JP2013503650A - Kappaphycusalvarezii(カラギナン原藻)から抽出したエタノール及び海藻樹液の統合生産プロセス - Google Patents
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Abstract
や海藻の生物肥料の統合的生産プロセスに関し、特にKappaphycus alvarezii(カラギナ
ン原藻)から副産物として得るエタノールの生産プロセスに関し、生の海藻を粉砕して実証済みの生物肥料となる樹液を放出する工程と、カラギナンに富む残留バイオマスを回収する工程と、希硫酸を使用して高温下でこのバイオマスを加水分解する工程と、安価な水酸化カルシウムを使用して加水分解物を中和して不溶性塩を濾過又は遠心分離によって除去する工程と、電気透析によって加水分解物から可溶性塩の脱塩を行う工程と、窒素源でこれを濃縮する工程と、酵母をこれに植菌して発酵させエタノールを含む発酵ブロスを形成し、この発酵ブロスから蒸留によってエタノールを分離し、残留加水分解物と電気透析により発生するCaSO4と廃棄物を肥料として使用する工程とからなることを特徴とする。
Description
藻樹液の統合生産プロセスに関し、特に藻類コロイドに富む紅海藻であるKappaphycus alvareizii(カラギナン原藻)からエタノールを生産するプロセスに関する。
展望」Tunbridge Wells, Agra Europ special report, UK)。
あり、太陽からのエネルギーを使用して水と二酸化炭素(CO2)を混合し炭水化物を生成
し、最終的にバイオマスを生成する。このバイオマスは食糧源として世界中で採取されると共に藻類コロイドの生産材料として輸出されている。中国、日本、フィリピン、韓国等では、海藻や海藻系生産物の需要が海藻資源を上まわることにより、持続可能な生産量で海藻資源を利用するため海藻の商業的な養殖が行われている。更に、需要の増大により、抽出プロセスと共に養殖法の開発の研究が始まり奨励されている。これら海藻類は、面積無限大の海の中で、商業的規模で成長させることができ、厳密な農業慣行に拘わらず生産させることができる。
1.海藻によっては、非常に高濃度の炭水化物を含む。
2.海藻中の脂質含量は炭水化物含量に比べて少ないため、バイオディーゼル生産にはあまり適さない。
3.乾燥/半乾燥、又は生の海藻が、エタノール生産に使用することができる。よって
、乾燥等のいかなる予備処理も必要としない。
4.バイオディーゼルを生産するためオイルを抽出しなければならず、このために材料を乾燥させる必要があり、エネルギー集約的である。
5.エタノールの発酵を通して生じたCO2を藻類供給原料として使用することができる
。
成長培地のゲル化剤として、又生物工学的応用に幅広く使用される。これら藻類の細胞膜は、幅広く商業利用されているセルロースや寒天/カラギナン等の長鎖状多糖類から構成
されている。
類属に属し、ガラクトースの硫酸エステルナトリウム、硫酸エステルカリウム、硫酸エステルマグネシウム、硫酸エステルカルシウム、及び3,6-アンヒドロガラクトース単位
からなる。硫酸エステルの数や位置が異なるこれら基本型のカラギナンが入手可能である。これら多糖類は柔軟性が高い分子であり、一価及び多価の陽イオンの存在下でお互いに絡み合って二重らせん構造を形成する。この構造により、多糖類は様々な熱可逆性ゲルを室温下で形成することができる。カラギナン濃度は、乾燥重量ベースで25〜35%と、カラギナン原藻によって異なる。カラギナンは、食品や医療業界で増粘剤、安定剤、及びゲル化剤として幅広く使用されている。
はインドの水に適しており、その養殖は今後発展が期待できることが証明された(米国特許番号US6858430 2005年2月22日)。その後この技術はCSMCRIによってライセンスが供与され、末端使用者からの買戻し保証付きで、タミル・ナドゥ州で自助グループやNGOによる養殖活動が次々と奨励された。こうして過去20年に亘り、カラギナン原藻の大
規模養殖がインドを含む世界中で首尾よく行われることになり、これによりカラギナンを産出する海藻が不足する事態を回避することができた。海藻は生の重量ベースで90%以
上の水分を含むという事実を考慮して、CSMCRIは水を添加せずに生の海藻を液状化するという特異なプロセス(米国特許番号6,893,479)を発明した。このようなシンプルなプロ
セスにより、二種類の生成物が統合的に回収できた。その一つはカラギナンに富む濃縮された残留物であり、もう一つは主要及び非主要栄養素に富む樹液(液体海藻肥料-LSF
)である。農業需要を満たすため、Kappaphycus alvarezii(カラギナン原藻)の大量の
バイオマスが必要となったが、それは陸海における養殖によって達成することが可能となった。樹液の回収後にはカラギナンに富む残留バイオマスが大量に生じる。k-カラギナンの原料が充足さえすれば、バイオマスの残留物を使用してバイオエタノールを生成できる。このように、海藻から多くの生産物を回収することにより、海藻の養殖に関して更なる展望が開けた。優れた養殖によって、安価な原料であるKappaphycusがエタノール生産に
貢献することが証明できた。又、このような開発は、海藻業界の多大な拡張と同時にその継続的発展性の観点から非常に重要である。
、熟練労働等の使用に関して食用作物と相対するものであり、その結果食料価格の上昇に繋がる。又、バイオ燃料生産用に作物を養殖することは生物多様性にも影響を及ぼすことになる。よって、このようなあらゆる制限を克服したバイオエタノール生産に向けて、代替資源を見つける必要性に迫られている。海洋性藻類/海藻は、その理想的な代替資源と
なる。というのは、これらは養殖のための広大な面積が入手可能な海中において生育可能で、しかも成長率が速いため、特別な農業慣行を行わずに大量のバイオマスを生成することができ、これにより農業用地を確保するプレッシャーを低減することができるからである。その上、これらは炭水化物に富み、それゆえにバイオエタノール生産にとって理想的な資源となるからである。
照すると、Kappaphycus alvarezii(カラギナン原藻)の生のバイオマスから多種生産物
を得る統合的方法と、これにより海藻の価値が高められたことが開示されている。こうして得られた生産物として、i)液体バイオ肥料となり得る樹液、及びii)カラギナンに富
む粒状残留物等が挙げられる。この残留物はk-カラギナンを抽出するための原料である。しかしこの特許の問題点は、一種類の生産物、すなわちk-カラギナンを調製するためにのみ残留物を利用することにある。カラギナンに富む粒状体を利用してエタノールを生産することに関しては言及がない。
海洋性藻類の単糖類を使用してエタノール生産を行うことに関しては言及がない。
る。ここでは、成長が速いことと、2か月以内に濃密なマットを成長溜池に形成することができることにより、Enteromorphaspが選ばれた。又、Enteromorphaからプロトプラスト(原形体)を調製し、アルコールデヒドロゲナ−ゼ遺伝子及び/又はピルビン酸デカルボ
キシラーゼを、プロモーター遺伝子の高発現下に挿入することにより藻類細胞を形質転換させた。つまり、アルコール生産形質転換体を200mlの海水培地で培養し、2〜3日ごと
に5時間7回に亘って、浅い溜池中の培養菌に海水を一杯に注いだ。藻類細胞の代謝経路における少なくとも一つの酵素の過剰発現により代謝産物が生産される結果となったことが記載されている。しかしこの特許の問題点は以下に挙げる点である。a)遺伝的に改質
された海藻が使用され、主要な多糖類は澱粉であること。b)遺伝的形質転換が複雑なプ
ロセスを辿るため、継続的なモニタリングが必要であること。c)植物の遺伝子導入は、
その性質上使用前に基準値を明確に規定しなければならないこと。Kappaphycus alvarezii(カラギナン原藻)を使用してエタノール生産することに関しては言及がない。
イトルの米国出願番号5578472(1996)を参照すると、微細藻類からエタノールを生産させ
るプロセスが開示されている。ここでは、細胞内に澱粉蓄積が可能なChlamydomonas reinhardtii UTEX2247を培養して藻類細胞を採取し、成長した藻類細胞を含む藻類培養溶液を濃縮して藻類細胞スラリーを得て、濃縮した藻類細胞をスラリーの状態で暗室内及び嫌気性雰囲気内に設置しpH 6.0〜9.0の範囲内のエタノールを形成した。残りのスラリーはメ
タン発酵させ焼成して二酸化炭素を発生させ、これを微細藻類培養工程にて使用した。しかしこの出願の問題点は以下に挙げる点である。a)微細藻類の使用、b)藻類細胞内に蓄積される澱粉がエタノール生産の基板であること。c)発酵プロセスが暗い状態で行われ
ること。大型藻類多糖類(藻類コロイド)を、エタノール生産の基板として使用していることに関しては言及がない。
化、酵母で発酵し、65%のエタノール変換率を得た。更に、違うタイプのエタノール生産
プロセス、すなわち暗室内、嫌気性状態下で、細胞内澱粉発酵を調べた。結果、テストした菌株に細胞内澱粉の分解とエタノール生産が見られた。結局、細胞内エタノール生産は、従来のエタノール発酵プロセスよりシンプルでエネルギー集約的であると結論付けられた。しかし、この文献の問題点は以下に挙げる点である。a)微細藻類の使用、b)抽出した微細藻類成分、澱粉を基板として使用していること。c)使用する細胞内澱粉を暗室内
、嫌気性状態で発酵させること。基板として、海藻又は海藻から得られるカラギナンに富む材料を使用してエタノール生産することに関しては言及がない。
production by Dark Fermentation in the Marine Geen alga, Chlorococcum littorale”というタイトルのUenoらによる文献を参照すると、エタノール生産に力を入れた海洋性緑藻、Chlorococcum littoraleの暗室発酵を調べている。27%の細胞内澱粉が25℃で24時
間以内に暗室嫌気性状態下で消費され、これによりエタノール、アセテート、水素、及び二酸化炭素が発酵産物として生成したことが記載されている。又、30℃で450マイクロモ
ル/gの乾燥重量の最大エタノール生産性が得られたことが記載されている。しかし、この文献の問題点は以下に挙げる点である。a)炭水化物として澱粉を有する微細藻類を使用
していること、b)発酵プロセスが暗室内、嫌気性状態で行われてエタノール生産するこ
と。ここでは、大型藻類、特に紅藻類は使用されない。又、発酵に酵母菌やバクテリアが
使用されることに関しては言及がない。
いうタイトルの文献を参照すると、発酵性微細藻類固定二酸化炭素からのエタノール生産が記載されている。これによると、200以上の微細藻類の菌株を海中からふるい分けて、自己発酵によりCO2固定とエタノール生産が行われた。分離された物質はその成長率、
澱粉濃度、及び澱粉からエタノールへの変換率が調べられた。又、高成長率(30gの乾燥
バイオマス/m2.d)と乾燥重量ベースで30%の澱粉濃度を有し、暗室内、嫌気性状態での細胞内澱粉からエタノールへの変換率が50%の高変換率である優良な菌株の一つであるChlamydomonas sp.YA-SH-1が選ばれた。このChlamydomonas sp.,を培養し、採取し、自己発酵
させた。最後に、発酵ブロスからエタノールを抽出した。しかし、この文献の問題点は以下に挙げる点である。a)高濃度の澱粉を有する微細藻類の使用、b)暗室状態下での自己発酵法を採用していること。澱粉の他に多糖類を有する大型藻類、特に紅海藻を使用してエタノール生産することに関しては言及がない。
ロジー科に提出された“Bioenergy from brown seaweeds”というタイトルのSvein Jarle
HornによるPh.D論文を参照すると、Laminaria HyperboreaとAscophyllum nodosumを使用してエネルギー生産を図る研究が行われている。この論文においては、L.hyperborea葉状体から抽出されるラミナランとマンニトールがエタノール生産のための基板として使用された。ここでは、マンニトールから得られるZymobacter palmaeを使用してエタノール生
産を行ったが、ラミナランは利用されなかった。しかしながら、酵母菌Pichia angophoraeにより、上記両基板から同時にエタノールを生産することができた。最後に、褐藻類か
らメタンとエタノールが生産された。この論文によると、採取するコストが低ければ、海藻からエネルギーを生産することは経済的であると思われる。尚、アルギン酸塩から廃棄物を得れば、コストが掛からずにエネルギー生産のための原料が得られると思われる。しかし、この文献の問題点は褐藻類を使用していることにある。紅藻類をエタノール源として使用していること、及びエタノールを副産物として生産することに関して言及がない。
整した。エキスには、生の重量ベースで2%の収率で、マンニトールとラミナランが含まれていた。4種の微生物、1種のバクテリア、及び3種の酵母菌がバッチ式及び連続式培養発酵に使用された。そしてバッチ式培養で、0.43g/gのエタノールの収率を達成した。し
かし、この文献の問題点は、以下に挙げる点である。a)褐藻類Laminaria hyperboreaの
全体を使用しなければならないこと、b)マンニトールとラミナランからなる海藻エキス
を糖基板として使用していること。ここではエタノール生産のために紅藻類が使用されていない。又、副産物としてのエタノール生産に関して言及がない。
よる“Saccharification of marine microalgal biomass for bioethanol production using marine bacteria”というタイトルの文献を参照すると、海洋性バクテリアを使用し
た海洋性微細多糖類の糖化法が記載されている。分離された海洋性バクテリアの191個の菌株の中から、塩水状態下での糖化に対して最も有望な細菌培養としてPseudoalterimonas undinaを同定した。又、澱粉等細胞内炭水化物を高濃度で有する微細緑藻NKG12070が使用された。Pseudoalterimonas undinaを藻類細胞の懸濁液中に摂取して、アミラーゼ生成による糖濃度削減の促進が観察された。しかし、この文献の問題点は、以下に挙げる点
である。a)澱粉を主な炭水化物とする微細藻類を原料として使用していること、b)糖化に対して酵素処理を使用していること。海藻を使用してエタノール生産を図ることに関しては言及がない。
参照すると、遺伝子的に改質されたシアノバクテリア、特にSynechococcusからエタノー
ル生産する方法が開示されている。これによると、pLOI295中のZymomonas mobilisから得た酵素、ピルビン酸デカルボキシラーゼやアルコールデヒドロゲナーゼをコードするDNA
断片を作製した。これら二種の酵素は解糖系における生産物であるピルビン酸からエタノールを生産するために必要である。採取されたシアノバクテリア細胞は、このDNA断片を
取り込むことにより改質され、アンピシリン含有プレート上に植菌され、形質転換されたアンピシリン耐性シアノバクテリア細胞を得た。これら改質されたSynechococcus細胞は
、1時間でクロロフィルmg当たり少なくとも1.7mmolの回収可能な量のエタノールを生産
することができた。しかし、この文献の問題点は、以下に挙げる点である。a)微細藻類
、特に遺伝子的に改質されたSynechococcusを使用するため、精密な専門技術や継続的な
モニタリングが必要であること。海藻を使用してアルコールを生産することに関しては言及がない。
藻類、又は菌叢形成藻類を採取してバイオマスを形成し、細胞変性を起こし、これを発酵させ、発酵ブロスからエタノールを分離することによりエタノールを生産するプロセスを開示している。藻類バイオマスを暗室内、嫌気性状態下に置き、バイオマスの変性を起こさせ、次にSaccharomyces cerevisiaeやSaccharomyces uvarum等の酵母菌を摂取して発酵溶液を得て、この発酵溶液から発生するエタノールを分離した。しかし、この文献の問題点は以下に挙げる点である。a)天然微細アオコを使用するため、藻類培養液の混合液を
使用していること、b)藻類成分である澱粉を基板として使用していること。ここでは、
アオコを使用して実験が行われたため、微細藻類の純培養液を使用していない。又、以下の言及がない。a)発酵前に澱粉を加水分解して単糖類を得ること、b)エタノール生産のため大型藻類が使用されていること。そしてエタノールが副産物として生産されていない。
(2008)らによる“Fermentation study on Saccharina latissima for bioethanol production considering variable pretreatments”というタイトルの文献を参照すると、褐藻類Saccharina latissima(Laminaria saccharina)を使用するバイオエタノール生産に関して藻類に対する酵素による前処理の効果が記載されている。ラミナリンやマンニトールはアルギン酸の他、褐藻類から得られる主要な炭水化物である。これら3種すべての炭水化物の量は、季節によってさまざまであると共に植物のライフサイクルによってもさまざまである。ラミナリンは、b-1, 3-結合グルコース残基からなり、b-1, 6-結合はほとんどない。このような多糖類は、さまざまなpHや温度状態下で、ラミラナーゼにより簡単に加水分解される。しかしながら、pH6、23℃下、酵素でサンプルを処理して0.49%の最大エタノール生産を得た。しかし、この文献の問題点は以下に挙げる点である。a)海藻全体を犠
牲にすること、b)pH調節のため、加水分解物中に高塩分濃度が発生し、これによりエタ
ノール生産が妨げられること、c)エタノールが副産物として生産されないこと。
東京大学海洋科学技術部、及び三菱総合研究所による研究論文を参照すると、養殖された海藻から得るバイオエタノールの大規模生産という遠大な提案の詳細が報告されている。
これによると、海藻は、典型的にはサトウキビやトウモロコシ等の作物から得られるはずのバイオエタノール源の有望株として長い間議論されてきたが、このアイデアは実行に移されることはなかった。更にこれによると、成長率が高いためホンダワラ類の海藻が大規模に養殖され、次にフコイダンやアルギン酸等の藻類多糖類の酵素による糖化、発酵が行われてエタノールの生産が達成されると記載されている。又、これによると、海藻は、エタノール生産の他、海中に存在する余分な栄養分を低減することにより日本海の浄化にも一役担うだろうと記載されている。しかし、この文献の問題点は以下に挙げる点である。1.褐藻類をエタノール生産に使用すること、2.海藻全体をエタノール生産のため犠牲にすること、3.ノリやワカメ等の食用藻類を褐藻類Sargassumに置き換えなければなら
ないこと、4.比較的進行が遅い酵素による糖化プロセスを適用しなければならないこと。紅藻類の使用に関しては言及がないと共にエタノールが副産物として生産されることに関しても言及がない。
発表された“Denmark looks to turn a common seaweed into biofuel”というタイトル
のこの技術分野の専門誌の定期刊行物を参照すると、アオサ(海藻)からバイオエタノールを生産する有望性を評価する計画に資金が投入されたと記載されている。この文献の指摘によると、緑藻であるUlva lactucaが、バイオエタノール生産の可能性を秘めているということだ。これは、オーフス大学国立環境研究所のMichael Bo Rasmussenによる観察報告であり、トウモロコシやトウモロコシの実等の穀物栽培から得るというよりむしろ、食用ではないバイオマス源からバイオエタノールを作るための豊富な有望資源としてのアオサに関して記載している。
”というタイトルのHiroshi Yamazakiによる報告を参照すると、CO2排出の大幅削減に向
けて日本の企業はすでにバイオ燃料を市場に導入し始めていると記載されている。更に、バイオ燃料の国内生産、特に食用材料からの生産の実現はまだ道のりが険しいと記載している。それにもかかわらず、海藻や廃材等の新材料を使用する有望な実験が注目されているということだ。
バイオエタノールやバイオディーゼルの生産に海藻又は藻類を使用することが記載されている。これによると、特定の環境を高生産性にすることにより望まない種による汚染を引き起こしやすくなるため藻類養殖によりバイオディーゼルを生産することは難しい一方、海藻や藻類は、澱粉等の複合糖質に富む上、油より多量に存在するため、このような多糖類を形質転換させ発酵させることにより、エタノールへの転換をめざすと記載されている。
Sunrise Project”というタイトルのAizawaらによる文献を参照すると、この計画は、日本の排他的経済水域(EEZ)の4.47百万km2(世界で6番目に大きい領域)の未使用域を利用してSargassum horneriを耕作し採取することにより海藻バイオエタノール生産を目指
すことが記載されている。更に、海藻バイオエタノールを生産することにより化石燃料の代替エネルギーとしての貢献を果たし、地球温暖化と闘うことを目指している。又この文献は、東京水産振興会によるこの計画の実行可能性の研究概略とその結論を記載している。しかし、この文献の問題点は以下に挙げる点である。a)エタノール生産のためSargassum horneriを使用すること。結局エタノール生産は達成されず、紅藻類細胞内化合物からのガラクトース抽出に関する言及もない。
developed”というタイトルの報告を参照すると、海藻から作製されるバイオ燃料はエタノールの代替燃料になり得るものであるが、これは食用作物から得られ、よって食糧価格の高騰を招くものであると記載されている。この記事によると、Bernard Stroazzo(Bio Fuel-Systemの社長)は次のように述べている。海藻から得るバイオ燃料は有望であり、
この生産物は環境に悪影響を及ぼさないばかりでなく地球上の人類に食糧危機ももたらさない。又、次のように述べている。海藻は非常に光合成効率が高く、他のバイオ燃料と比べて100%の太陽エネルギーを回収する。しかしながら、研究者にとって最も問題となる点は、多量のバイオ燃料の発生を可能にする適切な海藻種を同定することにある。
に発表されたRicardo Radulovichによる“Let's use seaweed as fuel”というタイトル
の記事を参照すると、海藻は通常食糧、肥料、及び動物の飼料として使用されるが主要な燃料としても使用できると記載されている。更に、海藻をバイオ燃料として使用する利点として、土や水などを必要としないと記載されている。
選択、環境選択、及び分子生物学のツールによってシアノバクテリア(青緑藻類)を使用し、低価格で環境にやさしいバイオ燃料を生産した。あらゆる植物がそうであるように、藻類も光合成を使用して太陽エネルギーを、油、炭水化物やプロテインの形で蓄積する化学エネルギーに変換する。Algenolの特許技術によると、藻類、太陽光、二酸化炭素、海
水という事実上無限大に豊富で再生可能な4種のエネルギー源からエタノールを生産した。このプロセスで生産されるのは、エタノール、酸素、淡水、農業肥料である。Algenol
のプロセスは大規模なエネルギーバランスを保ち、植付け、収穫、供給原料の輸送、化石燃料ベースの肥料などを必要としないし、栽培過程やエタノール生産過程においてCO2も
排出しない(http://www.algenolbiofuels.com/default.html)。同会社の試算によると
、この海水ベースのプロセスにより、1エーカー当たりそれぞれ約360〜890ガロンの産出量しかないトウモロコシやサトウキビに比べて、1年で1エーカー当たり6,000ガロンも
の産出量が期待できる。このプロセスにおいては、藻類の光合成により太陽光と90%以上
のCO2を消費しながら、糖質がエタノールに変換される。エタノールは即座にくみ出され
、バイオリアクター内に気化させられ、この気化物を毎晩採取する。しかし、この発明の問題点は、海藻を使用するのではなく青緑藻類を使用する点にある。又、エタノールが副産物として生産されることに関しては言及がない。
てバイオエタノール生産を図る経済的社会的側面を調べる学問である。
海藻資源により、アイルランドは次世代バイオ燃料生産における重要な地位を占めることになるだろうと記載されている。Seaweedireland.comは、http://dezeewierwinkel.nl/bio-fuel.htmlに、バイオ燃料、バイオガス、電気、熱に関する記事を発表した。これによ
ると、海藻は微小な微生物に分解され、異種アルコールを生成すると記載されている。
上記詳細に述べた問題点を解消するため、本発明の主な目的は、Kappaphycus alvarezii(カラギナン原藻)から海藻樹液とエタノールを生産するための統合的プロセスを提供
することである。
タノールを生産することである。
末状にし、カラギナンに富むこの粉末からバイオエタノールを生産すると共に、海藻樹液を回収することである。
。
従って、本発明はKappaphycus alvarezii(カラギナン原藻)からエタノールと海藻樹
液を生産するための統合的プロセスを提供することであって、
(a)海中から、養殖された紅海藻を収穫する工程と、
(b)生のKappaphycusから樹液を抽出して、カラギナンに富む残留粉末だけ残して液体植物栄養素を放出する工程と、
(c)残留粉末を洗浄して塩と沈泥を除去する工程と、
(d)0.5〜5%の濃度の希硫酸を使用して多糖類に富む粉末を加水分解し、次にこの溶液を80〜200℃で30〜90分間加熱し、還元糖が豊富な加水分解物を得る工程と、
(e)濾過又は5000〜7000rpmで15分間の遠心分離により溶液を回収する工程と、
(f)濾過した溶液に生のKappaphycus alvarezii(カラギナン原藻)粉末を添加することにより加水分解物中の糖質濃度を増加させ、糖質濃度が2〜10%になるまで工程(d)と
工程(e)を繰り返す工程と、
(g)水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化カリウム等のア
ルカリで加水分解物のpHを4.5〜8.0に調整する工程と、
(h)濾過又は5000〜7000rpmで15分間の遠心分離によって不溶性塩を分離する工程と、
(i)電気透析により、加水分解物を脱塩して可溶性塩を取り除く工程と、
(j)0.2〜2.0%のペプトン、酵母エキス、及びJatropha(ジャトロファ)の実から得るタンパク加水分解物等の窒素源で加水分解物を濃縮して、これを121℃で15分間蒸留する
工程と、
(k)培養No.NCIM3455(ATCC 26602)のSaccharomyces cerevisiaeを濃縮加水分解物に植菌しこれを25〜35℃で24〜96時間、一定期間培養する工程と、
(l)エタノール生産をモニターする工程と、
(m)エタノールを蒸留により発酵ブロスから分離する工程と、
(n)蒸留によりエタノールを濃縮する工程、とを含むプロセスを提供する。
大型藻類をエタノール生産に使用し、カラギナンに富む粉末から海藻樹液の他、副産物としてエタノールを生産することを特徴とする。
てガラクトース等の単糖に部分的に加水分解することを特徴とする。
する。
濾過により、又は7000rpmで15分間の遠心分離により除去される一方、可溶性塩は電気透
析法により除去されることを特徴とする。
、又はJatropha(ジャトロファ)の実から得るタンパク加水分解物等の窒素源で加水分解物を濃縮することを特徴とする。
することを特徴とする。
する。
℃で培養することを特徴とする。
ーすることを特徴とする。
本発明の目的は、バイオエタノールを生産すること、特に大型藻類バイオマスの発酵によってエタノールを生産するためのプロセスを提供することである。本発明は、紅藻類を使用することによって、つまり紅藻類コロイドを原料として利用することによってバイオエタノールを生産するためのプロセスの開発に関する。本発明によると、最初に、紅海藻、特にKappaphycus alvarezii(カラギナン原藻)からバイオエタノールを副産物として
生産する。紅海藻は、寒天やカラギナン等の分解可能な多糖類からなる成長が速い海洋植物である。
バイオエタノール生産のプロセスは、一般的に糖化と発酵からなる。通常、糖化は濃縮/希酸加水分解や酵素による加水分解によって行われ、その後、バクテリア又は酵母菌の
いずれかを使用して発酵させることによって行われる。糖化は、0.5%〜5.0%の硫酸を使用して、80〜200℃の温度で、30〜90分間、藻類バイオマスを希酸加水分解することによっ
て行われる。この結果、カラギナンがガラクトースに変換されるのと同時に、高濃度に硫酸塩を含有するカラギナンによって可溶性塩が発生する。回収された加水分解物中の還元糖は、生のバイオマスを同じ溶液中、同じ状態下で処理することによって増加する。このプロセスを3〜5回繰り返すことによって、2〜10%の望ましい濃縮還元糖を達成することができ、これを、ネルソン法を使用して分光測定によりモニターする。還元糖の濃縮が増加することにより、最終加水分解物中の可溶性塩の濃縮も増加する結果となる。濾液のpHを、水酸化カルシウムを使用して4.5〜8.0に調整する。中和過程で生じた不溶性硫酸カルシウムの沈殿物を、濾過又は5000〜7000rpmで15分間遠心分離によって分離する一方、可溶
性塩を電気透析法によって除去した。このプロセスにおいて、実験室で作製した共重合体の陽イオン陰イオン交換膜の5個のセル対を電解スタックに充填した。スタック内は並流が採用された。スタックの単一膜の有効面積は80cm2であった。EDスタックの生産物(希
釈物)コンパートメント内に海藻加水分解物を循環させた。同時に、濃縮コンパートメント内に水を循環させた。実験はすべて、生産物と濃縮物が流量3.0L/h時間で循環するように、適切なポンプを使用して行われた。そして、端部にある二つの電極コンパートメント内に硫酸ナトリウムの希釈溶液を循環させて電気透析物を流出させた。AC/DC整流器によ
って二極間に7.5Vの電位を加えた。希釈物と濃縮物の循環は全溶解塩廃棄物が当初の量の90〜95%ぐらいになるまで継続して行われた。循環の合間に定期的に電圧とTDSを記録した。実験の終わりに、試験用サンプルの希釈物と濃縮物の流れを分析して、TDS, 導電性、pH, 塩化物、硫化物、硬さ、ナトリウム、カリウム含有量などを求めた。
タンパク加水分解物等の窒素源で濃縮し、これをオートクレーブし、培養No.NCIM 3455(ATCC 26602)のSaccharomyces cerevisiaeをこれに植菌し、それから25〜35℃で24〜96時間の間の一定期間培養して、単糖をエタノールに変換した。GC-MS(QP 2010)を連結したGC-MS(GC:2010:島津製作所製)を使用し、ヘッドスペース(AOC-5000)分析器を通して、定期的にエタノールの生産をモニターすることにより発酵液の還元糖を測定して発酵効率を求めた。最後に、発生したエタノールを蒸留によって発酵ブロスから分離し、残留物を肥料として使用した。
として生産することが記載されている。
プロセスを開発する工程と、ii)エタノールを副産物として産生させる工程と、iii)エ
タノール生産のため、原料として紅海藻を使用する工程と、iv)カラギナンに富む紅海藻に含まれる硫酸化多糖類をエタノールの原料として使用する工程と、v)カラギナンに富
む原料を硫酸で加水分解し多糖類を単糖類に変換する工程と、vi)同じ溶液中で生の粉末を繰り返し加水分解することにより加水分解物の糖濃度を上げる工程と、vii)中和に水
酸化カルシウムを使用する工程と、viii)生成される不溶性CaSO4を濾過又は遠心分離に
より除去する工程と、ix)電気透析により加水分解物から可溶性塩の脱塩を行う工程と、ix)窒素源により加水分解物を濃縮する工程と、x)活発に成長する酵母培養菌である培
養No.NCIM 3455(ATCC 26602)のSaccharomyces cerevisiaeを使用してブロスを発酵させる工程と、xi)蒸留によってエタノールを回収する工程と、xii)電気透析により発生する
硫酸カリウムと硫酸ナトリウムを含む廃棄物を、中和過程で生成されるCaSO4やエタノー
ルの蒸留後に残る残留物と共に肥料として使用する工程、とからなることを特徴とする。
生のKappaphycusから液体樹液を回収し、その後、残留粉末を洗浄して乾燥させた。
それから温度を上げ所定期間かけて、所定重量の乾燥粉末を希釈硫酸で糖化させた。加水分解物中の全糖及び還元糖を、フェノール硫酸法及びネルソン法によってそれぞれ測定した。糖化に使用する条件及び糖化過程で生成する糖分の詳細を表1、2に示す。
加水分解物中、最大還元糖濃度を得るため、洗浄して乾燥させたKappaphycus alvarezii(カラギナン原藻)の粉末20gを0.5%の硫酸1000ml中に抽出させた。そして加水分解物を濾過し、前サイクルで得た濾過物に同量の新規な生の粉末を添加して、これを同様な条件下で加水分解した。このサイクルを同様に3回繰り返した。各サイクルで得られた糖濃度を表3に示す。
加水分解の効率改善と糖濃度の増加を図るため、高酸濃度にして抽出作業を繰り返し行う。これにより、実施例3に示すように多糖類から単糖への変換率を上げることができた。
加水分解物中で最大の還元糖の濃度を得るため、50gの生の粉末を、2.5%の硫酸1000ml
中に抽出した。そして前サイクルで得た濾過物に同量の新規な生の粉末を添加して、これを同様な条件下で加水分解した。このサイクルを同様に3回繰り返した。各サイクルで得られた糖濃度を表4に示す。
(水分除去後の繊維含有量:20%)。このように、36.8%のカラギナンを単糖に変換した。
Kappaphycus alvarezii(カラギナン原藻)粉末の酸加水分解後に得た糖液は本来酸性
で、そのpHを固体水酸化カルシウムで5.5〜6.5に調整した。結果として生じる沈殿物を濾過によって除去し、濾過物を、0.5%のペプトンと0.5%の酵母エキスで濃縮し、これをオートクレーブし、地域市場で購入するパン酵母をこれに植菌してグルコース酵母エキス寒天を精製してその後発酵に使用した。当初の糖濃度が異なる植菌後ブロス(ブロス1及びブロス2)を24時間シェーカーで培養した。当初は好気性状態で培養し、その後更に嫌気性及び静止状態で更に2日間培養した。毎24時間後にGC-MSを使用してエタノール形成を測
定した。又、HPLCを使用してガラクトースの利用を確認したところ、培養の経過と共に発酵ブロス中のガラクトースのピークが消滅しているように思われた。Kappaphycus alvarezii(カラギナン原藻)の粉末から得られる還元糖のエタノールへの変換を表5に示す。
量測定の基準値として標準的なエタノール(0.1%)を使用した。表5に示すように、当初17〜23%の糖がエタノールに変換された。
当初それぞれ異なる糖濃度を有するKappaphycus alvarezii(カラギナン原藻)粉末の
酸加水分解後に得られる糖液は本来酸性を示し、そのpHは固体水酸化カルシウムにより5.5〜6.5に調整された。結果として生じる沈殿物を遠心分離又は濾過によって除去して、0.5%のペプトンと0.5%の酵母エキスで濃縮し、オートクレーブし、そしてパン酵母をこれに植菌し、その後発酵に使用した。植菌後のブロスを24時間シェーカーで培養した。当初は好気性状態で培養し、その後更に嫌気性及び静止状態で更に2日間培養した。毎24時間後にGC-MSおよびネルソン法を使用してエタノール形成と還元糖の利用効率を測定した。還
元糖のエタノールへの変換率を表6に示す。
ールに変換された。
実施例6に示す有望株を確認した。
当初それぞれ異なる糖濃度を有するKappaphycus alvarezii(カラギナン原藻)粉末の
酸加水分解後に得られる糖液は、そのpHは固体水酸化カルシウムにより5.5〜6.5に調整された。沈殿物を除去後に得られる透明溶液は、0.5%のペプトン及び0.5%の酵母エキス等の窒素源で濃縮し、これをオートクレーブし、インドのNCLやPuneから調達した培養No.NCIM
3455(ATCC 26602)及びNCIM 3090(ATCC 9763)のSaccharomyces cerevisiaeの標準的な酵
母培養液2種をこれに植菌した後、発酵に使用した。植菌後のブロスを24時間シェーカーで培養した。当初は好気性状態で培養し、その後更に嫌気性及び静止状態で更に3日間培養した。未使用の糖を測定すると共にGC-MSを使用して4日後のエタノール形成を測定し
た。還元糖のエタノールへの変換率を表7に示す。
Kappaphycus alvarezii(カラギナン原藻)粉末を使用したバイオエタノール生産は、50gのバイオマスを2.5%の硫酸1000mlを使用して、100℃で1時間加水分解することにより
行われた。エキスを濾過し、50gの生の海藻バイオマスを濾過物に添加し、同様な条件下
で加水分解を繰り返し、糖濃度を増加させた。このように150gの原料を使用して抽出を3
回繰り返した。この3回のサイクルすべてにおいてエキス中の還元糖濃度を測定した(表8)。3回のサイクル後に得られた糖液を固体水酸化カルシウムでpH5.5〜6.0に中和した。硫酸カルシウム沈殿物を除去後に得られる透明溶液は、0.5%のペプトン及び0.5%の酵母エキス等の窒素源で濃縮し、オートクレーブし、培養No.NCIM 3455(ATCC 26602)のSaccharomyces cerevisiaeの標準的な有望酵母培養液を植菌した後、発酵に使用した。植菌後のブロスを24時間シェーカーで培養した。当初は好気性状態で培養し、その後更に嫌気性及び静止状態で更に2日間培養した。未使用の糖を測定すると共にGC-MSを使用して毎24時
間後のエタノール形成を測定した。還元糖のエタノールへの変換率を表9に示す。この結果は、使用される糖のほとんどがエタノールに変換されることを示している。
3回のサイクルの後、カラギナン120g相当の粉末150gから36.82gの還元糖が得られた。このように、30%のカラギナンが還元糖に変換された。
Kappaphycus alvarezii(カラギナン原藻)粉末を使用したバイオエタノール生産は、50gのバイオマスを2.5%の硫酸1000mlを使用して、100℃で1時間加水分解することにより
行われた。エキスを濾過し、50gの生の海藻バイオマスを濾過物に添加し、同様な条件下
で加水分解を繰り返し、糖濃度を増加させた。このように全250gの原料を使用して抽出を5回繰り返した。最終加水分解物中における還元糖濃度を測定した。5回のサイクル後に
得られる糖液を固体水酸化カルシウムでpH5.5〜6.5に中和した。この中和過程で生じる不溶性塩を濾過又は6500rpmで15分間の遠心分離によって除去する一方、加水分解や中和過
程で生じる可溶性塩を電気透析(ED)法によって除去した。このプロセスにおいて、実験
室で作製した共重合体の陽イオン陰イオン交換膜の5個のセル対を電解スタックに充填した。スタック内は並流が採用された。スタックの単一膜の有効面積は80cm2であった。ED
スタックの生産物(希釈物)コンパートメント内に海藻加水分解物を循環させた。同時に、濃縮コンパートメント内に水を循環させた。実験はすべて、生産物と濃縮物が流量3.0L/h時間で循環するように、適切なポンプを使用して行われた。そして、端部にある二つの電極コンパートメント内に硫酸ナトリウムの希釈溶液を循環させて電気透析物を除去した。AC/DC整流器によって二極間に7.5Vの電位を加えた。ブロス、希釈物と濃縮物の循環は
全溶解塩廃棄物が当初の量の90〜95%ぐらいになるまで継続して行われた。循環の合間に
定期的に電流、電圧とTDSを記録した。実験の終わりに、TDS, 導電性、pH, 塩化物、硫化物、硬さ、ナトリウム、カリウム等に関して、試験用サンプルの希釈物と濃縮物の流れを分析した。ED後に得られた透明溶液は、0.5%のペプトン及び0.5%の酵母エキス等の窒素源で濃縮し、オートクレーブし、培養No.NCIM 3455(ATCC 26602)のSaccharomyces cerevisiaeの標準的な有望酵母培養液を植菌した後、発酵に使用した。植菌後のブロスを24時間、30±2℃で、シェーカーで培養した。そして、未使用の糖を測定すると共にGC-MSを使用してエタノール形成を測定した。エタノール生産に電界透析を使用する効果を、EDなしで同じ加水分解物中に得られた結果と比較することにより検討した。ED処理による加水分解物の分析を表10に示し、ED処理の加水分解物、及びED処理によらない加水分解物から得るエタノール生産に関する比較データを表11に示す。
によるエタノール変換率が著しく向上した。
当初それぞれ異なる糖濃度を有するKappaphycus alvarezii(カラギナン原藻)粉末の
酸加水分解後に得られる糖液は本来酸性を示し、そのpHは固体水酸化カルシウムにより5.8に調整された。濾過又は7000rpmで15分間の遠心分離によって沈殿物を除去後に得られる透明溶液を電気透析し脱塩し、0.5%のペプトンや0.5%の酵母エキスの代わりに1.25%のプ
ロテインを有するJatropha(ジャトロファ)の実から得る1.25%のタンパク加水分解物等
の窒素源で濃縮し、これをオートクレーブし、NCIM 3455(ATCC 26602)から調達するSaccharomyces cerevisiaeの標準的な酵母培養液をこれに植菌してから、発酵に使用した。植
菌後のブロスを30±2℃で、24時間シェーカーで培養した。当初は好気性状態で培養し、
その後更に嫌気性及び静止状態で更に3日間培養した。4日後に未使用の糖濃度を測定すると共にGC-MSを使用してエタノール形成を測定した。培養後、糖の利用率は加水分解物
中の利用可能な糖全体の84%と高いものの、糖からエタノールへの変換率は13.5%と低いことが分かった。
1.生物肥料の生産とエタノール生産を統合的に行うための大型藻類バイオマスの開発と副産物としてエタノールを生成すること。
2.カラギナンの生産後、カラギナンに富む余剰粉末を糖の原料として使用し、エタノールを生産すること。
3.同じ海藻から多数の生成物が得られることにより、その商業用養殖に経済的活路が見いだせること。
4.潜在能力の高い海藻の商業用養殖を実現するため、海中の広大な面積を利用できること。
5.農業用地や水、食料作物などとの競合がないこと。
6.海藻の養殖には、厳密な農業慣行が必要でないこと。
7.肥料又は農薬の使用がないため、環境にやさしい養殖法が確立できること。
8.電気透析プロセスの使用により、加水分解物中に存在する可溶性塩を除去できること。
9.中和、電気透析過程、及びエタノールの蒸留後に発生する廃棄物を肥料として使用すること。
Claims (10)
- Kappaphycus alvarezii(カラギナン原藻)から得るエタノールと海藻樹液の統合的生
産プロセスであって、
(a)海中から養殖されたKappaphycus alvarezii(カラギナン原藻)を収穫する工程と、
(b)(a)の工程で得た生のKappaphycusから樹液を抽出して、カラギナンに富む残留
粉末だけ残して液体植物栄養素を放出する工程と、
(c)(b)の工程で得た粉末を洗浄して塩と沈泥を除去する工程と、
(d)0.5〜5%の濃度の希硫酸を使用して、(c)の工程で得たカラギナンに富む粉末を
加水分解し、次にこの溶液を80〜200℃で30〜90分間加熱し、還元糖が豊富な加水分解物
を得る工程と、
(e)濾過又は5000〜7000rpmで15分間の遠心分離により(d)の工程で得た溶液を回収
して加水分解物を得る工程と、
(f)濾過した溶液に生のKappaphycus alvarezii(カラギナン原藻)粉末を添加することにより(e)の工程で得た加水分解物中の糖質濃度を増加させ、糖質濃度が2〜10%にな
るまで工程(d)と工程(e)を繰り返す工程と、
(g)水酸化カルシウム等のアルカリで加水分解物中のpHを4.5〜8.0に調整して不溶性
塩CaSO4を生成する工程と、
(h)濾過又は5000〜7000rpmで15分間の遠心分離によって(g)の工程で得た不溶性塩
を分離して加水分解物を得る工程と、
(i)電気透析により、(h)の工程で得た加水分解物を脱塩して可溶性塩を除去する工程と、
(j)0.2〜2.0%の窒素源で(i)の工程で得た加水分解物を濃縮して、これを121℃で15分間蒸留する工程と、
(k)Saccharomyces cerevisiaeの酵母培養液を(j)の工程で得た加水分解物に植菌しこれを25〜35℃で24〜96時間、一定期間培養してエタノールを得る工程と、
(l)(k)の工程で得たエタノールを蒸留によって発酵ブロスから分離する工程と、
(m)(l)の工程で得たエタノールを蒸留によって濃縮し、望ましい生成物を得る工程、とからなることを特徴とするプロセス。 - 請求項1に記載のプロセスであって、紅藻類やKappaphycus属に属するカラギナンを生
産する大型藻類をエタノールと海藻樹液の生産に使用し、カラギナンに富む粉末から副産物としてエタノールを生産することを特徴とするプロセス。 - 請求項1に記載のプロセスであって、温度を上げてカラギナンに富む粉末を酸加水分解する工程からなり、多糖類を、温度80〜200℃で30〜90分間、0.5%〜5.0%の希硫酸によっ
てガラクトース等の単糖に部分的に加水分解することを特徴とするプロセス。 - 請求項1に記載のプロセスであって、同じ溶液中で生粉末の加水分解を繰り返し行うことで、最終加水分解物の還元糖濃度が2.0%〜10%に増加することを特徴とするプロセス。
- 請求項1に記載のプロセスであって、中和過程で生成される不溶性CaSO4は、真空下の
濾過により、又は5000〜7000rpmの範囲で15分間の遠心分離により除去される一方、可溶
性塩は電気透析法により除去されることを特徴とするプロセス。 - 請求項1に記載のプロセスであって、0.2〜2.0%の範囲の濃度のペプトン、酵母エキス
、又はJatropha(ジャトロファ)の実から得るタンパク加水分解物等の窒素源で加水分解物を濃縮することを特徴とするプロセス。 - 請求項1に記載のプロセスであって、標準的なSaccharomyces cerevisiaeの醸造酵母の積極的培養液を、オートクレーブした加水分解物に植菌することを特徴とするプロセス。
- 請求項1又は7に記載のプロセスであって、植菌した海藻加水分解物を25〜35℃で24〜96時間、一定期間、好気性及び嫌気性状態下で培養して糖をエタノールに発酵することを特徴とするプロセス。
- 請求項1に記載のプロセスであって、蒸留によって発酵ブロスからバイオエタノールを分離することを特徴とするプロセス。
- 請求項1に記載のプロセスであって、蒸留後の残留発酵ブロスは、中和過程で発生する不溶性CaSO4や電気透析過程で発生する廃棄物と共に肥料として使用されることを特徴と
するプロセス。
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