JP2013507927A - 改善されたペプチド模倣大環状分子 - Google Patents

改善されたペプチド模倣大環状分子 Download PDF

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Abstract

本発明は、対応するポリペプチドに比べて改善された特性、例えば、プロテアーゼ抵抗性を有する生物学的に活性なペプチド模倣大環状分子を提供する。本発明はさらに、このような大環状分子の調製方法および、例えば、治療適用において使用する方法を提供する。一実施形態において、本発明は、最適化されたプロテアーゼ安定性を有するポリペプチドを調製する方法を提供し、この方法は、(a)架橋剤を含む親ポリペプチドを提供する工程であって、該架橋剤は、前記ポリペプチドの第1のアミノ酸と第2のアミノ酸とを連結している、工程;(b)前記ポリペプチド内のプロテアーゼ切断部位を含む第1のモチーフを特定する工程などを含む。

Description

相互参照
この出願は、2009年10月14日に出願された米国仮出願第61/251,709号(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
発明の背景
ペプチドは、医薬適用において重要になってきている。非改変ペプチドは、代謝安定性が乏しく、細胞透過性が乏しく、コンフォメーションの可撓性に起因して乱雑な(promiscuous)結合を受ける場合が多い。これらの特性を改善するため、研究者らにより、さまざまな方法、例えば、ジスルフィド結合の形成、アミド結合の形成、および炭素−炭素結合の形成によって環状ペプチドおよびペプチド模倣物が生成されている(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7)。これらの方法の制限としては、乏しい代謝安定性(ジスルフィド結合およびアミド結合)、乏しい細胞透過性(ジスルフィド結合およびアミド結合)、ならびに潜在的に毒性の金属の使用(炭素−炭素結合の形成のため)が挙げられる。従って、プロテアーゼ安定性などの改善された生物学的特性を有するペプチドまたはペプチド模倣物の改善された作製方法に対する相当な必要性が存在する。本発明は、これらおよび当該技術分野における他の必要性に取り組むものである。
Jacksonら、J.Am.Chem.Soc.(1991)113:9391〜9392 Phelanら、J.Am.Chem.Soc.(1997)119:455〜460 Taylor、Biopolymers(2002)66:49〜75 Brunelら、Chem.Commun.(2005)(20):2552〜2554 Hiroshigeら、J.Am.Chem.Soc.(1995)117:11590〜11591 Blackwellら、Angew.Chem.Int.(1998)Ed.37:3281〜3284 Schafmeisterら、J.Am.Chem.Soc.(2000)122:5891〜5892
本発明は、対応する架橋ポリペプチドに比べて改善されたプロテアーゼ安定性を有する生物学的に活性なペプチド模倣大環状分子を提供する。
一実施形態において、本発明は、最適化されたプロテアーゼ安定性を有するポリペプチドの調製方法を提供し、この方法は、(a)架橋剤を含む親ポリペプチドを提供する工程であって、該架橋剤は、前記ポリペプチドの第1のアミノ酸と第2のアミノ酸とを連結している、工程;(b)前記ポリペプチド内のプロテアーゼ切断部位を含む第1のモチーフを特定する工程;(c)第1のモチーフを、少なくとも1つのα,α−二置換アミノ酸を含む第2のモチーフと交換し、それにより、改変ポリペプチドを作製する工程;(d)改変ポリペプチドのタンパク質分解安定性を測定する工程;および(e)改変ポリペプチドが親ポリペプチドよりも高いタンパク質分解安定性を有する場合、該改変ポリペプチドを、最適化されたプロテアーゼ安定性を有するポリペプチドとして選択する工程を含む。
別の実施形態では、上記架橋ポリペプチドはBCL−2ファミリーメンバーのα−へリックスドメインを含む。例えば、上記架橋ポリペプチドはBH3ドメインを含む。他の実施形態では、上記架橋ポリペプチドは、表1、2、3および4の任意の配列の少なくとも60%、70%、80%、85%、90%または95%を含む。
さらに他の実施形態では、改善されたプロテアーゼ安定性は、細胞内安定性の増加、細胞外安定性の増加、血中での安定性の増加、口内もしくは消化管内での安定性の増加、肺内での安定性の増加、副鼻腔(nasal sinus)内での安定性の増加、眼内での安定性の増加、または皮膚での安定性の増加をもたらすものである。
他の実施形態では、架橋剤は2個のα−炭素原子を連結している。さらに他の実施形態では、架橋ポリペプチドはα−へリックスを含む。
一実施形態において、第1のモチーフは、前記第1のアミノ酸および前記第2のアミノ酸を連結している架橋剤が架かっている配列の外側に特定される。別の実施形態では、親ポリペプチドは、α−へリックスなどのへリックスを含む。また別の実施形態では、架橋剤は、前記第1のアミノ酸および前記第2のアミノ酸のα−炭素(または側鎖)を連結している。
一実施形態において、架橋剤は、第1のアミノ酸と、アミノ酸3個分離れた第2のアミノ酸とを連結している。例えば、架橋剤は6〜14個の連続した結合、または8〜12個の連続した結合を含む。別の実施形態では、親ポリペプチドは、約18個の原子〜26個の原子の大環状分子を含む。
別の実施形態では、架橋剤は、第1のアミノ酸と、アミノ酸6個分離れた第2のアミノ酸とを連結している。例えば、架橋剤は、8〜16個の連続した結合、または10〜13個の連続した結合を含む。別の実施形態では、親ポリペプチドは、約29個の原子〜37個の原子の大環状分子を含む。
また別の実施形態では、架橋剤がα−へリックスの1ターンから5ターンまでに架かる。例えば、架橋剤は、α−へリックスの1ターンまたは2ターンに架かる。一実施形態において、架橋剤の長さは、α−へリックスのターン1つあたり約5Å〜約9Åである。
種々の実施形態において、親ポリペプチドは、pH7.4で正味正電荷を担持している。他の実施形態では、親ポリペプチドは、ハロゲン、アルキル基、蛍光部分、親和性標識、標的化部分、または放射性同位体の1つ以上を含む。一実施形態において、前記架橋剤によって連結された第1および第2のアミノ酸のうち少なくとも一方はα,α−二置換アミノ酸である。例えば、前記架橋剤によって連結された第1および第2のアミノ酸の両方がα,α−二置換である。
一実施形態において、プロテアーゼは細胞内または細胞外プロテアーゼである。例えば、プロテアーゼは、脊椎動物の血中、口内、消化管内、肺内、副鼻腔内、皮膚または眼内に存在している。別の実施形態では、最適化されたポリペプチドは、治療効果を提供する、および/または細胞内標的に結合する。
本発明はまた、BCL−2ファミリーメンバーの異常な発現または活性と関連している障害を処置または制御する方法を提供し、この方法は、有効量の先の請求項のいずれかに記載のポリペプチドを、それを必要とする被験体に投与することを含む。
また、過剰増殖性疾患または過剰増殖性細胞内のp53とhDM2間の相互作用もしくは結合に媒介される状態を処置または制御する方法も提供され、この方法は、有効量の先の請求項のいずれかに記載のポリペプチドを、それを必要とする被験体に投与することを含む。
別の局面において、本発明は、BCL−2ファミリーメンバーの異常な発現または活性と関連している障害を処置または制御するための、あるいは過剰増殖性疾患または過剰増殖性細胞内のp53とhDM2間の相互作用もしくは結合に媒介される状態を処置または制御するための、医薬の製造における本発明のポリペプチドの使用に関する。
いくつかの実施形態では、前記改変ポリペプチドの第2のモチーフ内に存在するアミノ酸のα−炭素原子は、式R−の部分で置換され、式中、R−は、非置換であるか、またはハロ−で置換される、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルである。一実施形態において、R−はアルキルである。例えば、R−はメチルである。あるいは、R−と架橋剤の任意の部分が一緒になって環状構造を形成し得る。別の実施形態では、架橋剤は、連続する炭素−炭素結合で形成されている。例えば、架橋剤は、少なくとも8、9、10、11または12個の連続した結合を含むものであってもよい。他の実施形態では、架橋剤は、少なくとも7、8、9、10または11個の炭素原子を含むものであってもよい。
他の実施形態では、改変ポリペプチドのプロテアーゼ安定性は、親ポリペプチドに比べて少なくとも2倍改善される。例えば、前記ポリペプチドのプロテアーゼ安定性は少なくとも5倍、10倍、または15倍改善される。
文献の引用
本明細書において言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、各個々の刊行物、特許、または特許出願が、具体的にかつ個々に参照により組み込まれて示されるのと同程度まで、参照により本明細書に援用される。
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲で詳細に説明される。本発明の特徴および利点は、本発明の原理を利用し、図面を伴った例示的な実施形態を説明する、以下の詳細な説明を参照することにより、さらに十分に理解される。
図1は、SP−1ペプチド模倣大環状分子の考えられ得るタンパク質分解産物を示す。 図2は、SP−1ペプチド模倣大環状分子の配列を、それぞれのタンパク質分解産物に対応する番号とともに示す。 図3は、細胞内プロテアーゼカテプシンDで処理した場合の、イオン移動度−MSおよびMS−MS解析によって測定されたSP−1ペプチド模倣大環状分子のタンパク質分解産物を示す。 図4は、細胞内プロテアーゼカテプシンBで処理した場合の、イオン移動度−MSおよびMS−MS解析によって測定されたSP−1ペプチド模倣大環状分子のタンパク質分解産物を示す。 図5は、細胞内プロテアーゼカテプシンLで処理した場合の、イオン移動度−MSおよびMS−MS解析によって測定されたSP−1ペプチド模倣大環状分子のタンパク質分解産物を示す。 図6は、本発明のペプチド模倣大環状分子の細胞内プロテアーゼカテプシンDに対する安定性の増加を示す。 図7は、本発明のペプチド模倣大環状分子の細胞内プロテアーゼカテプシンDに対する安定性の増加を示す。 図8は、本発明のペプチド模倣大環状分子のHeLa細胞アッセイでの安定性の増加を示す。 図9は、ラット胃腸粘膜ペプチダーゼで処理した場合の、イオン移動度−MSおよびMS−MS解析によって測定されたSP−1ペプチド模倣大環状分子のタンパク質分解産物を示す。 図10は、本発明のペプチド模倣大環状分子のラット胃腸粘膜ペプチダーゼに対する安定性の増加を示す。 図11は、本発明のペプチド模倣大環状分子のラット胃腸粘膜ペプチダーゼに対する安定性の増加を示す。 図12は、本発明のペプチド模倣大環状分子のラット胃腸粘膜ペプチダーゼに対する安定性の増加を示す。 図13は、本発明のペプチド模倣大環状分子の腸管プロテアーゼペプシンに対する安定性の増加を示す。 図14は、本発明のペプチド模倣大環状分子の腸管プロテアーゼペプシンに対する安定性の増加を示す。
本明細書において用いる場合、「処置すること」および「処置する」という用語は、症状を緩和すること、原因を一時的もしくは永久的基準のいずれかで解消すること、または症状の出現を抑制もしくは遅滞させることを意味する。「処置」という用語は、任意の状態と関連している症状および障害の緩和、それらの原因の(一時的もしくは永久的)解消、またはそれらの症状および障害の予防を包含する。処置は、症状の発生時の処置だけでなく、症状の事前処置であってもよい。
「標準治療法」という用語は、特定の適応症に対する標準治療の一部である任意の治療的または診断的な方法、化合物または実施を指す。「標準治療」は、特定のタイプの患者、病気または臨床環境に対して医師が従うべき任意の診断もしくは処置のプロセスのために健康管理提供者または国もしくは地域の機関などの任意の当局が確立したものであり得る。種々のタイプの癌に対する例示的な標準治療法は、例えば、米国国立癌研究所(National Cancer Institute)によって示されている。
本明細書において用いる場合、「細胞増殖性障害」という用語は、癌、過剰増殖性障害、腫瘍性障害、免疫増殖性障害などの障害を包含する。「細胞増殖性障害」は、自律的増殖能、すなわち、迅速に増殖する細胞増殖によって特徴付けられる異常な状況または状態を有する細胞に関する。過剰増殖性および腫瘍性疾患の状況は、病的なもの、すなわち、疾患状況を特徴付けているか、もしくは疾患状況を構成するものとして分類してもよいし、または非病的なもの、すなわち、正常な状況から逸脱しているが疾患状況を伴わないものとして分類してもよい。この用語は、組織病理学的タイプまたは侵襲性のステージに関係なく、あらゆるタイプの癌性増殖または腫瘍形成過程、転移性組織または悪性に形質転換した細胞、組織もしくは器官を包含することを意図する。転移性腫瘍は、***、肺、肝臓、結腸および卵巣の起源の腫瘍を含むがこれらに限定されない、複数の原発性腫瘍型から生じる可能性がある。「病的過剰増殖性」細胞は、悪性腫瘍増殖および免疫増殖性疾患によって特徴付けられる疾患状況において発生する。非病的な過剰増殖性細胞の例としては、創傷回復に伴う細胞の増殖が挙げられる。細胞増殖性障害および/または分化性障害の例としては、癌、例えば、癌腫、肉腫、または転移性障害が挙げられる。
細胞系統と関連する癌との関係に関する「〜に由来する」という用語は、細胞系統が、具体的な広い範疇の癌の任意の癌から樹立されたものであり得ることを表す。
本明細書において用いる場合、「大環状分子(macrocycle)」という用語は、少なくとも9個の共有結合された原子によって形成されるリングまたはサイクルを含む化学構造を有する分子を指す。
本明細書において用いる場合、「ペプチド模倣大環状分子(peptidomimetic macrocycle)」、「架橋ポリペプチド」または「係留ペプチド(stapled peptide)」という用語は、同じ分子内の第一の天然に存在するアミノ酸残基、または天然に存在しないアミノ酸残基(またはアナログ)および第二の天然に存在するアミノ酸残基、または天然に存在しないアミノ酸残基(またはアナログ)の間で大環状分子を形成する、複数のペプチド結合および少なくとも1つの大環状分子形成リンカーによって結合された複数のアミノ酸残基を含む化合物を指す。ペプチド模倣大環状分子は、大環状分子形成リンカーが、第一のアミノ酸残基(またはアナログ)のα炭素を第二のアミノ酸残基(またはアナログ)のα炭素に連結する実施形態を含む。ペプチド模倣大環状分子は必要に応じて、1つ以上のアミノ酸残基および/またはアミノ酸アナログ残基の間の1つ以上の非ペプチド結合を含み、そして必要に応じて、1つ以上の天然に存在しないアミノ酸残基またはアミノ酸アナログ残基を、大環状分子を形成する任意のものに加えて、含む。
別段の記載がない限り、本明細書に言及される化合物および構造はまた、1つ以上の同位体として濃縮された原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことを意味する。例えば、水素がジュウテリウムもしくはトリチウムで置換されているか、または炭素原子が13C濃縮炭素もしくは14C濃縮炭素で置換されているか、または炭素原子がケイ素で置換されている、現状の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。本発明の化合物はまた、このような化合物を構成する原子のうちの1つ以上で、不自然な割合の原子の同位体を含んでもよい。例えば、この化合物は、例えば、トリチウム(H)、ヨウ素−125(125I)または炭素−14(14C)などの放射性同位体で放射性標識されてもよい。本発明の化合物の全ての同位体バリエーションは、放射性であろうとなかろうと、本発明の範囲内に包含される。
本明細書において用いる場合、「安定性」という用語は、円二色性、NMR、または別の生物物理学的手段によって測定される、本発明のペプチド模倣大環状分子によって溶液中で規定される二次構造の維持、またはインビトロもしくはインビボにおけるタンパク質分解性の分解に対する抵抗性を指す。本発明において企図される二次構造の非限定的な例は、α−へリックス、β−ターン、およびβ−プリーツシートである。
本明細書において用いる場合、「へリックス(helical)安定性」という用語は、円二色性またはNMRによって測定される、本発明のペプチド模倣大環状分子によるα−へリックス構造の維持を指す。例えば、いくつかの実施形態において、本発明のペプチド模倣大環状分子は、R置換基を欠く対応する大環状分子と比較して、円二色性によって決定されるα−ヘリシティにおいて、少なくとも1.25、1.5、1.75、または2倍の増大を示す。
「α−アミノ酸」または単に「アミノ酸」という用語は、α−炭素と呼ばれる炭素に結合したアミノ基およびカルボキシル基の両方を含有する分子を指す。適切なアミノ酸としては、限定するものではないが、天然に存在するアミノ酸のD−異性体およびL−異性体の両方、ならびに有機合成または他の代謝経路によって調製される天然に存在しないアミノ酸が挙げられる。文脈が具体的に別のことを示さない限り、本明細書において使用されるアミノ酸という用語は、アミノ酸アナログを含むものとする。
「天然に存在するアミノ酸」という用語は、自然界において合成されるペプチドにおいて一般に見つけられ、一文字の略語、A、R、N、C、D、Q、E、G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、Y、およびVによって公知の20個のアミノ酸のうちのいずれか1つを指す。
「アミノ酸アナログ」または「非天然アミノ酸」という用語は、アミノ酸に構造的に類似しており、かつペプチド模倣大環状分子の形成においてアミノ酸の代わりに用いることができる分子を指す。アミノ酸アナログとしては、限定するものではないが、アミノ基とカルボキシル基の間に1つ以上の追加のメチレン基を包含すること(例えばα−アミノβ−カルボキシ酸)を除いて、または同様に反応性の基によってアミノ基もしくはカルボキシ基が置換されること(例えば第二級もしくは第三級アミンでの第一級アミンの置換またはエステルでのカルボキシ基の置換)を除いて、本明細書において規定されるアミノ酸と構造的に同一である化合物が挙げられる。
「非必須」アミノ酸残基は、その必須の生物学的または生化学的活性(例えばレセプター結合または活性化)を消失することも、実質的に改変することもなく、ポリペプチドの野生型配列から改変することができる残基である(例えば、BH3ドメインまたはp53 MDM2結合ドメイン)。「必須」アミノ酸残基とは、ポリペプチドの野生型配列から改変された場合に、結果として、ポリペプチドの必須の生物学的または生化学的活性を消失し、または実質的に消失することになる残基である。
「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、類似した側鎖を有するアミノ酸残基と交換される置換である。類似した側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該分野において規定されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖(例えばK、R、H)、酸性の側鎖(例えば、D、E)、非荷電極性側鎖(例えば、G、N、Q、S、T、Y、C)、非極性側鎖(例えば、A、V、L、I、P、F、M、W)、β分枝側鎖(例えば、T、V、I)、および芳香族側鎖(例えば、Y、F、W、H)を有するアミノ酸が挙げられる。従って、BH3ポリペプチドにおける、予測される非必須アミノ酸残基は、例えば、好ましくは、同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基と交換される。許容できる置換の他の例は、等比体積の(isosteric)考慮(例えば、メチオニンに対するノルロイシン)または他の特性(例えば、フェニルアラニンに対する2−チエニルアラニン)に基づく置換である。
大環状分子または大環状分子形成リンカーと組み合わせて、本明細書において用いられる「メンバー」という用語は、大環状分子を形成し、または大環状分子を形成することができる原子を指し、そして置換基または側鎖の原子を除外する。類推によって、シクロデカン、1,2−ジフルオロ−デカン、および1,3−ジメチルシクロデカンは全て、水素またはフルオロ置換基またはメチル側鎖が大環状分子の形成に参加しないので、10員の大環状分子と考えられる。
記号
は、分子構造の一部として用いられる場合、単結合またはトランスもしくはシス二重結合を指す。
「アミノ酸側鎖」という用語は、アミノ酸におけるα−炭素に結合した部分を指す。例えば、アラニンについてのアミノ酸側鎖は、メチルであり、フェニルアラニンについてのアミノ酸側鎖は、フェニルメチルであり、システインについてのアミノ酸側鎖は、チオメチルであり、アスパルテートについてのアミノ酸側鎖は、カルボキシメチルであり、チロシンについてのアミノ酸側鎖は、4−ヒドロキシフェニルメチルであるなどである。他の天然に存在しないアミノ酸側鎖、例えば、自然界において生じるもの(例えば、アミノ酸代謝物)または合成的に作製されるもの(例えば、α,α二置換アミノ酸)もまた含まれる。
用語「α,α−二置換アミノ」酸という用語は、2つの天然または非天然アミノ酸側鎖に結合した炭素(α−炭素)に結合したアミノ基およびカルボキシル基の両方を含有する分子または部分を指す。
「ポリペプチド」という用語は、共有結合(例えば、アミド結合)によって結合した、2個以上の天然に存在するアミノ酸、または天然に存在しないアミノ酸を包含する。本明細書において記載されるポリペプチドとしては、完全長タンパク質(例えば、完全に処理された(processed)タンパク質)およびより短いアミノ酸配列(例えば、天然に存在するタンパク質の断片または合成ポリペプチド断片)が挙げられる。
本明細書において使用される場合、「大環状分子化試薬(macrocyclization reagent)」または「大環状分子形成試薬」という用語は、2つの反応基の間の反応を媒介することによって、本発明のペプチド模倣大環状分子を調製するために用いられ得る任意の試薬を指す。反応性の基は、例えば、アジドおよびアルキンであってもよく、この場合には、大環状分子化試薬としては、限定するものではないが、CuBr、CuI、またはCuOTfなどの反応性Cu(I)種、ならびにアスコルビン酸またはアスコルビン酸ナトリウムなどの還元剤の添加によってインサイチュにおいて活性Cu(I)試薬に変換することができる、Cu(COCH、CuSO、およびCuClなどのCu(II)塩を提供する試薬などのCu試薬が挙げられる。大環状分子化試薬としては、例えば、CpRuCl(PPh、[CpRuCl]、または反応性Ru(II)種を提供し得る他のRu試薬などの、当該分野において公知のRu試薬をさらに挙げることができる。他の場合において、反応基は、末端のオレフィンである。そのような実施形態において、大環状分子化試薬または大環状分子形成試薬は、第VIII族遷移金属カルベン触媒などの、安定した後遷移金属カルベン錯体触媒を含むが、これらに限定されないメタセシス(metathesis)触媒である。例えば、そのような触媒は、+2酸化状態を有し、16の電子数を有し、かつ五配位のRuおよびOs金属中心である。追加の触媒は、Grubbsら、「Ring Closing Metathesis and Related Processes in Organic Synthesis」Acc.Chem.Res.1995、28、446〜452頁および米国特許第5,811,515号において開示される。さらに他の場合において、反応基は、チオール基である。そのような実施形態において、大環状分子化試薬は、例えば、ハロゲン基などの2つのチオール反応性基で官能化されたリンカーである。
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素またはその基を指す。
「アルキル」という用語は、示された数の炭素原子を含有する、直鎖または分枝鎖である炭化水素鎖を指す。例えば、C〜C10は、基が、その中に1〜10個(両端を含む)の炭素原子を有することを示す。いかなる数の指示もない場合、「アルキル」とは、その中に1〜20個(両端を含む)の炭素原子を有する鎖(直鎖または分枝鎖)である。
「アルキレン」という用語は、二価アルキル(つまり−R−)を指す。
「アルケニル」という用語は、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖である炭化水素鎖を指す。アルケニル部分は、示された数の炭素原子を含有する。例えば、C〜C10は、その基が、その中に2〜10個(両端を含む)の炭素原子を有することを示す。「低級アルケニル」という用語は、C〜Cアルケニル鎖を指す。いかなる数の指示もない場合、「アルケニル」とは、その中に2〜20個(両端を含む)の炭素原子を有する鎖(直鎖または分枝鎖)である。
「アルキニル」という用語は、1つ以上の炭素−炭素三重結合を有する直鎖または分枝鎖である炭化水素鎖を指す。アルキニル部分は、示された数の炭素原子を含有する。例えば、C〜C10は、その基が、その中に2〜10個(両端を含む)の炭素原子を有することを示す。「低級アルキニル」という用語は、C〜Cアルキニル鎖を指す。いかなる数の指示もない場合、「アルキニル」とは、その中に2〜20個(両端を含む)の炭素原子を有する鎖(直鎖または分枝鎖)である。
「アリール」という用語は、6個の炭素の単環式または10個の炭素の二環式芳香族環系を指し、ここで各々の環の0、1、2、3、または4個の原子は、置換基によって置換される。アリール基の例としては、フェニル、ナフチルなどが挙げられる。「アリールアルキル」という用語または「アラルキル」という用語は、アリールで置換されたアルキルを指す。「アリールアルコキシ(arylalkoxy)」という用語は、アリールで置換されたアルコキシを指す。
「アリールアルキル」とは、上記に規定されるアリール基であって、そのアリール基の水素原子のうちの1つが、上記に規定されるC〜Cアルキル基で置き換えられているものを指す。アリールアルキル基の代表的な例としては、限定するものではないが、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2−エチルフェニル、3−エチルフェニル、4−エチルフェニル、2−プロピルフェニル、3−プロピルフェニル、4−プロピルフェニル、2−ブチルフェニル、3−ブチルフェニル、4−ブチルフェニル、2−ペンチルフェニル、3−ペンチルフェニル、4−ペンチルフェニル、2−イソプロピルフェニル、3−イソプロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、2−イソブチルフェニル、3−イソブチルフェニル、4−イソブチルフェニル、2−sec−ブチルフェニル、3−sec−ブチルフェニル、4−sec−ブチルフェニル、2−t−ブチルフェニル、3−t−ブチルフェニル、および4−t−ブチルフェニルが挙げられる。
「アリールアミド」とは、上記に規定されるアリール基であって、そのアリール基の水素原子のうちの1つが、1つ以上の−C(O)NH基で置き換えられているものを指す。アリールアミド基の代表的な例としては、2−C(O)NH2−フェニル、3−C(O)NH−フェニル、4−C(O)NH−フェニル、2−C(O)NH−ピリジル、3−C(O)NH−ピリジル、および4−C(O)NH−ピリジルが挙げられる。
「アルキルヘテロ環」とは、上記に規定されるC〜Cアルキル基であって、そのC〜Cアルキル基の水素原子のうちの1つが、ヘテロ環で置き換えられているものを指す。アルキルヘテロ環基の代表的な例としては、限定するものではないが、−CHCH−モルホリン、−CHCH−ピペリジン、−CHCHCH−モルホリン、および−CHCHCH−イミダゾールが挙げられる。
「アルキルアミド」とは、上記に規定されるC〜Cアルキル基であって、そのC〜Cアルキル基の水素原子のうちの1つが、−C(O)NH基で置き換えられているものを指す。アルキルアミド基の代表的な例としては、限定するものではないが、−CH−C(O)NH、−CHCH−C(O)NH、−CHCHCHC(O)NH、−CHCHCHCHC(O)NH、−CHCHCHCHCHC(O)NH、−CHCH(C(O)NH)CH、−CHCH(C(O)NH)CHCH、−CH(C(O)NH)CHCH、−C(CHCHC(O)NH、−CH−CH−NH−C(O)−CH、−CH−CH−NH−C(O)−CH−CH3、および−CH−CH−NH−C(O)−CH=CHが挙げられる。
「アルカノール」とは、上記に規定されるC〜Cアルキル基であって、そのC〜Cアルキル基の水素原子のうちの1つが、ヒドロキシル基で置き換えられているものを指す。アルカノール基の代表的な例としては、限定するものではないが、−CHOH、−CHCHOH、−CHCHCHOH、−CHCHCHCHOH、−CHCHCHCHCHOH、−CHCH(OH)CH、−CHCH(OH)CHCH、−CH(OH)CH、および−C(CHCHOHが挙げられる。
「アルキルカルボキシ」とは、上記に規定されるC〜Cアルキル基であって、そのC〜Cアルキル基の水素原子のうちの1つが、−−COOH基で置き換えられているものを指す。アルキルカルボキシ基の代表的な例としては、限定するものではないが、−CHCOOH、−CHCHCOOH、−CHCHCHCOOH、−CHCHCHCHCOOH、−CHCH(COOH)CH、−CHCHCHCHCHCOOH、−CHCH(COOH)CHCH、−CH(COOH)CHCH、および−C(CHCHCOOHが挙げられる。
「シクロアルキル」という用語は、本明細書において用いる場合、3〜12個の炭素、好ましくは3〜8個の炭素、およびより好ましくは3〜6個の炭素を有する飽和環式炭化水素基および部分的に不飽和の環式炭化水素基であって、ここでそのシクロアルキル基が、必要に応じてさらに置換されている環式炭化水素基を包含する。いくつかのシクロアルキル基としては、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。
「ヘテロアリール」という用語は、単環式である場合、1〜3個のヘテロ原子、二環式である場合、1〜6個のヘテロ原子、または三環式である場合、1〜9個のヘテロ原子を有する芳香族の5〜8員の単環式、8〜12員の二環式、または11〜14員の三環式環系を指し、このようなヘテロ原子は、O、N、またはSから選択され(例えば、炭素原子と、単環式、二環式、または三環式である場合、それぞれ、1〜3、1〜6、または1〜9個のO、N、またはSのヘテロ原子)、ここで各々の環の0、1、2、3、または4個の原子が、置換基によって置換されている。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フリル、またはフラニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、チオフェニル、またはチエニル、キノリニル、インドリル、チアゾリルなどが挙げられる。
「ヘテロアリールアルキル」という用語または「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘテロアリールで置換されたアルキルを指す。「ヘテロアリールアルコキシ」という用語は、ヘテロアリールで置換されたアルコキシを指す。
「ヘテロアリールアルキル」という用語または「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘテロアリールで置換されたアルキルを指す。「ヘテロアリールアルコキシ」という用語は、ヘテロアリールで置換されたアルコキシを指す。
「ヘテロシクリル」という用語は、単環式である場合、1〜3個のヘテロ原子、二環式である場合、1〜6個のヘテロ原子、または三環式である場合、1〜9個のヘテロ原子を有する非芳香族の5〜8員の単環式、8〜12員の二環式、または11〜14員の三環式環系を指し、このようなヘテロ原子は、O、N、またはSから選択され(例えば、炭素原子と、単環式、二環式、または三環式である場合、それぞれ、1〜3、1〜6、または1〜9個のO、N、またはSのヘテロ原子)、各々の環の0、1、2、または3個の原子は、置換基によって置換される。ヘテロシクリル基の例としては、ピペラジニル、ピロリジニル、ジオキサニル(dioxanyl)、モルホリニル、テトラヒドロフラニルなどが挙げられる。
「置換基」という用語は、任意の分子、化合物、または部分の上の水素原子などの第2の原子または基を交換する基を指す。適切な置換基としては、限定するものではないが、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、オキソ、ニトロ、ハロアルキル、アルキル、アルカリル、アリール、アラルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルコキシカルボニル、アミド、カルボキシ、アルカンスルホニル、アルキルカルボニル、およびシアノ基が挙げられる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心を含有し、従ってラセミ化合物およびラセミ混合物、単一の鏡像異性体、個々のジアステレオマー、ならびにジアステレオマー混合物として存在する。これらの化合物の全てのそのような異性体形態は、別段明確に規定されない限り、本発明に含まれる。いくつかの実施形態において、本発明の化合物はまた、複数の互変異性形態で表され、そのような事例において、本発明は、本明細書において記載される化合物の全ての互変異性形態を含む(例えば、環系のアルキル化が、複数の部位でアルキル化をもたらす場合、本発明は、全てのそのような反応産物を含む)。そのような化合物の全てのそのような異性体形態は、別段明確に規定されない限り、本発明に含まれる。本明細書において記載される化合物の全ての結晶形態は、明確に規定されない限り、本発明に含まれる。
本明細書において用いる場合、「増加」および「減少」という用語は、統計的に有意に(すなわち、p<0.1)、それぞれ、少なくとも5%の増加または減少を引き起こすことを意味する。
本明細書において用いる場合、変数についての数値的な範囲の記述は、本発明が、その範囲内の値のうちのいずれかに等しい変数で実行されてもよいことを伝えるように意図される。従って、本質的に不連続の変数については、変数は、その範囲の終点を含む数値的な範囲内の任意の整数値と等しい。同様に、本質的に連続の変数については、変数は、その範囲の終点を含む数値的な範囲内の任意の実際の値と等しい。例として、限定するものではないが、0および2の間の値を有するとして記載される変数は、その変数が本質的に不連続の場合、値0、1、または2をとり、その変数が本質的に連続の場合、値0.0、0.1、0.01、0.001、または任意の他の実際の値≧0かつ≦2をとる。
本明細書において用いる場合、具体的に別のことを示されない限り、「または(あるいは、もしくは)」という単語は、「いずれか/または」の排他的な意味ではなく、「および/または」の包括的な意味で用いられる。
「平均して」という用語は、各データポイントについての、少なくとも3回の独立した反復の実行に由来する平均値を表す。
「プロテアーゼ安定性」という用語は、本発明の大環状分子の構造的および機能的特性を包含する。プロテアーゼ安定性は、例えば、構造的安定性、α−ヘリシティ、標的に対する親和性、タンパク質分解性の分解に対する抵抗性、細胞透過性、細胞内安定性、インビボ安定性、またはその任意の組合せである。
本発明の1つ以上の特定の実施形態の詳細は、添付の図面および下記の説明において記載される。本発明の他の特徴、目的、および利点は、本明細書本文および図面からならびに本特許請求の範囲から明白となる。
本発明のペプチド模倣大環状分子の設計
特異的または非特異的プロテアーゼ切断部位を含む既知の一次アミノ酸配列を有する任意のタンパク質またはポリペプチドが本発明の主題である。例えば、親ポリペプチドの配列は、該配列をすべての既知のプロテアーゼ切断認識モチーフのデータベースと比較するソフトウェアにより(例えば、Swiss−Protを用いて)解析することができる。あるいは、タンパク質分解部位は、親ポリペプチドを、精製プロテアーゼまたはプロテアーゼを含む生物学的抽出物もしくは組織とインキュベーションした後、得られたタンパク質分解産物をイオン移動度質量分析またはMS/MS配列決定などの手法によって解析することにより決定される。このような試験はまた、ポリペプチドのインビボ投与および得られた切断産物の解析を行なうこともでき、一実施形態では、放射性標識ポリペプチドが使用され得る。このような測定により、適切なアミノ酸が本発明のアミノ酸アナログで置換される。
任意の既知のプロテアーゼ、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト)プロテアーゼが本発明の主題であり得る。種々のプロテアーゼ/ペプチダーゼが、その特異的または非特異的切断部位とともに当該技術分野において知られている。このようなプロテアーゼ(およびその切断特性)としては、例えば、アミノペプチダーゼM(N末端から加水分解);カルパイン1、11、5、9、S1、S2;カルボキシペプチダーゼY(C末端から加水分解);カスパーゼ1、4、5(W/LEHD−X);カスパーゼ2、3、7(DEXD−X);カスパーゼ6、8、9(L/VEXD−X);カテプシンB、D、E、G、K、L、O、S、またはW;シスタチン8、A、B、C、D、E/M、F、S、SA、またはSN;ジペプチジルペプチダーゼ7(DPP7、DPPVII);キモトリプシン(Y−X、F−X、T−X、L−X、M−X、A−X、E−X);エラスターゼ;フリン;HtrA2(HtrAセリンペプチダーゼ2);プラスミン;プラスミノゲン(PLG);PMPCB(ペプチダーゼ(ミトコンドリアプロセッシング)β);プレカリクレイン;トリプシン;第Xa因子(I−E/D−G−R);第XIa、XIIa、IX a因子(R);カリクレイン(R/K);プロテインC(R);トロンビン(P4−P3−P−R/KP1’−P2’−P3/P4疎水性;P1’/P2’非酸性;P2−R/KP1’ P2またはP1’はGである);およびペプシン(F−Z、M−Z、L−Z、W−Z消化(ここで、Zは疎水性残基である)、しかしながら他のものも切断する)が挙げられる。さらなるプロテアーゼおよびその切断特性は、当業者に知られており、例えば、Thornberryら,A combinatorial approach defines specificities of members of the caspase family and granzyme B,Journal of Biological Chemistry 272 17907−17911.Release of proteins and peptides from fusion proteins using a recombinant plant virus proteinase,Parks,T.D.,Keuther,K.K.,Howard,E.D.,Johnston,S.A.および Dougherty,W.G.,Analytical Biochemistry(1994)216 413−417;Life Technologies Ltd;Keil,B.Specificity of proteolysis.Springer−Verlag Berlin−Heidelberg−NewYork,pp.335.(1992);Laszlo Polgar,Mechanisms of Protease Action(1989),CRC Press,Boca Raton;Allen J.Barrett,Neil D.Rawlings,J.F.Woessner,Handbook of Proteolytic Enzymes(2004),Elsevier/Academic Pressに記載されている。
親架橋ポリペプチドの配列内のプロテアーゼ切断部位を含むモチーフが決定された後、得られる改変ポリペプチドのプロテアーゼ安定性を最適化するため、該モチーフを第2のモチーフと交換する。一実施形態では、プロテアーゼ切断部位を含むモチーフを、2−アミノイソ酪酸などまたは本明細書に記載のような少なくとも1つのα,α−二置換アミノ酸を含む第2のモチーフと交換する。他の実施形態では、第1および第2の架橋アミノ酸を含む親ポリペプチド内で、プロテアーゼ切断部位を含むモチーフを、第2の架橋剤によってポリペプチド内の別のアミノ酸に連結された第3のアミノ酸を含むモチーフと交換する。例えば、架橋剤は、第3のアミノ酸を第1または第2のアミノ酸のいずれかに、得られるポリペプチドが、2つの架橋剤によって他の2つのアミノ酸に連結されたアミノ酸を含むように連結するものであり得る(「縫合型(stitched)」ポリペプチド)。あるいは、架橋剤は、第3のアミノ酸を第1または第2のアミノ酸のいずれとも相違する第4のアミノ酸に、得られるポリペプチドが、共通のアミノ酸をもたない2つの架橋剤を含むように連結するものであり得る。
本発明のいくつかの実施形態において、ペプチド配列は、タンパク質のBCL−2ファミリーに由来する。BCL−2ファミリーは、BH1、BH2、BH3、およびBH4と呼ばれる、最大4つまでの保存BCL−2相同性(BH)ドメインの存在によって規定され、これらのすべては、α−へリックスセグメントを含む(Chittendenら(1995),EMBO 14:5589;Wangら(1996),Genes Dev.10:2859)。BCL−2およびBCL−Xなどの抗アポトーシスタンパク質は、すべてのBHドメインにおいて配列保存を示す。プロアポトーシスタンパク質は、BH1、BH2、およびBH3ドメインにおいて相同性を有する「多重ドメイン(multidomain)」ファミリーメンバー(例えばBAK、BAX)、ならびにBH3両親媒性α−へリックスセグメントにおいて排他的に配列相同性を含有する「BH3ドメインのみの」ファミリーメンバー(例えばBID、BAD、BIM、BIK、NOXA、PUMA)に分類される。BCL−2ファミリーメンバーは、ホモ二量体およびヘテロ二量体を形成するための能力を有し、このことは、プロアポトーシスタンパク質と抗アポトーシスタンパク質とのレベルの間の競合的な結合および比率が、死刺激に対する感受性を決定する(dictate)ことを示唆している。抗アポトーシスタンパク質は、プロアポトーシス過剰、つまり過剰なプログラム細胞死から細胞を保護するように機能する。追加の「防衛」手段としては、プロアポトーシスタンパク質の転写を調節すること、および、プロアポトーシスタンパク質を不活性なコンフォーマーとして維持することが挙げられる。死促進(pro−death)機能を活性化するために、タンパク質分解性の活性化、脱リン酸化、またはリガンド誘導性コンホメーション変化のいずれかが必要である。ある種の細胞型において、原形質膜で受け取られた死シグナルは、ミトコンドリア経路を介してアポトーシスを引き起こす。ミトコンドリアは、カスパーゼ9を活性化する、細胞質ゾル複合体の重要な成分であるシトクロムcを隔離することにより、細胞死の門番(gatekeeper)としての役割を担うことができ、これによって下流における致死的なタンパク質分解事象が生じる。BCL−2/BCL−XおよびBAK/BAXなどの多重ドメインタンパク質は、ミトコンドリア膜で保護者および実行者といった対立する(dueling)役割を果たし、それらの活性は、BCL−2ファミリーの上流のBH3のみのメンバーによってさらに調節される。例えば、BIDは、プロアポトーシスのタンパク質のBH3ドメインのみのファミリーのメンバーであり、原形質膜で受け取られる死シグナルを、ミトコンドリア膜のエフェクタープロアポトーシスタンパク質に伝達する。BIDは、プロアポトーシスタンパク質および抗アポトーシスタンパク質の両方と相互作用する能力を有し、カスパーゼ8による活性化に際して、シトクロムc放出およびミトコンドリアのアポトーシスを引き起こす。欠失および変異誘発の研究により、プロアポトーシスファミリーメンバーの両親媒性α−へリックスBH3セグメントが、死ドメインとして機能する場合があり、従って、多重ドメインアポトーシスタンパク質と相互作用するための重要な構造的モチーフに相当する(represent)場合があることが確認された。構造的研究によって、BH3へリックスが、BH1、2、および3のドメインのインターフェースにより形成される疎水性の溝の中に挿入することによって、抗アポトーシスタンパク質と相互作用することができることが示された。活性化BIDは、抗アポトーシスタンパク質(例えばBCL−2およびBCL−X)によって結合され、それらによって隔離され、そして、プロアポトーシスタンパク質BAXおよびBAKの活性化を引き起こすことができ、シトクロムc放出およびミトコンドリアアポトーシスプログラムをもたらす。BADもまた、その発現がBAX/BAKの活性化を引き起こすBH3ドメインのみのプロアポトーシスファミリーメンバーである。しかしながら、BIDとは対照的に、BADは、抗アポトーシスファミリーメンバーBCL−2およびBCL−Xに対して優先的な結合を示す。BAD BH3ドメインは、BCL−2に対して高い親和性結合を示すが、BAD BH3ペプチドは、ミトコンドリアからのシトクロムc放出をインビトロにおいて活性化することができず、このことは、BADが、BAX/BAKの直接の活性化因子ではないことを示唆している。BCL−2を過剰発現するミトコンドリアは、BID誘導性シトクロムc放出に対して抵抗性であるが、BADを用いる同時処理は、BID感度を回復することができる。BADによるミトコンドリアアポトーシスの誘発は:(1)BCL−2/BCL−XL結合ポケットからの、BIDおよびBID様タンパク質などのBAX/BAK活性化因子の置き換えまたは(2)抗アポトーシスタンパク質によるBID様タンパク質の隔離を予防するための、BADによる、BCL−2/BCL−XL結合ポケットの選択的な占有、のいずれかに起因するようにみえる。従って、2つのクラスのBH3ドメインのみのタンパク質、すなわち、ミトコンドリアアポトーシスを直接活性化するBID様タンパク質、および、多重ドメイン抗アポトーシスタンパク質の結合ポケットを占有することによって、BID様プロアポトーシスに対する感受性をミトコンドリアに与えるための能力を有するBAD様タンパク質の2つが、明らかになっている。本明細書において開示される方法論に改めることのできるBCL−2ファミリーメンバータンパク質の種々のα−へリックスドメインは開示されている(Walenskyら(2004),Science 305:1466;およびWalenskyら、米国特許出願公開第2005/0250680号、これらの全開示は、参照により本明細書に組み込まれる)。
他の実施形態では、ペプチド配列は癌遺伝子タンパク質MDM2に結合する腫瘍サプレッサーp53タンパク質に由来する。MDM2結合部位は、α−へリックスを形成するp53腫瘍サプレッサーの領域内に位置する。米国特許第7,083,983号(その内容全体が参照によって本明細書に援用される)では、Laneらが、MDM2に対する結合を担うp53の領域が、成熟ヒトP53タンパク質のアミノ酸13〜31(PLSQETFSDLWKLLPENNV)によってほぼ示されることを開示する。Laneによって開示される他の改変された配列も本発明で意図される。さらに、p53およびMDM2の相互作用は、Shairら、(1997),Chem.&Biol.4:791(その内容全体が参照によって本明細書に援用される)によって考察されており、かつp53遺伝子における変異は、全ての報告された癌症例の実質半分で特定されている。細胞にストレスが課されるので、p53は、細胞周期停止およびDNA修復、またはプログラミングされた細胞死のいずれかをもたらす応答を組織化すると考えられる。p53タンパク質の機能を直接変更するp53遺伝子の変異と同様、p53は、MDM2における変化によっても変更され得る。MDM2タンパク質は、p53に結合して、p53のトランス活性化ドメインと結合する(associating)ことによって転写活性化を破壊することが示されている。例えば、p53のトランス活性化ドメイン由来の11アミノ酸のペプチドは、MDM2の割れ目に挿入する2.5ターンの両親媒性α−へリックスを形成する。従って、いくつかの実施形態では、本発明の方法によって生成される新規なα−へリックス構造を操作して、へリックスアクセプターに緊密に結合し、かつ天然のタンパク質−タンパク質相互作用を破壊する構造を生成する。次いで、これらの構造を、ハイスループットの技術を用いてスクリーニングして、最適な低分子ペプチドを特定する。MDM2相互作用を破壊するこの新規な構造は、多くの適用に有用であり、この適用としては限定するものではないが、軟部組織の肉腫(野性型p53の存在下でMDM2を過剰発現する)の制御が挙げられる。次いで、これらの癌は、いくつかの実施形態では、MDM2を遮断する低分子を用いて防止され、それによってp53の抑制が防止される。さらに、いくつかの実施形態では、MDM2−p53相互作用の低分子破壊因子(disrupter)は、従来の化学療法でp53依存性アポトーシス応答の程度を制御および調節することを補助するアジュバント療法として用いられる。
本発明での使用のための適切なペプチド配列の非限定的な例示のリストを下記に示す:
表1は、BH3結合部位を標的とし、癌、自己免疫障害、代謝性疾患および他のヒト疾患状態に関係するヒト配列を挙げている。
表2は、BH3結合部位を標的とし、癌、自己免疫障害、代謝性疾患および他のヒト疾患状態に関係するヒト配列を挙げている。
表3は、MDM2/Xのp53結合部位を標的とし、癌に関係するヒト配列を挙げている。
表4は、ヒトGタンパク質共役レセプターを標的とし、かつ多くのヒト疾患状態に関係する配列を挙げている(Tyndallら(2005)、Chem.Rev.105:793〜826)。
本発明のペプチド模倣大環状分子
いくつかの実施形態において、本発明のペプチド模倣大環状分子は、式(I):
を有し、
式中:
A、C、D、およびEはそれぞれ独立して、天然または非天然のアミノ酸であり;
Bは、天然もしくは非天然アミノ酸、アミノ酸アナログ、
、[−NH−L−CO−]、[−NH−L−SO−]、または[−NH−L−]であり;
およびRは独立して、非置換であるかもしくはハロ−で置換される、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
は、必要に応じてRで置換される、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリールであり;
Lは、式−L−L−の大環状分子形成リンカーであり;
およびLは独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアリーレン、ヘテロシクロアリーレン、または[−R−K−R−]であり、それぞれ、必要に応じてRで置換され;
はそれぞれ、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンであり;
Kはそれぞれ、O、S、SO、SO、CO、CO、またはCONRであり;
はそれぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、−OR、−N(R、−SR、−SOR、−SO、−CO、蛍光性部分、放射性同位体、または治療剤であり;
はそれぞれ独立して、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、蛍光性部分、放射性同位体、または治療剤であり;
は、必要に応じてRで置換される、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアリール、もしくはヘテロシクロアリール、またはD残基を有する環状構造の一部であり;
は、必要に応じてRで置換される、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアリール、もしくはヘテロシクロアリール、またはE残基を有する環状構造の一部であり;
vおよびwの各々は独立して1〜1000の整数であり;
x、yおよびzの各々は独立して0〜10の整数であり;uは1〜10の整数であり;かつ
nは1〜5の整数である。
一例において、RおよびRの少なくとも1つは、非置換であるかまたはハロ−で置換されるアルキルである。別の例において、RおよびRの両方は、独立して、非置換であるかまたはハロ−で置換されるアルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRの少なくとも1つは、メチルである。他の実施形態において、RおよびRは、メチルである。さらに他の実施形態では、RまたはRのうち少なくとも一方が、式−L−L−のさらなる大環状分子リンカーである。例えば、本発明の大環状分子は少なくとも2つの架橋剤を含み、式Iに示すRまたはRが、ペプチド模倣大環状分子内の第3のアミノ酸に連結された架橋剤である。
本発明のいくつかの実施形態において、x+y+zは、少なくとも3である。本発明の他の実施形態において、x+y+zは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。本発明の大環状分子または大環状分子前駆体における、A、B、C、D、またはEの各出現(occurrence)は、独立して選択される。例えば、式[A]によって表される配列は、xが3である場合、アミノ酸が同一でない、例えばGln−Asp−Alaである実施形態、および、アミノ酸が同一である、例えばGln−Gln−Glnである実施形態を包含する。これは、示される範囲におけるx、y、またはzの任意の値に適用される。
いくつかの実施形態において、本発明のペプチド模倣大環状分子は、α−へリックスである二次構造を含み、Rは、−Hであり、へリックス内水素結合を可能にする。いくつかの実施形態において、A、B、C、D、またはEの少なくとも1つは、α,α−二置換アミノ酸である。一例において、Bは、α,α−二置換アミノ酸である。例えば、A、B、C、D、またはEの少なくとも1つは、2−アミノイソ酪酸である。他の実施形態において、A、B、C、D、またはEの少なくとも1つは、
である。
他の実施形態において、第1のCαから第2のCαまで測定される大環状分子形成リンカーLの長さは、第1のCαから第2のCαまでの間のものを含むが、必ずしもこれらに限定されない、上記ペプチド模倣大環状分子の残基によって形成されるα−へリックスなどの所望の二次ペプチド構造を安定させるために選択される。
一実施形態において、式(I)のペプチド模倣大環状分子は:
である。
ここで、RおよびRは各々独立して、独立して、非置換であるかもしくはハロ−で置換される、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、もしくはヘテロシクロアルキルである。
関連する実施形態において、式(I)のペプチド模倣大環状分子は:
である。
いくつかの実施形態では、ペプチド模倣大環状分子は、式:
を有しており、
式中、
A、A’、C、C’、DおよびEはそれぞれ独立して、天然または非天然アミノ酸であり;
BおよびB’はそれぞれ独立して、天然または非天然アミノ酸、アミノ酸アナログ、
、[−NH−L−CO−]、[−NH−L−SO−]、または[−NH−L−]であり;
およびRは独立して、非置換であるか、またはハロ−で置換される、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルであり;
は、必要に応じてRで置換される、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリールであり;
LおよびL’はそれぞれ独立して、式−L−L−の大環状分子形成リンカーであり;
およびLは独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアリーレン、ヘテロシクロアリーレン、または[−R−K−R−]であり、それぞれ、必要に応じてRで置換され;
はそれぞれ、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンであり;
Kはそれぞれ、O、S、SO、SO、CO、CO、またはCONRであり;
はそれぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、−OR、−N(R、−SR、−SOR、−SO、−CO、蛍光部分、放射性同位体または治療剤であり;
はそれぞれ独立して、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、蛍光部分、放射性同位体または治療剤であり;
は、必要に応じてRで置換される、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアリール、もしくはヘテロシクロアリール、またはD残基を有する環状構造の一部であり;
およびR’はそれぞれ、必要に応じてRで置換される、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアリール、もしくはヘテロシクロアリール、またはE残基を有する環状構造の一部であり;
vおよびwはそれぞれ独立して1〜1000の整数であり;
x、yおよびzはそれぞれ独立して0〜10の整数であり;uは1〜10の整数であり;かつ
nは1〜5の整数である。
他の実施形態において、本発明のペプチド模倣大環状分子は、以下:
に示される式のいずれかの化合物であり、
式中、「AA」は、任意の天然または非天然アミノ酸側鎖を表し、かつ
は、上記で定義した[D]、[E]であり、nは、0および20、50、100、200、300、400、または500の間の整数である。いくつかの実施形態において、nは、0である。他の実施形態において、nは、50未満である。
大環状分子形成リンカーLの例示的な実施形態は、下記に示される。
本発明のペプチド模倣大環状分子の例示的な実施形態を以下に示す:
本発明のペプチド模倣大環状分子の他の実施形態としては、上記に示した大環状分子のアナログが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本発明のペプチド模倣大環状分子は、式(II):
を有しており、
式中:
A、C、DおよびEはそれぞれ独立して、天然または非天然のアミノ酸であり;
Bは、天然もしくは非天然のアミノ酸、アミノ酸アナログ、
、[−NH−L−CO−]、[−NH−L−SO−]、または[−NH−L−]であり;
およびRは独立して、非置換であるかもしくはハロ−で置換される、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
は、必要に応じてRで置換される、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリールであり;
Lは、式
の大環状分子形成リンカーであり;
、L、およびLは独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアリーレン、ヘテロシクロアリーレン、または[−R−K−R−]であり、それぞれ、必要に応じてRで置換され;
はそれぞれ、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンであり;
Kはそれぞれ、O、S、SO、SO、CO、CO、またはCONRであり;
はそれぞれ、独立して、ハロゲン、アルキル、−OR、−N(R、−SR、−SOR、−SO、−CO、蛍光性部分、放射性同位体、または治療剤であり;
はそれぞれ、独立して、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、蛍光性部分、放射性同位体、または治療剤であり;
は、必要に応じてRで置換される、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアリール、もしくはヘテロシクロアリール、またはD残基を有する環状構造の一部であり;
は、必要に応じてRで置換される、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアリール、もしくはヘテロシクロアリールまたはE残基を有する環状構造の一部であり;
vおよびwの各々は独立して1〜1000の整数であり;
x、yおよびzの各々は独立して0〜10の整数であり;uは1〜10の整数であり;かつ
nは1〜5の整数である。
一例では、RおよびRの少なくとも1つは、非置換であるかまたはハロ−で置換されるアルキルである。別の例において、RおよびRの両方とも、独立して、非置換であるかまたはハロ−で置換されるアルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRの少なくとも1つは、メチルである。他の実施形態において、RおよびRは、メチルである。
本発明のいくつかの実施形態において、x+y+zは、少なくとも3である。本発明の他の実施形態において、x+y+zは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。本発明の大環状分子または大環状分子前駆体における、A、B、C、D、またはEの各出現は、独立して選択される。例えば、式[A]によって表される配列は、xが3である場合、アミノ酸が同一でない、例えばGln−Asp−Alaである実施形態、および、アミノ酸が同一である、例えばGln−Gln−Glnである実施形態を包含する。これは、示される範囲におけるx、y、またはzの任意の値に適用される。
いくつかの実施形態において、本発明のペプチド模倣大環状分子は、α−へリックスである二次構造を含み、Rは、−Hであり、これによってへリックス内水素結合が可能になる。いくつかの実施形態において、A、B、C、D、またはEの少なくとも1つは、α,α−二置換アミノ酸である。一例において、Bは、α,α−二置換アミノ酸である。例えば、A、B、C、D、またはEの少なくとも1つは、2−アミノイソ酪酸である。他の実施形態において、A、B、C、D、またはEの少なくとも1つは、
である。
他の実施形態において、第1のCαから第2のCαまで測定される大環状分子形成リンカーLの長さは、第1のCαから第2のCαまでの間のものを含むが、必ずしもこれらに限定されない、上記ペプチド模倣大環状分子の残基によって形成されるα−へリックスなどの所望の二次ペプチド構造を安定させるために選択される。
大環状分子形成リンカーLの例示的な実施形態は、下記に示される。
他の実施形態において、本発明は、式(III)のペプチド模倣大環状分子:
を提供し、
式中:
A、C、D、およびEはそれぞれ独立して、天然または非天然アミノ酸であり;
Bは、天然もしくは非天然アミノ酸、アミノ酸アナログ、
、[−NH−L−CO−]、[−NH−L−SO−]、または[−NH−L−]であり;
およびRは独立して、非置換であるかもしくはハロ−で置換される、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
は、非置換であるかもしくはRで置換される、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリールであり;
、L、L、およびLは、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアリーレン、ヘテロシクロアリーレン、または[−R−K−R−]であって、それぞれ、非置換であるかまたはRで置換され;
Kは、O、S、SO、SO、CO、CO、またはCONRであり;
はそれぞれ、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンであり;
はそれぞれ、独立して、ハロゲン、アルキル、−OR、−N(R、−SR、−SOR、−SO、−CO、蛍光性部分、放射性同位体、または治療剤であり;
はそれぞれ、独立して、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、蛍光性部分、放射性同位体、または治療剤であり;
は、非置換であるかもしくはRで置換される、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアリール、もしくはヘテロシクロアリールまたはD残基を有する環状構造の一部であり;
は、非置換であるかもしくはRで置換される、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアリール、もしくはヘテロシクロアリールまたはE残基を有する環状構造の一部であり;
vおよびwの各々は独立して1〜1000の整数であり;
x、yおよびzの各々は独立して0〜10の整数であり;uは1〜10の整数であり;かつ
nは1〜5の整数である。
一例において、RおよびRの少なくとも1つは、非置換であるかまたはハロ−で置換されるアルキルである。別の例において、RおよびRの両方は、独立して、非置換であるかまたはハロ−で置換されるアルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRの少なくとも1つは、メチルである。他の実施形態において、RおよびRは、メチルである。
本発明のいくつかの実施形態において、x+y+zは、少なくとも3である。本発明の他の実施形態において、x+y+zは、3、4、5、6、7、8、9、または10である。本発明の大環状分子または大環状分子前駆体における、A、B、C、D、またはEの各々の出現は、独立して選択される。例えば、式[A]によって表される配列は、xが3である場合、アミノ酸が同一でない、例えばGln−Asp−Alaである実施形態、および、アミノ酸が同一である、例えばGln−Gln−Glnである実施形態を包含する。これは、示される範囲におけるx、y、またはzの任意の値に適用される。
いくつかの実施形態において、本発明のペプチド模倣大環状分子は、α−へリックスである二次構造を含み、Rは、−Hであり、これによってへリックス内水素結合が可能になる。いくつかの実施形態において、A、B、C、D、またはEの少なくとも1つは、α,α−二置換アミノ酸である。一例において、Bは、α,α−二置換アミノ酸である。例えば、A、B、C、D、またはEの少なくとも1つは、2−アミノイソ酪酸である。他の実施形態において、A、B、C、D、またはEの少なくとも1つは、
である。
他の実施形態において、第1のCαから第2のCαまで測定される大環状分子形成リンカー[−L−S−L−S−L−]の長さは、第1のCαから第2のCαまでの間のものを含むが、必ずしもこれらに限定されない、上記ペプチド模倣大環状分子の残基によって形成されるα−へリックスなどの所望の二次ペプチド構造を安定させるために選択される。
大環状分子または大環状分子前駆体は、例えば液相法または固相法によって合成され、天然に存在するアミノ酸および天然に存在しないアミノ酸の両方を含むことができる。例えばChemistry and Biochemistry of the Amino Acids、G.C.Barrett編、Chapman and Hall、1985の中のHunt、「The Non−Protein Amino Acids」を参照のこと。いくつかの実施形態では、チオール部分は、アミノ酸残基L−システイン、D−システイン、α−メチル−Lシステイン、α−メチル−D−システイン、L−ホモシステイン、D−ホモシステイン、α−メチル−L−ホモシステイン、またはα−メチル−D−ホモシステインの側鎖である。ビスアルキル化試薬は、一般式X−L−Yで表されるものであり、式中、Lは、リンカー部分であり、XおよびYは、Lとの結合を形成するために−SH部分によって置き換えられる脱離基である。いくつかの実施形態において、XおよびYは、I、Br、またはClなどのハロゲンである。
他の実施形態において、式I、II、またはIIIの化合物におけるDおよび/またはEは、細胞の取り込みを促進するためにさらに改変される。いくつかの実施形態において、ペプチド模倣大環状分子の脂質付加(lipidating)またはペグ化(PEGylating)は、細胞の取り込みを促進し、バイオアベイラビリティを増大させ、血液循環を増加させ、薬物動態を改変し、免疫原性を低下させ、および/または必要とされる投与の頻度を減少させる。
他の実施形態において、式I、II、またはIIIの化合物における、[D]および[E]の少なくとも1つは、上記ペプチド模倣大環状分子が、少なくとも2つの大環状分子形成リンカーを含むような、追加の大環状分子形成リンカーを含む部分を表す。特定の実施形態において、ペプチド模倣大環状分子は、2つの大環状分子形成リンカーを含む。
本発明のペプチド模倣大環状分子では、本明細書に記載されている任意の大環状分子形成リンカーは、表1〜4に示される任意の配列との任意の組み合わせで、および本明細書において示される任意のR−置換基との任意の組合せでも、用いられてもよい。
いくつかの実施形態において、上記ペプチド模倣大環状分子は、少なくとも1つのα−へリックスモチーフを含む。例えば、式I、II、またはIIIの化合物におけるA、B、および/またはCは、1つ以上のα−へリックスを含む。一般的な問題として、α−へリックスは、1ターンあたり3〜4個のアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態において、上記ペプチド模倣大環状分子のα−へリックスは、1〜5個のターン、および従って3〜20個のアミノ酸残基を含む。特定の実施形態において、α−へリックスは、1個のターン、2個のターン、3個のターン、4個のターン、または5個のターンを含む。いくつかの実施形態において、大環状分子形成リンカーは、上記ペプチド模倣大環状分子内に含まれるα−へリックスモチーフを安定化させる。従って、いくつかの実施形態において、第1のCαから第2のCαまでの大環状分子形成リンカーLの長さは、α−へリックスの安定性を増加させるために選択される。いくつかの実施形態において、大環状分子形成リンカーは、α−へリックスの1ターン〜5ターンまでの間に架かる(span)。いくつかの実施形態において、大環状分子形成リンカーは、α−へリックスの約1ターン、2ターン、3ターン、4ターン、または5ターンに架かる。いくつかの実施形態において、大環状分子形成リンカーの長さは、α−へリックスの1ターンあたり約5Å〜9Åまたはα−へリックスの1ターンあたり約6Å〜8Åである。大環状分子形成リンカーが、α−へリックスの約1ターンに架かる場合、その長さは、約5個の炭素−炭素結合〜13個の炭素−炭素結合、約7個の炭素−炭素結合〜11個の炭素−炭素結合、または約9個の炭素−炭素結合に等しい。大環状分子形成リンカーが、α−へリックスの約2ターンに架かる場合、その長さは、約8個の炭素−炭素結合〜16個の炭素−炭素結合、約10個の炭素−炭素結合〜14個の炭素−炭素結合、または約12個の炭素−炭素結合に等しい。大環状分子形成リンカーが、α−へリックスの約3ターンに架かる場合、その長さは、約14個の炭素−炭素結合〜22個の炭素−炭素結合、約16個の炭素−炭素結合〜20個の炭素−炭素結合、または約18個の炭素−炭素結合に等しい。大環状分子形成リンカーが、α−へリックスの約4ターンに架かる場合、その長さは、約20個の炭素−炭素結合〜28個の炭素−炭素結合、約22個の炭素−炭素結合〜26個の炭素−炭素結合、または約24個の炭素−炭素結合に等しい。大環状分子形成リンカーが、α−へリックスの約5ターンに架かる場合、その長さは、約26個の炭素−炭素結合〜34個の炭素−炭素結合、約28個の炭素−炭素結合〜32個の炭素−炭素結合、または約30個の炭素−炭素結合に等しい。大環状分子形成リンカーが、α−へリックスの約1ターンに架かる場合、その連結は、約4個の原子〜12個の原子、約6個の原子〜10個の原子、または約8個の原子を含む。大環状分子形成リンカーが、上記α−へリックスの約2ターンに架かる場合、その連結は、約7個の原子〜15個の原子、約9個の原子〜13個の原子、または約11個の原子を含む。大環状分子形成リンカーが、上記α−へリックスの約3ターンに架かる場合、その連結は、約13個の原子〜21個の原子、約15個の原子〜19個の原子、または約17個の原子を含む。大環状分子形成リンカーが、上記α−へリックスの約4ターンに架かる場合、その連結は、約19個の原子〜27個の原子、約21個の原子〜25個の原子、または約23個の原子を含む。大環状分子形成リンカーが、上記α−へリックスの約5ターンに架かる場合、その連結は、約25個の原子〜33個の原子、約27個の原子〜31個の原子、または約29個の原子を含む。大環状分子形成リンカーが、上記α−へリックスの約1ターンに架かる場合、得られる大環状分子は、約17員〜25員、約19員〜23員、または約21員を含有する環を形成する。大環状分子形成リンカーが、上記α−へリックスの約2ターンに架かる場合、得られる大環状分子は、約29員〜37員、約31員〜35員、または約33員を含有する環を形成する。大環状分子形成リンカーが、上記α−へリックスの約3ターンに架かる場合、得られる大環状分子は、約44員〜52員、約46員〜50員、または約48員を含有する環を形成する。大環状分子形成リンカーが、上記α−へリックスの約4ターンに架かる場合、得られる大環状分子は、約59員〜67員、約61員〜65員、または約63員を含有する環を形成する。大環状分子形成リンカーが、上記α−へリックスの約5ターンに架かる場合、得られる大環状分子は、約74員〜82員、約76員〜80員、または約78員を含有する環を形成する。
他の実施形態において、本発明は、式(IV)または(IVa)のペプチド模倣大環状分子を提供し、
式中、
A、C、D、およびEはそれぞれ独立して、天然または非天然アミノ酸であり;
Bは、天然もしくは非天然アミノ酸、アミノ酸アナログ、
、[−NH−L−CO−]、[−NH−L−SO−]、または[−NH−L−]であり;
およびRは独立して、非置換であるかもしくはハロ−で置換される、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、もしくはヘテロシクロアルキル、またはE残基を有する環状構造の一部であり;
は、必要に応じてRで置換される、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリールであり;
Lは、式−L−L−の大環状分子形成リンカーであり;
およびLは独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアリーレン、ヘテロシクロアリーレン、または[−R−K−R−]であり、それぞれ、必要に応じてRで置換され;
はそれぞれ、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンであり;
Kはそれぞれ、O、S、SO、SO、CO、CO、またはCONRであり;
はそれぞれ、独立して、ハロゲン、アルキル、−OR、−N(R、−SR、−SOR、−SO、−CO、蛍光性部分、放射性同位体、または治療剤であり;
はそれぞれ、独立して、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、蛍光性部分、放射性同位体、または治療剤であり;
は、必要に応じてRで置換される、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリールであり;
vは1〜1000の整数であり;
wは1〜1000の整数であり;
xは0〜10の整数であり;
yは0〜10の整数であり;
zは0〜10の整数であり;かつ
nは1〜5の整数である。
一例において、RおよびRの少なくとも1つは、非置換であるかまたはハロ−で置換されるアルキルである。別の例において、RおよびRの両方は、独立して、非置換であるかまたはハロ−で置換されるアルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRの少なくとも1つは、メチルである。他の実施形態において、RおよびRは、メチルである。
本発明のいくつかの実施形態において、x+y+zは、少なくとも3である。本発明の他の実施形態において、x+y+zは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。本発明の大環状分子または大環状分子前駆体における、A、B、C、D、またはEの各々の出現は、独立して選択される。例えば、式[A]によって表される配列は、xが3である場合、アミノ酸が同一でない、例えばGln−Asp−Alaである実施形態、および、アミノ酸が同一である、例えばGln−Gln−Glnである実施形態を包含する。これは、示される範囲におけるx、y、またはzの任意の値に適用される。
いくつかの実施形態において、本発明のペプチド模倣大環状分子は、α−へリックスである二次構造を含み、かつRは、−Hであり、これによってへリックス内水素結合が可能になる。いくつかの実施形態において、A、B、C、D、またはEの少なくとも1つは、α,α−二置換アミノ酸である。一例において、Bは、α,α−二置換アミノ酸である。例えば、A、B、C、D、またはEの少なくとも1つは、2−アミノイソ酪酸である。他の実施形態において、A、B、C、D、またはEの少なくとも1つは、
である。
他の実施形態において、第1のCαから第2のCαまで測定される大環状分子形成リンカーLの長さは、第1のCαから第2のCαまでの間のものを含むが、必ずしもこれらに限定されない、上記ペプチド模倣大環状分子の残基によって形成されるα−へリックスなどの所望の二次ペプチド構造を安定させるために選択される。
大環状分子形成リンカーLの例示的な実施形態は、下記に示される。
ペプチド模倣大環状分子の調製
本発明のペプチド模倣大環状分子は、当技術分野において公知の任意の種々の方法によって調製され得る。例えば、表1、2、3または4において「X」で示される任意の残基が、同じ分子中の第2の残基またはそのような残基の前駆体とクロスリンカーを形成し得る残基で置換されてもよい。
ペプチド模倣大環状分子の形成をもたらすための種々の方法が、当技術分野において公知である。例えば、式Iのペプチド模倣大環状分子の調製は、Schafmeisterら,J.Am.Chem.Soc.122:5891−5892(2000);Schafmeister & Verdine,J.Am.Chem.Soc.122:5891(2005);Walenskyら,Science 305:1466−1470(2004);および米国特許7,192,713において記載されている。引用文献において開示されているα,α−二置換アミノ酸およびアミノ酸前駆体を、ペプチド模倣大環状分子の前駆体ポリペプチドの合成において使用してもよい。このようなアミノ酸を前駆体ポリペプチド中に組み込んだ後、末端オレフィンをメタセシス触媒と反応させ、これによってペプチド模倣大環状分子の形成をもたらす。
他の実施形態において、本発明のペプチド模倣大環状分子は、式IVまたはIVaである。このような大環状分子の調製のための方法は、例えば、米国特許第7,202,332号において記載されている。
いくつかの実施形態において、これらのペプチド模倣大環状分子の合成は、アジド部分およびアルキン部分を含有するペプチド模倣物前駆体の合成;その後ペプチド模倣物前駆体を大環状分子化試薬と接触させて、トリアゾール結合ペプチド模倣大環状分子を生成させることを特徴とする複数段階工程を含む。大環状分子または大環状分子前駆体は、例えば、液相法または固相法によって合成され、天然に存在するおよび天然に存在しないアミノ酸の両方を含有することができる。例えば、Chemistry and Biochemistry of the Amino Acids、G.C.Barrett編、Chapman and Hall、1985年の中のHunt、「The Non−Protein Amino Acids」を参照のこと。
いくつかの実施形態において、アジドはある残基のα−炭素に結合しており、アルキンは別の残基のα−炭素に結合している。いくつかの実施形態において、アジド部分は、アミノ酸L−リジン、D−リジン、α−メチル−L−リジン、α−メチル−D−リジン、L−オルニチン、D−オルニチン、α−メチル−L−オルニチンまたはα−メチル−D−オルニチンのアジド−アナログである。他の実施形態では、アジド部分は、2−アミノ−7−アジド−2−メチルヘプタン酸または2−アミノ−6−アジド−2−メチルヘキサン酸である。別の実施形態において、アルキン部分は、L−プロパルギルグリシンである。さらに別の実施形態において、アルキン部分は、L−プロパルギルグリシン、D−プロパルギルグリシン、(S)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−5−ヘキシン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−5−ヘキシン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−7−オクチン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−7−オクチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−8−ノニン酸および(R)−2−アミノ−2−メチル−8−ノニン酸からなる群より選択されるアミノ酸である。
いくつかの実施形態において、本発明は、ペプチド模倣大環状分子を合成するための方法であって、式Vまたは式VI:
であって、
式中、v、w、x、y、z、A、B、C、D、E、R、R、R、R、LおよびLは式(II)で定義されたとおりであり、大環状分子化試薬がCu試薬である場合R12は−Hであり、大環状分子化試薬がRu試薬である場合R12は−Hまたはアルキルである、ペプチド模倣物前駆体を、大環状分子化試薬と接触させる工程を含み、さらにこの接触させる工程が、式IIIまたは式IVにおいてアルキンとアジド部分との間に形成される共有結合をもたらす、方法を提供する。例えば、大環状分子化試薬がRu試薬である場合、R12はメチルであってもよい。
本発明のペプチド模倣大環状分子において、RおよびRの少なくとも1つは、非置換であるかもしくはハロ−で置換される、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRの両方が独立して、非置換であるかもしくはハロ−で置換される、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態において、A、B、C、DまたはEの少なくとも1つは、α,α−二置換アミノ酸である。1つの例では、Bはα,α−二置換アミノ酸である。例えば、A、B、C、DまたはEの少なくとも1つは、2−アミノイソ酪酸である。
例えば、RおよびRの少なくとも1つは、非置換であるかまたはハロ−で置換される、アルキルである。別の例において、RおよびRの両方が独立して、非置換であるかまたはハロ−で置換される、アルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRの少なくとも1つはメチルである。他の実施形態において、RおよびRはメチルである。大環状分子化試薬は、Cu試薬であっても、またはRu試薬であってもよい。
いくつかの実施形態において、ペプチド模倣物前駆体は、接触工程の前に精製される。他の実施形態において、上記ペプチド模倣大環状分子は、接触工程の後に精製される。さらに他の実施形態において、上記ペプチド模倣大環状分子は、接触工程の後に再折り畳み(リフォールディング)される。この方法は溶液中で行われてもよいし、または、あるいは、この方法は固体支持体上で行われてもよい。
上記結合に有利な条件下でペプチド模倣物前駆体またはペプチド模倣大環状分子に結合する、標的高分子の存在下で本発明の方法を行うこともまた、本発明において想定される。いくつかの実施形態において、この方法は、上記結合に有利な条件下でペプチド模倣物前駆体またはペプチド模倣大環状分子に優先的に結合する標的高分子の存在下で行われる。またこの方法を適用して、ペプチド模倣大環状分子のライブラリーを合成してもよい。
いくつかの実施形態において、式Vまたは式VIのペプチド模倣物前駆体のアルキン部分は、L−プロパルギルグリシン、D−プロパルギルグリシン、(S)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−5−ヘキシン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−5−ヘキシン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−7−オクチン酸、(R)−2−アミノ−2−メチル−7−オクチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−8−ノニン酸、および(R)−2−アミノ−2−メチル−8−ノニン酸からなる群より選択されるアミノ酸の側鎖である。他の実施形態において、式Vまたは式VIのペプチド模倣物前駆体のアジド部分は、ε−アジド−L−リジン、ε−アジド−D−リジン、ε−アジド−α−メチル−L−リジン、ε−アジド−α−メチル−D−リジン、δ−アジド−α−メチル−L−オルニチン、およびδ−アジド−α−メチル−D−オルニチンからなる群より選択されるアミノ酸の側鎖である。
いくつかの実施形態において、x+y+zは3であり、A、BおよびCは独立して、天然または非天然のアミノ酸である。他の実施形態において、x+y+zは6であり、A、BおよびCは独立して天然または非天然のアミノ酸である。
本発明のペプチド模倣大環状分子のいくつかの実施形態において、[D]および/または[E]は、追加のペプチド模倣大環状分子または大環状分子構造(macrocyclic structure)を含む。例えば、[D]は、式:
を有してもよく、
式中、A、C、D’、およびE’はそれぞれ独立して、天然または非天然のアミノ酸であり;
Bは、天然もしくは非天然アミノ酸、アミノ酸アナログ、
、[−NH−L−CO−]、[−NH−L−SO−]、または[−NH−L−]であり;
およびRは独立して、非置換であるかもしくはハロ−で置換される、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルキル、もしくはヘテロシクロアルキル、またはE残基を有する環状構造の一部であり;
は、必要に応じてRで置換される、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリールであり;
およびLは独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアリーレン、ヘテロシクロアリーレン、または[−R−K−R−]であり、それぞれ、必要に応じてRで置換されており;
はそれぞれ、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンであり;
Kはそれぞれ、O、S、SO、SO、CO、CO、またはCONRであり;
はそれぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、−OR、−N(R、−SR、−SOR、−SO、−CO、蛍光性部分、放射性同位体、または治療剤であり;
はそれぞれ独立して、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、蛍光性部分、放射性同位体、または治療剤であり;
は、必要に応じてRで置換される、−H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアリール、またはヘテロシクロアリールであり;
vは1〜1000の整数であり;
wは1〜1000の整数であり;かつ
xは0〜10の整数である。
別の実施形態において、[E]は、式:
を有し、式中、置換基は、前段落において定義されたとおりである。
いくつかの実施形態において、接触工程は、プロトン性溶媒(protic solvent)、水性溶媒、有機溶媒、およびこれらの混合物からなる群より選択される溶媒において行われる。例えば、溶媒は、HO、THF、THF/HO、tBuOH/HO、DMF、DIPEA、CHCNまたはCHCl、ClCHCHClまたはこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。溶媒は、へリックス形成に有利な溶媒であってもよい。
代替であるが等価な保護基、脱離基または試薬は置換され、かつ特定の合成工程は、代替の順番または所望の化合物を生成する順序で行われる。本明細書に記載の化合物の合成において有用な、合成化学による変換および保護基の方法論(保護および脱保護)としては、例えば、Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers(1989);GreeneおよびWuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第2版、John Wiley and Sons(1991);FieserおよびFieser、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis、John Wiley and Sons(1994);およびPaquette編、Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis、John Wiley and Sons(1995)、ならびにこれらの後続の版において記載されているものなどを含む。
本発明のペプチド模倣大環状分子は、例えば、Fieldsら、Synthetic Peptides:A User’s Guideの第3章、Grant編、W.H.Freeman&Co.、New York、N.Y.、1992年、77頁において記載されているものなどの化学合成法によって製造される。従って、例えば、ペプチドは、固相合成の自動化メリフィールド(Merrifield)技術を用いて、側鎖保護アミノ酸を用いてtBocまたはFmoc化学のいずれかによって保護されたアミンを用いて、例えば、自動ペプチド合成機(例えば、Applied Biosystems(Foster City、CA)、430A、431、または433型)において合成される。
本明細書に記載のペプチド模倣物前駆体およびペプチド模倣大環状分子を製造する1つの方法は、固相ペプチド合成(SPPS)を用いる。C末端アミノ酸は、リンカー分子との酸不安定結合を介して架橋ポリスチレン樹脂に結合している。この樹脂は、合成に用いられる溶媒において不溶性であり、このため比較的簡単にかつ迅速に過剰な試薬および副産物を洗い流すようになる。N末端は、Fmoc基で保護されており、酸において安定であるが塩基によって除去することができる。側鎖官能基は、必要に応じて塩基に安定だが酸に不安定な基で保護されている。
より長いペプチド模倣物前駆体は、例えば、自然な化学的ライゲーション(native chemical ligation)を用いて個々の合成ペプチドを結合することによって作製される。あるいは、より長い合成ペプチドは、周知の組換えDNA技術およびタンパク質発現技術によって生合成される。このような技術は、周知の標準的マニュアルにおいて詳細なプロトコールとともに提供されている。本発明のペプチド模倣物前駆体をコードする遺伝子を構築するために、アミノ酸配列を逆翻訳して、好ましくは遺伝子が発現される生物体に最適なコドンを有する、アミノ酸配列をコードする核酸配列を得る。次に、合成遺伝子を、典型的には、必要であればペプチドおよび任意の調節エレメントをコードするオリゴヌクレオチドを合成することによって作製する。合成遺伝子を適切なクローニングベクター中に挿入し、宿主細胞中にトランスフェクトする。次いでペプチドを、選択した発現系および宿主に適した適切な条件下で発現させる。ペプチドを標準的な方法によって精製し特徴付ける。
ペプチド模倣物前駆体は、例えば、ハイスループット多チャンネルコンビナトリアル合成装置(例えば、CreoSalus、Louisville、KY製のThuramed TETRASマルチチャンネルペプチド合成装置またはAAPPTEC、Inc.、Louisville、KY製のModel Apex 396マルチチャンネルペプチド合成装置)を用いるハイスループットなコンビナトリアル法において、例えば作製される。
以下の合成スキームは、本発明を例示するためだけに提供され、本明細書に記載の本発明の範囲を限定することを意図するものではない。図面を簡略化するために、例示的なスキームは、アジドアミノ酸アナログであるε−アジド−α−メチル−L−リジンおよびε−アジド−α−メチル−D−リジン、ならびにアルキンアミノ酸アナログであるL−プロパルギルグリシン、(S)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、および(S)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸を表す。従って、以下の合成スキームにおいて、各々のR、R、RおよびRは、−Hであり;各々のLは−(CH−であり;各々のLは−(CH)−である。しかしながら、上記の詳細な説明の全体にわたって述べたように、多くの他のアミノ酸アナログを使用することが可能で、ここでR、R、R、R、LおよびLは、本明細書に開示されている種々の構造から独立して選択することができる。
合成スキーム1
合成スキーム1は、本発明のいくつかの化合物の調製を示す。キラル補助基(S)−2−[N−(N’−ベンジルプロリル)アミノ]ベンゾフェノン(BPB)およびグリシンまたはアラニンなどのアミノ酸に由来するシッフ塩基のNi(II)複合体は、Belokonら(1998)、Tetrahedron Asymm.9:4249〜4252において記載されているとおり調製する。得られた複合体を引き続き、アジドまたはアルキニル部分を含むアルキル化試薬と反応させて、鏡像異性的に濃縮された本発明の化合物を得る。必要に応じて、ペプチド合成において使用するために、得られた化合物を保護してもよい。合成スキーム1のいくつかの実施形態では、Xはヨウ素である。
合成スキーム2
合成スキーム2に示されるペプチド模倣大環状分子の合成のための一般的な方法において、ペプチド模倣物前駆体は、アジド部分およびアルキン部分を含み、市販のアミノ酸N−α−Fmoc−L−プロパルギルグリシンならびにアミノ酸(S)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(S)−2−アミノ−6−ヘプチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、N−メチル−ε−アジド−L−リジン、およびN−メチル−ε−アジド−D−リジンのN−α−Fmoc保護形態を用いる、液相または固相ペプチド合成(SPPS)によって合成される。次いでペプチド模倣物前駆体は、標準的な条件(例えば、95%TFAなどの強酸)によって脱保護され、固相樹脂から切断される。ペプチド模倣物前駆体を、粗混合物として反応させるか、または有機溶液もしくは水性溶液においてCu(I)などの大環状分子化試薬との反応の前に精製する(Rostovtsevら(2002)、Angew.Chem.Int.Ed.41:2596〜2599;Tornoeら(2002)、J.Org.Chem.67:3057〜3064;Deitersら(2003)、J.Am.Chem.Soc.125:11782〜11783;Punnaら(2005)、Angew.Chem.Int.Ed.44:2215〜2220)。一実施形態において、トリアゾール形成反応は、α−へリックス形成に有利な条件下で行われる。一実施形態において、大環状分子化工程は、HO、THF、CHCN、DMF、DIPEA、tBuOHまたはこれらの混合物からなる群より選択される溶媒において行われる。別の実施形態において、大環状分子化工程はDMFにおいて行われる。いくつかの実施形態において、大環状分子化工程は、緩衝化された水性の溶媒または部分的に水性の溶媒において行われる。
合成スキーム3
合成スキーム3に示されるペプチド模倣大環状分子の合成のための一般的な方法において、ペプチド模倣物前駆体は、アジド部分およびアルキン部分を含み、市販のアミノ酸N−α−Fmoc−L−プロパルギルグリシンならびにアミノ酸(S)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(S)−2−アミノ−6−ヘプチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、N−メチル−ε−アジド−L−リジン、およびN−メチル−ε−アジド−D−リジンのN−α−Fmoc保護形態を用いた、固相ペプチド合成(SPPS)によって合成される。ペプチド模倣物前駆体を、樹脂上で粗混合物としてCu(I)試薬などの大環状分子化試薬と反応させる(Rostovtsevら(2002)、Angew.Chem.Int.Ed.41:2596〜2599;Tornoeら(2002)、J.Org.Chem.67:3057〜3064;Deitersら(2003)、J.Am.Chem.Soc.125:11782〜11783;Punnaら(2005)、Angew.Chem.Int.Ed.44:2215〜2220)。次いで、得られたトリアゾール含有ペプチド模倣大環状分子を、標準的な条件(例えば、95%TFAなどの強酸)によって脱保護して、固相樹脂から切断する。いくつかの実施形態において、大環状分子化工程は、CHCl、ClCHCHCl、DMF、THF、NMP、DIPEA、2、6−ルチジン、ピリジン、DMSO、HOまたはこれらの混合物からなる群より選択される溶媒において行われる。いくつかの実施形態では、アルコルビン酸ナトリウムなどの還元剤の溶液が使用され得る。いくつかの実施形態において、大環状分子化工程は、緩衝化された水性の溶媒または部分的に水性の溶媒において行われる。
合成スキーム4
合成スキーム4に示されるペプチド模倣大環状分子の合成のための一般的な方法において、ペプチド模倣物前駆体は、アジド部分およびアルキン部分を含み、市販のアミノ酸N−α−Fmoc−L−プロパルギルグリシンならびにアミノ酸(S)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(S)−2−アミノ−6−ヘプチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、N−メチル−ε−アジド−L−リジン、およびN−メチル−ε−アジド−D−リジンのN−α−Fmoc保護形態を用いる、液相または固相ペプチド合成(SPPS)によって合成される。次いでペプチド模倣物前駆体は、標準的な条件(例えば、95%TFAなどの強酸)によって脱保護され、固相樹脂から切断される。ペプチド模倣物前駆体は、粗混合物として反応させるか、またはRu(II)試薬、例えば、CpRuCl(PPhもしくは[CpRuCl]などの大環状分子化試薬と反応させる前に精製する(Rasmussenら(2007)、Org.Lett.9:5337〜5339;Zhangら(2005)、J.Am.Chem.Soc.127:15998〜15999)。いくつかの実施形態において、大環状分子化工程は、DMF、CHCN、ベンゼン、トルエンおよびTHFからなる群より選択される溶媒において行われる。
合成スキーム5
合成スキーム5に示されるペプチド模倣大環状分子の合成のための一般的な方法において、ペプチド模倣物前駆体は、アジド部分およびアルキン部分を含み、かつ市販のアミノ酸N−α−Fmoc−L−プロパルギルグリシンならびにアミノ酸(S)−2−アミノ−2−メチル−4−ペンチン酸、(S)−2−アミノ−6−ヘプチン酸、(S)−2−アミノ−2−メチル−6−ヘプチン酸、N−メチル−ε−アジド−L−リジン、N−メチル−ε−アジド−D−リジン、2−アミノ−7−アジド−2−メチルヘプタン酸および2−アミノ−6−アジド−2−メチルヘキサン酸のN−α−Fmoc保護形態を用いる、固相ペプチド合成(SPPS)によって合成される。ペプチド模倣物前駆体を、粗混合物として樹脂上でRu(II)試薬などの大環状分子化試薬と反応させる。例えば、試薬はCpRuCl(PPhまたは[CpRuCl]であってもよい(Rasmussenら(2007)、Org.Lett.9:5337〜5339;Zhangら(2005)、J.Am.Chem.Soc.127:15998〜15999)。いくつかの実施形態において、大環状分子化工程は、CHCl、ClCHCHCl、CHCN、DMF、ベンゼン、トルエンおよびTHFからなる群より選択される溶媒において行われる。
いくつかの例示的なペプチド模倣大環状分子を表5に示す。「Nle」はノルロイシンを表し、メチオニン残基を置換する。同様なリンカーを用いて、表1〜表4において開示されているポリペプチド配列に基づいてペプチド模倣大環状分子を合成することが想定される。
表5は、例示的な本発明のペプチド模倣大環状分子を示す。「Nle」はノルロイシンを示す。
本発明は、本明細書に記載のペプチド模倣大環状分子の合成における天然に存在しないアミノ酸およびアミノ酸アナログの使用を想定する。安定なトリアゾール含有ペプチド模倣大環状分子の合成のために使用される合成方法を行い易い任意のアミノ酸またはアミノ酸アナログを、本発明において用いることができる。例えば、L−プロパルギルグリシンが本発明において有用なアミノ酸として想定される。しかし、異なるアミノ酸側鎖を含む他のアルキン含有アミノ酸もまた、本発明において有用である。例えば、L−プロパルギルグリシンは、アミノ酸のα−炭素とアミノ酸側鎖のアルキンとの間に1つのメチレン単位を含む。本発明はまた、α−炭素とアルキンとの間に複数のメチレン単位を有するアミノ酸の使用も想定する。また、アミノ酸であるL−リジン、D−リジン、α−メチル−L−リジン、およびα−メチル−D−リジンのアジド−アナログが、本発明において有用なアミノ酸であると想定される。しかし、異なるアミノ酸側鎖を含有する他の末端アジドアミノ酸もまた、本発明において有用である。例えば、L−リジンのアジドアナログは、アミノ酸のα−炭素とアミノ酸側鎖の末端アジドとの間に4つのメチレン単位を含む。本発明はまた、α−炭素と末端アジドとの間に4つ未満のメチレン単位または4つより多いメチレン単位を有するアミノ酸の使用も想定する。表6は、本発明のペプチド模倣大環状分子の調製において有用ないくつかのアミノ酸を示す。
表6は、本発明のペプチド模倣大環状分子の調製において有用な例示的アミノ酸を示す。
いくつかの実施形態において、アミノ酸およびアミノ酸アナログはD−配置のものである。他の実施形態において、アミノ酸およびアミノ酸アナログはL−配置のものである。いくつかの実施形態において、ペプチド模倣物中に含有されるアミノ酸およびアミノ酸アナログの一部はD−配置のものであるが、アミノ酸およびアミノ酸アナログの一部はL−配置のものである。いくつかの実施形態においてアミノ酸アナログは、α−メチル−L−プロパルギルグリシン、α−メチル−D−プロパルギルグリシン、ε−アジド−α−メチル−L−リジン、およびε−アジド−α−メチル−D−リジンなどのα,α−二置換のものである。いくつかの実施形態においてアミノ酸アナログは、N−アルキル化、例えば、N−メチル−L−プロパルギルグリシン、N−メチル−D−プロパルギルグリシン、N−メチル−ε−アジド−L−リジン、およびN−メチル−ε−アジド−D−リジンである。
いくつかの実施形態において、そのアミノ酸の−NH部分は、−Fmocおよび−Bocを含むがこれらに限定されない保護基を用いて保護される。他の実施形態において、そのアミノ酸は、ペプチド模倣大環状分子の合成の前には保護されていない。
他の実施形態において、式IIIのペプチド模倣大環状分子が合成される。以下の合成スキームは、そのような化合物の調製を記載する。図面を簡略化するために、例示的なスキームは、LおよびLが両方とも−(CH)−であるL−システインまたはD−システインに由来するアミノ酸アナログを示す。しかしながら、上記の詳細な説明の全体にわたって述べたように、多くの他のアミノ酸アナログを使用することができ、LおよびLは、本明細書に開示されている種々の構造から独立して選択することができる。「[AA]」、「[AA]」、「[AA]」という記号は、天然または非天然アミノ酸などのアミド結合による結合部分の配列を表す。以前に記述されているとおり、「AA」のそれぞれの出現は任意の他の「AA」の出現とは無関係であり、「[AA]」などの式は、例えば、同一ではないアミノ酸の配列ならびに同一なアミノ酸の配列を包含する。
合成スキーム6
スキーム6において、ペプチド模倣物前駆体は2つの−SH部分を含み、かつN−α−Fmoc−S−トリチル−L−システインまたはN−α−Fmoc−S−トリチル−D−システインなどの市販のN−α−Fmocアミノ酸を用いる固相ペプチド合成(SPPS)によって合成される。D−システインまたはL−システインのα−メチル化バージョンは、公知の方法(Seebachら(1996)、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.35:2708〜2748、およびその参照文献)によって作製され、次いで公知の方法(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Bioorganic Chemistry:Peptides and Proteins」、Oxford University Press、New York:1998)によって適切に保護されたN−α−Fmoc−S−トリチルモノマーに変換される。次いで前駆体ペプチド模倣物は、標準的な条件(例えば、95%TFAなどの強酸)によって脱保護され、固相樹脂から切断される。前駆体ペプチド模倣物は、粗混合物として反応されるか、または有機溶液もしくは水性溶液においてX−L−Yとの反応の前に精製される。いくつかの実施形態においてアルキル化反応は、大環状分子化を容易にし、重合を回避するために希釈条件下(すなわち0.15mmol/L)で行われる。いくつかの実施形態において、アルキル化反応は、液体NH(Mosbergら(1985)、J.Am.Chem.Soc.107:2986−2987;Szewczukら(1992)、Int.J.Peptide Protein Res.40:233−242)、NH/MeOH、またはNH/DMF(Orら(1991)、J.Org.Chem.56:3146−3149)などの有機溶液中で行われる。他の実施形態において、アルキル化は、6MのグアニジニウムHCL、pH8などの水性溶液中で行われる(Brunelら(2005)、Chem.Commun.(20):2552〜2554)。他の実施形態において、アルキル化反応に使用される溶媒はDMFまたはジクロロエタンである。
合成スキーム7
スキーム7において、前駆体ペプチド模倣物は2つ以上の−SH部分を含んでおり、その2つは特別に保護されていて、それにより大環状分子形成のためのその選択的な脱保護およびその後のアルキル化が可能になる。前駆体ペプチド模倣物は、N−α−Fmoc−S−p−メトキシトリチル−L−システインまたはN−α−Fmoc−S−p−メトキシトリチル−D−システインなどの市販のN−α−Fmocアミノ酸を用いる固相ペプチド合成(SPPS)によって合成される。D−システインまたはL−システインのα−メチル化バージョンは、公知の方法(Seebachら(1996)、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.35:2708−2748、およびその参照文献)によって作製され、次いで公知の方法(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Bioorganic Chemistry:Peptides and Proteins」、Oxford University Press、New York:1998)によって、適切に保護されたN−α−Fmoc−S−p−メトキシトリチルモノマーに変換される。次いでペプチド模倣物前駆体のMmt保護基は、標準的な条件(例えば、DCM中1%TFAなどの弱酸)によって選択的に切断される。次いで前駆体ペプチド模倣物を、樹脂上で有機溶液においてX−L−Yと反応させる。例えば、この反応は、ジイソプロピルエチルアミンなどの立体障害塩基の存在下で起こる。いくつかの実施形態において、アルキル化反応は、液体NH(Mosbergら(1985)、J.Am.Chem.Soc.107:2986−2987;Szewczukら(1992)、Int.J.Peptide Protein Res.40:233−242)、NH/MeOH、またはNH/DMF(Orら(1991)、J.Org.Chem.56:3146−3149)などの有機溶液中で行われる。他の実施形態において、アルキル化反応は、DMFまたはジクロロエタン中で行われる。次いでペプチド模倣大環状分子は、標準的な条件(例えば、95%TFAなどの強酸)によって脱保護され、固相樹脂から切断される。
合成スキーム8
スキーム8において、ペプチド模倣物前駆体は2つ以上の−SH部分を含んでおり、その2つが特別に保護されており、大環状分子形成のため、その選択的な脱保護およびその後のアルキル化が可能になる。ペプチド模倣物前駆体は、N−α−Fmoc−S−p−メトキシトリチル−L−システイン、N−α−Fmoc−S−p−メトキシトリチル−D−システイン、N−α−Fmoc−S−S−t−ブチル−L−システイン、およびN−α−Fmoc−S−S−t−ブチル−D−システインなどの市販のN−α−Fmocアミノ酸を用いる固相ペプチド合成(SPPS)によって合成される。D−システインまたはL−システインのα−メチル化バージョンは、公知の方法(Seebachら(1996)、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.35:2708−2748、およびその参照文献)によって作製され、次いで公知の方法(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Bioorganic Chemistry:Peptides and Proteins」、Oxford University Press、New York:1998)によって、適切に保護されたN−α−Fmoc−S−p−メトキシトリチルまたはN−α−Fmoc−S−S−t−ブチルモノマーに変換される。ペプチド模倣物前駆体のS−S−tブチル保護基は、公知の条件によって選択的に切断される(例えば、DMF中20%2−メルカプトエタノール、参照:Galandeら(2005)、J.Comb.Chem.7:174−177)。次いで前駆体ペプチド模倣物を、樹脂上で、有機溶液においてモル過剰のX−L−Yと反応させる。例えば、反応は、ジイソプロピルエチルアミンなどの立体障害塩基の存在下で起こる。次いでペプチド模倣物前駆体のMmt保護基は、標準的な条件(例えば、DCM中1%TFAなどの弱酸)によって選択的に切断される。次いでペプチド模倣物前駆体は、樹脂上で有機溶液における立体障害塩基による処理によって環化される。いくつかの実施形態において、アルキル化反応は、NH/MeOHまたはNH/DMF(Orら(1991)、J.Org.Chem.56:3146−3149)などの有機溶液中で行われる。次いでペプチド模倣大環状分子は、標準的な条件(例えば、95%TFAなどの強酸)によって脱保護され、固相樹脂から切断される。
合成スキーム9
スキーム9において、ペプチド模倣物前駆体は、2つのL−システイン部分を含む。ペプチド模倣物前駆体は、生きた細胞中で公知の生物学的発現系によって、または公知のインビトロの無細胞発現方法によって合成される。前駆体ペプチド模倣物は、粗混合物として反応されるか、または有機溶液もしくは水性溶液においてX−L2−Yとの反応の前に精製される。いくつかの実施形態においてアルキル化反応は、大環状分子化を容易にし、重合を回避するために希釈条件下(すなわち0.15mmol/L)で行われる。いくつかの実施形態において、アルキル化反応は、液体NH(Mosbergら(1985)、J.Am.Chem.Soc.107:2986−2987;Szewczukら(1992)、Int.J.Peptide Protein Res.40 :233−242)、NH/MeOH、またはNH/DMF(Orら(1991)、J.Org.Chem.56:3146−3149)などの有機溶液中で行われる。他の実施形態において、アルキル化は、6MグアニジニウムHCL、pH8(Brunelら(2005)、Chem.Commun.(20):2552−2554)などの水性溶液中で行われる。他の実施形態において、アルキル化は、DMFまたはジクロロエタン中で行われる。別の実施形態において、アルキル化は非変性水溶液中で実行され、さらに別の実施形態においてアルキル化は、α−へリックス構造形成に有利な条件下で行われる。さらに別の実施形態において、アルキル化は、前駆体ペプチド模倣物が別のタンパク質に結合するのに有利な条件下で行われ、その結果、アルキル化の間に結合α−へリックスコンフォメーションの形成がもたらされる。
チオール基との反応に適切な、XおよびYについての種々の実施形態が想定される。一般に、各々のXまたはYは独立して、表5に示す一般的なカテゴリーから選択される。例えば、XおよびYは、−Cl、−Brまたは−Iなどのハロゲン化物である。本明細書に記載の任意の大環状分子形成リンカーを、表1〜4に示す任意の配列との任意の組合せ、そしてまた、本明細書に示す任意のR−置換基との任意の組合せでも用いてもよい。
表8は、本発明の例示的な大環状分子を示す。「N」は、ノルロイシンを表し、メチオニン残基を置き換える。同様なリンカーを用いて、表1〜表4において開示されているポリペプチド配列に基づいてペプチド模倣大環状分子を合成することが想定される。
本発明は、式(III)のペプチド模倣大環状分子の合成における、天然に存在するアミノ酸および天然に存在しないアミノ酸の両方のアミノ酸およびアミノ酸アナログの使用を想定する。安定なビス−スルフヒドリル含有ペプチド模倣大環状分子の合成に使用される合成方法を行い易い任意のアミノ酸またはアミノ酸アナログを、本発明において用いてもよい。例えば、システインが、本発明における有用なアミノ酸として想定される。しかし、異なるアミノ酸側鎖を含むシステイン以外の含硫アミノ酸もまた、有用である。例えば、システインは、アミノ酸のα−炭素とアミノ酸側鎖の末端−SHとの間に1つのメチレン単位を含む。本発明はまた、α−炭素と末端−SHの間に複数のメチレン単位を有するアミノ酸の使用も想定する。非限定的な例としては、α−メチル−L−ホモシステインおよびα−メチル−D−ホモシステインが挙げられる。いくつかの実施形態において、アミノ酸およびアミノ酸アナログは、D−配置のものである。他の実施形態において、アミノ酸およびアミノ酸アナログはL−配置のものである。いくつかの実施形態において、ペプチド模倣物に含有されるアミノ酸およびアミノ酸アナログの一部はD−配置のものであるが、アミノ酸およびアミノ酸アナログの一部はL−配置のものである。いくつかの実施形態において、アミノ酸アナログは、α−メチル−L−システインおよびα−メチル−D−システインなどのα,α−二置換のものである。
本発明は、大環状分子形成リンカーを用いてペプチド模倣物前駆体内の2つ以上の−SH部分を連結させて本発明のペプチド模倣大環状分子が形成される、大環状分子を包含する。上述したように、大環状分子形成リンカーは、立体構造の剛性、代謝安定性の増加および/または細胞透過性の増加を付与する。さらに、いくつかの実施形態において、大環状形成の連結は、ペプチド模倣物の大環状分子のα−へリックス二次構造を安定化させる。大環状分子形成リンカーは式X−L−Yのものであり、ここで、上記で定義したとおりXおよびYは両方とも同じ部分または異なる部分である。XおよびYは両方とも、1つの大環状分子形成リンカー−L−によるビス−スルフヒドリル含有ペプチド模倣物前駆体のビスアルキル化を可能にするという化学的特性を有する。上記で定義されているとおり、リンカー−L−は、上記で定義されているとおり、全てが必要に応じてR基で置換することができる、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアリーレンもしくはヘテロシクロアリーレン、または−R−K−R−を含む。さらに、スルフヒドリル含有アミノ酸の−SHに結合している炭素以外の、大環状分子形成リンカー−L−内の1〜3個の炭素原子は、N、SまたはOなどのヘテロ原子で必要に応じて置換される。
大環状分子形成リンカーX−L−YのL成分は、とりわけ、ペプチド模倣大環状分子を形成するために用いられる2つのアミノ酸アナログの位置の間の距離に依存して、長さが変化し得る。さらに、大環状分子形成リンカーのL成分および/またはL成分の長さが変化するので、安定なペプチド模倣大環状分子の形成に適切な全長のリンカーを生み出すために、Lの長さもまた変化し得る。例えば、使用されるアミノ酸アナログがさらなるメチレン単位をLおよびLのそれぞれに付加することによって変化する場合、Lの長さは、LおよびLの増加した長さを相殺するために約2メチレン単位に相当する(equivalent)長さだけ減少する。
いくつかの実施形態において、Lは、式−(CH−のアルキレン基であり、nは約1〜約15の整数である。例えば、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。他の実施形態において、Lはアルケニレン基である。さらに別の実施形態において、Lはアリール基である。
表9は、X−L−Y基のさらなる実施形態を示す。
本発明を実施するのに好適であることが想定されるペプチド模倣大環状分子を形成するさらなる方法としては、Mustapa,M.Firouz Mohdら,J.Org.Chem(2003),68,pp.8193−8198;Yang,Binら Bioorg Med.Chem.Lett.(2004),14,pp.1403−1406;米国特許第5,364,851号;米国特許第5,446,128号;米国特許第5,824,483号;米国特許第6,713,280号;米国特許第7,202,332号;およびWO 2008/121767(これらはすべて、参照によって本明細書に援用される)に開示されたものが挙げられる。そのような実施形態において、α位にさらなる置換基R−を含有しているアミノ酸前駆体が用いられる。そのようなアミノ酸は、架橋剤が置換される位置、または、あるいは、大環状分子前駆体の配列中のどこか他の場所であってもよい所望の位置で、大環状分子前駆体中に組み込まれる。次いで前駆体の環化を、示される方法に従って達成する。
アッセイ
本発明のペプチド模倣大環状分子の特性を、例えば、以下に記述される方法を用いることによってアッセイする。いくつかの実施形態では、本発明のペプチド模倣大環状分子は、本明細書に記載の置換基がない対応するポリペプチドに比べて改善された生物学的特性を有する。
α−ヘリシティを決定するためのアッセイ
溶液中で、α−へリックスドメインを有するポリペプチドの二次構造は、ランダムコイル構造とα−へリックス構造との間の動的平衡に到達し、「ヘリシティパーセント(percent helicity)」として表される場合が多い。従って、例えば、非改変プロアポトーシスBH3ドメインは大部分が、溶液中で通常25%未満のα−へリックス含量を有するランダムコイルである。一方、最適化されたリンカーを有するペプチド模倣大環状分子は、例えば、R置換基を欠く対応する大環状分子のそれよりも少なくとも2倍高いα−ヘリシティを有する。いくつかの実施形態において、本発明の大環状分子は、50%より高いα−ヘリシティを有する。BH3ドメインベースの大環状分子などの本発明のペプチド模倣大環状分子のヘリシティをアッセイするために、上記化合物を、水性溶液(例えば、pH7の50mMのリン酸カリウム溶液、または蒸留水(distilled HO)、25〜50μMの濃度まで)に溶解する。標準的な測定パラメーター(例えば、温度、20℃;波長、190〜260nm;ステップ分解能、0.5nm;速度、20nm/秒;蓄積、10;応答、1秒;帯域幅、1nm;光路長(path length)、0.1cm)を用いて、分光偏光計(例えば、Jasco J−710)において円二色性(CD)スペクトルを得る。平均残基楕円率(例えば、[Φ]222obs)をへリックスデカペプチドモデル(Yangら(1986)、Methods Enzymol.130:208)について報告されている値で割ることによって、各ペプチドのα−へリックス含量を計算する。
融解温度(Tm)を決定するためのアッセイ
α−へリックスなどの二次構造を含む本発明のペプチド模倣大環状分子は、例えば、R置換基を欠く対応する大環状分子よりも高い融解温度を示す。代表的には、本発明のペプチド模倣大環状分子は、水性溶液中で高度に安定な構造を表す60℃超のTmを示す。融解温度に対する大環状分子形成の影響をアッセイするために、ペプチド模倣大環状分子または非改変ペプチドを、蒸留水中に溶解(例えば、50μMの最終濃度で)し、分光偏光計(例えば、Jasco J−710)において標準的なパラメーター(例えば、波長222nm;ステップ解像度、0.5nm;速度、20nm/秒;蓄積、10;応答、1秒;帯域幅、1nm;温度上昇速度:1℃/分;光路長、0.1cm)を用いて、ある温度範囲(例えば、4〜95℃)にわたって楕円率の変化を測定することによって、Tmを決定する。
プロテアーゼ耐性アッセイ
ペプチド骨格のアミド結合は、プロテアーゼによる加水分解を受けやすく、そのためペプチド性化合物は、インビボでの迅速な分解に対して脆弱になる。しかし、ペプチドへリックス形成は、代表的にはアミド骨格を埋没させ、従って、タンパク質分解性の切断からアミド骨格を保護することができる。本発明のペプチド模倣大環状分子をインビトロのペプシンおよびトリプシンのタンパク質分解に供して、対応する架橋されていないポリペプチドと比較した分解速度の任意の変化について評価し得る。例えば、ペプチド模倣大環状分子および対応する(非置換)ポリペプチドを、シリカゲル上に固定化したペプチダーゼ、ペプシンまたはトリプシンとともにインキュベートし、アセトニトリル/1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール中の2%トリフルオロ酢酸の添加によって種々の時点で反応液をクエンチする。続いて、HPLCへの注入を行ない、クロマトグラフィーピーク検出のマルチ反応モニタリングモード(MRM)で残存基質の質量分析に基づく定量を行なう。簡単には、ペプチド模倣大環状分子およびペプチド模倣前駆体(5μM)を、ペプシンまたはトリプシンシリカゲル(Princeton Separations)(S/E約50)とともに0分間、10分間、20分間、30分間および60分間インキュベートする。アセトニトリル/1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール中の2%トリフルオロ酢酸の添加によって反応液をクエンチし、単離した上清中の残存基質を、MRMピーク検出によって定量する。タンパク質分解反応は、一次反応速度式(first order kinetics)を示し、時間に対するln[S]のプロットから速度定数kを決定する(k=−1×勾配)。反応半減期は、式T1/2=ln2/kを用いて計算される。
エキソビボ安定性アッセイ
最適化されたリンカーを有するペプチド模倣大環状分子は、例えば、R置換基を欠く対応する大環状分子のそれよりも少なくとも2倍高いエキソビボ半減期を有し、かつ12時間以上のエキソビボ半減期を有する。エキソビボの血清安定性研究には、種々のアッセイを用いてもよい。例えば、ペプチド模倣大環状分子およびR置換基を欠く対応する大環状分子(2mcg)を、新鮮なマウス血清、ラット血清および/またはヒト血清(2mL)とともに、37℃で0、1、2、4、8、および24時間インキュベートする。異なる大環状分子濃度のサンプルは、血清での段階希釈によって調製することができる。インタクトな化合物のレベルを決定するために、以下の手順を用いてもよい:100μlの血清を2mlの遠心管に移すこと、その後に10μLの50%ギ酸および500μLのアセトニトリルを添加し、4±2℃で10分間、14,000RPMで遠心分離することによって、サンプルを抽出する。次いで上清を新しい2mlのチューブに移し、TurbovapにおいてN<10psi下、37℃でエバポレートさせる。サンプルを100μLのアセトニトリル:水(50:50)中で再構成し、LC−MS/MS分析にかける。エキソビボ安定性を試験するための同等または同様の手順は公知であり、血清中の大環状分子の安定性を決定するために用いることができる。
インビトロ結合アッセイ
アクセプタータンパク質に対するペプチド模倣大環状分子およびペプチド模倣物前駆体の結合および親和性を評価するために、例えば、蛍光偏光アッセイ(FPA)を用い得る。FPA技術は、偏光および蛍光トレーサーを用いて分子の配向および運動性を測定する。偏光によって励起されると、高い見かけの分子量を有する分子に結合している蛍光トレーサー(例えば、FITC)(例えば、大きなタンパク質に結合したFITC標識ペプチド)は、より小さい分子に結合している蛍光トレーサー(例えば、溶液中で遊離しているFITC標識ペプチド)と比較してそのより遅い回転速度のために、より高いレベルの偏光蛍光を発する。
例えば、フルオレセイン化(fluoresceinated)ペプチド模倣大環状分子(25nM)を、結合緩衝液(140mMのNaCl、50mMのTris−HCL、pH7.4)中で、アクセプタータンパク質(25〜1000nM)と一緒に室温で30分間インキュベートする。結合活性を、例えば、ルミネッセンス分光光度計(例えば、Perkin−Elmer LS50B)において蛍光偏光によって測定する。Kd値は、例えば、Graphpad Prismソフトウェア(GraphPad Software,Inc.、San Diego、CA)を用いて、非線形回帰分析によって決定し得る。本発明のペプチド模倣大環状分子は、場合によっては、R置換基を欠く対応する大環状分子と同様のまたはそれより低いKdを示す。
BCL−2、BCL−X、BAXまたはMCL1などのBH3ペプチドに対するアクセプタータンパク質を、例えば、このアッセイにおいて用いてもよい。MDM2またはMDMXなどのp53ペプチドに対するアクセプタータンパク質も、このアッセイで用いてもよい。
ペプチド−タンパク質相互作用のアンタゴニストを特徴付けるためのインビトロ置換アッセイ
ペプチド(例えば、BH3ペプチドまたはp53ペプチド)とアクセプタータンパク質との間の相互作用をアンタゴナイズする化合物の結合および親和性を評価するために、例えば、ペプチド模倣物前駆体配列に由来するフルオレセイン化ペプチド模倣大環状分子を利用する蛍光偏光アッセイ(FPA)を用いる。このFPA技術は、偏光および蛍光トレーサーを用いて分子の配向および運動性を測定する。偏光によって励起されるとき、高い見かけの分子量を有する分子に結合している蛍光トレーサー(例えば、FITC)(例えば、大きなタンパク質に結合したFITC標識ペプチド)は、より小さい分子に結合している蛍光トレーサー(例えば、溶液中で遊離しているFITC標識ペプチド)と比較してそのより遅い回転速度のために、より高いレベルの偏光蛍光を発する。フルオレセイン化ペプチド模倣大環状分子とアクセプタータンパク質との間の相互作用をアンタゴナイズする化合物は、競合的結合FPA実験において検出される。
例えば、推定アンタゴニスト化合物(1nM〜1mM)およびフルオレセイン化ペプチド模倣大環状分子(25nM)を、結合緩衝液(140mMのNaCl、50mMのTris−HCL、pH7.4)中で、アクセプタータンパク質(50nM)と一緒に室温で30分間インキュベートする。アンタゴニスト結合活性を、例えば、ルミネッセンス分光光度計(例えば、Perkin−Elmer LS50B)において蛍光偏光によって測定する。Kd値は、例えば、Graphpad Prismソフトウェア(GraphPad Software,Inc.、San Diego、CA)を用いて非線形回帰分析によって決定することができる。
有機低分子、ペプチド、オリゴヌクレオチドまたはタンパク質などの任意のクラスの分子を、このアッセイにおいて推定アンタゴニストとして検査してもよい。BCL2、BCL−XL、BAXまたはMCL1などのBH3ペプチドに対するアクセプタータンパク質を、このアッセイにおいて用いてもよい。MDM2またはMDMXなどのp53ペプチドのアクセプタータンパク質をこのアッセイで用いてもよい。このようなアッセイを行なうためのさらなる方法を、以下の実施例のセクションに記載する。
細胞溶解物またはインタクトな細胞における結合アッセイ
細胞溶解物またはインタクトな細胞における、ペプチドまたはペプチド模倣大環状分子のその天然アクセプターに対する結合は、免疫沈降およびプルダウン実験によって測定することが可能である。例えば、インタクトな細胞をフルオレセイン化(FITC標識)またはビオチン化化合物とともに、血清の非存在下で4時間インキュベートし、続いて血清置換(serum replacement)し、さらに、4〜18時間の範囲でインキュベートする。あるいは、細胞を実験の期間中、Opti−MEM(Invitrogen)中でインキュベートしてもよい。細胞を、次いでペレット化し、溶解緩衝液(50mM Tris[pH7.6]、150mM NaCl、1%CHAPSおよびプロテアーゼインヒビターカクテル)中で、4℃にて10分間インキュベートする。CHAPSの代わりに1%NP−40またはTriton X−100を使用してもよい。抽出物を14,000rpmで15分間遠心分離にかけ、上清を回収して、10μlのヤギ抗FITC抗体またはストレプトアビジンコートビーズとともに2時間、回転下で4℃にてインキュベートした後、4℃でプロテインA/G Sepharose(50μlの50%ビーズスラリー)とともに、さらに2時間インキュベーションする。ビオチン化化合物のプルダウンにストレプトアビジンビーズを使用する場合、二次工程は必要でない。あるいは、FITC標識化またはビオチン化化合物を上記のようにして調製した細胞溶解物とともに2時間、回転下で4℃にてインキュベートした後、10μlのヤギ抗FITC抗体またはストレプトアビジンコートビーズとともに2時間、回転下で4℃にてインキュベートする。その後、4℃でプロテインA/G Sepharose(50μlの50%ビーズスラリー)とともに、さらに2時間インキュベートする。ビオチン化化合物のプルダウンにストレプトアビジンビーズを使用する場合、二次工程は必要でない。短時間の遠心分離後、ペレットを、漸増濃度の塩(例えば、150、300、500mMのNaCl)を含む溶解緩衝液中で洗浄し得る。ビーズを、次いで150mMのNaClで再平衡化させ得、その後、SDS含有サンプル緩衝液の添加および煮沸を行い得る。ビーズおよび細胞溶解物を、4%〜12%の勾配のBis−Trisゲルを用いて電気泳動し、その後、Immobilon−Pメンブレンに移し得る。ブロッキング後、ブロットは、FITCまたはビオチンのそれぞれを検出する抗体とともに、また、BCL2、MCL1、BCL−XL、A1、BAX、およびBAKなどのペプチド模倣大環状分子に結合するタンパク質を検出する1種類以上の抗体とともにインキュベートされ得る。溶解物のブロットはまた、ローディングコントロールのために抗Hsc−70でプローブされる(probe)。あるいは、電気泳動後、ゲルを銀染色して、FITC標識化化合物またはビオチン化化合物と特異的に沈降するタンパク質を検出してもよい。
細胞透過性アッセイ
ペプチド模倣大環状分子は、例えば、R置換基を欠く対応する大環状分子に比べてより細胞透過性である。いくつかの実施形態では、ペプチド模倣大環状分子は、R置換基を欠く対応する大環状分子よりも細胞透過性である。最適化されたリンカーを有するペプチド模倣大環状分子は、例えば、R置換基を欠く対応する大環状分子よりも少なくとも2倍大きい細胞透過性を有し、多くの場合、4時間後において、適用されたペプチド模倣大環状分子の20%以上が細胞を透過したことが観察される。ペプチド模倣大環状分子およびR置換基を欠く対応する大環状分子の細胞透過性を測定するために、インタクトな細胞を、フルオレセイン化ペプチド模倣大環状分子または対応する非架橋ポリペプチド(10μM)と一緒に4時間、37℃で、無血清媒体中で、インキュベートし、媒体で2回洗浄し、トリプシン(0.25%)で10分間、37℃でインキュベートする。細胞を再度洗浄してPBS中に再懸濁する。細胞の蛍光を、例えば、FACSCaliburフローサイトメーターまたはCellomics’ KineticScan(登録商標)HCS Readerのいずれかを用いることによって分析する。別の細胞透過定量法を使用してもよい。具体的な方法を、ここに示す本実施例においてより詳細に記載する。
細胞効力アッセイ
特定のペプチド模倣大環状分子の効力は、例えば、ヒトまたはマウス細胞集団に由来する種々の腫瘍形成性および非腫瘍形成性の細胞系統ならびに初代細胞を用いる細胞ベースの死滅アッセイにおいて決定される。細胞生存率を、例えば、ペプチド模倣大環状分子(0.5〜50μM)による24〜96時間のインキュベーションにわたってモニターして、EC50≦10μMで死滅させるペプチド模倣大環状分子を特定する。これとの関連において、EC50は、集団の50%が生存可能であるペプチド模倣大環状分子の濃度である最大半量有効濃度(half maximal effective concentration)を指す。細胞生存率を測定するいくつかの標準的なアッセイが市販されており、ペプチド模倣大環状分子の効力を評価するために必要に応じて用いられる。さらに、ペプチド模倣大環状分子がアポトーシス機構を活性化することによって細胞を死滅させるか否かを評価するために、アネキシンVおよびカスパーゼ活性化を測定するアッセイが必要に応じて用いられる。例えば、細胞内ATP濃度の関数として細胞生存率を決定するCell Titer−gloアッセイが用いられる。
インビボ安定性アッセイ
ペプチド模倣大環状分子のインビボ安定性を検討するために、化合物を、例えば、マウスおよび/またはラットに、IV、IP、SC、POまたは吸入経路によって0.1〜50mg/kgの範囲の濃度で投与し、注入後0分、5分、15分、30分、1時間、4時間、8時間、12時間、24時間および48時間で血液検体を採取する。次いで25μLの新鮮血清中のインタクトな化合物のレベルをLC−MS/MSによって本明細書に記載のとおり測定する。
動物モデルにおけるインビボ効力
インビボでの本発明のペプチド模倣大環状分子の抗腫瘍形成活性を決定するために、化合物を、例えば、単独で(IP、IV、SC、PO、吸入または鼻腔内経路によって)または最適以下の用量の関連する化学療法(例えば、シクロフォスファミド、ドキソルビシン、エトポシド)と組み合わせて投与する。一例において、ルシフェラーゼを安定に発現する5×10個のSEMK2細胞(急性リンパ芽球性白血病患者の骨髄から樹立した)を、NOD−SCIDマウス、SCID−beigeマウスまたはNOD.IL2rg KOマウスの尾静脈内に、全身照射を受けてから3時間後に注入する。照射していないマウスをこれらの研究でも使用し得る。治療しないまま放置した場合、この形態の白血病はこのモデルにおいて3週間以内に死に至る。白血病は、例えば、マウスにD−ルシフェリン(60mg/kg)を注入し、麻酔をかけた動物をイメージングする(例えば、Xenogen In Vivo Imaging System、Caliper Life Sciences、Hopkinton、MA)ことによって、容易にモニターされる。全身の生物発光を、Living Image Software(Caliper Life Sciences、Hopkinton、MA)による光子フラックス(光子/秒)の積分によって定量する。単独のまたは最適以下の用量の関連する化学療法剤と組み合わせたペプチド模倣大環状分子を、例えば、白血病マウス(注入の8〜10日後/実験の1日目、14〜16の生物発光範囲内)に尾静脈またはIP経路で0.1mg/kg〜50mg/kgの範囲の用量で7〜21日間投与する。必要に応じて、実験中1日おきにマウスをイメージングし、実験期間中、毎日生存をモニターする。死亡したマウスを必要に応じて、実験終了の時点で解剖する。別の動物モデルは、ルシフェラーゼを安定に発現する、ヒト濾胞性リンパ腫に由来する細胞系統DoHH2の、NOD−SCIDマウスへの移植である。これらのインビボ試験では必要に応じて、予備的な薬物動態的、薬力学的および毒性データを作成する。
臨床試験
ヒトの治療に対する本発明のペプチド模倣大環状分子の適合を決定するために、臨床試験を行う。例えば、癌と診断されかつ治療を必要とする患者を選択して、治療群および1つ以上のコントロール群に分け、治療群には本発明のペプチド模倣大環状分子を投与し、一方コントロール群には、プラセボ、または公知の抗癌剤または標準的な治療を与える。従って、本発明のペプチド模倣大環状分子の治療の安全性および効力は、生存およびクオリティー・オブ・ライフなどの因子に関して患者群の比較を行うことによって評価することができる。この例において、ペプチド模倣大環状分子で治療した患者群は、プラセボまたは標準的な治療で治療した患者コントロール群と比較して長期生存の改善を示す。
医薬組成物および投与経路
投与方法としては、限定されないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口、舌下、脳内、膣内、経皮、経直腸、吸入、または耳、鼻、目もしくは皮膚への適用による局所が挙げられる。
本発明のペプチド模倣大環状分子はまた、薬学的に受容可能な誘導体またはそのプロドラッグも含む。「薬学的に受容可能な誘導体」とは、レシピエントへの投与の際、本発明の化合物を(直接的または間接的に)提供することができる、本発明の化合物の任意の薬学的に受容可能な塩、エステル、エステルの塩、プロドラッグまたは他の誘導体を意味する。例えば、薬学的に受容可能な誘導体は、哺乳動物に投与される場合、本発明の化合物のバイオアベイラビリティを増加させ得る(例えば、経口投与された化合物の血液中への吸収を増加させることによって)か、またはその親種と比較して生物学的区画(例えば、脳またはリンパ系)への活性な化合物の送達を増加させ得る。いくつかの薬学的に受容可能な誘導体は、水溶解度(aqueous solubility)または胃腸粘膜の能動輸送を増大する化学基を含む。
いくつかの実施形態において、本発明のペプチド模倣大環状分子は、選択的な生物学的特性を増強するために、適切な官能基を共有結合または非共有結合で結合することによって改変される。そのような改変としては、所与の生物学的コンパートメント(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生物学的浸透性を増大させる、経口の利用可能性を増加させる、可溶性を増大させて注入による投与を可能にする、代謝を変化させる、および***率を変化させる改変が挙げられる。
本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩としては、薬学的に受容可能な無機の酸および塩基に由来する塩ならびに有機の酸および塩基に由来する塩が挙げられる。適切な酸塩(acid salt)の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、パルモエート、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩が挙げられる。適切な塩基に由来する塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)塩、アンモニウム塩およびN−(アルキル) 塩が挙げられる。
本発明の化合物から医薬組成物を調製するために、薬学的に受容可能なキャリアとしては固体または液体のいずれかのキャリアが挙げられる。固体形態の調製物としては、粉末剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、および分散性粒剤が挙げられる。固体キャリアは、希釈剤、着香剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、またはカプセル化材料としても機能する1つ以上の物質であってもよい。処方および投与のための技術に関する詳細は、科学文献および特許文献において十分に記述されており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Maack Publishing Co、Easton PAの最新版を参照のこと。
粉末剤においては、キャリアとは、微粉化した(finely divides)活性成分と混合されている微粉化した固体である。錠剤において、活性成分は、必要な結合特性を有するキャリアと適切な割合で混合され、所望の形状および大きさに圧縮される。
適切な固体賦形剤は炭水化物またはタンパク質増量剤(filler)であり、これには、限定するものではないが、糖、例としては、ブドウ糖、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトール;トウモロコシ、小麦、米、ジャガイモ、または別の植物由来のデンプン;セルロース、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、またはカルボキシメチルセルロースナトリウム;ならびにアラビアゴムおよびトラガカントゴムを含むゴム;ならびにゼラチンおよびコラーゲンなどのタンパク質が挙げられる。所望であれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、またはアルギン酸ナトリウムなどのこれらの塩のような崩壊剤または可溶化剤を加える。
液体形態の調製物としては、液剤、懸濁剤、および乳剤、例えば、水または水/プロピレングリコール溶液が挙げられる。非経口注入用に、液体調製物は、水性ポリエチレングリコール溶液中の溶液に処方することができる。「非経口」という用語は、本明細書において使用される場合、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、および皮下を含む投与方法のことをいう。
薬学的調製物は、好ましくは単位剤形である。このような形態では、調製物は、適切な量の活性成分を含有する単位用量に小分割される。単位剤形は、バイアルまたはアンプル中に、小分けされた錠剤、カプセル、および粉末など、個別量の調製物を収容しているパッケージであるパッケージ調製物であってもよい。また、単位剤形は、それ自体カプセル剤、錠剤、カシェ剤、またはロゼンジであってもよく、または、適切な数の任意のこれらのパッケージ化形態であってもよい。
本発明の組成物がペプチド模倣大環状分子と1つ以上のさらなる治療剤または予防剤の組合せを含む場合、化合物およびさらなる薬剤の両方は、単独療法レジメンにおいて通常投与される投薬量の約1〜100%、およびより好ましくは約5〜95%の投薬量レベルで存在するべきである。いくつかの実施形態において、さらなる薬剤は、反復投与レジメンの一部として、本発明の化合物とは別々に投与される。あるいは、これらの薬剤は1つの剤形の一部であり、1つの組成物中で本発明の化合物と一緒に混合される。
使用方法
一局面において、本発明は、ペプチド模倣大環状分子がモデリングされる際にタンパク質またはペプチドの天然リガンド(単数または複数)に結合する因子を特定するための競合的結合アッセイにおいて有用である、新規なペプチド模倣大環状分子を提供する。例えば、p53MDM2系において、p53に基づく標識され安定化されたペプチド模倣大環状分子を、競合的にMDM2に結合する低分子とともにMDM2結合アッセイにおいて用いる。競合的結合研究によって、p53/MDM2系に特異的な薬物候補の迅速なインビトロ評価および決定が可能になる。同様に、BH3/BCL−X抗アポトーシス系では、BH3に基づく標識されたペプチド模倣大環状分子を、競合的にBCL−Xに結合する低分子とともにBCL−X結合アッセイにおいて用いてもよい。競合的結合研究によって、BH3/BCL−X系に特異的な薬物候補の迅速なインビトロ評価および決定が可能になる。本発明はさらに、ペプチド模倣大環状分子に対する抗体の産生を提供する。いくつかの実施形態において、これらの抗体は、ペプチド模倣大環状分子、およびそのペプチド模倣大環状分子が誘導されるp53またはBH3ペプチド模倣大環状分子前駆体の両方に特異的に結合する。そのような抗体は、例えば、p53/MDM2系またはBH3/BCL−XL系をそれぞれ妨害する。
他の局面において、本発明は、異常な(例えば、不十分なまたは過剰な)BCL−2ファミリーメンバーの発現または活性(例えば、外因性または内因性アポトーシス経路異常)に関連する障害のリスクがある(または罹患しやすい)か、または障害を有する被験体を処置するための予防方法および治療方法の両方を提供する。いくつかのBCL−2型障害は、少なくとも一部は、1つ以上のBCL−2ファミリーメンバーの異常レベル(例えば、過剰または過少発現)によって、または異常な活性を示す1つ以上のBCL−2ファミリーメンバーの存在によって引き起こされると考えられている。そのように、BCL−2ファミリーメンバーのレベルおよび/または活性の減少あるいはBCL−2ファミリーメンバーのレベルおよび/または活性の増強は、例えば、障害の有害な症状を改善または減少させるために用いられる。
別の局面において、本発明は、腫瘍細胞においてp53とMDM2との間の相互作用または結合を妨害することによって、過剰増殖性疾患を処置または予防するための方法を提供する。これらの方法は、ヒトを含む温血動物に対して、または野性型のp53を含む腫瘍細胞に対して、本発明の化合物の有効量を投与する工程を包含する。いくつかの実施形態では、本発明の化合物の投与は、細胞増殖停止またはアポトーシスを誘導する。他の実施形態またはさらなる実施形態では、本発明を用いて、MDM2レベルの上昇を含む疾患および/または腫瘍細胞を処置する。本明細書において用いる場合、MDM2のレベルの上昇とは、ELISAおよび同様のアッセイによって測定した場合、mdm2の正常なコピー数(2)より多く、または1細胞あたり約10,000個を超えるMDM2分子を含む細胞中で見出されるより大きいMDM2レベルを指す(Picksleyら、(1994),Oncogene 9,2523 2529)。
本明細書において使用される場合、「処置」という用語は、疾患、疾患の症状または疾患に対する素因を、回復させる、治癒する、軽減する、緩和する、変化させる、治す、改善する、好転させる、または影響を与えるという目的で、その疾患、疾患の症状または疾患に対する素因を有する患者への治療剤の適用もしくは投与、または、その患者から単離した組織もしくは細胞系統への治療剤の適用もしくは投与として定義される。
いくつかの実施形態において、本発明のペプチド模倣大環状分子を用いて、癌および腫瘍性の状態を処置、予防、および/または診断する。本明細書において用いる場合、「癌」、「過剰増殖性」および「腫瘍性」という用語は、自律的増殖能、すなわち、迅速に増殖する細胞増殖によって特徴付けられる異常な状況または状態を有する細胞のことをいう。過剰増殖性疾患および腫瘍性疾患の状況は、病的なもの、すなわち、疾患状況を特徴付けているかまたは構成しているものとして分類してもよいし、または非病的なもの、すなわち、正常な状況から逸脱しているが疾患状況を伴わないものとして分類してもよい。この用語は、組織病理学的タイプまたは侵襲性のステージに関係なく、全てのタイプの癌増殖または腫瘍形成過程、転移組織または悪性に形質転換した細胞、組織、もしくは器官を含むことを意味する。転移性腫瘍は、***、肺、肝臓、結腸および卵巣の起源の腫瘍を含むがこれらに限定されない、複数の原発性腫瘍型から生じる可能性がある。「病的過剰増殖性」細胞は、悪性腫瘍増殖によって特徴付けられる疾患状況において発生する。非病的な過剰増殖性細胞の例としては、創傷回復に伴う細胞の増殖が挙げられる。細胞増殖性障害および/または分化性障害の例としては、癌、例えば、癌腫、肉腫、または転移性障害が挙げられる。いくつかの実施形態において、ペプチド模倣大環状分子は、乳癌、卵巣癌、結腸癌、肺癌、そのような癌の転移などを制御するための新規な治療剤である。
癌または腫瘍形成病態の例としては、限定するものではないが、線維肉腫、筋肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、胃癌、食道癌、直腸癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、子宮癌、頭頸部癌、皮膚癌、脳腫瘍、扁平上皮癌、皮脂腺腺癌(sebaceous gland carcinoma)、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、グリオーマ、星状膠細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽腫、網膜芽腫、白血病、リンパ腫、またはカポジ肉腫が挙げられる。
増殖性障害の例としては、造血性新形成障害が挙げられる。本明細書において用いられる場合、「造血性新形成障害」という用語は、造血起源の、例えば、骨髄系、リンパ系または赤血球系、またはこれらの前駆体細胞から生じる、過形成/新形成細胞を伴う疾患を包含する。好ましくは、その疾患は、低分化急性白血病、例えば、赤芽球性白血病および急性巨核芽球性白血病から生じる。さらなる例示的な骨髄障害としては、急性前骨髄性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)および慢性骨髄性白血病(CML)(Vaickus(1991)、Crit Rev.Oncol./Hemotol.11:267〜97に概説されている)が挙げられるがこれらに限定されず;リンパ性悪性疾患としては、限定するものではないが、B細胞系ALLおよびT細胞系ALLを含む急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ性白血病(PLL)、ヘアリー細胞白血病(HLL)およびワルデンストロームマクログロブリン血症(WM)が挙げられる。悪性リンパ腫のさらなる形態としては、限定するものではないが、非ホジキンリンパ腫およびその変種、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大顆粒リンパ性白血病(LGF)、ホジキン病およびReed−Stemberg病が挙げられる。
***の細胞増殖障害および/または細胞分化障害の例としては、限定するものではないが、増殖性***疾患、例としては、例えば、上皮過形成、硬化性腺症、および小管乳頭腫;腫瘍、例えば、線維腺腫、葉状腫瘍、および肉腫などの間質性腫瘍、ならびに大管乳頭腫などの上皮腫瘍;上皮内腺管癌(ductal carcinoma in situ)(パジェット病を含む)および上皮内小葉癌を含む上皮内(非侵襲性)癌を含む***の癌、ならびに、侵襲性腺管癌、侵襲性小葉癌、髄様癌、膠様(粘液性)癌、管状癌、および侵襲性乳頭状癌を含むがこれらに限定されない侵襲性(浸潤性)癌、ならびに混合型悪性新生物が挙げられる。男性***における障害としては、女性化***および癌腫を含むがこれらに限定されない。
肺の細胞増殖障害および/または細胞分化障害の例としては、限定するものではないが、気管支原性癌、例としては、腫瘍随伴症候群、細気管支肺胞癌、神経内分泌腫瘍、例えば、気管支カルチノイド、混合型腫瘍、および転移性腫瘍;肋膜の病理、例としては、炎症性胸水、非炎症性胸水、気胸、および胸膜腫瘍、例としては、孤立性線維性腫瘍(胸膜線維腫)および悪性中皮腫が挙げられる。
結腸の細胞増殖障害および/または細胞分化障害の例としては、限定するものではないが、非新形成ポリープ、腺腫、家族性症候群、結腸直腸発癌、結腸直腸がん、およびカルチノイド腫瘍が挙げられる。
肝臓の細胞増殖障害および/または細胞分化障害の例としては、限定するものではないが、結節性過形成、腺腫、ならびに悪性腫瘍、例としては、肝臓の原発性がんおよび転移性腫瘍が挙げられる。
卵巣の細胞増殖障害および/または細胞分化障害の例としては、限定するものではないが、卵巣腫瘍、例えば、体腔上皮の腫瘍、漿液性腫瘍、粘液性腫瘍、子宮内膜性腫瘍、明細胞腺癌、嚢胞性線維腺腫(cystadenofibroma)、ブレンナー腫瘍、表層上皮腫瘍;胚細胞腫瘍、例えば、成熟型(良性)奇形腫、単胚葉性奇形腫(monodermal teratoma)、未熟型悪性奇形腫、未分化胚細胞種、内胚葉洞腫瘍、絨毛癌;性索間質性腫瘍、例えば、顆粒膜夾膜細胞腫、莢膜細胞腫線維腫(thecomafibroma)、アンドロブラストーマ、ヒル(hill)細胞腫瘍、および性腺芽腫;ならびに転移性腫瘍、例えば、クルーケンベルグ腫瘍が挙げられる。
他の実施形態またはさらなる実施形態では、本明細書に記載のペプチド模倣大環状分子を用いて、過活動性細胞死または生理的傷害などによる細胞死によって特徴付けられる病態を処置、予防または診断する。早発性のまたは望ましくない細胞死によって特徴付けられる病態、またはあるいは望ましくないまたは過剰な細胞増殖のいくつかの例としては、限定するものではないが、細胞低形成性(hypocellular)/低形成性、無細胞性/無形成性、または細胞過形成性(hypercellular)/過形成性の病態が挙げられる。いくつかの例としては、血液系の障害、例としては、限定するものではないが、ファンコニ−貧血、再生不良性貧血、サラセミア、先天性好中球減少症、骨髄異形成が挙げられる。
他の実施形態またはさらなる実施形態において、アポトーシスを減少させるように作用する本発明のペプチド模倣大環状分子を用いて、望ましくないレベルの細胞死に関連する障害を処置する。従って、いくつかの実施形態において、本発明の抗アポトーシスペプチド模倣大環状分子を用いて、ウイルス感染、例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染に関連する感染に伴う細胞死を引き起こすものなどの障害を処置する。広範な神経系の疾患が、特定のセットのニューロンの逐次の消失によって特徴付けられ、本発明の抗アポトーシスペプチド模倣大環状分子は、いくつかの実施形態においてこれらの障害の処置に用いられる。そのような障害としては、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋委縮性側索硬化症(ALS)色素性網膜炎、脊髄性筋委縮症、および種々の形態の小脳変性症が挙げられる。これらの疾患における細胞消失は、炎症応答を引き起こさず、アポトーシスが細胞死の機構であるようである。加えて、いくつかの血液系疾患が、血球の産生減少と関連している。これらの障害としては、慢性疾患に伴う貧血、再生不良性貧血、慢性好中球減少症、および骨髄異形成症候群が挙げられる。骨髄異形成症候群および一部の形態の再生不良性貧血などの血球産生の障害は、骨髄内のアポトーシス細胞死の増加と関連している。これらの障害は、アポトーシスを促進する遺伝子の活性化、間質細胞もしくは造血性生存因子の後天性欠乏、または毒素および免疫応答のメディエーターの直接的作用に起因する可能性がある。細胞死と関連する2つのよく見られる障害は、心筋梗塞および脳卒中(stroke)である。両方の障害において、急激な血流の喪失という事象において生じる虚血の中心部内の細胞は、壊死の結果として迅速に死滅するように見える。しかしながら、中心虚血領域の外部では、細胞はより長い期間にわたって死滅し、形態学的にはアポトーシスによって死滅するように見える。他の実施形態またはさらなる実施形態では、本発明の抗アポトーシスペプチド模倣大環状分子を用いて、望ましくない細胞死に関連する全てのこのような障害を処置する。
本明細書に記載のペプチド模倣大環状分子で処置される免疫障害のいくつかの例としては、限定するものではないが、臓器移植拒絶反応、関節炎、狼瘡、IBD、クローン病、喘息、多発性硬化症、糖尿病などが挙げられる。
本明細書に記載のペプチド模倣大環状分子で処置される神経障害のいくつかの例としては限定するものではないが、アルツハイマー病、ダウン症候群、オランダ型遺伝性脳出血アミロイドーシス、反応性アミロイドーシス、蕁麻疹および難聴を伴う家族性アミロイド腎症、マックルウェルズ症候群、特発性骨髄腫;マクログロブリン血症随伴性骨髄腫、家族性アミロイド多発性神経炎、家族性アミロイド心筋症、孤立性心アミロイド、全身性老人性アミロイドーシス、成人発症糖尿病、インスリノーマ、孤立性心房性アミロイド、甲状腺の髄様癌、家族性アミロイドーシス、アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、家族性アミロイド性多発性ニューロパシー、スクレイピー、クロイツフェルトヤコブ病、ゲルストマンストロイスラー−シャインカー症候群、ウシ海綿状脳症、プリオン媒介疾患、およびハンチントン病が挙げられる。
本明細書に記載のペプチド模倣大環状分子で処置される内分泌障害のいくつかの例としては、限定するものではないが、糖尿病、甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症、副甲状腺機能低下症、性機能低下症などが挙げられる。
本発明のペプチド模倣大環状分子で処置または予防される心臓血管障害(例えば、炎症性障害)の例としては、限定するものではないが、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、発作(stroke)、血栓症、動脈瘤、心不全、虚血性心疾患、狭心症、心臓突然死、高血圧性心疾患;細動脈硬化症、小血管疾患、腎症、高グリセリド血症、高コレステロール血症、高脂血症、黄色腫症、喘息、高血圧症、気腫および慢性肺疾患などの非冠動脈疾患;あるいは血管形成術後の再狭窄、シャント、ステント、合成もしくは天然切除移植片、留置カテーテル、弁または別の移植可能なデバイスの留置などの介入処置を伴う心臓血管状態(「処置による血管外傷」)が挙げられる。好ましい心臓血管障害としては、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、動脈瘤、および発作が挙げられる。
以下の節では、本発明の例示的実施例を提供する。
実施例1.α,α−二置換アミノ酸の調製
1−アジド−n−ヨード−アルカン1。DMF(20ml)中の1−ヨード−n−クロロ−アルカン(8.2mmol)に、アジ化ナトリウム(1.2当量)を添加し、反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。次いで、反応混合物をジエチルエーテルと水とで希釈した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空濃縮し、1−アジド−n−クロロ−アルカンを得た。このアジドをアセトン(40ml)で希釈し、ヨウ化ナトリウム(1.5当量)を添加した。この溶液を60℃で一晩加熱した。その後、反応混合物を水で希釈し、生成物をジエチルエーテルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空濃縮した。生成物1を、中性アルミナプラグに通すことにより精製した。全収率:65%。1−アジド−3−ヨード−プロパン:H NMR (CDCl) δ:2.04 (q, 2H, CH); 3.25 (t, 2H, CHI); 3.44 (t, 2H, CH)。1−アジド−5−ヨード−ペンタン:H NMR (CDCl) δ:1.50 (m, 2H, CH); 1.62 (m, 2H, CH); 1.86 (m, 2H, CH); 3.19 (t, 2H, CHI); 3.29 (t, 2H, CH)。
αMe−Sn−アジド−Ni−S−BPB(R=Me),2。S−Ala−Ni−S−BPB(10.0mmol)とKO−tBu(1.5当量)に、アルゴン下で45mLのDMFを添加した。化合物1(1.5当量)のDMF(4.0mL)溶液をシリンジによって添加した。反応混合物を周囲温度で1時間撹拌した。次いで、この溶液を5%水性酢酸でクエンチし、水で希釈した。油状生成物を濾過によって回収し、水で洗浄した。所望の生成物2を順相でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し(アセトンとジクロロメタンとを溶離剤として使用)、赤色固形物を得た(55%収率)。αMe−S3−アジド−Ni−S−BPB(2,R=Me,n=3):M+H計算値.595.19,M+H観測値.595.16;H NMR (CDCl) δ:1.25 (s, 3H, Me (αMe−S3−アジド)); 1.72−1.83 (m, 2H, CH); 2.07 (m, 2H, CH); 2.17 (m, 1H, CH); 2.48 (m, 2H, CH); 2.67 (m, 1H, CH); 3.27 (m, 2H, CH); 3.44 (m, 2H, CH); 3.64 (m, 1H, CHα); 3.68および4.47(AB系, 2H, CH(ベンジル), J= 12.8Hz); 6.62−6.64 (m, 2H); 7.05 (d, 1H); 7.13 (m, 1H); 7.30 (m, 2H); 7.28−7.32 (m, 2H); 7.38−7.42 (m, 3H); 7.47−7.50 (m, 2H); 8.01 (d, 1H); 8.07 (m, 2H)。
Sn−アジド−Ni−S−BPB(R=H),2。Gly−Ni−S−BPB(10.0mmol)とKO−tBu(1.5当量)に、アルゴン下で45mLのDMFを添加した。化合物1(1.5当量)のDMF(4.0mL)溶液をシリンジによって添加した。反応混合物を周囲温度で1時間撹拌した。次いで、この溶液を5%水性酢酸でクエンチし、水で希釈した。油状生成物を濾過によって回収し、水で洗浄した。所望の生成物2を順相でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し(アセトンとジクロロメタンとを溶離剤として使用)、赤色固形物を得た(55%収率)。S3−アジド−Ni−S−BPB(2,R=H,n=3):M+H計算値.581.17,M+H観測値.581.05;H NMR (CDCl) δ:1.72 (m, 2H, CH); 2.07 (m, 1H, CH); 2.16 (m, 3H, CH); 2.53 (m, 1H, CH); 2.75 (m, 1H, CH); 3.08 (m, 1H, CH); 3.22 (m, 1H, CH); 3.49 (m, 2H, CH); 3.59 (m, CHα); 3.58および4.44(AB系, 2H, CH(ベンジル)); 3.87 (m, CHα’); 6.64 (m, 2H); 6.96 (d, 1H); 7.14−7.19 (m, 2H); 7.35 (m, 2H); 7.51 (m, 4H); 8.04 (d, 2H); 8.12 (d, 1H)。
Fmoc−αMe−Sn−アジド−OH(R=Me),3。3N HCl/MeOH(1/1,12mL)溶液に、70℃で、化合物2(1.65mmol)のMeOH(3ml)溶液を滴下した。出発物質は10〜20分以内に消失した。次いで、緑色の反応混合物を真空濃縮した。粗製残渣を10%水性NaCO(16ml)で希釈し、氷浴で0℃まで冷却した。アセトン(16ml)に溶解させたFmoc−OSu(1.1当量)を添加し、反応液を、撹拌しながら一晩、周囲温度まで昇温させた。その後、反応液を酢酸エチルと1N HClとで希釈した。有機層を1N HClで洗浄した(3回)。次いで、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空濃縮した。所望の生成物3を順相で精製し(メタノールとジクロロメタンとを溶離剤として使用)、粘性油状物を得た(両工程の全収率36%)。Fmoc−αMe−S3−アジド−OH(2,R=Me,n=3):M+H計算値.395.16,M+H観測値.395.12;H NMR(CDCl) δ:0.85(bs, 1H, CH); 1.10 (bs, 1H, CH); 1.61 (s, 3H, Me (αMe−S3−アジド)); 1.98 (bs, 1H, CH); 2.22 (bs, 1H, CH); 3.27 (bs, 2H, CH); 4.21 (m, 1H, CH); 4.42 (bs, 2H, CH); 5.53 (s, 1H, NH); 7.33 (m, 2H); 7.40 (m, 2H); 7.57 (m, 2H); 7.77 (d, 2H)。
Fmoc−Sn−アジド−OH(R=H),3。3N HCl/MeOH(1/1,12mL)溶液に、70℃で、化合物2,R=H(1.65mmol)のMeOH(3ml)溶液を滴下した。出発物質は10〜20分以内に消失した。次いで、緑色の反応混合物を真空濃縮した。粗製残渣を10%水性NaCO(16ml)で希釈し、氷浴で0℃まで冷却した。アセトン(16ml)に溶解させたFmoc−OSu(1.1当量)を添加し、反応液を、撹拌しながら一晩、周囲温度まで昇温させた。その後、反応液を酢酸エチルと1N HClとで希釈した。有機層を1N HClで洗浄した(3回)。次いで、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空濃縮した。所望の生成物3を順相で精製し(メタノールとジクロロメタンとを溶離剤として使用)、粘性油状物を得た(両工程の全収率36%)。Fmoc−S3−アジド−OH(2,R=H,n=3):M+H計算値.381.15,M+H観測値.381.07;H NMR (CDCl) 1.66 (bs, 2H, CH); 1.78 (bs, 1H, CH); 1.99 (bs, 1H, CH2); 3.12 (1H, CHα); 3.32 (bs, 2H, CH); 4.21 (m, 1H, CH); 4.43 (bs, 2H, CH); 5.37 (s, 1H, NH); 7.31 (m, 2H); 7.40 (m, 2H); 7.58 (m, 2H); 7.77 (d, 2H).
(n+2)−ヨード−1−アルキン,4。(n+2)−クロロ−1−アルキン(47.8mmol)のアセトン(80mL)溶液に、ヨウ化ナトリウム(2当量)を添加した。反応液を60℃で一晩加熱した。その後、反応液を水で希釈し、生成物をジエチルエーテルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空濃縮した。生成物5を、中性アルミナプラグに通すことにより精製した。収率:92%.5−ヨード−1−アルキン(n=3):H NMR (CDCl) 2.00 (m, 3H, CH+CH); 2.34 (m, 2H, CH); 3.31 (t, 2H, CH)。
αMe−S(n+2)−アルキン−Ni−S−BPB(R=Me),5。S−Ala−Ni−S−BPB(10.0mmol)とKO−tBu(1.5当量)に、アルゴン下で45mLのDMFを添加した。化合物4(1.5当量)のDMF(4.0mL)溶液をシリンジによって添加した。反応液を周囲温度で1時間撹拌した。次いで、反応液を5%水性酢酸でクエンチし、水で希釈した。油状生成物を濾過によって回収し、水で洗浄した。所望の生成物5を順相でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し(アセトンとジクロロメタンとを溶離剤として使用)、赤色固形物を得た(55%収率)。αMe−S5−アルキン−Ni−S−BPB(5,R=Me,n=3):M+H計算値.578.19,M+H観測値.578.17;H NMR (CDCl) δ:1.21 (s, 3H, Me (αMe−S5−アルキン)); 1.62 (1H, CH, アセチレン); 1.77 (m, 1H, CH); 1.92 (m, 1H, CH); 2.05 (m, 2H, CH); 2.21 (m, 2H, CH); 2.33 (m, 1H, CH); 2.51 (m, 2H, CH); 2.70 (m, 1H, CH); 3.23 (m, 1H, CHα); 3.44 (m, 1H, CH); 3.66 (m, 1H, CH); 3.69および4.49(AB系, 2H, CH(ベンジル)); 6.64 (m, 2H); 7.05−7.13 (m, 2H); 7.27−7.31 (m, 2H); 7.40 (m, 3H); 7.47 (m, 2H); 8.00 (d, 1H); 8.06 (m, 2H)。
S(n+2)−アルキン−Ni−S−BPB(R=H),5。Gly−Ni−S−BPB(10.0mmol)とKO−tBu(1.5当量)に、アルゴン下で45mLのDMFを添加した。化合物4(1.5当量)のDMF(4.0mL)溶液をシリンジによって添加した。反応液を周囲温度で1時間撹拌した。次いで、反応液を5%水性酢酸でクエンチし、水で希釈した。油状生成物を濾過によって回収し、水で洗浄した。所望の生成物5を順相でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し(アセトンとジクロロメタンとを溶離剤として使用)、赤色固形物を得た(55%収率)。S5−アルキン−Ni−S−BPB(5,R=H,n=3):M+H計算値.564.17,M+H観測値.564.15;H NMR (CDCl) δ: 1.75 (m, 2H, CH); 1.95 (m, 1H, CH, アセチレン); 2.06 (m, 2H, CH); 2.16 (m, 2H, CH); 2.30 (m, 1H, CH); 2.52 (m, 1H, CH); 2.77 (m, 1H, CH); 3.49 (m, 2H, CH); 3.59 (m, 1H, CHα); 3.88 (m, 1H, CHα’); 3.58および4.43(AB系, 2H, CH(ベンジル)); 6.63 (m, 2H); 6.96 (d, 1H); 7.14−7.19 (m, 2H); 7.34 (m, 2H); 7.44 (m, 1H); 7.49 (m, 3H); 8.05 (d, 2H); 8.12 (d, 1H)。
Fmoc−αMe−S(n+2)−アルキン−OH(R=Me),6。3N HCl/MeOH(1/1,18mL)溶液に、70℃で、化合物5,R=Me(2.4mmol)のMeOH(4ml)溶液を滴下した。出発物質は5〜10分以内に消失した。この緑色の溶液を、次いで真空濃縮した。粗製残渣を10%水性NaCO(24ml)で希釈し、氷浴で0℃まで冷却した。ジオキサン(24ml)に溶解させたFmoc−OSu(1.1当量)を添加し、反応液を、撹拌しながら一晩、周囲温度まで昇温させた。その後、反応液を酢酸エチルと1N HClとで希釈した。有機層を1N HClで洗浄した(3回)。次いで、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空濃縮した。所望の生成物6を、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製(メタノールとジクロロメタンとを溶離剤として使用)した後に単離し、粘性油状物(これは放置すると固化する)を得た(60%収率)。Fmoc−αMe−S5−アルキン−OH(6,R=Me,n=3):M+H計算値.378.16,M+H観測値.378.15;H NMR (CDCl) δ:1.42(bs, 1H, CH); 1.54 (bs, 1H, CH); 1.61 (s, 3H, Me (αMe−S3−アジド)); 1.96 (bs, 2H, CH); 2.20 (bs, 3H, CH+CHアセチレン); 4.21 (m, 1H, CH); 4.42 (bs, 2H, CH); 5.51 (s, 1H, NH); 7.32 (m, 2H); 7.40 (m, 2H); 7.59 (d, 2H); 7.77 (d, 2H)。
Fmoc−S(n+2)−アルキン−OH(R=H),6。3N HCl/MeOH(1/1,18mL)溶液に、70℃で、化合物5,R=H(2.4mmol)のMeOH(4ml)溶液を滴下した。出発物質は5〜10分以内に消失した。この緑色の溶液を、次いで真空濃縮した。粗製残渣を10%水性NaCO(24ml)で希釈し、氷浴で0℃まで冷却した。ジオキサン(24ml)に溶解させたFmoc−OSu(1.1当量)を添加し、反応液を、撹拌しながら一晩、周囲温度まで昇温させた。その後、反応液を酢酸エチルと1N HClとで希釈した。有機層を1N HClで洗浄した(3回)。次いで、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空濃縮した。所望の生成物6を、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製(メタノールとジクロロメタンとを溶離剤として使用)した後に単離し、粘性油状物(これは放置すると固化する)を得た(60%収率)。Fmoc−S5−アルキン−OH(6,R=H,n=3):M+H計算値.364.15,M+H観測値.364.14;H NMR (CDCl) δ:1.48−1.62(m, 3H, CH); 1.81 (m, 1H, CH); 1.98 (m, 1H, CH); 1.99−2.11 (m, 1H, CH); 2.24 (m, 1H, CHアセチレン); 4.21 (m, 1H, CH); 4.42 (bs, 2H, CH); 5.51 (s, 1H, NH); 7.32 (m, 2H); 7.40 (m, 2H); 7.59 (d, 2H); 7.77 (d, 2H)。
αMe−S(n+2)−アルケン−Ni−S−BPB(R=Me),7。S−Ala−Ni−S−BPB(10.0mmol)とKO−tBu(2当量)に、アルゴン下で45mLのDMFを添加した。1−ブロモ−n−アルケン(1.5当量)のDMF(4.0mL)溶液をシリンジによって添加した。反応液を周囲温度で1時間撹拌した。次いで、反応液を5%水性酢酸でクエンチし、水で希釈した。油状生成物を濾過によって回収し、水で洗浄した。所望の生成物7を順相でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し(アセトンとジクロロメタンとを溶離剤として使用)、赤色固形物を得た(55%収率)。αMe−S5−アルケン−Ni−S−BPB(7,R=Me,n=3):M+H計算値.580.20,M+H観測値.580.17;H NMR (CDCl) δ:1.23 (s, 3H, Me (αMe−S5−アルケン)); 1.69 (m, 3H, CH); 2.0−2.14 (m, 5H, CH); 2.37−2.53 (m, 1H, CH); 2.69 (m, 1H, CH); 3.26 (m, 1H, CH); 3.43 (m, 1H, CH); 3.64 (m, 1H, CHα); 3.70および4.50(AB系, 2H, CH(ベンジル), J= 12.8Hz); 5.0−5.10 (m, 2H, CHアルケン); 5.85 (m, 1H, CHアルケン); 6.63 (m, 2H); 6.96 (d, 1H); 7.12 (m, 1H); 7.27−7.32 (m, 2H); 7.38−7.42 (m, 3H); 7.47−7.50 (m, 2H); 7.99 (d, 1H); 8.06 (m, 2H).αMe−S8−アルケン−Ni−S−BPB(7,R=Me,n=6):M+H計算値.622.25,M+H観測値.622.22;H NMR (CDCl) δ:1.24 (s, 3H, Me (αMe−S8−アルケン)); 1.29−1.44 (m, 5H, CH); 1.56−1.74 (m, 3H, CH); 2.06 (m, 5H, CH); 2.32−2.51 (m, 2H, CH); 2.68 (m, 1H, CH); 3.28 (m, 1H, CH); 3.42 (m, 1H, CH); 3.62 (m, 1H, CHα); 3.70および4.50(AB系,2H, CH(ベンジル), J= 12.8Hz); 4.92−5.02 (m, 2H, CHアルケン); 5.76−5.85 (m, 1H, CHアルケン); 6.63 (m, 2H); 6.96 (d, 1H); 7.12 (m, 1H); 7.27−7.33 (m, 2H); 7.38−7.42 (m, 3H); 7.45−7.51 (m, 2H); 7.99 (d, 1H); 8.06 (m, 2H)。
Gly−Ni−S−BPB(10.0mmol)とKO−tBu(2当量)に、アルゴン下で45mLのDMFを添加した。1−ブロモ−n−アルケン(1.5当量)のDMF(4.0mL)溶液をシリンジによって添加した。反応液を周囲温度で1時間撹拌した。次いで、反応液を5%水性酢酸でクエンチし、水で希釈した。油状生成物を濾過によって回収し、水で洗浄した。所望の生成物7を順相でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し(アセトンとジクロロメタンとを溶離剤として使用)、赤色固形物を得た(55%収率)。S5−アルケン−Ni−S−BPB(7,R=H,n=3):M+H計算値.566.19,M+H観測値.566.17;H NMR (CDCl) δ:1.69 (m, 3H, CH); 1.90−2.23 (m, 5H, CH); 2.52 (m, 1H, CH); 2.75 (m, 1H, CH); 3.44−3−49 (m, 2H, CH); 3.50 (m, 1H, CHα); 3.90 (m, 1H, CHα’); 3.58および4.44(AB系,2H, CH(ベンジル)); 4.97 (m, 2H, CHアルケン); 5.72 (m, 1H, CHアルケン); 6.64 (m, 2H); 6.91 (d, 1H); 7.14−7.20 (m, 2H); 7.34 (m, 2H); 7.44−7.49 (m, 4H); 8.04 (d, 2H); 8.12 (d, 1H)。
Fmoc−αMe−S(n+2)−アルケン−OH(R=Me),8。1/1 3N HCl/MeOH溶液(18mL)に、70℃で、化合物7,R=Me(2.4mmol)のMeOH(4ml)溶液を滴下した。出発物質は5〜10分以内に消失した。この緑色の溶液を、次いで真空濃縮した。粗製残渣を10%水性NaCO(24ml)で希釈し、氷浴で0℃まで冷却した。アセトン(24ml)に溶解させたFmoc−OSu(1.1当量)を添加し、反応液を、撹拌しながら一晩、周囲温度まで昇温させた。その後、反応液を酢酸エチルと1N HClとで希釈した。有機層を1N HClで洗浄した(3回)。次いで、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空濃縮した。所望の生成物8を、順相でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製(メタノールとジクロロメタンとを溶離剤として使用)した後に単離し、粘性油状物(これは放置すると固化する)を得た(75%収率)。Fmoc−αMe−S5−アルケン−OH(8,R=Me,n=3):M+H計算値.380.18,M+H観測値.380.16;H NMR (CDCl) δ:1.26−1.41(m, 3H, CH); 1.61 (bs, 3H, αMe); 1.86 (bs, 1H); 2.05 (m, 2H, CH); 4.22 (m, 1H, CH (Fmoc)); 4.40 (bs, 2H, CH(Fmoc)); 4.97 (m, 2H, CHアルケン); 5.53 (bs, 1H, NH); 5.75 (m, 1H, CHアルケン); 7.29−7.33 (m, 2H); 7.38−7.42 (m, 2H); 7.59 (d, 2H); 7.76 (d, 2H).Fmoc−αMe−S8−アルケン−OH(8,R=Me,n=6):M+H計算値.422.23,M+H観測値.422.22;H NMR (CDCl) δ:1.28(m, 9H, CH); 1.60 (bs, 3H, αMe); 1.83 (bs, 1H); 2.01 (m, 2H, CH); 4.22 (m, 1H, CH (Fmoc)); 4.39 (bs, 2H, CH(Fmoc)); 4.90−5.00 (m, 2H, CHアルケン); 5.49 (bs, 1H, NH); 5.75−5.82 (m, 1H, CHアルケン); 7.29−7.33 (m, 2H); 7.38−7.42 (m, 2H); 7.59 (d, 2H); 7.77 (d, 2H)。
Fmoc−S(n+2)−アルケン−OH(R=H),8。1/1 3N HCl/MeOH溶液(18mL)に、70℃で、化合物7,R=H(2.4mmol)のMeOH(4ml)溶液を滴下した。出発物質は5〜10分以内に消失した。この緑色の溶液を、次いで真空濃縮した。粗製残渣を10%水性NaCO(24ml)で希釈し、氷浴で0℃まで冷却した。アセトン(24ml)に溶解させたFmoc−OSu(1.1当量)を添加し、反応液を、撹拌しながら一晩、周囲温度まで昇温させた。その後、反応液を酢酸エチルと1N HClとで希釈した。有機層を1N HClで洗浄した(3回)。次いで、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空濃縮した。所望の生成物8を、順相でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製(メタノールとジクロロメタンとを溶離剤として使用)した後に単離し、粘性油状物(これは放置すると固化する)を得た(75%収率)。Fmoc−S5−アルケン−OH(8,R=H,n=3):M+H計算値.365.16,M+H観測値.365.09;H NMR (CDCl) δ:1.48(m, 2H, CH); 1.72 (m, 1H); 1.91 (m, 1H, CH); 2.09 (m, 2H); 4.23 (m, 1H, CH (Fmoc)); 4.42 (m, 2H, CH(Fmoc)); 5.00 (m, 3H, CHアルケン + CHα); 5.22 (d, 1H, NH); 5.76 (m, 1H, CHアルケン); 7.31 (m, 2H); 7.40 (m, 2H); 7.59 (d, 2H); 7.76 (d, 2H)。
αMe−S−Ser−Ni−S−BPB,9。KOH(7.5当量)のメタノール(20mL)溶液に、S−Ala−Ni−S−BPB(4mmol)とパラホルムアルデヒド(20当量)を室温で添加した。反応混合物を一晩撹拌し、酢酸で中和した。次いで、水を添加してジアステレオ異性体の混合物を沈殿させた。沈殿は一晩で完了させた。沈殿物を濾別し、水で洗浄し、真空乾燥させた。ジアステレオ異性体(S,S)9を順相でのフラッシュクロマトグラフィーによって単離した(アセトンとジクロロメタンとを溶離剤として使用)。化合物9は赤色固形物である(収率33%)。M+H計算値.542.15,M+H観測値.542.09;H NMR (CDCl) δ:1.05 (s, 3H, Me(セリン)); 1.98 (m, 2H, CH); 2.39 (m, 1H, CH); 2.65 (m, 1H, CH); 3.41 (m, 2H, CH); 3.44 (m, 1H, CHα); 3.69 (m, 2H, CH(セリン)); 3.58および4.37(AB系,2H, CH(ベンジル), J= Hz); 6.60 (m, 1H); 6.67 (dd, 1H); 7.1 (m, 1H); 7.17 (d, 1H); 7.27 (m, 2H); 7.35−7.47 (m, 5H); 7.95 (dd, 1H); 8.09 (m, 2H)。
Boc−αMe−L−Ser−OH,10。3N HCl/MeOH(1/1,6ml)溶液に、70℃で、0.86mmolの化合物10(2mlのMeOHに溶解)を添加した。この溶液を、赤色が消失するまで70℃で15〜20分間撹拌した。この緑色の溶液を、次いで濃縮乾固した。水(3ml)を滴下して、BPB助剤のHCl塩を沈殿させた。濾液を除去し、白色固形物を、それぞれ1.5mlの水で2回洗浄した(BPB,HClの回収率85%)。合わせた濾液に、8当量の固体のNaCOを添加した後、2当量のEDTA二ナトリウム塩を添加した。反応液を室温で1時間撹拌した。溶液は青色になった。次いで、これを氷/水浴で0℃まで冷却し、1.1当量のBocO(6mlのジオキサンに溶解)を滴下した。反応液を一晩撹拌した。その後、これをジエチルエーテルと水とで希釈した。水層をジエチルエーテルで1回抽出した。水層を1N HClでpH=3に酸性化し、ジエチルエーテルで洗浄した(3回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空濃縮した。このBoc保護アミノ酸を、さらに精製を行なって(with any further purification)次の工程に使用した。M+H計算値.260.14,M+H観測値.260.12;H NMR (CDCl) δ:1.45(s, 9H, Boc); 1.50 (s, 3H, αMe(セリン)); 3.86 (m, 2H, CH); 5.48 (s, 1H, NH)。
Fmoc−αMe−L−Ser(Oアリル)−OH(n=1),11。10(2mmol)のDMF(10ml)溶液に、0℃で、NaH(2当量)と臭化アリル(1当量)とを添加した。この溶液を0℃で2時間撹拌した。反応液を酢酸エチルと水とで希釈した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空濃縮した。粗製物質をジクロロメタン(6mL)に溶解させ、この溶液にTFA(3mL)を添加した。反応液を1時間撹拌した。次いで、この溶液を濃縮乾固した。最後に、粗製物質を、NaHCOとアセトン(1/1,20mL)との水溶液に溶解させ、FmocOSu(1.1当量)を0℃で滴下した。反応液を一晩撹拌した。その後、この混合液をジエチルエーテルと水とで希釈した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空濃縮した。所望の生成物11を、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製(メタノールとジクロロメタンとを溶離剤として使用)した後に単離し、粘性油状物を得た(49%収率)。M+H計算値.382.16,M+H観測値.382.14;H NMR (CDCl) δ:1.62 (s, 3H, αMe(セリン)); 3.80 (bs, 2H, CH); 4.02 (bs, 2H, CH); 4.24 (m, 1H, CH); 4.40 (bs, 2H, CH); 5.23 (m, 2H, CH); 5.74 (s, 1H, NH); 5.84 (m, 1H, CH); 7.32 (m, 2H); 7.40 (m, 2H); 7.60 (d, 2H); 7.76 (d, 2H).
Fmoc−L−Ser(Oアリル)−OH,12。Boc−L−セリン(2mmol)のDMF(10ml)溶液に、0℃で、NaH(2当量)と臭化アリル(1当量)とを添加した。この溶液を0℃で2時間撹拌した。反応液を酢酸エチルと水とで希釈した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空濃縮した。粗製物質をジクロロメタン(6mL)に溶解させ、この溶液にTFA(3mL)を添加した。反応液を1時間撹拌した。次いで、この溶液を濃縮乾固した。最後に、粗製物質を、NaHCOとアセトン(1/1,20mL)との水溶液に溶解させ、FmocOSu(1.1当量)を0℃で滴下した。反応液を一晩撹拌した。その後、この混合液をジエチルエーテルと水とで希釈した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空濃縮した。所望の生成物12を、シリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製(メタノールとジクロロメタンとを溶離剤として使用)した後に単離し、粘性油状物を得た(69%収率)。M+H計算値.367.14,M+H観測値.367.12;H NMR (CDCl) δ:3.64(m, 1H, CHα); 3.88 (m, 1H, CH Fmoc); 3.96 (m, 2H, CHFmoc); 4.17 (m, 1H, CH); 4.36 (m, 2H, CH); 4.48 (m, 1H, CH); 5.14 (m, 2H, CH); 5.60 (d, 1H, NH); 5.79 (m, 1H, CH); 7.24 (m, 2H); 7.33 (m, 2H); 7.54 (m, 2H); 7.68 (d, 2H)。
αMe−Rn−アジド−Ni−R−BPB(R=Me),13。R−Ala−Ni−R−BPB(10.0mmol)とKO−tBu(1.5当量)に、アルゴン下で45mLのDMFを添加した。化合物1(1.5当量)のDMF(4.0mL)溶液をシリンジによって添加した。反応混合物を周囲温度で1時間撹拌した。次いで、この溶液を5%水性酢酸でクエンチし、水で希釈した。油状生成物を濾過によって回収し、水で洗浄した。所望の生成物13を順相でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し(アセトンとジクロロメタンとを溶離剤として使用)、赤色固形物を得た(55%収率)。αMe−R5−アジド−Ni−R−BPB(13,R=Me,n=5):M+H計算値.623.22,M+H観測値.623.19;H NMR (CDCl) δ:1.24 (s, 3H, Me (αMe−R5−アジド)); 1.33 (m, 2H, CH); 1.63 (m, 4H, CH); 2.05 (m, 3H, CH); 2.32 (m, 1H, CH); 2.48 (m, 1H, CH); 2.67 (m, 1H, CH); 3.28 (m, 3H, CH); 3.43 (m, 1H, CH); 3.63 (m, 1H, CHα); 3.71および4.50(AB系,2H, CHベンジル); 6.64 (m, 2H); 6.95 (d, 1H); 7.13 (m, 1H); 7.28−7.32 (m, 2H); 7.38−7.42 (m, 3H); 7.47−7.50 (m, 2H); 7.99 (d, 1H); 8.06 (d, 2H).αMe−R6−アジド−Ni−R−BPB(13,R=Me,n=6):M+H計算値.637.24,M+H観測値.637.22;H NMR (CDCl) δ:1.24 (s, 3H, Me (αMe−R6−アジド)); 1.33 (m, 2H, CH); 1.48 (m, 2H, CH); 1.63 (m, 4H, CH); 2.05 (m, 3H, CH); 2.32 (m, 1H, CH); 2.48 (m, 1H, CH); 2.67 (m, 1H, CH); 3.28 (m, 3H, CH); 3.43 (m, 1H, CH); 3.63 (m, 1H, CHα); 3.71および4.50(AB系,2H, CHベンジル); 6.64 (m, 2H); 6.95 (d, 1H); 7.13 (m, 1H); 7.28−7.32 (m, 2H); 7.38−7.42 (m, 3H); 7.47−7.50 (m, 2H); 7.99 (d, 1H); 8.06 (d, 2H)。
Rn−アジド−Ni−R−BPB(R=H),13。Gly−Ni−R−BPB(10.0mmol)とKO−tBu(1.5当量)に、アルゴン下で45mLのDMFを添加した。化合物1(1.5当量)のDMF(4.0mL)溶液をシリンジによって添加した。反応混合物を周囲温度で1時間撹拌した。次いで、この溶液を5%水性酢酸でクエンチし、水で希釈した。油状生成物を濾過によって回収し、水で洗浄した。所望の生成物13を順相でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し(アセトンとジクロロメタンとを溶離剤として使用)、赤色固形物を得た(55%収率)。R5−アジド−Ni−R−BPB(13,R=H,n=5):M+H計算値.609.20,M+H観測値.609.18;δ 1.18 (m, 2H, CH); 1.52 (m, 4H, CH); 2.06 (m, 3H, CH); 2.17 (m, 1H, CH); 2.53 (m, 1H, CH); 2.74 (m, 1H, CH); 3.20 (m, 2H, CH); 3.48 (m, 2H, CH); 3.55 (m, 1H, CHα); 3.90 (m, 1H, CHα’); 3.58および4.44(AB系,2H, CHベンジル); 6.63 (m, 2H); 6.92 (d, 1H); 7.11−7.21 (m, 2H); 7.27 (m, 1H); 7.32−7.36 (m, 2H); 7.46−7.50 (m, 3H); 8.04 (d, 2H); 8.11 (d, 1H).R6−アジド−Ni−R−BPB(13,R=H,n=6):M+H計算値.623.22,M+H観測値.623.19;H NMR (CDCl) δ:1.16 (m, 2H, CH); 1.32 (m, 2H, CH); 1.54 (m, 4H, CH); 2.05 (m, 3H, CH); 2.16 (m, 1H, CH); 2.53 (m, 1H, CH); 2.74 (m, 1H, CH); 3.22 (m, 2H, CH); 3.48 (m, 2H, CH); 3.58 (m, 1H, CHα); 3.90 (m, 1H, CHα’); 3.59および4.44(AB系,2H, CHベンジル); 6.63 (m, 2H); 6.92 (d, 1H); 7.11−7.21 (m, 2H); 7.27 (m, 1H); 7.32−7.36 (m, 2H); 7.45 (m, 1H); 7.50 (m, 2H); 8.04 (d, 2H); 8.11 (d, 1H)。
Fmoc−αMe−Rn−アジド−OH(R=Me),14。3N HCl/MeOH(1/1,12mL)溶液に、70℃で、化合物13,R=Me(1.65mmol)のMeOH(3ml)溶液を滴下した。出発物質は10〜20分以内に消失した。次いで、緑色の反応混合物を真空濃縮した。粗製残渣を10%水性NaCO(16ml)で希釈し、氷浴で0℃まで冷却した。アセトン(16ml)に溶解させたFmoc−OSu(1.1当量)を添加し、反応液を、撹拌しながら一晩、周囲温度まで昇温させた。その後、反応液を酢酸エチルと1N HClとで希釈した。有機層を1N HClで洗浄した(3回)。次いで、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空濃縮した。所望の生成物14を順相で精製し(メタノールとジクロロメタンとを溶離剤として使用)、粘性油状物を得た(両工程の全収率36%)。Fmoc−αMe−R5−アジド−OH(14,R=Me,n=5):M+H計算値.423.20,M+H観測値.423.34;H NMR (CDCl) δ:0.90(bs, 2H, CH); 1.36 (bs, 2H, CH); 1.56 (m, 2H); 1.60 (bs, 3H, Me (αMe−R5−アジド)); 1.86 (bs, 1H, CH); 2.15 (bs, 1H, CH); 3.23 (bs, 2H, CH); 4.22 (m, 1H, CH Fmoc); 4.40 (bs, 2H, CH Fmoc); 5.51 (bs, 1H, NH); 7.32 (m, 2H); 7.40 (m, 2H); 7.59 (d, 2H); 7.78 (d, 2H).Fmoc−αMe−R6−アジド−OH(14,R=Me,n=6):M+H計算値.437.21,M+H観測値.437.31;H NMR (CDCl) δ:0.90(bs, 2H, CH); 1.32 (bs, 4H, CH); 1.56 (m, 2H); 1.61 (bs, 3H, Me (αMe−R6−アジド)); 1.84 (bs, 1H, CH); 2.13 (bs, 1H, CH); 3.23 (t, 2H, CH); 4.22 (m, 1H, CH Fmoc); 4.39 (bs, 2H, CH Fmoc); 5.51 (bs, 1H, NH); 7.32 (m, 2H); 7.40 (m, 2H); 7.59 (d, 2H); 7.77 (d, 2H)。
Fmoc−Rn−アジド−OH(R=H),14。3N HCl/MeOH(1/1,12mL)溶液に、70℃で、化合物13,R=H(1.65mmol)のMeOH(3ml)溶液を滴下した。出発物質は10〜20分以内に消失した。次いで、緑色の反応混合物を真空濃縮した。粗製残渣を10%水性NaCO(16ml)で希釈し、氷浴で0℃まで冷却した。アセトン(16ml)に溶解させたFmoc−OSu(1.1当量)を添加し、反応液を、撹拌しながら一晩、周囲温度まで昇温させた。その後、反応液を酢酸エチルと1N HClとで希釈した。有機層を1N HClで洗浄した(3回)。次いで、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空濃縮した。所望の生成物14を順相で精製し(メタノールとジクロロメタンとを溶離剤として使用)、粘性油状物を得た(両工程の全収率36%)。Fmoc−R5−アジド−OH(14,R=H,n=5):M+H計算値.409.18,M+H観測値.409.37;H NMR (CDCl) δ:1.29(bs, 2H, CH); 1.40 (bs, 2H, CH); 1.60 (m, 2H); 1.72 (bs, 1H, CH); 1.90 (bs, 1H, CH); 3.26 (m, 2H, CH); 4.23 (m, 1H, CH Fmoc); 4.41 (m, 3H, CH Fmoc + CHα); 5.30 (d, 1H, NH); 7.32 (m, 2H); 7.40 (m, 2H); 7.59 (d, 2H); 7.78 (d, 2H).Fmoc−R6−アジド−OH(14,R=H,n=6):M+H計算値.423.20,M+H観測値.423.34;NMR (CDCl) δ:1.37(bs, 6H, CH); 1.59 (bs, 2H, CH); 1.70 (bs, 1H, CH); 1.90 (bs, 1H, CH); 3.25 (m, 2H, CH); 4.23 (m, 1H, CH Fmoc); 4.41 (m, 3H, CH Fmoc + CHα); 5.24 (d, 1H, NH); 7.32 (m, 2H); 7.39 (m, 2H); 7.59 (m, 2H); 7.76 (d, 2H)。
αMe−R(n+2)−アルケン−Ni−R−BPB(R=Me),15。R−Ala−Ni−R−BPB(10.0mmol)とKO−tBu(2当量)に、アルゴン下で45mLのDMFを添加した。1−ブロモ−n−アルケン(1.5当量)のDMF(4.0mL)溶液をシリンジによって添加した。反応液を周囲温度で1時間撹拌した。次いで、反応液を5%水性酢酸でクエンチし、水で希釈した。油状生成物を濾過によって回収し、水で洗浄した。所望の生成物15を順相でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し(アセトンとジクロロメタンとを溶離剤として使用)、赤色固形物を得た(55%収率)。αMe−R8−アルケン−Ni−R−BPB(7,R=Me,n=6):M+H計算値.622.25,M+H観測値.622.22;H NMR (CDCl) δ:1.24 (s, 3H, Me (αMe−S8−アルケン)); 1.29−1.44 (m, 5H, CH); 1.56−1.74 (m, 3H, CH); 2.06 (m, 5H, CH); 2.32−2.51 (m, 2H, CH); 2.68 (m, 1H, CH); 3.28 (m, 1H, CH); 3.42 (m, 1H, CH); 3.62 (m, 1H, CHα); 3.70および4.50(AB系,2H, CH(ベンジル), J= 12.8Hz); 4.92−5.02 (m, 2H, CHアルケン); 5.76−5.85 (m, 1H, CHアルケン); 6.63 (m, 2H); 6.96 (d, 1H); 7.12 (m, 1H); 7.27−7.33 (m, 2H); 7.38−7.42 (m, 3H); 7.45−7.51 (m, 2H); 7.98 (d, 1H); 8.06 (d, 2H)。
R(n+2)−アルケン−Ni−R−BPB(R=H),15。Gly−Ni−R−BPB(10.0mmol)とKO−tBu(2当量)に、アルゴン下で45mLのDMFを添加した。1−ブロモ−n−アルケン(1.5当量)のDMF(4.0mL)溶液をシリンジによって添加した。反応液を周囲温度で1時間撹拌した。次いで、反応液を5%水性酢酸でクエンチし、水で希釈した。油状生成物を濾過によって回収し、水で洗浄した。所望の生成物15を順相でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し(アセトンとジクロロメタンとを溶離剤として使用)、赤色固形物を得た(55%収率)。R8−アルケン−Ni−R−BPB(15,R=H,n=6):M+H計算値.608.23,M+H観測値.608.21;H NMR (CDCl) δ:1.14 (m, 2H, CH); 1.30 (m, 4H, CH); 1.61 (m, 2H, CH); 1.92−2.16 (m, 6H, CH); 2.52 (m, 1H, CH); 2.75 (m, 1H, CH); 3.44−3.52 (m, 2H, CH); 3.58 (m, 1H, CHα); 3.91 (m, 1H, CHα’); 3.58および4.44(AB系,2H, CH(ベンジル)); 4.92−5.00 (m, 2H, CHアルケン); 5.78 (m, 1H, CHアルケン); 6.63 (m, 2H); 6.91 (d, 1H); 7.13−7.18 (m, 2H); 7.24 (m, 1H); 7.34 (m, 2H); 7.38−7.49 (m, 3H); 8.03 (d, 2H); 8.12 (d, 1H)。
Fmoc−αMe−R(n+2)−アルケン−OH(R=Me),16。1/1 3N HCl/MeOH溶液(18mL)に、70℃で、化合物15,R=Me(2.4mmol)のMeOH(4ml)溶液を滴下した。出発物質は5〜10分以内に消失した。この緑色の溶液を、次いで真空濃縮した。粗製残渣を10%水性NaCO(24ml)で希釈し、氷浴で0℃まで冷却した。アセトン(24ml)に溶解させたFmoc−OSu(1.1当量)を添加し、反応液を、撹拌しながら一晩、周囲温度まで昇温させた。その後、反応液を酢酸エチルと1N HClとで希釈した。有機層を1N HClで洗浄した(3回)。次いで、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空濃縮した。所望の生成物16を、順相でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製(メタノールとジクロロメタンとを溶離剤として使用)した後に単離し、粘性油状物(これは放置すると固化する)を得た(75%収率)。Fmoc−αMe−R8−アルケン−OH(16,R=Me,n=6):M+H計算値.422.23,M+H観測値.422.22;H NMR (CDCl) δ:1.28(m, 8H, CH); 1.60 (s, 3H, αMe); 1.83 (m, 1H, CH); 2.01 (m, 2H, CH); 2.11 (m, 1H, CH); 4.22 (m, 1H, CH (Fmoc)); 4.39 (m, 2H, CH(Fmoc)); 4.90−5.00 (m, 2H, CHアルケン); 5.49 (bs, 1H, NH); 5.75−5.82 (m, 1H, CHアルケン); 7.29−7.33 (m, 2H); 7.38−7.42 (m, 2H); 7.59 (d, 2H); 7.77 (d, 2H)。
Fmoc−R(n+2)−アルケン−OH(R=H),16。1/1 3N HCl/MeOH溶液(18mL)に、70℃で、化合物15,R=H(2.4mmol)のMeOH(4ml)溶液を滴下した。出発物質は5〜10分以内に消失した。この緑色の溶液を、次いで真空濃縮した。粗製残渣を10%水性NaCO(24ml)で希釈し、氷浴で0℃まで冷却した。アセトン(24ml)に溶解させたFmoc−OSu(1.1当量)を添加し、反応液を、撹拌しながら一晩、周囲温度まで昇温させた。その後、反応液を酢酸エチルと1N HClとで希釈した。有機層を1N HClで洗浄した(3回)。次いで、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空濃縮した。所望の生成物16を、順相でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製(メタノールとジクロロメタンとを溶離剤として使用)した後に単離し、粘性油状物(これは放置すると固化する)を得た(75%収率)。Fmoc−R8−アルケン−OH(16,R=H,n=6):M+H計算値.407.21,M+H観測値.407.19;H NMR (CDCl) δ:1.32(m, 8H, CH); 1.71 (m, 1H); 1.89 (m, 1H, CH); 2.03 (m, 2H); 4.23 (m, 1H, CH (Fmoc)); 4.42 (m, 2H, CH(Fmoc)); 4.96 (m, 2H, CHアルケン + CHα); 5.20 (d, 1H, NH); 5.79 (m, 1H, CHアルケン); 7.32 (m, 2H); 7.41 (m, 2H); 7.59 (m, 2H); 7.77 (d, 2H)。
αMe−Phe−Ni−S−BPB,17.S−Ala−Ni−S−BPB(10.0mmol)とKO−tBu(1.5当量)に、アルゴン下で45mLのDMFを添加した。臭化ベンジル(1.5当量)のDMF(4.0mL)溶液をシリンジによって添加した。反応混合物を周囲温度で1時間撹拌した。次いで、この溶液を5%水性酢酸でクエンチし、水で希釈した。油状生成物を濾過によって回収し、水で洗浄した。所望の生成物17を順相でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し(アセトンとジクロロメタンとを溶離剤として使用)、赤色固形物を得た(60%収率)。αMe−Phe−Ni−S−BPB(17):M+H計算値.602.19,M+H観測値.602.18;H NMR (CDCl) δ:1.17 (s, 3H, Me (αMe−Phe)); 1.57 (m, 1H, CH); 1.67 (m, 1H, CH); 1.89 (m, 1H, CH); 2.06 (m, 1H, CH); 2.24 (m, 2H, CH); 3.05 (m, 1H); 3.18 (s, 2H); 3.26 (m, 1H); 3.56および4.31(AB系,2H, CH(ベンジル), J= 12.8Hz); 6.64 (m, 2H); 6.94 (d, 1H); 7.12 (m, 1H); 7.20 (m, 1H); 7.20−7.40 (m, 10H); 7.43 (m, 2H); 8.01 (d, 2H); 8.13 (m, 1H)。
Fmoc−αMe−Phe−OH,18。3N HCl/MeOH(1/1,15mL)溶液に、70℃で、化合物17(2.1mmol)のMeOH(5ml)溶液を滴下した。出発物質は10〜20分以内に消失した。次いで、緑色の反応混合物を真空濃縮した。粗製残渣を10%水性NaCO(16ml)で希釈し、氷浴で0℃まで冷却した。アセトン(16ml)に溶解させたFmoc−OSu(1.1当量)を添加し、反応液を、撹拌しながら一晩、周囲温度まで昇温させた。その後、反応液を酢酸エチルと1N HClとで希釈した。有機層を1N HClで洗浄した(3回)。次いで、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空濃縮した。所望の生成物18を順相で精製し(アセトンとジクロロメタンとを溶離剤として使用)、白色泡状物を得た(両工程の全収率52%)。Fmoc−αMe−Phe−OH(18):M+H計算値.402.16,M+H観測値.402.12;H NMR (CDCl) 1.64 (s, 3H, Me); 3.35 (bs, 2H, CH); 4.26 (m, 1H, CH); 4.48 (bs, 2H, CH); 5.35 (s, 1H, NH); 7.08 (m, 2H); 7.19 (m, 3H); 7.32 (m, 2H); 7.42 (m, 2H); 7.59 (m, 2H); 7.78 (d, 2H)。
Fmoc−αMe−Arg(Boc)−OH,19。化合物3(2.3mmol)のイソプロパノール(20mL)溶液に、10%パラジウム担持活性炭を添加した。この懸濁液を水素下、雰囲気圧で一晩撹拌した。この溶液をセライトで濾過し、次いで真空濃縮した。粗製残渣をTHF(16ml)に溶解させ、ピラゾール(Boc)(1.1当量)を添加し、反応液を一晩撹拌した。その後、反応液を酢酸エチルと1N HClとで希釈した。有機層を1N HClで洗浄した(3回)。次いで、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空濃縮した。所望の生成物19を順相で精製し(アセトンとジクロロメタンとを溶離剤として使用)、白色泡状物を得た(両工程の全収率40%)。Fmoc−αMe−Arg(Boc)−OH(19):M+H計算値.611.30,M+H観測値.611.15;H NMR (CDCl) 1.47および1.48 (2s, 18H, 2Boc); 1.48 (m, 2H, CH); 1.63 (s, 3H, CH); 1.84 (m, 1H, CH); 2.35 (m, 1H, CH); 3.34 (m, 2H, CH); 4.23 (m, 1H, CH); 4.34および4.42 (2m, 2H, CH); 5.92 (s, 1H, NH); 7.32 (m, 2H); 7.39 (m, 2H); 7.60 (d, 2H); 7.76 (d, 2H), 8.46 (bs, 1H, NH)。
αMe−Tyr(OMe)−Ni−S−BPB,20。S−Ala−Ni−S−BPB(10.0mmol)とKO−tBu(1.5当量)に、アルゴン下で45mLのDMFを添加した。塩化4−メトキシベンジル(1.5当量)のDMF(4.0mL)溶液をシリンジによって添加した。反応混合物を周囲温度で1時間撹拌した。次いで、この溶液を5%水性酢酸でクエンチし、水で希釈した。油状生成物を濾過によって回収し、水で洗浄した。所望の生成物20を順相でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し(アセトンとジクロロメタンとを溶離剤として使用)、赤色固形物を得た(60%収率)。αMe−Tyr(OMe)−Ni−S−BPB(20):M+H計算値.632.20,M+H観測値.632.18;H NMR (CDCl) δ:1.12 (s, 3H, Me (αMe−Tyr(OMe)); 1.57 (m, 1H, CH); 1.90(m, 1H, CH); 2.05 (m, 1H, CH); 2.23 (m, 2H, CH); 3.08 (m, 3H, CH); 3.26 (m, 1H); 3.80 (s, 3H, OMe); 3.52および4.27(AB系,2H, CH(ベンジル), J= 12.8Hz); 6.58 (m, 2H); 6.96 (m, 3H); 7.09 (m, 1H); 7.17 (m, 1H); 7.27−7.32 (m, 5H); 7.36 (m, 1H); 7.45 (m, 2H); 7.99 (d, 2H); 8.09 (d, 1H)。
Fmoc−αMe−Tyr(OMe)−OH,21。3N HCl/MeOH(1/1,15mL)溶液に、70℃で、化合物20(2.1mmol)のMeOH(5ml)溶液を滴下した。出発物質は10〜20分以内に消失した。次いで、緑色の反応混合物を真空濃縮した。粗製残渣を10%水性NaCO(16ml)で希釈し、氷浴で0℃まで冷却した。アセトン(16ml)に溶解させたFmoc−OSu(1.1当量)を添加し、反応液を、撹拌しながら一晩、周囲温度まで昇温させた。その後、反応液を酢酸エチルと1N HClとで希釈した。有機層を1N HClで洗浄した(3回)。次いで、有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空濃縮した。所望の生成物21を順相で精製し(アセトンとジクロロメタンとを溶離剤として使用)、白色泡状物を得た(両工程の全収率56%)。Fmoc−αMe−Tyr(OMe)−OH(21):M+H計算値.432.17,M+H観測値.432.12;H NMR (CDCl) 1.63 (s, 3H, Me); 3.27 (m, 2H, CH); 4.25 (m, 1H, CH); 4.46 (bs, 2H, CH); 5.35 (s, 1H, NH); 6.75 (d, 2H); 6.97 (bs, 2H); 7.32 (m, 2H); 7.41 (m, 2H); 7.59 (m, 2H); 7.77 (d, 2H)。
非天然アミノ酸(五炭素のオレフィンアミノ酸のRおよびS鏡像異性体ならびに八炭素のオレフィンアミノ酸のS鏡像異性体)を、核磁気共鳴(NMR)分光法(Varian Mercury 400)および質量分析法(Micromass LCT)により特徴付けた。ペプチド合成を、固相条件、リンクアミドAM樹脂(rink amide AM resin)(Novabiochem)およびFmoc主鎖保護基化学を用いて、手作業または自動ペプチド合成装置(Applied Biosystems,model 433A)のいずれかで行った。天然Fmoc保護アミノ酸(Novabiochem)のカップリングのために、10当量のアミノ酸および1:1:2モル比のカップリング試薬HBTU/HOBt(Novabiochem)/DIEAを使用した。非天然のアミノ酸(4当量)を、1:1:2モル比のHATU(Applied Biosystems)/HOBt/DIEAを用いて、またはさらに以下に記載するようにカップリングした。オレフィンメタセシスを、脱気したジクロロメタンに溶解した10mMのGrubbs触媒(Blackewellら,1994、上記)(Strem Chemicals)を用いて、固相において行い、室温において2時間反応させた。メタセシスされた化合物の単離は、トリフルオロ酢酸が媒介する脱保護および切断、粗生成物を得るためのエーテル沈殿、ならびに純粋な化合物を得るための逆相C18カラム(Varian)における高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)(Varian ProStar)により達成した。純粋な生成物の化学組成は、LC/MS質量分析(Agilent 1100 HPLCシステムとインターフェース接続したMicromass LCT)およびアミノ酸分析(Applied Biosystems、モデル420A)により確認した。
実施例2.本発明のペプチド模倣大環状分子の合成
α−へリックスBIDペプチド模倣大環状分子は、先に記載されたように(Walenskyら(2004)Science 305:1466−70;Walenskyら(2006)Mol Cell 24:199−210(これらはすべて、参照によって本明細書に援用される))および以下に示すとおりに合成し、精製し、解析した。以下の大環状分子をこの試験に使用した。
オレフィン側鎖を含むα,α−二置換非天然アミノ酸をWilliamsら(1991)J.Am.Chem.Soc.113:9276;およびSchafmeisterら(2000)J.Am.Chem Soc.122:5891に従って合成した。ペプチド模倣大環状分子は、天然に存在する2つのアミノ酸(上記参照)を対応する合成アミノ酸で置き換えることにより設計した。置換は、表示したiおよびi+4の位置ならびにiからi+7までの位置で行なった。ペプチド模倣大環状分子は、固相ペプチド合成の後、合成アミノ酸をその側鎖反応性部分によって架橋することにより生成した。BIDおよびBIMペプチド模倣大環状分子のコントロール配列を上記に示す。上記の表において、1つの大環状分子名に対して2つの配列が示されている場合、各配列は、架橋反応の結果得られる異性体を表す。
上記の配列において、以下の命名を使用する:
$ α−Me S5オレフィンアミノ酸によって形成されるシスオレフィンiからi+4までの架橋
$r5 α−Me R5 オレフィンアミノ酸によって形成されるシスオレフィンiからi+4までの架橋
St タンデムシスオレフィンiからi+4までの架橋;2つの架橋は「St」で示すアミノ酸に由来する
Amf α−Meフェニルアラニンアミノ酸
Amr α−Meアルギニンアミノ酸
Ac アセチル(アセチル化N末端)
NH2 アミド(アミド化C末端)
Nle ノルロイシン
Aib 2−アミノイソ酪酸 。
実施例3.本発明のペプチド模倣大環状分子で処理した腫瘍細胞系統の細胞生存率アッセイ
腫瘍細胞系統を、ATCCおよびNCIによって推奨された特定の血清補充培地(増殖培地)中で増殖させる。試験開始の前日、細胞を、マイクロタイタープレート内の200μlの増殖培地中に最適な細胞密度(15,000〜25,000細胞/ウェル)でプレーティングした。翌日、細胞を無血清/フェノールレッド無含有RPMI完全培地(アッセイ緩衝液)中で2回洗浄し、最終容量100μlのアッセイ緩衝液を各ウェルに添加した。ヒト末梢血リンパ球(hPBL)をバッフィーコート(San Diego Blood Bank)から、Ficoll−Paque勾配分離を用いて単離し、実験の日に25,000細胞/ウェルでプレーティングした。
ペプチド模倣大環状分子を1mMストック(100%DMSO)から滅菌水中で希釈し、400μMの作業溶液を調製した。次いで、大環状分子およびコントロールを投薬プレート内のアッセイ緩衝液中で10倍もしくは40倍に希釈するか、またはあるいは2倍連続希釈し、それぞれ、40μMおよび20μMまたは1.2μMと40μMとの間のいずれかの濃度を得た。100μLのそれぞれの希釈物を次いで、試験プレートの適切なウェルに添加し、ポリペプチドの終濃度を、それぞれ、20μMもしくは5μM、または0.6μM〜20μMにした。コントロールには、大環状分子を含むウェルと同じ濃度のDMSOを含むポリペプチドなしのウェル、0.1%Triton X−100を含むウェル、1μMベルケイド、100μMエトポシドおよび20μMタキソールからなるケモカクテル(chemo cocktail)を含むウェルおよび細胞を含まないウェルを含めた。プレートを加湿5%CO雰囲気中、37℃で4時間インキュベートした。
4時間のインキュベーション時間の終了に向かって、総濃度10%のFBSのために、22μlのFBSを各ウェルに添加した。血清の添加後、プレートを、加湿5%CO雰囲気中、37℃でさらに44時間インキュベートした。インキュベーション期間の終了時、MTTアッセイを、製造業者の使用説明書(Sigma,カタログ番号M2128)に従って行ない、560nmの吸光度をDynex Opsys MR Plateリーダーを用いて測定した。
実施例4.融解温度(T)の測定:
凍結乾燥ペプチド模倣大環状分子をddHOまたは5%PEG−400(50mM Tris(pH7.4)中)に溶解させ、最終濃度25〜50μMにする。円偏光二色性(CD)スペクトルを、Jasco−810分光偏光計に、標準的な測定パラメーター(例えば、温度、10または20℃;波長、190〜260nm;ステップ分解能、0.5nm;速度、20nm/秒;蓄積、10;応答、1秒;帯域幅、1nm;光路長(path length)、0.1cm)を用いて取得する。平均残基楕円率(例えば、[Φ]222obs)をモデルへリックスデカペプチドについて報告されている値で除することによって各ペプチドのα−へリックス含量を計算する(Yangら(1986),Methods Enzymol.130:208))。Tmは、Jasco−810分光偏光計で、222nmの固定波長で5〜95℃の温度における円偏光二色性(CD)スペクトルを測定することにより決定される。以下のパラメーター:データピッチ、0.1℃;帯域幅、1nmおよび光路長、0.1cm(16秒間のシグナルを平均する)を測定に使用する。
実施例5.血漿安定性の測定のための試料の調製:
エキソビボ血漿安定性試験のため、10μMのペプチド模倣大環状分子を、予め清澄化したヒトおよびマウス血漿とともに、37℃で0、15および120分間インキュベートする。それぞれのインキュベーション時間の終了時、100μLの試料を取り出し、300μlの氷冷MEOHを入れた新たな低保持エッペンドルフチューブ内に入れる。試料を10,000rpmで遠心分離し、上清を取り出し、新たな低保持エッペンドルフチューブ内に入れ、200μlのHPLC H2Oをそれぞれの試料に添加した。試料を次いでLC−MS/MSによって以下に示すようにして解析する。
実施例6.プロテアーゼの安定性アッセイ:
ペプシン試験のため、親ペプチド模倣大環状分子配列とα,α−メチル二置換ペプチド模倣大環状分子配列とからなるそれぞれのペア(それぞれ、5μM)を、陽性コントロール線形ペプチド(5μM)(サフラワー油/エタノール/水懸濁液中、0.2:9.8:90、v/v(%)、0.015M HClと0.15M NaClとで緩衝(pH1.8))と組み合わせた。11個のペアを11個の作業溶液で試験し、それぞれを、10、30、45、60分間のペプシンインキュベーション時間、およびペプシン添加なしで60分間インキュベートする0分間コントロールのために5×0.5mlの反応容量のアリコートに分けた。反応は、20μlのペプシン−シリカゲルスラリー(0.4μgのペプシン)を添加し、その後の40℃のオーブン内でのインキュベーション中、バイアルを連続的に振盪することにより38〜40℃で開始した。それぞれの時点で、反応は、500μlの48:48:2v/v(%)のヘキサフルオロ−2−プロパノール/アセトニトリル/TFAの添加によって停止させた。混合後に形成された二相混合物と底部層の液とを、続いて、MRM検出モードでのLC/MS解析のために二連で注入した。それぞれのペプチドの反応速度を、Excelで、酵素のインキュベーション時間に対する未較正MRM応答の自然対数の線形フィットによって得られる傾きの(−1)倍として計算した。それぞれのペプチドの反応半減期を、ln2/速度定数として計算した。
同様の手順をトリプシン試験に使用した。親ペプチド模倣大環状分子配列とα,α−メチル二置換ペプチド模倣大環状分子配列とからなるそれぞれのペア(それぞれ、5μM)を、線形ペプチド(5μM)(サフラワー油/エタノール/水懸濁液中、0.2:9.8:90、v/v(%)、0.055 M Tris−酢酸塩、0.15M NaClで緩衝(pH7.8))と組み合わせた。10個のペアを10個の作業溶液で試験し、それぞれを、10、20、30、60分間のトリプシンインキュベーション時間、およびトリプシン添加なしで60分間インキュベートする0分間コントロールのために5×0.5mlの反応容量のアリコートに分けた。反応は、20μlのトリプシン−シリカゲルスラリー(0.4μgまたは0.32μgのトリプシン)を添加し、その後の40℃のオーブン内でのインキュベーション中、バイアルを連続的に振盪することにより38〜40℃で開始した。それぞれの時点で、反応は、500μlの48:48:2v/v(%)のヘキサフルオロ−2−プロパノール/アセトニトリル/TFAの添加によって停止させた。混合後に形成された二相混合物と底部層の液とを、続いて、MRM検出モードでのLC/MS解析のために二連で注入した。それぞれのペプチドの反応速度を、Excelで、酵素のインキュベーション時間に対する未較正MRM応答の自然対数の線形フィットによって得られる傾きの(−1)倍として計算した。それぞれのペプチドの反応半減期を、ln2/速度定数として計算した。
カテプシンD試験では、親およびα,α−メチル二置換架橋ペプチドからなるそれぞれのペア(それぞれ、24μM)を13個のコントロール架橋ペプチドと、125mM KClおよび0.1%ポリソルベート80を含む75mM酢酸アンモニウム溶液(pH4.7)において組み合わせ、8×0.25mLのアリコートに分けた。反応は、1:180および1:90(w/w)のE/S比で0、1.0、2.1μgのカテプシンDの添加によって38〜40℃で開始した(各混合物の複製を得た)。240分後、200μLの49:49:2v/v(%)のヘキサフルオロ−2−プロパノール/アセトニトリル/TFAを添加することにより反応を停止させた。混合後に形成された二相混合物と底部層とを、続いて、1:1v/vヘキサフルオロ−2−プロパノール/アセトニトリル中で1:10に希釈した。得られた混合物を勾配−LC/MS法によって解析し、これにより、それぞれのペプチドの特性LC保持時間と分子イオンを得た。それぞれのペプチドの見かけ上の反応速度を、Excelで、酵素/基質比に対する未較正MS応答の自然対数の線形フィットによって得られる傾きの(−1)倍として計算した。それぞれのペプチドの反応半減期をln2/速度定数として計算した。コントロール混合物(プロテアーゼ添加せず)は、サフラワー油/エタノール/水懸濁液、0.2:9.8:90、v/v(%)(0.015M HClで緩衝、0.15M NaCl含有)を含む緩衝液中で安定である(>60分間)ようであった。
結果を図6に示す。本発明のペプチド模倣大環状分子では、カテプシン(catheptsin)Dに対する改善された安定性が観察される。α,α−二置換アミノ酸が切断部位に配置された場合、プロテアーゼ安定性における有意な改善が得られるが、α,α−二置換アミノ酸のより離れた配置は、プロテアーゼ安定性の改善はいくぶん減少する。
実施例7.ラット粘膜安定性アッセイ:
ペプチド模倣大環状分子を2つの混合物に分け、10個のペプチド(それぞれ、4μM)、0.1%Tween 80、PBS(pH7.0)を含むそれぞれの混合物において固有分子質量が確保されるようにした。2匹のラット由来のGI粘膜擦過物を、濡れた氷上で、0.1%Tween 80を含む1mLのPBS中に懸濁させ、ビーズミルで20秒間ホモジナイズし、約0.7g/mlの均一な組織分散物を得た。この粘膜ホモジネートとペプチド混合物とを1:1(容量基準)で合わせ、1分間ボルテックスした。最終濃度は、それぞれのペプチド2μMとした。水浴中でのインキュベーションは38〜40℃にし、0、5、10、15、20、30および60分後に100μlのアリコートを採取し、直ちに凍結させた。粘膜添加なしのペプチド混合物は水浴中に60分間保持した。ペプチドおよび代謝産物を混合物から、48:48:2v/v(%)のヘキサフルオロ−2−プロパノール/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸を用いて抽出し、勾配−LC/MS解析のために有機(底部)層を直接注入した。再構成イオンクロマトグラムを作成し、インタクトなペプチドならびにそれぞれのペプチドNおよびC末端切断によって生じたと思われる代謝産物に対応する分子イオン質量を予測した。ペプチド模倣大環状分子は、干渉がほとんどまたは全く観察されない勾配時間で溶出されたため、すべての推定代謝産物の再構成クロマトグラムにより、ベースラインなしの37℃でのインキュベーション時間は、最小限の偏差または偏差なしであることが示された。それぞれのペプチドおよび推定切断産物のそれぞれのインキュベーション時間における未較正クロマトグラフィーピーク面積を得、最大ピーク面積応答が100%およびピーク面積応答なしが0%となるように正規化した。GraphPadにて応答をインキュベーション時間に対してプロットした。
結果を図8に示す。これは、ラット胃腸粘膜ペプチダーゼに対する本発明のペプチド模倣大環状分子の安定性の増加を示す。
実施例8.カテプシンタンパク質分解産物の測定:
カテプシンB、DおよびL代謝の確認のため、親架橋ペプチドおよび陽性コントロール線形ペプチド(それぞれDMSO中4mM)を、pH5.4(cat B、L)および10mM DTTの添加、またはpH4.4(cat D)および0.117M KClの添加のいずれかで緩衝した1mL容量の67mM酢酸アンモニウム溶液に、別々にアリコートにわけた(5μL)。酵素とペプチドのそれぞれのペアの初期重量比(%)が1:20となるように、単一の酵素作業溶液(10μg/mL)を次いで、それぞれのペプチド溶液(20μM)に添加した(40μL)。それぞれの混合物を、30分および60分のインキュベーション時間で38〜40℃のオーブン内に入れた。それぞれの時点で、反応は、500μlの48:48:2v/v(%)のヘキサフルオロ−2−プロパノール/アセトニトリル/TFAの添加によって停止させた。混合後に形成された二相混合物と底部層の液とをアセトニトリル:水中で希釈し(1:10)、続いて、勾配LC/イオン移動度TOF−MS解析のために二連で注入した。
実施例9.イオン移動度−MSおよびMS−MS解析ならびにペプチド配列決定:
イオン移動度−MSおよびMS−MS解析ならびにペプチド配列決定は、Waters(Milford,MA)Synapt高分解度イオン移動度−飛行時間型質量分析装置において行なった。試料は、未精製架橋ペプチドタンパク質分解産物試料を1:1アセトニトリル−水(0.1%ギ酸含有)中で10倍に希釈することによって調製した。LC−MS解析は、0.1%ギ酸およびアセトニトリル中0.1%ギ酸を溶離剤として使用し、500μL/分での逆相勾配溶出によって行なった。エレクトロスプレーイオン化は、噴霧キャピラリーから3.5kVで、脱溶媒和温度200℃および30Vコーン(cone)および1.8Vスキマー(抽出レンズ)の設定で行なった。単一荷電を有するバックグラウンドからの多重に荷電されたタンパク質分解断片のイオン移動度による分離は、Ion mobility−mass spectrometry.Kanu,A.B.,P.Dwivedi,M.Tam,L.Matz,およびH.H.Hill,Jr.,J Mass Spectrom,2008.43(1):p.1−22に記載のようにして行なった。
結果を図3〜5に示す。図3は、F−Y残基におけるカテプシン−DによるSP−1ペプチド模倣大環状分子の切断を示す。図4は、R−NHにおけるR−OHへのカテプシン−BによるSP−1ペプチド模倣大環状分子の切断を示す。図5は、ペプチド模倣大環状分子のC末端からのカテプシン−LによるSP−1ペプチド模倣大環状分子の分解を示す。
ラット胃腸粘膜ペプチダーゼでの結果を図7に示す。このようなペプチダーゼは、ペプチドをC末端から内部へと分解することが観察される。
切断産物の命名は以下のとおりである:生成物0は、C末端カルボキサミドのタンパク質分解によって得られ、生成物1は、アミノ酸1と2との間のアミド結合のタンパク質分解によって得られ、生成物2は、アミノ酸2と3との間のアミド結合のタンパク質分解によって得られ、生成物3は、アミノ酸3と4との間のアミド結合のタンパク質分解によって得られ、生成物4は、アミノ酸4と5との間のアミド結合のタンパク質分解によって得られ、生成物5は、アミノ酸5と6との間のアミド結合のタンパク質分解によって得られ、生成物6は、アミノ酸6と7との間のアミド結合のタンパク質分解によって得られるものである。
ペプチドの断片化は、35−45V Trap電圧を、衝突ガスとしてのアルゴンとともに用いて行なった。MS−MSスペクトルを、Masslynx MaxEnt3アルゴリズムを用いて単一荷電を有する種にデコンボルーションした。配列決定は、該配列に存在しない残基の代わりにステープル大環状分子のMWを用いて、Waters BioLynxソフトウェアにより行なった。
実施例10.FITC/FAM標識ペプチド模倣大環状分子のFACS細胞内検出による細胞透過性アッセイ
ジャーカット細胞またはSJSA−1細胞を、RPMI−1640(Gibco,カタログ番号72400)+10%FBS(Gibco,カタログ番号16140)および1%ペニシリン+ストレプトマイシン(Hyclone,カタログ番号30010)を用いて、37℃で加湿5%CO雰囲気中にて培養した。試験開始の前日、ジャーカット細胞を、1×10/mlもしくは0.5×10/mlの細胞密度に分割するか、またはSJSA−1細胞を2×10/ml/ウェルで24ウェルプレートに播種した。翌日、細胞を、1200rpm、23℃で5分間スピンしながらOpti−MEM培地(Gibco,カタログ番号51985)中で2回洗浄した。ジャーカット細胞を24ウェルプレート内で、血清なしの0.9mlのOpti−MEMまたは1%ヒト血清を含有する0.9mlのOpti−MEM中に1×10細胞の密度で播種した。SJSA−1細胞では、各ウェル内に、血清なしの0.9mlのOpti−MEMを加えた。ペプチドをDMSO中で2mMストックに希釈した後、滅菌水中で400μMに希釈し;無血清OPTI−MEMまたは1%ヒト血清含有Opti−MEMを用いて、100μMまでさらなる希釈を行なった;DMSOコントロールに対しても同じ希釈を行なった。このような100μlの100μMペプチド作業溶液または最終希釈DMSOを、次いで適切なウェルに添加し、ペプチド最終濃度を10μMまたは2.5μMに、DMSO濃度を0.5%または0.125%(1ml容量)にした。プレートを、37℃でインキュベータ(5%CO)または4℃で湿った氷上で1時間または4時間インキュベートした。それぞれの時点の終わりに、細胞懸濁液をRPMI−1640+10%FBSで希釈し、1XPBS(Gibco)+0.5%BSAで2回洗浄し、0.25%トリプシン−EDTA(Gibco,カタログ番号25200)に37℃で15分間または8分間供した。細胞を次いで、4000rpm、4℃で5分間(Eppendorf Centrifuge 5415D)でスピンさせて、1mlのRPMI−1640+10%FBSで洗浄し、かつ0.5mlの1XPBS+0.5%BSA(Sigma,カタログ番号A7906)で2回洗浄した。細胞を0.5mlまたは1mLの1XPBS+0.5%BSA中に懸濁させた。蛍光またはFAM強度を、FACS Calibur(BD Biosciences)またはGuava Easy Cyte Plus(Millipore)によって測定した。Flowjoソフトウェア(BD Biosciences)によりFACSデータを解析し、Prismソフトウェアによりデータをグラフにした。アッセイはすべて二連で行なった。
実施例11.静脈内薬物動態解析:
IV投薬製剤は、ペプチドを5%DMSO/D5Wまたは5%PEG−400含有2%デキストロースに溶解させ、10mg/Kg用量または3mg/Kg用量にすることにより調製される。カニューレを挿入したCrl:CD(登録商標)(SD)雄ラット(7〜8週齢,Charles River Laboratories)を、大腿部のカニューレから投与する単回注射あたり10mL/kgでの静脈内投与に使用する。SD雄ラット(7〜8週齢,Charles River Laboratories)をこれらの試験において、尾静脈注射を介して投与される単回注射あたり3mg/kgでの10mL/kgの静脈内投薬に使用する。薬物動態解析用の血液は、10個の時点(投薬後、0.0833、0.167、0.25、0.5、1、2、3、4、6、8、12および24時間)で回収する。最後の試料採取後、動物を致死(terminate)させる(剖検なし)。
全血試料を約4℃で10分間遠心分離する(約1500×g)。血漿を調製し、血液採取/遠心分離の30分以内に新鮮チューブに移し、これを凍結させ、暗所にて約−70℃でLC−MS/MS解析のために調製するまで保存する。
試料の抽出は、10μLの50%ギ酸を100μLの血漿(試料または標準品)に添加した後、10秒間ボルテックスすることにより行なう。500μLのアセトニトリルを添加した後、2分間ボルテックスし、14,000rpmで10分間、約4℃にて遠心分離する。上清みをきれいなチューブに移し、Turbovapにおいて<10psiで37℃にてエバポレートする。LC−MS/MS解析の前に、試料を100μLの50:50のアセトニトリル:水で再構成する。
ピーク血漿濃度(Cmax)、ピーク血漿濃度に達するのに要する時間(tmax)、血漿消失半減期(plasma terminal half−life)(t1/2)、血漿濃度時間曲線下面積(AUC)、クリアランスおよび分布容量を血漿濃度データから計算する。薬物動態の計算はすべて、WinNonlinバージョン4.1(Pharsight Corp)を用いて、ノンコンパートメント解析によって行なう。
以下のLC−MS/MS法を使用する。簡単には、使用したLC−MS/MS機器はAPI 365(Applied Biosystems)であった。分析カラムはPhenomenex Synergi(4μ,Polar−RP,50mm×2mm)であり、移動相A(水中の0.1%ギ酸)およびB(メタノール中の0.1%ギ酸)は、以下の勾配が得られるように0.4ml/分の流速でポンプ輸送する。
MRM: 814.0〜374.2(陽イオン化)
実施例12.レセプター結合アッセイのための質量分析に基づくアッセイ
Bcl−xのタンパク質−リガンド結合実験。簡単なタンパク質−リガンド結合実験は、簡単なシステム全体のコントロール実験について概略が示された下記の代表的な手順を使用し、1μMのSP−4および5μMのBcl−xを用いて行なった。SP−4の40μMストック溶液の1μLのDMSOアリコートを、19μLのPBS(リン酸緩衝生理食塩水:50mM、pH7.5の150mM NaClを含有するリン酸緩衝液)に溶解させる。得られた溶液を反復ピペッティングによって混合し、10000gで10分間の遠心分離によって清澄にする。得られた上清の4μLアリコートに、4μLの10μM BCL−x(PBS中)を添加する。従って、各8.0μLの実験試料は、40pmol(1.5μg)のタンパク質(PBS中5.0μM濃度)+1μM SP−4および2.5%DMSOを含む。このようにして調製したそれぞれの濃度点の二連の試料を、室温で60分間インキュベートし、次いで4℃まで冷却した後、5.0μLの注入物のサイズ排除クロマトグラフィー−LC−MS解析を行なう。標的タンパク質、タンパク質−リガンド複合体、および非結合化合物を含む試料をSECカラムに注入すると、ここでは、複合体が非結合成分から、迅速なSEC工程によって分離される。SECカラム溶出液を、UV検出器を用いてモニタリングし、早期溶出タンパク質画分(これはSECカラムの空隙容積内に溶出する)が、カラムに保持された非結合成分から充分に分離されていることを確認する。タンパク質およびタンパク質−リガンド複合体を含むピークが一次UV検出器から溶出した後、これが試料ループに進入すると、ここでは、これがSEC段階の流動流から外れ、バルブ機構によって直接LC−MSに移送される。ESI−MSによってm/z 883.8にSP−4の(M+3H)3+イオンが観察され、タンパク質−リガンド複合体の検出が確認される。
実施例 Bcl−xLのタンパク質−リガンドKd滴定実験。タンパク質−リガンドK滴定実験は、以下のようにして行なった:滴定液ペプチド模倣大環状分子の連続希釈ストック溶液の2μLのDMSOアリコート(5、2.5、...、0.098mM)を調製し、次いで、38μLのPBSに溶解させる。得られた溶液を反復ピペッティングによって混合し、10000gで10分間の遠心分離によって清澄にする。得られた上清の4.0μLアリコートに、4.0μLの10μM BCL−x(PBS中)を添加する。従って、各8.0μLの実験試料は、40pmol(1.5μg)のタンパク質(PBS中5.0μM濃度)、種々の濃度(125、62.5、...、0.24μM)の滴定液ペプチド、および2.5%DMSOを含む。このようにして調製したそれぞれの濃度点の二連の試料を、室温で30分間インキュベートし、次いで4℃まで冷却した後、2.0μLの注入物のSEC−LC−MS解析を行なう。ESI−MSによって(M+H)1+、(M+2H)2+、(M+3H)3+、および/または(M+Na)1+イオンが観察される;抽出したイオンクロマトグラムを定量し、次いで、Annisら,2007に記載の等式にあてはめると、結合親和性Kが導かれる。同様のアッセイをMcl−1、およびBcl−2についても行なった。
Bcl−xについての競合的結合実験。成分あたり40μMの混合リガンドを、3つのそれぞれの化合物の400μMストックの2μLアリコートを14μLのDMSOと合わせることにより調製する。次いで、この成分あたり40μMの混合物の1μLアリコートを、滴定液ペプチドの連続希釈ストック溶液(10、5、2.5、...、0.078mM)の1μLのDMSOアリコートと合わせる。これらの2μLの試料を38μLのPBSに溶解させる。得られた溶液を反復ピペッティングによって混合し、10000gで10分間の遠心分離によって清澄にする。得られた上清の4.0μLアリコートに、4.0μLの10μM BCL−x(PBS中)を添加する。従って、各8.0μLの実験試料は、40pmol(1.5μg)のタンパク質(PBS中5.0μM濃度)+0.5μMのリガンド、2.5%DMSO、および種々の濃度(125、62.5、...、1.95μM)の滴定液ペプチドを含む。このようにして調製したそれぞれの濃度点の二連の試料を、室温で60分間インキュベートし、次いで4℃まで冷却した後、2.0μLの注入物のSEC−LC−MS解析を行なう。ESI−MSによって、滴定液およびそれぞれの混合物の成分の(M+H)1+、(M+2H)2+、(M+3H)3+、および/または(M+Na)1+イオンが観察される;抽出したイオンクロマトグラムを、次いで、Annisら,2004に記載のようにして解析し、混合物の成分の結合親和性を順位付けする。これらのおよび他の方法に関するより詳細な情報は、“A General Technique to Rank Protein−Ligand Binding Affinities and Determine Allosteric vs.Direct Binding Site Competition in Compound Mixtures.”Annis,D.A.;Nazef,N.;Chuang,C.C.;Scott,M.P.;Nash,H.M.J.Am.Chem.Soc.2004,126,15495−15503ならびに“ALIS:An Affinity Selection−Mass Spectrometry System for the Discovery and Characterization of Protein−Ligand Interactions”D.A.Annis,C.−C.Chuang,およびN.Nazef.In Mass Spectrometry in Medicinal Chemistry.Wanner K,Hoefner G編:Wiley−VCH;2007:121−184.Mannhold R,Kubinyi H,Folkers G(Series Editors):Methods and Principles in Medicinal Chemistryにおいて入手可能である。
実施例13.HeLa細胞代謝アッセイ:
HeLa細胞試験では、α−メチルおよびα,α−メチル二置換ペプチド模倣大環状分子配列からなるそれぞれのペアを、2%ヒト血清を含む細胞培養緩衝液(OptiMEM)に別々に添加し(それぞれ、2.5μM)、37℃で作業溶液を調製した。これらの各々を、OptiMEM培地(2ml)の交換のために6−ウェル培養プレートの3つのウェルにアリコートに分け(2ml)、該ウェル内ではHeLa細胞を対数増殖期(log phase)で一晩増殖させ、各ウェルの底部におよそ150万個の細胞のほぼコンフルエントな単層を形成させておいた。細胞は、前日に培養フラスコから、トリプシンまたは他のプロテアーゼなしで、2mMエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(NaEDTA)含有10mMリン酸二ナトリウム生理食塩水(PBS)溶液の補助を伴って回収しておいた。二連のプレートに滅菌条件下で作業溶液を満たし、2時間のインキュベーション期間にわたり37℃の加湿5%CO雰囲気に戻した。インキュベーション後、作業溶液を吸引除去し、各ウェル内の単層が覆われるのに充分な2%TFAの水溶液(0.25mL)と交換した。各ウェル内の細胞単層を、擦過によって遊離させ、各ウェルの全内容物をピペットチップ内に吸引し、ポリプロピレン製バイアルに移した。ペプチド模倣大環状分子配列の抽出を、それぞれのバイアルの内容物を500μlの48:48:2v/v(%)のヘキサフルオロ−2−プロパノール/アセトニトリルと混合することにより行なった。ボルテックスおよび遠心分離の後に形成された二相混合物と底部層の液とを、続いて、ペプチダーゼ産物に対応する分子イオンの検出のために設計されたLC/MS解析のために二連で注入した。
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し、記載しているが、このような実施形態が例示目的のみで提供されていることは当業者には明らかであろう。多くの変形、改変および置き換えが、本発明から逸脱することなく当業者には思い浮かぶであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の種々の代替は、本発明の実践に使用可能であると理解されるべきである。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義しており、そして本特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの同等物が本発明の範囲に包含されるものとする。

Claims (33)

  1. 最適化されたプロテアーゼ安定性を有するポリペプチドを調製する方法であって、該方法は:
    (a)架橋剤を含む親ポリペプチドを提供する工程であって、該架橋剤は、該ポリペプチドの第1のアミノ酸と第2のアミノ酸とを連結している、工程;
    (b)該ポリペプチド内のプロテアーゼ切断部位を含む第1のモチーフを特定する工程;
    (c)該第1のモチーフを、少なくとも1つのα,α−二置換アミノ酸を含む第2のモチーフと交換し、それにより、改変ポリペプチドを作製する工程;
    (d)該改変ポリペプチドのタンパク質分解安定性を測定する工程;および
    (e)該改変ポリペプチドが該親ポリペプチドよりも高いタンパク質分解安定性を有する場合、該改変ポリペプチドを、最適化されたプロテアーゼ安定性を有するポリペプチドとして選択する工程
    を包含する、方法。
  2. 最適化されたプロテアーゼ安定性を有するポリペプチドを調製する方法であって、該方法は:
    (a)第1の架橋剤を含む親ポリペプチドを提供する工程であって、該架橋剤は、該ポリペプチドの第1のアミノ酸と第2のアミノ酸とを連結している、工程;
    (b)該ポリペプチド内のプロテアーゼ切断部位を含む第1のモチーフを特定する工程;
    (c)該第1のモチーフを第3のアミノ酸を含む第2のモチーフと交換し、それにより、改変ポリペプチドを作製する工程であって、ここで、該第3のアミノ酸は、第2の架橋剤によって該ポリペプチド内の別のアミノ酸に連結されている、工程;
    (d)該改変ポリペプチドのタンパク質分解安定性を測定する工程;および
    (e)該改変ポリペプチドが該親ポリペプチドよりも高いタンパク質分解安定性を有する場合、該改変ポリペプチドを、最適化されたプロテアーゼ安定性を有するポリペプチドとして選択する工程
    を包含する、方法。
  3. 前記第1のモチーフが、前記第1のアミノ酸および前記第2のアミノ酸を連結している前記架橋剤が架かっている配列の外側に特定される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記親ポリペプチドがへリックスを含む、請求項1または2に記載の方法。
  5. 前記親ポリペプチドがα−へリックスを含む、請求項1または2に記載の方法。
  6. 前記親ポリペプチドの前記架橋剤が、前記第1のアミノ酸および前記第2のアミノ酸のα−炭素(または側鎖)を連結している、請求項1または2に記載の方法。
  7. 前記架橋剤が、第1のアミノ酸と、アミノ酸3個分離れた第2のアミノ酸とを連結している、請求項1または2に記載の方法。
  8. 前記架橋剤が、第1のアミノ酸と、アミノ酸6個分離れた第2のアミノ酸とを連結している、請求項1または2に記載の方法。
  9. 前記架橋剤がα−へリックスの1ターンから5ターンまでに架かる、請求項1または2に記載の方法。
  10. 前記親ポリペプチドが、pH7.4で正味中性または正味正電荷を有する、請求項1または2に記載の方法。
  11. 前記架橋剤によって連結された前記第1のアミノ酸および前記第2のアミノ酸のうち少なくとも一方が、α,α−二置換アミノ酸である、請求項1または2に記載の方法。
  12. 前記架橋剤によって連結された前記第1のアミノ酸および前記第2のアミノ酸の両方が、α,α−二置換である、請求項1または2に記載の方法。
  13. 前記プロテアーゼが細胞内プロテアーゼである、請求項1または2に記載の方法。
  14. 前記プロテアーゼが細胞外プロテアーゼである、請求項1または2に記載の方法。
  15. 前記プロテアーゼが脊椎動物の血液中に存在している、請求項1または2に記載の方法。
  16. 前記プロテアーゼが脊椎動物の口内または消化管内に存在している、請求項1または2に記載の方法。
  17. 前記プロテアーゼが脊椎動物の肺内に存在している、請求項1または2に記載の方法。
  18. 前記プロテアーゼが脊椎動物の副鼻腔内に存在している、請求項1または2に記載の方法。
  19. 前記プロテアーゼが脊椎動物の皮膚に存在している、請求項1または2に記載の方法。
  20. 前記プロテアーゼが脊椎動物の目に存在している、請求項1または2に記載の方法。
  21. 前記親ポリペプチドが治療効果を提供する、請求項1または2に記載の方法。
  22. 前記親ポリペプチドが細胞内標的に結合する、請求項1または2に記載の方法。
  23. 前記第3のアミノ酸が、前記第2の架橋剤によって前記第1のアミノ酸または前記第2のアミノ酸に連結されている、請求項2に記載の方法。
  24. 先の請求項のいずれかの方法によって調製される改変ポリペプチド。
  25. 前記改変ポリペプチドのプロテアーゼ安定性が、対応する親ポリペプチドのプロテアーゼ安定性の少なくとも5倍である、請求項24に記載の改変ポリペプチド。
  26. BCL−2ファミリーメンバーの異常な発現または活性と関連している障害を処置または制御する方法であって、有効量の先の請求項のいずれかに記載のポリペプチドを、障害の処置または制御を必要とする被験体に投与することを含む、方法。
  27. BCL−2ファミリーメンバーの異常な発現または活性と関連している障害を処置または制御するための医薬の製造における、先の請求項のいずれかに記載のポリペプチドの使用。
  28. 最適化されたプロテアーゼ安定性を有するポリペプチドであって、該ポリペプチドは:
    (a)該ポリペプチドの第1のアミノ酸と第2のアミノ酸とを連結している架橋剤;
    (b)少なくとも1つのα,α−二置換アミノ酸であって、ここで、該ポリペプチドは、該α,α−二置換アミノ酸を含まない対応するポリペプチドよりも高いタンパク質分解安定性を有し、該対応するポリペプチドは、プロテアーゼ切断部位を含むモチーフを含む、α,α−二置換アミノ酸
    を含み、
    該より高いタンパク質分解安定性は、該ポリペプチドと該対応するポリペプチドとをプロテアーゼとともに、タンパク質分解性の分解が誘導されるのに充分な期間、インキュベートし、該ポリペプチドのタンパク質分解安定性を該対応するポリペプチドのタンパク質分解安定性と比較することにより測定される、
    ポリペプチド。
  29. 前記α,α−二置換アミノ酸が、前記対応するポリペプチド内の前記プロテアーゼ切断部位の位置に対応する位置にある、請求項28に記載のポリペプチド。
  30. 最適化されたプロテアーゼ安定性を有するポリペプチドであって、該ポリペプチドは:
    (a)該ポリペプチドの第1のアミノ酸と第2のアミノ酸とを連結している架橋剤;
    (b)第2の架橋剤によって該ポリペプチド内の別のアミノ酸に連結された第3のアミノ酸であって、ここで、該ポリペプチドは、該第3のアミノ酸を含まない対応するポリペプチドよりも高いタンパク質分解安定性を有し、該対応するポリペプチドは、プロテアーゼ切断部位を含むモチーフを含む、第3のアミノ酸
    を含み、
    該より高いタンパク質分解安定性は、該ポリペプチドと該対応するポリペプチドをプロテアーゼとともに、タンパク質分解性の分解が誘導されるのに充分な期間、インキュベートし、該ポリペプチドのタンパク質分解安定性を該対応するポリペプチドのタンパク質分解安定性と比較することにより測定される、
    ポリペプチド。
  31. 前記第3のアミノ酸が、前記対応するポリペプチド内の前記プロテアーゼ切断部位の位置に対応する位置にある、請求項30に記載のポリペプチド。
  32. ポリペプチドであって、以下:
    (a)架橋剤を含む親ポリペプチドを提供する工程であって、該架橋剤は、該ポリペプチドの第1のアミノ酸と第2のアミノ酸とを連結している、工程;
    (b)該ポリペプチド内のプロテアーゼ切断部位を含む第1のモチーフを特定する工程;
    (c)該第1のモチーフを、少なくとも1つのα,α−二置換アミノ酸を含む第2のモチーフと交換し、それにより、改変ポリペプチドを作製する工程;
    (d)該改変ポリペプチドのタンパク質分解安定性を測定する工程;および
    (e)該改変ポリペプチドが該親ポリペプチドよりも高いタンパク質分解安定性を有する場合、該改変ポリペプチドを、最適化されたプロテアーゼ安定性を有するポリペプチドとして選択する工程
    を含む方法によって調製される、ポリペプチド。
  33. ポリペプチドであって、以下:
    (a)第1の架橋剤を含む親ポリペプチドを提供する工程、該架橋剤は、該ポリペプチドの第1のアミノ酸と第2のアミノ酸とを連結している、工程;
    (b)該ポリペプチド内のプロテアーゼ切断部位を含む第1のモチーフを特定する工程;
    (c)該第1のモチーフを第3のアミノ酸を含む第2のモチーフと交換し、それにより、改変ポリペプチドを作製する工程であって、ここで、該第3のアミノ酸は、第2の架橋剤によって該ポリペプチド内の別のアミノ酸に連結されている、工程;
    (d)該改変ポリペプチドのタンパク質分解安定性を測定する工程;および
    (e)該改変ポリペプチドが該親ポリペプチドよりも高いタンパク質分解安定性を有する場合、該改変ポリペプチドを、最適化されたプロテアーゼ安定性を有するポリペプチドとして選択する工程
    を含む方法によって調製される、ポリペプチド。
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