JP2013529203A - 治療方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、抗c−Met抗体とタキサンの組み合わせによる3重転移性乳癌の治療に関する。該組合せは抗VEGF抗体を更に含みうる。

Description

(関連出願とのクロスリファレンス)
この出願、その内容を出典明示によりここに援用する2010年5月14日出願の米国特許出願第61/345044号及び2010年5月19日出願の同第61/346424号の優先権を主張する。
(配列表)
この出願はEFS−Webを経由して提出され、その全体が出典明示によりここに援用される配列表を含む。2011年5月10日に作成された上記ASCIIコピーは、P4451R1−WOと名前が付けられ、26286バイトのサイズである。
(技術分野)
本発明は一般に分子生物学及び増殖因子調節の分野に関する。より詳細には、本発明は、癌のような病理状態の治療のための併用療法に関する。
癌はなおもヒトの健康に対して最も死に至る脅威の一つである。合衆国では、およそ130万の新しい患者が毎年癌になっており、心臓疾患に次ぐ第二の死因で、4名の死亡のうちおよそ1名を占める。乳癌は第二の最も一般的な癌の形態であり、米国人女性における二番目の癌の死因である。癌は5年以内の第一番目の死因として循環器疾患を凌ぐ可能性があることがまた予想される。固形腫瘍がその死亡の殆どの原因である。所定の癌の医療的処置において顕著な進歩があったが、全ての癌に対する全体の5年生存率は過去20年で約10%改善されたに過ぎない。癌又は悪性腫瘍は転移し、制御されない形で急速に増殖し、適時の検出と治療を極めて困難なものにしている。
乳癌は合衆国において毎年多くの女性を死亡させる疾病である。米国癌協会によれば、2008年におよそ40000名が死亡する。180000を越える新しい乳癌の症例が毎年診断され、8名に一人の女性が乳癌を発症すると推定される。これらの数値は、乳癌が今日の女性が直面する最も危険な疾病の一つであることを示している。転移性乳癌は一般に不治であり、ほんの少しの患者だけが標準的な化学療法後に長期間の生存を達成する。Greenberg等, J. Clin. Oncol. 14:2197-2205 (1996)。
癌はなおも最も致命的な脅威の一つであるので、患者に対する更なる癌治療が必要とされる。本発明は、次の開示を検討すると明らかになるように、これらや他の必要性に取り組むものである。
特許出願及び刊行物を含むここに引用された全ての文献はその全体が出典明示により援用される。
一態様では、本発明は、乳癌の治療方法であって、エストロゲンレセプター(ER)陰性、プロゲステロンレセプター(PR)陰性及びHER2陰性(集合的に、3重陰性)転移性乳癌患者に有効量の抗c−met抗体及びタキサンを投与することを含む方法を提供する。
一態様では、本発明は、乳癌の治療方法であって、ER陰性、PR陰性及びHER2陰性(集合的に、3重陰性)転移性乳癌患者に有効量の抗c−met抗体、抗VEGF抗体、及びタキサンを投与することを含む方法を提供する。
一態様では、本発明は、乳癌の治療方法であって、ER陰性、PR陰性及びHER2陰性(ER−、PR−、及びHER2−;又は3重陰性)転移性乳癌患者に、例えば患者の生存率を増加させ、患者の癌再発リスクを減少させ、及び/又は患者の生存可能性を増加させるために、28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体(例えばMetMAb)を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を行うことを含む方法を提供する。
更に他の態様では、本発明は、例えば患者の生存を増大させ、患者の癌再発リスクを減少させ、及び/又は患者の生存の可能性を増大させるために、タキサンとの併用で、転移性3重陰性乳癌患者の治療のために抗c−met抗体(例えば一価抗c−met抗体、例えばMetMAb)をプロモーションする方法を提供する。幾つかの実施態様では、タキサンはパクリタキセルである。幾つかの実施態様では、治療は、3重陰性転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体(例えばMetMAb)を投与し、該28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗VEGF抗体を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を含む。プロモーションは利用可能な任意の手段によって実施されうる。幾つかの実施態様では、プロモーションは抗c−met抗体の市販製剤に伴うパッケージ挿入物による。プロモーションはまたタキサンの市販製剤に伴うパッケージ挿入物によってもよい。プロモーションは医師又はヘルスケア提供者への文書又は口頭によるコミュニケーションによってもよい。幾つかの実施態様では、プロモーションは、パッケージ挿入物が抗c−met抗体、及び/又はタキサンでの治療を受ける指示を提供するパッケージ挿入物による。幾つかの実施態様では、プロモーションには、タキサンと共に又はタキサンを伴わないでの抗c−met抗体での患者の治療が続く。幾つかの実施態様では、治療は、3重陰性転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体(例えばMetMAb)を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を含む。
また更なる態様では、本発明は、例えば患者の生存を増大させ、患者の癌再発リスクを減少させ、及び/又は患者の生存の可能性を増大させるために、抗c−met抗体との併用で、転移性3重陰性乳癌患者の治療のためにタキサンをプロモーションする方法を提供し、ここで、タキサンは例えばパクリタキセルでありうる。幾つかの実施態様では、治療は、3重陰性転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体(例えばMetMAb)を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を含む。
幾つかの態様では、本発明は、例えば患者の生存を増大させ、患者の癌再発リスクを減少させ、及び/又は患者の生存の可能性を増大させるために、抗c−met抗体とタキサンでの治療を受ける指示を提供することによって3重陰性転移性乳癌患者に指示をする方法を提供する。幾つかの実施態様では、治療は、3重陰性転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を含む。
本発明は、例えば生存を増大させ、患者の癌再発リスクを減少させ、及び/又は患者の生存の可能性を増大させるために、ヒト患者における3重陰性転移性乳癌の治療のために抗c−met抗体をマーケティングすることを含むビジネス方法を提供する。幾つかの実施態様では、治療は、3重陰性転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体(例えばMetMAb)を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を含む。幾つかの実施態様では、該方法はヒト患者における3重陰性転移性乳癌の治療のためにタキサンをマーケティングすることを更に含む。幾つかの実施態様では、マーケティングにタキサンと共に又はタキサンを伴わない抗c−met抗体での患者の治療が続く。
また提供されるのは、例えば生存を増大させ、患者の癌再発リスクを減少させ、及び/又は患者の生存の可能性を増大させるために、ヒト患者における3重陰性転移性乳癌の治療のために抗c−met抗体とタキサンをマーケティングすることを含むビジネス方法である。幾つかの実施態様では、治療は、3重陰性転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体(例えばMetMAb)を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を含む。幾つかの実施態様では、マーケティングにタキサンと共に又はタキサンを伴わない抗c−met抗体での患者の治療が続く。
他の態様では、本発明は、抗c−met抗体(例えば一価抗c−met抗体、例えばMetMAb)、及び/又は抗VEGF抗体、及び/又はタキサン、及び3重陰性転移性乳癌の患者を治療するための指示を含むパッケージ挿入物又はラベルを含んでなる製造品を提供する。幾つかの実施態様では、タキサンはパクリタキセルである。幾つかの実施態様では、治療は、3重陰性転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体(例えばMetMAb)を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を含む。幾つかの実施態様では、治療は該28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)を投与する投与を更に含む。
他の態様では、本発明は、製造品の製造方法を提供し、該製造品は、抗c−met抗体(例えば一価抗c−met抗体、例えばMetMAb)、及び/又は抗VEGF抗体、及び/又はタキサン、及び3重陰性転移性乳癌の患者を治療するための指示を含むパッケージ挿入物又はラベルを含んでなる。幾つかの実施態様では、タキサンはパクリタキセルである。幾つかの実施態様では、治療は、3重陰性転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体(例えばMetMAb)を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を含む。幾つかの実施態様では、治療は該28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)を投与する投与を更に含む。
一態様では、本発明は、例えば生存を増大させ、患者の癌再発リスクを減少させ、及び/又は患者の生存の可能性を増大させるために、ER陰性、PR陰性及びHER2陰性(ER−、PR−、及びHER2−;又は3重陰性)転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体(例えばMetMAb)を投与し、該28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を行うことを含む乳癌の治療方法を提供する。更に他の態様では、本発明は抗VEGF抗体の投与を含む方法を提供する。よって、幾つかの態様では、本発明は、例えば患者の生存を増大させ、患者の癌再発リスクを減少させ、及び/又は患者の生存の可能性を増大させるために、抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)及びタキサンとの併用で、転移性3重陰性乳癌患者の治療のために抗c−met抗体(例えば一価抗c−met抗体、例えばMetMAb)をプロモーションする方法を提供する。幾つかの実施態様では、タキサンはパクリタキセルである。幾つかの実施態様では、治療は、3重陰性転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体(例えばMetMAb)を投与し、該28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を含む。プロモーションは利用可能な任意の手段によって実施されうる。幾つかの実施態様では、プロモーションは抗c−met抗体の市販製剤に伴うパッケージ挿入物による。プロモーションはまた抗VEGF抗体の市販製剤に伴うパッケージ挿入物によってもよい。プロモーションはまたタキサンの市販製剤に伴うパッケージ挿入物によってもよい。プロモーションは医師又はヘルスケア提供者への文書又は口頭によるコミュニケーションによってもよい。幾つかの実施態様では、プロモーションは、パッケージ挿入物が抗c−met抗体、抗VEGF抗体及び/又はタキサンでの治療を受ける指示を提供するパッケージ挿入物による。幾つかの実施態様では、プロモーションには、タキサン又は抗VEGF抗体と共に又はタキサン又は抗VEGF抗体を伴わないでの抗c−met抗体での患者の治療が続く。更なる態様では、本発明は、抗c−met抗体(例えばMetMAb)及びタキサン、例えばパクリタキセルとの併用で3重陰性転移性乳癌患者の治療のために抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)をプロモーションする方法を提供する。幾つかの実施態様では、治療は、3重陰性転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体(例えばMetMAb)を投与し、該28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を含む。
また更なる態様では、本発明は、例えば生存を増大させ、患者の癌再発リスクを減少させ、及び/又は患者の生存の可能性を増大させるために、抗c−met抗体及び抗VEGF抗体との併用で、転移性3重陰性乳癌患者の治療のためにタキサンをプロモーションする方法を提供し、ここで、タキサンは例えばパクリタキセルでありうる。幾つかの実施態様では、治療は、3重陰性転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体(例えばMetMAb)を投与し、該28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を行うことを含む。
幾つかの態様では、本発明は、例えば生存を増大させ、患者の癌再発リスクを減少させ、及び/又は患者の生存の可能性を増大させるために、抗c−met抗体、抗VEGF抗体及びタキサンでの治療を受けるための指示を提供することにより3重陰性転移性乳癌の患者に指示をする方法を特徴とする。幾つかの実施態様では、治療は、3重陰性転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体(例えばMetMAb)を投与し、該28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を行うことを含む。
本発明は、例えば生存を増大させ、患者の癌再発リスクを減少させ、及び/又は患者の生存の可能性を増大させるために、ヒト患者における3重陰性転移性乳癌の治療のために抗c−met抗体をマーケティングすることを含むビジネス方法を提供する。幾つかの実施態様では、治療は、3重陰性転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体(例えばMetMAb)を投与し、該28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を行うことを含む。幾つかの実施態様では、該方法は、ヒト患者における3重陰性転移性乳癌の治療のために抗VEGF抗体及びタキサンをマーケティングすることを更に含む。幾つかの実施態様では、マーケティングにタキサン及び/又は抗VEGF抗体を伴うか又は伴わないで抗c−met抗体での患者の治療が続く。幾つかの実施態様では、マーケティングにタキサン及び/又は抗c−met抗体を伴うか又は伴わないで抗VEGF抗体での患者の治療が続く。また提供されるものは、例えば生存を増大させ、患者の癌再発リスクを減少させ、及び/又は患者の生存の可能性を増大させるために、ヒト患者における3重陰性転移性乳癌の治療のために抗c−met抗体、抗VEGF抗体、及びタキサンをマーケティングすることを含むビジネス方法が提供される。幾つかの実施態様では、治療は、3重陰性転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体(例えばMetMAb)を投与し、該28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を行うことを含む。幾つかの実施態様では、マーケティングにタキサン又は抗VEGF抗体を伴うか又は伴わないで抗c−met抗体での患者の治療が続く。幾つかの実施態様では、マーケティングにタキサン又は抗c−met抗体を伴うか又は伴わないで抗VEGF抗体での患者の治療が続く。
他の態様では、本発明は、抗c−met抗体(例えば一価抗c−met抗体、例えばMetMAb)、及び/又は抗VEGF抗体、及び/又はタキサン、及び3重陰性転移性乳癌の患者を治療するための指示を含むパッケージ挿入物又はラベルを含んでなる製造品を提供する。幾つかの実施態様では、タキサンはパクリタキセルである。幾つかの実施態様では、治療は、3重陰性転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体(例えばMetMAb)を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を含む。幾つかの実施態様では、治療は該28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)を投与する投与を更に含む。
他の態様では、本発明は、製造品の製造方法を提供し、該製造品は、抗c−met抗体(例えば一価抗c−met抗体、例えばMetMAb)、及び/又は抗VEGF抗体、及び/又はタキサン、及び3重陰性転移性乳癌の患者を治療するための指示を含むパッケージ挿入物又はラベルを含んでなる。幾つかの実施態様では、タキサンはパクリタキセルである。幾つかの実施態様では、治療は、3重陰性転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体(例えばMetMAb)を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を含む。幾つかの実施態様では、治療は該28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)を投与する投与を更に含む。
幾つかの実施態様では、3重陰性転移性乳癌患者は3重陰性転移性乳癌に対して先の治療(例えば先の抗癌薬治療)を過去に受けていない。幾つかの実施態様では、3重陰性転移性乳癌患者は3重陰性転移性乳癌に対して過去に治療を受けている。幾つかの実施態様では、患者は3重陰性転移性又は局所的再発性乳癌を有している。幾つかの実施態様では、3重陰性転移性又は局所的再発性乳癌患者は3重陰性転移性又は局所的再発性乳癌に対して先の治療(例えば先の抗癌薬治療)を過去に受けていない。幾つかの実施態様では、3重陰性転移性又は局所的再発性乳癌患者は3重陰性転移性又は局所的再発性乳癌に対して過去に治療を受けている。
更なる実施態様では、抗c−met抗体、及びタキサンが同時に投与される。また更なる実施態様では、抗c−met抗体、及びタキサンは任意の順序で逐次的に投与される。他の実施態様では、抗c−met抗体の投与がタキサンの投与より早い。更なる実施態様では、抗c−met抗体(例えばMetMAb)、及びタキサン(例えばパクリタキセル)の投与は相乗効果を生じる。また更なる実施態様では、抗c−met抗体(例えばMetMAb)、及びタキサン(例えばパクリタキセル)の投与は抗c−met抗体の不在下での治療に対してヒト患者の生存を延長する。特定の実施態様では、無増悪生存期間(PFS)及び/又は全生存(OS)が延長される。幾つかの実施態様では、治療は、患者にタキサンを投与することによって達成されるPFS又はOSよりも、PFS又はOSを少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%又はそれ以上延長する。
更なる実施態様では、抗c−met抗体、抗VEGF抗体及びタキサンが同時に投与される。また更なる実施態様では、抗c−met抗体、抗VEGF抗体及びタキサンは任意の順で逐次的に投与される。他の実施態様では、抗c−met抗体の投与が抗VEGF抗体及びタキサンの投与より早い。更なる実施態様では、抗c−met抗体(例えばMetMAb)、抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)及びタキサン(例えばパクリタキセル)の投与は相乗効果を生じる。また更なる実施態様では、抗c−met抗体(例えばMetMAb)、抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)及びタキサン(例えばパクリタキセル)の投与は、抗c−met抗体の不在下での治療に対してヒト患者の生存を延長する。特定の実施態様では、無増悪生存期間(PFS)及び/又は全生存(OS)が延長される。幾つかの実施態様では、治療は、患者に抗VEGF抗体とタキサンを投与することによって達成されるPFS又はOSよりも、PFS又はOSを少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%又はそれ以上延長する。
本発明の方法は、癌治療の任意の他の手段の不存在下、例えば化学療法剤を含む更なる治療剤の不存在下で実施することができるが、本方法は、場合によっては、化学療法剤、異なった抗c−met抗体、異なった抗VEGF抗体、腫瘍関連抗原に対する抗体、抗ホルモン化合物、心保護薬、サイトカイン、抗血管新生剤、チロシンキナーゼ阻害剤、COX阻害剤、非ステロイド性抗炎症薬、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、癌胎児性タンパク質CA125に結合する抗体、Raf又はras阻害剤、リポソームドキソルビシン、トポテカン、異なったタキサン、悪心を治療する医薬、皮膚発疹を防止又は治療する医薬又は標準的な面皰治療、下痢を治療し又は防止する医薬、解熱医薬、及び造血成長因子からなる群から選択される更なる治療剤の投与を含みうる。
本発明の更なる態様では、ここでの実施態様の何れかに係るタキサンは、例えばタキソール(登録商標)パクリタキセル(Bristol- Myers Squibb Oncology, Princeton, N.J.)、タキソテール(登録商標)ドセタキセル(Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France)、又はアブラキサンTM パクリタキセルのクレモフォール(Cremophor)非含有アルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners, Schaumberg, Illinois)である。幾つかの実施態様では、タキサンは、各28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量で投与されるパクリタキセルである。二以上のタキサンは抗c−met抗体及び抗VEGF抗体を用いた投与と組み合わせて投与されるカクテルで使用することができる。
本発明の更なる態様では、ここでの実施態様の何れかに係る抗体は、キメラ、ヒト化又はヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。一実施態様では、抗体は抗体断片、例えばFv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、一アーム抗体、又はF(ab')断片である。他の実施態様では、抗体は全長抗体、例えばインタクトなIgG抗体又はここで定義された他の抗体クラス又はアイソタイプである。他の実施態様では、抗体はネイキッド抗体である。また他の実施態様では、抗体は薬剤にコンジュゲートされる。
本発明の他の態様では、抗c−met抗体は一価の一アーム抗体である。本出願は抗原結合アームを含むFabと比較して上記抗体断片の安定性を増大させるFc領域を含む一価一アーム抗体のヒトにおける投与を開示している。例えば国際公開第2005/063816号を参照のこと。全長抗体は、たとえFab断片としてアンタゴニスト抗体であっても、ある場合には標的抗原への結合の際に(望ましくない場合がある)アゴニスト効果を示しうる。例えば米国特許第6468529号を参照のこと。この現象は、アンタゴニスト効果が所望の治療的機能である場合は不運である。これらの場合、一アーム抗体(つまり、単一の抗原結合アームを含む抗体)の一価特性は、アンタゴニスト機能を必要とし抗体の二価が望まれないアゴニスト効果を生じる病理的症状の治療に適している標的分子への抗体の結合時にアンタゴニスト機能を生じ、及び/又は確保する。更に、ここに記載のFc領域を含む一アーム抗体は、同様の/実質的に同一の抗原結合特性を有するFab形態と比較して優れた薬物動態性状(例えば亢進した半減期及び/又は低減したインビボでのクリアランス速度)を特徴とし、よって一般的な一価Fab抗体の使用における主要な欠点を克服する。従って、ある実施態様では、抗c−met抗体は、Fc領域を含み、Fc領域が第一及び第二Fcポリペプチドを含み、第一及び第二Fcポリペプチドが複合体で存在し、上記抗原結合アームを含むFab分子と比較して上記抗体断片の安定性を増加させるFc領域を形成する一アーム抗体(つまり、重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインが単一の抗原結合アームを形成する)である。
幾つかの実施態様では、抗c−met抗体は抗c−met抗体又はその抗体断片であり、ここで、抗体は、(a)配列:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTSYWLHWVRQAPGKGLEWVGMIDPSNSDTRFNPNFKDRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCATYRSYVTPLDYWGQGTLVTVSS(配列番号:1)を有する重鎖可変ドメイン、CH1配列、及び第一Fcポリペプチドを含む第一ポリペプチド;(b)配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKSSQSLLYTSSQKNYLAWYQQKPGKAPKLLIYWASTRESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYYAYPWTFGQGTKVEIKR(配列番号:2)を有する軽鎖可変ドメイン、及びCL1配列を含む第二ポリペプチド;及び(c)第二Fcポリペプチドを含む第三ポリペプチドを含み、ここで、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインは複合体として存在し、単一の抗原結合アームを形成し、ここで、第一及び第二Fcポリペプチドが複合体で存在し、上記抗原結合アームを含むFab分子と比較して上記抗体断片の安定性を増加させるFc領域を形成する。幾つかの実施態様では、第一ポリペプチドは図1に示されたFc配列(配列番号:3)を含み、第二ポリペプチドは図2に示されたFc配列(配列番号:4)を含む。幾つかの実施態様では、第一ポリペプチドは図2に示されたFc配列(配列番号:4)を含み、第二ポリペプチドは図1に示されたFc配列(配列番号:3)を含む。
幾つかの実施態様では、抗c−met抗体は抗c−met抗体又はその抗体断片であり、ここで、抗体は(a) 重鎖可変ドメインを含む第一ポリペプチドであって、該ポリペプチドは配列:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTSYWLHWVRQAPGKGLEWVGMIDPSNSDTRFNPNFKDRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCATYRSYVTPLDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号:21)を含むもの;(b)軽鎖可変ドメインを含む第二ポリペプチドであって、該ポリペプチドは配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKSSQSLLYTSSQKNYLAWYQQKPGKAPKLLIYWASTRESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYYAYPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号:22)を含むもの;及びFc配列を含む第三ポリペプチドであって、該ポリペプチドは配列
DKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号:4)を含むものを含み、ここで、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインは複合体として存在し、単一の抗原結合アームを形成し、こで、第一及び第二Fcポリペプチドが複合体で存在し、上記抗原結合アームを含むFab分子と比較して上記抗体断片の安定性を増加させるFc領域を形成する。
一実施態様では、抗c−met抗体は、図1に示されたCDR1−HC、CDR2−HC及びCDR3−HC配列(配列番号:5、6、7)の一又は複数を含む重鎖可変ドメインを含む。幾つかの実施態様では、抗体は、図1に示されたCDR1−LC、CDR2−LC及びCDR3−LC配列(配列番号:8、9、10)の一又は複数を含む軽鎖可変ドメインを含む。幾つかの実施態様では、重鎖可変ドメインは、図1に示されたFR1−HC、FR2−HC、FR3−HC及びFR4−HC配列(配列番号:11、12、13、14)を含む。幾つかの実施態様では、軽鎖可変ドメインは、図1に示されたFR1−LC、FR2−LC、FR3−LC及びFR4−LC配列(配列番号:15、16、17、18)を含む。
幾つかの実施態様では、抗c−met抗体はオナルツズマブ(MetMAbと交換可能に称される)である。
本発明の方法における使用に適した他の抗c−met抗体はここに記載され、当該技術分野で知られている。抗肝細胞増殖因子(HGF)抗体は、抗c−met抗体を含む本発明の方法における使用にまた適している(抗c−met抗体との併用か又は抗c−met抗体を置換)。当該技術分野で知られているように、HGFはc−metレセプターのリガンドである。
幾つかの実施態様では、抗c−met抗体は、抗体断片内のFc配列のヘテロ二量体化を、ホモ二量体化を最小にしながら促進する少なくとも一つの特性を有する。そのような特性は免疫グロブリン集団の収率及び/又は純度及び/又は均一性を改善する。一実施態様では、抗体は国際公開第2005/063816号に記載の「ノブ」及び「ホール」を構成するFc変異を含む。例えば、ホール変異はFcポリペプチド中のT366A、L368A及び/又はY407Vの一又は複数であり得、ノブ変異はT366Wでありうる。
他の態様では、ここでの実施態様の何れかに係る抗VEGF抗体は、VEGF特異的アンタゴニスト、例えば以下に記載のVEGFレセプター分子又はキメラVEGFレセプター分子で置換されうる。本発明の方法のある実施態様では、抗VEGF抗体はベバシズマブである。本発明の方法において有用な例示的抗体は、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標))、G6抗体、B20抗体、及びその断片を含む。ある実施態様では、抗VEGF抗体は、次のアミノ酸配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTNYGMNWVRQAPGKGLEWVGWINTYTGEPTYAADFKRRFTFSLDTSKSTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAKYPHYYGSSHWYFDVWGQGTLVTVSS(配列番号:31)を含む重鎖可変領域と次のアミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQDISNYLNWYQQKPGKAPKVLIYFTSSLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYSTVPWTFGQGTKVEIKR(配列番号:32)を含む軽鎖可変領域を有している。
本発明の他の態様では、ここに提供される方法の幾つかの実施態様において、患者の癌はc−metを発現する。幾つかの実施態様では、患者の血清が高レベルのIL8を発現する(高レベルのIL8発現、例えばIL8タンパク質発現を示す)。幾つかの実施態様では、患者の血清は約150pg/mlより多いIL8を発現し、又は幾つかの実施態様では、約50pg/mlより多いIL8を発現する。幾つかの実施態様では、患者の血清は、約10pg/ml、20pg/ml、30pg/mlより多いIL8を発現する。IL8血清濃度を測定する方法は当該技術分野において知られている。幾つかの実施態様では、患者の血清は高レベルのHGFを発現する(高レベルのHGF発現、例えばHGFタンパク質発現を示す)。幾つかの実施態様では、患者の血清は約5000、10000、又は50000pg/mlを越えるHGFを発現する。
MetMAb(オナルツズマブ、又はOA5D5v2)のフレームワーク(FR)、CDR、第一定常ドメイン(CL又はCH1)及びFc領域(Fc)のアミノ酸配列を示す。示されるFc配列は、国際公開第2005/063816号に記載のように「ホール」(キャビティ)変異T366S、L368A及びY407Vを含む。 国際公開第2005/063816号に記載のように「ノブ」(突起)変異T366Wを含むFcポリペプチドの配列を示す。一実施態様では、この配列を含むFcポリペプチドは図1のFc配列を含むポリペプチドと複合体を形成し、Fc領域を生成する。 患者の診断、治療コホート及び投与サイクルを示す。BEV=ベバシズマブ;CR=著効;*=用量規制毒性。 最善の応答の全患者のベースラインからの腫瘍量の変化を示す。SLD=最長直径の合計;*=用量規制毒性のためデータなし;**=実施されず。
I.定義
ここで使用される「肝細胞増殖因子」又は「HGF」なる用語は、他に定義がなされない限り、このようなプロセスを生じせしめる条件下、HGF/c−metシグナル伝達経路を活性化することができる任意の天然又は変異体(天然又は合成にかかわらず)HGFポリペプチドを意味する。「野生型HGF」なる用語は、一般に、天然に生じるHGFタンパク質のアミノ酸配列を含むポリペプチドを意味する。「野生型HGF配列」なる用語は、一般に、天然に生じるHGFに見出されるアミノ酸配列を意味する。c−metは、それを通じてHGF細胞間シグナル伝達が生物学的に達成されるHGFの既知のレセプターである。
ここで使用される「エストロゲンレセプター」又は「ER」なる用語は、他に定義がなされない限り、任意の天然の又は変異体(天然又は合成にかかわらず)ERポリペプチドを意味する。「野生型ER」なる用語は一般に天然に生じるERタンパク質のアミノ酸配列を含むポリペプチドを意味する。「野生型ER配列」なる用語は一般に天然に生じるERに見出されるアミノ酸配列を意味する。
「ErbB2」及び「HER2」なる表現は、ここでは互換的に使用され、例えばSemba等, PNAS(USA)82:6497-6501(1985)及びYamamoto等, Nature 319:230-234(1986)(Genebank受託番号X03363)に記載されているヒトHER2タンパク質を意味する。「erbB2」なる用語は、ヒトErbB2をコードする遺伝子を意味し、「neu」はラットp185neuをコードする遺伝子を意味する。好ましいHER2は天然配列ヒトHER2である。
ここで使用される「プロゲステロンレセプター」又は「PR」なる用語は、他に定義がなされない限り、任意の天然の又は変異体(天然又は合成にかかわらず)PRポリペプチドを意味する。「野生型PR」なる用語は一般に天然に生じるPRタンパク質のアミノ酸配列を含むポリペプチドを意味する。「野生型PR配列」なる用語は一般に天然に生じるPRに見出されるアミノ酸配列を意味する。
「天然配列」ポリペプチドは、天然由来のポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。よって、天然配列ポリペプチドは任意の哺乳動物からの天然に生じるポリペプチドのアミノ酸配列を有しうる。このような天然配列ポリペプチドは天然から単離することができ、又は組換え又は合成手段によって生産されうる。「天然配列」ポリペプチドなる用語は、特に、ポリペプチドの天然に生じる切断又は分泌形態型(例えば、細胞外ドメイン配列)、天然に生じた変異型(例えば、選択的スプライシング型)及びポリペプチドの天然に生じる対立遺伝子変異体を包含する。
ポリペプチド「変異体」は、天然配列ポリペプチドと少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する生物学的に活性なポリペプチドを意味する。このような変異体は、例えば一又は複数のアミノ酸が、ポリペプチドのN末端又はC末端に付加され又はそこから欠失されたポリペプチドを含む。通常は、変異体は、天然配列ポリペプチドと、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、更により好ましくは少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有するであろう。
「抗c−met抗体」は、十分な親和性及び特異性でc−metに結合する抗体である。選択される抗体は、c−metに対して、通常、十分に強い結合親和性を有しており、例えば抗体は、100nM−1pMのK値でヒトc−metと結合しうる。抗体親和性は、表面プラズモン共鳴ベースアッセイ(例えば、PCT出願国際公開第2005/012359号に記載されたBIAcoreアッセイ);酵素結合免疫吸着測定法(ELISA);及び競合アッセイ(例えば、RIA)等により測定することができる。ある種の実施態様では、抗c−met抗体は、c−met活性が関与する疾患又は病状を標的とすしまた干渉する治療剤として使用することができる。また、抗体には、例えば治療法としての効果を評価するために、他の生物活性アッセイを施すこともできる。このようなアッセイは当該技術分野で知られており、標的抗原及び抗体の意図された使用に依存する。
「チロシンキナーゼ阻害剤」は、c−metレセプター等のチロシンキナーゼのチロシンキナーゼ活性をある程度阻害する分子である。
タンパク質「発現」は、遺伝子においてコード化された情報をメッセンジャーRNA(mRNA)に、ついでタンパク質に転換することを意味する。ここで、関心あるタンパク質(例えば、c−metタンパク質)を「発現」する試料又は細胞は、その断片を含む、タンパク質をコードするmRNA、又はタンパク質が、試料又は細胞に存在していることを測定されるものである。
ここで使用される「インターロイキン8」又は「IL8」又は「IL-8」なる用語は、他に定義されない限り、このようなプロセスが生じる条件下、IL8シグナル伝達経路を活性化可能な任意の天然又は変異(天然又は合成にかかわらず)IL8ポリペプチドを意味する。「野生型IL8」なる用語は、一般的に天然に生じたIL8タンパク質のアミノ酸配列を含むポリペプチドを意味する。「野生型IL8配列」なる用語は、天然に生じたIL8に見出されるアミノ酸配列を意味する。
「VEGF」又は「VEGF-A」なる用語は、Leung等 Science, 246:1306 (1989)、及びHouck等 Mol. Endocrin., 5:1806 (1991)によって記載されているように、天然に生じる対立遺伝子変異体及びそのプロセシング形態と共に、165−アミノ酸ヒト血管内皮細胞増殖因子及び関連する121−、189−、及び206−アミノ酸ヒト血管内皮細胞増殖因子を指すために使用される。VEGF−Aは、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−E、VEGF−F、及びPlGFを含む遺伝子ファミリーの一部である。VEGF−Aは、主として、2つの高親和性レセプターチロシンキナーゼ、VEGFR−1(Flt−1)及びVEGFR−2(Flk−1/KDR)に結合し、後者は、VEGF−Aの血管内皮細胞***促進シグナルの主要伝達物質である。更に、ニューロピリン−1は、ヘパリン結合VEGF−Aアイソフォームに対するレセプターとして同定されており、血管発生における役割を担っている。また、「VEGF」又は「VEGF−A」なる用語は、非ヒト種、例えばマウス、ラット又は霊長類からのVEGFをまた意味する。時折、特定の種からのVEGFは、例えばヒトVEGFに対してhVEGF、又はマウスVEGFに対してmVEGF等の用語で示される。また、「VEGF」なる用語は、165−アミノ酸ヒト血管内皮細胞増殖因子のアミノ酸8から109又は1から109を含むポリペプチドの切断型又は断片を意味するために使用される。任意のこのような形態のVEGFに対する参照は、本出願において、例えば「VEGF(8−109)」、「VEGF(1−109)」又は「VEGF165」により特定されうる。「切断型」天然VEGFについてのアミノ酸位置は、天然VEGF配列に示された通りに番号付けされる。例えば、切断型天然VEGFにおけるアミノ酸位置17(メチオニン)は、天然VEGFにおいても17位(メチオニン)である。切断型天然VEGFは、天然VEGFに匹敵する、KDR及びFlt−1レセプターに対する結合親和性を有する。
ここで使用される「VEGF変異体」なる用語は、天然VEGF配列において一又は複数のアミノ酸変異を含むVEGFポリペプチドを意味する。場合によっては、一又は複数のアミノ酸変異は、アミノ酸置換を含む。ここに記載のVEGF変異体の簡潔表現では、数は、推定天然VEGFのアミノ酸配列に沿ったアミノ酸残基位置を意味することに留意のこと(上掲のLeung等及び上掲のHouck等に提供)。
「VEGF生物活性」は、任意のVEGFレセプターへの結合性又は任意のVEGFシグナル伝達活性、例えば正常及び異常な血管新生及び脈管形成の調節(Ferrara及びDavis-Smyth (1997) Endocrine Rev. 18:4-25;Ferrara (1999) J. Mol. Med. 77:527-543);胚性脈管形成及び血管新生の促進(Carmeliet等 (1996) Nature 380:435-439;Ferrara等 (1996) Nature 380:439-442);及び雌の生殖器系及び骨の成長及び軟骨形成における周期的血管増殖の調節(Ferrara等(1998) Nature Med. 4:336-340;Gerber等(1999)Nature Med. 5:623-628)を含む。血管新生及び脈管形成における血管新生因子の存在に加えて、多面的増殖因子として、VEGFは、他の生理学的プロセス、例えば内皮細胞の生存、血管透過性及び血管拡張、単球走化性及カルシウム流入(Ferrara及びDavis-Smyth (1997), 上掲, 及びCebe-Suarez等 Cell. Mol. Life Sci. 63:601-615 (2006))において、複数の生物学的効果を示す。更に、近年の研究では、少しの非内皮細胞型、例えば網膜色素上皮細胞、膵管細胞、及びシュワン細胞における***促進効果が報告されている。Guerrin等(1995) J. Cell Physiol. 164:385-394;Oberg-Welsh等(1997) Mol. Cell. Endocrinol. 126:125-132;Sondell等(1999) J. Neurosci. 19:5731-5740。
「血管新生阻害剤」又は「抗血管新生剤」は、血管新生、脈管形成、又は所望しない血管透過性を直接的又は間接的の何れかで阻害する小分子量の物質、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、単離タンパク質、組換えタンパク質、抗体、又はそのコンジュゲート又は融合タンパク質を意味する。抗血管新生剤には、血管新生因子又はそのレセプターに結合、又はその血管新生活性をブロックする薬剤が含まれることが理解されなければならない。例えば、抗血管新生剤は、上述の血管新生剤に対する抗体又は他のアンタゴニスト、例えばVEGF-Aに対する抗体、又はVEGF-Aレセプター(例えば、KDRレセプター又はFlt-1レセプター)、抗PDGFR阻害剤、例えばGLEEVEC(登録商標)(Imatinib Mesylate)である。抗血管新生剤には、天然血管新生阻害剤、例えばアンジオスタチン、エンドスタチン等が更に含まれる。例えばKlagsbrun及びD'Amore, Annu. Rev. Physiol., 53:217-39 (1991);Streit及びDetmar, Oncogene, 22:3172-3179 (2003)(例えば、悪性メラノーマにおける抗血管新生治療を列挙した表3);Ferrara及びAlitalo, Nature Medicine 5:1359-1364 (1999);Tonini等, Oncogene, 22:6549-6556 (2003)(例えば、既知の血管新生因子を列挙した表2);及びSato. Int. J. Clin. Oncol., 8:200-206 (2003)(例えば、臨床治験に使用される抗血管新生剤を列挙した表1)を参照のこと。
「VEGFアンタゴニスト」は、一又は複数のVEGFレセプターへのその結合を含む、VEGF活性を中和し、ブロックし、阻害し、抑制し、低減させ、又は干渉しうる分子(ペプチジル又は非ペプチジル)を意味する。ある実施態様では、VEGFアンタゴニストは、VEGFの発現レベル又は生物活性を、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又はそれ以上、低減又は阻害する。一実施態様では、VEGFアンタゴニストにより阻害されるVEGFは、VEGF(8−109)、VEGF(1−109)、又はVEGF165である。本発明の方法に有用なVEGFアンタゴニストには、VEGFに特異的に結合するペプチジル又は非ペプチジル化合物、例えば抗VEGF抗体及びその抗原結合断片、VEGFに特異的に結合するポリペプチド又はその断片、及びレセプター分子及びVEGFに特異的に結合し、よって一又は複数のそのレセプターへの結合を封鎖する誘導体(例えば、可溶型VEGFレセプタータンパク質、又はそのVEGF結合断片、又はキメラVEGFレセプタータンパク質);VEGFポリペプチドをコードする核酸分子の少なくとも断片に対して相補的なアンチセンス核酸塩基オリゴマー;VEGFポリペプチドをコードする核酸分子の少なくとも断片に対して相補的な小RNA;VEGFを標的とするリボザイム;VEGFに対するペプチボディ;及びVEGFアプタマーが含まれる。
「抗VEGF抗体」は、十分な親和性と特異性でVEGFに結合する抗体である。選択される抗体は、VEGFに対して、通常、十分に強い結合親和性を有しており、例えば抗体は、100nM−1pMのK値でhVEGFと結合しうる。抗体親和性は、表面プラズモン共鳴ベースアッセイ(例えば、PCT出願国際公開第2005/012359号に記載されたBIAcoreアッセイ);酵素結合免疫吸着測定法(ELISA);及び競合アッセイ(例えば、RIA)等により測定することができる。ある種の実施態様では、本発明の抗VEGF抗体は、VEGF活性が関与する疾患又は病状を標的としまた干渉する治療剤として使用することができる。また、抗体は、例えば治療法としてのその効果を評価するために、他の生物活性アッセイを施すこともできる。このようなアッセイは当該技術分野で知られており、標的抗原及び抗体の意図する使用に依存する。例には、HUVEC阻害アッセイ(以下の実施例に記載);腫瘍細胞増殖阻害アッセイ(例えば、国際公開第89/06692号に記載);抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び補体媒介性細胞傷害(CDC)アッセイ(米国特許第5500362号);及びアゴニスト活性又は造血アッセイ(国際公開第95/27062号を参照)が含まれる。抗VEGF抗体は、通常、他のVEGFホモログ、例えばVEGF−B又はVEGF−Cにも、又は他の増殖因子、例えばPlGF、PDGF又はbFGFにも結合しない。
ある実施態様では、抗VEGF抗体には、ハイブリドーマATCC HB 10709により産生されるモノクローナル抗VEGF抗体 A4.6.1と同じエピトープに結合するモノクローナル抗体;Presta等 Cancer Res. 57:4593-4599 (1997)に従って産生された組換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体が含まれる。一実施態様では、抗VEGF抗体は、「rhuMAb VEGF」又は「アバスチン(登録商標)」としても知られている「ベバシズマブ(BV)」である。それは、そのレセプターへのヒトVEGFの結合をブロックするマウス抗hVEGFモノクローナル抗体A.4.6.1からの、抗原結合相補性決定領域及び変異ヒトIgG1フレームワーク領域を含む。殆どのフレームワーク領域を含むベバシズマブのアミノ酸配列のおよそ93%が、ヒトIgG1から誘導され、配列の約7%がマウス抗体A4.6.1から誘導される。ベバシズマブは、約149000ダルトンの分子量を有し、グリコシル化されている。ベバシズマブは、転移性結腸直腸癌(CRC)及び非小細胞肺癌(NSCLC)を治療するための化学治療レジメンと併用して使用される場合についてFDAにより承認されている。Hurwitz等, N. Engl. J. Med. 350:2335-42 (2004);Sandler等, N. Engl. J. Med. 355:2542-50 (2006)。現在、ベバシズマブは、様々な癌の徴候を治療するための多くの進行中の臨床治験において研究されている。 Kerbel, J. Clin. Oncol. 19:45S-51S (2001);De Vore等, Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 19:485a. (2000);Hurwitz等, Clin. Colorectal Cancer 6:66-69 (2006);Johnson等, Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 20:315a (2001);Kabbinavar等 J. Clin. Oncol. 21:60-65 (2003);Miller等, Breast Can. Res. Treat. 94:Suppl 1:S6 (2005)。
ベバシズマブ及び他のヒト化抗VEGF抗体は、2005年2月26日に発行された米国特許第6884879号に更に記載されている。更なる抗体には、これらの特許出願の内容が出典明示によりここに明示的に援用されるPCT出願国際公開第2005/012359号、PCT出願国際公開第2005/044853、及び米国特許第60/991302号に記載されるような、G6又はB20シリーズ抗体(例えば、G6−31、B20−4.1)が含まれる。更なる抗体については、米国特許第7060269号、同6582959号、同6703020号;同6054297号;国際公開第98/45332号;国際公開第96/30046号;国際公開第94/10202号;欧州特許第0666868B1号;米国特許出願公開第2006009360号、同20050186208号、同20030206899号、同20030190317号、同20030203409号、及び同20050112126号;及びPopkov等, Journal of Immunological Methods 288:149-164 (2004)を参照。他の抗体には、残基F17、M18、D19、Y21、Y25、Q89、I91、K101、E103、及びC104を含む、又は残基F17、Y21、Q22、Y25、D63、I83及びQ89を含む、ヒトVEGF上の機能的エピトープに結合するものが含まれる。
この発明の「G6シリーズ抗体」は、その全開示が出典明示によりここに明示的に援用されるPCT出願国際公開第2005/012359号の、図7、24−26、及び34−35の任意の一つのG6抗体又はG6誘導抗体の配列から誘導された抗VEGF抗体である。更に、その全開示が出典明示によりここに明示的に援用されるPCT出願国際公開第2005/044853を参照のこと。一実施態様では、G6シリーズ抗体は、残基F17、Y21、Q22、Y25、D63、I83及びQ89を含むヒトVEGF上の機能的エピトープに結合する。
この発明の「B20シリーズ抗体」は、その全開示が出典明示によりここに明示的に援用されるPCT出願国際公開第2005/012359号の、図27−29の任意の一つのB20抗体又はB20誘導抗体の配列から誘導された抗VEGF抗体である。更に、その全開示が出典明示によりここに明示的に援用されるPCT出願国際公開第2005/044853号及び米国特許出願第60/991302号を参照のこと。一実施態様では、B20シリーズ抗体は、残基F17、M18、D19、Y21、Y25、Q89、I91、K101、E103、及びC104を含むヒトVEGF上の機能的エピトープに結合する。
この発明の「機能的エピトープ」は、抗体の結合性にエネルギー的に寄与する抗原のアミノ酸残基を意味する。抗原のエネルギー的に寄与する残基の任意の一つが変異することにより(例えば、アラニンによる野生型VEGFの変異又はホモログ変異)、抗体の相対的親和性比(IC50変異VEGF/IC50野生型VEGF)が5より大きくなるように、抗体の結合性が乱されるであろう(国際公開第2005/012359号の実施例2を参照)。一実施態様では、相対的親和性比は、溶液結合性ファージディスプレイELISAにより測定される。簡単に述べると、96ウェルMaxisorp免疫プレート(NUNC)を、4℃で一晩、Fab型抗体でコーティングし、PBSに2ug/mlの濃度で試験し、室温で2時間、PBS、0.5%のBSA、及び0.05%のトゥイーン20(PBT)でブロックする。PBT中のファージディスプレイhVEGFアラニン点変異(残基8−109形態)又は野生型hVEGF(8−109)の連続希釈を、室温で15分、Fab被覆プレート上でまずインキュベートし、プレートをPBS、0.05%のトゥイーン20(PBST)で洗浄する。結合したファージを、PBT中の1:5000希釈抗M13モノクローナル抗体西洋ワサビペルオキシダーゼ(Amersham Pharmacia)コンジュゲートで検出し、3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB, Kirkegaard & Perry Labs, Gaithersburg, MD)基質で、約5分発現させ、1.0MのH3PO4でクエンチし、450nmで分光光度的に読み取る。IC50値の比率(IC50,ala/IC50,wt)は、結合親和性における低減倍数(相対的結合親和性)を表す。
「イムノコンジュゲート」(「抗体・薬剤コンジュゲート」又は「ADC」と交換可能に称される)は、一又は複数の細胞傷害剤、例えば化学療法剤、薬剤、増殖阻害剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物、又は動物由来の酵素的に活性な毒素、その断片)、又は放射性同位元素(すなわち、放射性コンジュゲート)にコンジュゲートした抗体を意味する。
本明細書及び請求項において、免疫グロブリン重鎖における残基の番号付けは、出典明示によりここに明示的に援用されるKabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)のEUインデックスのものである。「KabatのEUインデックス」とはヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを意味する。
「抗体」なる用語は、広義に使用され、特にモノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、一価抗体、多価抗体、及び所望する生物活性を示す限り、抗体断片を包含する。
「抗体断片」はインタクトな抗体の一部のみを含み、該一部は、インタクトな抗体に存在する場合に、その一部に通常関連している機能の少なくとも一部、好ましくは殆ど又は全ての機能を保持している。一実施態様では、抗体断片は、インタクトな抗体の抗原結合部位を含み、よって抗原に結合する能力を保持している。他の実施態様では、抗体断片、例えばFc領域を含むものは、例えばFcRn結合、抗体半減期調節、ADCC機能及び補体結合等、インタクトな抗体に存在する場合に、Fc領域に通常関連している少なくとも一の生物学的機能を保持している。一実施態様では、抗体断片は、インタクトな抗体と実質的に同様のインビボ半減期を有する一価抗体である。例えば、このような抗体断片は、断片に対し、インビボ安定性を付与可能なFc配列に結合する抗原結合アームを含みうる。一実施態様では、本発明の抗体は、国際公開第2005/063816号に記載されたような一アーム抗体である。一実施態様では、一アーム抗体は、国際公開第2005/063816号に記載されたような、「ノブ」と「ホール」を構成するFc変異を含む。例えば、ホール変異は、Fcポリペプチドにおいて、T366A、L368A及び/又はY407Vの一又は複数であり得、ノブ変異はT366Wでありうる。
「遮断」抗体又は抗体「アンタゴニスト」は、それが結合する抗体の生物活性を阻害し又は低下させるものである。幾つかの実施態様では、遮断抗体又はアンタゴニスト抗体は、抗原の生物活性を完全に阻害する。
別に定義されないならば、「多価抗体」なる表現は、3又はそれ以上の抗原結合部位を有する抗体を示すためにこの明細書において使用される。多価抗体は、好ましくは3又はそれ以上の抗原結合部位を有するように操作され、一般的には天然配列IgM又はIgA抗体ではない。
「Fv」断片は、完全な抗原認識及び結合部位を含む抗体断片である。この領域は、例えばscFvにおいて、性質は共有結合性でありうる強固に結合した一つの重鎖と一つの軽鎖の可変ドメインの二量体からなる。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用してV−V二量体の表面に抗原結合部位を決定するのはこの配置においてである。集合的には、6つのCDRs又はそのサブセットが抗体に対する抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含んでなるFvの半分)でさえ、結合部位全体よりは低い親和性であるが、抗原を認識し結合する能力を持つ。
ここで使用される場合、「抗体可変ドメイン」は、相補性決定領域(CDR;すなわち、CDR1、CDR2、及びCDR3)、及びフレームワーク領域(FR)のアミノ酸配列を含む抗体分子の軽鎖及び重鎖の部分を意味する。Vは重鎖の可変ドメインを意味する。Vは軽鎖の可変ドメインを意味する。この発明に使用される方法に従い、CDR及びFRに割り当てられるアミノ酸位置は、Kabat(Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, Md., 1987及び1991))に従い定めることができる。また、抗体又は抗原結合断片のアミノ酸番号付けも、Kabatのものに従う。
ここで使用される場合、「相補性決定領域」(CDR;すなわち、CDR1、CDR2、及びCDR3)なる用語は、その存在が抗原結合に必要である抗体可変ドメインのアミノ酸残基を意味する。各可変ドメインは、典型的にはCDR1、CDR2及びCDR3と特定された3つのCDR領域を有している。各相補性決定領域は、Kabatにより定められる「相補性決定領域」(つまり、軽鎖可変ドメイン中の残基24−34(L1)、50−56(L2)及び89−97(L3)と、重鎖可変ドメイン中の残基31−35(H1)、50−65(H2)及び95−102(H3);Kabat等,Sequences of Polypeptides of Immunological Interest, 5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(1991))からのアミノ酸残基、及び/又は「高頻度可変ループ」(つまり、軽鎖可変ドメイン中の残基26−32(L1)、50−52(L2)及び91−96(L3)と、重鎖可変ドメイン中の26−32(H1)、53−55(H2)及び96−101(H3);Chothia及び Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917(1987))からの残基を含む。幾つかの例において、相補性決定領域は、Kabatに従い定められたCDR領域と、高頻度可変ループの双方からのアミノ酸を含みうる。例えば、抗体4D5の重鎖のCDRH1は、アミノ酸26から35を含む。
「フレームワーク領域」(以下FR)は、CDR残基以外の可変ドメイン残基である。各可変ドメインは、典型的にはFR1、FR2、FR3、及びR4と特定される4つのFRを有している。CDRがKabatに従い定められる場合、軽鎖FR残基は、ほぼ残基1−23(LCFR1)、35−49(LCFR2)、57−88(LCFR3)、及び98−107(LCFR4)に位置し、重鎖FR残基は、重鎖残基のほぼ残基1−30(HCFR1)、36−49(HCFR2)、66−94(HCFR3)、及び103−113(HCFR4)に位置する。CDRが高頻度可変ループからのアミノ酸残基を含む場合、軽鎖FR残基は、軽鎖のほぼ残基1−25(LCFR1)、33−49(LCFR2)、53−90(LCFR3)、及び97−107(LCFR4)に位置し、重鎖FR残基は、重鎖残基のほぼ残基1−25(HCFR1)、33−52(HCFR2)、56−95(HCFR3)、及び102−113(HCFR4)に位置する。幾つかの例において、CDRが、Kabatにより定められたCDRと高頻度可変ループのものの双方からのアミノ酸を含んでいるならば、FR残基はそれに応じて調節されるであろう。例えば、CDRH1がアミノ酸H26−H35を含んでいる場合、重鎖FR1残基は1−25位に存在し、FR2残基は36−49位に存在する。
「Fab」断片は、軽鎖の可変及び定常ドメインと重鎖の可変ドメインと第一定常領域(CH1)を有する。F(ab')抗体断片は、間のヒンジシステインにより、それらのカルボキシ末端近傍で一般的に共有結合されているFab断片の対を含む。また、抗体断片の他の化学結合も当該技術分野で知られている。
ここで使用される「抗原結合アーム」なる語句は、関心ある標的分子に特異的に結合する能力を有する本発明の抗体断片の成分部分を意味する。一般的にまた好ましくは、抗原結合アームは、免疫グロブリンポリペプチド配列、例えば免疫グロブリン軽鎖及び重鎖のCDR及び/又は可変ドメイン配列の複合体である。
ここで使用される「N末端で切断された重鎖」なる語句は、全長免疫グロブリン重鎖の全体ではなく一部を含むポリペプチドを意味し、ここで欠損部分は、通常は重鎖のN末端領域に位置するものである。欠損部分は、限定されるものではないが、可変ドメイン、CH1、及びヒンジ配列の一部又は全てを含みうる。一般に、野生型ヒンジ配列が存在しない場合、N末端で切断された鎖における残りの定常ドメインは、他のFc配列に結合可能な成分を含む(すなわち、ここに記載したような「第1」Fcポリペプチド)。例えば、前記成分は修飾された残基又はジスルフィド結合を形成可能な付加されたシステイン残基でありうる。
ここで使用される「Fc領域」なる用語は、一般的に、免疫グロブリン重鎖のC末端ポリペプチド配列を含む二量体複合体を意味し、ここでC末端ポリペプチド配列はインタクトな抗体のパパイン消化により得ることができるものである。Fc領域は天然又は変異体Fc配列を含みうる。免疫グロブリン重鎖のFc配列の境界は変化するかもしれないが、ヒトIgG重鎖Fc配列は、通常、ほぼ位置Cys226又はほぼ位置Pro230のアミノ酸残基からFc配列のカルボキシル末端まで伸長すると定められる。Fc配列のC末端リジン(EU番号付け系によれば残基447)は、例えば抗体の精製中に、又は抗体をコードする核酸の組換え操作によって、除去されうる。一般的に、免疫グロブリンのFc配列は2つの定常ドメイン、つまりCH2ドメインとCH3ドメインを含み、場合によってはCH4ドメインを含む。ここでの「Fcポリペプチド」とは、Fc領域を構成するポリペプチドの一つを意味する。Fcポリペプチドは、任意の適切な免疫グロブリン、例えばIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4サブタイプ、IgA、IgE、IgD又はIgMから得ることができる。幾つかの実施態様では、Fcポリペプチドは野生型ヒンジ配列の一部又は全てを(一般にはそのN末端)含む。幾つかの実施態様では、Fcポリペプチドは、機能的又は野生型ヒンジ配列を含まない。
「Fcレセプター」及び「FcR」なる用語は抗体のFc領域に結合するレセプターを記述するために使用される。例えば、FcRは、天然配列ヒトFcRでありうる。一般的に、FcRは、IgG抗体(γレセプター)に結合し、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIサブクラスのレセプターを含むものであり、これらのレセプターの対立遺伝子変異体及び選択的スプライシング型を含む。FcγRIIレセプターは、FcγRIIA(「活性化レセプター」)及びFcγRIIB(「阻害レセプター」)を含み、それらは、主としてその細胞質ドメインが異なる類似のアミノ酸配列を有している。他のアイソフォームの免疫グロブリンもまたある種のFcRsが結合しうる(例えば、Janeway等, Immuno Biology: the immune system in health and disease,(Elsevier Science Ltd., NY)(4版, 1999)を参照)。活性化レセプターFcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫レセプターチロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を含む。阻害レセプターFcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫レセプターチロシンベース阻害モチーフ(ITIM)を含む(Daeron, Annu. Rev. Immunol., 15:203-234(1997)参照)。FcRはRavetch及びKinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991);Capel等, Immunomethods 4:25-34 (1994);及びde Haas等, J. Lab. Clin. Med. 126:330-41(1995)において概説されている。将来に同定されるものを含む他のFcRが、ここにおける「FcR」なる用語によって包含される。該用語は胎児への母性IgGの移動の原因である新生児レセプターFcRnもまた含む(Guyer等, J. Immumol. 117:587(1976);及びKim等, J. Immunol. 24:249 (1994))。
ここで使用される「ヒンジ領域」、「ヒンジ配列」及びその変形には、当該技術分野で知られている意味が含まれ、例えば、Janeway等, Immuno Biology: the immune system in health and disease,(Elsevier Science Ltd., NY)(4版, 1999);Bloom等, Protein Science(1997), 6:407-415;Humphreys等, J. Immunol. Methods(1997), 209:193-202に例証されている。
「単鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のV及びVドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。一般的に、FvポリペプチドはV及びVドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含み、それはscFvが抗原結合に望まれる構造を形成するのを可能にする。scFvの概説については、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)のPluckthunを参照。
「ダイアボディ」なる用語は、二つの抗原結合部位を持つ小さい抗体断片を意味し、その断片は同じポリペプチド鎖(V及びV)内で軽鎖可変ドメイン(V)に結合した重鎖可変ドメイン(V)を含む。同じ鎖の二つのドメイン間に対形成するには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインは強制的に他の鎖の相補的ドメインと対形成して二つの抗原結合部位を作製する。ダイアボディは、例えば、欧州特許出願公開第404097号;国際公開第93/11161号;及びHollinger等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993)に更に十分に記載されている。
「線形抗体」なる表現は、Zapata等, Protein Eng. 8(10):1057-1062 (1995)に記載された抗体を意味する。簡潔に述べると、これらの抗体は、相補的軽鎖ポリペプチドと共に、一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデム型Fd配列(V-C1-V-C1)を含む。線形抗体は二重特異性又は単一特異性でありうる。
「モノクローナル」との修飾詞は、実質的に均一な抗体集団から得られているという抗体の特徴を示し、抗体を何らかの特定の方法で抗体を生産する必要があると解釈されてはならない。例えば、本発明において使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法(例えば、Kohler及びMilstein., Nature, 256:495-97(1975);Hongo等, Hybridoma, 14(3):253-260(1995), Harlow等, Antibodies: A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 第2版 1988);Hammerling等: Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas, 563-681(Elsevier, N.Y., 1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4816567号を参照)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clackson等, Nature, 352: 624-628(1991);Marks等, J. Mol. Biol., 222:581-597(1992);Sidhu等, J. Mol. Biol., 338(2):299-310(2004);Lee等, J. Mol. Biol., 340(5):1073-1093(2004);Fellouse, Proc. Natl.Acad. Sci. USA, 101(34):12467-12472(2004);及びLee等, J. Immunol. Methods, 284(1-2):119-132(2004)、及びヒト免疫グロブリン座位又はヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部又は全部を有するヒト又はヒト様抗体を動物において産生させるための技術(例えば、国際公開第1998/24893号;国際公開第1996/34096号;国際公開第1996/33735号;国際公開第1991/10741号;Jakobovits等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 2551(1993);Jakobovits等, Nature, 362: 255-258(1993);Bruggemann等, Year in Immunol., 7:33(1993);米国特許第5545807号;同5545806号;同5569825号;同5625126号;同5633425号;及び同5661016号;Marks等, Bio/Technology, 10: 779-783(1992);Lonberg等, Nature, 368:856-859(1994);Morrison, Nature, 368:812-813(1994);Fishwild等, Nature Biotechnol., 14:845-851(1996);Neuberger, Nature Biotechnol., 14:826(1996);及びLonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol., 13:65-93(1995)を参照)を含む、様々な技術により作製されうる。
ここでのモノクローナル抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の種由来の抗体、あるいは特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一であるか相同であり、鎖の残りの部分が他の種由来、あるいは他の抗体クラスあるいはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一であるか相同である「キメラ」抗体、並びにそれが所望の生物的活性を有する限りそれら抗体の断片を特に含む(例えば、米国特許第4816567号、及びMorrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855(1984)を参照)。キメラ抗体は、抗体の抗原結合領域が、例えば関心ある抗体を用いてマカクザルを免疫することによって産生された抗体から誘導されるプリマタイズ(PRIMATIZED)(登録商標)抗体を含む。
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」形とは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。殆どの部分は、ヒト化抗体は、レシピエントの高頻度可変領域の残基が、マウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類のような所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)の高頻度可変領域の残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。幾つかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見出されない残基を含んでもよい。これらの修飾は抗体の性能を更に洗練するためになされる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、全てあるいは殆ど全ての高度可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいは殆ど全てのFR領域がヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、任意には免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部を含む。更なる詳細は、Jones等, Nature 321, 522-525(1986);Reichmann等, Nature 332, 323-329(1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2, 593-596(1992)を参照。
「ヒト抗体」は、ヒトによって生産される抗体のものに相当するアミノ酸配列を有するもの、及び/又はここにおいて開示されたヒト抗体を作製するために任意の技術を使用して製造されたものである。ヒト抗体のこの定義は、特に非ヒト抗原結合残基を含んでなるヒト化抗体を除く。ヒト抗体は当該技術分野で知られている様々な技術を使用して作製可能である。一実施態様では、ヒト抗体はファージライブラリーから選択され、そのファージライブラリーはヒト抗体を発現する(Vaughan等 Nature Biotechnology 14:309-314(1996):Sheets等 Proc. Natl. Acad. Sci. 95:6157-6162(1998));Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol., 227:381(1991);Marks等, J. Mol. Biol., 222:581(1991))。また、ヒト抗体は、内在性免疫グロブリン遺伝子が部分的又は完全に不活化されたトランスジェニック動物、例えばマウスに、ヒト免疫グロブリン座位を導入することによっても作製することができる。誘発時、ヒト抗体の産生が観察され、遺伝子の再配列、アセンブリ、及び抗体レパートリーを含む全ての観点において、ヒトに見られるものに非常に類似する。このアプローチ法は、例えば米国特許第5545807号;同5545806号;同5569825号;同5625126号;同5633425号;同5661016号、及び次の化学文献:Marks等, Bio/Technology 10: 779-783(1992);Lonberg等, Nature 368: 856-859(1994);Morrison, Nature 368:812-13(1994);Fishwild等, Nature Biotechnology 14: 845-51(1996);Neuberger, Nature Biotechnology 14: 826(1996);Lonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol. 13:65-93(1995)に記載されている。あるいは、ヒト抗体は、標的抗原に対して産生される抗体を生成するヒトBリンパ球の不死化を介して調製することができる(このようなBリンパ球は個人から回収してもよく、又はインビトロで免疫化される)。例えば、Cole等, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77(1985);Boerner等, J. Immunol., 147(1):86-95(1991);及び米国特許第5750373号を参照。
「ネイキッド抗体」とは、異種分子、例えば細胞傷害性部分又は放射標識にコンジュゲートされていない抗体である。
「親和成熟」抗体とは、その変化を持たない親抗体と比較し、抗原に対する抗体の親和性に改良を生じせしめる抗体の一又は複数のCDRにおける一又は複数の変化を伴うものである。好ましい親和成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル又はピコモルの親和性を有する。親和成熟抗体は、当該技術分野において知られている手順によって生産される。例えば、Marks等 Bio/Technology, 10:779-783(1992)は、VH及びVLドメインシャッフリングによる親和成熟について記載している。CDR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は、Barbas等, Proc Nat Acad. Sci, USA 91:3809-3813(1994);Schier等, Gene, 169:147-155(1995);Yelton等, J. Immunol.155:1994-2004(1995);Jackson等, J. Immunol.154(7):3310-9(1995);及びHawkins等, J. Mol. Biol.226:889-896(1992)に記載されている。
指定された抗体の「生物学的特徴」を有する抗体は、同じ抗原に結合する他の抗体からそれを区別する抗体の生物学的特徴の一又は複数を有するものである。
関心ある抗体により結合した抗原上のエピトープに結合する抗体をスクリーニングするために、常套的な交差ブロッキングアッセイ、例えばA Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Ed Harlow and David Lane(1988)に記載されたものを実施することができる。
抗体の「機能的抗原結合部位」は、標的抗原に結合可能なものである。抗原結合部位の抗原結合親和性は、抗原結合部位が誘導される親抗体ほど必ずしも強くはないが、抗原に結合する能力は、抗原への抗体結合性を評価するために知られている様々な方法の任意の一つを使用して測定可能なものでなくてはならない。更に、ここでの多価抗体の各抗原結合部位の抗原結合親和性は、定量的に同じである必要はない。ここでの多量体抗体について、機能的抗原結合部位の数は、米国特許出願公開第20050186208号の実施例2に記載されたように、超遠心分離分析を使用して評価することができる。この分析方法によれば、多量体抗体に対する標的抗原の様々な比率が組合せられ、複合体の平均分子量が、異なる数の機能的結合部位を仮定して計算される。これらの理論値は、機能的結合部位の数を評価するために、得られた実際の実験値と比較される。
「種依存性抗体」は、第2の哺乳動物種からの抗原のホモログに対してよりも、第1の哺乳動物種からの抗原に対して、より強い結合親和性を有するものである。通常、種依存性抗体はヒト抗原に「特異的に結合する」(すなわち、約1×10−M以下、好ましくは約1×10−M以下、最も好ましくは約1×10−M以下の結合親和性(K)値を有する)が、第2の非ヒト哺乳動物種からの抗原のホモログに対しては、ヒト抗原に対する結合親和性よりも、少なくとも約50倍、又は少なくとも約500倍、又は少なくとも約1000倍弱い結合親和性を有する。種依存性抗体は、上述した様々な種類の抗体の何れであってもよい。一実施態様では、種依存性抗体はヒト化又はヒト抗体である。
ここで使用される場合、「抗体突然変異体」又は「抗体変異体」は、種依存性抗体のアミノ酸配列変異体を意味し、ここで種依存性抗体の一又は複数のアミノ酸残基は修飾されている。このような突然変異体は、必ず、種依存性抗体と100%未満の配列同一性又は類似性を有している。一実施態様では、抗体突然変異体は、種依存性抗体の重鎖又は軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列と、少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更に好ましくは少なくとも85%、また更に好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性又は類似性を有するアミノ酸配列を含むであろう。この配列に関する同一性又は類似性は、最大パーセント配列同一性を達成するために、必要であるならば、配列を整列させ、間隙を導入した後に、種依存性抗体残基と同一(すなわち同じ残基)又は類似(すなわち、共通の側鎖特性に基づき、同じ群からのアミノ酸残基)である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。可変ドメインの外側の抗体配列へのN末端、C末端、又は内部の伸長、欠失又は挿入は何れも、配列の同一性又は類似性に影響を与えるとは見なされない。
「キメラVEGFレセプタータンパク質」は、少なくとも2の異なるタンパク質から誘導されたアミノ酸配列を有するVEGFレセプター分子であり、その少なくとも一つはVEGFレセプタータンパク質としてである。ある実施態様では、キメラVEGFレセプタータンパク質は、VEGFに結合し、その生物活性を阻害することができる。
「単離された」ポリペプチド又は「単離された」抗体とは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたものである。その自然環境の汚染成分とは、ポリペプチド又は抗体の診断又は治療への使用に干渉する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。好ましい実施態様では、ポリペプチド又は抗体は、(1)ローリー法で測定してポリペプチド又は抗体の95重量%を越え、最も好ましくは99重量%を越えるまで;(2)スピニングカップシークエネーターを使ったN末端又は内在するアミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、又は(3)クーマシーブルー又は好ましくは銀染色を用いた還元又は非還元状態の下でのSDS-PAGEにより均一になるまで、精製される。単離されたポリペプチド又は抗体は、ポリペプチドの自然な環境の少なくとも一成分が存在しないことから、組換え細胞内にインサイツでポリペプチド又は抗体を含む。しかしながら、通常は、単離されたポリペプチド又は抗体は少なくとも一の精製段階によって調製されるであろう。
ここで使用される「バイオマーカー」又は「マーカー」なる用語は、一般的に、遺伝子、mRNA、タンパク質、糖質構造、又は糖脂質を含む分子を指し、組織又は細胞中又はその上又は分泌中におけるその発現は既知の方法(又はここに開示される方法)によって検出され得、治療レジメンに対する細胞、組織、又は患者の応答性を予測するものであるか、又は予測するために使用できる(又は予測を補助する)。「患者試料」とは、癌患者から得られたより小さい細胞の集合を意味する。組織又は細胞試料の供給源は、新鮮な、凍結され、及び/又は保存された器官又は組織試料又は生検又は吸引液からの固形組織;血液又は任意の血液成分;体液、例えば脳髄液、羊水、腹水、又は間質液;被験者の妊娠又は発達中の任意の時間の細胞でありうる。組織試料は、例えば保存料、抗凝固剤、バッファー、固定液、栄養分、抗生物質等のような性質的に組織と自然には混合されない化合物を含みうる。ここでの腫瘍試料の例は、限定するものではないが、腫瘍生検、末梢循環腫瘍細胞、血清又は血漿、循環血漿タンパク質、腹水、初代細胞培養又は腫瘍から由来するか又は腫瘍様性質を示す細胞株、並びに保存された腫瘍試料、例えばホルマリン固定、パラフィン包埋腫瘍試料又は凍結腫瘍試料を含む。一実施態様では、試料は3N MBC腫瘍試料を含む。
医薬での治療に対する患者の「効果的な応答」又は患者の「応答性」及び類似の語句は、癌医薬の投与時に癌(例えば3N MBC)のリスクがあるか、それに罹患している患者に付与される臨床的又は治療的利益を意味する。そのような利益は、生存の延長(全生存及び無増悪生存期間を含む);奏効を生じること(完全奏効又は部分奏効);又は癌の症状又は徴候の改善等の何れか一又は複数を含む。一実施態様では、バイオマーカー(例えばIHCを使用して測定されるc−met発現など)は、同じレベルではバイオマーカーを発現しない患者に対して、医薬(例えば抗c−met抗体)で治療された場合により長い無増悪生存期間(PFS)を有していることが期待される患者を同定するために使用される。一実施態様では、バイオマーカーは、同じレベルではバイオマーカーを発現しない患者に対して、医薬で治療された場合により長い全生存(OS)を有していることが期待される患者を同定するために使用される。ここでのバイオマーカーの発生は、そのような効果的な応答を効果的に予測し、又は高感度で予測する。
「治療」とは、治療的処置及び予防又は防止手段の両方を意味する。治療の必要がある者には、既に、良性、前癌性、又は非転移性の腫瘍を有する者並びに癌の発生又は再発が防止されるべき者が含まれる。
「治療的に有効な量」なる用語は、哺乳動物における疾患又は疾病を治療又は予防するための治療剤の量を意味する。癌の場合、治療剤の治療的に有効な量は、癌細胞の数を減少させ;原発性腫瘍サイズを減少させ;周辺器官への癌細胞の浸潤を阻害し(つまり、ある程度まで遅くさせ、好ましくは停止させ);腫瘍転移を阻害し(つまり、ある程度まで遅くさせ、好ましくは停止させ);腫瘍増殖をある程度まで阻害し;及び/又は疾患に伴う徴候の一又は複数をある程度軽減しうる。薬剤が増殖を防止し、及び/又は存在する癌細胞を死滅させうる程度まで、それは細胞***阻害性及び/又は細胞毒性でありうる。癌治療では、インビボでの効能は、例えば生存期間、無増悪期間(TTP)、奏効率(RR)、反応時間、及び/又は生活の質を評価することにより測定することができる。
「癌」及び「癌性」なる用語は、典型的には調節されない細胞増殖により特徴付けられる哺乳動物における生理学的状態を意味し又は記述する。この定義には、良性及び悪性の癌が含まれる。「初期癌」又は「初期腫瘍」とは、浸潤又は転移がなく、又はステージ0、I又はIIの癌として分類される癌を意味する。癌の例は、限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫(髄芽腫及び網膜芽腫を含む)、肉腫(脂肪肉腫及び滑膜細胞肉腫を含む)、神経内分泌腫瘍(カルチノイド腫瘍、ガストリノーマ、及び膵島細癌を含む)、中皮腫、シュワン腫(聴神経腫瘍を含む)、髄膜腫、腺癌、メラノーマ、及び白血病又はリンパ性腫瘍を含む。このような癌のより特定な例は、扁平上皮細胞癌(例えば上皮扁平細胞癌)、肺癌、例えば小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺の腺癌及び肺の扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃癌(gastric又はstomach)、例えば胃腸癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝腫瘍、乳癌(転移性乳癌を含む)、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌(kidney又はrenal)、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、精巣癌、食道癌、胆道癌、並びに頭頸部癌を含む。幾つかの実施態様では、癌は、局所的に再発性又は転移性疾患(例えば局所的に再発性疾患は治療目的の切除を受け入れられない)を持つ任意の組織学的に確認された3重陰性(ER−、PR−、HER2−)乳腺癌を含む3重陰性転移性乳癌である。
「転移」とは、その原発部位から体内の他の場所に癌が広がることを意味する。癌細胞は原発腫瘍から壊れて離れ、リンパ管及び血管中に浸透し、血流を経て循環し、体内の他の正常な組織の遠位焦点で成長(転移)するおそれがある。転移は局所的又は遠位的でありうる。転移は、腫瘍細胞が原発腫瘍から壊れて離れ、血流を通って移動し、遠位位置で停止する条件の逐次プロセスである。新たな部位で、細胞は血液供給を確立し、成長し、生命を危うくする腫瘤を形成しうる。腫瘍細胞内の刺激性分子経路及び阻害性分子経路双方がこの挙動を調節し、遠位部位における腫瘍細胞と宿主細胞の間の相互作用がまた重要である。
ここで、「無憎悪期間」又は「TTP」は、一般的に、数週間又は数ヶ月で測定される、(例えば抗cmet抗体、例えばMetMAbを用いた)最初の治療の時点から、癌が進行し又は悪化するまでの時間を意味する。このような進行は、熟練した臨床医により評価されうる。3重陰性転移性乳癌の場合、例えば進行はRECISTにより評価できる。
「TTPの延長」とは、未治療の患者に対して(すなわち、抗cmet抗体、例えばMetMAbで治療されていない患者に対して)、及び/又は承認された抗腫瘍剤で治療された患者に対して、治療された患者における無憎悪期間が増加することを意味する。
「生存」は、患者が生き続けていることを意味し、全生存並びに無増悪生存を含む。
「全生存」は、診断又は治療の時点から、定められた期間、例えば1年、5年等、患者が生き続けていることを意味する。
「無増悪生存」は、癌が進行又は悪化することなく、患者が生き続けていることを意味する。
「生存の延長」とは、未治療の患者に対して(すなわち、抗cmet抗体、例えばMetMAbで治療されていない患者に対して)、及び/又は承認された抗腫瘍剤で治療された患者に対する、治療された患者における全生存又は無増悪生存期間が増加することを意味する。
「奏効」とは、完全奏効(CR)又は部分奏効を含む、測定可能な反応を意味する。
「完全奏効」又は「CR」は、治療に対する反応において、癌の全ての徴候の消失を意図している。これは、必ずしも癌が治癒したことを意味するものではない。
「部分奏効」は、治療に対する反応において、一又は複数の腫瘍又は病変のサイズ、又は体内における癌の広がりが低減していることを意味する。
「原発腫瘍」又は「原発癌」とは、最初の癌であり、被験者の体内の他の組織、器官、又は位置に位置する転移性病変ではないことを意味する。
「被験者」とは、ヒト又は非ヒト哺乳動物、例えばウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、又はネコに限定されないが、それらを含む哺乳動物を意味する。好ましくは、被験者はヒトである。患者はまたここでの被験者でもある。
「抗癌治療」なる用語は、癌の治療において有用な治療を意味する。抗癌治療剤の例には、限定されるものではないが、例えば化学療法剤、増殖阻害剤、細胞傷害剤、放射治療に使用される薬剤、抗血管新生剤、アポトーシス剤、抗チューブリン剤、及び癌を治療する他の薬剤、抗CD20抗体、血小板由来増殖因子阻害剤(例えば、GleevecTM(メシル酸イマチニブ))、COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ)、インターフェロン、サイトカイン、一又は複数の次の標的ErbB2、ErbB3、ErbB4、PDGFR-β、BlyS、APRIL、BCMAレセプターに結合するアンタゴニスト(例えば、中和抗体)、TRAIL/Apo2、及び他の生理活性剤及び有機化学剤等が含まれる。その組合せも本発明にまた含まれる。
ここで使用される「細胞傷害剤」なる用語は、細胞の機能阻害又は阻止、及び/又は細胞破壊をもたらす物質を意味する。該用語は、放射性同位体(例えば、I131、I125、Y90、及びRe186)、化学療法剤、及び細菌、真菌、植物、又は動物起源の酵素活性毒素又はその断片などの毒素を含むことを意図する。
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化合物である。化学療法剤の例には、癌の治療に有用な化合物が含まれる。化学療法剤の例には、チオテパ及びCYTOXAN(登録商標)シクロスホスファミドのようなアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンのようなスルホン酸アルキル類;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)のようなアジリジン類;アルトレートアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethylenethiophosphaoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン(acetogenins)(特にブラタシン(bullatacin)及びブラタシノン(bullatacinone));カンプトセシン(合成アナログトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC-1065(そのアドゼレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesin)及びバイゼレシン(bizelesin)合成アナログを含む);クリプトフィシン(cryptophycin)(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン(dolastatin);デュオカルマイシン(duocarmycin)(合成アナログ、KW-2189及びCBI-TM1を含む);エレトロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン(pancratistatin);サルコディクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin);クロランブシル、クロルナファジン(chlornaphazine)、クロロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタード;ニトロスレア(nitrosureas)、例えばカルムスチン(carmustine)、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン(lomustine)、ニムスチン、及びラニムスチン;エネジイン(enediyne) 抗生物質等の抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンガンマ1I及びカリケアマイシンオメガI1、例えば、Agnew Chem Intl. Ed. Engl., 33:183-186(1994)を参照);ダイネミシンA(dynemicinA)を含むダイネミシン(dynemicin);クロドロネート(clodronate)などのビスホスホネート(bisphosphonates);エスペラマイシン(esperamicin);並びにネオカルチノスタチン発光団及び関連色素蛋白エネジイン(enediyne)抗生物質発光団)、アクラシノマイシン(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン (モルフォリノ-ドキソルビシン、シアノモルフォリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシンCなどのマイトマイシン(mitomycins)、ミコフェノール酸、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);メトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU)のような抗代謝産物;デノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate)のような葉酸アナログ;フルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンのようなプリンアナログ;アンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine)のようなピリミジンアナログ;カルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone)のようなアンドロゲン類;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンのような抗副腎剤;フロリン酸(frolinic acid)のような葉酸リプレニッシャー(replenisher);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル(eniluracil);アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エポチロン(epothilone);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidamine);メイタンシン(maytansine)及びアンサマイトシン(ansamitocin)のようなメイタンシノイド(maytansinoid);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダモール(mopidamol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ラソキサントロン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products, Eugene, OR);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(trichothecenes)(特に、T-2トキシン、ベラキュリンA(verracurin A)、ロリデンA(roridin A)及びアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばタキソール(登録商標)パクリタキセル、(Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ)、ABRAXANETM クレモフォール(Cremophor)を含まない、アルブミン設計のナノ粒子形状のパクリタキセル(American Pharmaceutical Partners, Schaumberg, Illinois)及びタキソテール(登録商標)ドキセタキセル、(Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロランブシル;GEMZAR(登録商標)ゲンシタビン(gemcitabine);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチン及びカルボプラチンのようなプラチナアナログ;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)ビノレルビン;ノバントロン(novantrone);テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセローダ(xeloda);イバンドロナート(ibandronate);イリノテカン(Camptosar、CPT-11)(5-FUとロイコボリンを用いたイリノテカンの治療レジメを含む);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド類;カペシタビン(capecitabine);コンブレタスタチン;ロイコボリン(LV);オキサリプラチン治療レジメ(FOLFOX)を含むオキサリプラチン;例えばPKC-α、Raf、H-Ras、EGFR(例えば、エルロチニブ(タルセバTM))及びVEGF-Aの阻害剤で、細胞増殖を低減するもの、及び上述したものの何れかの薬学的に許容可能な塩、酸又は誘導体が含まれる。
また、この定義には、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように働く抗ホルモン剤、例えば抗エストロゲン及び選択的エストロゲンレセプターモジュレーター(SERM)など、例えばタモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン(raloxifene)、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストーン(onapristone)、及びFARESTONトレミフェン;アロマターゼ酵素を阻害するアロマターゼ阻害剤で、副腎でのエストロゲン産生を調節するもの、例えば4(5)-イミダゾール類、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)メゲストロールアセテート、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、ホルメスタイン(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、及びARIMIDEX(登録商標)アナストロゾール;及び抗アンドロゲン、例えばフルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;並びにトロキサシタビン(troxacitabine)(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に不粘着性細胞増殖に関係するシグナル伝達経路の遺伝子の発現を抑制するもの、例えばPKC-alpha、Raf及びH-Ras;VEGF発現阻害剤(例えばANGIOZYME(登録商標)リボザイム)及びHER2発現阻害剤などのリボザイム;遺伝子治療ワクチンなどのワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン及びVAXID(登録商標)ワクチン;PROLEUKIN(登録商標)rIL-2;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;ビノレルビン及びエスペラミシン(例えば、米国特許第4675187号を参照)、及び上記のものの何れかの薬学的に許容可能な塩、酸又は誘導体が含まれる。
この出願で用いられる「プロドラッグ」なる用語は、親薬剤に比較して腫瘍細胞に対する細胞傷害性が低く、酵素的に活性化又はより活性な親形態に変換される薬学的に活性な物質の前駆体又は誘導体形態を意味する。例えば、Wilman, 「Prodrugs in Cancer Chemotherapy」, Biochemical Society Transactions, 14, pp.375-382, 615th Meeting, Belfast (1986)、及びStella等,「Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery」、Directed Drug Delivery, Borchardtら(編), pp247-267, Humana Press (1985)を参照。本発明のプロドラッグは、限定するものではないが、ホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、スルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β-ラクタム含有プロドラッグ、置換されていてもよいフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ又は置換されていてもよいフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5-フルオロシトシン及びより活性のある細胞毒のない薬剤に転換可能な他の5-フルオロウリジンプロドラッグを含む。限定はしないが、本発明で使用されるプロドラッグ形態に誘導体化可能な細胞傷害剤の例には、前記の化学療法剤が含まれる。
「同時に」なる用語は、投与の時間の少なくとも一部がオーバーラップしている2以上の治療薬の投与を指すためにここで使用される。従って、同時投与には、一又は複数の薬剤の投与が一又は複数の他の薬剤の投与をやめた後に続く場合の投薬計画が含まれる。
「放射線治療法」とは、細胞の正常に機能する能力を制限し、又は細胞をまとめて破壊するために、細胞に十分な損傷を誘発させる定方向ガンマ線又はベータ線を使用することを意味する。線量及び治療時間を決定するために、当該技術分野で知られている多くの方法が存在することが理解されるであろう。典型的な治療は、一回投与として付与され、典型的な線量は1日当たり10から200単位(グレイ)の範囲である。
「低減又は阻害」とは、全体的に20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又はそれ以上の低減を生じさせる能力を意味する。低減又は阻害は、治療される疾患の徴候、存在、又は転移サイズ、又は原発腫瘍のサイズのこと指すことができる。
「生存を延長させる」又は「生存の可能性を増大させる」とは、未治療の患者と比較して(例えば抗c−met抗体で治療されていない患者に対して)、又はコントロール処置プロトコル、例えば化学療法剤のみ、例えば乳癌の治療に使用されるものによる治療と比較して、治療された患者においてPFS及び/又はOSが増加していることを意味する。生存は、治療開始後又は最初の診断後、少なくとも約1ヶ月、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、又は少なくとも約1年、又は少なくとも約2年、又は少なくとも約3年、又は少なくとも約4年、又は少なくとも約5年、又は少なくとも約10年等の間、モニターされる。
本発明の方法に対して、患者に「指示する」という用語は、任意の手段、好ましくはパッケージ挿入物の形態又は他の文書でのプロモーション資料のように文書により、適用可能な治療法、医薬、治療、治療レジメン等に対する指示を提供することを意味する。
本発明の方法に対して、「プロモーションする」という用語は、パッケージ挿入物の形態の場合のように文書を含む任意の手段により、特定の薬剤、薬剤の組み合わせ、又は治療様式を提供し、宣伝し、販売し、又は記述することを意味する。ここでのプロモーションは、乳癌の治療のような適応症に対しての、例えば抗c−met抗体、VEGFアンタゴニスト、及びタキサン、例えば抗c−met抗体及びタキサンのような治療剤のプロモーションを意味し、ここで、そのようなプロモーションは、被験者の集団において統計的に有意な治療効果及び許容可能な安全性を伴うことが証明されているとして、食品医薬品局(FDA)によって許可されている。
「マーケティング」なる用語は、製品(例えば薬剤)のプロモーション、販売又は流通を記述するためにここで使用される。マーケティングは特に包装、宣伝広告、及び製品を市販する目的での任意のビジネス活動を含む。
被験者の「集団」は、臨床試験におけるような、又は乳癌治療のような特定の適応症に対してFDAの承認後に腫瘍学者によって見られるような、癌の被験者のグループを意味する。
「静脈内注入」なる用語は、およそ5分以上、好ましくはおよそ30〜90分の時間をかけて動物又はヒト患者の静脈への薬剤の導入を意味するものであるが、本発明では静脈内注入が別法では10時間未満かけて投与される。
「静脈内ボーラス」又は「静脈内プッシュ(intravenous push)」なる用語は、動物又はヒトの静脈に薬剤を投与して、およそ15分以下、好ましくは5分以下に身体が薬剤を受け入れることを意味する。
「皮下投与」なる用語は、比較的ゆっくりと、薬剤容器からの送達が維持されることによって、動物又はヒト患者の皮膚の下に、好ましくは皮膚及び皮下組織の間のポケット内に薬剤を投入することを意味する。ポケットは、皮膚を上につまむか又は引き上げ、皮下組織から離すことによりつくり出されうる。
「皮下注入」なる用語は、動物又はヒト患者の皮下、好ましくは皮膚と皮下組織の間の嚢内に、限定するものではないが30分以下又は90分以下の時間をかけて、薬剤貯蔵物から相対的にゆっくりと、持続的に運搬されることによる薬剤の導入を意味する。場合によって、動物又はヒト被験者の皮下にインプラントされる薬剤運搬ポンプを皮下移植することによって注入されてもよく、この場合のポンプは予め決まった量の薬剤を30分、90分又は治療レジメンの長さにわたる治療期間などの予め決まった期間の間運搬するものである。
「皮下ボーラス」なる用語は、動物又はヒト患者の皮下への薬剤の投与であって、ボーラスドラッグデリバリーは好ましくはおよそ15分未満、より好ましくは5分未満、最も好ましくは60秒未満であるものを意味する。好ましくは、投与は皮膚と皮下組織の間のポケット内であり、そのポケットは例えば皮膚をつまんだり引き上げたりして皮下組織を除去することによって作ったものである。
治療剤
本発明は、併用療法において抗c−met抗体とタキサンとを使用することにより、患者における3重陰性転移性乳癌などの病理症状を治療することを特徴とする。本発明は、また併用療法において抗c−met抗体、VEGFアンタゴニスト(例えば抗VEGF抗体)及びタキサンとを使用することにより、患者における3重陰性転移性乳癌などの病理症状を治療することを特徴とする。
抗c−met抗体
本発明の方法に有用な抗c−met抗体は、c−metに十分な親和性と特異性をもって結合し、一又は複数のc−met活性を低減又は阻害することができる任意の抗体を含む。抗c−met抗体は、限定しないが、c−met活性化、下流分子シグナル伝達(例えばマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)リン酸化)、細胞増殖、細胞遊走、細胞生存、細胞形態形成及び血管新生を含むHGF/c−met関連効果の一又は複数の態様を調節するために使用できる。これらの効果は、c−metに結合するリガンド(例えばHGF)の破壊、c−metリン酸化及び/又はc−met多量体化を含む任意の生物学的に関連した機構によって調節されうる。
選択される抗体は、通常はc−metに対して十分に強力な結合親和性を有し、例えば、抗体は100nM−1pMのKd値でヒトc−metに結合することができる。抗体の親和性は、例えば、表面プラズモン共鳴ベースアッセイ(例えば、PCT出願公開第2005/012359号に記載のBIAcoreアッセイ);酵素結合免疫吸着検定法(ELISA);及び競合アッセイ(例えばRIA)により決定することができる。好ましくは、本発明の抗c−met抗体は、c−met/HGF活性が関与する疾病又は状態を標的としてそれに干渉する治療薬として使用することができる。また、抗体に対して、例えば治療薬としてのその有効性を評価するために、他の生物学的活性アッセイを行うことができる。このようなアッセイは、当該技術分野で知られており、標的抗原に依存し、抗体に対しての使用が意図される。
(一アーム抗体として提供されうる)抗c−met抗体は当該技術分野で知られている。例えば、Martens, T等(2006) Clin Cancer Res 12(20 Pt 1):6144;米国特許第6468529号;国際公開第2006/015371号;同第2007/063816号を参照のこと。本出願はヒトにおけるFc領域を含む一アーム抗体であるオナルツズマブ(「MetMAb」と交換可能に称される)の投与を開示する。MetMAbの配列を図1及び2に示す。MetMAb(またOA5D5v2及びオナルツズマブと呼ばれる)はまた例えば国際公開第2006/015371号;Jin等, Cancer Res (2008) 68:4360に記載されている。MetMAbのバイオシミラー型の投与もまた本発明によって考えられる。例示的な抗c−met抗体がまたここに記載され、例示されている。
抗肝細胞増殖因子(HGF)の使用もまた本発明によって考えられる。HGFはc−metレセプターのリガンドである。抗HGF抗体は当該技術分野において知られている。例えば、Kim KJ等 Clin Cancer Res. (2006) 12(4):1292-8;国際公開第2007/115049号;国際公開第2009/002521号;国際公開第2007/143098号;国際公開第2007/017107号;国際公開第2005/017107号;L2G7;AMG−102(リロツムマブ)、AV−299を参照のこと。抗HGF抗体は、抗c−met抗体に加えて、又は抗c−met抗体に置換して投与されうる。
幾つかの実施態様では、本発明は、一アーム形態で、ここに記載され又は当該技術分野で知られている抗c−met抗体の使用を提供する。従って、一態様では、抗c−met抗体はFc領域を含む一アーム抗体(つまり、重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインが単一の抗原結合アーム形成する)であり、ここで、Fc領域は第一及び第二Fcポリペプチドを含み、第一及び第二Fcポリペプチドは複合体で存在し、上記抗原結合アームを含むFab分子と比較して上記抗体断片の安定性を増加させるFc領域を形成する。アンタゴニスト機能を必要とし、抗体の二価性が望ましくないアゴニスト効果を生じる病理症状の治療に対して、一アーム抗体(つまり単一の抗原結合アームを含む抗体)の一価特質は、標的分子への抗体の結合時にアンタゴニスト機能を生じ、及び/又は確保する。更に、Fc領域を含む一アーム抗体は、同様の/実質的に同一の抗原結合特性を有するFab形態と比較して優れた薬物動態性状(例えば亢進した半減期及び/又は低減したインビボでのクリアランス速度)を特徴とし、よって一般的な一価Fab抗体の使用における主要な欠点を克服する。一アーム抗体は、例えば国際公開第2005/063816号;Martens等, Clin Cancer Res (2006), 12: 6144に開示されている。
幾つかの実施態様では、抗c−met抗体は抗c−met抗体又はその抗体断片であり、ここで、抗c−met抗体は、(a)重鎖可変ドメインを含む第一ポリペプチドであって、該ポリペプチドが配列:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTSYWLHWVRQAPGKGLEWVGMIDPSNSDTRFNPNFKDRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCATYRSYVTPLDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLSCAVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLVSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号:21)を含むもの;(b)軽鎖可変ドメインを含む第二ポリペプチドであって、該ポリペプチドが配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKSSQSLLYTSSQKNYLAWYQQKPGKAPKLLIYWASTRESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYYAYPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号:22)を含むもの;及びFc配列を含む第三ポリペプチドであって、該ポリペプチドが配列
DKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLWCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号:4)を含むものを含み、ここで、重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインは複合体として存在し、単一の抗原結合アームを形成し、第一及び第二Fcポリペプチドが複合体で存在し、上記抗原結合アームを含むFab分子と比較して上記抗体断片の安定性を増加させるFc領域を形成する。
一実施態様では、抗c−met抗体は、図1に示されるCDR1−HC、CDR2−HC及びCDR3−HC配列の一又は複数を含む重鎖可変ドメインを含んでなる(配列番号5−7)。幾つかの実施態様では、抗体は、図1に示すCDR1−LC、CDR2−LC、及びCDR3−LC配列の一又は複数を含む重鎖可変ドメインを含んでなる(配列番号8−10)。幾つかの実施態様では、重鎖可変ドメインは、図1に示すFR1−HC、FR2−HC、FR3−HC及びFR4−HC配列を含む(配列番号11−14)。幾つかの実施態様では、軽鎖可変ドメインは、図1に示すFR1−LC、FR2−LC、FR3−LC及びFR4−LC配列を含む(配列番号15−18)。
他の実施態様では、抗体は、アメリカンタイプカルチュアコレクション受託番号ATCCHB−11894(ハイブリドーマ1A3.3.13)又はHB−11895(ハイブリドーマ5D5.11.6)で寄託されたハイブリドーマ細胞株によって産生されるモノクローナル抗体のCDR配列の一又は複数を含む。
一態様では、抗c−met抗体は、(i)配列A1−A17を含むCDR−L1で、ここでA1−A17はKSSQSLLYTSSQKNYLA(配列番号:23)であるもの;(ii)配列B1−B7を含むCDR−L2で、ここでB1−B7がWASTRES(配列番号:24)であるもの;(iii)配列C1−C9を含むCDR−L3で、ここでC1−C9がQQYYAYPWT(配列番号:25)であるもの;(iv)配列D1−D10を含むCDR−H1で、ここでD1−D10がGYTFTSYWLH(配列番号:26)であるもの;(v)配列E1−E18を含むCDR−H2で、ここでE1−E18がGMIDPSNSDTRFNPNFKD(配列番号:27)であるもの;及び(vi)配列F1−F11を含むCDR−H3で、ここでF1−F11がXYGSYVSPLDY(配列番号:28)であり、XがRではないものからなる群から選択される少なくとも一、二、三、四又は五の高頻度可変領域(CDR)配列;及び(b)少なくとも一の変異CDRであって、変異CDR配列が配列番号:23、24、25、26、27、又は28に示された配列の少なくとも一残基の修飾を含むものを含む。一実施態様では、本発明の抗体のCDR−L1は配列番号:23の配列を含む。一実施態様では、CDR−L2は配列番号:24の配列を含む。一実施態様では、CDR−L3は配列番号:25の配列を含む。一実施態様では、CDR−H1は配列番号:26の配列を含む。一実施態様では、CDR−H2は配列番号:27の配列を含む。一実施態様では、CDR−H3は配列番号:28の配列を含む。一実施態様では、CDR−H3はTYGSYVSPLDY(配列番号:29)を含む。一実施態様では、CDR−H3はSYGSYVSPLDY(配列番号:30)を含む。一実施態様では、(ここに記載の組合せで)これらの配列を含む抗体はヒト化又はヒトである。
一態様では、本発明は、一、二、三、四、五又は六のCDRを含む抗体を提供し、各CDRは、配列番号:23、24、25、26、27、28、及び29からなる群から選択される配列を含み、からなり、又は本質的になり、配列番号:23がCDR−L1に対応し、配列番号:24がCDR−L2に対応し、配列番号:25がCDR−L3に対応し、配列番号:26がCDR−H1に対応し、配列番号:27がCDR−H2に対応し、配列番号:26、27、又は28がCDR−H3に対応する。一実施態様では、本発明の抗体はCDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含み、順に各々が配列番号:23、24、25、26、27及び29を含む。一実施態様では、抗体はCDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3を含み、順に各々が配列番号:23、24、25、26、27及び30を含む。
変異体CDRは、CDR内の一又は複数の残基に修飾を有することができる。一実施態様では、CDR−L2変異体は、次の位置:B1(M又はL)、B2(P、T、G又はS)、B3(N、G、R又はT)、B4(I、N又はF)、B5(P、I、L又はG)、B6(A、D、T又はV)及びB7(R、I、M又はG)の任意の組合せに、1−5(1、2、3、4又は5)の置換を有する。一実施態様では、CDR−H1変異体は、次の位置:D3(N、P、L、S、A、I)、D5(I、S又はY)、D6(G、D、T、K、R)、D7(F、H、R、S、T又はV)及びD9(M又はV)の任意の組合せに、1−5(1、2、3、4又は5)の置換を有する。一実施態様では、CDR−H2変異体は、次の位置:E7(Y)、E9(I)、E10(I)、E14(T又はQ)、E15(D、K、S、T又はV)、E16(L)、E17(E、H、N又はD)及びE18(Y、E又はH)の任意の組合せに、1−4(1、2、3又は4又)の置換を有する。一実施態様では、CDR−H3変異体は、次の位置:F1(T、S)、F3(R、S、H、T、A、K)、F4(G)、F6(R、F、M、T、E、K、A、L、W)、F7(L、I、T、R、K、V)、F8(S、A)、F10(Y、N)及びF11(Q、S、H、F)の任意の組合せに、1−5(1、2、3、4又は5)の置換を有する。それぞれの位置の後の括弧内の文字は、例証する置換(すなわち置き換え)アミノ酸を示し;当業者に明らかなように、ここに記載の文脈における置換アミノ酸としての他のアミノ酸の適正は、当該技術分野で知られており及び/又はここに記載の技術を使用し、常套的に評価することができる。一実施態様では、CDR−L1は、配列番号:23の配列を含む。一実施態様では、変異体CDR−H3におけるF1はTである。一実施態様では、変異体CDR−H3におけるF1はSである。一実施態様では、変異体CDR−H3におけるF3はRである。一実施態様では、変異体CDR−H3におけるF3はSである。一実施態様では、変異体CDR−H3におけるF7はTである。一実施態様では、抗体は変異体CDR−H3を含み、ここでF1はT又はSであり、F3はR又はSであり、F7はTである。
一実施態様では、抗体は変異体CDR−H3を含み、ここでF1はTであり、F3はRであり、F7はTである。一実施態様では、抗体は変異体CDR−H3を含み、ここでF1はSである。一実施態様では、抗体は変異体CDR−H3を含み、ここでF1はTであり、F3はRである。一実施態様では、抗体は変異体CDR−H3を含み、ここでF1はSであり、F3はRであり、F7はTである。一実施態様では、抗体は変異体CDR−H3を含み、ここでF1はTであり、F3はSであり、F7はTであり、F8はSである。一実施態様では、抗体は変異体CDR−H3を含み、ここでF1はTであり、F3はSであり、F7はTであり、F8はAである。幾つかの実施態様では、上記変異体CDR−H3抗体は、CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1及びCDR−H2を含み、それぞれ、配列番号:1、2、3、4及び5に示す配列を順に含む。幾つかの実施態様では、これらの抗体は、ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列を更に含む。これらの抗体の一実施態様では、フレームワークコンセンサス配列は、71、73及び/又は78位に置換を含む。これらの抗体の幾つかの実施態様では、71位はAであり、73はTであり、及び/又は78はAである。これらの抗体の一実施態様では、これらの抗体は、ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列を更に含む。
一実施態様では、抗体は変異体CDR−L2を含み、ここでB6はVである。幾つかの実施態様では、前記変異体CDR−L2抗体は、CDR−L1、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2及びCDR−H3を更に含み、それぞれ、配列番号:23、25、26、27及び28に示す配列を順に含む。幾つかの実施態様では、前記変異体CDR−L2抗体は、CDR−L1、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2及びCDR−H3を更に含み、それぞれ、配列番号:23、25、26、27及び29に示す配列を順に含む。幾つかの実施態様では、前記変異体CDR−L2抗体は、CDR−L1、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2及びCDR−H3を更に含み、それぞれ、配列番号:23、25、26、27及び30に示す配列を順に含む。幾つかの実施態様では、これらの抗体は、ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列を更に含む。これらの抗体の一実施態様では、フレームワークコンセンサス配列は、71、73及び/又は78位に置換を含む。これらの抗体の幾つかの実施態様では、71位はAであり、73はTであり、及び/又は78はAである。これらの抗体の一実施態様では、これらの抗体は、ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列を更に有する。
一実施態様では、本発明の抗体は変異体CDR−H2を含み、ここでE14はTであり、E15はKであり、E17はEである。一実施態様では、本発明の抗体は変異体CDR−H2を含み、ここでE17はEである。幾つかの実施態様では、前記変異体CDR−H3抗体は、CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1及びCDR−H3を更に含み、それぞれ、配列番号:23、24、25、26及び28に示す配列を順に含む。幾つかの実施態様では、前記変異体CDR−H2抗体は、CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1及びCDR−H3を更に含有し、それぞれ、配列番号:23、24、25、26及び29に示す配列を順に含む。幾つかの実施態様では、前記変異体CDR−H2抗体は、CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1及びCDR−H3を更に含み、それぞれ、配列番号:23、24、25、26及び30に示す配列を順に含む。幾つかの実施態様では、これらの抗体は、ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列を更に含む。これらの抗体の一実施態様では、フレームワークコンセンサス配列は、71、73及び/又は78位に置換を含む。これらの抗体の幾つかの実施態様では、71位はAであり、73はTであり、及び/又は78はAである。これらの抗体の一実施態様では、これらの抗体は、ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列を更に含む。
他の実施態様では、c−met抗体は、c−met Semaドメイン又はその変異体の少なくとも一部に特異的に結合する。一例において、アンタゴニスト抗体は、LDAQT(配列番号:33)(例えば、c−metの269−273残基)、LTEKRKKRS(配列番号:34)(例えば、c−metの300−308残基)、KPDSAEPM(配列番号:35)(例えば、c−metの350−357残基)及びNVRCLQHF(配列番号:36)(例えば、c−metの381−388残基)からなる群から選択される配列の少なくとも一に特異的に結合する。一実施態様では、アンタゴニスト抗体は、LDAQT(配列番号:33)(例えば、c−metの269−273残基)、LTEKRKKRS(配列番号:34)(例えば、c−metの300−308残基)、KPDSAEPM(配列番号:35)(例えば、c−metの350−357残基)及びNVRCLQHF(配列番号:36)(例えば、c−metの381−388残基)からなる群から選択される配列の少なくとも一の一部又は全てにより形成される立体構造エピトープに特異的に結合する。一実施態様では、アンタゴニスト抗体は、配列LDAQT(配列番号:33)、LTEKRKKRS(配列番号:34)、KPDSAEPM(配列番号:35)及び/又はNVRCLQHF(配列番号:36)と、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%の同一性又は類似性を有するアミノ酸配列に特異的に結合する。
一態様では、抗c−met抗体は、抗体断片内におけるFc配列の、ホモ二量体化を最小にしながらヘテロ二量体化を促進させる少なくとも一の特徴を含む。このような特徴は、免疫グロブリン集団の収率及び/又は純度及び/又は均一性を改善する。一実施態様では、抗体は、国際公開第2005/063816号;Ridgeway, J等, Prot Eng(1996) 9:617-21; Zhu Z等 Prot Sci(1997) 6:781-8に記載されるような「ノブ」と「ホール」を構成するFc変異を含む。例えば、ホール変異は、FcポリペプチドにおけるT366A、L368A及び/又はY407Vの一又は複数とすることができ、ノブ変異はT366Wとすることができる。
抗VEGF抗体及びVEGFアンタゴニスト
抗体の産生に使用されるVEGF抗原は例えばVEGF165分子並びにVEGFの他のアイソフォーム又は所望のエピトープを含むその断片でありうる。本発明の抗VEGF抗体を産生するために有用なVEGFの他の形態は当業者には明らかであろう。
ヒトVEGFはハイブリダイゼーションプローブとしてウシVEGFcDNAを使用して、ヒト細胞から調製されたcDNAライブラリーを最初にスクリーニングすることによって得られた。Leung等 (1989) Science, 246:1306。それによって同定されたcDNAの一つはウシVEGFに対して95%を越える相同性を有する165アミノ酸のタンパク質をコードしている;この165アミノ酸のタンパク質は典型的にはヒトVEGF(hVEGF)又はVEGF165と呼ばれる。ヒトVEGFの***促進活性は、哺乳動物宿主細胞中でヒトVEGFcDNAを発現させることによって確認された。ヒトVEGFcDNAが形質移入された細胞によって条件化された培地は毛細血管内皮細胞の増殖を促進する一方、コントロール細胞は促進しなかった。上掲のLeung等(1989) Science。
血管内皮細胞増殖因子は引き続く治療用途のために天然源から単離し精製できるが、濾胞細胞中での比較的低い濃度と、労力と費用の双方の面でのVEGFの回収の高いコストのため商業的には利用できないことが分かった。従って、組換えDNA技術によってVEGFをクローニングし発現させるために更なる努力がなされている。(例えば Ferrara, Laboratory Investigation 72:615-618 (1995)、及びそこに引用された文献を参照のこと)。
VEGFは選択的RNAスプライシングから生じる複数のホモ二量体型(単量体当たり121、145、165、189及び206個のアミノ酸)として様々な組織中に発現される。VEGF121はヘパリンに結合しない可溶型マイトジェンである;VEGFのより長い型は漸次的により高い親和性でヘパリンに結合する。VEGFのヘパリン結合型はプラスミンによってカルボキシ末端を切断してVEGFの拡散性形態を放出することができる。プラスミンでの切断後に同定されるカルボキシ末端ペプチドのアミノ酸配列決定はArg110−Ala111である。ホモ二量体として同定されたVEGF(1−110)のアミノ末端「コア」タンパク質は、中和モノクローナル抗体(例えば4.6.1及び3.2E3.1.1と呼ばれる抗体)と、インタクトなVEGF165ホモ二量体と比較して同様の親和性を持つVEGFレセプターの可溶型に結合する。
胎盤増殖因子(PIGF)、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D及びVEGF−Eを含む、VEGFと構造的に関連する幾つかの分子がまた最近同定されている。上掲のFerrara及びDavis-Smyth (1987) Endocr. Rev.;Ogawa等 J. Biological Chem. 273:31273-31281(1998);Meyer等 EMBO J., 18:363-374(1999)。レセプターチロシンキナーゼFlt−4(VEGFR−3)はVEGF−C及びVEGF−Dのレセプターとして同定された。Joukov等 EMBO. J. 15:1751(1996);Lee等 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:1988-1992(1996);Achen等(1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:548-553。VEGF-Cはリンパ性血管新生の調節に関与していることが最近示されている。Jeltsch等 Science 276:1423-1425(1997)。
Flt−1(VEGFR−1とも呼ぶ)とKDR(VEGFR−2とも呼ぶ)の二つのVEGFレセプターが同定されている。Shibuya等(1990) Oncogene 8:519-527;de Vries等(1992) Science 255:989-991;Terman等(1992) Biochem. Biophys. Res. Commun. 187:1579-1586。ニューロピリン−1はヘパリン結合VEGFアイソフォームに結合可能な選択的VEGFレセプターであることが示されている(Soker等 (1998) Cell 92:735-45)。Flt−I及びKDRは両方ともレセプターチロシンキナーゼ(RTKs)のファミリーに属している。RTKsは多様な生物学的活性を持つ膜貫通レセプターの大きなファミリーを含んでなる。現在では、少なくとも19の別個のRTKサブファミリーが同定されている。レセプターチロシンキナーゼ(RTK)ファミリーには、様々な細胞型の増殖と分化に重要なレセプターが含まれる(Yarden及びUllrich(1998), Ann. Rev. Biochem. 57:433-478;Ullrich及びSchlessinger(1990), Cell 61:243-254)。RTKsの本来の機能はリガンド結合の際に活性化され、レセプター及び複数の細胞基質のリン酸化を生じ、続いて様々な細胞応答を生じる(Ullrich及びSchlessinger(1990), Cell 61:203-212)。よって、レセプターチロシンキナーゼ媒介シグナル伝達が、特異的増殖因子(リガンド)との細胞外相互作用によって開始され、それに典型的にはレセプターの二量体化、本来的なタンパク質チロシンキナーゼ活性の刺激及びレセプタートランスリン酸化が続く。それによって結合部位が細胞内シグナル伝達のために作り出され、適切な細胞応答を容易にするある範囲の細胞質シグナル伝達分子と複合体を形成する。(例えば細胞***、分化、代謝効果、細胞外微小環境の変化)Schlessinger及びUllrich(1992) Neuron 9:1-20を参照のこと。構造的には、Flt−1とKDRの両方共、細胞外ドメインに7の免疫グロブリン様ドメイン、単一の膜貫通領域、及びキナーゼ不活性ドメインによって中断されているコンセンサスチロシンキナーゼ配列を有している。Matthews等(1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:9026-9030; Terman等(1991) Oncogene 6:1677-1683。
本発明の方法において有用である抗VEGF抗体は、VEGFに十分な親和性と特異性をもって結合し、VEGFの生物学的活性を低減又は阻害しうる任意の抗体、又はその抗原結合断片を含む。抗VEGF抗体は、通常、他のVEGFホモログ、例えばVEGF−B又はVEGF−Cにも、又は他の増殖因子、例えばPlGF、PDGF又はbFGFにも結合しない。
ある実施態様では、抗VEGF抗体は、限定しないが、ハイブリドーマATCC HB 10709により産生されるモノクローナル抗VEGF抗体 A4.6.1と同じエピトープに結合するモノクローナル抗体;Presta等(1997) Cancer Res. 57:4593-4599に従い産生された組換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体を含む。一実施態様では、抗VEGF抗体は、「rhuMAb VEGF」又は「アバスチン(登録商標)」としても知られている「ベバシズマブ(BV)」である。それは、そのレセプターへのヒトVEGFの結合をブロックするマウス抗hVEGFモノクローナル抗体A.4.6.1からの、抗原結合相補性決定領域及び変異したヒトIgG1フレームワーク領域を含む。殆どのフレームワーク領域を含むベバシズマブのアミノ酸配列の約93%は、ヒトIgG1から誘導され、配列の約7%がマウス抗体A4.6.1から誘導される。
ベバシズマブ及び他のヒト化抗VEGF抗体は、2005年2月26日に発行された米国特許第6884879号に更に記載されている。更なる抗体は、これらの特許出願の内容が出典明示によりここに明示的に援用されるPCT出願国際公開第2005/012359号、PCT出願国際公開第2005/044853、及び米国特許出願公開第2009−0142343号に記載されるような、G6又はB20シリーズ抗体(例えば、G6−31、B20−4.1)を含む。更なる抗体については、米国特許第7060269号、同6582959号、同6703020号;同6054297号;国際公開第98/45332号;国際公開第96/30046号;国際公開第94/10202号;欧州特許第0666868B1号;米国特許出願公開第2006009360号、同20050186208号、同20030206899号、同20030190317号、同20030203409号、及び同20050112126号;及びPopkov等,Journal of Immunological Methods 288:149-164 (2004)を参照のこと。他の抗体は、残基F17、M18、D19、Y21、Y25、Q89、I91、K101、E103、及びC104を含むか、又は残基F17、Y21、Q22、Y25、D63、I83及びQ89を含む、ヒトVEGF上の機能的エピトープに結合するものを含む。
本発明の一実施態様では、抗VEGF抗体は、次のアミノ酸配列:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTNYGMNWVRQAPGKGLEWVGWINTYTGEPTYAADFKRRFTFSLDTSKSTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAKYPHYYGSSHWYFDVWGQGTLVTVSS(配列番号:37)
を含む重鎖可変ドメインと、次のアミノ酸配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQDISNYLNWYQQKPGKAPKVLIYFTSSLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYSTVPWTFGQGTKVEIKR(配列番号:38)
を含む軽鎖可変ドメインを有している。
この発明の「G6シリーズ抗体」は、その全開示が出典明示によりここに明示的に援用されるPCT出願国際公開第2005/012359号の図7、24−26、及び34−35の任意の一つのG6抗体又はG6誘導抗体の配列から誘導された抗VEGF抗体である。更に、その全開示が出典明示によりここに明示的に援用されるPCT出願国際公開第2005/044853号を参照のこと。一実施態様では、G6シリーズ抗体は、残基F17、Y21、Q22、Y25、D63、I83及びQ89を含むヒトVEGF上の機能的エピトープに結合する。
この発明の「B20シリーズ抗体」は、その全開示が出典明示によりここに明示的に援用されるPCT出願国際公開第2005/012359号の図27−29の任意の一つのB20抗体又はB20誘導抗体の配列から誘導された抗VEGF抗体である。更に、その全開示が出典明示によりここに明示的に援用されるPCT出願国際公開第2005/044853号及び米国特許出願第60/991302号を参照のこと。一実施態様では、B20シリーズ抗体は、残基F17、M18、D19、Y21、Y25、Q89、I91、K101、E103、及びC104を含むヒトVEGF上の機能的エピトープに結合する。
この発明の「機能的エピトープ」は、抗体の結合性にエネルギー的に寄与する抗原のアミノ酸残基を意味する。抗原のエネルギー的に寄与する残基の任意の一つの変異(例えば、アラニンによる野生型VEGFの変異又はホモログ変異)が、抗体の相対的親和性比(IC50変異VEGF/IC50野生型VEGF)が5を越えるように、抗体の結合性を乱すであろう(国際公開第2005/012359号の実施例2を参照)。一実施態様では、相対的親和性比は、溶液結合性ファージディスプレイELISAにより測定される。簡潔に述べると、96ウェルMaxisorp免疫プレート(NUNC)を、4℃で一晩、Fab形態の抗体で被覆し、PBS中2ug/mlの濃度で試験し、室温で2時間、PBS、0.5%のBSA、及び0.05%のトゥイーン20(PBT)でブロックする。PBT中でのファージディスプレイhVEGFアラニン点変異(残基8−109形態)又は野生型hVEGF(8−109)の連続希釈を、室温で15分、Fab被覆プレート上で先ずインキュベートし、プレートをPBS、0.05%のトゥイーン20(PBST)で洗浄する。結合したファージを、PBT中で1:5000に希釈された抗M13モノクローナル抗体西洋ワサビペルオキシダーゼ(Amersham Pharmacia)コンジュゲートで検出し、3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB, Kirkegaard & Perry Labs, Gaithersburg, MD)基質で約5分発現させ、1.0MのH3PO4でクエンチし、450nmで分光光度的に読み取る。IC50値の比率(IC50,ala/IC50,wt)は、結合親和性における低減倍数(相対的結合親和性)を表す。
2つの最も良好に特徴付けられたVEGFレセプターは、VEGFR1(Flt−1としてもまた知られている)およびVEGFR2(マウスホモログのKDR及びFLK−1としても知られている)である。各々のVEGFファミリメンバーの各々のレセプターの特異性は変化するが、VEGF−AはFlt−1及びKDRの双方に結合する。完全長Flt−1レセプターは、7つのIgドメインを有する細胞内ドメイン、膜貫通ドメイン、及びチロシンキナーゼ活性を有する細胞外ドメインを含む。細胞外ドメインはVEGFの結合に関与しており、細胞内ドメインはシグナル伝達に関与している。
VEGFに特異的に結合するVEGFレセプター分子又はその断片は、VEGFタンパク質に結合して隔離し、それによってシグナル伝達を妨げるために本発明の方法において使用されうる。ある実施態様では、VEGFレセプター分子又はそのVEGF結合断片は、可溶型、例えばsFlt−1である。レセプターの可溶型は、VEGFに結合して標的細胞の表面上に存在するその天然レセプターへの結合を妨げることによって、VEGFタンパク質の生物活性に対して阻害作用を及ぼす。またVEGFレセプター融合タンパク質も包含され、その例を以下に記載する。
キメラVEGFレセプタータンパク質は、少なくとも2つの異なるタンパク質由来のアミノ酸配列を有するレセプター分子であり、そのうちの少なくとも一つはVEGFレセプタータンパク質(例えばflt−1又はKDRレセプター)であり、VEGFに結合してVEGFの生物活性を阻害することができる。ある実施態様では、本発明のキメラVEGFレセプタータンパク質は、2つの異なるVEGFレセプター分子だけから得られるアミノ酸配列からなるが、flt−1及び/又はKDRレセプターの細胞外リガンド結合領域の1、2、3、4、5、6又は7つ全てのIg様ドメインを含むアミノ酸配列は、他の無関係なタンパク質、例えば免疫グロブリン配列のアミノ酸配列に連結されうる。Ig様ドメインが組み合わされる他のアミノ酸配列は、当業者に容易に明らかであろう。キメラVEGFレセプタータンパク質の例には、限定するものではないが、可溶性Flt−1/Fc、KDR/Fc、又はFLt−1/KDR/Fc(VEGF Trapとしても知られている)が含まれる。(例えばPCT出願公開番号第97/44453号を参照のこと)。
本発明の可溶性VEGFレセプタータンパク質又はキメラVEGFレセプタータンパク質には、膜貫通ドメインを介して細胞の表面に固定されていないVEGFレセプタータンパク質が含まれる。また、キメラレセプタータンパク質を含むVEGFレセプター可溶型は、VEGFに結合してVEGFを不活性化することができるが、膜貫通ドメインを含んでおらず、よって一般に該分子が発現される細胞の細胞膜に結合したものとならない。
治療
本発明は、これらの治療剤の併用活性からの有益な効果を提供することを意図した特定の治療レジメンの一部としての、抗c−met抗体及び化学療法剤(例えばパクリタキセルのようなタキサン)の併用使用を特徴とするものである。本発明はまたこれら治療剤の併用活性から有益な効果を提供することを意図した特定の治療レジメンの一部としての、抗c−met抗体、抗VEGF抗体、及び化学療法剤(例えばパクリタキセルのようなタキサン)の併用使用を特徴とするものである。併用の有益な効果には、限定されるものではないが、治療剤の組合せにより得られる薬物動態又は薬力学的な共同作用が含まれる。
一態様では、本発明は、乳癌の治療方法であって、ER陰性、PR陰性及びHER2陰性(ER−、PR−、及びHER2−;又は3重陰性)転移性乳癌患者に、28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体(例えばMetMAb)を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与することを含む方法を提供する。
一態様では、本発明は、乳癌の治療方法であって、ER陰性、PR陰性及びHER2陰性(ER−、PR−、及びHER2−;又は3重陰性)転移性乳癌患者に、28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体(例えばMetMAb)を投与し、該28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与することを含む方法を提供する。
本発明は、この治療剤の活性から有益な効果をもたらすことが意図された特定の治療レジメンの一部としての抗c−met抗体の使用をまた特徴とする。よって、一態様では、本発明は、被験者における癌を治療する方法であって、2週間毎に約10mg/kgの用量で抗c−met抗体を被験者に投与することを含む方法を提供する。
他の態様では、本発明は、被験者における癌を治療する方法であって、(a)2週間毎に約10mg/kgの用量での抗c−met抗体と(b)VEGFアンタゴニスト(例えば抗VEGF抗体)を被験者に投与することを含む方法を提供する。
本発明の方法は、癌治療の任意の他の手段の不存在下、例えば化学療法剤を含む更なる治療剤の不存在下で実施することができるが、本方法は、場合によっては、化学療法剤、異なった抗c−met抗体、異なった抗VEGF抗体、腫瘍関連抗原に対する抗体、抗ホルモン化合物、心保護薬、サイトカイン、抗血管新生剤、チロシンキナーゼ阻害剤、COX阻害剤、非ステロイド性抗炎症薬、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、癌胎児性タンパク質CA125に結合する抗体、Raf又はras阻害剤、リポソームドキソルビシン、トポテカン、異なったタキサン、悪心を治療する医薬、皮膚発疹を防止又は治療する医薬又は標準的な面皰治療、下痢を治療し又は防止する医薬、解熱医薬、及び造血成長因子からなる群から選択される更なる治療剤の投与を含みうる。
本発明の抗体(及び任意の更なる治療剤)は、非経口、腹腔内、及び鼻腔内、及び局所治療が望まれるならば、病巣内投与を含む任意の適切な手段によって投与されうる。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与を含む。投薬は、任意の適切な経路、例えば投与が短期か慢性であるかどうかに部分的に依存して、静脈内又は皮下注射のような注射によるものとできる。限定しないが、単一又は様々な時点にわたる複数回の投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含む様々な投薬スケジュールがここで考えられる。
抗体及び他の治療剤は、良好な医療実務に合致した形で製剤化され、用量決定され、投与される。この点で考慮される要因には、治療されている特定の疾患、治療されている特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、疾患の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医療実務家に既知の他の要因が含まれる。治療剤は、必要ではないが、場合によっては、問題の疾患を予防又は治療するために現在使用されている一又は複数の薬剤と共に製剤される。そのような他の薬剤の有効量は製剤中に存在する抗体の量、疾患又は治療のタイプ、及び上で検討した他の要因に依存する。これらは一般にここに記載のものと同じ用量及び投与経路で、あるいはここに記載の用量のおよそ1から99%で、又は経験的/臨床的に適切であると判定される任意の用量及び任意の経路で使用される。
阻害剤が抗体である場合、抗体は免疫コンジュゲートでありうる。好ましくは、それが結合するコンジュゲート阻害剤及び/又は抗原は細胞によって内部に取り入れられ、それが結合する癌細胞を死滅させることでコンジュゲートの治療効果の増大を生じる。好ましい実施態様では、細胞傷害剤は癌細胞内の核酸を標的とし又は妨害する。そのような細胞傷害剤の例は、メイタンシノイド、カリケアマイシン、リボヌクレアーゼ及びDNAエンドヌクレアーゼを含む。
疾患の種類及び重症度に応じて、例えば一又は複数の別個の投与又は連続注入の何れであれ、約1μg/kgから100mg/kg(例えば0.1−20mg/kg)のVEGF特異的アンタゴニストが患者への最初の候補投与量である。上述した因子に応じて、典型的な一日の投与量は約1μg/kgから約100mg/kgあるいはそれ以上の範囲であるかもしれない。特に望ましい投薬量は、例えば、5mg/kg、7.5mg/kg、10mg/kg、及び15mg/kgを含む。数日間又はそれ以上の繰り返し投与の場合、状態によっては、上述の又は当該技術分野で知られている方法によって測定して、癌が治療されるまで治療が維持される。しかしながら、他の投与計画が有用でありうる。一例では、VEGF特異的アンタゴニストが抗体である場合、発明の抗体は、毎週一回、2週毎、又は3週毎に、限定しないが、5mg/kg、7.5mg/kg、10mg/kg又は15mg/kgを含む約5mg/kgから約15mg/kgの範囲の用量で投与される。本発明の治療の経過は、常套的な技術及びアッセイによって、容易にモニターされる。
一例では、抗c−met抗体(例えばMetMAb)は28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で投与される。他の例では、抗c−met抗体(例えばMetMAb)は3週毎に15mg/kgの用量で投与される。幾つかの実施態様では、抗c−met抗体は15マイクログラム/ml又はそれ以上の血清トラフ濃度を達成するのに十分な量で投与される。幾つかの実施態様では、抗c−met抗体は3週間にわたって約15mg/kgの全用量で投与される。
治療期間は、医療的に指示された限り、又は所望の治療効果(例えばここに記載のもの)が達成されるまで続く。
幾つかの実施態様では、ここでの患者は、例えば治療前、及び/又は治療中、及び/又は治療後に診断検査を施される。一般に、診断検査が実施される場合、試料は治療を必要とする患者から得ることができる。被験者が癌を有している場合、試料は腫瘍試料又は他の生物学的試料、例えば限定しないが血液、尿、唾液、腹水、又は血清及び血漿のような派生物等を含む生体液でありうる。
幾つかの実施態様では、バイオマーカー、例えばER、PR、HER2、EGFR、及びサイトケラチンの発現パターンを使用して、乳癌を階層化することができる。幾つかの実施態様では、HER2状態は免疫組織化学及び/又は蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)アッセイによって同定される。幾つかの実施態様では、次のものの何れかに合致する患者はHER2陰性として分類される:
IHC陰性(IHC 0又は1+スコア)
IHC陽性(IHC 2+又は3+スコア;定義は部位によって変わりうる)及びFISH陰性(HER2/CEP17比<1.8又はHER2遺伝子コピー/核<4)
FISH陰性(HER2/CEP17比<1.8)
FISH陰性(HER2遺伝子コピー/核<4)
ER及びPR状態を測定することができる。
幾つかの実施態様では、被験者の癌はc-metを発現する。c−met発現を測定する方法は当該技術分野で知られており、例えばIHC及びFISHである。IHC法を使用して、抗体又は抗血清、好ましくはポリクローナル抗血清、最も好ましくは各マーカーに特異的なモノクローナル抗体を使用して発現を検出する。抗体は、例えば放射性標識、蛍光標識、ハプテン標識、例えばビオチン、又は酵素、例えば西洋わさびペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼを用いた、抗体の直接的標識によって検出することができる。別法では、未標識一次抗体は、抗血清、ポリクローナル抗血清又は一次抗体に特異的なモノクローナル抗体と共に使用される。
幾つかの実施態様では、被験者からの血清はIL8を発現し、幾つかの実施態様では、超正常レベルのIL8を発現する。幾つかの実施態様では、被験者からの血清は、約150pg/mlを越えるIL8、又は幾つかの実施態様においては、約50pg/mlを越えるIL8を発現する。幾つかの実施態様では、被験者からの血清は、約10pg/ml、20pg/ml、30pg/mlより多いかそれ以上のIL8を発現する。IL8の血清中濃度を測定する方法は、当該技術分野で知られている。
幾つかの実施態様では、被験者からの血清はHGFを発現し、幾つかの実施態様では超正常レベルのHGFを発現する。幾つかの実施態様では、被験者からの血清は、約5000、10000、又は50000pg/mlより多いHGFを発現する。
幾つかの実施態様では、例えばc−metアンタゴニストで治療され、幾つかの実施態様ではVEGFアンタゴニスト及びタキサン(例えばパクリタキセル)で更に治療された患者の腫瘍又は血清等からの試料におけるmRNA又はタンパク質発現の減少は、例えば治療に対する応答性、又はc−metアンタゴニスト活性についての予後である。幾つかの実施態様では、幾つかの血管新生因子、例えばインターロイキン8(IL8)、血管内皮細胞増殖因子A(VEGFA)、EPHレセプターA2(EphA2)、アンジオポエチン様4(Angptl4)、及びエフリンB2(EFNB2)の発現の減少は、例えば治療に対する応答性、又はc−metアンタゴニスト活性についての予後である。発現の減少は、未治療の試料又は正常値を参照して、又はc−metアンタゴニストを用いた治療(又はc−metアンタゴニストとVEGFアンタゴニスト及びタキサンを用いた治療)の前の患者の発現レベルに対して決定されうる。
幾つかの実施態様では、例えば患者の腫瘍又は血清からの試料におけるHGF又はIL8発現の減少は、例えば治療に対する応答性、又はc-metアンタゴニスト(幾つかの実施態様では、c−metアンタゴニスト、VEGFアンタゴニスト及びタキサンに対する応答)活性についての予後である。一実施態様では、血清中でのIL8の発現の50%より多く、又は70%より多い減少(例えば治療前の患者のIL8発現レベルに対して)は治療に対する応答を示している。発現の減少は、未治療の試料又は正常値を参照して、又はc-metアンタゴニストを用いた治療(又はc-metアンタゴニストとVEGFアンタゴニストを用いた治療)の前の患者の発現レベルに対して決定されうる。
幾つかの実施態様では、例えばc-metアンタゴニストで治療され、また幾つかの実施態様ではVEGFアンタゴニストで更に治療された患者の腫瘍又は血清からの試料における、mRNA又はタンパク質発現の増加は、例えば治療に対する応答性、又はc-metアンタゴニスト(幾つかの実施態様ではc−metアンタゴニスト、VEGFアンタゴニスト及びタキサンに対する応答について)活性についての予後である。発現の減少は、未治療の試料又は正常値を参照して、又はc-metアンタゴニストを用いた治療(又はc-metアンタゴニストとVEGFアンタゴニストを用いた治療)の前の患者の発現レベルに対して決定されうる。
幾つかの実施態様では、FDG−PET画像は、例えば治療に対する応答性又はc−metアンタゴニスト活性についての予後である。
ここでの試料は固定された試料、例えばホルマリン固定、パラフィン包埋(FFPE)試料、又は凍結試料でありうる。
製剤
ここに記載された抗体の薬学的製剤は、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で、一又は複数の任意の薬学的に許容される担体(Remington's Pharmaceutical Sciences 16版, Osol,A.編(1980))と所望の度合いの純度を有する抗体を混合することにより調製される。薬学的に許容される担体は用いられる用量及び濃度でレシピエントに一般に非毒性であり、限定しないが、緩衝剤、例えばリン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸及びメチオニン;保存料(例えば塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン;親水性重合体、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリジン;単糖類、二糖類及び他の炭水化物、例えばグルコース、マンノース又はデキストリン;キレート剤、例えばEDTA;糖類、例えばスクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属錯体(例えばZn−タンパク質錯体);及び/又は非イオン性界面活性剤、例えばポリエチレングリコール(PEG)を含む。ここでの例示的な薬学的に許容可能な担体は、可溶性中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えばヒト可溶性PH−20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質、例えばrHuPH20(HYLENEX(登録商標), Baxter International, Inc.)のような間質薬剤分散剤を更に含む。rHuPH20を含むある種の例示的sHASEGPs及び使用方法は米国特許出願公開第2005/0260186号及び第2006/0104968号に記載されている。一態様では、sHASEGPは一又は複数のグリコサミノグリカナーゼ、例えばコンドロイチナーゼと組み合わせられる。
例示的な凍結乾燥抗体製剤は米国特許第6267958号に記載される。水性抗体製剤は米国特許第6171586号及び国際公開第2006/044908号に記載されたものを含み、後者の製剤はヒスチジン−アセテートバッファーを含む。
また、ここでの製剤は治療される特定の適応症に必要な一を越える活性化合物、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を持つものを含みうる。このような活性成分は意図される目的のために有効である量で組合わせて適切に存在する。
一実施態様では、ベバシズマブは、4ml又は16mlのベバシズマブ(25mg/ml)を送達するために、100mg及び400mgの保存料を含まない一回使用のバイアルで治療的使用のために供給される。100mgの生成物は、240mgの無水α,α-トレハロース、23.2mgのリン酸ナトリウム(一塩基性、一水和物)、4.8mgのリン酸ナトリウム(二塩基性、無水)、1.6mgのポリソルベート20、及び注射用の水、USPに製剤化される。400mgの生成物は、960mgの無水α,α-トレハロース、92.8mgのリン酸ナトリウム(一塩基性、一水和物)、19.2mgのリン酸ナトリウム(二塩基性、無水)、6.4mgのポリソルベート20、及び注射用の水、USPに製剤化される。ベバシズマブに対するラベルをまた参照のこと。ベバシズマブは現在市販されている。ここでの製剤は、治療される特定の適応症に必要な一を越える活性化合物、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を持つものを含みうる。このような活性成分は意図される目的のために有効である量で組合わせて適切に存在する。
活性成分は、例えばコアセルベーション技術あるいは界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メタクリル酸メチル)マイクロカプセルに、コロイド状ドラッグデリバリーシステム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ-粒子及びナノカプセル)に、あるいはマクロエマルションに捕捉させてもよい。このような技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences 16版, Osol, A.編(1980)に開示されている。
徐放性調製物を調製してもよい。徐放性調製物の適切な例は、抗体を含む疎水性固体ポリマーの半透性マトリクスを含み、そのマトリクスは成形品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態である。
インビボ投与に使用される製剤は一般に無菌である。滅菌は、例えば滅菌濾過膜による濾過により、直ぐに達成されうる。
効能
本発明の治療の主な利点は、患者が治療全体から恩恵を受けるように、有意な毒性又は有害作用を生じないでヒト患者に顕著な抗癌効果を生じせしめる能力である。本発明の治療の効能は、限定しないが、腫瘍退縮、腫瘍重量又はサイズ収縮、腫瘍増殖停止期間、生存期間、無増悪生存期間、奏効率、奏効期間、及び生活の質を含む癌治療を評価する際に一般的に使用される様々なエンドポイントによって測定することができる。本発明の治療剤は原発性腫瘍を収縮させることなく転移の拡がりの阻害するか、又は単に腫瘍抑制効果を奏しうる。本発明で使用される抗血管新生剤は腫瘍脈管構造を標的とし、必ずしも腫瘍細胞自体を標的としないので、それらは独特なクラスの抗癌薬を表し、よって薬剤に対する臨床応答の独特の基準及び定義を必要としうる。例えば、2次元解析において50%を越える腫瘍収縮を、応答を断言するためのカットオフとして使用することができる。従って、例えば血管新生の血漿又は尿マーカーの測定及び放射線画像を通した応答の測定を含む治療法の効能を測定するための新規なアプローチ法を場合によっては用いることができる。
抗体調製
更なる態様では、上記実施態様の何れかに係る抗体は、以下のセクション1−7に記載されているような特徴の何れかを単独で又は組み合わせて含みうる:
1.抗体親和性
ある実施態様では、ここに提供される抗体は≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば10−8M以下、例えば10−8Mから10−13M、例えば10−9Mから10−13M)の解離定数(Kd)を有している。
一実施態様では、Kdは、次のアッセイによって記載されるように、対象の抗体のFab型とその抗原を用いて実施される放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。抗原に対するFabの溶液結合親和性は、一連の力価の非標識抗原の存在下で、最小濃度の(125I)標識抗原でFabを均衡にし、ついで抗Fab抗体被覆プレートで結合抗原を捕獲することによって測定する(例えばChen等, J. Mol. Biol. 293:865-881(1999)を参照)。アッセイ条件を確率するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を5μg/mlの50mM炭酸ナトリウム(pH9.6)中の捕獲抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩被覆し、その後PBS中の2%(w/v)のウシ血清アルブミンで室温(およそ23℃)で2から5時間、ブロックする。非吸着プレート(Nunc #269620)において、100pM又は26pMの[125I]抗原を段階希釈した対象のFabと混合する(例えば、Presta等, Cancer Res. 57: 4593-4599(1997)における抗VEGF抗体Fab-12の評価と一致する)。ついで対象のFabを一晩インキュベートする;しかし、インキュベーションは平衡状態に達したことを確認するまでより長い時間(例えば約65時間)継続する場合がある。その後、混合物を捕獲プレートに移し、室温で(例えば1時間)インキュベートする。ついで、溶液を取り除き、プレートをPBS中の0.1%ポリソルベート20(Tween-20(登録商標))で8回洗浄した。プレートが乾燥したら、150μl/ウェルの閃光物質(MicroScint-20TM;Packard)を加え、プレートをTOPCOUNTTMγカウンター(Packard)で10分間計数する。最大結合の20%か又はそれ以下を与える各Fabの濃度を選択して競合結合測定に用いる。
他の実施態様によれば、〜10反応単位(RU)の固定した抗原CM5チップで25℃のBIAcore(登録商標)-2000又はBIAcore(登録商標)-3000(BIAcore, Inc., Piscataway, NJ)を使用して表面プラズモン共鳴アッセイを行ってKdを測定する。簡単に言うと、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5, BIAcore Inc.)を、提供者の指示書に従ってN-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化する。抗原を10mMの酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(〜0.2μM)に希釈した後、結合したタンパク質の反応単位(RU)がおよそ10になるように5μl/分の流量で注入する。抗原の注入後、未反応群をブロックするために1Mのエタノールアミンを注入する。動力学的な測定では、2倍の段階希釈したFab(0.78nMから500nM)を25℃、およそ25μl/分の流量で0.05%ポリソルベート20(Tween-20TM)界面活性剤(PBST)を含むPBSに注入する。会合及び解離のセンサーグラムを同時にフィットさせることによる単純一対一ラングミュア結合モデル(simple one-to-one Langmuir binding model)(BIAcore Evaluationソフトウェアバージョン3.2)を用いて、会合速度(kon)と解離速度(koff)を算出する。平衡解離定数(Kd)をkoff/kon比として算出する。例えば、Chen等, J. Mol Biol 293:865-881(1999)を参照のこと。上記の表面プラスモン共鳴アッセイにより結合速度が10−1−1を上回る場合、分光計、例えば、ストップフロー具備分光光度計(stop-flow equipped spectrophometer)(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM-Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)で測定される、漸増濃度の抗原の存在下で、PBS(pH7.2)、25℃の、20nMの抗抗原抗体(Fab型)の蛍光放出強度(励起=295nm;放出=340nm、バンドパス=16nm)の増加又は減少を測定する蛍光消光技術を用いて結合速度を測定することができる。
2.抗体断片
ある実施態様では、ここに提供される抗体は抗体断片である。抗体断片は、限定しないが、Fab、Fab'、Fab'−SH、F(ab')、Fv、一アーム抗体、及びscFv断片、及び以下に記載の他の断片を含む。所定の抗体断片の概説については、Hudson等 Nat. Med. 9:129-134 (2003)を参照のこと。scFv断片の概説については、例えばPluckthun, The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編,(Springer-Verlag, New York), pp. 269-315 (1994)を参照のこと;また国際公開第93/16185号;及び米国特許第5571894号及び第5587458号を参照のこと。サルベージレセプター結合エピトープ残基を含みインビボ半減期が増加したFab及びF(ab')断片の検討については、米国特許第5869046号を参照のこと。他の一価抗体型は例えば国際公開第2007048037号、国際公開第2008145137号、国際公開第2008145138号、及び国際公開第2007059782号に記載されている。一アーム抗体は例えば国際公開第2005/063816号に記載されている。ダイアボディは、二価又は二重特異性でありうる二つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、欧州特許出願公開第404097号;国際公開第1993/01161号;Hudson等, Nat. Med. 9:129-134 (2003);及びHollinger等 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993)を参照のこと。トリアボディ及びテトラボディはまたHudson等, Nat. Med. 9:129-134 (2003)に記載されている。
単一ドメイン抗体は抗体の重鎖可変ドメインの全て又は一部又は軽鎖可変ドメインの全て又は一部を含む抗体断片である。ある実施態様では、単一ドメイン抗体はヒト単一ドメイン抗体である(Domantis, Inc., Waltham, MA;例えば米国特許第6248516B1号を参照)。
抗体断片は、限定しないが、ここに記載されるようにインタクトな抗体のタンパク質消化並びに組換え宿主細胞(例えば大腸菌又はファージ)による生産を含む様々な技術によって作製されうる。
3.キメラ及びヒト化抗体
ある実施態様では、ここで提供される抗体はキメラ抗体である。あるキメラ抗体は、例えば米国特許第4816567号;及びMorrison等, PNAS USA, 81:6851-6855 (1984)に記載されている。一例では、キメラ抗体は非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又は非ヒト霊長類、例えばサル由来の可変領域)とヒト定常領域を含む。更なる例では、キメラ抗体はクラス又はサブクラスが親抗体のものとは変化せられた「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体はその抗原結合断片を含む。
ある種の実施態様では、キメラ抗体はヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、親非ヒト抗体の特異性及び親和性を保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低下させるためにヒト化される。一般的に、ヒト化抗体は、CDR、例えばCDR(又はその一部)が非ヒト抗体由来であり、FR(又はその一部)がヒト抗体配列由来である一又は複数の可変ドメインを含む。場合によっては、ヒト化抗体は、ヒト定常領域の少なくとも一部を含むであろう。幾つかの実施態様では、ヒト化抗体における幾つかのFR残基は、非ヒト抗体(例えば、CDR残基が誘導される抗体)からの対応する残基で置換され、例えば抗体特異性又は親和性が回復又は改善される。
ヒト化抗体及びそれらを作製する方法は、例えばAlmagro 及び Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)に概説されており、更に例えば、Riechmann等, Nature 332:323-329 (1988);Queen等, PNAS USA 86:10029-10033 (1989);米国特許第5821337号、同7527791号、同6982321号、及び同7087409号;Kashmiri等, Methods 36:25-34 (2005)(SDR(a-CDR)グラフトを記載);Padlan, Mol. Immunol. 28:489-498 (1991)(「リサーフェシング(resurfacing)」を記載);Dall'Acqua等, Methods 36:43-60 (2005) (「FRシャッフリング」を記載);及びOsbourn等, Methods 36:61-68 (2005) 及び Klimka等, Br. J. Cancer, 83:252-260 (2000)(FRシャッフリングに対する「案内選別(guided selection)」アプローチ法を記載)に記載されている。
ヒト化に使用されうるヒトフレームワーク領域には、限定されるものではないが、「ベストフィット法」を使用して選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims等 J. Immunol. 151:2296 (1993)を参照);軽鎖又は重鎖可変ドメインの特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列から誘導されるフレームワーク領域(例えば、Carter等 PNAS USA, 89:4285 (1992);及び Presta等 J. Immunol., 151:2623 (1993));ヒト成熟(体細胞的に変異された)フレームワーク領域又はヒト生殖系列フレームワーク領域(例えば、Almagro及びFransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)を参照);及びFRライブラリーのスクリーニング由来のフレームワーク領域(例えば、Baca等, J. Biol. Chem. 272:10678-10684 (1997) 及び Rosok等, J. Biol. Chem. 271:22611-22618 (1996)を参照)が含まれる。
4.ヒト抗体
ある実施態様では、ここで提供される抗体はヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野で知られている様々な技術を使用して産生せしめることができる。ヒト抗体は、一般的に、van Dijk及びvan de Winkel, Curr. Opin. Pharmacol. 5: 368-74 (2001)及びLonberg, Curr. Opin. Immunol. 20:450-459 (2008)に記載されている。
ヒト抗体は、抗原投与に反応してインタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するように修飾されたトランスジェニック動物に免疫源を投与することによって調製することができる。このような動物は、ヒト免疫グロブリン座位の全て又は一部を典型的には含み、内在性免疫グロブリン座位を置き換えるか、又は染色体外、又は動物の染色体内にランダムに組み込まれて存在する。このようなトランスジェニックマウスにおいて、内在性免疫グロブリン座位は、一般的に不活性化される。トランスジェニック動物からヒト抗体を得る方法の概説は、Lonberg, Nat. Biotech. 23:1117-1125 (2005)を参照のこと。また、XENOMOUSETM技術を記載する米国特許第6075181号及び同6150584号;HUMAB(登録商標)技術を記載した米国特許第5770429号;K−M MOUSE(登録商標)技術を記載した米国特許第7041870号;VELOCIMOUSE(登録商標)技術を記載した米国特許出願公開第2007/0061900号を参照。このような動物により産生されるインタクトな抗体からのヒト可変領域は、例えば異なるヒト定常領域と組合せることにより、更に修飾することができる。
また、ヒト抗体は、ハイブリドーマベース法により作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体の生産のためのヒトミエローマ及びマウス-ヒトヘテロミエローマ細胞株が記載されている。(例えば、Kozbor J. Immunol., 133: 3001 (1984);Brodeur等, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987);及びBoerner等, J. Immunol., 147: 86 (1991)を参照)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して産生されるヒト抗体は、Li等, PNAS. USA, 103:3557-3562 (2006)にまた記載されている。付加的な方法には、例えば米国特許第7189826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の生産を記載)、及びNi, Xiandai Mianyixue, 26(4):265-268 (2006)(ヒト-ヒトハイブリドーマを記載)に記載されている。また、ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)は、Vollmers 及びBrandlein, Histology and Histopathology, 20(3):927-937 (2005) 及び Vollmers及びBrandlein, Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology, 27(3):185-91 (2005)にも記載されている。
ヒト抗体は、ヒト由来ファージディスプレイライブラリーから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することにより産生せしめることもできる。ついで、このような可変ドメイン配列は、所望のヒト定常ドメインと組合せられうる。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択するための技術を以下に記載する。
5.ライブラリー由来抗体
本発明の抗体は、所望の活性を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることにより単離することができる。例えば、ファージディスプレイライブラリーを作製し、所望の結合特性を有する抗体について、そのようなライブラリーをスクリーニングするための様々な方法が当該技術分野で知られている。このような方法は、例えばHoogenboom等 Methods in Molecular Biology 178:1-37 (O'Brien等編, Human Press, Totowa, NJ, 2001)において概説され、更に例えばMcCafferty等, Nature 348:552-554;Clackson等, Nature 352: 624-628 (1991);Marks等, J. Mol. Biol. 222: 581-597 (1992);Marks及びBradbury, Methods in Molecular Biology 248:161-175(Lo編, Human Press, Totowa, NJ, 2003);Sidhu等, J. Mol. Biol. 338(2): 299-310 (2004);Lee等, J. Mol. Biol. 340(5): 1073-1093 (2004);Fellouse, PNAS USA 101(34): 12467-12472 (2004);及びLee等, J. Immunol. Methods 284(1-2): 119-132(2004)に記載されている。
ある種のファージディスプレイ法では、VH及びVL遺伝子のレパートリーが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により別々にクローニングされ、ファージライブラリーにおいてランダムに組換えられ、これがついで、Winter等, Ann. Rev. Immunol., 12: 433-455 (1994)に記載されているように、抗原-結合ファージについてスクリーニングされうる。ファージは、典型的には、単鎖Fv(scFv)断片又はFab断片として、抗体断片をディスプレイする。免疫化されたソースからのライブラリーにより、ハイブリドーマを構築する必要なく、免疫原に対して高親和性の抗体が提供される。あるいは、天然レパートリーを、Griffiths等, EMBO J, 12: 725-734 (1993)に記載されているように、免疫化をすることなく、広範囲の非自己、更には自己抗原に対するヒト抗体の単一供給源を提供するために(例えばヒトから)クローニングすることができる。最後に、ナイーブライブラリーは、幹細胞から再配置されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含むPCRプライマーを使用することで合成的に作製することができ、高頻度可変CDR3領域をコードし、Hoogenboom 及び Winter, J. Mol. Biol., 227: 381-388 (1992)により記載されているような、再配置をインビトロで達成することができる。ヒト抗体ファージライブラリーを記載する特許文献には、例えば米国特許第5750373号、及び米国特許出願第2005/0079574号、同2005/0119455号、同2005/0266000号、同2007/0117126号、同2007/0160598号、同2007/0237764号、同2007/0292936号、及び同2009/0002360号が含まれる。
ヒト抗体ライブラリーから単離される抗体又は抗体断片は、ここでのヒト抗体又はヒト抗体断片と考えられる。
6.多重特異性抗体
ある実施態様では、ここで提供される抗体は多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも二つの異なる部位に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体である。ある種の実施態様では、結合特異性の一つは抗原に対してであり、他方は任意の他の抗原に対してである。ある実施態様では、二重特異性抗体は、抗原の二つの異なるエピトープに結合しうる。また二重特異性抗体は抗原を発現する細胞に細胞傷害剤を局在化させるために使用することができる。二重特異性抗体は、完全長抗体又は抗体断片として調製することができる。
多重特異性抗体を作製するための技術には、限定されるものではないが、異なる特異性を有する二つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え同時発現(Milstein及びCuello, Nature 305: 537 (1983)を参照)、国際公開第93/08829号、及びTraunecker等, EMBO J. 10: 3655 (1991))、及び「ノブ-イン-ホール」技術(例えば、米国特許第5731168号を参照)が含まれる。また、多重特異性抗体は、抗体ヘテロ二量体分子を作製するための静電気操縦効果の設計(国際公開第2009/089004A1号);2又はそれ以上の抗体又は断片の架橋(例えば、米国特許第4676980号、及びBrennan等, Science, 229: 81 (1985)を参照);二重特性抗体の産生のためのロイシンジッパーの使用(例えば、Kostelny等, J. Immunol., 148(5):1547-1553 (1992));二重特異性抗体断片を作製するための「ダイアボディ」技術の使用(例えば、Hollinger等, PNAS USA, 90:6444-6448 (1993)を参照);及び単鎖Fv(sFv)二量体の使用(例えば、Gruber等, J. Immunol., 152:5368 (1994)を参照);及びTutt等 J. Immunol. 147: 60 (1991)に記載されているような三重特異性抗体の調製により、作製することができる。
「オクトパス抗体」を含む3又はそれ以上の機能的抗原結合部位を有する操作抗体もここに含まれる(例えば、米国特許出願公開第2006/0025576A1号を参照)。
また、ここでの抗体又は断片は、抗原並びに他の異なる抗原に結合する抗原結合部位を含む「二重作用FAb」又は「DAF」も含む(例えば、米国特許出願公開第2008/0069820号を参照)。
7.抗体変異体
ある実施態様では、ここに提供される抗体のアミノ酸配列変異体が考えられる。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的性質を改善させることが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードするヌクレオチド配列中に適切な修飾を導入して、又はペプチド合成により調製されうる。そのような修飾は、抗体のアミノ酸配列内の残基の、例えば、欠失、及び/又は挿入及び/又は置換を含む。最終コンストラクトが所望の特性、例えば抗原結合性を有している限り、欠失、挿入、及び置換をどのように組合せて、最終コンストラクトに到達してもよい。
置換、挿入、及び欠失変異体
ある実施態様では、一又は複数のアミノ酸置換を有する抗体変異体が提供される。置換突然変異誘発のために関心ある部位はCDR及びFRを含む。保存的置換は、「保存的置換」と題して表1に示す。より実質的な変化は「例示的置換」との項目で表1に提供され、アミノ酸側鎖クラスを基準にして以下に更に記載される。アミノ酸置換は関心ある抗体に導入され得、生成物が所望の活性、例えば保持された/改善された抗原結合性、低減した免疫原性、改善されたADCC又はCDCについて、スクリーニングされる。
Figure 2013529203
アミノ酸は共通の側鎖特性に基づいて群に分けることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらのクラスの一つのメンバーを他のクラスに交換することを必要とするであろう。
一タイプの置換変異体は、親抗体(例えばヒト化又はヒト抗体)の一又は複数の高頻度可変領域残基を置換することを含む。一般的に、更なる研究のために選択される得られた変異体は、親抗体に対して所定の生物学的性質(例えば親和性の増加、免疫原性の減少)に修飾(例えば改善)を有するか、及び/又は親抗体の実質的に保持された所定の生物学的性質を有しているであろう。例示的な置換変異体は、親和性成熟抗体であり、これは、例えばここに記載されたもののようなファージディスプレイベースの親和性成熟技術を使用して簡便に産生せしめることができる。簡潔に言えば、一又は複数のCDR残基を変異させ、変異体抗体をファージにディスプレイさせ、特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
改変(例えば置換)は、例えば抗体親和性を改善するために、HVRsにおいてなされうる。このような改変はCDR「ホットスポット」、つまり体細胞成熟プロセス中に高頻度で変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えばChowdhury, Methods Mol. Biol. 207:179-196 (2008)を参照)、及び/又はSDRs(a−CDRs)においてなされる場合があり、得られる変異体VH又はVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリーを構築しそれから再選択することによる親和性成熟は、例えばHoogenboom等 Methods in Molecular Biology 178:1-37 (O’Brien等編, Human Press, Totowa, NJ, (2001))に記載されている。親和性成熟の幾つかの実施態様では、様々な方法(例えばエラープローンPCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発)の何れかによって成熟のために選択された可変遺伝子中に多様性が導入される。ついで、二次抗体が作製される。ついで、ライブラリーがスクリーニングされ、所望の親和性を有する任意の抗体変異体が同定される。多様性を導入する他の方法は、幾つかのCDR残基(例えば一度に4−6残基)が無作為化されるCDR指向性アプローチを含む。抗原結合に関与するCDR残基が、例えばアラニンスキャン突然変異誘発又はモデリングを使用して、特に同定されうる。特にCDR−H3及びCDR−L3がしばしば標的とされる。
ある実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、そのような改変が抗原に結合する抗体の能力を実質的に低下させない限り、一又は複数のCDR内で生じうる。例えば、結合親和性を実質的に減少させない保存的改変(例えばここで提供される保存的置換)をCDRにおいてなすことができる。そのような改変はCDR「ホットスポット」又はSDRの外側でありうる。上に提供された変異VH及びVL配列の所定の実施態様では、何れかの各CDRが改変されず、又は一、二又は三のアミノ酸置換を含む。
突然変異誘発の標的とされうる抗体の残基又は領域を同定するための有用な方法は、Cunningham及びWells (1989) Science 244:1081-1085 (1989)によって記載されている「アラニンスキャンニング突然変異誘発法」と呼ばれる。この方法において、残基又は標的残基の群(例えば、arg、asp、his、lys、及びgluなどの荷電残基)が同定され、中性の又は負に荷電したアミノ酸(例えばアラニン又はポリアラニン)で置換され、抗体の抗原との相互作用に影響があるかどうかが決定される。最初の置換に対して機能的感受性を示しているアミノ酸位置に更なる置換を導入することができる。あるいは、又は付加的に、抗原-抗体複合体の結晶構造が抗体と抗原間の接触点を同定する。そのような接触残基及び近傍の残基は置換のための候補として標的にされるか又は削除されうる。変異体は、それらが所望の性質を含むかどうかを決定するためにスクリーニングされうる。
アミノ酸配列挿入は、長さが1残基から百以上の残基を含むポリペプチドまで及ぶアミノ末端及び/又はカルボキシ末端融合体、並びに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例は、N末端メチオニル残基を有する抗体を含む。抗体分子の他の挿入変異体は、抗体の血清半減期を増加させる酵素(例えばADEPT)又はポリペプチドへの抗体のN又はC末端の融合を含む。
グリコシル化変異体
ある実施態様では、ここで提供される抗体は、抗体がグリコシル化される度合いを増大又は減少させるように改変される。抗体へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、アミノ酸配列を、一又は複数のグリコシル化部位が作られ又は除去されるように改変させることによって、簡便に達成されうる。
抗体がFc領域を含む場合、そこに結合される炭水化物が改変されうる。哺乳動物細胞により産生される天然抗体は、典型的には、Fc領域のCH2ドメインのAsn297に対してN結合により一般的に結合する分枝状で二分岐のオリゴ糖を含む。例えば、Wright等 TIBTECH 15:26-32 (1997)を参照。オリゴ糖は様々な炭水化物、例えばマンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸を含み得、並びにフコースが二分岐オリゴ糖構造の「幹」のGlcNAcに結合される。幾つかの実施態様では、本発明の抗体におけるオリゴ糖の修飾が、ある改善された特性を有する抗体変異体を生じせしめるために、なされうる。
一実施態様では、Fc領域に(直接又は間接的に)結合したフコースを欠く炭水化物構造を有する抗体変異体が提供される。例えば、かかる抗体におけるフコースの量は、1%から80%、1%から65%、5%から65%、又は20%から40%でありうる。フコースの量は、例えば国際公開第2008/077546号に記載されているように、MALDI−TOF質量分析法によって測定して、Asn297(例えば複合のハイブリッド及び高マンノース構造)に結合した全ての糖構造の合計に対してAsn297の糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297はFc領域内の約297位(Fc領域のEu番号付け)に位置したアスパラギン残基を意味する;しかしながら、Asn297は、抗体中のマイナーな配列変異のために、297位から約±3アミノ酸上流又は下流に、つまり294位と300位の間に位置している場合がありうる。そのようなフコシル化変異体は改善されたADCC機能を有しうる。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号(Presta, L.);米国特許出願公開第2004/0093621号(Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd)を参照。「脱フコシル化された」又は「フコース欠損」抗体変異体に関連した刊行物の例には、米国特許出願公開第2003/0157108号;国際公開第2000/61739号;国際公開第2001/29246号;米国特許出願公開第2003/0115614号;米国特許出願公開第2002/0164328号;米国特許出願公開第2004/0093621号;米国特許出願公開第2004/0132140号;米国特許出願公開第2004/0110704号;米国特許出願公開第2004/0110282号;米国特許出願公開第2004/0109865号;国際公開第2003/085119号;国際公開第2003/084570号;国際公開第2005/035586号;国際公開第2005/035778号;国際公開第2005/053742号;国際公開第2002/031140号;Okazaki等 J. Mol. Biol. 336:1239-1249(2004);Yamane-Ohnuki等 Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004)が含まれる。脱フコシル化抗体を生産可能な細胞株の例には、タンパク質フコシル化に欠けているLec13CHO細胞(Ripka等 Arch. Biochem. Biophys. 249:533-545 (1986);米国特許出願公開第2003/0157108A1号, Presta, L;及び国際公開第2004/056312A1号, Adams等,特に実施例11)、及びノックアウト細胞株、例えばアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki等 Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004);Kanda, Y等, Biotechnol. Bioeng., 94(4):680-688 (2006);及び国際公開第2003/085107号を参照)が含まれる。
例えば抗体のFc領域に結合した二分オリゴ糖がGlcNAcにより二分される二分オリゴ糖を有する抗体変異体が更に提供される。そのような抗体変異体は、フコシル化が低減され、及び/又はADCC機能が改善されている場合がある。そのような抗体変異体の例は、例えば国際公開第2003/011878号(Jean-Mairet等);米国特許第6602684号(Umana等);及び米国特許出願公開第2005/0123546号(Umana等)に記載されている。Fc領域に結合したオリゴ糖に少なくとも一のガラクトース残基を有する抗体変異体も提供される。このような抗体変異体は、改善されたCDC機能を有している場合がある。このような抗体変異体は、例えば国際公開第1997/30087号(Patel等);国際公開第1998/58964号(Raju, S.);及び国際公開第1999/22764号(Raju, S.)に記載されている。
Fc領域変異体
ある実施態様では、一又は複数のアミノ酸修飾が、ここに提供される抗体のFc領域に導入され、それによりFc領域変異体を産生せしめてもよい。Fc領域変異体は、一又は複数のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含んでなるヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4Fc領域)を含みうる。
ある実施態様では、本発明は、幾つかであるが全てではないエフェクター機能を持つ抗体変異体を考察し、これは、抗体を、インビボでの抗体の半減期は重要であるが、あるエフェクター機能(例えば、補体及びADCC)は不要か又は有害である用途のために望ましい候補とする。CDC及び/又はADCC活性の減少/喪失を確認するために、インビトロ及び/又はインビボ細胞傷害性アッセイが実施されうる。例えば、Fcレセプター(FcR)結合アッセイは、抗体がFcγR結合を欠く(よってADCC活性を欠くと思われる)が、FcRn結合能力を保持していることを確かめるために実施されうる。ADCCを媒介する一次細胞であるNK細胞はFcγRIIIのみを発現するのに対し、単球はFcγI、FcγII及びFcγIIIを発現する。造血細胞上のFcR発現は、Ravetch及びKinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-492(1991)の464頁の表3に要約されている。対象とする分子のADCC活性を評価するための非限定的なインビトロアッセイが米国特許第5500362号(例えばHellstrom, I.等 Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 83:7059-7063 (1986)を参照)及びHellstrom, I等, Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 82:1499-1502 (1985);5821337(Bruggemann, M.等, J. Exp. Med. 166:1351-1361 (1987)を参照)に記載されている。別法では、非放射性アッセイ法が用いられ得る(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology, Inc. Mountain View, CA;及びCyto Tox96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega, Madison, WI)を参照)。このようなアッセイのために有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞を含む。あるいは、又は付加的に、対象とする分子のADCC活性は、例えばClynes等PNAS(USA)95:652-656(1998)に記載されているような動物モデルにおいてインビボで評価されうる。Clq結合アッセイが、抗体がClqに結合できず、よってCDC活性を欠くことを確認するためにまた実施されうる。例えば、国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号におけるC1q及びC3c結合ELISAを参照。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを実施することができる(例えばGazzano-Santoro等, J. Immunol. Methods 202:163 (1996);Cragg, M.S.等, Blood 101:1045-1052 (2003);及びCragg, M.S. and M.J. Glennie, Blood 103:2738-2743 (2004)を参照)。FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期定量も当該技術分野で知られている方法を使用して実施することがまたできる(例えば、Petkova, S.B.等, Int’l. Immunol. 18(12):1759-1769 (2006)を参照)。
減少したエフェクター機能を有する抗体は、Fc領域残基238、265、269、270、297、327及び329の一又は複数の置換を有するものを含む(米国特許第6737056号)。このようなFc変異体は、二又はそれ以上のアミノ酸位265、269、270、297及び327に置換を有するFc変異体を含み、アラニンへの残基265及び297の置換を有するいわゆる「DANA」Fc変異体を含む(米国特許第7332581号)。
FcRへの改良又は減少された結合を有するある種の抗体変異体が記載されている(例えば米国特許第6737056号;国際公開第2004/056312号、及びShields等, J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001)を参照)。
ある実施態様では、抗体変異体は、ADCCを改善する一又は複数のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の位置298、333、及び/又は334での置換(残基のEU番号付け)を有するFc領域を含む。
幾つかの実施態様では、例えば米国特許第6194551号、国際公開第99/51642号、及びIdusogie等 J. Immunol. 164: 4178-4184 (2000)に記載されているように、改変された(つまり、改善され又は減少した)Clq結合及び/又は補体依存性細胞傷害性(CDC)を生じる改変がFc領域に改変がなされる。
増加した半減期及び胎児への母性IgGsの移動に関与する新生児Fcレセプター(FcRn)(Guyer等, J. Immunol. 117:587 (1976)及びKim等, J. Immunol. 24:249 (1994))への改善された結合性を有する抗体が、米国特許出願公開第2005/0014934A1(Hinton等)に記載されている。その抗体は、FcRnへのFc領域の結合を改善する一又は複数の置換をそこに有するFc領域を含む。このようなFc変異体は、Fc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434の一又は複数での置換、例えばFc領域残基434の置換を有するものを含む(米国特許第7371826号)。
Fc領域変異体の他の例に関しては、Duncan及びWinter, Nature 322:738-40 (1988);米国特許第5648260号;米国特許第5624821号;及び国際公開第94/29351号も参照のこと。
システイン操作抗体変異体
ある実施態様では、システイン操作抗体、例えば抗体の一又は複数の残基がシステイン残基で置換される「thioMAbs」を作ることが望ましいことがある。特定の実施態様では、置換される残基が抗体の接近可能な部位で生じる。これらの残基をシステインと置換することによって、反応性チオール基が抗体の接近可能な部位に位置させられ、抗体を他の部分、例えば薬剤部分又はリンカー薬剤部分に結合させ、ここで更に記載されるように免疫コンジュゲートを作るために使用されうる。ある実施態様では、以下の残基の任意の一又は複数がシステインと置換されうる:軽鎖のV205(カバット番号付け);重鎖のA118(EU番号付け);及び重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)。システイン操作抗体は、例えば米国特許第7521541号に記載されるようにして、産生されうる。
抗体誘導体
ある実施態様では、ここに提供される抗体は、当該技術分野において知られ直ぐに利用できる更なる非タンパク質性部分を含むように更に修飾することができる。抗体の誘導体化に適した部分は、限定しないが、水溶性ポリマーを含む。水溶性ポリマーの非限定的な例には、限定されるものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーかランダムコポリマー)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、プロリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチレン化ポリオール(例えばグリセロール)、ポリビニルアルコール、及びそれらの混合物が含まれる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは水中におけるその安定性のために製造の際に有利でありうる。ポリマーは任意の分子量であってよく、分枝状でも非分枝状でもよい。抗体に結合するポリマーの数は変化してもよく、一を超えるポリマーが結合する場合、それらは同じでも異なった分子でもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/又はタイプは、限定されるものではないが、抗体誘導体が定まった条件下での治療に使用されるかどうか等を含む、改善される抗体の特定の性質又は機能を含む考慮事項に基づいて決定することができる。
他の実施態様では、放射線への暴露によって選択的に加熱されうる非タンパク質様部分及び抗体のコンジュゲートが提供される。一実施態様では、非タンパク質様部分はカーボンナノチューブである(Kam等 , Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102: 11600-11605 (2005))。放射線は任意の波長のものであってよく、限定するものではないが、通常の細胞に害を与えないが、抗体-非タンパク質様部分に近位の細胞が死滅させられる温度まで非タンパク質様部分を加熱する波長が含まれる。
組換え方法及び組成物
抗体は、例えば米国特許第4816567号に記載されているように、組換え法及び構成物を使用して製造することができる。一実施態様では、抗体をコードする単離核酸が提供される。このような核酸は、VLを含んでなるアミノ酸配列及び/又は抗体のVHを含んでなるアミノ酸配列(例えば、抗体の軽及び/重鎖)をコードしてもよい。更なる実施態様では、このような核酸を含んでなる一又は複数のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。更なる実施態様では、このような核酸を含んでなる宿主細胞が提供される。このような一実施態様では、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含んでなるアミノ酸配列及び抗体のVHを含んでなるアミノ酸配列をコードする核酸を含んでなるベクター、又は(2)抗体のVLを含んでなるアミノ酸配列をコードする核酸を含んでなる第一ベクター、及び抗体のVHを含んでなるアミノ酸配列をコードする核酸を含んでなる第2ベクターを含む(例えば、これらによって形質転換される)。一アーム抗体の生産は例えば国際公開第2005/063816号に記載されている。
一実施態様では、宿主細胞は真核生物、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又はリンパ球系細胞(例えばY0、NS0、Sp20細胞)である。一実施態様では、抗体の作製方法が提供され、該方法は、上に提供された抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、抗体の発現に適した条件下で、培養し、場合によっては宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から抗体を回収することを含む。
抗体の組換え生産では、例えば上述のような抗体をコードする核酸が単離され、宿主細胞での更なるクローニング及び/又は発現のために一又は複数のベクターに挿入される。このような核酸は、直ちに単離され、一般的な手順を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能であるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)配列決定されうる。
抗体をコードするベクターのクローニング又は発現のために適した宿主細胞は、ここに記載される原核細胞又は真核細胞である。例えば、抗体は、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要でない場合に、細菌で生産されうる。細菌での抗体断片及びポリペプチドの発現については、米国特許第5648237号、米国特許第5789199号、及び米国特許第5840523号を参照のこと。(また大腸菌中での抗体断片の発現を記述しているCharlton, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ, 2003), pp. 245-254を参照)。発現後、抗体は、可溶性画分中の細菌細胞ペーストから単離され得、更に精製されうる。
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母などの真核微生物が、抗体をコードするベクターのための適切なクローニング又は発現宿主であり、そのグリコシル化経路が「ヒト化」された菌及び酵母株を含み、部分的に又は完全にヒト化したグリコシル化パターンを持つ抗体の生産を生じる。Gerngross, Nat. Biotech. 22:1409-1414 (2004),及びLi等, Nat. Biotech. 24:210-215 (2006)を参照。
グリコシル化抗体の発現のために適した宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)からもまた誘導される。無脊椎動物細胞の例は、植物及び昆虫の細胞を含む。特にヨウトガ細胞のトランスフェクションのために、昆虫細胞と併用されうる多くのバキュロウィルス株が同定されている。
植物細胞培養もまた宿主として利用することができる。例えば米国特許第5959177号、同第6040498号、同第6420548号、同第7125978号、及び同第6417429号(遺伝子導入植物において抗体を生産するためのPLANTIBODIESTM技術を記述)を参照。
脊椎動物細胞をまた宿主として使用することができる。例えば、懸濁状態で増殖するよう適合化された哺乳動物細胞株が有用な場合がある。有用な哺乳動物細胞株の他の例は、SV40(COS−7)によって形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胚腎臓株(Graham等, J. Gen Virol. 36:59 (1977)に記載された293又は293細胞);ベビーハムスター腎細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えばMather, Biol. Reprod. 23:243-251 (1980)に記載されるTM4細胞);サル腎細胞(CV1);アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);イヌ腎細胞(MDCK);バッファローラット肝細胞(BRL3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(HepG2);マウス乳腺腫瘍(MMT060562);Mather等, Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982)に記載されるTRI細胞;MRC 5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株は、DHFR−CHO細胞を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaub等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216 (1980));及びY0、NS0、及びSp2/0等のミエローマ細胞株である。抗体生産のために適した哺乳類動物宿主細胞株の概説として、例えばYazaki及びWu, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ), pp255-268 (2003)を参照のこと。
免疫コンジュゲート
本発明は、また、例えば化学療法剤又は薬物、増殖阻害剤、毒素(例えばタンパク質毒素、酵素的に活性な細菌、真菌、植物、又は動物由来の毒素、又はその断片)、又は放射性同位体のような一又は複数の細胞傷害性薬剤とここでコンジュゲートされる抗体を含む免疫コンジュゲートを提供する。
一実施態様では、免疫コンジュゲートは、限定しないが、メイタンシノイド(米国特許第5208020号、第5416064号及び欧州特許第0425235B1号を参照);アウリスタチン、例えばモノメチルアウリスタチン薬剤部分DE及びDF(MMAE及びMMAF)(米国特許第5635483号及び同第5780588号及び同第7498298号を参照);ドラスタチン;カリケアマイシン又はその誘導体(米国特許第5712374号、同第5714586号、同第5739116号、同第5767285号、同第5770701号、同第5770710号、同第5773001号、及び同第5877296号;Hinman等, Cancer Res. 53:3336-3342 (1993);及びLode等, Cancer Res. 58:2925-2928 (1998)を参照);アントラサイクリン、例えばダウノマイシン又はドキソルビシン(Kratz等, Current Med. Chem. 13:477-523 (2006);Jeffrey等, Bioorganic & Med. Chem. Letters 16:358-362 (2006);Torgov等, Bioconj. Chem. 16:717-721 (2005);Nagy等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:829-834 (2000);Dubowchik等, Bioorg. & Med. Chem. Letters 12:1529-1532 (2002);King等, J. Med. Chem. 45:4336-4343 (2002);及び米国特許第6630579号を参照);メトトレキセート;ビンデシン;タキサン、例えばドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、テセタキセル、及びオルタタキセル;トリコテシン及びCC1065を含む一又は複数の薬物に抗体がコンジュゲートされる抗体薬剤コンジュゲート(ADC)である。
他の実施態様では、免疫コンジュゲートは、限定しないが、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、(緑膿菌からの)外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォーディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、モモルディカ・チャランチア(momordica charantia)阻害剤、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)及びトリコテセン(tricothecene)を含む、酵素的に活性な毒素又はその断片にコンジュゲートされたここに記載された抗体を含む。
他の実施態様では、免疫コンジュゲートは放射性コンジュゲートを形成するために放射性原子にコンジュゲートされるここに記載の抗体を含む。様々な放射性同位元素が放射性コンジュゲートの生産のために利用可能である。例は、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212及びLuの放射性同位元素を含む。放射性コンジュゲートが検出に使用される場合、それはシンチグラフィー研究用の放射性原子、例えばTc99m又はI123、又は核磁気共鳴(NMR)イメージング(磁気共鳴イメージング、mriとしても知られている)用のスピン標識、例えばまたヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン又は鉄を含みうる。
抗体と細胞傷害剤のコンジュゲートは、様々な二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCl)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トリエン-2,6-ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta等, Science 238:1098(1987)に記載されているようにして調製することができる。炭素-14標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレン-トリアミン五酢酸(MX-DTPA)が抗体に放射性ヌクレオチドをコンジュゲートするためのキレート剤の例である。国際公開第94/11026号を参照のこと。リンカーは細胞中の細胞傷害剤の放出を容易にするための「切断可能リンカー」でありうる。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ過敏性リンカー、光不安定性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカーが使用され得る(Chari等, Cancer Research, 52:127-131(1992);米国特許第5208020号)。
ここでの免疫コンジュゲート又はADCは、限定するものではないが、(例えば、Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL., U.S.Aより)市販されているBMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC−SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ−EMCS、スルホ−GMBS、スルホ−KMUS、スルホ−MBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMCC、及びスルホ−SMPB、及びSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)安息香酸塩)を含む架橋剤を用いて調製されるコンジュゲートが明示的に考えられる。
以下は、本発明の方法及び組成物の実施例である。上に提供した一般的な説明があるので、様々な他の実施態様を実施することができることが理解される。
実施例1:局所的に進行又は転移した固形腫瘍を患っている患者に静脈的に投与されたレセプターc−metに対する一価アンタゴニスト抗体MetMAbの安全性及び薬理学の第I相非盲検式用量増加研究
この実施例は、難治性であるか、又は標準的な治療法のない、進行性の固形悪性腫瘍を患っている患者に、3週毎に(Q3W)静脈内注入することで投与される、MetMAbの第I相非盲検式用量増加研究を記述する。この用量増加治験は15mg/kgIV、Q3Wでのベバシズマブとの、二通りの異なった用量のMetMAbの併用を試験した。
研究デザイン。
ベバシズマブ(15mg/kg Q3W)を2通りの用量のMetMAb(10又は15mg/kg Q3W)の一つで用量決定した。第一コホートでは、3名の患者にMetMAb(10mg/kg)及びベバシズマブ(15mg/kg)IVが3週間毎に投与された。第二コホートでは、6名の患者に、MetMAb(15mg/kg,推奨された第II相用量)及びベバシズマブ(15mg/kg)IVが3週間毎に一回投与された。
研究の目的。 この研究の目的は、3週毎に静脈内投与した15mg/kgのベバシズマブと併用した場合のMetMAbの安全性及び耐性を判定することを含んでいた。
除外基準:
・出産潜在性の患者は効果的な避妊法を使用しなければならない。
・研究及び追跡手順の遵守不能性。
・管理不十分の高血圧(収縮期血圧>150mmHg及び/又は拡張期血圧>100mmHgとして定義)
・高血圧緊急症又は高血圧性脳症の前病歴。
・ニューヨーク心臓病学会(NYHA)クラスII又はより多いCHF。
・1日目より前の6ヶ月以内に心筋梗塞又は不安定狭心症の病歴。
・研究登録前の6ヶ月以内に脳卒中又は一過性脳虚血発作(TIA)の病歴。
・1日目より前の6ヶ月以内に著しい血管疾患(例えば外科的修復を必要とする大動脈瘤又は最近の末梢動脈血栓)。
・1日目より前の1ヶ月以内の喀血(エピソード当たり茶さじ≧1/2杯の鮮紅色の血液)の病歴。
・(抗凝固治療なしでの)出血性素因又は顕著な凝固障害の証拠。
・1日目の前の28日以内の主要な外科手術、直視下生検、又は顕著な外傷性疾患又は研究の過程中における主要な外科手術の必要性の予測。
・1日目の前の7日以内の、血管アクセス装置の配置を除くコア生検又は他の主要な外科手術。
・1日目の前の6ヶ月以内の腹部瘻孔又は消化管穿孔の病歴。
・深刻な非治癒性創傷、活動性潰瘍、又は未治療の骨折。
・スクリーニング時の≧1.0のUPC比によって証明されるスクリーニング時のタンパク尿。
・ベバシズマブの任意の成分に対する既知の過敏症。
・妊娠(陽性妊娠検査)又は授乳。
治験薬剤
MetMAbは凍結乾燥粉末又は滅菌液の何れかとして供給された。凍結乾燥粉末(400mg)として提供されたMetMAbは、第I相研究のために一回使用50ccバイアルで供給された。再構成のための溶液は注射用滅菌水であり、再構成体積は20.0mLであり、10mMのコハク酸ヒスチジン、106mM(4%)のトレハロース二水和物、0.02%のポリソルベート20,pH5.7中、20mg/mLのMetMAbの最終濃度を生じた。滅菌液として提供されたMetMAbは一回使用15ccバイアルで供給された。各バイアルは10mMのコハク酸ヒスチジン、120mMのトレハロース、0.02%のポリソルベート20,pH5.7中、60mg/mlの濃度で10ml中の600mgのMetMAbを含んでいた。各患者に対するMetMAbの全用量は用量レベルの割当及びサイクル1の1日目又はその前の14日以内の患者の体重に依存する。
ベバシズマブは透明ないしは僅かに乳白色の非経口投与の準備が整った滅菌液としてジェネンテック社から供給された。それぞれ400mg又は100mg(25mg/mL)のガラスバイアルは、リン酸ナトリウム、トレハロース、ポリソルベート20、及び注射用滅菌水,USPからなるビヒクルと共にベバシズマブを含んでいた。バイアルは保存料を含んでおらず、一回使用だけであった、ベバシズマブの用量はスクリーニング時の患者の体重に基づいており、研究中同じままであった。
結果
この第Ib相研究において、ベバシズマブとのMetMAbの併用は、一般に、試験した全ての用量で良好な耐容性があった。患者の個体群情報を表2に示す。
Figure 2013529203
この治験及び過去に記載された第1a相用量増加治験(Salgia R等 局所的に進行又は転移した固形腫瘍を患っている患者に静脈的に投与されたレセプターmetに対する一価アンタゴニスト抗体MetMAbの第Ia相用量増大及び用量拡大試験からの完全な結果。AACR2010,アブストラクト2774;また国際公開第2010/045345号を参照)における患者の前の治療レジメンの数を表3に示す。
Figure 2013529203
図5はこの治験(「MetMAb+Bev」)と過去に記載された第1相治験(「MetMAb」)(Salgia R等 AACR2010,アブストラクト2774)に対する患者の診断、治療コホート及び投与サイクルを示している。
過去に記載された第1相治験(Salgia R等 AACR2010,アブストラクト2774)との併用でこの治験の薬物動態解析は、MetMAbの終末半減期が11日であり、クリアランスが〜7(+/2.0)mL/日/kgであることを示している。このクリアランス速度は伝統的な二価抗体のもののおよそ2倍である。MetMAbはベバシズマブと明らかなPK相互作用を有していなかった。12%の患者はMetMAbに対する抗治療抗体(ATAs)に対して陽性であり、全てのATA応答は主としてMetMAbのフレームワークに対するものである(アッセイは5%の未治療擬陽性率で検証;(アッセイ感度は143ng/mL;最小の報告可能な力価値1.4)。
安全性の結果を表4に示す。
Figure 2013529203
グレード3−5の薬剤関連毒性は観察されなかった。第二コホートにおいて、グレード1の喀血(<1tsp)の一つの用量規制毒性(DLT)が1名の患者(肺に転移した胃癌でイベント時に中心壊死を示す)で観察された。グレード2の薬剤関連毒性は末梢性浮腫及び低アルブミン血症を含んでいた。最も頻繁に観察された毒性(>30%)は疲労(56%)、浮腫(33%)、及び体重増加(33%)を含んでいた。
図6は現在の研究(「ステージ3」)及び過去に報告された第1相研究(「第1及び2相」)に対する最良の応答、全患者でのベースラインからの腫瘍量変化を示している(Salgia R等 AACR2010,アブストラクト2774)。最良の応答は疾患安定であり、3名の患者が≧6サイクルを受けた。
結論: MetMAb及びベバシズマブの併用は一般に安全であり、各薬剤に対して15mg/kgIV q3Wの推奨用量で良好な耐性を有している。薬剤関連グレード4の毒性は観察されなかった。
実施例2:転移性3重陰性乳癌の患者におけるパクリタキセル及びベバシズマブと組み合わせてのMETMABの安全性及び効能を評価する第II相研究(OAM4861g)
転移性乳癌は女性における最も一般的な浸潤性悪性腫瘍であり、女性における癌での死亡の二番目の最もよくある原因であり、大部分の患者は診断から2年以内にその疾患に屈する(Greenberg等 1996)。監視疫学遠隔成績(SEER)データベースによれば、192000名を越える女性が合衆国において2009年に乳癌と診断され、40000名を越える女性が死亡している(SEER2009)。浸潤性乳癌を発症する生涯の確率は八分の一である。
転移性乳癌の患者に対する治療アルゴリズムは、臨床的、病理的、及び組織学的特徴、例えばヒト上皮増殖因子2(HER2)増幅、ホルモンレセプター(ER、PR)状態、ホルモン剤に対する先の応答及び/又はホルモン剤の失敗、転移性疾患の数及び特定の部位、及び転移性及びアジュバント設定双方における治療経歴を含む幾つかの要因に基づいている。アントラサイクリン、タキサン、ゲムシタビン、カペシタニン、及びビノレルビンを含む数多くの細胞傷害性化学療法剤が転移性乳癌において活性を示している。これらの薬剤で見られる奏効率及び無増悪生存期間は、先の治療法の度合い/タイプ及び転移性疾患の度合いに応じて変わる。一般に、アントラサイクリンベースの併用療法及びタキサン(パクリタキセル及びドセタキセル)が最も大きい活性を示すと信じられている。アントラサイクリンの繰り返し過程での限定と組み合わせたアジュバント設定においてアントラサイクリンを含むレジメンの使用は高い頻度であるので、タキサンは局所的に再発性又は転移性の疾患の患者に対して今最もよく使用される薬剤である。
3重陰性乳癌は例えば高増殖速度のような侵襲性の特徴を有している可能性が高く、浸潤型を示す。転移性3重陰性乳癌の患者は乏しい臨床結果及び1年未満の生存期間中央値を示す。全てではないが殆どの乳癌はIHC試験では3重陰性であり、その結果、3重陰性状態が基底様乳癌の病理組織学的定義として使用されうる。国立癌研究所(NCI)に現在登録されている全ての現在の基底様乳癌治験は、適格の患者を同定するためにバイオマーカートリプレット(ER、PR及びHER2)を使用する。
全身性毒性を避けながら疾患進行を遅延させる目的の新しい治療はこれらの患者の治療における有意な進歩を表す。
乳癌細胞株の大きなパネルの分析は、管腔又はHER2陽性細胞株に対してMetが基底株において選択的に発現されていることを示し、Met発現及び活性化が3重陰性乳癌の発症及び進行に対して重要でありうることを示唆している。
この実施例は、治療(第一選択)を受けていないか又はある一般的な細胞傷害化学療法レジメン(第二選択)後に進行した転移性又は局所的に再発性の3重陰性乳癌患者において、パクリタキセルと組み合わせて投与されるMetMAb、ベバシズマブ+パクリタキセル対プラセボ+ベバシズマブ+パクリタキセルと組み合わせて投与されるMetMAbの効能を予備的に推定し、安全性及び耐容性を評価するようにデザインされた無作為第II相二重盲検多施設プラセボ対照治験を記載しており、レジメンは疾患進行前又は疾患進行中に投与される単一薬剤化学療法としてあるいは第一選択設定において投与される細胞傷害剤の予め特定された組み合わせ又は配列として定義される。およそ40の多国籍サイトからのおよそ180名の患者(過去の治療を受けていないおよそ120名の患者と第二選択治療法を受ける60名の患者)を1:1:1の比で3つの処置群に無作為化する。全ての患者は組織学的に確認された測定可能な又は測定可能ではない転移性又は局所的再発性疾患の3重陰性乳腺癌を有していなければならない。
目的:
この研究の主要な目的は、先の全身療法を受けていないか又は第一選択療法後に進行した転移性又は局所的に再発性の3重陰性乳癌患者における、研究者評価無増悪生存期間によって測定した、プラセボ+ベバシズマブ+パクリタキセルに対するMetMAb+ベバシズマブ+パクリタキセルとMetMAb+プラセボ+パクリタキセルの臨床的恩恵を推定することである。(固形腫瘍の治療効果評価基準[RECIST]バージョン1.1を使用して部位放射線科医及び/又は研究者によって評価して)無作為化から疾患進行又は再発までの時間として定義されるPFS又は(最後の研究治療の30日以内の死として定義される)任意の原因からの研究時の死亡の何れか早く生じるもの。
この研究の二次的目的は次のことを含む:
先の全身療法を受けていないか又は第一選択療法後に進行した転移性又は局所的に再発性の3重陰性乳癌患者における、研究者評価無増悪生存期間によって測定した、プラセボ+ベバシズマブ+パクリタキセルに対するMetMAb+ベバシズマブ+パクリタキセルとMetMAb+プラセボ+パクリタキセルの臨床的恩恵を推定すること。
先の全身療法を受けていないか又は第一選択療法後に進行した転移性又は局所的に再発性の3重陰性乳癌患者における、プラセボ+ベバシズマブ+パクリタキセルに対するMetMAb+ベバシズマブ+パクリタキセルとMetMAb+プラセボ+パクリタキセルの全奏効率及び奏効期間を決定すること。奏効は(RECISTを使用して部位放射線科医及び/又は研究者によって評価して)≧4週維持された完全又は部分奏効として定義される。奏効期間は(RECISTを使用して部位放射線科医及び/又は研究者によって評価して)最初の完全又は部分奏効から疾患進行までの時間として又は(最後の研究治療の30日以内の死として定義される)任意の原因からの研究時の死亡の何れか早く生じるものとして定義される。
先の全身療法を受けていないか又は第一選択療法後に進行した転移性又は局所的に再発性の3重陰性乳癌患者における、プラセボ+ベバシズマブ+パクリタキセルに対するMetMAb+ベバシズマブ+パクリタキセルとMetMAb+プラセボ+パクリタキセルの全生存の恩恵を評価すること。全生存は無作為化から任意の原因の死までの時間として定義される。
プラセボ+ベバシズマブ+パクリタキセルに対するMetMAb+ベバシズマブ+パクリタキセルとMetMAb+プラセボ+パクリタキセルの安全性と耐容性を特徴付けること。
プラセボ+ベバシズマブ+パクリタキセルの薬剤曝露を評価すること。
研究における組み入れ基準は次を含む:
インフォームドコンセント用紙に署名
年齢≧18歳
0又は1の東部協力腫瘍学グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)(ECOG)活動指標。
測定可能な又は測定可能ではない転移性又局所的再発性疾患の組織学的に確認されたER-、PR-、HER2-陰性(3重陰性)乳腺癌。
出産潜在性のある女性に対して、受容され効果的な避妊法の使用。
研究及び追跡手順を遵守する能力及び容量。
研究における排除基準は次のものを含む:
転移性乳癌に対する二以上のレジメンでの先の治療法
サイクル1の1日目の前の3週間以内の何らかの全身性抗癌治療法。
サイクル1の1日目の前の30日以内の主要な外科手術(CNS手術を除く)、切開バイオプシー、又は顕著な外傷損傷、又は研究過程中の主要な外科手術の必要性の予期。
サイクル1の1日目より前の7日以内の、穿刺吸引又はコアバイオプシーのようなマイナーな外科手術。
転移性乳癌に対するタキサンでの先の治療法。
乳癌診断後のベバシズマブ、ソラフェニブ、スニチニブ、又は他の推定VEGF経路標的療法での先の治療法。
HGF又はMET経路の何れかを標的とする実験的処置への先の曝露
ホルモン及び/又はトラスツズマブでの先の治療法。
治療した脳転移を除いた既知の脳又は他のCNS転移。
収縮期血圧>150mmHg及び/又は拡張期血圧>100mmHgとして定義される管理不十分の高血圧で、降圧薬を用いているか又は用いていない者。
降圧薬の開始又は調節がエントリー基準に合致するように血圧を低くするならば初期の血圧上昇の患者は適格である。
不安定狭心症
高血圧緊急症又は高血圧性脳症の前病歴。
ニューヨーク心臓病学会グレード≧II鬱血性心不全。
サイクル1の1日目より前の6ヶ月以内に心筋梗塞の病歴。
サイクル1の1日目より前の6ヶ月以内に臨床的に著しい末梢血管疾患(例えば外科的修復を必要とする大動脈瘤又は最近の末梢動脈血栓)。
出血性素因又は凝固障害の証拠。
サイクル1の1日目より前の6ヶ月以内に腹部瘻孔、消化管穿孔、又は腹腔内膿瘍の病歴。
前投薬治療で管理されないモノクローナル抗体療法に対するアナフィラキシー反応の病歴。
サイクル1の1日目より前の1ヶ月以内の喀血(エピソード当たり茶さじ≧1/2杯の鮮紅色の血液)の病歴。
ベバシズマブの任意の成分に対する既知の過敏症。
深刻な非治癒性創傷、活動性潰瘍、又は未治療の骨折。
治験薬。 MetMAbはc−metに対して産生された既知の組換えヒト化一価モノクローナル抗体である。MetMAbは一回使用15ccバイアルとして供給される。各バイアルは10mMの酢酸ヒスチジン、120mMのトレハロース、0.02%のポリソルベート20,pH5.4中、60mg/mLの濃度で10mL中の600mgのMetMAbを含んでいる。
ベバシズマブは静脈内注入用溶液のための透明ないしは僅かに乳白色で、無色ないしは淡褐色の滅菌液濃縮物である。ベバシズマブは、それぞれ4mL又は16mLのベバシズマブ(何れのバイアルも25mg/mL)を含む5mL(100mg)又は20mL(400mg)何れかのガラスバイアルで供給される。バイアルは、ホスフェート、トレハロース、ポリソルベート20、及び注射用滅菌水(SWFI),USPと共にベバシズマブを含んでいる。バイアルは保存料を含んでおらず、一回使用だけに適している。
パクリタキセルの製剤についての情報についてはタキソール(登録商標)パッケージ挿入物を参照のこと。
プラセボは250cc0.9%NSS(生理食塩水IV溶液、0.9%)。
研究処置:
薬物動態モデリングは、2週間毎の10mg/kgのMetMAb用量が3週間毎の15mg/kgのMetMAb用量に対して等価な曝露を生じると予測される。
MetMAbとベバシズマブはそれぞれ各28日サイクルの1日目と15日目に2週間毎に静脈内注入によって10mg/kgの用量でそれぞれ投与される。パクリタキセルは各28日サイクルの1日目、8日目及び15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量で投与される。同じ日に3種全てが投与される場合の投与順序は次の通りである:1)パクリタキセル、2)ベバシズマブ、及び3)MetMAb/プラセボ。
MetMAbの用量はスクリーニング又はベースラインの患者の体重に基づいており、研究を通して同じままである。ベバシズマブの用量はスクリーニング時の患者の体重に基づいており、研究を通して同じままである。パクリタキセルの投薬の目的に対して体表面積の計算は 処方情報に従ってなされなければならない。
結果
3重陰性転移性乳癌の患者に対する(1)28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kg(例えば1日目又はスクリーニング時における被験者の体重に基づいて)のMetMAb;及び(2)28日サイクルの1日目、8日目、及び15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルの投与は、無増悪期間(TTP)及び/又は無増悪生存期間及び生存を延長した。3重陰性転移性乳癌の患者に対する(1)28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kg(例えば1日目又はスクリーニング時における被験者の体重に基づいて)のMetMAb;(2)28日サイクルの1日目と15日目に2週間毎に静脈内注入によって10mg/kgの用量でベバシズマブ、及び(3)28日サイクルの1日目、8日目、及び15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルの投与は、無増悪期間(TTP)及び/又は無増悪生存期間及び生存を延長した。
本発明は、理解を明確にする目的で例証と実施例により幾らか詳細に記載したが、明細書及び実施例は本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。

Claims (40)

  1. 乳癌の治療方法であって、エストロゲンレセプター(ER)陰性、プロゲステロンレセプター(PR)陰性及びHER2陰性(集合的に3重陰性)転移性乳癌患者に有効量の抗c−met抗体及びタキサンを投与することを含む方法。
  2. 有効量の抗VEGF抗体を患者に投与することを更に含む請求項1に記載の方法。
  3. 乳癌の治療方法であって、ER陰性、PR陰性及びHER2陰性転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を行うことを含む方法。
  4. 該28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗VEGF抗体を投与することを更に含む請求項3に記載の方法。
  5. 抗c−met抗体とタキサンの投与が同時である請求項1に記載の方法。
  6. 抗c−met抗体とタキサンの投与が任意の順序で逐次である請求項1に記載の方法。
  7. 抗c−met抗体の投与がタキサンの投与より先に進む請求項1に記載の方法。
  8. 抗c−met抗体が一価である請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
  9. 抗c−met抗体が単一の抗原結合アームを含み、Fc領域を含み、該Fc領域が第一及び第二Fcポリペプチドを含み、第一及び第二Fcポリペプチドが複合体として存在し、上記抗原結合アームを含むFab分子と比較して上記抗原断片の安定性を増加させるFc領域を形成する、請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
  10. 抗c−met抗体が抗体又はその抗体断片であり、該抗体は(a)配列:
    EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTSYWLHWVRQAPGKGLEWVGMIDPSNSDTRFNPNFKDRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCATYRSYVTPLDYWGQGTLVTVSS(配列番号:1)を有する重鎖可変ドメイン、CH1配列、及び第一Fcポリペプチドを含む第一ポリペプチド;(b)配列:
    DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKSSQSLLYTSSQKNYLAWYQQKPGKAPKLLIYWASTRESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYYAYPWTFGQGTKVEIKR(配列番号:2)を有する軽鎖可変ドメイン、及びCL1配列を含む第二ポリペプチド;及び(c)第二Fcポリペプチドを含む第三ポリペプチドを含み、ここで、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインは複合体として存在し、単一の抗原結合アームを形成し、ここで、第一及び第二Fcポリペプチドが複合体で存在し、上記抗原結合アームを含むFab分子と比較して上記抗体断片の安定性を増加させるFc領域を形成する請求項1から9の何れか一項に記載の方法。
  11. 第一ポリペプチドが図1に示されたFc配列(配列番号:3)を含み、第二ポリペプチドが図2に示されたFc配列(配列番号:4)を含む請求項10に記載の方法。
  12. 抗c−met抗体がオナルツズマブと同じエピトープに結合する請求項1から11の何れか一項に記載の方法。
  13. 抗c−met抗体がヒト化されている請求項1から12の何れか一項に記載の方法。
  14. 抗c−met抗体がオナルツズマブである請求項1から13の何れか一項に記載の方法。
  15. 上記抗VEGF抗体がハイブリドーマATCC HB10709によって産生されるモノクローナル抗VEGF抗体A4.6.1と同じエピトープに結合する請求項1から14の何れか一項に記載の方法。
  16. 抗VEGF抗体がヒト化抗体である請求項1から15の何れか一項に記載の方法。
  17. 抗VEGF抗体がヒト化A4.6.1抗体又はその断片である請求項16に記載の方法。
  18. 抗VEGF抗体がベバシズマブである請求項16に記載の方法。
  19. 抗VEGF抗体が、次のアミノ酸配列:
    EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGYTFTNYGMNWVRQAPGKGLEWVGWINTYTGEPTYAADFKRRFTFSLDTSKSTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAKYPHYYGSSHWYFDVWGQGTLVTVSS(配列番号:31)
    を含む重鎖可変領域と、次のアミノ酸配列:
    DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCSASQDISNYLNWYQQKPGKAPKVLIYFTSSLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYSTVPWTFGQGTKVEIKR(配列番号:32)
    を含む軽鎖可変領域を有する請求項16に記載の方法。
  20. タキサンがパクリタキセルである請求項1から19の何れか一項に記載の方法。
  21. 転移性3重陰性乳癌患者が転移性3重陰性乳癌患者として過去に治療されている請求項1から20の何れか一項に記載の方法。
  22. 転移性3重陰性乳癌患者が転移性3重陰性乳癌患者として過去に治療されていない請求項1から20の何れか一項に記載の方法。
  23. タキサンとの併用で転移性3重陰性乳癌患者の治療のために抗c−met抗体をプロモーションする方法。
  24. 抗VEGF抗体と更に併用される請求項23に記載の方法。
  25. 治療が、3重陰性転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を含む請求項23に記載の方法。
  26. 治療が、3重陰性転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体を投与し、該28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を含む請求項24に記載の方法。
  27. プロモーションがパッケージ挿入物により、パッケージ挿入物が抗c−met抗体での癌治療を受けるための指示書を提供する請求項23に記載の方法。
  28. プロモーションが抗c−met抗体の市販製剤に伴うパッケージ挿入物による請求項23に記載の方法。
  29. プロモーションがタキサンの市販製剤に伴うパッケージ挿入物による請求項23に記載の方法。
  30. プロモーションが医師又はヘルスケア提供者への文書によるコミュニケーションによる請求項23から29の何れか一項に記載の方法。
  31. プロモーションが医師又はヘルスケア提供者への口頭でのコミュニケーションによる請求項23から29の何れか一項に記載の方法。
  32. プロモーションに抗c−met抗体又は抗c−met抗体での被験者の治療が続く請求項23から29の何れか一項に記載の方法。
  33. 患者の生存を増大させ、患者の癌再発リスクを減少させ、及び/又は患者の生存の可能性を増大させるために治療を受けるための指示を提供することにより3重陰性転移性乳癌の患者に指示する方法。
  34. 治療が、3重陰性転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体を投与し、該28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗VEGF抗体を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を含む請求項33に記載の方法。
  35. 抗c−met抗体及び/又はタキサン、及び3重陰性転移性乳癌患者を治療するための指示を含むパッケージ挿入物又はラベルを含む製造品。
  36. 抗VEGF抗体を更に含む請求項35に記載の製造品。
  37. タキサンがパクリタキセルである請求項35又は36に記載の製造品。
  38. 治療が、3重陰性転移性乳癌患者に28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗c−met抗体(例えばMetMAb)を投与し、該28日サイクルの1日目と8日目と15日目に静脈内注入によって90mg/mの用量でパクリタキセルを投与する投与を含む請求項35から37の何れか一項に記載の製造品。
  39. 治療が、28日サイクルの1日目と15日目に10mg/kgの用量で抗VEGF抗体(例えばベバシズマブ)を投与することを更に含む請求項36又は38に記載の製造品。
  40. 請求項35から39の何れか一項に記載の製造品を製造する方法。
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