JP2013512537A - プラチナベースの電極材料を有するスパークプラグ - Google Patents

プラチナベースの電極材料を有するスパークプラグ Download PDF

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Abstract

内燃機関用のスパークプラグは、プラチナ(Pt)ベースの合金の電極材料を用いた1つ以上の電極を有する。合金は、アルミニウム(Al)と、ニッケル(Ni)、レニウム(Re)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、およびタングステン(W)を含む群から選択される1つ以上の耐熱金属とを含む。開示された合金のうちの少なくともいくつかでは、アルミニウムは、電極材料の表面上への酸化アルミニウム(Al23)層の形成に寄与する。

Description

この発明は一般に、内燃機関用のスパークプラグおよび他の点火装置に関し、特にスパークプラグ用の電極材料に関する。
背景
スパークプラグは、内燃機関において燃焼を開始するために使用可能である。スパークプラグは通常、エンジンシリンダまたは燃焼チャンバにおいて、2つ以上の電極間に規定されたスパークギャップを横切ってスパークを生成することにより、混合気などのガスに点火する。スパークによるガスの点火は、エンジンのパワーストロークを担うエンジンシリンダでの燃焼反応を引起す。高温、高電圧、燃焼反応の素早い繰返し、および燃焼ガスにおける腐食性材料の存在は、スパークプラグが機能しなければならない厳しい環境を作り出すおそれがある。この厳しい環境は、時間とともにスパークプラグの性能に悪影響を与え得る電極の浸食および腐食の一因となる場合があり、点火不良または何らかの他の望ましくない状態に繋がる可能性がある。
スパークプラグ電極の浸食および腐食を減少させるために、さまざまな種類の貴金属およびそれらの合金、たとえばプラチナから作られたものなどが使用されてきた。しかしながら、これらの材料は高くつく場合がある。このため、スパークプラグ製造業者らは時折、電極で使用する貴金属の量を、スパークがスパークギャップを飛び越える電極の点火先端またはスパーク部分にのみそのような材料を使用することによって最小限に抑えようと試みることがある。
概要
一実施例によれば、金属シェルと、絶縁体と、中心電極と、接地電極とを備えるスパークプラグが提供される。中心電極、接地電極、またはその双方は、プラチナ(Pt)を約50〜99原子%有し、アルミニウム(Al)を約5〜20原子%有し、ニッケル(Ni)、レニウム(Re)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、またはそれらの組合せからなる群から選択される耐熱金属を約30原子%以下有する電極材料を含む。
別の実施例によれば、プラチナ(Pt)を約50〜99原子%有し、アルミニウム(Al)を約5〜20原子%有し、ニッケル(Ni)、レニウム(Re)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、またはそれらの組合せからなる群から選択される耐熱金属を約30原子%以下有する電極材料を備える、スパークプラグ電極が提供される。
図面の簡単な説明
以下に、この発明の好ましい例示的な実施例を、添付図面とともに説明する。図中、同じ記号は同じ要素を指す。
以下に説明する電極材料を使用し得る例示的なスパークプラグの断面図である。 中心電極がマルチピースリベットの形をした点火先端を有し、接地電極が平坦なパッドの形をした点火先端を有する、図1からの例示的なスパークプラグの点火端部の拡大図である。 中心電極がシングルピースリベットの形をした点火先端を有し、接地電極が円筒状先端の形をした点火先端を有する、以下に説明する電極材料を使用し得る別の例示的なスパークプラグの点火端部の拡大図である。 中心電極が窪みに位置する円筒状先端の形をした点火先端を有し、接地電極が点火先端を有していない、以下に説明する電極材料を使用し得る別の例示的なスパークプラグの点火端部の拡大図である。 中心電極が円筒状先端の形をした点火先端を有し、接地電極が接地電極の軸方向端部から延在する円筒状先端の形をした点火先端を有する、以下に説明する電極材料を使用し得る別の例示的なスパークプラグの点火端部の拡大図である。 以下に説明する電極材料を使用していない例示的なスパークプラグの電極におけるいわゆるボーリングおよびブリッジング現象を概略的に表わす図である。 図6のボーリングおよびブリッジング現象の概略的な拡大図である。 図7のボーリングおよびブリッジング現象の概略的な断面図である。
好ましい実施例の詳細な説明
ここに説明する電極材料は、スパークプラグ、および工業用プラグ、航空用点火装置、グロープラグを含む他の点火装置、またはエンジンで混合気に点火するために使用される任意の他の装置において使用されてもよい。これは、図1〜5に示し、以下に説明する例示的なスパークプラグを含むものの、確実にそれらに限定されない。また、可能性をいくつか挙げると、電極材料は、中心電極および/または接地電極に取付けられた点火先端で使用されてもよく、または、実際の中心電極および/または接地電極自体で使用されてもよい、ということを理解されたい。電極材料の他の実施例および用途も可能である。
図1および図2を参照すると、中心電極12と、絶縁体14と、金属シェル16と、接地電極18とを含む例示的なスパークプラグ10が示されている。中心電極またはベース電極部材12は絶縁体14の軸方向穴の内部に配置されており、絶縁体14の自由端22を越えて突出する点火先端20を含む。点火先端20は、以下に説明する電極材料のような浸食および/または腐食に対して耐性のある材料から作られた第1の構成要素32と、高クロムニッケル合金のような中間材料から作られた第2の構成要素34とを含むマルチピースリベットである。この特定の実施例では、第1の構成要素32は円筒形状を有し、第2の構成要素34は、直径方向に拡大されたヘッド区分と直径方向に縮小されたステム区分とを含む階段形状を有している。第1および第2の構成要素は、レーザ溶接、抵抗溶接、または何らかの他の好適な溶接接合または非溶接接合を介して互いに取付けられてもよい。絶縁体14は金属シェル16の軸方向穴の内部に配置されており、中心電極12を金属シェル16から電気的に絶縁するのに十分なセラミック材料などの材料から構成されている。絶縁体14の自由端22は、図示されているように金属シェル16の自由端24を越えて突出していてもよく、または、金属シェル16内に引っ込んでいてもよい。接地電極またはベース電極部材18は、図面に示された従来のL字型の形態に従って、または何らかの他の形態に従って構成されてもよく、金属シェル16の自由端24に取付けられている。この特定の実施例によれば、接地電極18は側面26を含み、それは中心電極の点火先端20に対向しており、点火先端30がそれに取付けられている。点火先端30は平坦なパッドの形をしていて、中心電極点火先端20とともにスパークギャップGを規定しており、それらはスパークギャップを横切る電子の放出および受取りのためのスパーク表面を提供するようになっている。
この特定の実施例では、中心電極点火先端20の第1の構成要素32、および/または接地電極点火先端30は、ここに説明する電極材料から作られてもよい。しかしながら、これらはこの電極材料についての唯一の用途ではない。たとえば、図3に示すように、例示的な中心電極点火先端40および/または接地電極点火先端42も、この電極材料から作られてもよい。この場合、中心電極点火先端40はシングルピースリベットであり、接地電極点火先端42は、接地電極の側面26からかなりの距離離れて延在する円筒状先端である。この電極材料はまた、図4に示す例示的な中心電極点火先端50および/または接地電極18を形成するのに使用されてもよい。この例では、中心電極点火先端50は、中心電極12の軸方向端部に形成された窪みまたはめくら穴52に位置する円筒状構成要素である。中心電極点火先端50のスパーク面と、同様にスパーク面として作用する接地電極18の側面26との間に、スパークギャップGが形成される。図5は、この電極材料についてのさらに別の可能な用途を示しており、中心電極12の軸方向端部に円筒状点火先端60が取付けられ、接地電極18の軸方向端部に円筒状点火先端62が取付けられている。接地電極点火先端62は、中心電極点火先端60の側面とともにスパークギャップGを形成しており、このため、図面に示す他の例示的なスパークプラグとは若干異なる点火端部形態である。
また、上述の非限定的なスパークプラグの実施例は、この電極材料の可能な使用のうちのいくつかの単なる例である、ということを理解されたい。なぜなら、それは、エンジンでの混合気の点火に使用されるあらゆる点火先端、電極、スパーク面、または他の点火端部構成要素において使用または採用され得るためである。たとえば、中心電極および/または接地電極;リベット、シリンダ、棒、柱、ワイヤ、ボール、マウンド、円錐体、平坦なパッド、円盤、輪、スリーブなどの形状をした中心電極および/または接地電極点火先端;電極に直接的に、もしくは1つ以上の中間層、介在層または応力放出層を介して電極に間接的に取付けられた中心電極および/または接地電極点火先端;電極の窪みの内部に位置し、電極の表面に埋込まれ、もしくは、スリーブまたは他の環状構成要素などの電極の外部に位置する中心電極および/または接地電極点火先端;もしくは、複数の接地電極、複数のスパークギャップまたはセミクリーピングタイプのスパークギャップを有するスパークプラグといった構成要素が、この電極材料から形成されてもよい。これらはこの電極材料の可能な用途のほんの数例であり、他の例もある。ここで使用されるように、「電極」という用語は、中心電極、接地電極、スパークプラグ電極などに関するかどうかに関わらず、可能性をいくつか挙げると、単独のベース電極部材、単独の点火先端、またはベース電極部材とそれに取付けられる1つ以上の点火先端との組合せを含んでいてもよい。
上述のように、プラチナ(Pt)ベースの合金のような貴金属合金が、スパークプラグ電極用に使用されてきた。プラチナベースの合金は、内燃機関での使用を含む或る用途において望ましい、酸化、浸食、および腐食に対する或る程度の耐性を呈する。しかしながら、すべてのPtベースの合金が要望通りに効果的ではない。たとえば、図6〜8を参照すると、Pt4W合金のようなPt合金が、材料の局所的に過剰な酸化および再堆積がその表面にPtボールBを作り出すいわゆるボーリングおよびブリッジング現象を経験する、ということが既に発見されている。これが起こると、内燃機関における高温動作中はそうなり、時間とともにPtボールBは集まって、スパークギャップGを横切るブリッジを形成し得る。形成されると、PtボールBはスパークプラグ電極の浸食および腐食の一因となり、スパークプラグのスパーク性能に悪影響を与える。以下に説明する電極材料がこのボーリングおよびブリッジング現象を制限し、または完全に防止しつつ、異なる形状のスパークプラグ電極を形成するための延性といった好適な特性を維持する、ということが既にわかっている。この電極材料は、ここで説明するPtベースの合金といった高温性能合金で構成されてもよい。異なる実施例では、この電極材料またはPtベースの合金は、アルミニウム(Al)と、或る群から選択される1つ以上の耐熱金属と、チタン(Ti)、クロム(Cr)、またはTiとCrとの組合せとを含み得る。
名前が示すように、Ptベースの合金は、実質的にPtのバランスを含む。Ptの量は、酸化、浸食、および腐食に対する耐性を含む合金の強度に影響を与える。一実施例では、合金は、少なくとも約50.0原子%の量、または約50〜99原子%の量のPtを含む。Ptの原子%は、Ptベースの合金全体の単位体積当たりのPt原子数を、Ptベースの合金全体の単位体積当たりのPtベースの合金全体の原子数で除算することによって求められる。別の実施例では、合金は、少なくとも約55.0原子%の量のPtを含む。別の実施例では、合金は、少なくとも約65.0原子%の量のPtを含む。さらに別の実施例では、合金は、少なくとも約79.0原子%の量のPtを含む。別の実施例では、合金は、約50.0%〜約95.0原子%の量のPtを含む。さらに別の実施例では、合金は、約95.0原子%未満の量のPtを含む。別の実施例では、合金は、約94.0原子%未満の量のPtを含む。そして別の実施例では、合金は、約84.0原子%未満の量のPtを含む。Ptの存在および量は、電極材料の一区分または表面に対して化学的分析を行なうことにより、または走査電子顕微鏡検査(S.E.M.)機器を用いて、電極材料の一区分または表面のエネルギ分散分光法(E.D.S.)を生成して観察することにより、検出されてもよい。
Ptベースの合金は、合金の耐酸化性に影響を与える量のAlを備える。たとえば、以下に説明するように、Alは、下に位置する合金を過剰で不要な酸化から遮蔽し保護するのに役立つ、スパークプラグの電極上への酸化アルミニウム(Al23)層の形成に寄与する場合がある。或る量では、Alは、その浸食および腐食に対する耐性に関し、合金を強化する場合もある。一実施例では、Ptベースの合金は、約5.0原子%〜約20.0原子%の量のAlを備える。Alの原子%は、Ptベースの合金全体の単位体積当たりのAl原子数を、Ptベースの合金全体の単位体積当たりのPtベースの合金全体の原子数で除算することによって求められる。別の実施例では、Ptベースの合金は、少なくとも約5.0原子%の量のAlを含む。別の実施例では、Ptベースの合金は、少なくとも約10.0原子%の量のAlを含む。さらに別の実施例では、Ptベースの合金は、少なくとも約16.0%の量のAlを含む。別の実施例では、Ptベースの合金は、約20.0原子%未満の量のAlを含む。さらに別の実施例では、Ptベースの合金は、約14.0原子%未満の量のAlを含む。別の実施例では、Ptベースの合金は、約10.0原子%未満の量のAlを含む。さらに別の実施例では、Ptベースの合金は、約6.0原子%未満の量のAlを含む。Ptベースの合金におけるAlの存在および量は、化学的分析によって、または電極材料のE.D.S.を観察することによって検出されてもよい。E.D.S.は、S.E.M.機器によって生成されてもよい。
高温では、Alを有するPtベースの合金を備える各電極または点火先端は、たとえば点火先端のスパーク面を含むその外面に酸化アルミニウム(Al23)層を形成する。内燃機関におけるスパークプラグの使用中など、Ptベースの合金が約500または600℃よりも高い温度まで加熱されると、Al23層が通常形成される。スパーク面が平面を備える場合、Al23層は通常、その平面に沿って延在する。このため、電極または点火先端は、スパーク面がAl23の層を含み、点火先端の隣接する部分または大部分がたとえばAlおよびPtを含む別の組成を備えている傾斜材料組成を備えていてもよい。Ptベースの合金を高温にさらす前は、Al23層は存在しておらず、点火先端は通常、酸化アルミニウム(Al23)材料を含まない均一な材料組成を備えている。Al23層が一旦外面またはスパーク面に形成されると、それは通常、どの温度でもそこに残っている。そのようなAl23層は密で安定しており、低い生成自由エネルギを有している。このため、スパークプラグ電極がスパークおよび燃焼チャンバの過酷な条件にさらされると、Al23層は点火先端を浸食および腐食から保護する改良された耐酸化性を提供する場合があり、上述のボーリングおよびブリッジング現象を制限し、または完全に予防するのに役立つ。
Alの量は、形成されるAl23層の存在および厚さを一部決定付けることにより、Ptベースの合金の酸化性能に影響を与えることができる。たとえば、Ptベースの合金は、Al23層を形成するために少なくとも約5.0原子%のAlを有する場合があり、他の例では、Al23層は5.0原子%未満のAlを用いて形成可能である。そして、Alが約5.0原子%〜約20.原子%の量存在している場合、スパーク面に形成されるAl23層は、まさにその百分率に依存する予め定められた厚さを有し、それは、場合によっては、内燃機関におけるスパークプラグの使用中、スパーク毎に十分な放電電圧およびアブレーションボリュームを提供する。この予め定められた厚さは、Ptベースの合金の特定の組成および燃焼チャンバの条件に依存して変わり得る。一例では、この予め定められた厚さは、約0.10ミクロン(μm)〜約10.0ミクロン(μm)である。一例では、Ptベースの合金が約20.0原子%よりも多いAlを含む場合、Al23層は過剰な厚さを有し、それは、内燃機関におけるスパークプラグの動作中、スパーク毎に、増加した、場合によっては望ましくない放電電圧およびアブレーションボリュームを引起すおそれがある。別の例では、20.0原子%よりも多いAlを有することは可能であり、上述のようにスパークプラグに望ましくない影響を与えることはない。Al23層の存在および厚さは、スパーク面を約500または600℃よりも高い温度まで加熱し、スパーク面に対して化学的分析を行なうことにより、またはS.E.M.機器を用いてスパーク面のE.D.S.を生成して観察することにより、検出可能である。
Alの百分率および電極材料の温度に依存して、Ptベースの合金は、温度に対する元素PtおよびAlの二元状態図で示されるような、Pt3Al相とその関連するPt3Al沈殿物とを含む場合がある。たとえば、Ptベースの合金が合金の約10.0原子%未満の量のAlを含む場合、微細構造は、すべての温度で単相のPt固溶体からなり、Pt3Al相を含まない場合がある。しかし、Ptベースの合金が10.0原子%よりも多い量のAlを含む別の例では、合金は、Pt3Al相を有する多相または二相の微細構造を含み得る。第1の相はPt固溶体相であり、第2の相は、比較的高い強度の結晶構造を有するPt3Al相である。合金のPt3Al相は、合金を形成するために使用される焼結、アーク融解、または他の高温冶金プロセス時などに、高温で合金のPt母材に溶解される。しかしながら、スパークプラグが使用されていない場合などのより低い温度では、Pt3Al相は合金のPt母材から沈殿し、Pt3Al沈殿物へと遷移する。Pt3Al相が沈殿する温度は、とりわけ、合金の特定の組成に依存し得る。スパークプラグが内燃機関において500または600℃の上昇した動作温度で使用される場合など、合金の温度がその非使用温度をより高い温度へと高めると、Pt3Al沈殿物は再び合金へと溶解するであろう。Pt3Al沈殿物およびPt3Al相の存在および量は、電極材料の一表面または区分に対して化学的分析を行なうことにより、またはS.E.M.機器を用いて電極材料の一表面または区分のE.D.S.を生成して観察することにより、検出されてもよい。
Ptベースの合金はまた、ある特定の群から選択される1つ以上の耐熱金属または元素を、合金の強度に影響を与える量、含んでいてもよい。たとえば、耐熱金属の比較的高い融点は、Ptベースの合金に、スパーク浸食または摩耗に対する高い耐性を提供し得るが、必要ではない。耐熱金属はまた、Pt固溶体相に強度を、電極に存在する程度まで追加し得る。耐熱金属の特定の群は、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびタングステン(W)のうちの1つ以上を含む。言い換えれば、Ptベースの合金は、これらの耐熱金属のうちの1つだけ、または2つ以上の耐熱金属の組合せを含んでいてもよい。一実施例では、耐熱金属は、単一であろうと組合されていようと、合金の約30.0原子%未満の量、存在している。すなわち、単一の耐熱金属を30.0原子%まで追加してもよく、または、30.0原子%になるよう、15原子%の第1の耐熱金属と15原子%の第2の耐熱金属とを合わせて追加してもよい。耐熱金属の原子%は、Ptベースの合金全体の単位体積当たりの耐熱金属原子数を、Ptベースの合金全体の単位体積当たりのPtベースの合金全体の原子数で除算することによって求められる。
追加されると、耐熱金属はPtまたはAlの一部またはそれ以上を置き換えてもよく、それはPtベース合金の全体的なコストを低下させる。いくつかの実施例では、合金にとって有害となり、または合金の性能を妨げるおそれのある、特定のPtベースの合金における脆い金属間相の沈殿および脆い金属間相への遷移を防止するために、耐熱金属の総量は約30.0原子%未満に保たれてもよい。もちろん、他の実施例では、これはそれほど問題ではないかもしれず、耐熱金属は30.0原子%より多い量で提供可能である。別の実施例では、Ptベースの合金は、約20.0原子%未満の量の耐熱金属を含む。別の実施例では、Ptベースの合金は、約14.0原子%未満の量の耐熱金属を含む。さらに別の実施例では、Ptベースの合金は、約10.0原子%未満の量の耐熱金属を含む。別の実施例では、Ptベースの合金は、約4.0原子%未満の量の耐熱金属を含む。別の実施例では、Ptベースの合金は、少なくとも約0.01原子%の量の耐熱金属を含む。さらに別の実施例では、Ptベースの合金は、少なくとも約0.1原子%の量の耐熱金属を含む。別の実施例では、Ptベースの合金は、少なくとも約3.0%の量の耐熱金属を含む。そしてさらに別の実施例では、Ptベースの合金は、少なくとも約10.0原子%の量の耐熱金属を含む。耐熱金属の存在および量は、電極材料の一区分または表面に対して化学的分析を行なうことにより、またはS.E.M.機器を用いて電極材料の一区分または表面のE.D.S.を生成して観察することにより、検出されてもよい。
Ptベースの合金はまた、チタン(Ti)、クロム(Cr)、またはTiとCrとの組合せを、合金の耐酸化性および/または上述のPt3Al相などの或る化学相のその安定化に影響を与える量、含んでいてもよい。たとえば、Tiおよび/またはCr元素は、存在する場合、Ptベースの合金の耐酸化性を高めて、Ptベースの合金の微細構造を改良するよう高温でのPt3Al相の安定化を促進することができる。合金におけるTiおよび/またはCrの正確な量は、Alの量によって決定付けられ得る。たとえば、Alが約20.0原子%の量存在している場合、Alが5.0原子%しか存在していない合金と比べてより多い量のTiおよび/またはCrを含むことが有益であり得る。Tiおよび/またはCrの原子%は、Ptベースの合金全体の単位体積当たりのTiおよび/またはCr原子数を、Ptベースの合金全体の単位体積当たりのPtベースの合金全体の原子数で除算することによって求められる。
一実施例では、Ptベースの合金は、約10.0原子%未満の量のTiおよび/またはCrを含む。別の実施例では、Ptベースの合金は、約5.5原子%未満の量のTiおよび/またはCrを含む。さらに別の実施例では、Ptベースの合金は、約2.0原子%未満の量のTiおよび/またはCrを含む。別の実施例では、Ptベースの合金は、少なくとも約0.01原子%の量のTiおよび/またはCrを含む。さらに別の実施例では、Ptベースの合金は、少なくとも約0.1原子%の量のTiおよび/またはCrを含む。別の実施例では、Ptベースの合金は、少なくとも約1.5原子%の量のTiおよび/またはCrを含む。Tiおよび/またはCrの存在および量は、電極材料の一区分または表面に対して化学的分析を行なうことにより、またはS.E.M.機器を用いて電極材料の一区分または表面のE.D.S.を生成して観察することにより、検出されてもよい。
好適なPtベースの合金および電極材料組成の例は、アルミニウム(Al)を10原子%、ニッケル(Ni)、レニウム(Re)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、およびタングステン(W)からなる群から選択される1つ以上の耐熱金属を4原子%有するそれらの組成を含む。そのような組成は、非限定的な例であるPt−10Al−4RuおよびPt−10Al−4Wを含んでいてもよく、他の例も確実に可能である。
電極材料は、1つ以上の金属用の粉末サイズを選択するステップと、粉末を混合して粉末混合物を形成するステップと、高等方圧および/または高温の下で粉末混合物を所望の形状に圧縮するステップと、圧縮された粉末を焼結して電極材料を形成するステップとを含む公知の粉末金属プロセスを用いて、作ることができる。このプロセスは、さらに別のスパークプラグ電極および/または点火先端製造プロセスに好適な形状(ロッド、ワイヤ、シートなど)に材料を形成するために使用可能である。所望の量の各成分をアーク融解、焼結、および/または混合するといった他の公知の手法も使用可能である。加えて、誘導熱または他の種類の熱源を用いた融解を使用して、1つ以上の電極材料元素の他の固体形状の粉末を融解することが可能である。場合によっては、電極材料は、他の公知の耐食性電極材料での使用が時として難しい従来の切削、研削、および押出手法を用いて、さらに加工され得る。
前述の事項は、この発明の1つ以上の好ましい例示的な実施例の説明である、ということを理解されたい。この発明は、ここに開示された特定の実施例に限定されず、むしろ請求項によってのみ規定される。また、前述の説明に含まれる記述は特定の実施例に関しており、用語および文言が上に明らかに定義されている場合を除き、発明の範囲に対する、または請求項で使用される用語の定義に対する限定として解釈されてはならない。さまざまな他の実施例、ならびに開示された実施例に対するさまざまな変更および修正が、当業者には明らかとなるであろう。そのようなすべての他の実施例、変更、および修正は、添付された請求の範囲内に該当するよう意図されている。
本明細書および請求項で使用されているように、「たとえば」、「など」、および「のような」といった用語、ならびに「備える」、「有する」、「含む」といった動詞およびそれらの他の活用形は、1つ以上の構成要素または他の項目の列挙とともに使用される場合、各々制約のないものとして解釈されるべきである。すなわち、その列挙は他の追加の構成要素または項目を排除するものとして考えられるべきではない。他の用語は、異なる解釈を必要とする文脈で使用される場合を除き、それらの最も広範な妥当な意味を用いて解釈されるべきである。

Claims (20)

  1. 軸方向穴を有する金属シェルと、
    軸方向穴を有し、金属シェルの軸方向穴の内部に少なくとも部分的に配置されている絶縁体と、
    絶縁体の軸方向穴の内部に少なくとも部分的に配置されている中心電極と、
    金属シェルの自由端に取付けられている接地電極とを備え、
    中心電極、接地電極、またはその双方は、プラチナ(Pt)を約50〜99原子%有し、アルミニウム(Al)を約5〜20原子%有し、ニッケル(Ni)、レニウム(Re)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、またはそれらの組合せからなる群から選択される耐熱金属を約30原子%以下有する電極材料を含む、スパークプラグ。
  2. 電極材料は、約500℃よりも高い温度で酸化アルミニウム(Al23)層を形成し、酸化アルミニウム層は、中心電極、接地電極、またはその双方の外面上に形成される、請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 酸化アルミニウム層は、約0.10〜10.0ミクロン(μm)の厚さを有する、請求項2に記載のスパークプラグ。
  4. 電極材料はアルミニウム(Al)を約5〜10原子%有し、電極材料は単相のプラチナ(Pt)固溶体である、請求項1に記載のスパークプラグ。
  5. 電極材料はアルミニウム(Al)を約10〜20原子%有し、電極材料はPt3Al沈殿物を有する多相のプラチナベースの合金である、請求項1に記載のスパークプラグ。
  6. 電極材料はさらに、チタン(Ti)、クロム(Cr)、またはそれらの組合せを約10原子%以下有する、請求項5に記載のスパークプラグ。
  7. 電極材料は、アルミニウム(Al)を約10原子%有し、ニッケル(Ni)、レニウム(Re)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、またはそれらの組合せからなる群から選択される耐熱金属を約4原子%有する、請求項1に記載のスパークプラグ。
  8. 電極材料は、アルミニウム(Al)を約10原子%有し、耐熱金属ルテニウム(Ru)を約4原子%有する、請求項1に記載のスパークプラグ。
  9. 電極材料は、アルミニウム(Al)を約10原子%有し、耐熱金属タングステン(W)を約4原子%有する、請求項1に記載のスパークプラグ。
  10. 中心電極、接地電極、またはその双方は、電極材料から少なくとも部分的に作られている、取付けられた点火先端を含む、請求項1に記載のスパークプラグ。
  11. 点火先端は、中心電極または接地電極に取付けられた第2の構成要素と、第2の構成要素に取付けられ、電極材料から少なくとも部分的に作られている第1の構成要素とを含むマルチピースリベットである、請求項10に記載のスパークプラグ。
  12. 中心電極、接地電極、またはその双方は、電極材料から少なくとも部分的に作られており、取付けられた点火先端を含まない、請求項1に記載のスパークプラグ。
  13. プラチナ(Pt)を約50〜99原子%有し、アルミニウム(Al)を約5〜20原子%有し、ニッケル(Ni)、レニウム(Re)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、またはそれらの組合せからなる群から選択される耐熱金属を約30原子%以下有する電極材料を備える、スパークプラグ電極。
  14. 電極材料は、約500℃よりも高い温度で酸化アルミニウム(Al23)層を形成し、酸化アルミニウム層は、中心電極、接地電極、またはその双方の外面上に形成される、請求項13に記載のスパークプラグ電極。
  15. 電極材料はアルミニウム(Al)を約5〜10原子%有し、電極材料は単相のプラチナ(Pt)固溶体である、請求項13に記載のスパークプラグ電極。
  16. 電極材料はアルミニウム(Al)を約10〜20原子%有し、電極材料はPt3Al沈殿物を有する多相のプラチナベースの合金である、請求項13に記載のスパークプラグ電極。
  17. 電極材料は、チタン(Ti)、クロム(Cr)、またはそれらの組合せを約10原子%以下有する、請求項16に記載のスパークプラグ電極。
  18. 電極材料は、アルミニウム(Al)を約10原子%有し、ニッケル(Ni)、レニウム(Re)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、またはそれらの組合せからなる群から選択される耐熱金属を約4原子%有する、請求項13に記載のスパークプラグ電極。
  19. 電極材料は、アルミニウム(Al)を約10原子%有し、耐熱金属ルテニウム(Ru)を約4原子%有する、請求項13に記載のスパークプラグ電極。
  20. 電極材料は、アルミニウム(Al)を約10原子%有し、耐熱金属タングステン(W)を約4原子%有する、請求項13に記載のスパークプラグ電極。
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