JP2014024199A - 光記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高透過率と高記録感度とを両立できる光記録媒体を提供する。
【解決手段】光記録媒体は、基板と、複数の情報信号層と、保護層とを備える。複数の情報信号層のうちの少なくとも一層が、Pd、BiおよびOを含んでいる記録層を有している。
【選択図】図1

Description

本技術は、光記録媒体に関する。詳しくは、複数の情報信号層を備える光記録媒体に関する。
近年、大容量の光記録媒体としてブルーレイディスク(BD:Blu-ray Disc(登録商標))が製品化されている。この大容量の光記録媒体は、記録再生用光波長を405nm程度、記録再生用光学系の集光レンズの開口数NAを0.85程度として、約25GBの記録容量を実現している。
この大容量の光記録媒体では、追記型の光記録媒体の記録材料について種々検討されている。追記型の光情報記録媒体に用いられる記録材料としては、無機材料と有機色素材料とがある。従来の追記型の光情報記録媒体では記録材料として有機色素材料が主に検討されてきたが、近年の大容量の光情報記録媒体では記録材料として無機材料も広く検討されている。記録材料として無機材料を用いた大容量の光記録媒体としては、光記録媒体1枚当たり100GBを超える情報記録容量を実現したものが報告されている。具体的には、無機記録材料を用いた3層もしくは4層の情報信号層を備える光記録媒体はBD−XLとして実用化されている。無機記録材料としては、Teの酸化物やPdの酸化物などの金属酸化物が提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
特開2008−112556号公報 特開2011−194617号公報 特開2012−64275号公報
近年では、光記録媒体の記録層を多層化し、記録容量をさらに増大する要求が高まっている。この要求に応えるためには、高透過率と高記録感度とを両立できる記録材料の開発が重要である。
したがって、本技術の目的は、高透過率と高記録感度とを両立できる光記録媒体を提供することにある。
上述の課題を解決するために、本技術は、
基板と、複数の情報信号層と、保護層とを備え、
複数の情報信号層のうちの少なくとも一層が、Pd、BiおよびOを含んでいる記録層を有している光記録媒体である。
本技術において、保護層の厚さは特に限定されるものではなく、保護層には、基板、シート、コーティング層などが含まれる。高密度の光記録媒体としては、保護層としてシート、コーティング層などの薄い光透過層を採用し、この光透過層の側から光を照射することにより情報信号の記録および再生が行われる構成を有するものが好ましい。この場合、基板としては、不透明性を有するものを採用することも可能である。情報信号を記録または再生するための光の光照射面は、光記録媒体のフォーマットに応じて保護層側および基板側の表面の少なくとも一方に適宜設定される。
本技術では、記録層がPd、BiおよびOを含んでいるので、高い透過率を維持しつつ、記録感度を向上することができる。したがって、多層の光記録媒体に適用して好適な記録層を得ることができる。
以上説明したように、本技術によれば、高透過率と高記録感度とを両立できる光記録媒体を提供できる。
図1Aは、本技術の一実施形態に係る光記録媒体の外観の一例を示す斜視図である。図1Bは、本技術の一実施形態に係る光記録媒体の構成の一例を示す概略断面図である。 図2Aは、各情報信号層の第1の構成例を示す模式図である。図2Bは、各情報信号層の第2の構成例を示す模式図である。 図3Aは、各情報信号層の第3の構成例を示す模式図である。図3Bは、各情報信号層の第4の構成例を示す模式図である。 図4は、ディスクドライブ型評価装置の構成を示す概略図である。 図5は、実施例1〜3、比較例1〜4の光ディスクの透過特性および最適記録パワーの評価結果を示す図である。 図6は、実施例1〜3、比較例1の光ディスクのRF信号品質の評価結果を示す図である。
本技術の実施形態について以下の順序で説明する。
1.概要
2.光記録媒体の構成
3.光記録媒体の記録原理
4.光記録媒体の製造方法
[1.概要]
上述した大容量の追記型光記録媒体においては、更なる大容量化を図るために、5層以上の多層化技術と情報信号の高密度記録再生技術の開発が求められている。5層以上の記録層を有する追記型光記録媒体を実現するためには、1層あたりの情報信号層の光透過率を4層の追記型光記録媒体に比べ更に高める必要がある。
具体的には、4層の追記型光記録媒体として商品化されているBD−XLの追記メディアでは、最上位の情報信号層の光透過率は、情報信号の記録再生に用いるレーザー光(波長405nm)に対して80%である。ここで、最上位の情報信号層とは、情報信号層を記録または再生するための光を照射する光照射面から最も近い情報信号層を意味する。これに対して、5層または6層の光記録媒体では、最上位の情報信号層の光透過率は、情報信号の記録再生に用いるレーザー光に対して85%〜90%である。
上述したように情報信号層の光透過率を高めると、情報信号層の光吸収率が低下するので、情報記録に必要なレーザー光のエネルギー吸収量を確保するためには、レーザー光の照射パワーを高める必要がある。しかし、現存のレーザーダイオード(LD)の出力には限界があるので、記録材料として、レーザー光の照射パワーが低くても情報記録可能な記録材料、すなわち高感度の記録材料が望まれる。
具体的には例えば、光透過率を従来の80%から85%以上に引き上げると、光吸収率は単純には5%減少する。光反射率を5%とすると、光透過率を80%にしたときには光吸収率は15%であるのに対して、光透過率を85%にしたときには光吸収率が10%に減少する。したがって、透過率を80%から85%に高めた場合には、記録パワーを1.5倍、すなわち50%増加させることが必要になる。この記録パワーの増加をできるだけ少なくできる高感度な記録材料が望まれる。
すなわち、5層以上の情報信号層を有する大容量の追記型光記録媒体では、全ての情報信号層の記録再生を良好に行うことできるようにするために、高光透過率と低光記録エネルギーといった特性を併せ持った記録材料の実現が望まれている。そこで、本発明者らは、このような特性を有する記録材料について鋭意検討した結果、Pd、BiおよびOを含む記録材料を見出すに至った。
[2.光記録媒体の構成]
[光記録媒体の構造]
図1Aは、本技術の一実施形態に係る光記録媒体の外観の一例を示す斜視図である。光記録媒体10は、中央に開口(以下センターホールと称する)が設けられた円盤形状を有する。なお、光記録媒体10の形状はこの例に限定されるものではなく、カード状などとすることも可能である。
図1Bは、本技術の一実施形態に係る光記録媒体の構成の一例を示す概略断面図である。この光記録媒体10は、いわゆる多層の追記型光記録媒体であり、図1Bに示すように、情報信号層L0、中間層S1、情報信号層L1、・・・、中間層Sn、情報信号層Ln、保護層である光透過層12がこの順序で基板11の一主面に積層された構成を有する。なお、以下の説明において、情報信号層L0〜Lnを特に区別しない場合には、情報信号層Lという。
この一実施形態に係る光記録媒体10では、光透過層12側の表面Cからレーザー光を各情報信号層L0〜Lnに照射することにより、情報信号の記録または再生が行われる。例えば、400nm以上410nm以下の範囲の波長を有するレーザー光を、0.84以上0.86以下の範囲の開口数を有する対物レンズにより集光し、光透過層12の表面Cの側から各情報信号層L0〜Lnに照射することにより、情報信号の記録または再生が行われる。このような光記録媒体10としては、例えば多層のBD−Rが挙げられる。以下では、情報信号層L0〜Lnに情報信号を記録または再生するためのレーザー光が照射される表面Cを光照射面Cと称する。
光記録媒体10の厚さは、例えば1.2mmに選ばれる。情報信号層Lの層数は、好ましくは3層以上、より好ましくは5層以上、さらに好ましくは5層または6層である。情報信号層Lの層数が3層以上である場合、一層当たりの情報信号層Lの記録容量は、例えば30GB以上に設定される。
以下、光記録媒体10を構成する基板11、情報信号層L0〜Ln、中間層S1〜Sn、および光透過層12について順次説明する。
(基板)
基板11は、例えば、中央にセンターホールが設けられた円盤形状を有する。この基板11の一主面は、例えば、凹凸面となっており、この凹凸面上に情報信号層L0が成膜される。以下では、凹凸面のうち凹部をイングルーブGin、凸部をオングルーブGonと称する。
このイングルーブGinおよびオングルーブGonの形状としては、例えば、スパイラル状、同心円状などの各種形状が挙げられる。また、イングルーブGinおよび/またはオングルーブGonは、例えば、線速度の安定化やアドレス情報付加などのためにウォブル(蛇行)されている。
基板11の径(直径)は、例えば120mmに選ばれる。基板11の厚さは、剛性を考慮して選ばれ、好ましくは0.3mm以上1.3mm以下、より好ましくは0.6mm以上1.3mm以下、例えば1.1mmに選ばれる。また、センターホールの径(直径)は、例えば15mmに選ばれる。
基板11の材料としては、例えば、プラスチック材料またはガラスを用いることができ、コストの観点から、プラスチック材料を用いることが好ましい。プラスチック材料としては、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂などを用いることができる。
(情報信号層)
情報信号層L0〜Lnは、レーザー光の照射により情報信号を記録可能な記録層を少なくとも備える。情報信号層L0〜Lnの各層は、例えば、レーザー光の波長405nmおよび集光レンズの開口数NA0.85に対して25GB以上の記録容量を有する。光照射面Cから最も近い情報信号層Lnは、情報信号を記録または再生するためのレーザー光に対して85%以上の透過率を有していることが好ましい。情報信号層Lの層数を5層または6層とした場合に、情報信号層Ln(n=5または6)よりも奥側の情報信号層Ln−1、・・・、L0に情報信号の記録または再生に対して十分な光量のレーザー光を到達させることができる。したがって、情報信号層L0〜Lnの全ての層について、情報信号の記録または再生を良好に行うことができる。
情報信号層L0〜Lnは、保存信頼性向上の観点からすると、記録層の少なくとも一方の表面に保護層をさらに備えることが好ましく、記録層の両方の表面に保護層を備えることがより好ましい。情報信号層L0〜Lnの層構成は、全ての層で同一の構成としてもよく、情報信号層L0〜Lnごとに求められる特性(例えば光学特性や耐久性など)に応じて層構成を変えるようにしてもよいが、生産性の観点からすると、全ての層で同一の層構成とすることが好ましい。情報信号層L0〜Lnが記録層のみからなるようにしてもよい。
以下に、情報信号層L0〜Lnの具体例として、第1〜第4の構成例について説明する。
(第1の構成例)
図2Aは、各情報信号層の第1の構成例を示す模式図である。図2Aに示すように、情報信号層L0〜Lnは、記録層21のみにより構成されている。このような単純な構成とすることで、光記録媒体10を低廉化し、かつ、その生産性を向上することができる。このような効果は、情報信号層L0〜Lnの層数が多い媒体ほど、顕著となる。
(第2の構成例)
図2Bは、各情報信号層の第2の構成例を示す模式図である。図2Bに示すように、情報信号層L0〜Lnは、上側面(第1の主面)および下側面(第2の主面)を有する記録層21と、記録層21の上側面に隣接して設けられた保護層22とを備える。このような構成とすることで、上述の第1の構成例に比して記録層21の耐久性を向上することができる。ここでは、光記録媒体10の光照射面Cの側を上側といい、それとは反対の側を下側という。
(第3の構成例)
図3Aは、各情報信号層の第3の構成例を示す模式図である。図3Aに示すように、情報信号層L0〜Lnは、上側面(第1の主面)および下側面(第2の主面)を有する記録層21と、上述の第1の構成例に比して記録層21の下側面に隣接して設けられた保護層23とを備える。このような構成とすることで、記録層21の耐久性を向上することができる。
(第4の構成例)
図3Bは、各情報信号層の第4の構成例を示す模式図である。図3Bに示すように、情報信号層L0〜Lnは、上側面(第1の主面)および下側面(第2の主面)を有する記録層21と、記録層21の下側面に隣接して設けられた保護層23と、記録層21の上側面に隣接して設けられた保護層22とを備える。このような構成とすることで、上述の第1および第2の構成例に比して記録層21の耐久性を向上することができる。
なお、上述の第1〜第4の構成例では、情報信号層L0〜Lnの層構成が全ての層で同一の層構成である場合を例として説明したが、上述の第1〜第4の層構成のうちの2種以上の層構成を情報信号層L0〜Ln内で組み合わせて用いることも可能である。
(記録層)
記録層21は、Pd、BiおよびOを含んでいる。Pd、BiおよびOは、Pd酸化物およびBi酸化物として記録層中に存在する。ここで、酸化物には、酸素欠損状態および酸素過剰状態の酸化物も含まれる。
記録層21は、Sn、Zn、Ge、Co、W、CuおよびAlからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の金属をさらに含んでいることが好ましい。これらの金属は、酸化物として記録層中に存在する。ここで、酸化物には、酸素欠損状態および酸素過剰状態の酸化物も含まれる。
なお、情報信号層L0〜Lnの全ての記録層21が、Pd、BiおよびOを含んでいる構成に限定されるものではない。情報信号層L0〜Lnのうちの少なくとも一層の記録層21が、Pd、BiおよびOを含んでいる構成を採用するようにしてもよい。より具体的には、情報信号層L0〜Lnのうちの一部の層の記録層21がPd、BiおよびOを含む記録層であるのに対して、残りの層の記録層21が従来公知の記録材料を用いた記録層である構成を採用してもよい。光照射面Cから最も遠い情報信号層L0以外の全ての情報信号層L1〜Lnの記録層21が、Pd、BiおよびOを含んでいる構成を採用することが好ましい。特に、光照射面Cから最も近い情報信号層Lnの記録層21が、Pd、BiおよびOを含んでいる構成を採用することが好ましい。
記録層21に含まれる金属元素の総量Aに対するBi元素の量Bの割合C(=(B/A)×100)は、好ましくは0at%<C≦50at%、より好ましくは0at%<C≦45at%の関係を満たしている。
(保護層)
保護層22および保護層23の材料としては、誘電体材料を用いることが好ましい。保護層12および保護層13がガスバリア層として機能することで、記録層21の耐久性を向上することができるからである。また、記録層21の酸素の逃避やH2Oの侵入を抑制することで、記録層21の膜質の変化(主に反射率の低下として検出)を抑制することができ、記録層21として必要な膜質を確保することもできる。
具体的には、保護層22および保護層23の材料としては、例えば、酸化物、窒化物、硫化物、炭化物およびフッ化物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を用いることができる。保護層22および保護層23の材料としては、例えば、互いに同一または異なる材料を用いることができる。酸化物としては、例えば、In、Zn、Sn、Al、Si、Ge、Ti、V、Ga、Ta、Nb、Hf、Zr、Cr、BiおよびMgからなる群から選ばれる1種以上の元素の酸化物が挙げられる。窒化物としては、例えば、In、Sn、Ge、Cr、Si、Al、Nb、Mo、Ti、Nb、Mo、Ti、W、TaおよびZnからなる群から選ばれる1種以上の元素の窒化物、好ましくはSi、GeおよびTiからなる群から選ばれる1種以上の元素の窒化物が挙げられる。硫化物としては、例えば、Zn硫化物が挙げられる。炭化物としては、例えば、In、Sn、Ge、Cr、Si、Al、Ti、Zr、TaおよびWからなる群より選ばれる1種以上の元素の炭化物、好ましくはSi、Ti、およびWからなる群より選ばれる1種以上の元素の炭化物が挙げられる。フッ化物としては、例えば、Si、Al、Mg、CaおよびLaからなる群より選ばれる1種以上の元素のフッ化物が挙げられる。これらの混合物としては、例えば、ZnS−SiO2、SiO2−In23−ZrO2(SIZ)、SiO2−Cr23−ZrO2(SCZ)、In23−SnO2(ITO)、In23−CeO2(ICO)、In23−Ga23(IGO)、In23−Ga23−ZnO(IGZO)、Sn23−Ta25(TTO)、TiO2−SiO2、Al23−ZnO、Al23−BaOなどが挙げられる。
(中間層)
中間層S1〜Snは、情報信号層L0〜Lnを物理的および光学的に十分な距離をもって離間させる役割を果たし、その表面には凹凸面が設けられている。その凹凸面は、例えば、同心円状または螺旋状のグルーブ(イングルーブGinおよびオングルーブGon)を形成している。中間層S1〜Snの厚みは、9μm〜50μmに設定することが好ましい。中間層S1〜Snの材料は特に限定されるものではないが、例示するならば、光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂などが挙げられる。光硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂を用いることが好ましい。また、中間層S1〜Snは、奥側の層への情報信号の記録または再生のためのレーザー光の光路となることから、十分に高い光透過性を有していることが好ましい。
(光透過層)
光透過層12は、例えば、樹脂材料を硬化してなる樹脂層である。この樹脂層の樹脂材料としては、特に限定されるものではないが、例示するならば、光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂などが挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化性樹脂を用いることが好ましい。また、円環形状を有する光透過性シートと、この光透過性シートを基板11に対して貼り合わせるための接着層とから光透過層12を構成するようにしてもよい。光透過性シートは、記録および再生に用いられるレーザー光に対して、吸収能が低い材料からなることが好ましく、具体的には透過率90パーセント以上の材料からなることが好ましい。光透過性シートの材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂材料、ポリオレフィン系樹脂(例えばゼオネックス(登録商標))などを用いることができる。接着層の材料としては、例えば、紫外線硬化樹脂、感圧性粘着剤(PSA:Pressure Sensitive Adhesive)などを用いることができる。
光透過層12の厚さは、好ましくは10μm以上177μm以下の範囲内から選ばれ、例えば100μmに選ばれる。このような薄い光透過層12と、例えば0.85程度の高NA(numerical aperture)化された対物レンズとを組み合わせることによって、高密度記録を実現することができる。
(ハードコート層)
なお、図示しないが、光透過層12の表面(レーザー照射面)に、例えば機械的な衝撃や傷に対する保護、また利用者の取り扱い時の塵埃や指紋の付着などから、情報信号の記録再生品質を保護するためのハードコート層をさらに設けてもよい。ハードコート層には、機械的強度を向上させるためにシリカゲルの微粉末を混入したものや、溶剤タイプ、無溶剤タイプなどの紫外線硬化樹脂を用いることができる。機械的強度を有し、撥水性や撥油性を持たせるには、厚さを1μmから数μm程度とすることが好ましい。
[3.光記録媒体の記録原理]
上述の構成を有する光記録媒体10では、以下のようにして情報信号が記録される。
記録層21に例えば中心波長405nm近傍のレーザー光を照射すると、記録層21に含まれるPdOはPdとO2に、PdO2はPdOとO2に分解し、O2を発生し、レーザー光照射エリアが構造的に膨れる。これにより、周囲と反射率の異なる記録マークが形成される。
BiとPdとの組成比を調整して、例えばBi量を増加させてPd量を減少させた場合、透過率および光吸収量が変化しないにもかかわらず、記録感度が高くなる(すなわち記録パワーが減少する)傾向がある。このように記録感度が変化する原理については、以下のように推測される。
記録材料は複数の金属酸化物を含んでおり、金属原子間で酸素原子の奪い合いや押し付け合いをしている。Bi23を添加することで、PdOに酸素が供給されてPdO2が生成しやすくなっていると考えられる。光吸収能の高いPdO2が増えることで、記録層21の光吸収能が補われ、Pd量が減少しても、記録層21としての光吸収量の減少が抑制されると推測される。
Bi量の増加に伴い、記録層21の光吸収能が変わらないにもかかわらず、記録感度が高くなる(すなわち記録パワーが減少する)点については、Bi23の熱伝導率が関係していると考えられる。Biやその化合物は非常に熱伝導率が低いため、Bi23の添加量を増やすことで、記録層21は熱が籠りやすくなる。よって、Bi23の添加量を増やすと、記録時のレーザー光照射による記録層21の温度上昇が容易になるので、記録パワーを低くすることができる。
[4.光記録媒体の製造方法]
次に、本技術の一実施形態に係る光記録媒体の製造方法の一例について説明する。
(基板の成形工程)
まず、マスタリング原盤の形状を転写することにより、一主面に凹凸面が形成された基板11を成形する。基板11の成形の方法としては、例えば、射出成形(インジェクション)法、フォトポリマー法(2P法:Photo Polymerization)などを用いることができる。
(情報信号層の形成工程)
次に、例えばスパッタ法により、基板11上に情報信号層L0を形成する。情報信号層L0の具体的な形成工程は、情報信号層L0の構成により異なる。
以下に、情報信号層L0の構成として上述の第4の構成例(図3B参照)を採用した場合にける情報信号層L0の形成工程について具体的に説明する。
(保護層の成膜工程)
まず、基板11を、保護層形成用のターゲットが備えられた真空チャンバー内に搬送し、真空チャンバー内を所定の圧力になるまで真空引きする。その後、真空チャンバー内にArガスやO2ガスなどのプロセスガスを導入しながら、ターゲットをスパッタして、基板11上に保護層23を成膜する。スパッタ法としては、例えば高周波(RF)スパッタ法、直流(DC)スパッタ法を用いることができるが、特に直流スパッタ法が好ましい。直流スパッタ法は高周波スパッタ法に比して装置が安く且つ成膜レートが高いため、製造コストを下げ、生産性を向上することができるからである。
(記録層の成膜工程)
次に、基板11を、記録層成膜用のターゲットが備えられた真空チャンバー内に搬送し、真空チャンバー内を所定の圧力になるまで真空引きする。その後、真空チャンバー内にArガスやO2ガスなどのプロセスガスを導入しながら、ターゲットをスパッタして、保護層23上に記録層21を成膜する。
酸素アシストを行いながらスパッタリングにより記録層21を成膜することで、金属が安定な酸化物を形成する。例えば、Pdは、Pd酸化物としてPdOと不安定かつ光吸収のあるPdO2とを形成する。
記録層成膜用のターゲットとしては、PdおよびBiなどを含む複合酸化物ターゲットを用いることが好ましい。PdおよびBiは、例えば、Pd酸化物およびBi酸化物として複合酸化物ターゲット中に存在する。ここで、酸化物には、酸素欠損状態および酸素過剰状態の酸化物も含まれる。
複合酸化物ターゲットが、Sn、Zn、Ge、Co、W、CuおよびAlからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の金属をさらに含んでいることが好ましい。これらの金属は、酸化物として複合酸化物ターゲット中に存在する。ここで、酸化物には、酸素欠損状態および酸素過剰状態の酸化物も含まれる。
記録層成膜用のターゲットは上述の例に限定されるものではなく、PdおよびBiそれぞれのターゲットを用意し、コスパッタリングの手法で記録層21を成膜するようにしてもよい。記録層21がSn、Zn、Ge、Co、W、CuおよびAlからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の金属をさらに含む場合には、これらの金属それぞれのターゲットをさらに用意し、コスパッタリングの手法で記録層21を成膜すればよい。
(保護層の成膜工程)
次に、基板11を、保護層形成用のターゲットが備えられた真空チャンバー内に搬送し、真空チャンバー内を所定の圧力になるまで真空引きする。その後、真空チャンバー内にArガスやO2ガスなどのプロセスガスを導入しながら、ターゲットをスパッタして、記録層21上に保護層22を成膜する。スパッタ法としては、例えば高周波(RF)スパッタ法、直流(DC)スパッタ法を用いることができるが、特に直流スパッタ法が好ましい。直流スパッタ法は高周波スパッタ法に比して装置が安く且つ成膜レートが高いため、製造コストを下げ、生産性を向上することができるからである。
以上により、基板11上に情報信号層L0が形成される。
(中間層の形成工程)
次に、例えばスピンコート法により紫外線硬化樹脂を情報信号層L0上に均一に塗布する。その後、情報信号層L0上に均一に塗布された紫外線硬化樹脂に対してスタンパの凹凸パターンを押し当て、紫外線を紫外線硬化樹脂に対して照射して硬化させた後、スタンパを剥離する。これにより、スタンパの凹凸パターンが紫外線硬化樹脂に転写され、例えばイングルーブGinおよびオングルーブGonが設けられた中間層S1が情報信号層L0上に形成される。
(情報信号層および中間層の形成工程)
次に、上述の情報信号層L0および中間層S1の形成工程と同様にして、中間層S1上に、情報信号層L1、中間層S2、情報信号層L2、・・・、中間層Sn、情報信号層Lnをこの順序で中間層S1上に積層する。
(光透過層の形成工程)
次に、例えばスピンコート法により、紫外線硬化樹脂(UVレジン)などの感光性樹脂を情報信号層Ln上に塗布した後、紫外線などの光を感光性樹脂に照射し、硬化する。これにより、情報信号層Ln上に光透過層12が形成される。
以上の工程により、目的とする光記録媒体10が得られる。
(効果)
本実施形態によれば、記録層21の記録材料はPd、BiおよびOを含み、かつ、PdおよびBiは酸化物(酸素欠損状態および酸素過剰状態も含む)として記録層中に存在する。これにより、高い光透過率と低い光記録エネルギーで情報信号を記録できる性能とを両立した追記型の情報信号層Lを提供することが可能になる。そして、この情報信号層Lを用いて、多層の追記型光記録媒体を提供することができる。なお、この情報信号層Lは、特に5層以上の追記型光記録媒体に適用して好適なものである。
Pd、BiおよびOを含む記録層21を用いて、5層以上の情報信号層Lを有する大容量の追記型光記録媒体を作製した場合には、現状想定可能なドライブ装置を用いても情報信号の記録再生を無理なく行うことが可能である。
以下、実施例により本技術を具体的に説明するが、本技術はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
本実施例では、記録材料としてPdOx+M(MはSn、Zn、Ge、Co、W、CuおよびAlからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む金属酸化物)をベースとし、これにBi23を加えたものを用いた。そして、この記録材料を用いて作製した光ディスクの記録再生信号特性を比較することで、記録材料へのBi23添加の影響を調べた。
(評価装置)
本実施例では、記録再生信号などのディスクの評価はBDディスクドライブ型の評価装置を用いて行った。また、本実施例では、記録材料中にBi酸化物を加えた効果の検証が鍵となるので、光ディスクとしては情報記録層を1層のみ有する光ディスク(いわゆる単層ディスク)を採用した。
図4は、ディスクドライブ型評価装置の構成を示す。以下、図4を参照して、評価対象である光ディスク20をディスクドライブ型評価装置に搭載し、信号評価を行うまでの動作および手順を説明する。
まず、スピンドルモータ部31に光ディスク20を取りつけ回転させる。次に、記録再生光学系32にてレーザーダイオード41を発光させて、レーザー光LBをコリメータレンズ42およびビームスプリッター43を介して、ミラー44に入射させる。ミラー44にて反射したレーザー光LBは、対物レンズ45を介して光ディスク20の記録層に集光しつつ落射される。
次に、対物レンズ45を光ディスク20の光照射面に対して垂直な方向(光軸方向)に上下動作させて、レーザー光LBの焦点が光ディスク20の記録層を横切るようにする。このときに、光ディスク20の記録層で反射されたレーザー光LBは進んできた経路を戻り、記録再生光学系32のビームスプリッター43でレーザー光LBの一部または全部が反射されて、集光レンズ46を介してフォトディテクタ47に入射される。フォトディテクタ47にて受光した光は、電気信号に変換されて、信号解析装置34に供給される。信号解析装置34は、フォトディテクタ47から供給された電気信号に基づき、フォーカスサーボ用エラー信号、トラッキングサーボ用エラー信号およびRF信号などを生成し、これらの生成信号に基づき、サーボ制御などを行う。例えば、フォーカスサーボ制御では、フォーカスエラー信号を用いて、フォーカスサーボを働かせて常に記録層にレーザー光の焦点がくるように制御する。また、トラッキングエラー信号を用いて、記録層上の案内溝の凸部(グルーブ)上にレーザー光の焦点がくるように制御する。ここまでの処理で、情報記録の準備が整う。また、既に情報信号が光ディスクに記録されていれば、光ディスク20からの情報信号の読み出し(再生)が可能な状態になる。
光ディスク20に対する情報信号の記録は、以下のようにして行われる。信号発生装置33が、光ディスク20に記録する情報信号に基づき、レーザーダイオード41のレーザー発光を制御する。これにより、レーザーダイオード41から出射されるレーザー光LBの発光波形が制御されて、光ディスク20の記録層に照射される。レーザー光LBが照射された記録層は、このレーザーエネルギーにより変化する。本実施例の記録層では、レーザーエネルギーによりPdO2が分解しPdOとO2が発生して、記録層の屈折率変化と物理的な体積膨張が起きる。レーザーダイオード41の出力は、レーザー光LBがこの変化が起きるのに十分なエネルギーを記録層に供給する程度に選ばれる。
光ディスク20に対する情報信号の再生は、以下のようにして行われる。情報信号の再生は、レーザー光照射により光ディスク20の記録層が100万回同じところを再生しても変化しない程十分低パワーであり、且つ記録された情報信号を十分なS/Nをもって読み出せるパワーにて行われる。このように設定したレーザー光のことを再生光と呼び、その時のレーザーパワーを再生パワーと呼ぶ。光ディスク20の記録層に照射した再生光は、記録再生光学系を逆行しフォトディテクタ47にて検出される。光ディスク20としては、未記録部からの戻り光量に比して記録部からの戻り光量が低くなるように設計された光ディスクと、未記録部の戻り光量に比して記録部の戻り光量が高くなるように設計された光ディスクが存在する。前者の記録方式はHigh to Low記録方式、後者の記録方式はLow to High記録方式と呼ばれている。
本実施例の光ディスク20はHigh to Low記録方式のメディアであり、この記録方式はCD、DVDおよびBDで採用されている。フォトディテクタ47で検出された光は、電気信号に変化されて信号解析装置34に供給され、信号解析装置34にて信号品質が評価される。評価関数としては、例えば光ディスク技術で既に確立された下記のものがある。
i−MLSE、変調度、SER(エラーレート)、アシンメトリなど
i−MLSE、SERは、RF信号の情報抜き出し品質を示す。本実施例でもこれらの評価関数を用いて、信号品質の評価を行った。
(信号特性の評価方法)
本実施例では、光ディスクの記録再生信号評価は、上述のBD用の評価装置を用いて以下のようにして行った。情報記録密度をBD:25GBの1.28倍の1情報記録層当たり32GB相当で、2倍速記録(7.69m/s)にて連続5トラックを記録し、中央のトラックの信号を測定した。信号品質の評価にはBD−XLで使用されている、i−MLSEという指標を用いた。評価装置における記録用レーザー光の波長は405nm、集光レンズの開口数NAは0.85である。i−MLSEが最も良好になる記録パワーを最適記録パワーPwoとした。
(実施例1)
まず、射出成形により、厚さ1.1mmのポリカーボネート基板を成形した。なお、このポリカーボネート基板上には、イングルーブおよびオングルーブを有する凹凸面を形成した。次に、スパッタリング法によりポリカーボネート基板の凹凸面上に誘電体層、記録層、誘電体層を順次積層することにより、情報信号層を形成した。なお、情報信号層は、L5層相当の設計とした。
情報信号層の各層の構成は、具体的には以下のようにした。
誘電体層(光透過層側)
材料:ITO、厚さ:20nm
記録層
材料:Cu−Zn−Pd−W−Bi−Oの複合酸化物(Cu:Zn:Pd:W:Bi=6.7:30.2:4.7:38.8:21.9(原子比率(単位:at%))、厚さ:45nm
誘電体層(基板側)
材料:ITO、厚さ:10nm
記録層は、以下のようにして成膜した。ArガスとO2ガスとの混合ガス雰囲気下にて、Pd酸化物ターゲット、Bi酸化物ターゲット、Cuターゲット、ZnターゲットおよびWターゲットをコスパッタすることにより成膜した。但し、記録層中のCu、Zn、Pd、W、Biそれぞれの原子比率が、Cu:Zn:Pd:W:Bi=6.7:30.2:4.7:38.8:21.9となるように、各ターゲットの投入電力を調整した。また、酸素濃度が高い混合ガス雰囲気となるように、ArガスとO2ガスとの流量比を調整した。
以下に、具体的な記録層の成膜条件を示す。
Arガス流量:10〜15sccm
2ガス流量:15〜24sccm
投入電力:50〜400W
次に、スピンコート法により、紫外線硬化樹脂を誘電体層上に均一塗布し、これに紫外線を照射して硬化させることにより、厚さ100μmを有する光透過層を形成した。
以上により、目的とする光ディスクを得た。
(実施例2)
記録層の組成を原子比率でCu:Zn:Pd:W:Bi=5.1:26.1:3.6:31.6:33.6となるように成膜条件を調整したこと以外は、実施例1と同様にして光ディスクを得た。
(実施例3)
記録層の組成を原子比率でCu:Zn:Pd:W:Bi=3.4:22.2:2.4:27.8:45.1となるように成膜条件を調整したこと以外は、実施例1と同様にして光ディスクを得た。
(比較例1)
記録層の材料として、Cu−Zn−Pd−W−Oの複合酸化物を用い、その組成比を原子比率でCu:Zn:Pd:W=11.5:36.5:8.0:46.9となるように成膜条件を調整したこと以外は、実施例1と同様にして光ディスクを得た。
(比較例2)
記録層の組成を原子比率でCu:Zn:Pd:W=12.3:35.8:8.5:43.3となるように成膜条件を調整したこと以外は、比較例1と同様にして光ディスクを得た。
(比較例3)
記録層の組成を原子比率でCu:Zn:Pd:W=13.6:34.8:9.4:44.9となるように成膜条件を調整したこと以外は、比較例1と同様にして光ディスクを得た。
(比較例4)
記録層の組成を原子比率でCu:Zn:Pd:W=15.4:33.4:10.7:40.5となるように成膜条件を調整したこと以外は、比較例1と同様にして光ディスクを得た。
表1は、実施例1〜3、比較例1〜4の光ディスクの記録材料の組成(構成元素の原子比率)を示す。
Figure 2014024199
(光ディスクの評価)
上述のようにして得られた実施例1〜3、比較例1〜4の光ディスクについて、以下の評価を行った。
(透過特性の評価)
分光光度計を用いて光透過率を求めた。具体的にはエリプソメータの測定値から数値解析により情報信号層の光透過率を求めた。その結果を図5に示す。
以下に、測定条件を示す。
分光光度計:J.A.Woollam製 W-VASE
測定波長:405nm
(最適記録パワーPwoの評価)
i−MLSEが最も良好になる記録パワーを求め、この記録パワーを最適記録パワーPwoとした。その結果を図5に示す。
(RF信号品質の評価)
最適記録パワーに対して記録パワーを比例的に変化させて情報記録を行い、RF信号品質評価に用いる仕様としてi−MLSEを用いて数値化し、記録パワーに対するi−MLSE値の変化をプロットする、所謂パワーマージン評価を行った。その評価結果を図6に示す。記録条件は、上述した「信号特性の評価方法」に記載した条件である。なお、Bi23を記録層に添加していない光ディスクの評価結果としては、比較例1〜4のうち比較例1のものを代表して示した。
(評価結果)
図5は、実施例1〜3、比較例1〜4の光ディスクの透過率および最適記録パワーの評価結果を示す。図5中で「記録層:Bi23添加」と記した枠線にて囲まれたデータが、実施例1〜3の光ディスクに関する評価結果に関するものである。また、図5中で「記録層:Bi23無添加」と記した枠線にて囲まれたデータが、比較例1〜4の光ディスクに関する評価結果に関するものであ。なお、透過率および最適記録パワーを縦軸とし、記録材料に含まれる金属元素の総量Aに対するPd元素の量Bの割合C(=(B/A)×100)[at%(原子%)]を横軸とした。すなわち、横軸は、表1の組成比のうちPdの数値に対応している。
図5から以下のことがわかる。
Bi23無添加の記録層では、Pd元素の含有量の減少に伴い、透過率が高まると共に、記録パワーPwoが高まる(すなわち記録感度が悪化する)傾向にある。記録パワーが20mWにおける透過率は、記録パワーの近似直線LPおよび透過率の近似直線LTから88%程度であると推測される。したがって、Bi23無添加の記録層では、記録パワーPwoがPwo≦20mWであれば、透過率TはT≦88%となると推測される。
上記傾向は、以下のように説明できる。Pd−Cu−W−Zn−Oの酸化物記録材料は、PdO、PdO2、CuO、WO3、ZnOからなる複合酸化物材料である。この材料の中で、波長405nmの光に対して光吸収の役割を担う主な材料はPdO2およびCuOであり、その他の材料は波長405nmの光に対してはほぼ透明な材料である。すなわち記録材料中におけるPdO2やCuOの絶対量が減ると、記録層における光吸収が減り、光透過率が高まり、情報信号の記録に必要な記録パワーが増加する。
これに対して、Bi23添加の記録層では、Bi23の増加に伴って(すなわちPd元素の含有量の減少に伴って)、透過率は変化せずほぼ一定であるのに対して、記録パワーは低くなる(すなわち記録感度が向上する)傾向にある。記録材料に含まれる金属元素の総量Aに対するBi元素の量Bの割合Cを45at%とした場合には、記録パワー17mWで透過率89%を得ることができる。
以上より、Bi23を記録層に添加することで、高い光透過率を保ちつつ、記録パワーを低減できることがわかる。
図6は、実施例1〜3、比較例1の光ディスクのRF信号品質の評価結果を示す。この結果から以下のことがわかる。
i−MLSEボトム値は、Bi23を記録層に添加した場合には、Bi23を添加していない場合と比べて良好な値を示している。このことから、信号品質の観点でも、Bi23を記録層に添加することが好ましいことがわかる。
i−MLSEボトム値は、記録材料に含まれる金属元素の総量Aに対するBi元素の量Bの割合Cが45at%である場合でも、その割合Cが0at%である場合に比べて良好な値を示している。このようなi−MLSE値の向上の効果は、記録材料に含まれる金属元素の総量Aに対するBi元素の量Bの割合Cが50at%程度までは得られると推測される。
以上により、記録材料に含まれる金属元素の総量Aに対するPd元素の量Bの割合C(=(B/A)×100)[at%(原子%)]は、好ましくは0at%<C≦50at%、より好ましくは0at%<C≦45at%の範囲内である。
上述した実施例では、単層の記録層を有する光ディスクに対して本技術を適用した例について示したが、複数の記録層を有する光ディスクに対して本技術を適用可能であることは容易に推測できる。具体的には例えば、BD−XLの4層追記型ディスク上に上述した記録層を積層することで、5層ディスクを実現できることは容易に推測できる。
以上、本技術の実施形態について具体的に説明したが、本技術は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよい。
また、上述の実施形態の構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
また、上述の実施形態では、基板上に複数層の情報信号層、光透過層がこの順序で積層された構成を有し、この光透過層側からレーザー光を複数層の情報信号層に照射することにより情報信号の記録または再生が行われる光記録媒体に対して本技術を適用した場合を例として説明したが、本技術はこの例に限定されるものではない。例えば、基板上に複数層の情報信号層、保護層がこの順序で積層された構成を有し、基板側からレーザー光を複数層の情報信号層に照射することにより情報信号の記録または再生が行われる光記録媒体、または2枚の基板の間に複数層の情報信号層が設けられた構成を有し、一方の基板の側からレーザー光を複数層の情報信号層に照射することにより情報信号の記録または再生が行われる光記録媒体に対しても本技術は適用可能である。
また、上述の実施形態では、複数の情報信号層を有する光記録媒体に対して本技術を適用したが、本技術はこの例に限定されるものではなく、単層の情報信号層を有する光記録媒体に対して本技術を適用することも可能である。
また、多層の情報信号層のうちの一部の情報信号層を追記型の情報信号層とし、残りの情報信号層を追記型以外の情報信号層としてもよい。この場合、追記型の情報信号層の記録層に対して本技術が適用される。また、再生専用型のピットなどによる記録領域が部分的に設けられる光記録媒体にも本技術は適用可能である。
また、本技術は以下の構成を採用することもできる。
(1)
基板と、複数の情報信号層と、保護層とを備え、
上記複数の情報信号層のうちの少なくとも一層が、Pd、BiおよびOを含んでいる記録層を有している光記録媒体。
(2)
上記Pd、BiおよびOは、Pd酸化物およびBi酸化物として上記記録層中に含まれている(1)に記載の光記録媒体。
(3)
上記記録層は、Sn、Zn、Ge、Co、W、CuおよびAlからなる群より選ばれる少なくとも1種以上をさらに含んでいる(1)から(2)のいずれかに記載の光記録媒体。
(4)
上記記録層に含まれる金属元素の総量Aに対するBi元素の量Bの割合C(=(B/A)×100)は、0at%<C≦50at%の関係を満たす(1)から(3)のいずれかに記載の光記録媒体。
(5)
情報信号を記録または再生するための光を照射する光照射面を有し、
上記光照射面から最も近い情報信号層は、上記光に対して85%以上の透過率を有している(1)から(4)のいずれかに記載の光記録媒体。
(6)
上記情報信号層が、記録層の表面の少なくとも一方に設けられた保護層をさらに備える(1)から(5)のいずれかに記載の光記録媒体。
(7)
上記保護層は、誘電体材料を含んでいる(6)に記載の光記録媒体。
(8)
情報信号を記録または再生するための光は、上記保護層の側に対して照射される(1)から(7)のいずれかに記載の光記録媒体。
11 基板
12 光透過層
10 光記録媒体
21 記録層
22、23 誘電体層
L、L0〜Ln 情報信号層
S1〜Sn 中間層
Gin イングルーブ
Gon オングルーブ
C 光照射面

Claims (8)

  1. 基板と、複数の情報信号層と、保護層とを備え、
    上記複数の情報信号層のうちの少なくとも一層が、Pd、BiおよびOを含んでいる記録層を有している光記録媒体。
  2. 上記Pd、BiおよびOは、Pd酸化物およびBi酸化物として上記記録層中に含まれている請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 上記記録層は、Sn、Zn、Ge、Co、W、CuおよびAlからなる群より選ばれる少なくとも1種以上をさらに含んでいる請求項1に記載の光記録媒体。
  4. 上記記録層に含まれる金属元素の総量Aに対するBi元素の量Bの割合C(=(B/A)×100)は、0at%<C≦50at%の関係を満たす請求項1に記載の光記録媒体。
  5. 情報信号を記録または再生するための光を照射する光照射面を有し、
    上記光照射面から最も近い情報信号層は、上記光に対して85%以上の透過率を有している請求項1に記載の光記録媒体。
  6. 上記情報信号層が、記録層の表面の少なくとも一方に設けられた保護層をさらに備える請求項1に記載の光記録媒体。
  7. 上記保護層は、誘電体材料を含んでいる請求項6に記載の光記録媒体。
  8. 情報信号を記録または再生するための光は、上記保護層の側に対して照射される請求項1に記載の光記録媒体。
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