JP2013511519A - プロピレンのエポキシ化 - Google Patents

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Abstract

本発明は、プロピレンのエポキシ化プロセスの1つ又はそれ以上の態様を提供する。これらの態様について、このプロセスは、プロピレンを過酸化水素溶液と、所定の反応温度で、触媒及び溶媒の存在下に所定のpHで反応させることを含む。過酸化水素溶液のpHは、過酸化水素溶液を担持塩基と接触させて、過酸化水素溶液から酸性種を除去することによって、所定のpHに調節する。

Description

本発明は、プロピレンをエポキシ化してプロピレンオキサイドを製造するプロセスに関する。
エポキシド類は、種々の技術によって製造される。エポキシド類の製造のための一つの商業的技術には、プロトン性媒体中で、オレフィンを過酸化水素及び1種又はそれ以上の触媒と反応させることが含まれる。しかしながら、プロトン性媒体中でのオレフィンのエポキシ化は、エポキシ化反応の選択率を減少させることができる。選択率における減少に加えて、エポキシ化の間に生成される副生物の量は、エポキシドがプロトン性媒体と反応するときに、そしてエポキシドがオリゴマー化する及び/又は重合するときに増加し得る。この選択率の減少は、また、エポキシドのより低い収率及びエポキシドから副生物を分離するために必要な工程のために、製造コストを増加させる。
それ故、エポキシ化プロセスの選択率を増加させるための努力が成されてきた。このような努力には、反応混合物のpHを変化させるために、前処理した触媒及び均質な有機化合物又は無機化合物を使用することが含まれる。しかしながら、これらの従前のアプローチにおいて、エポキシ化反応の選択率を増加させることはできるが、同時に、過酸化水素利用率、過酸化水素転化率及び触媒の寿命が減少し得る。これらの欠点は、使用される物質の量について、より少ないエポキシドを生成することによって、製造効率を減少させる。
本発明は、プロピレンのエポキシ化プロセスの1つ又はそれ以上の態様を提供する。これらの態様について、プロピレンをエポキシ化することには、プロピレンを過酸化水素溶液と、所定の反応温度で、触媒及び溶媒の存在下に所定のpHで反応させることが含まれる。これらの態様について、過酸化水素溶液のpHは、過酸化水素溶液を担持塩基と接触させて、過酸化水素溶液から酸性種を除去することによって、所定のpHに調節される。これらの態様について、プロピレンのエポキシ化の選択率は、過酸化水素溶液のpHを所定のpHに調節するための担持塩基無しのプロピレンのエポキシ化に対して比較したとき、過酸化水素利用率又は過酸化水素転化率を減少させることなく、増加される。更に、本発明は、本明細書中に記載されたプロセスによって得られたプロピレンオキサイドを提供する。
図1は塩化アリルのエポキシ化の間に生成されたエピクロロヒドリンの量を示す。
定義
「エポキシド」は、酸素原子が、炭素鎖又は環システムの2個の隣接又は非隣接炭素原子に直接的に結合している化合物を指す。プロピレンオキサイドは、エポキシドの一例であり、プロピレンのエポキシ化から生成される。
「選択率」は、生成されたプロピレンオキサイド+全ての副生物の量に対する、生成されたプロピレンオキサイドの量を指す。
「反応混合物」は、プロピレン、所定の(predetermined)pHでの過酸化水素溶液、触媒及び溶媒の混合物を指す。この反応混合物は、更に、これらに限定されないが、本明細書中で充分に検討されている共溶媒を含む追加の試薬を含む。
「副生物」は、プロピレンをエポキシ化することから生成される全ての物質−プロピレンオキサイドを指す。例えば、プロピレンのエポキシ化について、副生物は、水、プロパンジオール、メトキシプロパノール及びより高分子量の副生物を含むことができる。
「より高分子量の副生物」は、ガスクロマトグラフィーの間に、プロパンジオール及びメトキシプロパノールの後で溶離する、プロピレンをエポキシ化することから生成される副生物を指す。
「過酸化水素転化率」は、反応混合物に添加された過酸化水素の量に対する、プロピレンのエポキシ化の間に反応する過酸化水素の量を指す。
「過酸化水素利用率」は、プロピレンのエポキシ化の間に反応する過酸化水素の量に対する、プロピレンオキサイドに転化した過酸化水素の量を指す。
「担持塩基」は、中性電荷を有する塩基性官能基を有する、不溶性担体を指す。
「中性電荷(neutral charge)」は、物質が正電荷も負電荷も有しないような、イオンを有しない物質を指す。
「安定剤」は、分解速度を減少させるために、過酸化水素溶液に添加される酸性種を含有する、特別の酸(単数又は複数)中の物質を指す。
「酸性種(acidic species)」は、プロトンを供与し得る物質を指す。
これらの態様について、本発明のプロピレンのエポキシ化プロセス(「エポキシ化プロセス」とも参照される)には、オレフィン、例えばプロピレンを、過酸化水素溶液と、所定の反応温度で、触媒及び溶媒の存在下に所定のpHで反応させることが含まれる。これらの態様について、過酸化水素溶液のpHは、過酸化水素溶液を担持塩基と接触させて、過酸化水素溶液から酸性種を除去することによって、所定のpHに調節される。本発明のエポキシ化プロセスは、過酸化水素溶液のpHを、所定のpHに調節するための担持塩基の使用無しのプロピレンのエポキシ化に対して比較したときに、過酸化水素利用率又は過酸化水素転化率を減少させることなく、プロピレンのエポキシ化の選択率を増加させる。
これらの態様について、エポキシ化プロセスには、過酸化水素をオレフィンと反応させることが含まれる。この過酸化水素は、水溶液状態にあり、過酸化水素溶液として参照され、ここで、過酸化水素溶液中の過酸化水素は、オレフィンと反応して、エポキシドを生成する。過酸化水素溶液は、更に、エポキシドを生成するエポキシ化反応に関与し得る又はし得ない、他の物質を含有することができる。例えば酸性種が過酸化水素溶液中に存在していてよく、これは本明細書中で更に充分に検討される。
これらの態様について、本発明において使用されるオレフィンは、プロピレンであり、プロピレンオキサイドにエポキシ化される。反応混合物中に使用されるプロピレンの量は、反応混合物の合計重量基準で、10重量パーセント(重量%)〜90重量%の範囲内、更に好ましくは30重量%〜70重量%の範囲内、なお更に好ましくは40重量%〜65重量%の範囲内であってよい。
これらの態様について、エポキシ化プロセスには、プロピレンを過酸化水素と反応させることが含まれ、ここで、過酸化水素は、過酸化水素溶液状態にある。しかしながら、当業者は、プロピレンのエポキシ化のために、他の有機及び/又は無機ヒドロパーオキサイドを使用できることを認識しているであろう。使用することができる他のヒドロパーオキサイドの例には、これらに限定されないが、第三級ブチルヒドロパーオキサイド、エチルベンゼンヒドロパーオキサイド、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、過酸化クメン及びこれらの組合せが含まれる。これらの態様について、反応混合物中に使用される過酸化水素溶液の量は、反応混合物の合計重量基準で、1重量%〜35重量%の範囲内、更に好ましくは1重量%〜15重量%の範囲内、なお更に好ましくは1重量%〜7重量%の範囲内であってよい。
過酸化水素溶液の利用可能な源泉は、過硫酸の加水分解、更に一般的に、適切な溶媒系中の置換アルキルアントロキノン(alkylanthroquinone)の続く水素化及び酸化によって製造される。両方の方法は、過酸化水素溶液の製造の間に導入される高レベルの不純物、例えば固体及び遷移金属イオンを含有し得る過酸化水素溶液を製造する。微量レベルの不純物を含有する過酸化水素溶液でも、貯蔵及び/又は使用の間に分解する傾向がある。従って、酸性種を含有する安定剤が、分解を減少し及び/又は防止するために、過酸化水素溶液に添加される。安定剤の例には、リン酸、硝酸、スズ、スズ酸塩(stannates)及び有機リン酸塩又はこれらの組合せが含まれてよい。
これらの態様について、エポキシ化プロセスには、過酸化水素溶液をプロピレンと反応させる前に、過酸化水素溶液のpHを所定のpHに調節することが含まれる。過酸化水素溶液のpHは、過酸化水素溶液を担持塩基と接触させることによって調節される。この担持塩基は、主に中性電荷を有し、イオン交換に関与しない担持塩基から選択される。換言すると、担持塩基は、他のイオンとの交換においてイオンを供与しないで、むしろ、共にではないが、イオンを受容するか又は供与し得る。これらの態様について、担持塩基は、「安定剤」と同様に作用し、過酸化水素溶液の製造から存在し得る酸性種及び金属を減少することができる。担持塩基は、イオンを受容することによって過酸化水素溶液中に存在する酸性種を減少させることができるが、その代わりにイオンを供与しない。更に詳しくは、担持塩基はプロトンを受容することができる。プロトンを受容することによって、担持塩基の主に中性の電荷は、正電荷に変化し、その間に、過酸化水素溶液のpHは、所定のpHに調節される。
これらの態様について、過酸化水素溶液のpHを所定のpHに調節するために必要な担持塩基の量は、反応混合物中に使用される過酸化水素溶液の量及び所定のpH値に依存するであろう。従って、過酸化水素溶液の所定のpHが達成されるまで、充分な量の担持塩基が使用される。これらの態様について、所定のpHは、1.0〜9.0の範囲内、更に好ましくは3.0〜8.0の範囲内、なお更に好ましくは6.0〜8.0範囲内であろう。
本明細書中で検討されているように、本発明のエポキシ化プロセスは、プロピレンのエポキシ化の間に生成される副生物の量を減少させることができる。プロピレンのエポキシ化は、水、プロパンジオール、メトキシプロパノール及びより高分子量副生物を含有し得る副生物を生成する。これらの副生物は、過酸化水素溶液中に存在する安定剤によって生成され得る。例えば、安定剤中の酸性種は、プロピレンオキサイドの生成の間に、開環反応に触媒作用することができる。これらの開環反応は、より高分子量副生物並びにプロパンジオール及びメトキシプロパノールの一部を製造することができる。従って、過酸化水素溶液中の酸性種を減少させることは、開環反応を制限し、エポキシ化の間に生成される副生物の量を減少させる。この開環反応を制限することによって、プロピレンのエポキシ化の選択率が増加され、エポキシ化の間により多くのプロピレンオキサイドが製造される。本発明の態様について、選択率を増加させることは、過酸化水素溶液のpHを所定のpHに調節するための担持塩基無しのプロピレンのエポキシ化に対して比較したときに、過酸化水素利用率又は過酸化水素転化率を減少させることなく達成される。
これらの態様について、過酸化水素溶液のpHは、過酸化水素溶液を担持塩基と接触させることによって、所定のpHに調節される。過酸化水素溶液を担持塩基と接触させることは、回分式、半連続式又は連続式方式で実施することができる。例えば、過酸化水素溶液を、担持塩基と混合して不均一溶液を形成することができ又は過酸化水素溶液を、担持塩基を含有する固定床反応器に通過させることができる。これらの態様について、過酸化水素溶液を担持塩基と混合することは、公知の混合手段、例えばこれらに限定するものではないが、攪拌機による攪拌により又は管状反応器若しくはループ反応器内で混合要素によって剪断を導入することにより、実施することができる。更に、過酸化水素溶液を接触させるための反応器の組合せを使用することもできる。
これらの態様について、プロピレンをエポキシ化することは、触媒の存在下に実施される。更に、このエポキシ化プロセスにおいて、1種より多い触媒を使用することができる。使用される触媒は、多孔質酸化物材料、例えばゼオライトを含む不均一触媒から選択することができる。認められるように、ゼオライトは、かご構造及び細孔開口を有する、微孔質結晶性整列チャンネルを有する、シリカを含有する固体である。微孔質ゼオライトに加えて、メソポーラス(mesoporous)及びマクロポーラス(macroporous)ゼオライト型触媒を使用することもできる。これらの態様について、触媒は、好ましくは、MFI構造を有するTS−1として公知である、チタン−ケイ酸塩から選択される。また、MEL構造又は中間MFI/MEL構造を有するチタン−ケイ酸塩及びチタンを含有し、BEA構造を有するベータゼオライトからのチタン−ケイ酸塩を使用することも可能である。TS−2、TS−3、ZSM−48及びZMS−12として公知である、他のチタン含有ゼオライト触媒を使用することもできる。
これらの態様について、ゼオライト触媒中のチタンの一部又は全部を、これらに限定されないが、ホウ素、アルミニウム、鉄、ガリウム、バナジウム、ジルコニウム、クロム、ニオブ又はこれらの2種若しくはそれ以上の混合物によって置き換えることができる。チタン、バナジウム、クロム、ニオブ及びジルコニウムを含有するゼオライトの追加の例には、これらに限定するものではないが、BEA、MOR、TON、MTW、FER、CHA、ERI、RHO、GIS、BOG、NON、EMT、HEU、KFI、FAU、DDR、MTT、RUT、RTH、LTL、MAX、GME、NES、OFF、SGT、EUO、MFS、MWW及びITQ−4が含まれる。本発明のプロセスにおいて、UTD−1、CIT−1又はCIT−5構造を有するチタン含有ゼオライトを使用することも可能である。更に、他の不均一又は均一触媒を使用することができる。例には、これらに限定するものではないが、可溶性金属触媒、例えば配位子結合したレニウム、タングステン及びマンガンが、これらの不均一化された形態に加えて含まれる。
これらの態様について、触媒は、反応混合物の合計重量基準で、0.1重量%〜30重量%の範囲内、更に好ましくは0.1重量%〜15重量%の範囲内、なお更に好ましくは0.1重量%〜5重量%の範囲内で使用することができる。
エポキシ化において使用される触媒は、最終的に失活するであろう。触媒が失活すると、失活した触媒を分離し、再生して、次のエポキシ化プロセスで再使用することができる。副生物、特に、より高分子量の副生物の生成は、触媒の細孔を詰まらせることによって、失活の速度を増加させることができる。本明細書中に示されているように、本発明のプロピレンのエポキシ化プロセスは、生成される副生物の量を最小にすることを助ける。副生物を最小にすることによって、触媒の細孔が詰まるようになる速度が減少する。従って、本発明の態様は、過酸化水素溶液のpHを所定のpHに調節するための担持塩基を使用しないプロピレンのエポキシ化に対して比較したときに、触媒の寿命を延長させる。触媒の寿命を延長することによって、触媒を分離し、再生することが必要な頻度を減少させることができ、これは、エポキシ化プロセスに付随するコストを減少させることができる。
これらの態様について、エポキシ化プロセスは、溶媒の存在下に実施する。この溶媒は、プロトン性溶媒から選択することができる。例えばケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン及びアセトフェノンに加えて、アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、第三級ブチルアルコール及びシクロヘキサノールを使用することができる。この溶媒は、エーテル、ヒドロ−アルコール混合物、脂肪族及び芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素及びエステルから選択することもできる。種々の溶媒の混合物も使用することができる。これらの態様について、反応混合物中の溶媒の量は、反応混合物の合計重量基準で、3重量%〜90重量%の範囲内、更に好ましくは3重量%〜50重量%の範囲内、なお更に好ましくは3重量%〜10重量%の範囲内であってよい。
これらの態様について、エポキシ化プロセスは、共溶媒の存在下に実施することができる。この共溶媒は、非水溶性溶媒から選択することができ、これには、これらに限定されないが、C3〜C18の線状及び環式アルカン、ハロゲン化炭化水素、失活芳香族化合物、アミド、ニトリルを含有する溶媒、アルコール及びハロゲン化アルコール又はこれらの混合物が含まれる。共溶媒の例には、これらに限定するものではないが、四塩化炭素、塩化プロピル、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ヘキサン、オクタン、デカリン、ペルフルオロデカリン、モノ若しくはポリ−塩素化ベンゼン、モノ若しくはポリ−臭素化ベンゼン、アセトフェノン、ベンゾニトリル、アセトニトリル、トリクロロトリフルオロエタン、トリクロロエタノール、トリフルオロエタノール又はこれらの混合物が含まれる。これらの態様について、共溶媒は、好ましくは1,2−ジクロロベンゼンである。共溶媒は5重量%〜70重量%の範囲内、更に好ましくは10重量%〜50重量%の範囲内、なお更に好ましくは10重量%〜30重量%の範囲内で使用することができる。
これらの態様について、エポキシ化プロセスは、所定の反応温度で実施される。これらの態様について、エポキシ化プロセスは、プロピレンが液体状態であるとき行うことができる。例えばプロピレンが液体状態である所定の反応温度及び圧力は、50℃及び11.8標準気圧(atm)(1195.3キロパスカル)を含むことができるが、他の所定の反応温度及び圧力を使用することができる。更に、所定の反応温度は、プロピレンのエポキシ化の間、一定温度で留まることができる。更に、これらの態様について、圧力は、エポキシ化の間、修正することができる。
これらの態様について、エポキシ化プロセスは、連続式、半連続式又は回分式プロセスで実施することができる。エポキシ化プロセスは、少なくとも1個の回分式反応器内で又は少なくとも1個の連続式反応器内で又はこれらの組合せ内で実施することもできる。例えば、反応器は、これらに限定するものではないが、1つ又はそれ以上の、連続式攪拌槽反応器、管型反応器及びこれらの組合せから選択することができる。更に、反応器は、液−液接触器、例えばカル塔(Karr Column)から選択することができる。
これらの態様について、所定のpHでの過酸化水素溶液を、プロピレン、触媒、溶媒及び共溶媒(これが使用される場合)を含有する予備反応溶液に添加して、反応混合物を形成する。所定のpHでの過酸化水素溶液を添加して、担持塩基を含有するか又は含有しない反応混合物を形成することができる。所望により、担持塩基を、標準分離手順、例えば、これらに限定するものではないが、真空濾過によって、過酸化水素溶液から除去することができる。
これらの態様について、製造されたプロピレンオキサイドの実質的部分は、未反応のプロピレン、共溶媒及び副生物の一部を含有し得る有機相中に残留するであろう。しかしながら、得られるプロピレンオキサイドの一部は、未反応の過酸化水素、溶媒及び副生物の一部を含有し得る水相中に残留し得る。従って、有機相と水相とを、担持塩基(前もって除去されない場合)及び触媒から、一般的な分離技術、例えばデカンテーション、液体サイクロン、機械的駆動高重力デバイス又はこれらの組合せによって分離することができる。更に、得られるエポキシドは、一般的な技術、例えばこれらに限定するものではないが、蒸溜によって、有機相及び水相から分離及び/又は回収することができる。
下記の実施例は、例示のために示すが、本発明の範囲を限定するものではない。
合成実施例1〜10及び比較合成例A〜Gは、塩化アリルのエピクロロヒドリンへのエポキシ化の例である。プロピレンオキサイドを製造するための実施例は、予言的であり、実施例1〜10において示される。実施例1〜10と合成実施例1〜10との間の唯一の差異は、実施例1〜10において使用されるオレフィンが、塩化アリルの代わりにプロピレンであることである。それ故、実施例1〜10について、類似の結果が期待される。
材料
過酸化水素溶液(30重量%水溶液)、VWRから入手可能。
オレフィン、塩化アリル(99.4%純度)、the Dow Chemical Companyから入手可能。オレフィン、塩化アリルは、Sigma Aldrich(試薬プラス、99%、CAS#107−05−1)からも入手可能である。
オレフィン、プロピレン(≧99%、CAS#115−07−1)、Sigma Aldrichから入手可能。
溶媒、メタノール(99.8%、ACS保証、CAS#67−56−1)、Fisher Scientificから入手可能。
共溶媒、1,2−ジクロロベンゼン(試薬プラス、99%、CAS#95−50−1)、Sigma Aldrichから入手可能。
触媒、チタン−ケイ酸塩(TS−1、チタン含有量は約2.1重量%である)、Sued-Chemieから入手可能。
担持塩基、ポリ−4−ビニルピリジン(CAS#25232−41−1)、Sigma Aldrichから入手可能。
担持塩基、Amberlyst(登録商標)A−21(遊離塩基、20−5−メッシュ、CAS#9049−93−8)、Sigma Aldrichから入手可能。
担持塩基、Lewatit(登録商標)MP−62(遊離塩基、300〜1000マイクロメートル(μm))、Sigma Aldrichから入手可能。
担持塩基、Dowex(登録商標)MWA−1(遊離塩基、53〜75メッシュ、CAS#63993−97−9)、Sigma Aldrichから入手可能。
イオン交換樹脂、Amberlyst(登録商標)A−26(ヒドロキシド型、16−45メッシュ、CAS#39339−85−0)、Sigma Aldrichから入手可能。
イオン交換樹脂、シリカ担持トリメチルプロピルアンモニウムカーボネート(0.8ミリモル/グラム含有、200〜400メッシュ)、Sigma Aldrichから入手可能。
イオン交換樹脂、Reillex(登録商標)HPQイオン交換樹脂(特に四級化塩化メチル塩、300〜1000μm粒子サイズ、CAS#125200−80−8)、Sigma Aldrichから入手可能。
均一イオン塩基、水酸化ナトリウム(試薬グレード、≧98%、CAS#1310−73−2)、Sigma Aldrichから入手可能。
試験方法
pHの測定
pHは、3M塩化カリウム(KCl)充填溶液を含有するOrion8272BN組合せ電極を使用する、Beckmanモデル45pH計で測定した。このBeckmanは、pH=4及びpH=7緩衝液によって毎日較正した。
ガスクロマトグラフィー
ガスクロマトグラフィー(GC)は、JP7682シリーズインジェクター及びフレームイオン化検出器を取り付けたHP6890シリーズG1530A GCで実施した。
滴定
過酸化水素の量は、0.01規定度(N)チオ硫酸ナトリウムを使用するヨウ素還元滴定によって分析した。過酸化水素濃度は、以下のようにして計算した。
部/100万(ppm)過酸化水素=(ミリリットル(mL)使用した滴定剤(0.01N)(17000)/gサンプル)。滴定は、DM140センサーを取り付けたMettler Toledo DL5x V2.3滴定器を使用して実施した。
合成実施例1
担持塩基と共に過酸化水素溶液を使用する、塩化アリルのエポキシ化
52.3重量%の塩化アリル、5重量%のメタノール、23.3重量%の1,2−ジクロロベンゼン及び1.4重量%のTS−1触媒(ここで、重量%は、反応混合物の合計重量基準である)を、ステンレススチール冷却コイル、サーモカップル、機械式攪拌機、添加漏斗、ガススクラバーによる窒素パージ及び環流凝縮器/コールドフィンガー組合せを取り付けた、750mLのジャケット付きガラス反応器に添加することによって、予備反応溶液を作った。この予備反応溶液を25.5℃まで加熱した。
過酸化水素溶液を、過酸化水素溶液のpHを5.7の所定のpHに調節するために充分なAmberlyst(登録商標)A−21と共に攪拌した。Amberlyst(登録商標)A−21と共に攪拌した過酸化水素溶液の量は、全反応混合物の18重量%であった。過酸化水素溶液とAmberlyst(登録商標)A−21との混合物を、添加漏斗に添加した。過酸化水素溶液及びAmberlyst(登録商標)A−21混合物を、予備反応溶液を含有する反応器にゆっくり添加して、反応混合物を形成した。この反応混合物を、600回転/分(rpm)で攪拌しながら、60分間かけて、40℃±0.5℃の所定の反応温度にまで加熱した。反応器の内容物を、反応器から2個の250ミリリットル(mL)遠心管の中に集め、3000rpmで0℃で30分間、遠心分離した。水相と有機相とを、分液漏斗の中にデカンテーションした。両方の相を、ガスクロマトグラフィーによって分析した。残留する過酸化水素を、チオ硫酸ナトリウムによる滴定によって決定した。実施例1及び以下の実施例2〜10の結果を、表1に示す。
合成実施例2
担持塩基と共に過酸化水素溶液を使用する、塩化アリルのエポキシ化
下記の変更以外は、実施例1の手順を繰り返した。過酸化水素溶液を、過酸化水素溶液のpHを5.0の所定のpHに調節するために充分なポリ−4−ビニルピリジンと共に攪拌した。
合成実施例3
担持塩基と共に過酸化水素溶液を使用する、塩化アリルのエポキシ化
下記の変更以外は、実施例1の手順を繰り返した。過酸化水素溶液を、過酸化水素溶液のpHを5.2の所定のpHに調節するために充分なLewatit(登録商標)MP−62と共に攪拌した。
合成実施例4
担持塩基と共に過酸化水素溶液を使用する、塩化アリルのエポキシ化
下記の変更以外は、実施例1の手順を繰り返した。過酸化水素溶液を、過酸化水素溶液のpHを5.2の所定のpHに調節するために充分なDowex(登録商標)MWA−1と共に攪拌した。
合成実施例5
担持塩基と共に過酸化水素溶液を使用する、塩化アリルのエポキシ化
下記の変更以外は、実施例1の手順を繰り返した。過酸化水素溶液を、過酸化水素溶液のpHを4.5の所定のpHに調節するために充分なポリ−4−ビニルピリジンと共に攪拌した。
合成実施例6
担持塩基と共に過酸化水素溶液を使用する、塩化アリルのエポキシ化
下記の変更以外は、実施例1の手順を繰り返した。過酸化水素溶液を、過酸化水素溶液のpHを4.6の所定のpHに調節するためにAmberlyst(登録商標)A−21と共に攪拌した。
合成実施例7
担持塩基と共に過酸化水素溶液を使用する、塩化アリルのエポキシ化
下記の変更以外は、実施例1の手順を繰り返した。過酸化水素溶液のpHを、5.5の所定のpHに調節した。Amberlyst(登録商標)A−21を、過酸化水素溶液から真空濾過を使用して分離した。添加漏斗に、濾過した過酸化水素溶液(即ち、濾液)を装入した。次いで、濾過した過酸化水素溶液を、予備反応溶液を含有する反応器にゆっくり添加した。
合成実施例8
担持塩基及び触媒再使用と共に過酸化水素溶液を使用する、塩化アリルのエポキシ化
下記の変更以外は、実施例7の手順を繰り返した。触媒について、新しいTS−1の代わりに、実施例7から分離した触媒を再使用した。過酸化水素溶液のpHを、真空濾過の前に、5.6の所定のpHに調節した。
合成実施例9
担持塩基と共に過酸化水素溶液を使用する、塩化アリルのエポキシ化
下記の変更以外は、実施例7の手順を繰り返した。過酸化水素溶液を、真空濾過の前に、過酸化水素溶液のpHを5.6の所定のpHに調節するために充分なポリ−4−ビニルピリジンと共に攪拌した。
合成実施例10
担持塩基及び触媒再使用と共に過酸化水素溶液を使用する、塩化アリルのエポキシ化
下記の変更以外は、実施例8の手順を繰り返した。新しいTS−1触媒の代わりに、実施例9からの分離した触媒を再使用した。過酸化水素溶液を、真空濾過の前に、過酸化水素溶液のpHを5.4の所定のpHに調節するために充分なポリ−4−ビニルピリジンと共に攪拌した。
比較合成例
下記のものは、合成実施例に対する比較合成例である。比較合成例A〜Eは、過酸化水素溶液のpHを、イオン交換樹脂及び均一イオン塩基によって調節する。比較合成例F及びGは、如何なる形態のpH調節又は制御も使用しない。比較合成例の結果を、表2及び表3に示す。
比較合成例A
イオン交換樹脂と共に過酸化水素溶液を使用する、塩化アリルのエポキシ化
下記の変更以外は、実施例1からの手順を繰り返した。過酸化水素溶液を、過酸化水素溶液のpHを5.5に調節するために充分なAmberlyst(登録商標)A−26と共に攪拌した。比較合成例A及び続く比較合成例B〜Eの結果を表2に示す。下記の比較例F及びGの結果を表3に示す。
比較合成例B
イオン交換樹脂と共に過酸化水素溶液を使用する、塩化アリルのエポキシ化
下記の変更以外は、実施例1からの手順を繰り返した。過酸化水素溶液を、過酸化水素溶液のpHを5.0に調節するために充分なシリカ担持トリメチルプロピルアンモニウムカーボナートと共に攪拌した。
比較合成例C
イオン交換樹脂と共に過酸化水素溶液を使用する、塩化アリルのエポキシ化
下記の変更以外は、実施例1からの手順を繰り返した。過酸化水素溶液を、過酸化水素溶液のpHを5.5に調節するために充分なReillex(登録商標)HPQと共に混合した。
比較合成例D
均一イオン塩基と共に過酸化水素溶液を使用する、塩化アリルのエポキシ化
下記の変更以外は、実施例1からの手順を繰り返した。過酸化水素溶液を、過酸化水素溶液のpHを5.6に調節するために充分な水酸化ナトリウム水溶液と共に混合した。
比較合成例E
均一イオン塩基と共に過酸化水素溶液を使用する、塩化アリルのエポキシ化
下記の変更以外は、実施例1からの手順を繰り返した。過酸化水素溶液を、過酸化水素溶液の初期pHを6.2に調節するために充分な水酸化ナトリウム水溶液と共に混合した。水酸化ナトリウム水溶液を、反応の全体に亘って間欠的に添加して、pHを5.0以上に維持した。
比較合成例F
如何なる形態のpH調節又は制御も伴わないで過酸化水素溶液を使用する、塩化アリルのエポキシ化
下記の変更以外は、実施例1からの手順を繰り返した。過酸化水素溶液のpHを調節しなかった。従って、過酸化水素溶液に対して、pHを調節するために何もしなかった。
比較合成例G
如何なる形態のpH調節又は制御も伴わない過酸化水素溶液及び触媒再使用を使用する、塩化アリルのエポキシ化
下記の変更以外は、実施例1からの手順を繰り返した。過酸化水素溶液のpHを調節しなかった。従って、過酸化水素溶液に対して、pHを調節するために何もしなかった。更に、新しいTS−1触媒を使用する代わりに、比較例Fからの分離したTS−1触媒を再使用した。
Figure 2013511519
Figure 2013511519
Figure 2013511519
表1は、合成実施例の要約であり、表2及び表3は、比較合成例の要約である。各表において、「CMP」は、1−クロロ−3−メトキシ−2−プロパノールを表し、「MCH」は、1−クロロ−2,3−プロパンジオール(モノクロロヒドリン)を表し、「epi」は、エピクロロヒドリンを表す。
「過酸化水素転化率」は、(エポキシ化の間に反応した過酸化水素の合計量)/(反応混合物に添加された過酸化水素の量)として計算され、「過酸化水素利用率」は、(epiに転化された過酸化水素の量)/(エポキシ化の間に反応した過酸化水素の量)として計算される。「選択率」は、(生成されたepiの量)/(生成されたepi+全ての副生物の量)である。選択率は、表1中において、生成されたそれぞれの副生物の量として示されている。
プロピレンのエポキシ化における要因は、pHである。従って、合成実施例を比較合成例と比較すると、ほぼ同じpHでのものを比較することが、最も意味がある。従って、合成実施例1〜4を、比較合成例A〜Dに対して比較し、合成実施例5〜6を、比較合成例F〜Gに対して比較する。また、過酸化水素が、このエポキシ化プロセスにおいて使用される最も高価な試薬であるので、過酸化水素利用率における僅かなパーセント差異が、金銭的節減における顕著な差異をもたらすことが、当業者によって理解される。
表1からの合成実施例1〜4を、表2からの比較合成例A〜Dと比較すると、合成実施例が、より良い全体的結果をもたらすことを知ることができる。特に、合成実施例1〜4の過酸化水素利用率は、比較合成例A〜Dに対して比較したときに、より高いレベルで維持される。例えば、過酸化水素溶液を所定のpHに調節するために担持塩基を使用すること(合成実施例1〜4)の、イオン交換樹脂(比較合成例A〜C)又は均一イオン塩基(比較合成例D)を使用することに対する利点は、CMP、MCH及びより高分子量の副生物のより低い量によって示され、特に、高い過酸化水素利用率によって示されている。比較合成例A〜Dは、この反応は、ほぼ同じ量の過酸化水素を反応させるが、著しく少ない量が所望のエポキシドに転化する(これは、過酸化水素利用率として示される)ことを示している。
pH制御(表1中の合成実施例5及び合成実施例6)の、pH制御無し(表3中の比較合成例F及び比較合成例G)に対する利点は、エポキシ化の間に生成されるCMP、MCH及びより高分子量の副生物における著しい改良によって示される。pH制御無しの比較合成例F及びGは、減少した選択率を示す。減少した選択率は、CMP、MCH及びより高分子量の副生物の量が、pH制御を使用する合成実施例5及び6に対して比較したときに、著しく増加するとして知ることができる。
図1は、塩化アリルのエポキシ化の経過の間に生成されたepiの量を示す。図1は、合成実施例7〜10を比較合成例F及びGと比較する。図1からわかるように、担持塩基Amberlyst(登録商標)A−21(合成実施例7)又はポリ−4−ビニルピリジン(合成実施例9)によって過酸化水素溶液のpHを調節することによって、触媒を再使用するとき(合成実施例8及び合成実施例10)、触媒の長期間有効性が低下しない。
下記のものは、本発明の予言的(prophetic)例及び予想結果である。前記のように、唯一の差異は、オレフィンとして、塩化アリルの代わりにプロピレンが使用されることである。
実施例1:担持塩基と共に過酸化水素溶液を使用する、プロピレンのエポキシ化
塩化アリルの代わりにプロピレンを使用し、エポキシ化を11.8atmで実施し、反応混合物を50℃に加熱する以外は、実施例1からの手順を繰り返す。
実施例2:担持塩基と共に過酸化水素溶液を使用する、プロピレンのエポキシ化
塩化アリルの代わりにプロピレンを使用し、過酸化水素溶液を、過酸化水素溶液のpHを5の所定のpHに調節するために充分なポリ−4−ビニルピリジンと共に攪拌し、エポキシ化を11.8atmで実施し、反応混合物を50℃に加熱する以外は、実施例1における手順を繰り返す。
実施例3:担持塩基と共に過酸化水素溶液を使用する、プロピレンのエポキシ化
塩化アリルの代わりにプロピレンを使用し、過酸化水素溶液を、過酸化水素溶液のpHを5.2の所定のpHに調節するために充分なLewatit(登録商標)MP−62と共に攪拌し、エポキシ化を11.8atmで実施し、反応混合物を50℃に加熱する以外は、実施例1における手順を繰り返す。
実施例4:担持塩基と共に過酸化水素溶液を使用する、プロピレンのエポキシ化
塩化アリルの代わりにプロピレンを使用し、過酸化水素溶液を、過酸化水素溶液のpHを5.2の所定のpHに調節するために充分なDowex(登録商標)MWA−1と共に攪拌し、エポキシ化を11.8atmで実施し、反応混合物を50℃に加熱する以外は、実施例1における手順を繰り返す。
実施例5:担持塩基と共に過酸化水素溶液を使用する、プロピレンのエポキシ化
塩化アリルの代わりにプロピレンを使用し、過酸化水素溶液を、過酸化水素溶液のpHを4.5の所定のpHに調節するために充分なポリ−4−ビニルピリジンと共に攪拌し、エポキシ化を11.8atmで実施し、反応混合物を50℃に加熱する以外は、実施例1における手順を繰り返す。
実施例6:担持塩基と共に過酸化水素溶液を使用する、プロピレンのエポキシ化
塩化アリルの代わりにプロピレンを使用し、過酸化水素溶液を、過酸化水素溶液のpHを4.6の所定のpHに調節するために充分なAmberlyst(登録商標)A−21と共に攪拌し、エポキシ化を11.8atmで実施し、反応混合物を50℃に加熱する以外は、実施例1における手順を繰り返す。
実施例7:担持塩基と共に過酸化水素溶液を使用する、プロピレンのエポキシ化
過酸化水素溶液を、過酸化水素溶液のpHを5.5の所定のpHに調節するために充分なAmberlyst(登録商標)A−21と共に攪拌し、エポキシ化を11.8atmで実施し、反応混合物を50℃に加熱する以外は、実施例1における手順を繰り返す。過酸化水素溶液を、真空濾過によってAmberlyst(登録商標)A−21から分離する。添加漏斗に、この濾過した過酸化水素(即ち、濾液)を装入する。この濾過した過酸化水素溶液を、予備反応溶液を含有する反応器にゆっくり添加する。
実施例8:担持塩基及び触媒再使用と共に過酸化水素溶液を使用する、プロピレンのエポキシ化
触媒について新しいTS−1を使用する代わりに、実施例7からの触媒を使用する以外は、予言的実施例7における手順を繰り返す。過酸化水素溶液のpHを、真空濾過の前に、5.6の所定のpHに調節し、エポキシ化を11.8atmで実施し、反応混合物を50℃に加熱する。
実施例9:担持塩基と共に過酸化水素溶液を使用する、アリルプロピレンのエポキシ化
過酸化水素溶液を、過酸化水素溶液のpHを、真空濾過の前に、5.6の所定のpHに調節するために充分なポリ−4−ビニルピリジンと共に攪拌し、エポキシ化を11.8atmで実施し、反応混合物を50℃に加熱する以外は、予言的実施例7における手順を繰り返す。
実施例10:担持塩基及び触媒再使用と共に過酸化水素溶液を使用する、プロピレンのエポキシ化
実施例9からの分離した触媒を再使用する以外は、予言的実施例8における手順を繰り返す。過酸化水素溶液を、過酸化水素溶液のpHを、真空濾過の前に、5.4の所定のpHに調節するために充分なポリ−4−ビニルピリジンと共に攪拌し、エポキシ化を11.8atmで実施し、反応混合物を50℃に加熱する。
前記のように、実施例1〜10は、使用されたオレフィンが、塩化アリルに対してプロピレンである点でのみ、合成実施例1〜10とは異なっている。それ故、同様の結果が期待される。実施例1〜4について、選択率は、過酸化水素利用率を減少させることなく又は過酸化水素転化率を減少させることなく、増加するか又は高レベルで維持されると期待される。また、実施例1〜10は、過酸化水素溶液のpHを所定のpHに調節するために担持塩基を使用しないプロピレンのエポキシ化に対して比較したとき、過酸化水素利用率を減少させることなく、プロパンジオール、メトキシプロパノール及びより高分子量の副生物を含む副生物の減少した量を生成するであろうことが期待される。
再び、実施例5及び6の利点は、合成実施例5及び合成実施例6と同様の結果をもたらすと期待される。例えば実施例5及び6は、過酸化水素溶液のpHを所定のpHに調節するために担持塩基を使用しないプロピレンのエポキシ化に対して比較したとき、プロパンジオール、メトキシプロパノール及びより高分子量の副生物の生成における顕著な減少をもたらすであろうことが期待される。
再び、実施例5及び6の利点は、合成実施例5及び合成実施例6と同様の結果をもたらすと期待される。例えば実施例5及び6は、過酸化水素溶液のpHを所定のpHに調節するために担持塩基を使用しないプロピレンのエポキシ化に対して比較したとき、プロパンジオール、メトキシプロパノール及びより高分子量の副生物の生成における顕著な減少をもたらすであろうことが期待される。
以下に、本発明及びその関連態様を記載する。
態様1.プロピレンを過酸化水素溶液と、所定の反応温度で、触媒及び溶媒の存在下に、所定のpHで反応させることを含んでなり、前記過酸化水素溶液のpHを、過酸化水素溶液を担持された塩基と接触させて、過酸化水素溶液から酸性種を除去することによって、所定のpHに調節し、そしてプロピレンのエポキシ化の選択率が、過酸化水素溶液のpHを所定のpHに調節するための担持塩基無しのプロピレンのエポキシ化に対して比較したときに、過酸化水素利用率又は過酸化水素転化率を減少させることなく増加させることを含んでなるプロピレンのエポキシ化プロセス。
態様2.所定のpHでのプロピレン及び過酸化水素溶液の反応を、共溶媒の存在下に、行う態様1に記載のプロセス。
態様3.前記過酸化水素溶液が安定剤を含み、酸性種が安定剤から除去されるとき、過酸化水素溶液のpHを所定のpHに調節する前記態様のいずれか1項に記載のプロセス。
態様4.前記酸性種がイオンを含み、担持塩基が前記イオンを受容するが、イオンを過酸化水素溶液に供与しない前記態様のいずれか1項に記載のプロセス。
態様5.前記担持塩基が、過酸化水素溶液のpHを調節する前に、主に中性電荷を有する前記態様のいずれか1項に記載のプロセス。
態様6.前記担持塩基が、過酸化水素溶液のpHを所定のpHに調節する際に、正電荷を得る前記態様のいずれか1項に記載のプロセス。
態様7.前記所定の反応温度が、エポキシ化反応の間に一定のままである前記態様のいずれか1項に記載のプロセス。
態様8.前記所定のpHが3.0〜8.0の範囲内である前記態様のいずれか1項に記載のプロセス。
態様9.前記所定のpHが6.0〜8.0の範囲内である前記態様のいずれか1項に記載のプロセス。
態様10.前記態様のいずれか1項に記載のプロセスによって得ることができるプロピレンオキサイド。

Claims (10)

  1. プロピレンを過酸化水素溶液と、所定の反応温度で、触媒及び溶媒の存在下に、所定のpHで反応させることを含んでなり、前記過酸化水素溶液のpHを、過酸化水素溶液を担持された塩基と接触させて、過酸化水素溶液から酸性種を除去することによって、所定のpHに調節し、そしてプロピレンのエポキシ化の選択率が、過酸化水素溶液のpHを所定のpHに調節するための担持塩基無しのプロピレンのエポキシ化に対して比較したときに、過酸化水素利用率又は過酸化水素転化率を減少させることなく増加させることを含んでなるプロピレンのエポキシ化プロセス。
  2. 所定のpHでのプロピレン及び過酸化水素溶液の反応を、共溶媒の存在下に、行う請求項1に記載のプロセス。
  3. 前記過酸化水素溶液が安定剤を含み、酸性種が安定剤から除去されるとき、過酸化水素溶液のpHを所定のpHに調節する前記請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
  4. 前記酸性種がイオンを含み、担持塩基が前記イオンを受容するが、イオンを過酸化水素溶液に供与しない前記請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
  5. 前記担持塩基が、過酸化水素溶液のpHを調節する前に、主に中性電荷を有する前記請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
  6. 前記担持塩基が、過酸化水素溶液のpHを所定のpHに調節する際に、正電荷を得る前記請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
  7. 前記所定の反応温度が、エポキシ化反応の間に一定のままである前記請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
  8. 前記所定のpHが3.0〜8.0の範囲内である前記請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
  9. 前記所定のpHが6.0〜8.0の範囲内である前記請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
  10. 前記請求項のいずれか1項に記載のプロセスによって得ることができるプロピレンオキサイド。
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