JP2013227413A - 顔料分散液、顔料分散液の製造方法、及びインク組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、保存性、吐出安定性、定着性、光沢性に優れた顔料分散液、顔料分散液の製造方法、及びインク組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の顔料分散液は、酸基を持つ水不溶性樹脂を溶解させて、顔料を含む混合液を得る溶解工程と、前記混合液に含まれる前記水不溶性樹脂の前記酸基の一部を塩基で中和する中和工程と、前記中和工程の後に、前記混合液を乳化して、前記顔料を前記水不溶性樹脂で水に分散させる分散工程と、前記分散工程の後に、前記顔料を分散させている前記水不溶性樹脂と前記顔料を含有した粒子の粒子径を制御する粒子径制御工程と、を含む顔料分散液の製造方法によって得られる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の顔料分散液は、酸基を持つ水不溶性樹脂を溶解させて、顔料を含む混合液を得る溶解工程と、前記混合液に含まれる前記水不溶性樹脂の前記酸基の一部を塩基で中和する中和工程と、前記中和工程の後に、前記混合液を乳化して、前記顔料を前記水不溶性樹脂で水に分散させる分散工程と、前記分散工程の後に、前記顔料を分散させている前記水不溶性樹脂と前記顔料を含有した粒子の粒子径を制御する粒子径制御工程と、を含む顔料分散液の製造方法によって得られる。
【選択図】図1
Description
本発明は、顔料分散液、顔料分散液の製造方法、及びインク組成物に関するものである。
従来、インクジェット記録用ヘッドのノズルから吐出させた微小なインク滴によって画像や文字を記録する、いわゆるインクジェット記録方法が知られている。このようなインクジェット記録方法に用いられるインクは、所望の色彩を備えた画像を得るために、着色剤(例えば、染料、顔料等)を含有する。特に、耐光性および耐ガス性等に優れるという観点から、上記の着色剤の中でも顔料が広く用いられている。
しかしながら、上記顔料はインク中で凝集や沈降等を生じやすいため、インクの保存安定性が低下する場合がある。また、インク中で顔料の凝集や沈降等が発生すると、得られる画像の発色濃度(OD値)が低下してしまい、色再現性に優れない場合がある。
このような問題に対して、例えば、特許文献1には、特定のパラメーターを満たすカーボンブラックを使用して、樹脂エマルジョンおよびカーボンブラックの粒子径の関係を規定することで、OD値の高い画像を記録できることが記載されている。また、特許文献2には、着色剤および樹脂を着色樹脂粒子として水中に分散させることで、保存性に優れたインクジェット記録用インクが得られることが記載されている。
しかしながら、上記のようなインクは、これに含まれる顔料の分散性が十分とはいえず、インクの保存中に顔料の凝集や沈降が発生して、保存安定性に優れない場合があった。また、インク中での顔料の凝集や沈降を十分に低減させることができず、記録される画像の発色濃度が低下する場合があった。
本発明に係る幾つかの態様は、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、保存安定性に優れ、発色濃度の高い画像を記録できる顔料分散液、顔料分散液の製造方法、及びインク組成物を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]顔料と、前記顔料を分散させる酸基を有する複数の水不溶性樹脂とを含む顔料分散液であって、前記水不溶性樹脂は前記酸基の一部が塩基によって中和されおり、自己分散性を有し、かつ、少なくとも複数の前記顔料を含有している着色樹脂微粒子を含む、顔料分散液。
[適用例2]前記水不溶性樹脂は、少なくともアクリル系樹脂、又はスチレン系樹脂である、上記適用例に記載の顔料分散液。
[適用例3]前記複数の水不溶性樹脂は、少なくとも、ガラス転移温度が40℃以上の水不溶性樹脂とガラス転移温度が10℃以下の水不溶性樹脂とを含む、上記適用例に記載の顔料分散液。
[適用例4]前記顔料の一次粒子径が10nm以上150nm未満であり、前記着色樹脂微粒子の平均粒子径(二次粒子径)が200nm以上1000nm未満である、上記適用例に記載の顔料分散液。
[適用例5]前記樹脂の酸価は、20以上250以下である、上記適用例に記載の顔料分散液。
[適用例6]前記水不溶性樹脂の中和率は、60%以下(但し0%は含まない)である、上記適用例に記載の顔料分散液。
[適用例7]前記水不溶性樹脂の重量平均分子量は、1000以上100000以下である、上記適用例に記載の顔料分散液。
[適用例8]酸基を持つ水不溶性樹脂を溶解させて、顔料を含む混合液を得る溶解工程と、前記混合液に含まれる前記水不溶性樹脂の前記酸基の一部を、塩基で中和する中和工程と、前記中和工程の後に、前記混合液を乳化して、前記顔料を前記水不溶性樹脂で水に分散させる分散工程と、前記分散工程の後に、前記顔料を分散させている前記水不溶性樹脂と前記顔料を含有した粒子の粒子径を制御する粒子径制御工程と、を含む、顔料分散液の製造方法。
[適用例9]上記適用例に記載の顔料分散液、又は製造方法によって製造された顔料分散液を含むインク組成物。
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。
《インクジェット用インク》
本実施形態の顔料分散液及びインクジェト用インクは、少なくとも水不溶性樹脂と着色剤とを含む着色樹脂微粒子と、当該着色樹脂微粒子を分散させる分散媒とを有するものである。
《インクジェット用インク》
本実施形態の顔料分散液及びインクジェト用インクは、少なくとも水不溶性樹脂と着色剤とを含む着色樹脂微粒子と、当該着色樹脂微粒子を分散させる分散媒とを有するものである。
<着色樹脂微粒子>
まず、着色樹脂微粒子について説明する。
このような着色樹脂微粒子は、樹脂と着色剤とを含む材料で構成されたものである。
本実施形態では、インクジェット用インク(以下、単にインクともいう)を構成する着色樹脂微粒子が、水系分散媒中に着色樹脂微粒子の構成成分である樹脂および着色剤と、有機溶剤とを含む分散質が分散した乳化液中において、分散質を合一することにより得られるものであることに特徴を有する。なお、インクジェット用インクとして、以下説明を行うが、インク化される前段階である顔料分散液についても同様の説明が適用される。
まず、着色樹脂微粒子について説明する。
このような着色樹脂微粒子は、樹脂と着色剤とを含む材料で構成されたものである。
本実施形態では、インクジェット用インク(以下、単にインクともいう)を構成する着色樹脂微粒子が、水系分散媒中に着色樹脂微粒子の構成成分である樹脂および着色剤と、有機溶剤とを含む分散質が分散した乳化液中において、分散質を合一することにより得られるものであることに特徴を有する。なお、インクジェット用インクとして、以下説明を行うが、インク化される前段階である顔料分散液についても同様の説明が適用される。
ところで、水性分散媒あるいは非極性分散媒中に顔料微粒子を分散してなるインクは、被転写紙の種類によらず、印字品質を均一なものとすることができるという特徴を有している。
ところが、このようなインクは、水性分散媒あるいは非極性分散媒中での顔料微粒子の分散安定性が悪く、顔料微粒子同士が凝集してしまい、インク吐出ヘッドのノズル部の目詰まりの原因になったり、インクの粘度変化により、安定した吐出ができなかったりするという問題があった。
また、顔料の代わりに、顔料と樹脂とで構成された着色樹脂微粒子を分散媒中に分散させてなるインクを用いる試みがある。しかしながら、このようなインク中の着色樹脂微粒子は、粒度分布が広く、粗大粒子や微小粒子が混在するものであった。このようなインクは、顔料を分散媒に分散しただけのインクに比べて分散安定性が向上するものの、十分なものではなく、また、インク吐出ヘッド部での目詰まりを起こし易く、吐出安定性が十分なものではなかった。
また、このようなインクを被転写紙に吐出させると、着色樹脂微粒子のうち、微小粒子が被転写紙内部に浸透してしまい、印字部が滲んだり、印字濃度が薄くなったりするといった不具合が生じ、安定した印字が困難であった。
ところが、このようなインクは、水性分散媒あるいは非極性分散媒中での顔料微粒子の分散安定性が悪く、顔料微粒子同士が凝集してしまい、インク吐出ヘッドのノズル部の目詰まりの原因になったり、インクの粘度変化により、安定した吐出ができなかったりするという問題があった。
また、顔料の代わりに、顔料と樹脂とで構成された着色樹脂微粒子を分散媒中に分散させてなるインクを用いる試みがある。しかしながら、このようなインク中の着色樹脂微粒子は、粒度分布が広く、粗大粒子や微小粒子が混在するものであった。このようなインクは、顔料を分散媒に分散しただけのインクに比べて分散安定性が向上するものの、十分なものではなく、また、インク吐出ヘッド部での目詰まりを起こし易く、吐出安定性が十分なものではなかった。
また、このようなインクを被転写紙に吐出させると、着色樹脂微粒子のうち、微小粒子が被転写紙内部に浸透してしまい、印字部が滲んだり、印字濃度が薄くなったりするといった不具合が生じ、安定した印字が困難であった。
これに対して、上述したような特徴を有する着色樹脂微粒子は、粗大粒子や微小粒子が混在しない、粒子径が均一なものとなる。これにより、インクの分散安定性は優れたものとなり、インク吐出ヘッド部での目詰まりが防止され、吐出安定性に優れるとともに、保存性に優れたインクとなる。
また、このような着色樹脂微粒子は十分に高い円形度を有するものである。このような着色樹脂微粒子が分散したインクでは、長期間保存した場合でも、着色樹脂微粒子同士の凝集が好適に抑制される。そのため、長期間に渡って優れた分散安定性を維持することができる。
また、このような着色樹脂微粒子は十分に高い円形度を有するものである。このような着色樹脂微粒子が分散したインクでは、長期間保存した場合でも、着色樹脂微粒子同士の凝集が好適に抑制される。そのため、長期間に渡って優れた分散安定性を維持することができる。
また、このように円形度が高い着色樹脂微粒子は、インク吐出ヘッドのノズル部をスムーズに通過することができる。このため、インク吐出ヘッド部での目詰まりが防止されるとともに、ヘッド部からインクを吐出する時に必要となる駆動エネルギーを低減させることができる。
さらに、このような着色樹脂微粒子は、構成する各粒子の組成を均一なものとすることができる。このように、粒子径が均一であり、各粒子間での組成(着色剤と樹脂との含有比率)も均一な着色樹脂微粒子が分散したインクを用いることにより、印字部の印字濃度を均一なものとすることができる。
さらに、このような着色樹脂微粒子は、構成する各粒子の組成を均一なものとすることができる。このように、粒子径が均一であり、各粒子間での組成(着色剤と樹脂との含有比率)も均一な着色樹脂微粒子が分散したインクを用いることにより、印字部の印字濃度を均一なものとすることができる。
また、現在、広く用いられている顔料インクに含まれる顔料の粒子径は、数十nm〜100nmほどのものであるが、後述するような製造方法を用いて製造される本実施形態のインク中に含まれる着色樹脂微粒子の粒子径は、サブミクロンから数十ミクロンほどのものとなる。
このように、本実施形態のインク中に含まれる着色樹脂微粒子は、比較的粒子径が大きく、均一な粒子径を有し、かつ、各粒子間での組成が均一であるという特徴を有する。このような着色樹脂微粒子が分散したインクは、保存性、吐出安定性に優れるとともに、被転写紙に吐出されたインク中の着色樹脂微粒子が、被転写紙内部に浸透するのが確実に抑制される。これにより、印字部が滲んだり、印字濃度が薄くなったりするといった不具合が防止され、印字部の解像度を優れたものとすることができる。
また、被転写紙に吐出するインク量を低減させても、印字濃度を高いものとすることができる。さらに、被転写紙として、材質、表面粗さ等が異なるものを用いても、被転写紙の種類に依存せず、印字品質を均一なものとすることができる。
着色樹脂微粒子を構成する樹脂は、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記樹脂としては、特にアクリル系の樹脂とスチレン系の樹脂が望ましく、それらの組合せや共重合体が好ましい。
上記樹脂としては、特にアクリル系の樹脂とスチレン系の樹脂が望ましく、それらの組合せや共重合体が好ましい。
また、本実施形態の着色樹脂微粒子は、一つの樹脂のみで使用するのではなく、複数の樹脂を用いることにより機能分離させているものである。例として、用いる樹脂のガラス転移点Tg(以下、「Tg」と記載する。)を異なるものとし、一つはTgを高くし、もう一方はTgを低くする。そうすることにより、Tgが高いことにより保存安定性が得られ、Tgが低いことにより定着性が得られる。
Tgが高い方に関して、室温以上が望ましく、種々の環境を考慮すると40℃以上が好ましい。Tgが低い方に関して、室温未満が望ましく、種々の環境を考慮すると30℃以下が好ましく、より好ましくは20℃以下である。
Tgが高い方に関して、室温以上が望ましく、種々の環境を考慮すると40℃以上が好ましい。Tgが低い方に関して、室温未満が望ましく、種々の環境を考慮すると30℃以下が好ましく、より好ましくは20℃以下である。
なお、複合粒子に2種以上の樹脂が含まれる場合、上記Tg(℃)は、下記連立方程式の解として求められるTgの値を採用することができる。
100/T=w1/T1+w2/T2+・・・
Tg=T−273
100/T=w1/T1+w2/T2+・・・
Tg=T−273
ただし、上記式中、樹脂を構成する各樹脂成分(第1の成分、第2の成分、・・・)のガラス転移温度を、それぞれ、絶対温度表示でT1[K]、T2[K]、・・・とし、樹脂構成する樹脂成分全体に占める各成分(第1の成分、第2の成分、・・・)の含有率を、それぞれ、w1[質量%]、w2[質量%]、・・・とする。
樹脂の酸価に関しては、酸価が高すぎると中和後に水に溶解してしまい、粘度上昇及び粒径制御が不可能になるといった現象が起こる。逆に酸価が低すぎると、中和後に水に溶解することはなくなるが、十分な親水性が得られず粗粉の発生や分散不良を起こしてしまう。これらを考慮すると、酸価は10〜150が望ましく、更には30〜100の間が好ましい。
また、これらの樹脂を用いた場合の中和率に関しては、中和後も水に不溶な状態を維持できることが必要である。そのため、樹脂の酸価のみならず、モノマー組成に起因する樹脂の親水性も考慮する必要がある。中和率の目安としては、10%〜80%が望ましく、更には15%〜70%が好ましい。中和率の解析手法としては、最初に仕込む酸基を有する重合性不飽和単量体を含む重合性不飽和単量体全量中の酸価に対して、塩基性化合物をどの程度加えたかということによって算出できる。
また、これらの重量平均分子量Mwについては、1000〜150000であるのが好ましく、1000〜100000であるのがより好ましい。上記条件を満足する樹脂は、顔料分散性が良好であり、尚且つインク中での着色樹脂微粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。これにより、保存性、吐出安定性に特に優れたインクとなる。
また、本実施形態で使用する樹脂は中和後の最終的な形態において、水に不溶な形態であることが好ましい。水に溶解すると、着色樹脂微粒子の粒径制御が不可能であり、水に溶解しているため粘度上昇の問題がある。なお、水不溶性とは、水中で粒子形態を保っている性質であり、部分的に溶解している部分があっても良い。水不溶性の例示としては、例えば25℃の水100gに対する溶解度が1g未満である樹脂をいう。
着色樹脂微粒子を構成する着色剤としては、例えば、顔料、染料等を使用することができる。
このような顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2,3,5,17,22,23,38,81,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,52:1,53:1,57:1,63:1,112,122,144,146,149,166,170,176,177,178,179,185,202,207,209,254,101,102,105,106,108,108:1、C.I.ピグメントグリーン7,36,15,17,18,19,26,50、C.I.ピグメントブルー1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,17:1,18,60,27,28,29,35,36,80、C.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14,17,55,73,74,81,83,93,94,95,97,108,109,110,129,138,139,150,151,153,154,168,184,185,34,35,35:1,37,37:1,42,43,53,157、C.I.ピグメントバイオレット1,3,19,23,50,14,16、C.I.ピグメントオレンジ5,13,16,36,43,20,20:1,104、C.I.ピグメントブラウン25,7,11,33等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、このような染料としては、例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、縮合多環芳香族カルボニル染料、インジゴイド染料、カルボニウム染料、フタロシアニン染料、メチン,ポリメチン染料等が挙げられる。染料の具体例としては、例えば、C.I.ソルベント カラー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
着色樹脂微粒子としては、上述したような顔料、染料を用いることができるが、顔料を用いた場合には、印字部の耐久性(耐光性、耐ガス性、耐水性)を優れたものとすることができ、印字部が色褪せるのを防止することができる。
また、インク中の着色樹脂微粒子として、上述したような染料を用いた場合には、染料を水性媒体中に溶解させた水性インクよりも、印字品質がより均一なインクとすることができる。また、水性インクは、被転写紙の種類によっては、染料が紙内部に浸透してしまい、滲みや、印字濃度が薄くなるといった問題点を有するものであるが、着色樹脂微粒子として染料を用いたインクは、印字品質の紙種依存性が少ないものとなる。
また、着色樹脂微粒子は、着色剤と樹脂とを含むものであって、後述するような製造方法を用いて得られるものである。この樹脂の組成および含有量を調整することにより、容易に、着色樹脂微粒子の比重を、後述する着色樹脂微粒子を分散させる分散媒の比重と等しくすることができる。これにより、保存性、吐出安定性に優れたインクとなる。また、被転写紙に吐出するインク液滴量のばらつきを小さくすることができ、均一な印字濃度であるとともに、高解像度の印字を行うことができる。
磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
また、着色樹脂微粒子の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩、ワックス等を用いてもよい。
上記に記載される着色樹脂微粒子に含まれる色材の粒子径(一次粒子径)は特に限定されないが、5nm〜300nmが好ましく、10nm〜150nmであるのがより好ましい。色材の粒子径が前記範囲内の値であると、樹脂中の顔料分散が良好であり、また良好な黒色度を得ることが可能である。なお、一次粒子径は、透過型電子顕微鏡、あるいは走査型電子顕微鏡を用いて測定され、測定装置としては、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM,JEOL,JEM‐2000EX)、電界放射走査型電子顕微鏡(FE‐SEM,Hitachi,S‐4700)などが挙げられる。
上記のような着色樹脂微粒子の体積基準の平均粒子径は、特に限定されないが、100nm〜2000nmであるのが好ましく、200nm〜1000nmであるのがより好ましい。着色樹脂微粒子の平均粒子径が前記範囲内の値であると、インクの分散安定性は特に優れたものとなり、保存性、吐出安定性に特に優れたインクとなる。また、被転写紙にインク液滴を吐出した際、着色樹脂微粒子が被転写紙内部に浸透するのがより確実に抑制される。これにより、印字部が滲んだり、印字濃度が薄くなったりするといった不具合をより確実に防止することができるとともに、印字部の解像度を優れたものとすることができる。さらに、被転写紙に吐出するインク量を低減させても、印字濃度を高いものとすることができる。また、被転写紙として、材質、表面粗さ等が異なるものを用いても、被転写紙の種類に依存せず、印字品質を均一なものとすることができる。
本実施形態において平均粒子径は、特に断らない限り、動的光散乱法を測定原理とする粒径分布測定装置によって測定された平均粒子径を意味する。このような粒径分布測定装置としては、例えば株式会社堀場製作所製の動的光散乱式粒径分布測定装置「LB−500」、日機装株式会社製の「マイクロトラックUPA」が挙げられる。
また、着色樹脂微粒子についての50%体積基準の平均粒子径をDv(50)[μm]、50%個数基準の平均粒子径をDn(50)[μm]としたとき、Dv(50)/Dn(50)の値は、1.00〜1.15であるのが好ましく、1.00〜1.10であるのがより好ましい。これにより、インクの分散安定性は特に優れたものとなり、保存性、吐出安定性に特に優れたインクとなる。また、上記条件を満足する着色樹脂微粒子が分散したインクを、被転写紙に吐出すると、被転写紙の表面に着色樹脂微粒子が保持される。このような着色樹脂微粒子は、優れたパッキング性を有し、印字部の耐久性(耐擦過性)が特に優れたものとなる。
なお、Dv(50)、Dn(50)の値は、例えば、コールター社製マルチサイザーII型(アパーチャーチューブ径:100μm)を用いた測定により求めることができる。
また、インク中における着色剤の含有率は、1〜15質量%であるのが好ましく、2〜10質量%であるのがより好ましい。着色剤の含有率が前記範囲内の値であると、インク吐出ヘッド部での目詰まりが防止され、吐出安定性が特に優れたインクとなる。
<分散媒>
次に、上述した着色樹脂微粒子を分散させる分散媒について説明する。
このような分散媒としては、特に限定されないが、水、各種アルコール等の極性液体、脂肪族炭化水素系液体、シリコーンオイル、脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸モノエステルなどの脂肪酸エステル等の非極性液体が挙げられ、これらのうち1種、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
次に、上述した着色樹脂微粒子を分散させる分散媒について説明する。
このような分散媒としては、特に限定されないが、水、各種アルコール等の極性液体、脂肪族炭化水素系液体、シリコーンオイル、脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸モノエステルなどの脂肪酸エステル等の非極性液体が挙げられ、これらのうち1種、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
この中でも、分散媒として脂肪族炭化水素系液体を用いた場合には、以下のような効果を得ることができる。すなわち、脂肪族炭化水素系液体は、化学的に安定であり、また吸湿の少ない液体である。このため、脂肪族炭化水素系液体を分散媒として用いたインクは、変性(劣化)するのが防止され、長期間に渡って一定の粘度を維持するものとなる。これにより、吐出安定性に優れるとともに、安定した印字品質を持続することができるインクとなる。また、脂肪族炭化水素系液体は、被転写紙に浸透しやすい性質を有する。したがって、インク吐出ヘッド部より被転写紙にこのようなインクを吐出すると、着色樹脂微粒子が被転写紙の表面に留まる一方で、脂肪族炭化水素系液体は、被転写紙へ速やかに浸透することができる。これにより、着色樹脂微粒子間に存在する脂肪族炭化水素系液体を少ないものとすることができ、印字部をより鮮明なものとすることができる。また、脂肪族炭化水素系液体は、上述したような着色樹脂微粒子との親和性が高い。したがって、インク中における着色樹脂微粒子の分散安定性は特に優れたものとなり、保存性、吐出安定性に特に優れたインクとなる。
また、インクを構成する分散媒の25℃における粘度は、特に限定されないが、2〜30mPa・sであるのが好ましく、3〜15mPa・sであるのがより好ましい。これにより、インクの分散安定性は特に優れたものとなる。
<分散剤>
また、インクジェット用インク中には、分散剤が含まれていてもよい。これにより、着色樹脂微粒子の分散媒中への分散性を向上させ、インクの分散安定性をより優れたものとすることができる。
分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の各種低分子、高分子分散剤が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、分散剤としては、カチオン性の官能基またはアニオン性官能基を有する高分子分散剤であることが好ましい。
また、インクジェット用インク中には、分散剤が含まれていてもよい。これにより、着色樹脂微粒子の分散媒中への分散性を向上させ、インクの分散安定性をより優れたものとすることができる。
分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の各種低分子、高分子分散剤が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、分散剤としては、カチオン性の官能基またはアニオン性官能基を有する高分子分散剤であることが好ましい。
このようなカチオン性またはアニオン性の高分子分散剤は、前述したような着色樹脂微粒子との親和性が高く、インク中での着色樹脂微粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。これにより、保存性、吐出安定性に特に優れたインクとなる。
また、このような高分子分散剤の重量平均分子量Mwは、10000〜100000であるのが好ましく、30000〜80000であるのがより好ましい。上記条件を満足する高分子分散剤は、前述したような着色樹脂微粒子との親和性が高く、インク中での着色樹脂微粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。これにより、保存性、吐出安定性に特に優れたインクとなる。
また、このような高分子分散剤は、前述したような分散媒に相溶するものであるのが好ましい。インク中にこのような高分子分散剤が含まれることにより、インクの粘度を下げることができるとともに、長期間に渡って一定の粘度を維持することができる。これにより、インクの分散安定性は特に優れたものとなり、保存性、吐出安定性に特に優れたインクとなる。
また、インクの25℃における粘度は、特に限定されないが、3〜40mPa・sであるのが好ましく、4〜30mPa・sであるのがより好ましい。これにより、インクの分散安定性は特に優れたものとなり、インク吐出ヘッド部での目詰まりがより確実に防止され、吐出安定性に特に優れたインクとなる。また、均一な大きさの液滴を安定的に吐出することができ、印字部の印字濃度をより均一なものとすることができる。
《インクジェット用インクの製造方法》
次に本実施形態のインクジェット用インクの製造方法について説明する。
本実施形態の着色樹脂微粒子の製造方法は、樹脂成分と有機溶剤とを含む材料で構成された分散質が水系分散媒に分散(乳化および/または懸濁)した分散液(乳化懸濁液)を調製する工程(乳化懸濁液(分散液)調製工程)と、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る工程(粒子径制御工程)と、合一粒子に含まれる有機溶剤を除去し、着色樹脂微粒子を得る工程(脱溶剤工程)と、着色樹脂微粒子を分散媒中に分散させる工程(分散工程)とを有する。これにより、粗大粒子や微小粒子が混在しない、平均粒子径が均一(粒度分布が単分散)な着色樹脂微粒子を得ることができる。
次に本実施形態のインクジェット用インクの製造方法について説明する。
本実施形態の着色樹脂微粒子の製造方法は、樹脂成分と有機溶剤とを含む材料で構成された分散質が水系分散媒に分散(乳化および/または懸濁)した分散液(乳化懸濁液)を調製する工程(乳化懸濁液(分散液)調製工程)と、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る工程(粒子径制御工程)と、合一粒子に含まれる有機溶剤を除去し、着色樹脂微粒子を得る工程(脱溶剤工程)と、着色樹脂微粒子を分散媒中に分散させる工程(分散工程)とを有する。これにより、粗大粒子や微小粒子が混在しない、平均粒子径が均一(粒度分布が単分散)な着色樹脂微粒子を得ることができる。
以下、本実施形態の着色樹脂微粒子の製造方法について詳細に説明する。
[乳化懸濁液調製工程(分散液調製工程)]
まず、乳化懸濁液調製工程について説明する。なお、乳化懸濁液調製工程は、溶解工程、中和工程、分散工程を含む工程である。
乳化懸濁液は、いかなる方法で調製してもよいが、例えば、樹脂と着色剤と有機溶剤(有機溶媒)とを含む液体である着色樹脂液を、水性媒体と混合することにより調製することができる(有機溶剤を用いて、樹脂を溶解させるのが溶解工程)。
着色樹脂液を構成する樹脂成分としては、前述した着色樹脂微粒子の構成材料としての樹脂を用いることができる。
また、着色剤としては、前述した着色樹脂微粒子の構成材料として例示したものを用いることができる。
[乳化懸濁液調製工程(分散液調製工程)]
まず、乳化懸濁液調製工程について説明する。なお、乳化懸濁液調製工程は、溶解工程、中和工程、分散工程を含む工程である。
乳化懸濁液は、いかなる方法で調製してもよいが、例えば、樹脂と着色剤と有機溶剤(有機溶媒)とを含む液体である着色樹脂液を、水性媒体と混合することにより調製することができる(有機溶剤を用いて、樹脂を溶解させるのが溶解工程)。
着色樹脂液を構成する樹脂成分としては、前述した着色樹脂微粒子の構成材料としての樹脂を用いることができる。
また、着色剤としては、前述した着色樹脂微粒子の構成材料として例示したものを用いることができる。
また、有機溶剤(有機溶媒)としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン系溶媒、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−メトキシエタノール、アリルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、2−メトキシエタノール等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ジデカン、メチルシクロヘキセン、イソプレン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、四塩化炭素等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、クロロ酢酸エチル、クロロ酢酸ブチル、クロロ酢酸イソブチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル等のエステル系溶媒、アクリロニトリル、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ系溶媒等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を混合したものを用いることができる。
有機溶剤としては、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、5〜45重量部であるのが好ましく、5〜40重量部であるのがより好ましい。
また、有機溶剤の沸点(常圧(1気圧)での沸点。以下、同様。)は、水の沸点よりも低いのが好ましい。これにより、有機溶剤の回収を効率良く行うことができる。
上記のような条件を満足する有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエチレン等が挙げられる。中でも、メチルエチルケトン、酢酸エチルは、樹脂成分の溶解性、分散性が高いため、好ましい。
また、有機溶剤の沸点(常圧(1気圧)での沸点。以下、同様。)は、水の沸点よりも低いのが好ましい。これにより、有機溶剤の回収を効率良く行うことができる。
上記のような条件を満足する有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエチレン等が挙げられる。中でも、メチルエチルケトン、酢酸エチルは、樹脂成分の溶解性、分散性が高いため、好ましい。
着色樹脂液は、例えば、樹脂成分と着色剤と有機溶剤と含む材料を、高速攪拌機等の攪拌機により混合することにより得ることができる。また、着色樹脂液は、例えば、樹脂成分と着色剤とを含む組成物を予め混練しておき、混練により得られた混練物と、有機溶剤とを混合することにより、調製してもよい。着色樹脂液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、T.K.ロボミクス/T.K.ホモデスパー2.5型翼(プライミクス社製)等が挙げられる。
攪拌機を用いた混合時における翼先端速度は、例えば、4〜30m/秒であるのが好ましく、10〜25m/秒であるのがより好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、樹脂成分の有機溶剤への溶解、分散を効率良く行うことができるとともに、着色剤の着色樹脂液中における着色剤の分散状態をより均一なものとすることができる。これに対し、翼先端速度が前記下限値未満であると、樹脂成分、着色剤、有機溶剤の組成等によっては、着色樹脂液中における着色剤の微分散が不十分になる可能性がある。一方、翼先端速度が前記上限値を超えると、有機溶剤の組成等によっては、剪断による発熱が大きくなり、有機溶剤の揮発等と相まって均一な攪拌が困難になる可能性がある。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。
得られる着色樹脂液中において、樹脂成分、着色剤は、有機溶剤に溶解または分散している。
得られる着色樹脂液中において、樹脂成分、着色剤は、有機溶剤に溶解または分散している。
着色樹脂液中における固形分の含有率は、特に限定されないが、40〜75質量%であるのが好ましく、50〜73質量%であるのがより好ましく、50〜70質量%であるのがさらに好ましい。固形分の含有率が前記範囲内の値であると、後述する乳化懸濁液を構成する分散質を、より球形度の高いもの(真球に近い形状もの)とすることができ、最終的に得られる着色樹脂微粒子の形状を、より確実に好適なものとすることができる。
また、着色樹脂液は、乳化剤(分散剤)を含むものであってもよい。これにより、後に詳述する乳化懸濁液中における分散質の分散性を、容易に、特に優れたものとすることができる。
乳化剤としては、一般に、分散剤、分散安定剤、界面活性剤として用いられているものを適用することができる。
本実施形態において、乳化剤として適用することのできる具体的な材料としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルや、各種プルロニック系等のノニオン系乳化剤、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン系乳化剤、第4級アンモニウム塩等のカチオン系乳化剤等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。
これにより、乳化懸濁液中における分散質の分散性を特に優れたものとしつつ、最終的な着色樹脂微粒子中に乳化剤が残存した場合であっても、着色樹脂微粒子の帯電特性に対して悪影響を及ぼすのを効果的に防止することができるとともに、TVOC(揮発性有機化合物)量が増大するのを効果的に防止することができる。
中でも、乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。
これにより、乳化懸濁液中における分散質の分散性を特に優れたものとしつつ、最終的な着色樹脂微粒子中に乳化剤が残存した場合であっても、着色樹脂微粒子の帯電特性に対して悪影響を及ぼすのを効果的に防止することができるとともに、TVOC(揮発性有機化合物)量が増大するのを効果的に防止することができる。
アルキルベンゼンスルホン酸塩が有するアルキル基としては、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノナニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられるが、ドデシル基が好ましい。
すなわち、アルキルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸塩であるのが好ましい。これにより、乳化懸濁液中における分散質の分散性をさらに優れたものとしつつ、最終的な着色樹脂微粒子中に乳化剤が残存した場合であっても、着色樹脂微粒子の帯電特性に対して悪影響を及ぼすのをより効果的に防止することができるとともに、TVOC(揮発性有機化合物)量が増大するのをより効果的に防止することができる。
すなわち、アルキルベンゼンスルホン酸塩は、ドデシルベンゼンスルホン酸塩であるのが好ましい。これにより、乳化懸濁液中における分散質の分散性をさらに優れたものとしつつ、最終的な着色樹脂微粒子中に乳化剤が残存した場合であっても、着色樹脂微粒子の帯電特性に対して悪影響を及ぼすのをより効果的に防止することができるとともに、TVOC(揮発性有機化合物)量が増大するのをより効果的に防止することができる。
使用する乳化剤の量は、固形分含有量に対し0.1〜3.0質量%であるのが好ましく、0.3〜2.0質量%であるのがより好ましく、0.3〜1.5質量%であるのがさらに好ましい。使用する乳化剤の量が前記下限値未満であると、粗大粒子発生に対する防止効果が十分に得られない可能性がある。一方、使用する乳化剤の量が前記上限値を超えると、後述する粒子径制御工程において、分散質の合一が十分に進行せず、所定粒子径より小さい微粒子が残存し、着色樹脂微粒子の収率が低下する可能性がある。
なお、着色樹脂液中には、樹脂成分、着色剤、有機溶剤以外の成分として、前述したようなワックス、帯電制御剤、磁性粉末等を含むものであってもよい。
また、着色樹脂液の調製においては、調製すべき着色樹脂液の構成成分をすべて同時に混合してもよいし、予め、調製すべき着色樹脂液の構成成分のうち一部を混合して混合物(マスター)を得、その後、当該混合物(マスター)を、他の成分と混合してもよい。例えば、着色剤と樹脂成分とを混合(混練)し、着色剤マスターを得た後、着色剤マスターと、樹脂成分(追加樹脂)と、有機溶剤とを、混合することにより、着色樹脂液を調製してもよい。これにより、各成分が均一に混ざり合った着色樹脂液を、より確実に得ることができる。
また、着色樹脂液の調製においては、調製すべき着色樹脂液の構成成分をすべて同時に混合してもよいし、予め、調製すべき着色樹脂液の構成成分のうち一部を混合して混合物(マスター)を得、その後、当該混合物(マスター)を、他の成分と混合してもよい。例えば、着色剤と樹脂成分とを混合(混練)し、着色剤マスターを得た後、着色剤マスターと、樹脂成分(追加樹脂)と、有機溶剤とを、混合することにより、着色樹脂液を調製してもよい。これにより、各成分が均一に混ざり合った着色樹脂液を、より確実に得ることができる。
上記のような着色樹脂液を、水性媒体と混合することにより乳化懸濁液を調製する。
水性媒体としては、主として水で構成されたものを用いることができる。
水性媒体中には、例えば、水との相溶性に優れる溶媒(例えば、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、50重量部以上である溶媒)を含むものであってもよい。
水性媒体としては、主として水で構成されたものを用いることができる。
水性媒体中には、例えば、水との相溶性に優れる溶媒(例えば、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、50重量部以上である溶媒)を含むものであってもよい。
また、水性媒体は、乳化剤(分散剤)を含むものであってもよい。
また、乳化懸濁液の調製に際して、例えば、中和剤を用いてもよい(中和工程)。これにより、例えば、樹脂が有する官能基(カルボキシル基)を中和することができ、調製される乳化懸濁液中における分散質の形状、大きさの均一性、分散質の分散性を特に優れたものとすることができる。また、中和剤を用いることにより、乳化剤の使用量を抑制することや、乳化剤等を用いなくても、分散質の分散性を十分に優れたものとすることができるため、乳化剤等を用いることによる不都合の発生を防止することができる。例えば、比較的多量の乳化剤等を用いた場合、乳化懸濁液の調製時において、比較的高い剪断力が必要となり、これにより、粗大粒子(粗大な分散質)の発生、分散質の粒度分布が広がる等の問題が発生し易いが、中和剤による中和を行うことにより、このような問題の発生を防止することができる。
また、乳化懸濁液の調製に際して、例えば、中和剤を用いてもよい(中和工程)。これにより、例えば、樹脂が有する官能基(カルボキシル基)を中和することができ、調製される乳化懸濁液中における分散質の形状、大きさの均一性、分散質の分散性を特に優れたものとすることができる。また、中和剤を用いることにより、乳化剤の使用量を抑制することや、乳化剤等を用いなくても、分散質の分散性を十分に優れたものとすることができるため、乳化剤等を用いることによる不都合の発生を防止することができる。例えば、比較的多量の乳化剤等を用いた場合、乳化懸濁液の調製時において、比較的高い剪断力が必要となり、これにより、粗大粒子(粗大な分散質)の発生、分散質の粒度分布が広がる等の問題が発生し易いが、中和剤による中和を行うことにより、このような問題の発生を防止することができる。
中和剤は、例えば、着色樹脂液に添加されるものであってもよいし、水性媒体に添加されるものであってもよい。
また、中和剤は、乳化懸濁液の調製において、複数回に分けて添加されるものであってもよい。例えば、前述したように調製された着色樹脂液に対して中和剤を添加した後に、当該着色樹脂液(中和剤が添加された着色樹脂液)と水性媒体とを混合し、さらにその後、混合液中に中和剤を添加してもよい。これにより、着色樹脂液と水性媒体との混合時における液体の粘度上昇を効果的に抑制しつつ、分散質が均一かつ微細に分散した乳化懸濁液を容易に得ることができる。
また、中和剤は、乳化懸濁液の調製において、複数回に分けて添加されるものであってもよい。例えば、前述したように調製された着色樹脂液に対して中和剤を添加した後に、当該着色樹脂液(中和剤が添加された着色樹脂液)と水性媒体とを混合し、さらにその後、混合液中に中和剤を添加してもよい。これにより、着色樹脂液と水性媒体との混合時における液体の粘度上昇を効果的に抑制しつつ、分散質が均一かつ微細に分散した乳化懸濁液を容易に得ることができる。
中和剤としては、塩基性化合物を用いることができ、より具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン等の有機塩基等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、中和剤は、上記のような化合物を含む水溶液であってもよい。
また、塩基性化合物の使用量は、樹脂が有する全カルボキシル基を中和するために必要な量の0.1〜1.5倍に相当する量(1〜3当量)が好ましく、0.1〜1倍に相当する量(1〜2当量)が好ましい。これにより、異形の分散質が形成されるのを効果的に防止することができ、また、後に詳述する粒子径制御工程において得られる粒子の粒度分布を、よりシャープなものとすることができる。
本工程で得られた乳化懸濁液において水を滴下した後の水(乳化のために使用した水、中和塩基等を加えた水の全量)と有機溶媒との比率は、体積比で、50:50〜80:20であるのが好ましく、60:40〜80:20であるのがより好ましい。これにより、調製される乳化懸濁液中における分散質の形状、大きさの均一性、分散質の分散性を特に優れたものとすることができる。
着色樹脂液と水性媒体との混合は、いかなる方法で行うものであってもよいが、攪拌機等により着色樹脂液に剪断を加えつつ、着色樹脂液中に水性媒体を徐々に添加(滴下)することにより行い、最終的に、水性媒体中に、着色樹脂液由来の分散質が分散した分散液を得るのが好ましい。これにより、例えば、分散質が均一かつ微細に分散した乳化懸濁液を、容易かつ確実に得ることができる(分散工程)。
乳化懸濁液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、T.K.ロボミクス/T.K.ホモデスパー2.5型翼(プライミクス社製)、スラッシャ(三井鉱山社製)、キャビトロン(ユーロテック社製)等の高速攪拌機、あるいは高速分散機等が挙げられる。
攪拌機を用いた混合時における翼先端速度は、例えば、4〜30m/秒であるのが好ましく、10〜25m/秒であるのがより好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、乳化懸濁液を効率良く得ることができるとともに、乳化懸濁液中における分散質の形状、大きさのばらつきを特に小さいものとすることができ、分散質の均一分散性を特に優れたものとすることができる。これに対し、翼先端速度が前記下限値未満であると、乳化懸濁液中における分散質の微分散を十分に達成することが困難になる可能性がある。一方、翼先端速度が前記上限値を超えると、攪拌時に、着色樹脂液と水性媒体との混合液の飛散が激しくなり、不溶解物が混在する可能性がある。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、20〜50℃であるのがより好ましい。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、20〜50℃であるのがより好ましい。
[粒子径制御工程]
次に、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る(粒子径制御工程)。分散質の合一は、通常、有機溶剤を含む分散質が衝突することにより、これらが融着して進行する。
次に、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る(粒子径制御工程)。分散質の合一は、通常、有機溶剤を含む分散質が衝突することにより、これらが融着して進行する。
複数個の分散質を合一させる方法は、特に限定されないが、分散液中に、電解質を添加する方法が好ましい。これにより、容易かつ確実に合一粒子を得ることができる。また、電解質の添加量を調節することにより、容易かつ確実に、合一粒子(着色樹脂微粒子)の粒子径を制御することができる。
電解質としては、例えば、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸ナトリウム等の塩や、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸等の酸性物質等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、1価のカチオンの硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム)、炭酸塩が好ましい。
電解質の添加は、複数回に分けて行ってもよい。これにより、容易かつ確実に、所望の大きさの着色樹脂微粒子(合一粒子)を得ることができるとともに、得られる着色樹脂微粒子(合一粒子)の円形度を確実に、十分に大きいものとすることができる。
本工程で添加される電解質の量は、特に限定されないが、電解質が添加される分散液の固形分100重量部に対し、0.1〜20重量部であるのが好ましく、0.2〜10重量部であるのがより好ましい。
また、電解質は、水溶液の状態で添加されるのが好ましい。これにより、速やかに分散液全体に、電解質を拡散させることができるとともに、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。
本工程で添加される電解質の量は、特に限定されないが、電解質が添加される分散液の固形分100重量部に対し、0.1〜20重量部であるのが好ましく、0.2〜10重量部であるのがより好ましい。
また、電解質は、水溶液の状態で添加されるのが好ましい。これにより、速やかに分散液全体に、電解質を拡散させることができるとともに、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。
また、本工程において、分散液として前述したようなカチオン性の官能基またはアニオン性の官能基を有する高分子分散剤が含まれていてもよい。分散質を合一させる際に、分散液に前述したような高分子分散剤が含まれていると、最終的に形成される着色樹脂微粒子の表面付近に高分子分散剤を偏在させることができる。これにより、インクの分散安定性がさらに優れたものとなり、保存性、吐出安定性に特に優れたインクとなる。また、最終的なインク組成物として、このような高分子分散剤をインクに含ませる場合、後述する分散工程で、分散媒とともに高分子分散剤を加えるよりも、上述した方法を用いて着色樹脂微粒子の表面付近に高分子分散剤を含ませた方が、インクの粘度を下げることができる。したがって、例えば、インク中の着色樹脂微粒子の含有量を増やしたい場合でも、インクの粘度を適度なものとすることができる。
また、このような高分子分散剤の重量平均分子量Mwは、10000〜100000であるのが好ましく、3000〜80000であるのがより好ましい。上記条件を満足する高分子分散剤は、分散液中の分散質により取り込まれやすくなる。これにより、得られる合一粒子の表面付近により確実に高分子分散剤を偏在させることができる。これにより、インクの分散安定性がさらに優れたものとなり、保存性、吐出安定性に特に優れたインクとなる。
本工程における処理温度は、特に限定されないが、10〜50℃であるのが好ましく、15〜40℃であるのがより好ましく、20〜35℃であるのがさらに好ましい。処理温度が前記下限値未満であると、合一の進行が遅くなり、着色樹脂微粒子の生産性が低下する場合がある。一方、処理温度が前記上限値を超えると、不本意な凝集物や粗大粒子が発生し易くなる。
本工程は、分散液を攪拌した状態で行うのが好ましい。これにより、粒子間での形状、大きさのばらつきが特に小さい合一粒子を得ることができる。
本工程では、例えば、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼、半月翼等の攪拌翼を用いることができるが、中でも、マックスブレンド翼、フルゾーン翼が好ましい。これにより、分散質を効率良く合一させつつ、一旦形成された合一粒子(着色樹脂微粒子)が崩壊するのをより確実に防止することができる。その結果、粒子間での形状、粒子径のばらつきの小さい合一粒子を効率良く得ることができる。
攪拌翼の翼先端速度は、例えば、0.1〜10m/秒であるのが好ましく、0.2〜8m/秒であるのがより好ましく、0.2〜6m/秒であるのがさらに好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、分散質をより効率良く合一させつつ、一旦形成された合一粒子が崩壊するのをさらに確実に防止することができる。その結果、粒子間での形状、粒子径のばらつきが特に小さい合一粒子を効率良く得ることができる。これに対し、翼先端速度が前記下限値未満であると、攪拌が不均一となり、必要以上に粗大化した粗大粒子が発生し易くなる。一方、翼先端速度が前記上限値を超えると、合一粒子の形成に寄与しない微粒子が残存し易くなる傾向がある。
合一粒子が所望の粒子径に達したら、合一を停止させる。これにより、所望の粒子径の合一粒子を確実に得ることができる。
合一を停止させる方法としては、例えば、攪拌速度を上げる方法、分散液(合一粒子が分散した分散液)の温度を低下させる方法、分散液中に水を添加する方法や、これらのうち2つ以上を組み合わせた方法等が挙げられる。中でも、合一を停止させる方法としては、分散液中に水を添加する方法を用いるのが好ましい。これにより、不本意な合一粒子の更なる合一や崩壊等を確実に防止しつつ、速やかに分散質の合一を停止させることができる。その結果、所望の粒子径を有し、粒度分布がシャープ(単分散)な着色樹脂微粒子を確実に得ることができる。なお、分散液中に水を添加することにより合一を停止させる場合、添加した水により分散質中に含まれる有機溶剤が抽出され、分散質粒子が硬くなる。その結果、合一が停止するとともに、合一粒子の崩壊が確実に防止されるものと考えられる。
合一を停止させる方法としては、例えば、攪拌速度を上げる方法、分散液(合一粒子が分散した分散液)の温度を低下させる方法、分散液中に水を添加する方法や、これらのうち2つ以上を組み合わせた方法等が挙げられる。中でも、合一を停止させる方法としては、分散液中に水を添加する方法を用いるのが好ましい。これにより、不本意な合一粒子の更なる合一や崩壊等を確実に防止しつつ、速やかに分散質の合一を停止させることができる。その結果、所望の粒子径を有し、粒度分布がシャープ(単分散)な着色樹脂微粒子を確実に得ることができる。なお、分散液中に水を添加することにより合一を停止させる場合、添加した水により分散質中に含まれる有機溶剤が抽出され、分散質粒子が硬くなる。その結果、合一が停止するとともに、合一粒子の崩壊が確実に防止されるものと考えられる。
分散液中に水を添加することにより合一を停止させる場合、添加する水は、分散液中に含まれる有機溶剤100重量部に対して、分散液中に含まれる水の総量が、400重量部以上となるように加えるのが好ましく、500重量部以上となるように加えるのがより好ましい。
また、分散液中に水を添加することにより合一を停止させる場合、水の添加後(合一の停止後)に、固形分の含有率が18〜25質量%となるように、水を加えるのが好ましい。これにより、着色樹脂微粒子製造時における有機溶剤、水の使用量を十分に抑制しつつ、大きさ、形状のばらつきの小さい好適な着色樹脂微粒子を製造することができる。
また、分散液中に水を添加することにより合一を停止させる場合、水の添加後(合一の停止後)に、固形分の含有率が18〜25質量%となるように、水を加えるのが好ましい。これにより、着色樹脂微粒子製造時における有機溶剤、水の使用量を十分に抑制しつつ、大きさ、形状のばらつきの小さい好適な着色樹脂微粒子を製造することができる。
[脱溶剤(脱溶媒)工程]
その後、分散液中に含まれる有機溶剤を除去する(脱溶剤工程)。これにより、着色樹脂微粒子が得られる。
有機溶剤の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、例えば、減圧により行うことができる。これにより、樹脂成分等の構成材料の変性等を十分に防止しつつ、効率良く有機溶剤を除去することができる。
また、本工程での処理温度は、被膜を構成する樹脂成分(最終的に得られる着色樹脂微粒子でのシェル領域を構成する樹脂成分)のガラス転移点(Tg)よりも低い温度であるのが好ましい。
また、本工程は、分散液に、消泡剤を添加した状態で行ってもよい。これにより、効率良く有機溶剤を除去することができる。
その後、分散液中に含まれる有機溶剤を除去する(脱溶剤工程)。これにより、着色樹脂微粒子が得られる。
有機溶剤の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、例えば、減圧により行うことができる。これにより、樹脂成分等の構成材料の変性等を十分に防止しつつ、効率良く有機溶剤を除去することができる。
また、本工程での処理温度は、被膜を構成する樹脂成分(最終的に得られる着色樹脂微粒子でのシェル領域を構成する樹脂成分)のガラス転移点(Tg)よりも低い温度であるのが好ましい。
また、本工程は、分散液に、消泡剤を添加した状態で行ってもよい。これにより、効率良く有機溶剤を除去することができる。
消泡剤としては、例えば、鉱物油系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、シリコーン系消泡剤のほか、低級アルコール類、高級アルコール類、油脂類、脂肪酸類、脂肪酸エステル類、リン酸エステル類等を用いることができる。
消泡剤の使用量は、特に限定されないが、分散液中に含まれる固形分に対して、重量比で、20〜300ppmであるのが好ましく、30〜100ppmであるのがより好ましい。
また、本工程においては、有機溶剤とともに、少なくとも一部の水系媒体が除去されてもよい。
また、本工程においては、有機溶剤とともに、分散液中に含まれる未反応原料(モノマー等)を除去することができる。その結果、最終的に得られる着色樹脂微粒子における、揮発性有機化合物(TVOC)量を特に少ないものとすることができる。
消泡剤の使用量は、特に限定されないが、分散液中に含まれる固形分に対して、重量比で、20〜300ppmであるのが好ましく、30〜100ppmであるのがより好ましい。
また、本工程においては、有機溶剤とともに、少なくとも一部の水系媒体が除去されてもよい。
また、本工程においては、有機溶剤とともに、分散液中に含まれる未反応原料(モノマー等)を除去することができる。その結果、最終的に得られる着色樹脂微粒子における、揮発性有機化合物(TVOC)量を特に少ないものとすることができる。
色樹脂微粒子の製造、インクジェット用インクの製造に先立ち、樹脂、および分散剤の合成を行った。さらに合成された樹脂を用いて、着色剤マスター、ミルベースの調製を行った。製造方法の工程に関しては図1の通りである。
なお、下記表中のMB−1K、OP−1K、OPN−1K、OPNP−1K等は各工程で作成された混合物に対して、説明のために付した名称である。
なお、下記表中のMB−1K、OP−1K、OPN−1K、OPNP−1K等は各工程で作成された混合物に対して、説明のために付した名称である。
(1)樹脂
樹脂は以下の表1にある樹脂を用いている。
樹脂は以下の表1にある樹脂を用いている。
(2)ベースMBの作製
<着色剤マスターMB‐1Kの調整>
カーボンブラック(Degussa製、S170):1000gと樹脂R1:1000gとをST/A0羽根をセットした20Lヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)へ投入し、回転速度:698rpmで2分間攪拌し混合物を得た。該混合物をオープンロール連続押し出し混練機(三井鉱山社製、ニーデックス、MOS140−800)を用いて、前面ロールの回転速度:75rpm、背面ロールの回転速度:60rpmで、入り口側クリアランス0.1mm、出口側クリアランス0.3mm、吐出量5.0−5.5kg/hに設定して溶融混練し、着色剤マスターMB‐1Kを得た。着色マスターMB‐1Kの組成は、重量比で着色剤:樹脂=50:50であった。また、得られた着色剤マスターMB‐1Kを、メチルエチルケトンを用いて希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に分散している様子が認められた。
<着色剤マスターMB‐1Kの調整>
カーボンブラック(Degussa製、S170):1000gと樹脂R1:1000gとをST/A0羽根をセットした20Lヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)へ投入し、回転速度:698rpmで2分間攪拌し混合物を得た。該混合物をオープンロール連続押し出し混練機(三井鉱山社製、ニーデックス、MOS140−800)を用いて、前面ロールの回転速度:75rpm、背面ロールの回転速度:60rpmで、入り口側クリアランス0.1mm、出口側クリアランス0.3mm、吐出量5.0−5.5kg/hに設定して溶融混練し、着色剤マスターMB‐1Kを得た。着色マスターMB‐1Kの組成は、重量比で着色剤:樹脂=50:50であった。また、得られた着色剤マスターMB‐1Kを、メチルエチルケトンを用いて希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子は認められず、均一に分散している様子が認められた。
<着色剤マスターMB‐2Kの調整>
樹脂R1の代わりに樹脂R2を用いた以外はMB‐1Kと同様にして、MB‐2Kを調整した。
樹脂R1の代わりに樹脂R2を用いた以外はMB‐1Kと同様にして、MB‐2Kを調整した。
<着色剤マスターMB‐3Kの調整>
樹脂R1の代わりに樹脂R1と樹脂R2の混合樹脂を用いた以外はMB‐1Kと同様にして、MB‐2Kを調整した。
樹脂R1の代わりに樹脂R1と樹脂R2の混合樹脂を用いた以外はMB‐1Kと同様にして、MB‐2Kを調整した。
<着色剤マスターMB‐4Kの調整>
樹脂R1の代わりに樹脂R3を用いた以外はMB‐1Kと同様にして、MB‐4Kを調整した。表2に作製した着色剤マスターを構成する材料の配合量を示す。表3には、用いた顔料の特性を示す。
樹脂R1の代わりに樹脂R3を用いた以外はMB‐1Kと同様にして、MB‐4Kを調整した。表2に作製した着色剤マスターを構成する材料の配合量を示す。表3には、用いた顔料の特性を示す。
(3)ミルベース(油相)の作製
<ミルベースOP‐1Kの調整>
ステンレス容器にメチルエチルケトン(MEK):100重量部、樹脂R1:15.0重量部、着色剤マスターMB‐1K:85.0重量部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオゲン(登録商標)SC−F:第一工業製薬株式会社):0.25重量部が蒸留水:3.25重量部に溶解した水溶液を仕込み、攪拌機(アサダ鉄工所製ディスパー、翼径230mm)の回転数777minで2時間攪拌し、各成分の溶解、分散を行った。さらに、その後固形分含有量が50重量%になるようにメチルエチルケトンを追加投入し、ミルベースMB‐1Kを得た。なお攪拌時における材料温度は20℃〜30℃に保持した。
<ミルベースOP‐1Kの調整>
ステンレス容器にメチルエチルケトン(MEK):100重量部、樹脂R1:15.0重量部、着色剤マスターMB‐1K:85.0重量部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオゲン(登録商標)SC−F:第一工業製薬株式会社):0.25重量部が蒸留水:3.25重量部に溶解した水溶液を仕込み、攪拌機(アサダ鉄工所製ディスパー、翼径230mm)の回転数777minで2時間攪拌し、各成分の溶解、分散を行った。さらに、その後固形分含有量が50重量%になるようにメチルエチルケトンを追加投入し、ミルベースMB‐1Kを得た。なお攪拌時における材料温度は20℃〜30℃に保持した。
<ミルベースOP‐2Kの調整>
表2に示された樹脂、着色剤マスターを用い、示された配合量にしたがって各ミルベースを調整した。
表2に示された樹脂、着色剤マスターを用い、示された配合量にしたがって各ミルベースを調整した。
<ミルベースOP‐3Kの調整>
表2に示された樹脂、着色剤マスターを用い、示された配合量にしたがって各ミルベースを調整した。
表2に示された樹脂、着色剤マスターを用い、示された配合量にしたがって各ミルベースを調整した。
<ミルベースOP‐4Kの調整>
表2に示された樹脂、着色剤マスターを用い、示された配合量にしたがって各ミルベースを調整した。
表2に示された樹脂、着色剤マスターを用い、示された配合量にしたがって各ミルベースを調整した。
表4に作製したミルベースを構成する材料の配合量を示す。なお、SAAは界面活性剤である。
(4)中和工程
<中和済みミルベースOPN‐1Kの作製>
上記工程で作製したミルベース(油相)において、中和剤によって中和を実施する。ステンレス容器にミルベースOP‐1Kを200重量部仕込み、攪拌機(浅田鉄工所製ディスパー、翼径230mm)をセットし、攪拌しながらベリスタポンプによって中和剤を添加していく。中和剤の量は、ミルベース(油相)中の全酸価対してどの程度の割合で中和するかということで実施していき、ここでは中和率30%で行う。
<中和済みミルベースOPN‐1Kの作製>
上記工程で作製したミルベース(油相)において、中和剤によって中和を実施する。ステンレス容器にミルベースOP‐1Kを200重量部仕込み、攪拌機(浅田鉄工所製ディスパー、翼径230mm)をセットし、攪拌しながらベリスタポンプによって中和剤を添加していく。中和剤の量は、ミルベース(油相)中の全酸価対してどの程度の割合で中和するかということで実施していき、ここでは中和率30%で行う。
<中和済みミルベースOPN‐2Kの作製>
ミルベースOP‐1Kの代わりにOP‐2Kを用いたこと以外はOPN‐1Kと同じ方法で中和する。この時の中和率は30%とする。
ミルベースOP‐1Kの代わりにOP‐2Kを用いたこと以外はOPN‐1Kと同じ方法で中和する。この時の中和率は30%とする。
<中和済みミルベースOPN‐3Kの作製>
ミルベースOP‐1Kの代わりにOP‐3Kを用いたこと以外はOPN‐1Kと同じ方法で中和する。この時の中和率は30%とする。
ミルベースOP‐1Kの代わりにOP‐3Kを用いたこと以外はOPN‐1Kと同じ方法で中和する。この時の中和率は30%とする。
<中和済みミルベースOPN‐4Kの作製>
ミルベースOP‐1Kの代わりにOP‐3Kを用いたこと以外はOPN‐1Kと同じ方法で中和する。この時の中和率は70%とする。
ミルベースOP‐1Kの代わりにOP‐3Kを用いたこと以外はOPN‐1Kと同じ方法で中和する。この時の中和率は70%とする。
<中和済みミルベースOPN‐5Kの作製>
ミルベースOP‐1Kの代わりにOP‐3Kを用いたこと以外はOPN‐1Kと同じ方法で中和する。但し、中和剤は水酸化ナトリウムからアンモニアへと変更する。この時の中和率は30%とする。
ミルベースOP‐1Kの代わりにOP‐3Kを用いたこと以外はOPN‐1Kと同じ方法で中和する。但し、中和剤は水酸化ナトリウムからアンモニアへと変更する。この時の中和率は30%とする。
<中和済みミルベースOPN‐5Kの作製>
ミルベースOP‐1Kの代わりにOP‐4Kを用いたこと以外はOPN‐1Kと同じ方法で中和する。この時の中和率は50%とする。
以上に記載した中和工程の結果をまとめた表を、表5に示す。
ミルベースOP‐1Kの代わりにOP‐4Kを用いたこと以外はOPN‐1Kと同じ方法で中和する。この時の中和率は50%とする。
以上に記載した中和工程の結果をまとめた表を、表5に示す。
(5)分散工程
<乳化液OPNP‐1Kの作製>
転相乳化は中和済みミルベースOPN‐1Kを上記中和工程に次いで、ディスパー回転数を上げ(777から1000)、200重量部の蒸留水を1.0重量部/minの速度で滴下した。この時の攪拌翼の翼先端速度は13.2m/secであった。蒸留水を添加していくにつれ、系の粘度は上昇していったが、蒸留水は滴下と同時に系内に取り込まれ、攪拌混合を均一に行うことができた。100重量部の蒸留水を滴下した段階で、系の粘度が急激に低下する転相点が観察された。この分散液を光学顕微鏡で観察すると、顔料微粒子が分散している状態が観察された。この分散液中において、分散性の悪い粗大粒子の存在は認められなかった。
<乳化液OPNP‐1Kの作製>
転相乳化は中和済みミルベースOPN‐1Kを上記中和工程に次いで、ディスパー回転数を上げ(777から1000)、200重量部の蒸留水を1.0重量部/minの速度で滴下した。この時の攪拌翼の翼先端速度は13.2m/secであった。蒸留水を添加していくにつれ、系の粘度は上昇していったが、蒸留水は滴下と同時に系内に取り込まれ、攪拌混合を均一に行うことができた。100重量部の蒸留水を滴下した段階で、系の粘度が急激に低下する転相点が観察された。この分散液を光学顕微鏡で観察すると、顔料微粒子が分散している状態が観察された。この分散液中において、分散性の悪い粗大粒子の存在は認められなかった。
<乳化液OPNP‐2Kの作製>
中和済みミルベースOPN‐1Kの代わりに中和済みミルベースOPN‐2Kを用いたこと以外はOPNP‐1Kと同じ方法で転相乳化を実施する。OPNP‐1K同様、この分散液を光学顕微鏡で観察すると顔料微粒子が分散している状態が観察され、粗大粒子の存在は認められなかった。
中和済みミルベースOPN‐1Kの代わりに中和済みミルベースOPN‐2Kを用いたこと以外はOPNP‐1Kと同じ方法で転相乳化を実施する。OPNP‐1K同様、この分散液を光学顕微鏡で観察すると顔料微粒子が分散している状態が観察され、粗大粒子の存在は認められなかった。
<乳化液OPNP‐3Kの作製>
中和済みミルベースOPN‐1Kの代わりに中和済みミルベースOPN‐3Kを用いたこと以外はOPNP‐1Kと同じ方法で転相乳化を実施する。OPNP‐1K同様、この分散液を光学顕微鏡で観察すると顔料微粒子が分散している状態が観察され、粗大粒子の存在は認められなかった。
中和済みミルベースOPN‐1Kの代わりに中和済みミルベースOPN‐3Kを用いたこと以外はOPNP‐1Kと同じ方法で転相乳化を実施する。OPNP‐1K同様、この分散液を光学顕微鏡で観察すると顔料微粒子が分散している状態が観察され、粗大粒子の存在は認められなかった。
<乳化液OPNP‐4Kの作製>
中和済みミルベースOPN‐1Kの代わりに中和済みミルベースOPN‐4Kを用いたこと以外はOPNP‐1Kと同じ方法で転相乳化を実施する。その結果、蒸留水を添加していくにつれ系の粘度は上昇するが、系の粘度が急激に低下する転相点が観察されなかった。これは中和率が高いため樹脂が水に溶解しており、そのため転相が上手くいかないためと考えられる。結果として、粘度が他の乳化液に比べ高い結果となったが、顔料微粒子は分散しており、粗大粒子の存在は認められなかった。
中和済みミルベースOPN‐1Kの代わりに中和済みミルベースOPN‐4Kを用いたこと以外はOPNP‐1Kと同じ方法で転相乳化を実施する。その結果、蒸留水を添加していくにつれ系の粘度は上昇するが、系の粘度が急激に低下する転相点が観察されなかった。これは中和率が高いため樹脂が水に溶解しており、そのため転相が上手くいかないためと考えられる。結果として、粘度が他の乳化液に比べ高い結果となったが、顔料微粒子は分散しており、粗大粒子の存在は認められなかった。
<乳化液OPNP‐5Kの作製>
中和済みミルベースOPN‐1Kの代わりに中和済みミルベースOPN‐5Kを用いたこと以外はOPNP‐1Kと同じ方法で転相乳化を実施する。OPNP‐1K同様、この分散液を光学顕微鏡で観察すると顔料微粒子が分散している状態が観察され、粗大粒子の存在は認められなかった。
中和済みミルベースOPN‐1Kの代わりに中和済みミルベースOPN‐5Kを用いたこと以外はOPNP‐1Kと同じ方法で転相乳化を実施する。OPNP‐1K同様、この分散液を光学顕微鏡で観察すると顔料微粒子が分散している状態が観察され、粗大粒子の存在は認められなかった。
<乳化液OPNP‐6Kの作製>
中和済みミルベースOPN‐1Kの代わりに中和済みミルベースOPN‐6Kを用いたこと以外はOPNP‐1Kと同じ方法で転相乳化を実施する。中和工程にて、酸価が0なため中和不可であったため、自然と転相乳化も上手くいかなかった。この分散液を光学顕微鏡で観察すると顔料や樹脂の粗大粒子が存在している様子が観察できた。
転層乳化工程をまとめた表を、表6として下記に示す。O/Wとは、有機溶剤等と水の比率を示している。
中和済みミルベースOPN‐1Kの代わりに中和済みミルベースOPN‐6Kを用いたこと以外はOPNP‐1Kと同じ方法で転相乳化を実施する。中和工程にて、酸価が0なため中和不可であったため、自然と転相乳化も上手くいかなかった。この分散液を光学顕微鏡で観察すると顔料や樹脂の粗大粒子が存在している様子が観察できた。
転層乳化工程をまとめた表を、表6として下記に示す。O/Wとは、有機溶剤等と水の比率を示している。
(6)粒子径制御工程
翼径340mmのマックスブレンド翼(登録商標)付属の円筒容器に、上記の乳化液を移送した後、攪拌速度を85minに保持したまま、温度を25℃に調整した。
その後回転数を120minに調整し、2.0重量%の硫酸ナトリウム水溶液:20重量部を1重量部/minで滴下し、滴下終了後、回転数85minで5min間、65minで5分間攪拌し、47minで20分間攪拌を継続した。このときの攪拌翼の翼先端速度は0.47m/secであった。
引き続き、回転数を120minに調整し、濃度5.0重量%の硫酸ナトリウム水溶液を1g/minで2.5重量部滴下し、滴下終了5分後、回転数85minで5分間、65minで5分間攪拌し、その後、47minで20分間攪拌した。
翼径340mmのマックスブレンド翼(登録商標)付属の円筒容器に、上記の乳化液を移送した後、攪拌速度を85minに保持したまま、温度を25℃に調整した。
その後回転数を120minに調整し、2.0重量%の硫酸ナトリウム水溶液:20重量部を1重量部/minで滴下し、滴下終了後、回転数85minで5min間、65minで5分間攪拌し、47minで20分間攪拌を継続した。このときの攪拌翼の翼先端速度は0.47m/secであった。
引き続き、回転数を120minに調整し、濃度5.0重量%の硫酸ナトリウム水溶液を1g/minで2.5重量部滴下し、滴下終了5分後、回転数85minで5分間、65minで5分間攪拌し、その後、47minで20分間攪拌した。
ここで、この分散液について観察を行った。その結果、分散質が複数個合一した合一粒子(着色樹脂微粒子)が多数確認された。加えて、樹脂を含む材料で構成された分散質中に、顔料微粒子は微分散した状態で取り込まれていた。また、このようにして得られた合一粒子の粒子径の測定を行い、250nmであった。
粒子径制御工程についてまとめた表を、下記の表7に示す。なお表7中の分散液4の「不可」とは、顔料が分散しているが合一化ができなかった事を示し、分散液6の「×」とは、顔料の良好な分散(分散粒径も無し)と合一化が共に出来なかった事を示している。
(7)脱溶剤工程
その後、シリコーン系消泡剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、BY22‐517):0.006重量部を添加し、反応に用いた容器を密閉し、真空ポンプを取り付けた。次に、室温(25℃)にて、真空ポンプを用いて真空度2.7kPaの減圧度で30分間減圧を行い、脱溶剤を行った。次に、圧力を下げながら、反応に用いた容器を90分間かけて加温していき、内部の材料温度を4℃/hrの速度で減圧容器内の温度が21℃になるまで昇温した。90分後、内部の材料温度が21℃になったら、同じ温度を維持しつつ、引き続き同じ圧力で減圧を行った。減圧にて蒸留した液体が、用いたメチルエチルケトンの138vol%になるまで減圧蒸留を行い合一粒子のスラリー(着色樹脂微粒子スラリー)を得た。このとき、最終的な減圧度は1.0kPaであった。
脱溶剤工程についてまとめた表を、下記の表8に示す。
その後、シリコーン系消泡剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、BY22‐517):0.006重量部を添加し、反応に用いた容器を密閉し、真空ポンプを取り付けた。次に、室温(25℃)にて、真空ポンプを用いて真空度2.7kPaの減圧度で30分間減圧を行い、脱溶剤を行った。次に、圧力を下げながら、反応に用いた容器を90分間かけて加温していき、内部の材料温度を4℃/hrの速度で減圧容器内の温度が21℃になるまで昇温した。90分後、内部の材料温度が21℃になったら、同じ温度を維持しつつ、引き続き同じ圧力で減圧を行った。減圧にて蒸留した液体が、用いたメチルエチルケトンの138vol%になるまで減圧蒸留を行い合一粒子のスラリー(着色樹脂微粒子スラリー)を得た。このとき、最終的な減圧度は1.0kPaであった。
脱溶剤工程についてまとめた表を、下記の表8に示す。
(8)インク組成物の調整
各顔料分散液を81部、グリセリンを7部、2‐ピロリドンを2部、オルフィン(登録商標)E1010を1部、トリエチレングリコールモノ‐n‐ブチルエーテルを2部、1,2‐ヘキサンジオールを2部、プロキセルXL‐2を0.2部、次いでPHが7.5になるようにトリエタノールアミンを加え、全量が100部になるように超純水を添加した。この混合液を室温にて2時間攪拌した後、ポリテトラフルオロエチレン製、孔径5μmのメンブレンフィルター(ミリポア社製)により濾過して、インク組成物を得た。
各顔料分散液を81部、グリセリンを7部、2‐ピロリドンを2部、オルフィン(登録商標)E1010を1部、トリエチレングリコールモノ‐n‐ブチルエーテルを2部、1,2‐ヘキサンジオールを2部、プロキセルXL‐2を0.2部、次いでPHが7.5になるようにトリエタノールアミンを加え、全量が100部になるように超純水を添加した。この混合液を室温にて2時間攪拌した後、ポリテトラフルオロエチレン製、孔径5μmのメンブレンフィルター(ミリポア社製)により濾過して、インク組成物を得た。
<試験例1>光学濃度値(OD値)の評価
調整した各インク組成物を、インクジェット記録装置PX‐V700(セイコーエプソン社製)に充填し、100%ベタ印刷を行った。記録媒体は、中性普通紙としてゼロックスP(以上、富士ゼロックス社製)を用い、印字物を得た。印刷後、各印字物を一般環境で1時間放置した後、グレタグ濃度計(グレタグマクベス社製)を用いてベタ部分のOD値を測定した。そして、以下の評価基準で光学濃度値を評価した。結果を表に示す。
A:OD値が1.35以上。
B:OD値が1.30以上1.35未満。
C:OD値が1.30未満。
調整した各インク組成物を、インクジェット記録装置PX‐V700(セイコーエプソン社製)に充填し、100%ベタ印刷を行った。記録媒体は、中性普通紙としてゼロックスP(以上、富士ゼロックス社製)を用い、印字物を得た。印刷後、各印字物を一般環境で1時間放置した後、グレタグ濃度計(グレタグマクベス社製)を用いてベタ部分のOD値を測定した。そして、以下の評価基準で光学濃度値を評価した。結果を表に示す。
A:OD値が1.35以上。
B:OD値が1.30以上1.35未満。
C:OD値が1.30未満。
<試験例2>定着性の評価
調整した各インク組成物を、インクジェット記録装置PX‐V700(セイコーエプソン社製)に充填し、ベタ及び文字の含まれるパターンを印刷した。得られた印字物を24時間自然乾燥させた後、ゼブラ社製のイエロー水性蛍光ペンZEBRA PEN2(登録商標)を用いて、印刷文字を筆圧300g/15mmで擦り、ペン先に付着した汚れの有無を目視で観察した。その結果を以下の基準に基づいて評価した。結果を表に示す。
○:同一部分を2回擦っても全く汚れが生じない。
△:1回の擦りまでは汚れが生じないが、2回の擦りでは汚れが生じる。
×:1回の擦りでは汚れが生じる。
調整した各インク組成物を、インクジェット記録装置PX‐V700(セイコーエプソン社製)に充填し、ベタ及び文字の含まれるパターンを印刷した。得られた印字物を24時間自然乾燥させた後、ゼブラ社製のイエロー水性蛍光ペンZEBRA PEN2(登録商標)を用いて、印刷文字を筆圧300g/15mmで擦り、ペン先に付着した汚れの有無を目視で観察した。その結果を以下の基準に基づいて評価した。結果を表に示す。
○:同一部分を2回擦っても全く汚れが生じない。
△:1回の擦りまでは汚れが生じないが、2回の擦りでは汚れが生じる。
×:1回の擦りでは汚れが生じる。
<試験例3>保存安定性評価
実験例1〜実験例6の各インクを温度60℃の環境下に1週間静置した。その後、各インクの状態を目視にて確認した。評価基準は次の通りである。また、評価結果を表9に示す。
○:インク中の複合粒子の凝集(沈降)が全く認められない。
△:インク中の複合粒子の凝集(沈降)が僅かに認められる。
×:インク中の複合粒子の凝集(沈降)がはっきりと認められる。
実験例1〜実験例6の各インクを温度60℃の環境下に1週間静置した。その後、各インクの状態を目視にて確認した。評価基準は次の通りである。また、評価結果を表9に示す。
○:インク中の複合粒子の凝集(沈降)が全く認められない。
△:インク中の複合粒子の凝集(沈降)が僅かに認められる。
×:インク中の複合粒子の凝集(沈降)がはっきりと認められる。
上述の3つの試験の結果を、下記表9に記載した。なお、一次粒子径については、日立ハイテクノロジーズ社製の「STEM(HD‐2000)」を用いて測定し、二次粒子径については、日機装株式会社製の「マイクロトラックUPA」を用いて測定した。
なお、粒子径、表面張力、ODに関しての「×」はインク化することができず、評価不可能という意味である。
なお、粒子径、表面張力、ODに関しての「×」はインク化することができず、評価不可能という意味である。
Claims (9)
- 顔料と、前記顔料を分散させる酸基を有する複数の水不溶性樹脂とを含む顔料分散液であって、
前記水不溶性樹脂は前記酸基の一部が塩基によって中和されており、自己分散性を有し、かつ、少なくとも複数の前記顔料を含有している着色樹脂微粒子を含む、顔料分散液。 - 前記水不溶性樹脂は、少なくともアクリル系樹脂、又はスチレン系樹脂である、請求項1に記載の顔料分散液。
- 前記複数の水不溶性樹脂は、少なくとも、ガラス転移温度が40℃以上の水不溶性樹脂とガラス転移温度が10℃以下の水不溶性樹脂とを含む、請求項1又は2に記載の顔料分散液。
- 前記顔料の一次粒子径が10nm以上150nm未満であり、前記着色樹脂微粒子の平均粒子径(二次粒子径)が200nm以上1000nm未満である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の顔料分散液。
- 前記水不溶性樹脂の酸価は、20以上250以下である、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の顔料分散液。
- 前記水不溶性樹脂の中和率は、60%以下(但し0%を含まない)である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の顔料分散液。
- 前記水不溶性樹脂の重量平均分子量は、1000以上100000以下である、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の顔料分散液。
- 酸基を持つ水不溶性樹脂を溶解させて、顔料を含む混合液を得る溶解工程と、
前記混合液に含まれる前記水不溶性樹脂の前記酸基の一部を、塩基で中和する中和工程と、
前記中和工程の後に、前記混合液を乳化して、前記顔料を前記水不溶性樹脂で水に分散させる分散工程と、
前記分散工程の後に、前記顔料を分散させている前記水不溶性樹脂と前記顔料を含有した粒子の粒子径を制御する粒子径制御工程と、を含む、顔料分散液の製造方法。 - 請求項1ないし7のいずれか一項に記載の顔料分散液、又は請求項8に記載の製造方法によって製造された顔料分散液を含むインク組成物。
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JP2016035051A (ja) * | 2014-08-04 | 2016-03-17 | ゼロックス コーポレイションXerox Corporation | 封入された二酸化チタン、蛍光顔料、および顔料を含むポリウレタン分散物 |
CN117720838A (zh) * | 2023-12-16 | 2024-03-19 | 广州市美帮祈富文仪有限公司 | 一种高分散性的绘画用丙烯颜料色浆及其制备方法 |
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2012
- 2012-04-25 JP JP2012099993A patent/JP2013227413A/ja active Pending
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