以下に、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施例について詳細な説明を行う。本発明に対する理解の混乱を避けるため、発明の記述において、本発明にとって必要でない細かい部分及び機能についての説明を省略した。
以下は、本発明に係る電池劣化度を取得するためのシステムの好ましい実施例について述べる。本発明は、ここで示した具体的な実施例に限らず、本発明の主旨を逸脱しない限り、具体的な状況に応じて、本発明の電池劣化度を取得するシステム及びその応用に対して各種の組合せをすることができると理解すべきである。本発明の一つの好ましい実施例によれば、本発明の電池の劣化度を取得するシステムは、以下のいくつかの相互作用するサブシステムを含む。即ち、
1)電池の劣化度ファクタのパラメータ採集サブシステム;
2)電池劣化度モデルの構築/更新サブシステム;
3)電池劣化度の算出サブシステム;
4)電池劣化度関連パラメータのDCL記憶システム。
また、本発明に係る電池劣化度を取得するシステムは、以下のサブシステムを更に含んでもよい。即ち、
5)劣化度モデルキャリブレーションシステム;
6)電池劣化度データに基づくデータ応用サブシステム。
図1は、本発明に係る電池劣化度を取得するためのシステムの好ましい実施例の基本構成を示すブロック図である。この実施例によれば、電池劣化度を取得するためのシステムは、電池系に接続された採集サブシステム11と、モデル構築/更新サブシステム12と、劣化度算出サブシステム13と、劣化度パラメータ履歴表(DCL:劣化状態ログ)記憶サブシステム14とを含む。劣化度関連パラメータの採集サブシステム11は、電池システムに接続され、電池またはその管理システムから電池の各種のデータを採集して、劣化度データなどの情報を電池システムへ伝送する。採集サブシステム11は、採集した電池の各種の原始データ及びその他のデータを処理して劣化度に関するパラメータを得てから、処理して得られたデータをモデル構築/更新サブシステム12に伝送される。また、採集サブシステム11は、採集された電池の各種のパラメータ及び処理して得られた電池のデータを、DCL記憶サブシステム14へ伝送して記憶する。劣化度算出サブシステム13は、それぞれ、DCL記憶サブシステム12及びモデル構築/更新サブシステム12に接続され、これらの二つのサブシステムから、劣化度に関するパラメータ及び更新された劣化度のモデルを取得して、電池の劣化度の算出を行う。その後、算出された結果がDCL記憶サブシステムへ伝送して保存される。DCL記憶サブシステムは、電池の各種のデータ及びパラメータを、対応する電池の履歴データとして記憶する。
図2は、図1に示した、電池の劣化度を取得するためのシステムに、モデルキャリブレーションサブシステム15を加えたシステムの構造を示す図である。電池の基本データを取得するために、一つの実例として、劣化度モデルキャリブレーションサブシステム15は、電池の充放電サイクル試験またはその他の方法を利用して電池のデータを取得しても良い。劣化度モデルキャリブレーションサブシステム15は、実際に測定し得た電池劣化度の数値と、採集して得られた劣化度に関するパラメータとに基づいて、電池の初期劣化度モデルを構築し或いはキャリブレーションを行って電池の劣化度モデルを更新しても良い。また、劣化度モデルキャリブレーションサブシステム15は、取得された電池のデータに基づいて、モデルを実際の状況に接近させるように、例えば、数学的な計算などの非実測によって得られた部分に対して更新及びキャリブレーションを行う。これによって、モデル算出によって得られた劣化度のデータが、より正確になる。
図3は、図1に示した、電池の劣化度を取得するためのシステムに、データ解析/応用サブシステム16を加えたシステムの構造を示す図である。データ解析/応用サブシステム16は、DCLデータ、劣化度関連パラメータ、劣化度算出結果等のデータを解析し、更に、解析の結果を外部システムに供給して使用される。
図6は、本発明に係る電池の劣化度を取得するためのシステムと、対応するサブシステムとを組み合わせた構造全体の一実施例を示すブロック図である。図6に示した実施例は、図1〜図3に示した三つの電池の劣化度を取得するためのシステムの構造に比べ、サブシステムの構成上には差異が見られる。図6に示した実施例において、電池の劣化度を取得するためのシステムと対応する応用サブシステムとは、全体として、情報交換アダプタ61と、劣化度測定装置62と、データ解析装置63と、劣化度モデル構築/更新装置64と、劣化度パラメータ履歴表(DCL)データベース65と、電池応用サブシステム66と、データ応用サブシステム67とを含んでいる。図6に示したように、情報交換アダプタ61は、電池応用サブシステム66に接続しており、電池の劣化度関連パラメータを採集及び一時的に記憶するものである。ここで、電池応用サブシステム66は、例えば、電気自動車、電動バイク、電動自転車、その他の電池応用システムなどの電池の応用可能な場合を含んでいる。
図6において、情報交換アダプタ61及び電池応用サブシステム66は、電池の劣化度ファクタのパラメータ採集サブシステムを構成することができる。このサブシステムは、1つまたは複数の電池モジュールから電池のDCLデータまたはその他の関連コントローラから関連する電池DCLデータを取得し、伝送ネットワークを介して劣化度サブシステムに供給する。また、このサブシステムは、劣化度サブシステムから得られた算出結果を、将来使用のために一時的に記憶しておく。詳細な説明については、後述する「電池劣化度モデルの構成方法及び劣化度パラメータ採集サブシステム」を参照する。
電池劣化度ファクタのパラメータ採集サブシステムとその他のデバイスとの間での伝送ラインは、電池の劣化度ファクタのパラメータ伝送ネットワークを構成することができる。伝送ネットワークは、電池のDCLデータ、劣化度関連パラメータ及び対応する時間パラメータなどの伝送を行う。劣化度モデル構築/更新手段64とDCLデータベース65は、電池劣化度モデルの構築/更新サブシステムを構成することができる。劣化度モデル構築/更新手段64は、劣化度初期モデルを構築し、更新する。劣化度初期モデルは、実験などの手段によって得られた電池データを用いて形成された劣化度算出モデルであっても良い。更に、この初期モデルと実際の電池DCLデータとに基づいて自動的に劣化度更新モデルを生成しても良い。劣化度更新モデルの生成過程は、電池DCLのデータ量の増加につれて劣化度モデルの算出精度が向上し、算出された電池劣化度のデータも、より精確になること、いわゆる劣化度モデルの更新である。劣化度モデル構築/更新手段64に関する詳細な動作過程は、後述する「電池の劣化度モデルの構築/更新サブシステム」を参照する。
劣化度測定装置62及びデータ解析装置63は、電池の劣化度の算出サブシステムを構成することができる。ここで、劣化度測定装置62は、劣化度モデルと、DCLデータベースから得られた電池のDCLデータと、電池データ採集サブシステムから直接に得られた電池のパラメータとに基づいて、具体的な劣化度データの算出を行う。具体的な劣化度データが得られた後、劣化度測定装置62は、これらのデータをパラメータとする。劣化度測定装置62は、劣化度モデル更新手段64により供給された更新劣化度モデルに基づいて対応する電池の劣化度データを算出すると共にDCLデータベースに供給して保存する。詳細な劣化度算出方法については、後述する「電池劣化度算出サブシステム」を参照する。
データ解析モジュール63は、次に述べる劣化度データ応用サブシステムにサービスを提供する。データ解析モジュール63は、DCLデータベースにおけるDCLデータと、電池劣化度に関するデータと、処理によって得られた電池の劣化度に関するパラメータと、対応する劣化度データとを用いて、例えば、電池の充電電流と対応する劣化度データとの関係などの、外部のデータ応用サブシステムに注目される電池のあるパラメータを解析し得て、これらの解析結果を、外部の劣化度データ応用システムへ供給する。図6においては、電池の劣化度に基づくデータ応用サブシステムと情報交換アダプタ61とは、伝送ネットワークを介して接続されている。データ応用サブシステムは、情報交換アダプタ61におけるデータ一時記憶メモリに一時記憶されているデータを受信して利用する。例えば、データ応用サブシステムは、データ一時記憶メモリに記憶した劣化度データに基づいて、どの方式で運転するのが最適であるか、どの方式で電池を充電するのが最適であるか等を確定する。詳細な説明については、後述する「電池劣化度に基づくデータ応用サブシステム」を参照する。
実際の応用においては、電池性能の劣化度は、複数のファクタが共同の作用によって生じた結果である。例えば、電池の充放電利用や放置などによっても電池の劣化が生じる。鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウム電池などの異なる種類の電池は、異なる劣化度の特性を持つことである。各種の電池のメカニズムを研究及び実験することによって、現在、基本的な劣化度モデルを用いて各種の電池の劣化度特性を描写することが可能となっている。しかしながら、このように、ある種類の電池に対して作成した初期劣化度モデルは、電池の劣化度特性の平均状態しか反映できない。電池個体の実際の劣化度特性に関して、上記の図5に示したように、個体間の顕著な誤差が存在する。
本発明の電池劣化度を取得するためのシステムの好ましい実施例によれば、既知または既存の電池の電池初期劣化度モデルを用い、データの予測、更新及びキャリブレーション等の技術処理によって、電池個体の劣化度特性を正確に反映できる更新劣化度モデルが自動的に生成されることが可能である。
本発明は、初期劣化度モデルの構築、更新劣化度モデルの生成、劣化度の取得及び劣化度の利用などのいくつかの部分により構成される。各部分は、対応する方法及びサブシステムを含む。本発明に係る一つの実施形態によれば、車載の電池劣化度測定装置を採用してもよい。単独な電池劣化度測定装置を採用して良い。また、ネットワーク化された電池劣化度測定システムを採用して良いし、ネットワークと測定装置を混合した測定システムを採用しても良い。
本発明に係る各部分は、対応する各サブシステムによって形成されても良い。採集サブシステムは、電池の劣化度に関する各種のパラメータの電池データを採集し、これらのデータに対して必要な各種のプレ処理を行った後、伝送ネットワークを介して、データを、電池の劣化度の算出を行うサブシステムへ伝送する。予め設定した劣化度モデルに基づいて、電池の劣化度を算出する。また、高精度の算出結果を取得するために、劣化度モデルに対して、拡充、更新、キャリブレーションの処理を採用した。上記算出によって得られた電池劣化度情報に基づいて、電池及び電池を使用するデバイスに対して、対応する操作制御を行うことや対応する情報を供給することによって、電池や電池を使用するデバイスの要求を効率よく満足させることができる。
本発明においては、標準電池パックの個数について自由に配置して良いし、一部またはすべての標準電池パックを自由に交換させても良い。本発明においては、そのような特性を有する電池パックを、自由式電池パック(FBP:Flexible Batterry Pack)と呼ばれる。自由式の電池パックを採用することにより、より効果的に電気自動車の初期購入コストを低下させることができるため、電気自動車の普及を促進することにも役立つ。自由式の電池パックと、電池レンタルの運営モードとを結合することによって、さらに電気自動車の日常の使用コストを削減することが可能である。
本発明に記載されている電池の使用形態は、例えば、電気自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、距離拡張式電動自動車などの複数の使用形態を含んでいる。また、この使用形態は、電動自転車や電動バイクの使用形態を含んでも良い。また、本発明に記載されている電池は、異なる構成形態を含んでいる。その構成形態は、例えば、電池パック(組電池を称する場合もある)に対して部分交換や拡充できない固定式の電池パックを有する以外に、電池パックに対して自由に拡充、交換、使用及び制御可能な自由式の電池パックFBPを有しても良い。また、本発明に係る電池は、非駆動用途の電池であっても良い。例えば、電力を蓄積するための蓄電バッテリであってもよい。
以下は、本発明の電池の劣化度を測定するシステムを実現するための具体的な方法及び対応するサブシステムの構成について説明する。
1、電池劣化度モデルの構成方法及び劣化度パラメータ採集サブシステム
電気自動車の電池の劣化度は、多くのファクタ同士の相互作用による結果である。電池の劣化度を正確に算出するためには、各劣化度ファクタのパラメータを記録する必要がある。電池の劣化度は、これらの劣化度のパラメータの値に基づいて確定される。これらのパラメータは、主に、電池属性のパラメータfb、電池充放電関連のパラメータfp、電池の使用環境のパラメータfe、車輌に関するパラメータfv(例えば、自動車のパラメータ、電気的レベル等)を含む。
電池の劣化度モデルを構築することは、電池の劣化度と、それぞれの劣化度パラメータとの関係を確定するためである。この関係は、数学の関係式で示されることができる。また、表やデータベースで示されることもできる。電池の初期劣化モデル及び更新劣化度モデルは、以下の式で示すことができる。即ち、
電池的劣化度モデルDs=Func(fb、fp、fe、fv) …(1)
上記の電池劣化度モデルDsにおいては、電池属性パラメータfb及び電池充放電関連のパラメータfpを考慮した以外、電池の使用環境のパラメータfe及び車輌に関するパラメータfvも考慮した。
上記のモデルは、電池の劣化度と、ある測定時刻の電池劣化度のパラメータとの関係を反映しものである。このような、ある時刻の劣化度パラメータに基づくモデルは、特定されたある電池が、ある特定のデバイスに使用される場合の劣化度状況をより良く反映できる。ただし、電池のレンタル等の使用形態については、このような、瞬間パラメータに基づくモデルは、完全な劣化度モデルを構成することができない。また、電池の実際劣化度の値を算出することもできない。従って、本発明は、現在の劣化度パラメータを採集するだけでなく、以前の劣化度パラメータを保持しているため、ある電池に対する固有の劣化度パラメータ履歴表(DCL)が形成された。DCLは、次の式(2)で表されることができる。
DCL_t
=DCL_t−1+(fb_t,fp_t,fe_t,fv_t) …(2)
従って、本発明においては、劣化度モデルは、固有DCLの関数となり、以下の式(3)で表せる。
劣化度モデル=Func(DCL_t) …(3)
電池相関パラメータは、より詳細に分けさせる場合には、電池属性、運行パラメータ、環境パラメータ、車輌パラメータ、運行モード、ユーザ情報等に詳細に分けることができる。ここで、電池属性は、電池ID(ネットワーク全体で該当電池を一義に識別するためのID)、電池ブランド、電池の型番、電池の種類、電池の品質、電池出荷日、電池出荷価額、電池の定格満充電量を含んでも良い。運行パラメータは、充電回数、電池定時採集データ、電池触発採集データ、過去の測定データを含んでよい。環境パラメータは、環境温度、環境湿度を含んで良い。車輌パラメータは、自動車メーカーID、車の車種ID、車の重量、車ID、車の電気的レベルのパラメータ(中/高/低レベル)を含んで良い。運行モードは、様々な道路状況の例(一般都市地域、渋滞都市地域、順調の都市地域、高速道路、山、平野)を含んでも良い。ユーザ情報は、ユーザID、ユーザ運転スタイルの種類(穏やかな運転、急加速が多い運転、急減速/ブレーキが多い運転)を含んで良い。ここで、以上に挙げられた各パラメータは、ただの例に過ぎず、本発明は、これに限定されるものではないことを留意すべきである。本発明は、その他のより多くのパラメータを含んで良い、採用してよい。
また、運行パラメータは、電池定時採集データ、電池触発採集データ、過去測定データを含んで良い。ここで、電池定時採集データは、例えば、採集時間、総電圧、総電流、電池温度、電池パック電圧、電池パック電流、電池パックの内部抵抗、電池パックSOH(健康状態)を含んで良いが、本発明は、これらに限定されるものではない。電池触発採集データは、例えば、採集時間、充電前のSOC(充電状態)、充電後のSOC、充電電量、充電電流、放電前のSOC、放電後のSOC、放電電量、放電電流を含んでよいが、本発明は、これらに限定されるものではない。過去測定データは、例えば、複数の過去劣化度、複数の過去劣化度に対応する時刻を含んでよいが、本発明は、これらに限定されるものではない。
以上のこれらのパラメータは、採集可能なパラメータfb、fp、fe、fvの実例である。一つ典型的なパラメータ採集システムの実例においては、以下のパラメータは、採集必要なパラメータである。
図7は、電池の劣化度ファクタのパラメータ採集サブシステム及び伝送ネットワークの一実施例を示す概略図である。図7の左側に示した電池システムは、電池管理システム(BMS)と電池とを含んでいる。なお、電池部分は、複数の電池モジュールを含んでよい。図7の中央部分は、情報交換アダプタの内部構造である。その右側部分は、伝送ネットワークである。いくつかの場合には、左側の電池システムは、BMSシステムを含んでいなくても良い。
図7において、複数回採集する必要のあるデータは、データ採集モジュールによって、電池システムから定期的にまたは触発式で取得される。電池自体の情報も、電池システムから一度読み込まれても良い。複数の電池モジュールが含まれた場合には、そのデータ採集や書き込み過程は、電池モジュール1と同様になっている。
電池システムにBMSが含まれる場合には、各BMSは、対応する電池モジュールに接続されている。或いは、電池システムの全体のBMSは、複数の電池モジュールに接続されている。BMSは、あるデータバスを介して、情報交換アダプタに必要な電池データを採集する。異なるシステムのニーズの条件下で、BMSシステムを配置することによって、どのデータが採集される必要なのかを調整し、どのデータが採集された後に変換を行い、又は、一時には必要のないデータのフィルタリングを行い、完成後に、情報交換アダプタへ伝送する。
情報交換アダプタは、データ採集モジュールと、データ一時記憶装置と、データ送信モジュールとを含んでいる。データ採集モジュールは、例えば、USB、RS232、シリアルポートまたはその他の専用データインターフェース等の特定のインターフェースを介して、BMSまたは電池モジュール自体からデータを取得して、データ一時記憶装置に記憶する。また、データ通信ネットワークによって取得されたその他のデータ、例えば、劣化度サブシステムから受信された劣化度算出結果もデータ一時記憶装置に記憶される。データ送信モジュールは、データ一時記憶装置に記憶された電池DCLデータが、データ通信ネットワークを介して劣化度サブシステムに送信される。また、データ一時記憶装置に記憶された劣化度解析データも、データ送信モジュールを介して、データ応用サブシステムへ伝送される。
図8は、図7に示した情報交換アダプタの詳細な構造を示している。図8に示したように、情報交換アダプタは、DCLデータ採集インターフェース51と、DCLデータ一時記憶装置52と、DCLデータ送信インターフェース53(簡単のために、データ送信モジュールが図示していない)とを含んでいる。DCLデータ採集インターフェース51は、電池システムに関するパラメータを受信する以外に、電池システムから取得できない他のデータ、例えば、車輌ID、車体電気的レベル等のパラメータについて、その他の相関制御ユニットからのこれらのデータを、データバスを介して取得することができる。また、記憶必要なローカル履歴データの一部、例えば、過去劣化度データ及び対応する時間については、DCLデータ採集インターフェース51は、ネットワークを介して、劣化度サブシステムから、対応するデータを読み取る。以上の過程によって取得されたデータは、全て、DCLデータ一時記憶装置52に書き込まれる。DCLデータ送信インターフェース53は、DCLデータ一時記憶装置52から得られたデータを提供するものである。
DCLデータ一時記憶装置52は、長期記憶区域と一時記憶区域との二つの論理データブロックに分けることができる。長期記憶区域は、例えば、主に「電池属性」パラメータ、「運行パラメータ」における「過去測定データ」を含む、長期的な保存必要なデータを記憶する。「電池属性」は、電池の生命周期内には変更しないので、初回の書き込み後に変更する必要がない。一方、「運行パラメータ」は、例えば、過去測定データの内容のエントリが、複数回累計して記憶区域に書き込まれる。この「運行パラメータ」は、重要な劣化度測定履歴として以後で使用される。しかし、これらのデータは、記憶容量の制限があるため一部削除される可能性がある。このことが前者とは異なっている。一般的に、このような状況は、新たな過去劣化度データエントリが書き込まれる時に生じる。記憶容量が不足であれば、新しいエントリが、ある古いエントリを入れ替える必要がある。入れ替えられるエントリは、以下のエントリを含む。即ち:
1.該当区域における記録時間最も古い過去劣化度データエントリと、
2.該当区域における「隣り合う二つのエントリ間の間隔時間が最も短い」エントリと、
3.該当区域における「隣り合う二つのエントリ間の劣化度差異が最も小さい」エントリとを含む。
上記の三種類のエントリは、それぞれ、三つの規則に対応している。具体的には、どの入れ替え規則を採用することについては、三つのうち一つを選択してよいが、三つのうち、二つ或いは三つとも採用されてもよい。
システム採集されたDCLデータについては、電池放電時の採集フォーマットは、以下の表2で示すことが可能である。
電池充電時間の採集フォーマットは、以下の表3で示すことが可能である。
DCLモジュールに伝送されたデータフォーマットは、以下の表4で示すことが可能である。
電池パラメータの採集は、一回限りの採集、定時採集及び触発採集に分けることができる。一回限りの採集の対象は、例えば、電池属性であっても良い。電池属性に含まれるパラメータは、それぞれの電池の生命周期において変化しないので、該当パラメータは、一回限りの採集で電池の内部に記録される。定時採集の対象は、例えば、運行パラメータの一部であっても良い。電池の全体の生命周期において、電池は、途切れない充電及び放電の過程が行われる。電池は、使われていない状態でも緩やかに放電するので、電池の劣化度にある程度の影響を与えることになる。このため、電池が生命周期における状態を考察するために、一定の周期で電池のあるパラメータを採集する必要がある。採集の周期はBMSによって決定されても良い。また、その他の方式で新たに設定しても良い。触発採集の対象は、例えば、広義の触発採集であっても良い。前に述べた運行パラメータの一部、例えば充電過程における関連パラメータを含んでよいし、電池が流通された後、記録必要な車のパラメータ及びユーザ情報を含んでも良い。また、電池の劣化度が測定される度に、得られた劣化度に関するデータ及び時刻も記録すべきである。
以下、電池劣化度の各種パラメータの採集方式について説明する。
現在、多くの電池には、電池の充放電を管理して電池の基本情報を記録及び保存する電池管理システムBMS(Battery Management System)を有している。このため、電池内部のBMSを用いて必要なパラメータを採集して良い。通常、自由式の電池パック(FBP)であれば、単一の電池パックのBMS以外に、FBPの複数の電池パックを管理する組電池管理システムによって情報を取得する場合もある。BMSの採集できないパラメータに対して、電池パック外に付加された情報採集装置によって採集を行ってよい。また、その他のセンサーを実装してより多くのBMSの提供できない情報を取得しても良いし、BMSを変更してもよい。各種のセンサーを用いて電池の対応するパラメータを採集しても良い。
採集必要な情報は、車輌自体のパラメータと、電気的レベルパラメータとを更に含む。これらのパラメータは、BMS或いは電池の内部センサーによって取得することができない。車輌に係るコントローラ(例えばECU)によって車輌自体のパラメータ及び電気的レベルパラメータを取得し、データバス(例えば、車上のLIN/CAN/FlexRay等)を介して本発明のシステムへ伝送して記録を行う。また、以上の方式によっても取得困難なパラメータ、例えば、ユーザ関連情報を有している。なお、本発明のパラメータ採集方法及び装置は、これに限らず、必要に応じて、その他のより有効なパラメータ記録方式、例えば、専用端末で手入力、専用ソフトで外部データを導入し、有線、無線方式で本発明のシステムへのダウンロード方式等を含んでも良い。勿論、この方式は、全てのパラメータに適用できる。
採集された原始電池DCLデータ(例えば、電圧、電流、重量等の関連パラメータ)は、そのままで劣化度モデルの構造及び更新に用いることができない。また、そのままで劣化度の算出に用いることもできない。上記の目的を達成するために、我々は、前に述べた4種類のパラメータを基に、電池の全てのDCLデータを、電池劣化度に関する四つのパラメータに換算する。その四つのパラメータは、それぞれ以下通りである。
パラメータE=func(fe)
パラメータV=func(fv)
パラメータP=func(fp)
パラメータB=func(fb)
以上に示したように、毎回採集して得た一組のDCLデータは、四つの類型に分けた後、換算を行い、該当組のDCLデータを抽象的に示すことができる四つのパラメータ:パラメータE、パラメータV、パラメータP及びパラメータBを取得することができ、四次元のパラメータ群(E、V、P、B)が構成される。四次元パラメータ群(E、V、P、B)は、例えば、電池ID、電池ブランド、電池型番、電池種類、電池品質、電池出荷日、電池出荷価額、定格満充電量、放電電流、放電電圧、電池内部抵抗、環境温度等のデータを含んでよい、これらのデータから転化されたものであっても良い。この四次元パラメータ群は、そのままで劣化度モデルの構造及び更新に用いることができる。
採集して換算されて得られた電池劣化度に関連するパラメータは、一時的に或いは永久に情報交換アダプタの内蔵式記憶装置に保存されても良い。また、情報交換アダプタ外部の専用記憶装置に保存されても良い。外部データ記憶装置は、ローカルの共通或いは専用インターフェースを介して情報交換アダプタに接続して良い。また、通信ネットワークの方式によって情報交換アダプタに接続しても良い。メモリには、全ての採集された原始データ及び換算後の四次元パラメータ群を記憶してもよいが、抽象化の四次元パラメータ群のみを記憶しても良い。
2.電池劣化度ファクタのパラメータ伝送ネットワーク
パラメータ採集サブシステムは、電池劣化度情報に関連する各種パラメータを取得し、採集されたこれらのパラメータは、電池の劣化度を算出するためのものであって、伝送ネットワークを介して、劣化度算出サブシステムのデータセンターに伝送される。パラメータの伝送ネットワークは、図7の中間部分の伝送ネットワークに示されたように、有線伝送(ツイストペアケーブル、同軸ケーブル、光ファイバ、ADSL、FTTH、電力線通信HD−PLC/PLC等)、無線伝送(2G/3G/4G、GSM(登録商標)等の各種の広域無線通信、WiFi、Bluetooth(登録商標)、UWB、RFID等の各種の近距離の無線伝送方式)等の可能な伝送方式によって実現される。
また、パラメータ伝送の接続形態は、以下に述べた複数の方式であっても良い。例えば、電池パック(組)からデータセンターへ直接伝送する方式である。電池内部に記憶されたパラメータは、電池パックの外付けの通信装置を介して無線の方式で伝送される。
また、電池充電/電池交換装置を通してデータセンターに電池採集パラメータや電池内部記憶されたパラメータが伝送されても良い。この場合には、電池充電/電池交換ステーションによって、電池に対して電池交換や充電を行う時、電池充電/電池交換装置と電池との専用整合インターフェースを介して電池記憶装置内のパラメータを読み取り、電池充電/電池交換装置とデータセンターとの通信線路を介してこれらのパラメータを伝送することになる。ある場合には、電池充電/電池交換装置は、電池にデータを伝送することも可能である。例えば、電池交換ステーションは、関連の情報を取得した後に、例えば劣化度の比例、残り価値等の電池の劣化度情報を算出し得る。その後、これらの劣化度情報及び該当情報に対応する時刻が、前に述べた三種の方式、即ち専用装置及びインターフェース、有線ネットワーク、無線ネットワークで電池に伝送される。
また、電池の充電情報は、以上の伝送方式で電池に伝送されても良い。また、電池は、直接にデータセンターとのデータ交換を行って良い。例えば、電池交換ステーション自体は、一つの動力センターである。或いはネットワーク全体において全ての電池交換ステーションは、データセンター(クラウドコンピューティング)である。
電池交換ステーションは、条件の制限によって少量のデータのみを保存しない或いはデータを保存しない場合がある。この場合には、電池交換ステーションが電池のDCLデータを取得した後に、データセンターへ伝送する必要がある。このデータ伝送方式は、前に述べた有線ネットワーク或いは無線ネットワークを利用可能である。
上記に示したように、全ての電池交換ステーションがデータセンターの功能を備え、即ちネットワークの全体がクラウドコンピューティングを実現したという特殊な場合、データセンターとデータセンターとの間で、必要に応じて自由にデータ交換を行うことができる。データ伝送方式も同様に、有線ネットワーク方式或いは無線ネットワーク方式を利用しても良い。
3.電池劣化度モデルの構築/更新サブシステム
電池の劣化度は、電池特性、使用状況、環境条件等の複数種のファクタ同士の共同作用による結果であり、劣化度は、これらの影響ファクタのパラメータとの間には非線形のある複雑な関係を呈する。統計或いは実験方法によって、劣化度とそれぞれ採集されたパラメータとの関係を作成した上、この関係を用いて電池の劣化度を確定する方法は、一つ可能な方法である。しかしながら、有限な実験データによって作成した劣化度モデルは、一部のパラメータの状況下での電池劣化度のみしか精確に反映されない、大部分のその他のパラメータについては、推定された劣化度が実際の値との間に誤差が生じてしまう。
本発明の電池劣化度モデルは、電池劣化度を算出する根拠である。電池劣化度モデルは、電池の現在の劣化度情報のみを利用するのではなく、電池劣化度情報に関する過去の履歴情報も利用される。このため、本発明の電池劣化度モデルは、電池劣化度履歴DCLパラメータに関する関数である。劣化度モデルは、電池内部、組電池内部、電池交換ステーション或いはデータセンターに記憶されても良い。
以下方式を利用して本発明における電池劣化度モデルの構築を実施する。
その一.初期劣化度モデルの構築。
電池の初期劣化度モデルは、実験あるはその他の方式によって取得されても良い。このモデルは、電池劣化度と劣化度に関する各種のパラメータとの対応関係のデータベースである。採集された劣化度に関する各パラメータの値は、劣化度データベース中から最も近い劣化度の値をサーチし得る。電気自動車の電池について、劣化度パラメータは、電池パラメータ、車の種類及車載電器デバイスのパラメータ、車走行の路面状況パラメータ、環境パラメータ等を含む。上記の記載によれば、劣化度関連のこれらのパラメータの全ては、四次元パラメータ群(E、V、P、B)に換算される。このため、初期劣化度モデルは、劣化度Dとこれらの四次元パラメータ群(E、V、P、B)と構成される表であることを見なすことができる。四次元パラメータ群における各パラメータの取り得る値の範囲及び量子化の精度によって各パラメータの個数が確定できる。仮にパラメータ(E、V、P、B)の取り値の個数は、それぞれ、m、n、k、tである場合、この表の行数Nは、m、n、k、tの積である。その同時に、表の各行は、各パラメータ(E、V、P、B)の取り値が大きさの昇順または降順に順次にソートして得られる。表5に示したのは、m、n、k、tのそれぞれが1/2/2/2の数値である時の初期劣化度モデルの構成である。初期劣化度モデルは、急速充放電サイクル、その他の測定データ等によって生成される。
電池劣化度の影響ファクタが多く存在し、複数種類のファクタ同士の相互作用による結果は、電池の劣化度の値と初期モデルの劣化度の値との間に誤差を生じさせしてしまう。特に、初期モデルは、電池レンタルの応用方式の場合には、実際の劣化度の値との間の誤差が更に拡大される可能性がある。この誤差を低下させて逐次に削除するため、本発明の電池劣化度モデルは、初期劣化度モデルを基に拡充することによって、異なる劣化度パラメータの組合せに対応する新たな劣化度が生成される。これは、初期劣化度モデルの劣化度の値によって、新たな拡充劣化度モデルの劣化度の値を生成するデータ生成方法である。最も簡単なモデルの劣化度の値を拡充する方法としては、線形のデータ補間を採用した方法である。ここで、本発明は、これに限らず、非線形の補間方法或その他の方法を採用して新たな拡充劣化度モデルの劣化度の値を生成しても良い。データ生成の方法は、固定したものであっても良いが、条件の変化によって変化しても良い。劣化度パラメータ採集システムから伝送してきたデータが多いほど、劣化度のデータベースも大きくなる。データベースが大きすぎるのを避けるため、全ての劣化度パラメータに対して一つの量子化精度を設定して、拡張劣化度データベースの規模が確定される。劣化度モデルを作成する時、あるメーカーのある種類の電池を対象としても良いが、確定された一つの電池を対象として良い。確定された一つの電池を対象として作成された劣化度モデルは、電池の個体の差異によって生じた劣化度測定誤差を、有効に削除することができる。以下の表6は、線形のデータ挿入によって得られた新たな劣化度表項目が示されている。
その二.劣化度モデルの更新
初期劣化度モデルの構造を説明した後、実際の採集及び変換によって得られた劣化度パラメータに基づいてモデルに対して更新を行う必要がある。新たな劣化度データの四次元パラメータ群は、以下の通りである:
(el_m_2,vl_i_2,pl_j_2,bl_k_2)
本発明において、直接観察できるために、一つのパラメータVは、V1とV2との間に位置した場合、v1_i_2を用いて表すことができる。ここで、iは、その値がvlとv2との間の位置にあることを表し(例えば、V1_25_2は、この値がvlとv2との間の、vlより25%大きい位置にあることを表し)、その他の列にあるパラメータについても同様となっている。現在のこの表の構成方法によれば、新たな行データ項目を確定する前に、それに関連する二つの既存の行データ項目を確定する必要がある。この二つの関連行データ項目の確定根拠は、既存データ項目と新しいデータ項目との全ての対応パラメータが等しいまたは隣り合うという条件を満たす必要がある。その次に、初期モデルから、該当四次元パラメータ群と対応する関連表項目とを探す必要がある。表6に示したように、新たなパラメータ群によれば、初期モデル中の関連表項目が(el、v1、p1、b1)、(e2、v2、p2、b2)であることを明らかに分かる。初期表項目において、全てのパラメータの取り値の範囲内の全ての組合せが覆われている。そのため、dx、dyの値が得られることができる。また、表6において、dx、dz、dyとの間、それぞれ若干個数の表項目を有している。この時、以下のモデル更新式でdzを算出することができる。
以上の式において、W(e)、W(b)、W(v)、W(p)は、それぞれ、モデルにおける四つのパラメータ列が劣化度算出の際の重みを示している。これは、四種類のパラメータが電池劣化度への影響効果と理解されることもできる。以上の式によれば、新たなパラメータ群に対応する劣化度データdzが得られる。その後、前に述べたソート規則に基づいて、各列の前後の順位に従って、データ表に新たな表項目を挿入する。
ある特定の場合には、E列及びB列は、有限でありいくつかの取り値範囲を有し、言い換えれば、E列及びB列の取り値は、離散データを用いて表す。V列及びP列は、初期行データにおいて有限であるいくつかの取り値範囲を有しているが、実際のデータは、二つの有限な取り値の間に位置する中間値の可能性がある。即ち、V列及びP列の取り値は、連続のデータを用いて表す。
以下、表項目を更新する生成過程を詳細に説明する。
一方、特定の表項目をサーチする時、一つの近似結果を提供することができる。即ち、一つの特定パラメータ組合せに対応する劣化度の数値をサーチする時、サーチする必要がある一組のデータは、表中に既存の特定の表項目のパラメータと照合して一定の類似度に達した場合、この特定の表項目の単位時間劣化度を直接に採用しても良い。そうでなければ、前記の方法を繰り返し、初期の表項目によって算出を行う。
他方、表内の全てのデータ項目が四つのパラメータ列(E/V/P/B)に従ってソートされたものであることを考慮することができる。即ち、表5において、最初にE列に従ってE列値が等しい表項目が隣り合うようにソートする。次に、E列値が等しい表項目において、V列に従ってソートする。そして、P/B列のソートについても順次に類推してソートされる。各新たな劣化度表項目が得られた後、上記のようなソート規則に従って、表に適切な行を挿入する必要がある。将来の算出の際に、挿入された行は、初期の初期劣化度の表項目と同じな機能を有することになる。以下の表7及び表8は、初期表項目に表項目データを更新して挿入する前後の変化を例として説明する。
仮に、挿入必要な劣化度表項目は、E1/B2/P1_23_2/V2_43_3とする。表7の二つの行データ項目は、新たな表項目に関連する表項目である。挿入後の部分表は、以下の表8に示されている。
以上の表から、新たな表項目が挿入された後に、前に述べたソート規則に従って新たな表項目が、将来算出を行う際の参照データとして、表中の対応する位置に挿入されたことが分かる。
また、現在のリチウム電池の生産現状を鑑みて、たとえ同様なメーカー、同様な類型或いは同様なロットに生産された電池にしても、その電池個体間の差が大きい。電池種類を示すB列に対して、さらなる処理が行われても良い。例えば、データ採集の過程において、ある具体的な電池IDが採集伝送され、そのデータを劣化度表に記憶させる際、電池IDも表に書き込まれる。即ち、一つ同様な表において、各電池個体に対しては、実際に、一つの単独の表が存在している。勿論、単独の表として分けて記憶して良いが、継続的に、上記の方式で全ての電池個体に対応するデータを一つの大きい表に記憶しても良い。この場合には、表のデータを初期化する時、依然として、上記の方法で新たな表項目を挿入し、モデルを算出して更新することができる。ただし、データ量がだんだん増大する場合、サーチ必要な電池個体は、データベースにおいて十分なデータ量がある時、表における劣化度パラメータを三つ(E/P/V)に減少させて良い。その処理方法は、上記に述べたものと同じである。
新たな表項目の挿入方法、位置及び関連表項目の選定を述べた後、以下、表8におけるDzの算出を説明する。Dzに対応する四つのパラメータは、それぞれ、El/B2/Plj2/V2k3である。jとkのそれぞれは、Pパラメータ及びVパラメータと、隣り合う行における対応するパラメータとの差(パーセンテージで示す)を示し、前に取得された二つの関連表項目の劣化度データに基づいて新たなD列を算出する。即ち、これら四つの値に対応する単位時間の劣化度が算出される。V1〜V2、P2〜P3は、D列への影響が線形の変化に近似するとする。このように、V列及びP列に対して二つの重み値W(v)及びW(p)を確定することができる。このように、D列の関連値は、以下の式(4)で算出されることができる。
このような算出によって、初期表項目及び測定された特性パラメータによって単位時間の劣化度が取得される。このように、モデルは、新たに加えた表項目で更新される。
以下、電池劣化度モデルのキャリブレーション及び更新を説明する。DCLデータ及び以上のアルゴンリズムを用いて劣化度モデルへの更新過程において、新たに加えたデータ項目は、一つの数学アルゴンリズムに基づいて算出し得られたため、劣化度の値の推定誤差が生じる可能性がある。更に、誤差が更に累積及び伝達される可能性もあるので、劣化度モデルの誤差がさらなる拡大することを招いてしまう。この課題に対して、本発明は、誤差のキャリブレーション及び更新の方法を提案した。本発明によれば、一定の方式に従って、ある電池をキャリブレーションサンプルとして選出し、特定の条件下で、電池への急速充放電試験或その他の方法でこの電池の精確な劣化度が得られる。この電池の精確な劣化度の値及び対応する劣化度履歴情報を劣化度モデルに入力してから、モデルにおける劣化度及全てのそれによって派生して得た劣化度の値に対してキャリブレーション及び更新を行い、劣化度モデルの精度を、途切れない構築及び使用の過程において逐次に向上させていく。以下の表9は、新たに挿入したデータ項目を示している。
表9において、そのdz値は、その他の表項目D列値によって算出されたものであり、一定誤差を有する場合もある。キャリブレーションを行う時、e1_m_2、v1_i_2、p1_j_2及びbl_k_2と整合する測定条件を採用して電池への急速充放電サイクル試験を行いことによって電池の真実な劣化度データdが得られ、その後、d値を用いて表におけるdz値のキャリブレーションを行う。ここで、異なるキャリブレーションの方法を採用しても良い。その一:d値を用いて表6におけるdz値を置き換えることである。その二:dzとdとの間のある値を採用することである。この行がキャリブレーションされた後、この行が算出の根拠としたその他の行に対しても、キャリブレーションを行って良い。そのキャリブレーションの方法として、上記に述べたモデル更新式を用いて繰り返し算出を行っても良い。
4.電池劣化度算出サブシステム
以下、電池劣化度算出サブシステムについて説明する。通常、電池交換時に係る費用を精確に判断するために、電池が流通になる時に電池の劣化度算出過程が行われる。このとき、電池のDCLデータに基づいて、最初に劣化度モデルの更新が行われる。その後、電池の劣化度のデータを算出し、次に、DCLデータ、電池の劣化度データがDCLデータベースに伝送され、データ解析システムを介して情報交換アダプタへ伝送される。劣化度データが情報交換アダプタにも伝送されるのは、ある特殊の場合、例えば、ある原因でデータセンターのデータベースに接続できない場合に電池劣化度の算出を行う時、行き来の劣化度データを利用しても良いし、また、データ応用サブシステムが、情報交換アダプタから関連情報を取得する必要もある。
通常、電池交換ステーションは、データセンターとのデータ接続を行うことができない場合、先ず、劣化度モデルを更新し、その後、劣化度データを算出し、そして、データセンターに伝送すべきの全てのデータを電池交換ステーションのローカルに記憶して、劣化度データが電池に伝送され、将来データ接続できる時、関連するデータがデータセンターにアップロードされるようにしてもよい。また、電池交換ステーションがデータの算出及び保存できない場合、一つの特定の装置を介して情報交換アダプタと連通してから、その中に一時記憶されたデータを取得してその劣化度データを算出するようにしてもよい。ここで述べた特定の装置は、電池交換ステーションがユーザにサービスを提供できない(例えば、電池交換ステーションの算出/記憶装置が使用できない時)場合、臨時に採用されたデバイスである。このデバイスは、手持ち型のデバイス或いは固定型のデバイスであっても良い。このデバイスは、その他のデバイスと併用できるインタフェースを用いて情報交換アダプタに接続してデータを取得すると共に、取得されたDCLデータ及び行き来の劣化度データに基づいて基本的な劣化度の算出が行われる。なお、このデバイスは、少なくとも初期モデルデータを記憶しているこそは、基本的な劣化度算出が行うことが可能となる。
上記の場合には、DCLデータ及び劣化度データが特定の装置に記憶されても良い。電池交換ステーションの条件許可時、これらのデータが電池交換ステーションにアップロードされると共に、データセンターにも伝送される。また、上記の場合には、DCLデータ及び劣化度データが電池の記憶システムに記憶されても良い。電池交換ステーションの条件許可時に、有線ネットワーク、無線ネットワークを介し、或いは直接に特定のインターフェースで連通する方式で以上のデータを電池交換ステーションにアップロードする。
データベース方式の劣化度算出モデルに基づいて、劣化度を便宜に算出することができる。DCL採集モジュールの採集されたデータに基づいて処理を行った後、以下の表10が得られる。表10は、劣化度の累計データを示している。
上記の表10は、各種の劣化度パラメータ群及びその対応する持続時間。以下の式(5)によって、簡単に前回の劣化度測定後の劣化度程度を算出することができる。
Tl*D1+T2*D2+・・・+Tn*Dn …(5)
式(5)を使用して算出された劣化度に、前回記憶された劣化度を加算してこの電池の現在の劣化度程度が得られる。
図15は、本発明に係る劣化度算出モジュールの動作フローを示している。図15に示したように、先ず、DCLデータを取得し、取得されたDCLデータをデータベースに記録して記憶しておく。他方、取得されたDCLデータに基づいて電池の劣化度モデルの更新を行う。その後、DCLデータベースに記憶されたDCLデータ及び更新された劣化度モデルに基づいて電池の劣化度を推定する。
5.電池劣化度に基づくデータ応用サブシステム
既存の電池劣化度に基づく電池管理応用システムにおいて、電池の劣化度測定の精度が高くないため、電池劣化度情報の利用が、電池まだ使用できるかや大方の残量推定するに限られている。本発明の電池劣化度を測定するシステムにおいて、電池劣化度の履歴情報DCLが記憶されていると共に、高精度の電池劣化度情報が取得できるため、本発明は、更に電池の使用効率を改善する方法として提供できる。
図9は、本発明に係る、電池の劣化度を測定するシステムのデータ応用サブシステムの模式図を示している。図9に示したように、図9の情報交換アダプタ91は、伝送ネットワーク92を介して電池劣化度子システム93に接続している。
本発明の電池劣化度を測定する応用システム94は、図9に示すように、電気自動車、ハイブリッド車、電動バイク、電動自転車等の各種の電動車輌及び充電ステーション、電池交換ステーション、家庭充電システム等の各種の劣化度測定場合及びその他の応用場合に応用されている。上記の応用環境下で、本システムが採集したDCLデータ及び算出された電池劣化度データは、各種の新型応用が生じることが可能である。例えば、本システムに算出された電池劣化度データに基づいて電池の残り価値が精確に算出されることができる。電池の残り価値は、以下の式(6)によって簡単に算出されることができる。
電池の残り価値=電池の出荷価額*電池の劣化度 …(6)
電池の残り価値によれば、電池が、レンタル、譲り渡し、回収等の各種応用時の対応価額が確定できる。例えば、電池のレンタル取引が発生の場合、ユーザが一定の費用、例えば、保証金を支払う必要がある。保証金の高さは、ユーザがレンタルしようとする電池の残り価値によって決定される。電池交換が発生した時、ユーザが二つの電池間の価額の差を支払う必要がある。支払う費用は、以下の式(7)で示している。
支払い費用
=(交換入れの電池残り価値−交換出しの電池残り価値)+(交換入れ電池の残り電気容量*電力価額−交換出し電池の残り電気容量*電力価額) …(7)
ここで、交換入れ電池の残り価値、交換出し電池の残り価値と共に、電池劣化度に基づいて算出されたものである。また、電池の回収を行う時も、電池劣化度に基づいて電池の残り価値を算出する必要がある。
本発明の電池劣化度を測定する方法及びシステムによって算出及び採集されたDCLデータ及劣化度は、電池の使用者に価値のある情報サービスを提供することができる。データベースに記憶されたDCLデータ及び対応する劣化度データに基づいて、DCLにおけるある一つ或いはいくつかのパラメータと劣化度との関係を判断できる。これによって、対応する制御或いは操作で電池の劣化速度を減少させることができる。
例えば、無線ネットワーク或いは有線ネットワークの方式によって、以上で得られた結果を、ある種のデータフォーマットで電気自動車或いはハイブリッド車のデータ受信システムに送信し、車載の電池制御システムは、車の電池が最も良い動作状態にあるように、各電池のDCL及劣化度に基づいて、運転過程において車載の電池管理システムによって各電池に対して充放電制御及電池接続方式を含む制御を行う。
また、本発明の電池劣化度を測定する方法及びシステムは、システム採集及び算出によって大量の電池劣化度ファクタのデータ、例えば、異なる環境下(温度、湿度)での電池劣化度と電池種類との関係等を取得することができる。これらのデータを解析することによって電池劣化度のメカニズムを更に深く解析及び理解することができる。
また、本発明の電池劣化度を測定の方法及びシステムによって算出及び採集されたデータは、電池の充電過程(例えば、充電ステーション充電、家庭充電等)のために参照情報を提供することができると共に、対応する制御も行える。例えば、充電時間が最も短いこと、充電の電力消費が最も小さいこと、電池に与えた劣化度の損耗が最も小さいこと等の異なる充電方式の目標要求に基づいて、自己適応的に最適な充電過程のパラメータ、例えば、充電電圧、充電電流、充電の動的方式、充電停止条件を設定することができる。各種の充電方式下での最適な充電過程パラメータは、理論や実験の方法で取得することができる。例えば、充電ステーションが最も良い充電条件を選択するように、各種の異なる充電電流条件が電池劣化度への影響を算出及び解析することができる。また、充電ステーションが最も良い方式を選択するように、充電後の異なるSOC(State of Charge,即ち充電飽和程度)状態が電池劣化度への影響を算出及び解析することができる。
本発明の電池劣化度を測定するシステムの運行過程の全体において、取得できるデータは、電池のDCLデータ、劣化度に関するパラメータ、電池劣化度データ及び単位時間劣化度対照を含む。これらのデータに基づいて、各種方式で更なるデータ応用を提供できる。これらの応用は、図9の左側に示したように、以下のいくつかの具体的なシーンを含むことが可能である。ただし、本発明はこれに限るものではない。
1)充電:過去DCLデータへの解析によって充電電流、充電市場及び充電深さと電池劣化速度との関係が得られる。解析によって最適な充電方式が得られた後、このデータを電池充電ステーションの充電制御システムに提供する。充電ステーションは、可能な限り、最適(或いは二番目良い)の充電方式で充電を行い、最大限に電池の劣化の速度を緩める。また、いくかの場合には充電速度が要求されると、DCL履歴データベースにおける急速充電を前提とした上で、どの充電方式が比較的によいかを解析してもよい。例えば、急速の充電時の充電深さが電池劣化度への影響を比較し、同様にその結果を充電ステーションの制御システムに送信する。
2)電池の交換:一つの典型的なシステムにおいて、本発明のシステムが算出された電池劣化度データは、電池の残り価値を算出に用いられる。
電池レンタルの取引が発生した時、ユーザが一定の費用、例えば、保証金を支払う必要がある。保証金の高さは、ユーザがレンタルしようとする電池の残り価値によって決定される。
電池交換が発生した時、ユーザが支払い必要な、二つの電池ブロック間の価額の差が上記の式(7)で示される。ここで、交換入れ電池の残り価値、交換出し電池の残り価値と共に電池劣化度の算出によって得られたものである。上記の式(6)は、電池の残り価値算出式を示している。
電池リサイクルが発生した時、電池劣化度に基づいて電池の残り価値を算出する必要がある。
3)車制御:図9に示したように、無線、有線または専門デバイスの通信方式で、DCLに対する解析の結果は、電池の使用者、例えば、電気自動車の使用者に伝送されても良い。これらのデータから、異なる運転方式が電池劣化度への影響、例えば車速、加速度、減速度等形式の状態が電池劣化度への具体な影響が、比較的に容易に得られることができる。従って、車の使用者に車を電池の最適状態になるように運転させ、電池の劣化速度を大幅に低下させることが可能である。
また、その他の場合に、例えば、常用車速、加速減速の高さ等のある人の運転スタイルを解析して得られることができる。その同時に、DCLデータの解析によって、どの種類の電池(例えば、どのメーカーの電池)がこの運転方式下で最適性能或いは最も低い損耗が取得できることをサーチすることができる。これらのデータは、電池交換ステーションにとって非常に有用である。
図10は、本発明に係る電池劣化度モデルの生成及び更新過程の実施例の模式図を示している。図10に示したように、一つの典型実例において、A電池のユーザは、該当電池のDCLをBSC(電池応用管理センター)に伝送させる。BSCは、先ず、該当電池のDCLデータをデータベースに記録しておく。同時に、DCLデータを用いて電池の初期劣化度モデルの更新が行われる。一方、データベースからA電池に対応する特定の劣化度モデルをサーチする。A電池に対応する特定の劣化度モデルがあれば、現在入力されたA電池のDCLの新データに基づいて、該当特定の劣化度モデルに対して更新を行う。そうでなければ、更新後の初期劣化度モデル及び現在の新データに基づいて特定の劣化度モデルを生成する。
電池劣化度モデルの生成及び更新の過程において、電池の劣化度パラメータ履歴表データが電池応用管理センターに伝送される。電池応用管理センターは、劣化度パラメータ履歴表データをデータベースに記録させ、劣化度パラメータ履歴表データを用いて電池の劣化度モデルの更新を行う。データベースから、電池に対応する劣化度モデルデータ項目をサーチし、電池に対応する劣化度モデルデータ項目が存在していなければ、電池劣化度に関するパラメータ及び新たに算出された劣化度の数値に基づいて電池劣化度モデルを更新し、対応するデータ項目が生成される。
劣化度モデルの劣化度関連パラメータと採集された電池の劣化度関連パラメータとの差が所定値より大きい時、拡張劣化度モデルの新たなデータ項目が生成される。なお、劣化度モデルの精度要求に基づいて所定値の大きさを設定して良い。
図11は、電池劣化度モデルを用いて電池残量値を算出する過程の模式図を示している。図12は、電池残量値推定モジュールの模式図を示している。図11に示したように、電池残量値を算出する過程において、先ず、A電池のDCLデータがデータセンター或いは電池交換ステーションにアップロードされる。データセンター或いは電池交換ステーションは、取得されたDCLデータに基づいてA電池の劣化度モデルの更新を行う。その後、更新された電池劣化度モデル及びDCLデータを用いてA電池の残量値を算出する。
図12に示した電池残量値推定モジュールは、劣化度モデル更新モジュール121と、DCLデータベース122と、劣化度算出モジュール123とを含む。図12に示した電池残量値推定モジュールは、図11に示した残量値算出過程を実行する。先ず、劣化度モデル更新モジュール121は、アップロードされたA電池のDCLデータを用いて電池の劣化度モデルの更新を行うと共に、DCLデータをDCLデータベース122に記録させる。その後、劣化度算出モジュール123は、更新された電池劣化度モデル及びDCLデータを用いてA電池の残量値を算出する。
以下、本発明に基づく電池劣化度を取得するためのシステムの運営システムの一実施例を説明する。BSCは、電池DCLデータに対して保存、情報処理や情報利用を行う。電池のユーザは、一定の会費を支払った後、BSCから電池のレンタル、電池の交換、電池の拡充または縮減する権利を取得した。電池のレンタル、交換、電池の拡充或縮減の過程において、ユーザの支払う費用は、BSCが劣化度モデル及び劣化度関連パラメータに基づいて算出された電池の残り価値に依存する。初回のレンタル時、BSCは、該当電池の残り価値を記録しておく。電池の交換時、BSCは、二つの電池ブロックの残り価値及び残り電気容量を算出し、一定の費用比率に基づいてユーザが支払うべきの費用を算出する。
この実例において、残り価値の算出は、ある場合には精確ではない可能性がある。例えば、データベース中のデータ量が少なすぎ、或いはデータベース中の該当電池に対応するデータ量が少なすぎる場合である。このとき、一定の補償措置を講じたら良い。例えば、一つの経験モデルが提案されている。この経験のモデルは、平均の状況下で、あるパラメータが一定の量を変化した場合(例えば、一定時間を経過した後)の電池の劣化度の程度を表すことができる。次に、測定された劣化度と前回測定された劣化度との差が得られる。前に得られた平均劣化度程度と後の劣化度との差を比較し、重み付き平均値を取ることで費用を算出する。この方法は、総データ量及び該当電池に対応するデータ量の増大につれてその作用を逐次に減少し、最終的に廃止されることになる。言い換えれば、この方法は、データ初期段階の補償方法としても良い。また、その他の補償方法は、一つの電池が十分多い回数の交換を経た後、この電池については、データベースにはますます多くのDCL記録及び劣化度測定記録が存在することになり、この過程の更なる発展によって該当電池に対する劣化度測定がますます精確になる。BSCは、大量の精確なデータに基づいて該当電池の過去の劣化度に対して逆推定することができるので、逆推定によって得られた結果と当時に得られた過去劣化度との比較を行い、この比較結果を当時の過去ユーザに対して補償を行う根拠とする。この場合、ユーザは、自分の電池使用過程での全ての補償記録を便利に調べることができ、継続的に該当記録を保存することや補償値を取得すること等のその他の手段によって補償記録を削除することも選択できる。
一実施方式において、BSCが分布式システムであっても良い。各ステーションが異なるデータを持つと共に同様な算出能力を持つことになっている。一般に、全てのステーションがインタネットに接続されているとする。劣化度を算出する時、データ量が大きければ大きいほど、得られた結果の精確度が高くなる。しかしながら、一つのステーションがインタネットに接続できない或いはその他のステーションからデータを得られない場合には、電池のローカルデータが不足であるので、比較的に精確なデータを生成できない。このとき、前に述べた補償措置を採用しても良い。
更により極端な場合を考慮すると、本発明は、更にもう一つの実施例を提供する。ユーザが現在位置しているBSCステーションにおいて、ある原因で電池劣化度データベースをアクセスできない時或いは劣化度算出モジュールを用いて劣化度の算出ができない時、正確さのない劣化度算出結果さえ得ることができなく、電池の交換等の活動ができない状態になることが受けられない。これによって、電池のBMSに、電池前回の劣化度測定結果、初期モデル、更新モデル及び過去有限な回数にアップロードされたDCLデータ(採集された電池データ、及び電池劣化度に関するデータ及び電池劣化度に関するパラメータを含んでいる)を保存するための一つの記憶区域が予め残されておくべきである。そのデータ量は、記憶空間によって決定すればよい。上記の状況が生じた時、電池は、その内部の有限な履歴データ、初期モデル及び更新モデルに基づいて、一つの概略な劣化度結果を電池交換の根拠として得る必要がある。BSCは、この結果を記録し、システムが正常に動作できる時に、このステーションの記録をデータベースに導入させるべきである。その同時に、この回の測定結果の精確性がないため、前に述べた補償方式で補償を行う必要がある。
国家標準の規定によれば、電池の満充電比率が80%に低下された時、電池として継続使用できないことになっている。BSCは、電池交換を行った度に、回収された電池のうち、満充電比率が80%以下の電池を回収し、蓄電池、小型電動車(電動バイク、電動自転車)等のエネルギーの蓄積方式として扱われることができる。エネルギー蓄積用電池に対しても、同様に、各電池の状態を検出する必要がある。電池は、その電池劣化度がある値に達した時、廃棄処分処理を行うべきである。そうでなければ、その他のエネルギー蓄積電池の寿命に影響を与えてしまう。従って、本発明の劣化度測定方法は、同様にエネルギー蓄積電池の状態検出にも適用できる。
図13は、本発明に係る電池劣化度を取得するためのシステムが運営する運営システムのモジュール模式図を示している。図13に示したように、DCLモジュール131は、電池使用箇所、例えば電気自動車から電池劣化度に関するパラメータを採集し、採集されたパラメータを電池情報データベース132に記憶させておく。電池残量値推定モジュール133は、電池劣化度モデル及び採集された電池パラメータに基づいて電池の残量値を算出すると共に、残量値を情報提供モジュール135に提供する。情報提供モジュール135は、電池に関する情報を電気自動車のBMSに供給して、BMSがDCL情報に基づいて車の運転及び/またはその他の操作/コントロール方式を制御及び調整する。一方、電池情報利用者134は、情報提供モジュール135から供給された電池を用いて電池供給や電池再利用の運営方式を確定することができる。
その他の実施例において、DCLの情報利用を述べる。多くのDCL情報と、これらの情報及び初期劣化度モデルに基づいて劣化度モデルを更新することによって得られた電池劣化度指標とによって、電池劣化速度と電池メーカー、電池種類、運転スタイル、運転路面状況、毎回の充電時間、毎回の充電平均電流等の重要なパラメータとの関係を比較的に容易に得ることができる。これらのデータは、商業価値を有する情報として商業稼動できる。
その他の実施例において、DCLは、例えば電池ID、電池の出荷日等の固定の一回限りの情報を含み、複数回定期採集、記録或いは複数回触発採集記録されたデータも含んでいる。ここで、複数回定期採集されたデータは、採集時間、総電圧、総電流、電池温度、電池パック電圧、電池パック電流、電池パック内部抵抗、電池パックSOHを含む。複数回触発採集されたデータは、充電前SOH、充電後SOH、充電電量、充電電流、放電前SOH、放電後SOH、放電電量、放電電流のうちの一組或いは複数の組を含む。
図14は、DCLモジュールの動作フローを示している。ステップS141に、DCL採集装置は、採集電池劣化度に関するパラメータを採集し、その後、ステップS142において、採集されたパラメータを記録し、ステップS143において、採集されたパラメータをパラメータ採集サブシステムの一時記憶装置に一時記憶する。そして、ステップS144において、BSCは、データセンターに接続しているか否かを判断する。BSCがデータセンターに接続している場合、ステップS145において採集されたDCLデータをアップロードする。ステップS144において、BSCがデータセンターに接続していないことを判断した場合、ステップS141に戻ってDCLデータを継続採集する。
以上のデータにおいて、複数回定期採集のデータは、予め設定された周期に基づいて電池の生命周期において定時採集された、いくつかの電池パラメータを示している。これらのパラメータは、主に、電池劣化度程度と時間変化との関係を評価するに用いられる。
複数回触発採集されたデータは、予め設定されない、あるイベントが発生した(例えば、充電)時、触発採集行為によって採集されたデータである。この行為で採集されたデータは、主に、特定のイベント(例えば充放電、フィットバック制動)が電池劣化度への影響を評価するのに用いられる。
上述は、電池劣化度ファクタのパラメータ採集サブシステム、電池劣化度モデルの構築/更新サブシステム、電池劣化度の算出サブシステム、電池劣化度に関するパラメータDCL記憶サブシステムの方式で本発明を説明したが、本発明は、対応するサブシステムを入れ替えて、同様な装置を用いた場合でも、実質な変化がいないと理解すべきである。
ここまでは、好ましい実施例で本発明に対して説明を行った。当業者であれば、本発明では、本発明の精神及び範囲を逸脱していない場合、その他の様々な変更、置換及び追加することができることを理解すべきである。従って、本発明の範囲は、上記の特定の実施例に限定されないことを理解すべきであり、添付した特許請求の範囲に限定すべきである。