JP2013234156A - リンカー領域がリン酸化されたSmad3を特異的に認識するモノクローナル抗体 - Google Patents

リンカー領域がリン酸化されたSmad3を特異的に認識するモノクローナル抗体 Download PDF

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Abstract

【課題】抗体を用いてリンカー領域がリン酸化されたSmad3濃度を測定することを含む、癌の予測方法を提供する。
【解決手段】リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体。抗体を含有するリンカー領域がリン酸化されたSmad3の測定キット。被験者由来の検体を抗体と接触させるステップ;及び、該抗体へのリンカー領域がリン酸化されたSmad3の結合を検出又は定量するステップ、を備える、リンカー領域がリン酸化されたSmad3の測定方法。
【選択図】なし

Description

本発明はリンカー領域がリン酸化されたSmad3に特異的に反応するモノクローナル抗体に関するものである。また、本発明は前記抗体を用いた、組織上のリンカー領域がリン酸化されたSmad3を特異的に検出可能な方法に関する。
Smadは哺乳類では8種類の存在が知られており、Smadはファミリー間で保存されているN末端Mad Homology1ドメイン(MH1ドメイン)とC末端Mad Homology2ドメイン(MH2ドメイン)、これらの領域間に存在するリンカー部から構成されている。
癌において、癌化のシグナル伝達には多くの経路があることが知られているが、transforming growth factor−β(以下、「TGF−β」という)シグナル伝達の詳細な解析により、リン酸化Smadシグナル伝達の変遷により発がんリスクの強弱が判定できる事がわかってきた。TGF−βシグナルは、I型TGF−β受容体を介して、細胞増殖抑制、アポトーシス誘導などの癌抑制シグナルに関わる。活性化したI型TGF−β受容体は、Smad2及びSmad3のC末端(SXSモチーフ)をリン酸化して、C末端がリン酸化されたSmad2(pSmad2C)及びSmad3(pSmad3C)を形成する。pSmad3Cは核移行した後、p21WAF1遺伝子のプロモーター領域に結合し転写を活性化させることで幹細胞増殖を停止させ、Bcl−2の発現を抑制することでアポトーシスを誘導することが報告されている(非特許文献1)。
一方で、HBxタンパクなどの肝炎ウイルスを構成する発癌関連分子、慢性炎症において分泌される炎症性サイトカイン、及びがん関連遺伝子Ras等は、細胞質に存在するc−Jun N terminal kinase(以下、「JNK」という)を活性化してリンカー部をリン酸化して、リンカー部がリン酸化されたSmad3(pSmad3L)を形成する。核移行したpSmad3Lは、c−Myc遺伝子の発現を刺激して細胞増殖を促進させる(非特許文献2)。また、pSmad3Lは、plasminogen activator inhibitor type I(PAI−1)転写を活性化して細胞外マトリックスタンパクの蓄積を促すことから、線維化にも関与している(非特許文献3)。
このようにI型TGF−β受容体あるいはJNKは、pSmad3CあるいはpSmad3Lを形成するが、pSmad3Lが形成されると構造が変化し、pSmad3Cが形成されなくなる(非特許文献4)ことから、pSmad3Lを介する癌化シグナルとpSmad3Cを介する癌抑制シグナルは相反する関係にあると考えられている。また、リンカー部のリン酸化を抑制することにより、pSmad3LからpSmad3Cへとシグナルが回帰することから、pSmad3LからpSmad3Cへの経路の可逆性があると考えられている(非特許文献5)。
C型慢性肝炎が肝硬変から肝がんに進展するにつれて、pSmad3Lはほぼ全ての肝細胞に見られるようになるが、pSmad3Cは減少する。また、B型慢性肝炎患者においては、pSmad3Lが多い患者は発がん率が高い一方、pSmad3Lが少ない患者は発がん率が低く、pSmad3Cが多い群では肝がんを発症していない。
また、ウイルス性慢性肝炎患者に抗ウイルス療法を行うと、肝線維化の改善及び発がん抑制効果をもたらすが、この際、ウイルスと炎症が終息するとpSmad3Lを介する線維化・がん化シグナルがpSmad3Cを介するがん抑制シグナルに回帰する。一方で、病態が進行した肝硬変患者においては遺伝子変異又はエピジェネティックな変化がpSmad3L経路を恒常的に活性化し、抗ウイルス療法を適用してウイルスと炎症が終息しても肝線維化は改善せず、発癌リスクも高いままである。
このように、ウイルス性慢性肝組織の肝細胞におけるリン酸化Smad3シグナルは、pSmad3Cを介するがん抑制経路から、間質細胞に特徴的なpSmad3Lを介する細胞増殖促進(がん化)・線維化経路に、病態の進行と共に次第に移り代わっており、pSmad3Lは、がん化、線維化等の病態の進行の予測や、抗癌治療の効果を評価するための指標として非常に重要であると考えられる。
pSmad3Lを認識するポリクローナル抗体が作製され、Smad3のリン酸化部位の検出等に使用されている(非特許文献6、特許文献1)。
Yang YAら、Cancer Cell 2006;9:445−457 Murata Mら、Hepatology 2009;49:1203−1217 Yoshida Kら、Am.J.Pathol 2005;166:1029−1039 Sekimoto Gら、Cancer Res 2007;67:5090−5096 Nagata Hら、Hepatology 2009;49:1944−1953 Matsuzaki Kら、Cancer Res 2009;69:5321−30
特開2005−112812号公報
従来使用されていたポリクローナル抗体には、特異性が低く、pSmad3Lを正確に検出することができないという問題があった。よって、本発明者らは、pSmad3Lを正確に検出することががん化及び線維化の評価に有効であると考えて各種検討を行った結果、pSmad3Lを特異的に認識するモノクローナル抗体を作製することに成功し、また、当該抗体がpSmad3Lをより正確に検出できることを見出し、本発明を完成させた。
具体的には、一態様において本発明は、以下の(1)〜(15)に記載の発明に関する。
(1) リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体。
(2) Smad3がヒト、マウス又はラット由来である、(1)に記載のモノクローナル抗体。
(3) Smad3のリンカー領域のセリン又はスレオニンがリン酸化されていることを特徴とする(1)又は(2)に記載のモノクローナル抗体。
(4) リン酸化されたSmad3のリンカー領域が、配列番号1で表わされるアミノ酸配列の133〜223番目のアミノ酸からなる部分又はその一部であって、179番目のスレオニン、204番目のセリン、208番目のセリン、及び/又は213番目のセリンがリン酸化されていることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
(5) リン酸化されたSmad3のリンカー領域が、配列番号1で表わされるアミノ酸配列の133〜223番目のアミノ酸からなる部分又はその一部であって、208番目のセリン、及び/又は213番目のセリンがリン酸化されていることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
(6) リン酸化されたSmad3のリンカー領域が、Ala−Gly−Ser−Pro−Asn−Leu−pSer−Pro−Asn−Pro−Met−pSer−Pro−Ala(配列番号32)、Ala−Gly−Ser−Pro−Asn−Leu−pSer−Pro−Asn−Pro−Met−Ser−Pro−Ala(配列番号33)、Ala−Gly−Ser−Pro−Asn−Leu−Ser−Pro−Asn−Pro−Met−pSer−Pro−Ala(配列番号34)、又はGln−Ser−Asn−Ile−Pro−Glu−pThr−Pro−Pro−Pro−Gly−Tyr−Leu(配列番号35)である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
(7) リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識し、かつ、リン酸化されたSmad3のC末端を認識しない(1)〜(6)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
(8) リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するが、リン酸化されたSmad2のリンカー領域を認識しない、(1)〜(7)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
(9) 以下の、(i)又は(ii)から選択されるいずれか1つのモノクローナル抗体又はその断片:
(i)重鎖が配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、かつ、軽鎖が配列番号7に記載のアミノ酸配列からなるモノクローナル抗体、又は、前記モノクローナル抗体と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、かつ実質的に同一の機能を保持するモノクローナル抗体又はその断片。
(ii)重鎖が配列番号19に記載のアミノ酸配列からなり、かつ、軽鎖が配列番号21に記載のアミノ酸配列からなるモノクローナル抗体、又は、前記モノクローナル抗体と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、かつ実質的に同一の機能を保持するモノクローナル抗体又はその断片。
(10) 配列番号12、13、14、15、16及び17に記載のアミノ酸配列、又は、配列番号26、27、28、29、30及び31に記載のアミノ酸配列を有する、(9)に記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(11) 配列番号12、13、14、15、16及び17に記載のアミノ酸配列、又は、配列番号26、27、28、29、30及び31に記載のアミノ酸配列をCDRとして有する、(9)に記載のモノクローナル抗体又はその断片。
(12) 重鎖のCDR1が配列番号12に記載されたアミノ酸配列を有し、重鎖のCDR2が配列番号13に記載されたアミノ酸配列を有し、及び、重鎖のCDR3が配列番号14に記載されたアミノ酸配列を有し、かつ、軽鎖のCDR1が配列番号15に記載されたアミノ酸配列を有し、軽鎖のCDR2が配列番号16に記載されたアミノ酸配列を有し、及び、軽鎖のCDR3が配列番号17に記載されたアミノ酸配列を有する抗体、あるいは、重鎖のCDR1が配列番号26に記載されたアミノ酸配列を有し、重鎖のCDR2が配列番号27に記載されたアミノ酸配列を有し、及び、重鎖のCDR3が配列番号28に記載されたアミノ酸配列を有し、かつ、軽鎖のCDR1が配列番号29に記載されたアミノ酸配列を有し、軽鎖のCDR2が配列番号30に記載されたアミノ酸配列を有し、及び、軽鎖のCDR3が配列番号31に記載されたアミノ酸配列を有する抗体。
(13) 以下の(i)〜(iv)から選択されるいずれか1つのモノクローナル抗体:
(i)(I)重鎖の可変領域が、以下から選択される1のアミノ酸配列を有し:
配列番号9のアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされたアミノ酸配列;
配列番号9のアミノ酸配列と80%、85%、90%、95%、98%、又は99%の相同性を有するアミノ酸配列;又は、
配列番号9のアミノ酸配列、かつ、
(II)軽鎖の可変領域が、以下から選択される1のアミノ酸配列を有し:
配列番号11のアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列;
配列番号11のアミノ酸配列と80%、85%、90%、95%、98%、又は99%の相同性を有するアミノ酸配列;又は、
配列番号11のアミノ酸配列、かつ
リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体;
(ii)(I)重鎖の可変領域が、以下から選択される1のアミノ酸配列を有し:
配列番号23のアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされたアミノ酸配列;
配列番号23のアミノ酸配列と80%、85%、90%、95%、98%、又は99%の相同性を有するアミノ酸配列;又は、
配列番号23のアミノ酸配列、かつ、
(II)軽鎖の可変領域が、以下から選択される1のアミノ酸配列を有し:
配列番号25のアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列;
配列番号25のアミノ酸配列と80%、85%、90%、95%、98%、又は99%の相同性を有するアミノ酸配列;又は、
配列番号25のアミノ酸配列、かつ
リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体;
(iii)重鎖の可変領域が配列番号9のアミノ酸配列からなり、かつ、軽鎖の可変領域が配列番号11のアミノ酸配列からなるモノクローナル抗体;
(iv)重鎖の可変領域が配列番号23のアミノ酸配列からなり、かつ、軽鎖の可変領域が配列番号25のアミノ酸配列からなるモノクローナル抗体。
(14) (1)〜(13)のいずれか1項に記載の抗体を含有する薬剤。
(15) (1)〜(13)のいずれか1項に記載の抗体を含有するリンカー領域がリン酸化されたSmad3の測定キット。
(16) 被験者由来の検体を(1)〜(13)のいずれか1項に記載の抗体と接触させるステップ;及び、
該抗体へのリンカー領域がリン酸化されたSmad3の結合を検出又は定量するステップ、
を備える、リンカー領域がリン酸化されたSmad3の測定方法。
(17) 癌の発症を予測するための情報を得る方法、又は癌の発症を予測する方法であって:
(a)被験者由来の検体中と少なくとも1つの(1)〜(13)のいずれか1項に記載の抗体とを接触させるステップ;
(b)リンカー領域がリン酸化されたSmad3の該抗体への結合を検出して試料中のリンカー領域がリン酸化されたSmad3を検出又は定量するステップ;及び、
(b)リンカー領域がリン酸化されたSmad3のレベルから癌の発症を予測するステップ、ここで、リンカー領域がリン酸化されたSmad3のレベルが高いことが、被検者が癌を発症しやすいことを示す。
(18) 被験者が慢性肝炎患者であり、癌が肝臓癌である、(17)に記載の方法。
(19) 被験者由来の検体が、血液、血漿、血清、尿、又は肝臓組織である、(17)又は(18)に記載の方法。
本明細書において、「Smad3」とは、ショウジョウバエのmothers against decapentaplegic遺伝子及びシノラブディス・エレガンスのSma遺伝子に類似するSmadタンパク質ファミリーに属するタンパク質である。Smad3はヒト以外の哺乳動物でも存在し、例えば、マウスSmad3は、アミノ酸配列において、ヒトSmad3と99.3%の相同性を有する等、異なる種でも配列の保存性は高いと考えられていることから(The journal of veterinary medical science 61(3), 213−219,1999)、本明細書におけるSmad3は哺乳動物由来であれば特に限定されない。例えば、本明細書におけるSmad3は、ヒト、マウス、ラット、サル、ウシ、アフリカツメガエル、又はゼブラフィッシュ由来等であってもよいが、好ましくは、ヒト、マウス、又は由来であり、より好ましくはヒト由来である。
本明細書において、「Smad3のリンカー領域」とは、Smad3のMH1ドメイン及びMH2ドメインに挟まれたリンカー部に含まれる領域を意味する(なお、本明細書において、「リンカー部」とは、Smad3のMH1ドメイン及びMH2ドメインに挟まれたアミノ酸配列からなる部分の全体を意味し、「リンカー領域」とは、当該リンカー部に含まれる全部又は一部を意味する)。リンカー部に含まれるリン酸化されたアミノ酸を含む限り、本明細書におけるSmad3のリンカー領域は、リンカー部の全体である必要はなく、その一部であってもよい。例えば、ヒトの場合、配列番号1で表わされるアミノ酸配列を有するタンパク質(Smad3)の8〜132番目のアミノ酸からなる部分(MH1ドメイン)及び224〜414番目のアミノ酸からなる部分(MH2ドメイン)に挟まれた133〜223番目のアミノ酸からなる部分(リンカー部)又はその一部を意味する。また、マウスの場合、配列番号2で表わされるアミノ酸配列を有するタンパク質(Smad3)の133〜223番目のアミノ酸からなる部分又はその一部を意味する。また、ラットの場合、配列番号3で表わされるアミノ酸配列を有するタンパク質(Smad3)の133〜223番目のアミノ酸からなる部分又はその一部を意味する。
よって、本明細書において、「リン酸化されたSmad3のリンカー領域」とは、前記リンカー部又はその一部であって、リン酸化されたセリン及び/又はスレオニンを少なくとも1つ含有している部分を意味する。具体的には、ヒトSmad3の場合、配列番号1で表わされるアミノ酸配列の179番目のスレオニン、204番目のセリン、208番目のセリン、及び/又は213番目のセリンがリン酸化されたリンカー部又はその一部であって、少なくとも1つのリン酸化されたアミノ酸を含有する部分を意味し、好ましくは、配列番号1で表わされるアミノ酸配列を有するの208番目のセリン、及び/又は213番目のセリンがリン酸化されたリンカー部又はその一部であって、少なくとも1つのリン酸化されたアミノ酸を含有する部分である。
例えば、リン酸化されたSmad3のリンカー領域は、リン酸化されたセリン及び/又はスレオニンを少なくとも1つ含有する、リンカー部由来の少なくとも5アミノ酸、少なくとも10アミノ酸、少なくとも14アミノ酸、少なくとも15アミノ酸、少なくとも20アミノ酸、少なくとも30アミノ酸、少なくとも40アミノ酸、又は少なくとも50アミノ酸からなる部分を含んでいてもよい。
具体的には、リン酸化されたSmad3のリンカー領域としては、Ala−Gly−Ser−Pro−Asn−Leu−pSer−Pro−Asn−Pro−Met−pSer−Pro−Ala(配列番号32)、Ala−Gly−Ser−Pro−Asn−Leu−pSer−Pro−Asn−Pro−Met−Ser−Pro−Ala(配列番号33)、Ala−Gly−Ser−Pro−Asn−Leu−Ser−Pro−Asn−Pro−Met−pSer−Pro−Ala(配列番号34)、又はGln−Ser−Asn−Ile−Pro−Glu−pThr−Pro−Pro−Pro−Gly−Tyr−Leu(配列番号35)を挙げることができる。本明細書において、アミノ酸表記の前に記載された「p」はリン酸化されていることを意味する。よって、「pSer」はリン酸化されたセリンを意味し、「pThr」はリン酸化されたスレオニンを意味する。
また、リン酸化されたSmad3のリンカー領域は、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を有するSmad3タンパク質のリンカー部であってもよい。例えば、179番目のスレオニン、204番目のセリン、208番目のセリン、及び/又は213番目のセリンがリン酸化された配列番号1の133〜223番目のアミノ酸配列からなる部分であり、より好ましくは、208番目のセリン、及び/又は213番目のセリンがリン酸化された配列番号1の133〜223番目のアミノ酸配列からなる部分である。
本明細書において、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体は、リン酸化されたSmad3のリンカー領域のアミノ酸配列、特にはそのリン酸化されたアミノ酸を認識する限り特に限定されるものではない。例えば、本発明のリン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体は、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を有するSmad3タンパク質を特異的に認識するモノクローナル抗体であってもよい。好ましくは、本発明のリン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体は、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識し、かつ、リン酸化されたSmad3のC末端を認識しないモノクローナル抗体である。
モノクローナル抗体がリン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するか否かは、モノクローナル抗体とリン酸化されたSmad3のリンカー領域及びリン酸化されていないSmad3のリンカー領域との結合を測定することにより判定することができる。よって、本明細書において、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体の語は、リン酸化されたSmad3のリンカー領域と特異的に結合するモノクローナル抗体と読み替えてもよい。リン酸化されたSmad3のリンカー領域及びリン酸化されていないSmad3のリンカー領域とモノクローナル抗体との結合は、ウェスタンブロッティング、免疫沈降、免疫組織化学染色、及びELISAのいずれの方法により確認されるものであってもよいが、好ましくは、免疫組織化学染色又はELISAである。よって、本発明のリン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体として、好ましくは、免疫組織化学染色又はELISAによりリン酸化されたSmad3のリンカー領域と結合可能な抗体である。より、好ましくは、本発明のモノクローナル抗体は、がん組織又はその調製物中における、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を有するSmad3タンパク質と免疫組織化学染色又はELISAにより結合可能な抗体である。
モノクローナル抗体がSmad3のリンカー領域と結合するか否かをウェスタンブロッティングにより確認する場合、組換タンパク質として発現させた、リン酸化されたリンカー領域を有するSmad3タンパク質又はペプチド(以下、「「pSmad3L」という)、pSmad3LのcDNAが導入されたCHO細胞、及びその培養液を、2% SDS、10% グリセロール、50mM Tris−HCl(pH6.8)、100mM ジチオスレイトール溶液中に溶解し、煮沸して被検抗体によりウェスタンブロット分析を行うことにより確認することができる。
モノクローナル抗体とpSmad3Lが結合するか否かを免疫沈降により確認する場合(免疫沈降によりpSmad3Lを検出可能であるか否かを確認する場合を含む)、免疫沈降ウェスタンブロッティング分析により確認することができる。具体的には、pSmad3Lトランスフェクタントの上清を被検抗体と共にインキュベートし、共にプロテインG セファロース(GEヘルスケアジャパン)を添加する、更にインキュベートした後、遠心分離を行い、得られたペレットを三回洗浄した。次いでペレットを溶解し、別の抗pSmad3L抗体を用いてウェスタンブロット分析を行うことにより、確認することができる。
モノクローナル抗体とpSmad3Lが結合するか否かを免疫組織化学染色により確認する場合、血管を含む組織を4%パラホルムアルデヒド中で3〜5日間固定化し、パラフィンに包埋し、常法に従ってミクロトーム上で5μm厚に切断する。組織切片からパラフィンを定法により除去、水和させ、トリス塩酸緩衝生理食塩水(TBST)で洗浄後、内因性の過酸化を防ぐため、3%過酸化水素含有メタノール中で10分間静置処理する。水で洗浄後、前処理として、切片を市販の抗原賦活溶液に浸したまま、圧力鍋に入れて電子レンジで、予熱10分した後、15分加熱し、30分室温で放置する。TBSTで洗浄後、1%BSAで切片をブロッキング操作を10分間行う。TBSTで軽く洗浄後、被検抗体と共に4℃で一晩静置反応する。TBSTで洗浄後、二次抗体として、ENVISIONキット/HRP(DAB) Rabbit/Mouse (DAKO #K5027)などと共に室温で60分間静置反応する。TBSTで洗浄後、免疫反応性は、3,3’−ジアミノベンジジン(シグマ社)を色原体として使用し可視化する。またヘマトキシリンで対比核染色し、最終的に脱水、透徹、封入を行い顕鏡できる。
モノクローナル抗体とpSmad3Lが結合するか否かをELISAにより確認する場合(ELISAによりpSmad3Lを検出可能であるか否かを確認する場合を含む)、被検モノクローナル抗体を用いて後述のELISA系を構築し、後述のELISA法を実施して、pSmad3Lを検出できるか否かを測定することにより行うことができる。
本明細書において、「モノクローナル抗体」の語は、単一クローンに由来することを意味し、完全抗体の他、抗原との結合活性を保持する限り抗体断片をも含む。完全抗体としては、マウス抗体、ウサギ抗体、ヒト抗体等の哺乳動物の抗体の他、非ヒト動物抗体のアミノ酸配列とヒト抗体のアミノ酸配列を有する抗体を含む。非ヒト動物抗体のアミノ酸配列とヒト抗体のアミノ酸配列を有する抗体は、ヒト抗体の抗原結合ドメインFvを非ヒト動物モノクローナル抗体の抗原結合ドメインFvと入れ替えたヒト型キメラ抗体、非ヒト動物モノクローナル抗体の相補性決定領域(以下、「CDR」という)をヒト抗体のフレーム領域(以下、「FR」という)に組み込んだヒト化抗体を含む。また、本発明の抗体のイムノグロブリンクラスは特に限定されるものではなく、IgG、IgM、IgA、IgE、IgD、IgYのいずれのイムノグロブリンクラスであってもよい。また、本発明の抗体はいずれのアイソタイプの抗体をも包含するものである。また、抗体断片には、F(ab’)、Fab’、Fab、一本鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv(dsFv)若しくはこれらの重合体、二量体化V領域(Diabody)、及び、CDRを含むペプチドを含む。
本明細書において、「特異的に認識する」又は「特異的に結合する」とは、リン酸化されたSmad3のリンカー領域に結合することができるが、リン酸化されていないSmad3のリンカー領域とは結合しないか又は結合が弱いことを意味する。ここで、結合が弱いとは、被検抗体のリン酸化されたSmad3のリンカー領域への結合力に比較して、リン酸化されていないSmad3のリンカー領域への結合が十分区別可能な程度に弱い場合を含む。なお、本明細書において、「特異的に認識する」の語は、リン酸化されていないSmad3のリンカー領域の他、Smad3以外のタンパク質とも結合しないか又は結合が弱いことを意味する。ここで、結合が弱いとは、被検抗体のリン酸化されたSmad3のリンカー領域への結合力に比較して、Smad3以外のタンパク質への結合が十分区別可能な程度に弱い場合を含む。
本明細書において、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識する抗体は、リン酸化されたSmad2のリンカー領域を認識してもよい。ヒトSmad3とヒトSmad2のアミノ酸配列のアラインメントを示す図1からもわかる通り、Smad3とSmad2はその構造が類似し、また、機能面においても類似することが知られていることから、本発明の目的においては本発明の抗体がリン酸化されたSmad2のリンカー領域を認識することが妨げられるものではない。しかし、好ましくは、本発明のモノクローナル抗体は、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するが、リン酸化されたSmad2のリンカー領域を認識しない抗体である。
一例において、本発明の抗体は、重鎖が配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、かつ、軽鎖が配列番号7に記載のアミノ酸配列からなるモノクローナル抗体(5A11モノクローナル抗体)である。また、別の例において、本発明の抗体は、重鎖が配列番号19に記載のアミノ酸配列からなり、かつ、軽鎖が配列番号21に記載のアミノ酸配列からなるモノクローナル抗体(1A1モノクローナル抗体)である。
また、本発明のモノクローナル抗体は、5A11モノクローナル抗体又は1A1モノクローナル抗体と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、かつ実質的に同一の機能を保持するモノクローナル抗体又はその断片(F(ab’)、Fab’、Fab、scFv、dsFv若しくはこれらの重合体、Diabody、又はCDRを含むペプチド)であってもよい。例えば、本発明の抗体は、その可変領域が、5A11モノクローナル抗体又は1A1モノクローナル抗体の可変領域と実質的に同一のアミノ酸配列を有する抗体、あるいは5A11モノクローナル抗体又は1A1モノクローナル抗体のH鎖及びL鎖のCDRを有する抗体(好ましくは、ヒト化抗体)であってもよい。
本明細書において、「実質的に同一のアミノ酸配列を有する」とは、対象となるアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされたアミノ酸配列を有するか、又は、対象となるアミノ酸配列と80%、85%、90%、95%、98%、又は99%の相同性を有するアミノ酸配列を意味する。
また、本明細書において、「実質的に同一の機能を保持する」とは、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識することを意味し、好ましくは、前述のウェスタンブロッティング、免疫沈降、免疫組織化学染色、及びELISAのいずれかの方法により確認される、リン酸化されたSmad3のリンカー領域へのモノクローナル抗体又はその断片の結合力が、リン酸化されていないSmad3のリンカー領域へのモノクローナル抗体又はその断片の結合力と比較して十分区別可能な程度(例えば、目視で判別できる程度、又は、結合定数が一桁又は二桁異なる程度)に強いことを意味する。
具体的には、本発明のリン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体は、配列番号12、13、14、15、16及び17に記載のアミノ酸配列、又は、配列番号26、27、28、29、30及び31に記載のアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体(例えば、ヒト化抗体)であり、好ましくは、配列番号12、13、14、15、16及び17に記載のアミノ酸配列、又は、配列番号26、27、28、29、30及び31に記載のアミノ酸配列をCDRとして有するモノクローナル抗体(例えば、ヒト化抗体)である。これらのモノクローナル抗体は、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体である。
より好ましくは、本発明のモノクローナル抗体は、重鎖のCDR1が配列番号12に記載されたアミノ酸配列を有し、重鎖のCDR2が配列番号13に記載されたアミノ酸配列を有し、及び、重鎖のCDR3が配列番号14に記載されたアミノ酸配列を有し、かつ、軽鎖のCDR1が配列番号15に記載されたアミノ酸配列を有し、軽鎖のCDR2が配列番号16に記載されたアミノ酸配列を有し、及び、軽鎖のCDR3が配列番号17に記載されたアミノ酸配列を有する抗体、あるいは、
重鎖のCDR1が配列番号26に記載されたアミノ酸配列を有し、重鎖のCDR2が配列番号27に記載されたアミノ酸配列を有し、及び、重鎖のCDR3が配列番号28に記載されたアミノ酸配列を有し、かつ、軽鎖のCDR1が配列番号29に記載されたアミノ酸配列を有し、軽鎖のCDR2が配列番号30に記載されたアミノ酸配列を有し、及び、軽鎖のCDR3が配列番号31に記載されたアミノ酸配列を有する抗体(例えば、ヒト化抗体)である。
また、別の態様において、本発明のリン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体は、以下の(i)〜(iv)に記載のモノクローナル抗体である。
(i)(I)重鎖の可変領域が、以下から選択される1のアミノ酸配列を有し:
配列番号9のアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされたアミノ酸配列;
配列番号9のアミノ酸配列と80%、85%、90%、95%、98%、又は99%の相同性を有するアミノ酸配列;又は、
配列番号9のアミノ酸配列、かつ、
(II)軽鎖の可変領域が、以下から選択される1のアミノ酸配列を有し:
配列番号11のアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列;
配列番号11のアミノ酸配列と80%、85%、90%、95%、98%、又は99%の相同性を有するアミノ酸配列;又は、
配列番号11のアミノ酸配列、かつ
リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体;
(ii)(I)重鎖の可変領域が、以下から選択される1のアミノ酸配列を有し:
配列番号23のアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされたアミノ酸配列;
配列番号23のアミノ酸配列と80%、85%、90%、95%、98%、又は99%の相同性を有するアミノ酸配列;又は、
配列番号23のアミノ酸配列、かつ、
(II)軽鎖の可変領域が、以下から選択される1のアミノ酸配列を有し:
配列番号25のアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列;
配列番号25のアミノ酸配列と80%、85%、90%、95%、98%、又は99%の相同性を有するアミノ酸配列;又は、
配列番号25のアミノ酸配列、かつ
リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体;
(iii)重鎖の可変領域が配列番号9のアミノ酸配列からなり、かつ、軽鎖の可変領域が配列番号11のアミノ酸配列からなるモノクローナル抗体;
(iv)重鎖の可変領域が配列番号23のアミノ酸配列からなり、かつ、軽鎖の可変領域が配列番号25のアミノ酸配列からなるモノクローナル抗体。
本明細書において、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズ」するとは、当業者に通常用いられるハイブリダイゼーション条件でハイブリダイズすることを意味する。例えば、Molecular Cloning,ALaboratory Mannual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)記載の方法によりハイブリダイズするか否かを決定することができる。例えば、ハイブリダイズの条件は、6×SSC(0.9M NaCl,0.09M クエン酸三ナトリウム)又は6×SSPE(3M NaCl,0,2M NaHPO,20mM EDTA・2Na,pH7.4)中42℃でハイブリダイズさせ、その後42℃で0.5×SSCで洗浄する条件であってもよい。また、アミノ酸配列の相同性は、例えば、BLAST、FASTA等の公知のプログラムを用いて決定することができる。
また、別の態様において、本発明は、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体を含有する薬剤に関する。本薬剤に含まれる抗体は、目的のタンパク質と結合する限りその構造、大きさ、イムノグロブリンクラス、由来等を問わない。本発明の薬剤が含有する抗体又は抗体の断片は、必要に応じて適宜標識されていてもよい。本発明の薬剤は、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体に代えて、当該抗体又はその断片のアミノ酸配列をコードする単離された核酸、当該核酸を包含するベクター、当該ベクターを保有する細胞を包含していてもよい。本発明の薬剤が備えるリン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体又はその断片として、好ましくは、前述のリン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体として好ましいモノクローナル抗体と同様であり、例えば、5A11モノクローナル抗体又は1A1モノクローナル抗体である。
また、本発明によれば癌(特に肝臓癌)患者の組織中のリンカー部がリン酸化されたSmad3濃度は癌の病態進行又は線維化促進の指標となることから、癌の予後予測に利用することができる。よって、本発明の薬剤は、癌(特に肝臓癌)の予後予測のための薬剤とすることができる。具体的には、免疫染色用、画像診断用の薬剤として使用することができる。本発明の薬剤を画像診断用として用いる場合、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体は、標識物質を含有し又は標識物質と結合している。標識物質としては、例えば、放射性同位元素等の当業者周知の物質を用いることができ、好ましくは陽電子放出放射性同位元素又はγ線放射性同位元素であり、これに限定されるものではないが、例えば131I、123I、124I、86Y、62Cu、64Cu、111In、67Ga、68Ga、99mTc、94mTc、18F、11C、13N、15O及び75Brを挙げることができる。画像診断用として用いる場合、本発明の薬剤が含有するリン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体として、好ましくは、キメラ抗体、ヒト化抗体又はヒト抗体である。画像診断用として用いる場合、本発明の薬剤は、ヒトへの投与に適した医薬上許容される形態であって、生理学的に許容し得る添加剤、例えば、薬学的に許容し得る希釈剤、緩衝剤、可溶化剤、無痛化剤、溶剤、安定化剤又は酸化防止剤を含んでいてもよい。本発明の診断薬の投与量は、対象部位、用いる画像診断方法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度により適宜選択することができる。
更に、別の態様において、本発明は、本発明のリン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体を含有するリンカー領域がリン酸化されたSmad3の測定キットに関する。本発明のキットは、好ましくは、ヒト体液又は組織中のリンカー領域がリン酸化されたSmad3を測定可能な(又は測定するための)キットである。一の態様において、本発明のキットは、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体又はその断片を備える。当該抗体は、リンカー領域がリン酸化されたSmad3と結合する限りその構造、大きさ、イムノグロブリンクラス、由来等を問わない。また、本発明のキットは、本発明のモノクローナル抗体に加えて、ポリクローナル抗体を備えていてもよい。また、本発明のキットが含有する抗体又は抗体の断片は、適宜標識されていてもよい。また、本発明のキットは、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体に代えて、当該抗体又はその断片のアミノ酸配列をコードする単離された核酸、当該核酸を包含するベクター、当該ベクターを保有する細胞も包含していてもよい。本発明のキットが備える抗体又はその断片として、好ましくは、前述のリン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体として好ましいモノクローナル抗体と同様であり、例えば、5A11モノクローナル抗体又は1A1モノクローナル抗体である。
本発明のキットは、好ましくは、固相、ハプテン、及び不溶性担体からなる群より選択される担体を含む。本発明の測定キットは、抗体分子を用いた公知の方法に基づくことができる。このような方法としては、例えば、酵素免疫測定法(EIA法)、簡易EIA法、酵素結合イムノソルベントアッセイ法(ELISA法)、ラジオイムノアッセイ法(RIA法)、蛍光免疫測定法(FIA法)等の標識化免疫測定法;ウェスタンブロッティング法等のイムノブロッティング法;金コロイド凝集法等のイムノクロマト法;イオン交換クロマトグラフィ法、アフィニティクロマトグラフィ法等のクロマトグラフィ法;比濁法(TIA法);比ろう法(NIA法);比色法;ラテックス凝集法(LIA法);粒子計数法(CIA法);化学発光測定法(CLIA法、CLEIA法);沈降反応法;表面プラズモン共鳴法(SPR法);レゾナントミラーディテクター法(RMD法);比較干渉法等を挙げることができる。本発明のキットが、所望の測定を実施することが可能であるか否かは、当該サンプル又は当該濃度のサンプルを用いて、各測定法を当業者周知の方法により実施することにより、検出可能であるか否かを測定することにより確認することができる。
例えば、本発明のキットは、(i)リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体である第一抗体が固定化した固相又はハプテン、及び(ii)リン酸化されたSmad3と結合可能な標識化された第二抗体(該、第二抗体は、リン酸化されていないSmad3と結合してもよく、また、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体であってもよいが、好ましくは、リン酸化されたSmad3と特異的に結合するモノクローナル抗体である)を含む免疫化学測定のキットとすることができる。あるいは、本発明のキットは、(i)リン酸化されたSmad3と結合可能な第一抗体(該、第一抗体は、リン酸化されていないSmad3と結合してもよく、また、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体であってもよいが、好ましくは、リン酸化されたSmad3と特異的に結合するモノクローナル抗体である)が固定化した固相又はハプテン、及び(ii)標識化されたリン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体である第二抗体を含む免疫化学測定のキットとすることができる。また、本発明のキットがハプテンを含む場合、更にハプテンと特異的に結合する物質が固定化した固相をさらに含んでいてもよい。好ましくは、前記第一抗体と前記第二抗体はリン酸化されたSmad3の異なる部位を認識する。
又は、本発明のキットは、(i)リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体である第一抗体が固定化した固相、及び、(ii)リン酸化されたSmad3と結合可能な第二抗体(該、第二抗体は、リン酸化されていないSmad3と結合してもよく、また、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体であってもよいが、好ましくは、リン酸化されたSmad3と特異的に結合するモノクローナル抗体である)が固定化したハプテンを含む免疫化学測定のキットとすることができる。あるいは、本発明のキットは、(i)リン酸化されたSmad3と結合可能な第一抗体(該、第一抗体は、リン酸化されていないSmad3と結合してもよく、また、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体であってもよいが、好ましくは、リン酸化されたSmad3と特異的に結合するモノクローナル抗体である)が固定化した固相、及び、(ii)リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体である第二抗体が固定化したハプテンを含む免疫化学測定のキットとすることができる。また、当該キットは更に、ハプテンと特異的に結合する、標識された物質を含んでいてもよい。
あるいは、本発明のキットは、(i)リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体である第一抗体が固定化した不溶性担体、及び、(ii)リン酸化されたSmad3と結合可能な第二抗体(該、第二抗体は、リン酸化されていないSmad3と結合してもよく、また、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体であってもよいが、好ましくは、リン酸化されたSmad3と特異的に結合するモノクローナル抗体である)が固定化した不溶性担体を含む免疫化学測定のキットとすることができる。
本発明のキットにおいて、固相は免疫化学測定に使用できる固相であれば特に限定されないが、例えば、ニトロセルロース、セファロース、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタン、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル、アセテート、ポリビニリデンジフルオリド、シリコンラバー、ラテックス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、フッ素加工樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリマーアロイ、ガラス繊維、炭素繊維、ガラス、ゼラチン、ポリアミノ酸及び/又は磁気感応性素材等を含有する、プレート、チューブ、チップ(例えば、プロテインチップ、ラボチップ等)、ビーズ、膜、吸収体及び/又は粒子等を挙げることができ、好ましくは、プレート及び磁気ビーズである。本明細書において不溶性担体とは、ビーズ等の懸濁可能な不溶性の固相を意味し、例えば、ラテックスビーズや磁気ビーズを挙げることができる。
本発明の薬剤又はキットが標識化された抗体を含む場合、当該標識としては、放射能標識、酵素、蛍光標識、生物発光標識、化学発光標識金属等の検出可能な標識を用いることができる。このような標識としては、これに限定されるものではないが例として、32P、H、125I、14C等の放射能標識;βガラクトシダーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、モノアミンオキシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ等の酵素;FAD、FMN、ATP、ビオチン、ヘム等の補酵素又は補欠分子族;フルオレセイン誘導体(フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フルオレセインチオフルバミル等)、ローダミン誘導体(テトラメチルローダミン、トリメチルローダミン(RITC)、テキサスレッド、ローダミン110等)、Cy色素(Cy3、Cy5、Cy5.5、Cy7)、Cy−クロム、スペクトラムグリーン、スペクトラムオレンジ、プロピジウムイオダイド、アロフィコシアニン(APC)、R−フィコエリスリン(R−PE)等の蛍光標識;ルシフェラーゼ等の生物発光標識;あるいは、ルミノール、イソルミノール、N−(4−アミノブチル)−N−エチルイソルミノースエステル等のルミノール誘導体、N−メチルアクリジニウムエステル、N−メチルアクリジニウムアシルスルホンアミドエステル等のアクリジニウム誘導体、ルシゲニン、アダマンチルジオキセタン、インドキシル誘導体、ルテニウム錯体等の化学発光標識;金コロイド等の金属等の検出可能な標識を挙げることができる。
本発明のキットは、必要に応じて、発色試薬、反応停止用試薬、標準抗原試薬、サンプル前処理用試薬、ブロッキング試薬、使用方法等が記載されたマニュアル、パッケージ等を含んでいてもよい。また、本発明のキットが標識化された抗体を含む場合、更に標識と反応する基質を含んでいてもよい。
本発明の薬剤又はキットに用いる検体としては、例えば、生検として被験者から採取した組織試料又は液体を使用することができる。使用される生検は、本発明の免疫学的測定の対象となるものであれば特に限定はなく、例えば、組織切片、血液、血漿、血清、リンパ液、尿、漿液、髄液、関節液、眼房水、涙液、唾液又はそれらの分画物若しくは処理物を挙げることができる。本発明のキットによる分析は、定性的、定量的又は半定量的に行うことができる。
また、本発明によれば癌(特に肝臓癌)患者の組織中のリンカー部がリン酸化されたSmad3濃度は癌の病態進行又は線維化促進の指標となることから、癌の予後予測に利用することができる。よって、本発明のキットは、癌(特に肝臓癌)の予後予測のためのキットとすることができる。
本発明のモノクローナル抗体、当該抗体を含有する薬剤、及び当該抗体を含有する測定キットは、リンカー部がリン酸化されたSmad3の測定が可能であることから、リンカー部がリン酸化されたSmad3と疾患との関係を解明する重要な測定手段を提供するものである。特に、癌(特に肝臓癌)患者の組織中のリンカー部がリン酸化されたSmad3濃度は癌の病態進行又は線維化促進と関連することから、癌(特に肝臓癌)の予後予測に有用である。
ヒトSmad3のアミノ酸配列(配列番号1)とヒトSmad2のアミノ酸配列(配列番号42)を比較した図である。 5A11モノクローナル抗体の各ペプチドとの反応性を各ペプチド固相Plate ELISAにて確認した図である。縦軸は吸光度、横軸は抗体濃度を示す。 5A11モノクローナル抗体の反応特異性をウエスタンブロット解析にて確認した図である。レーン1は、Smad3 非リン酸化(EPSM)/COS1細胞ペレット、レーン2は、Smad3ワイルドタイプ(W.T)/COS1細胞ペレット、レーン3は、Mock/COS1細胞ペレットを電気泳動し5A11モノクローナル抗体を反応させた結果をそれぞれ示す。矢印はSmad3タンパクの分子量に該当する位置を示す。 1A1モノクローナル抗体の各ペプチドとの反応性を各ペプチド固相Plate ELISAにて確認した図である。縦軸は吸光度、横軸は抗体濃度を示す。 1A1モノクローナル抗体の反応特異性をウエスタンブロット解析にて確認した図である。レーン1は、Smad3非リン酸化(EPSM)/COS1細胞ペレット、レーン2は、Smad3 ワイルドタイプ(W.T)/COS1細胞ペレット、レーン3は、Mock/COS1細胞ペレットを電気泳動し、1A1モノクローナル抗体を反応させた結果を示す。矢印はSmad3タンパクの分子量に該当する位置を示す。 クローニングしたモノクローナル抗体5A11及び1A1の重鎖(Hc)及び軽鎖(Lc)の発現をウェスタンブロッティングにより確認した写真である。左の写真は、5A11の結果を示し、右の写真は1A1の結果を示す。写真最上部の「Cell Pellet」は、細胞ペレットサンプルを指し、「Sup(×10)」は、細胞培養上清を十倍に濃縮したサンプルを指す。Cell Pellet及びSup(×10)の各レーンは、左から、Vector:pcDNAベクター単独(ネガティブコントロール)、Lc:各抗体のLc、Hc+Lc:各抗体のHc及びLc、Control(Hc+Lc):Hc及びLc(ポジティブコントロール)を示す。写真の左の数字は分子量(kDa)を示す。写真右の矢印ヘッドは、Hc及びLcのタンパク質の分子量に該当する位置を示す。 5A11抗体および1A1抗体の肝臓癌患者組織における免疫組織化学染色の結果を示す。本視野中には、上部に肝臓癌組織部分、下部に正常組織が混在した切片であるが、いずれの抗体も癌組織部分に特異的に染色され、正常組織部分には陽性像はほとんど認められない。
(抗体)
本発明の抗体は、以下の方法により得ることができる。まず、本発明の抗体の作製に使用する免疫原は、リンカー部がリン酸化されたSmad3の全部、又はその一部を有するポリペプチド(例えば、配列番号36〜41のいずれか1つに記載のアミノ酸配列からなるペプチド)をコードするDNAを含む発現ベクター(例えば、pGEX(大腸菌用)、pcDNA3.1(動物細胞発現用)等)を大腸菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞等(好ましくは、カイコ細胞)に形質転換し、形質転換した大腸菌等の宿主微生物・培養細胞を適切な培地(例えば、LB培地等)で培養して発現させることにより得ることができる。また、当該配列を有するペプチドを化学合成したものを用いることも可能である。
上記抗原を用いた動物の免疫は、上記抗原をリン酸ナトリウム緩衝液(PBS)に溶解し、必要に応じて免疫賦活剤(例えば、鉱油若しくはアルミニウム沈殿物と加熱死菌若しくはリポ多糖体、フロインドの完全アジュバント、又は、フロインドの不完全アジュバント等)と共に、非ヒト哺乳動物(例えば、ウサギ、ラット、マウス等)又は鳥類に免疫することにより行われる。動物への免疫原の投与は、例えば、皮下注射、腹腔内注射、静脈内注射、筋肉内注射又は足蹠注射により行うことができる。使用する免疫原の量は、抗体を産生できる量であれば特に限定は無いが、好ましくは、0.1〜1000μgであり、より好ましくは、1〜500μgであり、より更に好ましくは、10〜100μgである。免疫は、1回又は適当な間隔をあけて数回行うことができる。好ましくは、1〜5週間に1回の免疫を複数回(好ましくは、合計2〜5回)行うことができる。
モノクローナル抗体の作製は、上記方法により免疫した免疫感作動物の脾臓等から得た抗体産生細胞と、骨髄腫系細胞(ミエローマ細胞)を融合することにより得られるハイブリドーマを培養することにより得ることができる。当該融合方法としては、例えば、ミルステインらの方法(Galfre,G.& Milstein,C.,Methods Enzymol.73:3−46,1981)を挙げることができる。
(ヒト型キメラ抗体作製)
本発明の抗体がヒト型キメラ抗体の場合、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識する非ヒトモノクローナル抗体のVH及びVLをコードするDNA(例えば、配列番号8及び配列番号10に記載の核酸配列からなるDNA、又は、配列番号22及び配列番号24に記載の核酸配列からなるDNA)を調製し、これをヒト免疫グロブリンの定常領域cDNAと結合して発現ベクターに組み込み、適当な宿主細胞に当該ベクターを導入して発現させることにより得ることができる(Morrison,S.L.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81,6851−6855,1984)。
(ヒト化抗体の作製)
本発明の抗体がヒト化抗体の場合は、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識する非ヒトモノクローナル抗体のVH及びVLのCDRをコードするアミノ酸配列をヒト抗体のVH及びVLのFRに移植したV領域をコードするDNAを構築し、構築したDNAをヒト由来免疫グロブリンの定常領域cDNAと結合して発現ベクターに組み込み、適当な宿主細胞に当該ベクターを導入して発現させることにより得ることができる(L.Rieohmannら,Nature,332,323,1988:Kettleborough,C.A.ら,Protein Eng.,4,773−783,1991;Clark M.,Immunol.Today.,21,397−402,2000参照)。非ヒト動物モノクローナル抗体のCDRは、上述の方法によって得られた非ヒト動物モノクローナル抗体のVH及びVLをコードするDNA配列から予測されるアミノ酸配列と、既知の抗体のVH及びVLの全アミノ酸配列とを比較して得ることができる。既知の抗体のアミノ酸配列は、例えば、プロテイン・データ・バンク等のデータベースに登録されている抗体のアミノ酸配列より得ることができる。また、ヒト化抗体のFRとしては、移植後の抗体が本発明の効果を奏するものであれば特に限定は無いが、好ましくは、ヒト化抗体の可変領域(以下、「V領域」という)のCDRが由来する非ヒト動物モノクローナル抗体のV領域と類似の立体構造となるヒト抗体のFR、又は、使用する非ヒト動物モノクローナル抗体のFRのアミノ酸配列と相同性が高いヒト抗体FRである。使用するヒト化抗体のV領域をコードするDNA配列は、非ヒト動物モノクローナル抗体のCDRのアミノ酸配列とヒト抗体のFRのアミノ酸配列を結合したアミノ酸配列に対応するDNA配列として設計する。ヒト化抗体のV領域をコードするDNAは、設計したDNA配列を基に、当業者周知の方法によって作製することができる。
(ヒト抗体)
ヒト抗体は、例えば、ヒト抗体ファージライブラリー又はヒト抗体産生トランスジェニックマウスを利用することにより得ることができる(富塚ら,Nature Genet.,15,146−156(1997))。ヒト抗体ファージライブラリーを利用する場合、例えば、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を有するペプチドを固相に固定化し、ファージ抗体ライブラリーを反応させて、非結合のファージを洗浄除去した後、結合したファージを回収することにより、所望のクローンを得ることができる(パンニング)。また、得られたファージを増幅させ、増幅させたライブラリーについて更にパニングを繰り返し行うことにより、得られたクローンの精度を上げることができる。得られたクローンのVH遺伝子及びVL遺伝子を解析することにより、これらの遺伝子配列を有する完全なヒト抗体を作製することもできる。
ヒト抗体産生トランスジェニックマウスは、内因性免疫グロブリン(Ig)遺伝子をノックアウトしたマウスにヒト抗体のIg遺伝子を導入したマウスである。ヒト抗体産生トランスジェニックマウスは、例えば、以下の方法により得ることができる。ヒト−マウスハイブリッド細胞を48時間コルセミド(紡錘糸形成阻害剤)処理することにより、1から数本の染色体が核膜に包まれた構造体である、ミクロセルを形成する。サイトカラシンB存在下で単離されたミクロセルを染色体受容細胞(マウスES細胞)とポリエチレングリコールにより融合し、ミクロセルハイブリッドES細胞を作製し、マウス胚へ注入する。ヒト抗体産生トランスジェニックマウスを免疫動物として、上述のリン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体の作製方法に準じて抗原(好ましくは、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を有するペプチド)を免疫することにより、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するヒトモノクローナル抗体を得ることができる。
(抗体断片の作製)
F(ab’)断片(分子量約10万の抗原結合活性を有する抗体断片)は、本発明のIgG抗体(例えば、5A11あるいは1A1モノクローナル抗体)をペプシンで処理することにより得ることができる。Fab’断片は、上述の方法により得られたF(ab’)をジチオスレイトール処理して得ることができる。また、本発明のFab’断片は、本発明の抗体のFab’をコードするDNAから得ることができる。Fab断片(H鎖のN末端側の約半分の領域とL鎖の全領域がジスルフィド結合により結合された分子量約5万の抗原結合活性を有する抗体断片)は、本発明の抗体をパパインで処理することにより得ることができる。また、本発明のFab断片は、本発明の抗体のFabをコードするDNAから得ることができる。scFvは、本発明の抗体のVH及びVLをコードするcDNAの間にリンカー配列をコードするDNAを挿入して、scFvをコードするDNAを構築することにより得ることができる。リンカーの長さは、VHとVLが会合することができる長さであれば特に限定は無いが、好ましくは10〜20残基であり、より好ましくは15残基である。また、リンカーの配列は、VHとVLの二つのドメインのポリペプチド鎖の折りたたみを阻害しないものであれば特に限定は無いが、好ましくは、グリシン及び/又はセリンからなるリンカーであり、より好ましくは、GGGGS(G:グリシン、S:セリン)又はその繰り返し配列である。dsFvは、VH及びVL中のそれぞれ1アミノ酸残基をシステイン残基に置換し、当該システイン残基間をジスルフィド結合により結合させることにより得ることができる。Diabodyは、上述のscFvをコードするDNAにおいて、リンカーのアミノ酸配列が8残基以下(好ましくは5残基)となるように構築することにより得ることができる。バイスペシフィックなDiabodyは、異なる2種類のscFvのVH及びVLのDNAを組み合わせてscFvを作製することにより得ることができる。本発明のCDRを含むペプチドは、本発明の抗体のVH又はVLのCDRのアミノ酸配列を有するペプチドとして設計することにより得ることができる。
(標識)
抗体又はその断片への標識の結合は当分野において一般的な方法により行うことができる。例えば、タンパク質又はペプチドを蛍光標識する場合、タンパク質又はペプチドをリン酸緩衝液で洗浄した後、DMSO、緩衝液等で調整した色素を加え、混合した後室温で10分間静置することにより結合させることができる。また、市販の標識キットとして、ビオチン標識キット(Biotin Labeling Kit−NH2、Biotin Labeling Kit−SH:株式会社同仁化学研究所)、アルカリフォスファターゼ標識用キット(Alkaline Phosphatase Labeling Kit−NH2、Alkaline Phosphatase Labeling Kit−SH:株式会社同仁化学研究所)、ペルオキシダーゼ標識キット(Peroxidase Labering Kit−NH2、Peroxidase Labering Kit−NH2:株式会社同仁化学研究所)、フィコビリプロテイン標識キット(Allophycocyanin Labeling Kit−NH2、Allophycocyanin Labeling Kit−SH、B−Phycoerythrin Labeling Kit−NH2、B−Phycoerythrin Labeling Kit−SH、R−Phycoerythrin Labeling Kit−NH2、R−Phycoerythrin Labeling Kit−SH:株式会社同仁化学研究所)、蛍光標識キット(Fluorescein Labeling Kit−NH2、HiLyte Fluor(登録商標) 555 Labeling Kit−NH2、HiLyte Fluor(登録商標) 647 Labeling Kit−NH2:株式会社同仁化学研究所)、DyLight547、DyLight647(テクノケミカル株式会社)、Zenon(登録商標)Alexa Fluor(登録商標)抗体標識キット、Qdot(登録商標)抗体標識キット(インビトロゲン社)、EZ−Label Protein Labeling Kit(フナコシ株式会社)等を用いて標識することもできる。また、標識した抗体又はその断片の検出は、適宜標識に適した機器を使用することにより行うことができる。
(キット)
また、本発明は、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識する抗体を含有するリンカー領域がリン酸化されたSmad3の測定キットに関する。具体的には、本発明は、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識する第一抗体が固定化した、固相、ハプテン、磁気ビーズ及び不溶性担体からなる群より選択される担体を含むことを特徴とする免疫化学測定のキットに関する。本発明のキットは、上述の方法に従って作製した抗体(又は標識化した抗体)を用いて、酵素免疫測定法(EIA法)、簡易EIA法、酵素結合イムノソルベントアッセイ法(ELISA法)、ラジオイムノアッセイ法(RIA法)、蛍光免疫測定法(FIA法)等の標識化免疫測定法;ウェスタンブロッティング法等のイムノブロッティング法;金コロイド凝集法等のイムノクロマト法;イオン交換クロマトグラフィ法、アフィニティクロマトグラフィ法等のクロマトグラフィ法;比濁法(TIA法);比ろう法(NIA法);比色法;ラテックス凝集法(LIA法);粒子計数法(CIA法);化学発光測定法(CLIA法、CLEIA法);沈降反応法;表面プラズモン共鳴法(SPR法);レゾナントミラーディテクター法(RMD法);比較干渉法用のキットとして当業者に慣用の技術を用いて製造することができる。
例えば、本発明のキットは、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体固相化プレート、リンカー領域がリン酸化されたSmad3と結合するビオチン標識抗体(モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体)溶液、ストレプトアビジンPOD溶液、洗浄液、TMB試薬、2M HCl、標準物質(リン酸化されたSmad3のリンカー領域ペプチド)を備えるキットとして製造することができる。また、別の例として、本発明のキットは、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体、リンカー領域がリン酸化されたSmad3と結合するモノクローナル抗体(モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体)結合金コロイド、ウサギ免疫グロブリン結合金コロイド、及び、テストプレートを備えるキットとして製造することができる。当該キットにおいて、テストプレートは、検体を挿入する検体採取部、リンカー領域がリン酸化されたSmad3と結合する抗体(モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体)結合金コロイドを含む感作金コロイド塗布部、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体を含む判定部(テストライン)、抗ウサギ免疫グロブリンポリクローナル抗体を含む判定部(リファレンスライン)、吸収剤、及び、メンブレンフィルターを備えていてもよい。なお、上述のキットにおいて、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体とリンカー領域がリン酸化されたSmad3と結合するモノクローナル抗体とリンカー領域がリン酸化されたSmad3と結合するモノクローナル抗体(モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体)が互いに交換されていてもよい。
(リンカー領域がリン酸化されたSmad3の測定方法)
一の態様において、本発明は、リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体を用いた、リンカー領域がリン酸化されたSmad3の測定方法に関する。具体的には、本発明の測定方法は、以下のステップを含んでいてもよい:被験者由来の検体をリン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体と接触させるステップ;及び、該抗体へのリンカー領域がリン酸化されたSmad3の結合を検出又は定量するステップ。
本発明の方法において、「リンカー領域がリン酸化されたSmad3を検出又は定量」は、抗体分子を用いた公知の方法に基づき行うことができる。このような方法としては、例えば、酵素免疫測定法(EIA法)、簡易EIA法、酵素結合イムノソルベントアッセイ法(ELISA法)、ラジオイムノアッセイ法(RIA法)、蛍光免疫測定法(FIA法)等の標識化免疫測定法;ウェスタンブロッティング法等のイムノブロッティング法;金コロイド凝集法等のイムノクロマト法;イオン交換クロマトグラフィ法、アフィニティクロマトグラフィ法等のクロマトグラフィ法;比濁法(TIA法);比ろう法(NIA法);比色法;ラテックス凝集法(LIA法);粒子計数法(CIA法);化学発光測定法(CLIA法、CLEIA法);沈降反応法;表面プラズモン共鳴法(SPR法);レゾナントミラーディテクター法(RMD法);比較干渉法等を挙げることができる。
本明細書において、「被験者由来の検体をリン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体と接触させるステップ」及び「該抗体へのリンカー領域がリン酸化されたSmad3の結合を検出又は定量するステップ」は、例えば、サンドイッチELISAにより実施する場合には、固相に固定化されたリン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識する抗体に被験試料を接触させ、洗浄後、リンカー領域がリン酸化されたSmad3と結合する標識抗体を添加して非結合抗体を洗浄により除去した後、当該抗体の標識を検出又は定量することにより行うことができる。また、イムノクロマトにより行う場合には、固定化されていないリン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識する標識抗体に被験試料を接触させた後、当該混合物をリンカー領域がリン酸化されたSmad3と結合する別の抗体が特定部位に固定化された担体と接触させ、当該部位における標識抗体の集積を検出又は定量することにより行うことができる。
これらの方法においては、予め適宜既知の濃度に段階希釈されたリンカー領域がリン酸化されたSmad3又はその一部を有するペプチドを標準物質として用いて検量線を作成し、検体中の測定値から当該検量線を基にリンカー領域がリン酸化されたSmad3の濃度を計算して求めてもよい。検出か定量かは、測定の目的が、リンカー領域がリン酸化されたSmad3の存在により行われるのか又はレベルにより行われるのかに応じて決定される。例えば、測定がリン酸化されたSmad3の存在/不存在を決定する目的で行われる場合には、(存在/不存在を)検出することが望ましい。また、測定がリンカー領域がリン酸化されたSmad3のレベルを決定することを目的として行われる場合には、リンカー領域がリン酸化されたSmad3のレベルを定量することが望ましい。また、測定がリンカー領域がリン酸化されたSmad3の閾値レベルを超えるか否かを判定することを目的として行われる場合には、閾値レベルを超えるリンカー領域がリン酸化されたSmad3濃度を検出してもよいし、リンカー領域がリン酸化されたSmad3のレベルを定量した上で閾値レベルを超えるか否かを判定してもよい。なお、本明細書において、レベルとは、数値化される指標を意味し、例えば、濃度あるいはその代わりとして用いることができる指標を意味する。よって、レベルは蛍光等の測定値そのものであってもよいし、濃度に換算された値であってもよい。
前述の通り、リンカー領域がリン酸化されたSmad3はがん化・線維化の病態の進行と相関することが知られていることから、本発明の測定方法は、癌の発症を予測するための情報を得る方法、又は癌の発症を予測する方法として用いることができる。例えば、そのような方法は、以下のステップを含むことができる:
(a)被験者由来の検体をリン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体と接触させるステップ;
(b)リンカー領域がリン酸化されたSmad3の該抗体への結合を検出して検体中のリンカー領域がリン酸化されたSmad3を検出又は定量するステップ;及び、
(b)リンカー領域がリン酸化されたSmad3のレベルから癌の発症を予測するステップ(又は、癌の発症を予測するための情報を得るステップ)、ここで、リンカー領域がリン酸化されたSmad3が存在する又はリンカー領域がリン酸化されたSmad3のレベルが高いことが、被検者が癌を発症しやすいことを示す。
必要に応じて、本発明の方法は、被験者由来の検体に加えて、健常者由来の体液又は癌を発症しないと信じられている患者由来の検体をネガティブコントロールとして、同様にリンカー領域がリン酸化されたSmad3の濃度を測定してもよいし、かつ/あるいは、罹患した患者(特には、癌患者)又は癌を発症することが知られている患者由来の検体をポジティブコントロールとして、同様にリンカー領域がリン酸化されたSmad3の濃度を測定してもよい。
本明細書において、「リンカー領域がリン酸化されたSmad3のレベルが高い」とは、被験者におけるリンカー領域がリン酸化されたSmad3の存在又はレベルが、癌を発症した患者又は発症することが知られている患者(ポジティブコントロール)して低いこと、あるいは、癌を発症しなかった患者又は発症しないと信じられている患者(ネガティブコントロール)におけるリンカー領域がリン酸化されたSmad3のレベルと比較して高いことを意味する。比較対象におけるリンカー領域がリン酸化されたSmad3のレベルは、例えば、本発明の開示により、又は、既に発症の有無が判明している患者由来の試料におけるリンカー領域がリン酸化されたSmad3のレベルを測定することにより、あるいは、他の指標による評価と組み合わせて評価することにより知ることができる。リンカー領域がリン酸化されたSmad3と発症との関連付けは、統計的分析により行うことができる。統計学的有意性は、2以上の集団を比較し、信頼区間及び/又はp値を決定することにより決定される(Dowdy and Wearden, Statistics for Research, John Wiely & Sons, NewYord, 1983)。本発明の信頼区間は、例えば、90%、95%、98%、99%、99.5%、99.9%又は99.99%であってもよい。また、本発明のp値は、例えば、0.1、0.05、0.025、0.02、0.01、0.005、0.001、0.0005、0.0002又は0.0001であってもよい。
例えば、本発明の方法により検出されたリンカー領域がリン酸化されたSmad3は、その存在/不存在により被験者の癌の発症と関連付けることができる。また、別の例として、本発明のリンカー領域がリン酸化されたSmad3について発症指標としての閾値レベルを設定し、被験者由来の検体におけるリンカー領域がリン酸化されたSmad3のレベルを、閾値レベルと比較することにより発症を予測してもよい。このような閾値レベルは、例えば、感度が、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、又は、98%以上となるように設定することができる。また、閾値レベルは、特異度が、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、又は、98%以上となるように設定することができる。
あるいは、本発明の測定方法は、発症の可能性の高さに関するいくつかのグループ群(クラス)を設定し、患者由来の検体におけるリンカー領域がリン酸化されたSmad3のレベルから、当該クラスのうち一つのクラスに分類し、分類されたクラスに属する患者に特異的な癌に関する既知の性質(癌の発症率等)から当該患者の癌の発症を予測するための情報を得る方法、又は癌の発症を予測する方法として利用することもできる。よって、一例として、本発明は以下の方法であってもよい:癌の発症を予測するための情報を得る方法又は癌の発症を予測する方法であって:
(a)被験者由来の検体のリンカー領域がリン酸化されたSmad3を定量すること;及び、
(b)測定されたリンカー領域がリン酸化されたSmad3のレベルと該患者の癌発症との関連付けをすることを含む方法、
ここで、前記関連付けは、以下の方法を含む:
(c)定量されたリンカー領域がリン酸化されたSmad3のレベルから、癌の発症クラスのうち一つのクラスに分類すること、ここで、当該分類結果は定量されたリンカー領域がリン酸化されたSmad3のレベルに依存している;及び
(d)分類された当該一つの反応クラスに属する癌の発症に特異的な既知の性質から当該患者の癌の発症を予測すること。
本明細書において、「癌の発症クラスのうち一つのクラスに分類する」とは、被験者由来の試料におけるリンカー領域がリン酸化されたSmad3のレベルに応じて当該被験者をグループ分けすることを意味する。当該グループ分けは、絶対的又は相対的な指標により振り分けることができる。例えば、対象患者のリンカー領域がリン酸化されたSmad3の定量値から、当該患者を予め決められたリンカー領域がリン酸化されたSmad3の定量値を示すグループに振り分けることにより行ってもよいし、又は、被験者を含む不特定の患者群におけるリンカー領域がリン酸化されたSmad3のレベルを定量した上で、相対的な定量レベルの差から、患者を2以上のグループに分けてもよい。また、クラス分けは、健常者におけるリンカー領域がリン酸化されたSmad3のレベルとの差の大小を指標として行ってもよい。好ましくは、比較した場合にリンカー領域がリン酸化されたSmad3の定量値が多い(レベルが高い)ほど癌の発症の可能性が高いクラスに分類される。
発症予測の判定結果は、予測される患者の状態の経過又は転帰を意味し、状態の経過又は転帰を100%の正確さで予測可能であることを意味するものではない。発症予測の判定は、ある経過又は転帰が起こる可能性が増大しているか否かを意味するものであり、当該経過又は転帰が起こらない場合を基準として起こりやすいことを意味するものではない。即ち、発症予測の判定結果は、本発明のリンカー領域がリン酸化されたSmad3レベルが上昇又は減少している患者において、そのような特徴を示さない患者に比較して、ある特定の経過又は転帰がより生じやすいということを意味する。
本発明の予測方法は、癌の発症を予測するものであり、発症の予測は癌に罹患するする危険性を判断するものである。本発明の予測方法において、発症を予測可能な癌としては、メラノーマ、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、グリオーマ、肝臓癌、前立腺癌、子宮内膜癌、腎臓癌、頭頚部癌、中皮腫、肉腫、胆管癌、小腸腺癌、小児悪性腫瘍、扁平上皮癌、消化管間質腫瘍、食道癌、甲状腺癌、膀胱癌、大腸癌、胃癌、膵臓癌、胸部癌、肝臓癌、肺癌、乳癌、神経芽細胞腫(ニューロブラストーマ)、神経膠芽腫(グリオブラストーマ)、子宮癌、卵巣癌、ウイルムス腫瘍、慢性骨髄性白血病、フィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病を挙げることができ、好ましくは、肝臓癌である。また、本発明の予測方法における被験者は、癌の発症を予測することが必要な対象であれば特に限定されないが、好ましくはヒトであり、より好ましくは、慢性肝炎患者である。
また、リンカー領域がリン酸化されたSmad3は、患者の癌発症の指標となることから、癌治療薬のスクリーニングにおいて、患者の発症の改善の指標として用いることができる。例えば、本発明の癌治療薬のスクリーニング方法は、被験者に被験薬を投与し、又は、癌モデル動物に被験薬を投与するステップ;モデル動物由来の検体をリン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体と接触させるステップ;リンカー領域がリン酸化されたSmad3の該抗体への結合を検出して検体中のリンカー領域がリン酸化されたSmad3を検出又は定量するステップ;リンカー領域がリン酸化されたSmad3のレベルから当該被験薬が癌の発症を改善するものであるか否かを判定するステップ;被験薬の添加又は投与により、リンカー領域がリン酸化されたSmad3レベルが減少する被験薬を、癌を改善し又は発症を抑制する治療薬として選別するステップ、を備えることができる。本発明のスクリーニング方法の各ステップは、前述の測定方法及び予測方法に準じて実施することができる。
本発明の測定方法、予測方法及びスクリーニング方法において使用する患者由来の試料としては、リンカー領域がリン酸化されたSmad3を検出することができる検体を使用することができ、血液、血漿、血清、リンパ液、尿、漿液、髄液、関節液、眼房水、涙液、唾液、組織(好ましくは、肝臓組織)又はそれらの分画物若しくは処理物を挙げることができ、好ましくは、血液、血漿、血清、尿、又は肝臓組織又はそれらの分画物若しくは処理物(例えば、肝臓組織切片)である。本発明の測定方法、予測方法及びスクリーニング方法における分析は、定性的、定量的又は半定量的に行うことができる。
以下、本発明をより詳細に説明するため実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本願全体を通して引用される全文献は参照によりそのまま本願に組み込まれる。
(実施例1)抗リンカー部リン酸化Smad3抗体の調製
(1)抗原の調製
Smad3のリンカー部におけるリン酸化部位のうち、179番目のスレオニン、204番目のセリン、208番目のセリン、及び、213番目のセリンに着目し、これらの部位を含むペプチドを抗原として設計し、リン酸化させて抗原として使用した。具体的には、CQSNIPETPPPGYL(配列番号36)、IPETPPPGYLSEDGETS(配列番号37)、SPNPMSPAHNNLDL(配列番号38)、AGSPNLSPNPMSPA(配列番号39)、NHSMDAGS−PNLSPNP(配列番号40)、又は、AGSPNLSPNPMSPA(配列番号41)のアミノ酸配列からなるペプチドを設計し、抗原として使用した。
抗原ペプチドは、Chinese Peptide Company社(杭州市、中国)に合成を依頼し取得した。
(2)抗リンカー部リン酸化Smad3抗体の産生
得られた抗原ペプチドをマウスに注射した。免疫マウスから得られた脾細胞、及びリンパ節細胞をミエローマ細胞株X63−Ag8.653と融合させた。
(3)抗リンカー部セリンリン酸化Smad3抗体の選択
抗リンカー部セリンリン酸化Smad3ペプチドを固相しハイブリドーマ細胞の上清の抗体とリンカー部のセリンがリン酸化されたSmad3との反応性をEIAにより測定した。結果を表1に示す。
得られたクローンのうち、クローン番号1、4、5、8、10、及び17が、208番目及び213番目のセリンがリン酸化されたSmad3を認識し、かつ、208番目及び213番目のセリンがリン酸化されていないSmad3を認識しなかった。このような抗体は、いずれも208番目のみ又は213番目のみがリン酸化されたSmad3のいずれかを認識していた。
(4)抗リンカー部セリンリン酸化Smad3抗体産生クローンの樹立
さらにリン酸化部位特異的なクローンの樹立を行うため開発を鋭意進め、最終的に1つのクローンを樹立し、5A11と名づけた。この得られたクローンの反応特異性の検討を行った。
(5)抗リンカー部セリンリン酸化Smad3抗体産生クローン(5A11抗体)のELISA分析及びウエスタンブロット分析
得られた5A11抗体の結合特性を評価するため、ELISA及びウエスタンブロットによる分析を行った。各種Smad3ペプチドを固相し、5A11抗体を反応させた。ELISAの結果を図2に示す。本図に示す通り、5A11抗体は213番目のセリンを特異的に認識する抗体であることが確認された。また、Smad3非リン酸化(EPSM)、Smad3 リン酸化(W.T.)をCOS細胞に発現させた細胞を用いてウエスタンブロット解析を行った。ウエスタンブロットの結果を図3に示す。その結果、5A11はCOS細胞発現系での発現をウエスタンブロットで確認できる程度に結合力が強いことが確認された。またリンカー部のリン酸化がおこらないSmad3非リン酸化(EPSM)を発現させた細胞には反応しないことが確認された。
(6)抗リンカー部スレオニンリン酸化Smad3抗体産生クローンの樹立
上記(3)および(4)で示した抗リンカー部セリンリン酸化Smad3抗体産生の作製及びクローンの樹立と同様の方法を用いて、リンカー部スレオニンリン酸化部位特異的なクローンの樹立を行うため開発を鋭意進め、最終的に1つのクローンを樹立し、1A1と名づけた。この得られたクローンの反応特異性の検討を行った。
(7)クローン1A1抗体のELISA分析及びウエスタンブロット分析
抗原固相ELISAにより1A1抗体とリン酸化された各ペプチドSmad3との反応性を測定した。結果を図4に示す。1A1は179番目のスレオニンがリン酸化されたSmad3を認識し、かつ、179番目のスレオニンがリン酸化されていないSmad3を認識しなかった。
また、得られたクローンの結合特性を評価するため、ウエスタンブロットによる分析を行った。Smad3非リン酸化(EPSM)、Smad3 リン酸化(W.T.)をCOS細胞に発現させた細胞を用いてウエスタンブロット解析を行った。ウエスタンブロットの結果を図5に示す。その結果、1A1はCOS細胞発現系での発現をウエスタンブロットで確認できる程度に結合力が強いことが確認された。またリンカー部のりん酸化がおこらないSmad3(EPSM)を発現させた細胞には反応しないことが確認された。
(実施例2)抗リンカー部リン酸化Smad3抗体の特異性解析
抗原として、リン酸化された種々の各Smad3ペプチドを固相した後、上記で得られた5A11抗体および1A1抗体を反応させ、洗浄後、HRP標識した抗マウスIgGを反応させ、洗浄後基質液を加えて得られる発色強度の確認により、リン酸化された各Smad3ペプチドとの反応特異性を判定した。結果を表2に示す。+が反応している事を示す。
(実施例3)抗体配列決定
5A11抗体及び1A1抗体の遺伝子配列を決定するため、重鎖(以下、「Hc」という)及び軽鎖(以下、「Lc」という)のクローニングを行った。各抗体を産生するハイブリドーマからmRNAを抽出し、cDNAを作製した。常法に従って、5’−Rapid amplification of cDNA ends(5’−RACE)を行い、Hc及びLc遺伝子の5’末端の塩基配列を決定した。Hc、Lcに特異的なプライマーを使用して、それぞれの全長cDNAをクローニングした。決定された5A11のHc及びLcの遺伝子配列は、配列番号4及び配列番号6、アミノ酸配列は、配列番号5及び配列番号7にそれぞれ記載の通りであった。また、決定された1A1のHc及びLcの遺伝子配列は、配列番号18及び配列番号20、アミノ酸配列は、配列番号19及び配列番号21にそれぞれ記載の通りであった。
クローニングした抗体のHc及びLc遺伝子を、pcDNA3.1(+)(Invitrogen,V790−20)に組み込むことにより発現ベクターを作製し、一過性発現試験により発現を確認した。Lc発現ベクターのみ、又は、Hc発現ベクター及びLc発現ベクターの両方をHEK293細胞(ATCC,CRL−1573)にトランスフェクションした。無血清のMedia培地(株式会社免疫生物研究所)中で2日間培養後、培養上清及び細胞を回収した。培養上清は10倍濃度に限外濃縮し、SDS−PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)を行った。ゲルをPVDF膜(株式会社ミリポア,IPVH00010)に転写後、5A11抗体は、抗マウスIgG HRP標識抗体(株式会社免疫生物研究所,17504), 1A1抗体は、抗マウスIgG HRP標識抗体(株式会社免疫生物研究所,17504)と抗マウス・ラムダ 標識抗体 (BECKMAN COULTER, 731891)にて検出した。
結果を図6A,Bに示す。細胞ペレット (Cell Pellet)及び培養上清(Sup(x10))においてHc及びLcの発現が確認された。
(実施例4)免疫染色
(1)ヒト肝臓組織の調製
インフォームドコンセントの下、大腸癌が肝臓に転移した患者の手術後の肝臓組織を実験に使用した。
(2)免疫染色の実施
大腸癌が肝臓に転移した患者から得たホルマリン固定パラフィン包埋切片を、常法に従ってミクロトーム上で5μm厚に切断した。
切片からパラフィンを定法により除去、水和させ、トリス塩酸緩衝生理食塩水(TBST)で洗浄後、内因性の過酸化を防ぐため、3%過酸化水素含有メタノール中で10分間静置処理した。水で洗浄後、切片を市販の抗原賦活溶液(DAKO社)に浸したまま、圧力鍋に入れて電子レンジで、予熱10分した後、15分加熱し、30分室温で放置した。TBSTで洗浄後、1%BSAで切片をブロッキング操作を10分間行った。TBSTで軽く洗浄後、第一抗体として、5A11抗体(2〜5μg/mL濃度)および1A1抗体(1〜2μg/mL濃度)と共に4℃で一晩静置反応した。TBSTで洗浄後、二次抗体として、ENVISIONキット/HRP(DAB) Rabbit/Mouse (DAKO #K5027)と共に室温で60分間静置反応した。TBSTで洗浄後、免疫反応性は、3,3’−ジアミノベンジジン(シグマ社)を色原体として使用し可視化した。またヘマトキシリンで対比核染色した。最終的に脱水、透徹、封入を行い顕鏡に供した。
(3)結果
結果を図7に示す。

Claims (17)

  1. リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体。
  2. Smad3がヒト、マウス又はラット由来である、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
  3. Smad3のリンカー領域のセリン又はスレオニンがリン酸化されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモノクローナル抗体。
  4. リン酸化されたSmad3のリンカー領域が、配列番号1で表わされるアミノ酸配列の133〜223番目のアミノ酸からなる部分又はその一部であって、179番目のスレオニン、204番目のセリン、208番目のセリン、及び/又は213番目のセリンがリン酸化されていることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
  5. リン酸化されたSmad3のリンカー領域が、配列番号1で表わされるアミノ酸配列の133〜223番目のアミノ酸からなる部分又はその一部であって、208番目のセリン、及び/又は213番目のセリンがリン酸化されていることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
  6. リン酸化されたSmad3のリンカー領域が、Ala−Gly−Ser−Pro−Asn−Leu−pSer−Pro−Asn−Pro−Met−pSer−Pro−Ala(配列番号32)、Ala−Gly−Ser−Pro−Asn−Leu−pSer−Pro−Asn−Pro−Met−Ser−Pro−Ala(配列番号33)、Ala−Gly−Ser−Pro−Asn−Leu−Ser−Pro−Asn−Pro−Met−pSer−Pro−Ala(配列番号34)、又はGln−Ser−Asn−Ile−Pro−Glu−pThr−Pro−Pro−Pro−Gly−Tyr−Leu(配列番号35)である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
  7. リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識し、かつ、リン酸化されたSmad3のC末端を認識しない請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
  8. リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するが、リン酸化されたSmad2のリンカー領域を認識しない、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
  9. 以下の、(i)又は(ii)から選択されるいずれか1つのモノクローナル抗体又はその断片:
    (i)重鎖が配列番号5に記載のアミノ酸配列からなり、かつ、軽鎖が配列番号7に記載のアミノ酸配列からなるモノクローナル抗体、又は、前記モノクローナル抗体と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、かつ実質的に同一の機能を保持するモノクローナル抗体又はその断片;
    (ii)重鎖が配列番号19に記載のアミノ酸配列からなり、かつ、軽鎖が配列番号21に記載のアミノ酸配列からなるモノクローナル抗体、又は、前記モノクローナル抗体と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、かつ実質的に同一の機能を保持するモノクローナル抗体又はその断片。
  10. 配列番号12、13、14、15、16及び17に記載のアミノ酸配列、又は、配列番号26、27、28、29、30及び31に記載のアミノ酸配列を有する、請求項9に記載のモノクローナル抗体又はその断片。
  11. 配列番号12、13、14、15、16及び17に記載のアミノ酸配列、又は、配列番号26、27、28、29、30及び31に記載のアミノ酸配列をCDRとして有する、請求項9に記載のモノクローナル抗体又はその断片。
  12. 重鎖のCDR1が配列番号12に記載されたアミノ酸配列を有し、重鎖のCDR2が配列番号13に記載されたアミノ酸配列を有し、及び、重鎖のCDR3が配列番号14に記載されたアミノ酸配列を有し、かつ、軽鎖のCDR1が配列番号15に記載されたアミノ酸配列を有し、軽鎖のCDR2が配列番号16に記載されたアミノ酸配列を有し、及び、軽鎖のCDR3が配列番号17に記載されたアミノ酸配列を有する抗体、あるいは、重鎖のCDR1が配列番号26に記載されたアミノ酸配列を有し、重鎖のCDR2が配列番号27に記載されたアミノ酸配列を有し、及び、重鎖のCDR3が配列番号28に記載されたアミノ酸配列を有し、かつ、軽鎖のCDR1が配列番号29に記載されたアミノ酸配列を有し、軽鎖のCDR2が配列番号30に記載されたアミノ酸配列を有し、及び、軽鎖のCDR3が配列番号31に記載されたアミノ酸配列を有する抗体。
  13. 以下の(i)〜(iv)から選択されるいずれか1つのモノクローナル抗体:
    (i)(I)重鎖の可変領域が、以下から選択される1のアミノ酸配列を有し:
    配列番号9のアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされたアミノ酸配列;
    配列番号9のアミノ酸配列と80%、85%、90%、95%、98%、又は99%の相同性を有するアミノ酸配列;又は、
    配列番号9のアミノ酸配列、かつ、
    (II)軽鎖の可変領域が、以下から選択される1のアミノ酸配列を有し:
    配列番号11のアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列;
    配列番号11のアミノ酸配列と80%、85%、90%、95%、98%、又は99%の相同性を有するアミノ酸配列;又は、
    配列番号11のアミノ酸配列、かつ
    リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体;
    (ii)(I)重鎖の可変領域が、以下から選択される1のアミノ酸配列を有し:
    配列番号23のアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされたアミノ酸配列;
    配列番号23のアミノ酸配列と80%、85%、90%、95%、98%、又は99%の相同性を有するアミノ酸配列;又は、
    配列番号23のアミノ酸配列、かつ、
    (II)軽鎖の可変領域が、以下から選択される1のアミノ酸配列を有し:
    配列番号25のアミノ酸配列をコードする核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列;
    配列番号25のアミノ酸配列と80%、85%、90%、95%、98%、又は99%の相同性を有するアミノ酸配列;又は、
    配列番号25のアミノ酸配列、かつ
    リン酸化されたSmad3のリンカー領域を特異的に認識するモノクローナル抗体;
    (iii)重鎖の可変領域が配列番号9のアミノ酸配列からなり、かつ、軽鎖の可変領域が配列番号11のアミノ酸配列からなるモノクローナル抗体;
    (iv)重鎖の可変領域が配列番号23のアミノ酸配列からなり、かつ、軽鎖の可変領域が配列番号25のアミノ酸配列からなるモノクローナル抗体。
  14. 請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の抗体を含有する薬剤。
  15. 請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の抗体を含有するリンカー領域がリン酸化されたSmad3の測定キット。
  16. 被験者由来の検体を請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の抗体と接触させるステップ;及び、
    該抗体へのリンカー領域がリン酸化されたSmad3の結合を検出又は定量するステップ、
    を備える、リンカー領域がリン酸化されたSmad3の測定方法。
  17. 被験者由来の検体が、血液、血漿、血清、尿、又は肝臓組織である、請求項16に記載の方法。
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