JP2013227417A - 多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物 - Google Patents

多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2013227417A
JP2013227417A JP2012100035A JP2012100035A JP2013227417A JP 2013227417 A JP2013227417 A JP 2013227417A JP 2012100035 A JP2012100035 A JP 2012100035A JP 2012100035 A JP2012100035 A JP 2012100035A JP 2013227417 A JP2013227417 A JP 2013227417A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
water
viscosity modifier
parts
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012100035A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5979746B2 (ja
Inventor
Masanori Hirano
昌典 平野
Takeo Yanagiguchi
剛男 柳口
Yasuaki Nishizawa
安明 西澤
Yusuke Fujita
裕介 藤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kansai Paint Co Ltd
Original Assignee
Kansai Paint Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kansai Paint Co Ltd filed Critical Kansai Paint Co Ltd
Priority to JP2012100035A priority Critical patent/JP5979746B2/ja
Publication of JP2013227417A publication Critical patent/JP2013227417A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5979746B2 publication Critical patent/JP5979746B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】
耐タレ性が極めて良好であり、安定した仕上がり外観と塗膜物性に優れた着色ベース塗膜を与える多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物を提供する。
【解決手段】
水希釈性樹脂成分(A)、顔料(B)、ウレタン会合型粘性調整剤(C)及び水を含み、水希釈性樹脂成分(A)がその成分の一部として水希釈性ウレタン樹脂を成分(A)固形分中に固形分で40質量%以上含むものであり、ポリアクリル酸系粘性調整剤(C)の有効成分の量が水希釈性樹脂成分(A)の固形分に対して0.01〜5.0質量%の範囲内にある主剤成分(I)と、
水希釈性樹脂成分(D)、ポリアクリル酸系粘性調整剤(E)及び水を含み、水希釈性樹脂成分(D)がその成分の一部として水希釈性アクリル樹脂(d1)を(D)成分固形分中に固形分で50質量%以上含む粘性調整剤成分(II)と、
を組み合わせてなる多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物に関する。
近年、自動車または自動車補修塗装などの分野において水性着色ベース塗料組成物の市場展開が活性化してきている。
水性着色ベース塗料組成物の塗装では塗装環境の温度や湿度によって仕上がり外観が影響を受けやすく、特にメタリック顔料を含む場合などでは塗膜のムラの発生度合いやキラキラ感、粒子感などが塗装環境によって大きく異なり、安定した仕上がり外観を得る塗装が難しいことが知られている。
特許文献1には、水性塗料組成物を、樹脂、顔料、増粘剤及び水を含むベース塗料組成物と、水及び増粘剤を含む希釈剤と、を含む構成にすることで、メタリック塗料であっても形成される塗膜の仕上がり外観等が良好で、塗装環境の影響を大きく受けることがないことが記載されている。
特許文献2には、水性コーティング組成物を、水希釈性樹脂を含む特殊効果顔料含有組成物と、無機層状ケイ酸塩、水希釈性ポリウレタン樹脂及び水を含み顔料を含有しない組成物と、で構成することで、該水性コーティング組成物のレオロジー特性が適切な垂れ抵抗性を有するものとすることができることが記載されている。
特許文献3には、水性コーティングを、特殊効果顔料、水希釈性バインダー、有機溶剤、水及びラッカー添加剤を含む水性特殊効果モジュールと、水希釈性ポリウレタンバインダー、水、有機溶剤及びラッカー添加剤を含むバインダーモジュールと、で構成することで、能率的な生産と貯蔵を達成できることが記載されている。
このように、水性着色ベース塗料組成物を多成分系で構成すること、塗料粘度を調整するための希釈剤に水だけでなく、増粘剤やポリウレタンなどの水希釈性バインダーを含ませた成分を使用することは公知技術である。
一方で、特許文献4には、水分散性アクリル重合体(A)、水性ウレタン樹脂(B)及びアニオン性コアシェル樹脂分散体(C)を含む水性塗料組成物が開示されており、かかる組成物によれば隠蔽力が高く、付着性、耐水性及び中研ぎ性に優れる塗膜を形成可能であることが記載されている。
ところで、自動車補修塗装では補修塗装部位を自動車ボディの旧塗膜と同等の仕上がり外観とすることを目的としており、完成した自動車ボディに対して補修塗装を施すため、ボディ内部の機器等の部品が影響を受けないように高温で乾燥することができない。また、塗装環境も工業用塗装ラインが管理幅内で安定しているのと比較して各補修塗装現場によって大きく異なるために、すべての補修塗装現場で満足する仕上がり外観を与える水性着色ベース塗料組成物を設計することは極めて困難である。
こうした点から、塗装に用いる水性着色ベース塗料組成物の固形分を低くして塗装を4〜5回程度に分けて塗装し、1コート塗装する毎にエアーブロー(塗面にエアースプレーなどで圧縮空気を軽く吹き付けること)により塗膜を乾燥して塗膜の粘度を高めて塗膜のタレを抑制し、その塗膜へ同一塗料を塗り重ねることにより着色ベース塗膜を形成しているのが実情であり、作業効率改善のためエアーブロー工程の短縮または省略が求められている。
しかしながら特許文献1〜4に記載されているような組成物を用いてエアーブロー工程をすることなく連続塗装、すなわちウェット・オン・ウェットで同一塗料の塗り重ねを行うと、形成される塗膜がタレたり、ムラが発生したりして均一な塗膜とならず、塗膜を水に浸漬した後にフクレが発生したりして十分な塗膜性能が得られないことがある。
特開2006−70095号公報 特開2001−316612号公報 特開平6−340830号公報 特開2010−037516号公報
本発明の目的は、耐タレ性が極めて良好であり、安定した仕上がり外観と塗膜物性に優れた着色ベース塗膜を与える多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物を提供することにある。
本発明者らは上記した課題に対して鋭意検討した結果、水性着色ベースコート塗料組成物を、水希釈性ウレタン樹脂、顔料及びポリアクリル酸系増粘剤を含む主剤成分(I)と、水希釈性アクリル樹脂及びウレタン会合型粘性調整剤を含む粘性調整剤成分(II)とに分割して構成することで、塗装時の耐タレ性が大幅に向上することを見出し、安定した仕上がり外観と塗膜性能を得て、本発明に到達した。
即ち本発明は、
1. 水希釈性樹脂成分(A)、顔料(B)、ポリアクリル酸系粘性調整剤(C)及び水を含み、水希釈性樹脂成分(A)がその成分の一部として水希釈性ウレタン樹脂を成分(A)固形分中に固形分で40質量%以上含むものであり、ポリアクリル酸系粘性調整剤(C)の有効成分の量が水希釈性樹脂成分(A)の固形分に対して0.01〜5.0質量%の範囲内にある主剤成分(I)と、水希釈性樹脂成分(D)、ウレタン会合型粘性調整剤(E)及び水を含み、水希釈性樹脂成分(D)がその成分の一部として水希釈性アクリル樹脂(d1)を(D)成分固形分中に固形分で50質量%以上含む粘性調整剤成分(II)と、
を組み合わせてなる多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物、
2. 主剤成分(I)における水希釈性樹脂成分(A)が、水希釈性ウレタン樹脂に加えて水溶性アクリル樹脂およびアクリル樹脂エマルションをさらに含む1項に記載の多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物、
3. 主剤成分(I)及び粘性調整剤成分(II)の質量比が、これら合計100質量部を基準として成分(I)が40〜95質量部、成分(II)が5〜60質量部の範囲内にある1項または2項に記載の多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物、
4. 主剤成分(I)及び粘性調整剤成分(II)に加えて粘性調整剤成分(III)をさらに組み合わせてなる多成分系であって、該粘性調整剤成分(III)が、無機系粘性調整剤(F)及び水を含むものである1項ないし3項のいずれか1項に記載の多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物、
5. 粘性調整剤成分(III)が、水希釈性樹脂成分(G)をさらに含む4項に記載の多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物、
6. 粘性調整剤成分(III)における水希釈性樹脂成分(G)が、その成分の一部として水希釈性ウレタン樹脂を含む5項に記載の多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物、
7. 粘性調整剤成分(III)が、顔料をさらに含む4項ないし6項のいずれか1項に記載の多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物、
8. 主剤成分(I)、粘性調整剤成分(II)及び粘性調整剤成分(III)の質量比が、これら合計100質量部を基準として成分(I)が30〜80質量部、成分(II)が1〜40質量部、成分(III)が0.5〜50質量部の範囲内にある4項ないし7項のいずれか1項に記載の多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物、
に関する。
本発明の水性着色ベースコート塗料組成物は水希釈性ウレタン樹脂及び顔料を含む主剤成分(I)と、水希釈性アクリル樹脂及びウレタン会合型粘性調整剤を含む粘性調整剤成分(II)とで構成しているものの、両者の混合性は良好であり、これらを混合して調製される水性着色ベースコート塗料組成物は、耐タレ性が非常に良好で高仕上がり外観の塗膜を形成することができる。また、請求項4記載の発明の水性着色ベースコート塗料組成物も、各成分の混合性が良好であり、塗装作業性が良好で耐タレ性、高仕上がり外観の塗膜を形成することができる。
また、本水性着色ベースコート塗料組成物は耐タレ性が極めて良好であるので、各塗装の間のエアーブロー工程を短縮或いは削減して連続して同一塗料を塗り重ねした場合においても塗装時に塗膜がタレることなく、ムラなどの発生がほとんどない高仕上がり外観とすることができ、ベースコート塗膜形成に必要な時間とエネルギーを削減することができる。
本発明の水性着色ベースコート塗料組成物は、主剤成分(I)及び粘性調整剤成分(II)を組み合わせてなるものである。
≪主剤成分(I)≫
本発明における主剤成分(I)は水希釈性樹脂成分(A)、顔料(B)、ポリアクリル酸系粘性調整剤(C)及び水を含み、水希釈性樹脂成分(A)がその成分の一部として水希釈性ウレタン樹脂を成分(A)固形分中に固形分で40質量%以上含むものであり、ポリアクリル酸系粘性調整剤(C)の有効成分の量が、水希釈性樹脂成分(A)の固形分に対して0.01〜5.0質量%の範囲内にあることを特徴とするものである。
尚、本明細書において、固形分とは不揮発分を意味するものであり、試料から、水、有機溶剤等の揮発する成分を除いた残さを意味し、試料の質量に固形分濃度を乗じて算出することができる。固形分濃度は、試料約3グラムを、105℃、3時間乾燥させた残さの質量を、乾燥前の質量で除することにより測定することができ、また、100分率で示す場合もある。
また、有効成分とは、試料から、水、有機溶剤などの希釈剤を除いた残さを意味する。
<水希釈性樹脂成分(A)>
水希釈性樹脂成分(A)としては、水で希釈可能な樹脂成分であれば材料、製法など特に制限はなく従来公知のものを使用でき、水溶性、エマルション型、あるいはコロイダルディスパージョン型の樹脂が制限なく使用できる。樹脂種としては例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂、セルロース樹脂、これら樹脂の変性樹脂等が挙げられ、これらは単独で用いても良いし複数を組み合わせてもよい。
本発明では、主剤成分(I)に含まれる水希釈性樹脂成分(A)が水希釈性ウレタン樹脂を該成分(A)固形分中に固形分で40質量%以上、好ましくは45質量%以上含むことを特徴とする。
水希釈性ウレタン樹脂の含有量が40質量%未満では、本発明の水性着色ベースコート塗料組成物から形成されるベースコート塗膜の付着性、耐水性が不十分であり、また、ベースコート塗膜の隠ぺい性も低下する傾向にあるために好ましくない。
このような水希釈性ウレタン樹脂としては当該分野で公知のものを制限なく使用することができ、例えば、ポリイソシアネート、ポリオール及びカルボキシル基含有ジオールを反応させてなるウレタンプレポリマーを水中に分散することにより得ることができる。
ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート化合物;これらのジイソシアネート化合物のビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;イソホロンジイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−(又は−2,6−)ジイソシアネート、1,3−(又は1,4−)ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート化合物;これらのジイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4´−トルイジンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルエーテルイソシアネート、(m−もしくはp−)フェニレンジイソシアネート、4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)などの芳香族ジイソシアネート化合物;これらのジイソシアネ−ト化合物のビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;トリフェニルメタン−4,4´,4´´−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4´−ジメチルジフェニルメタン−2,2´,5,5´−テトライソシアネートなどの1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物;これらのポリイソシアネート化合物のビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ポリアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのポリオールの水酸基にイソシアネート基が過剰量となる比率でポリイソシアネート化合物を反応させてなるウレタン化付加物;これらのウレタン化付加物のビュ−レットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物等を挙げることができる。
上記ポリオールとしては、例えば数平均分子量が200〜10000の範囲内のものを使用でき、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)グリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、ポリオクタメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオール;ジカルボン酸(アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等)とグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン等)との縮重合させたポリオール、例えばポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリ−3−メチルペンチルアジペート、ポリエチレン/ブチレンアジペート、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペート等のポリエステルポリオール;ポリカプロラクトンポリオール、ポリ−3−メチルバレロラクトンポリオール;ポリカーボネートポリオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、オクタンジオール、トリシクロデカンジメチロール、水添ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール、1,6ヘキサンジオール等の低分子量グリコール類;等が挙げられ、単独で又は2種以上併用して使用することができる。
上記カルボキシル基含有ジオールとしては、例えばジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸等が挙げられる。
上記ウレタンプレポリマーの製造において、上記成分の配合割合は、イソシアネート基/水酸基の当量比が1.1〜1.9の範囲内となるように配合することが望ましい。プレポリマーの合成反応は、従来公知の方法に基づいて行うことができる。
上記水希釈性ウレタン樹脂は、中和剤により中和することができる。中和剤としては、カルボキシル基を中和することができるものであれば特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、ジメチルアミノエタノール、2−メチル2−アミノ−1−プロパノール、トリエチルアミン、アンモニア等を挙げることができる。
上記水希釈性ウレタン樹脂は水に分散した状態であることができ、その平均粒子径としては、0.01〜1μm、特に0.1〜0.5μmの範囲内にあることができる。本明細書において、平均粒子径とは、「ナノマイザーN−4」(商品名、コールター社製、粒度分布測定装置)にて、試料を脱イオン水で希釈して、20℃にして測定した値とする。
発明において上記水希釈性ウレタン樹脂は、主剤成分(I)の貯蔵安定性の点から、固形分酸価が5〜100mgKOH/g、好ましくは10〜70mgKOH/gの範囲内のものであることが望ましい。
また、主剤成分(I)中の水希釈性樹脂成分(A)は上記水希釈性ウレタン樹脂に加えて、水溶性アクリル樹脂及びアクリル樹脂エマルションをさらに含むことが好ましい。
水溶性アクリル樹脂としては、例えば、酸基含有重合性不飽和モノマー、水酸基含有重合性不飽和モノマー及びその他の重合性不飽和モノマーを含む重合性不飽和モノマー成分を、親水性有機溶剤の存在下で重合開始剤により重合させることにより得られる樹脂を挙げることができる。
上記酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム塩、スルホエチルメタクリレート及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩等のスルホン酸基含有重合性不飽和モノマー;2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等のリン酸基含有重合性不飽和モノマーなどが挙げられ、これらは1種又は2種以上併用して用いることができる。
上記水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、2ーヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの炭素数2〜8個のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;Nーメチロールアクリルアミド;アリルアルコール;炭素数2〜8個のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性アクリルモノマー;ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレンポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは1種又は2種以上併用して用いることができる。
上記その他の重合性不飽和モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(ラウリル(メタ)アクリレート)、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族環含有重合性不飽和モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテレフタレート、ジビニルベンゼン等の重合性不飽和基を1分子中に少なくとも2個有する重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等のイソシアナト基含有重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基含有重合性不飽和モノマー等が挙げられる。これらの重合性不飽和モノマーはそれぞれ単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、上記水溶性アクリル樹脂は、該樹脂の水溶解性を向上させ本発明の水性着色ベースコート塗料組成物の仕上がり外観を向上させる目的で、酸基を中和剤により中和することが望ましい。かかる中和剤としては、酸基を中和できるものであれば特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム;トリメチルアミン、ジメチルアミノエタノール、2−メチル−2−アミノ−1−プロパノール、トリエチルアミンなどのアミン化合物;アンモニア水等を挙げることができる。
上記水溶性アクリル樹脂としては、一般に固形分酸価が5〜100mgKOH/g、好ましくは10〜70mgKOH/g、固形分水酸基価が10〜150mgKOH/g、好ましくは20〜100mgKOH/g、重量平均分子量が5000〜10,0000好ましくは8,000〜70,000の範囲内であることが望ましい。
本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー(株)社製、「HLC8120GPC」)で測定した重量平均分子量をポリスチレンの重量平均分子量を基準にして換算した値である。カラムは、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1ml/分、検出器;RIの条件で行ったものである。
また、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー(株)社製、「HLC8120GPC」)で測定した数平均分子量をポリスチレンの数平均分子量を基準にして換算した値である。カラムは、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1ml/分、検出器;RIの条件で行ったものである。
重合に用いられる親水性有機溶剤としては、厳密に区別されるものではないが例えば20℃において水100g中に少なくとも20g溶解する有機溶剤を挙げることができ、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系有機溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノtert−ブチルエーテル等のエチレングリコールエーテル系有機溶剤;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノtert−ブチルエーテル等のジエチレングリコールエーテル系有機溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル等のプロピレングリコールエーテル系有機溶剤;ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル等のジプロピレングリコールエーテル系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、3−メトキシブチルアセテート等のエステル系有機溶剤等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
重合開始剤としては従来公知のものを制限なく使用することができ、例えば、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ-tert-アミルパーオキサイド、ビス(tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等の過酸化物系重合開始剤;2,2´−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、アゾクメン、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2´−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、4,4´−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2−(t−ブチルアゾ)−2−シアノプロパン、2,2´−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2´−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2´−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、ジメチル2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、1,1´−アゾビス(1−シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2´−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕、ジメチル−2,2´−アゾビスイソブチレート等のアゾ系重合開始剤を挙げることができる。
上記アクリル樹脂エマルションとしては、上記水溶性アクリル樹脂以外のものであり、例えば水及び分散安定剤の存在下で重合性不飽和モノマー成分を1段階で又は多段階で乳化重合することにより得られるものを好適に使用することができる。
重合性不飽和モノマー成分としては上記水溶性アクリル樹脂の説明で例示したものと同様のものを挙げることができ、乳化重合を多段階で行う場合にはモノマー組成とその段階で使用する重合性モノマーの合計使用量の割合を適宜調整することができる。
また、アクリル樹脂エマルションを乳化重合せしめるときに用いる分散安定剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性乳化剤及びラジカル重合性二重結合を有するアニオン性又はカチオン性の反応性乳化剤を挙げることができる。
反応性乳化剤とは、分子中にノニオン性基、アニオン性基及びカチオン性基のいずれか1種以上の基と重合性不飽和基を共に有する乳化剤であり、重合性不飽和基としては具体的には、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、プロペニル基、ブテニル基等が挙げられる。市販品としては「ラテムル」(商品名、花王(株)製)、「エレミノール」(商品名、三洋化成(株)製)、「アクアロン」(商品名、第一工業製薬(株)製)、「アデカリアソープ」(商品名、旭電化(株)製)、「ANTOX」(商品名、日本乳化剤(株)製)等を挙げることができる。
本発明では、主剤成分(I)に含まれるアクリル樹脂エマルションとして、水及び乳化剤、好ましくは反応性乳化剤の存在下で重合性不飽和モノマー成分を1段階で乳化重合して得られる単層型のアクリル樹脂エマルションを使用することがベースコート塗膜の造膜性及び水浸漬後の付着性の観点から望ましい。
かかる単層型アクリル樹脂エマルションに重合される重合性不飽和モノマーとしては、酸基含有重合性不飽和モノマー、水酸基含有重合性不飽和モノマー、炭素数が6以上の直鎖状又は分岐状の炭化水素基含有重合性不飽和モノマー及びその他の重合性不飽和モノマーを含むことが適している。
酸基含有重合性不飽和モノマー及び水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては上述したものと同様の化合物を例示することができる。
また、炭素数が6以上の直鎖状又は分岐状の炭化水素基含有重合性不飽和モノマーとしてはn−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(大阪有機化学社製)等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記水希釈性樹脂成分(A)における水溶性アクリル樹脂及びアクリル樹脂エマルションの使用割合としては、水溶性アクリル樹脂/アクリル樹脂エマルション固形分質量比で10/90〜80/20、好ましくは25/75〜60/40の範囲であることが、主剤成分(I)の貯蔵安定性、連続塗装で得られるベース塗膜の仕上がり外観及び耐水性の点から適している。
<顔料(B)>
本発明において上記主剤成分(I)に含まれる顔料(B)としては、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。その具体例としては、酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物顔料、チタンイエロー等の複合酸化金属顔料、カーボンブラック、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属キレートアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インダンスロン系顔料、ジオキサン系顔料、インジゴ系顔料等の着色顔料;アルミニウム(蒸着アルミニウムを含む)、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母、ガラスフレーク、ホログラム顔料等の光輝性顔料;クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイト等の体質顔料;等が挙げられ、これらはその目的とする色彩や塗膜性能に応じて単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
また、光輝性顔料を使用する場合その形状としては特に限定されないが、例えば燐片状が好適であり、リン酸基あるいはスルホン酸基を含有する処理剤で分散処理され被覆されていることが水素ガス発生抑制の点から好適である。リン酸基あるいはスルホン酸基含有処理剤には従来公知の低分子化合物や共重合体が特に制限なく適用できる。
顔料(B)の配合量としては、目的とする塗色によって使用する顔料によって異なるが一般には主剤成分(I)に含まれる樹脂の固形分合計100質量部に対して、0.1〜300質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5〜200質量部の範囲内であることが塗料安定性の面からも適している。該顔料(B)の主剤成分(I)への配合方法は特に定められるものではないが、主剤成分(I)が水溶性アクリル樹脂を含む場合は予め顔料(B)と該樹脂及び水とを混合して顔料分散体を調製し、該顔料分散体をその他成分と混合して主剤成分(I)に配合せしめてもよい。
<ポリアクリル酸系粘性調整剤(C)>
本発明では、主剤成分(I)が安定に貯蔵でき、粘性調整剤成分(II)と混合することで得られる水性着色ベースコート塗料組成物がムラやタレなどの発生のない良好な仕上がり外観の塗膜を形成できるように主剤成分(I)が粘性調整剤としてポリアクリル酸系粘性調整剤(C)を含む。かかるポリアクリル酸系粘性調整剤(C)としては、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等を挙げることができる。
該ポリアクリル酸系粘性調整剤の有効成分酸価としては、30〜300mg/KOH、好ましくは80〜280mg/KOHの範囲内であることができる。市販品として、例えば、ロームアンドハース社製の「プライマルASE60」、「プライマルTT615」、「プライマルRM5」(以上、商品名)、サンノプコ社製の「SNシックナー613」、「SNシックナー618」、「SNシックナー630」、「SNシックナー634」、「SNシックナー636」(以上、商品名)等が挙げられる。
本発明では、主剤成分(I)に含まれるポリアクリル酸系粘性調整剤(C)の有効成分の量が、水希釈性樹脂成分(A)の固形分に対して0.01〜5.0質量%の範囲内にあるものであり、好ましくは1.0〜4.5質量%の範囲内にあることが適している。ポリアクリル酸系粘性調整剤(C)の有効成分の量が0.01質量%未満では主剤成分(I)の貯蔵安定性や水性着色ベースコート塗料組成物を各塗装の間のエアーブロー工程を短縮或いは削減して連続塗装した時の耐タレ性が不十分であり、ポリアクリル酸系粘性調整剤(C)の有効成分の量が5.0質量%を超えると主剤成分(I)と後述の粘性調整剤成分(II)との混合性が不十分であり、また得られる塗膜の仕上がり外観、特にメタリック塗料に適用した場合におけるムラの発生などが生じ、好ましくない。
上記主剤成分(I)は、顔料分散剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ポリマー微粒子、分散助剤、防腐剤、シランカップリング剤、消泡剤、硬化触媒、ポリアクリル酸系粘性調整剤(C)以外の公知の粘性調整剤、有機溶剤、中和剤など、水性塗料調製の際に通常用いられる塗料用添加剤などの他の成分を含んでいてもよい。
上記主剤成分(I)の固形分濃度は、一般に15〜50質量%、好ましくは20〜40質量%の範囲内に調整されることが塗装作業性と隠蔽性、及び仕上がり外観の観点から適している。
また、上記主剤成分(I)の粘度としては、特に制限されるものではないが、貯蔵安定性及び後述の粘性調整剤成分(II)等との混合性の点から、100〜2000mPa・sec、好ましくは600〜2000mPa・sec、さらに好ましくは800〜1600mPa・secの範囲内であることができる。本明細書において、粘度は、試料を25℃に調製してから10分以内に、粘度計デジタル式ビスメトロン粘度計VDA型(芝浦システム株式会社製)を用いて回転速度60rpmにて測定した値とする。
≪粘性調整剤成分(II)≫
本発明において、粘性調整剤成分(II)は、水希釈性樹脂成分(D)、ウレタン会合型粘性調整剤(E)及び水を含む。
本発明では上記主剤(I)に粘性調整剤成分(II)を塗装直前に混合することで、塗装環境に応じて水性着色ベースコート塗料組成物のレオロジー特性を制御することができるものであり、水性着色ベースコート塗料組成物をこのように構成することで各成分の貯蔵安定性を保ち、連続塗装した場合であってもタレることなく、ムラなどの発生のない仕上がり外観に優れたベース塗膜を形成することができるものである。
<水希釈性樹脂成分(D)>
粘性調整剤成分(II)に含まれ得る水希釈性樹脂成分(D)としては、上記主剤成分(I)に含まれる水希釈性樹脂成分(A)の説明で例示した化合物の中から適宜選択して使用することができる。粘性調整剤成分(II)が水希釈性樹脂成分(D)を含むことで、主剤成分(I)との混合性が良好で、水性着色ベースコート塗料組成物から形成されるベースコート塗膜がムラなどの発生の少ない良好な仕上がり外観を有することができる。
本発明においては、主剤成分(I)に含まれる水希釈性樹脂成分(A)が水希釈性ウレタン樹脂を該成分(A)固形分中に固形分で40質量%以上含むものであるのに対し、粘性調整剤成分(II)に含まれる水希釈性樹脂成分(D)はその成分の一部として水希釈性アクリル樹脂(d1)を成分(D)固形分中に固形分で50質量%以上含むことを特徴とするものであり、60質量%以上であるとさらに好ましい。
水希釈性アクリル樹脂(d1)含有量が50質量%未満では、ベースコート塗膜にムラなどが発生することがあり、好ましくない。
また、粘性調整剤成分(II)において、水希釈性樹脂成分(D)が水希釈性ウレタン樹脂を含む場合は該成分(D)固形分中に固形分で40質量%未満、特に20質量%未満に抑えることが望ましい。
上記水希釈性アクリル樹脂(d1)としては、その成分の一部として水溶性アクリル樹脂を含むことが望ましい。水溶性アクリル樹脂を含むことにより、ポリアクリル酸系粘性調整剤を含む粘性調整剤成分(II)の粘度が上がり過ぎることなく適度になり、主剤成分(I)との混合性が良好で、得られる水性着色ベースコート塗料組成物はタレなどの発生がほとんどなく仕上がり外観に優れたベースコート塗膜を形成することができるものである。
かかる水溶性アクリル樹脂としては従来公知のものを制限なく使用でき、上記主剤成分(I)の説明で例示した水溶性アクリル樹脂の中から適宜選んで使用することができるし、また、主剤成分(I)と粘性調整剤成分(II)に含まれる水溶性アクリル樹脂が同一であってもよい。
上記水希釈性アクリル樹脂(d1)中に含まれる水溶性アクリル樹脂の含有量としては、該(d1)固形分中に固形分で40質量%以上、好ましくは45〜95質量%の範囲内にあることが望ましい。
また、粘性調整剤成分(II)に含まれる水希釈性アクリル樹脂(d1)は、その成分の一部としてアクリル樹脂エマルションを含むことが望ましい。
かかるアクリル樹脂エマルションとしては従来公知のものを制限なく使用することができ、上記主剤成分(I)の説明で例示したアクリル樹脂エマルションの中から適宜選んで使用することができるし、また、主剤成分(I)と粘性調整剤成分(II)に含まれるアクリル樹脂エマルションが同一であってもよい。
本発明においては、粘性調整剤成分(II)に含まれるアクリル樹脂エマルションとして、固形分水酸基価が40mgKOH/g以下、特に20mgKOH/g以下、さらに特に5mgKOH/g以下であり、固形分酸価が1〜50mgKOH/g、好ましくは5〜30mgKOH/gの範囲内のコアシェル型アクリル樹脂エマルションが好適である。
粘性調整剤成分(II)が後述のウレタン会合型粘性調整剤(E)と共に上記アクリル樹脂エマルションを含むことにより、主剤(I)との混合性が良好であり、水性着色ベースコート塗料組成物の連続塗装時の耐タレ性や仕上がり外観が良好である上に、着色ベースコート塗膜の耐水性が向上する効果がある。
上記アクリル樹脂エマルションの製造に使用される重合性不飽和モノマーとしては上述したものが挙げられ、好適なモノマーとしては芳香族環含有重合性不飽和モノマーを挙げることができる。
上記芳香族環含有重合性不飽和モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
上記コアシェル型アクリル樹脂エマルションにおいて、コア部を構成するモノマー成分としては、芳香族環含有重合性不飽和モノマーを15〜80質量%含有し、コア部に含まれる芳香族環含有重合性不飽和モノマーがシェル部に含まれる芳香族環含有重合性不飽和モノマーよりも多く含まれることが望ましい。
また、コア部及びシェル部の両方に含まれる芳香族環含有重合性不飽和モノマーの合計量としては、15〜80質量%の範囲であることが好ましい。
また、コア部とシェル部の配合割合は、コア部/シェル部質量比で5/95〜95/5、好ましくは10/90〜90/10の範囲内が適している。
また、上記コアシェル型アクリル樹脂エマルションの重合に用いられる分散安定剤としては上述したものが挙げられるがベースコート塗膜の耐水性の点から反応性乳化剤を使用することが望ましい。
上記水希釈性アクリル樹脂(d1)に含まれるアクリル樹脂エマルション含有量としては、該(d1)固形分中に固形分で1〜60質量%、好ましくは5〜55質量%の範囲内にあることが望ましい。
<ウレタン会合型粘性調整剤(E)>
本発明において、粘性調整剤成分(II)はウレタン会合型粘性調整剤(E)を含有する。粘性調整剤成分(II)がウレタン会合型粘性調整剤(E)を含むことにより本発明の水性着色ベースコート塗料組成物の耐タレ性が向上する効果がある。
ウレタン会合型粘性調整剤(E)としては、末端に疎水基を有し、分子鎖中にウレタン結合を有する化合物であり、ウレタン会合型粘性調整剤を用いるのが更に好ましい。該ウレタン会合型粘性調整剤としては、市販品を使用できる。市販品の商品名として、例えば、ADEKA社製の「UH−420」、「UH−462」、「UH−472」、「UH−540」、「UH−752」、「UH−756VF」、「UH−814N」(以上、旭電化社製);サンノプコ社製の「SNシックナー612」、「SNシックナー621N」、「SNシックナー625N」、「SNシックナー627N」、「SNシックナー660T」(以上、サンノプコ社製)等が挙げられる。
粘性調整剤成分(II)中のウレタン会合型粘性調整剤(E)の有効成分含有量としては、粘性調整剤成分(II)に含まれる水希釈性樹脂成分(D)固形分100質量部を基準として1〜30質量部、好ましくは10〜20質量部の範囲内にあることが、ベースコート塗膜の連続塗装時の耐タレ性、仕上がり外観の点から適している。
上記粘性調整剤成分(II)は、顔料、顔料分散剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ポリマー微粒子、分散助剤、防腐剤、シランカップリング剤、消泡剤、硬化触媒、ウレタン会合型粘性調整剤(E)以外の公知の粘性調整剤、有機溶剤、中和剤など、水性塗料調製の際に通常用いられる塗料用添加剤などの他の成分を含んでいてもよい。
また、粘性調整剤成分(II)の固形分濃度は、一般に1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%の範囲内にあることが塗装作業性と隠蔽性、及び仕上がり外観の観点から適している。
上記粘性調整剤成分(II)の粘度としては、特に制限されるものではないが、粘性調整剤成分(II)の貯蔵安定性及び主剤成分(I)との混合性の点から、100〜2000mPa・sec、好ましくは300〜1800mPa・sec、さらに好ましくは400〜1600mPa・secの範囲内であることができる。
≪粘性調整剤成分(III)≫
本発明の水性着色ベースコート塗料組成物は、上記主剤成分(I)及び粘性調整剤成分(II)に加えて粘性調整剤成分(III)をさらに組み合わせてなる多成分系、すなわち3成分系とすることもできる。
粘性調整剤成分(III)をさらに組み合わせることにより、水性着色ベースコート塗料組成物の耐タレ性や仕上がり外観を向上させ、また、水性着色ベースコート塗料組成物の粘度を適度に調整でき、塗装しやすくすることもできる。
かかる粘性調整剤成分(III)としては、上記主剤成分(I)、粘性調整剤成分(II)とは異なる組成の成分であり、無機系粘性調整剤(F)及び水を含むものであることが望ましい。
<無機系粘性調整剤(F)>
上記無機系粘性調整剤(F)としては、当該分野で公知のものを制限なく使用することができ、例えば層状ケイ酸塩鉱物やシリカ微粒子等が挙げられ、これらは天然、合成品、加工処理品のいずれであってもよい。具体例としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチブンサイト、マイカおよびベントナイト等が挙げられる。これらは有機溶剤や水等の希釈媒体で希釈されたものであってもよい。
市販品としては「Bentone 27」、「Bentone34」、「Bentone 38」、「Bentone SD−1」、「Bentone SD−2」、「Bentone SD−3」、「Bentone52」、「Bentone 57」(以上いずれもRheox社製、商品名)、「Tixogel VP」、「Tixogel TE」、「Tixogel UN」、「Tixogel EZ100」、「Tixogel MP100」、「Tixogel MP250」(以上いずれもSud Chemical社製、商品名)、「Claytone 40」、「Claytone 34」、「Claytone HT」、「Claytone APA」、「Claytone AF」、「Claytone HY」(以上いずれもSouthern Clay Products社製、商品名)、「Aerosil RX200」、「Aerosil R812」、「Aerosil R805」、「AerosilRY200」、「Aerosil R202」(以上いずれも日本アエロジル株式会社製、商品名)、「Laponite RD」、「LaponiteRDS」(商品名、ウィルバー・エリス社製)などを挙げることができる。
粘性調整剤成分(III)中における無機系粘性調整剤(F)の有効成分含有量としては、粘性調整剤成分(III)が後述の水希釈性樹脂成分(G)を含まない場合、粘性調整剤成分(III)質量を基準として0.1〜3.0質量%、好ましくは0.3〜2.0質量%の範囲内であり、粘性調整剤成分(III)が後述の水希釈性樹脂成分(G)を含む場合、粘性調整剤成分(III)中における無機系粘性調整剤(F)の有効成分含有量としては、水希釈性樹脂成分(G)の固形分を基準として1〜25質量%、好ましくは3〜20質量%の範囲内にあることが、水性着色ベースコート塗料組成物の連続塗装時の耐タレ性、仕上がり外観の点から好ましい。
<水希釈性樹脂成分(G)>
本発明において、上記粘性調整剤成分(III)は、水希釈性樹脂成分(G)をさらに含むものであることが耐水性などの塗膜性能及び耐タレ性、特に連続塗装時における耐タレ性の点から好ましい。
粘性調整剤成分(III)に含まれる水希釈性樹脂成分(G)としては、特に制限はないが上記水希釈性樹脂成分(A)の説明で例示した化合物と同様の化合物を例示することができる。
本発明においては、粘性調整剤成分(III)における水希釈性樹脂成分(G)が、その成分の一部として水希釈性ウレタン樹脂を含むものであることが好ましい。
粘性調整剤成分(III)が水希釈性ウレタン樹脂を含むことによって、粘性調整剤(III)の貯蔵安定性が良好であり、主剤成分(I)に含まれる顔料の種類に関わりなく、広い範囲の塗色の水性着色ベースコート塗料組成物の連続塗装時の耐タレ性が安定する効果がある。
かかる水希釈性ウレタン樹脂としては上記主剤成分(I)の説明で例示したものの中から適宜選んで使用することができるし、また、主剤成分(I)と粘性調整剤成分(III)に含まれる水希釈性ウレタン樹脂が同一であってもよい。
水希釈性樹脂成分(G)に含まれる水希釈性ウレタン樹脂の含有量としては、該成分(G)固形分中に水希釈性ウレタン樹脂固形分が40質量%以上、好ましくは50質量%以上の範囲内にあることが望ましい。
また、粘性調整剤成分(III)は、水性着色ベースコート塗料組成物の連続塗装時の耐タレ性や仕上がり外観、ヌレ広がりやすさの向上効果があり、また塗膜隠ぺい性にも効果があることから、顔料を含むことが好ましい。
かかる顔料としては従来公知のものを制限なく使用することができ、具体的には顔料(B)として上述したものを例示することができる。
中でも、ベースコート塗膜の色味や配向性に悪影響を及ぼすことなく、主剤成分(I)及び粘性調整剤成分(II)との混合性も良好であることから、該顔料として体質顔料を使用することが好ましい。
上記顔料の使用量としては、粘性調整剤成分(III)が水希釈性樹脂成分(G)を含まない場合、粘性調整剤成分(III)質量を基準として0.05〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%の範囲内であり、粘性調整剤成分(III)が水希釈性樹脂成分(G)を含む場合、粘性調整剤成分(III)中における顔料含有量としては、水希釈性樹脂成分(G)の固形分質量を基準として0.5〜100質量%、好ましくは0.5〜50質量%の範囲内にあることが、水性着色ベースコート塗料組成物の連続塗装時の耐タレ性、仕上がり外観、隠ぺい性の点から好ましい。
また、上記粘性調整剤成分(III)は、ポリアルキレン骨格を有するポリオール化合物を含むことができる。
ポリアルキレン骨格を有するポリオール化合物としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのブロックまたはランダム共重合の少なくとも1種の構造を有する、ポリアルキレンポリオール;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、ポリグリセリン、ポリテトラメチレングリコールなどの多価アルコールをポリアルキレン変性した、ポリアルキレン骨格を含む多価アルコール;上記ポリアルキレンポリオールと無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、イソフタル酸などの多塩基酸との縮合物であるポリエステルポリオール;ポリエーテルポリオールをカプロラクトン変性したカプロラクトン変性ポリオール;などが挙げられる。
上記ポリアルキレン骨格を有するポリオール化合物の重量平均分子量としては、100〜10000、好ましくは400〜5000の範囲内にあることが望ましい。
また、上記ポリアルキレン骨格を有するポリオールの使用量としては、粘性調整剤成分(III)に含まれる無機系粘性調整剤(F)の有効成分質量を基準として50〜1000質量%、好ましくは100〜500質量%の範囲内にあることが、本発明ベースコート塗料組成物を用いて形成される塗膜の仕上がり性と粘性調整剤成分(III)の貯蔵安定性の観点から望ましい。
上記粘性調整剤成分(III)は、紫外線吸収剤、光安定剤、ポリマー微粒子、分散助剤、防腐剤、シランカップリング剤、消泡剤、硬化触媒、無機系粘性調整剤(F)以外の公知の粘性調整剤、有機溶剤、中和剤など、水性塗料調製の際に通常用いられる塗料用添加剤などの他の成分を含んでいてもよい。
上記粘性調整剤成分(III)の固形分濃度は、一般に1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%の範囲内に調整されることが塗装作業性と隠蔽性、及び仕上がり外観の観点から適している。
また、上記粘性調整剤成分(III)の粘度としては、特に制限されるものではないが、粘性調整剤成分(III)の貯蔵安定性並びに水性着色ベースコート塗料組成物の塗装作業性の点から、10〜2000mPa・sec、好ましくは10〜1000mPa・sec、さらに好ましくは10〜600mPa・secの範囲内にあることができる。
≪水性着色ベースコート塗料組成物≫
本発明では主剤成分(I)と粘性調整剤成分(II)及び必要に応じて使用される粘性調整剤成分(III)はそれぞれ別々に保管されるものであり、塗装業者が塗装直前に各成分を攪拌混合し、必要に応じて水などの希釈剤で粘度調整することにより本発明の水性着色ベースコート塗料組成物を調製することができる。尚、本明細書において、塗装直前とは、塗装業者や塗装現場により一概に定義できるものではないが、例えば、塗装を行う3時間前までの間を挙げることができる。
上記水性着色ベースコート塗料組成物における主剤成分(I)及び粘性調整剤成分(II)の質量比としては塗装環境等により適宜調整できるが、一般に、これら合計100質量部を基準として成分(I)が40〜95質量部、好ましくは45〜90質量部、成分(II)が5〜60質量部、好ましくは10〜55質量部の範囲内、或いは
主剤成分(I)、粘性調整剤成分(II)及び粘性調整剤成分(III)の質量比としては一般に、これら合計100質量部を基準として成分(I)が30〜80質量部、好ましくは35〜70質量部、成分(II)が1〜40質量部、好ましくは5〜30質量部、成分(III)が0.5〜50質量部、好ましくは5〜35質量部の範囲内にあることが塗膜の隠ぺい性、連続塗装時における仕上がり外観及び耐タレ性の点から適している。
また、本発明では必要に応じてポリイソシアネート硬化剤、ブロックイソシアネート硬化剤、メラミン硬化剤、オキサゾリン硬化剤、カルボジイミド硬化剤などの硬化剤を上記主剤成分(I)、粘性調整剤成分(II)及び粘性調整剤成分(III)のいずれかに含ませること、あるいは別個の成分として使用することもできる。
上記の通り得られる本発明の水性着色ベースコート塗料組成物の固形分濃度は、一般に10〜40質量%、好ましくは15〜35質量%の範囲内にあることが塗装作業性と隠蔽性、及び仕上がり外観の観点から適している。
また、上記水性着色ベースコート塗料組成物の塗装時の粘度としては、特に制限されるものではないが、160〜600mPa・sec、好ましくは200〜500mPa・secの範囲内にあることが塗装作業性が良好であり、さらには連続塗装時の耐タレ性及び仕上がり外観の観点から適している。
≪塗装≫
本発明の水性着色ベースコート塗料組成物は、スプレー塗装、静電塗装、ハケ塗装、ローラー塗装等公知の塗装手段で塗装することができるが、塗膜の仕上がり外観の点からスプレー塗装を行うことが好ましい。
塗装回数としては一回でもよいが、仕上がり外観と隠ぺい性を両立させる点から同一塗料を複数回、例えば3〜6回程塗り重ねて塗装をすることが望ましい。
本発明では塗り重ね塗装の場合の各塗装の間に行うエアーブロー工程を省略して連続で塗装を行っても塗膜がタレることなく、良好な仕上がり外観を有することができるものであるが、必要に応じて各塗装の間にフラッシュオフ(塗装後塗膜を常温で静置)、エアーブローや予備加熱などの工程を設けてもよい。
水性着色ベースコート塗料組成物の塗装が終了した後の乾燥は、特に制限されるものではないし、後述のトップクリヤーを塗り重ねる場合は未乾燥の状態であってもよいが、例えば20〜100℃、好ましくは40〜100℃の温度条件で、5〜60分間乾燥させることが好ましい。膜厚は、被塗面の状態に応じて適宜調整できるが、一般には乾燥膜厚として、5〜100μm、特に10〜60μmの範囲内が適している。
適用される被塗面としては従来公知の基材面や該基材に設けられた塗膜面を例示することができ、該基材としては、特に制限されるものではないが、例えば、鉄、アルミニウム等の金属;プラスチック等の有機基材;コンクリート、木材等の無機質基材等が挙げられ、また該基材に設けられる塗膜としては特に制限はないが、例えば自動車車体などに設けられている着色ベース塗料組成物によるベース塗膜及びトップクリヤー塗膜から形成されてなる複層塗膜を挙げることができ、該ベース塗膜の下層にプライマー塗膜、電着塗膜、中塗り塗膜等の塗膜が適宜設けられたものであってもよい。
また、本発明の水性着色ベースコート塗料組成物は上記被塗面にすでに形成されている塗膜に対する補修用塗料として用いてもよい。この場合、予めパテやプライマーサーフェーサー等で被塗面を予め処理をすることができる。また、上記水性着色ベースコート塗料組成物を塗装した後、該塗膜上にトップクリヤー塗料を塗装してもよい。
かかるトップクリヤー塗料としては、従来公知のものが特に制限なく使用でき、例えば水酸基などの架橋性官能基を含有するアクリル樹脂やフッ素樹脂を主剤とし、ブロックポリイソシアネート、ポリイソシアネートやメラミン樹脂などを硬化剤として含有する硬化型塗料、あるいはセルロースアセテートブチレート変性のアクリル樹脂を主成分とするラッカー塗料などが好適に使用でき、さらに必要に応じて顔料類、繊維素誘導体類、添加樹脂、紫外線吸収剤、光安定剤、表面調整剤、硬化触媒などの塗料用添加剤を含有することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、下記例中の「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」を意味する。
<水希釈性ウレタン樹脂の製造>
製造例1
反応容器に、数平均分子量2000、両末端に水酸基を有するポリブチレンアジペート115.5部、数平均分子量2000、両末端に水酸基を有するポリカプロラクトンジオール115.5部、ジメチロールプロピオン酸23.2部、1,4−ブタンジオール6.5部及びイソホロンジイソシアネート120.1部を仕込み、撹拌下に窒素気流中、85℃で7時間反応せしめてNCO含有量4.0%のプレポリマーを得た。次いで該プレポリマーを50℃まで冷却し、アセトン165部を加え均一に溶解した後、撹拌下にトリエチルアミン15.7部を加え、50℃以下に保ちながら脱イオン水600部を加え、得られた水分散体を50℃で2時間保持し鎖伸長反応を完結させた後、減圧下70℃以下でアセトンを留去し、トリエチルアミンと脱イオン水でpHを8.0に調整し、固形分酸価が26mgKOH/g、固形分濃度30%のウレタン樹脂エマルション(A−1)を得た。
<水溶性アクリル樹脂の製造>
製造例2
反応容器に、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル550部を加え、窒素気流中で115℃に昇温した。上記反応容器の温度が115℃に達した後、メチルメタクリレート350部、n−ブチルアクリレート200部、2−エチルヘキシルメタクリレート250部、4−ヒドロキシブチルアクリレート130部、アクリル酸60部、及び「ライトエステルPM」(注1)10部に、アゾビスイソブチロニトリル10部を溶解したモノマー混合物を、上記容器に3時間かけて添加し、2時間熟成させた。反応終了後、生成物を、ジメチルエタノールアミンで当量中和し、さらにプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル450部を添加して、ジメチルエタノールアミンでpH7.5に調整し、黄色液状である、水溶性アクリル樹脂(B−1)の溶液(固形分55%)を得た。水溶性アクリル樹脂(B−1)の重量平均分子量は45,000であり、固形分酸価は47mgKOH/gであり、そして固形分水酸基価は51mgKOH/gであった。
(注1)「ライトエステルPM」:商品名、共栄社化学株式会社製、(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート。
製造例3
上記製造例2において、モノマー組成をメチルメタクリレート360部、n−ブチルアクリレート200部、2−エチルヘキシルメタクリレート250部、4−ヒドロキシブチルアクリレート130部、アクリル酸60部とする以外は上記製造例2と同様にして水溶性アクリル樹脂(B−2)を得た。
<アクリル樹脂エマルションの製造>
製造例4
反応容器に脱イオン水100部、「アデカリアソープSR−1025」(商品名、旭電化社製、反応性乳化剤、固形分25%)2.5部およびモノマー混合物(スチレン9部、n−ブチルアクリレート40部、2−エチルヘキシルアクリレート40部、ヒドロキシエチルアクリレート10部、メタクリル酸1部)のうちの1部を加え、窒素気流で攪拌混合し、60℃で3%過硫酸アンモニウム3部を加えた。次いで、80℃に昇温して前記モノマー混合物の残りの99部、「アデカアリアソープSR−1025」2.5部、3%過硫酸アンモニウム4部および脱イオン水100部からなるプレエマルションを4時間かけて定量ポンプを用いて反応容器に加え、添加終了後1時間熟成を行った。その後、脱イオン水33部を加え、ジメチルエタノールアミンでpH7.5に調整し、平均粒子径が0.1μm、固形分濃度30%のアクリル樹脂エマルション(C−1)を得た。
製造例5
反応容器に脱イオン水300部、「アデカリアソープSR−1025」8部を加え、窒素置換後85℃まで昇温させた。この中に過硫酸アンモニウム0.8部と下記(A)組成をエマルション化してなるプレエマルションの3.5%を添加し、添加20分後から上記プレエマルションの残りを170分掛けて滴下した。
<コア成分(A)>
脱イオン水 365.5部
スチレン 392.4部
n−ブチルアクリレート 130部
2−エチルヘキシルアクリレート 32部
メタクリル酸 5.6部
「SR−1025」 31.4部
過硫酸アンモニウム 1.12部
滴下終了後1時間熟成してから、下記(B)組成をエマルション化してなるプレエマルションを70分掛けて滴下した。
<シェル成分(B)>
脱イオン水 156.6部
スチレン 20部
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン 25部
n−ブチルアクリレート 25部
2−エチルヘキシルアクリレート 50部
メタクリル酸 2.4部
メチルメタクリレート 117.6部
「SR−1025」 13.5部
過硫酸アンモニウム 0.48部
滴下終了後30分経てから、過硫酸アンモニウム0.8部を脱イオン水16部に溶解させた溶液を30分かけて滴下し、更に2時間85℃に保持した。その後40℃以下まで温度を下げ、アンモニア水でpH7〜8に調整し、固形分濃度47.6%のアクリル共重合体エマルション(C−2)を得た。
<アルミニウム顔料ペースト組成物の製造>
製造例6
容器に、アルミニウム顔料ペースト「WJE−7640」(東洋アルミ社製、金属含有量52%)48.1部、エチレングリコールモノブチルエーテル35部、及びリン酸基含有樹脂溶液(注2)3部を添加し、混合することにより、アルミニウム顔料ペースト組成物を得た。
(注2)リン酸基含有樹脂溶液:反応容器に、メトキシプロパノール27.5部、及びイソブタノール27.5部から成る溶剤を入れ、110℃に加熱し、次いで、スチレン25部、n−ブチルメタクリレート27.5部、「イソステアリルアクリレート」(大阪有機化学社製、商品名)20部、ヒドロキシブチルアクリレート7.5部、リン酸基含有重合性モノマー(注3)15部、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート12.5部、イソブタノール10部、及びt−ブチルパーオキシオクタノエート4部からなる混合物121.5部を、4時間かけて上記溶剤に添加し、次いでt−ブチルパーオキシオクタノエート0.5部及びイソプロパノール20部から成る混合物を、1時間かけて滴下し、次いで、攪拌しながら1時間熟成することにより、固形分濃度50%のリン酸基含有樹脂溶液を得た。
(注3)リン酸基含有重合性モノマー:反応容器に、モノブチルリン酸57.5部、及びイソブタノール41.1部を入れ、空気通気下でグリシジルメタクリレート42.5部を2時間で滴下し、次いで、攪拌しながら1時間熟成した。次いで、イソプロパノ−ル5.9部を加えて、固形分濃度50%のリン酸基含有重合性モノマー溶液を得た。
≪主剤成分の製造≫
製造例7
製造例6で得たアルミニウム顔料ペースト組成物86.1部と製造例2で得た水溶性アクリル樹脂溶液(B−1)36.4部を攪拌混合容器中に加え、1時間攪拌した後、製造例1で得たポリウレタン樹脂エマルション(A−1)200部とさらに製造例4で得たアクリル樹脂エマルション(C−1)66.7部を混合し、「プライマルASE60」(注4)を有効成分の量が樹脂固形分100質量部に対して3.0質量部となるように添加し、さらに1時間攪拌を続けた。得られた混合物をジメチルエタノールアミンでpH8.0に調整した後、脱イオン水を添加し、固形分濃度30%の主剤(I−1)を得た。この主剤(I−1)の粘度は1000mPa・secであった。
(注4)「プライマルASE−60」:商品名、ロームアンドハース社製、ポリアクリル酸系粘性調整剤、酸価270mgKOH/g、有効成分28%。
製造例8
上記製造例7において、水溶性アクリル樹脂溶液(B−1)を全量水溶性アクリル樹脂溶液(B−2)に置き換える以外は上記製造例7と同様にして固形分濃度30%の主剤(I−2)を得た。この主剤(I−2)の粘度は1000mPa・secであった。
製造例9(比較例用)
上記製造例7において、「プライマルASE60」(注4)の有効成分の配合量が樹脂固形分100質量部に対して5.5質量部となるようにする以外は上記製造例7と同様にして主剤(I−3)を得た。主剤(I−3)の粘度は3000mPa・secであった。
製造例10(比較例用)
製造例6で得たアルミニウム顔料ペースト組成物86.1部と製造例2で得た水溶性アクリル樹脂溶液(B−1)63.6部を攪拌混合容器中に加え、1時間攪拌した後、製造例1で得たポリウレタン樹脂エマルション(A−1)100部とさらに製造例4で得たアクリル樹脂エマルション(C−1)63.6部を混合し、「プライマルASE60」(注4)12.5部を添加し、さらに1時間攪拌を続けた。得られた混合物をジメチルエタノールアミンでpH8.0に調整した後、脱イオン水を添加し、固形分濃度30%の主剤(I−4)を得た。この主剤(I−4)の粘度は1300mPa・secであった。
≪粘性調整剤成分(II)の製造≫
製造例11
製造例2で得られた水溶性アクリル樹脂溶液(B−1)109.1部と製造例5で得られたアクリル樹脂エマルション(C−2)50.4部を撹拌混合容器中に加え、1時間撹拌した後、「UH−756VF」(注5)20部を添加し、さらに1時間撹拌を続けた。得られた混合物をジメチルエタノールアミンでpH8.0に調整した後、脱イオン水を添加し、固形分濃度10%の粘性調整剤成分(II−1)を得た。この粘性調整剤成分(II−1)の粘度は1500mPa・secであった。
(注5)「UH−756VF」:商品名、ADEKA社製、ウレタン会合型粘性調整剤、有効成分32%。
製造例12
上記製造例11において、アクリル樹脂エマルション(C−2)を固形分量が同量となるように水溶性アクリル樹脂溶液(B−1)に全量置き換える以外は上記製造例11と同様にして固形分濃度が10%の粘性調整剤成分(II−2)を得た。この粘性調整剤成分(II−2)の粘度は1000mPa・secであった。
製造例13
上記製造例11において、水溶性アクリル樹脂溶液(B−1)とアクリル樹脂エマルション(C−2)の固形分質量比が50/50となるようにする以外は上記製造例11と同様にして固形分濃度が10%の粘性調整剤成分(II−3)を得た。この粘性調整剤成分(II−3)の粘度は500mPa・secであった。
製造例14(比較例用)
脱イオン水942.9部に、「UH−756VF」(注5)20部を加えてジメチルエタノールアミンでpH8.0に調整して粘性調整剤成分(II−4)を得た。粘性調整剤成分(II−4)の粘度は、500mPa・secであった。
製造例15(比較例用)
上記製造例12において、水溶性アクリル樹脂溶液(B−1)を固形分が同量となるようにウレタン樹脂エマルション(A−1)に全量置き換える以外は製造例12と同様にして固形分濃度が10%の粘性調整剤成分(II−5)を得た。この粘性調整剤成分(II−5)の粘度は5000mPa・secであった。
≪粘性調整剤成分(III)の製造≫
製造例16
攪拌混合容器に脱イオン水995部、「Laponite RD」(注6)5部を添加し、攪拌混合して粘性調整剤成分(III−1)を得た。該粘性調整剤成分(III−1)の粘度は10mPa・secであった。
(注6)「Laponite RD」;商品名、ウイルバー・エリス株式会社、合成層状シリケート、有効成分100%
製造例17
攪拌混合容器に脱イオン水695部、ウレタン樹脂エマルション(A−1)300部、「Laponite RD」(注6)5部を添加し、攪拌混合して粘性調整剤成分(III−2)を得た。該粘性調整剤成分(III−2)の粘度は300mPa・secであった。
製造例18
攪拌混合容器に脱イオン水965部、硫酸バリウム30部、「Laponite RD」(注6)5部を添加し、攪拌混合して粘性調整剤成分(III−3)を得た。該粘性調整剤成分(III−3)の粘度は30mPa・secであった。
製造例19
攪拌混合容器に脱イオン水665部、硫酸バリウム30部、ウレタン樹脂エマルション(A−1)300部、「Laponite RD」(注6)5部を添加し、攪拌混合して粘性調整剤成分(III−4)を得た。該粘性調整剤成分(III−4)の粘度は350mPa・secであった。
製造例20
拌混合容器に脱イオン水665部、硫酸バリウム30部、ウレタン樹脂エマルション(A−1)300部、「Laponite RD」(注6)5部、「ユニオール D−2000」(商品名、日本油脂株式会社製、重量平均分子量が2000のポリプロピレングリコール)を10部を添加し、攪拌混合して粘性調整剤成分(III−5)を得た。該粘性調整剤成分(III−5)の粘度は340mPa・secであった。
≪水性ベースコート塗料組成物の製造≫
実施例1
上記製造例で得られた主剤(I−1)70部と粘性調整剤成分(II−1)30部を攪拌混合し、脱イオン水を添加し、固形分濃度18.5%の水性ベースコート塗料組成物(X−1)を得た。
実施例2〜13及び比較例1〜7
上記実施例1において、主剤、粘性調整剤成分の種類及び使用割合を表1に記載の通りとする以外は上記実施例1と同様にして固形分18.5%の水性ベースコート塗料組成物(X−2)〜(X−20)を得た。
比較例8
上記実施例12で得られた水性ベースコート塗料組成物(X−12)を1週間、25℃で貯蔵したものを水性ベースコート塗料組成物(X−21)とした。
Figure 2013227417
≪性能評価≫
実施例及び比較例で得られた各水性ベースコート塗料組成物を下記性能評価に供した。結果を表1に併せて示す。
(*)塗料組成物の粘度
上記で得られた各水性ベースコート塗料組成物を25℃にし、ブルックフィールド型粘度計を用いて、60rpmにて測定した。尚、測定は各水性ベースコート塗料組成物製造後5分後に行った。
(*)混合性
各主剤(I)、粘性調整剤成分(II)及び粘性調整剤成分(III)を手攪拌で1分攪拌混合した後の塗料状態を下記基準にて評価した。
◎:各成分が均一に混合されている、
×:各成分が均一に混合されておらず、部分的に不均一な点が認められる。
(*)耐タレ性
11×45cmの大きさの自動車車体用クリヤー塗料組成物が塗装された塗板の長尺側の端部から3cmの部分に、直径5mmのポンチ孔を、2cm間隔で21個一列状に設けたものを被塗物とし、これに各水性ベースコート塗料組成物を25℃、相対湿度40%の条件下で長尺方向に膜厚勾配をつけて塗装し、該塗装板をほぼ垂直に立てて、塗板の温度を60℃に保った状態となるように20分間強制乾燥して耐タレ性試験用の試験塗板を得た。得られた各試験塗板のポンチ孔下端部から2mmの塗膜のタレが観察される位置を調べ、該位置の膜厚(タレ限界膜厚(μm))を測定することにより、耐タレ性の評価を行なった。タレ限界膜厚が大きいほど耐タレ性は良好であることを示す。
◎:タレ限界膜厚が30μm以上、
〇:タレ限界膜厚が20μm以上で且つ30μm未満、
△:タレ限界膜厚が10μm以上で且つ20μm未満、
×;タレ限界膜厚が10μm未満。
(*)仕上がり外観(アルミ配向性)
自動車車体用クリヤー塗料が塗装された塗装板を、#800耐水ペーパーで研磨、脱脂し、被塗物とした。この被塗物を水平に置いて25℃、相対湿度40%の条件下で各水性ベースコート塗料組成物を均一になるようにスプレー塗装した。その直後に同じ水性ベースコート塗料組成物をスプレー塗装にて塗り重ね、次いでその直後に同じ水性ベースコート塗料組成物をスプレー塗装にて3回目の塗装を行い、また、その直後に同じ水性ベースコート塗料組成物をスプレー塗装にて4回目の塗装を行った。各塗装は25℃、相対湿度40%の条件で行い、塗装と塗装の間は開けることなく、エアーブローやセッティング、プレヒート工程を設けなかった。すなわちウェット・オン・ウェットの連続塗装を行った。4回目の塗装終了後、エアスプレーを用いて常温のエアーブローを10分行ってベース塗膜を乾燥させ乾燥膜厚が15μmのベースコート塗膜を得た。その後にトップクリヤー仕上げとして「レタンPGマルチクリヤーHX(Q)」(商品名、関西ペイント社製、水酸基含有アクリル樹脂を含むクリヤー塗料)100部に「レタンPGマルチクリヤースタンダード硬化剤」(商品名、関西ペイント社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型ポリイソシアネート硬化剤)50部を塗装直前に混合したトップクリヤー塗料を、ベースコート塗膜上に乾燥膜厚が40μmとなるようにエアスプレー塗装し、乾燥機を用いて塗板の温度を60℃に保った状態となるように20分間強制乾燥し、得られた塗膜面を目視で評価した。
◎:アルミ顔料が塗面に対して平行、且つ均一に配向し、メタリックムラの発生が全く見られない、
○:アルミ顔料が塗面に対して平行、且つ均一に配向しているものの、メタリックムラの発生がごくわずかに認められる、
△:アルミ顔料が塗面に対して平行、且つ均一に配向せず、メタリックムラの発生が多く認められる、
×:アルミ顔料が塗面に対して平行、且つ均一に配向せず、メタリックムラの発生が非常に多く認められた。
(*)隠ぺい性
上記仕上がり外観評価の試験において、被塗物を白黒隠蔽率試験紙とする以外は同様にして水性ベースコート塗料組成物の連続塗装を行い、ベースコート塗膜を得た。得られた塗板の下地の白黒の判別し難さによって隠ぺい性を評価した。
◎:隠ぺい性非常に良好、
〇:隠ぺい性良好、
△:隠ぺい性やや不良、
×:隠ぺい性不良。
(*)付着性
上記仕上がり外観評価で得られた各試験塗板に素地に達するようにカッターで切り込みを入れて、大きさ1mm×1mmのゴバン目を100個作り、その表面に粘着テープを貼着し、20℃においてそのテープを急激に剥離した後のゴバン目塗膜の残存数を調べた。
◎:100個残存、
○:99〜90個残存、
△:89から41個残存、
×:40個以下残存。
(*)耐水性
上記仕上がり外観評価で得られた各試験板を40℃の温水に10日間浸漬し、引き上げてから各塗膜表面を観察した。
◎:非常に良好、
○:良好、
△:フクレ、白化などの異常がわずかに認められる、
×:フクレ、白化などの異常が著しく認められる。

Claims (8)

  1. 水希釈性樹脂成分(A)、顔料(B)、ポリアクリル酸系粘性調整剤(C)及び水を含み、水希釈性樹脂成分(A)がその成分の一部として水希釈性ウレタン樹脂を成分(A)固形分中に固形分で40質量%以上含むものであり、ポリアクリル酸系粘性調整剤(C)の有効成分の量が水希釈性樹脂成分(A)の固形分に対して0.01〜5.0質量%の範囲内にある主剤成分(I)と、
    水希釈性樹脂成分(D)、ウレタン会合型粘性調整剤(E)及び水を含み、水希釈性樹脂成分(D)がその成分の一部として水希釈性アクリル樹脂(d1)を(D)成分固形分中に固形分で50質量%以上含む粘性調整剤成分(II)と、
    を組み合わせてなる多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物。
  2. 主剤成分(I)における水希釈性樹脂成分(A)が、水希釈性ウレタン樹脂に加えて水溶性アクリル樹脂およびアクリル樹脂エマルションをさらに含む請求項1に記載の多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物。
  3. 主剤成分(I)及び粘性調整剤成分(II)の質量比が、これら合計100質量部を基準として成分(I)が40〜95質量部、成分(II)が5〜60質量部の範囲内にある請求項1または2に記載の多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物。
  4. 主剤成分(I)及び粘性調整剤成分(II)に加えて粘性調整剤成分(III)をさらに組み合わせてなる多成分系であって、該粘性調整剤成分(III)が、無機系粘性調整剤(F)及び水を含むものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物。
  5. 粘性調整剤成分(III)が、水希釈性樹脂成分(G)をさらに含む請求項4に記載の多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物。
  6. 粘性調整剤成分(III)における水希釈性樹脂成分(G)が、その成分の一部として水希釈性ウレタン樹脂を含む請求項5に記載の多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物、
  7. 粘性調整剤成分(III)が、顔料をさらに含む請求項4ないし6のいずれか1項に記載の多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物。
  8. 主剤成分(I)、粘性調整剤成分(II)及び粘性調整剤成分(III)の質量比が、これら合計100質量部を基準として成分(I)が30〜80質量部、成分(II)が1〜40質量部、成分(III)が0.5〜50質量部の範囲内にある請求項4ないし7のいずれか1項に記載の多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物。
JP2012100035A 2012-04-25 2012-04-25 多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物 Active JP5979746B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012100035A JP5979746B2 (ja) 2012-04-25 2012-04-25 多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012100035A JP5979746B2 (ja) 2012-04-25 2012-04-25 多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013227417A true JP2013227417A (ja) 2013-11-07
JP5979746B2 JP5979746B2 (ja) 2016-08-31

Family

ID=49675407

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012100035A Active JP5979746B2 (ja) 2012-04-25 2012-04-25 多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5979746B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016186021A (ja) * 2015-03-27 2016-10-27 大日本塗料株式会社 水系エポキシ樹脂塗料組成物、塗装体及び塗装体の製造方法
JP2016188285A (ja) * 2015-03-30 2016-11-04 関西ペイント株式会社 水性メタリックベース塗料組成物
JP2018002900A (ja) * 2016-07-04 2018-01-11 関西ペイント株式会社 水性2液型クリヤ塗料組成物及びこれを用いた塗装体の補修塗装方法。
CN113502095A (zh) * 2021-06-01 2021-10-15 江门市邦美洁科技有限公司 一种水性基膜底漆、制备方法及应用

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09500819A (ja) * 1993-05-24 1997-01-28 関西ペイント株式会社 上塗り塗膜形成方法
JPH09504335A (ja) * 1994-04-30 1997-04-28 ヘルバーツ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング モジュラーシステムおよび水性コーティング組成物の製造法
JP2001316612A (ja) * 2000-04-28 2001-11-16 E I Du Pont De Nemours & Co 水性コーティング組成物の調製に用いるコーティング系
JP2005089613A (ja) * 2003-09-17 2005-04-07 Kansai Paint Co Ltd 水性塗料組成物及びそれを用いた塗装方法
JP2006070095A (ja) * 2004-08-31 2006-03-16 Kansai Paint Co Ltd 水性塗料組成物及びそれを用いた塗装方法
JP2007191686A (ja) * 2005-12-22 2007-08-02 Kansai Paint Co Ltd 水性塗料組成物
JP2009512736A (ja) * 2005-10-19 2009-03-26 関西ペイント株式会社 多液型水性塗料及びその塗装方法
WO2009100938A1 (de) * 2008-02-15 2009-08-20 Basf Coatings Ag Wässrige beschichtungszusammensetzung, verfahren zur herstellung und ihre verwendung
WO2013002121A1 (ja) * 2011-06-30 2013-01-03 関西ペイント株式会社 多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09500819A (ja) * 1993-05-24 1997-01-28 関西ペイント株式会社 上塗り塗膜形成方法
JPH09504335A (ja) * 1994-04-30 1997-04-28 ヘルバーツ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング モジュラーシステムおよび水性コーティング組成物の製造法
JP2001316612A (ja) * 2000-04-28 2001-11-16 E I Du Pont De Nemours & Co 水性コーティング組成物の調製に用いるコーティング系
JP2005089613A (ja) * 2003-09-17 2005-04-07 Kansai Paint Co Ltd 水性塗料組成物及びそれを用いた塗装方法
JP2006070095A (ja) * 2004-08-31 2006-03-16 Kansai Paint Co Ltd 水性塗料組成物及びそれを用いた塗装方法
JP2009512736A (ja) * 2005-10-19 2009-03-26 関西ペイント株式会社 多液型水性塗料及びその塗装方法
JP2007191686A (ja) * 2005-12-22 2007-08-02 Kansai Paint Co Ltd 水性塗料組成物
WO2009100938A1 (de) * 2008-02-15 2009-08-20 Basf Coatings Ag Wässrige beschichtungszusammensetzung, verfahren zur herstellung und ihre verwendung
WO2013002121A1 (ja) * 2011-06-30 2013-01-03 関西ペイント株式会社 多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016186021A (ja) * 2015-03-27 2016-10-27 大日本塗料株式会社 水系エポキシ樹脂塗料組成物、塗装体及び塗装体の製造方法
JP2016188285A (ja) * 2015-03-30 2016-11-04 関西ペイント株式会社 水性メタリックベース塗料組成物
JP2018002900A (ja) * 2016-07-04 2018-01-11 関西ペイント株式会社 水性2液型クリヤ塗料組成物及びこれを用いた塗装体の補修塗装方法。
CN113502095A (zh) * 2021-06-01 2021-10-15 江门市邦美洁科技有限公司 一种水性基膜底漆、制备方法及应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP5979746B2 (ja) 2016-08-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5865372B2 (ja) 多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物
JP6037506B2 (ja) 多成分系の水性塗料組成物
JP5290508B2 (ja) 水性塗料組成物
JP5635766B2 (ja) エマルション樹脂系塗料
AU776925B2 (en) Method of forming composite coating film
JP5294863B2 (ja) 水性塗料用樹脂組成物及び水性塗料組成物
JP5635778B2 (ja) エマルション樹脂系塗料
JPWO2002031010A1 (ja) 顔料分散用樹脂
JP5016817B2 (ja) 水性樹脂分散体の製造方法
EP3747553A1 (en) Method for forming multilayer coating film and multilayer coating film
JP6399548B2 (ja) 水性着色ベース塗料組成物及びそれを用いた補修塗装方法
JP2014125602A (ja) 多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物
JP6468544B2 (ja) 水性メタリックベース塗料組成物
JPWO2011099639A1 (ja) 水性着色塗料組成物
JP5979746B2 (ja) 多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物
JP5635799B2 (ja) エマルション樹脂系塗料
JP6497700B2 (ja) 水性着色ベース塗料組成物
JP5979745B2 (ja) 多成分系の水性着色ベースコート塗料組成物
JP5751657B2 (ja) 水性塗料組成物
JP5059288B2 (ja) 水性塗料組成物
JP4847680B2 (ja) 水性塗料、該水性塗料の製造方法及び塗装方法
JP6455853B2 (ja) 水性メタリックベース塗料組成物
JP2008074974A (ja) 硬化型水性樹脂組成物
JP2006117797A (ja) 水性下塗り塗料組成物
JP2007297491A (ja) 硬化型水性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150107

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151023

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151203

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160201

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160722

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160722

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5979746

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250