JP2013222503A - 正極活物質、正極、電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム - Google Patents

正極活物質、正極、電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム Download PDF

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Abstract

【課題】サイクル特性と負荷特性とを両立することができる正極活物質を提供する。
【解決手段】正極活物質は、リチウム(Li)およびマンガン(Mn)を含む、スピネル型の構造を有する複合酸化物の粒子を含んでいる。粒子は、複数の結晶面を有する多面体である。複数の結晶面は、{100}面、{110}面および{111}面を含んでいる。{100}面および{110}面を構成する辺の平均長さL1と、{111}面を構成する辺の平均長さL2との比率(L1/L2)は、0.5以上100以下である。正極活物質の比表面積は、0.4m2/g以下である。
【選択図】図1

Description

本技術は、正極活物質、正極、電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムに関する。詳しくは、一次粒子が凝集した二次粒子を含む正極活物質に関する。
近年、ノートブックコンピューター、携帯電話などのポータブル機器の多機能化および高性能化に伴い、機器の消費電力は高まっている。このため、その電源となる電池に対して、より一層の高容量が要求されるようになっている。また、経済性と機器の小型軽量化との観点から、高エネルギー密度の二次電池も強く要望されるようになっている。さらに、環境問題を背景に、低公害車として積極的な一般への普及が図られている電気自動車またはハイブリッド電気自動車に対する要望が高まっている。このような要求に対し、非水系二次電池特にリチウムイオン二次電池は、高出力、高エネルギー密度などの利点を有しているため、非常に注目されている。リチウムイオン二次電池用の正極活物質として、スピネル構造を有するLiMn24あるいはそのMnの一部を他元素で置換したものは、高エネルギー密度、高電圧を有する安価な材料として開発が進められている。
特許文献1には、一次粒子が8面体以外の形状を有するニッケルマンガン酸リチウム活物質を用いることで、デバイス化しやすい平坦な放電電圧を得る技術が記載されている。
特許文献2には、一次粒子の形状が(111)面と等価な結晶面同士が隣り合うことがない十二面以上の多面体形状であるマンガン酸リチウム活物質を用いることで、高温でのMn溶出抑制と負荷特性を両立する技術が記載されている。
特開2008−293997号公報
特開2010−192428号公報
近年では、スピネル構造を有するLiMn24あるいはそのMnの一部を他元素で置換した正極活物質において、サイクル特性と負荷特性とを両立することができる技術が望まれている。
したがって、本技術の目的は、サイクル特性と負荷特性とを両立することができる正極活物質、正極、電池、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システを提供することにある。
上述の課題を解決するために、第1の技術は、
リチウム(Li)およびマンガン(Mn)を含む、スピネル型の構造を有する複合酸化物の粒子を含み、
粒子は、複数の結晶面を有する多面体であり、
複数の結晶面は、{100}面、{110}面および{111}面を含み、
{100}面および{110}面を構成する辺の平均長さL1と、{111}面を構成する辺の平均長さL2との比率(L1/L2)は、0.5以上100以下であり、
比表面積は、0.4m2/g以下である正極活物質である。
第2の技術は、
リチウム(Li)およびマンガン(Mn)を含む、スピネル型の構造を有する複合酸化物の粒子を含む正極活物質を含有し、
粒子は、複数の結晶面を有する多面体であり、
複数の結晶面は、{100}面、{110}面および{111}面を含み、
{100}面および{110}面を構成する辺の平均長さL1と、{111}面を構成する辺の平均長さL2との比率(L1/L2)は、0.5以上100以下であり、
比表面積は、0.4m2/g以下である正極である。
第3の技術は、
正極と、負極と、電解質とを備え、
正極は、リチウム(Li)およびマンガン(Mn)を含む、スピネル型の構造を有する複合酸化物の粒子を含む正極活物質を含有し、
粒子は、複数の結晶面を有する多面体であり、
{100}面および{110}面を構成する辺の平均長さL1と、{111}面を構成する辺の平均長さL2との比率(L1/L2)は、0.5以上100以下であり、
比表面積は、0.4m2/g以下である電池である。
本技術の電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムは、第1の技術の正極活物質、第2の技術の正極、または第3の技術の電池を備えることを特徴とする。
本技術では、スピネル型の構造を有する複合酸化物の粒子は、複数の結晶面を有する多面体であり、それらの結晶面は{110}面および{100}面を含んでいる。多面体が結晶面(構成面)として{110}面を含むと、その面からリチウムイオンの拡散パスが露出する。これにより、放電時におけるリチウムイオンの粒子表面からの拡散が促進される。したがって、負荷特性を向上することができる。多面体が結晶面(構成面)として{100}面を含むと、その面からのマンガン(Mn)の溶出が抑制される。したがって、サイクル特性を向上することができる。
以上説明したように、本技術によれば、サイクル特性と負荷特性とを両立することができる。
図1は、本技術の第2の実施形態に係る非水電解質二次電池の一構成例を示す断面図である。 図2は、図1に示した巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。 図3は、本技術の第3の実施形態に係る非水電解質二次電池の一構成例を示す分解斜視図である。 図4は、図3に示した巻回電極体のIV−IV線に沿った断面図である。 図5は、本技術の第4の実施形態に係る電池パックの一構成例を示すブロック図である。 図6は、本技術の非水電解質二次電池を住宅用の蓄電システムに適用した例を示す概略図である。 図7は、本技術が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の一構成を示す概略図である。 図8は、実施例1〜4、比較例1〜4の非水電解質二次電池のサイクル特性の評価結果を示すグラフである。 図9A〜図9Dは、実施例1の正極活物質一次粒子のTEM解析例を示す図である。図9E、図9Fは、比較例2の正極活物質一次粒子のTEM解析例を示す図である。 図10A〜図10Bは、比較例2の正極活物質一次粒子のTEM解析例を示す図である。図10C〜図10Dは、比較例4の正極活物質一次粒子のTEM解析例を示す図である。 図11は、一次粒子の最大長さRmを説明するためのSEM像を示す図である。
本技術の実施形態について図面を参照しながら以下の順序で説明する。
1.第1の実施形態(正極活物質の例)
2.第2の実施形態(円筒型電池の例)
3.第3の実施形態(扁平型電池の例)
4.第4の実施形態(電池パックの例)
5.第5の実施形態(蓄電システムの例)
<1.第1の実施形態>
[正極活物質の構成]
正極活物質は、一次粒子が凝集した二次粒子を含み、その一次粒子は、リチウム(Li)とマンガン(Mn)と酸素(O)とを含む、スピネル型の構造を有する複合酸化物の粒子であり、必要に応じて、この複合酸化物に含まれるマンガン(Mn)の一部を他の遷移金属元素で置換してもよい。マンガン(Mn)の一部を他の遷移金属元素で置換したものは、5V級電池材料として好適である。
他の遷移金属元素としては、例えば、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)およびリチウム(Li)からなる群のうちの少なくとも1種を用いることができる。
上述のスピネル型の構造を有する複合酸化物は、以下の式(1)に示した平均組成を有していることが好ましい。
Li1+W(Mn2-X-YXY)O4-Z ・・・(1)
(式中、A(以下「第1の遷移金属A」と適宜称する。)は、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)およびチタン(Ti)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。B(以下「第2の遷移金属B」と適宜称する。)は、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)およびリチウム(Li)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。W、X、Y、Zは、−0.1≦W≦0.1、0≦X≦0.6、0≦Y≦0.3、−0.1≦Z≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、Wの値は完全放電状態における値を表している。)
但し、上述のスピネル型の構造を有する複合酸化物が第1の遷移金属Aを必須成分として含む場合には、Xは、0<X≦0.6の範囲内の値である。また、上述のスピネル型の構造を有する複合酸化物が第2の遷移金属Bを必須成分として含む場合には、Yは、0<Y≦0.3の範囲内の値である。
一次粒子の粒子形状は、平坦な複数の結晶面を備える多面体である。この多面体は、好ましくは8面を超える平坦な結晶面を有する多面体、より好ましくは8面を超え50面以下の平坦な結晶面を有する多面体である。一次粒子の粒子形状を、8面を超える結晶面を有する多面体とすることで、マンガン(Mn)やその他の置換元素が溶出しやすい{111}面の露出量を少なくすることができるので、サイクル特性を向上することができる。また、正極活物質の一次粒子の鋭角部を低減し、正極活物質の活性点を低減することができるので、サイクル特性を向上することができる。さらに、正極活物質の一次粒子の結晶面として複数種の結晶面を露出させることができるので、Mn溶出抑制面、Li拡散促進面および活性抑制面などの多機能性を正極活物質の一次粒子に付与することができる。
8面体を超える多面体としては、例えば、10面体、14面体、22面体、48面体などを挙げることができる。ここで、多面体には、正多面体以外の多面体も含むものとする。本明細書において、結晶学的に等価な面全体を中括弧“{ }”を付けて表し、例えば、{111}、{100}、{110}のように表す。
多面体を構成する複数の結晶面は、{100}面、{110}面および{111}面を含んでいる。多面体が結晶面(構成面)として{110}面を含むと、その面からリチウムの拡散パスが露出する。これにより、放電時におけるリチウムイオンの粒子表面からの拡散が促進される。したがって、負荷特性を向上することができる。多面体が結晶面(構成面)として{100}面を含むと、その面からのマンガン(Mn)やその他の置換元素の溶出が抑制される。したがって、サイクル特性を向上することができる。
多面体である一次粒子の{100}面および{110}面を構成する辺の平均長さL1と、{111}面を構成する辺の平均長さL2との比率(L1/L2)は、0.5以上100以下、より好ましくは0.8以上10以下、さらに好ましくは1以上5以下の範囲内である。比率(La/L2)が0.5以上であると、{100}面の拡散促進機能および{110}面の溶出抑制機能を十分に発現させることができる。したがって、負荷特性およびサイクル特性を向上させることができる。一方、比率(L1/L2)が100を超えると、正極活物質粒子の製造が困難となる傾向がある。
多面体である一次粒子の{100}面を構成する辺の平均長さLaと、{111}面を構成する辺の長さ平均L2との比率(La/L2)は、好ましくは0.5以上100以下、より好ましくは0.8以上10以下、さらに好ましくは1以上5以下の範囲内である。比率(La/L2)が0.5以上であると、{100}面の拡散促進機能を十分に発現させることができる。したがって、負荷特性を向上させることができる。一方、比率(La/L2)が100を超えると、{111}面の辺の平均長さL2とともに{110}面の辺の平均長さLbも小さくなり、溶出抑制機能を同時に有することができなくなる傾向がある。また、正極活物質粒子の製造が困難となる傾向がある。
多面体である一次粒子の{110}面を構成する辺の平均長さLbと、{111}面を構成する辺の長さ平均L2との比率(Lb/L2)は、は、好ましくは0.5以上100以下、より好ましくは0.8以上10以下、さらに好ましくは1以上5以下の範囲内である。比率(La/L2)が0.5以上であると、{110}面の溶出抑制機能を十分に発現させることができる。したがって、サイクル特性を向上させることができる。一方、比率(La/L2)が100を超えると、{111}面の辺の平均長さL2とともに{100}面を構成する辺の平均長さLaも小さくなり、Li拡散機能を同時に有することができなくなる傾向がある。また、正極活物質粒子の製造が困難となる傾向がある。
二次粒子の比表面積は、0.40m2/g以下、好ましくは0.05m2/g以上0.40m2/g以下、より好ましくは0.05m2/g以上0.25m2/g以下、さらに好ましくは0.10m2/g以上0.20m2/g以下の範囲内である。比表面積が0.05m2/g以上であると、負荷特性の低下を抑制することができる。一方、比表面積が0.40m2/g以下であると、正極活物質と電解液との反応を抑制し、サイクル特性を向上することができる。
二次粒子のメジアン径は、好ましくは10μm以上50μm以下、より好ましくは15μm以上40μm以下、さらに好ましくは15μm以上30μm以下の範囲内である。メジアン径が10μm以上であると、正極活物質と電解液との反応を抑制し、サイクル特性を向上することができる。一方、メジアン径が50μm以下であると、負荷特性の低下を抑制することができる。
一次粒子の平均個数Aは、好ましくは1個以上50個以下、より好ましくは3個以上40個以下、さらに好ましくは5個以上30個以下の範囲内である。ここで、一次粒子の平均個数Aとは、任意の一方向から1個の二次粒子を観察したときに、該二次粒子に含まれる最大長さ1μm以上の一次粒子の平均個数のことを示す。但し、最大長さとは、上述のように任意の一方向から1個の二次粒子を観察したときに、観察可能な範囲での一次粒子の最大の差し渡し長さを意味する。平均個数Aが50個以下であると、正極活物質と電解液との反応を抑制し、サイクル特性を向上することができる。
一次粒子の結晶面の平均面数Bは、好ましくは10面以上200面以下、より好ましくは10面以上50面以下、さらに好ましくは20面以上50面以下の範囲内である。ここで、一次粒子の結晶面の平均面数Bとは、任意の一方向から1個の二次粒子を観察したときに、該二次粒子の表面に含まれる結晶面の平均面数を示す。平均面数Bが10面以上であると、マンガン(Mn)やその他の置換元素が溶出しやすい{111}面の露出量を少なくすることができるので、サイクル特性を向上することができる。また、正極活物質の一次粒子の鋭角部を低減し、正極活物質の活性点を低減することができるので、サイクル特性を向上することができる。さらに、正極活物質の一次粒子の結晶面として複数種の結晶面を露出させることができるので、Mn溶出抑制面、Li拡散促進面および活性抑制面などの多機能性を正極活物質の一次粒子に付与することができる。一方、平均面数Bが200面以下であると、Li拡散性の良好な{110}面やMn溶出を期待できる{100}面の露出面積を十分確保することができる。
比率(B/A)(但し、A:任意の一方向から1個の二次粒子を観察したときに、該二次粒子に含まれる最大長さ1μm以上の一次粒子の平均個数、B:任意の一方向から1個の二次粒子を観察したときに、該二次粒子の表面に含まれる結晶面の平均面数である。ここで、最大長さとは、上述のように任意の一方向から1個の二次粒子を観察したときに、観察可能な範囲での一次粒子の最大の差し渡し長さを意味する。)は、2以上20以下、好ましくは2以上10以下、より好ましくは2以上4以下の範囲内である。比率(B/A)が2以上であると、多面体である一次粒子の結晶面を増加し、かつ、比表面積の増加を抑制することができる。したがって、マンガン(Mn)やその他の置換元素が溶出しやすい{111}面の露出量を少なくすることができ、かつ、正極活物質と電解液との反応を抑制することができる。すなわち、サイクル特性を向上することができる。一方、比率(B/A)が20以下であると、Li拡散性の良好な{110}面やMn溶出を期待できる{100}面の露出面積を十分確保することができる。
正極活物質の一次粒子または二次粒子の少なくとも一部に表面層をさらに設けるようにしてもよい。表面層は、酸化反応などを抑制するための反応抑制層として機能するものであり、例えば、リン酸リチウム(Li3PO4)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸リチウム(LTO)、フッ化アルミニウム(AlF3)、リン酸アルムニウム(AlPO4)、酸化アルミニウム(Al23)および酸化ジルコニウム(ZrO2)などからなる群より選ばれる1種以上を含んでいる。
[正極活物質の製造方法]
次に、上述の構成を有する正極活物質の製造方法について説明する。
(前駆体の作製工程)
まず、例えば、反応容器にアンモニア水を投入し、所定温度(例えば50℃)に保持しながら攪拌する。次に、下記3種の薬剤(以下「共沈添加液」と称する。)を反応容器のアンモニア水に添加し、炭酸塩を含む共沈粒子を作製する。この際、反応容器内のpH値は、好ましくは6以上10以下の範囲内に設定することが好ましい。pH値が6以上であると、各金属イオンを同時に沈殿させ、均一な組成の共沈粒子を効率的に得ることができる。pH値が10以下であると、2次粒子サイズが大きいため、比表面積の小さい共沈粒子を得ることができる。
以下に、本工程にて用いる3種の共沈添加液(1)〜(3)を示す。
(1)マンガン(Mn)を含む遷移金属塩(マンガン源)と、必要に応じてマンガン(Mn)以外の遷移金属元素とを含む遷移金属塩(マンガン以外の遷移金属源)とを含む溶液。
(2)アンモニア水
(3)炭酸塩(すなわち炭酸イオン)を含む溶液
マンガン(Mn)を含む遷移金属塩としては、例えば、遷移金属硫酸塩、遷移金属硝酸塩、遷移金属酢酸塩、遷移金属塩化物などが挙げられ、これらの遷移金属塩を単独または混合して用いてもよい。遷移金属塩としては、例えば、硫酸マンガン、硝酸マンガン、酢酸マンガンおよび塩化マンガンからなる群のうちの少なくとも1種を用いることができる。
マンガン(Mn)以外の遷移金属元素を含む遷移金属塩としては、例えば、遷移金属硫酸塩、遷移金属硝酸塩、遷移金属酢酸塩、遷移金属塩化物などが挙げられ、これらの遷移金属塩を単独または2種以上組み合わせて用いてもよい。マンガン(Mn)以外の遷移金属は、上述の正極活物質に含まれるマンガン(Mn)以外の遷移金属と同様であり、例えば、第1の遷移金属元素Aおよび第2の遷移金属元素Bの少なくとも一方の元素である。遷移金属硫酸塩としては、例えば、硫酸クロム、硫酸鉄、硫酸コバルト、硫酸ニッケル、硫酸銅、硫酸亜鉛、硫酸チタン、硫酸アルミニウム、硫酸ゲルマニウム、硫酸ガリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バナジウムおよび硫酸リチウムからなる群のうちの少なくとも1種を用いることができる。遷移金属硝酸塩としては、例えば、硝酸クロム、硝酸鉄、硝酸コバルト、硝酸ニッケル、硝酸銅、硝酸亜鉛、硝酸チタン、硝酸アルミニウム、硝酸ゲルマニウム、硝酸ガリウム、硝酸マグネシウム、硝酸バナジウムおよび硝酸リチウムからなる群のうちの少なくとも1種を用いることができる。遷移金属酢酸塩としては、例えば、酢酸クロム、酢酸鉄、酢酸コバルト、酢酸ニッケル、酢酸銅、酢酸亜鉛、酢酸チタン、酢酸アルミニウム、酢酸ゲルマニウム、酢酸ガリウム、酢酸マグネシウム、酢酸バナジウムおよび酢酸リチウムからなる群のうちの少なくとも1種を用いることができる。
溶液におけるマンガン:第1の遷移金属元素A:第2の遷移金属元素Bの原子比率を、例えば2−X−Y:X:Yとなるように調製することが好ましい。但し、X、Yは、0≦X≦0.6、0≦Y≦0.3の範囲内である。
炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられ、これらの炭酸塩を単独または2種以上組み合わせて用いてもよい。
上述のようにして作製した共沈粒子は、炭酸塩を主成分として含んでいる。炭酸塩としては、例えば、マンガン(Mn)と、必要に応じてマンガン(Mn)以外の遷移金属元素とを含む遷移金属炭酸塩を用いることができる。マンガン(Mn)以外の遷移金属は、上述の正極活物質に含まれるマンガン(Mn)以外の遷移金属と同様であり、例えば、第1の遷移金属元素Aおよび第2の遷移金属元素Bの少なくとも一方の元素である。
次に、例えばオーバーフローより共沈粒子を含む共沈反応液を回収する。次に、炭酸塩を主成分とする共沈粒子を層状化合物化する。具体的には、回収液を水洗後、水酸化物の溶液に共沈粒子を浸漬させた後、撹拌し、再度水洗し、濾過し、乾燥する。これにより、層状化合物としての前駆体粒子(前駆体粉末)が得られる。水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを用いることができる。前駆体粒子は、マンガン(Mn)と、必要に応じてマンガン(Mn)以外の遷移金属元素とを含む水酸化物を主成分として含んでいる。前駆体の一次粒子の平均長さは、0.01μm以上0.2μm以下であることが好ましい。前駆体の一次粒子の平均長さが0.01μm以上であると、二次粒子の大きい前駆体粒子が得られやすいため、活物質にした時の比表面積を小さくできる。一方、前駆体の一次粒子の平均長さが0.2μm以下であると、比表面積が高いため、リチウム化合物との反応性が高い上、焼結も促進できる。前駆体粒子の形状としては、球状が好ましい。球状であると、密度の高い前駆体粒子が得られやすく、それを用いて作製する活物質粒子も高密度化できる。
(活物質の作製工程)
次に、前駆体粒子とリチウム化合物(リチウム源)とを所定モル比になるように秤量し、ボールミルなどにより混合する。リチウム化合物としては、例えば炭酸リチウム(Li2CO3)を用いることができる。次に、混合物を大気中にて焼成し、冷却する。ここで、焼成温度は、好ましくは800℃以上1300℃以下の範囲内であり、例えば1000℃である。焼成温度が800℃以上であると、焼結が進行するので、所望の結晶面が得られる上、比表面積を低減化できる。一方、焼成温度が1300℃以下であると、過剰な焼結を防ぎ、所望の結晶面を得られやすい。焼成時間は、好ましくは2時間以上20時間以下の範囲内であり、例えば8時間である。焼成時間が2時間未満であると、焼結が不十分である。一方、焼成時間が20時間を超えると、生産性上好ましくない。
その後、再混合を行った後、再度大気中にて焼成を行う。ここで、焼成温度は、好ましくは600℃以上900℃以下の範囲内であり、例えば700℃である。焼成温度が600℃以上900℃以下であると、酸素欠陥が補填されたスピネル構造を有する活物質が得られる。焼成時間は、好ましくは2時間以上20時間以下の範囲内であり、例えば8時間である。焼成時間が2時間未満であると、酸素欠陥が多くなり、スピネル構造をとらない。一方、焼成時間が20時間を超えると、生産性上好ましくない。
以上により、目的とする正極活物質が得られる。
[効果]
第1の実施形態によれば、複合酸化物の粒子は複数の結晶面を有する多面体であり、複数の結晶面は{100}面および{110}面を含んでいるので、負荷特性とサイクル特性とを向上することができる。
正極活物質の一次粒子の粒子形状を、8面を超える結晶面を有する多面体とした場合には、マンガン(Mn)やその他の置換元素が溶出しやすい{111}面の露出量を少なくすることができる。したがって、サイクル特性を向上することができる。
一次粒子の粒子形状を8面体を超える多面体とし、かつ、一次粒子の二次凝集を少なくした場合には、正極活物質の比表面積を著しく小さくできる(例えば0.1m2/gまで低減可能)。このように正極活物質の比表面積を小さくすることで、電解液分解を抑制し、サイクル特性を向上できる。
一次粒子の粒子形状を8面を超える多面体とした場合には、一次粒子の鋭角部を低減し、正極活物質の活性点を低減することができる。したがって、電解液分解を抑制し、サイクル特性を向上することができる。
沈殿剤や錯化剤を投入せずに、マンガン(Mn)を含有する遷移金属塩と、炭酸塩とを含む溶液から、遷移金属の炭酸塩を共沈させることができる。したがって、炭酸塩析出時に沈殿剤や錯化剤などの添加剤を投入せずに前駆体粒子を作製することができる。
正極活物質中に結晶制御のための添加物が残存しないため、単位電極質量および単位電極体積あたりの容量を向上することができる。工程数の追加を招くことなく正極活物質を作製することができるので、生産コストの増加を抑制することができる。
炭酸塩を経由して正極活物質を作製することで、一次粒子の形状を制御しやすくなる。したがって、一次粒子の形状を8面を超える多面体(例えば十四面体)などとすることが容易となる。
(変形例)
正極活物質は、リチウム(Li)を吸蔵および放出することが可能な2種以上の正極活物質を含むものであってもよい。すなわち、上述のスピネル型の構造を有する複合酸化物とそれ以外の1種以上の正極活物質を含むものであってもよい。上述の複合酸化物以外の正極活物質としては、例えば、リチウム酸化物、リチウムリン酸化物、リチウム硫化物あるいはリチウムを含む層間化合物などのリチウム含有化合物が適当であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。エネルギー密度を高くするには、リチウムと遷移金属元素と酸素(O)とを含むリチウム含有化合物が好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、式(A)に示した層状岩塩型の構造を有するリチウム複合酸化物、式(B)に示したオリビン型の構造を有するリチウム複合リン酸塩などが挙げられる。リチウム含有化合物としては、遷移金属元素として、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)および鉄(Fe)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものであればより好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、式(C)、式(D)もしくは式(E)に示した層状岩塩型の構造を有するリチウム複合酸化物、式(F)に示したスピネル型の構造を有するリチウム複合酸化物、または式(G)に示したオリビン型の構造を有するリチウム複合リン酸塩などが挙げられ、具体的には、LiNi0.50Co0.20Mn0.302、LiaCoO2(a≒1)、LibNiO2(b≒1)、Lic1Nic2Co1-c22(c1≒1,0<c2<1)、LidMn24(d≒1)あるいはLieFePO4(e≒1)などがある。
LipNi(1-q-r)MnqM1r(2-y)z ・・・(A)
(但し、式(A)中、M1は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)を除く2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を示す。Xは、酸素(O)以外の16族元素および17族元素のうち少なくとも1種を示す。p、q、y、zは、0≦p≦1.5、0≦q≦1.0、0≦r≦1.0、−0.10≦y≦0.20、0≦z≦0.2の範囲内の値である。)
LiaM2bPO4 ・・・(B)
(但し、式(B)中、M2は、2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を示す。a、bは、0≦a≦2.0、0.5≦b≦2.0の範囲内の値である。)
LifMn(1-g-h)NigM3h(2-j)k ・・・(C)
(但し、式(C)中、M3は、コバルト(Co)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。f、g、h、jおよびkは、0.8≦f≦1.2、0<g<0.5、0≦h≦0.5、g+h<1、−0.1≦j≦0.2、0≦k≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、fの値は完全放電状態における値を表している。)
LimNi(1-n)M4n(2-p)q ・・・(D)
(但し、式(D)中、M4は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。m、n、pおよびqは、0.8≦m≦1.2、0.005≦n≦0.5、−0.1≦p≦0.2、0≦q≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、mの値は完全放電状態における値を表している。)
LirCo(1-s)M5s(2-t)u ・・・(E)
(但し、式(E)中、M5は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。r、s、tおよびuは、0.8≦r≦1.2、0≦s<0.5、−0.1≦t≦0.2、0≦u≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、rの値は完全放電状態における値を表している。)
LivMn2-wM6wxy ・・・(F)
(但し、式(F)中、M6は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。v、w、xおよびyは、0.9≦v≦1.1、0≦w≦0.6、3.7≦x≦4.1、0≦y≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、vの値は完全放電状態における値を表している。)
LizM7PO4 ・・・(G)
(但し、式(G)中、M7は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、タングステン(W)およびジルコニウム(Zr)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。zは、0.9≦z≦1.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、zの値は完全放電状態における値を表している。)
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極活物質としては、これらの他にも、MnO2、V25、V613、NiS、MoSなどのリチウムを含まない無機化合物も挙げられる。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料は、上記以外のものであってもよい。また、上記で例示した正極活物質は、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。
<2.第2の実施形態>
[電池の構成]
図1は、本技術の第2の実施形態に係る非水電解質二次電池の一構成例を示す断面図である。この非水電解質二次電池は、例えば5V級の高出力電位を有し、負極の容量が、電極反応物質であるリチウム(Li)の吸蔵および放出による容量成分により表されるいわゆるリチウムイオン二次電池である。この非水電解質二次電池はいわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、一対の帯状の正極21と帯状の負極22とがセパレータ23を介して積層し巻回された巻回電極体20を有している。電池缶11は、ニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、電解液が注入され、セパレータ23に含浸されている。また、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12、13がそれぞれ配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、封口ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられている。これにより、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。封口ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体20の中心には例えばセンターピン24が挿入されている。巻回電極体20の正極21にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード25が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード26が接続されている。正極リード25は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
図2は、図1に示した巻回電極体20の一部を拡大して表す断面図である。以下、図2を参照しながら、二次電池を構成する正極21、負極22、セパレータ23、および電解液について順次説明する。
(正極)
正極21は、例えば、正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、正極集電体21Aの片面のみに正極活物質層21Bを設けるようにしてもよい。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム箔などの金属箔により構成されている。正極活物質層21Bは、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な1種または2種以上の正極活物質を含んでおり、必要に応じてグラファイトなどの導電剤およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んで構成されている。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極活物質としては、上述の第1の実施形態およびその変形例で説明したものを用いる。
(負極)
負極22は、例えば、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、負極集電体22Aの片面のみに負極活物質層22Bを設けるようにしてもよい。負極集電体22Aは、例えば、銅箔などの金属箔により構成されている。
負極活物質層22Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んで構成されており、必要に応じて正極活物質層21Bと同様の結着剤を含んで構成されている。
なお、この二次電池では、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の電気化学当量が、正極21の電気化学当量よりも大きくなっており、充電の途中において負極22にリチウム金属が析出しないようになっている。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維あるいは活性炭などの炭素材料が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどがある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素または易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。また、高分子材料としてはポリアセチレンあるいはポリピロールなどがある。これら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができるとともに、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができ好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れた特性が得られるので好ましい。さらにまた、充放電電位が低いもの、具体的には充放電電位がリチウム金属に近いものが、電池の高エネルギー密度化を容易に実現することができるので好ましい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、リチウムを吸蔵および放出することが可能であり、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料も挙げられる。このような材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるからである。特に、炭素材料とともに用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができるとともに、優れたサイクル特性を得ることができるのでより好ましい。この負極材料は金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本技術において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
この負極材料を構成する金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)が挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
中でも、この負極材料としては、短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、特に好ましいのはケイ素(Si)およびスズ(Sn)の少なくとも一方を構成元素として含むものである。ケイ素(Si)およびスズ(Sn)は、リチウム(Li)を吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
スズ(Sn)の合金としては、例えば、スズ(Sn)以外の第2の構成元素として、ケイ素(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。ケイ素(Si)の合金としては、例えば、ケイ素(Si)以外の第2の構成元素として、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズ(Sn)の化合物あるいはケイ素(Si)の化合物としては、例えば、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、スズ(Sn)またはケイ素(Si)に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
中でも、この負極材料としては、コバルト(Co)と、スズ(Sn)と、炭素(C)とを構成元素として含み、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下であり、かつスズ(Sn)とコバルト(Co)との合計に対するコバルト(Co)の割合が30質量%以上70質量%以下であるSnCoC含有材料が好ましい。このような組成範囲において高いエネルギー密度を得ることができるとともに、優れたサイクル特性を得ることができるからである。
このSnCoC含有材料は、必要に応じてさらに他の構成元素を含んでいてもよい。他の構成元素としては、例えば、ケイ素(Si)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、インジウム(In)、ニオブ(Nb)、ゲルマニウム(Ge)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、リン(P)、ガリウム(Ga)またはビスマス(Bi)が好ましく、2種以上を含んでいてもよい。容量またはサイクル特性をさらに向上させることができるからである。
なお、このSnCoC含有材料は、スズ(Sn)と、コバルト(Co)と、炭素(C)とを含む相を有しており、この相は結晶性の低いまたは非晶質な構造を有していることが好ましい。また、このSnCoC含有材料では、構成元素である炭素(C)の少なくとも一部が、他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合していることが好ましい。サイクル特性の低下はスズ(Sn)等が凝集あるいは結晶化することによるものであると考えられるが、炭素(C)が他の元素と結合することにより、そのような凝集あるいは結晶化を抑制することができるからである。
さらに、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、他の金属化合物または高分子材料が挙げられる。他の金属化合物としては、チタン酸リチウム(Li4Ti512)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化バナジウム(V25、V613)などの酸化物、硫化ニッケル(NiS)、硫化モリブデン(MoS2)などの硫化物、または窒化リチウム(Li3N)などのリチウム窒化物が挙げられ、高分子材料としてはポリアセチレン、ポリアニリンまたはポリピロールなどが挙げられる。
(セパレータ)
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータ23としては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどの合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の多孔質膜を単層で、またはそれらを複数積層したもの用いることができる。特に、セパレータ23としては、ポリオレフィン製の多孔質膜が好ましい。ショート防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による電池の安全性向上を図ることができるからである。また、セパレータ23としては、ポリオレフィンなどの微多孔膜上に、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの多孔性の樹脂層を形成したものを用いてもよい。
(電解液)
セパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩とを含んでいる。
溶媒としては、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの環状の炭酸エステルを用いることができ、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンのうちの一方、特に両方を混合して用いることが好ましい。サイクル特性を向上させることができるからである。
溶媒としては、また、これらの環状の炭酸エステルに加えて、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸メチルプロピルなどの鎖状の炭酸エステルを混合して用いることが好ましい。高いイオン伝導性を得ることができるからである。
溶媒としては、さらにまた、2,4−ジフルオロアニソールあるいは炭酸ビニレンを含むこと好ましい。2,4−ジフルオロアニソールは放電容量を向上させることができ、また、炭酸ビニレンはサイクル特性を向上させることができるからである。よって、これらを混合して用いれば、放電容量およびサイクル特性を向上させることができるので好ましい。
これらの他にも、溶媒としては、炭酸ブチレン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピロニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシドあるいはリン酸トリメチルなどが挙げられる。
なお、これらの非水溶媒の少なくとも一部の水素をフッ素で置換した化合物は、組み合わせる電極の種類によっては、電極反応の可逆性を向上させることができる場合があるので、好ましい場合もある。
電解質塩としては、例えばリチウム塩が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiB(C654、LiCH3SO3、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32、LiC(SO2CF33、LiAlCl4、LiSiF6、LiCl、ジフルオロ[オキソラト−O,O']ホウ酸リチウム、リチウムビスオキサレートボレート、あるいはLiBrなどが挙げられる。中でも、LiPF6は高いイオン伝導性を得ることができるとともに、サイクル特性を向上させることができるので好ましい。
[電池の製造方法]
次に、本技術の第2の実施形態に係る非水電解質二次電池の製造方法の一例について説明する。
まず、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーを作製する。次に、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機などにより圧縮成型することにより正極活物質層21Bを形成し、正極21を形成する。
また、例えば、負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーを作製する。次に、この負極合剤スラリーを負極集電体22Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機などにより圧縮成型することにより負極活物質層22Bを形成し、負極22を作製する。
次に、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けるとともに、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。次に、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回する。次に、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接するとともに、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12、13で挟み電池缶11の内部に収納する。次に、正極21および負極22を電池缶11の内部に収納したのち、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。次に、電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16を封口ガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図1に示した二次電池が得られる。
この第2の実施形態に係る非水電解質二次電池では、正極21が上述の第1の実施形態に係る正極活物質を含んでいるので、サイクル特性を向上することができる。
<3.第3の実施形態>
[電池の構成]
図3は、本技術の第3の実施形態に係る非水電解質二次電池の一構成例を示す分解斜視図である。この二次電池は、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものであり、小型化、軽量化および薄型化が可能となっている。
正極リード31および負極リード32は、それぞれ、外装部材40の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。正極リード31および負極リード32は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム、アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルム側と巻回電極体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
なお、外装部材40は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム、ポリプロピレンなどの高分子フィルムまたは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
図4は、図3に示した巻回電極体30のIV−IV線に沿った断面図である。巻回電極体30は、正極33と負極34とをセパレータ35および電解質層36を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ37により保護されている。
正極33は、正極集電体33Aの片面あるいは両面に正極活物質層33Bが設けられた構造を有している。負極34は、負極集電体34Aの片面あるいは両面に負極活物質層34Bが設けられた構造を有しており、負極活物質層34Bと正極活物質層33Bとが対向するように配置されている。正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34A、負極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、それぞれ第2の実施形態における正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22A、負極活物質層22Bおよびセパレータ23と同様である。
電解質層36は、電解液と、この電解液を保持する保持体となる高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状となっている。ゲル状の電解質層36は高いイオン伝導率を得ることができるとともに、電池の漏液を防止することができるので好ましい。電解液の組成は、第2の実施形態に係る二次電池と同様である。高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンまたはポリカーボネートが挙げられる。特に電気化学的な安定性の点からはポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンあるいはポリエチレンオキサイドが好ましい。
[電池の製造方法]
次に、本技術の第3の実施形態に係る非水電解質二次電池の製造方法の一例について説明する。
まず、正極33および負極34のそれぞれに、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶剤を揮発させて電解質層36を形成する。次に、正極集電体33Aの端部に正極リード31を溶接により取り付けるとともに、負極集電体34Aの端部に負極リード32を溶接により取り付ける。次に、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ37を接着して巻回電極体30を形成する。最後に、例えば、外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込み、外装部材40の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間には密着フィルム41を挿入する。これにより、図3および図4に示した二次電池が得られる。
また、この二次電池は、次のようにして作製してもよい。まず、上述のようにして正極33および負極34を作製し、正極33および負極34に正極リード31および負極リード32を取り付ける。次に、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して、巻回電極体30の前駆体である巻回体を形成する。次に、この巻回体を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材40の内部に収納する。次に、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を用意し、外装部材40の内部に注入する。
次に、電解質用組成物を外装部材40内に注入したのち、外装部材40の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。次に、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層36を形成する。以上により、図3に示した二次電池が得られる。
この第3の実施形態に係る非水電解質二次電池の作用および効果は、第2の実施形態に係る非水電解質二次電池と同様である。
<4.第4の実施形態>
(電池パックの例)
図5は、本技術の非水電解質二次電池(以下、二次電池と適宜称する)を電池パックに適用した場合の回路構成例を示すブロック図である。電池パックは、組電池301、外装、充電制御スイッチ302aと、放電制御スイッチ303a、を備えるスイッチ部304、電流検出抵抗307、温度検出素子308、制御部310を備えている。
また、電池パックは、正極端子321および負極端子322を備え、充電時には正極端子321および負極端子322がそれぞれ充電器の正極端子、負極端子に接続され、充電が行われる。また、電子機器使用時には、正極端子321および負極端子322がそれぞれ電子機器の正極端子、負極端子に接続され、放電が行われる。
組電池301は、複数の二次電池301aを直列および/または並列に接続してなる。この二次電池301aは本技術の二次電池である。なお、図5では、6つの二次電池301aが、2並列3直列(2P3S)に接続された場合が例として示されているが、その他、n並列m直列(n、mは整数)のように、どのような接続方法でもよい。
スイッチ部304は、充電制御スイッチ302aおよびダイオード302b、ならびに放電制御スイッチ303aおよびダイオード303bを備え、制御部310によって制御される。ダイオード302bは、正極端子321から組電池301の方向に流れる充電電流に対して逆方向で、負極端子322から組電池301の方向に流れる放電電流に対して順方向の極性を有する。ダイオード303bは、充電電流に対して順方向で、放電電流に対して逆方向の極性を有する。なお、例では+側にスイッチ部を設けているが、−側に設けてもよい。
充電制御スイッチ302aは、電池電圧が過充電検出電圧となった場合にOFFされて、組電池301の電流経路に充電電流が流れないように充放電制御部によって制御される。充電制御スイッチのOFF後は、ダイオード302bを介することによって放電のみが可能となる。また、充電時に大電流が流れた場合にOFFされて、組電池301の電流経路に流れる充電電流を遮断するように、制御部310によって制御される。
放電制御スイッチ303aは、電池電圧が過放電検出電圧となった場合にOFFされて、組電池301の電流経路に放電電流が流れないように制御部310によって制御される。放電制御スイッチ303aのOFF後は、ダイオード303bを介することによって充電のみが可能となる。また、放電時に大電流が流れた場合にOFFされて、組電池301の電流経路に流れる放電電流を遮断するように、制御部310によって制御される。
温度検出素子308は例えばサーミスタであり、組電池301の近傍に設けられ、組電池301の温度を測定して測定温度を制御部310に供給する。電圧検出部311は、組電池301およびそれを構成する各二次電池301aの電圧を測定し、この測定電圧をA/D変換して、制御部310に供給する。電流測定部313は、電流検出抵抗307を用いて電流を測定し、この測定電流を制御部310に供給する。
スイッチ制御部314は、電圧検出部311および電流測定部313から入力された電圧および電流を基に、スイッチ部304の充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aを制御する。スイッチ制御部314は、二次電池301aのいずれかの電圧が過充電検出電圧もしくは過放電検出電圧以下になったとき、また、大電流が急激に流れたときに、スイッチ部304に制御信号を送ることにより、過充電および過放電、過電流充放電を防止する。
ここで、例えば、二次電池301aがリチウムイオン二次電池の場合、過充電検出電圧が例えば4.20V±0.05Vと定められ、過放電検出電圧が例えば2.4V±0.1Vと定められる。
充放電スイッチは、例えばMOSFETなどの半導体スイッチを使用できる。この場合MOSFETの寄生ダイオードがダイオード302bおよび303bとして機能する。充放電スイッチとして、Pチャンネル型FETを使用した場合は、スイッチ制御部314は、充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aのそれぞれのゲートに対して、制御信号DOおよびCOをそれぞれ供給する。充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aはPチャンネル型である場合、ソース電位より所定値以上低いゲート電位によってONする。すなわち、通常の充電および放電動作では、制御信号COおよびDOをローレベルとし、充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aをON状態とする。
そして、例えば過充電もしくは過放電の際には、制御信号COおよびDOをハイレベルとし、充電制御スイッチ302aおよび放電制御スイッチ303aをOFF状態とする。
メモリ317は、RAMやROMからなり例えば不揮発性メモリであるEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)などからなる。メモリ317では、制御部310で演算された数値や、製造工程の段階で測定された各二次電池301aの初期状態における電池の内部抵抗値などが予め記憶され、また適宜、書き換えも可能である。(また、二次電池301aの満充電容量を記憶させておくことで、制御部310とともに例えば残容量を算出することができる。
温度検出部318では、温度検出素子308を用いて温度を測定し、異常発熱時に充放電制御を行ったり、残容量の算出における補正を行う。
<5.第5の実施形態>
上述した非水電解質二次電池およびこれを用いた電池パックは、例えば電子機器や電動車両、蓄電装置などの機器に搭載または電力を供給するために使用することができる。
電子機器として、例えばノート型パソコン、PDA(携帯情報端末)、携帯電話、コードレスフォン子機、ビデオムービー、デジタルスチルカメラ、電子書籍、電子辞書、音楽プレイヤー、ラジオ、ヘッドホン、ゲーム機、ナビゲーションシステム、メモリーカード、ペースメーカー、補聴器、電動工具、電気シェーバー、冷蔵庫、エアコン、テレビ、ステレオ、温水器、電子レンジ、食器洗い器、洗濯機、乾燥器、照明機器、玩具、医療機器、ロボット、ロードコンディショナー、信号機などが挙げられる。
また、電動車両としては、例えば鉄道車両、ゴルフカート、電動カート、電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)などが挙げられ、これらの駆動用電源または補助用電源として用いられる。
蓄電装置としては、例えば住宅をはじめとする建築物用または発電設備用の電力貯蔵用電源などが挙げられる。
以下では、上述した適用例のうち、上述した本技術の非水電解質二次電池を適用した蓄電装置を用いた蓄電システムの具体例を説明する。
この蓄電システムは、例えば下記の様な構成が挙げられる。第1の蓄電システムは、再生可能エネルギーから発電を行う発電装置によって蓄電装置が充電される蓄電システムである。第2の蓄電システムは、蓄電装置を有し、蓄電装置に接続される電子機器に電力を供給する蓄電システムである。第3の蓄電システムは、蓄電装置から、電力の供給を受ける電子機器である。これらの蓄電システムは、外部の電力供給網と協働して電力の効率的な供給を図るシステムとして実施される。
さらに、第4の蓄電システムは、蓄電装置から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、蓄電装置に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう制御装置とを有する電動車両である。第5の蓄電システムは、他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部とを備え、送受信部が受信した情報に基づき、上述した蓄電装置の充放電制御を行う電力システムである。第6の蓄電システムは、上述した蓄電装置から、電力の供給を受け、または発電装置または電力網から蓄電装置に電力を供給する電力システムである。以下、蓄電システムについて説明する。
(応用例としての住宅における蓄電システム)
本技術の非水電解質二次電池を用いた蓄電装置を住宅用の蓄電システムに適用した例について、図6を参照して説明する。例えば住宅101用の蓄電システム100においては、火力発電102a、原子力発電102b、水力発電102cなどの集中型電力系統102から電力網109、情報網112、スマートメータ107、パワーハブ108などを介し、電力が蓄電装置103に供給される。これとともに、家庭内発電装置104などの独立電源から電力が蓄電装置103に供給される。蓄電装置103に供給された電力が蓄電される。蓄電装置103を使用して、住宅101で使用する電力が給電される。住宅101に限らずビルに関しても同様の蓄電システムを使用できる。
住宅101には、発電装置104、電力消費装置105、蓄電装置103、各装置を制御する制御装置110、スマートメータ107、各種情報を取得するセンサ111が設けられている。各装置は、電力網109および情報網112によって接続されている。発電装置104として、太陽電池、燃料電池などが利用され、発電した電力が電力消費装置105および/または蓄電装置103に供給される。電力消費装置105は、冷蔵庫105a、空調装置105b、テレビジョン受信機105c、風呂105dなどである。さらに、電力消費装置105には、電動車両106が含まれる。電動車両106は、電気自動車106a、ハイブリッドカー106b、電気バイク106cである。
蓄電装置103に対して、本技術の非水電解質二次電池が適用される。本技術の非水電解質二次電池は、例えば上述したリチウムイオン二次電池によって構成されていてもよい。スマートメータ107は、商用電力の使用量を測定し、測定された使用量を、電力会社に送信する機能を備えている。電力網109は、直流給電、交流給電、非接触給電の何れか一つまたは複数を組み合わせてもよい。
各種のセンサ111は、例えば人感センサ、照度センサ、物体検知センサ、消費電力センサ、振動センサ、接触センサ、温度センサ、赤外線センサなどである。各種のセンサ111により取得された情報は、制御装置110に送信される。センサ111からの情報によって、気象の状態、人の状態などが把握されて電力消費装置105を自動的に制御してエネルギー消費を最小とすることができる。さらに、制御装置110は、住宅101に関する情報をインターネットを介して外部の電力会社などに送信することができる。
パワーハブ108によって、電力線の分岐、直流交流変換などの処理がなされる。制御装置110と接続される情報網112の通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transceiver:非同期シリアル通信用送受信回路)などの通信インターフェースを使う方法、Bluetooth、ZigBee、Wi−Fiなどの無線通信規格によるセンサーネットワークを利用する方法がある。Bluetooth方式は、マルチメディア通信に適用され、一対多接続の通信を行うことができる。ZigBeeは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.15.4の物理層を使用するものである。IEEE802.15.4は、PAN(Personal Area Network) またはW(Wireless)PANと呼ばれる短距離無線ネットワーク規格の名称である。
制御装置110は、外部のサーバ113と接続されている。このサーバ113は、住宅101、電力会社、サービスプロバイダーの何れかによって管理されていてもよい。サーバ113が送受信する情報は、たとえば、消費電力情報、生活パターン情報、電力料金、天気情報、天災情報、電力取引に関する情報である。これらの情報は、家庭内の電力消費装置(たとえばテレビジョン受信機)から送受信してもよいが、家庭外の装置(たとえば、携帯電話機など)から送受信してもよい。これらの情報は、表示機能を持つ機器、たとえば、テレビジョン受信機、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)などに、表示されてもよい。
各部を制御する制御装置110は、CPU(Central Processing Unit )、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などで構成され、この例では、蓄電装置103に格納されている。制御装置110は、蓄電装置103、家庭内発電装置104、電力消費装置105、各種のセンサ111、サーバ113と情報網112により接続され、例えば、商用電力の使用量と、発電量とを調整する機能を有している。なお、その他にも、電力市場で電力取引を行う機能などを備えていてもよい。
以上のように、電力が火力102a、原子力102b、水力102cなどの集中型電力系統102のみならず、家庭内発電装置104(太陽光発電、風力発電)の発電電力を蓄電装置103に蓄えることができる。したがって、家庭内発電装置104の発電電力が変動しても、外部に送出する電力量を一定にしたり、または、必要なだけ放電するといった制御を行うことができる。例えば、太陽光発電で得られた電力を蓄電装置103に蓄えるとともに、夜間は料金が安い深夜電力を蓄電装置103に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電装置103によって蓄電した電力を放電して利用するといった使い方もできる。
なお、この例では、制御装置110が蓄電装置103内に格納される例を説明したが、スマートメータ107内に格納されてもよいし、単独で構成されていてもよい。さらに、蓄電システム100は、集合住宅における複数の家庭を対象として用いられてもよいし、複数の戸建て住宅を対象として用いられてもよい。
(応用例としての車両における蓄電システム)
本技術を車両用の蓄電システムに適用した例について、図7を参照して説明する。図7に、本技術が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す。シリーズハイブリッドシステムはエンジンで動かす発電機で発電された電力、あるいはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置で走行する車である。
このハイブリッド車両200には、エンジン201、発電機202、電力駆動力変換装置203、駆動輪204a、駆動輪204b、車輪205a、車輪205b、バッテリー208、車両制御装置209、各種センサ210、充電口211が搭載されている。バッテリー208に対して、上述した本技術の非水電解質二次電池が適用される。
ハイブリッド車両200は、電力駆動力変換装置203を動力源として走行する。電力駆動力変換装置203の一例は、モータである。バッテリー208の電力によって電力駆動力変換装置203が作動し、この電力駆動力変換装置203の回転力が駆動輪204a、204bに伝達される。なお、必要な個所に直流−交流(DC−AC)あるいは逆変換(AC−DC変換)を用いることによって、電力駆動力変換装置203が交流モータでも直流モータでも適用可能である。各種センサ210は、車両制御装置209を介してエンジン回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御したりする。各種センサ210には、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサなどが含まれる。
エンジン201の回転力は発電機202に伝えられ、その回転力によって発電機202により生成された電力をバッテリー208に蓄積することが可能である。
図示しない制動機構によりハイブリッド車両200が減速すると、その減速時の抵抗力が電力駆動力変換装置203に回転力として加わり、この回転力によって電力駆動力変換装置203により生成された回生電力がバッテリー208に蓄積される。
バッテリー208は、ハイブリッド車両200の外部の電源に接続されることで、その外部電源から充電口211を入力口として電力供給を受け、受けた電力を蓄積することも可能である。
図示しないが、二次電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう情報処理装置を備えていてもよい。このような情報処理装置としては、例えば、電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う情報処理装置などがある。
なお、以上は、エンジンで動かす発電機で発電された電力、またはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、モータで走行するシリーズハイブリッド車を例として説明した。しかしながら、エンジンとモータの出力がいずれも駆動源とし、エンジンのみで走行、モータのみで走行、エンジンとモータ走行という3つの方式を適宜切り替えて使用するパラレルハイブリッド車に対しても本技術は有効に適用可能である。さらに、エンジンを用いず駆動モータのみによる駆動で走行する所謂、電動車両に対しても本技術は有効に適用可能である。
以下、実施例により本技術を具体的に説明するが、本技術はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
<ニッケルマンガン前駆体の作製工程>
まず、2Lの円筒形反応容器に3%の濃度のアンモニア水を投入し、温度を50℃に保持し一定速度にて攪拌した。次に、3種の共沈添加液(薬剤)を反応容器に添加し、ニッケルマンガン炭酸塩(Ni0.25Mn0.75CO3)を主成分とするニッケルマンガン共沈粒子を作製した。以下に、本工程にて用いた3種の共沈添加液(1)〜(3)およびその添加条件を示す。
共沈添加液(1):
種類:硫酸マンガンと硫酸ニッケル(Ni:Mnの原子比は1:3)の1.5mol/lの濃度の混合水溶液を使用した。
添加条件:流量2cc/分で連続的に反応容器に添加した。
共沈添加液(2)
種類:5%の濃度のアンモニア水を使用した。
添加条件:流量0.27cc/分で連続的に反応容器に添加した。
共沈添加液(3)
種類:2mol/lの濃度の炭酸ナトリウム水溶液を使用した。
添加条件:pH8になるように断続的に反応容器に添加した。
次に、オーバーフローによりニッケルマンガン共沈粒子を含む共沈反応液を回収した。次に、ニッケルマンガン共沈粒子(ニッケルマンガン炭酸塩)を層状化合物化した。具体的には、回収液を水洗後、2.5vol%の濃度の水酸化ナトリウム水溶液にニッケルマンガン共沈粒子を浸漬させた後、15時間撹拌した後、再度水洗した。これにより、層状化合物としてのニッケルマンガン水酸化物(Ni0.25Mn0.75(OH)2)が得られた。次に、得られたニッケルマンガン水酸化物を濾過し120℃にて10時間乾燥後、ニッケルマンガン前駆体粉末を得た。
<ニッケルマンガン酸リチウム活物質の作製工程>
次に、上記ニッケルマンガン前駆体粉末とLi2CO3とを所定モル比になるように秤量し、ボールミルにて混合した。次に、大気中にて1000℃にて8時間焼成(1回目の焼成)し、冷却後、再混合を行った後、700℃にて再度大気中にて8時間焼成(2回目の焼成)を行って、スピネル型の正極活物質(LiNi0.5Mn1.54)を得た。
(実施例2)
以下の点以外は実施例1と同様にして、正極活物質を作製した。
共沈添加液(3):
添加条件:pH10になるように断続的に反応容器に添加した。
(実施例3)
以下の点以外は実施例1と同様にして、正極活物質を作製した。
共沈添加液(1):
種類:実施例1の混合水溶液(ニッケルマンガン混合水溶液)に1.5mol/lの濃度でNaIを追加投入した混合水溶液を使用した。
共沈添加液(3)
添加条件:pH10になるように断続的に反応容器に添加した。
(実施例4)
以下の点以外は実施例1と同様にして、マンガンサイトをニッケルおよびアルミニウムで置換したスピネル型の正極活物質(LiNi0.48Mn1.48Al0.044)を得た。
共沈添加液(1)
種類:ニッケル源としての硫酸マンガンおよびマンガン源としての硫酸ニッケルの他に、さらにアルミニウム源としての硝酸アルミニウムを加えた1.5mol/l混合液(Ni:Mn:Alの原子比は24:74:2)を使用した。
(比較例1)
以下の点以外は実施例1と同様にして、正極活物質を作製した。
共沈添加液(2):
種類:1.2mol/lの濃度の硫酸アンモニウム水溶液を使用した。
共沈添加液(3)
種類:25質量%の濃度の水酸化ナトリウム水溶液を使用した。
添加条件:pH10になるように断続的に反応容器に添加した。
(比較例2)
ニッケルマンガン酸リチウム活物質の作製工程における1回目の焼成温度を900℃としたこと以外は実施例1と同様にして、正極活物質を作製した。
(比較例3)
以下の点以外は実施例1と同様にして、正極活物質を作製した。
共沈添加液(1)
添加条件:流量1cc/分で連続的に反応容器に添加した。
共沈添加液(2)
添加条件:流量0.16cc/分で連続的に反応容器に添加した。
共沈添加液(3)
種類:25質量%の濃度の水酸化ナトリウム水溶液を使用した。
添加条件:pH11になるように断続的に反応容器に添加した。
(比較例4)
まず、以下の点以外は実施例1と同様にして、前駆体粒子を作製した。
共沈添加液(2):
種類:1.2mol/lの濃度の硫酸アンモニウム水溶液を使用した。
共沈添加液(3)
種類:25質量%の濃度の水酸化ナトリウム水溶液を使用した。
添加条件:pH10になるように断続的に反応容器に添加した。
次に、1回目の焼成温度を1100℃としたこと以外は実施例1と同様にして、正極活物質を作製した。
(評価方法)
上述のようにして作製した実施例1〜4、比較例1〜4の前駆体粒子および正極活物質粒子について以下の評価を行った。
(粒子形状)
前駆体粒子および正極活物質粒子の形状は、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM:Field Emission Scanning Electron Microscope)を用いて観察した。
(結晶構造)
前駆体粒子および正極活物質粒子の結晶構造の同定は、CuKαをX線源とするX線回折(XRD:X-ray diffraction)測定により行った。
(結晶面方位)
結晶面の面方位は以下のようにして同定した。
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)を用いて一次粒子の結晶面(多角形状の構成面)を観察し、その結晶面の面方位を電子線回折図形から同定した。なお、一つの一次粒子に関して全ての結晶面を同定するには試料作製が困難であるため、複数の一次粒子に対して結晶面を測定し、その結晶面の面方位を特定した。
(前駆体の一次粒子の平均長さ)
電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて前駆体粒子を観察し、それらのうちの任意の複数の粒子の最大長さRmを平均して、前駆体の一次粒子の平均長さを求めた。ここで、最大長さRmとは、SEM像にて観察可能な範囲(すなわち任意の一方向から観察可能な範囲)での一次粒子の最大の差し渡し長さを意味する。
(一次粒子の平均個数A)
一次粒子の平均個数Aは以下のようにして求めた。
まず、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、正極活物質の二次粒子をその粒子全体を観察できる倍率(例えば二次粒子サイズが15μm程度であれば5000倍)で任意の一方向から観察し、正極活物質の二次粒子のSEM像を得た。次に、このSEM像(すなわち任意の一方向の観察像)から、1つの二次粒子に含まれると確認可能な一次粒子のうち、最大長さRmが1μm以上である一次粒子の個数aをカウントした。したがって、1つの二次粒子に含まれる一次粒子であっても、最大長さRmが1μm未満である一次粒子およびSEM像から確認不可能な一次粒子(すなわち任意の一方向からは観察不可能な一次粒子)はカウントから除外した。ここで、最大長さRmとは、図11に例示すように、SEM像にて観察可能な範囲(すなわち任意の一方向から観察可能な範囲)での一次粒子の最大の差し渡し長さを意味する。上記観察および測定を無作為に選び出された10個の二次粒子について行い、個数a1、a2、・・・、a10を得た。次に、得られた個数a1、a2、・・・、a10を単純に平均(算術平均)して、一次粒子の平均個数Aを求めた。
(結晶面の平均面数B)
結晶面の平均面数Bは以下のようにして求めた。
まず、上述の「一次粒子の平均個数A」を求めたのと同様にして、正極活物質の二次粒子のSEM像を得た。次に、このSEM像(すなわち任意の一方向の観察像)から1つの二次粒子の表面に含まれる平坦な結晶面(一次粒子の平坦な結晶面)の面数bをカウントした。なお、結晶面が不明確な曲面や微小な結晶面はカウントから除外した。ここで、微小な結晶面とは、最大長さRmが1μm未満である一次粒子が有する結晶面を意味する。なお、最大長さRmの定義は、上述の「一次粒子の平均個数A」における定義と同様である。上記観察および測定を無作為に選び出された10個の二次粒子について行い、面数b1、b2、・・・、b10を得た。次に、得られた面数b1、b2、・・・、b10を単純に平均(算術平均)して、結晶面の平均面数Bを求めた。
(比率(B/A))
比率(B/A)は以下のようにして求めた。
まず、上述のようにして、一次粒子の平均個数Aおよび結晶面の平均面数Bを得た。次に、得られた一次粒子の平均個数Aおよび結晶面の平均面数Bを用いて、比率(B/A=(結晶面の平均面数)/(一次粒子の平均個数))を求めた。
(比率L1/L2)
{100}面を構成する辺の平均長さLaは以下のようにして求めた。
まず、上述の「結晶面方位」を分析したのと同様にして、一次粒子の結晶面の面方位を分析し、一次粒子の結晶面のうちから{100}面を特定した。次に、特定した{100}面の辺のうちの任意の一辺(すなわち透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察可能な一辺)の長さlを測定した。この分析および測定を無作為に選び出された一次粒子の結晶面について繰り返し行い、10辺の長さl1、l2、・・・、l10を得た。次に、得られた長さl1、l2、・・・、l10を単純に平均(算術平均)して、{100}面を構成する辺の平均長さLaを求めた。
{110}面を構成する辺のうちの任意の一辺の長さlを測定する以外は、上述の「平均長さLa」を求めたのと同様にして、{110}面を構成する辺の平均長さLbを求めた。
{111}面を構成する辺のうちの任意の一辺の長さlを測定する以外は、上述の「平均長さLa」を求めたのと同様にして、{111}面を構成する辺の平均長さL2を求めた。
上述のようにして求めた平均長さLa、Lbを単純に平均(算術平均)して、{100}面および{110}面を構成する辺の平均長さL1(=(La+Lb)/2)を求めた。次に、上述のようにして求めたL1、L2を用いて、比率(L1/L2)を求めた。
(比表面積)
正極活物質粒子の比表面積は、BET比表面積測定装置(日本ベル製、型式名:BELSORP-miniII)を用いて求めた。
(サイクル特性)
上述のようにして得られた正極活物質粒子を用いて、コイン型の非水電解質二次電池(以下「コインセル」と称する。)を作製し、その電池のサイクル特性(放電容量維持率)を以下のようにして評価した。
まず、上記正極活物質90質量%と、比表面積が60m2/gの導電性炭素材料5質量%と、ポリフッ化ビニリデン5質量%とを、適当量のNMPと混錬し、100℃で乾燥することで正極合剤粉を得た。次に、この合剤粉をΦ15mmのアルミニウムメッシュにプレスで定着させることにより、正極を得た。
次に、負極としては所定の寸法の円板状に打ち抜いたLi金属箔を準備した。次に、セパレータとして厚み25μmのポリエチレン製の微多孔フィルムを準備した。次に、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とを1:1の質量比で混合した溶媒に、電解質塩としてLiPF6を1mol/kgの濃度になるように溶解して非水電解液を調製した。
次に、作製した正極と負極とを微多孔フィルムを介して積層して積層体とし、この積層体とともに非水電解液を外装カップおよび外装缶の内部に収容させてガスケットを介してかしめた。これにより、2016サイズ(直径20mm、高さ1.6mmのサイズ)のコインセルを得た。
次に、上述のようにして得られたコインセルに対して、45℃雰囲気下においてサイクル試験を実施して、2サイクル目および20サイクル目の放電容量を測定した。次に、以下の式から20サイクル後の容量維持率を求めた。
20サイクル後の容量維持率(%)=(20サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100
以下にサイクル試験の充放電条件を示す。
充電:0.35mA、4.9V、0.03mAcutの定電流定電圧充電
放電:1.05mA、3.0Vの定電流放電
(負荷特性)
上述の「サイクル特性」の評価と同様にしてコインセルを作製し、そのセルの負荷特性を以下のようにして評価した。
まず、以下の充放電条件により0.1Cでの放電容量を測定した。
充電:0.70mA(0.2C相当)、4.9V、0.03mAcutの定電流定電圧充電
放電:0.35mA(0.1C相当)、3.0Vの定電流放電
その後、更に以下の充放電条件により5Cでの放電容量を測定した。
充電:0.70mA(0.2C相当)、4.9V、0.03mAcutの定電流定電圧充電
放電:1.75mA(5C相当)、3.0Vの定電流放電
次に、以下の式から0.1C放電容量に対する5C放電容量の割合(「以下「常温レート特性」と称する。)を求めた。
常温レート特性(%)=(5C放電容量/0.1C放電容量)×100
なお、「1C」とは、電池の定格容量を1時間で定電流放電させる電流値のことである。したがって、「0.1C」とは、電池の定格容量を10時間で放電させる電流値である。「5C」とは、電池の定格容量を12分で放電させる電流値である。
(評価結果)
図8は、実施例1〜4、比較例1〜4の非水電解質二次電池のサイクル特性の評価結果を示す。図9A〜図10Dは、実施例1、比較例2、4の正極活物質一次粒子のTEM解析例を示す図である。
表1は、実施例1〜4、比較例1〜4の共沈粒子の評価結果を示す。
表2は、実施例1〜4、比較例1〜4の正極活物質粒子およびそれを用いたコインセルの評価結果を示す。
(考察)
表1、表2および図8から以下のことがわかる。
<実施例1〜4>
{100}面および{110}面の両方を露出させとともに、比率(L1/L2)を0.5以上100以下とし、かつ、比表面積を0.4m2/g以下としている。このため、20サイクル後における容量維持率を96%以上に維持し、かつ、負荷特性を86%以上にすることができる。したがって、サイクル特性および負荷特性を両立することができる。
<比較例1>
{111}面のみを露出させているので、20サイクル後における容量維持率が93%に低下し、かつ、高レートでの負荷特性が82%に低下する。
<比較例2>
{100}面を露出させているが、比率(L1/L2)が0.5未満であり、かつ、比表面積が0.4m2/gを超えているため、20サイクル後における容量維持率が80%に低下する。
<比較例3>
{100}面を露出させているが、比表面積が0.4m2/gを超えていため、20サイクル後における容量維持率が81%に低下する。
<比較例4>
{100}面を露出させているが、比率(L1/L2)が0.5未満であるため、20サイクル後における容量維持率が89%に低下する。また、{111}面を露出させていないため、負荷特性が77%に低下する。
(結論)
以上により、サイクル特性および負荷特性を維持するためには、{100}面および{110}面を多面体(一次粒子)の構成面として露出させるとともに、比率(L1/L2)を0.5以上100以下とし、かつ、比表面積を0.4m2/g以下とすることが好ましい。
{100}面を多面体(一次粒子)の構成面として露出させることで、サイクル特性を向上することができる。これは、{100}面がマンガン(Mn)やその他の置換元素の溶出を抑制する機能を有しているためと考えられる。
{110}面を多面体(一次粒子)の構成面として露出させることで、負荷特性を向上することができる。これは、{110}面を露出させると、リチウムイオンの拡散パスが多面体の表面(結晶面)から露出し、放電時におけるリチウムイオンの粒子表面からの拡散が促進されるためと考えられる。
以上、本技術の実施形態について具体的に説明したが、本技術は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよい。
また、上述の実施形態の構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
また、上述の実施形態および実施例では、一次粒子が凝集した二次粒子を正極活物質として用いる場合を例として説明したが、本技術はこの例に限定されるものではなく、凝集していない粒子(孤立した粒子)を正極活物質として用いてもよい。また、一次粒子が凝集した二次粒子と、凝集していない粒子とを混合して正極活物質として用いてもよい。
また、本技術は以下の構成を採用することもできる。
(1)
リチウム(Li)およびマンガン(Mn)を含む、スピネル型の構造を有する複合酸化物の粒子を含み、
上記粒子は、複数の結晶面を有する多面体であり、
上記複数の結晶面は、{100}面、{110}面および{111}面を含み、
上記{100}面および{110}面を構成する辺の平均長さL1と、上記{111}面を構成する辺の平均長さL2との比率(L1/L2)は、0.5以上100以下であり、
比表面積は、0.4m2/g以下である正極活物質。
(2)
上記複合酸化物は、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)およびリチウム(Li)からなる群のうちの少なくとも1種をさらに含んでいる(1)に記載の正極活物質。
(3)
上記複合酸化物は、以下の式(1)に示した平均組成を有している(2)に記載の正極活物質。
Li1+W(Mn2-X-YXY)O4-Z ・・・(1)
(式中、Aは、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)およびチタン(Ti)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。Bは、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)およびリチウム(Li)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。W、X、Y、Zは、−0.1≦W≦0.1、0≦X≦0.6、0≦Y≦0.3、−0.1≦Z≦0.1の範囲内の値である。)
(4)
上記粒子は凝集して二次粒子を構成している(1)から(3)のいずれかに記載の正極活物質。
(5)
上記多面体は、8面を超える結晶面を有する多面体である(1)から(4)のいずれかに記載の正極活物質。
(6)
リチウム(Li)およびマンガン(Mn)を含む、スピネル型の構造を有する複合酸化物の粒子を含む正極活物質を含有し、
上記粒子は、複数の結晶面を有する多面体であり、
上記複数の結晶面は、{100}面、{110}面および{111}面を含み、
上記{100}面および{110}面を構成する辺の平均長さL1と、上記{111}面を構成する辺の平均長さL2との比率(L1/L2)は、0.5以上100以下であり、
比表面積は、0.4m2/g以下である正極。
(7)
正極と、負極と、電解質とを備え、
上記正極は、リチウム(Li)およびマンガン(Mn)を含む、スピネル型の構造を有する複合酸化物の粒子を含む正極活物質を含有し、
上記粒子は、複数の結晶面を有する多面体であり、
上記複数の結晶面は、{100}面、{110}面および{111}面を含み、
上記{100}面および{110}面を構成する辺の平均長さL1と、上記{111}面を構成する辺の平均長さL2との比率(L1/L2)は、0.5以上100以下であり、
比表面積は、0.4m2/g以下である電池。
(8)
(7)に記載の電池を備える電池パック。
(9)
(7)に記載の電池を備え、
上記電池から電力の供給を受ける電子機器。
(10)
(7)に記載の電池と、
上記電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、
上記電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置と
を備える電動車両。
(11)
(7)に記載の電池を備え、
上記電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電装置。
(12)
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報制御装置を備え、
上記電力情報制御装置が受信した情報に基づき、上記電池の充放電制御を行う(11)に記載の蓄電装置。
(13)
(7)に記載の電池から電力の供給を受け、または、発電装置もしくは電力網から上記電池に電力が供給される電力システム。
11 電池缶
12、13 絶縁板
14 電池蓋
15 安全弁機構
15A ディスク板
16 熱感抵抗素子
17 ガスケット
20、30 巻回電極体
21、33 正極
21A、33A 正極集電体
21B、33B 正極活物質層
22、34 負極
22A、34A 負極集電体
22B、34B 負極活物質層
23、35 セパレータ
24 センターピン
25、31 正極リード
26、32 負極リード
36 電解質層
37 保護テープ
40 外装部材
41 密着フィルム

Claims (13)

  1. リチウム(Li)およびマンガン(Mn)を含む、スピネル型の構造を有する複合酸化物の粒子を含み、
    上記粒子は、複数の結晶面を有する多面体であり、
    上記複数の結晶面は、{100}面、{110}面および{111}面を含み、
    上記{100}面および{110}面を構成する辺の平均長さL1と、上記{111}面を構成する辺の平均長さL2との比率(L1/L2)は、0.5以上100以下であり、
    比表面積は、0.4m2/g以下である正極活物質。
  2. 上記複合酸化物は、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)およびリチウム(Li)からなる群のうちの少なくとも1種をさらに含んでいる請求項1に記載の正極活物質。
  3. 上記複合酸化物は、以下の式(1)に示した平均組成を有している請求項2に記載の正極活物質。
    Li1+W(Mn2-X-YXY)O4-Z ・・・(1)
    (式中、Aは、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)およびチタン(Ti)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。Bは、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)およびリチウム(Li)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。W、X、Y、Zは、−0.1≦W≦0.1、0≦X≦0.6、0≦Y≦0.3、−0.1≦Z≦0.1の範囲内の値である。)
  4. 上記粒子は凝集して二次粒子を構成している請求項1に記載の正極活物質。
  5. 上記多面体は、8面を超える結晶面を有する多面体である請求項1に記載の正極活物質。
  6. リチウム(Li)およびマンガン(Mn)を含む、スピネル型の構造を有する複合酸化物の粒子を含む正極活物質を含有し、
    上記粒子は、複数の結晶面を有する多面体であり、
    上記複数の結晶面は、{100}面、{110}面および{111}面を含み、
    上記{100}面および{110}面を構成する辺の平均長さL1と、上記{111}面を構成する辺の平均長さL2との比率(L1/L2)は、0.5以上100以下であり、
    比表面積は、0.4m2/g以下である正極。
  7. 正極と、負極と、電解質とを備え、
    上記正極は、リチウム(Li)およびマンガン(Mn)を含む、スピネル型の構造を有する複合酸化物の粒子を含む正極活物質を含有し、
    上記粒子は、複数の結晶面を有する多面体であり、
    上記複数の結晶面は、{100}面、{110}面および{111}面を含み、
    上記{100}面および{110}面を構成する辺の平均長さL1と、上記{111}面を構成する辺の平均長さL2との比率(L1/L2)は、0.5以上100以下であり、
    比表面積は、0.4m2/g以下である電池。
  8. 請求項7に記載の電池を備える電池パック。
  9. 請求項7に記載の電池を備え、
    上記電池から電力の供給を受ける電子機器。
  10. 請求項7に記載の電池と、
    上記電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、
    上記電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置と
    を備える電動車両。
  11. 請求項7に記載の電池を備え、
    上記電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電装置。
  12. 他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報制御装置を備え、
    上記電力情報制御装置が受信した情報に基づき、上記電池の充放電制御を行う請求項11に記載の蓄電装置。
  13. 請求項7に記載の電池から電力の供給を受け、または、発電装置もしくは電力網から上記電池に電力が供給される電力システム。
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