JP2013509882A - カテナ:漿液性癌幹細胞 - Google Patents
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Abstract
Description
漿液性癌幹細胞を製造する方法であって、
(a)漿液性上皮腫瘍細胞を、腹腔内腫瘍を生成する量及び条件下で、免疫不全非ヒト哺乳動物の腹腔内に注入する工程;
(b)腹腔内腫瘍を有する非ヒト哺乳動物から腹水を採取する工程;
(c)上記腹水を、漿液性カテナ及び白血球を含む第一の画分と、漿液性スフェロイドを含む第二の画分とに分画する工程;
(d)上記第一の画分から白血球を除去し、カテナ濃縮画分を取得する工程;並びに
(e)付着性の間葉細胞と、漿液性癌幹細胞が濃縮された漿液性カテナ懸濁液とを産生する時間及び条件下で、上記カテナ濃縮画分を培養する工程
を含む、上記方法
を提供する。
漿液性癌幹細胞を製造する方法であって、
(a)漿液性上皮腫瘍細胞を、腹腔内腫瘍を生成する量及び条件下で、免疫不全非ヒト哺乳動物の腹腔内に注入する工程;
(b)腹腔内腫瘍を有する非ヒト哺乳動物から腹水を採取する工程;
(c)上記腹水を、漿液性カテナ及び白血球を含む第一の腹水画分と、漿液性スフェロイドを含む第二の腹水画分とに分画する工程;
(d)付着性の間葉細胞、及び浮遊性カテナと腫瘍スフェロイドとの懸濁培養物を産生する時間並びに条件下で、上記第二の画分を培養する工程;並びに
(e)上記懸濁培養物を、漿液性癌幹細胞が濃縮された浮遊性カテナを含む第一の培養画分と、漿液性癌幹細胞が濃縮された浮遊性腫瘍スフェロイドを含む第二の培養画分とに分画する工程
を含む、上記方法に関する。この方法は、(f)浮遊性カテナと腫瘍スフェロイドとのさらなる懸濁培養物を産生する時間及び条件下で、上記第二の培養画分を培養する工程;
(g)上記さらなる懸濁培養物を浮遊性カテナ画分と腫瘍スフェロイド画分に分画する工程;並びに
(h)浮遊性腫瘍スフェロイド画分を用いて、(インビトロ再クローニング能によって判定される通り)少なくとも10〜30%の漿液性癌幹細胞を含む浮遊性腫瘍スフェロイドの(安定)懸濁培養物を生成する時間及び条件下で、工程(f)及び工程(g)を繰り返す工程
をさらに含み得る。
漿液性カテナを単離する方法であって、
(a)漿液性上皮腫瘍細胞を、腹腔内腫瘍を生成する量及び条件下で、免疫不全非ヒト哺乳動物の腹腔内に注入する工程;
(b)腹腔内腫瘍を有する非ヒト哺乳動物から腹水を採取する工程;
(c)上記腹水を、漿液性カテナ及び白血球を含む第一の画分と、漿液性スフェロイドを含む第二の画分とに分画する工程;並びに
(d)上記第一の画分から白血球を除去し、カテナ濃縮画分を取得する工程
を含む、上記方法に関する。本発明によれば、スフェロイドは、(a)哺乳類漿液性卵巣上皮腫瘍細胞を、腹腔内腫瘍を生成する量及び条件下で、免疫不全非ヒト哺乳動物の腹腔内に注入する工程;(b)腹腔内腫瘍を有する非ヒト哺乳動物から腹水を採取する工程;(c)上記腹水を、漿液性カテナ及び白血球を含む第一の画分と、漿液性スフェロイドを含む第二の画分とに分画する工程;並びに(d)上記漿液性スフェロイドを単離する工程によって単離することができる。
以下の工程によって、増殖抑制効果について試験化合物をスクリーニングする方法が提供される:
(a)解離した漿液性カテナ細胞、解離した漿液性スフェロイド細胞、及び解離した漿液性癌付着細胞のいずれか一つを培養する工程、但し、上記細胞の全ては蛍光を発し得るか、又は発光し得る;
(b)上記細胞を上記試験化合物に接触させる工程;
(c)当該培養物が発する蛍光又は発光を検出することによって、上記細胞が応答において増殖するか否かを検出する工程;並びに
(d)上記試験化合物が上記カテナ、スフェロイド又は付着細胞の増殖を阻害するか否かを判定する工程
を含む、上記方法。
いくつかの実施形態では、当該方法は、上記試験化合物がスフェロイド又は付着細胞と比較して上記カテナの増殖を差示的に阻害するか否かを判定する工程をさらに含む。加えて、これらの方法は、工程(c)を、形態的変化(例えば、カテナからスフェロイド、スフェロイドからカテナ、カテナから上皮単層、カテナから間葉系単層、スフェロイドから上皮単層、スフェロイドから間葉系単層、又は形態学的細胞形状における変化、特定の細胞周期段階での停止等の変化)を検出する工程とすることにより、漿液性癌幹細胞に対する形態学的効果について化合物をスクリーニングする方法に適合させることが出来る。これらの方法は、例えば384ウェルプレート又は1536ウェルプレートで上記細胞を培養し、試薬を操作するためのロボット・システムを用いてアッセイを実施し、かつデータを収集及び解析することによって、ハイスループット・スクリーニング(HTS)に容易に適合させることが出来る。このようなシステムは当該分野において公知である。
増殖抑制効果又は形態学的効果について試験化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)漿液性カテナを解離し、かつ単一細胞の均質な集団を調製する工程;
(b)定着したグリコカリックスの被覆を有するカテナを生成するのに充分な時間及び条件下で、それら細胞を播種し、かつ培養する工程;
(c)未処理培養物がコンフルエントに達することなく増殖するのに充分であろう時間、上記培養物を少なくとも一つの試験化合物に接触させる工程;並びに
(d)処理された培養物において上記試験化合物が上記カテナの増殖を阻害するか否か、又は該試験化合物が上記カテナの形態を変化させるか否かを判定する工程を含む、上記方法が提供される。好ましい実施形態では、試験化合物は播種後3日目、4日目、5日目、6日目または7日目、より好ましくは5日目または6日目に培養物に添加される。この方法の一変法として、工程(b)の後かつ工程(c)の前に、上記カテナのグリコカリックス被覆を除去又は破壊するのに充分な時間、上記カテナのグリコカリックス被覆を除去又は破壊するのに充分な量のヒアルロニダーゼ、コラゲナーゼ又はその両方と共に上記培養物をインキュベートしてもよい。このような処理は、通常37℃で約5〜30分間、好ましくは約10分間実施される。これらの酵素は、残りのアッセイ時に除去する必要はない。修飾及びPEG化された酵素も、本発明の方法で使用できる。また、これらのアッセイは上記のようにハイスループット・スクリーニングにも容易に適合させることができる。試験化合物が増殖に影響を及ぼすか否かを判定するために、細胞を染色して若しくは染色せずに手作業で計数するか、又は蛍光シグナル、発光シグナル、又は吸光度を測定することができる。カテナが懸濁液中に存在するため、検出方法は、それに応じて適応させる必要があるが、当業者によって実施され得る。一つの好ましい検出方法として、アラマーブルー(alamarBlue(登録商標))染色を使用し、続いて、(培養物中に存在する生細胞の数に比例し、かつ細胞が付着しているかまたは懸濁液中に存在するかどうかに依存することのない培養物の蛍光または吸光度を測定する方法が挙げられる。
(a)癌患者から得た腹水からカテナを調製する工程;
(b)上記カテナが一以上のHAS2変異を有するか否か、及び/又は上記カテナが一以上のHAS2スプライス変異体を発現しているか否かを検出する工程;並びに
(c)上記変異及び/又は変異体を、上記患者における癌の存在及び/又は進行と関連付ける工程を含む、上記方法に関する。さらに、以下の工程によって、患者試料にける漿液性癌幹細胞の存在を特定又は監視することができる:(a)患者から細胞試料を取得する工程;(b)任意に、上記試料の白血球を枯渇させる工程;(c)上記試料の残りからDNA、RNA又はその両方を調製する工程;並びに(d)上記DNA、RNA又はその両方がHAS2変異を有するか否か、又は上記DNA、RNA又はその両方がHAS2スプライス変異体を発現しているか否かを検出する工程であって、変異又はスプライス変異の特定は上記試料における漿液性癌幹細胞の存在を示す、上記工程。そのようなDNA又はRNAの量を定量することによって、得られた結果と患者における漿液性癌の存在及び/又は漿液性癌の進行とを関連付けることができる。
本発明は、漿液性癌幹細胞(CSC)のクローン的に純粋な集団、並びにこれらのCSCを調製及び培養する方法を提供する。純粋なCSCが利用可能であることから、該細胞の広範な特性評価が可能であり、細胞マーカーの解明、細胞の形態、特異的に発現する遺伝子の同定、サーフェソーム・マーカー(surfaceome marker)の同定、セクレトーム・マーカー(secretome marker)、並びにこの情報からの治療剤及び新しい治療法の開発のためのターゲット経路に繋がっている。精製されたCSCは浮遊性細胞鎖として取得され、本明細書ではカテナ(catenae:複数形;catena:単数形)称され、それらは自己複製し、かつ分化する能力を有する。漿液性カテナに加えて、本発明は、分子レベルでのスフェロイドの類似した特性評価の研究を可能にする、精製された漿液性スフェロイド、及びこれらの細胞体を単離する方法を提供する。
漿液性細胞は、漿膜腔に由来するか、若しくは漿膜腔内で見出される任意の細胞、又は漿膜を形成するか、若しくは漿膜に付着する任意の細胞であり、卵巣細胞、内皮細胞、胃細胞、腸細胞、肛門細胞、膵臓細胞、肝細胞、肺細胞、及び心臓細胞を含むが、これらに限定されるものではない。
クローン的に純粋な漿液性CSCは、分化することができる自己複製漿液性細胞であり、この基準によって幹細胞の定義を満たす。CSCは、鎖当たり3個〜4個の細胞の程度乃至72個の細胞を有する浮遊性の細胞鎖を含むが、より長いカテナも時折観察されることがあり、上記は正確な上限ではない。カテナは、ヒアルロン酸を含むグリコカリックスに囲まれており、組織培養プレートへの付着に抵抗性を有する。本発明の方法に記載した通り、カテナは無限に懸濁培養中で増殖することができる。各カテナは、クローンであり、細胞***は同一の軸に沿って対照的に生じ、時折分岐がが観察される。対称***の能力は、鎖内の細胞の位置とは無関係であり、つまり、末尾の細胞と中間の細胞は、対称的に、かつ鎖軸とは無関係に***することを意味する。培養において***及び増殖する当該能力は、カテナ細胞が自己複製することを確立している。
漿液性スフェロイドは、40μmのフィルターを通過しないだろう構成要素として観察された、数万もの細胞から成る巨大な細胞構造である。スフェロイドは、転移と腫瘍形成に重要な役割を果たす可能性がある。スフェロイドはまた、懸濁培養において自己複製し、分化能を有している。インビトロで評価した場合、スフェロイドは、限界希釈法において約10%の連続再クローニング能を有する。
本発明は、カテナ及びスフェロイドを調製する方法に関する。二つの主要な方法が、本明細書中において説明されている。 1つの方法では、漿液性上皮又は間葉系癌細胞が、好ましくは炎症性刺激を加えて、動物の腫瘍モデル(好ましくはマウス)の腹腔内(ip)に注入される。腹水及び/又は固体腫瘍を生じさせるのに十分な時間の後、腹腔内に腫瘍を有する動物から腹水が採取され、二以上のサイズ画分、好ましくは2つの画分に分離される。小さいサイズの画分が、カテナと、単一の細胞、通常、白血球を含む。白血球は容易に除去することが出来、残りの細胞を懸濁培養で連続的に継代し、クローン化漿液性カテナの自己複製集団を得る。大きなフラクションは、フィルター上に保持されるスフェロイドを含む。これらのスフェロイドを回収し、懸濁培養で連続的に継代し、スフェロイドの自己複製集団を得る。
(b)上記エキソソームをCD63、COL1A2及び表13に記載される少なくとも5つのその他タンパク質に特異的な一つ以上の抗体と反応させる工程;並びに(c)CD63、COL1A2及び表13に記載される少なくとも5つのその他タンパク質の存在が陽性である試料として、エキソソームのカテナタンパク質特性を有する試料を特定する工程であって、上記タンパク質の存在は、患者試料が漿液性癌幹細胞を含むことを示す、上記工程を含む上記方法。
(a)CD49f、CD90、CD166、PDGFRA、及びGM2遺伝子;
(b)CD49f、CD90、CD166、PDGFRA、GM2、CD34、CD133、MUC16、及びEPCAM遺伝子;
(c)HAS2、PDGFRA、及び表11に記載の少なくとも10個の上方制御される遺伝子;
(d)HAS2、PDGFRA、MUC16、EPCAM、及び表11に記載の少なくとも10個の上方制御される遺伝子;
(e)表16に記載の少なくとも40個の蛋白質の遺伝子;
(f)let−7及び200のmiRNAファミリー、hsa−miR−23b及びhsa−miR−27b、並びに表8に記載の少なくとも4つのその他miRNA;
(g)HAS2、PDGFRA、及び表5に記載の少なくとも5つのその他遺伝子;
(h)表7のリスト1の9つの遺伝子、及び表7のリスト2の少なくとも5つの遺伝子;
(i)表5からの10以上の遺伝子;
(j)CD63、COL1A2、及び表13に記載のタンパク質の少なくとも5つのその他遺伝子;
(k)表15に記載の少なくとも20個のタンパク質の遺伝子;
(l)表4に記載の少なくとも6個のグリコカリックスタンパク質の遺伝子;
(m)ELN、FN1、表4に記載の少なくとも6個のグリコカリックスタンパク質の遺伝子、及び表4に下方制御されているものとして記載されている少なくとも2つのタンパク質の遺伝子;並びに
(n)PDGFRAと、PDGFRβ、EGFR、ERBB4、FGFR2、FGFR3、インスリン‐R(Insulin−R)、IGF1R、DTK/TYRO3、MER/MERTK、MSPR/RON、Flt−3、c−rRET、ROR1、ROR2、Tie−1、Tie−2、TrkA/NTRK1、VEGFR3、EphA1、EphA3、EphA4、EphA7、EphB2、EphB4及びEphB6とからなる群から選択される少なくとも6種のタンパク質の遺伝子。
一の実施形態において、本発明の方法は、以下の工程によって増殖抑制効果について試験化合物をスクリーニングする方法を含む:(a)蛍光又は発光によって検出可能である、解離した漿液性カテナ又は漿液性スフェロイド細胞を培養する工程;(b)上記カテナ又はスフェロイドを試験化合物に接触させる工程;(c)対照培養物に対して、当該培養物によって生成される蛍光又は発光を測定することによって、上記カテナ又はスフェロイドの増殖を検出する工程;並びに(d)上記試験化合物が上記カテナ又はスフェロイドの増殖を阻害するか否かを判定する工程。
A.グリコカリックスの標的化
ヒアルロン酸のカテナグリコカリックスは支配的な形態学的特徴である。除去するためにこの特徴を標的化することにおいて、漿液性癌を治療する方法であって、管理し得る病状において癌を維持する工程、その他標準の癌治療(例えば、化学療法又は放射線治療を併用して)の後、又はその間において癌幹細胞を除去する工程、並びに再発又は転移までの期間を延長する工程を含む、上記方法が提供される。
本発明のその他の治療法は、漿液性癌を治療する方法であって、(a)漿液性癌患者に対して抗癌療法計画を実施する工程;(b)上記患者からの試料を用いて定期的に実施した上記セクション5における一以上の方法から得られた結果を再検討する工程;並びに(c)それら方法から提供される情報に応じて、かつ該情報に一致するように治療計画を変更する工程(即ち、患者に存在する漿液性癌幹細胞を監視することによって、医療従事者は、何れの療法計画を当該特定の患者に適用するかについて、十分な情報に基づいて決定し、かつ個別的に決定し得る。)を含む、上記方法を含む。
カテナの遺伝子特性情報に加えて、遺伝子発現解析により、カテナ細胞において機能している分子経路について重要な情報が得られた。この情報に基づいて、表1には、カテナにおいて機能している経路のリスト、並びに漿液性CSC、特に卵巣CSCに対して潜在的に有効な治療剤として、それら経路を標的とする化合物リストが提供されている。下線の引かれた化合物については、カテナに対する有効性が試験されている。
HAS2及びPDGFRAは、Ovcar3カテナにおいて最も高く発現している遺伝子である。カテナでは、HAS2遺伝子がスプライス変異体として生じており、カテナ並びに患者腫瘍試料ではHAS2及びPDGFRA遺伝子において変異が見出されることが、予想外に発見されている。
HAS2スプライス変異体は、固形腫瘍より腹水試料の多くに発現していると見受けられる。臨床的には、腹水を有すると予後不良であるので、変異体発現と臨床転帰との間には相関関係がある。
Ovcar3細胞株(NCI、NCI-60パネルから入手)は、腹膜転移を伴った卵巣腺癌の進行期の患者の腹水に元々由来するものであった [ハミルトン(Hamilton)、1983年]。細胞株は、M5-FCS培地中で維持した。
NSGマウスにOvcar3-GTL細胞を腹腔内移植し、さらに13週間、3日おきにPBSを腹腔内注入すると、腹腔内の腫瘍の成長は、図1に示すように、"平衡状態"に達した。いったん平衡状態に達すると、NSGマウスの腫瘍サイズは何か月も同じレベルで維持された。しかし、この卵巣NSGモデルでは、PBS注入群と比較して、脂質化N3'→P5'ホスホルアミダートオリゴヌクレオチド("オリゴ")を注入した群では、腹膜腫瘍の成長が、より大きい容量の腹水を有し、より迅速かつ広範囲であった(図1)。オリゴは以下の構造と配列を有する13量体である:5'-パルミトイル-TAGGTGTAAGCAA-3'。
卵巣癌患者の腹水が腫瘍細胞を含むことが報告されており[バーディーズ(Bardi鑚)1992;ベッカー(Becker)、1993;フィリポビッチ(Filipovich)、1997;マクヒジャ(Makhija)、1999]、腹腔内に腫瘍のあるNSGマウスから得られる腹水にも腫瘍が含まれることを示唆している。腫瘍細胞の存在を確認するために、実施例1のオリゴ投与群から腫瘍のあるマウスが腫瘍と腹水組成の分析に供された。オリゴ処理されたNSGマウスは腹膜壁に付着した固形腫瘍(大網ケーキ)と出血性腹水を発症した。
腹腔内インビボ継代無しで培養したOvcar3-GTL細胞は、通常、組織培養処理フラスコ内において10%FCSを含む培地の存在下で付着性の上皮単層を形成する。これらの単層は、低付着性プレート上で、無血清培地でさえも浮遊性腫瘍スフェロイドを形成しなかった。
ほとんどのサブコンフルエントカテナの培養液で、浮遊性細胞鎖が含まれていた。しかし、カテナ密度が高い後の段階で、浮遊性スフェロイドが観察された(図6)。スフェロイドはカテナから集合"ロールアップ"過程によって生じ、細胞培養の密集期における栄養素欠乏がカテナ生存のための保護的環境を提供していることを示唆した。
カテナとスフェロイドの両方は、ヒト卵巣上皮細胞株であるOvcar3-GTLのインビボ腹膜継代によって得た。非常に急速な細胞***によるカテナ形成の驚くべき生態が、腫瘍形成におけるカテナの役割の研究を推進するための原動力となった。
カテナ及びスフェロイドにおけるCSCを評価するために、免疫不全マウスにおける腫瘍形成/限界希釈アッセイを実施した。
300,000個のGFP/ルシフェラーゼ標識されたカテナ細胞をNSGマウスに静脈内注射した結果、複数の腫瘍が形成された。生物発光イメージングにより、大腿関節及び腹膜で腫瘍の局在が6週間後に観察された。剖検及び病理組織学検査によって、複数の組織内で腫瘍細胞の存在が確認された。肝臓などのいくつかの組織での浸潤は、通常の臓器機能を妨げるほど重度であった。唾液腺では、検査した組織内には腫瘍細胞は見られなかったが、下顎切歯の一つを囲むように腫瘍が見られた。
実施例7の移植実験により、カテナとスフェロイドは共に、分化した上皮単層に比べて腫瘍開始細胞の濃度が高いことが示された。カテナとスフェロイドの間の形態学的差異が、それぞれが生成する腹腔内腫瘍の組成にどのように反映されているのかを理解するために、Ovcar3-GTLカテナまたは解離スフェロイドのいずれかを注入したマウスから得られた腹水又は固形腫瘍を分析した。カテナを注入したマウスから4週目に採取された腹水が浮遊性スフェロイドを含んでいたのに対して、非解離スフェロイドを注入したマウスから得られた腹水は、4週目での浮遊性スフェロイド含有量が有意に少なかった。カテナまたは非解離スフェロイドのいずれかの注入が大網塊の形成につながる。これらの結果は、カテナ及びスフェロイドが腹腔内での卵巣癌発症の異なる段階を表し、カテナの広範な増殖がスフェロイド形成につながり、それが中皮内層に付着し、固体塊として大網塊に成長することを示唆している。
Ovcar3-GTL単層を用いたインビボ実験によって、上皮性卵巣癌細胞が上皮間葉移行(EMT)を経た後、間葉からカテナへと移行することでカテナ及びスフェロイドが産生されるという仮説が導かれた。Ovcar3上皮細胞単層のインビトロ培養では間葉からカテナへの移行は見られなかった。しかし、インビボ腹膜継代した後は、これらの細胞は、単層であれば間葉からカテナへと移行しないような条件下で培養した場合も、自発的に間葉からカテナへと移行してカテナとスフェロイドの懸濁培養物を生成した。これらの結果は、遺伝的に安定したEMTを経た悪性の間葉系細胞が、間葉からカテナへと移行することが可能であり、したがって、自発的にインビボ腹膜継代も必要とせずにカテナ及びスフェロイドを生成することを示唆している。
間葉からカテナへの移行が起こるまでに、間葉系腫瘍細胞からの懸濁液画分を数回継代する必要があったため、連続継代プロセスが、間葉系単層培養物での自発的なカテナへの移行を防止する想定される阻害因子を除去又は希釈している可能性が示唆された。このような因子(または複数の因子)が存在するのであれば、両種の細胞を同じフラスコ内で培養し、当該細胞が恒常的に上記因子を分泌する共培養系であれば、間葉系腫瘍細胞はカテナを抑制するに違いない。
(MSKCCのロイド・オールド博士(Dr. Lloyd Old)から入手の)SKOV-6及びCAOV-2細胞株は、乳頭漿液性卵巣腺癌患者の腹水に由来し、使用する前にはそれほど継代されていなかった。5〜10回の継代からの凍結細胞を、M5-FCS培地中で解凍して維持した。実施例4に記載したように、SKOV-6およびCAOV-2細胞株の懸濁液画分の連続継代によりカテナを得た。
1. カテナの形成
腫瘍細胞を含む胸膜液、心膜液または腹水からの漿液性癌試料を、転移性癌を有する癌患者から得た。腫瘍細胞は、1200rpmで10分間遠心分離することで採取した。漿液を取り除き-20℃で保存した。採取された腫瘍細胞は、血清含有培地と1:1に混合した同じ患者からの漿液の入った組織培養フラスコに入れた。腫瘍細胞の浮遊鎖はすぐに顕微鏡下で観察された。細胞鎖は、何週間にもわたって懸濁液中に残った。腫瘍細胞は37℃で数週間培養し、毎週、懸濁状態の細胞浮遊鎖は、付着細胞から分離し、同じ組成の漿液と血清含有培地の入った新しいフラスコに再播種した。これらの研究では、原発性漿液性腫瘍試料から得られるこのような浮遊性細胞をわずか100個皮下注射すると、3ヶ月でNSGマウスに腫瘍を形成することができた。これらの細胞は、腹腔内に注射した場合3〜6ヶ月でNSGマウスに腹膜腫瘍を形成し、浮遊性腫瘍鎖や肝転移を含む10ml以下の腹水と、腹膜壁に付着した固形腫瘍を伴う。引き続き行われた異種移植片からの腹水試料のインビトロでの培養において、非付着性の浮遊細胞を特定した。
スフェロイドを生成するために、懸濁液中で生育している原発性漿液性腫瘍試料から得たカテナを、50:1でマトリゲルと混合した血清含有培地に再懸濁し、37℃で培養した。これらの原発性漿液性腫瘍試料から得たカテナは、集合し、約5日で組織立った腫瘍スフェロイドを形成した。培養液には毎週血清を含む培地を添加し、2週間後、腫瘍スフェロイドがカテナを培養液中に放出しているのが観察された。腫瘍スフェロイドはこの細胞培養法によって、インビトロで何週にもわたって維持することができる。
データにより、カテナがクローン的に得られ、多様な細胞種の凝集によって生じたものではないことが示された。カテナは形態や分化状態が均一であり、すなわち、クローン的に純粋なCSCである。細胞鎖の移動と間葉からカテナへの移行が腫瘍の浸潤に関連付けられる一方で、カテナはCSCが急速且つ対称的に拡大するためのメカニズムを提供する。CSCの拡大はスフェロイドのように効率的には起こらず、またスフェロイドはカテナよりも比例して少ないCSCしか含まないため、スフェロイドが構造的にCSCを保護することでCSCが静止期に入れるようにしている可能性を示唆している。
1. 方法
Ovcar3-GTL由来のカテナの自己増殖能について、平底の384ウェルマイクロタイタープレート(コーニング社)において試験した。Ovcar3-GTLカテナの培養物は、機械的または酵素を用いて単一細胞に解離させた。機械的解離については、カテナ培養物を激しくピペッティングし、粘度を減少させるために等量のM5-FCS培地を添加した後、細胞をペレット化した。酵素解離については、カテナ培養物は5 mg/mlのコラゲナーゼIV(インビトロジェン社製)で、37℃で10分間インキュベートした後、遠心分離して細胞をペレット化した。単一細胞の均質な培養物を生産するために、細胞はM5-FCS培地に再懸濁し、それを表示された細胞密度となるようにウェルあたり50μL分注して播種し、試験化合物または他の試薬を添加するまで表示された時間増殖させた。
23種類の試験化合物のOvcar3-GTLカテナに対する結果を表2に示す。表2には、試験化合物を識別する性質、すなわち、試験化合物を播種の1日後に添加した試料(主にグリコカリックスを欠いた細胞)および試験化合物を播種の六日後に添加した試料(定着された又は実質的なグリコカリックスを有する細胞)のμMの単位で測定した50%阻害濃度を記載されている。表の最後の列には、1日目から6日目までに薬物耐性が何倍増加したかが表示している。
顕微鏡下でのカテナ細胞の観察の結果、高濃度の化合物(100μMのトポテカン(topotecan)、25μMのラパマイシン(rapamycin)、50μMのロバスタチン酸(lovastatin acid)、100μMのイソ-オキサゾール-フルデロン(iso-oxazole-fludelone)、100μMのフルデロン(fludelone)、100μMのara-C、100μMの9,10-dEpoB、100μMのパクリタキセル)で処理した培養物で、生きた大きな単一細胞、すなわち、有糸***期で停止した細胞の存在が確認された。これらの細胞を採取して薬物の不在下で培養すると、細胞周期が再び開始された。
カテナ及びスフェロイド培養物は高細胞密度で粘性が増した。継代しないと、カテナ培養物の粘性は増し、コラゲナーゼIVを添加しての長いインキュベーションおよび/または激しい機械的解離の後でさえも、懸濁細胞を採取することは困難であった。これは、カテナやスフェロイド周囲のグリコカリックス被覆の存在が培地の粘性(または粘液性)を生じさせていたことを示唆している。ムチンとヒアルロン酸の有無について細胞と培地を調べた。
1.ヒアルロン酸-コラーゲン低分子量複合体
カテナのグリコカリックスは、相互作用し、安定した複合体を形成する二つの主要な構成要素、すなわち、ヒアルロン酸とコラーゲンを有する。ウェスタンブロット解析によって、抗COL1A2抗体で検出可能なコラーゲンとヒアルロン酸との低分子量複合体(20kDa未満)が確認された。簡単に言うと、カテナ細胞培養物の上清画分を遠心分離によって細胞から分離した。上清をSDS-PAGEゲルで流し、抗COL1A2抗体でブロットした。この複合体はヒアルロニダーゼ処理に感受性であったが、コラゲナーゼ1型、2型または4型を用いての処理では影響を受けなかった。このヒアルロン酸-コラーゲン複合体は、カテナグリコカリックスの形成とグリコカリックスによってカテナ細胞に付与された薬物耐性や転移能に重要である可能性がある。
カテナの細胞外マトリックスを分離し、カテナ細胞のセクレトームのディープ・シーケンシング(deep sequencing)及び質量分析によって実証されたカテナグリコカリックスに存在するタンパク質について分析した。
カテナ細胞をヒアルロニダーゼで解離し、組織培養プレートに付着させ、ヒアルロニダーゼ存在下で7日間培養した。これらの条件下で、細胞は組織培養プレートに付着したままであった。細胞を採取し、ヒアルロニダーゼの存在下および非存在下において、インビトロ・クローン形成能アッセイに供した。並行して、機械的に解離したカテナを、ヒアルロニダーゼの存在下および非存在下において、インビトロ・クローン形成能アッセイに供した。
カテナの周囲のグリコカリックスは、パクリタキセル(paclitaxel)、フルデロン(fludelone)及び9,10-dEpoB等のいくつかの治療剤に対する耐性を付与するが、デグエリン(deguelin)及びボルテゾミブ(bortezomib)などのような他の治療剤への耐性は付与しない(実施例15参照)。ヒアルロン酸及びコラーゲンがカテナグリコカリックスの主要な構成要素であるため、ヒアルロニダーゼおよび/またはコラゲナーゼを用いたカテナ細胞の処理がカテナ細胞の薬物耐性を変化させるか否かについて試験した。
ヒアルロニダーゼ及びコラゲナーゼはインビボでの半減期が短いが、ポリエチレングリコールを付加(PEG、このプロセスをPEG化という)してこれらの酵素を修飾することで、半減期が数分から数時間に延びて酵素の安定性が高まることが分かっている。これらの酵素をPEG化するために、α-メトキシ-ω-カルボン酸スクシンイミジルエステルポリエチレングリコール(PEG 分子量 20,000)(MeO-PEG-NHS)を、100 mgのMeO-PEG-NHSを10 mg/mLのウシ精巣ヒアルロニダーゼ0.5 mL(25000 U / mL)と15mLのPBSと混合することで使用した。混合物は回転子上で、4℃で48時間インキュベートした。コラゲナーゼのPEG化には、ヒアルロニダーゼに代えて10 mg/mLのコラゲナーゼ1(2500 U / mL)を0.5mL用いた。
25個のカテナ細胞を384穴ウェルプレートに播種した。5日後、細胞をPEG化ヒアルロニダーゼ、PEG化コラゲナーゼまたはその両方を用いて37℃で10分間処理した。酵素を除去しないまま、パクリタキセルの希釈系列を添加した後、第9日目にアラマーブルー(alamarBlue)を添加し、その二日後に吸光度を測定した。パクリタキセル単独での50%阻害濃度は、PEG化コラゲナーゼの存在下で変化しなかった。パクリタキセル添加前のPEG化ヒアルロニダーゼによる培養物の処理は、50%阻害濃度を2.5倍減少させ、上記PEG化酵素の組み合わせで処理することにより、パクリタキセルの50%阻害濃度は16倍減少した。この値は、パクリタキセルを細胞播種の1日後にプレートに添加したとき、すなわち、カテナ細胞がグリコカリックスを実質的に欠いていたときに得られる値に匹敵する。
Ovcar3-GTLカテナを機械的解離またはヒアルロニダーゼ処理によって単一細胞に解離させ、基底膜マトリックス(マトリゲル)でコーティングしたプレート上で培養した。類似の培養系をもう一組1mMの4-メチルウンベリフェロン(4-methylumbeliferone;4-MU)及び50μMY27632の存在下で培養した。前者はヒアルロン酸合成酵素2(HAS2)阻害剤であり、後者はRho-ROCK阻害剤である。培養系は4日後に撮像した。
標準方法を用いて電子顕微鏡でカテナのグリコカリックス被覆を可視化する最初の試みは成功しなかった。したがって、走査型電子顕微鏡(SEM)によりカテナ細胞の細胞周囲の構造を可視化するために新しいプロトコルを開発した。
遺伝子発現研究のために、トライゾル(TRIzol(登録商標))試薬(インビトロジェン)を用いてRNAを抽出した。遺伝子発現は、試料当たり3つの生物学的反復試料を用い、アフィメトリクスU133 Plus 2.0アレイ(Affymetrix U133 plus 2.0 array)を用いて決定した。データは、ジーンスプリングGXソフトウェア(Genespring GX Software)(アジレント)を用いて解析した。OVCAR3、Ovcar5及びA2780スフェロイド、カテナ及び単層並びにSV-40不死化正常卵巣上皮単層(NOE、T-80細胞)を解析した。遺伝子アノテーションはwww.ncbi.nlm.nih.gov/遺伝子で見出すことが出来る。
アマゾニア!(Amazonia!)(ル・カルール;Le Carrourら、2010)は、特定の遺伝子の組織発現パターンを決定するために照会することができる、公的に利用可能なヒトトランスクリプトームデータのウェブアトラスを提供している。表5に記載の上方制御されるカテナ遺伝子がこの方法で解析された。それら遺伝子は限定的な組織発現パターンを有することが見出され、その発現の組織又は細胞の種類は表6に記載されている。残りの上方制御されるカテナ遺伝子はアマゾニア!に対して組織限定的な発現パターンを示さなかった(表6において組織又は細胞の種類は何ら示されていない)。ヒト胚性幹細胞(ヒトES細胞)及びヒトにおいて発現していることが見出された、上方制御されるカテナ遺伝子の多くは多能性幹細胞(hIPS細胞)を誘導し、並びに正常成人組織及び細胞種においては発現していなかった(この群において、アマゾニア!データベースは、組織特異的幹細胞を含む)。ヒトES細胞において発現していることが見出された遺伝子は、HAS2、HAPLN1、NTS、及びLOC643401を含む。カテナにおいて下方制御される遺伝子は、胚性幹細胞では発現せず、正常成人組織及び細胞種において幅広い発現パターンを有していた。
336人の進行期卵巣癌患者及び10個の正常卵巣試料の遺伝子発現プロファイルが、癌ゲノムアトラス(The Cancer Genome Atlas)(TCGA;http://tcga.cancer.gov)を介して利用可能であり、表5における上方制御および下方制御されるカテナ遺伝子の発現について解析した。これら遺伝子発現プロファイルは、腫瘍試料から単離されたRNA中のmRNAのマイクロアレイ解析による発現データからを表す。カテナ特異的遺伝子を、次いでTCGAデータベースにおけるこれら腫瘍遺伝子発現プロファイルに対して照会した。
miRNA解析のために、トライゾル(TRIZOL(登録商標))試薬(インビトロジェン)を用いてRNAを抽出した。miRNA発現は、サンガー・ミルベイスリリース9.1(Sanger mirBase release 9.1)(2007年2月)上の全ヒトmiRNA()に対するプローブが含まれているアジレントヒトmicroRNAアレイVl.0(Agilent Human microRNA Array V1.0)を用いることによって決定した。miRNA発現について、試料当たり二つの生物学的反復試料を解析した。データは、ジーンスプリングGXソフトウェア(Genespring GX Software)(アジレント;Agilent)を用いて解析した。
ヒトリン酸化-RTKアレイキット(Human Phospho-RTK Array Kit)(アール・アンド・ディー・システムズ;R&D Systems)を製造元の指示に従って用い、Ovcar3-GTL及びOvcar5-GLのカテナ又は単層において42個の受容体チロシンキナーゼ(receptor tyrosine kinase;RTK)タンパク質のパネルのリン酸化状態を決定した。アッセイでは、ニトロセルロース膜ドットアレイが各RTKの細胞外ドメインに対する捕捉抗体を有し、細胞溶解物をアレイと共にインキュベートし、HRPに結合したパンホスホチロシン(pan-phosphotyrosine)抗体を用いて化学発光により活性化(リン酸化)タンパク質を可視化する。そのために細胞を10%FCSの存在下で生育させた。42個のRTKタンパク質のリストが表9に提供されており、これらのタンパク質の34個についての結果が図23に示されている。
1.FACSサーフェソーム解析
マルチパラメータ・フローサイトメトリーによる評価が、コラゲナーゼIVで解離したOvcar3-GTLカテナ及びスフェロイド、又はトリプシンにより解離した単層を用いて実施された。原発性卵巣癌の腹水試料をディスパーゼ処理により解離し、その後、CD45+磁性ビーズ除去法を用いてリンパ球及び造血細胞を枯渇させた。細胞は、適切な抗体とMACSバッファーとを含む100μLの総容積で染色した。
カテナ特異的細胞表面タンパク質は、実施例22で説明した通りアフィメトリクス・ジーンチップ・ヒトゲノムU133プラス2.0アレイ(Affymetrix GeneChip(登録商標)Human Genome U133 Plus 2.0 Array)を用いた遺伝子アレイ解析によって同定した。選択したCDタンパク質の発現は、Ovcar3カテナ(CSC65%)及びOvcar3上皮単層(CSC1%)について図24に示されている。5〜150倍に情報制御される遺伝子は濃灰色(赤)であり、5〜150倍で下方制御される遺伝子は中間の灰色又は薄灰色(緑)である。
デ・クーニャ(De Cunha)ら、2009年に記載される予測されるヒトサーフェソーム(surfaceome)遺伝子のリストを用い、間葉系及び上皮性卵巣癌単層、卵巣低悪性度(LMP)患者試料、並びに正常卵巣と比較して、カテナ細胞の細胞表面タンパク質の発現を調査した。この解析により、他の細胞種と比較してカテナにおいて差示的に上方制御される、膜貫通ドメインを有する28個の細胞表面タンパク質、並びに他の細胞種と比較してカテナでは差示的に下方制御される細胞表面タンパク質が同定された(表11)。
定義された条件下(すなわち、血清を含まない)においてカテナの培養が可能であることには、血清成分による汚染が全く無く、自己分泌経路の同定、分泌タンパク質の同定、並びにエキソソームの単離及び特性評価を可能にするなど、いくつかの利点がある。
1.細胞分画の単離
カテナ由来の分泌及びエキソソーム画分を準備するために、カテナを、培養がほぼコンフルエントになるまで、5日間、実施例28に記載される通りインスリンを含む無血清培地で増殖させた。すべての遠心分離は、タンパク質の完全性を保持するために4℃で実施した。細胞を300×gで10分間遠心分離することによって除去した。上清画分を、2000×g20分間で、さらに10,000×gで30分間遠心することにより細胞残屑を除去した。この上清を100,000×gで2.5時間、超遠心分離に供試した。カテナから分泌される可溶性タンパク質(即ち、カテナセクレトーム(catena secretome))を含む新しい上清画分を、10kDa分子量カットオフフィルターを通して200倍に濃縮した。超遠心分離から得られたペレットは、PBSで2回洗浄したが、各洗浄の後には同一条件下で別のラウンドの超遠心分離を実施し、さらなる分析のために4°Cに保った。エキソソームは、付着した間葉系単層として、かつ同一の方法を使用して2つの卵巣癌患者腹水試料から増殖させた、Ovcar5及びA2780ヒト卵巣癌細胞株から単離した。
単離されたエキソソームは、ポリ-L-リジンでコートされたスライドにに付着させ、パラホルムアルデヒド及びグルタルアルデヒドで固定し、SEMにより可視化した。エキソソームは、丸く、30〜100nmの直径の構造であった。ヒアルロン酸プロテオグリカン被覆は、実施例21に記載される通りSEMによって可視化された。エキソソームは、グリコカリックス被覆に付着して観察観察され、ヒアルロニダーゼ処理によって放出されるものと思われた。
上記の通り単離されたエキソソームを、2時間、室温で、4μMラテックス・アルデヒド/硫酸塩ビーズ(インビトロジェン社)に吸着した。1 Mグリシンで洗浄を実施することによりビーズ上の非占有の部位への抗体の非特異的結合を防止し、さらに洗浄した後、蛍光色素結合抗体と共にインキュベーとした。FACS解析では、カテナエキソソームは、CD63について陽性であったが、CD45及びCD9について陰性であった。
カテナエキソソームのタンパク質の内容を質量分析によって分析した。エキソソームを標準ゲル電気泳動のための還元サンプルバッファー(インビトロジェン)に再懸濁し、エキソソームタンパク質を4〜12%ポリアクリルアミドゲル電気泳動において電気泳動により分離した。タンパク質は、クーマシーブルー(単にブルー・インビトロジェン;質量分析法に対応した染色)により可視化した。エキソソームタンパク質を含むタンパク質のレーンを15個の断片に切断し、それぞれの断片から抽出したタンパク質とタンパク質の内容とを質量分析によって分析した。
質量分析による分析により、インスリンを含有する無血清タンパク質培地においてカテナ細胞によって分泌された210個のタンパク質を同定した。表14には、カテナセクレトームの質量分析によって同定された、10を超える割り当てられたペプチド配列(>95%の信頼度)を有するタンパク質が列挙されている。2つのその他卵巣間葉癌細胞株(A2780及びOvcar5)のセクレトームも質量分析によって分析した。表15には、遺伝子発現又は質量分析によって決定された、分化した間葉系単層細胞と比較してカテナ細胞で多量に産生されたタンパク質が列挙されている。
膜タンパク質は、非イオン性界面活性剤トリトンX-114を用いた相分配によりカテナ細胞から単離した。カテナ細胞は、実施例28に記載される通り5日間、インスリンを含む無血清タンパク質培地において培養した。細胞は、室温で10分間、1500rpmで遠心分離によってペレット化した。トリトンX-114可溶性膜タンパク質(カテナサーフェソーム)は、相分配技術により細胞用怪物から分離し(ボルディエール(Bordier)、1981)、質量分析に供試した。表16には、カテナ細胞における3を超える割り当てられたペプチド配列(>95%信頼度)をと表16のタンパク質。
実施例22に記載したとおりカテナmRNAを調製し、cDNAに変換し、454ディープ・シーケンシング(454 deep sequencing)とゲノムシークエンサーFLX(Genome Sequencer FLX)システム及びソフトウェアによる分析に製造元の使用説明書に従って供試した。野生型(WT)HAS2配列に対して当該カテナmRNAから読み取られる配列のアライメントは、5 'UTRからエクソン3までをよりカバーする不均質な分布を示した。これらの結果はカテナで発現されるHAS2スプライス変異体の存在を示唆した。
実施例30のPCRプライマーセットを用いたRT-PCR法によって、HAS2の転写物の存在について、Ovcar3単層、Ovcar5単層およびA2780単層から調製したmRNAを分析した。これらの細胞株のいずれにおいても、転写物は野生型でもスプライス変異でも検出されなかった。
平面と立体培養の間の比較(Effects of nIFN ゜ and rIFN on growth and morphology of two human melanoma cell lines: comparison between two- and three-dimensional culture.)インターナショナル・ジャーナル・オブ・キャンサー( Int. J. Cancer, 56: 249-254, 1994.)
Claims (81)
- 漿液性癌幹細胞を製造する方法であって、
(a)哺乳類漿液性上皮腫瘍細胞を、腹腔内腫瘍を生成する量及び条件下で、免疫不全非ヒト哺乳動物の腹腔内に注入する工程;
(b)腹腔内腫瘍を有する非ヒト哺乳動物から腹水を採取する工程;
(c)上記腹水を、漿液性カテナ及び白血球を含む第一の画分と、漿液性スフェロイドを含む第二の画分とに分画する工程;
(d)上記第一の画分から白血球を除去し、カテナ濃縮画分を取得する工程;並びに
(e)付着性の間葉細胞と、漿液性癌幹細胞が濃縮された漿液性カテナ懸濁液とを産生する時間及び条件下で、上記カテナ濃縮画分を培養する工程
を含む、上記方法。 - (f)上記漿液性カテナ懸濁液を採取する工程;
(g)形成され得る漿液性スフェロイドから、上記漿液性カテナを分離する工程;並びに
(h)少なくとも50〜100%の漿液性癌幹細胞を含む浮遊性漿液性カテナの培養物を生成する時間及び条件下で、懸濁液中の上記カテナを連続継代する工程
をさらに含む、請求項1に記載の方法。 - 漿液性癌幹細胞を製造する方法であって、
(a)哺乳類漿液性上皮腫瘍細胞を、腹腔内腫瘍を生成する量及び条件下で、免疫不全非ヒト哺乳動物の腹腔内に注入する工程;
(b)腹腔内腫瘍を有する非ヒト哺乳動物から腹水を採取する工程;
(c)上記腹水を、漿液性カテナ及び白血球を含む第一の腹水画分と、漿液性スフェロイドを含む第二の腹水画分とに分画する工程;
(d)付着性の間葉細胞、及び浮遊性カテナと腫瘍スフェロイドとの懸濁培養物を産生する時間並びに条件下で、上記第二の画分を培養する工程;並びに
(e)上記懸濁培養物を、漿液性癌幹細胞が濃縮された浮遊性カテナを含む第一の培養画分と、漿液性癌幹細胞が濃縮された浮遊性腫瘍スフェロイドを含む第二の培養画分とに分画する工程
を含む、上記方法。 - (f)浮遊性カテナと腫瘍スフェロイドとのさらなる懸濁培養物を産生する時間及び条件下で、上記第二の培養画分を培養する工程;
(g)上記さらなる懸濁培養物を浮遊性カテナ画分と腫瘍スフェロイド画分に分画する工程;並びに
(h)浮遊性腫瘍スフェロイド画分を用いて、少なくとも10〜30%の漿液性癌幹細胞を含む浮遊性腫瘍スフェロイドの懸濁培養物を生成する時間及び条件下で、工程(f)及び工程(g)を繰り返す工程
をさらに含む、請求項3に記載の方法。 - 漿液性カテナを単離する方法であって、
(a)哺乳類漿液性上皮腫瘍細胞を、腹腔内腫瘍を生成する量及び条件下で、免疫不全非ヒト哺乳動物の腹腔内に注入する工程;
(b)腹腔内腫瘍を有する非ヒト哺乳動物から腹水を採取する工程;
(c)上記腹水を、漿液性カテナ及び白血球を含む第一の画分と、漿液性スフェロイドを含む第二の画分とに分画する工程;並びに
(d)上記第一の画分から白血球を除去し、カテナ濃縮画分を取得する工程
を含む、上記方法。 - 漿液性スフェロイドを単離する方法であって、
(a)哺乳類漿液性上皮腫瘍細胞を、腹腔内腫瘍を生成する量及び条件下で、免疫不全非ヒト哺乳動物の腹腔内に注入する工程;
(b)腹腔内腫瘍を有する非ヒト哺乳動物から腹水を採取する工程;
(c)上記腹水を、漿液性カテナ及び白血球を含む第一の画分と、漿液性スフェロイドを含む第二の画分とに分画する工程;並びに
(d)上記漿液性スフェロイドを単離する工程
を含む、上記方法。 - 上記細胞の注入の前後に、又は該注入と同時に、腹腔内腫瘍を生成するのに充分な時間、腹腔内の炎症を誘発する工程をさらに含む、請求項1から6の何れか1項に記載の方法。
- 上記非ヒト哺乳動物がT細胞、B細胞及び/又はナチュラルキラー細胞を欠損したマウスである、請求項1に記載の方法。
- 上記マウスがNOD/SCIDマウス、NSGマウス又はNOGマウスである、請求項8に記載の方法。
- 分画工程が、30〜60μmのフィルターを介して上記腹水をろ過し、上記漿液性カテナ及び白血球を含むフロースルー画分と漿液性スフェロイドを含む保持画分とを取得する工程を含む、請求項1、3、5及び6の何れか1項に記載の方法。
- 漿液が卵巣である、請求項1から10の何れか1項に記載の方法。
- 単離されたクローン的に純粋な漿液性癌幹細胞。
- クローン的に純粋であり、かつ自己複製する漿液性癌幹細胞の集団であって、
該漿液性癌幹細胞の集団は、対称的に***し、かつ浮遊性である細胞鎖を含み、
上記鎖は、約4個から約72個又はそれ以上の細胞を含み、
上記鎖は、ヒアルロン酸を含むグリコカリックスに囲まれており、
上記細胞は、E−カドヘリン陰性であり、漿液性上皮腫瘍細胞と比較して生着能が高く、連続的な再クローニング潜在能を保持し、かつインビトロで少なくとも50%の再クローニング能を示す、
上記漿液性癌幹細胞の集団。 - 上記細胞が卵巣癌幹細胞である、請求項12又は13に記載の漿液性癌幹細胞。
- 漿液性癌幹細胞に対する増殖抑制効果について試験化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)解離した漿液性カテナ細胞、解離した漿液性スフェロイド細胞、及び解離した漿液性癌付着細胞のいずれか一つ以上を培養する工程、但し、上記細胞は蛍光を発し得るか、又は発光し得る;
(b)上記細胞を上記試験化合物に接触させる工程;
(c)当該培養物が発する蛍光又は発光を検出することによって、上記細胞がカテナ、スフェロイド及び付着細胞を増殖させるか否かを検出する工程;並びに
(d)上記試験化合物が上記カテナ、スフェロイド又は付着細胞の増殖を阻害するか否かを判定する工程
を含む、上記方法。 - (e)上記試験化合物がスフェロイド又は付着細胞と比較して上記カテナの増殖を差示的に阻害するか否かを判定する工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
- 漿液性癌幹細胞に対する形態学的効果について試験化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)解離した漿液性カテナ細胞、解離した漿液性スフェロイド細胞、及び解離した漿液性癌付着細胞のいずれか一つ以上を培養する工程、但し、上記細胞は蛍光を発し得るか、又は発光し得る;
(b)上記細胞を上記試験化合物に接触させる工程;
(c)当該培養物が発する蛍光又は発光を検出することによって、上記細胞がカテナ、スフェロイド及び付着細胞を増殖させるか否かを検出する工程;並びに
(d)上記試験化合物が上記カテナ、スフェロイド又は付着細胞の増殖を阻害するか否かを判定する工程
を含む、上記方法。 - (e)上記試験化合物がスフェロイド又は付着細胞と比較して上記カテナの形態を差示的に変化させるか否かを判定する工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
- 増殖抑制効果又は形態学的効果について試験化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)漿液性カテナを解離し、かつ単一細胞の均質な集団を調製する工程;
(b)定着したグリコカリックスの被覆を有するカテナを生成するのに充分な時間及び条件下で、上記細胞を播種し、かつ培養する工程;
(c)未処理培養物がコンフルエントに達することなく増殖するのに充分な時間、上記培養物を少なくとも一つの試験化合物に接触させる工程;並びに
(d)処理された培養物において上記試験化合物が上記カテナの増殖を阻害するか否か、又は該試験化合物が上記カテナの形態を変化させるか否かを判定する工程
を含む、上記方法。 - 播種後約3日、4日、5日、6日又は7日から、上記培養物を上記試験化合物に接触させる、請求項19に記載の方法。
- 工程(b)の後かつ工程(c)の前に、上記カテナのグリコカリックス被覆を除去又は破壊するのに充分な時間、上記カテナのグリコカリックス被覆を除去又は破壊するのに充分な量のヒアルロニダーゼ、コラゲナーゼ又はその両方と共に上記培養物をインキュベートする工程をさらに含む、請求項19又は20に記載の方法。
- 上記インキュベートする工程を37℃かつ約10分間で実施する、請求項21に記載の方法。
- 化合物の増殖への効果の判定は、細胞を染色して又は染色せずに手作業で計数することによって、又は蛍光シグナル若しくは発光シグナルを測定することによって、或いはアラマーブルー(alamarBlue)による染色及び検出によって実施する、請求項19から22の何れか1項に記載の方法。
- 培養は、ハイスループット・スクリーニングを可能にする384ウェルプレート又は1536ウェルプレートにおいて実施される、請求項19から23の何れか1項に記載の方法。
- 増殖抑制効果又は形態学的効果について試験化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)漿液性スフェロイドを解離し、かつ単一細胞の均質な集団を調製する工程;
(b)定着したグリコカリックスの被覆を有する十分な数かつサイズのスフェロイドを生成するのに充分な時間及び条件下で、上記細胞を播種し、かつ培養する工程;
(c)未処理培養物がコンフルエントに達することなく増殖するのに充分な時間、上記培養物を少なくとも一つの試験化合物に接触させる工程;並びに
(d)処理された培養物において上記試験化合物が上記スフェロイドの増殖を阻害するか否か、又は該試験化合物が上記スフェロイドの形態を変化させるか否かを判定する工程
を含む、上記方法。 - 播種後約8日から約14日に上記培養物を上記試験化合物に接触させる、請求項25に記載の方法。
- 工程(b)の後かつ工程(c)の前に、上記スフェロイドのグリコカリックス被覆を除去又は破壊するのに充分な時間、上記スフェロイドのグリコカリックス被覆を除去又は破壊するのに充分な量のヒアルロニダーゼ、コラゲナーゼ又はその両方と共に上記培養物をインキュベートする工程をさらに含む、請求項25又は26に記載の方法。
- 上記インキュベートする工程を37℃かつ約10分間で実施する、請求項27に記載の方法。
- 化合物の増殖への効果の判定は、細胞を染色して若しくは染色せずに手作業で計数することによって、又は蛍光シグナル若しくは発光シグナルを測定することによって実施する、請求項25から28の何れか1項に記載の方法。
- 培養は、ハイスループット・スクリーニングを可能にする384ウェルプレート又は1536ウェルプレートにおいて実施される、請求項25から29の何れか1項に記載の方法。
- 化学療法又は放射線治療を受けている患者において漿液性癌を治療する方法であって、
ヒアルロン酸合成酵素阻害剤、ヒアルロニダーゼ、コラゲナーゼ、又はそれらの組合せを、上記療法若しくは治療を増強するのに、患者の生存期間を改善若しくは延長するのに、又は症状の寛解を引き起こすのに充分な時間及び量で投与する工程を含む、上記方法。 - 患者において漿液性癌を治療する方法であって、
症状の寛解、又は癌の根絶若しくは減少のその他指標を引き起こすのに充分な時間及び量で、
放射線治療と、ヒアルロン酸合成酵素阻害剤、ヒアルロニダーゼ、コラゲナーゼ、又はそれらの組合せとを併用する工程を含む、上記方法。 - 上記ヒアルロン酸合成酵素阻害剤、ヒアルロニダーゼ、及びコラゲナーゼのいずれか一つは、インビボにおいてその半減期を増加させるためにPEG化又はその他の方法により修飾されている、請求項31又は32に記載の方法。
- 患者において癌幹細胞の自己複製又は形成を阻害する方法であって、
患者においてグリコカリックス形成を阻害するか、若しくはCSCのグリコカリックスを分解して上記CSCの自己複製又は形成を阻害するか、或いはCSCの分化を引き起こして該CSCを致死させやすくするか、或いはカテナがスフェロイド形成を経ることを防止するか、或いはそれらの任意の組合せ起こすために充分な時間及び量で、グリコカリックス形成阻害剤又はグリコカリックスを分解する薬剤を上記患者に投与する工程を含む、上記方法。 - 上記阻害剤又は薬剤が、インビボにおいてその半減期を増加させるためにPEG化又はその他の方法により修飾されている、請求項34に記載の方法。
- 哺乳類HAS2スプライス変異体をコードする、単離された核酸。
- HAS2スプライス変異体をコードするmRNA又はcDNA配列を有する、請求項36に記載の核酸。
- 上記核酸が、5’から3’方向に、HAS2遺伝子のエクソン2の全体又は一部、並びにHAS2遺伝子のエクソン3の全体から実質的になる、連続したヌクレオチド配列を含む、請求項37に記載の核酸。
- 上記HAS2スプライス変異体が、ヒトHAS2コード配列の第215位から第552位までのアミノ酸から実質的になる、請求項36に記載の単離された核酸。
- 請求項36から39の何れか1項に記載の核酸を含む、ベクター。
- 請求項40に記載のベクターを含む、細胞。
- 哺乳類HAS2スプライス変異体RNA、又は表17及び18に特定される変異から選択される任意の一以上のHAS2変異の検出に特異的な単離された核酸プローブ。
- HAS2スプライス変異体mRNA又は対応するcDNAによってコードされる、単離された哺乳類HAS2タンパク質。
- 請求項36から39の何れか1項に記載の核酸によってコードされる、単離されたHAS2タンパク質。
- 哺乳類変異HAS2又は哺乳類変異HAS2スプライス変異体をコードする、単離された核酸。
- 請求項45に記載の核酸を含む、ベクター。
- 請求項46に記載のベクターを含む、細胞。
- 被験者において漿液性癌を監視及び/又は病期分類する方法であって、
(a)癌患者から得た腹水からカテナを調製する工程;
(b)上記カテナが一以上のHAS2変異を有するか否か、及び/又は上記カテナが一以上のHAS2スプライス変異体を発現しているか否かを検出する工程;並びに
(c)上記変異及び/又は変異体を、上記患者における癌の存在及び/又は進行と関連付ける工程
を含む、上記方法。 - 患者試料において漿液性癌幹細胞の存在を特定又は監視する方法であって、
(a)患者から細胞試料を取得する工程;
(b)任意に、上記試料の白血球を枯渇させる工程;
(c)上記試料の残りからDNA、RNA又はその両方を調製する工程;並びに
(d)上記DNA、RNA又はその両方がHAS2変異を有するか否か、又は上記DNA、RNA又はその両方がHAS2スプライス変異体を発現しているか否かを検出する工程であって、変異又はスプライス変異の特定は上記試料における漿液性癌幹細胞の存在を示す、上記工程
を含む、上記方法。 - HAS2変異を有するか、又はHAS2スプライス変異体を発現しているDNA、RNA又はその両方の量を定量する工程、並びに
上記量を上記患者における癌の存在及び/又は進行に関連付ける工程
をさらに含む、請求項49に記載の方法。 - 患者試料において漿液性癌幹細胞の存在を特定及び/又は監視する方法であって、
(a)患者から細胞試料を取得する工程;
(b)上記試料の白血球を枯渇させる工程;
(c)一群の検出可能な表面抗原抗体と上記試料を反応させる工程;
(d)上記反応した細胞を単一細胞又は多細胞試料にソーティングする工程;並びに
(e)上記単一細胞又は多細胞試料の何れかが、CD49f、CD90、CD166、PDGFRA及びGM2タンパク質の存在にについて陽性であり、かつCD34、CD133、MUC16及びEPCAMタンパク質の存在について陰性であるか否かを検出する工程であって、上記タンパク質の有無が、上記反応した細胞を、漿液性癌幹細胞を含むものとして特定するか、或いは単一細胞を漿液性癌幹細胞として特定する、上記工程、
を含む、上記方法。 - ソーティングは蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)によって実施される、請求項51に記載の方法。
- 患者試料において漿液性癌幹細胞の存在を特定及び/又は監視する方法であって、
(a)患者から細胞試料を取得する工程;
(b)上記試料の白血球を枯渇させる工程;
(c)上記試料の残りからRNAを抽出する工程;
(d)ヒトmRNAトランスクリプトームの発現レベルについて上記RNAを解析する工程;並びに
(e)HAS2及びPDGFRAが上方制御されており、MUC16及びEPCAMが下方制御されており、かつ表11に記載の少なくとも7つのその他遺伝子が上方制御されている試料として、サーフェソーム関連カテナ遺伝子特性を有する試料を特定する工程であって、それら特性を有することは、上記患者試料が漿液性癌幹細胞を含むことを示す、上記工程
を含む、上記方法。 - 患者試料において漿液性癌幹細胞の存在を特定及び/又は監視する方法であって、
(a)患者の細胞試料から内在性膜タンパク質画分を取得する工程、但し、細胞試料は白血球が任意に枯渇されている;
(b)質量分析法によって上記膜タンパク質画分のタンパク質含有量を分析する工程;並びに
(c)スペクトルデータが表16に記載されている少なくとも40個のタンパク質の存在を示す試料として、サーフェソーム関連のカテナタンパク質特性を有する試料を特定する工程であって、それらタンパク質の存在は、上記患者試料が漿液性癌幹細胞を含むことを示す、上記工程
を含む、上記方法。 - 上記内在性膜タンパク質画分がトリトンX−114を用いた相分配プロセスにより調製される、請求項54に記載の方法。
- 患者試料において漿液性癌幹細胞の存在を特定及び/又は監視する方法であって、
(a)患者から細胞試料を取得する工程;
(b)上記試料の白血球を枯渇させる工程;
(c)上記試料の残りからRNAを抽出する工程;
(d)ヒトmiRNAの発現レベルについて上記RNAを解析する工程;並びに
(e)let−7及び200ファミリーのmiRNAが下方制御されており、hsa−miR−23b及びhsa−miR−27bが下方制御されており、かつ表8に記載の少なくとも4つのその他miRNAが上方制御されている試料として、miRNA関連カテナ特性を有する試料を特定する工程であって、それら特性を有することは、上記患者試料が漿液性癌幹細胞を含むことを示す、上記工程
を含む、上記方法。 - 患者試料において漿液性癌幹細胞の存在を特定及び/又は監視する方法であって、
(a)患者から細胞試料を取得する工程;
(b)上記試料の白血球を枯渇させる工程;
(c)上記試料の残りからRNAを抽出する工程;
(d)ヒトmRNAトランスクリプトームの発現レベルについて上記RNAを解析する工程;並びに
(e)HAS2及びPDGFRAが上方制御されており、かつ表5に記載の少なくとも5つのその他遺伝子が上方制御されている試料として、カテナ遺伝子特性を有する試料を特定する工程であって、それら特性を有することは、上記患者試料が漿液性癌幹細胞を含むことを示す、上記工程
を含む、上記方法。 - 患者試料において漿液性癌幹細胞の存在を特定及び/又は監視する方法であって、
(a)患者から細胞試料を取得する工程;
(b)上記試料の白血球を任意に枯渇させる工程;
(c)上記試料の残りからRNAを抽出する工程;
(d)ヒトmRNAトランスクリプトームの発現レベルについて上記RNAを解析する工程;並びに
(e)表7のリスト1における9つの遺伝子のうち少なくとも6つが上方制御されており、かつ表7のリスト2における遺伝子のうち少なくとも5つが上方制御されている試料として、カテナ・クラスタ規定遺伝子特性を有する試料を特定する工程であって、カテナ・クラスタ規定遺伝子特性を有することは、上記患者試料が漿液性癌幹細胞を含むことを示す、上記工程
を含む、上記方法。 - 被験者において漿液性癌を特定する方法であって、
(a)組織試料において表5に記載の10以上の遺伝子の発現レベルを検出する工程であって、表5に記載の通りの、かつ漿液性間葉系単層細胞内における発現に対する当該遺伝子発現レベルの増加又は減少は、漿液性癌幹細胞の存在を示す、上記工程
を含む、上記方法。 - 患者試料において漿液性癌幹細胞の存在を特定及び/又は監視する方法であって、
(a)患者試料から、単離されたエキソソームを取得する工程;
(b)質量分析法、抗体結合又はその他方法によって上記エキソソームのタンパク質含有量を分析する工程;並びに
(c)スペクトルデータ又はその他データがCD63、COL1A2、及び表13に記載されている少なくとも5つのその他タンパク質の存在を示す試料として、エキソソームのカテナタンパク質特性を有する試料を特定する工程であって、上記タンパク質の存在は、上記患者試料が漿液性癌幹細胞を含むことを示す、上記工程
を含む、上記方法。 - 患者試料において漿液性癌幹細胞の存在を特定及び/又は監視する方法であって、
(a)患者試料から、単離されたエキソソームを取得する工程;
(b)上記エキソソームをCD63、COL1A2及び表13に記載される少なくとも5つのその他タンパク質に特異的な一つ以上の抗体と反応させる工程;並びに
(c)CD63、COL1A2及び表13に記載される少なくとも5つのその他タンパク質の存在が陽性である試料として、エキソソームのカテナタンパク質特性を有する試料を特定する工程であって、上記タンパク質の存在は、患者試料が漿液性癌幹細胞を含むことを示す、上記工程
を含む、上記方法。 - 患者試料において漿液性癌幹細胞の存在を特定及び/又は監視する方法であって、
(a)細胞と、細胞残屑と、エキソソームとが除去された患者試料から上清画分を取得する工程;
(b)質量分析法によって上記上清画分のタンパク質含有量を分析する工程;並びに
(c)スペクトルデータが表15に記載される少なくとも20個のタンパク質の存在を示す試料として、セクレトームのカテナタンパク質特性を有する試料を特定する工程であって、それらタンパク質の存在は、上記患者試料が漿液性癌幹細胞を含むことを示す、上記工程
を含む、上記方法。 - 患者試料において漿液性癌幹細胞の存在を特定及び/又は監視する方法であって、
(a)細胞と、細胞残屑と、エキソソームとが除去された患者試料から上清画分を取得する工程;
(b)質量分析法によって上記上清画分のタンパク質含有量を分析する工程;並びに
(c)スペクトルデータが表4に記載されるグリコカリックスで見出される少なくとも6つのタンパク質の存在、並びにELN、FN1及び表4に記載のカテナで下方制御されている少なくとも2つのタンパク質の非存在を示す試料として、グリコカリックス特性を有する試料を特定する工程であって、それらタンパク質の存在及び非存在は、上記患者試料が漿液性癌幹細胞を含むことを示す、上記工程
を含む、上記方法。 - 患者試料において漿液性癌幹細胞の存在を特定及び/又は監視する方法であって、
(a)患者から、細胞試料、又は細胞試料からの細胞溶解物を取得する工程、但し、該試料の白血球は枯渇されている;
(b)ヒトチロシンキナーゼ受容体に特異的な抗体の一群とパンホスホチロシン抗体とともに上記試料又は上記溶解物をインキュベートする工程;並びに
(c)上記試料または溶解物が、PDGFRAと、PDGFRβ、EGFR、ERBB4、FGFR2、FGFR3、インスリン‐R(Insulin−R)、IGF1R、DTK/TYRO3、MER/MERTK、MSPR/RON、Flt−3、c−rRET、ROR1、ROR2、Tie−1、Tie−2、TrkA/NTRK1、VEGFR3、EphA1、EphA3、EphA4、EphA7、EphB2、EphB4及びEphB6からなる群から選択される少なくとも6個のタンパク質とからなる群から選択される活性化リンタンパク質について陽性であるか否かを検出する工程であって、上記活性化リンタンパク質の検出は、上記患者試料をが漿液性癌幹細胞を含むものとして特定する、上記工程
を含む、上記方法。 - 患者試料において漿液性癌幹細胞の存在を特定及び/又は監視する方法であって、
(a)細胞と、細胞残屑とが除去された患者試料から上清画分を取得する工程;
(b)上記試料を抗COL1A2抗体と反応させる工程;
(c)上記抗体が、ヒアルロン酸とコラーゲンとの20,000ダルトン未満の低分子量複合体と結合するか否かを検出する工程であって、上記複合体の検出は、患者試料が漿液性癌幹細胞を含むことを示す、上記工程
を含む、上記方法。 - 上記試料が哺乳類の漿液、腹水、血液又は腫瘍組織である、請求項49から65の何れか1項に記載の方法。
- 核酸の検出又は発現レベルの決定が、マイクロアレイ解析、RNA若しくはDNAの配列決定法、RT−PCR、又はQ−RT−PCRによって達成される、請求項48、49、50、53、及び56から59の何れか1項に記載の方法。
- 漿液性癌患者において、漿液性癌を検出し、癌治療計画の有効性を監視し、治療のために患者を分類し、薬効を監視し、癌治療計画に対する患者の応答を予測する方法であって、
(a)患者からの試料を用いて、請求項48から67に記載の一以上の方法を定期的に実施する工程;並びに
(b)上記方法から得られた結果を上記患者の状態と関連付けることにより、漿漿液性癌を検出し、癌治療計画の有効性を監視し、治療のために患者を分類し、薬効を監視し、又は癌治療計画に対する患者の応答を予測する工程
を含む、上記方法。 - 漿液性癌を治療する方法であって、
(a)漿液性癌患者に対して抗癌療法計画を実施する工程;
(b)上記患者からの試料を用いて実施した請求項48から67に記載の一以上の方法から得られた結果を定期的に再検討する工程;並びに
(c)上記結果に応じて、かつ該結果に一致するように治療法を変更する工程
を含む、上記方法。 - 転移阻害剤又は転移エフェクターをスクリーニングする方法であって、
(a)カテナ又はカテナ細胞の調製物を免疫不全非ヒト哺乳動物に静脈内注入する工程;
(b)注入の前後又は注入と同時に、上記哺乳動物に一以上の試験化合物を投与する工程;並びに
(c)対照哺乳動物の対照哺乳動物の腫瘍産生及び/又は腫瘍部位に対して、上記哺乳動物における腫瘍産生及び/又は腫瘍部位の経時変化を評価することによって、カテナ細胞の転移を阻害する化合物を特定する工程
を含む、上記方法。 - 腫瘍産生の減少又は腫瘍部位の変化により、上記一以上の試験化合物を転移阻害剤または転移エフェクターとして特定する、請求項70に記載の方法。
- 薬効をスクリーニングするインビトロ方法であって、
(a)カテナ又はカテナ細胞の調製物を免疫不全非ヒト哺乳動物に腹腔内注入する工程;
(b)注入の前後又は注入と同時に、上記哺乳動物に一以上の試験化合物を投与する工程;並びに
(c)
(i)上記哺乳動物における腫瘍産生の経時変化、
(ii)上記哺乳動物における漿液産生の経時変化、
(iii)上記哺乳動物における腫瘍の形態、及び/又は
(iv)上記哺乳動物の腹水における漿液性癌幹細胞の量、及び/又は漿液性癌幹細胞産生の経時変化
を、対照哺乳動物のそれと比較して評価することによって、漿液性癌の治療における薬剤化合物の潜在的若しくは実際の有効性を判定する工程
を含む、上記方法。 - 原発漿液性腫瘍由来のカテナ又は転移性腫瘍細胞からスフェロイドを製造する方法であって、
スフェロイド形成を誘導し、かつスフェロイド培養系を作製するのに充分な量のマトリゲルを含有する第一の血清含有培地で、かつスフェロイド形成を誘導し、かつスフェロイド培養系を作製するのに充分な時間で、上記カテナ又は上記細胞の懸濁液を培養する工程、並びに
追加のマトリゲルを含まない血清含有培地を定期的に上記培養系に添加する工程を含む、上記方法。 - 第一の血清含有培地のマトリゲルに対する比率が50:1であり、かつ上記培養系が毎週添加される、請求項73に記載の方法。
- 漿液からカテナを製造する方法であって、
(a)癌患者から漿液の試料を取得する工程;
(b)上記液から細胞を採取する工程;
(c)無細胞漿液を添加した血清含有培地中で上記細胞を培養する工程;並びに
(d)無細胞漿液を添加した新鮮血清含有培地中に、上記細胞によって産生された懸濁培養液を定期的に継代することによって、カテナを取得する工程
を含む、上記方法。 - 上記漿液は、同一の癌患者から取得されたものであり、かつ1:1の割合で培地を添加される、請求項75に記載の方法。
- 上記細胞が毎週継代される、請求項75又は76に記載の方法。
- (a)CD49f、CD90、CD166、PDGFRA、及びGM2遺伝子;
(b)CD49f、CD90、CD166、PDGFRA、GM2、CD34、CD133、MUC16、及びEPCAM遺伝子;
(c)HAS2、PDGFRA、及び表11に記載の少なくとも10個の上方制御される遺伝子;
(d)HAS2、PDGFRA、MUC16、EPCAM、及び表11に記載の少なくとも10個の上方制御される遺伝子;
(e)表16に記載の少なくとも40個の蛋白質の遺伝子;
(f)let−7及び200のmiRNAファミリー、hsa−miR−23b及びhsa−miR−27b、並びに表8に記載の少なくとも4つのその他miRNA;
(g)HAS2、PDGFRA、及び表5に記載の少なくとも5つのその他遺伝子;
(h)表7のリスト1の9つの遺伝子、及び表7のリスト2の少なくとも5つの遺伝子;
(i)表5からの10以上の遺伝子;
(j)CD63、COL1A2、及び表13に記載のタンパク質の少なくとも5つのその他遺伝子;
(k)表15に記載の少なくとも20個のタンパク質の遺伝子;
(l)表4に記載の少なくとも6個のグリコカリックスタンパク質の遺伝子;
(m)ELN、FN1、表4に記載の少なくとも6個のグリコカリックスタンパク質の遺伝子、及び表4に下方制御されているものとして記載されている少なくとも2つのタンパク質の遺伝子;並びに
(n)PDGFRAと、PDGFRβ、EGFR、ERBB4、FGFR2、FGFR3、インスリン‐R(Insulin−R)、IGF1R、DTK/TYRO3、MER/MERTK、MSPR/RON、Flt−3、c−rRET、ROR1、ROR2、Tie−1、Tie−2、TrkA/NTRK1、VEGFR3、EphA1、EphA3、EphA4、EphA7、EphB2、EphB4及びEphB6とからなる群から選択される少なくとも6種のタンパク質の遺伝子
からなる群から選択される哺乳類遺伝子用のPCRプライマーを含む、PCRプライマーセット。 - 電子顕微鏡法用にグリコカリックス被覆を有する細胞を調製する方法であって、
(a)電子顕微鏡における使用に適合したカチオン性表面上に上記細胞を分注する工程;
(b)上記カチオン性表面上に上記細胞を定着及び付着させる工程;
(c)上記分注した細胞に、固定剤、及び任意に一以上の染色剤を添加し、かつ該細胞及びグリコカリックスを固定し得る時間及び条件下でインキュベートする工程;並びに
(d)上記表面から、上記固定剤、及び使用されている場合は染色剤を洗い流す工程
を含む、上記方法。 - 漿液が卵巣である、上記請求項の何れか1項に記載の方法。
- 哺乳類がヒト、マウス、ブタ、ウシ又はヒツジである、上記請求項の何れか1項に記載の方法、細胞、核酸、ベクター、タンパク質又は遺伝子。
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