JP2014029308A - 試料用シート及び試料の製作方法 - Google Patents

試料用シート及び試料の製作方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 走査電子顕微鏡により試料を観察する際に、生の試料表面を観察可能とするとともに、EDX等の元素分析を行う場合にコーティング材が検出される事態を回避でき、かつ、試料の作製に要する工数を減少可能とする。
【解決手段】 走査電子顕微鏡を用いて観察される対象物を採取するための試料用シート10であって、対象物を採取していない状態で、導電性が付与されており、対象物を含む懸濁液が当該試料用シートの表面に滴下されると、懸濁液を濾過して、対象物を捕捉する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)により観察される生体や微粒子などの観察対象物を試料として採取するための試料用シート、及び、この試料用シートを用いた試料の製作方法に関し、特に、走査電子顕微鏡内でチャージアップすることなく、生の試料表面の微細構造を観察するのに好適な試料用シート及び試料の製作方法に関する。
走査電子顕微鏡は、真空中で電子線を絞り、電子ビームとして対象物に照射し、その対象物から放出される二次電子、反射電子、透過電子、X線、カソードルミネッセンス(蛍光)、内部起電力等を検出することで、その対象物を観察する電子顕微鏡である。
ところで、従来から微生物や微粒子などの試料を走査電子顕微鏡で観察する際には、濾過器を用いて濾紙上に観察対象物を捕捉する手法がとられている(例えば、特許文献1、2参照)。
一般的に流通している濾紙は、セルロース、セルロース混合エステル、セルロースアセテート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレンなど、非電導性の材料で形成されている。このため、例え観察対象物自体が導電性を有していても、基材となる濾紙に導電性がないことから、観察対象物を捕捉後に、カーボンや金属などの導電性コーティングを施してからSEM観察を行うのが一般的である(例えば、特許文献1(段落[0031])、特許文献2(段落[0039])、特許文献3(段落[0037])参照)。
また、上述した手法では、観察対象物の光学顕微鏡を併用する場合に、濾紙がたわみ、視野全面に焦点を合わせることができないため、濾紙自体に剛性を持たせる手法も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
なお、光学顕微鏡は、被写界深度が浅いため、観察の目的では、電子顕微鏡の使用が一般的である。
特開2008−286591号公報 特開2007−127544号公報 特開2009−139109号公報 特開2012−76027号公報
しかしながら、上述した従来の手法を開示する特許文献1〜4に記載の技術においては、次のような問題があった。
例えば、特許文献1、2に開示されているように、観察対象物の上に導電性コーティングを施した場合、コーティング膜が観察対象物を覆ってしまうため、生の試料表面が見られないという問題があった。
また、コーティングが不均一である場合は、コーティング粒子により微細構造を正しく把握できないという問題もあった。
さらに、エネルギー分析型X線分析(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)等の元素分析を行う場合は、最表面の導電性コーティング材が多く検出され、望ましい分析結果が得られないという問題があった。
しかも、従来の手法では、観察対象物を濾紙上に捕捉してから、その都度、導電性コーティングを付与するため、作業工数がかかるという問題もあった。
また、特許文献3に記載の技術は、SEM−EDX(走査電子顕微鏡及びエネルギー分析型X線分析装置)を用いて測定対象の成分分析を行う際に、濾紙上に金属製の被膜を形成することで、濾紙の成分が検出されるのを防止している。ところが、走査電子顕微鏡を用いて対象物の表面観察を行うときは、対象物の表面に導電性コーティングを施すこととしていることから(段落[0037])、特許文献1、2に記載の技術を実施して生じる問題が、特許文献3に記載の技術を実施した場合にも同様に生じてしまう結果となっていた。
なお、特開2006−112888公報には、特許文献3に記載の技術に近似した技術が記載されている。ところが、同公報には、走査電子顕微鏡を用いて対象物を観察することについての開示がない。よって、同公報は、特許文献1〜3に記載の技術を実施して生じる上記問題を開示しておらず、この問題を解決するための技術についても開示するものではなかった。
さらに、特許文献4に記載の技術は、フィルターに剛性を持たせた技術であるが、フィルターの素材として、シリコンウェハ等の半導体やステンレスなどを用いることとしていた。そうすると、これらの素材に微細加工を施す必要があり、工数を要するとともに、材料が高価であるという問題があった。
本発明は、上記の問題を解決すべくなされたものであり、走査電子顕微鏡により試料を観察する際に、生の試料表面を観察可能とするとともに、EDX等の元素分析を行う場合にコーティング材が検出される事態を回避でき、かつ、試料の作製に要する工数を減少可能とする試料用シート及び試料の製作方法の提供を目的とする。
この目的を達成するため、本発明の試料用シートは、走査電子顕微鏡を用いて観察される対象物を採取するための試料用シートであって、対象物を採取していない状態で、導電性が付与されており、対象物を含む懸濁液が当該試料用シートの表面に滴下されると、懸濁液を濾過して、対象物を捕捉する構成としてある。
また、本発明の試料の製作方法は、走査電子顕微鏡を用いて観察される試料を製作する方法であって、上記の試料用シートの上に観察対象物を含む懸濁液を滴下し、試料用シートの下部より吸引して懸濁液を濾過し、試料用シートの上に観察対象物を捕捉することにより、試料を製作する方法としてある。
本発明の試料用シート及び試料の製作方法によれば、予め試料用シートに導電性が付与されているため、観察対象物が微粒子の場合は、観察対象物の導電性の有無に関係なく、チャージアップすることなく、生の試料表面の微細構造観察が可能となる。
また、試料の表面にコーティングを施す必要がないため、EDX等の元素分析を行う場合に、そのコーティング材が検出されることがない。
さらに、試料用シートが一般の濾紙に導電性を付与したものであるため、観察試料の作成においては、安価であること、追加される工数が少ないことなどの利点がある。
本発明の実施形態における試料用シートの構成を模式的に示す拡大断面図である。 本発明の実施形態における試料用シートの他の構成を模式的に示す拡大断面図である。 本発明の実施形態における試料用シートのさらに他の構成を模式的に示す拡大断面図である。 本発明の実施形態における試料の製作方法の手順を示すフローチャートである。 実施例1における試料のSEM像である。 比較例における試料のSEM像である。 実施例2における試料のSEM像である。
以下、本発明に係る試料用シート及び試料の製作方法の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
[試料用シート]
まず、本発明の試料用シートの実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。
図1〜図3は、本実施形態の試料用シートの構成を模式的に示す断面図である。
これらの図に示すように、本実施形態の試料用シート10(10a〜10c)は、走査電子顕微鏡を用いて観察される対象物を採取するためのシートであって、液体を透過させる機能を有した液体透過性膜11(11a、11b)に導電性を付与したものである。
液体透過性膜11は、観察対象物が分散した懸濁液を濾過することが可能なフィルターである。
この液体透過性膜11の素材としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、ポリカーボネート(PC)、ポリテレフタル酸エチレン(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエステル(PES)、グラスファイバー、セルロース、セルロース混合エステル、セルロースアセテート、ナイロン(登録商標)等を挙げることができる。これらは、高分子であるため、導電性を持たない。また、その状態は、例えば、繊維状、網状、フィルム状、紙状、不織布状等のいずれであってもよい。
この液体透過性膜11は、観察対象物が分散した懸濁液が滴下された場合に、液を透過し、観察対象物を透過しないような微小の孔(濾過孔12)を有している。
この濾過孔12の孔径は、観察対象物である生体や微粒子を捕捉可能な大きさ、例えば、0.05μm〜30μm程度とするのが好ましい。ただし、濾過孔12の孔径は、観察しようとする対象物の大きさによって選択されるべきものである。
液体透過性膜11の厚さは、SEM観察の際の加工や取扱い易さから、50μm〜1mm程度であることが好ましい。
この液体透過性膜11には、例えば、市販されている濾紙を使用することができる。市販されている濾紙は、上記の各条件を略満たすものであり、なおかつ、安価で微細追加工の必要性がないことから、試料用シート10の基材として適している。
また、液体透過性膜11には、例えば、メンブレンフィルター(Membrane filter)を用いることができる。メンブレンフィルターは、フッ素樹脂やセルロースアセテートなどを材料として形成された高分子フィルムに、孔径の揃った多数の濾過孔12を穿設したものである。メンブレンフィルターは、比較的安価であり、取扱いが容易なことから、試料用シート10の基材として適している。
このメンブレンフィルターに濾過孔12を形成する方法としては、例えば、トラックエッチ法を用いることができる。トラックエッチ法とは、メンブレンフィルターである高分子フィルムにイオンを照射してポリマ鎖を破断し、アルカリ溶液などを用いて化学エッチング法で孔を開ける方法をいう。
なお、図1〜図3においては、濾過孔12が直線状の貫通孔として図示されているが、これは、液体透過性膜11としてメンブレンフィルターを用いた場合の濾過孔12の形状を模式的に示したものである。
これに対し、液体透過性膜11が例えば濾紙の場合、濾紙は、木材パルプや綿パルプなどの繊維を含む溶液を抄紙機で抄いて(抄紙して)乾燥させるという過程を経て製造されるため、濾過孔12は、直線状ではなく、繊維の絡み合いによって形成される。よって、このような濾紙における濾過孔12は、メンブレンフィルターの濾過孔12のように直線状の貫通孔として形成されるものではないが、濾紙の厚さ方向に液体を通す微細な孔であり、表面に滴下された懸濁液を濾過する点で、メンブレンフィルターの濾過孔12と共通する。
この液体透過性膜11を基材とする試料用シート10に対しては、対象物を採取していない状態で、導電性が付与される。
この導電性を付与する手法としては、図1、図3に示すように、液体透過性膜11の表面に導電性膜13を形成する手法と、図2、図3に示すように、液体透過性膜11そのものに導電性を付与する手法がある。
図1、図3に示す試料用シート10(10a、10c)は、液体透過性膜11の一方の面(各図においては、液体透過性膜11の上面)に導電性膜13が形成された二層構造となっている。
導電性膜13は、導電性を有する材料、例えば、炭素、あるいは金や白金などの貴金属を材料として形成された膜である。
図2、図3に示す試料用シート10(10b、10c)は、液体透過性膜11そのものに導電性を付与したものである。
すなわち、液体透過性膜11(図2、図3においては、液体透過性膜11b)が導電性高分子を材料として形成されている。
これらの手法により、液体透過性膜11を基材とする試料用シート10に対して導電性を付与することができる。
また、図3に示すように、液体透過性膜11自体を導電性の材料で形成するとともに、その液体透過性膜11の表面に導電性膜13を形成した構成としてもよい。
このように、試料用シート10に導電性を付与することにより、次のような効果を奏する。
例えば、微生物や微粒子などを対象物として走査電子顕微鏡(SEM)で観察する際に用いる試料用シート10上に観察対象物を捕捉する手法において、観察対象物が微粒子であれば、予め試料用シート10に導電性膜13が付与されていることで、観察対象物の導電性有無に関わりなく、チャージアップすることなく、生の試料表面の微細構造観察が可能となる。
[試料用シートに導電性を付与する方法]
次に、試料用シート10に導電性を付与する具体的な方法について説明する。
試料用シート10に対する導電性の付与の手法には、上述したように、液体透過性膜11の表面に導電性膜13を形成する手法と、液体透過性膜11自体に導電性を付与する手法がある。
これらの手法を実現する具体的な方法について、以下、説明する。
(1)液体透過性膜11の表面に導電性膜13を形成する
この手法を実現するための具体的な方法としては、例えば、スパッタリング法を挙げることができる。
スパッタリング法は、真空蒸着に類する薄膜形成法の一つであって、真空チャンバ内に、薄膜として付着させたい金属等をターゲットとして設置し、高電圧をかけてイオン化させた希ガス元素や窒素を衝突させることで、ターゲット表面の原子をはじき飛ばし、基板に到達させて成膜するものである。
ここで、ターゲットとして、炭素あるいは金や白金などの貴金属を対極として用い、これらの材料を基板である液体透過性膜11に対して付着させる。これにより、それら炭素や貴金属からなる導電性膜13を液体透過性膜11の表面に形成することができる。
このスパッタリング法は、装置が安価であり、操作が簡単であるとともに、比較的均質な薄い導電性膜13が得られるといった利点がある。
また、本発明では、予め導電性膜13を付与した試料用シート10を用いて試料を収集するため、耐薬品性、耐磨耗性などが求められる。
本発明に用いることが可能な導電性膜13を付与する方法としては、このスパッタリング法以外に、例えば、イオンプレーティング法、CVD法、蒸着法、イオンビーム法、無電解メッキなどを挙げることができ、さらには、これらを併用した方法を用いることもできる。
ここで、導電性膜13の材料として炭素を用いる場合は、この導電性膜13を付与する装置として、カーボン蒸着機を用いることができる。
カーボン蒸着機は、真空中で炭素を高温に加熱することで蒸発させ、液体透過性膜11の表面に付着させて、炭素の膜を形成する装置である。
このカーボン蒸着機には、炭素を材料とするシャープペンシルの替え芯を利用して成膜するものが市販されており、安価で十分な導電性付与が可能である。このため、導電性コーティングの材料として炭素を用いる利点は大きい。
しかも、炭素は、二次電子放出率が高くないため、バックグラウンドが暗くなるといった利点もある。
(2)液体透過性膜11自体に導電性を付与する
この手法を実現する具体的な方法として、次の二つの方法がある。
第一の方法は、液体透過性膜11を形成する樹脂に、カーボンや金属粉などの導電性のフィラーを練り込む方法である。
第二の方法は、ポリアセチレンなど導電性を持つ樹脂材料を使って液体透過性膜11を作る方法である。
これらの方法を説明するために、まず、液体透過性膜11として濾紙を用いた場合における、濾紙の製造手順について説明する。
従来から行われている濾紙の製造手順は、次のとおりである。
a:水と原料(繊維)を混ぜる(パルパー)。
b:叩解機により、原料を切断したり、つぶしたりする。
c:抄紙機に設けられた網の上に、水に混ざり合った原料を投入し、水を取り除く。
d:網の上に堆積した原料である紙を乾燥させる。
e:紙を巻き取る
f:シート又はロールに仕上げ加工する。
以上が従来公知の濾紙の製造手順であるが、例えば、上述した第一の方法を行う場合は、aの段階で、原料に導電性フィラーを混ぜ合わせる。また、第二の方法を行う場合は、aの段階で、原料そのものを導電性樹脂とする。
これら第一の方法又は第二の方法を行うことにより、液体透過性膜11である濾紙に対して導電性を付与することができる。
次に、液体透過性膜11としてメンブレンフィルターを用いた場合における、メンブレンフィルターの製造手順について説明する。
メンブレンフィルターは、フッ素樹脂やセルロースアセテートなどを材料として高分子フィルムを形成し、この高分子フィルムに対し、トラックエッチ法などを用いて、孔径の揃った多数の濾過孔12を穿設することにより製造される。
この製造手順において、例えば、上述した第一の方法を行う場合は、原料である高分子材料に導電性フィラーを混ぜ合わせる。また、第二の方法を行う場合は、原料そのものを導電性樹脂とする。
これら第一の方法又は第二の方法を行うことにより、液体透過性膜11であるメンブレンフィルターに対して導電性を付与することができる。
(3)導電性の材料を用いて形成された液体透過性膜11の表面に、さらに導電性膜13を形成する
例えば、(2)に記載した方法で導電性が付与された液体透過性膜11の当該導電性が不十分である場合には、(1)に記載した方法を用いて、その液体透過性膜11の表面に導電層膜13を形成することができる。
この場合、液体透過性膜11自体にある程度の導電性があるので、(1)に記載した方法以外に、例えば、この液体透過性膜11を陰極とする電解メッキなどの方法を用いることができる。
[イオン液体の滴下又は塗布]
次に、試料用シート10へのイオン液体の滴下又は塗布について説明する。
[背景技術]において説明したように、従来では、試料用シートにより捕捉された試料の表面に導電性コーティングを施すことにより、走査電子顕微鏡で試料を観察する際のチャージアップの発生を抑制していた。
また、近年では、導電性コーティングの代わりに、真空中でも揮発しないイオン液体を観察対象物に滴下又は塗布する手法が提案されている。このようにイオン液体を滴下又は塗布することによっても、試料に導電性を付与できるので、チャージアップを抑えることができる。なお、この技術は、例えば、国際公開WO2007−083765号公報や特開2012−83146号公報に開示されている。
ところが、その技術を濾紙を利用した試料調整法に適用する場合、濾紙の全面に十分な導電性を付与する必要があるため、多くのイオン液体が必要となる。
また、イオン液体は、非常に高価である上に、イオン液体が多いと観察対象物がイオン液体に埋没して、SEMの分解能が低下して、微細構造の把握が難しくなる点が課題であった。
そこで、本発明は、予め導電性が付与された濾紙すなわち液体透過性膜11に対して、イオン液体を滴下又は塗布することにより導電性を付与することとした。
このようにすれば、予め液体透過性膜11に導電性が付与されているので、高価なイオン液体の使用量を極めて少なくすることができる。これにより、観察対象物がイオン液体に埋没することないので、高分解能の微細構造観察が可能となる。
なお、イオン液体の適用法としては、例えば、液体透過性膜11上に捕捉した試料に直接塗布する方法の他、観察対象物を含んだ懸濁液に所定の濃度のイオン液体を混ぜておき、これを滴下、濾過することで、イオン液体の微細被膜を有する観察対象物を液体透過性膜11上に捕捉させてもよい。この手法を用いた場合は、懸濁液中のイオン液体濃度を変えることで、イオン液体被膜の厚さを制御することが可能となる。
また、観察対象物が非導電性で大きな物体である場合など、さらに良好な導電性が必要とされるケースでは、導電性膜13の形成に加えて、極少量のイオン液体を塗布するとよい。
[試料の製作方法]
次に、試料用シートを用いた試料の製作方法について、図4を参照して説明する。
同図は、本実施形態の試料の製作方法の手順を示すフローチャートである。
まず、導電性が付与された試料用シート10を準備する(S10)。
この試料用シート10は、[試料用シート]において詳述した試料用シート10であり、対象物を採取していない状態で導電性が付与されているものである。
次に、観察対象物が分散した懸濁液を、試料用シート10に滴下する(S11)。
観察対象物の具体例としては、次のようなものを挙げることができる。
(a)微生物、細菌、細胞試料の形態観察の場合
バクテリア、カビ、赤血球、白血球、リンパ球、プランクトン、大腸菌など
(b)生体試料の形態観察の場合
毛髪、皮膚組織など
(c)微粒子試料の形態観察の場合
粉塵、酸化物、半導体、金属微粒子など
(d)懸濁液の微粒子試料の分散状態把握
ただし、観察対象物は、ここに挙げたもののみに限定されるものではなく、走査電子顕微鏡を用いて観察を行おうとする者が任意に選択することができる。
試料用シート10への懸濁液の滴下は、例えば、ピペットなどを用いて懸濁液を少量吸い取り、試料用シート10の上面に滴下することで行うことができる。
なお、懸濁液にイオン液体を含ませておくことにより、その懸濁液の滴下にともなって、イオン液体も滴下することができる。
続いて、試料用シート10の下部から吸引することで、懸濁液を濾過して、観察対象物を捕捉する(S12)。
ここで、吸引の方法としては、例えば、ブフナーロート、吸引ビン、真空ポンプなどを用いて吸引濾過する方法がある。すなわち、吸引ビンの上部の開口にブフナーロートを差し込み、このブフナーロートの凹部底面に試料用シート10を載置し、その試料用シート10の上面に懸濁液を滴下し、真空ポンプを駆動して吸引ビンの内部の気圧を低下させて、吸引濾過する。これにより、濾液が吸引ビン内に落下し、試料用シート10の上面に観察対象物が残存することで捕捉される。
ただし、吸引の方法は、これらブフナーロートや吸引ビン等を用いた方法に限るものではなく、従来公知の任意好適な方法で行うことができる。
そして、観察対象物が捕捉された試料用シート10の上面に、イオン液体を滴下又は塗布する(S13)。
なお、S11においてイオン液体を懸濁液とともに滴下したときは、S13におけるイオン液体の滴下又は塗布は、行ってもよいし、あるいは、行わなくてもよい。
このような手順を実行することにより、導電性が付与された試料用シート10を用いて試料を製作することができる。
以下、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
(実施例1)
メンブレンフィルター(ミリポア製アイソポアHTTP)にカーボンコーターにて、導電性膜13を付与した後、カーボンブラック懸濁液を滴下し、濾過してSEM試料を製作した。
試料は、アルミ試料台にカーボン両面テープにて固定し、導通確保のため表面から銅テープにて貼り付けてFE−SEM(JEOL製JSM6701F)により観察を行った。
その観察像を図5に示す。同図に示すように、結果としてチャージアップのない、高分解能な観察像が得られた。
なお、同図の観察像に写し出されている直径0.4μm前後の丸い孔は、液体透過性膜11であるメンブレンフィルターの濾過孔12である。
(比較例)
メンブレンフィルター(ミリポア製アイソポアHTTP)に、カーボンブラック懸濁液を滴下し、濾過してSEM試料を製作した。
試料は、アルミ試料台にカーボン両面テープにて固定し、導通確保のため表面から銅テープにて貼り付けてFE−SEM(JEOL製JSM6701F)により観察を行った。
その観察像を図6に示す。同図に示すように、チャージアップの発生により、不鮮明な観察像となり、対象物の観察が困難であった。
なお、同図の観察像に写し出されている直径0.4μm前後の丸い孔は、液体透過性膜11であるメンブレンフィルターの濾過孔12である。
(実施例2)
メンブレンフィルター(アドバンテック東洋製親水性PTFEタイプメンブレンフィルターH020A)にカーボンコーター(真空デバイス製VC−100)にて、導電性膜13を付与した後、カーボンブラック懸濁液を滴下し、濾過してSEM試料を製作した。
試料は、アルミ試料台にカーボン両面テープにて固定し、導通確保のため表面から銅テープにて貼り付けてFE−SEM(JEOL製JSM6701F)により観察を行った。
その観察像を図7に示す。同図に示すように、結果としてチャージアップのない、高分解能な観察像が得られた。
これら実施例1、比較例、実施例2を比較してわかるように、走査電子顕微鏡を用いて観察対象物を観察するに際して、導電性が付与された試料用シート10を用いることにより、チャージアップの発生を抑えて、高分解能な観察像を得ることができる。
以上説明したように、本実施形態の試料用シート及び試料の製作方法によれば、予め濾紙に導電性膜が付与されていることで、観察対象物が微粒子の場合は、観察対象物の導電性の有無に関係なく、チャージアップすることなく、生の試料表面の微細構造観察が可能となる。
また、一般の濾紙に導電性膜を付与するのみであるため、観察試料の作成においては、従来手法からの変更が無いこと、安価であること、追加される工数が少ないことなどがある。さらに、濾紙自体に導電性を持たせる場合、導電性高分子等で構成しても安価に構成することが可能である。
さらに、濾紙に導電性膜が付与されているため、使用するイオン液体は最小限でよく、これに伴い観察対象物がイオン液体に埋没することなく、高分解能の微細構造観察が可能となる。
以上、本発明の試料用シート及び試料の製作方法の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る試料用シート及び試料の製作方法は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、液体透過性膜の例として濾紙を挙げたが、液体透過性膜は、濾紙に限るものではなく、液体を透過して所望の大きさの微粒子等を捕捉する濾過機能を有したものを含むことができる。
本発明は、走査電子顕微鏡を用いて観察される対象物を採取するための試料用シートに利用可能である。
10(10a〜10c) 試料用シート
11(11a、11b) 液体透過性膜(濾紙)
12 濾過孔
13 導電性膜

Claims (9)

  1. 走査電子顕微鏡を用いて観察される対象物を採取するための試料用シートであって、
    前記対象物を採取していない状態で、導電性が付与されており、
    前記対象物を含む懸濁液が当該試料用シートの表面に滴下されると、前記懸濁液を濾過して、前記対象物を捕捉する
    ことを特徴とする試料用シート。
  2. 前記試料用シートの基材が、メンブレンフィルター、又は、所定の繊維を抄紙して形成された濾紙である
    ことを特徴とする請求項1記載の試料用シート。
  3. 前記試料用シートの表面に導電性膜が形成されることにより、前記導電性が付与された
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の試料用シート。
  4. 前記導電性膜が、炭素又は貴金属を材料とする膜である
    ことを特徴とする請求項3記載の試料用シート。
  5. 前記導電性膜が、真空蒸着法により施された
    ことを特徴とする請求項3又は4記載の試料用シート。
  6. 前記試料用シートが導電性高分子を材料として形成されることにより、前記導電性が付与された
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の試料用シート。
  7. 走査電子顕微鏡を用いて観察される試料を製作する方法であって、
    前記請求項1〜6のいずれかに記載の試料用シートの上に観察対象物を含む懸濁液を滴下し、
    前記試料用シートの下部より吸引して前記懸濁液を濾過し、
    前記試料用シートの上に前記観察対象物を捕捉することにより、前記試料を製作する
    ことを特徴とする試料の製作方法。
  8. 前記試料用シートの下部より吸引して前記懸濁液を濾過した後に、前記観察対象物の上にイオン液体を滴下又は塗布する
    ことを特徴とする請求項7記載の試料の製作方法。
  9. 前記懸濁液が、所定の濃度のイオン液体を含む
    ことを特徴とする請求項7又は8記載の試料の製作方法。
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