JP2013538178A - 無機または有機物質の結晶化装置および方法 - Google Patents

無機または有機物質の結晶化装置および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、結晶化されるべき分子の結晶化装置であって、少なくとも1つの結晶化セル(1)であり、結晶化されるべき分子ならびにその結晶種を含有する第1の溶液S1を受け取るための結晶化室(2)と、透析膜と、結晶化剤、添加剤ならびに緩衝剤を含む群から選択される成分を含有する第2の溶液S2で満たされる貯槽(7)とを含む結晶化セル(1)、および少なくとも1種の画像取得手段を含む結晶化装置に関する。結晶化装置(9)は、貯槽(7)に、溶液S2の結晶化剤、添加剤および緩衝剤を含む群から選択される成分を添加するために配置された、少なくとも1つの添加手段、および/または、貯槽(7)から、溶液S2の全部または一部を集めるように配置された、少なくとも1つの採取手段を含むことを特徴とする。本発明はまた、結晶化方法にも関する。

Description

本発明は、無機または有機物質の結晶化の分野に関し、および詳細には、分子の、特に高分子例えばタンパク質などの結晶化に関する。
高分子例えばタンパク質などの物理化学的特性を理解することは、一般に、これらの高分子の原子構造を知ることに依存している。
この構造を検討するために、本質的にX線回折および中性子結晶構造解析技術に頼っている。
したがって、X線回折では、検討される分子の三次元構造を得ることが可能であり;中性子技術では、タンパク質およびそれらのリガンドのプロトン化状態について、水分子の位置ならびに配向について、および水素結合の網目についてさらなる情報を得ることができる。
実際に、生物学的過程を理解するために、水素原子の位置取り、タンパク質分子、溶媒および基質の分子間でそれらの水素原子がどのように移動するかを、正確に知ることが重要である。
これらの回折技術は、検討される高分子が結晶の形態にあること、そして、より有利には、十分な体積の高品質単結晶の形態にあることを要する。
本発明の範囲内において、高品質単結晶とは、単結晶が:
− 低いモザイク性、
− かなり大きな回折力(すなわち、2オングストローム未満)、
− 大きな体積、すなわち、X線回折について0.001mm3〜中性子回折について1mm3を含む体積
を有することを意味する。
また、本発明の範囲内において、高分子とは、数千ダルトン〜数10万ダルトンの分子量を有する分子を意味する。これらの高分子は、DNAもしくはRNA核酸配列、ウイルスフラグメント、タンパク質、タンパク質複合体、タンパク質−RNA複合体、タンパク質−リガンド複合体またはさらにポリペプチドであってもよい。
さらに、本発明は、より小さい分子、例えば糖、抗生物質またはさらに医薬関連の他の化合物などの結晶化に、成功裏に適用することができる。
大きな体積の高品質単結晶を得るためには、高分子の結晶化(すなわち、クリスタラゴネシス(crystallagonesis))を制御することが不可欠であり、それによって得られる結晶の、物理化学的特性を制御するのは結晶形成性(crystallogenesis)であるからである。
結晶形成性は、2つの工程に分けられる。すなわち
− 第1の工程、いわゆる核生成工程であり、結晶化溶液からの結晶種の出現にある;
− 第2の工程、いわゆる成長工程であり、核生成の間に得られる結晶種の結晶的成長である。
核生成は:
− 望ましくない固体または液相、例えば無定形沈殿物または偏析(demixing)(液−液分離)の出現、
− 望ましくない結晶性/多形相の出現
によって乱されるおそれがある。
多形性(polymorphism)は、いくつかの結晶形態で存在する分子の性能である。ここで、医薬分野では、薬物の標準化の承認には、しばしば与えられた分子が単一結晶形態または単一多形相をとるとの要求が課せられる。
成長は、低い回折性を有する結晶の生成を、あるいは高分子の三次元構造決定の重大な妨げになる多結晶の生成をも招くおそれがある。
これらの前述の問題点を避けるために、長いかつ費用の掛かる研究努力により、高分子の結晶化のための最適条件を得る可能性がもたらされている。
これを行うには:
− 核生成前の溶液中の分子の挙動、すなわちそれらの(引力/反発力)相互作用、分子の会合(溶液中に形成される粒子(単量体、二量体など)のサイズおよび質量パラメータ)の性質、多分散性(すなわち、溶液中に形成される粒子の1つもしくはいくつかの個体群の存在);
− 結晶種の生成直後の、結晶化されるべき分子の溶液中に存在する結晶種の挙動
を知ることが不可欠であり、これは、
a)温度、
b)結晶化されるべき分子の濃度、
c)結晶化剤および/または添加剤の濃度およびそれらの性質
である種々のパラメータ次第である。
本発明の範囲内において、結晶化剤とは、結晶化されるべき分子の結晶化を促進する薬剤を意味する。これらは:
− 塩、例えば、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、リン酸カリウムなど;
− 有機化合物、例えば、イソプロパノールおよび2−メチル−2,4−ペンタンジオール(MPD)など;
− ポリエチレングリコール、例えば、PEG4000、PEG6000またはさらにPEG8000など
であってもよい。
本発明の範囲内において、添加剤とは、結晶化されるべき分子の安定性および/またはその配座の均一性を向上させる成分を意味する。これらは、界面活性剤、還元剤、基質およびコファクター(co−factor)、例えば、n−アルキル−β−グルコシドもしくはn−アルキル−マルトシド、ジチオトレイトール(DTT)、脂質、サブユニットまたは補欠分子族(prosthetic groups)であってもよい。
本発明の範囲内において、緩衝剤とは、それが添加されている溶液中の設定したpHの維持を可能にする成分を意味する。これは、2−(N−モルホリノ)エタン−スルホン酸(本明細書において以後「MES」と略記される)、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(本明細書において以後「tris」と略記される)、2−(ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)酢酸(「Bicine」と略記される)、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(「Hepes」と略記される)、もしくはクエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムまたはさらにカコジル酸ナトリウムであってもよい。
結晶化されるべき分子の相図を作製することがしばしば必要であり、これは、これらの3種の前述のパラメータa)〜c)の関数として設定される。
例示的な相図は、直接溶解性を有する、結晶化されるべき分子の場合について図1aに示される。
直接溶解性を有する、結晶化されるべき分子とは、結晶化されるべき分子の溶解度が、温度の上昇と共に増加することを意味する。
この図の横座標軸に温度が表示され(℃で表される)、また溶液中に存在する結晶化されるべき分子の濃度が縦座標軸に表示される(mg/mLで表される)。
この図上において下記の4つの帯域A〜Dが区別され、これらは、結晶化されるべき分子の溶液の内容物の実時間における展開を観察すること(例えば、光学顕微鏡によって)によって設定および決定され、この溶液中に、結晶化されるべき分子の結晶種が置かれている:
− 帯域A:準安定帯域、この帯域では溶液が幾分過飽和であり、したがって、何ら結晶生成がなく非常に長時間維持することができるが、入れた結晶はその中で成長する;
− 帯域B:核生成が起こらず、入れた結晶は溶解する:これがいわゆる「過飽和帯域」である;
− 帯域C:過剰の結晶化されるべき分子(言い換えると、核)が、結晶種の形態で、結晶化されるべき分子の溶液から分離する。その中では、入れた結晶は成長する:これが、核生成が自発的である帯域である;
− 帯域D:形成される構造が無秩序である。これらは凝集体および/または析出物である。この帯域は、「析出帯域」であると言われ、過飽和が余りに大きいので、結晶が生成する前に、その中で凝集体または析出物の形成が促進される。
帯域A、CおよびDが一緒になって、いわゆる「過飽和帯域」を形成する。
準安定帯域は、性質の異なる2つの曲線によって限定される。
下部境界(すなわち帯域Aと帯域Bとの間の境界)は溶解度曲線であり、結晶化されるべき分子の溶液と結晶との間の熱力学的平衡点に対応する。相図上のこの溶解度曲線の位置は定まっており、熱力学的性質のものである。この溶解度曲線上に位置する結晶化される溶液は、安定なままである。この溶解度曲線上では、核生成事象の出現の確率はゼロであり、核生成の誘発時間は無限大である。
したがって、準安定帯域の上限(すなわち帯域Aと帯域Cとの間の境界)は、「準安定限界」または「超溶解度曲線」と名付けられる。
溶解度曲線と異なり、相図上のその位置は動力学的性質のものである。その位置は、過飽和の進行速度に応じて決まる。
この超溶解度曲線上では、核生成事象の出現の確率は1であり、核生成の誘発時間は、核生成が瞬間的なのでゼロである。
核生成の誘発時間は過飽和度によって決まるので、相図の準安定帯域内に位置する、結晶化される溶液は、自発的に核生成してもよい。過飽和度が高いほど、核生成誘発時間は短い。
結晶化されるべき分子の他の相図は、結晶化されるべき分子の濃度(縦座標軸)に対して、および結晶化剤および/または添加剤の濃度(横座標軸)に対して設定してもよい。このような例示的図を図1bに示している。その中には、図1aについて述べたのと同様の4つの帯域A〜Dを見ることができる。
結晶化される種々の分子の溶解度曲線の測定は、多くの研究の主題となってきており、それらの中で「Solubility diagram analysis and the relative effectiveness of different ions on protein crystal growth」と題するA.F.Ducruix,M.M.Ries−Kault、Methods(1990),1(1)25〜30に言及することができる。
いくつかの結晶化技術が存在し、それらの中で
− 水蒸気拡散(ハンギングドロップ(hanging drop)、シッティングドロップ(sitting drop)、またはサンドイッチトドロップ(sandwiched drop)として)、
− 透析、
− フリー界面拡散、またはさらに、
− バッチ:結晶化されるべき分子が、結晶化剤および/または適切な添加剤と混合され、それにより均質な溶液を生成する結晶化技術
がある。
バッチ技術は、それが迅速であり、また適用するのに簡単であるため、小分子の結晶化のため広く使用される。しかしながら、核生成および/または結晶成長が促進され得る操作条件をもたらすような同一の実験の間に、狭い濃度範囲の結晶化されるべき分子ならびに結晶化剤しか採取することができない。
この点に関して、文献WO2006/099890A1は、結晶化される高分子の溶液のシステム化した温度制御に基づく高分子のバッチ結晶化方法であって、前記高分子の結晶を、その結晶が常に準安定帯域に置かれ、そのため結晶化される高分子の溶液の、制御された時間依存性の温度変化の間に、結晶が発達および成長する方法を記載している。
そうとはいうものの、この結晶化方法は、もっぱら:
− 単一の結晶化パラメータの制御であり、それが温度である制御、
− 2つの重要な結晶化肯定の一方の制御、すなわち結晶化される高分子の溶液中に入れた結晶の成長の制御
に限定される。
さらに、この結晶化方法の終わりに得られる結晶は、結晶構造解析において使用される従来の方法、例えば、ループ内に取り込むなどでは回収することができない。結晶の取り出しを促進するため、石英毛管内に結晶を取り込むようにマイクロマニピュレーターが使用される。
透析による結晶化は、結晶化されるべき分子を装置内に取り付け、その装置が透析膜によって密封されていることを含む。次いで、これによって、水、結晶化剤、添加剤またはさらに緩衝剤が、透析膜のいずれかの側に拡散し、その一方、結晶化されるべき分子を装置内に保つことが可能になる。この装置は、結晶化剤、添加剤および緩衝剤を入れた適切な容器内に設置される。この透析による技術はまた、「塩溶」効果(低いイオン力により、イオン力が増加すると結晶化されるべき分子の溶解度が上昇する)および「塩析」効果(高いイオン力により、イオン力が増加すると結晶化されるべき分子の溶解度が低下する)、ならびにpHをも考慮に入れている。
この点に関して、文献WO2004/029338A1は、透析による結晶化のための装置であって、容器内に置かれる結晶化室を含み、その中に、結晶化試料を入れる意図の、空洞が作られている装置を説明している。透析膜は、結晶化室上で、密封可能な位置にある。容器は、膜を、限定された濃度で結晶化剤を含有する溶液と接触させる、または接触させない可能性をもたらす手段を含む。
文献WO2004/029338A1に記載されているように、結晶化の操作は、いくつかの結晶化セルにおいて平行して同時に行われてもよい。この文献WO2004/029338A1における結晶化装置は、結晶化溶液の組成を変動させることによる結晶化実験を、同一の結晶化セルで連続して実施するために設計されていない。
したがって、結晶化技術に関して、上記に想起した従来技術によれば、結晶化方法の間、結晶化されるべき分子を含有する同一の試料について、全く異なる結晶化条件を同一の結晶化セル内で連続して作り出し、それゆえ結晶化の間、結晶化の進行を引き起こすような、結晶化溶液の組成が制御可能に変動する結晶化装置は、全く開発されていない。
本発明は、全く革新的なアプローチ、すなわち、結晶化溶液の組成を、制御可能で、かつその場で変動させることにより、結晶化が適用される結晶化装置の提供を提案する。これは、結晶化を改良するという利点を与える。実際に、本発明にかかる結晶化装置によって、優れた品質の、大きな体積のかつ所望の結晶性/多形相の結晶が得られる。
この全く革新的な結晶化の適用は、従来の結晶化技術と比較して、単一実験において使用される、結晶化されるべき分子の所要量が低減される利点をも有し、また、その後に結晶化されるべき分子の再利用の可能性も有する。実際に、結晶化の間試料が消費されず、また結晶化条件を可逆的に変化させることができる。
したがって、本発明の第1の目的は、結晶化されるべき分子の結晶化装置であって:
− 少なくとも1つの結晶化セルであり、
・結晶化室であり、その中に、結晶化されるべき分子ならびにその結晶種、および任意に少なくとも1種の緩衝剤を含有する第1の溶液S1を受け取ることが意図された空洞が作られ、前記空洞が、光学的底部およびその光学的底部に面した隙間を含む結晶化室、
・前記結晶化室の前記空洞の前記隙間を覆うことが意図された透析膜、
・前記結晶化室上に嵌め込まれることが意図された貯槽(reservoir)であり、それにより一方でこの貯槽によって、そして他方で結晶化室によって形成される密封された区画を作り出し、この区画が、結晶化剤、添加剤および緩衝剤によって構成される群から選択される成分を含有する第2の溶液S2、いわゆる結晶化溶液で満たされることが意図されている貯槽を含む結晶化セル;
− 少なくとも1つの画像取得手段
を具備し、
− 前記貯槽中に、結晶化剤、添加剤および緩衝剤によって構成される群から選択される成分を、溶液S2に添加するために配置された少なくとも1種の添加手段、
および/または
− 貯槽内において、溶液S2の全部または一部を採取するために配置された少なくとも1種の試料採取手段
を含むことを特徴とする結晶化装置である。
添加手段および/または採取手段のおかげで、溶液S2が含有する成分(結晶化剤、添加剤、緩衝剤)の性質、およびこれらの成分の濃度を、結晶化の間、変動させることができる。
溶液S2の組成を、結晶化を実行する操作者が正確に調節することができる。溶液S2の組成に関する変動を決定するため、操作者は、特に、上述の結晶化されるべき分子の相図によって決まる物理化学的概念を参照する。
したがって、結晶化セルの貯槽は、連続流セルとして作られる。
本発明にかかる結晶化装置によって、核生成および結晶成長の最適化が、透析方法を、温度および溶液S2の組成の特定の変動と組み合わせることにより得られる可能性があり、この特定の変動は、操作者によって、結晶化のパラメータ(温度、結晶化されるべき分子の濃度、および溶液S2の組成)の制御から決定され、結晶化の間実行されるものである。
添加手段は、貯槽内において、結晶化剤、添加剤および緩衝剤によって構成される群から選択される成分を、溶液S2に添加するために配置されている駆動手段、いわゆる「添加駆動手段」にあるとしてもよい。
採取手段は、貯槽内において、溶液S2の全部または一部を採取するために配置された駆動手段、いわゆる「採取駆動手段」にあるとしてもよい。
一態様において、添加手段は、多チャンネル蠕動ポンプにある。
より具体的には、多チャンネル蠕動ポンプは、下記を含んでもよい:
− 複数のチャンネル、いわゆる「二次チャンネル」、これらはそれぞれ、結晶化剤、添加剤および緩衝剤により構成される群から選択される成分を含有する貯蔵溶液SIの貯槽に浸漬されている。溶液Siは、異なる成分だけでなく、任意に異なる濃度での同一の成分を含有してもよい;
− 1つのチャンネル、いわゆる「添加チャンネル」、このチャンネルは、溶液Siの結晶化剤、添加剤および緩衝剤を貯槽内に添加するために、複数の二次チャンネルを貯槽に接続する。
本発明の他の態様において、採取手段は、1つのチャンネル、いわゆる「採取チャンネル」を含む蠕動ポンプにあり、このポンプ内を、貯槽から採取された溶液S2の全部または一部が循環する。
本発明の他の態様において、添加手段および採取手段は、多チャンネル蠕動ポンプにある。この態様において、多チャンネル蠕動ポンプは下記を含んでもよい:
− 複数のチャンネル、いわゆる「二次チャンネル」、これらはそれぞれ、結晶化剤、添加剤および緩衝剤により構成される群から選択される成分を含有する貯蔵溶液SIの貯槽に浸漬されている。溶液SIは、異なる成分だけでなく、任意に異なる濃度での同一の成分を含有してもよい;
− 1つのチャンネル、いわゆる「添加チャンネル」、このチャンネルは、溶液SIの結晶化剤、添加剤および緩衝剤により構成される群から選択される成分を、貯槽内に添加するように、複数の二次チャンネルを、この貯槽に接続する;
− 1つのチャンネル、いわゆる「採取チャンネル」、このチャンネル内を、貯槽から採取した溶液S2の全部または一部が循環する。
したがって、結晶化の間、溶液S2の組成は時間が経過すると変化し、それは溶液S2が:
− 結晶化セルの貯槽に、制御され、かつ調節された状態で加えられた溶液SIの混合物から得られ、それだけでなく
− 溶液S2の全部または一部の採取からも
得られるからである。
結晶化の間、結晶化セルの貯槽内に収容された組成物および溶液S2は、結晶化が進行するにつれて、結晶化剤および/または添加剤の所要量に応じて、都合よく変動(または、言い換えると調節)してもよい。したがって、この組成は、結晶化の間変化してもよく、またこれは、溶液S2の成分が透析膜を通って拡散するため、可逆的に変化してもよい。
有利なことに、この多チャンネル蠕動ポンプは、操作者が、結晶化セルの貯槽内において、結晶化のある瞬間に入手できることを彼/彼女が望む溶液S2を得るために、所要の結晶化剤、添加剤および緩衝剤の性質および濃度を指定し、したがって、種々の溶液SIの適切な混合物を作製することを可能にするための、特別に開発されたソフトウエア1本を組み込んでいる。このソフトウエアは、操作者が、結晶化溶液S2のpHを指定できるように設計されてもよい。
画像取得手段は、ビデオ顕微鏡にあることが好ましい。
本発明の有利な態様において、画像取得手段は:
− ビデオ顕微鏡、
− デジタルカメラ、
− ビデオカメラによって取得された画像を処理するソフトウエア1本を組み込んだコンピュータ
を含む。
本発明の他の態様において、画像取得手段は、光学顕微鏡および静止カメラまたはビデオカメラを含む。
結晶化セル内の結晶化を制御するための他の手段を企図してもよい。これらは、例えば、レーザー技術、濁度測定、干渉計、回折測定、超音波撮像、シンチレーション、ポーラリゼーション、ストリオスコピー(strioscopy)、偏光解析、ラマン分光法、ホログラフィーである。
結晶化室は、ステンレス鋼、ガラスまたは石英で製作してもよい。
結晶化装置は、結晶化装置の温度を制御しかつ変動させるための、少なくとも1つの手段をさらに含んでもよい。
本発明の一態様において、温度を制御しかつ変動させるための手段は、ペルチェ技術に基づいている。これは、熱電モジュールとも呼ばれる、ペルチェ効果セル(PEC:Peltier effect cell)としてもよい。
結晶化装置は、溶液S1中の結晶化されるべき分子の濃度を測定するための、少なくとも1つの手段を含んでもよい。
結晶化装置はまた、溶液S1中に形成/拡散される、結晶化されるべき分子のサイズ/質量に関しておよび粒子径の分布に関して、結晶化されるべき分子を特性付けるための、少なくとも1つの手段をも、含んでもよい。
結晶化装置は、結晶化室において、紫外吸光度を測定する系および光を分散させる系をさらに含むことが好ましい。紫外吸光度を測定することによって、本明細書において以前に定義した溶解度曲線を測定することが可能である。
光の分散は、生成されかつ/または溶液S1中に拡散する、結晶化されるべき分子の粒子のサイズ/質量比および粒子径の分布を特性付ける。したがって、核生成を検出することができ、また準安定帯域の上限(すなわち、図(図1aおよび図1b)の相図の帯域Aと帯域Cとの間の線)を特定することができる。この態様において、結晶化セルの光学的底部は、石英を使ったものが好ましい。
本発明の一態様において、結晶化装置は、結晶化セルから結晶を抽出できるマイクロマニピュレーターを、さらに含む。
企図してもよい本発明の一態様において、結晶化装置は、半自動化のカルーセル上に置かれる複数の結晶化セルを含む。
透析膜は:
− セルロース(例えば、クプロファン、すなわち再生セルロース)を、改質セルロース、例えば酢酸セルロース、ヘモファン(hemophane)などを、またはさらに合成改質セルロースを使ったもの、
− 合成膜、例えばポリスルホンを、ポリアミド、ポリアクリロニトリルを、アクリロニトリルとメチルスルホン酸ナトリウムとのコポリマーを、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を、エチレンビニルアルコール(EVOH)を、またはさらにポリカーボネート(PC)を使ったもの
としてもよい。
セルロース膜は、次の特性:緻密さ(fineness)、低分子量物質の除去を可能にする小直径細孔、低コスト、強い化学反応性(ヒドロキシル基のため)、低い生体適合性を有する。
改質セルロースは、次の特性:より低い化学反応性、良好な生体適合性、ヒドロキシル基の置換、細孔のサイズ増大、水力学的透過率の増大、より大きい分子量を有する物質の除去性を有する。
合成膜は、次の特性:低い化学反応性(全くヒドロキシル基を含まないので)、良好な生体適合性、大細孔サイズ、水力学的透過率、大きな分子量を有する物質の除去性を有する。
結晶化セルの光学的底部は、ポリカーボネートを使ったものが好ましい。光学的底部はガラスまたは石英を使ってもよい。
結晶化室内に作られる空洞は、5〜200μLを有利に含む体積を有する。
本発明の好ましい一態様により、上述の結晶化装置の結晶化セルの貯槽は、光学的窓を備えたプラグを含み、これは透析膜の反対側端部に取り付けられる、プラグは、貯槽を気密封止することを意図したガスケットを有利に含む。
本発明の好ましい一態様により、上述の結晶化装置の結晶化セルは、結晶化室と貯槽との間に取り付けられるように配置され、その上に透析膜が置かれる上部室(overchamber)をさらに含む。貯槽は、上部室の上にねじ込むのが有利である。さらに、上部室に、結晶化室上で上部室を気密封止するガスケットを取り付けてもよい。
3つの部分(結晶化室、上部室および貯槽)に分けられる結晶化セルのこの態様は、本発明の他の目的を構成する。
より具体的には、本発明は:
− 結晶化室であり、その中に、結晶化されるべき分子ならびにその結晶種、および任意に少なくとも1種の緩衝剤を含有する第1の溶液S1を受け取ることが意図された空洞が作られ、その空洞が、光学的底部およびその光学的底部に面した隙間を含む結晶化室、
− 前記結晶化室の前記空洞の前記隙間を覆うことが意図された透析膜、
− 前記結晶化室上に嵌め込まれることが意図された貯槽であり、それにより一方でこの貯槽によって、そして他方で結晶化室によって形成される密封された区画を作り出し、この区画が、結晶化剤、添加剤および緩衝剤により構成される群から選択される成分を含有する第2の溶液S2、いわゆる結晶化溶液で満たされることが意図されている貯槽
を含む結晶化セルであって、
この結晶化セルが、前記結晶化室と前記貯槽との間に取り付けられるように配置されるとともに、その上に透析膜が置かれる上部室を、さらに含むことを特徴とする結晶化セルに関する。貯槽は、透析膜の反対側端部に取り付けられる、光学的窓を備えたプラグを含んでいてもよい。
3つの部分とする結晶化セルのこの配置は、結晶化が終わると結晶を容易に回収することができる利点を有する。
実際、結晶が形成されると直ぐに、結晶化溶液S2が、例えば、蠕動ポンプによって、吸引により除去される。次いで、貯槽が、ねじ込みを緩め取り外される。結晶が機械的損傷および乾燥に対して保護されるように、上部室は、結晶化室に組み付けたままとする。次いで透析膜を、例えば外科用メス(scalpel)で切り抜き、ナイロンの結晶構造解析用ループによって、結晶は容易に回収される。
本発明はまた、数千ダルトン〜数10万ダルトンの分子を結晶化するための、上述の、結晶化されるべき分子の結晶化装置の使用にも関する。これらの分子は、一連のDNAもしくはRNA核酸配列、ウイルスフラグメント、タンパク質、タンパク質複合体、タンパク質−RNA複合体、タンパク質−リガンド複合体またはさらにポリペプチドであってもよい。
本発明はまた、上述の結晶化装置によって実行される結晶化方法にも関する。
本結晶化方法の第1の態様により、結晶化剤および/または添加剤の濃度Pを一定のままとして、図1aに示される、結晶化されるべき分子の濃度により、および温度により設定した、前記結晶化されるべき分子の相図に頼っている。
より具体的には、この第1の態様による、結晶化されるべき分子の結晶化方法は、下記の工程を含む:
a)
− 上述の結晶化装置の結晶化セルの結晶化室内に、前記結晶化されるべき分子の第1の溶液S1を有し、そしてこれが、第1の温度T1にあり、かつ溶液S1中の結晶化されるべき分子の濃度C1にあり、それにより、結晶化されるべき分子の濃度のパラメータおよび温度により設定される前記結晶化されるべき分子の相図の自発的核生成帯域内に、または準安定帯域の上限上に、結晶化されるべき分子が見出され、
− 結晶化セルの区画内に第2の溶液S2、いわゆる結晶化溶液を有し、前記結晶化溶液S2が、一定濃度Pにおける少なくとも1種の結晶化剤および/または1種の添加剤を含有し、
それにより、結晶化剤および/または添加剤が溶液S1中に拡散し、それにより結晶化されるべき分子の結晶種が現れる工程;
b)結晶化セルの温度を、温度T2まで上昇させ、それにより核生成が停止し、結晶化されるべき分子が、結晶化されるべき分子の相図の準安定帯域中に見出される工程;
c)温度T2で、結晶種を、第1の平衡点E1が得られる(図1a中に示される)まで成長させ、そこにおいて結晶のサイズは一定に維持され、到達される溶液S1中の結晶化されるべき分子の濃度が、その結果濃度C2である工程;
d)結晶化室の温度を、温度T3まで低下させ、それにより結晶化室内に存在する結晶が常に、結晶化されるべき分子の相図の準安定帯域内に位置する工程;
e)結晶種および結晶を、温度T3で、第2の平衡点E2が得られる(図1a中に示される)まで成長させ、そこにおいて結晶のサイズは一定に維持され、到達される溶液S1中の結晶化されるべき分子の濃度が、その結果濃度C3である工程;
f)結晶化されるべき分子の所望のサイズの結晶が得られるまで、工程c)〜e)を繰り返す工程;
g)工程f)の終わりに得られた結晶を回収する工程。
図1aは、本発明による方法の態様であり、工程a)において、結晶化されるべき分子が、結晶化されるべき分子の温度のパラメータと濃度のパラメータとにより設定された前記結晶化されるべき分子の相図の、準安定帯域の上限に見出される態様を示している。
工程f)において、所望のサイズとは、結晶のX線結晶構造解析を意図する場合に0.1mmのオーダーのサイズを意味し、結晶の中性子結晶構造解析を意図する場合には1.0mmのオーダーのサイズを意味する。
結晶は、本発明にかかる方法の工程g)において容易に回収され、それは結晶化溶液S2ならびに結晶化セルの貯槽を除去し易いからである。次に、プライヤーによってそれを取り出すために、外科用メスにより、結晶化室の隙間に沿って膜の切断を行ってよい。
このようにして、結晶化されるべき分子を含有する試料についての機械的不安の原因が最小となる。次に、結晶は、従来結晶構造解析において使用されている、繊維による適切なサイズのループ内に直接取り付けられる。全てのこの手順は、本発明による結晶化装置が含んでいてよい光学顕微鏡下で、結晶化セルを見ながら行われてもよい。
本結晶化方法の第2の態様により、結晶化セルの温度Tが一定に維持されて、また図1bに示されるような、結晶化されるべき分子の濃度、および結晶化剤および/または添加剤の濃度により設定される、結晶化されるべき分子の相図に頼っている。
より具体的には、この第2の態様による、結晶化されるべき分子の結晶化方法は、下記の工程を含む:
a)
− 上述の結晶化装置の結晶化セルの結晶化室内に、前記結晶化されるべき分子の第1の溶液S1を有し、そしてこれが、結晶化セルの一定温度Tにあり、かつ結晶化されるべき分子の濃度C1にあり、それにより、結晶化されるべき分子が、この結晶化されるべき分子の濃度のパラメータおよび結晶化剤および/または添加剤の濃度のパラメータにより設定される、前記結晶化されるべき分子の相図の自発的核生成帯域内に、または準安定帯域の上限上に見出され、
− 結晶化セルの区画内に、濃度P1における少なくとも1種の結晶化剤および/または1種の添加剤を含有する第2の溶液S2、いわゆる結晶化溶液を有し、
それにより、結晶化剤および/または添加剤が溶液S1中に拡散し、それにより結晶化されるべき分子の結晶種が現れる工程;
b)結晶化剤および/または添加剤の濃度を、濃度P2まで低下させ、それにより核生成が停止し、結晶化されるべき分子が、前記結晶化されるべき分子の相図の準安定帯域中に見出される工程;
c)結晶化剤および/または添加剤の濃度P2で、結晶種を、第1の平衡点E1が得られる(図1b中に示されるような)まで成長させ、そこにおいて結晶のサイズは一定に維持され、到達される溶液S1中の結晶化されるべき分子の濃度が、その結果濃度C2である工程;
d)結晶化剤および/または添加剤の濃度を、濃度P3まで上昇させ、それにより、結晶化室内に存在する結晶が常に、前記結晶化されるべき分子の相図の準安定帯域内に位置する工程;
e)結晶種および結晶を、結晶化剤および/または添加剤の濃度P3で、第2の平衡点E2が得られる(図1b中に示されるような)まで成長させ、そこにおいて結晶のサイズは一定に維持され、到達される溶液S1中の結晶化されるべき分子の濃度が、濃度C3である工程;
f)結晶化されるべき分子の所望のサイズの結晶が得られるまで、工程c)〜e)を繰り返す工程;
g)工程f)の終わりに得られた結晶を回収する工程。
図1bは、本発明にかかる方法の態様であり、工程a)において、結晶化されるべき分子が、結晶化されるべき分子の濃度のパラメータ、および結晶化剤および/または添加剤の濃度のパラメータにより設定された前記結晶化されるべき分子の相図の、準安定帯域の上限に見出される態様を示している。
工程f)において、所望のサイズとは、結晶のX線結晶構造解析を意図する場合に0.1mmのオーダーのサイズを意味し、結晶の中性子結晶構造解析を意図する場合には1.0mmのオーダーのサイズを意味する。
本結晶化方法の第3の態様により、
− 前記結晶化されるべき分子の濃度と、
− 結晶化剤および/または添加剤の濃度と
− 温度と
により設定された、結晶化されるべき分子の相図に頼っている。
それゆえ、この相図は、三次元の図である。
したがって、この第3の態様によれば、同時に温度のパラメータと、結晶化剤および/または添加剤の濃度のパラメータとに基づいて設定することが可能である。
この第3の態様による結晶化方法の条件は、前述のパラメータの両方に基づいて同時に設定するという差異があるが、この方法の第1および第2の態様について詳述した条件と同一である。
したがって、この第3の態様による結晶化方法の工程a)において、結晶化されるべき分子は、三次元における相図の自発的核生成帯域中に見出される。
次に、規則正しい結晶の成長を制御するために、この三次元相図の準安定帯域内に位置させる可能性をもたらす条件を追求する。
さらに、本発明において説明される、相図の知識、ならびに結晶化パラメータ例えば温度および濃度(結晶化剤および/または添加剤の)などの独特の制御により、本発明による結晶化方法を行う間に、結晶の数およびそれらの巨視的欠陥を減らす可能性、ならびに所望される相の核生成および/または成長を選択する可能性がもたらされる。
さらに、本発明による結晶化方法は、下記の物理的現象を誘発することができる利点を有する:
− 動力学的熟成、
− 相転移。
結晶化されるべき分子の溶液中に、同一相のいくつかの結晶が存在する場合、またそれらが異なる瞬間に形成される場合、それらは異なるサイズを有する。
室温で、小さな結晶は、大きな結晶よりも大きい溶解性を有する。オストワルド熟成(等温現象)の結果は、時間が経過すると(数週間または数か月)、小さな結晶が消失して大きな結晶の利益になるという事実にある。温度のおよび/または結晶化剤ならびに/もしくは添加剤の濃度の制御された変動が課せられると、動力学的熟成が始動され、最小の結晶のより急速な消失をもたらす。
結晶の巨視的欠陥、例えば、単結晶上に接合した衛星結晶などについて、同じことが当て嵌る。温度の制御された変動および/または結晶化剤/添加剤の濃度の制御された波動を誘発することによって、これらの衛星が完全に消失して、大きな単結晶の成長という利益になる可能性がある。
温度の制御された変動および/または結晶化剤ならびに/もしくは添加剤の濃度の制御された変動は、相の転移現象(他の相の利益となるある相の消失)の起点であってもよい。これらの相は、多形相、溶媒和物、他の相の微結晶固体および非晶質液体であってもよい。
結晶化されるべき分子は、一連のDNAもしくはRNA核酸配列、ウイルスフラグメント、タンパク質、タンパク質複合体、タンパク質−RNA複合体、タンパク質−リガンド複合体またはさらにポリペプチドから選択されることが有利である。
本発明の範囲内で結晶化されるタンパク質の例として、無機酵母ピロホスファターゼ、ならびに黄色コウジ菌(Aspergillus flavus)の尿酸塩オキシダーゼに言及することができ、これらは、種々の抑制剤、例えば8−アザキサンチン、9−メチル尿酸、8−ニトロキサンチンなど、ならびにその天然基質:尿酸の存在において共結晶化することができる。
例として、無機酵母ピロホスファターゼは、濃度30mMの緩衝液MES中で可溶化される。これにより、結晶化溶液のpHを6に維持することが可能である。結晶化溶液S2は、15%のMPDおよび0.5mMのNaH2PO4、1mMのMnCl2、ならびに30mMのMES緩衝液(pH6)を含む溶液である。
他の例として、尿酸塩オキシダーゼは、pH8.5を有するように、濃度100mMのTris緩衝液中で可溶化される。溶液S2は、5%のPEG8000、100mMのNaCl、および10mMのTris緩衝液(pH8.5)を含む溶液である。
本発明による結晶化方法は、基礎研究においてだけでなく、生物学的高分子の三次元構造、特にタンパク質の三次元構造が、新規な医薬化合物を開発するのに極めて重要であるので、全てのその利点を有する。
実際に、多くの薬剤の標的は内在性膜タンパク質であり、これらは実験的に特に要求が厳しいものである。作製するのが困難であるこのような標的について、既存の結晶化自動化方法ではしばしば非効率的である。
本発明にかかる結晶化方法によって、結晶のサイズ、その回折品質およびその結晶質相を「形づくる」ことが可能であり、その間、その構造を決定するための時間、努力および結晶化されるべき分子の所要量を著しく低減させる。
結晶サイズの時間に依存する変化が、画像取得装置によって、例えば、結晶の成長が始まると約20〜30分毎に、次いで終了する時点では2〜3時間毎に結晶の写真を撮影することによって、測定される。これらの写真は、特別に適応させた画像解析ソフトウエアパッケージによって解析してもよい。
上述の結晶化方法の全体の工程は、特に、タンパク質の中性子結晶構造解析において必要とされる、大量の結晶化されるべき分子の結晶を有することが所望される場合、2か月に達する期間にわたって広げてもよい点に注目されたい。
X線結晶構造解析については、1〜2週間の期間で十分である。
また、これらのステップの間の温度の選択は、結晶化されるべき分子の性質およびそれらの熱安定性によって決まる。
一例として、タンパク質の結晶化は、極めてデリケートな方法であり、この方法は、数多くの環境変数(例えば、タンパク質および結晶化剤の濃度、温度、pH)に、また制御するのが困難である動力学的因子に依存している。
尿酸塩オキシダーゼの場合、最適な温度範囲は、5℃〜28℃を含む。28℃を超えると(例えば、30℃では)タンパク質は、十分な時間量の間安定なままではいられず、分解を開始する。
したがって、本発明による結晶化方法は、極めて多岐にわたる分子に、すなわち、かなり大きな分子量の分子と、低分子量の分子例えば医薬化合物などとの両方に完全に適応している。
本発明は、添付された図面を参照して以下に考察される詳細な記述によって、より良好に理解されるであろう。
結晶化されるべき分子の濃度のパラメータ、および温度により設定される、結晶化されるべき分子の相図を示す図。ここで、分子は、直接溶解性を有するタンパク質である。 結晶化されるべき分子の濃度のパラメータ、ならびに結晶化剤および/または添加剤の濃度のパラメータにより設定される、結晶化されるべき分子の相図を示す図。 本発明による結晶化セルの分解および透視概略図を示す図。 図2aに例示した結晶化セルの概略透視図を示す図。 本発明による結晶化装置の概略正面図を示す図。 図3aに例示した結晶化装置の概略側面図を示す図。
図2aおよび2bにおいて、本発明による結晶化セル1を例示している。この結晶化セル1は下記を含む:
− 結晶化室2、その中に、結晶化されるべき分子の第1の溶液S1を受け取ることが意図された空洞3が作られている。空洞3は、光学的底部4と、光学的底部に面する隙間5とを含む;
− 結晶化室2の空洞3の隙間5を覆うことが意図された透析膜(見ることができない);
− 結晶化室2上に嵌め込まれることが意図された貯槽7であり、一方で貯槽7によって、そして他方で結晶化室2によって形成される密封された区画8を作り出すような貯槽7。区画8は第2の溶液S2、いわゆる結晶化溶液で満たされる;
− ガスケット13が取り付けられた上部室12;
− 光学的窓14、ガスケット11を備えたプラグ6。第1のエンドピース10および第2のエンドピース18を有し、それぞれが、図2aおよび2b中には図示されない蠕動ポンプの添加チャンネルおよび採取チャンネルに接続されることが意図されている。
透析膜は、上部室12およびガスケット13によって、結晶化室2の上の所定の位置に保持されている。実際に、透析膜は、ガスケット13によって上部室12の上に置かれ、次いで、その全体が、結晶化室2の上に置かれた。
結晶化溶液S1内に存在する、結晶化されるべき分子は、透析膜を通って拡散しない。
浸透および分子拡散効果によって、結晶化溶液S2の結晶化剤、添加剤および緩衝剤は透析膜を越えるが、一方、結晶化溶液S1の結晶化分子は結晶化室2内に保持される。
結晶化溶液S2中に存在する化合物と、溶液S1中に存在する化合物との間で、透析膜のいずれかの側で浸透平衡が確立され、この浸透平衡は、結晶化されるべき分子にあるだけでなく、透析膜を通って拡散している前述の結晶化剤ならびに添加剤および緩衝剤にもある。
さらに、透析膜を通る溶液S2の結晶化剤、添加剤および緩衝剤の拡散は、制御された形で結晶化されるべき分子の結晶を得る可能性をもたらし、それはこの制御された拡散によって、溶液S1中に存在する結晶が、図1aおよび1bに例示した相図のC帯域とA帯域との間の境界に位置できるからである。
したがって、本発明による結晶化方法は、準安定帯域の上限に位置する間の自発性核生成、および準安定帯域内に位置する間の結晶の成長の両方を制御する可能性をもたらす。
溶液S2の結晶化剤、添加剤および緩衝剤が透析膜を通って可逆的に拡散する可能性があるため、透析膜は、溶液S1の成分を容易にかつ可逆的な形で変化させることが可能であるという利点を結晶化セル1に提供する。また、このことは、結晶化剤、添加剤および緩衝剤を添加すること、および/または、その間、結晶化されるべき分子の結晶化方法の間に逐次、結晶化溶液S2の全部または一部を採取することによって、より具体的には、例えば図1aおよび1b中に例示されるものなどの、結晶化されるべき分子の相図によって決定される最適の結晶化条件(すなわち、核生成およびまたは結晶の成長をもたらす条件)のもとで、容易に行われる。
したがって、結晶化セル1によって、結晶化溶液S2の成分の任意の濃度、温度の組合せを検討すること、そのため、溶液S1中における、結晶化されるべき分子の量が結晶化の全体にわたって一定のままとなり得ることが容易に可能となる。
結晶化セル1は、結晶化されるべき分子の同一の試料について多数の結晶化条件を探究する可能性をもたらす。これにより、所望のサイズ、回折品質および結晶性相の結晶が得られ、かつこれが現行技術と比較して経済的に(特にハードウエアについて)、また時間的にかなり改善して、得られる利点が提供される。
溶液S1の結晶は、実際に、透析膜を通して結晶化溶液S2の成分を連続的に供給することによって、持続的に最適の結晶化条件に掛けられる。
図3aおよび3bにおいて、本発明による結晶化装置9であって:
− ビデオ顕微鏡22、
− コンピュータ(図示されない)に接続されているデジタルカラーカメラ16、
− 支持体23、24、
− 発光ダイオード19、20、21
を含む結晶化装置9が例示されている。
プラグ6の入口エンドピース10は、蠕動ポンプ(図示されない)の入口チャンネル15に接続される。このことが、貯槽7中の溶液S2に、結晶化剤、添加剤および緩衝剤によって構成される群から選択される成分を添加する実現性をもたらす。プラグ6の出口エンドピース18は、蠕動ポンプ(図示されない)の出口チャンネル17に接続される。このことが、貯槽7内の溶液S2の全部または一部を採取する実現性をもたらす。

Claims (15)

  1. 結晶化されるべき分子の結晶化装置(9)であって:
    − 少なくとも1つの結晶化セル(1)であり、
    ・結晶化室(2)であり、その中に、結晶化されるべき分子ならびにその結晶種、および任意に少なくとも1種の緩衝剤を含有する第1の溶液S1を受け取ることが意図された空洞(3)が作られ、前記空洞(3)が、光学的底部(4)および前記光学的底部(4)に面した隙間(5)を含む結晶化室(2)、
    ・前記結晶化室(2)の前記空洞(3)の前記隙間(5)を覆うことが意図された透析膜、
    ・前記結晶化室(2)上に嵌め込まれることが意図された貯槽(7)であり、それにより一方で前記貯槽(7)によって、そして他方で前記結晶化室(2)によって形成される密封された区画を作り出し、前記区画が、結晶化剤、添加剤および緩衝剤によって構成される群から選択される成分を含有する第2の溶液S2、いわゆる結晶化溶液で満たされることが意図されている貯槽(7)
    を含む前記結晶化セル(1)と;
    − 少なくとも1種の画像取得手段と
    を具備し、
    − 前記貯槽(7)中に、結晶化剤、添加剤および緩衝剤によって構成される群から選択される成分を前記溶液S2に添加するために配置された少なくとも1種の添加手段、
    および/または
    − 前記貯槽(7)内において、前記溶液S2の全部または一部を採取するために配置された少なくとも1種の採取手段
    を含むことを特徴とする結晶化装置(9)。
  2. 請求項1に記載の結晶化装置(9)であって、前記貯槽(7)内において、前記添加手段が、結晶化剤、添加剤および緩衝剤によって構成される群から選択される成分を、前記溶液S2に添加するために配置された駆動手段にあることを特徴とする結晶化装置。
  3. 請求項1または2に記載の結晶化装置(9)であって、前記採取手段が、前記貯槽内において、前記溶液S2の全部または一部を採取するために配置された駆動手段にあることを特徴とする結晶化装置。
  4. 請求項1〜3のいずか1項に記載の結晶化装置(9)であって、前記添加手段および前記採取手段が、多チャンネル蠕動ポンプにあることを特徴とする結晶化装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の結晶化装置(9)であって、前記結晶化装置(9)の温度を制御しかつ変えるための少なくとも1種の手段をさらに含むことを特徴とする結晶化装置。
  6. 請求項5に記載の結晶化装置(9)であって、前記温度を制御しかつ変動させるための前記手段が、ペルチェ効果セルであることを特徴とする結晶化装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の結晶化装置(9)であって、前記溶液S1中の前記結晶化されるべき分子の濃度を測定するための少なくとも1種の手段をさらに含むことを特徴とする結晶化装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の結晶化装置(9)であって、前記結晶化セル(1)が、前記結晶化室(2)と前記貯槽(7)との間に取り付けられるように配置されるとともに、その上に前記透析膜が置かれる上部室(12)を含むことを特徴とする結晶化装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の結晶化装置(9)であって、前記貯槽(7)が、前記透析膜の反対側端部に取り付けられる、光学的窓(14)を備えたプラグ(6)を含むことを特徴とする結晶化装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の結晶化装置(9)であって、前記透析膜が、セルロース膜または合成膜であることを特徴とする結晶化装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の結晶化装置(9)であって、前記光学的底部(4)が、ポリカーボネート、石英またはガラス内にあることを特徴とする結晶化装置。
  12. − 結晶化室(2)であり、その中に、結晶化されるべき分子ならびにその結晶種、および任意に少なくとも1種の緩衝剤を含有する第1の溶液S1を受け取ることが意図された空洞(3)が作られ、前記空洞(3)が、光学的底部(4)およびその光学的底部(4)に面した隙間(5)を含む結晶化室(2)、
    − 前記結晶化室(2)の前記空洞(3)の前記隙間(5)を覆うことが意図された透析膜、
    − 前記結晶化室(2)上に嵌め込まれることが意図された貯槽(7)であり、それにより一方で前記貯槽(7)によって、そして他方で前記結晶化室(2)によって形成される密封された区画を作り出し、前記区画が、結晶化剤、添加剤および緩衝剤によって構成される群から選択される成分を含有する第2の溶液S2、いわゆる結晶化溶液で満たされることが意図されている貯槽(7)
    を具備する前記結晶化セル(1)であって、前記結晶化セル(1)は、
    前記結晶化室(2)と前記貯槽(7)との間に取り付けられるように配置されるとともに、その上に前記透析膜が置かれる上部室(12)をさらに含むことを特徴とする結晶化セル(1)。
  13. 請求項12に記載の結晶化セル(1)であって、前記貯槽(7)が、前記透析膜の反対側末端に取り付けられる、光学的窓(14)を備えたプラグ(6)を含むことを特徴とする結晶化セル。
  14. 結晶化されるべき分子の結晶化方法であって、下記の工程を含むことを特徴とする方法。
    a)
    − 請求項1〜11のいずれかに記載の結晶化装置(9)の前記結晶化セル(1)の前記結晶化室(2)内に、前記結晶化されるべき分子の第1の溶液S1を有し、そしてこれが、第1の温度T1にあり、かつ前記溶液S1中の前記結晶化されるべき分子の濃度C1にあり、それにより、前記結晶化されるべき分子の濃度のパラメータおよび温度により設定される、前記結晶化されるべき分子の相図の自発的核生成帯域内に、または準安定帯域の上限上に、前記結晶化されるべき分子が見出され、
    − 前記結晶化セル(1)の区画(8)内に第2の溶液S2、いわゆる結晶化溶液を有し、前記結晶化溶液S2が、一定濃度Pにおける少なくとも1種の結晶化剤および/または1種の添加剤を含有し、
    それにより、前記結晶化剤および/または前記添加剤が前記溶液S1中に拡散し、それにより前記結晶化されるべき分子の結晶種が現れる工程;
    b)前記結晶化セル(1)の温度を、温度T2まで上昇させ、それにより核生成が停止し、前記結晶化されるべき分子が、前記結晶化されるべき分子の相図の当該準安定帯域内に見出される工程;
    c)温度T2で、前記結晶種を第1の平衡点E1が得られるまで成長させ、そこにおいて結晶のサイズは一定に維持され、到達される前記溶液S1中の前記結晶化されるべき分子の濃度が、その結果濃度C2である工程;
    d)前記結晶化室(2)の温度を、温度T3まで低下させ、それにより、前記結晶化室(2)内に存在する前記結晶が常に、前記結晶化されるべき分子の相図の当該準安定帯域内に位置する工程;
    e)前記結晶種および前記結晶を、温度T3で、第2の平衡点E2が得られるまで成長させ、そこにおいて前記結晶のサイズは一定に維持され、到達される前記溶液S2中の前記結晶化されるべき分子の濃度が、その結果濃度C3である工程;
    f)前記結晶化されるべき分子の所望のサイズの結晶が得られるまで、工程c)〜e)を繰り返す工程;
    g)工程f)の終わりに得られた前記結晶を回収する工程。
  15. 結晶化されるべき分子の結晶化方法であって、下記の工程を含むことを特徴とする方法。
    a)
    − 請求項1〜11のいずれかに記載の結晶化装置(9)の前記結晶化セル(1)の前記結晶化室(2)内に、前記結晶化されるべき分子の第1の溶液S1を有し、そしてこれが、前記結晶化セル(1)の一定温度Tにあり、かつ濃度C1にあり、それにより、前記結晶化されるべき分子の濃度のパラメータおよび結晶化剤および/または添加剤の濃度のパラメータにより設定される、前記結晶化されるべき分子の相図の自発的核生成帯域内に、または準安定帯域の上限上に、前記結晶化されるべき分子が見出され、
    − 前記結晶化セル(1)の区画(8)内に、濃度P1における少なくとも1種の結晶化剤および/または1種の添加剤を含有する第2の溶液S2、前記結晶化溶液を有し、
    それにより、前記結晶化剤および/または前記添加剤が前記溶液S1中に拡散し、それにより前記結晶化されるべき分子の結晶種が現れる工程;
    b)前記結晶化剤および/または前記添加剤の濃度を、濃度P2まで低下させ、それにより核生成が停止し、前記結晶化されるべき分子が、前記結晶化されるべき分子の相図の当該準安定帯域内に見出される工程;
    c)前記結晶化剤および/または前記添加剤の濃度P2で、前記結晶種を、第1の平衡点E1が得られるまで成長させ、そこにおいて結晶のサイズは一定に維持され、到達される前記溶液S1中の前記結晶化されるべき分子の濃度が、その結果濃度C2である工程;
    d)前記結晶化剤および/または前記添加剤の濃度を、濃度P3まで上昇させ、それにより、前記結晶化室(2)内に存在する前記結晶が常に、前記結晶化されるべき分子の相図の当該準安定帯域内に位置する工程;
    e)前記結晶種および前記結晶を、前記結晶化剤および/または前記添加剤の濃度P3で、第2の平衡点E2が得られるまで成長させ、そこにおいて前記結晶のサイズは一定に維持され、到達される前記溶液S1中の前記結晶化されるべき分子の濃度が、濃度C3である工程;
    f)前記結晶化されるべき分子の所望のサイズの結晶が得られるまで、工程c)〜e)を繰り返す工程;
    g)工程f)の終わりに得られた前記結晶を回収する工程。
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