JP2013218761A - 磁気記録媒体用ガラス基板の保持治具、磁気記録媒体用ガラス基板の加工装置、及び、磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体用ガラス基板の保持治具、磁気記録媒体用ガラス基板の加工装置、及び、磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法 Download PDF

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孝則 小橋
Tatsuya Yamasaki
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Abstract

【課題】ガラス基板の製造工程を増加させることなく、ガラス基板の主表面への傷の発生を抑制することができるガラス基板の保持治具を提供することを目的とする。
【解決手段】磁気記録媒体用ガラス基板に接触する保持面が樹脂のコーティング層により形成されており、前記樹脂は圧縮弾性率が2500MPa以上であることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の保持治具、磁気記録媒体用ガラス基板の加工装置および、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気記録媒体用ガラス基板の保持治具、磁気記録媒体用ガラス基板の加工装置、及び、磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法に関する。
磁気記録装置等に用いられる磁気記録媒体用基板としては、従来、アルミニウム合金基板が使用されてきた。しかしながら、近年、高記録密度化の要求に伴い、アルミニウム合金基板に比べて硬く、平坦性や平滑性に優れるガラス基板が主流となってきている。
磁気記録媒体用ガラス基板(以下、「ガラス基板」とも記載する)は、中心部に同心円状の開口部を有する円盤形状を有しており、ガラス素基板から係る形状に加工し、さらに端面部分や主表面部分について研磨等を行うことに製造される。ガラス基板の製造工程において、ガラス基板を固定する必要がある場合に、ガラス基板を保持、固定する保持治具が用いられている。
保持治具としては金属製ものが用いられており、ガラス基板を挟み込んで保持するものや、ガラス基板の片方の面から吸着することにより保持するものが知られており、ガラス基板を保持する際、ガラス基板は保持治具に所定の力により押しつけられることになる。このため、ガラス基板と保持治具との間にガラスカレット等の異物が混入した場合や、保持治具表面にバリ等の突起物が局所的に存在する場合に、ガラス基板の主表面部に傷が生じる場合があった。
ガラス基板の主表面部は、磁気記録媒体とした場合に記憶領域となる部分であるため、傷が生じた場合には主表面を研磨して傷を除去する必要があるが、研磨工程に時間がかかり生産性が低下するため問題であった。また、近年は生産性をより高めるため、研磨工程における研磨代(研磨量)が少なくなってきている。このため、深い傷が生じると研磨工程では傷を除去できず歩留まりが低下する原因となり問題であった。
このため、ガラス基板を保持治具により保持する際の傷の発生を抑制する方法について、従来から各種検討がなされてきた。例えば特許文献1には、ガラス基板の端面研削加工を行う前にガラス基板の表面に樹脂コーティング層を形成する方法が開示されている。
特開2003−030822号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、ガラス基板の端面研削加工の前後に樹脂コーティング層を形成、除去する工程が必要になるため、工程数が増加するという問題があった。
そこで、本発明は上記従来技術が有する問題に鑑み、ガラス基板の製造工程を増加させることなく、ガラス基板の主表面への傷の発生を抑制することができるガラス基板の保持治具を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明は、磁気記録媒体用ガラス基板に接触する保持面が樹脂のコーティング層により形成されており、前記樹脂の圧縮弾性率が2500MPa以上であることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の保持治具を提供する。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の保持治具によれば、ガラス基板の接触する保持面に所定の圧縮弾性率を有する樹脂のコーティング層が設けられているため、ガラス基板を保持した際に、ガラス基板表面への傷の発生を抑制することが可能になる。
本発明の第1の実施形態に係る磁気ディスク用ガラス基板の保持治具の説明図 本発明の第1の実施形態に係る磁気ディスク用ガラス基板の保持治具の説明図 本発明の第1の実施形態に係る磁気ディスク用ガラス基板の平坦度の測定方法の説明図 本発明の第2の実施形態に係る磁気記録媒体用ガラス基板の加工装置の説明図
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
[第1の実施形態]
本実施の形態では、本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の保持治具について説明を行う。
本発明の保持治具は、磁気記録媒体用ガラス基板に接触する保持面が樹脂のコーティング層により形成されており、前記樹脂の圧縮弾性率が2500MPa以上であることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の保持治具である。
まず、保持治具の構成例について図1、2を用いて説明する。図1(A)、図2(A)は保持治具の保持するガラス基板の主表面と垂直な面で切断した場合の断面図を示している。また、図1(B)、(C)、図2(B)はそれぞれの保持冶具のガラス基板と対向する面の構成例を示している。
本発明の保持治具は、ガラス基板を保持できるものであればよく、限定されるものではないが、例えば、図1(A)に示すように、保持治具が、上面側保持部材11と、下面側保持部材12から構成され、ガラス基板2をその主表面の両面側から挟み込む構成とすることができる。また、図2(A)に示すように、保持治具が、下面側保持部材12のみからなる構成とすることもできる。
図1(A)に示した保持治具の場合、上面側保持部材11と、下面側保持部材12とからなり、各保持部材(11、12)は、ベース部材(110、120)と、ベース部材のガラス基板2と接触する保持面について、樹脂によるコーティング層(111、121)が設けられている。
図1(B)に、図1(A)の下面側保持部材12のガラス基板と対向する面、すなわち、図1(A)のA−A´線での断面図を示す。
図1(B)では、保持治具のガラス基板2と対向する面が円形形状を有し、ガラス基板2と直接接触する保持面よりも凹んだ、凹部3を設けた構成を有しており、少なくともガラス基板と接触する部分には樹脂によるコーティング層121が設けられるように構成されている。
図1(B)に示すようにガラス基板と対向する面に凹部3を設けている場合、凹部3については、ガラス基板とは直接接触しないため、樹脂のコーティング層121を設ける必要はないが、設けることもできる。すなわち、各保持部材(11、12)のガラス基板と対向する面全面に樹脂によるコーティング層を設けておくこともできる。
また、図1(B)に示すように、ガラス基板と直接接触する面の一部にスリット6を設けることもできる。係る構成にすることによって、後述する真空吸着機構に接続された吸引孔4を凹部3の一部に設けた場合に凹部3の間が連通しているため、ガラス基板の全面について均一に吸着保持することができるので好ましい。スリット6を設ける場合、その深さについては特に限定されるものではなく、ガラス基板と直接接触する保持面よりも低ければよく、例えば、凹部3と同じ深さとすることができる。スリット部分についてもガラス基板とは直接接触しないため、樹脂のコーティング層を設ける必要はないが、設けておくこともできる。
さらに、下面側保持部材12の中央部に貫通孔5を設けることもできる、これは、ガラス基板2の内周端面部を加工する際に用いる加工装置の挿入口や、加工の際に用いた研磨液や、切り屑の排出口として用いることができる。
なお、形状、構成については、係る形態に限定されるものではなく、ガラス基板に対する加工の内容や、固定するガラス基板、または、加工後のガラス基板の形状により選択することができる。例えば、ガラス基板と対向する面の形状については、円形以外にも四角形等の多角形状とすることもできる。また、凹部3、スリット6や、貫通孔5を設けず、保持面を一つの平面により構成することもできる。
次に、図1(C)に図1(A)の上面側保持部材11のガラス基板と対向する面、すなわち、図1(A)のB−B´線での断面図を示す。
上面側保持部材11に関しても、保持冶具のガラス基板と対向する面が円形形状を有している。そして、ここでは、ガラス基板2と直接接触する保持面よりも凹んだ、凹部3を設けた構成を有しており、少なくともガラス基板と接触する部分には樹脂によるコーティング層111が設けられるように構成されている。また、その中央部には貫通孔5を設けられており、加工装置の挿入口として用いることができる。
係る形状、構成についても、下面側保持部材12の場合と同様に限定されるものではなく、ガラス基板に対する加工の内容や、固定するガラス基板、または加工後のガラス基板の形状により選択することができる。
上記のように各保持部材の形状は限定されるものではなく、例えば、下面側保持部材12にのみ凹部3を設け、上面側保持部材については、凹部3を有しない平面とすることもできる。ただし、上面側保持部材11と下面側保持部材12とでガラス基板を狭持した際にガラス基板に局所的に圧力が加わらないように形状、構成の組み合わせを選択することが好ましい。
また、図1(A)に示すように上面側保持部材11と下面側保持部材12によりガラス基板を挟み込んで保持する構成において、ガラス基板をより強く保持するため、下面側保持部材に真空吸着機構を設けておくこともできる。真空吸着機構とは、保持治具のガラス基板と対向する面に真空ポンプと接続された吸引孔を設けておき、ガラス基板を保持治具に吸着、保持するための機構を意味している。真空吸着機構を設ける場合には、ガラス基板2によってその吸引孔が直接塞がれないように、図1(B)に示したように、凹部3に吸引孔4を設けることが好ましい。
図2に示した保持治具は下面側保持部材12のみから構成されており、図1(A)、(B)に示した下面側保持部材12と同様の構成とすることができる。特に、図2に示した下面側保持部材12のみからなる保持冶具の場合、ガラス基板を挟み込んで固定するものではないため、ガラス基板を保持治具に固定できるように上記した真空吸着機構を設けていることが好ましい。
次に、本発明の保持治具の各構成について説明する。
本発明の保持治具は、上記の様に、ベース部材(110、120)のガラス基板と接触する面について樹脂のコーティング層を設けたものである。
ベース部材としては特に限定されるものではないが、強度、加工性の観点から金属により構成されていることが好ましく、例えば、ステンレス鋼等により構成することができる。その形状については、既に説明したように、ガラス基板を保持できるように構成されていれば良く、特に限定されるものではないが、例えば図1に示したような形状、構成とすることができる。また、上記の様に真空吸着機構を設ける場合にはその吸引孔を設けたり、保持したガラス基板に対して行う研削、研磨等の工作機械に対応した形状とすることが好ましい。
次に、ベース部材上に設けられる樹脂のコーティング層については、上記の様に圧縮弾性率が2500MPa以上の樹脂を用いている。
本発明の保持治具は、保持治具のガラス基板の接触する保持面について、上記樹脂のコーティング層を設けることにより、ガラス基板を保持した際に、ガラス基板の表面(保持治具と接触する部分)への傷の発生を抑制するものである。
これは、用いる樹脂の圧縮弾性率が上記範囲にある場合、クッション性を有するため、ガラス基板と保持治具との間にガラスカレット等の異物が挟まった場合でも、ガラス基板を保持している間は、ガラス基板表面に主平面の研磨工程で除去できないような深い傷をつけること無く、コーティング層内に異物を保持することができる。そして、コーティング層の樹脂は2500MPa以上の圧縮弾性率を有しているため、ガラスカレット等の異物をコーティング層内に強固に保持することなく、ガラス基板の加工終了後、ガラス基板を保持治具から除去した後にコーティング層内に保持されている異物がコーティング層から外れやすく、ガラスカレット等の異物がコーティング層内に残存しにくい。このため、保持治具を用いて連続的に保持した複数のガラス基板に、コーティング層内に強固に保持されたガラスカレット等の異物起因で傷が発生してしまう不具合を抑制できる。
樹脂の圧縮弾性率の上限値については特に限定されるものではなく、樹脂であれば用いることができるが、8000MPa以下であることが好ましい。
用いる樹脂の種類としては、上記圧縮弾性率を充足するものであれば限定されるものではなく、ガラス基板と接触する上記ベース部材上の保持面にコーティングできるものであればよい。例えば、ポリエーテルスルフォン樹脂(PES)、ポリフェニレンスルファイド樹脂(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)の中から選択される一種以上の樹脂を好ましく用いることができる。
なお、用いる樹脂は1種類に限定されるものではなく、設ける場所により異なる樹脂により構成することや、コーティング層を異なる複数の樹脂層の積層構造とすることもできる。例えば図1のように、保持冶具が2つの保持部材からなる場合、上側保持部材の保持面に設けたコーティング層と、下側保持部材の保持面に設けたコーティング層を異なる樹脂により構成することもできる。
樹脂のコーティング層の厚さ(厚み)としては特に限定されるものではなく、用いる樹脂の種類や、保持治具の保持面の広さ等により選択することができる。例えば、5μm以上30μm以下であることが好ましく、10μm以上30μm以下であることがより好ましく、10μm以上25μm以下であることが特に好ましい。
これは、樹脂のコーティング層が薄すぎると、コーティング層とガラス基板の間に異物が入った場合に、ガラス基板を傷つけないようにコーティング層内に異物を保持することができず、異物がガラス基板と強く接触してしまいガラス基板にキズを発生させるおそれがある。また、樹脂のコーティング層が厚すぎると、コーティング層が剥離しやすい、ガラス基板を安定して保持することが難しくなりガラス基板の加工精度に影響を及ぼす、などのおそれがある。
樹脂のコーティング層が形成された保持面の平坦度は40μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましく、10μm以下であることが特に好ましい。
これは、平坦度が悪いと、ガラス基板を保持した際にガラス基板に傾きが生じ、保持されたガラス基板を回転させながら加工する際にガラス基板に面振れが発生し、ガラス基板を高い精度で加工することが難しくなる、ガラス基板の加工面にチッピングが発生する、ガラス基板の研削加工に用いる砥石などの部材の寿命が短くなる(砥石交換による生産性の低下、コスト高となる)、といった不具合が発生するおそれがある。また、平坦度が悪いと、ガラス基板を保持した際にガラス基板に局所的な圧力がかかり、ガラス基板の傷や割れの原因となるおそれもある。
特に、真空吸着機構を有する保持部材、例えば図1(A)、図2(A)に示した下面側保持部材12に真空吸着機構を設けた場合、真空吸着機構を有する保持面の平坦度が大きいと、ガラス基板に対して研磨等の加工を行う際にガラス基板の振れ(面振れ)が大きくなる。このため、ガラス基板の加工面にチッピング(欠け)が発生するおそれがあり、また、ガラス基板に対して加工を行う部材、例えば砥石の寿命が短くなる場合がある。従って、特に吸着機構を有する保持治具(保持部材)における樹脂のコーティング層が形成された保持面の平坦度は小さいことが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
また、真空吸着機構を有さない保持部材、図1(A)の場合であれば上面側保持部材に関しても、上記の様に樹脂のコーティング層が形成された保持面の平坦度が大きいと、ガラス基板を保持した際にガラス基板に局所的な圧力がかかる場合がある。このため、その平坦度は30μm以下とすることがより好ましい。
ここで保持面の平坦度とは、コーティング層の面方向(幅方向)中央部についてダイヤルゲージにより、保持治具の保持面の(例えば、一周)を測定した場合の最低部と最高部の高さの差を意味している。なお、図1(B)のようにスリット部31を設けた場合には、スリット部6については測定対象には含めない。
図3を例に具体的に説明する。図3(A)〜(C)はいずれも保持治具のガラス基板と対向する面の構成例を示したものである。図3(A)は、図1(B)で説明したものと同様の形状を有しており、樹脂のコーティング層121が凹部3により3箇所に分かれて配置されている。また、樹脂のコーティング層のうち中心部側に設けられた2箇所についてはスリット6が設けられ、それぞれ2つに分割された形状を有している。図3(B)は、凹部3によって樹脂のコーティング層121が2箇所に分かれて配置されている。図3(C)は中央部にのみ凹部を有しており、コーティング層は1つからなる場合を示している。
例えば、図3(A)に示すように、樹脂のコーティング層が複数箇所に分かれている場合には、それぞれのコーティング層について平坦度を測定し、3箇所のコーティング層のうち、平坦度の大きいものを係る保持治具の平坦度とする。
具体的には最外周側の樹脂のコーティング層は、その面方向の幅aの中央部を通る図中、点線31で示した部分(一周)についてダイヤルゲージにより平坦度を測定する。そして、中央部の樹脂のコーティング層についても同様に、その面方向の幅bの中央部を通る点線32で示した部分(スリット6部分を除いた一周)について平坦度の測定を行う。この場合、スリット6部分については測定の対象とはしない。同様にして中心側の樹脂のコーティング層についてもその面方向の幅cの中央部を通る図中点線33で示した部分(スリット6部分を除いた一周)についてダイヤルゲージにより平坦度を測定する。この場合もスリット6部分については測定対象とはしない。
以上の3箇所の測定結果から、最も大きい平坦度の値が保持冶具の平坦度となる。例えば、最外周側のコーティング層の平坦度が最も大きい場合には、外周側のコーティング層の平坦度が該保持治具の平坦度となる。
次に図3(B)の場合については樹脂のコーティング層が凹部3により2箇所に分かれていることから、各同様に外周側の樹脂のコーティング層はその面方向の幅dの中央部を通る図中点線34で示した部分(一周)について測定する。さらに、内周側の樹脂コーティング層についてはその面方向の幅eの中央部を通る図中点線35で示した部分(一周)について測定し、平坦度の大きい方の値を保持冶具の平坦度とする。
図3(C)の場合は、1つのコーティング層からなるため、該コーティング層について、面方向の幅fの中央部を通る点線36で示した部分(一周)についてダイヤルゲージにより平坦度を測定し、その値を保持治具の平坦度とすることができる。図3(C)のように面方向の幅fが広い場合、幅方向の中央部を通る線に沿って測定する以外に、複数の箇所についてダイヤルゲージにより平坦度を測定し、大きい平坦度の値を係る保持治具の平坦度としてもよい。例えば点線36よりも内側および/または外側の領域について点線36と同心円の線に沿って一周の平坦度を測定し、最も大きい値を該保持冶具の平坦度とすることができる。
なお、平坦度の測定の際には上記のように各コーティング層の中央部を通る線に沿って測定するのに加えて、係る中央部を通る直線よりも外側の領域でも平坦度を測定し、最も大きい値を平坦度とすることが好ましい。例えば図3(A)の場合、各コーティング層内で、31、32、33の点線よりも外側の、各点線と同心円の線に沿って、スリットを除く一周の平坦度を測定し、点線31、32、33に沿って測定した値とあわせて最も大きい値を該保持冶具の平坦度とすることが好ましい。
保持面の平坦度は、樹脂のコーティング層を設ける際に調整することもできるが、ベース材表面の平坦度を反映し易いため、ベース材表面の平坦度を予め目標とする平坦度以下に調整しておくことが好ましい。ベース材の平坦度については、機械加工の精度を調整することにより容易に調整することができる。
樹脂のコーティング層を形成する方法については特に限定されるものではなく各種樹脂膜の形成方法により形成することができ、例えば、スプレーコート法、ウェットディップコート法、スピンコート法、静電粉体法などにより形成することができる。特に、所望の厚さで均一な膜を形成しやすいことから、スプレーコート法により成膜することが好ましい。樹脂のコーティング層を形成する際は、コーティング層の耐剥がれ性の向上の観点から、1回の成膜で所望の厚さのコーティング層とすることが好ましいが、いずれの方法においても所望の厚さになるまで、樹脂を繰り返し塗布、乾燥することにより所望の厚さのコーティング層とすることができる。
本発明の保持治具は、ガラス基板の切断工程、研削工程、研磨工程等で使用されることが多いことから、研削液(クーラント液ともいう)や研磨液に接触する機会が多い。例えば、研削液は一般的にアルカリ性を有することから、保持治具の耐久性を高めるため、樹脂のコーティング層の少なくとも表面部分は耐アルカリ性を有することが好ましい。
耐アルカリ性の程度については特に限定されるものではなく、用いる研削液のpHや、保持治具の交換の頻度等により選択することができるが、例えばpH10の溶液に対する耐久性に優れることが好ましい。すなわち、コーティング層の表面部分をpH10の溶液に長時間浸漬した場合でも劣化(樹脂のコーティング層が膨潤する、樹脂のコーティング層が剥がれる、など)しない樹脂からなることが好ましい。
[第2の実施形態]
本実施形態では、第1の実施形態で説明した磁気記録媒体用ガラス基板の保持治具で、磁気記録媒体用ガラス基板を保持し、前記磁気記録媒体用ガラス基板の加工を行う磁気記録媒体用ガラス基板の加工装置について説明する。
本実施形態で説明する磁気記録媒体用ガラス基板の加工装置によれば、第1の実施形態で説明した磁気記録媒体用ガラス基板の保持治具を用いているため、ガラス基板を保持した際に、ガラス基板表面への深い傷の発生を抑制することが可能になる。このため、磁気記録媒体用ガラス基板の製造工程に用いた場合、生産性を高め(例えば、研磨工程において研磨量を少なくすることができる。)、製品の歩留まりを向上させることが可能になる。以下に具体的に説明する。
まず、ガラス基板の加工装置の種類については特に限定されるものではなく、ガラス基板を保持してガラス基板の加工を行う装置であればあらゆるものを包含するが、例えばガラス基板の形状加工装置(例えば、コアリング装置)、ガラス基板の端面研削装置が挙げられる。
形状加工装置(例えば、コアリング装置)とは、ガラス素基板から、磁気記録媒体用のガラス基板の形状、すなわち、中心部に同心円状の開口部を有する円盤形状のガラス基板に形状付与するための装置である。この場合、保持治具は、例えば図2に示したように下面側保持部材のみからなることが好ましく、ガラス基板を確実に保持するため真空吸着機構を備えていることが好ましい。
また、ガラス基板の端面研削装置とは、形状付与されたガラス基板の外周端面部および/または内周端面部について研削加工する装置である。その構成例について、図4を用いて説明する。係る端面研削装置は、ガラス基板の保持治具41によりガラス基板42を保持しつつ、ガラス基板の端面部分について、外周端面研削砥石43、内周端面研削砥石44により研削するものである。この際、ガラス基板42と、外周端面研削砥石43および内周端面研削用砥石44とが接触した状態でそれぞれを回転することにより、ガラス基板の端面部分の研削、面取りを行うものである。
なお、ガラス基板については保持治具41が回転することにより回転する。また、外周端面または内周端面のいずれかのみを研削する場合には、外周端面研削砥石43、内周端面研削用砥石44の対応するいずれか一方のみを設けた構成とすることもできる。
図4では、保持治具41として上面側保持部材412と下面側保持部材411とからなる例を用いて説明したが、係る形態に限定されるものではなく、下面側保持部材411のみからなる構成としても良いが、ガラス基板を加工する時にガラス基板の側面方向から力が加わるため、図4のようにガラス基板の上下方向から保持する形態が好ましい。また、ガラス基板をより強く固定するために下面側保持部材411については真空吸着機構を備えていることが好ましい。
さらに、上記の様にガラス基板の端面研削装置においては、ガラス基板の側面方向から力が加わるため、研削加工時にガラス基板の位置が変位しないよう、横方向からの力に対する抵抗力を有することが好ましい。これは保持治具の保持力、すなわち、ガラス基板を2つの保持部材により挟み込む力や、吸着保持機構の吸着力等を調整することにより行うことができる。例えば、保持治具にガラス基板を保持し、研削砥石43、44は設けない状態で、ガラス基板の側面部に垂直な方向から力を加えた場合に、ガラス基板に加える力が29.4N(3kgf)以上になるまで、ガラス基板が変位しないよう保持治具の保持力を調整していることが好ましい。
また、上記した磁気記録媒体用ガラス基板の加工装置においては、磁気記録媒体用ガラス基板の保持治具の保持面を洗浄する洗浄手段を有することが好ましい。これは、ガラス基板の加工装置(例えば上記した形状加工装置(例えば、コアリング装置)や、端面研削装置)においては、ガラス基板(ガラス素基板)を切断、研削等する工程を含むため、ガラスカレットが発生したり、また、異物が混入したりする場合がある。
第1の実施形態で説明したように本発明のガラス基板の保持治具によれば、ガラスカレット等が、保持治具の保持面と、ガラス基板との間に混入した場合でも、ガラス基板への深い傷の発生を抑制することができる。しかし、ガラス基板の加工装置が上記の様に保持治具の保持面を洗浄する洗浄手段を有することによって、より確実にガラスカレット等を除去できるため、ガラス基板への傷の発生をより低減することが可能になるためである。
洗浄手段としては特に限定されるものではないが、上記した形状加工装置(例えば、コアリング装置)や、端面研削装置においては、装置を運転する際、研削液が用いられていることから研削液により保持治具の保持面を洗浄する構成であることが好ましい。
この場合、装置の通常運転時に用いる研削液の供給配管、ノズルにより、保持治具の保持面に研削液を供給する構成とすることもできるが、別途洗浄用の供給配管、ノズル等を設けることもできる。
[第3の実施形態]
本実施の形態では、第2の実施形態で説明した磁気記録媒体用ガラス基板の加工装置を用いた加工工程を有する磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法について説明する。
磁気ディスク用ガラス基板は以下の工程1〜4を含む製造方法により、製造できる。
(工程1)ガラス素基板から、中央部に中央開口部(円孔)を有する円盤形状のガラス基板に加工する工程
(工程2)内周端面と外周端面を面取り加工する工程。
(工程3)ガラス基板の端面(内周端面及び外周端面)を研磨する端面研磨工程。
(工程4)前記ガラス基板の主表面を研磨する主表面研磨工程。
(工程5)前記ガラス基板を精密洗浄して乾燥する洗浄工程。
そして、上記各工程を含む製造方法により得られた磁気ディスク用ガラス基板はその上に磁性層などの薄膜を形成する工程をさらに行うことによって、磁気ディスク(磁気記録媒体)とすることができる。
ここで、(工程1)の形状付与工程は、フロート法、フュージョン法、プレス成形法、ダウンドロー法またはリドロー法で成形されたガラス素基板を、中央部に中央開口部(円孔)を有する円盤形状のガラス基板に加工するものである。なお、用いるガラス素基板は、アモルファスガラスでもよく、結晶化ガラスでもよく、ガラス基板の表層に強化層を有する強化ガラスでもよい。
そして、(工程2)において、工程1で得られた円盤形状のガラス基板の内周端面と外周端面について研削加工し、面取りを行う工程である。
そして、(工程3)の端面研磨工程は、ガラス基板の端面(側面部と面取り部)を端面研磨するものである。
(工程4)の主表面研磨工程については、両面研磨装置を用い、ガラス基板の主表面に研磨液を供給しながらガラス基板の上下主表面を同時に研磨するものである。研磨工程は、1次研磨のみでもよく、1次研磨と2次研磨を行うものでもよく、2次研磨の後に3次研磨を行うものでもよい。
上記(工程5)の主表面研磨工程の前において、主表面のラップ(例えば、遊離砥粒ラップ、固定砥粒ラップなど)を実施してもよい。また、各工程間にガラス基板の洗浄(工程間洗浄)やガラス基板表面のエッチング(工程間エッチング)を実施してもよい。なお、主表面のラップとは広義の主表面の研磨である。
さらに、磁気ディスク用ガラス基板に高い機械的強度が求められる場合、ガラス基板の表層に強化層を形成する強化工程(例えば、化学強化工程)を研磨工程前、または研磨工程後、あるいは研磨工程間で実施してもよい。
そして、本実施形態においては、上記磁気記録媒体用ガラス基板において、その加工装置として、第2の実施形態で説明した磁気記録媒体用ガラス基板の加工装置を用いるものである。
具体的に係る磁気記録媒体用ガラス基板の加工装置を用いる工程は限定されるものではなく、いずれかの工程において用いられていれば良い。例えば、工程1のガラス素基板から円盤形状のガラス基板に加工する工程において第2の実施形態で具体的に説明した形状加工装置(例えば、コアリング装置)を用いたり、工程2の面取り加工を行う際、第2の実施形態で具体的に説明した端面研削装置を用いることができる。
磁気ディスク用ガラス基板の製造工程において、第2の実施形態で説明した磁気記録媒体用ガラス基板の加工装置を用いた加工工程を有することによって、ガラス基板を保持した際に、ガラス基板表面への深い傷の発生を抑制することが可能になる。このため、磁気記録媒体用ガラス基板の製造工程において、ガラス基板の研磨量を少なくすることができるため、生産性を高め、製品の歩留まりを向上させることが可能になる。
以下に具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例では、図4に示した、本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の保持治具を備えた端面研削装置を用いて、磁気記録媒体用ガラス基板の端面研削を行い、磁気記録媒体用ガラス基板の保持治具の性能評価を行った。具体的な実験条件、評価条件について以下に説明する。
(1)磁気記録媒体用ガラス基板保持治具
本実施例では、図1に示した形状の磁気記録媒体用ガラス基板保持治具を用い、保持面に設けたコーティング層111、121の条件を実験例ごとに変化させた以外は同様にしてガラス基板の端面研削を行い、評価を行った。
保持治具のガラス基板と対向する面は直径63.5mmであり、中央部に直径21.5mmの凹部が、さらに中央部に貫通孔が設けられている。
そして、下面側保持部材は図1(B)のように幅5〜6mm、深さ0.5mmの凹部3により、ガラス基板の保持面が3箇所に分けられており、下面側保持部材については係る凹部に真空ポンプと接続された吸引孔4が設けられている。なお、図1(B)に示すように中心側の2つのガラス基板の保持面には幅3mmのスリット6が設けられている。
また、上面側保持部材11についてもガラス基板と接触する面が、すなわち、図1(C)に示す形状を有するものを用いている。上面側保持部材についてはスリット6、吸引孔4が設けられていない点以外は上記下面側保持部材と同様の構成となっている。
そして、下面側保持部材12の保持面に対して、ガラス基板を配置して真空吸着機構でガラス基板を吸着し、上面側保持部材11を392N(40kgf)の力で押し当てた状態で端面研削加工を行っている。
以下、各実験例におけるガラス基板保持治具の保持面に設けたコーティング層121の条件について説明する。なお、同じ実験例においては、上面側保持部材、下面側保持部材共に同じ条件でコーティング層を形成している。例1〜5が実施例であり、例6、7が比較例となっている。
(例1)
コーティング層の樹脂としては圧縮弾性率が2500MPaのポリエーテルスルフォン樹脂(PES)を用いており、スプレーコート法により、図1(B)、(C)に示す形状を有するステンレス製のベース材上に、コーティング層の膜厚が22μmになるように成膜した。
なお、ここでいう、圧縮弾性率とはJISK7181に規定された方法により、用いる樹脂について予め測定したものである。また、平坦度の測定方法については第1の実施形態で説明した方法により測定を行った。具体的には、下側保持部材の場合であれば図3(A)に示すように、各コーティング層の面方向の幅の中央部を通る線に沿ってスリット部を除く一周についてダイヤルゲージにより平坦度の測定を行い、最も大きな平坦度の値を該保持部材の平坦度とした。また、上側保持部材の場合は、凹部によって3つに分かれた各コーティング層の面方向の幅の中央部を通る線に沿った一周についてダイヤルゲージにより平坦度の測定を行い、最も大きな平坦度の値を該保持部材の平坦度とした。
成膜後の保持治具の保持面について平坦度を測定したところ、上側保持部材は9μm、下側保持部材は8μmであった。
(例2)
コーティング層の膜厚を23μmとした以外は例1と同様にしてベース材上にコーティング層を成膜した。
成膜後の保持治具の保持面について平坦度を測定したところ、上側保持部材は20μm、下側保持部材は8μmであった。
(例3)
コーティング層の膜厚を30μmとした以外は例1と同様にしてベース材上にコーティング層を成膜した。
成膜後の保持治具の保持面について平坦度を測定したところ、上側保持部材は40μm、下側保持部材は25μmであった。
(例4)
コーティング層の膜厚を45μmとした以外は例1と同様にしてベース材上にコーティング層を成膜した。
成膜後の保持治具の保持面について平坦度を測定したところ、上側保持部材は45μm、下側保持部材は42μmであった。
(例5)
コーティング層の膜厚を4μmとした以外は例1と同様にしてベース材上にコーティング層を成膜した。
成膜後の保持治具の保持面について平坦度を測定したところ、上側保持部材は15μm、下側保持部材は8μmであった。
(例6)
コーティング層の樹脂として、圧縮弾性率が350MPaのテトラフルオロエチレン(PFA)を用い、その膜厚を30μmとした以外は例1と同様にベース材上にコーティング層を形成した。
成膜後の保持治具の保持面について平坦度を測定したところ、上側保持部材は15μm、下側保持部材は10μmであった。
(例7)
コーティング層を設けず、ベース材のまま保持治具とした。
保持治具の保持面について平坦度を測定したところ、上側保持部材は8μm、下側保持部材は5μmであった。
(2)評価方法
端面研削工程後の磁気記録媒体用ガラス基板の端面部、主表面の評価方法、及び、砥石の寿命の評価方法について説明する。
(磁気記録媒体用ガラス基板の端面部の欠陥発生率の評価方法)
端面研削加工(面取り加工)を行った磁気記録媒体用ガラス基板500枚について、洗浄後、端面部分(内周及び外周の端面部分)について目視で、欠陥(欠け)が発生しているガラス基板の枚数を調べた。
500枚のガラス基板について、端面部分に上記欠陥が発生しているガラス基板の発生率が3%未満の場合をA、3%以上5%以下の場合をB、5%よりも多い場合をCとして判定した。
(磁気記録媒体用ガラス基板の主表面部のキズ発生率の評価方法)
端面研削加工(面取り加工)を行った磁気記録媒体用ガラス基板4000枚について洗浄後、主表面部分について目視で、5μm以上の深さの傷が発生したガラス基板の枚数を調べ、4000枚中のキズの発生率を算出した。
(砥石の寿命の評価)
同じ砥石を用いて研削できるガラス基板の枚数をカウントした。本実験例では外周端面研削砥石について評価を行った。
目視及び顕微鏡でガラス基板の研削面を確認し、端面に欠け、微小凹凸の存在が5枚以上続けて確認された時点でその砥石を寿命と判断した
同じ砥石で4000枚以上のガラス基板について研削加工できたものについてはA、4000枚未満のものについてはBとして判定した。
(3)実験手順
磁気記録媒体用ガラス基板の端面部の欠陥発生率の評価は、ガラス素基板から、外径66mm、内径19mm、厚さ1.28mmの中央部に円孔を有する円盤形状のガラス基板に加工したものを、図4に示す加工装置により、その内外周端面部について研削加工して実施した。
磁気記録媒体用ガラス基板の主表面部のキズ発生率の評価、砥石の寿命の評価は、ガラス素基板から、外径65mm、内径20mm、厚さ0.64mmの磁気ディスク用ガラス基板が得られるようにガラス素基板から加工を行ったものを、図4に示す加工装置により、その内外周端面部について研削加工して実施した。
この際用いた保持治具としては、上記した各実験例の条件のものを用いており、端面研削加工を行った後に、得られたガラス基板、また、用いた砥石について上記の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2013218761
表1の結果によると、比較例である、例6、7に比べて、実施例である例1〜5については主表面部へのキズの発生率が低くなっていることを確認できた。
これは、例6の場合、保持面に設けたコーティング層の樹脂の圧縮弾性率が小さいため、ガラスカレット等の異物がガラス基板と保持冶具との間に入り込んだ場合に、コーティング層に埋没してコーティング層内に強く保持されるため、ガラスカレット等の異物をコーティング層系外に排出することができず、異物がコーティング層に入り込んだ以降の複数のガラス基板の主表面にキズを発生させたものと考えられる。また、例7の場合、保持面が金属(ステンレス鋼)であるため、保持面にバリ等の突起物が発生しやすく、ガラス基板表面にキズを発生させるため、また、ガラス基板と保持面との間に入り込んだガラスカレット等によりガラス基板の主表面部分にキズが生じたため、と考えられる。
また、実施例である例1〜5の中でも、樹脂のコーティング層の膜厚が、5μm以上30μm以下である、例1〜3については特に主表面のキズの発生率が低くなっていることが確認できた。これは、コーティング層が係る範囲の膜厚、及び平坦度を有しているため、ガラスカレット等の異物の保持能が適切となり、また、ガラス基板保持時の圧力が均一となったためと考えられる。
さらに、実施例である例1〜5の中でも上側保持部材と下側保持部材の平坦度が特に小さくなっている例1、2は、端面の欠陥発生率の評価がAであり、砥石の寿命がAとなっていることがわかる。
これは、例1、2は平坦度が特に小さいため、ガラス基板に対して研削加工を行う際にガラス基板の振れ(面振れ)がほとんど発生せず、ガラス基板の加工面にチッピング(欠け)の発生を抑制できたものと考えられる。砥石の寿命に関しても、例1、2においてはガラス基板の振れがほとんど発生しないため、砥石に対して悪影響を与えることがなく、寿命が長くなったものと考えられる。
2 磁気記録媒体用ガラス基板
111、121 樹脂のコーティング層

Claims (7)

  1. 磁気記録媒体用ガラス基板に接触する保持面が樹脂のコーティング層により形成されており、
    前記樹脂は圧縮弾性率が2500MPa以上であることを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の保持治具。
  2. 前記樹脂のコーティング層は、厚みが5μm以上30μm以下である、請求項1に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の保持治具。
  3. 前記樹脂のコーティング層が形成された保持面は平坦度が40μm以下である、請求項1または2に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の保持治具。
  4. 前記樹脂はポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂の中から選択される一種以上の樹脂である請求項1乃至3いずれか一項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の保持治具。
  5. 請求項1〜4いずれか一項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の保持治具で、磁気記録媒体用ガラス基板を保持し、前記磁気記録媒体用ガラス基板の加工を行う磁気記録媒体用ガラス基板の加工装置。
  6. 前記磁気記録媒体用ガラス基板の加工装置は、前記磁気記録媒体用ガラス基板の保持治具の保持面を洗浄する洗浄手段を有する請求項5に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の加工装置。
  7. 請求項5または6に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の加工装置を用いた加工工程を有する磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
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