JP2014029033A - 自溶炉の排ガス中に含まれるダストの処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】自溶炉ダストの排ガス中に含まれるダストからBiを選択的に回収する。
【解決手段】ダストの処理方法は、少なくともBiを含む銅溶錬ダストを水でパルプ化及び浸出して、水浸出パルプを生成する工程と、前記水浸出パルプを液体部分とBiを含む固体部分とに分離した後、該固体部分を酸でパルプ化及び浸出して、Biを含む酸浸出パルプを生成する工程と、前記酸浸出パルプをBiを含む液体部分と固体部分とに分離した後、該液体部分にアルカリ剤を加えてBi沈殿物を生成する工程と、前記Bi沈殿物をHClで溶解してBi溶解液を生成する工程と、前記Bi溶解液からBiを選択吸着性を有するクラウンエーテル化合物で構成された樹脂を用いて選択的に回収する工程とを含む。
【選択図】図1
【解決手段】ダストの処理方法は、少なくともBiを含む銅溶錬ダストを水でパルプ化及び浸出して、水浸出パルプを生成する工程と、前記水浸出パルプを液体部分とBiを含む固体部分とに分離した後、該固体部分を酸でパルプ化及び浸出して、Biを含む酸浸出パルプを生成する工程と、前記酸浸出パルプをBiを含む液体部分と固体部分とに分離した後、該液体部分にアルカリ剤を加えてBi沈殿物を生成する工程と、前記Bi沈殿物をHClで溶解してBi溶解液を生成する工程と、前記Bi溶解液からBiを選択吸着性を有するクラウンエーテル化合物で構成された樹脂を用いて選択的に回収する工程とを含む。
【選択図】図1
Description
本発明は銅製錬で用いる自溶炉の排ガス中に含まれるダストの処理方法に関する。
銅製錬で用いる溶錬炉には、溶鉱炉、反射炉及び自溶炉等がある。このうち、自溶炉は、熱効率が高く燃料消費量を低減できる、反応性に優れ生産性が高い、公害対策がとりやすい、及び、自動化・機械化が容易等の種々の利点を有し、現在では溶錬炉の主流となっている。
自溶炉を運転する際、自溶炉からダストを含む排ガスが生じる。排ガス中のダストには種々の有用な金属成分が含まれており、その回収方法が研究・開発されている。このようなダストに含まれる金属成分のうち、Biの回収方法が、例えば、非特許文献1に開示されている。
図4に、非特許文献1に記載の自溶炉ダストの排ガス中に含まれるダストの処理方法のフローチャートを示す。非特許文献1では、自溶炉ダストを電気集塵機から直接スラリー化タンクに投入し、可溶性の硫酸銅、硫酸カドミウム及び硫酸亜鉛等を水浸出した後、硫酸工場からの廃酸を混ぜ、酸浸出する。このときの浸出残渣は自溶炉に戻される。次に、浸出液にCaCO3及びNaHSO3を添加して部分中和を行い、Biを部分中和残渣として回収する。ここで添加されるNaHSO3は、酸化還元電位(ORP)を制御してFeAsO4の共沈を防ぐために用いられている。部分中和後液は、NaHSで硫化処理された後、最終的に中和される。該中和処理によって得られた中和残渣は自溶炉へ戻され、中和後液は排水処理される。
Gabb,P.J., "The Kennecott smelter hydrometallurgical impurities process", Proc.Copper95,(1995), page 591
しかしながら、非特許文献1に記載の自溶炉ダストの排ガス中に含まれるダストの処理方法(以下、Kennecott法という)では、廃酸浸出後液にNaHSO3及びCaCO3を添加して部分中和を行い、Biを部分中和残渣として回収しているが、このような処理によれば残渣量が多くなり、その分、該残渣中のBiの濃度が減少するため、回収するBiの品位が低下するという問題が生じる。
そこで、本発明は、自溶炉ダストの排ガス中に含まれるダスト中のBiを他の金属成分と分離し、良好な品位のBiとして選択的に回収することを課題とする。
そこで、本発明は、自溶炉ダストの排ガス中に含まれるダスト中のBiを他の金属成分と分離し、良好な品位のBiとして選択的に回収することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決するために研究を重ねたところ、廃酸浸出後液を部分中和した後、Biを含む部分中和残渣を酸で溶解して、このBi溶解液から、選択吸着性を有する樹脂又は選択分離性を有する分子篩を用いてBiを選択的に回収できることを見出した。
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、自溶炉の排ガス中に含まれるダストの処理方法であって、少なくともBiを含む銅溶錬ダストを水でパルプ化及び浸出して、水浸出パルプを生成する工程と、前記水浸出パルプを液体部分とBiを含む固体部分とに分離した後、該固体部分を酸でパルプ化及び浸出して、Biを含む酸浸出パルプを生成する工程と、前記酸浸出パルプをBiを含む液体部分と固体部分とに分離した後、該液体部分にアルカリ剤を加えてBi沈殿物を生成する工程と、前記Bi沈殿物をHClで溶解してBi溶解液を生成する工程と、前記Bi溶解液からBiを選択吸着性を有するクラウンエーテル化合物で構成された樹脂を用いて選択的に回収する工程と、を含むダストの処理方法である。
本発明に係るダストの処理方法は一実施形態において、前記Bi沈殿物を生成する工程で用いるアルカリ剤が、NaOH、Na2CO3又はMg(OH)2である。
本発明に係るダストの処理方法は更に別の一実施形態において、前記Bi沈殿物を溶解するHClの濃度が0.25〜3Nである。
本発明に係るダストの処理方法によれば、自溶炉ダストの排ガス中に含まれるダストからBiを選択的に回収することができる。
以下、本発明の実施形態を図を用いて詳細に説明するが、これは本発明をより良く理解するために示すものであり、本発明が限定されることを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係るダストの処理方法のフローチャートである。本発明の実施形態に係る自溶炉ダストの排ガス中に含まれるダストの処理方法は、以下の工程を含んでいる。
図1は、本発明の実施形態に係るダストの処理方法のフローチャートである。本発明の実施形態に係る自溶炉ダストの排ガス中に含まれるダストの処理方法は、以下の工程を含んでいる。
(1)ダストの回収工程
まず、自溶炉の排ガスから電気集塵機(ESP)によって銅溶錬ダストを回収する。この排ガスには、Biが含まれ、さらにCu、Pb、Fe、Sb、Cd及び/又はAs等の金属成分が含まれている。
まず、自溶炉の排ガスから電気集塵機(ESP)によって銅溶錬ダストを回収する。この排ガスには、Biが含まれ、さらにCu、Pb、Fe、Sb、Cd及び/又はAs等の金属成分が含まれている。
(2)水浸出パルプ生成工程
次に、工程(1)で回収したダストを水でパルプ化及び浸出して、上記金属成分が溶解した水浸出パルプを生成する。
次に、工程(1)で回収したダストを水でパルプ化及び浸出して、上記金属成分が溶解した水浸出パルプを生成する。
(3)酸浸出パルプ生成工程
次に、工程(2)で生成した水浸出パルプを固液分離装置等によって液体部分(水浸出後液)と、固体部分(残渣)とに分離する。このとき、Cu、Cd及びZnは主に液体部分(水浸出後液)に、その他の金属成分は主に固体部分(残渣)に含まれる。次に、得られた上記金属成分を含む固体部分(残渣)をH2SO4濃度が1.5〜3.0Mでわずかに塩素、フッ素も含む廃酸でパルプ化及び浸出して、上記金属成分が溶解した酸浸出パルプを生成する。このとき用いる廃酸は、製錬排ガスから硫酸を製造する際に発生する廃酸である。また、得られた液体部分(水浸出後液)は後述の工程(8)へ移す。
次に、工程(2)で生成した水浸出パルプを固液分離装置等によって液体部分(水浸出後液)と、固体部分(残渣)とに分離する。このとき、Cu、Cd及びZnは主に液体部分(水浸出後液)に、その他の金属成分は主に固体部分(残渣)に含まれる。次に、得られた上記金属成分を含む固体部分(残渣)をH2SO4濃度が1.5〜3.0Mでわずかに塩素、フッ素も含む廃酸でパルプ化及び浸出して、上記金属成分が溶解した酸浸出パルプを生成する。このとき用いる廃酸は、製錬排ガスから硫酸を製造する際に発生する廃酸である。また、得られた液体部分(水浸出後液)は後述の工程(8)へ移す。
(4)部分中和工程
次に、工程(3)で生成した酸浸出パルプを固液分離装置等によって液体部分(廃酸浸出後液)と、固体部分(残渣)とに分離する。このとき、上記金属成分のうち、Pb及びFeは、主に固体部分(残渣)に含まれ、その他の金属成分は、主に液体部分(廃酸浸出後液)に移る。次に、得られた液体部分(廃酸浸出後液)にアルカリ剤を加えて該液体部分のpHを1.5〜3.0、好ましくは1.5〜2.0に調製し、Biについて選択的に沈殿物を生成する。上記アルカリ剤は、一般的なものを用いることができるが、NaOH、Na2CO3又はMg(OH)2が残渣量を低減でき、Bi品位の向上が図れるため、特に好ましい。また、得られた固体部分(残渣)は自溶炉へ戻す。
次に、工程(3)で生成した酸浸出パルプを固液分離装置等によって液体部分(廃酸浸出後液)と、固体部分(残渣)とに分離する。このとき、上記金属成分のうち、Pb及びFeは、主に固体部分(残渣)に含まれ、その他の金属成分は、主に液体部分(廃酸浸出後液)に移る。次に、得られた液体部分(廃酸浸出後液)にアルカリ剤を加えて該液体部分のpHを1.5〜3.0、好ましくは1.5〜2.0に調製し、Biについて選択的に沈殿物を生成する。上記アルカリ剤は、一般的なものを用いることができるが、NaOH、Na2CO3又はMg(OH)2が残渣量を低減でき、Bi品位の向上が図れるため、特に好ましい。また、得られた固体部分(残渣)は自溶炉へ戻す。
(5)Bi溶解液生成工程
次に、工程(4)の液体部分(廃酸浸出後液)から得られたBi沈殿物(部分中和残渣)を、固液分離装置等によって残りの液体(中和後液)から分離する。次に、分離したBi沈殿物(部分中和残渣)に酸を加えて該沈殿物の溶解液を生成する。上記酸は、一般的なものを用いることができるが、H2SO4又はHClは一般に入手が容易であるため、特に好ましい。H2SO4を用いる場合、該溶解液の濃度は0.25〜3Mが好ましく、1.5〜2.0Mが特に好ましい。また、HClを用いる場合、該溶解液の濃度は0.25〜3Nが好ましく、0.5〜1.0Nが特に好ましい。また、沈殿物から分離された中和後液は、後述の工程(7)へ移す。
次に、工程(4)の液体部分(廃酸浸出後液)から得られたBi沈殿物(部分中和残渣)を、固液分離装置等によって残りの液体(中和後液)から分離する。次に、分離したBi沈殿物(部分中和残渣)に酸を加えて該沈殿物の溶解液を生成する。上記酸は、一般的なものを用いることができるが、H2SO4又はHClは一般に入手が容易であるため、特に好ましい。H2SO4を用いる場合、該溶解液の濃度は0.25〜3Mが好ましく、1.5〜2.0Mが特に好ましい。また、HClを用いる場合、該溶解液の濃度は0.25〜3Nが好ましく、0.5〜1.0Nが特に好ましい。また、沈殿物から分離された中和後液は、後述の工程(7)へ移す。
(6)Bi回収工程
次に、工程(5)で得られたBi沈殿物の溶解液を、Biについて選択吸着性を有する樹脂に接触させることで、Biを選択的に吸着させ、他成分と分離する。吸着したBiは、溶離した後、溶離液の冷却や中和等を実施することで、硫酸ビスマス(Bi2(SO4)3)、オキシ塩化ビスマス(BiOCl)や水酸化ビスマス(Bi(OH)3)等で良好な品位のBiとして回収する。このような樹脂としては、例えば、分子認識樹脂や特定のイオンに対して選択的な認識機能を持つ配位子を有するクラウンエーテル化合物等を好適に用いることができるが、これに限定されず、同等の選択吸着性を有する樹脂であれば、種類を問わず用いることができる。また、Biの選択的回収は、Bi溶解液を選択分離性を有する分子篩に通して、Biを他の成分と分離することにより行ってもよい。
このようにして得られたBiは、従来のように廃酸浸出後液にCaCO3を添加して部分中和を行うことで、Biを多量の残渣に含めて回収せず、廃酸浸出後液を部分中和した後、Biを含む部分中和残渣を酸で溶解して、このBi溶解液から選択吸着性を有する樹脂又は選択分離性を有する分子篩を用いて選択的に回収している。このため、Biを良好な品位で回収することができる。
次に、工程(5)で得られたBi沈殿物の溶解液を、Biについて選択吸着性を有する樹脂に接触させることで、Biを選択的に吸着させ、他成分と分離する。吸着したBiは、溶離した後、溶離液の冷却や中和等を実施することで、硫酸ビスマス(Bi2(SO4)3)、オキシ塩化ビスマス(BiOCl)や水酸化ビスマス(Bi(OH)3)等で良好な品位のBiとして回収する。このような樹脂としては、例えば、分子認識樹脂や特定のイオンに対して選択的な認識機能を持つ配位子を有するクラウンエーテル化合物等を好適に用いることができるが、これに限定されず、同等の選択吸着性を有する樹脂であれば、種類を問わず用いることができる。また、Biの選択的回収は、Bi溶解液を選択分離性を有する分子篩に通して、Biを他の成分と分離することにより行ってもよい。
このようにして得られたBiは、従来のように廃酸浸出後液にCaCO3を添加して部分中和を行うことで、Biを多量の残渣に含めて回収せず、廃酸浸出後液を部分中和した後、Biを含む部分中和残渣を酸で溶解して、このBi溶解液から選択吸着性を有する樹脂又は選択分離性を有する分子篩を用いて選択的に回収している。このため、Biを良好な品位で回収することができる。
(7)硫化工程
工程(5)で得られた中和後液と、工程(6)でBiが選択的に回収された溶解液との混合液を作製する。次に、この混合液にNaSHを加えてCd及びAsの硫化物を生成した後、固液分離装置等によって液体部分(硫化後液)と、固体部分(硫化物)とに分離する。分離したCd及びAsの硫化物は、自溶炉へ戻す。
工程(5)で得られた中和後液と、工程(6)でBiが選択的に回収された溶解液との混合液を作製する。次に、この混合液にNaSHを加えてCd及びAsの硫化物を生成した後、固液分離装置等によって液体部分(硫化後液)と、固体部分(硫化物)とに分離する。分離したCd及びAsの硫化物は、自溶炉へ戻す。
(8)中和工程
次に、工程(3)で得られた水浸出後液と工程(7)で得られた硫化後液とを混合し、この混合液に、例えばCaCO3又はCa(OH)2等のアルカリ剤を加えて該硫化後液を中和した後、固液分離装置等によって固体部分(中和残渣)と液体部分(中和後液)とに分離する。このとき得られる固体部分(中和残渣)は、主にCu、Fe及びZn等を含有している。その後、得られた固体部分(中和残渣)は、自溶炉へ戻す。また、得られた液体部分(中和後液)については、排水処理を行う。
次に、工程(3)で得られた水浸出後液と工程(7)で得られた硫化後液とを混合し、この混合液に、例えばCaCO3又はCa(OH)2等のアルカリ剤を加えて該硫化後液を中和した後、固液分離装置等によって固体部分(中和残渣)と液体部分(中和後液)とに分離する。このとき得られる固体部分(中和残渣)は、主にCu、Fe及びZn等を含有している。その後、得られた固体部分(中和残渣)は、自溶炉へ戻す。また、得られた液体部分(中和後液)については、排水処理を行う。
以下、本発明の実施例を示すが、これらは本発明をより良く理解するために提供するものであり、本発明が限定されることを意図するものではない。
[例1:部分中和試験]
本発明に係るダストの処理方法及び従来のKennecott法における部分中和残渣中の各Bi濃度を比較検討するため、以下の条件で実施例及び比較例を作製した。
(実施例)
まず、銅製錬に用いる自溶炉の排ガスから電気集塵機(ESP)によって銅溶錬ダストを回収した。次に、回収したダストを水でパルプ化及び浸出して水浸出パルプを生成した。次に、生成した水浸出パルプを固液分離装置によって水浸出後液と残渣とに分離した。次に、得られた残渣を廃酸でパルプ化及び浸出して、酸浸出パルプを生成した。次に、得られた酸浸出パルプを固液分離装置によって廃酸浸出後液と残渣とに分離し、廃酸浸出後液にNaOHを加え、中和最終pHを1.8とすることで、Biについて選択的に沈殿物を生成した。
[例1:部分中和試験]
本発明に係るダストの処理方法及び従来のKennecott法における部分中和残渣中の各Bi濃度を比較検討するため、以下の条件で実施例及び比較例を作製した。
(実施例)
まず、銅製錬に用いる自溶炉の排ガスから電気集塵機(ESP)によって銅溶錬ダストを回収した。次に、回収したダストを水でパルプ化及び浸出して水浸出パルプを生成した。次に、生成した水浸出パルプを固液分離装置によって水浸出後液と残渣とに分離した。次に、得られた残渣を廃酸でパルプ化及び浸出して、酸浸出パルプを生成した。次に、得られた酸浸出パルプを固液分離装置によって廃酸浸出後液と残渣とに分離し、廃酸浸出後液にNaOHを加え、中和最終pHを1.8とすることで、Biについて選択的に沈殿物を生成した。
(比較例)
Kennecott法に従って、上記実施例で得られた廃酸浸出後液に対し、NaOHの代わりにNaHSO3及びCaCO3を別々に加え、中和最終pHを1.8とすることで、Biについて選択的に沈殿物を生成した。
このようにして得られた実施例及び比較例のBi沈殿物を含む部分中和残渣について、「A:ダスト1トン当たりの(乾燥)残渣発生量(kg−dry/t−ダスト)」、「B:各金属成分の濃度(mass%)」、及び、「C:ダストにおける各金属成分の質量に対する残渣中の該金属成分の質量の割合(分配率;%)」を測定した。試験結果を表1に示す。
Kennecott法に従って、上記実施例で得られた廃酸浸出後液に対し、NaOHの代わりにNaHSO3及びCaCO3を別々に加え、中和最終pHを1.8とすることで、Biについて選択的に沈殿物を生成した。
このようにして得られた実施例及び比較例のBi沈殿物を含む部分中和残渣について、「A:ダスト1トン当たりの(乾燥)残渣発生量(kg−dry/t−ダスト)」、「B:各金属成分の濃度(mass%)」、及び、「C:ダストにおける各金属成分の質量に対する残渣中の該金属成分の質量の割合(分配率;%)」を測定した。試験結果を表1に示す。
表1に示す結果より、実施例では残渣発生量が比較例に比べて約1/6となっており、これにより残渣中のBi濃度も比較例に比べて高くなっていることがわかる。
[例2:Bi選択吸着試験(硫酸浴)]
本発明に係るダストの処理方法によるBiと他成分の分離性を検討するための試験を以下の通りに行った。
まず、上述の例1の試験で得られた実施例に係るBi沈殿物を含む部分中和残渣にH2SO4を加えて、該沈殿物の溶解液を生成した。このときのBi溶解液のH2SO4濃度は0.5〜3.0Mとした。また、(乾燥)部分中和残渣の溶解量は、溶解液1L当たり20gとした。
次に、上記Bi溶解液に対し、Biについて選択吸着性を有する分子認識樹脂であるIBC社製のSuperLig83を用いて、Biの選択吸着を行った。このときの空間速度Sv(Space volume:通液速度/樹脂体積)を5とし、樹脂吸着通液量Bv(Bed volume:液量/樹脂体積)を5〜30とした。なお、Bvは、樹脂のBi吸着能力と液中濃度により変動する。
次に、産出操作として、Biを選択的に吸着した樹脂をH2SO4(2M)により前洗浄し、続いてにH2SO4(9M)によりBiを溶離させ、最後にH2SO4(2M)により後洗浄した。上記操作ごとに液中の金属成分の濃度(g/L)及び分配率(%)を測定した。
表2に、Bi溶解液のH2SO4濃度を2Mとし、且つ、Bvを30としたときの試験結果を示す。ここで、表2における分配率の計算例を示す。Bi成分に関する分配率を例にすると、溶解液については、Bi濃度が0.64g/L且つ150mLであるため、Bi量は0.64×0.15=0.096gとなる。これを分配率100%とする。これに対し、吸着後液については、Bi濃度が0.14g/L且つ150mLであるため、その分配率xは、0.64:100=0.14:xの比例式から求められる。また、溶離液については、Bi濃度が0.67g/L且つ100mLであり、Bi量は0.67×0.1=0.067gとなるため、その分配率は0.067/0.096により求められる。
また、図2に、硫酸浴でのBvと吸着量(g/L−R)との関係図を示す。ここで、該吸着量は、樹脂(Resin)1L当たりの質量で表されている。
本発明に係るダストの処理方法によるBiと他成分の分離性を検討するための試験を以下の通りに行った。
まず、上述の例1の試験で得られた実施例に係るBi沈殿物を含む部分中和残渣にH2SO4を加えて、該沈殿物の溶解液を生成した。このときのBi溶解液のH2SO4濃度は0.5〜3.0Mとした。また、(乾燥)部分中和残渣の溶解量は、溶解液1L当たり20gとした。
次に、上記Bi溶解液に対し、Biについて選択吸着性を有する分子認識樹脂であるIBC社製のSuperLig83を用いて、Biの選択吸着を行った。このときの空間速度Sv(Space volume:通液速度/樹脂体積)を5とし、樹脂吸着通液量Bv(Bed volume:液量/樹脂体積)を5〜30とした。なお、Bvは、樹脂のBi吸着能力と液中濃度により変動する。
次に、産出操作として、Biを選択的に吸着した樹脂をH2SO4(2M)により前洗浄し、続いてにH2SO4(9M)によりBiを溶離させ、最後にH2SO4(2M)により後洗浄した。上記操作ごとに液中の金属成分の濃度(g/L)及び分配率(%)を測定した。
表2に、Bi溶解液のH2SO4濃度を2Mとし、且つ、Bvを30としたときの試験結果を示す。ここで、表2における分配率の計算例を示す。Bi成分に関する分配率を例にすると、溶解液については、Bi濃度が0.64g/L且つ150mLであるため、Bi量は0.64×0.15=0.096gとなる。これを分配率100%とする。これに対し、吸着後液については、Bi濃度が0.14g/L且つ150mLであるため、その分配率xは、0.64:100=0.14:xの比例式から求められる。また、溶離液については、Bi濃度が0.67g/L且つ100mLであり、Bi量は0.67×0.1=0.067gとなるため、その分配率は0.067/0.096により求められる。
また、図2に、硫酸浴でのBvと吸着量(g/L−R)との関係図を示す。ここで、該吸着量は、樹脂(Resin)1L当たりの質量で表されている。
表2に示す結果より、Biが他成分と分離されていることがわかる。
また、図2より、Bvが20以上でBiの吸着量が飽和しており、それ以上では樹脂を通過してしまっていることがわかる。
また、図2より、Bvが20以上でBiの吸着量が飽和しており、それ以上では樹脂を通過してしまっていることがわかる。
[例3:Bi選択吸着試験(塩酸浴)]
本発明に係るダストの処理方法によるBiと他成分の分離性を検討するための試験を以下の通りに行った。
まず、上述の例1の試験で得られた実施例に係るBi沈殿物を含む部分中和残渣にHClを加えて、該沈殿物の溶解液を生成した。このときのBi溶解液のHCl濃度は0.5〜3.0Nとした。また、(乾燥)部分中和残渣の溶解量は、溶解液1L当たり20gとした。
次に、上記Bi溶解液に対し、Biについて選択吸着性を有する分子認識樹脂であるIBC社製のSuperLig83を用いて、Biの選択吸着を行った。このときの空間速度Sv(Space volume:通液速度/樹脂体積)を5とし、樹脂吸着通液量Bv(Bed volume:液量/樹脂体積)を20とした。
次に、産出操作として、Biを選択的に吸着した樹脂をHCl(0.5N)により前洗浄し、続いてにHCl(6N)によりBiを溶離させ、最後にHCl(0.5N)により後洗浄した。上記操作ごとに液中の金属成分の濃度(g/L)及び分配率(%)を測定した。
表3に、Bi溶解液のHCl濃度を0.5Nとし、且つ、Bvを20としたときの試験結果を示す。
図3に、塩酸浴での塩酸溶解濃度(N)と吸着率(%)との関係図を示す。
本発明に係るダストの処理方法によるBiと他成分の分離性を検討するための試験を以下の通りに行った。
まず、上述の例1の試験で得られた実施例に係るBi沈殿物を含む部分中和残渣にHClを加えて、該沈殿物の溶解液を生成した。このときのBi溶解液のHCl濃度は0.5〜3.0Nとした。また、(乾燥)部分中和残渣の溶解量は、溶解液1L当たり20gとした。
次に、上記Bi溶解液に対し、Biについて選択吸着性を有する分子認識樹脂であるIBC社製のSuperLig83を用いて、Biの選択吸着を行った。このときの空間速度Sv(Space volume:通液速度/樹脂体積)を5とし、樹脂吸着通液量Bv(Bed volume:液量/樹脂体積)を20とした。
次に、産出操作として、Biを選択的に吸着した樹脂をHCl(0.5N)により前洗浄し、続いてにHCl(6N)によりBiを溶離させ、最後にHCl(0.5N)により後洗浄した。上記操作ごとに液中の金属成分の濃度(g/L)及び分配率(%)を測定した。
表3に、Bi溶解液のHCl濃度を0.5Nとし、且つ、Bvを20としたときの試験結果を示す。
図3に、塩酸浴での塩酸溶解濃度(N)と吸着率(%)との関係図を示す。
表3に示す結果より、Biが他成分と分離されていることがわかる。
また、図3より、塩酸浴でのHCl濃度は0.25〜3Nが好ましく、さらに0.5Nが最適であることがわかる。
また、図3より、塩酸浴でのHCl濃度は0.25〜3Nが好ましく、さらに0.5Nが最適であることがわかる。
Claims (3)
- 自溶炉の排ガス中に含まれるダストの処理方法であって、
少なくともBiを含む銅溶錬ダストを水でパルプ化及び浸出して、水浸出パルプを生成する工程と、
前記水浸出パルプを液体部分とBiを含む固体部分とに分離した後、該固体部分を酸でパルプ化及び浸出して、Biを含む酸浸出パルプを生成する工程と、
前記酸浸出パルプをBiを含む液体部分と固体部分とに分離した後、該液体部分にアルカリ剤を加えてBi沈殿物を生成する工程と、
前記Bi沈殿物をHClで溶解してBi溶解液を生成する工程と、
前記Bi溶解液からBiを選択吸着性を有するクラウンエーテル化合物で構成された樹脂を用いて選択的に回収する工程と、を含むダストの処理方法。 - 前記Bi沈殿物を生成する工程で用いるアルカリ剤が、NaOH、Na2CO3又はMg(OH)2である請求項1に記載のダストの処理方法。
- 前記Bi沈殿物を溶解するHClの濃度が0.25〜3Nである請求項1又は2に記載のダストの処理方法。
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