JP2014024288A - 撥水膜付き基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】環境に与える負荷が小さく、十分な撥水性を有し、耐候性に優れるとともに、十分な耐アルカリ性を有する撥水膜を備えた撥水膜付き基板の提供。
【解決手段】
基板と、前記基板の主面の少なくとも一部に前記基板側から順に形成された中間層および最外層を有する撥水膜と、を備える撥水膜付き基板であって、中間層は、炭素原子数が1〜6のペルフルオロアルキル基と連結基にペルフルオロアルキレン基を含まない基を有するシラン化合物(a)を全固形分の主成分として含む中間層用コーティング組成物を用いて形成され、最外層は、末端ペルフルオロアルキル基の炭素原子数が1〜6であるペルフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物(b)を全固形分に対して70質量%以上含む最外層用コーティング組成物を用いて形成される撥水膜付き基板。
【選択図】図1

Description

本発明は、撥水膜付き基板に係り、特に、環境に与える負荷が小さく、十分な撥水性を有し、耐候性に優れるとともに、耐アルカリ性にも優れる撥水膜を有する撥水膜付き基板に関する。
基板の表面に撥水性を付与する方法としては、ペルフルオロアルキル基やペルフルオロポリエーテル基と加水分解性シリル基とをともに有する含フッ素シラン化合物を溶媒に溶解させた撥水剤組成物を基板に塗布し、乾燥することによって撥水膜を形成する方法が知られている。
撥水膜は、表面に撥水性が求められる様々な物品に使用されるが、撥水性以外の特性については、それぞれの物品が使用される環境等に応じて適宜求められる特性が付与されている。例えば、自動車ガラスのように運輸輸送分野で使用される物品における撥水膜は、高い撥水性が求められるとともに、耐候性の付与が強く求められている。さらには、異物の付着や洗剤を用いた洗浄処理から撥水膜を保護するために耐アルカリ性の付与も求められている。
上記要求を満たす撥水膜として、例えば、特許文献1においては、ペルフルオロアルキル基と加水分解性シリル基とを有する含フッ素シラン化合物と、ペルフルオロポリエーテル基と加水分解性シリル基とを有する含フッ素シラン化合物を組み合わせた撥水膜形成用組成物を用いて形成された物品が記載されている。
ところが、最近、上記撥水膜の製造において一般的に使用されてきた炭素原子数8以上のペルフルオロアルキル基を有する化合物は、環境負荷が高いとして、その使用が法規制や自主規制の対象となってきている。また、撥水膜にはより高い耐アルカリ性が要求されるようになっている。
ここで、特許文献1に記載の撥水膜形成用組成物において、炭素原子数8以上のペルフルオロアルキル基を有する化合物を用いた場合には、上記より高いレベルの耐アルカリ性に対して対応可能である。しかしながら、環境負荷の低い炭素原子数6以下のペルフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物を用いた場合には、撥水性や耐候性については炭素原子数8以上のペルフルオロアルキル基を有する化合物を用いた場合と同等の高いレベルが維持できるものの、耐アルカリ性が十分でないという問題があった。
国際公開第2011/016458号公報
本発明は、環境に与える負荷が小さく、十分な撥水性を有し、耐候性に優れるとともに、十分な耐アルカリ性を有する撥水膜を備えた撥水膜付き基板の提供を目的とする。
本発明は、基板と、前記基板の主面の少なくとも一部に前記基板側から順に形成された中間層および最外層を有する撥水膜と、を備える撥水膜付き基板であって、
前記中間層は、下記一般式(a1)で表される加水分解性シラン化合物および/またはその部分加水分解縮合物である含フッ素シラン化合物(a)を全固形分の主成分として含む中間層用コーティング組成物を用いて形成され、
前記最外層は、末端のペルフルオロアルキル基の炭素原子数が1〜6であるペルフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物および/またはその部分加水分解縮合物である含フッ素シラン化合物(b)を全固形分に対して70質量%以上含む最外層用コーティング組成物を用いて形成される撥水膜付き基板を提供する。
F1−Q−SiR (3−m1) m1 …(a1)
ただし、式(a1)中の記号は以下の通りである。
F1:炭素原子数1〜6の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を含まないペルフルオロアルキル基を示す。
:炭素原子数1〜6のフッ素原子を含まない2価有機基を示す。
:炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のオキシアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアシロキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子またはイソシアネート基を示す。m1個のXは、互いに同一であっても異なってもよい。
:水素原子または、水素原子の一部または全部が置換されていてもよいフッ素原子を含まない炭素原子数1〜8の一価炭化水素基を示す。3−m1個のRは互いに同一であっても異なってもよい。
m1:1〜3の整数を示す。
本発明によれば、環境に与える負荷が小さく、十分な撥水性を有し、耐候性に優れるとともに、十分な耐アルカリ性を有する撥水膜を備えた撥水膜付き基板の提供ができる。
本発明の撥水膜付き基板の実施形態の一例を示す断面図である。 本発明の撥水膜付き基板の実施形態の別の一例を示す断面図である。
以下に本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、下記説明に限定して解釈されるものではない。
本明細書における式(a1)で表される化合物を、化合物(a1)といい、式(1)で表される基を、基(1)という。他の化合物および基についても同様である。
本発明の撥水膜付き基板は、基板と、前記基板の主面の少なくとも一部に前記基板側から順に形成された以下の中間層および最外層を有する撥水膜と、を備える。
中間層は、上記一般式(a1)で表される加水分解性シラン化合物および/またはその部分加水分解縮合物である含フッ素シラン化合物(a)を全固形分の主成分として含む中間層用コーティング組成物を用いて形成される。
最外層は、末端のペルフルオロアルキル基の炭素原子数が1〜6であるペルフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物および/またはその部分加水分解縮合物である含フッ素シラン化合物(b)を全固形分に対して70質量%以上含む最外層用コーティング組成物を用いて形成される。
なお、本明細書において、特定の成分を「全固形分の主成分として含む」とは、全固形分の50質量%を超えて該特定の成分を含有することをいう。また、固形分とは、各層用のコーティング組成物において、これを用いて形成された層の構成成分としてそれ自体または反応生成物のかたちで残留する成分をいう。
本発明の撥水膜付き基板が有する撥水膜は、最外層が上記最外層用コーティング組成物を用いて形成されることで、十分な撥水性と耐アルカリ性の発現が可能となり、中間層が上記中間層用コーティング組成物を用いて形成されることで、優れた耐候性の発現が可能となる。また、上記最外層用コーティング組成物および上記中間層用コーティング組成物は、いずれも、炭素原子数6以下のペルフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物を主体として構成され、環境に与える負荷が少ない。
本発明の撥水膜付き基板は、さらに、前記基板と中間層の間に、4官能加水分解性シラン化合物および/またはその部分加水分解縮合物である加水分解性シラン化合物(c)を全固形分の主成分として含む下地層用コーティング組成物を用いて形成される下地層を有していてもよい。上記下地層用コーティング組成物を用いて形成される下地層を有することで、さらに耐候性の点で優れた撥水膜付き基板が得られる。
本発明の撥水膜付き基板は、基板と、前記基板の主面の少なくとも一部に形成された上記撥水膜と、を備える。基板における撥水膜の形成領域は、基板の主面上であれば特に制限されず、一方の主面の全面または、例えば端部を除く全領域に形成されることが好ましい。
図1に本発明の撥水膜付き基板の実施形態の一例の断面図を示す。図1は、基板2の一方の主面に基板2側から順に形成された中間層32および最外層31を有する撥水膜3を備える撥水膜付き基板1Aの断面図である。また、図2に本発明の撥水膜付き基板の実施形態の別の一例の断面図を示す。図2は、基板2の一方の主面に基板2側から順に形成された下地層33、中間層32および最外層31を有する撥水膜3を備える撥水膜付き基板1Bの断面図である。
以下、撥水膜付き基板1A、1Bを例として、本発明の実施形態の撥水膜付き基板を構成する各構成要素について説明する。
[基板]
本発明の実施形態の撥水膜付き基板に用いる基板2は、一般に撥水性の付与が求められている材質からなる基板であれば特に限定されず、金属、プラスチック、ガラス、セラミック、またはその組み合わせ(複合材料、積層材料等)からなる基板が好ましく使用される。ガラスまたはプラスチック等の透明な基板が好ましく、特にガラスが好ましい。ガラスとしては、通常のソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等が挙げられ、これらのうちでもソーダライムガラスが特に好ましい。また、プラスチックとしては、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂やポリフェニレンカーボネートなどの芳香族ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられ、これらのうちでもポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
基板2の形状は平板でもよく、全面または一部が曲率を有していてもよい。基板2の厚さは撥水膜付き基板の用途により適宜選択できるが、一般的には1〜10mmであることが好ましい。
本発明の実施形態に用いる上記基板2としては、目的に応じて、その表面に酸処理(希釈したフッ酸、硫酸、塩酸等を用いた処理)、アルカリ処理(水酸化ナトリウム水溶液等を用いた処理)または放電処理(プラズマ照射、コロナ照射、電子線照射等)等が施されたものを用いてもよい。また、基板2は、その表面に蒸着膜、スパッタ膜、湿式法等により形成された各種の膜が設けられたものでもよい。基板2がソーダライムガラスである場合は、Naイオンの溶出を防止する膜を設けることが耐久性の点で好ましい。基板2がフロート法で製造されたガラスである場合は、表面錫量の少ないトップ面に撥水膜3を設けることが耐久性の点で好ましい。
[撥水膜]
本発明の実施形態において、基板2上に形成される撥水膜3は、図1に示す撥水膜付き基板1Aのように、基板2側から順に形成される中間層32および最外層31からなってもよく、図2に示す撥水膜付き基板1Bのように、基板2側から順に形成される下地層33、中間層32および最外層31からなってもよい。
(中間層)
中間層32は、上記基板2上の撥水膜3が形成される領域に、以下に説明する中間層用コーティング組成物を用いて形成される、撥水膜3の主として耐候性に寄与する層である。撥水膜3が図2に示す撥水膜付き基板1Bのように下地層33を有する場合には基板2上に形成された下地層33上に形成され、図1に示す撥水膜付き基板1Aのように、下地層33を有しない場合は基板2上に直接形成される。
中間層32を形成するための中間層用コーティング組成物は、下記一般式(a1)で表される加水分解性シラン化合物および/またはその部分加水分解縮合物である含フッ素シラン化合物(a)を全固形分の主成分として含む組成物である。
F1−Q−SiR (3−m1) m1 …(a1)
ただし、式(a1)中の記号は以下の通りである。
F1:炭素原子数1〜6の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を含まないペルフルオロアルキル基を示す。
:炭素原子数1〜6のフッ素原子を含まない2価有機基を示す。
:炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のオキシアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアシロキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子またはイソシアネート基を示す。m1個のXは、互いに同一であっても異なってもよい。なお、ケイ素原子に結合するこれらの基は、加水分解してケイ素原子に結合する水酸基(シラノール基)を生成することが可能な加水分解性基である。
:水素原子または、水素原子の一部または全部が置換されていてもよいフッ素原子を含まない炭素原子数1〜8の一価炭化水素基を示す。3−m1個のRは互いに同一であっても異なってもよい。
m1:1〜3の整数を示す。
化合物(a1)は、ケイ素原子に1個の含フッ素有機基(RF1−Q−)基と、3−m1個の炭化水素基(R)と、m1(m1は1〜3の整数)個の加水分解性基(X)とが結合した含フッ素加水分解性シラン化合物である。
F1−Q−基における、RF1は環構造を有していてもよい炭素原子数1〜6の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を含まないペルフルオロアルキル基を示す。RF1は、前記条件を満たせば、直鎖構造であってもよく、分岐構造であってもよく、環状構造であってもよく、分岐構造および環状構造を部分的に有する構造であってもよい。これらのなかでもRF1としては、直鎖構造または分岐構造が好ましく、直鎖構造がより好ましい。RF1の炭素原子数は3〜6が好ましい。
は、炭素原子数1〜6のフッ素原子を含まない2価有機基を示す。Qの炭素原子数は1〜6であり、1〜3が特に好ましい。Qは、好ましくは、−(CH(fは、1〜6の整数である)、−CONH(CH(gは、1〜5の整数である)および−CONH(CHNH(CH5−h(hは、1〜4の整数である)から選ばれる2価有機基が挙げられ、より好ましくは、−(CH、−CONH(CH、−CONH(CHNH(CH等が挙げられる。
F1−Q−基は、上記炭素原子数1〜6のペルフルオロアルキル基(RF1)とフッ素原子を含まない炭素原子数1〜6の2価有機基(Q)とからなる含フッ素有機基である。このような化学構造のRF1−Q−基は、分解生成物として炭素原子数8以上のペルフルオロアルキル基を有する化合物を生成することがないため、環境負荷が少ない。
化合物(a1)におけるXは、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のオキシアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアシロキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子またはイソシアネート基を示す。
として具体的には、化合物(a1)の安定性と加水分解のし易さとのバランスの点から、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、イソシアネート基およびハロゲン原子が好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。アルコキシ基としては、炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基またはエトキシ基がより好ましい。化合物(a1)におけるXとしては、塩素原子、イソシアネート基、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。これらは、製造上の目的、用途等に応じて適宜選択され用いられる。化合物(a1)中にXが複数個存在する場合には、Xが同じ基でも異なる基でもよく、同じ基であることが入手しやすさの点で好ましい。
m1は、化合物(a1)中の加水分解性基(X)の個数を示し、その数は1〜3の整数である。m1が1以上であれば、得られる中間層32と最外層31および、下地層33または基板2との密着性が良好となる。m1は、得られる中間層32と上記各層や基板2との密着性の点から、2または3が好ましく、3が特に好ましい。
は、水素原子または、水素原子の一部または全部が置換されていてもよいフッ素原子を含まない炭素原子数1〜8の一価炭化水素基を示す。原料の入手や取り扱いが容易である点から、炭素原子数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基が特に好ましい。化合物(a1)中のRの個数は3−m1個である。化合物(a1)中にRが複数個存在する場合には、Rが同じ基でも異なる基でもよく、同じ基であることが入手しやすさの点で好ましい。
本発明において、化合物(a1)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(a1)としては、得られる中間層32における撥水膜3の耐候性向上への寄与の大きさおよび合成のし易さの点から、下記式(a11)〜(a16)でそれぞれ表される化合物が挙げられる。
F(CF(CHSiX …(a11)
F(CF(CHSi(R)X …(a12)
F(CFCONH(CHSiX …(a13)
F(CFCONH(CHSi(R)X …(a14)
F(CFCONH(CHNH(CH5−hSiX …(a15)
F(CFCONH(CHNH(CH5−hSi(R)X …(a16)
(ただし、式(a11)〜(a16)中、それぞれ式毎に独立して、eは1〜6の整数、fは1〜6の整数、gは1〜5の整数、hは1〜4の整数であり、XおよびRの意味および好ましい態様は、上記式(a1)と同様である。)
化合物(a11)〜(a16)は、単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。本発明においては、これらのなかでも化合物(a11)が好ましく、F(CF(CHSiX (ただし、式中、Xの意味および好ましい態様は、上記式(a1)と同様である。)がより好ましい。具体的には、F(CF(CHSiCl、F(CF(CHSi(NCO)、F(CF(CHSi(OCH、およびF(CF(CHSi(OCが挙げられる。このなかでもさらに3個のXが全て塩素原子である、F(CF(CHSiClがより好ましい。
本発明に用いる上記化合物(a1)は、一般的な方法で製造可能である。また、化合物(a1)としては市販品があるので、本発明にはこのような市販品を用いることも可能である。
中間層用コーティング組成物中に含まれる含フッ素シラン化合物(a)は、化合物(a1)および/またはその部分加水分解縮合物からなる。化合物(a1)のような加水分解性シラン化合物の部分加水分解縮合物とは、溶媒中で酸触媒やアルカリ触媒などの触媒と水の存在下に該化合物が有する加水分解性基の全部または一部が加水分解し、次いで脱水縮合することによって生成するオリゴマー(多量体)をいう。ただし、この部分加水分解縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度である必要がある。化合物(a)としては、化合物(a1)であっても、化合物(a1)の部分加水分解縮合物であってもよく、化合物(a1)とその部分加水分解縮合物との混合物、例えば、未反応の化合物(a1)が含まれる化合物(a1)の部分加水分解縮合物であってもよい。
中間層用コーティング組成物に含まれる含フッ素シラン化合物(a)は、該組成物中の全固形分の主成分であり、全固形分中に50質量%を超えて含まれる成分である。中間層用コーティング組成物の全固形分における含フッ素シラン化合物(a)の含有量は50質量%を超え100質量%であり、80〜100質量%が好ましく、耐候性の観点から100質量%がより好ましい。
中間層用コーティング組成物が含フッ素シラン化合物(a)を上記範囲で含有することで、得られる中間層32は主として含フッ素シラン化合物(a)が加水分解縮合してシロキサン結合を形成した層となり、撥水膜3に十分な耐候性を付与することが可能となる。中間層用コーティング組成物は、固形分中にシロキサン結合を形成する成分として含フッ素シラン化合物(a)以外の加水分解性シラン化合物を本発明の効果を損なわない範囲で含有できる。さらに、中間層用コーティング組成物は本発明の効果を損なわない範囲で加水分解性シラン化合物以外の固形分として、各種目的に応じた機能性添加剤を含んでもよい。
上記含フッ素シラン化合物(a)以外の加水分解性シラン化合物としては、好ましくは、最外層用コーティング組成物が含有する、ペルフルオロポリエーテル基(ただし、末端のペルフルオロアルキル基の炭素原子数が1〜6である。)を有する加水分解性シラン化合物および/またはその部分加水分解縮合物である含フッ素シラン化合物(b)が挙げられる。ここで、中間層用コーティング組成物が、含フッ素シラン化合物(a)と含フッ素シラン化合物(b)を含む場合には、含フッ素シラン化合物(a)と含フッ素シラン化合物(b)との部分加水分解共縮合物を含んでもよい。以下、「含フッ素シラン化合物(a)と含フッ素シラン化合物(b)を含む」とは、これらの部分加水分解共縮合物を含むことを包含するものである。
なお、中間層用コーティング組成物において、含フッ素シラン化合物(a)以外の加水分解性シラン化合物は、実質的に、分解生成物として炭素原子数8以上のペルフルオロアルキル基を有する化合物を生成する化合物を含まない。中間層用コーティング組成物において必須成分である含フッ素シラン化合物(a)および、含フッ素シラン化合物(a)以外の加水分解性シラン化合物として好ましく用いられる含フッ素シラン化合物(b)については、これらが有するペルフルオロアルキル基の炭素原子数は6以下であり環境に与える負荷は低い。
ここで、上記含フッ素シラン化合物(a)と含フッ素シラン化合物(b)の部分加水分解共縮合物とは、上記と同様に、溶媒中で酸触媒やアルカリ触媒などの触媒存在下に、これらの化合物が有する加水分解性基の全部または一部が加水分解し、次いで脱水縮合することによって生成するオリゴマー(多量体)をいう。ここでは、含フッ素シラン化合物(a)と含フッ素シラン化合物(b)を加水分解縮合して得られるものであることより、部分加水分解「共」縮合物と呼ぶ。この部分加水分解共縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度である必要がある。
上記含フッ素シラン化合物(a)と含フッ素シラン化合物(b)の部分加水分解共縮合物は、所定量の含フッ素シラン化合物(a)と含フッ素シラン化合物(b)を溶媒に溶解し、酸触媒やアルカリ触媒などの触媒と水の存在下に所定時間攪拌することによって製造できる。酸触媒としては、塩酸、硝酸、酢酸、硫酸、燐酸、スルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等を使用できる。アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等を使用できる。これら触媒の水溶液を使用することにより、加水分解に必要な水を反応系に存在させることができる。触媒と水の存在下に加熱することにより反応を促進することもできるが、反応が進みすぎると縮合度が上がりすぎ、溶媒不溶性の生成物するおそれが生じる。適当な量の触媒が存在する限り常温で反応させることが好ましい。得られた部分加水分解共縮合物の溶液はそのまま中間層用コーティング組成物として使用することができる。
上記部分加水分解共縮合物を使用することにより、より性能の高い中間層を形成することができる。例えば、含フッ素シラン化合物(a)と含フッ素シラン化合物(b)から形成される中間層の場合、中間層は両化合物の加水分解共縮合物からなることより、両化合物に由来する単位が均一に分布した層であることが好ましいと考えられる。両化合物の加水分解共縮合物は比較的短時間で形成されることより、含フッ素シラン化合物(a)と含フッ素シラン化合物(b)から直に形成される層においては両化合物に由来する単位の分布の均一性が低下するおそれがある。予め両化合物に由来する単位を含む部分加水分解共縮合物を製造しておくことにより、この均一性が向上すると考えられる。
中間層用コーティング組成物における加水分解性シラン化合物の組成割合は、加水分解性シラン化合物が、例えば、含フッ素シラン化合物(a)と含フッ素シラン化合物(b)からなる場合は、組成物を製造するために使用した両化合物の割合で組成割合を決めることができる。しかし、中間層用コーティング組成物が上記部分加水分解共縮合物を含む場合はその部分加水分解共縮合物中の単位の割合を測定することは困難である。この場合、本発明においては、部分加水分解共縮合物を製造する前の原料組成で有効成分の組成割合を決めるものとする。すなわち、部分加水分解共縮合物の原料として使用した含フッ素シラン化合物(a)と含フッ素シラン化合物(b)の量から組成割合を決めるものとする。
中間層用コーティング組成物が含有する加水分解性シラン化合物としては、含フッ素シラン化合物(a)を主成分とし、含フッ素シラン化合物(a)以外の加水分解性シラン化合物として含フッ素シラン化合物(b)のみを含むものが撥水性および耐久性の点で好ましい。中間層用コーティング組成物における、含フッ素シラン化合物(a)と含フッ素シラン化合物(b)の含有割合としては、含フッ素シラン化合物(a)/含フッ素シラン化合物(b)として示される質量比で、51/49〜100/0が好ましく、80/20〜100/0がより好ましい。
中間層用コーティング組成物が任意に含有する機能性添加剤としては、必須成分との反応性または相溶性等を考慮して選択するのが好ましく、片末端反応性ポリジメチルシロキサン、両末端反応性ポリジメチルシロキサン等の非フッ素系撥水性材料、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の金属酸化物の超微粒子、染料または顔料等の着色用材料、防汚性材料、硬化触媒、各種樹脂等が好ましく挙げられる。機能性添加剤の添加量は、中間層用コーティング組成物が含有する加水分解性シラン化合物の合計質量100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。該組成物への機能性添加剤の過剰な添加は、得られる中間層の性能の低下を招くおそれがある。
中間層用コーティング組成物は、含フッ素シラン化合物(a)を主成分として含む上記固形分のみから構成されてもよいが、経済性、作業性、得られる中間層の厚さ制御のしやすさ等を考慮し、通常は有機溶剤を含む。有機溶剤は、必須成分を含む固形分を溶解するものであれば特に制限されない。有機溶剤としては、アルコール類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類、パラフィン系炭化水素類、酢酸エステル類等が好ましく、特にフッ素原子を含む有機溶剤(例えば、フルオロアルコール、フルオロ炭化水素)が好ましい。有機溶剤は1種に限定されず、極性、蒸発速度等の異なる2種以上の有機溶剤を混合して使用してもよい。
中間層用コーティング組成物は、部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含有する場合、これらを製造するために使用した溶媒を含んでもよく、またこの溶媒と中間層用コーティング組成物の有機溶剤は同じものであってもよい。さらに中間層用コーティング組成物は、部分加水分解縮合で用いた触媒などの成分を含んでいてもよい。特に、部分加水分解共縮合物を含む中間層用コーティング組成物は、部分加水分解共縮合物の製造で得られた部分加水分解共縮合物の溶液そのものであることが好ましい。
中間層用コーティング組成物における有機溶剤の割合は、加水分解性シラン化合物の合計質量の100質量部に対して、100,000質量部以下が好ましく、特に10,000質量部以下が好ましい。100,000質量部を超える量を用いると、得られる中間層に処理ムラが発生する場合がある。
中間層用コーティング組成物に用いる有機溶剤の量は、さらに、該組成物が含有する加水分解性シラン化合物の合計質量100質量部に対して、3,500質量部以下であることが好ましく、2,000質量部以下であることがより好ましい。このように中間層用コーティング組成物において、含有する固形分に対する有機溶剤の量を少なくすることで、これを用いて形成される中間層の膜厚を容易に増大することができ、撥水膜の耐候性の向上に寄与することが可能となる。なお、中間層用コーティング組成物に用いる有機溶剤の量の下限については特に制限されないが、上記の通り、経済性、作業性、処理層の厚さ制御のしやすさ等を考慮すると、該組成物が含有する加水分解性シラン化合物の合計質量100質量部に対して、500質量部程度の量を下限とすることが好ましい。
さらに、中間層用コーティング組成物においては、部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含まないものであっても、含フッ素シラン化合物(a)、さらに必要に応じて用いられる含フッ素シラン化合物(b)の加水分解縮合反応や加水分解共縮合反応を促進させるために、上記で同様の反応において使用したのと同様の酸触媒等の触媒を配合しておくことも好ましい。部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含む場合であっても、それらの製造に使用した触媒が組成物中に残存していない場合は、触媒を配合することが好ましい。触媒としては、酸触媒が好ましい。触媒を存在させておくことにより、撥水膜の耐摩耗性や耐候性の向上に寄与可能な中間層を形成できる。触媒の量としては、含フッ素加水分解性シラン化合物成分の合計質量100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましい。
中間層用コーティング組成物は、加水分解性シラン化合物の加水分解縮合反応や加水分解共縮合反応のための水を含んでいてもよい。中間層用コーティング組成物における水の含有量は、加水分解性シラン化合物の合計質量の100質量部に対して、1〜50質量部が好ましい。なお、中間層用コーティング組成物は水を含有しなくとも、以下の中間層を形成する過程において雰囲気中の水分を利用して加水分解性シラン化合物の加水分解縮合や加水分解共縮合反応を行わせることができる。
中間層用コーティング組成物を用いて中間層32を形成する方法としては、加水分解性シラン化合物を含む被膜形成用組成物における公知の方法を用いることが可能である。例えば、はけ塗り、流し塗り、回転塗布、浸漬塗布、スキージ塗布、スプレー塗布、ワイプコート、手塗り等の方法で前記組成物を基板2または下地層33の表面に塗布し、大気中または窒素雰囲気中において、必要に応じて乾燥した後、硬化させることで、中間層32を形成できる。硬化の条件は、用いる組成物の種類、濃度等により適宜制御されるが、好ましい条件として、温度:20〜50℃、湿度:50〜90%RHの条件が挙げられる。硬化のための時間は、用いる組成物の種類、濃度、硬化条件等によるが、概ね1〜72時間が好ましい。処理方法によっては、余剰成分が発生し外観品質を損なう場合があるが、溶剤拭きまたは空拭き等で余剰成分を除去し外観を調節すればよい。中間層用コーティング組成物から形成される中間層32の厚さは特に限定されないが、経済性を考慮すると、50nm以下の厚さが好ましく、その下限は単分子層の厚さである。なお、中間層32の厚さは用いる中間層用コーティング組成物の固形分濃度、塗布条件、加熱条件等によって適宜制御しうる。
(最外層)
最外層31は、上記基板2上の中間層32の表面に、以下に説明する最外層用コーティング組成物を用いて形成される層である。最外層31は、撥水膜3に主として優れた撥水性と耐アルカリ性を付与する撥水膜3の最も表層に位置する層である。
最外層31を形成するための最外層用コーティング組成物は、末端のペルフルオロアルキル基の炭素原子数が1〜6であるペルフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物(以下、必要に応じて「ペルフルオロポリエーテル基含有加水分解性シラン化合物」という)および/またはその部分加水分解縮合物である含フッ素シラン化合物(b)を全固形分に対して70質量%以上含む組成物である。
含フッ素シラン化合物(b)が上記ペルフルオロポリエーテル基含有加水分解性シラン化合物の部分加水分解縮合物からなる場合、その縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度となるように調整される。含フッ素シラン化合物(b)としては、ペルフルオロポリエーテル基含有加水分解性シラン化合物であっても、その部分加水分解縮合物であってもよく、両者の混合物、例えば、未反応のペルフルオロポリエーテル基含有加水分解性シラン化合物が含まれるその部分加水分解縮合物であってもよい。
上記ペルフルオロポリエーテル基含有加水分解性シラン化合物としては、下記式(b1)で表される化合物および下記式(b2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
−Q−SiX m2 3−m2 …(b1)
−Q−{CHCH(SiX m3 3−m3)}−H …(b2)
ただし、式(b1)および式(b2)中の記号は、それぞれ式毎に独立して、以下の通りである。
、A:下記式(1)で表される基である。
Figure 2014024288
(式(1)中、RF2は炭素原子数が1〜6のペルフルオロアルキル基を示す。a、b、c、dは、それぞれ独立して、0または1以上の整数を示し、a+b+c+dは、少なくとも1以上であり、a、b、c、dでくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において限定されない。)
、Q:−C(=O)NH−、−C(=O)N(CH)−、−C(=O)N(C)−から選ばれるアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、エステル結合、−CF−基およびフェニレン基から選ばれる1種または2種を含有してもよい、−CH−単位の繰返しからなる炭素原子数2〜12の2価の有機基を示す(ただし、−CH−基の水素原子の1個は−OH基で置換されていてもよい。)。
、X:炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のオキシアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアシロキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子またはイソシアネート基を示す。m2個のXおよびm3個のXは、それぞれ互いに同一であっても異なってもよい。
、R:水素原子または、水素原子の一部または全部が置換されていてもよいフッ素原子を含まない炭素原子数1〜8の一価炭化水素基を示す。3−m2個のRおよび3−m3個のRは、それぞれ互いに同一であっても異なってもよい。
m2、m3:1〜3の整数を示す。
n:1〜10の整数を示す。
化合物(b1)および化合物(b2)は、いずれも上記式(1)で示されるペルフルオロエーテル基と、それぞれケイ素原子に3−m2個、3−m3個の炭化水素基(R、R)と、m2、m3(m2、m3は1〜3の整数)個の加水分解性基(X、X)とが結合した構造を有する、含フッ素加水分解性シラン化合物である。
ペルフルオロエーテル基(1)における末端のRF2は、環構造を有していてもよい炭素原子数1〜6の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を含まないペルフルオロアルキル基を示す。RF2は、前記条件を満たせば、直鎖構造であってもよく、分岐構造であってもよく、環状構造であってもよく、分岐構造および環状構造を部分的に有する構造であってもよい。これらのなかでもRF2としては、直鎖構造または分岐構造が好ましく、直鎖構造がより好ましい。RF2の炭素原子数は1〜3が好ましい。
このように、化合物(b1)および化合物(b2)が有するペルフルオロエーテル基(1)は、末端のペルフルオロアルキル基RF2の炭素原子数が1〜6であり、分解生成物として炭素原子数8以上のペルフルオロアルキル基を有する化合物を生成することがないため、化合物(b1)および化合物(b2)は環境負荷が少ない。
化合物(b1)および化合物(b2)がそれぞれ有するAおよびA、すなわちペルフルオロエーテル基(1)において、a、b、cおよびdの上限は、それぞれ独立して、200が好ましく、50がより好ましい。また、a+b+c+dの上限は、200が好ましく、100がより好ましい。さらに、化合物(b1)および化合物(b2)がそれぞれ有するAおよびAは、それぞれ下記式(11)〜(15)のいずれかで表される基であることが好ましい。
CF−(OCF−…(11)
CF−(OCFCF−(OCF− …(12)
CFCF−(OCFCF− …(13)
CFCFCF−(OCFCFCF− …(14)
CFCFCF−{OCF(CF)CF− …(15)
(ただし、式(11)〜(15)中の記号a、b、c、dは、それぞれ式毎に独立して、その意味および好ましい態様は、上記式(1)と同様である。)
化合物(b1)および化合物(b2)におけるQおよびQとして、具体的には、−(CHn1−(n1は、2〜4の整数を表す)、−CONH(CHn2−(n2は、2〜4の整数を表す)−(CFn3−、−O−(CFn3−(n3は、2〜4の整数を表す)、−CHOCONHC−、−COCHCH(OH)CHOC−、−CHOCHCH(OH)CHOC−、−CHOC−、−CFOC−等が挙げられる。これらのなかでも、−CONHC−、−CONHC−、−CHOCONHC−、−COCHCH(OH)CHOC−、−CHOCHCH(OH)CHOC−、−CHOC−、−CFOC−、−C−、−C−、−C−および−OC−から選択されるいずれかの2価の有機基が好ましい。さらに、−CONHC−、−CONHC−、−C−が好ましい。
化合物(b1)および化合物(b2)における記号XおよびXが示す具体的な加水分解性基としては、化合物(a1)におけるXが示す具体的な加水分解性基と、好ましい態様も含めて同様とできる。中間層との密着性の観点からm2、m3は2または3が好ましく、3が特に好ましい。化合物(b1)および化合物(b2)中にそれぞれXおよびXが複数個存在する場合には、各化合物においてXおよびXが同じ基でも異なる基でもよく、同じ基であることが入手しやすさの点で好ましい。
化合物(b1)および化合物(b2)における記号RおよびRが示す具体的な一価炭化水素基としては、化合物(a1)におけるRが示す具体的な一価炭化水素基と、好ましい態様も含めて同様とできる。化合物(b1)および化合物(b2)中にそれぞれRおよびRが複数個存在する場合には、各化合物においてRおよびRが同じ基でも異なる基でもよく、同じ基であることが入手しやすさの点で好ましい
また、化合物(b2)におけるnは、1〜10の整数を示し、1〜5が好ましく、1〜2がより好ましい。
化合物(b1)としては、得られる撥水層31の撥水性および耐アルカリ性、ならびに合成のし易さの点から、下記式(b11)〜(b16)でそれぞれ表される化合物が好ましい。
CF−(OCFCF−OCF−CONHCSi(OCH…(b11)
CF−(OCFCF−OCF−CONHCSi(OC…(b12)
CF−(OCFCF−OCF−CONHCSi(OCH…(b13)
CF−(OCFCF−OCF−CONHCSi(OC…(b14)
CF−(OCFCF−OCF−CSi(OCH…(b15)
CF−(OCFCF−OCF−CSi(OC…(b16)
(ただし、式(b11)〜(b16)中、それぞれ式毎に独立して、a=7〜8、平均値:7.3を示す。)
化合物(b11)〜(b16)は、単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。
化合物(b2)としては、得られる撥水層31の撥水性および耐アルカリ性、ならびに合成のし易さの点から、下記式(b21)〜(b25)でそれぞれ表される化合物が好ましい。
CF−(OCF−Q−{CHCH(SiX m3 3−m3)}−H…(b21)
CF−(OCFCF−(OCF−Q−{CHCH(SiX m3 3−m3)}−H…(b22)
CFCF−(OCFCF−Q−{CHCH(SiX m3 3−m3)}−H…(b23)
CFCFCF−(OCFCFCF−Q−{CHCH(SiX m3 3−m3)}−H…(b24)
CFCFCF−{OCF(CF)CF−Q−{CHCH(SiX m3 3−m3)}−H…(b25)
(ただし、式(b21)〜(b25)中、記号a、b、c、d、Q、X、R、m3およびnはそれぞれ式毎に独立して、上記式(b2)におけるのと同様であり、好ましい態様も上記同様である。)
化合物(b21)〜(b25)は、単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。
本発明においては、これらのなかでも化合物(b11)が特に好ましい。
上記化合物(b1)および化合物(b2)は、公知の方法で製造可能である。例えば,上記化合物(b1)は、具体的には、WO2009−008380号公報に記載の方法で製造可能である。また、化合物(b2)は、例えば、特開平9−157388号公報に記載の方法で製造可能である。
最外層用コーティング組成物に含まれる含フッ素シラン化合物(b)は、該組成物中の全固形分に対して70質量%以上含まれる成分である。最外層用コーティング組成物の全固形分における含フッ素シラン化合物(b)の含有量は70〜100質量%であり、90〜100質量%が好ましく、撥水膜への耐アルカリ性付与の観点から100質量%がより好ましい。
最外層用コーティング組成物が含フッ素シラン化合物(b)を上記範囲で含有することで、得られる最外層31は、その大部分が、含フッ素シラン化合物(b)が加水分解縮合してシロキサン結合を形成したペルフルオロポリエーテル基(ただし、末端のペルフルオロアルキル基の炭素原子数が1〜6である。)を有する層となり、撥水膜3に十分な撥水性および耐アルカリ性を付与することが可能となる。最外層用コーティング組成物は、固形分中にシロキサン結合を形成する成分として含フッ素シラン化合物(b)以外の加水分解性シラン化合物を本発明の効果を損なわない範囲で含有できる。さらに、最外層用コーティング組成物は本発明の効果を損なわない範囲で加水分解性シラン化合物以外の固形分として、各種目的に応じた機能性添加剤を含んでもよい。
上記含フッ素シラン化合物(b)以外の加水分解性シラン化合物としては、好ましくは、上記中間層用コーティング組成物が含有する、含フッ素シラン化合物(a)が挙げられる。ここで、最外層用コーティング組成物が、含フッ素シラン化合物(b)と含フッ素シラン化合物(a)を含む場合には、含フッ素シラン化合物(b)と含フッ素シラン化合物(a)との部分加水分解共縮合物を含んでもよい。なお、含フッ素シラン化合物(a)と含フッ素シラン化合物(b)の部分加水分解共縮合物とは、上記中間層用コーティング組成物において説明した通りである。
また、最外層用コーティング組成物において、含フッ素シラン化合物(b)以外の加水分解性シラン化合物は、実質的に、分解生成物として炭素原子数8以上のペルフルオロアルキル基を有する化合物を生成する化合物を含まない。最外層用コーティング組成物において必須成分である含フッ素シラン化合物(b)および、含フッ素シラン化合物(b)以外の加水分解性シラン化合物として好ましく用いられる含フッ素シラン化合物(a)は、上記の通りこれらが有するペルフルオロアルキル基の炭素原子数が6以下であり環境に与える負荷は低い。
最外層用コーティング組成物が含有する加水分解性シラン化合物としては、含フッ素シラン化合物(b)を全固形分に対して上記の割合で含有し、含フッ素シラン化合物(b)以外の加水分解性シラン化合物として含フッ素シラン化合物(a)のみを含むものが撥水性の点で好ましい。最外層用コーティング組成物における、含フッ素シラン化合物(b)と含フッ素シラン化合物(a)の含有割合としては、含フッ素シラン化合物(b)/含フッ素シラン化合物(a)として示される質量比で、70/30〜100/0であり、80/20〜100/0が好ましく、90/10〜100/0がより好ましい。なお、最外層用コーティング組成物における加水分解性シラン化合物の組成割合についても、中間層用コーティング組成物の場合と同様に算出できる。例えば、含フッ素シラン化合物(b)と含フッ素シラン化合物(a)の部分加水分解共縮合物を用いた場合には、原料として使用した含フッ素シラン化合物(b)と含フッ素シラン化合物(a)の量から組成割合を決めるものとする。
最外層用コーティング組成物が任意に含有する機能性添加剤としては、中間層用コーティング組成物が任意に含有する機能性添加剤と同様のものが挙げられ、その添加量についても、中間層用コーティング組成物と同様にできる。また、最外層用コーティング組成物は通常、有機溶剤を含み、該有機溶剤の種類およびその添加量についても、中間層用コーティング組成物と同様にできる。さらに最外層用コーティング組成物は、触媒や水を中間層用コーティング組成物と同様に含有することができる。
最外層用コーティング組成物を用いて最外層31を形成する方法としては、塗布面を中間層32の表面とする以外は、上記中間層用コーティング組成物を用いて中間層32を形成する方法と同様とできる。最外層用コーティング組成物から形成される最外層31の厚さは特に限定されないが、経済性を考慮すると、50nm以下の厚さが好ましく、その下限は単分子層の厚さである。なお、最外層31の厚さは用いる最外層用コーティング組成物の固形分濃度、塗布条件、加熱条件等によって適宜制御しうる。
(下地層)
下地層33は、上記基板2と中間層32の間に、4官能加水分解性シラン化合物および/またはその部分加水分解縮合物である加水分解性シラン化合物(c)を全固形分の主成分として含む下地層用コーティング組成物を用いて任意に形成される層である。下地層33を有することで、撥水膜3と基板2との密着性が増し、また撥水膜3全体としての緻密性が高まって、耐摩耗性、耐候性等の耐久性を向上させることが可能となる。
4官能加水分解性シラン化合物として、具体的には下記式(c1)で表される化合物が挙げられる。
Si(X …(c1)
上記式(c1)中、Xは、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のオキシアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアシロキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子またはイソシアネート基を示す。4個のXは、互いに同一であっても異なってもよい。これらのうちでも、Xは、塩素原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基またはイソシアネート基であることが好ましく、メトキシ基、エトキシ基またはイソシアネート基であることがより好ましい。また、4個のXが同一であることが好ましい。化合物(c1)として、具体的には、SiCl、Si(NCO)、Si(OCH、Si(OCが挙げられる。これらのうちでも、化合物(c1)として、特にSi(NCO)が好ましい。
加水分解性シラン化合物(c)が4官能加水分解性シラン化合物の部分加水分解縮合物からなる場合、その縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度となるように調整される。加水分解性シラン化合物(c)としては、4官能加水分解性シラン化合物であっても、その部分加水分解縮合物であってもよく、両者の混合物、例えば、未反応の4官能加水分解性シラン化合物が含まれるその部分加水分解縮合物であってもよい。4官能加水分解性シラン化合物、例えば化合物(c1)やその部分加水分解縮合物としては市販品があり、本発明にはこのような市販品を用いることが可能である。
また、上記下地層用コーティング組成物には、加水分解性シラン化合物(c)の1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
下地層用コーティング組成物に含まれる加水分解性シラン化合物(c)は、該組成物中の全固形分の主成分であり、全固形分中に50質量%を超えて含まれる成分である。下地層用コーティング組成物の全固形分における加水分解性シラン化合物(c)の含有量は50質量%を超え100質量%であり、80〜100質量%が好ましく、耐候性の観点から100質量%がより好ましい。
下地層用コーティング組成物が加水分解性シラン化合物(c)を上記範囲で含有することで、得られる下地層33は、主として加水分解性シラン化合物(c)が加水分解縮合してシロキサン結合を形成した層となり、撥水膜3にさらなる耐摩耗性、耐候性等の耐久性を付与することが可能となる。下地層用コーティング組成物は、固形分中にシロキサン結合を形成する成分として加水分解性シラン化合物(c)以外の加水分解性シラン化合物を本発明の効果を損なわない範囲で含有できる。さらに、下地層用コーティング組成物は本発明の効果を損なわない範囲で加水分解性シラン化合物以外の固形分として、各種目的に応じた機能性添加剤を含んでもよい。
上記加水分解性シラン化合物(c)以外の加水分解性シラン化合物としては、好ましくは、上記中間層用コーティング組成物が含有する、含フッ素シラン化合物(a)が挙げられる。ここで、下地層用コーティング組成物が、加水分解性シラン化合物(c)と含フッ素シラン化合物(a)を含む場合には、加水分解性シラン化合物(c)と含フッ素シラン化合物(a)との部分加水分解共縮合物を含んでもよい。なお、含フッ素シラン化合物(a)と加水分解性シラン化合物(c)の部分加水分解共縮合物とは、上記中間層用コーティング組成物において説明した含フッ素シラン化合物(a)と含フッ素シラン化合物(b)の部分加水分解共縮合物において、含フッ素シラン化合物(b)を加水分解性シラン化合物(c)にかえた部分加水分解共縮合物である。
また、下地層用コーティング組成物において、加水分解性シラン化合物(c)以外の加水分解性シラン化合物は、実質的に、分解生成物として炭素原子数8以上のペルフルオロアルキル基を有する化合物を生成する化合物を含まない。なお、含フッ素シラン化合物(a)は、上記の通りこれらが有するペルフルオロアルキル基の炭素原子数が6以下であり環境に与える負荷は低い。
下地層用コーティング組成物が含有する加水分解性シラン化合物としては、加水分解性シラン化合物(c)を主成分とし、加水分解性シラン化合物(c)以外の加水分解性シラン化合物として含フッ素シラン化合物(a)のみを含むものが耐候性の点で好ましい。下地層用コーティング組成物における、加水分解性シラン化合物(c)と含フッ素シラン化合物(a)の含有割合としては、加水分解性シラン化合物(c)/含フッ素シラン化合物(a)として示される質量比で、51/49〜100/0が好ましく、80/20〜100/0がより好ましい。なお、下地層用コーティング組成物における加水分解性シラン化合物の組成割合についても、中間層用コーティング組成物の場合と同様に算出できる。例えば、加水分解性シラン化合物(c)と含フッ素シラン化合物(a)の部分加水分解共縮合物を用いた場合には、原料として使用した加水分解性シラン化合物(c)と含フッ素シラン化合物(a)の量から組成割合を決めるものとする。
下地層用コーティング組成物が任意に含有する機能性添加剤としては、中間層用コーティング組成物が任意に含有する機能性添加剤と同様のものが挙げられ、その添加量についても、中間層用コーティング組成物と同様にできる。また、下地層用コーティング組成物は通常、有機溶剤を含み、該有機溶剤の種類およびその添加量についても、中間層用コーティング組成物と同様にできる。さらに下地層用コーティング組成物は、触媒や水を中間層用コーティング組成物と同様に含有することができる。
下地層用コーティング組成物を用いて下地層33を形成する方法としては、塗布面を基板2の表面とする以外は、上記中間層用コーティング組成物を用いて中間層32を形成する方法と同様とできる。下地層用コーティング組成物から形成される下地層33の厚さは特に限定されないが、経済性を考慮すると、50nm以下の厚さが好ましく、その下限は単分子層の厚さである。なお、下地層33の厚さは用いる下地層用コーティング組成物の固形分濃度、塗布条件、加熱条件等によって適宜制御しうる。
以上、本発明の実施形態の撥水膜付き基板1A、1Bにおいて、基板2上に形成される撥水膜3を構成する下地層33、中間層32、最外層31についてそれぞれ製造方法を合わせて説明した。ここで、撥水膜付き基板1Bを製造する場合、下地層33、中間層32、最外層31を形成する際には、下地層用コーティング組成物を基板表面に塗布し一定時間保持して塗膜を形成させ、その表面に中間層用コーティング組成物を塗布し一定時間保持して塗膜を形成させ、さらにその表面に最外層形成用コーティング組成物を塗布し塗膜を形成させた後に、適当な条件で硬化処理を行うことで、下地層形成のための硬化処理と、中間層形成のための硬化処理と、さらには最外層形成のための硬化処理を同時に行うことも可能である。撥水膜付き基板1Aにおいても、同様である。
なお、各層を形成するためのコーティング組成物においては、触媒を含有する状態で長期間貯蔵されると、加水分解性シラン化合物の加水分解が徐々に進行してシラン化合物が高分子化する等、貯蔵安定性の点で問題となることがある。そこで各コーティング組成物を、実質的に触媒を含まない組成に調製し、上記において最外層形成用コーティング組成物を塗布し塗膜を形成させ、乾燥させた後に、触媒と溶媒を含む表面処理液を表面から浸透させ、各層を硬化させる方法をとってもよい。
この際に用いる表面処理液としては、各層用のコーティング組成物が含有する加水分解性シラン化合物の加水分解反応を触媒する触媒とそれを溶解する溶媒を含有する表面処理液であれば特に制限されない。触媒として、具体的には、酸またはアルカリが挙げられる。酸触媒としては、塩酸、硝酸、酢酸、硫酸、燐酸、スルホン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等が使用できる。アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等が使用できる。これらのなかでも、触媒は酸が好ましく、酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸およびメタンスルホン酸からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。表面処理液が含有する触媒の量としては、表面処理液全量に対して触媒が0.01〜5質量%となる割合が好ましい。
表面処理液の溶媒は、最終的には除去される必要があるため、その沸点は60〜160℃の範囲にあることが好ましく、60〜120℃がより好ましい。溶媒として具体的には、アルコール類、エーテル類、ケトン類、酢酸エステル類等が好ましく、上記沸点の条件を満足する溶媒として、具体的には、イソプロピルアルコール、エタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ブタノン等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。表面処理液における溶媒の配合量は、触媒100質量部に対して2,000〜1,000,000質量部が好ましい。
表面処理液は、さらに水を含有してもよい。この水は処理される各層の加水分解性シラン化合物が加水分解縮合するための水として作用する。したがって、表面処理液が水を含有する場合、この水は上記溶媒とは区別される。表面処理液における水の配合量は、触媒100質量部に対して50〜15,000質量部が好ましい。なお、表面処理液が水を含有しなくとも、各層が水を含む場合や雰囲気中に水分が充分存在する場合には、このような水を利用して加水分解性シラン化合物の加水分解縮合を行わせることができる。
本発明の撥水膜付き基板は、これを具備する輸送機器用物品としての用途に好適に用いられる。輸送機器用物品とは、電車、自動車、船舶、航空機等におけるボディー、窓ガラス(フロントガラス、サイドガラス、リアガラス)、ミラー、バンパー等が好ましく挙げられる。
本発明の撥水膜付き基板またはこの基板を具備する輸送機器用物品は、その撥水膜表面が優れた撥水性を有し、表面への水滴の付着が少なく、付着した水滴がすみやかにはじかれる。加えて輸送機器の運行に伴う風圧との相互作用により、付着した水滴は表面を急速に移動し、水滴として溜ることはない。このため、水分が誘発する悪影響を排除できる。また、上記撥水膜は、耐アルカリ性および耐候性にも優れるため、例えば、輸送機器用物品としての屋外での使用を含む各種使用条件下での長期使用においてもこの撥水性を維持することができる。
本発明の撥水膜付き基板またはこの基板を具備する輸送機器用物品は、特に、各種窓ガラス等の透視野部での用途において、水滴の飛散により視野の確保が非常に容易となり、車輌等の運行において安全性が向上できる。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、例1〜例6が実施例であり、例7〜例10が比較例である。例11は参考例である。
各層用のコーティング組成物に配合する加水分解性シラン化合物として以下の各化合物を使用した。
含フッ素シラン化合物(a)として化合物(a11−1):F(CF(CHSiCl(シンクエスト社製)
含フッ素シラン化合物(b)として化合物(b11):CF−(OCFCF−OCF−CONHCSi(OCH(以下の合成例1で製造。ただし、化合物(b11)において、a=7〜8、平均値:7.3を示す。)
加水分解性シラン化合物(c)として化合物(c1−1):Si(NCO)(オルガチックスSI−400、商品名、マツモトファインケミカル社製)
参考例に用いたペルフルオロアルキル基の炭素原子数が8の含フッ素シラン化合物(S):F(CF(CHSiCl(シンクエスト社製)
[化合物(b11)の合成]
合成例で使用した化合物の略号は、次の通りの化合物を示す。
R−225:ジクロロペンタフルオロプロパン
F6:−CF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCF
R−113:CClFCClF
フラスコ内に、CHO(CHCHO)CHCHOH(市販のポリオキシエチレングリコールモノメチルエーテル、a=7〜8、平均値:7.3)の25g、R−225の20g、NaFの1.2g、およびピリジンの1.6gを入れ、内温を10℃以下に保ちながら激しく撹拌し、窒素をバブリングさせた。フラスコ内に、FC(O)−RF6の46.6gを、内温を5℃以下に保ちながら3.0時間かけて滴下した。滴下終了後、50℃にて12時間撹拌し、室温にて24時間撹拌して、粗液を回収した。粗液を減圧濾過した後、回収液を真空乾燥機(50℃、5.0torr)で12時間乾燥し、粗液を得た。
粗液を100mLのR−225に溶解し、1000mLの飽和重曹水で3回水洗し、有機相を回収した。有機相に硫酸マグネシウムの1.0gを加え、12時間撹拌した後、加圧濾過して硫酸マグネシウムを除去し、回収液からエバポレータにてR−225を留去し、室温で液体である化合物(CHO(CHCHO)CHCHOC(O)−RF6(a=7〜8、平均値:7.3))の56.1gを得た。
3000mLのハステロイ製オートクレーブ内に、R−113の1560gを入れて撹拌し、25℃に保った。オートクレーブガス出口には、20℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および−20℃に保持した冷却器を直列に設置した。また、−20℃に保持した冷却器から凝集した液をオートクレーブに戻すための液体返送ラインを設置した。オートクレーブ内に窒素ガスを1.0時間吹き込んだ後、窒素ガスで10%に希釈したフッ素ガス(以下、10%フッ素ガスと記す。)を、流速24.8L/時間で1時間吹き込んだ。
次に、オートクレーブ内に10%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、CHO(CHCHO)CHCHOC(O)−RF6の27.5gをR−113の1350gに溶解した溶液を30時間かけて注入した。次に、オートクレーブ内に10%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、R−113の12mLを注入した。この際、内温を40℃に変更した。続けて、ベンゼンを1質量%溶解したR−113溶液の6mLを注入した。さらに、フッ素ガスを1.0時間吹き込んだ後、窒素ガスを1.0時間吹き込んだ。反応終了後、溶媒を真空乾燥(60℃、6.0時間)にて留去し、室温で液体の化合物(CFO(CFCFO)CFCFOC(O)−RF6(a=7〜8、平均値:7.3))の45.4gを得た。
スターラーチップを投入した300mLのナスフラスコを充分に窒素置換した。ナスフラスコ内に、エタノールの40g、NaFの5.6g、およびR−225(50g)を入れた。ナスフラスコ内に、CFO(CFCFO)CFCFOC(O)−RF6の43.5gを滴下した後、室温にてバブリングを行いながら、激しく撹拌した。ナスフラスコ出口は窒素シールした。8時間後、冷却管に真空ポンプを設置して系内を減圧に保ち、過剰のエタノールおよび交換によって生じるCHCHOC(O)−RF6を留去した。24時間後、室温で液体の化合物(CFO(CFCFO)CFC(O)OCHCH(a=7〜8、平均値:7.3))の26.8gを得た。
100mLの丸底フラスコ内に、CFO(CFCFO)CFC(O)OCHCHの33.1g、NHCHCHCHSi(OCHの3.7gを入れ、室温で2時間撹拌した。反応終了後、未反応のNHCHCHCHSi(OCHおよび副生したエタノールを減圧留去し、室温で液体の化合物(b11)の32.3gを得た。
[下地層用コーティング組成物(X)の調製]
撥水膜付き基板の製造例に用いた下地層用コーティング組成物(X)の調製例を以下に示す。
(調製例1)
撹拌機および温度計がセットされたガラス容器に、酢酸ブチル(純正化学社製)を9.70gおよび化合物(c1−1)を0.30g入れ、25℃にて30分間撹拌して、下地層用コーティング組成物(X1)を得た。
[中間層用コーティング組成物(Y)の調製]
撥水膜付き基板の製造例に用いた中間層用コーティング組成物(Y)の調製例を以下に示す。
(調製例2)
撹拌機および温度計がセットされたガラス容器に、酢酸ブチル(純正化学社製)を1.90g、AE3000(商品名、旭硝子社製、ハイドロフルオロエーテル)を7.60g、化合物(a11−1)を0.40gおよび化合物(b11)を0.10g入れ、25℃にて30分間撹拌して、中間層用コーティング組成物(Y1)を得た。
(調製例3)
撹拌機および温度計がセットされたガラス容器に、酢酸ブチル(純正化学社製)を1.90g、AE3000(商品名、旭硝子社製、ハイドロフルオロエーテル)を7.60g、化合物(a11−1)を0.50g入れ、25℃にて30分間撹拌して、中間層用コーティング組成物(Y2)を得た。
(調製例4)
撹拌機および温度計がセットされたガラス容器に、酢酸ブチル(純正化学社製)を1.90g、AE3000(商品名、旭硝子社製、ハイドロフルオロエーテル)を7.60g、化合物(b11)を0.50g入れ、25℃にて30分間撹拌して、比較例のための中間層用コーティング組成物(Ycf3)を得た。
[最外層コーティング組成物(Z)の調製]
撥水膜付き基板の製造例に用いた最外層用コーティング組成物(Y)の調製例を以下に示す。
(調製例5)
撹拌機および温度計がセットされたガラス容器に、AC−6000(商品名、旭硝子社製、ハイドロフルオロカーボン)を9.90gおよび化合物(b11)を0.10g入れ、25℃にて30分間撹拌して、最外層用コーティング組成物(Z1)を得た。
(調製例6)
撹拌機および温度計がセットされたガラス容器に、AC−6000(商品名、旭硝子社製、ハイドロフルオロカーボン)を9.90g、化合物(a11−1)を0.01gおよび化合物(b11)を0.09g入れ、25℃にて30分間撹拌して、最外層用コーティング組成物(Z2)を得た。
(調製例7)
撹拌機および温度計がセットされたガラス容器に、AC−6000(商品名、旭硝子社製、ハイドロフルオロカーボン)を9.90g、化合物(a11−1)を0.02gおよび化合物(b11)を0.08g入れ、25℃にて30分間撹拌して、最外層用コーティング組成物(Z3)を得た。
(調製例8)
撹拌機および温度計がセットされたガラス容器に、AC−6000(商品名、旭硝子社製、ハイドロフルオロカーボン)を9.90g、化合物(a11−1)を0.03gおよび化合物(b11)を0.07g入れ、25℃にて30分間撹拌して、最外層用コーティング組成物(Z4)を得た。
(調製例9)
撹拌機および温度計がセットされたガラス容器に、酢酸ブチル(純正化学社製)を9.50gおよび化合物(a11−1)を0.50g入れ、25℃にて30分間撹拌して、比較例のための最外層用コーティング組成物(Zcf5)を得た。
(調製例10)
撹拌機および温度計がセットされたガラス容器に、酢酸ブチル(純正化学社製)を9.50g、化合物(S)を0.5g入れ、25℃にて30分間撹拌して、参考例のための最外層用コーティング組成物(Zs6)を得た。
[表面処理液(W)の調製]
撥水膜付き基板の製造例に用いた表面処理液(W)の調製例を以下に示す。
(調製例11)
撹拌機および温度計がセットされたガラス容器に、パラトルエンスルホン酸・一水和物(和光純薬工業製)を0.01g、純水0.30gおよび2−プロパノール(純正化学社製)を9.69g入れ、25℃にて30分間撹拌して、表面処理液(W1)を得た。
表1に各層のコーティング組成物の組成を示す。
Figure 2014024288
[例1〜11]撥水膜付き基板の製造および評価
上記各調製例で得られた各層のコーティング組成物を用いて、以下のようにしてガラス基板に撥水膜を形成して撥水膜付き基板を製造した。得られた撥水膜付き基板について以下の評価方法により評価を行った。各例に用いた各層のコーティング組成物の種類と各評価で得られた結果を表2に示す。
基板として、酸化セリウムで表面を研磨洗浄し、乾燥した清浄なソーダライムガラス基板(水接触角5度、300mm×300mm×厚さ3mm)を用い、表2に示す例1以外のそれぞれの例毎に、該ガラス基板の表面に上記調製例で得た下地層用コーティング組成物(X1)の2gをスキージコート法によって塗布して、25℃で1分間保持し、下地層を形成した。
次いで、例2〜例9については上記で形成した下地層表面に、例1については上記ガラス基板の表面に、表2に示すとおりそれぞれの例毎に、上記調製例で得た中間層用コーティング組成物Y1〜Ycf3の2gをスキージコート法によって塗布した。その後、25℃、80%RHに設定された恒温恒湿槽で1時間保持して中間層を形成し、基板上に中間層が形成された基板(例1)、および基板側から順に下地層および中間層が形成された基板(例2〜例9)を得た。なお、例10、例11については中間層の形成を実施せず、下地層上に最外層を形成した。
さらに、表2に示すそれぞれの例毎(例1〜例7、10、11)に、上記基板上の中間層表面または下地層表面に、上記調製例で得た最外層用コーティング組成物Z1〜Zs6の2gをそれぞれ染み込ませた布を用いて、ワイプコートによる該組成物の塗布を行い、その後25℃で10分間乾燥させた。これにより、例1については基板側から順に中間層および最外層が形成された基板を得た。例2〜例7については、基板側から順に下地層、中間層および最外層が形成された基板を得た。例8、例9については最外層の形成を実施せず、基板側から順に下地層と中間層が形成された基板を得た。例10、例11については、基板側から順に下地層と最外層が形成された基板を得た。
上記で得られた各例(1〜11)の、ガラス基板上に各層が上記の順で積層された各層付き基板は、表面処理液(W1)を2g含ませた布で拭き上げることにより、仕上げを行い撥水膜付き基板とした。
各例における撥水膜付き基板の評価は、次のように行った。
<撥水性>
撥水性は以下の方法で測定した水接触角(CA)の値で評価した。まず、以下の各試験を行う前に初期値を測定した。なお、初期値において水接触角(CA)が100度以上であれば、実用上、十分に高い撥水性を有するといえる。
[水接触角(CA)]
撥水膜付き基板の撥水膜表面に置いた、直径1mmの水滴の接触角をCA−X150(協和界面科学社製)を用いて測定した。撥水膜表面における異なる5ヶ所で測定を行い、その平均値を算出した。
<耐アルカリ性>
撥水膜付き基板を、0.1N水酸化ナトリウム水溶液(pH13)に撥水膜表面を上にして24時間浸漬する試験(耐アルカリ試験)を行った後、純水で洗浄した後、上記方法により水接触角を測定した。なお、この耐アルカリ性試験を行った後に、水接触角(CA)が80度以上の値を保持していれば、実用上、撥水性能の耐アルカリ性は十分であると評価される。
<耐候性>
JISZ2381に準拠して屋外暴露試験を行った。すなわち、撥水膜付き基板を、撥水膜表面が水平に対して30度の角度で南向きになるよう屋外に設置し、3ヶ月放置する試験(屋外暴露試験)を行った後、上記方法により水接触角を測定した。なお、この屋外暴露試験を行った後に、水接触角(CA)が100度以上の値を保持していれば、実用上、撥水性能の耐候性は十分であると評価される。
Figure 2014024288
本発明の実施例に相当する例1〜例6で得られた撥水膜付き基板は、十分な撥水性、耐アルカリ性および耐候性を有し、かつ環境負荷が少ない。特に、例1、例2、例6で得られた撥水膜付き基板は、特に厳しい条件での耐アルカリ性に優れ、参考例である例11の環境負荷が大きい撥水膜付き基板と同等の性能を有する。比較例の7〜10は初期の撥水性や環境負荷の点では問題がないが、耐アルカリ性または耐候性のいずれかが十分でない。
本発明の撥水膜付き基板は、十分な撥水性、耐アルカリ性および耐候性を有し、かつ環境負荷が少ない。本発明の撥水膜付き基板は、電車、自動車、船舶、航空機等の輸送機器におけるボディー、窓ガラス(フロントガラス、サイドガラス、リアガラス)、ミラー、バンパー等の物品としての用途に好適に用いられる。
1A、1B…撥水膜付き基板、2…基板、3…撥水膜、31…最外層、32…中間層、33…下地層。

Claims (9)

  1. 基板と、前記基板の主面の少なくとも一部に前記基板側から順に形成された中間層および最外層を有する撥水膜と、を備える撥水膜付き基板であって、
    前記中間層は、下記一般式(a1)で表される加水分解性シラン化合物および/またはその部分加水分解縮合物である含フッ素シラン化合物(a)を全固形分の主成分として含む中間層用コーティング組成物を用いて形成され、
    前記最外層は、末端のペルフルオロアルキル基の炭素原子数が1〜6であるペルフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物および/またはその部分加水分解縮合物である含フッ素シラン化合物(b)を全固形分に対して70質量%以上含む最外層用コーティング組成物を用いて形成される撥水膜付き基板。
    F1−Q−SiR (3−m1) m1 …(a1)
    ただし、式(a1)中の記号は以下の通りである。
    F1:炭素原子数1〜6の炭素−炭素原子間にエーテル性酸素原子を含まないペルフルオロアルキル基を示す。
    :炭素原子数1〜6のフッ素原子を含まない2価有機基を示す。
    :炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のオキシアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアシロキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子またはイソシアネート基を示す。m1個のXは、互いに同一であっても異なってもよい。
    :水素原子または、水素原子の一部または全部が置換されていてもよいフッ素原子を含まない炭素原子数1〜8の一価炭化水素基を示す。3−m1個のRは互いに同一であっても異なってもよい。
    m1:1〜3の整数を示す。
  2. 前記ペルフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物が、下記式(b1)で表される化合物および下記式(b2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の撥水膜付き基板。
    −Q−SiX m2 3−m2 …(b1)
    −Q−{CHCH(SiX m3 3−m3)}−H …(b2)
    ただし、式(b1)および式(b2)中の記号は、それぞれ式毎に独立して、以下の通りである。
    、A:下記式(1)で表される基である。
    Figure 2014024288
    (式(1)中、RF2は炭素原子数が1〜6のペルフルオロアルキル基を示す。a、b、c、dは、それぞれ独立して、0または1以上の整数を示し、a+b+c+dは、少なくとも1以上であり、a、b、c、dでくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において限定されない。)
    、Q:−C(=O)NH−、−C(=O)N(CH)−、−C(=O)N(C)−から選ばれるアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、エステル結合、−CF−基およびフェニレン基から選ばれる1種または2種を含有してもよい、−CH−単位の繰返しからなる炭素原子数2〜12の2価の有機基を示す(ただし、−CH−基の水素原子の1個は−OH基で置換されていてもよい。)。
    、X:炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のオキシアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアシロキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子またはイソシアネート基を示す。m2個のXおよびm3個のXは、それぞれ互いに同一であっても異なってもよい。
    、R:水素原子または、水素原子の一部または全部が置換されていてもよいフッ素原子を含まない炭素原子数1〜8の一価炭化水素基を示す。3−m2個のRおよび3−m3個のRは、それぞれ互いに同一であっても異なってもよい。
    m2、m3:1〜3の整数を示す。
    n:1〜10の整数を示す。
  3. 前記式(b1)におけるAおよび前記式(b2)におけるAが、それぞれ下記式(11)〜(15)のいずれかで表される基である請求項2に記載の撥水膜付き基板。
    CF−(OCF−…(11)
    CF−(OCFCF−(OCF− …(12)
    CFCF−(OCFCF− …(13)
    CFCFCF−(OCFCFCF− …(14)
    CFCFCF−{OCF(CF)CF− …(15)
    (ただし、式(11)〜(15)中、それぞれ式毎に独立して、a、b、c、dは、それぞれ独立に、0または1以上の整数を示し、a+b+c+dは、少なくとも1以上であり、a、b、c、dでくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において限定されない。)
  4. 前記式(b1)で表される化合物が、下記式(b11)〜(b16)でそれぞれ表される化合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項2または3に記載の撥水膜付き基板。
    CF−(OCFCF−OCF−CONHCSi(OCH…(b11)
    CF−(OCFCF−OCF−CONHCSi(OC…(b12)
    CF−(OCFCF−OCF−CONHCSi(OCH…(b13)
    CF−(OCFCF−OCF−CONHCSi(OC…(b14)
    CF−(OCFCF−OCF−CSi(OCH…(b15)
    CF−(OCFCF−OCF−CSi(OC…(b16)
    (ただし、式(b11)〜(b16)中、それぞれ式毎に独立して、a=7〜8、平均値:7.3を示す。)
  5. 前記式(b1)で表される化合物が、前記式(b11)で表される化合物である請求項4に記載の撥水膜付き基板。
  6. 前記一般式(a1)で表される加水分解性シラン化合物が、下記式(a11)〜(a16)でそれぞれ表される化合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の撥水膜付き基板。
    F(CF(CHSiX …(a11)
    F(CF(CHSi(R)X …(a12)
    F(CFCONH(CHSiX …(a13)
    F(CFCONH(CHSi(R)X …(a14)
    F(CFCONH(CHNH(CH5−hSiX …(a15)
    F(CFCONH(CHNH(CH5−hSi(R)X …(a16)
    (ただし、式(a11)〜(a16)中、それぞれ式毎に独立して、eは1〜6の整数、fは1〜6の整数、gは1〜5の整数、hは1〜4の整数である。Xは、それぞれ式毎に独立して、互いに同一であっても異なってもよい、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のオキシアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアシロキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子またはイソシアネート基を示す。Rは、それぞれ式毎に独立して、水素原子または、水素原子の一部または全部が置換されていてもよいフッ素原子を含まない炭素原子数1〜8の一価炭化水素基を示す。)
  7. 前記一般式(a1)で表される加水分解性シラン化合物が、F(CF(CHSiCl、F(CF(CHSi(NCO)、F(CF(CHSi(OCH、およびF(CF(CHSi(OCから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれか1項に記載の撥水膜付き基板。
  8. 前記撥水膜は、さらに、前記基板と中間層の間に、4官能加水分解性シラン化合物および/またはその部分加水分解縮合物である加水分解性シラン化合物(c)を全固形分の主成分として含む下地層用コーティング組成物を用いて形成される下地層を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の撥水膜付き基板。
  9. 前記4官能加水分解性シラン化合物がSiCl、Si(NCO)、Si(OCH、およびSi(OCから選ばれる少なくとも1種である請求項8に記載の撥水膜付き基板。
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