JP2014019981A - フラットヤーンの製造方法及びクロス積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い引張弾性率を有するフラットヤーンを安定量産できて生産性が良好なフラットヤーンの製造方法、また、高い引張弾性率を有するフラットヤーンを使用して、高い曲げ弾性率と衝撃強度を兼ね備えたクロス積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】重量平均分子量が50万〜70万であるホモポリプロピレンからなる中間層の両面に、少なくともランダムポリプロピレンを含む表面層をそれぞれ積層してなる帯状体を、ホモポリプロピレンの融点よりも高い温度で12〜14倍の延伸倍率で一軸延伸してフラットヤーンを製造することを特徴とするフラットヤーンの製造方法、および製造されたフラットヤーンを縦糸及び横糸の何れか一方又は両方に用いて布状体を形成し、次いで布状体を常温常圧で複数枚積層し、次いで加熱圧縮し、次いで冷却圧縮してクロス積層体を製造することを特徴とするクロス積層体の製造方法によって解決される。
【選択図】図2
【解決手段】重量平均分子量が50万〜70万であるホモポリプロピレンからなる中間層の両面に、少なくともランダムポリプロピレンを含む表面層をそれぞれ積層してなる帯状体を、ホモポリプロピレンの融点よりも高い温度で12〜14倍の延伸倍率で一軸延伸してフラットヤーンを製造することを特徴とするフラットヤーンの製造方法、および製造されたフラットヤーンを縦糸及び横糸の何れか一方又は両方に用いて布状体を形成し、次いで布状体を常温常圧で複数枚積層し、次いで加熱圧縮し、次いで冷却圧縮してクロス積層体を製造することを特徴とするクロス積層体の製造方法によって解決される。
【選択図】図2
Description
本発明はフラットヤーンの製造方法及びクロス積層体の製造方法に関し、詳しくは、安定量産が可能で生産性が良好なフラットヤーンの製造方法及びそのフラットヤーンを用いて形成されたクロス積層体の製造方法に関する。
フィルムを裁断して得られる帯状体を一軸延伸することによって得られるフラットヤーンは、引張強度が大きいことから、様々な分野の糸素材として利用されている。特にフラットヤーンを用いて形成された布状体は高い機械的強度を有することから、シート、袋等の素材として多用されている。
また、近年では、同一材料で構成されたSRP(Self Reinforced Plastics)と称される自己強化高分子複合材料も開発されている。これは樹脂マトリックスと強化材が同じ素材である繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics;FRP)であり、強化材となる配向した結晶性高分子とマトリックスとなる非配向高分子からなる。
このような複合材料は高強度・高弾性率のフィルムや繊維、フラットヤーンなどによって布状体を形成し、これを複数枚積層して加熱圧縮して得ることができ、得られたクロス積層体は、同一素材で構成されているためにリサイクルが可能であり、軽量でガラス繊維補強材に匹敵する曲げ弾性率を有し、更に耐衝撃性に優れ、低温での性能が良好である等の数々の利点を有しており、建築用材料、自動車用部材等の様々な分野での利用が期待されている。
従来、このようなフラットヤーンとして、特許文献1には、ポリプロピレンの中間層(B)及び中間層(B)の材料と同じ種類の表面層(A)からなるABAタイプの一軸延伸されたフラットヤーンが開示されている。このフラットヤーンは中間層(B)の融点よりも低い温度で12倍より高い延伸倍率で一軸延伸されており、少なくとも10GPaの引張弾性率を有している。
しかしながら、高い機械的強度を有するフラットヤーンは、安定量産が難しいという問題がある。すなわち、一般に引張弾性率の大きなフラットヤーンを得るには延伸倍率を大きくすることが行われるが、延伸倍率を大きくするほど糸切れが発生し易くなり、生産性の低下を招くおそれが高くなる。
このため、延伸倍率をそれほど大きくしなくても所定の引張弾性率を発揮し、安定量産が可能なフラットヤーンが望まれている。
そこで、本発明の課題は、高い引張弾性率を有するフラットヤーンを安定量産できて生産性が良好なフラットヤーンの製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の課題は、高い引張弾性率を有するフラットヤーンを使用して、高い曲げ弾性率と衝撃強度を兼ね備えたクロス積層体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
1.重量平均分子量が50万〜70万であるホモポリプロピレンからなる中間層の両面に、少なくともランダムポリプロピレンを含む表面層をそれぞれ積層してなる帯状体を、前記ホモポリプロピレンの融点よりも高い温度で12〜14倍の延伸倍率で一軸延伸してフラットヤーンを製造することを特徴とするフラットヤーンの製造方法。
2.前記帯状体を延伸する温度が、175〜195℃の範囲であることを特徴とする前記1記載のフラットヤーンの製造方法。
3.前記帯状体を延伸する際に、前記中間層の厚み方向の中心付近まで溶融するには至らないように延伸処理時間を調整することを特徴とする前記1又は2記載のフラットヤーンの製造方法。
4.前記表面層は、ランダムポリプロピレンとホモポリプロピレンとを含有し、ランダムポリプロピレンとホモポリプロピレンのブレンド比率は、1:9〜9:1の割合(重量比)であることを特徴とする前記1、2又は3記載のフラットヤーンの製造方法。
5.前記1〜4のいずれかに記載のフラットヤーンの製造方法により製造されたフラットヤーンを縦糸及び横糸の何れか一方又は両方に用いて布状体を形成し、次いで該布状体を常温常圧で複数枚積層し、次いで加熱圧縮し、次いで冷却圧縮してクロス積層体を製造することを特徴とするクロス積層体の製造方法。
6.前記加熱圧縮の際の温度が、130〜160℃の範囲であり、圧力が0.5〜30MPaの範囲であり、時間が1〜20分の範囲であることを特徴とする前記5記載のクロス積層体の製造方法。
7.前記冷却圧縮の際の温度が、10〜40℃の範囲であり、圧力が0.5〜30MPaの範囲であり、時間が1〜20分の範囲であることを特徴とする前記5又は6記載のクロス積層体の製造方法。
本発明によれば、高い引張弾性率を有するフラットヤーンを安定量産できて生産性が良好なフラットヤーンの製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、高い引張弾性率を有するフラットヤーンを使用して、高い曲げ弾性率と衝撃強度を兼ね備えたクロス積層体を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係るフラットヤーンの断面構造を示す斜視図である。
フラットヤーン1は、中間層10と、この中間層10の両面にそれぞれ積層された表面層20とによって構成されている。
中間層10はホモポリプロピレンからなる。ホモポリプロピレンは、モノマー成分としてプロピレン以外の成分を含まないプロピレンの単独重合体である。
このホモプロピレンの重量平均分子量(Mw)は50万〜70万であり、好ましくは50万〜60万である。50万を下回ると、所望の引張弾性率(8〜9GPa)を達成するために後述する延伸倍率を大きくしなくてはならない問題がある。また、70万を上回ると、成形加工における押出機にかかる負担が大きく、安定量産が困難となる。
一方、表面層20は、少なくともランダムポリプロピレンを含む。ランダムポリプロピレンは、モノマー成分としてのプロピレンと、全モノマー成分に対して数重量%程度のα−オレフィン(例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等のプロピレン以外のα−オレフィン)とが、ランダムに共重合したものである。
表面層20は、ランダムポリプロピレン単独からなるものであってもよいが、ランダムポリプロピレンにホモポリプロピレンがブレンドされていてもよい。ランダムポリプロピレンとホモポリプロピレンとの割合(重量比)は、1:9〜9:1とすることが本発明の目的を達成する上で好ましい。
フラットヤーン1における中間層10と表面層20との厚みの層比は、表面層:中間層:表面層で0.5:9:0.5〜2:6:2とすることが好ましい。層比がこの範囲内にあることで、本発明の目的をより効果的に達成することができる。
このように中間層10と表面層20とが積層されたフラットヤーン1を製造する方法としては、中間層10の両面に表面層20が積層された3層の積層フィルムを作製し、この積層フィルムを適宜幅にスリットして帯状体(テープ状体)を作製し、これを一軸方向に延伸することによって得ることができる。また、積層フィルムをスリットする前にその積層フィルム自体を一軸方向に延伸し、延伸後に所定幅にスリットすることよって得ることもできる。
3層の積層フィルムを製造する方法としては、中間層10、表面層20となるフィルムをそれぞれ成形し、それらをドライラミネート法や熱ラミネート法を用いて積層する方法、中間層10となるフィルムの両面に表面層20となるフィルムを押出しラミネートする方法、あるいは、多層共押出法によって3層フィルムとして押出し成形する方法等の公知の方法から適宜選択することができる。成形の容易さやコスト面、並びに、各層間の接着性の点では、多層共押出法によって中間層10と表面層20の3層フィルムを一段で得る方法が好ましい。
本発明において一軸延伸処理は、前記ホモポリプロピレンの融点(通常165℃)よりも高い温度で12〜14倍の延伸倍率で行うことが特徴である。延伸する温度は、175〜195℃の範囲であることが好ましい。この温度は、中間層10を構成するホモポリプロピレンの融点よりも10℃〜40℃程度高い温度である。この温度範囲及びこの倍率範囲で一軸延伸処理を行うことで、比較的低い延伸倍率でありながらも8GPa〜9GPaの引張弾性率を得ることができ、高い機械的強度を有するフラットヤーン1を安定量産することが可能となる。
温度及び延伸倍率が、上記範囲よりも下回ったり、逆に上回ったりすると、いずれも延伸時に破断し易くなり、安定量産することが困難となる。
フラットヤーン1を延伸する際に、一軸延伸処理を中間層10を構成するホモポリプロピレンの融点よりも高い温度で行っているが、前記中間層の厚み方向の中心付近まで溶融するには至らないように延伸処理時間を調整することが好ましい。破断等の問題を回避することができるからである。
一軸延伸処理のための加熱手段としては、例えば熱風循環オーブン、熱ロール、熱板、赤外線照射、熱油、蒸気等の公知の加熱手段を用いることができる。
また、延伸操作は一段もしくは二段以上の多段で行うことができるが、好ましくは二段以下で行うことである。
本発明におけるフラットヤーン1の形状は、目的に応じて任意に設定することができるが、例えば繊度は好ましくは100dt〜10000dt、より好ましくは500dt〜5000dtの範囲であり、糸幅は好ましくは0.5mm〜10mm、より好ましくは1.0mm〜8mmの範囲であり、総厚みは10μm〜200μmが好ましく、より好ましくは15μm〜100μmの範囲である。
本発明におけるフラットヤーン1には、目的に応じて各種の添加剤を添加することができる。具体的には、有機リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系等の光安定剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤;帯電防止剤;ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等の分散剤;アミド系、有機金属塩系等の滑剤;含臭素系有機系、リン酸系、メラミンシアヌレート系、三酸化アンチモン等の難燃剤;低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等の延伸助剤;有機顔料;無機顔料;無機充填剤;有機充填材;金属イオン系等の無機抗菌剤、有機抗菌剤;有機リン系、安息香酸系、ソルビトール系等の核剤等が挙げられる。
本発明に係るクロス積層体は、図2に示すように、上記フラットヤーンを織成して布状体を形成し(織成工程P1)、次いで、得られた布状体を複数枚積層し(積層工程P2)、次いで、加熱圧縮し(加熱圧縮工程P3)、更に冷却圧縮する(冷却圧縮工程P4)ことにより得られる。
織成工程P1において、布状体はフラットヤーン1を縦糸及び横糸の何れか一方又は両方に用いて織成することによって得られるが、好ましくは、布状体2はフラットヤーン1を縦糸1A及び横糸1Bの両方に用いて織成することによって得られる(図3参照)。織成方法としては一般には平織又は綾織とすることができる。
布状体2における縦糸1A、横糸1Bの打込み本数は、機械的強度を高める観点から、縦糸1Aが5〜50本/吋、横糸1Bが5〜50本/吋とすることが好ましい。得られる布状体2の縦横の物性差を極力なくすため、縦糸1Aと横糸1Bとで同一のものを使用し、打込み本数も上記範囲内で同一とすることが好ましい。
布状体2の目付重量は、機械的強度を高める観点から、30〜500g/m2とすることが好ましい。
積層工程P2では、このようにして得られた布状体2を複数枚用意し、常温、常圧環境下で積層する。積層枚数は目的に応じて任意に設定できるが、一般にクロス積層体にある程度の機械的強度を付与する観点から、2枚〜20枚とすることが好ましい。
加熱圧縮工程P3では、複数枚積層した布状体2の積層物を圧縮する。圧縮条件は、中間層10が溶融しない程度の温度範囲で行うことが好ましく、例えば130℃〜160℃とすることができる。この温度範囲で圧縮することで、中間層10は溶融しないが、表面層20は中間層10よりも融点が低いため、この表面層20が溶融し、隣接する布状体2間を強固に接着する。
圧縮時の圧力は0.5MPa〜30MPa、圧縮時間は1〜20分とすることが好ましい。
冷却圧縮工程P4では、加熱圧縮された積層物を冷却条件で圧縮する。ここで冷却とは、加熱圧縮工程P3における温度条件よりも低い温度で行うことであり、具体的には10〜40℃で行うことが好ましい。この冷却圧縮工程P4によって、加熱により溶融した表面層20が硬化することにより、各布状体2が強固に硬化されたクロス積層体を得ることができる。
圧縮時の圧力は0.5MPa〜30MPa、圧縮時間は1〜20分とすることが好ましい。
加熱圧縮工程P3及び冷却圧縮工程P4において用いられる圧縮手段は特に問わず、油圧プレス機、ロールプレス機、ダブルベルトプレス機等の適宜公知の装置を用いることができる。
この冷却圧縮工程P4を経て最終的に得られるクロス積層体は、軽量で高い機械的強度を得る観点から、0.5mm〜10mmの厚みとすることが好ましい。
<フラットヤーンAの製造>
中間層の樹脂として、重量平均分子量(Mw)55万、融点166℃のホモポリプロピレンを使用した。両表面層の樹脂は、ランダムポリプロピレン70%、ホモポリプロピレン30%となるようにブレンドしたブレンド樹脂を用いた。
中間層の樹脂として、重量平均分子量(Mw)55万、融点166℃のホモポリプロピレンを使用した。両表面層の樹脂は、ランダムポリプロピレン70%、ホモポリプロピレン30%となるようにブレンドしたブレンド樹脂を用いた。
多層共押出法によって、上記ホモポリプロピレンからなる中間層と、その両面に上記ランダムポリプロピレンとホモポリプロピレンのブレンド樹脂からなる表面層との3層フィルムを作製した。表面層:中間層:表面層の厚みの層比は1:8:1であった。
得られた3層フィルムをスリットして、幅4.5mmの帯状体を作製した。その帯状体を表1に示す延伸温度及び延伸倍率を変化させて、一軸延伸処理してフラットヤーンAを作製した。作製したフラットヤーンの引張弾性率(GPa)をJIS L1013によって測定した。その結果を表1及び図4に示す。
<フラットヤーンBの製造>
中間層の樹脂を重量平均分子量(Mw)40万、融点165℃のホモポリプロピレンとした以外はフラットヤーンAと同一のポリプロピレンによって、表面層:中間層:表面層の厚みの層比が1:8:1となる3層フィルムを作製し、同様に帯状体を作製し、その帯状体を表2に示す延伸温度及び延伸倍率を変化させて、一軸延伸処理してフラットヤーンBを作製した。作製したフラットヤーンの引張弾性率(GPa)を上記同様に測定し、その結果を表2及び図5に示す。
中間層の樹脂を重量平均分子量(Mw)40万、融点165℃のホモポリプロピレンとした以外はフラットヤーンAと同一のポリプロピレンによって、表面層:中間層:表面層の厚みの層比が1:8:1となる3層フィルムを作製し、同様に帯状体を作製し、その帯状体を表2に示す延伸温度及び延伸倍率を変化させて、一軸延伸処理してフラットヤーンBを作製した。作製したフラットヤーンの引張弾性率(GPa)を上記同様に測定し、その結果を表2及び図5に示す。
<フラットヤーンCの製造>
中間層の樹脂を重量平均分子量(Mw)35万、融点165℃のホモポリプロピレンとした以外はフラットヤーンAと同一のポリプロピレンによって、表面層:中間層:表面層の厚みの層比は1:8:1となる3層フィルムを作製し、同様に帯状体を作製し、その帯状体を表3に示す延伸温度及び延伸倍率を変化させて、一軸延伸処理してフラットヤーンCを作製した。作製したフラットヤーンの引張弾性率(GPa)を同様に測定し、その結果を表3及び図6に示す。
中間層の樹脂を重量平均分子量(Mw)35万、融点165℃のホモポリプロピレンとした以外はフラットヤーンAと同一のポリプロピレンによって、表面層:中間層:表面層の厚みの層比は1:8:1となる3層フィルムを作製し、同様に帯状体を作製し、その帯状体を表3に示す延伸温度及び延伸倍率を変化させて、一軸延伸処理してフラットヤーンCを作製した。作製したフラットヤーンの引張弾性率(GPa)を同様に測定し、その結果を表3及び図6に示す。
図4に示されるように、中間層を構成するホモポリプロピレンの融点よりも10℃〜30℃高い温度で12倍〜14倍の一軸延伸を行うことによって得られたフラットヤーンA(本発明品)は、8GPa〜9GPaの引張弾性率を有していることがわかる。
なお、14倍を超える延伸条件又は12倍〜13倍の延伸倍率でも温度範囲が本発明範囲から逸脱する条件では、いずれも延伸処理時に糸切れが生じてしまい、フラットヤーンを生産できなかった。
一方、図5、図6に示されるように、中間層を構成するホモポリプロピレンの重量平均分子量(Mw)が50万を下回る場合、フラットヤーンの生産は可能であったが、全体的に引張弾性率が低くなっている。例えば8GPaの引張弾性率を得るためには、本発明では図4に示すように12倍の延伸倍率で済むところ、図5に示すフラットヤーンBでは160℃、170℃で14倍以上、150℃、180℃で15倍以上、190℃で16倍以上で延伸処理しなくてはならず、また、図6に示すフラットヤーンCでは、150℃で15倍以上、160℃で16倍以上で延伸処理しなくてはならない。
つまり、フラットヤーンB、Cでは、本発明と同様の引張弾性率を有するフラットヤーンとする場合、延伸倍率を大きくしなくてはならない。大きな延伸倍率でフラットヤーンを製造しようとすると、生産性が低下する。
すなわち、本発明によれば、8GPa〜9GPaの引張弾性率を有するフラットヤーンを安定量産することができ生産性に優れることがわかる。
<クロス積層体の製造>
上記のように製造された延伸倍率13倍のフラットヤーンAを縦糸及び横糸として用いて平織りすることにより布状体を織成した。打込み本数は、縦糸15本/吋、横糸15本/吋、目付け重量は200g/m2であった。
上記のように製造された延伸倍率13倍のフラットヤーンAを縦糸及び横糸として用いて平織りすることにより布状体を織成した。打込み本数は、縦糸15本/吋、横糸15本/吋、目付け重量は200g/m2であった。
この布状体を8枚積層し、常温常圧環境下で積層した後、油圧プレス機を用いて圧縮した。加熱圧縮条件は、温度150℃、圧力15MPa、圧縮時間は3分とした。また、冷却圧縮条件は、温度35℃、圧力15MPa、圧縮時間は2分とした。これにより得られたクロス積層体の物性を表4に示す。
一般的なポリプロピレンの射出成形品では、曲げ弾性率が1000〜2000MPa程度、シャルピー衝撃強度が5〜20kJ/m2程度であり、柔軟であるが強度が弱く、また、一般的なガラス短繊維を含有するFRP成形品では、曲げ弾性率が5000MPa程度、シャルピー衝撃強度が20kJ/m2程度であり、硬いが脆い性質がある。これに対し、本発明に係るクロス積層体は、高い曲げ弾性率とシャルピー衝撃強度を兼ね備えた優れた性質を示していることがわかる。
1:フラットヤーン
1A:縦糸
1B:横糸
10:中間層
20:表面層
1A:縦糸
1B:横糸
10:中間層
20:表面層
Claims (7)
- 重量平均分子量が50万〜70万であるホモポリプロピレンからなる中間層の両面に、少なくともランダムポリプロピレンを含む表面層をそれぞれ積層してなる帯状体を、前記ホモポリプロピレンの融点よりも高い温度で12〜14倍の延伸倍率で一軸延伸してフラットヤーンを製造することを特徴とするフラットヤーンの製造方法。
- 前記帯状体を延伸する温度が、175〜195℃の範囲であることを特徴とする請求項1記載のフラットヤーンの製造方法。
- 前記帯状体を延伸する際に、前記中間層の厚み方向の中心付近まで溶融するには至らないように延伸処理時間を調整することを特徴とする請求項1又は2記載のフラットヤーンの製造方法。
- 前記表面層は、ランダムポリプロピレンとホモポリプロピレンとを含有し、ランダムポリプロピレンとホモポリプロピレンのブレンド比率は、1:9〜9:1の割合(重量比)であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のフラットヤーンの製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のフラットヤーンの製造方法により製造されたフラットヤーンを縦糸及び横糸の何れか一方又は両方に用いて布状体を形成し、次いで該布状体を常温常圧で複数枚積層し、次いで加熱圧縮し、次いで冷却圧縮してクロス積層体を製造することを特徴とするクロス積層体の製造方法。
- 前記加熱圧縮の際の温度が、130〜160℃の範囲であり、圧力が0.5〜30MPaの範囲であり、時間が1〜20分の範囲であることを特徴とする請求項5記載のクロス積層体の製造方法。
- 前記冷却圧縮の際の温度が、10〜40℃の範囲であり、圧力が0.5〜30MPaの範囲であり、時間が1〜20分の範囲であることを特徴とする請求項5又は6記載のクロス積層体の製造方法。
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