JP2013210172A - 酸素ランス棒着火用燃焼組成物及び酸素ランス棒着火材並びに酸素ランス棒着火装置 - Google Patents

酸素ランス棒着火用燃焼組成物及び酸素ランス棒着火材並びに酸素ランス棒着火装置 Download PDF

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実 岡田
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Abstract

【課題】煩雑な付帯設備を必要とせず、酸素ランスパイプに迅速かつ安定的に着火可能な酸素ランスパイプ着火用燃焼組成物及びそれを用いた酸素ランスパイプ着火材並びに酸素ランスパイプ着火装置を提供する。
【解決手段】金属酸化物と金属還元剤とを含有する酸素ランス棒着火用燃焼組成物であって、金属酸化物がFeであり、金属還元剤がアルミニウム、マグネシウムおよびマグナリウム合金よりなる群から選ばれる1種または2種以上であって、金属還元剤の平均粒径が1〜330μmであり、金属酸化物と金属還元剤との質量混合比が、70乃至85:30乃至15であることを特徴とする酸素ランス棒着火用燃焼組成物である。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸素ランス棒の先端部分を、容易かつ確実に着火せしめて燃焼することを可能とした酸素ランス棒着火用燃焼組成物及びそれを使用した酸素ランス棒着火材並びに酸素ランス棒着火装置に関する。
酸素ランス棒は、鉄筋コンクリート等の構造物及びその他構築物、鉄骨等の金属材料、耐火レンガ等の耐火物、岩石、或いは、水中に於ける構築物、岩礁等の被熔削物を熔解しながら穿孔、切断、解体作業等を行うときに使用される。従来、酸素ランス棒に着火する際には、酸素ガスを適切な流量に絞りつつ、ランス棒先端を高温物に接するか、または高温に曝して先端を加熱して着火する方法が通常用いられてきた。より具体的には、酸素アセチレン熔断機(或いは、アーク熔断機)で酸素ランス棒先端部を溶融して酸素ランス棒に着火する方法、或いは、木材、炭等を燃焼させ、この燃焼熱で酸素ランス棒の先端部分を加熱し、着火する方法が知られている。
しかし、前者の方法では、酸素アセチレン熔断機(或いは、アーク熔断機)或いはその付帯設備が必要となり、運搬、設置及び着火作業が煩雑で大掛かりとなる難点があった。一方、後者の方法では、酸素ランス棒の先端部分の加熱に時間がかかるため、迅速な着火が困難であるという難点があった。
このため、大掛かりな付帯設備等を必要とせず、酸素ランス棒に迅速かつ安定的に着火させることを目的とした着火材や着火方法が提案されている。例えば、特許文献1には、木材や圧縮した紙材等からなる着火材基体に、酸素ランス棒の先端部分を挿入可能な着火用挿入穴を設け、鉄を主体とした金属粉を蝋や樹脂の如きバインダーにて固形化してなる着火用着火材を、酸素ランス棒挿入空間が開口近傍に残るよう着火用挿入穴に内装せしめて構成した酸素ランス棒用着火材が開示されている。しかしながら、この着火材を用いても、なお酸素ランス棒の先端部分の着火には時間がかかるという難点があった。
また、特許文献2には、酸素ランス棒の先端部分に着火用着火材を装着すると共に、この着火用着火材を被熔削物の所定位置まで移動せしめ、酸素ボンベからの酸素を、ホースを介して酸素ランス棒内に供給して酸素ランス棒先端部分から噴出せしめると共に、着火用着火材の先端部分を高温状態にある被熔削物の所定位置に押付けて着火用着火材の導火材を燃焼せしめ、この導火材の燃焼によって着火用着火材の着火材を燃焼せしめ、この着火材の燃焼によって酸素ランス棒の先端部分を燃焼せしめることを特徴とした酸素ランス棒の着火方法が開示されている。しかしながら、この方法も、着火材への迅速かつ安定的な着火という点で不十分なものであった。
特許第3541393号公報 特許第2654898号公報
本発明は、煩雑な付帯設備を必要とせず、酸素ランス棒に迅速かつ安定的に着火可能な酸素ランス棒着火用燃焼組成物及びそれを用いた酸素ランス棒着火材並びに酸素ランス棒着火装置を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、酸素ランス棒着火用燃焼組成物として、特定の金属酸化物と金属還元剤を組み合わせ、これを燃焼することにより、極めて短時間で、安定的に酸素ランス棒の先端部分を加熱、着火することができ、さらにこの燃焼組成物は、電熱コイルや緊急保安炎筒の頭薬等の摩擦点火組成物などにより加熱することで、速やかに燃焼開始し、短時間で酸素ランス棒を着火できる高温にまで到達し得ることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、金属酸化物と金属還元剤とを含有する酸素ランス棒着火用燃焼組成物であって、金属酸化物がFeであり、金属還元剤がアルミニウム、マグネシウムおよびマグナリウム合金よりなる群から選ばれる1種または2種以上であって、金属還元剤の平均粒径が1〜330μmであり、金属酸化物と金属還元剤との質量混合比が、70乃至85:30乃至15であることを特徴とする酸素ランス棒着火用燃焼組成物である。
また本発明は、上記酸素ランス棒着火用燃焼組成物が容器に充填されてなる酸素ランス棒着火材である。
さらに本発明は、上記酸素ランス棒着火用燃焼組成物が容器に充填されてなり、酸素ランス棒着火用燃焼組成物には酸素ランス棒の先端部分が挿入可能な着火用挿入穴が設けられるとともに、酸素ランス棒着火用燃焼組成物を燃焼させるための点火手段を備えたことを特徴とする酸素ランス棒着火装置である。
本発明の酸素ランス棒着火用燃焼組成物は、従来知られている酸素ランス棒着火用燃焼組成物と比較して、確実かつ迅速に酸素ランス棒に着火することができ、また燃焼の制御が容易であり、安定性、安全性にも優れるものである。また単位体積当たりの燃焼熱が大きいため、酸素ランス棒着火用燃焼組成物及びこれを収納する容器の小型軽量化が可能となる。また、酸素アセチレン熔断機等の大型機器を必要としないため、機器運搬、設置作業が省略でき、酸素ランス棒着火装置及び着火機構を簡略化できる。
点火手段として電熱コイルを備えた本発明の酸素ランス棒着火装置の一例を示した概略断面図。 点火手段として緊急保安炎筒の頭薬等の摩擦点火組成物を用いた本発明の酸素ランス棒着火装置の一例を示した概略断面図。
本発明の酸素ランス棒着火用燃焼組成物(以下、単に「燃焼組成物」ということがある)は、金属酸化物と金属還元剤とを含有するものである。このうち金属酸化物としてFeを用いる。このFeを使用することにより、他の金属酸化物、例えば、SiO、Cr、MnO、Fe、CuO、Pb等と比較して、着火の確実性、迅速性および安定的な燃焼性において優れた効果が得られる。
このFeとしては、粒子状のものが好適に使用され、平均粒径が0.01〜10μmのものが好ましく、0.05〜1μmのものがより好ましい。このような平均粒径の市販品を使用することができる。この範囲であると、着火性の点に優れる。
本発明の燃焼組成物中のFeの含有量は、好ましくは70〜85質量%(以下、単に「%」で示す)であり、より好ましくは70〜80%である。この範囲であると、着火性の点で好ましい。
また、金属還元剤としては、アルミニウム若しくはマグネシウムの単体金属、又はアルミニウムとマグネシウムとの合金であるマグナリウム合金を用いることができ、これらの1種又は2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも、燃焼組成物の着火性に優れ、適切な燃焼速度が得られることから、マグネシウム単体金属を用いることが最も好ましい。
金属還元剤も粒子状のものが好適に用いられ、平均粒径が1〜330μmの範囲にあるものが好ましく、10〜105μmのものがより好ましい。金属還元剤の平均粒径が330μmを超えると、着火性に劣る場合があり、また燃焼中断が生じる場合がある。一方、平均粒径が1μmに満たないものを使用すると、燃焼が激しく反応制御が困難となり、危険性が高くなる場合がある。このような平均粒径の範囲にある金属還元剤の市販品をそのまま使用したり、あるいは適宜篩分け等により粒度を調整して用いることができる。なお、本明細書において、Feおよび金属還元剤の平均粒径は、篩分け法による測定値を意味する。
本発明の燃焼組成物中の金属還元剤の含有量は、好ましくは30〜15%であり、より好ましくは30〜20%である。この範囲であると、着火性の点で好ましい。
本発明の燃焼組成物は、上記Feおよび金属還元剤の他、必要に応じて、燃焼調整剤、有機バインダーなどの任意成分を含有することもできる。このような任意成分を配合する場合、その含有量は、通常0.1〜15%、好ましくは1〜10%である。
本発明の燃焼組成物は、上記Fe、金属還元剤および必要に応じて使用される任意成分を常法に従って混合することにより調製される。Feと金属還元剤との混合質量比は、70乃至85:30乃至15(Fe:金属還元剤)とすることが好ましく、70乃至80:30乃至20がより好ましい。すなわち、Feと金属還元剤の合計量に対して、Feの混合割合が70乃至85%、金属還元剤の混合割合を30乃至15%とすることが好ましく、Feの混合割合が70乃至80%、金属還元剤の混合割合を30乃至20%とすることがより好ましい。金属還元剤の混合割合が30%を超えると、燃焼制御が困難となり、発熱量が減少したり、組成物のコストが増加するなどの問題が生じる場合がある。また、容器に充填して用いる場合に、適切な充填密度に調整することが困難な場合もあり得る。一方、金属還元剤の混合割合が15%未満であると、着火性に劣る場合がある。
このようにして得られる本発明の燃焼組成物は、電熱コイルや緊急保安炎筒の頭薬等の摩擦点火組成物を用いて迅速かつ簡便に加熱し燃焼することが可能で、適切な燃焼温度及び燃焼速度を有し、酸素ランス棒への着火性能に優れた酸素ランス棒着火用燃焼組成物である。
本発明の燃焼組成物は、樹脂などのバインダーを用いて固形化して用いることもできるが、適当な開口部を有する容器に充填して使用することが好適であり、本発明の酸素ランス棒着火材は、このように容器内に燃焼組成物が収納された形態のものである。燃焼組成物を充填する容器の材質としては、鉄、ステンレス鋼、アルミニウムなどが上げられ、このうち適当な熱容量を有する鉄が好ましい。
この容器内に燃焼組成物を、充填密度が1.3〜3.0g/cmとなるように充填することが好ましく、より好ましくは1.5〜3.0g/cmである。必要に応じてプレス圧縮してもよい。この範囲であると、着火性、燃焼安定性、燃焼持続性および貯蔵運搬時の取り扱い性の観点から好ましい。充填密度が1.3g/cmに満たない場合、貯蔵運搬時に充填密度が変化し易く、燃焼特性バラツキの原因となる場合がある。また、燃焼速度が速くなりすぎて、燃焼制御が困難となる場合がある。一方、充填密度が3.0g/cmよりも大きいと、着火性に劣る場合や燃焼組成物を充填する容器に高い容器耐圧が要求される場合がある。また、燃焼組成物には、酸素ランス棒の先端部分が挿入可能な着火用挿入穴が設けられることが好ましい。このような着火用挿入穴は、燃焼組成物をプレス圧縮等で圧填して固形化すること等により形成することができる。
容器の形状は、円柱状、直方体、立方体等種々の形状を取り得る。また着火用挿入穴の形状も、被着火物である酸素ランス棒先端部を挿入することが可能であれば特に限定されるものではなく、その形状に応じて、円柱状、直方体、立方体等適宜様々な形状とすることができる。またその深さも使用する酸素ランス棒の長さ等に応じて適宜設定されるが、例えば、0.5〜10cm程度とすることができる。
次に上記燃焼組成物が容器に充填された本発明の酸素ランス棒着火装置について図面に基づき説明する。この着火装置は、上記着火材において更に点火手段を具備したものである。図1は本発明の酸素ランス棒着火装置の実施態様の一例を示す概略断面図であり、点火手段として電熱コイルを備えたものである。金属容器2内に上記燃焼組成物4が充填されるが、好ましくは充填密度が1.3〜3.0g/cm、より好ましくは1.5〜3.0g/cmとなるように充填し、必要に応じ圧縮プレス等で圧填することができる。また、この燃焼組成物4には、酸素ランス棒の先端部分が挿入可能な着火用挿入穴1が設けられるが、プレス圧縮等で圧填し固形化して、このような着火用挿入穴を形成することができる。
金属容器2は、断熱材3を備えていてもよい。断熱材3は、金属容器2の側壁2bおよび底壁2cの内面に積層してもよく、また側壁2bおよび底壁2cを中空として、その空間内に挿入してもよい。金属容器2の形状は、円柱状、直方体、立方体等種々の形状を取り得る。この着火用挿入穴1の形状は、被着火物である酸素ランス棒先端部を挿入することが可能であれば特に限定されるものではなく、その形状に応じて、円柱状、直方体、立方体等適宜様々な形状とすることができる。またその深さも使用する酸素ランス棒の長さ等に応じて適宜設定されるが、例えば、0.5〜10cm程度とすることができる。燃焼組成物4は、着火用挿入穴1の部分を除いて高さが頂壁2aに接する位置まで充填され、頂壁2aには着火用挿入穴1と連通した開口部が設けられる。
本発明の酸素ランス棒着火装置には、燃焼組成物4に点火し、燃焼させるための点火手段が備えられる。点火手段としては、電熱コイル、セラミックヒーターなどの発熱体や火薬、緊急保安炎筒の頭薬等の摩擦点火組成物など従来公知の点火手段を用いることができるが、電熱コイルおよび緊急保安炎筒の頭薬等の摩擦点火組成物によるものが手軽に使用できるという点で好適である。本実施態様では、点火手段として電熱コイル5を備えている。電熱コイル5は、燃焼組成物4の一部に接触するように配置される。電熱コイル5に通電して加熱し、燃焼組成物4が着火され、着火された燃焼組成物4が燃焼を持続することによって高温となり、安定して燃焼を持続するため、着火用挿入穴1に挿入された酸素ランス棒に速やかに着火させることが可能となる。電熱コイル5の種類や形状としては特に制限されることなく、市販のものを使用することができる。
また、本発明の酸素ランス棒着火装置の別の態様として、図2のように点火手段として緊急保安炎筒の頭薬等の摩擦点火組成物を用いてもよい。この実施態様においては、摩擦点火組成物6および火受け薬7を具備しており、これらを相互に接触させて、摩擦点火組成物6の一部が金属容器2外部に露出し、火受け薬7の一部が燃焼組成物4に接触するように、金属容器2の側壁2bに挿通して配置される。摺り付け紙等のストライカーで擦られた緊急保安炎筒の頭薬等の摩擦点火組成物6が火受け薬7に伝火し、燃焼組成物4の燃焼が開始され、燃焼組成物4が安定して燃焼を持続することによって高温となり、着火用挿入穴1に挿入された酸素ランス棒に速やかに着火させることが可能となる。このように点火手段として緊急保安炎筒の頭薬等の摩擦点火組成物を用いることによって、電気的動力源の不要な酸素ランス棒着火装置とすることができる。上記摩擦点火組成物6及び火受け薬7としては従来公知の緊急保安炎筒、信号焔管等で使用されている薬剤を用いることができる。具体的には、摩擦点火組成物として、例えば、J.A.コンクリン 著「エネルギー物質の科学 -基礎と応用- 」に開示されている塩素酸カリウムを主とする摩擦点火組成物等、火受け薬としては、日本火薬工業会編「一般火薬学」に開示されている信号焔管の伝火薬、J.A.コンクリン 著「エネルギー物質の科学-基礎と応用- 」に開示されている過酸化バリウムを主とする着火薬組成物等を用いることができ、これらの使用量は適宜設定することができる。
実施例1
燃焼組成物および着火材の調製(1):
金属酸化物として、三二酸化鉄(戸田ピグメント(株)社製、戸田カラー100ED、平均粒径0.1μm)、金属還元剤としてマグネシウム(関東金属(株)社製、Mg−100(平均粒径105μm)を使用し、下記表1に示した質量混合割合で混合し、燃焼組成物を調製した。
(燃焼組成物の燃焼性評価)
各燃焼組成物をアクリルパイプ(外径38mm、内径30mm、長さ100mm)に、なるべく同じ充填密度となるよう充填し着火材を調製した。各着火材の上端に線径 0.2mmのカンタル線から形成された電熱コイルを押し付けた状態で固定し、電熱コイルに3Vの電圧を印加することによって、着火の可否を確認した。また、着火したものについては燃焼の様子を観察し、燃焼中、燃焼残渣が容器外に飛散することなく安定的に燃焼しているかを目視にて確認した。表1に燃焼組成物の質量組成、充填密度及び着火性、燃焼安定性の評価結果を示す。
Figure 2013210172
[着火性の判断基準]
○:電熱コイル押し付け後、10秒以内に着火した。
×:電熱コイル押し付け後、10秒以上時間を要した。又は着火しなかった。
[燃焼残渣の判断基準]
○:燃焼残渣の飛散なく、安定した燃焼が見られた。
×:燃焼が激しく、燃焼残渣が容器外に飛散した。
表1に示した通り、着火性の観点では三二酸化鉄の質量組成が50から85%の範囲において着火性が良好であった。マグネシウムの質量組成が15%未満の場合、着火源となるマグネシウム量が不足し、着火から燃焼段階への移行が困難になると考える。一方、燃焼安定性の観点では三二酸化鉄の質量組成が70から85%の範囲で安定した燃焼が得られた。マグネシウムの質量組成が35%以上となる場合、化学量論比からマグネシウムに余剰分が生じるため、マグネシウム単体が積極的に燃焼系に参加することで多量の燃焼ガスが生成する等、燃焼状態が異なり安定した燃焼が得られなかったと考える。このように、三二酸化鉄の質量組成が70から85%の範囲で着火性が良く、かつ、安定した燃焼を実現することができた。
実施例2
燃焼組成物および着火材の調製(2):
使用する金属還元剤の平均粒径を変化させて燃焼組成物を調製した。金属酸化物として三二酸化鉄(戸田ピグメント(株)社製、トダカラー100ED、平均粒径0.1μm)を用いた。一方、金属還元剤として、平均粒径105μm(Mg−100)、平均粒径226μm(Mg−45)、平均粒径330μm(ふるい調整品)、平均粒径436μm(Mg−30)、平均粒径689μm(Mg−20)の5種類のマグネシウムを用いた(市販品はいずれも関東金属(株)社製)。三二酸化鉄とマグネシウムを質量混合比80:20でよく混和し、燃焼組成物を調製した。
得られた各燃焼組成物をアクリルパイプ(外径38mm、内径30mm、長さ100mm)に充填し着火材とした。各着火材の上端に実施例1と同様に電熱コイルを押し付けた状態で固定し、電熱コイルに3Vの電圧を印加することにより点火し、燃焼の様子(燃焼速度、着火性、燃焼安定性)を観察した。着火性と燃焼安定性については実施例1と同様にして評価した。燃焼速度の測定については、火薬学会規格に定められているイオンギャップ爆速測定法に基づく燃焼速度計測を行った。すなわち、エナメル被覆銅線を撚り合わせ、先端を切断して作製した微小電極を予め供試体に挿入しておき、燃焼面が通過する際に短絡されることにより、接続したパルス発生回路から発生したパルス信号を利用して微小電極間のパルス信号の時間間隔から燃焼速度を算出した。表2にマグネシウムの平均粒径、燃焼組成物の充填密度、燃焼速度、着火性および燃焼安定性の評価結果を示す。
Figure 2013210172
表2に示した通り、マグネシウムの平均粒度が330μm以下の範囲において、着火性が良好かつ安定した燃焼が得られた。マグネシウムの平均粒度が330μmを超えると着火に要するエネルギー値が増加し着火性に劣るとともに、マグネシウム単位重量あたりの表面積が減少することで燃焼反応が不均一となり、安定した燃焼が得られなかったと考える。
実施例3
燃焼組成物および着火材の調製(3):
燃焼組成物の充填密度を変化させて着火材を調製した。金属酸化物として三二酸化鉄(戸田ピグメント(株)社製、トダカラー100ED、平均粒径0.1μm)を用い、金属還元剤としてマグネシウム(関東金属(株)社製、Mg−100(平均粒径105μm未満)を用い、これらを質量混合比80:20(三二酸化鉄:マグネシウム)でよく混和して燃焼組成物を調製した。
次に、この燃焼組成物をアクリルパイプ(外径38mm、内径30mm、長さ100mm)に下記表3に示す充填密度となるように充填し着火材とした。各着火材の上端に実施例1と同様に電熱コイルを押し付けた状態で固定し、電熱コイルに3Vの電圧を印加することにより点火し、燃焼の様子(燃焼速度、着火性、燃焼安定性)を観察した。着火性、燃焼安定性については実施例1と同様にして評価し、燃焼速度は実施例2と同様にして測定した。表3に充填密度、燃焼速度、着火性、燃焼安定性の評価結果を示す。
Figure 2013210172
表3に示した通り、着火性に関しては燃焼組成物の充填密度によらず良好であった。一方、燃焼安定性の観点では、燃焼組成物の充填密度が1.5から3.0g/cmの範囲において、安定した燃焼が得られた。燃焼組成物の充填密度が1.3g/cmに満たない場合、燃焼速度が速く燃焼残渣が飛散し危険である場合がある。また、貯蔵運搬時に充填密度が変化し易く、燃焼特性バラツキの原因となる場合がある。
実施例4
酸素ランス棒着火試験(1):
図1に示す電熱コイル型着火型ランス棒着火装置を製造した。すなわち、金属酸化物として三二酸化鉄(戸田ピグメント(株)社製、トダカラー100ED、平均粒径0.1μm)を用い、金属還元剤としてマグネシウム(関東金属(株)社製、Mg−100(平均粒径105μm)を用い、これらを質量混合比80:20(三二酸化鉄:マグネシウム)でよく混和して燃焼組成物を調製した。この燃焼組成物を円柱状鉄製金属容器(直径30×高さ40cm)に充填密度1.8g/cmで、直径1cm、深さ2cm程度の円柱状の着火用挿入穴を形成するように圧縮プレスにより充填した。線径0.2mmのカンタル線から形成された電熱コイルを壁体に挿通させて電熱コイルを燃焼組成物に接触して固定した。着火用挿入穴に酸素ランス棒(酸素アーク工業(株)製、型番SR9-600)を挿入して、酸素ガス圧力を0.3MPaに調整しガスを微量噴出させた状態で、電熱コイルに3Vの電圧を印加した。電熱コイルへの加熱開始から酸素ランス棒の着火までに要した着火所要時間を測定した。比較として、着火源として従来使用されてきた木材に酸素雰囲気下において裸火で点火して着火させた場合、酸素アセチレン熔断機にて着火させた場合および特許文献1記載の着火用着火材にて着火させた場合に、酸素ランス棒の着火までに要する時間を確認した。これらの結果を下記表4に示す。
Figure 2013210172
本発明の酸素ランス棒着火装置は、小型で携帯性に優れ、迅速かつ確実なランス着火が可能である。これに対し、木材を着火材として用いた場合には、着火箇所が目視しづらく、また、着火回数のうち1〜2割は不着火で着火確度が低く、着火した場合でも着火までに10秒以上要した。また、酸素アセチレン熔断機を用いた場合には、バーナー内外炎の温度差により着火所要時間が大きくバラつき、所要時間も長くなった。さらに、必要とされるガスボンベの数が多くなり、携行性に乏しく、2人以上で作業する必要があるなど作業性に劣り、易可燃性であるアセチレンガスを使用するため危険性が高いなどの問題があった。大掛かりな付帯設備等を必要とせず、酸素ランス棒に迅速かつ安定的に着火させることを目的とした特許文献1記載の木材や圧縮した紙材等からなる着火材基体に、酸素ランス棒の先端部分を挿入可能な着火用挿入穴を設け、鉄を主体とした金属粉を蝋や樹脂の如きバインダーにて固形化してなる着火用着火材を用いた場合には、木材使用時と比較し着火作業の難易度は大きく低下するものの、着火所要時間は木材を用いた場合と同等であった。
実施例5
酸素ランス棒着火試験(2):
点火手段として、電熱コイルに代えて、緊急保安炎筒の頭薬等の摩擦点火組成物を用いた以外は実施例4と同様にして、図2に示す摩擦点火組成物着火型ランス棒着火装置を作製した。摩擦点火組成物として緊急保安炎筒の頭薬を0.2g用い、火受け薬としては、文献(一般火薬学 日本火薬工業会編)に開示されている信号焔管の伝火薬を1.5g用いた。この酸素ランス棒着火装置を用いて実施例4と同様にして着火試験を行ったところ、実施例4の電熱コイル型着火装置と同様に迅速に酸素ランス棒に着火することができた。
本発明の燃焼組成物は非火薬のものであって取り扱いが容易であり、単位体積当たりの反応熱量が大きいため、着火装置を従来のものより小型化することができ、また確実かつ迅速な酸素ランス棒の着火が可能となる。また本発明の着火装置は、電熱コイルや緊急保安炎筒の頭薬等の摩擦点火組成物によって簡単、迅速に着火可能であり、着火用の大型機器、裸火や高温物体を必要としないため、使用環境を問わず、小型軽量で手軽に使用でき、また、遠隔操作で着火できるため安全なものである。したがって、酸素ランス棒着火用の燃焼組成物または着火装置として有用なものである。
1 着火用挿入穴
2 金属容器
2a 頂壁
2b 側壁
2c 底壁
3 断熱材
4 燃焼組成物
5 電熱コイル
6 摩擦点火組成物
7 火受け薬

Claims (11)

  1. 金属酸化物と金属還元剤とを含有する酸素ランス棒着火用燃焼組成物であって、金属酸化物がFeであり、金属還元剤がアルミニウム、マグネシウムおよびマグナリウム合金よりなる群から選ばれる1種または2種以上であって、金属還元剤の平均粒径が1〜330μmであり、金属酸化物と金属還元剤との質量混合比が、70乃至85:30乃至15であることを特徴とする酸素ランス棒着火用燃焼組成物。
  2. Feの平均粒径が、0.01〜10μmである請求項1記載の酸素ランス棒着火用燃焼組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の酸素ランス棒着火用燃焼組成物が容器に充填されてなる酸素ランス棒着火材。
  4. 酸素ランス棒着火用燃焼組成物が1.3〜3.0g/cmの充填密度で充填されたものである請求項3記載の酸素ランス棒着火材。
  5. 請求項1又は2に記載の酸素ランス棒着火用燃焼組成物が容器に充填された酸素ランス棒着火装置であって、酸素ランス棒着火用燃焼組成物に酸素ランス棒の先端部分が挿入可能な着火用挿入穴が設けられるとともに、酸素ランス棒着火用燃焼組成物を燃焼させるための点火手段を備えたことを特徴とする酸素ランス棒着火装置。
  6. 酸素ランス棒着火用燃焼組成物が1.3〜3.0g/cmの充填密度で充填されたものである請求項5記載の酸素ランス棒着火装置。
  7. 点火手段が電熱コイルである請求項5又は6記載の酸素ランス棒着火装置。
  8. 電熱コイルが酸素ランス棒着火用燃焼組成物に接触して配置され、電熱コイルに通電して加熱することにより酸素ランス棒着火用燃焼組成物の燃焼を開始させ、その燃焼熱によって、着火用挿入穴に挿入された酸素ランスパイプ先端部に着火するものである請求項7記載の酸素ランス棒着火装置。
  9. 点火手段が摩擦点火組成物である請求項5又は6記載の酸素ランス棒着火装置。
  10. さらに火受け薬を含むものである請求項9記載の酸素ランス棒着火装置。
  11. 火受け薬が酸素ランス棒着火用燃焼組成物に接触して配置され、摩擦点火組成物を摩擦させて燃焼を開始させ、その燃焼を火受け薬が伝達して酸素ランス棒着火用燃焼組成物を燃焼させ、その燃焼熱によって、着火用挿入穴に挿入された酸素ランス棒先端部に着火するものである請求項9又は10に記載の酸素ランス棒着火装置。
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CN111732491A (zh) * 2020-06-11 2020-10-02 成都银河动力有限公司 一种便携式户外生火棒用药柱及制备方法

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