記無機層上に曝すことができる。
本発明は、上記の成膜方法であって、
前記無機層を形成する際に、反応性ガスとして水蒸気を用いた反応性スパッタリングを行って被処理基板上に無機層を形成する絶縁層形成工程と、
を更に含むことができる。
本発明の成膜方法は、前記仕上げ処理工程が、恒温恒湿処理とされることができる。
本発明の成膜方法は、前記仕上げ処理工程には、余分な蒸着材を除去する除去工程を含有することも可能である。
本発明の成膜方法は、前記仕上げ処理工程における除去工程が、加熱処理とされることができる。
本発明の成膜方法は、被処理基板にフッ素含有樹脂からなる有機層を形成する成膜方法であって、
前記有機層を蒸着膜として形成する蒸着膜形成工程と、
前記蒸着膜の安定化・固定化を図るための仕上げ処理工程と、
を有することにより、処理時間を大幅に短縮できるとともに、蒸着膜の膜厚をねらい膜厚程度に形成して仕上げ処理を行うことだけで、膜特性を向上することが可能となる。
本発明は、上記の成膜方法であって、前記被処理基板に予め無機層が形成されていることができる。
本発明は、上記の成膜方法であって、前記有機層を形成する前に、プラズマを前記無機層上に曝すことができる。
本発明は、上記の成膜方法であって、前記無機層を形成する際に、反応性ガスとして水蒸気を用いた反応性スパッタリングを行って被処理基板上に無機層を形成する絶縁層形成工程と、を更に含むことができる。
本発明の成膜方法は、被処理基板に成膜された無機物からなる無機層上にフッ素含有樹脂からなる有機層を形成する成膜方法であって、
前記無機層を形成する際に、反応性ガスとして水蒸気を用いた反応性スパッタリングを行って被処理基板上に無機層を形成する絶縁層形成工程と、
次いで該無機層上に前記有機層を蒸着膜として形成する蒸着膜形成工程と、
前記蒸着膜の安定化・固定化を図るための仕上げ処理工程と、
を有することにより、処理時間を大幅に短縮できるとともに、蒸着膜の膜厚をねらい膜厚程度に形成して仕上げ処理を行うことだけで、膜特性を向上することが可能となる。
本発明の成膜方法は、蒸着膜の安定化・固定化を図るための仕上げ処理工程を有することにより、有機層の膜厚のばらつき発生を防止することができる。
なお、仕上げ処理工程においては、蒸着した有機材料が無機層と強固に結び付くための処理をおこなうものであり、この仕上げ処理工程において加水分解(脱アルコール)反応、脱水縮合反応により強固なシロキサン結合(Si−O−Si)を形成したことが、例えばFTIRスペクトルの観察によって確認できる。
本発明の成膜方法は、仕上げ処理における除去工程として加熱処理を行うことで、極めて短時間に膜特性を向上することが可能になる。
本発明によれば、有機層の除去工程を削減し、製造コストの削減を図りつつ、防汚層となる有機層を形成する膜厚を所定の範囲に納め、複数枚のパネル(基板)を同時に処理した場合でも、膜厚のばらつきを抑えて。かつ、バッチ間の膜厚ばらつきを抑制することができるという効果を奏することができる。
本発明に係る成膜方法の第1実施形態にかかる成膜方法で得られた積層構造を示す模式的断面図である。 本発明に係る成膜方法の第1実施形態を示すフローチャートである。 本発明に係る成膜方法の第1実施形態にかかる成膜装置の概略構成を示す模式図である。 本発明に係る成膜方法の第1実施形態における防汚膜形成を示す模式図である。 本発明に係る成膜方法の第2実施形態にかかる成膜方法で得られた積層構造を示す模式的断面図である。 本発明に係る成膜方法の第3実施形態にかかる成膜装置の概略構成を示す模式図である。
以下、本発明に係る成膜方法の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における成膜方法で得られた積層構造を示す模式的断面図であり、図において、符号1は、積層構造である。
本実施形態の積層構造1は、透明基板2と、透明基板2上に成膜された無機層3と、無機層3上に積層された防汚層4とからなる。
透明基板2は、一方面側(無機層3とは逆側)に収容された素子を保護してタッチパネルを構成するものである。このような透明基板2の材料としては、例えば、透明樹脂フィルム又はガラス等が挙げられる。本実施形態ではガラスからなる。なお、本実施形態における透明基板2は、透過率が100%のものに限定されず、いわゆる半透明も含むものである。
無機層3は、防汚層4と透明基板2との密着性を向上させるためのものである。詳しくは後述するが、この無機層3は成膜時に水蒸気を用いた反応性スパッタリングなどで形成することで防汚層4との密着性を高めたものである。密着層3の表面をプラズマ処理工程によりクリーニングすることでエッチング状態としている。このため、防汚層4との密着性を従来よりも高めることができる。
無機層3は、無機材料から形成される。無機材料としては、Si、Al、Ta、Nb、Ti、Zr、Sn、Zn、Mg及びInから選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物、酸化窒化物、窒化物が挙げられる。これらのうち、酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム等が好ましく、これらの1種を単独で、或いは、これらを任意に混合して使用することができる。なお、本実施形態では、無機層3は、特に好ましい透過率を有するSi0膜からなる。
無機層3の厚みは1〜1000nm、好ましくは5〜150nmの範囲で適宜設定することができる。無機眉3の厚みが上記の範囲未満であると、密着性を発現することができず、また、無機層3の厚みが上記の範囲を超えると、逆に応力等によるクラックが生じ易くなるとともに、成膜に要する時間が長くなり好ましくない。
防汚層4は、フッ素を含む有機層であり、この防汚層4が形成されていることで、例えば人体が接触したことでできる傷や指紋などからタッチバネ/レの表面を保護するものである。防汚層4を構成するフッ素系樹脂とは、高分子主鎖が、例えば、CF=,−CF−,−CFH一等の繰り返し単位を有するものが挙げられ、本実施形態では、直鎖構造のパーフルオロボリエーテル基を有するものを用いている。また、本実施形態における防汚層4を構成するフッ素系樹脂は、この高分子主鎖の末端にケイ素康子を有するものであり、高分子主鎖末端に位置するケイ素原子には、アルコキシ基が酸素−ケイ素結合により付加されている。
防汚層4の膜厚としては、特に制限するものではないが、0.5nm〜5μmの範囲で適宜設定することができる。0.5μm未満であると、充分な汚れ付着防止機能を発現することが困難となり、また、5μmを超えると、光透過率の低下等が生じるからである。
かかる積層構造1は、以下のようにして形成される。
初めに、ガラス基板である透明基板2上に、無機層3を形成する。このような無機層3の成膜方法としては、例えば、CVD法、プラズマCVD法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが挙げられ、スパッタリング法としては、さらに、ECRスパッタリング鋲、反応性スパッタリング法、バイアススパッタリング法、直交電磁界型スパッタリング法等が挙げられる。本実施形態では、反応性スパッタリング法により形成する。
反応性スパッタリングによる成膜条件としては、スパッタリングターゲット:Siターゲット、不活性ガス:Ar、反応性ガス:水蒸気(HO)、Arガス流量:10〜200sccm(30sccm)、水蒸気流量:100〜400sccm(300sccm)、投入パワー:1〜12kW(8kW)である。なお、不活性ガスとしては、スパッタリングにおいて通常用いることができる不活性ガス、例えばHe、Ne、等を用いてもよい。また、スパッタリングの前にOアッシングなどの前処理をおこなうこともできる。
このように本実施形態では無機層3を反応性ガスとして水蒸気を用いた反応性スパッタリング法により形成することで、無機眉3の表面に水蒸気に含有される0Hが結合する。このように無機層3の表面に0Hが結合することで防汚層4との密着性が向上する。即ち、無機層3上に防汚層4を形成した場合に、防汚層4のフッ素樹脂を構成する高分子主鎖末端に位置するケイ素原子には、アルコキシ基が酸素−ケイ素結合により付加されているが、このアルコキシ基が加水分解されることによりヒドロキシル基となる。そして、このヒドロキシル基と、この無機眉3表面の0Hとが脱水縮合反応してシロキサン結合を作る。このようにシロキサン結合を作ることで、より無機層3と防汚層4とが強固に結びつき、密着性を向上させることができる。
この場合、無機層3の表面に0Hを結合させるには、水蒸気を用いれば、簡易に、かつ、安価に処理を行うことができて好ましい。
例えば反応性ガスとして酸素を用いた反応性スパッタリングを行って酸化シリコン層を形成した後に、酸化シリコン層の表面に0Hを結合させた場合にも同様の効果を得ることができるが、本実施形態のように反応性ガスとして水蒸気を用いた反応性スパッタリングを行って無機層3を形成することで、工程を一つ少なくすることができ、タクトタイムを減少させることができる。
本実施形態では、水蒸気のみを反応性ガスとして用いて反応性スパッタリングを行っているが、さらに他の反応性ガスを導入することも可能である。他の反応性ガスとしては、酸素等の0含有ガスや、水素等のH含有ガスである。
その後、この無機層3上に防汚層4を形成する。防汚層4の形成方法としては、塗布法、蒸着法等が挙げられるが、本実施形態では蒸着法を用いている。
蒸着法としては、真空蒸着艶、イオンビーム蒸着鞍、抵抗加熱蒸着法が挙げられるが、本実施形態では所定の圧力状態で蒸着源を加熱して蒸着を行う抵抗加熱蒸着法を用いている。所定の圧力状態とは、1×10−4〜1×10−2paである。本実施形態では、2×10−3〜4×10−4paとなるように保持しながら、加熱手段により220℃まで蒸着源としての商品名オプツールDSX(ダイキン工業株式会社製)を加熱して、厚さ2〜4nm(2nm)の蒸着膜を形成している。
形成された蒸着膜の膜厚を測定する。具体的には、測定光を照射し、エリプソメータ等とされる測定系によって反射光を測定して、表面で光が反射するときの偏光状態の変化(入射と反射)を観測し、そこから物質に関する情報を求めるエリプソメトリー法など、非接触の光学系測定方式が好ましい。
この測定結果により、判定工程として、蒸着源の供給量と加熱手段の加熱状態へのフィードバックを行って、蒸着層の膜厚制御を行う。具体的には、所定の範囲とされる許容値に対して、測定膜厚が少なかった場合には、蒸着量を増加するように蒸着源の供給量を増加するか加熱手段の設定温度を上昇させ、測定膜厚が厚かった場合には、蒸着量を減少するように蒸着源の供給量を減少させるか加熱手段の設定温度を下降させるといった制御を行う。
この後、仕上げ工程として、蒸着膜の安定化・固定化を図るために、恒温恒湿処理、または、仕上げ加熱処理を行う。
ここで、恒温恒湿処理としては、処理温度40℃程度、湿度80%程度で2時間程度の処理条件とすることができ、さらに、仕上げ加熱処理としては170℃程度、4分程度の処理条件とすることができる。
本実施形態におけるタッチパネル最表面のカバーグラスとされる積層構造1は、図2に示すように、準備したカバーガラスとなるガラス基板2にOアッシング等をおこなう前処理工程S01と、スパッタリング法によりSi0膜からなる無機層3を形成するSiOスパッタ工程およびOH基を表面に形成する水蒸気スパッタ工程とされる無機層形成工程S02と、防汚層形成工程として、防汚層4となるフッ素系樹脂からなる蒸着膜を形成する蒸着膜形成工程S03と、蒸着された有機物膜厚を測定する膜厚測定工程S04と、測定した膜厚の結果から、蒸着膜形成工程S03の条件を修正するようにフィードバックするかどうかを判定し、次のバッチあるいは、数回後のバッチにおける蒸着条件を制御する判定工程S05と、蒸着膜の安定化・固定化を図るための仕上げ処理工程S06とを有する製造方法により製造される。
次に、本実施形態にかかる成膜装置について、図3に基づいて説明する。
成膜装置10は、いわゆるインライン式の成膜装置であり、基板に対して所定の処理を行う処理室が複数接続されているものである。成膜装置10は、ロードロック室11と、無機層形成室12と、防汚層形成室として、防汚層4となる蒸着膜を形成する蒸着室13と、膜厚測定室14と、仕上げ処理を行う仕上げ処理室15と、をこの順で備える。なお、成膜装置10内において、透明基板2は、搬送手段としての搬送トレイにより支持されて搬送される。なお、本実施形態において搬送手段とは、透明基板2を載置する搬送トレイと、搬送トレイを移動させる移動手段とからなるものである。
ロードロック室11には、大気中から透明基板2が搬入される。ロードロック室11には、図示しない真空ポンプが設けられ、ロードロック室11内を所定の真空度になるまで真空排気し、その真空度を保持することができるように構成されている。なお、図示しないが各処理室には真空ポンプが設けられて処理室毎に所望の真空度とすることができる。
無機層形成童12は、透明基板2に対してスパッタリング法により無機層3(図1参照)を形成するためのものである。無機層形成室12に搬送された透明基板2は、図示しない搬送手段で基板設置位置121に設置される。無機層形成室12には、この基板設置位置121に設置された透明基板2に対向するように、スパッタリングターゲット122がターゲット支持部123により支持されて設置される。ターゲット支持部123には、高周波電源124が接続されていて、スパッタリングターゲット122に電圧を印加できるように構成されている。
スパッタリングターゲット122は、無級層に応じて材料を適宜設定する。本実施形態では、無機層としてSiO膜を形成するために、スパッタリングターゲット122として金属シリコンターゲットが設置されている。
また、無機層形成室12には、不活性ガスが封入された第1ガス封入部125が第1バルブ126を介して設置されている。第1バルブ126の開度を調整することで、第1ガス封入部125から所望量の不活性ガスを無機層形成室12内に導入することができる。本実施形態においては、第1ガス封入部125には不活性ガスとしてのArガスが封入されている。また、無機層形成室12には、反応性ガスが封入された第2ガス封入部127が第2バルブ128を介して設置されている。この第2バルブ128の開度を調整することで、第2ガス封入部127から所望量の反応性ガスを無機層形成室12内に導入することができる。第2ガス封入部127には反応性ガスとしてのH0ガスが封入されている。
防汚層形成室としての蒸着室13は、蒸着法により透明基板2の無機層上に防汚層4(図1参照)となる蒸着膜を形成するものである。蒸着室(防汚層形成室)13に搬送された透明基板2は、図示しない搬送手段で基板設置位置131に設置される。蒸着室13には、設置された透明基板2に対向するように、蒸着手段132が設置されている。蒸着手段132は、蒸着方法によるが、本実施形態では、図示しない蒸着源が加熱手段を備えたルツボ中に設置されたものである。
防汚層形成室としての膜厚測定室14は、図2に示す膜厚測定工程S04において、透明基板2に形成された蒸着膜の膜厚を測定するものである。膜厚測定室14には、蒸着膜が形成されて基板設置位置121に設置された透明基板2表面に測定光を照射する測定光照射手段142と、反射光を観測し偏光状態の変化を測定するエリプソメータとされる検出手段143とが設けられる。検出手段143は制御手段Cに接続されて測定結果を出力可能とされている。制御手段Cは、蒸着手段132接続されてその動作条件を制御するとともに、検出手段143の出力した膜厚が所定の範囲に収まっているか判断可能とされている。
測定光照射手段142と検出手段143とは、膜厚測定室14内に設けられてもよく、また、膜厚測定室14外部に設けられることもでき、この場合には、図示しない測定用窓部が設けられ、この窓部を介して測定光反射光を透過する。さらに、膜厚測定室14は、所定の真空雰囲気とされるが、装置外の雰囲気と同等の大気圧等の条件とされることもできる。
防汚層形成室としての仕上げ処理室15は、図2に示す仕上げ処理工程S06における仕上げ処理を施すものとされ、仕上げ処理室15内の温度条件を設定する温度設定手段152や、図示しない処理雰囲気制御手段を備える。
このような成膜装置10における成膜について説明する。
ロードロック室11に透明基板2が搬送されると、ロードロック室11では排気が行われ、真空状態となる。所望の真空状態となった後に、透明基板2は無機層形成室12に搬送される。無機層形成室12、あるいは、無機層形成室12に搬送する前の図示しない処理室において、図2における前処理工程S01としてOアッシングなどの前処理をおこなう。
次いで、無機層形成室12では、図2における無機層形成工程S02として、透明基板2に対して無機層が形成される。具体的には、第1バルブ126、第2バルブ128の開度を調整して第1ガス封入部125及び第2ガス封入部127から、それぞれ不活性ガス及び反応性ガスを無機層形成室12に導入するとともに、高周波電源124からスパッタリングターゲット122に電圧を印加して反応性スパッタリングを開始して、無機層3を形成する。
次いで、透明基板2が無機層形成室12から防汚層形成室としての蒸着室13へ搬送される。蒸着室13では、図2における蒸着膜形成工程S03として、無機層3上に防汚層4となる蒸着膜が形成される。具体的には、蒸着手段132としてのルツボに貯留されたパーフルオロポリエーテルとされる蒸着源を加熱手段により加熱して、搬送された透明基板2の無機層3表面に加熱された蒸着源を付着して防汚層4となる蒸着膜を形成する。
次いで、透明基板2が膜厚測定室14へ搬送される。膜厚測定室14では、図2における膜厚測定工程S04として、透明基板2表面に測定光照射手段142から測定光を照射するとともに、エリプソメータとされる検出手段143により透明基板2表面からの反射光を観測し偏光状態の変化を測定する。
膜厚測定工程S04の結果に基づき、判定工程05として、制御手段Cは、蒸着室13で形成された蒸着膜の膜厚が所定の範囲とされる許容値内であり、蒸着室13における蒸着条件を変更する制御をおこなうようにフィードバックする必要があるかどうかを判定する。
制御手段Cは、フィードバックの必要有りと判断した場合に、蒸着手段132における蒸着源供給量、あるいは、加熱手段の加熱状態、蒸着室13における透明基板2の処理時間などを変更する。具体的には、制御手段Cは、測定膜厚が少なかった場合には、蒸着室13における蒸着量を増加するように蒸着源の供給量を増加するか加熱手段の設定温度を上昇させるか処理時間を長くし、測定膜厚が厚かった場合には、蒸着室13における蒸着量を減少するように蒸着源の供給量を減少させるか加熱手段の設定温度を下降させるか処理時間を短縮するといった制御を行うように信号を出力する。
制御手段Cが、フィードバックの必要なしと判断した場合には、透明基板2が仕上げ処理室15へ搬送される。仕上げ処理室15では、図2における仕上げ処理工程S06として、蒸着膜の安定化・固定化を図るために、恒温恒湿処理、または、仕上げ加熱処理をおこなって防汚層4を形成する。
処理工程S06として、処理温度40℃程度、湿度80%程度で2時間程度の処理条件とする恒温恒湿処理をおこなう場合には、図4に示すように、加水分解された蒸着膜となる分子の端部および無機層3上のH基どうしが水素結合、その後、脱水縮合反応により強固なシロキサン結合(Si−O−Si)を形成する。この後、結合しなかった余剰分の蒸着材は、ワイピングなどの操作により、除去される除去工程を有することも可能である。
仕上げ処理工程S06として、170℃程度、4分程度の仕上げ加熱処理をおこなう場合には、図4に示す加水分解(脱アルコール)反応、脱水縮合反応により強固なシロキサン結合(Si−O−Si)を形成するとともに、余分な液剤は加熱により飛ばされて除去することが可能である。勿論処理条件を適切に制御すること、および、蒸着膜の膜厚をあらかじめ余剰がほとんどない程度の適正な範囲とすることが必要である。このように、仕上げ加熱工程は、余分な液剤を除去する除去工程をも兼ねている。
このように防汚層4が形成されたのち、透明基板2は、ロードロック室11に搬送され、ロードロック室11において大気開放された後に成膜装置10から搬出される。
このようにして、本実施形態では、均一な膜厚を有し膜特性の優れた防汚層4を有する積層構造(防汚層付きタッチパネル用カバーガラス)1を安価にかつ短い時間で形成することが可能となる。
以下、本発明に係る成膜方法及び成膜装置の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
図5は、本実施形態における成膜装置を示す模式図であり、図において、符号1Aは、積層構造である。
本実施形態にかかる積層構造について、図5を用いて説明する。本実施形態にかかる積層構造1Aでは、図5に示すように、無機層3Aが複数層からなる点が上述した第1実施形態で図1に示した無機層3とは異なる。これ以外の対応する構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態における無機層3Aは、第1無機層31と第2無機層32とが、この順で複数回形成されてなるものである。この本実施形態における無機層3Aは、反射防止層としても機能するものである。さらに、無機層3Aは、複数回形成された無機層3A,3Bの上に実施形態1に示す無機層3と同じ機能を有する第3無機層33を反応性ガスとして水蒸気を用いた反応性スパッタリングにより形成する。
無機層3Aの材料としては、上述した無機層3と同一の材料を用いることができ、Si、Al、Ta、Nb、Ti、Zr、Sn、Zn、Mg及びInが挙げられ、このうちの一種又は2種以上を含むもので、かつ、第1層と第2層とで異なる材料であることが挙げられる。また、第1無機層31としては、酸化ケイ素二窒化ケイ素、窒化酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、感化タンタル、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム等を挙げることができ、これらのうちの1種又は2種以上を混合してなるものである。
特に、第1無機層31としては、酸化タンタル(Ta)、酸化ニオブ(Nb)、酸化チタン(TiO)が挙げられ、特に第1無機層31がTa膜であることが好ましい。水蒸気を反応性ガスとして使用する第3無機層33の材料は、上に挙げられている材料のどれでも良いが、好ましくはSiOとされる。
なお、本実施形態では、2種の膜を順次重ねて無機層3Aとしているが、これに限定されず、3種以上の膜を順次重ねてもよい。
本実施形態における無枚層3Aを形成する場合、各層の成膜方法としては、例えば、CVD法、プラズマCVD法、スパッタリング法、イオンプレーティング絵などが挙げられ、スパッタリング法としては、さらに、ECRスパッタリング法、反応性スパッタリング法、バイアススパッタリング法、直交電磁界型スパッタリング法等が挙げられる。本実施形態では、各層を、それぞれ反応性スパッタリング法により形成する。
このような無機層3Aを形成する場合には、例えば、第1無機層31の形成条件は、スパッタリングターゲット:Taターゲット、スパッタリングガス:Ar十O、Arガス流量:50〜500sccm、Oガス流量:50〜500sccm、投入パワー:1〜10kWである。
第2無機層32の形成条件は、スパッタリングターゲット:Siターゲット、スパッタリングガス:Ar+O、Arガス流量:50〜500sccm、Oガス流量:50〜500sccm、投入パワー:1〜10kWである。
水蒸気を反応性ガスとして使用する第3無機層33の形成条件は、スパッタリングターゲット:Siターゲット、スパッタリングガス:Ar+HO、Arガス流量:10〜200sccm、HOガス流量:100〜400sccm、投入パワー:1〜12kWである。
本実施形態では、第1無機層31の形成条件は、スパッタリングターゲット:Taターゲット、スパッタリングガス:Ar十O、Arガス流量:100sccm、Oガス流量:300sccm、投入パワー:8kWである。第2無機層32の形成条件は、スパッタリングターゲット:Siターゲット、スパッタリングガス:Ar+O、Arガス流量:50sccm、Oガス流量:200sccm、投入パワー:8kWである。第3無機層33の形成条件は、スパッタリングターゲット:Siターゲット、スパッタリングガス:Ar+HO、Arガス流量:30sccm、HOガス流量:300sccm、投入パワー:8kWである。
このような積層構造1Aを形成する成膜装置について、図6を用いて説明する。
本実施形態にかかる成膜装置20は、中央部に回転ドラム21が設けられている。この回転ドラム21には、複数枚の透明基板2が設けられる。即ち、本実施形態における成膜装置20では、回転ドラム21が基板設置部として機能するように構成されている。回転ドラム21は、回転可能であり、回転ドラム21の表面に設置された複数の透明基板2に対して、各処理が行われる。成膜装置20は、図示しない真空ポンプが設けられており、これにより成膜装置20内を所望の真空度とすることができる。
成膜装置20は、さらに内部が複数の処理室に区切られている。本実施形態では、成膜装置20は、その周方向に、第1層形成童22と、第2層形成室23と、防汚層形成室としての蒸着室24と、膜厚測定室24とに区切られている。第1層形成室22と第2層形成室23とは互いに対向する位置にあり、防汚層形成室24と膜厚測定室24とは、弟1層形成室22と第2層形成室23との間にある。
第1層形成室22と、第2層形成室23は、共にスパッタリング法により第1無機層31および第2無機層32(図5参照)を形成することができるように構成されている。すなわち、第1層形成室22ではスパッタリング法により第1無機眉31を形成し、第2層形成室23では、スパッタリング法により第2無機層32を形成する。
第1層形成室22には、一対の第1層用スパッタリングターゲット221が、それぞれターゲット支持部222に支持されて設置されている。各ターゲット支持部222には、高周波電線223が接続されている。これにより、一対の第1層用スパッタリングターゲット221には、それぞれ互いに正負反対の電圧が印加される。
また、第1層形成室22には、不活性ガスが封入された第3ガス封入部224が第3バルブ225を介して接続されていると共に、反応性ガスが封入された第4ガス封入部226が第4バルブ227を介して接続されている。本実施形態では、第3ガス封入部224には、不活性ガスとしてのArガスが封入されており、第4ガス封入部には反応性ガスとしてのOガスが封入されている。
第2層形成墓23には、一対の第2層用スパッタリングターゲット231が、それぞれターゲット支持部232に支持されて設置されている。ターゲット支持部232には、高周波電源233が接続されている。また、第2層形成室23には、不活性ガスが封入された第5ガス封入部234が第5バルブ235を介して接続されているとともに、反応性ガスが封入された第6ガス封入部236が第6バルブ237を介して接続され、反応性ガスが封入された第7ガス封入部238が第7バルブ239を介して接続されている。
本実施形態では、第5ガス封入部234には、不活性ガスとしてのArガスが封入されており、第6ガス封入部には反応性ガスとしてのOガスが封入されて、第7ガス封入部には反応性ガスとしての水蒸気HOガスが封入されるか水蒸気発生源が設けられている。水蒸気HOガス供給部とされる第7ガス封入部238と第7バルブ239はSiターゲット側に設けられることが好ましい。
蒸着室(防汚層形成室)24には、蒸着手段241が設置されている。蒸着手段241は、蒸着方法によるが、本実施形態では、第1実施形態における蒸着室13に対応するものとされ、図示しない蒸着源が加熱手段を備えた相場に設置されたものである。
防汚層形成室としての膜厚測定室25は、透明基板2に形成された蒸着膜の膜厚を測定するものである。膜厚測定室25には、蒸着膜が形成された透明基板2表面に測定光を照射する測定光照射手段252と、反射光を観測し偏光状態の変化を測定するエリプソメータとされる検出手段253とが設けられる。検出手段253は制御手段C1に接続されて測定結果を出力可能とされている。制御手段C1は、蒸着手段241接続されてその動作条件を制御するとともに、検出手段253の出力した膜厚が所定の範囲に収まっているか判断可能とされている。
膜厚測定室25は、ロードロック室を兼ねていることができる。
この場合には、測定光照射手段252と検出手段253とは、膜厚測定室25外部に設けられることもでき、その際、ロードロック室25を解放して測定を行うことも可能であるし、図示しない測定用窓部が設けられ、この窓部を介して測定光反射光を透過させて測定することもできる。
このように、膜厚測定室25は、所定の真空雰囲気とされるが、装置外の雰囲気と同等の大気圧等の条件とされることもできる。
また、蒸着室(防汚層形成室)24には、第1実施形態における仕上げ処理室15に対応して、仕上げ処理を施すことができる構成とされ、図示しないが、仕上げ処理室(蒸着室)24内の温度条件を設定する温度設定手段や、処理雰囲気制御手段を備えることができる。また、仕上げ処理室(防汚層形成室)として、独立した処理室を蒸着室24とは別に設けることもできる。
かかる成膜装置20における成瞑について説明する。成膜装置20に複数の透明基板2が搬送され、搬送された透明基板2は、回転ドラム21にそれぞれ所定の間隔をあけて設置される。その後、威膜装置20内は排気が行われ、所望の真空状態となる。真空状態となった後に、回転ドラム21の回転が開始される。回転ドラム21は、全ての透明基板2に対して全ての膜の成膜が完了するまで一方向に回転し続ける。
初めに、第1層形成室22で酸素を用いた反応性スパッタリングが実施されて透明基板2にTa膜である第1無機層31を形成する。次いで、回転ドラム21を回転させて回転ドラム21上に設置された別の透明基板2上に第1無機層31を形成し、第1無機層31が形成できると再度回転ドラム21を回転させる。このようにして全ての回転ドラム21上の透明基板2に成膜が終了すると、次いで第2無機層32(図5参照)の形成が始まる。即ち、第2層形成室23で0ガスを用いた反応性スパッタリング法が実施されて透明基板2に第2無機層32を形成する。
このようにして各透明基板2の第1無機層31上に第2無機層32を形成すると、再度第1層形成室22においてスパッタリングが開始されて、第2無機層32上に第1無機層31が形成される。そして、第1無機層31及び第2無機層32をこの順で順次積層し、これを所定回数繰り返す。第1無機層31及び第2無機層32を形成し終わったら、その後、水蒸気を反応性ガスとして使用する第3無機層33を形成することで、無機層3A(図5参照)が形成される。
その後、無機層3A上に防汚層4(図5参頗)を形成する。具体的には、蒸着室(防汚層形成室)24において蒸着手段241の蒸着源の加熱を開始して、透明基板2の無機層3A上に、加熱された蒸着膜を付着する。その後、再度回転ドラム21を回転させ、膜厚測定室25において、透明基板2表面に測定光照射手段252から測定光を照射するとともに、エリプソメータとされる検出手段253により透明基板2表面からの反射光を観測し偏光状態の変化を測定する。
この膜厚測定工程S04の結果に基づき、判定工程05として、制御手段C1は、蒸着室24で形成された蒸着膜の膜厚が所定の範囲とされる許容値内であり、蒸着室24における蒸着条件を変更する制御をおこなうようにフィードバックする必要があるかどうかを判定する。
制御手段C1は、フィードバックの必要有りと判断した場合に、蒸着手段241における蒸着源供給量、あるいは、加熱手段の加熱状態、蒸着室24における透明基板2の処理時間などを変更する。具体的には、制御手段はC1は、第1実施形態における制御手段Cに対応するものとされる。
制御手段C1が、フィードバックの必要なしと判断した場合には、透明基板2が仕上げ処理室24へ搬送される。仕上げ処理室24では、仕上げ処理工程S06として、蒸着膜の安定化・固定化を図るために、仕上げ加熱処理をおこなって防汚層4を形成する。
防汚層4が形成されたのち、成膜装置20は大気開放されて、防汚層4が成膜された透明基板2は、成膜装置20から搬出される。
このようにして、本実施形態の成膜装置20では、第2層形成室23で反応性ガスとして水蒸気を用いて反応性スパッタリングを行うことで、簡易に無機層33の表面に水蒸気中の0Hを付着させることができ、これにより無機層3Aと防汚層4との密着性を向上させることができる。
以下、実験例により本発明の実施形態についてより詳細に説明する。
(実験例1)
実施形態1にかかる成膜装置により、防汚層4となる蒸着膜の膜厚が5nmとなるように蒸着した後、仕上げ工程を行わず、積層構造1を形成した。なお、記載のない条件については実施形態1に記載したものに対応する条件とした。
(実験例2)
実験例1とは、仕上げ工程として、恒温恒湿炉における40℃、湿度80%に2時間の処理を行った点以外は全て同一の条件で積層構造を形成した。
(実験例3)
実験例1とは、仕上げ工程として、恒温恒湿炉における40℃、湿度80%に2時間の処理を行い、その後、除去工程として積層構造1表面をワイピングした点以外は全て同一の条件で積層構造1を形成した。
(実験例4)
実験例1とは、仕上げ工程として、真空中で170℃、4分の除去工程としての加熱処理を行った点以外は全て同一の条件で積層構造を形成した。
(実験例5)
実験例1とは、蒸着膜の膜厚が3nmとなるように蒸着した点以外は全て同一の条件で積層構造を形成した。
(実験例6)
実験例1とは、蒸着膜の膜厚が3nmとなるように蒸着した点、および、仕上げ工程として、恒温恒湿炉における40℃、湿度80%に2時間の処理を行った点以外は全て同一の条件で積層構造を形成した。
(実験例7)
実験例1とは、蒸着膜の膜厚が3nmとなるように蒸着した点、および、仕上げ工程として、恒温恒湿炉における40℃、湿度80%に2時間の処理を行い、その後、除去工程として積層構造1表面をワイピングした点以外は全て同一の条件で積層構造1を形成した。
(実験例8)
実験例1とは、蒸着膜の膜厚が3nmとなるように蒸着した点、および、仕上げ工程として、真空中で170℃、4分の除去工程としての加熱処理を行った点以外は全て同一の条件で積層構造を形成した。
これらの表面を観察するとともに、耐久試験として次のような摺動試験を行った。
耐久試験は、各積層構造の防汚層表面を、荷重(1000g/cm)をかけたスチールウールで摺勤し、摩耗した後に防汚層表面に水滴を落とし、この水滴の接触角が105°以下になった場合の摺動回数を測定したものである。即ち、摺動回数が多いほど、防汚層が剥がれにくく、密着性が高いことを示す。
実験例1;0回
実験例2;3000回
実験例3;3000回
実験例4;3000回
実験例5;0回
実験例6;3000回
実験例7;3000回
実験例8;3000回
さらに、これらの結果から、蒸着膜の膜厚を3nm程度とねらい膜厚程度にして、仕上げ処理を行うことで、摺動耐性といった膜特性を向上することができるとともに、仕上げ処理として加熱処理を行うことで、極めて短時間に摺動耐性といった膜特性を向上することができることがわかる。
本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、成膜装置は第1実施形態及び第2実施形態に挙げたものに限定されず、各実施形態の成膜方法を実施することができるものであればよい。例えば、一つの成膜装置内に、本実施形態におけるプラズマ処理室に設けられたプラズマ処理手段、蒸着手段を設け、基板をこれらに対向するようにして設置することができるように構成してもよい。
また、第2実施形態にかかる成膜装置20では、第1層形成室22と第2層形成室23とが互いに対向するように設けたが、これに限定されず、例えば隣接するように設けてもよい。
また、第2実施形態では、二つのスパッタリングターゲット間に高周波電圧を印加したが、このようないわゆるデュアル式のスパッタリング方法に限られない。
第2実施形態で無機層3Aとして反射防止層としても機能する膜を挙げたがこれに限定されず、他の光学機能膜であってもよい。
上述した実施形態では、有機層として防汚層を形成したが、有機層の機能としては防汚性に限定されない。
1、1A…積層構造
2…透明基板
3、3A…無機層
4…防汚層
10…成膜装置
11…ロードロック室
12…無機層形成室
13…蒸着室(防汚層形成室)24
14…膜厚測定室
15…仕上げ処理室
20…成膜装置
21…回転ドラム
22…第1層形成室
23…第2層形成室
24…防汚層形成室
25…膜厚測定室
31…第1無機層
32…第2無磯層
33…第3無磯層

Claims (7)

  1. 被処理基板にフッ素含有樹脂からなる有機層を形成する成膜方法であって、
    前記有機層を蒸着膜として形成する蒸着膜形成工程と、
    前記蒸着膜の安定化・固定化を図るための仕上げ処理工程と、
    を有することを特徴とする成膜方法。
  2. 請求項1記載の成膜方法であって、
    前記被処理基板に予め無機層が形成されていることを特徴とする成膜方法。
  3. 請求項2記載の成膜方法であって、
    前記有機層を形成する前に、プラズマを前記無機層上に曝すことを特徴とする成膜方法。
  4. 請求項3記載の成膜方法であって、
    前記無機層を形成する際に、反応性ガスとして水蒸気を用いた反応性スパッタリングを行って被処理基板上に無機層を形成する絶縁層形成工程と、
    を更に含むことを特徴とする成膜方法。
  5. 前記仕上げ処理工程が、恒温恒湿処理とされることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の成膜方法。
  6. 前記仕上げ処理工程には、余分な蒸着材を除去する除去工程を含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の成膜方法。
  7. 前記仕上げ処理工程における除去工程が、加熱処理とされることを特徴とする請求項6記載の成膜方法。
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