JP2014008785A - 四輪駆動車両のトルク伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成で、かつ複雑な電子制御や手動操作などを行うことなく、車両の走行状態に応じて副駆動輪への適切なトルク伝達が可能となる四輪駆動車両のトルク伝達装置を提供する。
【解決手段】
ビスカスカップリング(10)は、各々が独立してトルク伝達可能な第1トルク伝達部(30)及び第2トルク伝達部(40)と、第2トルク伝達部(40)によるトルク伝達の有無を切り替える切替機構(50)とを備え、切替機構(50)は、インプットシャフト(7)と一体に回転すると共に車両の加速度又は走行勾配によって生じる慣性力にて移動可能なスリーブ(慣性部材)(52)を有する。車両の加速度又は走行勾配に応じてスリーブ(52)が移動すると、ドグクラッチ部(55)の係合・非係合が切り替わることで、ビスカスカップリング(10)の伝達トルク特性が自動的に変化するように構成した。
【選択図】図2

Description

本発明は、四輪駆動車両における駆動源と副駆動輪との間に設置するビスカスカップリングなどのトルク伝達装置に関する。
従来、駆動源からの駆動力を主駆動輪及び副駆動輪に伝達する四輪駆動車両では、駆動源と副駆動輪との間のプロペラシャフト上に配置したビスカスカップリング(VC)などのトルク伝達装置を備えるものがある。
このような四輪駆動車両では、主駆動輪と副駆動輪の車輪速差がプロペラシャフト上のビスカスカップリングに対する入力差回転数となり、四輪駆動トルク(4WDトルク)を出力する構造である。すなわち、例えば、車両のフロント側にエンジン及びトランスミッションを配置し、前輪を主駆動輪とし後輪を副駆動輪とする前輪駆動車(FF車)では、車両が低摩擦抵抗(低μ)路面を走行中にドライバーがアクセルペダルを踏み込んだ場合、まず、前輪に駆動トルクが伝達される。そして、前輪が路面のグリップ限界を超えて空転するとビスカスカップリングに差回転が入力されて後輪に駆動トルクが伝達される。
上記のような四輪駆動車両では、通常走行時には、主駆動輪と副駆動輪の回転差によりビスカスカップリングに差回転が入力され続ける四輪駆動(4WD)状態である。しかしながら、車両の走行状態に関わらずこのような四輪駆動状態が継続すると、駆動伝達系における各部の損失や走行抵抗の増大による車両の燃費(燃料消費率)の悪化を招く一因となる。また、転舵旋回など前後輪差で発生する4WDタイトターンブレーキング現象が顕著に出るため、車両の走行性能(走行商品性)の悪化も招くおそれがある。さらには、低摩擦抵抗の路面でのABS(Anti-lock Braking System)作動時のカスケードロックを誘発することでも知られている。
そこで、上記の各種問題に対する従来の手法として、車両の走行状態に応じてトルク伝達装置による副駆動輪へのトルク伝達量を可変する機構が採用されている。このような機構として、電気的にクラッチのオンオフ制御を行うもの(特許文献1)や、手動で異なるトルク特性のビスカスカップリングの切替を行うもの(特許文献2)や、ワンウェイクラッチで異なるトルク特性のビスカスカップリングの切替を行うもの(特許文献3)がある。
しかしながら、特許文献1乃至3に記載の従来技術は、対応する制御回路を備えた電子制御ユニット(ECU)や、操作用のレバーなどの付帯物が必要となることで、車両の構造の複雑化や部品点数の増加、制御処理の煩雑化につながる。そのため、車両のコスト・重量・サイズ増を招くという問題がある。また、車速が所定以上の高速域では、ビスカスカップリングなどのトルク伝達装置による副駆動輪へのトルク伝達の必要性が減少するところ、電子制御により副駆動輪へのトルク伝達量を可変するもの以外は、高速域での伝達トルクを適切に低減することができない、という問題もある。
特開2009−144779号公報 特開平3−20125号公報 実開平4−4537号公報
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品点数を少なく抑えた簡単な構成で、かつ電子制御や手動操作などを行うことなく、車両の走行状態に応じた副駆動輪への適切なトルク伝達が可能となる四輪駆動車両のトルク伝達装置を提供することにある。
本発明にかかる四輪駆動車両のトルク伝達装置は、駆動源(3)からの駆動力を主駆動輪(W1,W2)及び副駆動輪(W3,W4)に伝達する駆動力伝達経路(20)における駆動源(3)と副駆動輪(W3,W4)との間に配置されたトルク伝達装置であって、駆動源(3)と副駆動輪(W3,W4)との間に設けた回転軸(7)と、回転軸(7)上で駆動源(3)側に接続された第1回転部材(11)と、回転軸(7)上で副駆動輪(W3,W4)側に接続された第2回転部材(12)と、各々が独立してトルク伝達可能な第1トルク伝達部(30)及び第2トルク伝達部(40)を含む複数のトルク伝達部と、第2トルク伝達部(40)によるトルク伝達の有無を切り替える切替機構(50)と、を有し、切替機構(50)は、第1回転部材(11)又は第2回転部材(12)のいずれかと一体に回転すると共に、車両の加速度又は走行路の勾配に応じて生じる慣性力により回転軸(7)の軸方向に沿って移動可能な慣性部材(52)を含み、車両の加速度又は走行勾配に応じて慣性部材(52)が移動することで、第1トルク伝達部(30)のみでトルク伝達を行う状態と、第1トルク伝達部(30)と第2トルク伝達部(40)の両方でトルク伝達を行う状態とが切り替わるように構成したことを特徴とする。
本発明にかかる四輪駆動車両のトルク伝達装置によれば、車両の加速度又は走行路の勾配に応じて生じる慣性力によって慣性部材が移動することで、第1トルク伝達部と第2トルク伝達部のうち第1トルク伝達部のみでトルク伝達を行う状態と、第1トルク伝達部と第2トルク伝達部の両方でトルク伝達を行う状態とが切り替わるように構成したので、電子的な制御や手動操作による切り替えなどを行うことなく、車両の加速度又は走行路の勾配に応じてトルク伝達装置による副駆動輪への伝達トルクを自動的に可変することができる。したがって、トルク伝達装置の制御を行うための制御回路を備えた電子制御ユニットや、操作用のレバーなどの付帯物を増設せずに済むことで、車両の構造の複雑化や部品点数の増加を回避しながらも、車両の走行状態に応じた副駆動輪への適切な伝達トルクの配分が可能となる。また、電子制御によらずに車速の高速域での副駆動輪への伝達トルクを適切に低減することが可能となる。したがって、車両の走行性能を向上させることができる。
また、上記のトルク伝達装置は、第1回転部材(11)に取り付けた複数の第1プレート部材(13)と、第2回転部材(12)に取り付けた複数の第2プレート部材(14)と、粘性流体が充填されると共に第1プレート部材(13)と第2プレート部材(14)を交互に積層した状態で収容してなる作動室(16)と、を備えるビスカスカップリング(10)であり、第1トルク伝達部(30)と第2トルク伝達部(40)はそれぞれ、ビスカスカップリング(10)が有する複数の第1プレート(13)及び第2プレート(14)の一部を含む構成であり、切替機構(50)は、慣性部材(52)に設けたドグ歯(32)と、第2トルク伝達部(40)側の部材(41)に設けたドグ歯(42)とを備え、慣性部材(52)の移動によりドグ歯(32,42)同士の係合・非係合が切り替わるドグクラッチ機構(55)であってよい。
これによれば、慣性部材の移動によりドグ歯の係合・非係合を切り替える構成のドグクラッチ機構によって、簡単な構成でありながら、車両の加速度又は走行路の勾配に応じてトルク伝達装置の伝達トルク特性を自動的に切り替えることができる機構を実現できる。また、ドグ歯同士の係合・非係合が切り替わるドグクラッチ機構によって、第2トルク伝達部によるトルク伝達の有無の切り替えを確実に行うことが可能となる。
また、上記のトルク伝達装置では、車両の加速度又は走行路の登坂勾配が所定以上になると、慣性部材(52)が第2トルク伝達部(40)側に向かって移動し、慣性部材(52)のドグ歯(32)が第2トルク伝達部(40)側の部材(41)のドグ歯(42)に係合するようにしてよい。
この構成によれば、車両の従動輪側のトルクを必要とする登坂路での発進時などにトルク伝達装置の伝達トルクを増幅することができる一方、車両の定常走行時及び減速時には、トルク伝達装置の伝達トルクを低減することができる。また、車両の減速時にはトルク伝達装置の伝達トルクが低トルク特性となるので、低摩擦抵抗の路面(低μ路面)でのABS作動時のカスケードロックを効果的に防止できる。また、車両にかかる加速度が減少するタイトターン(急旋回)時にもトルク伝達装置の伝達トルクを低トルク特性に維持できるので、車両の挙動を安定させて走行性能を向上させることができる。
また、上記のトルク伝達装置では、慣性部材(52)と第2トルク伝達部(40)側の部材(41)との間には、軸方向に沿って慣性部材(52)を第2トルク伝達部(40)側の部材(41)から離間させる方へ付勢する付勢手段(51)が介在しているとよい。
この構成によれば、所定以上の慣性力が慣性部材に作用しない状態では、付勢手段の付勢力によって慣性部材をドグクラッチ機構が非係合となる位置に保持することが可能となる。したがって、簡単な構成で、車両の加速度又は走行路の勾配に応じてドグクラッチ機構の係合・非係合を確実に切り替えることが可能となる。
なお、上記で括弧内に記した参照符号は、後述する実施形態における対応する構成要素に付した符号を参考のために例示したものである。
本発明にかかる四輪駆動車両のトルク伝達装置によれば、部品点数を少なく抑えた簡単な構成で、かつ電子制御や手動操作などを行うことなく、車両の走行状態に応じた副駆動輪への適切なトルク伝達が可能となる。
本発明の実施形態にかかるトルク伝達装置(ビスカスカップリング)を備える四輪駆動車両の概略構成を示す図である。 ビスカスカップリングを示す側断面図である。 切替機構のドグクラッチ部を示す図で(a)は、概略の斜視図、(b)は、非係合(解放)状態を示す図、(c)は、係合状態を示す図である。 ビスカスカップリングの作動状態を説明するための図で、(a)は、第1トルク伝達部のみが作動した状態、(b)は、第1トルク伝達部と第2トルク伝達部が作動した状態を示す図である。 (a)は、第1トルク伝達部による伝達トルク特性、(b)は、第2トルク伝達部による伝達トルク特性、(c)は、登坂路での発進におけるビスカスカップリング全体の伝達トルク及び車両の加速度の変化を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるトルク伝達装置を備えた四輪駆動車両の概略構成を示す図である。同図に示す四輪駆動車両1は、車両の前部に横置きに搭載したエンジン(駆動源)3と、エンジン3と一体に設置したトランスミッション(変速機)4と、エンジン3からの駆動力を前輪W1,W2及び後輪W3,W4に伝達するための駆動力伝達経路2とを備えている。
エンジン3の出力軸(図示せず)は、トランスミッション4、フロントディファレンシャル(以下「フロントデフ」という)5、左右のフロントドライブシャフト6,6を介して、主駆動輪である左右の前輪W1,W2に連結されている。さらに、エンジン3の出力軸は、トランスミッション4、フロントデフ5、プロペラシャフト7、リアデファレンシャル(以下「リアデフ」という)8、左右のリアドライブシャフト9,9を介して副駆動輪である左右の後輪W3,W4に連結されている。なお、以下の説明で軸方向というときは、車両の進行方向(前後方向)に沿って延伸するプロペラシャフト7の軸方向を指すものとする。また、前又は後というときは、当該軸方向の前(車両の前進方向)及び後(後進方向)を指すものとする。
プロペラシャフト7上には、フロントデフ5からリアデフ8への駆動力伝達経路2上に配置したビスカスカップリング(トルク伝達装置)10が設けられている。ビスカスカップリング10は、駆動力伝達経路2において後輪W3,W4に配分するトルクを制御するためのトルク伝達装置(回転差応動型トルク伝達装置)である。
図2は、ビスカスカップリングを示す側断面図である。同図に示すように、ビスカスカップリング10は、前側のプロペラシャフト7a(図1参照)と一体に回転する筒状のハウジング(第1回転部材)11と、ハウジング11内において該ハウジング11と同一軸線回りで後側のプロペラシャフト7b(図1参照)と一体に回転するインプットシャフト(第2回転部材)12と、ハウジング11の内周面に所定間隔で相対回転不能に係合する複数のアウタプレート(第1プレート部材)13と、インプットシャフト12の外周面に所定間隔で相対回転不能に係合し、アウタプレート13と軸方向に交互に配置される複数のインナプレート(第2プレート部材)14と、ハウジング11とインプットシャフト12との間を閉塞するカバー部材15と、ハウジング11の内径側に形成された作動室16とを備える。作動室16は、後述する第1トルク伝達部30の作動室16aと第2トルク伝達部40の作動室16bの二室が設けられている。
また、ハウジング11の内周面とインプットシャフト12の外周面との間には、それらの隙間をシールするシール部材20が設置されている。また、インプットシャフト12の外周面とカバー部材15の内周面との間には、それらの隙間をシールするシール部材21が設置されている。また、ハウジング11の内周面とカバー部材15の外周面との間には、それらの隙間をシールするシール部材22が設置されている。また、ハウジング11の内周面とインプットシャフト12の外周面との間には、軸受23が介装されている。
そして、本実施形態のビスカスカップリング10は、ハウジング11内の軸方向に沿って直列に配置された第1トルク伝達部30と第2トルク伝達部40を備えている。第1トルク伝達部30は、ハウジング11内の前側に配置されており、隔壁31によってハウジング11内に区画された作動室16aを有している。作動室16a内には、シリコンオイルなどの粘性流体が充填されていると共に、ハウジング11の内周面に係合するアウタプレート13と、インプットシャフト12の外周面に係合するインナプレート14とが交互に積層されている。隔壁31は、アウタプレート13とインナプレート14の積層方向の後端に設置されており、ハウジング11の内周面又はインプットシャフト12の外周面に固定されている。
一方、第2トルク伝達部40は、ハウジング11内の後側に配置されており、ガイド部材41の隔壁部41bによってハウジング11内に区画された作動室16bを有している。ガイド部材41は、インプットシャフト12の外周面に沿う円筒状に形成された筒部41aと、該筒部41aの前端から径方向の外側に延伸する円形板状の隔壁部41bとを一体に有している。作動室16b内には、ハウジング11の内周面に係合するアウタプレート13と、ガイド部材41の筒部41aの外周面に係合するインナプレート14とが交互に積層されている。隔壁部41bは、アウタプレート13とインナプレート14の積層方向の前端に設置されている。ガイド部材41は、ハウジング11の内周面及びインプットシャフト12の外周面に対して相対回転自在に設置されている。なお、本実施形態のビスカスカップリング10では、第1トルク伝達部30と第2トルク伝達部40は、アウタプレート13及びインナプレート14の積層数が互いに異なっていることで、互いが異なるトルク特性を有している。
ハウジング11内の第1トルク伝達部30と第2トルク伝達部40との間には、第2トルク伝達部40の作動(トルク伝達)の有無を切り替えるための切替機構50が設けられている。切替機構50は、ガイド部材41の隔壁部41bにおける前側(第1トルク伝達部30側)の面に設けたドグ歯42と、インプットシャフト12の外周面に形成したスプライン歯12aにスプライン係合する慣性質量体からなるスリーブ52と、スリーブ52の後側(第2トルク伝達部40側)の面に設けたドグ歯32と、スリーブ52とガイド部材41との間に介在するリターンスプリング(付勢部材)51とを備えている。リターンスプリング51は、その軸方向がインプットシャフト12の軸方向に延伸する弾性金属製のコイルバネである。スリーブ52は、車両の加速度や走行路の勾配に応じて生じる慣性力により、スプライン歯12aの延伸方向であるインプットシャフト12の軸方向に沿ってインプットシャフト12上を前後に移動(摺動)するようになっている。スリーブ52が軸方向へ移動することで、スリーブ52のドグ歯32とガイド部材41のドグ歯42との係合・非係合が切り替わる。すなわち、スリーブ52のドグ歯32とガイド部材41のドグ歯42が係合する係合位置と、スリーブ52のドグ歯32とガイド部材41のドグ歯42との係合が解除される非係合位置とを選択的に取ることができる。これにより、インプットシャフト12に対する第2トルク伝達部40の接続・切断を切り替えることができる。上記のガイド部材41に設けたドグ歯42とスリーブ52に設けたドグ歯32とで、第2トルク伝達部40の作動(トルク伝達)の有無を切り替えるためのドグクラッチ部55が構成されている。
したがって、第1トルク伝達部30は、切替機構50(ドグクラッチ部55)の係合・非係合に関わらず常時作動する(トルク伝達を行う)ように構成されており、第2トルク伝達部40は、切替機構50の係合時にのみ作動する(トルク伝達を行う)ように構成されている。
図3は、切替機構50のドグクラッチ部55を示す図で、(a)は、概略の斜視図、(b)は、非係合(解放)状態を示す部分側面図、(c)は、係合状態を示す部分側面図である。なお、同図では、リターンスプリング51は、図示を省略している。同図に示すように、ドグクラッチ部55を構成するスリーブ52のドグ歯32とガイド部材41のドグ歯42は、それら周方向の端面が軸方向に対して傾斜する傾斜面32a,42aになっている。これにより、ドグ歯32,42は、互いの当接面が軸方向に対して傾斜角(θ)を有する面となっている。この傾斜角によって、スリーブ52に対する入力トルク(負荷トルク)が所定以上の場合にのみドグ歯32,42の係合状態が維持され、入力トルクが所定以下になった場合には、リターンスプリング51からスリーブ52に作用する付勢力にてドグ歯32,42が引き離されるようになっている。
また、車両の走行中に非係合位置にあるスリーブ52が、登坂路での急加速などでガイド部材41側の係合位置に向かって移動する場合がある。しかしながら、ドグ歯32,42に上記の傾斜角を設けていることによって、スリーブ52とガイド部材41が相対回転している状態では、スリーブ52のドグ歯32がガイド部材41のドグ歯42に弾かれる。そのため、通常走行中の路面の勾配や加速によってドグクラッチ部55が係合状態となることはない。
次に、上記構成のビスカスカップリング10によるトルク伝達について説明する。図4は、ビスカスカップリング10の作動状態を説明するための図で、(a)は、第1トルク伝達部30のみが作動した状態、(b)は、第1トルク伝達部30と第2トルク伝達部40が作動した状態を示す図である。車両が平地路面(勾配が無いか極く小さい路面をいう、以下同じ。)を走行している場合や、加速・減速状態以外の場合には、車両の慣性力が所定以下となる通常の走行状態である。このような通常の走行状態では、スリーブ52に慣性力が作用しないか又は作用する慣性力が小さいため、切替機構50が非係合状態である。そのため、ビスカスカップリング10では、図4(a)に示すように、第1トルク伝達部30と第2トルク伝達部40のうち、第1トルク伝達部30のみでトルク伝達が行われる状態となる。
このとき、図1に示すエンジン3から出力されたトルクがトランスミッション4を介してフロントデフ5に伝達される。フロントデフ5に伝達されたトルクの一部は、フロントドライブシャフト6,6を介して前輪W1,W2に伝達され、前輪W1,W2の駆動力により車両が走行する。また、フロントデフ5に伝達されたトルクの一部はプロペラシャフト7に伝達される。プロペラシャフト7に伝達されたトルクは、ビスカスカップリング10のハウジング11に伝達される。
一方、車両1の走行中は、後輪W3,W4から入力されるトルクが、リアデフ8を介してインプットシャフト12に伝達される。そして、ハウジング11の回転数とインプットシャフト12の回転数とが等しい場合は、第1トルク伝達部30のアウタプレート13の回転数とインナプレート14の回転数が等しく、プロペラシャフト7のトルクは後輪W3,W4には伝達されない。これにより、車両は二輪駆動(前輪駆動)により走行する。
前輪W1,W2がスリップしてハウジング11とインプットシャフト12に差回転が生じた場合は、第1トルク伝達部30のアウタプレート13とインナプレート14とに差動回転が生じ、その回転差に応じて第1トルク伝達部30の作動室16a内の粘性流体にせん断力が発生する。このせん断力により、プロペラシャフト7からハウジング11に伝達されたトルクがインプットシャフト12に伝達されるとともに、リアデフ8を介して後輪W3,W4に伝達される。これにより、車両は四輪駆動状態になる。
次に、切替機構50による第2トルク伝達部40の作動切替を伴う動作について説明する。ここでは、当該動作に関連する車両の走行状態として、(1)登坂停止時(登坂路での停車状態)、(2)登坂発進(登坂路での停車状態からの発進)直後、(3)加速中、(4)再加速、(5)減速(制動)の各走行状態について説明する。
図5(a)は、第1トルク伝達部30による伝達トルク特性、(b)は、第2トルク伝達部40による伝達トルク特性、(c)は、車両が登坂路での停車状態から発進した場合のビスカスカップリング10による伝達トルク及び車両の加速度の変化を示すグラフである。図5(a),(b)に示すように、本実施形態のビスカスカップリング10の第1トルク伝達部30と第2トルク伝達部40は、互いに異なるトルク特性を有している。
(1) 登坂停止時
車両が所定以上の勾配を有する登坂路で停止している(登坂停止)状態(図5(c)の時刻t0)で、スリーブ52に対して軸方向に作用する推力(慣性力)がリターンスプリング51の付勢力を超える場合には、リターンスプリング51の付勢力に抗してスリーブ52がガイド部材41側(第2トルク伝達部40側)の係合位置へ移動する。これにより、スリーブ52のドグ歯32とガイド部材41のドグ歯42とが当接する。したがって、ドグ歯32,42同士が押し付け合った状態で待機する。
(2)発進直後
上記登坂路での停止状態から車両が発進(登坂発進)した直後、スリーブ52のドグ歯32とガイド部材41のドグ歯42との位相が同期したときに互いが係合する(噛み合う)。これにより、インプットシャフト12とガイド部材41が一体に回転するようになる。したがって、図4(b)に示すように、ハウジング11とインプットシャフト12との差回転によるトルクは、第1トルク伝達部30と第2トルク伝達部40の両方を介して伝達される。
すなわち、図5(c)に示すように、時刻t0で車両が登坂路で停止している(登坂停止)状態から、時刻t1で登坂路において車両が発進(登坂発進)する。このとき切替機構50のスリーブ52が係合位置にあることで、第1トルク伝達部30と第2トルク伝達部40の両方が作動する。これにより、ビスカスカップリング10の伝達トルク特性は、第1トルク伝達部30の特性(〔1〕)と第2トルク伝達部40の特性(〔2〕)を合わせた特性(〔1〕+〔2〕)となる。
(3)加速中
登坂発進後、車輪のスリップの収束と共にビスカスカップリング10による伝達トルク(負荷トルク)が低下する。そのため、登坂路の勾配が減少して車両の走行路面が傾斜路面から平地路面に戻る過程で、加速度が所定値(G0)を下回ると、ドグ歯32,42同士の係合を保持できなくなる。これにより、ドグ歯32,42の係合が外れ、リターンスプリング51の付勢力でスリーブ52が第1トルク伝達部30側の非係合位置に戻される。そうすると、図4(a)に示すように、ハウジング11とインプットシャフト12との差回転によるトルクは、第1トルク伝達部30のみを介して伝達されるようになる。
(4)再加速
車両の走行中に第2トルク伝達部40が非作動であった場合でも、低速からの再加速などで加速度が切替機構50の作動条件(閾値G0)に達すると、第2トルク伝達部40が作動状態となる。その状態で、ドグ歯32,42に掛かる伝達トルク(負荷トルク)と釣り合い続ける場合には、第2トルク伝達部40が作動したまま車両が走行する。車両の加速度が切替機構50の作動条件(閾値G0)より小さくなると、上記(3)の状態となる。
(5)減速(制動)
第1トルク伝達部30と第2トルク伝達部40の両方が作動しているときに車両の加減速状態が加速から減速に切り替わった場合、アクセルオフによって車両の加速度が低下した瞬間に、スリーブ52が非係合位置に戻る。これにより、第2トルク伝達部40が非作動状態となり、第1トルク伝達部30のみ作動の状態となる。このように、車両の減速時(制動時)にはスリーブ52が非係合位置に向けて付勢されることで、瞬時に第1トルク伝達部30のみの作動状態に切り替わる。したがって、前後輪のカスケードロックを低減でき、ABS干渉を抑制できる。
また、図5(c)に示すように、車両が走行する登坂路の勾配が徐々に減少してゆくことで、車両の速度が徐々に上昇してゆき、ビスカスカップリング10の伝達トルクT及び車両の加速度Gがいずれも低下してゆくと、車両の加速度Gが切替機構50の係合・非係合が切り替わる閾値G0になる時刻t2で、スリーブ52が係合位置から非係合位置へ移動し、第1トルク伝達部30のみが作動する状態となる。
そして、本実施形態のビスカスカップリング10では、リターンスプリング51の設定荷重(付勢力)とスリーブ(慣性部材)52の重量(慣性質量)との釣り合いにより、切替機構50を作動させるために必要な車両の加速度Gの閾値(図5(c)に示す加速度G0)を所望の値に設定することができる。この加速度の閾値は、車両の雪上での登坂性能に必要な条件と、平地路面での発進性能に必要な条件との両方を満たすことができる値に設定することが望ましい。
以上説明したように、本実施形態のビスカスカップリング10では、車両の加速度又は走行路の勾配に応じて生じる慣性力によってスリーブ52が移動することで、第1トルク伝達部30と第2トルク伝達部40のうち第1トルク伝達部30のみでトルク伝達を行う状態と、第1トルク伝達部30と第2トルク伝達部40の両方でトルク伝達を行う状態とが切り替わるように構成した。これにより、電子的な制御や手動操作による切り替えなどを行うことなく、車両の加速度又は走行路の勾配に応じてビスカスカップリング10による後輪(副駆動輪)W3,W4への伝達トルクを自動的に可変することができる。したがって、トルク伝達装置の制御を行うための制御回路を備えた電子制御ユニットや、操作用のレバーなどの付帯物を増設せずに済むことで、車両の構造の複雑化や部品点数の増加を回避しながらも、車両の走行状態に応じた後輪(副駆動輪)W3,W4への適切な伝達トルクの配分が可能となる。また、電子制御によらずに車両の高速域での後輪(副駆動輪)W3,W4への伝達トルクを適切に低減することが可能となる。したがって、車両の走行性能を向上させることができる。
そして、本実施形態のビスカスカップリング10によれば、後輪(副駆動輪)W3,W4のトルクを必要とする登坂路での発進領域でビスカスカップリング10の伝達トルク(VCトルク)を増幅することができる一方、車両の定常走行時及び減速時には、ビスカスカップリング10の伝達トルクを低減することができる。また、車両の減速時はビスカスカップリング10の伝達トルクが低トルク特性となるので、低摩擦抵抗の路面(低μ路面)でのABS作動時のカスケードロックを効果的に防止できる。また、車両にかかる加速度が抜けるタイトターン領域にもビスカスカップリング10の伝達トルクが低トルク特性で有り続けるので、車両の走行性能を向上させることができる。
また、第2トルク伝達部40の作動を切り替える切替機構50は、スリーブ52に設けたドグ歯32と、第2トルク伝達部40のガイド部材41に設けたドグ歯42とを備え、スリーブ52の移動によりドグ歯32,42同士の係合・非係合が切り替わるドグクラッチ機構55を含んでいる。
これによれば、スリーブ52の移動によりドグ歯32,42の係合・非係合を切り替える構成のドグクラッチ機構55によって、部品点数を少なく抑えた簡単な構成でありながら、車両の加速度又は走行路の勾配に応じてビスカスカップリング10の伝達トルク特性を自動的に切り替えることができる。また、ドグ歯32,42同士の係合・非係合が切り替わるドグクラッチ機構55によって、車両の加速度又は走行路の勾配に応じたスリーブ52の移動で第2トルク伝達部40によるトルク伝達の有無の切り替えを確実に行うことが可能となる。
また、上記の切替機構50を備えたビスカスカップリング10の形状(外形)や寸法は、従来のビスカスカップリングと同等とすることができる。そのため、本実施形態のビスカスカップリングは、既存品と交換することで車両に搭載可能であり、車両の設計変更や構成部品の交換などを伴わずに搭載することが可能となる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、ビスカスカップリング10が備える複数のトルク伝達部として、第1トルク伝達部と第2トルク伝達部の二つのトルク伝達部を備える場合を示したが、これ以外にも、更に他のトルク伝達部を含む三つ以上のトルク伝達部を備えていてもよい。
また、上記実施形態では、ビスカスカップリング10が備える第1トルク伝達部と第2トルク伝達部は、互いが異なる伝達トルク特性を有するものであるが、本発明にかかる第1、第2トルク伝達部は、必ずしも互いが異なる伝達トルク特性を有する必要はなく、互いが等しいトルク特性を有するものであってもよい。
1 四輪駆動車両
2 駆動力伝達経路
3 エンジン(駆動源)
4 トランスミッション
5 フロントデフ
6,6 フロントドライブシャフト
7 プロペラシャフト(回転軸)
8 リアデフ
9,9 リアドライブシャフト
10 ビスカスカップリング(トルク伝達装置)
11 ハウジング(第1回転部材)
12 インプットシャフト(第2回転部材)
12a スプライン歯
13 アウタプレート(第1プレート部材)
14 インナプレート(第2プレート部材)
15 カバー部材
16(16a,16b)作動室
30 第1トルク伝達部
31 隔壁
32 ドグ歯
32a 傾斜面
40 第2トルク伝達部
41 ガイド部材
41a 筒部
41b 隔壁部
42 ドグ歯
42a 傾斜面
50 切替機構
51 リターンスプリング(付勢手段)
52 スリーブ(慣性部材)
55 ドグクラッチ部
W1,W2 前輪(主駆動輪)
W3,W4 後輪(副駆動輪)

Claims (4)

  1. 駆動源からの駆動力を主駆動輪及び副駆動輪に伝達する駆動力伝達経路における前記駆動源と前記副駆動輪との間に配置されたトルク伝達装置であって、
    前記駆動源と前記副駆動輪との間に設けた回転軸と、
    前記回転軸上で前記駆動源側に接続された第1回転部材と、
    前記回転軸上で前記副駆動輪側に接続された第2回転部材と、
    各々が独立してトルク伝達可能な第1トルク伝達部及び第2トルク伝達部を含む複数のトルク伝達部と、
    前記第2トルク伝達部によるトルク伝達の有無を切り替える切替機構と、を有し、
    前記切替機構は、前記第1回転部材又は第2回転部材のいずれかと一体に回転すると共に、車両の加速度又は走行路の勾配に応じて生じる慣性力により前記回転軸の軸方向に沿って移動可能な慣性部材を含み、
    車両の加速度又は走行勾配に応じて前記慣性部材が移動することで、前記第1トルク伝達部と前記第2トルク伝達部のうち前記第1トルク伝達部のみでトルク伝達を行う状態と、前記第1トルク伝達部と前記第2トルク伝達部の両方でトルク伝達を行う状態とが切り替わるように構成した
    ことを特徴とする四輪駆動車両のトルク伝達装置。
  2. 前記トルク伝達装置は、
    前記第1回転部材に取り付けた複数の第1プレート部材と、前記第2回転部材に取り付けた複数の第2プレート部材と、粘性流体が充填されると共に前記第1プレート部材と前記第2プレート部材を交互に積層した状態で収容してなる作動室と、を備えるビスカスカップリングであり、
    前記第1トルク伝達部と前記第2トルク伝達部はそれぞれ、前記ビスカスカップリングが有する複数の前記第1プレート及び第2プレートの一部を含む構成であり、
    前記切替機構は、前記慣性部材に設けたドグ歯と、前記第2トルク伝達部側の部材に設けたドグ歯とを備え、前記慣性部材の移動により前記ドグ歯同士の係合・非係合が切り替わるドグクラッチ機構である
    ことを特徴とする請求項1に記載の四輪駆動車両のトルク伝達装置。
  3. 車両の加速度又は走行路の登坂勾配が所定以上になると、前記慣性部材が前記第2トルク伝達部側に向かって移動し、前記慣性部材のドグ歯が前記第2トルク伝達部側の部材のドグ歯に係合する
    ことを特徴とする請求項2に記載の四輪駆動車両のトルク伝達装置。
  4. 前記慣性部材と前記第2トルク伝達部側の部材との間には、軸方向に沿って前記慣性部材を前記第2トルク伝達部側の部材から離間させる方へ付勢する付勢手段が介在している
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載の四輪駆動車両のトルク伝達装置。
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