JP2014025030A - 変性重合体の製造方法及び分散剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物と、第2級アミン化合物(A1)及び芳香環にメチル基が結合した構造を有する第3級アミン化合物(A2)からなる群より選択される少なくとも一種と、を混合して得られる化合物の存在下で、極性基を持つアニオン重合性モノマーを用いて重合を行う工程を含む製造方法により変性重合体を製造する。
【選択図】なし
Description
<重合工程>
本発明の製造方法は、重合開始剤を用いて、極性基を持つアニオン重合性モノマー(以下、特定モノマーともいう。)のアニオン重合を行う工程を含む。ここで、特定モノマーとしては、アニオン重合によって反応が進行する化合物のうち、極性基を持つものであれば特に限定せず、例えばα,β−不飽和カルボン酸エステル化合物、α,β−不飽和カルボン酸アミド化合物、α,β−不飽和カルボニル化合物、2−ビニルピリジン、(メタ)アクリロニトリル等といった、電子求引性基を有するビニル系モノマー;ε−カプロラクトン等のラクトン化合物などを挙げることができる。
また、α,β−不飽和カルボン酸アミド化合物としては、例えば、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等などの(メタ)アクリルアミド化合物等を;α,β−不飽和カルボニル化合物としては、例えばメチルビニルケトン、エチルビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン、エチルイソプロペニルケトンなどを挙げることができる。また更に、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の炭素−炭素二重結合を2つ以上有する単量体を使用してもよい。
特定モノマーとしては、上記の例示の中でも、(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミド化合物であることが好ましく、(メタ)アクリル酸エステルであることが特に好ましい。特定モノマーとしては、上記のものを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本明細書中、(メタ)アクリルは、アクリル及びメタクリルであることを示す。
溶液重合を用いる場合、反応溶媒中のモノマー濃度は、生産性と重合コントロールの容易性のバランスを維持する観点から、溶媒の全体量に対して、3〜50質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。
第2級アミン化合物(A1)としては、窒素原子に水素原子が1つ結合されている限り、その構造は特に限定せず、例えば下記式(a−1)及び式(a−2)のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。
R3、R4及びR5の3置換のヒドロカルビルシリル基としては、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、メチルジエチルシリル基、ジメチルエチルシリル基などが挙げられる。R6の炭素数1〜12のヒドロカルビレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。当該R6は、活性水素を有さない限り、上記例示したヒドロカルビレン基における炭素−炭素結合間に、酸素原子、硫黄原子及びリン原子のうち少なくともいずれかを有する2価の基(例えば、「−O−」や「−S−」など)であってもよい。なお、本明細書において、「活性水素」とは、炭素原子以外の原子に結合した水素原子をいい、好ましくはポリメチレンの炭素−水素結合よりも結合エネルギが低いものを指す。
RNの結合位置は特に限定せず、例えばA1に結合するRNは、芳香環が有するメチル基に対して、オルト位、メタ位及びパラ位のいずれであってもよく、A2に結合するRNは、Xに対して、オルト位、メタ位及びパラ位のいずれであってもよい。また、上記式(a−4)において、Xに対するメチル基の結合位置についても特に限定しない。
上記で例示した第2級アミン化合物(A1)及び第3級アミン化合物(A2)は、重合開始末端に含窒素官能基を導入することが可能である点において、いずれも同様の作用を有するものである。したがって、後述の実施例に記載されていないものであっても、本発明において使用することが可能である。
有機溶媒の使用量は、生産性と重合コントロールの容易性とのバランスを維持する観点から、重合に使用するモノマーの全体量100質量部に対して、200〜3,000質量部とすることが好ましい。
ここで、ルイス酸としては、金属原子としてアルミニウム、ホウ素、亜鉛などを有する有機金属化合物であることが好ましく、中でも有機アルミニウム化合物であることが特に好ましい。有機アルミニウム化合物としては、第3級アルミニウム化合物を用いることができ、その具体例としては、例えばトリt−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジエチル(ジフェニルアミノ)アルミニウム等のジアルキル(ジフェニルアミノ)アルミニウム;イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、ジエチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジエチル(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、ジ−n−オクチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム等のアリールオキシ構造又はアリーレンジオキシ構造を有するアルミニウム化合物;などを挙げることができる。なお、ルイス酸は、これらのものを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ルイス酸の使用量は、使用するルイス酸の種類に応じて適宜設定すればよいが、例えば有機アルミニウム化合物の場合、重合に使用する重合開始剤の全体1モルに対して、0.5〜100モルであることが好ましく、1〜50モルであることがより好ましい。
三級ポリアミン化合物として、例えばN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン等の鎖状化合物;1,3,5−トリメチルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン、2,2’−ビピリジル、2,2’:6’,2”−テルピリジン等の複素環式化合物などを;それぞれ挙げることができる。ルイス塩基としては、これらのものを1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
ルイス塩基の使用量は、重合に使用する重合開始剤の使用量1モルに対して、0.1モル以上であることが好ましく、0.5モル以上であることがより好ましい。また、ルイス塩基の使用量の上限値は、特に制限されるものではないが、重合開始効率の低下を抑える点において、重合系の全体量(反応モノマー、重合開始剤、添加剤及び溶媒の合計量)に対して、95質量%以下とすることが好ましい。
有機溶媒の使用量は、生産性と重合コントロールの容易性とのバランスを維持する観点から、重合に使用するモノマーの全体量100質量部に対して、200〜3,000質量部とすることが好ましい。
ここで、重合反応に使用するルイス塩基としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等の硫酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩等といったアルカリ金属鉱酸塩;バリウム、マグネシウム等の硫酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩等といったアルカリ土類金属鉱酸塩;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属のハロゲン化物;バリウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の鉱酸塩;などが挙げられ、具体的には、例えば塩化リチウム、塩化バリウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化バリウム、フッ化リチウム、ホウ酸リチウム、硝酸マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどが挙げられる。これらの中でも、リチウムのハロゲン化物が好ましく、塩化リチウムが特に好ましい。
ルイス塩基の使用量は、重合に使用する重合開始剤の使用量1モルに対して、0.1モル以上であることが好ましく、0.5モル以上であることがより好ましい。
重合反応の温度は、特に制限されず、反応に使用するモノマーの種類及び量などに応じて適宜設定すればよいが、移動反応や停止反応等の副反応を抑制する観点から、−100℃〜50℃であることが好ましく、−90〜20℃であることがより好ましい。また、重合反応は、モノマーを実質的に液相に保つのに十分な圧力の下で行うことが好ましい。
本発明の製造方法は、上記重合反応により得られた活性末端を有する重合体と、末端変性剤として、窒素原子及び酸素原子の少なくともいずれかを有しかつ当該活性末端と反応し得る化合物(B)と、を反応させる工程を含んでいてもよい。同工程により、重合体の重合終了末端に、窒素原子を含有する官能基(含窒素官能基)及び酸素原子を含有する官能基(含酸素官能基)を導入することができる。
含窒素官能基を有する(チオ)カルボニル基含有化合物として、例えば4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロリドン、フェニルイソシアネート、フェニルチオイソシアネートなどを;
含窒素官能基及び炭素−炭素二重結合を有する化合物として、例えば1,1−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−エチルアミノフェニル)エチレン、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジンなどを;
含窒素官能基を有するイミノ基含有化合物として、例えばN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドなどを;
含窒素官能基を有するエポキシ基含有化合物として、例えばテトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサンなどを;
含窒素官能基を有するシラン化合物として、例えばN,N−ビス(トリエチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、N,N’,N’−トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン、N−〔3−(トリメトキシシリル)−プロピル〕−N,N’−ジエチル−N’−トリメチルシリル−エタン−1,2−ジアミン、N−〔3−(トリエトキシシリル)−プロピル〕−N,N’−ジエチル−N’−トリメチルシリル−エタン−1,2−ジアミン、N−トリメチルシリル−N−メチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−(4−トリメチルシリル−1−ピペラジノ)プロピルトリエトキシシラン、N−[2−(トリメトキシシリル)−エチル]−N,N’,N’−トリメチルエタン−1,2−ジアミン、1−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−4−メチルピペラジン、2−(トリメトキシシリル)−1,3−ジメチルイミダゾリジン、2−(3−トリメトキシシリル−プロピル)−1,3−ジメチルイミダゾリジン、3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]トリメチルシリルアミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]トリメチルシリルアミン等のアミノ基含有のシラン化合物、及び、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4,5−イミダゾール、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−イミダゾール等のイミノ基又はピリジル基含有のシラン化合物などを;それぞれ挙げることができる。
末端変性反応の温度は、通常、上記重合反応の好ましい温度範囲内で行うことができる。但し、変性反応の温度が低いと、重合体の粘度が上昇する傾向がある。一方、変性反応の温度が高いと、重合活性末端が失活しやすくなる。末端変性反応の反応時間は、好ましくは1分〜5時間であり、より好ましくは2分〜1時間である。
本発明の変性重合体は、種々の使用用途に適用することができ、例えばリチウムイオン電池の負極用バインダ樹脂、分散剤等として使用することができる。中でも、分散剤として好ましく使用することができ、特に無機系粒子の分散剤として好ましく使用することができる。また、分散剤は、本発明の変性重合体をそれ単独で高分子分散剤として使用するものであってもよく、本発明の変性重合体の他に、分散助剤、界面活性剤などの添加剤を含む重合体組成物として使用するものであってもよい。
・以下の条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(商品名「HLC−8120GPC」、東ソー社製)を使用して、下記の条件によりポリスチレン換算で求めた。
カラム:商品名「TSKgel Multipore HXL-M」(東ソー社製)2本
カラム温度;40℃
移動相;テトラヒドロフラン(以下、THFともいう。)
流速;0.4mL/分
サンプル濃度;10mg/10mL
[合成例1]
(開始剤溶液aの調製)
マグネチック撹拌子の入った100mLシュレンク管を窒素置換し、1,1−ジフェニルエチレン2.0g、THF28g、1.0Mのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液11.4mLを加え、室温で3時間撹拌した。これにより、濃度0.25Mの1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム(DPMPLi)のTHF溶液を得た。
(重合体1の合成)
十分に窒素置換され、撹拌子を入れた内容積500mLの三口フラスコに、THF100g、十分に乾燥させた塩化リチウム0.064g(1.5mmol)、メタクリル酸メチル6.0g、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(商品名「PME200」、日油社製を使用した。以下同じ。)4.0gを仕込んだ。反応容器の内容物の温度を−70℃に調整した後、溶液を激しく撹拌しながら、上記で調製したDPMPLiのTHF溶液3mLを添加して重合を開始した。開始剤溶液を添加してから1時間後に、N−(3−ブロモプロピル)フタルイミド0.75mmolを添加して30分間反応させた。その後、反応溶液の温度を25℃にし、更に10分間撹拌した。
得られた重合体溶液を1.5Lのメタノール中に注ぎ、沈殿した重合体を回収した。この重合体の収率はほぼ100%であり、Mwは15,800、分子量分布(Mw/Mn)は1.06であった。また、回収した重合体を1H−NMRで分析したところ、重合末端の92%にフタルイミド基が導入されていることを確認した。重合体の官能基含有量(窒素原子含有量)は69mmol/kgであった。
次いで、得られた重合体を、1,4−ジオキサン/メタノール(2:1/v:v)に溶解し、ヒドラジン一水和物7.5mmolを添加して3時間還流させた。次いで、濃縮して溶媒を除去した後、0.5Nの塩酸7.5mLを加えて激しく撹拌しながら15分間還流させた。蒸留水を30mL添加して、更に45分間加熱した後、濾過することで、1級アミノ基を末端に有する重合体1を得た。
(重合体2の合成)
重合の開始時に、反応モノマーとしてメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートを仕込まなかった点以外は、上記合成例1と同様にして重合を開始した。開始剤溶液を添加してから30分後に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート4.0gを添加して30分間重合させた。次いで、N−(3−ブロモプロピル)フタルイミド0.75mmolを添加して30分間反応させた。その後、反応溶液の温度を25℃にし、更に10分間撹拌した。
得られた重合体溶液を1.5Lのメタノール中に注ぎ、沈殿した重合体を回収した。この重合体の収率はほぼ100%であり、Mwは16,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.07であった。また、回収した重合体を1H−NMRで分析したところ、重合末端の93%にフタルイミド基が導入されていることを確認した。重合体の官能基含有量(窒素原子含有量)は70mmol/kgであった。
次いで、上記合成例1と同様の方法により、フタルイミド基の脱保護処理を行い、1級アミノ基を末端に有する重合体2を得た。
(開始剤溶液bの調製)
マグネチック撹拌子の入った100mLシュレンク管を窒素置換し、ピペリジン2.0g、THF57.8gを加えて0℃に冷却した。次いで、1.0Mのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液24.7mLを加え、15分間撹拌した。これにより、濃度0.25Mの官能基開始剤を含むTHF溶液を得た。
(重合体3の合成)
開始剤溶液として、DPMPLiのTHF溶液の代わりに、上記で調製した開始剤溶液b3.0mLを使用した点以外は、上記合成例1と同様にして重合を開始した。開始剤溶液を添加してから1時間後に、メタノール0.5mLを添加して重合反応をさせ、重合体3を含む溶液を得た。
次いで、得られた重合体溶液を1.5Lのメタノール中に注ぎ、沈殿した重合体3を回収した。得られた重合体3の収率はほぼ100%であり、Mwは15,600、分子量分布(Mw/Mn)は1.10であった。また、重合転化率が3%のときに重合体溶液を一部取り出し、重合体を単離して1H−NMRで分析したところ、重合開始末端の89%にピペリジニル基が導入されていることを確認した。重合体の官能基含有量(窒素原子含有量)は67mmol/kgであった。
(開始剤溶液cの調製)
マグネチック撹拌子の入った100mLシュレンク管を窒素置換し、シクロヘキサン2.9g、THF0.73g、N,N−ジメチル−o−トルイジン0.75mmolを加え、攪拌しながら50℃で30分間反応させた。次いで、0℃まで冷却することにより開始剤溶液cを得た。
(重合体4の合成)
十分に窒素置換され、撹拌子を入れた内容積500mLの三口フラスコにTHF100g、十分に乾燥させた塩化リチウム0.064g(1.5mmol)、メタクリル酸メチル6.0g、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート4.0gを仕込んだ。反応容器の内容物の温度を−70℃に調整した後、溶液を激しく撹拌しながら、上記で調製した開始剤溶液cの全量を添加して重合を開始した。開始剤溶液cを添加してから30分後にメタノール0.5mLを添加することにより、重合反応を停止させた。
得られた重合体溶液を1.5Lのメタノール中に注ぎ、沈殿した重合体4を回収した。この重合体4の収率はほぼ100%であり、Mwは17,700、分子量分布(Mw/Mn)は1.10であった。また、重合転化率が3%のときに重合体溶液を一部取り出し、重合体を単離して1H−NMRで分析したところ、重合開始末端の92%に第3級芳香族アミノ基が導入されていることを確認した。重合体の官能基含有量(窒素原子含有量)は69mmol/kgであった。
(開始剤溶液dの調製)
マグネチック撹拌子の入った100mLシュレンク管を窒素置換し、ピペリジン2.0g、トルエン45.1g、1,2−ジメトキシエタン11.3gを加えて0℃に冷却した。次いで、1.0Mのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液24.7mLを加え、15分間撹拌した。これにより、濃度0.25Mの官能基開始剤を含むトルエン溶液を得た。
(重合体5の合成)
充分にチッ素で置換され、攪拌子を入れた内容積500mLの三口フラスコにトルエン100g、1,2−ジメトキシエタン2.0g、および0.5Mジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム トルエン溶液3.0mLを加えた。反応容器内容物の温度を0℃に調整したのち、上記で調製した開始剤溶液dの3mLを加えて20分間撹拌した。
溶液を激しく撹拌しながら、これにメタクリル酸メチル6.0gとメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート4.0gとの混合物を添加して重合を開始した。モノマーを添加してから15分後に、メタノール0.5mLを添加して重合反応を停止させ、重合体5を含む溶液を得た。
次いで、得られた重合体溶液を1.5Lのメタノール中に注ぎ、沈殿した重合体5を回収した。得られた重合体5の収率はほぼ100%であり、Mwは16,100、分子量分布(Mw/Mn)は1.08であった。また、重合転化率が3%のときに重合体溶液を一部取り出し、重合体を単離して1H−NMRで分析したところ、重合開始末端の90%にピペリジニル基が導入されていることを確認した。重合体の官能基含有量(窒素原子含有量)は68mmol/kgであった。
(重合体6の合成)
開始剤溶液dに代えてビス(トリメチルシリル)アミノリチウム0.75mmolを用いた以外は、合成例5と同様の操作を行うことにより重合体6を得た。得られた重合体6の収率はほぼ100%であり、Mwは16,300、分子量分布(Mw/Mn)は1.07であった。また、重合転化率が3%のときに重合体溶液を一部取り出し、重合体を単離して1H−NMRで分析したところ、重合開始末端の90%にビス(トリメチルシリル)アミノ基が導入されていることを確認した。重合体の官能基含有量(窒素原子含有量)は68mmol/kgであった。
[合成例7]
(重合体7の合成)
充分にチッ素で置換され、攪拌子を入れた内容積500mLの三口フラスコにトルエン100g、1,2−ジメトキシエタン2.0g、及び0.5Mジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム トルエン溶液3.0mLを加えた。反応容器内容物の温度を0℃に調整したのち、sec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液0.75mmolを加えて20分間撹拌した。
溶液を激しく撹拌しながら、これにメタクリル酸メチル6.0gとメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート4.0gとの混合物を添加して重合を開始した。モノマーを添加してから15分後に、N−(3−ブロモプロピル)フタルイミド0.75mmolを添加して30分間反応させた。その後、反応溶液の温度を25℃にして更に10分間撹拌した。
得られた重合体溶液を1.5Lのメタノール中に注ぎ、沈殿した重合体を回収した。この重合体の収率はほぼ100%であり、Mwは16,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.06であった。また、回収した重合体を1H−NMRで分析したところ、重合末端の87%にフタルイミド基が導入されていることを確認した。重合体の官能基含有量(窒素原子含有量)は65mmol/kgであった。
次いで、上記合成例1と同様の方法により、フタルイミド基の脱保護処理を行い、1級アミノ基を重合末端に有する重合体7を得た。
充分にチッ素で置換され、攪拌子を入れた内容積500mLの三口フラスコにトルエン100g、1,2−ジメトキシエタン2.0g、及び0.5Mジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム トルエン溶液3.0mLを加えた。反応容器内容物の温度を0℃に調整したのち、sec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液0.75mmolを加えて20分間撹拌した。
溶液を激しく撹拌しながら、これにメタクリル酸メチル6.0gを添加して重合を開始した。モノマーを添加してから5分後に、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート4.0gを添加して10分間重合させた後、N−(3−ブロモプロピル)フタルイミド0.75mmolを添加して30分間反応させた。その後、反応溶液の温度を25℃にして更に10分間撹拌した。
得られた重合体溶液を1.5Lのメタノール中に注ぎ、沈殿した重合体を回収した。この重合体の収率はほぼ100%であり、Mwは16,100、分子量分布(Mw/Mn)は1.07であった。また、回収した重合体を1H−NMRで分析したところ、重合末端の92%にフタルイミド基が導入されていることを確認した。重合体の官能基含有量(窒素原子含有量)は69mmol/kgであった。
次いで、上記合成例1と同様の方法により、フタルイミド基の脱保護処理を行い、1級アミノ基を重合末端に有する重合体8を得た。
(開始剤溶液eの調製)
マグネチック撹拌子の入った100mLシュレンク管を窒素置換し、トルエン2.9g、1,2−ジメトキシエタン0.73g、N,N−ジメチル−o−トルイジン0.75mmolを加え、攪拌しながら50℃で30分間反応させた。次いで、0℃まで冷却することにより開始剤溶液eを得た。
(重合体9の合成)
十分に窒素置換され、撹拌子を入れた内容積500mLの三口フラスコにトルエン115mL、1,2−ジメトキシエタン3.0g、及びジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム2.0mmolを含有するトルエン溶液4.0mLを仕込んだ。反応容器の内容物の温度を15℃に調整した後、上記で調製した開始剤溶液eの全量を添加して20分間撹拌した。
次いで、溶液を激しく撹拌しながら、15℃で、溶液中にメタクリル酸メチル4.0gを添加した。添加終了から30分後にメタノール0.5mLを添加することにより、重合反応を停止させた。
得られた重合体溶液を1.5Lのメタノール中に注ぎ、重合体を沈殿させ、これを回収し、重合体9とした。この重合体9の収率はほぼ100%であり、Mwは17,700、分子量分布(Mw/Mn)は1.10であった。また、重合転化率が3%のときに重合体溶液を一部取り出し、重合体を単離して1H−NMRで分析したところ、重合開始末端の92%に第3級芳香族アミノ基が導入されていることを確認した。重合体の官能基含有量(窒素原子含有量)は69mmol/kgであった。
メタノールを添加する代わりに、メタクリル酸メチルの添加終了から15分後にプロピレンオキシド0.058g(1mmol)を添加し、15分間反応させた点以外は、合成例9と同様の方法を行うことにより重合体10を得た。この重合体10の収率はほぼ100%であり、Mwは18,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.14であった。また、得られた変性重合体10における末端水酸基数をHPLCにより測定したところ、1分子当たり0.91個であり、末端に水酸基が導入されていることを確認した。重合体の官能基含有量(窒素原子及び酸素原子の含有量)は68mmol/kgであった。
重合停止時にN−(3−ブロモプロピル)フタルイミドを添加する代わりにメタノール0.5mLを添加して重合反応を停止させた点以外は、合成例1と同様の方法により重合操作を行った。次いで、得られた重合体溶液を1.5Lのメタノール中に注ぎ、沈殿した重合体を回収し、これを重合体11とした。得られた重合体11の収率はほぼ100%であり、Mwは15,600、分子量分布(Mw/Mn)は1.06であった。
[比較合成例2]
重合停止時にN−(3−ブロモプロピル)フタルイミドを添加する代わりにメタノール0.5mLを添加して重合反応を停止させた点以外は、合成例2と同様の方法により重合操作を行った。次いで、得られた重合体溶液を1.5Lのメタノール中に注ぎ、沈殿した重合体を回収し、これを重合体12とした。得られた重合体12の収率はほぼ100%であり、Mwは15,900、分子量分布(Mw/Mn)は1.08であった。
[比較合成例3]
重合停止時にN−(3−ブロモプロピル)フタルイミドを添加する代わりにメタノール0.5mLを添加して重合反応を停止させた点以外は、合成例7と同様の方法により重合操作を行った。次いで、得られた重合体溶液を1.5Lのメタノール中に注ぎ、沈殿した重合体を回収し、これを重合体13とした。得られた重合体13の収率はほぼ100%であり、Mnは15,800、分子量分布(Mw/Mn)は1.05であった。
・アミノリチウム化合物A;ビス(トリメチルシリル)アミノリチウム
・トルイジンB;N,N−ジメチル−o−トルイジン
・アルミニウム化合物C;ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム
・フタルイミド化合物D;N−(3−ブロモプロピル)フタルイミド
(実施例1)
無機固体粒子としてカーボンブラック(三菱化学製、商品名「MA100」)を20質量部、上記で得られた重合体1を8質量部、N−メチルピロリドン(NMP)を72質量部加え、カーボンブラック含有溶液を調製した。該溶液を0.5mmφジルコニアビーズ120gと共に金属円筒容器に入れ、ペイントシェーカーにて8時間分散し、カーボンブラック分散液を調製した。得られた分散液の粘度、ポリマー抽出量及び分散液の安定性について下記方法により測定・観察した。各結果を下記表2に示す。
(1)溶液粘度の測定
分散液溶液の粘度(mPa・sec)は、回転粘度計(ブルックフィールド社製DV−III+)を用いて、回転数20rpm、標準ローターにより25℃で測定した。なお、合成した分散剤ポリマーのカーボンブラックへの付着量が多く強固であるほど、カーボンブラックに付着していないフリーの分散剤ポリマーが少なくなり、分散液の粘度が低下すると推測される。したがって、分散液の粘度が低いことは、分散剤ポリマーのカーボンブラックへの付着量が多く、強固であることを示唆していると言える。
(2)ポリマー抽出量
カーボンブラック分散液50gをホットプレート上で溶剤を揮発させ、乾燥固化させた。乾燥固化により得られた固化物14gに対し、アセトン200gを用いてソックスレー抽出を行った。抽出液をエバポレーターで乾燥固化させて得られた重合体を、60℃で12時間、真空乾燥させた後、重合体の質量を測定した。なお、ソックスレー抽出によって抽出された分散剤ポリマー量が少ないほど、分散剤ポリマーのカーボンブラックへの付着量が多く、両者の結合が強固であることを示す。したがって、ソックスレー抽出によって抽出されたポリマー量が少ないほど、カーボンブラックの分散性が良好であることを示唆していると言える。また、同ポリマー量が少ないほど、表面改質の効率も優れており、カーボンブラック分散液の安定性が高いと言える。
(3)分散液の安定性
カーボンブラック分散液を1日間放置して、分散液の安定性を目視で観察した。なお、評価は、分散液中においてカーボンブラックが均一に分散されている場合を安定性「良好」、カーボンブラックの分散が不均一である場合や、カーボンブラックの沈殿が見られた場合を安定性「不良」として行った。
Claims (3)
- アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物と、第2級アミン化合物(A1)及び芳香環にメチル基が結合した構造を有する第3級アミン化合物(A2)からなる群より選択される少なくとも一種と、を混合して得られる化合物の存在下で、極性基を持つアニオン重合性モノマーを用いて重合を行う工程を含む、変性重合体の製造方法。
- アルカリ金属化合物若しくはアルカリ土類金属化合物の存在下で、又は、アルカリ金属化合物若しくはアルカリ土類金属化合物と、第2級アミン化合物(A1)及び芳香環にメチル基が結合した構造を有する第3級アミン化合物(A2)からなる群より選択される少なくとも一種と、を混合して得られる化合物の存在下で、極性基を持つアニオン重合性モノマーを用いて重合を行うことにより、活性末端を有する重合体を得る工程と、
当該活性末端を有する重合体と、窒素原子及び酸素原子の少なくともいずれかを有しかつ前記活性末端と反応し得る化合物(B)と、を反応させる工程と、を含む、変性重合体の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の製造方法により得られる変性重合体を含有する、分散剤。
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