JP2014037588A - 原子炉格納容器内に用いる金属製グレーチング - Google Patents

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Abstract

【課題】設計時に仮想されている高圧熱水の非定常環境で、塗膜剥離や著しい腐食を生じず、かつ定常使用環境での耐疵付き性、耐食性に優れる、長期供用可能な金属製グレーチングを提供する。
【解決手段】原子炉格納容器内に用いる金属製グレーチングであり、(1)亜鉛やアルミニウムを含む溶融めっきを施した鋼材を基材とし、その表面に化成処理皮膜を設け、さらにその上層に防錆顔料としての金属粉末を含まない厚さ50〜1000μmのエポキシ樹脂系塗膜を設けたもの、(2)表面をブラスト処理もしくは研削処理した鋼材を基材とし、その表面に金属亜鉛粉末や金属アルミニウム粉末を含む厚さ50〜200μmの塗膜を設け、さらにその上層に防錆顔料としての金属粉末を含まない厚さ50〜1000μmのエポキシ樹脂系塗膜を設けたもの、または(3)17mass%以上のクロムを含むステンレス鋼材を基材とするものであり、これらの金属製グレーチングを原子炉格納容器内の適所に配設する。
【選択図】なし

Description

本発明は、原子力発電所の原子炉格納容器内において設計時に仮想されている高圧熱水の非定常環境で塗膜剥離や著しい腐食を生じず、かつ定常使用環境での耐食性に優れる、原子炉格納容器内に用いる金属製グレーチングに関する。
原子力発電所の原子炉格納容器内の気相部分には、金属製のグレーチングが使用されてきた。金属製グレーチングは定常は気相で使用され、耐食性と、作業床として使用されることから耐疵付き性が要求される。
格納容器の設計事故時に仮想されている高圧熱水の非定常環境では、容器内部を冷却するために大量の冷却水が循環する。その条件下で剥離する塗膜は、循環ポンプに負荷をかける異物として計算されることになる。
JEAG4628−2010「原子炉格納容器内の塗装に関する指針」では、原子炉格納容器内に用いる塗膜などに対して、170℃程度の高圧熱水の非定常環境での剥離性を評価するために、放射線照射と高温高圧の熱水環境を模擬した試験が規定されている。
これらの要求特性から、従来は安価で、これらの特性に優れるとともに、非定常環境で剥離しない無塗装の溶融亜鉛めっき鋼材のグレーチングが長期に亘り使用されてきた。
しかしながら、格納容器の設計事故時に仮想されている非定常環境として、溶融亜鉛めっきを120℃から170℃の高温の熱水や蒸気に曝すと急激に腐食が進行し、白色の亜鉛の腐食生成物を生成することが判明した。原子炉格納容器内で冷却機能の低下などによる非定常環境に溶融亜鉛めっき鋼材製グレーチングが曝された場合、その後の復旧時に、亜鉛めっき喪失によるグレーチングの取り換えや、大量の白色の亜鉛腐食生成物の発生による格納容器内の掃除が必要となり、腐食反応に伴う格納容器内の気相雰囲気のガス組成の安定性への悪影響が懸念される。
上記課題を解決するために、本発明は、設計時に仮想されている高圧熱水の非定常環境で塗膜剥離や著しい腐食を生じず、かつ定常使用環境での耐疵付き性、耐食性に優れた、長期供用可能な金属製グレーチングを提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明者は、グレーチングは作業床として重量物の吊り下げや設置なども行われることから、強度のある鋼材およびステンレス鋼材に着目した。そして、これらの鋼材について、高温の熱水や水蒸気の環境下で腐食試験および剥離試験を行い、種々の知見を得て本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)100g/m以上1000g/m未満の亜鉛および/またはアルミニウムを含む溶融めっきを施した鋼材を基材とし、その表面に化成処理皮膜を設け、さらにその上層に防錆顔料としての金属粉末を含まない厚さ50μm以上1000μm以下のエポキシ樹脂系塗膜を設けたことを特徴とする、耐熱水性と耐食性に優れる、原子炉格納容器内に用いる金属製グレーチング。
(2)表面をブラスト処理もしくは研削処理でSa2.5以上もしくはSt3以上に粗面化した鋼材を基材とし、その表面に防錆顔料として金属亜鉛粉末および/または金属アルミニウム粉末を含む厚さ50μm以上200μm以下の塗膜を設け、さらにその上層に防錆顔料としての金属粉末を含まない厚さ50μm以上1000μm以下のエポキシ樹脂系塗膜を設けたことを特徴とする、耐熱水性と耐食性に優れる、原子炉格納容器内に用いる金属製グレーチング。
(3)17mass%以上のクロムを含むステンレス鋼材を基材とすることを特徴とする、耐熱水性と耐食性に優れる、原子炉格納容器内に用いる金属製グレーチング。
(4)上記(1)〜(3)いずれかに記載の金属製グレーチングを、原子炉格納容器内の適所に配設した原子炉格納容器。
本発明の原子炉格納容器内の金属製グレーチングは、定常使用環境での耐食性および耐疵付き性に優れており、従来のグレーチングと同様に重量物を扱う作業を含め長期使用することが可能である。また、設計時に仮想されている高圧熱水の非定常環境下でも、腐食や塗膜の剥離を生じない。その結果、非常時における容器内での循環ポンプに対する負荷低減や、格納容器内の雰囲気の安定性向上が可能となり、さらに、非常時から定常時に戻る場合のグレーチングの補修、交換や清掃などの費用削減も可能となる。
本発明は、原子炉格納容器内で用いる金属製グレーチングを対象とする。グレーチングの基材は、作業床としての重量物の設置など強度の点からJIS G 3101に定める一般構造用圧延鋼材、または耐食性の高いステンレス鋼材である。
本発明において、防錆顔料としての金属粉末を含まないエポキシ樹脂系塗膜は、エポキシ樹脂を主剤とするエポキシ樹脂系塗料によって形成される。かかるエポキシ樹脂系塗料としては、エポキシ樹脂と硬化剤とその他添加剤を配合したものを挙げることができる。公知の各種のエポキシ樹脂についての主剤および硬化剤を用いることができ、その種類は特に限定されるものではない。
また、金属亜鉛粉末および/または金属アルミニウム粉末を含む塗膜は、防錆顔料として金属亜鉛粉末および/または金属アルミニウム粉末を含有する防錆塗料によって形成される。金属亜鉛粉末、金属アルミニウム粉末としては、一般的には、粒子径が約1〜50μmの亜鉛粉末、アルミニウム粉末、あるいは長径が約1〜50μmの鱗片状亜鉛粉末、鱗片状アルミニウム粉末等が用いられる。これらの金属粉末の形状は、塗膜の厚さを薄くしても高い耐食性を有する点より、鱗片形状であることが好ましい。かかる防錆塗料としては、例えば、ジンクリッチペイント、アルミニウムフィラーを添加した防錆塗料などを挙げることができる。ジンクリッチペイントは、金属亜鉛粉末を塗膜中に約70質量%以上含有する塗料であり、有機質の展着剤を用いた有機ジンクリッチペイントと、無機質の展着剤を用いた無機ジンクリッチペイントがある。有機質および無機質の展着剤は、公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されるものではない。有機質の展着剤としては、エポキシ樹脂やアルキッド樹脂などが挙げられ、無機質の展着剤としては、アルカリシリケートなどが挙げられる。ジンクリッチペイントに、金属アルミニウム粉末を混合した塗料でもよい。
上記の塗膜は、エポキシ樹脂系塗料または防錆塗料を、一般的な塗装方法、例えばエアレススプレーまたはエアースプレーを用いたスプレー塗装、刷毛塗り、ローラー塗りなどにより塗装した後、室温で乾燥することで形成することができる。また、塗装した後、焼付けて硬化させることで、塗膜を強固に形成することができる。
次に、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
(実施形態1:溶融めっきを施した鋼材を基材とするグレーチング)
本実施形態では、亜鉛および/またはアルミニウムを含む溶融めっきを施した鋼材を基材とする。金属めっきによる防食を施したグレーチングは、作業時に、金属表面から深さ方向の損傷が数十ミクロン程度で幅5mm以上の広い損傷が想定される部位に対して用いることができ、コスト面で有利となる。
鋼材表面にめっきする金属は、鋼材に対して犠牲防食作用が期待できる亜鉛やアルミニウムを含むことが必要であり、定常使用環境下での耐食性を付与するには、亜鉛および/またはアルミニウムを、合計で50mass%以上含むことが好ましく、より好ましくは97mass%以上含むことである。めっきする金属には、亜鉛、アルミニウム以外に、錫、マグネシウムなどの金属が50mass%未満、より好ましくは3mass%未満含まれていてもよい。
亜鉛あるいはアルミニウムの単独あるいは両方を含む溶融めっき金属の付着量は、長期に亘る耐食性を付与する観点より100g/m以上必要である。一方、溶融めっき金属の付着量が多くなると効果が飽和し、1000g/m以上の付着量になるとめっき表面の凹凸や鋼材の歪みが懸念されるため、好ましくない。
前述のように、亜鉛あるいはアルミニウムを含む溶融めっきを施した鋼材は、高温水蒸気環境下で腐食を生じる。本発明のグレーチングは、溶融めっき鋼材の表面に化成処理皮膜を設け、さらにその上層に、防錆顔料としての金属粉末を含まない所定の厚さのエポキシ樹脂系塗膜を設けることで、上記の腐食を抑制することができる。溶融めっき鋼材に金属粉末を含まないエポキシ樹脂系塗料を塗装する場合は、乾燥膜厚で50μm以上、より好ましくは100μm以上のエポキシ樹脂系塗膜を設けることが必要である。塗膜の厚さが50μm未満の場合は、鋼材が非定常環境を想定した高温水蒸気環境に曝される(熱水試験)ことで、腐食しやすくなる。一方、塗膜の厚さが1000μmを超えると、塗膜が熱水試験後に剥離してしまう。また、金属粉末を含むエポキシ樹脂系塗料を最外面に塗装した場合は、塗膜が高温水蒸気環境に曝されることによって脆化しボロボロになる。
一方、溶融めっき鋼材の表面をめっきのままの状態とした場合、あるいは溶融めっきが剥がれないように軽度なブラスト処理を行った状態にした場合は、いずれもエポキシ樹脂系塗料を塗装した塗膜が、熱水試験で剥離を生じてしまう。しかしながら、溶融めっき鋼材の表面に化成処理を施して化成処理皮膜を設け、その表面に乾燥膜厚で50μm以上1000μm以下のエポキシ樹脂系塗料を塗装することにより、高温水蒸気環境(熱水試験)で塗膜剥離などを生じることなく、腐食が抑制されるようになる。
化成処理としては、例えば、クロメート処理、リン酸亜鉛処理、リン酸鉄処理、リン酸クロム処理などを挙げることができる。中でも、クロメート処理やリン酸亜鉛処理によって形成される皮膜は、エポキシ樹脂系塗料との密着性および耐食性に優れているため、高温水蒸気環境でも塗膜剥離を生じることなく、溶融めっき鋼材に耐食性を付与できる。化成処理皮膜の厚さは特に限定されるものではない。溶融めっき鋼材に対するエポキシ樹脂系塗膜の密着性を十分に高めることができ、ひいては溶融めっき鋼材の表面をエポキシ樹脂系塗膜で保護することで、溶融めっき鋼材に耐熱水性と耐食性を付与しうるという観点より、化成処理皮膜は全面を被覆していることが望ましい。処理液の濃度、温度、処理時間は、化成処理皮膜が下地全面を覆うように適宜調節する。
なお、化成処理の前処理として、溶融めっき鋼材を洗浄し、表面の汚れや酸化膜などを除去しておくことが好ましい。
(実施形態2:鋼材を基材とするグレーチング)
本実施形態では、表面をブラスト処理もしくは研削処理でSa2.5以上もしくはSt3以上に粗面化した鋼材を基材とする。そして、粗面化処理した基材表面に、所定の膜厚となるように金属亜鉛粉末および/または金属アルミニウム粉末を含む塗膜を設け、さらにその上層に、所定の膜厚となるようにこれらの金属粉末を含まないエポキシ樹脂系塗膜を設けるのがよい。
JIS G 3101に定めるSS400は、塗装に大きな損傷をもたらす重量物の吊り下げや設置などがない限り、塗装による防食により、高温水蒸気環境および定常使用環境での長期耐食性が確保できるものであるため、好ましく用いられる。
本実施形態では、塗装前の鋼材表面の素地調整が必要である。具体的には、ISO 8501−1に定めるSa2.5以上もしくはSt3以上に粗面化処理した素地調整が必要である。素地調整が本条件を満たさない場合は、JEAG4628−2010「原子炉格納容器内の塗装に関する指針」の熱水試験で塗膜剥離を生じてしまう。素地調整のためのブラスト処理もしくは研削処理は、一般的な方法で行えばよい。
作業時に工具の落下などで生じる塗膜の微小な損傷箇所から、塗膜の下の鋼材の腐食が進行するのを防止するためには、粗面化処理した鋼材表面と接する塗膜に、防錆顔料としての金属亜鉛粉末および/または金属アルミニウム粉末を含む塗膜を設けるとよい。この塗膜は、乾燥膜厚として50μm以上200μm以下であることが好ましい。塗膜の厚さが50μm未満では、定常使用環境での防食効果が小さくなり、一方、塗膜の厚さが200μmを超えると、定常使用環境での防食効果が飽和するため不経済となる。金属粉末の形状は、乾燥膜厚を薄くしても高い耐食性を有するように、鱗片形状であることが好ましい。また、金属粉末が複数種類から構成される場合の組成比率は特に限定されないが、耐食性をより重視する場合には、金属亜鉛粉末を含むことが好ましい。
さらに、熱水試験における塗膜の変色や剥離を抑制するためには、最外層に、乾燥膜厚が50μm以上の、金属粉末を含まないエポキシ樹脂系の塗膜を形成するのがよい。ただし、エポキシ樹脂系の塗膜の厚さが1000μmを超えると、塗膜が熱水試験後に剥離する例が観察されるようになる。
また、最外層に金属粉末を含む塗膜を形成した場合は、熱水試験において、最外層の表面金属の腐食、あるいは塗膜の変色や剥離が認められるようになるので、最外層のエポキシ樹脂系塗膜には、亜鉛やアルミニウムなどの金属を含まない塗料を塗装することが望ましい。
最外層となるエポキシ樹脂系塗膜は、滑り防止性を付与するノンスリップ型の塗料とすることも可能である。かかる仕様は、作業床用の金属グレーチングとして好適である。
(実施形態3:ステンレス鋼を基材とするグレーチング)
本実施形態では、17mass%以上のクロムを含むステンレス鋼材を基材とする。作業時に金属表面から深さ方向で100μm以上の損傷が想定される部位には、長期防食を考えると、ステンレス鋼による防食が有望である。ステンレス鋼として、定常環境および高温水蒸気環境で、腐食の抑制が可能な材料を検討したところ、13mass%以上のクロムを含むSUS410では発錆が認められ、17mass%以上のクロムを含むSUS430やSUS304では殆ど発錆が無かった。これらの結果より、17mass%以上のクロムを含む鋼材が、本発明の用途に好ましいと言える。
本発明のステンレス鋼材を用いたグレーチングは、作業床面がBA仕上げなど平滑な仕上げになっていると、水で濡れた場合に滑りやすい。作業床となるグレーチングには、平滑な仕上げの状態でグレーチングに突起をつける、あるいはステンレス鋼材の表面に凹凸を付与すればよい。これにより、滑り性が改善された作業床用の金属製グレーチングとなる。
ブラスト処理や仕上げ処理後のステンレス鋼材の表面は、JIS B 0601に定める算術平均粗さ(Ra)が60μm以上であれば、滑り性改善効果がある。
上記実施形態1〜3では、3種類の素材について、耐熱水性および耐食性に優れる金属製グレーチングにするための塗装形態を説明したが、金属製グレーチングを格納容器内の作業床に用いる場合、作業内容により水で濡れることもある。滑り止めの観点から、エポキシ樹脂系塗膜が最表面となる場合は、その表面に適正な凹凸を設けた滑り止め塗料を用いることが望ましい。滑り止めの方法は、滑り止め防止剤を含むエポキシ樹脂系塗料を塗布する方法、あるいは、エポキシ樹脂系塗膜が乾燥する前の表面に適正形状の滑り止め防止剤を散布して表面に滑り止め防止剤を固定する方法のいずれを用いてもよい。
本発明の金属製グレーチングは、いずれも耐熱水性および耐食性に優れたものであり、各素材の特性に応じて、原子炉格納容器内の適所に配設することにより、経済性に優れ、かつ長期供用可能なものとなる。
以下、本発明を実施例および比較例を用いて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
作製した金属製グレーチングについて、以下に示す方法により、定常時耐食性試験、140℃耐食性試験、滑り性試験、熱水試験、および耐疵付き性試験をそれぞれ行った。
[定常時耐食性試験]
定常環境での長期供用時の発錆を調べた。金属製グレーチングに、実験室内で水を定期的に噴霧し、6ヶ月間後の基材の腐食や塗膜剥離の状態を確認した。塗装試験材については、表面に下地金属に達する疵を入れ、疵部分からの腐食の広がりを確認した。
表面の腐食や塗膜疵からの腐食の広がりが確認できないものを「良」として◎、発錆や塗膜膨れの面積が2%未満、あるいは疵部からの塗膜下腐食の進展が1.0mm以内の変状で補修して継続使用可能なものを「可」として○、発錆や塗膜膨れの面積が2%以上、あるいは疵部からの塗膜下腐食の進展が1.0mmを超えて定常使用時にも腐食が拡大し長期継続使用が懸念されるものを「不可」として×と判定した。
[140℃耐食性試験]
気相部分への影響や補修による継続使用は、基材の腐食や塗膜剥離の状態に依存することから、140℃の水蒸気に48時間曝した後に、表面に腐食生成物や塗膜下腐食などの変化が見られるか否かを評価した。
表面に腐食生成物や塗膜下腐食などの変状がみられないものを「良」として◎、変状の面積が10%未満で補修して継続使用可能なものを「可」として○、変状の面積が10%以上で腐食時に気相部分への影響や補修しての継続使用が懸念されるものを「不可」として×と判定した。
[滑り性試験]
作業床として使用した場合の滑り性を、英国式ポータブル・スキッド・レジスタンス・テスターを用いてASTM E303により評価した。
BNP(British Pundulum Number)で40以上を「良」として◎、40未満5以上を「可」として○、5未満を「不可」として×と判定した。
[熱水試験]
塗装鋼材について、ストレーナーへの悪影響を防止するため、JEAG4628−2010「原子炉格納容器内の塗装に関する指針」に定める条件で耐熱水性を評価した。塗膜の剥離がないものを「良」として○、剥がれ落ちるものを「不可」として×と判定した。
[耐疵付き性試験]
塗装鋼材について、作業床として使用した場合に工具などの金属物が落下した場合の耐疵付き性として、0.5m高さから300gの鋼製の錘を落下させ、下地に達する疵の有無により耐疵付き性を評価した。落下試験で、疵が無かったものを「良」として○、疵があったものを「不可」として×と判定した。
(実施例1〜5、比較例1〜13)
基材となる溶融めっき鋼材として、溶融亜鉛めっき鋼材、溶融亜鉛アルミニウムめっき鋼材、あるいは溶融アルミニウムめっき鋼材を使用した。
<化成処理>
以下に示す方法により化成皮膜を作製した。
1)亜鉛を含む溶融めっき表面へのリン酸亜鉛系の化成処理は、脱脂(日本ペイント製「サーフクリーナー」を使用)→水洗→表面調整(日本ペイント製「サーフファイン」を使用)→水洗→リン酸亜鉛系化成処理(日本ペイント製「サーフクリーナー」を使用)→水洗→乾燥の手順で実施した。
2)亜鉛を含む溶融めっき表面へのクロム酸塩系の化成処理は、脱脂(同上)→水洗→酸洗→水洗→クロム酸処理→水洗→乾燥の手順で実施した。
3)溶融アルミニウムめっき面への化成処理は、前記2)と同じクロム酸塩系の化成処理とした。
比較のため、めっき表面の金属光沢がなくなる程度にスピネル系研削材を用いてスイープブラスト処理を行った試験材、および無処理の溶融めっきのままの試験材を用いた。
<塗料>
エポキシ樹脂系塗料は、大日本塗料製エポニックス(表中「Ep」で表示)をスプレー塗装した。作業床として滑り防止を付与するノンスリップ型のエポキシ樹脂系塗料は、中国塗料製ハイフロア930(表中「NS−Ep」で表示)を塗装した。
実施例および比較例で作製した金属製グレーチングの評価結果を表1に示す。
Figure 2014037588
表1の結果より、めっき金属の組成は、鋼材に犠牲防食作用が期待できる亜鉛あるいはアルミニウムの単独あるいは両方を、めっき層内に50mass%以上含むことで、定常時および140℃での耐食性試験で良好な結果が得られることがわかる。
亜鉛あるいはアルミニウムの付着量は、長期防食の観点から100g/m以上必要であり、付着量が少ない場合(比較例6)は定常時の防食効果が劣っていた。一方、付着量が1000g/m以上の場合(比較例8)は、防食効果が飽和し、めっき表面の凹凸や鋼材の歪みが懸念されることから、好ましくないことがわかる。
また、塗膜の乾燥膜厚が100μmに満たない場合(比較例10、11)は、140℃耐食性試験での評価が劣っており、実施例に示すように、乾燥膜厚で100μmのエポキシ樹脂系塗料の塗膜を形成することにより、めっき層の高温水蒸気環境での腐食を抑制できることがわかる。一方、エポキシ樹脂系塗料の塗膜の乾燥膜厚が1000μmを超える場合(比較例9)は、塗膜が熱水試験後に剥離する例が観察されるため、好ましくない。
溶融めっき鋼材の表面を化成処理を行わずに、めっきのままの状態にした場合(比較例7)、あるいは軽度なブラスト処理を行った場合(比較例12)は、140℃耐食性試験での評価が劣っており、塗装した塗膜が高温水蒸気環境で剥離を生じる。このことから、塗装前にめっき表面にクロメート処理やリン酸亜鉛処理などの化成処理を施すことが必要であることがわかる。金属亜鉛粉末を含むエポキシ樹脂系塗料を塗装した場合(比較例13)は、塗装した塗膜が高温水蒸気環境でボロボロになることから、金属亜鉛を含まない塗膜を形成する必要のあることがわかる。
(実施例6〜11、比較例14〜20)
基材となるSS400として、スチールショットブラストにより、塗装前の鋼材表面をISO8501−1に定めるSa2.5以上の素地調整を施したものを用いた。ブラスト処理を行わない比較材として、酸洗のままのSS400試験材を用いた。
<塗料>
金属亜鉛粉末を含む無機ジンクリッチペイントとして、大日本塗料製 ゼッタールOLT(表中「Z−OL」で表示)をスプレー塗装した。
金属亜鉛粉末を含む有機ジンクリッチペイントとして、大日本塗料製 ゼッタールEP(表中「Z−EP」で表示)をスプレー塗装した。
金属アルミニウム粉末を含むエポキシ系塗料として、大日本塗料製 エポニックスAL(表中「Ep−AL」で表示)をスプレー塗装した。
エポキシ樹脂系塗料として、大日本塗料製エポニックス(表中「Ep」で表示)をスプレー塗装した。
作業床として滑り防止を付与するノンスリップ型のエポキシ樹脂系塗料は、中国塗料製ハイフロア930(表中「NS−Ep」で表示)を用い、エポキシ樹脂系塗料の上層に塗装した。
実施例および比較例で作製した金属製グレーチングの評価結果を表2に示す。
Figure 2014037588
表2の結果より、SS400について塗装前の素地調整を行わない場合(比較例14〜17)は、いずれも耐熱水性が不十分である。素地調整がブラスト処理でSa2.5あるいは電動工具処理でSt3に満たない場合(比較例19、20)は、耐食性試験の評価が劣っていたことから、SS400の塗装前素地調整は、ブラスト処理ではSa2.5以上、電動工具処理ではSt3以上が必要であることがわかる。
また、比較例14に示すように、鋼材表面と接する塗膜が金属粉末を含まない塗膜である場合は、常時環境での耐食性が劣ることがわかる。
塗装の最外層に金属亜鉛粉末を含む塗膜がある場合、その表面は塗膜内の金属が腐食し変色や剥離が認められたが(比較例15)、最外層に、金属亜鉛粉末または金属アルミニウム粉末を含まないエポキシ樹脂系の塗膜を施すことにより(実施例6〜11)、変色や剥離が認められなくなることがわかる。
また、実施例6、7の比較により、鋼材表面と接する金属亜鉛粉末を含む塗膜は、乾燥膜厚で200μmを超えると防食効果が飽和する傾向にある。一方、エポキシ樹脂系の塗膜の膜厚が1000μmを超えると、塗膜が熱水試験後に剥離する例が観察される(比較例18)。
(実施例12〜13、比較例21)
ステンレス鋼材として、17mass%のクロムを含むSUS430、および18mass%のクロムを含むSUS304を用いた。比較例として、13mass%のクロムを含むSUS410を用いた。ブラスト仕上げの試験材の表面粗さは、JIS B 0601に定める算術平均粗さRaが60μmであった。
実施例および比較例で作製した金属製グレーチングの評価結果を表3に示す。
Figure 2014037588
表3の結果より、17mass%以上のクロムを含む鋼材を用いることで、定常環境での腐食抑制が可能となり、JIS B 0601に定める算術平均粗さRaが60μmの鋼材を用いることにより、滑り性が改善されることがわかる。

Claims (4)

  1. 100g/m以上1000g/m未満の亜鉛および/またはアルミニウムを含む溶融めっきを施した鋼材を基材とし、その表面に化成処理皮膜を設け、さらにその上層に防錆顔料としての金属粉末を含まない厚さ50μm以上1000μm以下のエポキシ樹脂系塗膜を設けたことを特徴とする、耐熱水性と耐食性に優れる、原子炉格納容器内に用いる金属製グレーチング。
  2. 表面をブラスト処理もしくは研削処理でSa2.5以上もしくはSt3以上に粗面化した鋼材を基材とし、その表面に防錆顔料として金属亜鉛粉末および/または金属アルミニウム粉末を含む厚さ50μm以上200μm以下の塗膜を設け、さらにその上層に防錆顔料としての金属粉末を含まない厚さ50μm以上1000μm以下のエポキシ樹脂系塗膜を設けたことを特徴とする、耐熱水性と耐食性に優れる、原子炉格納容器内に用いる金属製グレーチング。
  3. 17mass%以上のクロムを含むステンレス鋼材を基材とすることを特徴とする、耐熱水性と耐食性に優れる、原子炉格納容器内に用いる金属製グレーチング。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載の金属製グレーチングを、原子炉格納容器内の適所に配設した原子炉格納容器。
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