JP2013213777A - インジェクター及び液体クロマトグラフィの条件決定支援装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】試料の溶解に極性有機溶媒を使用した場合にも有効に使用することができる条件決定支援装置を提供すること、及び、極性有機溶媒による液体クロマトグラフィの分離能への悪影響を抑えることができるインジェクターを提供する。
【選択図】図9
Description
前記シリンダーは、使用できる極性有機溶媒の体積の最大量が表示されたものであることが好ましい。
前記極性有機溶媒トラップ体積は、
前記極性有機溶媒トラップ体積は、
本発明の液体クロマトグラフィの条件決定支援装置は、試料の溶解に極性有機溶媒を使用した場合にも有効に使用することができるものである。
(インジェクター)
本発明のインジェクターは、充填剤が充填されたシリンダーを有し、充填剤として極性有機溶媒吸着能を有する乾燥充填剤を使用するものである。すなわち、このような乾燥充填剤によって極性有機溶媒を吸着することで、極性有機溶媒の分離カラムへの流入を防止し、極性有機溶媒の分離能への影響を防止するものである。
すなわち、インジェクトカラムに吸着可能な極性有機溶媒の量は予測される量であることから、試料液の体積に応じて使用するインジェクターのサイズを選択することで、より好適な分離を図ることができる。
Vinj:インジェクター容量
a,b:極性有機溶媒種と充填剤種により決まる定数
なお、このような関係を示すグラフを図12に示した。
本発明の液体クロマトグラフィの条件決定支援装置は、負荷量算出手段及び負荷量算出手段で求められた負荷量を出力する負荷量出力手段を備え、前記負荷量算出手段は分離カラムの理論段数と負荷量との関係の極性有機溶媒量による変化をパラメータとして含むものである。すなわち、上述したような、試料液中に存在する極性有機溶媒による負荷量への影響を考慮して負荷量を算出することで、より高精度で液体クロマトグラフィの条件決定の支援を行うことができるものである。
本発明の液体クロマトグラフは、複数の成分について、薄層クロマトグラフィを行ったときの各成分の移動度Rf値の実測値を入力するための実測値入力手段と、この実測値入力手段で入力された移動度Rf値における、液体クロマトグラフィのカラムへの試料の負荷量を求めるための負荷量算出手段と、この負荷量算出手段で求められた負荷量を出力する負荷量出力手段と、を備えるものであることが好ましい。
従来技術においては、理論段数Nを算出した後に負荷量との関係を求める際、理論段数Nと負荷量を求めていた。すなわち、2次元的な解析によって負荷量を求めていた。本発明においては、これらに加えて極性有機溶媒量V0を加えた三次元的な解析によって負荷量を求める点が特徴となる(図7)。以下、より具体的に、本発明においての負荷量の算出方法について詳述する。
上記の式は、薄層クロマトグラフィと液体クロマトグラフィとを具体的に関係付ける重要な式として知られている。
の直線となり、ある値から
の関係を満たすものとなる。
上述した式(10)、式(11)で示した関係式は、極性有機溶媒量の影響を考慮しないものである。しかし、現実には試料液が極性有機溶媒を含有する場合、この関係式への影響を生じてしまうものである。図8に示したように、極性有機溶媒を試料液において使用しない場合はグラフ91のような関係を示すカラムにおいて、例えば、極性有機溶媒2mlを使用した場合、グラフ92のような関係を示すものとなる。
と修正することができる。
この関係を図10として示す。図10は、図8、9に示したような負荷量と理論段数との関係を示すグラフにおいて、グラフが負荷量を示す軸と平行になる領域における理論段数Nの対数値と極性有機溶媒量V0との関係を示すものである。
と修正することができる。
図9のグラフにおいてV0=2mlの場合、式(12)(13)にV0=2mlを代入することで、極性有機溶媒量による修正を加えた所定の式を求めることができる。これをグラフとして表わすと、図8中の破線で示されたグラフ102のような関係であることが明らかとなる。このような関係に基づいて理論段数(上述した例の場合はN=86)に対応した負荷量(上述した例の場合は0.25g)を知ることができる。
本発明の条件決定支援装置においては、第1の本発明のインジェクターを使用した場合の負荷量への影響も考慮して算出式を得ることもできる。
上述したように、本発明のインジェクターは、極性有機溶媒を吸着することによって分離カラムの分離能力低下を防止するという効果を有するものである。よって、このようなインジェクターの機能もまた、上記式に対して影響を与えるものであることから、この点も考慮する必要がある。
であることが明らかとなった。この場合のNとV0との関係を示すグラフを図11に示した。なお、図11には、Vmax=2mlである場合について示している。図11は、図10と同様、図8、9に示したような負荷量と理論段数との関係を示すグラフにおいて、グラフが負荷量を示す軸と平行になる領域における理論段数Nの対数値と極性有機溶媒量V0との関係を示すものである。
このような関係について、図9においてグラフ104,105,106としてVmax=2mlの場合の関係式を示した。
以上に示すように、本実施形態の液体クロマトグラフ21が備えるパーソナルコンピュータ51は、複数の成分について、薄層クロマトグラフィを行ったときの各成分の移動度Rf1,Rf2の実測値及び極性有機溶媒の使用体積V0を入力するための実測値入力手段61と、この実測値入力手段61で入力された移動度Rf1,Rf2,V0から、液体クロマトグラフィのカラム39への試料の負荷量を求めるための負荷量算出手段62と、この負荷量算出手段62で求められた負荷量を出力する負荷量出力手段63と、を備える。
シリンダー状のカラム中に14mlの乾燥シリカゲルを充填した。ここにカラム上部より1mlのメタノール(極性有機溶媒)を流入させた。その後、n−ヘキサン/酢酸エチル=70:30の混合溶媒を流速10ml/minで流した。溶出してきた初流を4ml×3回分取し、これらについて、ガスクロマトグラフィによる分析を行った。その結果のチャートを図13に示した。
その結果、メタノールに由来するピークは見出されずカラム中の乾燥シリカゲルに吸着されていることが明らかとなった。
なお、ガスクロマトグラフィは以下の条件で行ったものである。
測定機器:GC−17A(島津製作所社製)
使用カラム:島津CBP−M25−025(長さ 25m,内径 0.22mm,膜厚 0.25μm)
温度:40℃
注入口温度:250℃
検出器温度:280℃
キャリアガス:He
スプリット比: 100:1
注入量:1.0μm
検出器:FID
乾燥シリカゲルにかえてガラスビーズを使用した以外は完全に同一の方法で上記実施例と同じ試験を行った。その結果のチャートを図13に示した。
その結果、メタノールに由来するピークが見られ、カラム中のガラスビーズではメタノールが吸着されないことが明らかとなった。
Claims (10)
- 充填剤が充填されたシリンダーを有し、分離カラムの前に接続して使用されるインジェクターであって、
前記充填剤は、極性有機溶媒吸着能を有する乾燥充填剤であることを特徴とするインジェクター。 - 充填剤は、使用できる極性有機溶媒の体積に対して4〜100倍の乾燥体積である請求項1記載のインジェクター。
- シリンダーは、極性有機溶媒トラップ体積が表示されたものである請求項1又は2記載のインジェクター。
- 負荷量算出手段及び負荷量算出手段で求められた負荷量を出力する負荷量出力手段を備え、
前記負荷量算出手段は、分離カラムの理論段数と負荷量との関係の極性有機溶媒量による変化を算出のためのパラメータとして含む
ことを特徴とする、液体クロマトグラフィの条件決定支援装置。 - 請求項1〜3のいずれか1記載のインジェクターを備えた液体クロマトグラフィに使用される条件決定支援装置であって、
負荷量算出手段及び負荷量算出手段で求められた負荷量を出力する負荷量出力手段とを備え、
前記負荷量算出手段はインジェクターによる極性有機溶媒トラップ体積及び分離カラムの理論段数と負荷量との関係の極性有機溶媒量による変化を算出のためのパラメータとして含む
ことを特徴とする、液体クロマトグラフィの条件決定支援装置。 - 前記極性有機溶媒トラップ体積は、
Vmax=aVinj+b
の式によって算出されたものである請求項5記載の液体クロマトグラフィの条件決定支援装置。 - 請求項4又は5の液体クロマトグラフィの条件決定支援装置を備えることを特徴とする液体クロマトグラフィ。
- 負荷量算出手段及び負荷量算出手段で求められた負荷量を出力する負荷量出力手段を備え、
前記負荷量算出手段は分離カラムの理論段数と負荷量との関係の極性有機溶媒量による変化を算出のためのパラメータとして含むものとして、コンピューターを機能させることを特徴とする液体クロマトグラフィの条件決定支援プログラム。 - 請求項1〜3のいずれか1記載のインジェクターを備えた液体クロマトグラフィに使用される条件決定支援装置であって、
負荷量算出手段及び負荷量算出手段で求められた負荷量を出力する負荷量出力手段とを備え、
前記負荷量算出手段はインジェクターによる極性有機溶媒トラップ体積及び分離カラムの理論段数と負荷量との関係の極性有機溶媒量による変化を算出のためのパラメータとして含むものとして、コンピューターを機能させることを特徴とする液体クロマトグラフィの条件決定支援プログラム。 - 前記極性有機溶媒トラップ体積は、
Vmax=aVinj+b
の式によって算出されたものである請求項9記載の液体クロマトグラフィの条件決定支援プログラム。
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