JP2013219148A - リアクトル、リアクトルの製造方法、コンバータ、及び電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも生産性に優れるリアクトルを提供する。
【解決手段】コイル2と、このコイル2に挿通される磁性コア3との組合体10、および組合体10が載置される放熱板6を備えるリアクトル1である。このリアクトル1は、組合体10の外周を覆うと共に、組合体10と放熱板6とを接着する接着カバー5を備える。この接着カバー5は溶融接着性のカバー素材を溶融させることで得られる。接着カバー5の一部は、組合体10と放熱板6との間に形成されていても良い。
【選択図】図1
【解決手段】コイル2と、このコイル2に挿通される磁性コア3との組合体10、および組合体10が載置される放熱板6を備えるリアクトル1である。このリアクトル1は、組合体10の外周を覆うと共に、組合体10と放熱板6とを接着する接着カバー5を備える。この接着カバー5は溶融接着性のカバー素材を溶融させることで得られる。接着カバー5の一部は、組合体10と放熱板6との間に形成されていても良い。
【選択図】図1
Description
本発明は、ハイブリッド自動車などの車両に搭載される車載用DC−DCコンバータといった電力変換装置の構成部品などに利用されるリアクトル、リアクトルの製造方法、リアクトルを用いたコンバータ、およびコンバータを用いた電力変換装置に関する。
電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。リアクトルは、ハイブリッド自動車などの車両に搭載されるコンバータに利用される。そのリアクトルとして、例えば、特許文献1に示すものがある。
特許文献1のリアクトルは、一対のコイル素子を有するコイルおよびこのコイルに挿通される磁性コアの組合体と、この組合体を載置する放熱板と、を備える。さらに、特許文献1のリアクトルは、放熱板と組合体とを一体化する樹脂被覆部を備える。この樹脂被覆部は、放熱板に組合体を固定した状態で金型内に配置し、注型成形することによって得られ、組合体を構成するコイルおよびコアを腐食や粉塵などの外部環境から保護する。
近年、ハイブリッド自動車などの需要の拡大に伴い、車載用のリアクトルの需要も拡大している。そのため、リアクトルの更なる生産性の向上が望まれている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、従来よりも生産性に優れるリアクトルと、その製造方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、本発明のリアクトルを用いたコンバータ、およびそのコンバータを用いた電力変換装置を提供することにある。
本発明者は、リアクトルの生産性を向上させる観点から特許文献1のリアクトルを再検討した結果、注型成形による樹脂被覆部の形成が煩雑であることに着目した。この樹脂被覆部の形成が煩雑であるからといって、この樹脂被覆部を省略すると、外部環境からコイルやコアを十分に保護できない恐れがある。そこで、本発明者は、コイルやコアを外部環境から保護しつつリアクトルの生産性を向上させることができる構成を検討し、本発明を完成させるに至った。
本発明のリアクトルは、コイルと、このコイルに挿通される磁性コアとの組合体、および組合体が載置される放熱板を備えるリアクトルであって、組合体の外周を覆うと共に、組合体と放熱板とを接着する接着カバーを備え、この接着カバーは溶融接着性のカバー素材を溶融させることで得られたことを特徴とする。
本発明のリアクトルは、コイルと磁性コアとを外部環境から保護する接着カバーを備えるにも関わらず、生産性に優れる。それは、注型成形などの煩雑な工程を経ることなく、カバー素材を溶融させるだけで接着カバーを形成することができるからである。注型成形には、成形型が必要で、しかも実際に注型成型を行なうには、成形型内に離型剤を塗布する、組合体などを成形型内に収納する、樹脂を充填し硬化させる、成形品を脱型する、といった煩雑で多くの工程を必要とする。これに対し、本発明のリアクトルの接着カバーは、カバー素材を溶融させるだけで良く、明らかに注型成形の工程よりも簡素な工程で作製されているため、本発明のリアクトルは、生産性に優れる。また、本発明のリアクトルの接着カバーの形成には、そもそも成形型も注型成形のための樹脂の注入設備も必要としない。つまり、大型の製造設備を用いることなく、本発明のリアクトルは作製される。
ここで、接着カバーが溶融接着性のカバー素材を溶融させることによって得られたことは、接着カバーを観察することで確認することができる。第一に、カバー素材を熱処理する過程でカバー素材の表面に流動性が生じ、出来上がる接着カバーの表面に液垂れ跡や皺が形成されることが挙げられる。特に、接着カバーと放熱板との接着部にあたる接着カバーの縁部において液垂れ跡や皺が顕著に表れるため、当該縁部を観察すれば、組合体を覆うものが本発明のリアクトルにおける接着カバーかどうかを判断することができる。第二に、接着カバーには注型成形する際に必ず形成されるゲート痕が形成されていないことが挙げられる。ゲート痕は、注型成形時における樹脂の注入口の形状が樹脂の表面に転写された痕のことである。
本発明のリアクトルにおける接着カバーの形成状態として次の2つを挙げることができる。
[1]組合体と放熱板とが直接、あるいは接着剤を介して接触しており、接着カバーが組合体を覆うと共に、接着カバーの縁部が放熱板に接着されている形態。いわば、放熱板上に載置される組合体を接着カバーでラッピングしたような形態である。
[2]接着カバーの一部が、組合体と放熱板との間に形成されている形態。即ち、接着カバーが組合体の外周面全体を覆い、接着カバーのうち、放熱板に対向する組合体の面を覆う部分が、組合体と放熱板との間に挟まれている形態である。
[1]組合体と放熱板とが直接、あるいは接着剤を介して接触しており、接着カバーが組合体を覆うと共に、接着カバーの縁部が放熱板に接着されている形態。いわば、放熱板上に載置される組合体を接着カバーでラッピングしたような形態である。
[2]接着カバーの一部が、組合体と放熱板との間に形成されている形態。即ち、接着カバーが組合体の外周面全体を覆い、接着カバーのうち、放熱板に対向する組合体の面を覆う部分が、組合体と放熱板との間に挟まれている形態である。
上記形態のうち、特に[2]の形態によれば、放熱板に対して組合体を強固に固定することができるので、放熱板に対する組合体の安定性を高めることができる。
上記[2]の形態を備える本発明のリアクトルの一形態として、接着カバーにおける組合体と放熱板との間に配置される部分(部分X)とそれ以外の部分(部分Y)とで、物理的特性が異なる形態が挙げられる。
上記物理的特性には、強度の指標であるヤング率(Pa)、放熱性の指標である熱伝導率(W/m・K)、絶縁性の指標である絶縁破壊強さ(kV/mm)などを挙げることができる。上記部分Xは、組合体と放熱板との間に配置される部分であるので、熱伝導率と絶縁破壊強さを高めに、上記部分Yは、組合体を外部環境から保護する役割からすれば、ヤング率を高めに設定すると良い。部分Xと部分Yに求められる好適な物理的特性を満たす接着カバーを備えるリアクトルとすれば、接着カバー全体が一様な物理的特性を満たすリアクトルよりも、より厳しい使用環境(例えば、周波数がより高い使用環境)でも安定して動作する。
本発明のリアクトルの一形態として、磁性コアは、コイルの内部に配置される内側コア部と、コイルから露出する外側コア部と、を備える形態を挙げることができる。その場合、内側コア部の外周面と、コイルの内周面との間に、両者を接着させるコイル接着層を備える形態とすることが好ましい。
上記形態によれば、コイルと内側コア部との位置ずれを効果的に防止することができる。両者の位置ずれを防止することで、作製時のリアクトルの磁気特性(代表的にはインダクタンス)が、リアクトルの運転に伴う振動により変化することを効果的に防止できる。つまり、長期にわたって安定して動作する信頼性の高いリアクトルとなる。
内側コア部と外側コア部を有する磁性コアを備える本発明のリアクトルの一形態として、内側コア部の端面と、外側コア部の端面との間に、両者を接着させるコア接着層を備える形態とすることもできる。
上記構成によれば、内側コア部と外側コア部との位置ずれを効果的に防止することができる。両者の位置ずれを防止することで、作製時のリアクトルの磁気特性(代表的にはインダクタンス)が、リアクトルの運転に伴う振動により変化することを効果的に防止できる。つまり、長期にわたって安定して動作する信頼性の高いリアクトルとなる。
上記本発明のリアクトルは、コンバータの構成部品に好適に利用することができる。本発明のコンバータとして、スイッチング素子と、上記スイッチング素子の動作を制御する駆動回路と、スイッチング動作を平滑にするリアクトルとを備え、上記スイッチング素子の動作により、入力電圧を変換するものであって、上記リアクトルが本発明のリアクトルである形態が挙げられる。
生産性に優れる本発明のリアクトルを用いた本発明のコンバータは、これらを備える機器(例えば、ハイブリット自動車などの車両)の生産性の向上に寄与する。
この本発明のコンバータは、電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。本発明の電力変換装置として、入力電圧を変換するコンバータと、上記コンバータに接続されて、直流と交流とを相互に変換するインバータとを備え、このインバータで変換された電力により負荷を駆動するための電力変換装置であって、上記コンバータが本発明のコンバータである形態が挙げられる。
生産性に優れる本発明のコンバータを備える本発明の電力変換装置は、これらを備える機器(例えば、ハイブリット自動車などの車両)の生産性の向上に寄与する。
上記本発明のリアクトルは、以下に示す本発明のリアクトルの製造方法により製造することができる。即ち、本発明のリアクトルの製造方法は、コイルに磁性コアを挿通した組合体を放熱板上に保持させるリアクトルの製造方法であって、次の工程α〜γを備えることを特徴とする。
[工程α]…組合体を作製する。
[工程β]…溶融接着性のカバー素材を用意し、そのカバー素材により組合体を覆った状態で、組合体を放熱板に載置する。
[工程γ]…カバー素材を溶融させた後、硬化させることで、組合体の外周を覆うと共に、組合体と放熱板とを接着する接着カバーを形成する。
[工程α]…組合体を作製する。
[工程β]…溶融接着性のカバー素材を用意し、そのカバー素材により組合体を覆った状態で、組合体を放熱板に載置する。
[工程γ]…カバー素材を溶融させた後、硬化させることで、組合体の外周を覆うと共に、組合体と放熱板とを接着する接着カバーを形成する。
工程α〜γを備えるリアクトルの製造方法によれば、カバー素材を熱処理するだけで、コイルおよび磁性コアを接着カバーで保護した本発明のリアクトルを簡単に作製することができる。この接着カバーの形成は、特許文献1のリアクトルのように、注型成形などで樹脂被覆部を形成するよりも遥かに簡単で手間がかからないし、樹脂の節約にもなる。注型成形には、成形型が必要で、しかも実際に注型成型を行なうには、成形型内に離型剤を塗布する、組合体などを成形型内に収納する、樹脂を充填し硬化させる、成形品を脱型する、といった煩雑で多くの工程を必要とする。これに対し、本発明のリアクトルの接着カバーの作製には、そもそも成形型も注型成形のための樹脂の注入設備も必要としないので、大掛かりな製造設備を用いることなく本発明のリアクトルを作製することができる。また、本発明のリアクトルの製造方法に備わる工程は、注型成形に備わる工程よりも簡素であるので、生産性良くリアクトルを作製することができる。
本発明のリアクトルの製造方法の一形態として、工程βで用意するカバー素材の形態によって、工程βの手順が変化する。具体的には、次の4つの手順を挙げることができる。
[1]シート状に形成したカバー素材を、組合体と放熱板との間に配置し、箱状に形成したカバー素材を、組合体の外周に被せる。
[2]シート状に形成したカバー素材を、組合体と放熱板との間に配置し、シート状に形成した別のカバー素材を、組合体の外周に被せる。
[3]組合体を放熱板上に載置した後、箱状に形成したカバー素材を組合体の外周に被せる。
[4]組合体を放熱板上に載置した後、シート状に形成したカバー素材を組合体の外周に被せる。
[5]組合体の外周面全体をシート状に形成したカバー素材で包み、そのカバー素材で包まれた組合体を放熱板に載置する。
[1]シート状に形成したカバー素材を、組合体と放熱板との間に配置し、箱状に形成したカバー素材を、組合体の外周に被せる。
[2]シート状に形成したカバー素材を、組合体と放熱板との間に配置し、シート状に形成した別のカバー素材を、組合体の外周に被せる。
[3]組合体を放熱板上に載置した後、箱状に形成したカバー素材を組合体の外周に被せる。
[4]組合体を放熱板上に載置した後、シート状に形成したカバー素材を組合体の外周に被せる。
[5]組合体の外周面全体をシート状に形成したカバー素材で包み、そのカバー素材で包まれた組合体を放熱板に載置する。
上記[1]の形態によれば、組合体と放熱板との間と、それ以外の部分とで接着カバーの物理特性を異ならせることができる。また、組合体の外周形状にある程度沿った箱状の素材カバーを用いることで、複雑な外周面形状を有する組合体の外周面に殆ど隙間なく密着した接着カバーを形成し易い。
上記[2]の形態によれば、組合体と放熱板との間と、それ以外の部分とで接着カバーの物理特性を異ならせることができる。また、この形態によれば、素材カバーを箱状に形成する必要がなく、その分だけリアクトルの生産性を向上させることができる。
上記[3]の形態によれば、上記[1]、[2]の形態よりもリアクトルの作製時の部品点数を少なくすることができる。
上記[4]の形態によれば、上記[1]、[2]の形態よりもリアクトルの作製時の部品点数を少なくすることができる。また、この形態であれば、素材カバーを箱状に形成する必要がなく、その分だけリアクトルの生産性を向上させることができる。
上記[5]の形態によれば、上記[1]、[2]の形態よりもリアクトルの作製時の部品点数を少なくすることができる。しかも、作製されるリアクトルにおいて、組合体と放熱板との間に接着カバーが配置され、両者の間の絶縁性を向上させることができる。
本発明のリアクトルの製造方法の一形態として、工程γにおいて、組合体の外周面の形状に対応した内周面形状を有する加熱可能な押し金型を用いてカバー素材を熱処理する形態を挙げることができる。
押し金型を利用することで、カバー素材を熱処理によって軟化させつつ、その軟化させたカバー素材をリアクトルの外周面に密着させることができる。その結果、作製されたリアクトルにおいて、組合体の外周面と接着カバーの内周面との間に殆ど隙間が形成されないようにすることができる。組合体の外周面に接着カバーを隙間なく密着させることで、リアクトルの使用時に組合体で発生した熱をリアクトルの外部に効果的に放熱させることができる。
本発明のリアクトルは、生産性に優れるため、近年のリアクトルの需要増加に応えることができる。
以下、本発明の実施形態をより具体的に説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。
<実施形態1>
(全体構成)
図1に示すリアクトル1は、従来同様、コイル2と磁性コア3の組合体10、および組合体10が載置される放熱板6を備える。このリアクトル1の最も特徴とするところは、組合体10の外周を覆うと共に、組合体10と放熱板6とを接着する接着カバー5を備えることである。以下、リアクトル1の各構成を説明する。
(全体構成)
図1に示すリアクトル1は、従来同様、コイル2と磁性コア3の組合体10、および組合体10が載置される放熱板6を備える。このリアクトル1の最も特徴とするところは、組合体10の外周を覆うと共に、組合体10と放熱板6とを接着する接着カバー5を備えることである。以下、リアクトル1の各構成を説明する。
(組合体)
〔コイル〕
本実施形態における組合体10を構成するコイル2は、一対のコイル素子2A,2Bと、両コイル素子2A,2Bを連結するコイル素子連結部2rとを備える。各コイル素子2A,2Bは、互いに同一の巻数、同一の巻回方向で中空筒状に形成され、各軸方向が平行するように横並びに並列されている。本実施形態では、これらコイル素子2A,2Bは接続部の無い一本の巻線を螺旋状に巻回することで形成されており、その巻線をU字状に屈曲させることで上記コイル素子連結部2rが形成されている。もちろん、両コイル素子2A,2Bは、別個の巻線を螺旋状に巻回することで形成しても良く、その場合、例えば、コイル素子2A,2Bの端部(図2において紙面右側)同士を圧接や溶接などで接合する。
〔コイル〕
本実施形態における組合体10を構成するコイル2は、一対のコイル素子2A,2Bと、両コイル素子2A,2Bを連結するコイル素子連結部2rとを備える。各コイル素子2A,2Bは、互いに同一の巻数、同一の巻回方向で中空筒状に形成され、各軸方向が平行するように横並びに並列されている。本実施形態では、これらコイル素子2A,2Bは接続部の無い一本の巻線を螺旋状に巻回することで形成されており、その巻線をU字状に屈曲させることで上記コイル素子連結部2rが形成されている。もちろん、両コイル素子2A,2Bは、別個の巻線を螺旋状に巻回することで形成しても良く、その場合、例えば、コイル素子2A,2Bの端部(図2において紙面右側)同士を圧接や溶接などで接合する。
コイル2は、銅やアルミニウム、その合金といった導電性材料からなる平角線や丸線などの導体の外周に、絶縁性材料からなる絶縁被覆を備える被覆線を好適に利用できる。本実施形態では、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆がエナメル(代表的にはポリアミドイミド)からなる被覆平角線を利用し、各コイル素子2A,2Bは、この被覆平角線をエッジワイズ巻きにしたエッジワイズコイルである。絶縁被覆は、各コイル素子2A,2Bの端部2a,2bで剥がされており、当該端部2a,2bに端子金具(図示せず)を接続できるようになっている。
〔コア〕
本実施形態における磁性コア3は、コイル素子2A,2Bの内部に挿通される環状の部材であって、その内部に閉磁路が形成される。本実施形態の磁性コア3は、コイル素子2A,2Bの内部に配置される一対の内側コア部31と、コイル素子2A,2Bから露出する一対の外側コア部32とからなる構成とした。内側コア部31は、略直方体状のコア片であり、外側コア部32は、例えば、略ドーム形状の上面と下面を有する柱状のコア片である。これらコア片には、鉄などの鉄属金属やその合金に代表される軟磁性粉末を用いた圧粉成形体や、軟磁性粉末を含む樹脂からなる成形硬化体、絶縁被膜を有する磁性薄板(例えば、電磁鋼板)を複数積層した積層体などが利用できる。
本実施形態における磁性コア3は、コイル素子2A,2Bの内部に挿通される環状の部材であって、その内部に閉磁路が形成される。本実施形態の磁性コア3は、コイル素子2A,2Bの内部に配置される一対の内側コア部31と、コイル素子2A,2Bから露出する一対の外側コア部32とからなる構成とした。内側コア部31は、略直方体状のコア片であり、外側コア部32は、例えば、略ドーム形状の上面と下面を有する柱状のコア片である。これらコア片には、鉄などの鉄属金属やその合金に代表される軟磁性粉末を用いた圧粉成形体や、軟磁性粉末を含む樹脂からなる成形硬化体、絶縁被膜を有する磁性薄板(例えば、電磁鋼板)を複数積層した積層体などが利用できる。
(放熱板)
放熱板6は、コイル2や磁性コア3から冷却ベース(図示せず)などのリアクトル1の設置対象への放熱経路として機能する板状の部材である。具体的には、放熱板6の一面側(紙面上方側)がコイル2を搭載する搭載面であり、放熱板6の他面側(紙面下方側)がリアクトル1を冷却する冷却ベースへの取付面である。この放熱板6の四隅にはリアクトル1を冷却ベースに固定するためのボルトを挿通させる挿通孔60Hを有する取付部60が形成されている。
放熱板6は、コイル2や磁性コア3から冷却ベース(図示せず)などのリアクトル1の設置対象への放熱経路として機能する板状の部材である。具体的には、放熱板6の一面側(紙面上方側)がコイル2を搭載する搭載面であり、放熱板6の他面側(紙面下方側)がリアクトル1を冷却する冷却ベースへの取付面である。この放熱板6の四隅にはリアクトル1を冷却ベースに固定するためのボルトを挿通させる挿通孔60Hを有する取付部60が形成されている。
上記放熱板6は、コイル2に近接して配置されるため、非磁性材料から構成する。また、放熱板6は、リアクトル1の放熱経路に利用されるため、熱伝導性に優れる金属材料から構成する。例えば、放熱板6は、アルミニウムやその合金、あるいはマグネシウムやその合金などの非磁性金属から構成する。上記列挙した非磁性金属は軽量であるため、軽量化が望まれている車載部品の構成材料に適する。この放熱板6の厚さは、強度、磁束の遮蔽性を考慮して、2〜5mm程度とすることが好ましい。
(接着カバー)
接着カバー5は、組合体10の外周を覆うと共に、組合体10と放熱板6との接着する部材である。具体的には、組合体10の外周面を覆う接着カバー5の縁部が放熱板6に接着することで、接着カバー5により組合体10が放熱板6に押し付けられ、組合体10と放熱板6とが接着されている。しかも本実施形態の接着カバー5は、組合体10と放熱板6との間にも及んでおり、その結果、組合体10と放熱板6とが強固に接着されている。
接着カバー5は、組合体10の外周を覆うと共に、組合体10と放熱板6との接着する部材である。具体的には、組合体10の外周面を覆う接着カバー5の縁部が放熱板6に接着することで、接着カバー5により組合体10が放熱板6に押し付けられ、組合体10と放熱板6とが接着されている。しかも本実施形態の接着カバー5は、組合体10と放熱板6との間にも及んでおり、その結果、組合体10と放熱板6とが強固に接着されている。
上記接着カバー5は、溶融接着性のカバー素材を溶融させることで得られる(カバー素材については後述する)。そのことは、接着カバー5を観察することで確認することができる。第一に、カバー素材を熱処理する過程でカバー素材の表面に流動性が生じ、出来上がる接着カバー5の表面に液垂れ跡や皺が形成されることが挙げられる。特に、接着カバー5と放熱板6との接着部にあたる接着カバー5の縁部において液垂れした跡や皺が顕著に表れるため、当該縁部を観察すれば、組合体10を覆うものがカバー素材を溶融させることで得られた接着カバー5かどうかを判断することができる。第二に、接着カバー5には注型成形する際に必ず形成されるゲート痕が形成されていないことが挙げられる。その他、接着カバー5を得るために一旦、カバー素材を溶融させているため、接着カバー5に尖った角部がないことや、接着カバー5の厚さが不均一に薄い(0.1〜0.3mm程度)ことなどを挙げることができる。
接着カバー5は、その素となるカバー素材と同じ材料、即ち溶融接着性の材料で形成されている。そのような材料としては、熱硬化性樹脂、例えば、エポキシ系樹脂(硬化温度190℃)などを挙げることができる。接着カバーには、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、及び炭化珪素から選択される少なくとも1種のセラミックスフィラーが含有されていても良く、そうすることで、接着カバー5の絶縁性および放熱性を向上させることができる。
接着カバー5は、組合体10を保護する役割上、所定の強度を備えることが好ましい。例えば、ヤング率が120Pa以上の接着カバー5とすることが好ましい(より好ましくは130Pa以上、さらに好ましくは140Pa以上)。また、接着カバー5は組合体10全体を覆うため、接着カバー5を介してリアクトル1の作動時に発生する熱を外部に放熱できるように、接着カバー5の熱伝導率を0.7W/m・K以上とすることが好ましい(より好ましくは0.8W/m・K以上、さらに好ましくは1.0W/m・K以上)。さらに、接着カバー5は、所定の絶縁性を有することが好ましい。特に、本実施形態のように、組合体10と放熱板6との間に接着カバー5が及んでいる場合、その部分の絶縁性が高いことが好ましい。例えば、絶縁破壊強さとしては、20kV/mm以上が好ましい。以上説明した物理特性は、接着カバー5全体で均一的に満たしていても良いが、部分的に満たしていても良い。例えば、接着カバー5のうち、組合体10と放熱板6の間に位置する部分では放熱性と絶縁性を高めにし、それ以外の部分では強度を高めにすることが挙げられる。
(用途)
上記構成を備えるリアクトル1は、通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。この用途では、直流通電が0Aのときのインダクタンスが、10μH以上2mH以下、最大電流通電時のインダクタンスが、0Aのときのインダクタンスの10%以上を満たすものが好適に利用できると期待される。
上記構成を備えるリアクトル1は、通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。この用途では、直流通電が0Aのときのインダクタンスが、10μH以上2mH以下、最大電流通電時のインダクタンスが、0Aのときのインダクタンスの10%以上を満たすものが好適に利用できると期待される。
(効果)
以上説明した本発明のリアクトル1は、組合体10の外周を覆う接着カバー5を備えるため、組合体10に備わるコイル2と磁性コア3が外部環境に露出されていない、そのため、物理的な衝撃によってコイル2や磁性コア3が損傷し難いし、外部環境の雰囲気によってコイル2や磁性コア3が錆び難い。
以上説明した本発明のリアクトル1は、組合体10の外周を覆う接着カバー5を備えるため、組合体10に備わるコイル2と磁性コア3が外部環境に露出されていない、そのため、物理的な衝撃によってコイル2や磁性コア3が損傷し難いし、外部環境の雰囲気によってコイル2や磁性コア3が錆び難い。
また、本発明のリアクトル1では、放熱板6が熱伝導性に優れる非磁性金属から構成されているため、リアクトル1から冷却ベースに効率的に放熱することができる。従って、本実施形態のリアクトル1は、放熱性に優れ、高周波・大電流で利用しても安定して動作する。
さらに、本発明のリアクトル1に備わる接着カバー5は、溶融接着性のカバー素材を溶融させるだけで得られるので、本発明のリアクトル1は生産性に優れる。
(リアクトルの製造方法)
次に、上述したリアクトル1の製造方法を図2、図3を参照して説明する。当該製造方法は、次の工程α〜γを備える。
[工程α]…組合体10を作製する。
[工程β]…溶融接着性のカバー素材50を用意し、そのカバー素材50により組合体10を覆った状態で、組合体10を放熱板6に載置する。
[工程γ]…カバー素材50を溶融させた後、硬化させることで、組合体10の外周を覆うと共に、組合体10と放熱板6とを接着する接着カバー5を形成する。
次に、上述したリアクトル1の製造方法を図2、図3を参照して説明する。当該製造方法は、次の工程α〜γを備える。
[工程α]…組合体10を作製する。
[工程β]…溶融接着性のカバー素材50を用意し、そのカバー素材50により組合体10を覆った状態で、組合体10を放熱板6に載置する。
[工程γ]…カバー素材50を溶融させた後、硬化させることで、組合体10の外周を覆うと共に、組合体10と放熱板6とを接着する接着カバー5を形成する。
[工程α]
組合体10は、図2に示すように、コイル2を用意し、そのコイル2に内側コア部31,31と外側コア部32,32を組み付けることで作製することができる。ここでは、内側コア部31は軟磁性粉末を樹脂で固めた樹脂成形体とし、外側コア部32は被覆を有する軟磁性粉末を加圧成形した圧粉成形体とした。そうすることで、内側コア部31の磁気特性と外側コア部32の磁気特性とを異ならせ、磁性コア3全体の磁気特性を調整し、高周波での使用において磁気飽和し難い磁性コア3とすることができる。
組合体10は、図2に示すように、コイル2を用意し、そのコイル2に内側コア部31,31と外側コア部32,32を組み付けることで作製することができる。ここでは、内側コア部31は軟磁性粉末を樹脂で固めた樹脂成形体とし、外側コア部32は被覆を有する軟磁性粉末を加圧成形した圧粉成形体とした。そうすることで、内側コア部31の磁気特性と外側コア部32の磁気特性とを異ならせ、磁性コア3全体の磁気特性を調整し、高周波での使用において磁気飽和し難い磁性コア3とすることができる。
内側コア部31,31と外側コア部32,32との組み付けの際、内側コア部31の周面に、溶融接着性のシートでできた周面カバー素材70を巻き付けておくと共に、内側コア部31の端面31eに、溶融接着性のシートでできた端面カバー素材71を貼り付けておく。なお、溶融接着性のシートの材料には、既に説明した接着カバー5と同じ材料を利用できる。
次に、コイル2にコア部31,31,32,32を組み付けたものを熱処理する。熱処理によって、周面カバー素材70は、内側コア部31とコイル素子2A(2B)とを接着させるコイル接着層となり、そのコイル接着層70は、コイル2と磁性コア3との相対的な位置関係を固定する。その結果、コイル接着層70によって、コイル2と磁性コア3の相対的な位置ずれを効果的に防止することができる。また、コイル接着層70は、コイル2と磁性コア3との間の絶縁を確保するボビンとしても機能する。なお、コイル接着層70は、少なくとも内側コア部31の下面(周面のうち、放熱板側の面)をコイル素子2A,2Bの貫通部の底面に接着するように形成されていれば良い。もちろん、コイル接着層70は、内側コア部31の周面全体をコイル素子2A,2Bの内周面に接着するように形成されていることが好ましい。
また、上記熱処理によって、端面カバー素材71は、内側コア部31の端面31eと外側コア部32の端面32eとを接着させるコア接着層となり、そのコア接着層71は、内側コア部31と外側コア部32との相対的な位置関係を固定する。その結果、コア接着層71によって、内側コア部31と外側コア部32の相対的な位置ずれを効果的に防止することができる。また、コア接着層71は、内側コア部31の端面31eと外側コア部32の端面32eとの間でギャップ材として機能する。
[工程β]
図3に示すように、放熱板6を用意し、その放熱板6の上に、シート型カバー素材51、組合体10、箱型カバー素材50の順に載置する。シート型カバー素材51と箱型カバー素材50が、後述する工程γを経て、図1に示すリアクトル1の接着カバー5となる。
図3に示すように、放熱板6を用意し、その放熱板6の上に、シート型カバー素材51、組合体10、箱型カバー素材50の順に載置する。シート型カバー素材51と箱型カバー素材50が、後述する工程γを経て、図1に示すリアクトル1の接着カバー5となる。
用意する放熱板6は、既に説明したようにアルミニウムなどの非磁性金属の板材とすれば良い。ここで、放熱板6の上面のうち、シート型カバー素材51が載置される領域の少なくとも一部は粗面化処理(例えば、ショットブラストや、エッチングなど)されていることが好ましい。このように放熱板6に粗面化領域を形成することで、当該領域上のシート型カバー素材51を熱処理したとき、当該領域の凹凸にシート型カバー素材51が入り込んで、放熱板6と接着カバー5(図1)の密着性が増す。また、放熱板6と接着カバー5(図1)の接触面積が増大するので、放熱板6と接着カバー5(図1)との間の伝熱効率が向上する。
シート型カバー素材51は、放熱板6の取付部60よりも小さく、組合体10の下面よりも大きい(組合体10の下面よりも小さくても良い)。シート型カバー素材51には、例えば、エポキシ樹脂にセラミックスフィラーを混合したものを利用することができる。
箱型カバー素材50は、金型などで樹脂を半硬化させて形成された部材であって、組合体10の外形にある程度沿った形状を有する。むしろ、組合体10への取り付け易さを考慮して、箱型カバー素材50の内部形状は、組合体10の外周面から少なくとも5mm以上の余裕を持った形にすることが好ましい。この箱型カバー素材50には、組合体10の端部2a,2bを挿通させる挿通孔50aが設けられており、箱型カバー素材50を組合体10に取り付け易くなっている。また、箱型カバー素材50には、工程γで熱処理する際に、箱型カバー素材50と組合体10との間の空気を抜くための空気孔50bが設けられている。なお、箱型カバー部材50の作製に使用する金型は、寸法精度の低い簡易な金型で構わない。
ここで、シート型カバー素材51と箱型カバー素材50とは同じ材料でできている必要はない。同じ材料とするにしても、材料の含有量を変えることもできる。例えば、エポキシ樹脂にセラミックスフィラーを混合した材料で両カバー素材50,51を形成し、シート型カバー素材51におけるセラミックスフィラーの含有量を、箱型カバー素材50におけるセラミックスフィラーの含有量よりも多くすることなどが挙げられる。そうすることで、強度に関しては箱型カバー素材50の方が優れ、放熱性と絶縁性に関してはシート型カバー素材51の方が優れる。
[工程γ]
放熱板6とカバー素材50,51と組合体10との組物を熱処理し、カバー素材50,51を溶融させる。その結果、カバー素材50,51が一体化すると共に、箱型カバー素材50が組合体10の外周形状に沿うように変形する。変形の際、箱型カバー素材50の空気孔50bから空気が抜け、カバー素材50が組合体10の外周面に密着する。熱処理を続ければ、今度はカバー素材50が硬化し始め、最後には組合体10の外周面にほぼ密着した接着カバー5が形成される(図1参照)。
放熱板6とカバー素材50,51と組合体10との組物を熱処理し、カバー素材50,51を溶融させる。その結果、カバー素材50,51が一体化すると共に、箱型カバー素材50が組合体10の外周形状に沿うように変形する。変形の際、箱型カバー素材50の空気孔50bから空気が抜け、カバー素材50が組合体10の外周面に密着する。熱処理を続ければ、今度はカバー素材50が硬化し始め、最後には組合体10の外周面にほぼ密着した接着カバー5が形成される(図1参照)。
上記熱処理の温度・時間は、カバー素材50,51の材質に何を用いるかによって適宜選択すれば良い。但し、本実施形態のようにカバー素材50,51としてエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂を使用する場合、当該樹脂の硬化温度まで一気に熱処理の温度を上げるのではなく、徐々に熱処理の温度を上げることが好ましい。カバー素材50,51が軟化して組合体10の外周面に十分に密着する前にカバー素材50,51が硬化することを防止するためである。
なお、熱処理にあたって、組合体10の外周面の形状に対応した内周面形状を有する加熱可能な押し金型を箱型カバー素材50の上から被せることで熱処理しても良い。押し金型には、注型成形に用いる成形型に比べて簡素なものを利用できる。この押し金型を用いることで、組合体10の外周面と接着カバー5の内周面とを密着させることができ、その結果、接着カバー5によるリアクトル1の放熱性を向上させることができる。また、放熱板6と組合体10とをシート型カバー素材51で接着した後、箱型カバー素材50を組合体10に被せて、カバー素材50,51を一体化させることで接着カバー5を形成しても良い。
(効果)
以上説明したリアクトルの製造方法によれば、簡単な熱処理によって組合体10を外部環境から保護する接着カバー5を作製することができる。
以上説明したリアクトルの製造方法によれば、簡単な熱処理によって組合体10を外部環境から保護する接着カバー5を作製することができる。
<実施形態2>
実施形態1と異なり、図2に示すシート型カバー素材51を用いずに接着カバーを形成しても良い。その場合、放熱板6上に直接組合体10を載置する、あるいは放熱板6上に接着剤を介して間接的に組合体10を載置する(補助的に図2を参照)。そして、放熱板6と組合体10との組物に箱型カバー素材50を被せ、熱処理を施す。その結果、放熱板6と組合体10の間に接着カバーが形成されていないリアクトルが作製される。
実施形態1と異なり、図2に示すシート型カバー素材51を用いずに接着カバーを形成しても良い。その場合、放熱板6上に直接組合体10を載置する、あるいは放熱板6上に接着剤を介して間接的に組合体10を載置する(補助的に図2を参照)。そして、放熱板6と組合体10との組物に箱型カバー素材50を被せ、熱処理を施す。その結果、放熱板6と組合体10の間に接着カバーが形成されていないリアクトルが作製される。
<実施形態3>
実施形態1と異なり、一枚のシート状のカバー素材のみを用いて接着カバーを形成しても良い。その場合、放熱板6上に組合体10を載置し、組合体10をラッピングするようにシート状のカバー素材を取り付ける(補助的に図2を参照)。そして、熱処理によってシート状のカバー素材を溶融させ、接着カバー5を完成させる。その他、大きめのシート状のカバー素材で組合体10全体を包み込み、シート状のカバー素材で包まれた組合体10を放熱板6に載置して熱処理しても良い。この実施形態3によれば、カバー素材の作製の際に金型を用いる必要がない。なお、カバー素材の熱処理にあたっては、押し金型を利用しても良い。押し金型を利用すれば、組合体10に対する接着カバー5の密着性を向上させることができるし、リアクトル1の外観を整えることができる。もちろん、カバー素材の熱処理に押し金型を利用しないという選択もできる。
実施形態1と異なり、一枚のシート状のカバー素材のみを用いて接着カバーを形成しても良い。その場合、放熱板6上に組合体10を載置し、組合体10をラッピングするようにシート状のカバー素材を取り付ける(補助的に図2を参照)。そして、熱処理によってシート状のカバー素材を溶融させ、接着カバー5を完成させる。その他、大きめのシート状のカバー素材で組合体10全体を包み込み、シート状のカバー素材で包まれた組合体10を放熱板6に載置して熱処理しても良い。この実施形態3によれば、カバー素材の作製の際に金型を用いる必要がない。なお、カバー素材の熱処理にあたっては、押し金型を利用しても良い。押し金型を利用すれば、組合体10に対する接着カバー5の密着性を向上させることができるし、リアクトル1の外観を整えることができる。もちろん、カバー素材の熱処理に押し金型を利用しないという選択もできる。
<実施形態4>
実施形態1〜3のリアクトル1は、例えば、車両などに載置されるコンバータの構成部品や、このコンバータを備える電力変換装置の構成部品に利用することができる。
実施形態1〜3のリアクトル1は、例えば、車両などに載置されるコンバータの構成部品や、このコンバータを備える電力変換装置の構成部品に利用することができる。
例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車といった車両1200は、図4に示すようにメインバッテリ1210と、メインバッテリ1210に接続される電力変換装置1100と、メインバッテリ1210からの供給電力により駆動して走行に利用されるモータ(負荷)1220とを備える。モータ1220は、代表的には、3相交流モータであり、走行時、車輪1250を駆動し、回生時、発電機として機能する。ハイブリッド自動車の場合、車両1200は、モータ1220に加えてエンジンを備える。なお、図4では、車両1200の充電箇所としてインレットを示すが、プラグを備える形態としても良い。
電力変換装置1100は、メインバッテリ1210に接続されるコンバータ1110と、コンバータ1110に接続されて、直流と交流との相互変換を行うインバータ1120とを有する。この例に示すコンバータ1110は、車両1200の走行時、200V〜300V程度のメインバッテリ1210の直流電圧(入力電圧)を400V〜700V程度にまで昇圧して、インバータ1120に給電する。また、コンバータ1110は、回生時、モータ1220からインバータ1120を介して出力される直流電圧(入力電圧)をメインバッテリ1210に適合した直流電圧に降圧して、メインバッテリ1210に充電させている。インバータ1120は、車両1200の走行時、コンバータ1110で昇圧された直流を所定の交流に変換してモータ1220に給電し、回生時、モータ1220からの交流出力を直流に変換してコンバータ1110に出力している。
コンバータ1110は、図5に示すように複数のスイッチング素子1111と、スイッチング素子1111の動作を制御する駆動回路1112と、リアクトルLとを備え、ON/OFFの繰り返し(スイッチング動作)により入力電圧の変換(ここでは昇降圧)を行う。スイッチング素子1111には、FET,IGBTなどのパワーデバイスが利用される。リアクトルLは、回路に流れようとする電流の変化を妨げようとするコイルの性質を利用し、スイッチング動作によって電流が増減しようとしたとき、その変化を滑らかにする機能を有する。このリアクトルLとして、上記実施形態に記載のリアクトル1を用いる。軽量で扱い易いこれらリアクトル1を用いることで、電力変換装置1100(コンバータ1110を含む)の軽量化を図ることができる。
ここで、上記車両1200は、コンバータ1110の他、メインバッテリ1210に接続された給電装置用コンバータ1150や、補機類1240の電力源となるサブバッテリ1230とメインバッテリ1210とに接続され、メインバッテリ1210の高圧を低圧に変換する補機電源用コンバータ1160を備える。コンバータ1110は、代表的には、DC−DC変換を行うが、給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160は、AC−DC変換を行う。給電装置用コンバータ1150のなかには、DC−DC変換を行うものもある。給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160のリアクトルに、上記実施形態や変形例のリアクトルなどと同様の構成を備え、適宜、大きさや形状などを変更したリアクトルを利用することができる。また、入力電力の変換を行うコンバータであって、昇圧のみを行うコンバータや降圧のみを行うコンバータに、上記実施形態のリアクトルなどを利用することもできる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
本発明のリアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池自動車といった車両に搭載される双方向DC−DCコンバータといった電力変換装置の構成部品に利用することができる。
1 リアクトル
10 組合体
2 コイル
2A,2B コイル素子 2r コイル素子連結部 2a,2b 端部
3 磁性コア
31 内側コア部 31e 端面
32 外側コア部 32e 端面
5 接着カバー
50 箱型カバー素材 50a 挿通孔 50b 空気孔
51 シート型カバー素材
6 放熱板 60 取付部 60H 挿通孔
70 周面カバー素材(コイル接着層)
71 端面カバー素材(コア接着層)
1100 電力変換装置
1110 コンバータ 1111 スイッチング素子 1112 駆動回路
L リアクトル
1120 インバータ
1150 給電装置用コンバータ 1160 補機電源用コンバータ
1200 車両
1210 メインバッテリ
1220 モータ
1230 サブバッテリ
1240 補機類
1250 車輪
10 組合体
2 コイル
2A,2B コイル素子 2r コイル素子連結部 2a,2b 端部
3 磁性コア
31 内側コア部 31e 端面
32 外側コア部 32e 端面
5 接着カバー
50 箱型カバー素材 50a 挿通孔 50b 空気孔
51 シート型カバー素材
6 放熱板 60 取付部 60H 挿通孔
70 周面カバー素材(コイル接着層)
71 端面カバー素材(コア接着層)
1100 電力変換装置
1110 コンバータ 1111 スイッチング素子 1112 駆動回路
L リアクトル
1120 インバータ
1150 給電装置用コンバータ 1160 補機電源用コンバータ
1200 車両
1210 メインバッテリ
1220 モータ
1230 サブバッテリ
1240 補機類
1250 車輪
Claims (13)
- コイルと、このコイルに挿通される磁性コアとの組合体、および前記組合体が載置される放熱板を備えるリアクトルであって、
前記組合体の外周を覆うと共に、前記組合体と前記放熱板とを接着する接着カバーを備え、
前記接着カバーは、溶融接着性のカバー素材を溶融させることで得られたことを特徴とするリアクトル。 - 前記接着カバーの一部が、前記組合体と前記放熱板との間に形成されている請求項1に記載のリアクトル。
- 前記接着カバーにおける前記組合体と前記放熱板との間に配置される部分とそれ以外の部分とで、物理的特性が異なる請求項2に記載のリアクトル。
- 前記磁性コアは、前記コイルの内部に配置される内側コア部と、前記コイルから露出する外側コア部と、を備え、
前記内側コア部の外周面と、前記コイルの内周面との間に、両者を接着させるコイル接着層を備える請求項1〜3のいずれか一項に記載のリアクトル。 - 前記磁性コアは、前記コイルの内部に配置される内側コア部と、前記コイルから露出する外側コア部と、を備え、
前記内側コア部の端面と、前記外側コア部の端面との間に、両者を接着させるコア接着層を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載のリアクトル。 - スイッチング素子と、前記スイッチング素子の動作を制御する駆動回路と、スイッチング動作を平滑にするリアクトルとを備え、前記スイッチング素子の動作により、入力電圧を変換するコンバータであって、
前記リアクトルは、請求項1〜5のいずれか一項に記載のリアクトルであることを特徴とするコンバータ。 - 入力電圧を変換するコンバータと、前記コンバータに接続されて、直流と交流とを相互に変換するインバータとを備え、このインバータで変換された電力により負荷を駆動するための電力変換装置であって、
前記コンバータは、請求項6に記載のコンバータであることを特徴とする電力変換装置。 - コイルに磁性コアを挿通した組合体を放熱板上に保持させるリアクトルの製造方法であって、
前記組合体を作製する工程αと、
溶融接着性のカバー素材を用意し、そのカバー素材により前記組合体を覆った状態で、前記組合体を前記放熱板に載置する工程βと、
前記カバー素材を溶融させた後、硬化させることで、前記組合体の外周を覆うと共に、前記組合体と前記放熱板とを接着する接着カバーを形成する工程γと、
を備えることを特徴とするリアクトルの製造方法。 - 前記工程βにおいて、シート状に形成したカバー素材を、前記組合体と前記放熱板との間に配置し、箱状に形成したカバー素材を、前記組合体の外周に被せる請求項8に記載のリアクトルの製造方法。
- 前記工程βにおいて、シート状に形成したカバー素材を、前記組合体と前記放熱板との間に配置し、シート状に形成した別のカバー素材を、前記組合体の外周に被せる請求項8に記載のリアクトルの製造方法。
- 前記工程βにおいて、前記組合体を前記放熱板上に載置した後、箱状又はシート状に形成したカバー素材を前記組合体の外周に被せる請求項8に記載のリアクトルの製造方法。
- 前記工程βにおいて、前記組合体の外周面全体をシート状に形成したカバー素材で包み、そのカバー素材で包まれた組合体を前記放熱板に載置する請求項8に記載のリアクトルの製造方法。
- 前記工程γにおいて、前記組合体の外周面の形状に対応した内周面形状を有する加熱可能な押し金型を用いてカバー素材を熱処理する請求項8〜12のいずれか一項に記載のリアクトルの製造方法。
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