JP2014029802A - 電極用合剤スラリーおよび電極 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、リチウムイオン二次電池等の安全性を確保しつつ充放電サイクル特性を向上させることができる電極用合剤スラリーおよび電極を提供することにある。
【解決手段】本発明に係る電極用合剤スラリーは、テトラカルボン酸エステル化合物、多価アミン化合物、テトラカルボン酸エステル化合物および多価アミン化合物を溶解する溶媒および活物質粒子を含有し、導電性付与剤を含まない。また、電極は、集電体と前記電極用合剤スラリーから形成される活物質層とからなる。
【選択図】なし
【解決手段】本発明に係る電極用合剤スラリーは、テトラカルボン酸エステル化合物、多価アミン化合物、テトラカルボン酸エステル化合物および多価アミン化合物を溶解する溶媒および活物質粒子を含有し、導電性付与剤を含まない。また、電極は、集電体と前記電極用合剤スラリーから形成される活物質層とからなる。
【選択図】なし
Description
本発明は、電極形成用の合剤スラリー、特に負極形成用の合剤スラリーに関する。また、本発明は、その合剤スラリーから得られる電極(負極)に関する。
リチウムイオン二次電池は、正極と負極の間をリチウムイオンが行き来して充電と放電を繰り返す二次電池で、スマートフォンやタブレット端末、電気自動車などのバッテリーとして利用されている。これらの電子端末や電気自動車の利便性を高めるため、近年、リチウムイオン二次電池には高容量化・長寿命化が求められている。
リチウムイオン二次電池の高容量化においては、負極電極を構成する活物質の選定、加工による改善が検討されている。例えば、ケイ素や錫などリチウムと合金化可能な金属を含む材料は、現行の炭素系活物質と比較して理論容量が2〜10倍であり、リチウムイオン二次電池の高容量化を実現する活物質として期待されている。
これらケイ素や錫などの高容量の活物質は、多くのリチウムイオンを取り組むため充電・放電の際に膨張・収縮を繰り返す。このことにより、活物質を集電体に決着させるバインダの力が弱いと、充放電時に集電体から欠落し、容量が低下することになる。よって、ケイ素や錫などに用いるバインダには高い結着力が要求されている。
また、バインダ等に導電助剤などを加える事で、活物質とバインダからなる負極内の電子移動を容易にし、サイクル特性を向上させることも望まれている。
特許文献1では、引張弾性率が高いバインダを用いる事で結着力を高め、活物質層内の導電性材料とバインダとの重量比を特定の範囲に調節することにより、負極のサイクル特性が向上することが示されている。
しかし、導電助剤を用いて負極内の電子を効率よく移動させるようにするためには、活物質とバインダ、導電助剤等を精度高く材料調整する必要がある。負極内において活物質とバインダ、導電助剤等が均質に混ざりすぎると導電助剤同士が点在し、接点を持たないことから電子が移動する経路を形成する事ができなくなる。また、活物質とバインダ、導電助剤を混ぜ合わせる際には、導電助剤が脆いため、導電助剤のつながりを壊さないように時間をかけてゆっくり混練する必要があり、生産性において課題となっている。
また、導電助剤が存在すると面方向の通電が容易になるため、電流の局在化が起こりやすくなり、リチウムイオン二次電池の発熱・発火の危険性が高まる。
本発明の課題は、高容量リチウムイオン二次電池の生産性・安全性を向上させつつ、サイクル特性を向上させることを目的とする。
本発明の電極用合剤スラリーは、少なくとも1種のテトラカルボン酸エステル化合物と、少なくとも1種の多価アミン化合物と、前記テトラカルボン酸エステル化合物および前記多価アミン化合物を溶解する溶媒と、活物質粒子とを含有する電極用合剤スラリーであって、前記電極用合剤スラリーに導電助剤を含まないことを特徴とする。導電助剤を含まないことで、精度の高い混練工程が不要になるため生産性を向上させることができる。また、本発明に係る電極用合剤スラリーは導電助剤を含まないため、電極の面方向の通電が抑制されることで発熱や発火の恐れが少なくなり、リチウムイオン二次電池の安全性を向上させることができる。更に、導電助剤のような混合物を含まないため、バインダが本来の結着力を発揮することができ、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を向上させることができる。本発明の電極用合剤スラリーはテトラカルボン酸エステル化合物と多価アミン化合物をバインダの前駆体として用いることで、ケイ素のような高容量の活物質も集電体に強固に結着させることができ、導電助剤がなくても電極として成り立たせることができる。また、導電助剤を含まないことで、精度の高い混練工程が不要になるため生産性を向上させることができる。また、本発明に係る電極用合剤スラリーは導電助剤を含まないため、電極の面方向の通電が抑制されることで発熱や発火の恐れが少なくなり、リチウムイオン二次電池の安全性を向上させることができる。また、本発明の電極用合剤スラリーは導電助剤のような混合物を含まないため、バインダが本来の結着力を発揮することができ、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を向上させることができる。
なお、本発明において、テトラカルボン酸エステル化合物は、下記化学式(A)〔式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に水素、炭素数1から8の炭化水素基(ヘテロ原子(例えば、酸素原子や、窒素原子、硫黄原子など)を含んでもよく、官能基(例えば、カルボニル基や、水酸基など)または置換基(例えば、芳香環など)を有していてもよい)、またはフェニル基を表わす。また、R’は下記化学式(A−1)または下記化学式(A−2)(式中、XはO、S、CH2、C(CH3)2、COまたは直接結合を表わす)〕で表されるテトラカルボン酸エステル化合物から成る群より選択される少なくとも1種のテトラカルボン酸エステル化合物であるのが好ましい。
また、本発明において、テトラカルボン酸エステル化合物は、例えば、対応するテトラカルボン酸やテトラカルボン酸二無水物をアルコール類でエステル化することにより簡単に得られる。なお、このエステル化は、50度C〜150度Cの温度で行われるのが好ましい。
また、本発明において、テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物(PMDA)や、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス[3,4−(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(BPADA)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、オキシジフタル酸無水物(ODPA)、チオジフタル酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9−ビス[4−(3,4’−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物などが挙げられる。なお、これらのテトラカルボン酸ニ無水物の中でも、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)が好ましい。また、本発明において、テトラカルボン酸二無水物として、非対称性のビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いてもよい。非対称性のビフェニルテトラカルボン酸二無水物の典型例としては、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)を挙げることができる。また、これらのテトラカルボン酸ニ無水物は、単独で用いられてもよいし、2種以上混合して用いられてもよい。
また、テトラカルボン酸二無水物をエステル化するためのアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−フェニルエタノール、1−フェニル−1−ヒドロキシエタンおよび2−フェノキシエタノールなどの一価のアルコール類や、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2’−ジヒドロキシジエチルエーテル、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノールおよびジプロピレングリコールなどの多価のアルコール類が挙げられる。なお、これらのアルコール類は、単独で用いられてもよいし、2種以上混合して用いられてもよい。
なお、テトラカルボン酸エステル化合物は、他の方法、例えばテトラカルボン酸の直接エステル化によっても製造することができる。
なお、本発明の電極用合剤スラリーでは、テトラカルボン酸エステル化合物の中でも3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジエステルが特に好ましい。
また、本発明において多価アミン化合物は、ジアミン化合物または三価アミン化合物であることが好ましい。
また、多価アミン化合物は芳香族多価アミン化合物であることが好ましい。
また、多価アミン化合物はアニオン性官能基を含んでいることが好ましい。
前記アニオン性官能基としては、例えば、カルボキシル基、硫酸エステル基、スルホン酸基、リン酸基、リン酸エステル基等が挙げられる。なお、これらのアニオン性官能基の中でもカルボキシル基が特に好ましい。このような多価アミン化合物としては、例えば、3,4−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、メタフェニレンジアミン4−スルホン酸等が挙げられる。
また、本発明において、ジアミン化合物は、下記化学式(B)〔式中、R”は下記化学式(B−1)または下記化学式(B−2)(式中、YはO、S、C(CH3)2、COまたは直接結合を表わす)〕で表される前記ジアミン化合物から成る群より選ばれる少なくとも1種のジアミン化合物であるのが好ましい。
また、本発明において、ジアミン化合物としては、例えば、パラフェニレンジアミン(PPD)、メタフェニレンジアミン(MPDA)、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4、4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MDA)、2,2−ビス−(4−アミノフェニル)プロパン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(34ODA)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(133APB)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(134APB)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、2,2−ビス(3−アミノフェニル)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2’,6,6’−テトラエチル(4,4’−メチレンジアニリン)等が挙げられる。なお、これらのジアミン化合物の中でも、パラフェニレンジアミン(PPD)、メタフェニレンジアミン(MPDA)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MDA)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(34ODA)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(133APB)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(134APB)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)が好ましい。また、これらのジアミン化合物は、単独で用いられてもよいし、2種以上混合して用いられてもよい。
また、テトラカルボン酸エステル化合物と多価アミン化合物とのモル比は、通常、55:45から45:55の範囲内である。なお、テトラカルボン酸エステル化合物と多価アミン化合物とのモル比は、本発明の趣旨を損なわない限り、上記以外の比に適宜変更可能である。
溶媒は、テトラカルボン酸エステル化合物および多価アミン化合物を溶解する。溶媒としては、例えば、上述のテトラカルボン酸エステルを誘導形成するためのアルコール類であるのが好ましい。なお、この溶媒には、アルコール類以外にN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、芳香族炭化水素等が添加されていてもかまわない。
活物質粒子としては、例えば、ケイ素粒子、酸化ケイ素(SiO)粒子、ケイ素合金粒子、錫粒子等が挙げられる。これらの活物質は高容量であるため、電極を薄く形成しても電極として成り立たせることができ、高容量の電池が設計できるため好ましい。また、電極を薄く形成できることで、電子が通りやすくなるので好ましい。
ケイ素合金としては、ケイ素と他の1種以上の元素との固溶体、ケイ素と他の1種以上の元素との金属間化合物、ケイ素と他の1種以上の元素との共晶合金などが挙げられる。ケイ素合金の作製方法としては、アーク溶解法、液体急冷法、メカニカルアロイング法、スパッタリング法、化学気相成長法、焼成法などが挙げられる。特に、液体急冷法としては、単ロール急冷法、双ロール急冷法、およびガスアトマイズ法、水アトマイズ法、ディスクアトマイズ法などの各種アトマイズ法が挙げられる。
また、活物質粒子は、上述の活物質粒子を金属等で被覆したコア−シェル型の活物質粒子であってもかまわない。このようなコア−シェル型の活物質粒子は、無電解めっき法、電解めっき法、化学還元法、蒸着法、スパッタリング法、化学気相成長法などによって製造される。シェル部分は、集電体を形成する金属と同じ金属で形成されるのが好ましい。このような活物質粒子を焼結すると、集電体との結合性が大きく向上し、優れた充放電サイクル特性を得ることができるからである。また、活物質粒子には、リチウムと合金化する材料からなる粒子が含まれていてもよい。そのような材料としては、例えば、ゲルマニウム、錫、鉛、亜鉛、マグネシウム、ナトリウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム及びこれらの合金などが挙げられる。
また、活物質粒子は、シランカップリング剤で表面処理されてもよい。このように活物質粒子を処理すれば、電極用合剤スラリー中に活物質粒子を良好に分散することができる共に、ポリイミド樹脂に対する活物質の結着性を高めることができるからである。
活物質粒子は、平均粒子径が0.5μm以上20μm未満であるのが好ましく、0.5μm以上10μm未満であるのが好ましい。活物質粒子の粒子径が小さいほど、良好なサイクル特性が得られる傾向がある。なお、ここにいう平均粒子径は、粒径分布測定装置マイクロトラックMT3100II(日機装株式会社製)を用いてレーザ回折・散乱法により測定される。また、平均粒子径が小さい活物質粒子を用いると、充放電反応でのリチウムの吸蔵・放出に伴う活物質粒子の体積の膨張・収縮の絶対量が小さくなる。このため、充放電反応時の電極内での活物質粒子間の歪みの絶対量も小さくなる。したがって、ポリイミド樹脂製の鋳型の破壊が生じず、電極内の集電性の低下を抑制することができ、良好な充放電特性を得ることができる。また、活物質粒子の粒度分布は、できる限り狭いのが好ましい。粒度分布が幅広いと、粒度が大きく異なる活物質粒子間において、リチウムの吸蔵・放出に伴う体積の膨張・収縮の絶対量に大きな差が存在することになるため、活物質層内に歪みが生じ、ポリイミド樹脂製の鋳型の破壊が生じるおそれが高くなるからである。
なお、活物質粒子は、主にテトラカルボン酸エステル化合物、多価アミン化合物および溶媒からなるポリイミド前駆体ワニス中に分散された状態で存在する。また、本局面に係る活物質粒子は、リチウムイオン二次電池等の非水系二次電池の負極用の活物質粒子である。
また、この電極用合剤スラリーには、導電性付与剤としての炭素材料や金属材料を含まない。
本発明の第2局面に係る電極は、集電体および活物質層を備える。
前記集電体は導電性金属箔であるのが好ましい。このような導電性金属箔は、例えば、銅、ニッケル、鉄、チタン、コバルト等の金属、または、これらの金属を組み合わせて得られる合金から形成される。
また、集電体は、活物質層との結着性を向上させるために、粗面化されるのが好ましい。なお、その箔表面に電解銅または電解銅合金を設けることにより、集電体を粗面化させてもかまわない。また、粗面化処理を施すことにより、集電体を粗面化させてもかまわない。このような粗面化処理としては、例えば、気相成長法、エッチング法、研磨法などが挙げられる。気相成長法としては、スパッタリング法、CVD法、蒸着法などが挙げられる。エッチング法としては、物理的エッチングや化学的エッチングによる方法が挙げられる。研磨法としては、サンドペーパーによる研磨やブラスト法による研磨などが挙げられる。
なお、本局面に係る集電体は、リチウムイオン二次電池等の非水系二次電池の負極用の集電体である。
活物質層は、上述の電極用合剤スラリーから得られる。また、この活物質層は、集電体を被覆する。つまり、活物質層は、集電体上に形成される。なお、この活物質層は、主に、活物質粒子およびポリイミド樹脂から構成される。ポリイミド樹脂は、主に、テトラカルボン酸由来単位と多価アミン由来単位とから形成されている。ポリイミド樹脂は、集電体への被覆の際には活物質粒子を均質に包含しつつ、活物質同士が接触するような微細な隙間も有している。この集電体を加熱焼成することで、ポリイミド前駆体がイミド化反応および架橋反応を起こし、ポリイミド樹脂となる。この活物質層において、ポリイミド樹脂は、集電体と活物質粒子とを結着させる役目を担う。
上述の電極用合剤スラリーから本局面に係る電極を形成するには、上述の電極用合剤スラリーを集電体上に塗布した後、その塗膜を焼成すればよい。なお、塗膜の焼成は、例えば、真空下・窒素雰囲気下・アルゴン雰囲気下などの非酸化性雰囲気下や、水素雰囲気などの還元性雰囲気下で行なわれるのが好ましい。焼成温度は、上記電極用合剤スラリー中のポリイミド前駆体がイミド化し十分に高分子量体になる温度以上であり、且つ、集電体及び活物質粒子の融点以下であるのが好ましい。なお、本発明に係る電極用合剤スラリーの推奨焼成温度は、100度Cから400度Cの間の温度である。なお、この電極用合剤スラリーの焼成温度は、100度Cから350度Cの間の温度であることがより好ましく、150度Cから350度Cの間の温度であることがさらに好ましく、200度Cから350度Cの間の温度であることがさらに好ましい。これは、熱による集電体の劣化を防ぐと共に、ポリイミド樹脂の架橋構造を保つためである。焼成方法としては、例えば、通常の恒温炉を使用する方法や、放電プラズマ焼結法、ホットプレス法が挙げられる。このようにして集電体上またはアンダーコート層上に活物質層が形成されることにより、活物質層において、ポリイミド樹脂により活物質粒子同士のみならず活物質粒子と集電体とが強固に結着される。
また、塗膜の焼成前に、その塗膜を集電体とともに圧延してもよいし、圧延しなくてもよいが、圧延しない方が好ましい。なお、塗膜を集電体とともに圧延すれば、「塗膜中の活物質粒子の充填密度」、「活物質粒子間の密着性」および「活物質粒子と集電体との密着性」が高くなりすぎ、充放電サイクルの寿命が低下するからである。その一方、圧延しなければ、集電体やポリイミド樹脂製の鋳型の破壊を防ぎ、その結果、良好な充放電サイクル特性を得ることができる。
本局面に係る電極において、活物質層中のポリイミド樹脂の含有量は、活物質層の総重量の5重量%以上50重量%以下であるのが好ましく、10重量%以上30重量%以下であるのがより好ましく、10重量%以上20重量%以下であるのがさらに好ましい。活物質層中に占めるポリイミド樹脂の体積含有量は、活物質層の総体積の5体積%以上50体積%以下であるのが好ましい。活物質層におけるポリイミド樹脂の含有量が5重量%未満または5体積%未満であると、活物質粒子同士の密着性、活物質粒子と集電体との密着性が不十分となるおそれがあり、活物質層におけるポリイミド樹脂の含有量が50重量%超または50体積%超であると、電極内の抵抗が増加し、初期の充電が困難になるおそれがあるからである。
本発明の電極用合剤スラリーはテトラカルボン酸エステル化合物と多価アミン化合物をバインダの前駆体として用いることで、ケイ素のような高容量の活物質も集電体に強固に決着させることができ、導電助剤がなくても電極として成り立たせることができる。また、導電助剤を含まないことで、精度の高い混練工程が不要になるため生産性を向上させることができる。また、本発明に係る電極用合剤スラリーは導電助剤を含まないため、電極の面方向の通電が抑制されることで発熱や発火の恐れが少なくなり、リチウムイオン二次電池の安全性を向上させることができる。また、本発明の電極用合剤スラリーは導電助剤のような混合物を含まないため、バインダが本来の結着力を発揮することができ、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を向上させることができる。
以下、実施例を用いて本実施の形態に係る電極用合剤スラリー及び電極について詳細に説明する。
1.リチウムイオン二次電池の作製
(1)ポリイミド前駆体溶液の調製
500mLの3つ口フラスコに、ポリテトラフルオロエチレン製攪拌羽付きの攪拌棒を取り付けて合成容器を形成した。そして、その合成容器に、固形分が50重量%となるように3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)39.8g(0.123mol)と、エタノール(沸点78度C、HOMO−11.13eV)45.6gとを投入した後、その内容物を60度Cに加熱しながら2時間攪拌してBTDAのエステル化合物溶液を得た。その後、BTDAのエステル化合物:MPDAのモル比が1:1.1となるようにメタフェニレンジアミン(MPDA)14.7g(0.136mol)を合成容器中に加え、その内容物をさらに60度Cで1時間攪拌して電極用バインダ組成物を調製した。
(1)ポリイミド前駆体溶液の調製
500mLの3つ口フラスコに、ポリテトラフルオロエチレン製攪拌羽付きの攪拌棒を取り付けて合成容器を形成した。そして、その合成容器に、固形分が50重量%となるように3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)39.8g(0.123mol)と、エタノール(沸点78度C、HOMO−11.13eV)45.6gとを投入した後、その内容物を60度Cに加熱しながら2時間攪拌してBTDAのエステル化合物溶液を得た。その後、BTDAのエステル化合物:MPDAのモル比が1:1.1となるようにメタフェニレンジアミン(MPDA)14.7g(0.136mol)を合成容器中に加え、その内容物をさらに60度Cで1時間攪拌して電極用バインダ組成物を調製した。
(2)負極の作製
上述のポリイミド前駆体溶液2.0gに、平均粒子径2.1μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)5.2gを添加した後に遊星式(自公転式)ミキサー(株式会社シンキー製)によりよく混ぜ合わせて、電極用合剤スラリーを調製した。
上述のポリイミド前駆体溶液2.0gに、平均粒子径2.1μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)5.2gを添加した後に遊星式(自公転式)ミキサー(株式会社シンキー製)によりよく混ぜ合わせて、電極用合剤スラリーを調製した。
この電極用合剤スラリーを、集電体である粗面粗さ(算術平均粗さ)Rzが4.0μmである電解銅箔(厚み35μm)の片面(粗面)に、乾燥後の厚みが4μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。負極中間体をφ11mmの円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、200℃で10時間熱処理(焼成)し、焼結して負極を作製した。
(3)対極
対極は、厚み0.5mmのリチウム金属箔をφ13mmの円形状に切り抜いて作製した。
対極は、厚み0.5mmのリチウム金属箔をφ13mmの円形状に切り抜いて作製した。
(4)非水電解液
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比1:1で調合した溶媒に対してLiPF6が1モル/LとなるようにLiPF6を溶解させた非水電解液を用いた。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比1:1で調合した溶媒に対してLiPF6が1モル/LとなるようにLiPF6を溶解させた非水電解液を用いた。
(5)リチウムイオン二次電池の作製
上述ようにして作製された負極、対極および非水電解液をCR2032型SUS製コインセル内部に組み込んでリチウムイオン二次電池を作製した。
上述ようにして作製された負極、対極および非水電解液をCR2032型SUS製コインセル内部に組み込んでリチウムイオン二次電池を作製した。
なお、正極と対極とは、ポリプロピレン製セパレータ(Celgard2400:セルガード社製)をガラス繊維布帛で補強したものを介して対向するように配置された。
2.リチウムイオン二次電池の充放電サイクル試験
上述のようにして得られたリチウムイオン二次電池の充放電サイクル試験を行った。充放電サイクル試験は、環境温度を30℃とし、充放電速度を0.1Cとし、カットオフ電圧を充電時0.0V、放電時1.0Vとし、充放電サイクルを50回として行い、1サイクル毎に放電容量を(mAh/g)を計測した。また、維持率として、「第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比」および「第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比」を求めた。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、2.7mAh/cm2であった(表1参照)。
その結果、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は91%であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は79%であった(表1参照)。
上述のようにして得られたリチウムイオン二次電池の充放電サイクル試験を行った。充放電サイクル試験は、環境温度を30℃とし、充放電速度を0.1Cとし、カットオフ電圧を充電時0.0V、放電時1.0Vとし、充放電サイクルを50回として行い、1サイクル毎に放電容量を(mAh/g)を計測した。また、維持率として、「第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比」および「第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比」を求めた。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、2.7mAh/cm2であった(表1参照)。
その結果、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は91%であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は79%であった(表1参照)。
200mLの3つ口フラスコに、ポリテトラフルオロエチレン製の攪拌羽を取り付けた攪拌棒を取り付けて合成容器とした。そして、その合成容器に、ポリイミド前駆体溶液の固形分が28重量%となるように10.2g(0.032mol)の3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)(ダイセル化学工業株式会社製)と、2.9g(0.063mol)のエタノール(上野化学工業株式会社製)とを投入した後、合成容器中の内容物を90度Cで加熱しながら1時間攪拌してBTDAジエステル溶液を調製した。BTDAジエステル溶液を45度C以下に冷却した後、そのBTDAジエステル溶液に4.81g(0.032mol)の3,5−ジアミノ安息香酸(3,5−DABA)(東京化成工業株式会社製)を添加し、再び50度Cに加熱しながら1時間攪拌してポリイミド前駆体溶液を調製した。さらに、そのポリイミド前駆体溶液を#300のSUSメッシュでろ過した。
上述のポリイミド前駆体溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、その電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、2.7mAh/cm2であった(表1参照)。
その結果、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は91%であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は79%であった(表1参照)。
(比較例1)
「上述のポリイミド前駆体溶液1.9gに、平均粒子径2.1μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)4.7gと、一次粒子径39.5nmのケッチェンブラック(福田金属箔粉工業株式会社製)0.3gとを添加したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、2.4mAh/cm2であった(表1参照)。
「上述のポリイミド前駆体溶液1.9gに、平均粒子径2.1μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)4.7gと、一次粒子径39.5nmのケッチェンブラック(福田金属箔粉工業株式会社製)0.3gとを添加したこと」以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、実施例1と同様にしてその電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、2.4mAh/cm2であった(表1参照)。
その結果、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は78%であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は65%であった(表1参照)。
(比較例2)
「上述のポリイミド前駆体溶液1.9gに、平均粒子径2.1μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)3.2gと、一次粒子径39.5nmのケッチェンブラック(福田金属箔粉工業株式会社製)0.2gとを添加したこと」以外は、実施例2と同様にして電池を作製し、その電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、2.4mAh/cm2であった(表1参照)。
「上述のポリイミド前駆体溶液1.9gに、平均粒子径2.1μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)3.2gと、一次粒子径39.5nmのケッチェンブラック(福田金属箔粉工業株式会社製)0.2gとを添加したこと」以外は、実施例2と同様にして電池を作製し、その電池の充放電サイクル特性を測定した。なお、このリチウムイオン二次電池の電極面積あたりの容量密度は、2.4mAh/cm2であった(表1参照)。
その結果、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は83%であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は72%であった(表1参照)。
上記結果より、本発明に係る導電助剤を含まない電極用合剤スラリーは、従来の導電剤を含む電極用合剤スラリーと比較してリチウムイオン二次電池の充放電サイクル特性を向上させることが明らかとなった。
(1)電池の作製方法
実施例1で作製した電極用合剤スラリーを、集電体となる厚み35μm、粗面粗さRzが4.0μmの電解銅箔の粗面に、乾燥後のスラリー層厚みが4μmとなる様塗布した。これを、幅4.1cm、長さ180.7cm、かつ集電タブとなる負極集電体の露出部を含むように裁断し、乾燥させて負極を作製した。
実施例1で作製した電極用合剤スラリーを、集電体となる厚み35μm、粗面粗さRzが4.0μmの電解銅箔の粗面に、乾燥後のスラリー層厚みが4μmとなる様塗布した。これを、幅4.1cm、長さ180.7cm、かつ集電タブとなる負極集電体の露出部を含むように裁断し、乾燥させて負極を作製した。
正極に、活物質をリン酸鉄リチウムとした合剤スラリーを、厚み20μmの電解アルミニウム箔に、プレス後の厚みが50μm前後となる様塗布した。これを、幅4.0cm、長さ181.0cm、かつ集電タブとなる正極集電体両面の露出部を含むように裁断し、乾燥させて正極を作製した。
この正極と負極を、実施例1及び2で用いたセパレータを介しつつ、重ね合わせた。その際、巻き始め端となる側には、集電タブを含む正極の短辺と、それぞれの負極の短辺が重なるようにし、正極の長辺とそれぞれの負極の長辺とが重なるようにした。
そして、この正極とセパレータ及び負極の積層体を、前記の巻き始め端部から渦巻き形に巻回し、巻き終わり部をテープで固定して、巻回電極体とした。
正極の合計容量P及び負極の合計容量Nは、P=1.0Ah、N=2.0Ahであり、N/P=2.0であった。
正極の合計容量P及び負極の合計容量Nは、P=1.0Ah、N=2.0Ahであり、N/P=2.0であった。
前記の巻回電極体を金属製のラミネート袋へ封入し、実施例1及び2で用いた電解液を注入した後、両極タブの先端の一部を袋外へはみ出した形で封止して、平面型リチウムイオン二次電池を作製した。
(2)電池の安全試験方法
前記の電池を用いて、平面に対し釘刺しによる安全試験を行ったところ、短絡状態ながらも発煙はみられなかった。
(表2参照)
前記の電池を用いて、平面に対し釘刺しによる安全試験を行ったところ、短絡状態ながらも発煙はみられなかった。
(表2参照)
(比較例3)
比較例1で作製した電極用ケイ素合剤スラリー使用し、幅4.6cm、長さ181cmに裁断したこと以外は、実施例3と同様にして電池を作製した。この電池の正極の合計容量P及び負極の合計容量Nは、P=1.0Ah、N=2.0Ahであり、N/P=2.0であった。
これを、実施例3と同様の安全試験を実施したところ、発煙がみられた。(表2参照)
比較例1で作製した電極用ケイ素合剤スラリー使用し、幅4.6cm、長さ181cmに裁断したこと以外は、実施例3と同様にして電池を作製した。この電池の正極の合計容量P及び負極の合計容量Nは、P=1.0Ah、N=2.0Ahであり、N/P=2.0であった。
これを、実施例3と同様の安全試験を実施したところ、発煙がみられた。(表2参照)
上記の結果より、本発明に係る電極用合剤スラリーは、模擬的な内部短絡状態においても局部的発熱の集中を回避することができたため、結果発煙はみられなかった。
これにより、従来の電極用合剤スラリーと比較して本発明の電極用合剤スラリーを用いることでリチウムイオン二次電池の安全性を向上させることが明らかとなった。
本発明に係る電極用合剤スラリーは、従前の電極用合剤スラリーよりもリチウムイオン二次電池等の充放電サイクル特性を向上させることができると共に、リチウムイオン二次電池等の安全性を高めることができるため、リチウムイオン二次電池等の非水系二次電池の負極活物質層を形成する電極用合剤スラリーとして有用である。
Claims (12)
- 少なくとも1種のテトラカルボン酸エステル化合物と、
少なくとも1種の多価アミン化合物と、
前記テトラカルボン酸エステル化合物および前記多価アミン化合物を溶解する溶媒と、
活物質粒子とを含有する電極用合剤スラリーであって、
前記電極用合剤スラリーは導電助剤を含まないことを特徴とする電極用合剤スラリー。 - 前記テトラカルボン酸エステル化合物は、下記化学式(A)〔式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立に水素、炭素数1から8の炭化水素基(ヘテロ原子を含んでもよく、官能基または置換基を有していてもよい)、またはフェニル基を表わす。また、R’は下記化学式(A−1)または下記化学式(A−2)(式中、XはO、S、CH2、C(CH3)2、COまたは直接結合を表わす)〕で表されるテトラカルボン酸エステル化合物から成る群より選択される少なくとも1種のテトラカルボン酸エステル化合物である請求項1に記載の電極用合剤スラリー。
- 前記多価アミン化合物は、ジアミン化合物または三価アミン化合物である請求項1または2に記載の電極用合剤スラリー。
- 前記多価アミン化合物はアニオン性基を含む請求項1から3に記載の電極用合剤スラリー。
- 前記アニオン性基は、カルボキシル基である請求項4に記載の電極用合剤スラリー。
- 前記ジアミン化合物は、下記化学式(B)〔式中、R”は下記化学式(B−1)または下記化学式(B−2)(式中、YはO、S、C(CH3)2、COまたは直接結合を表わす)〕で表されるジアミン化合物から成る群より選択される少なくとも1種のジアミン化合物である請求項3に記載の電極用合剤スラリー。
- 前記ジアミン化合物は、3,4−ジアミノ安息香酸または3,5−ジアミノ安息香酸で
ある請求項3から6に記載の電極用合剤スラリー。 - 前記多価アミン化合物は、モル数が前記テトラカルボン酸エステル化合物のモル数以上である請求項1から7のいずれかに記載の電極用合剤スラリー。
- 請求項1に記載の活物質がケイ素、スズ、鉛、アルミニウム、インジウム、亜鉛を含む金属、または金属酸化物である請求項1から8に記載の電極用合剤スラリー。
- 前記活物質がSi、またはSiOである請求項1から9に記載の電極用合剤スラリー。
- 前記Si、またはSiOの平均粒子径が0μm超10μm未満である請求項1から10に記載の電極用合剤スラリー。
- 集電体と、
請求項1から11のいずれかの電極用合剤スラリーを被覆する活物質層と
を備える、電極。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014096327A (ja) * | 2012-11-12 | 2014-05-22 | Toyota Industries Corp | 硫黄系活物質とその製造方法及びリチウムイオン二次電池用電極 |
WO2020071056A1 (ja) * | 2018-10-03 | 2020-04-09 | Jfeケミカル株式会社 | ペースト組成物、二次電池用電極材料、二次電池用電極および二次電池 |
-
2012
- 2012-07-31 JP JP2012170014A patent/JP2014029802A/ja active Pending
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