JP2013208846A - ナノインプリント用樹脂モールドおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂基板11の表面に複数の柱状部12を有するナノインプリント用樹脂モールド10であって、前記柱状部12の底部の面積が0.001〜1μm2であり、前記柱状部12の底部の直径Dに対する高さhの比(高さD/直径h)が2以上であり、前記柱状部12の高さの半分の位置で水平に切断したときの切断面の面積が前記柱状部の底部の面積に対して80%以上であり、前記柱状部12が樹脂からなる柱状部本体13と金属酸化物を含む被覆層14とで構成されているナノインプリント用樹脂モールド。
【選択図】図1
Description
このナノインプリント技術は、従来のプレス技術と比較して、より微小な構造を実現することが可能であり、各種のモールドを用いて、シリコン基板などに所望の回路パターンなどを形成する技術が開発されつつある。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(5)を提供する。
上記柱状部の底部の面積が0.001〜1μm2であり、
上記柱状部の底部の直径に対する高さの比(高さ/直径)が2以上であり、
上記柱状部の高さの半分の位置で水平に切断したときの切断面の面積が上記柱状部の底部の面積に対して80%以上であり、
上記柱状部が樹脂からなる柱状部本体と金属酸化物を含む被覆層とで構成されているナノインプリント用樹脂モールド。
上記陽極酸化皮膜の厚さが上記柱状部の高さよりも値が小さい上記(1)に記載のナノインプリント用樹脂モールド。
バルブ金属基板に陽極酸化処理を施し、細孔を有する陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化処理工程、
上記細孔の細孔内壁に金属酸化物を含む被覆層を形成する被覆層形成工程、
上記被覆層を形成した上記細孔内に樹脂を充填する充填工程、および、
上記陽極酸化皮膜の少なくとも一部を溶解し、柱状部を形成する柱状部形成工程をこの順に有するナノインプリント用樹脂モールドの製造方法。
本発明のナノインプリント用モールド(以下、「本発明のモールド」という。)は、樹脂基板の表面に複数の柱状部を有し、上記柱状部の底部の面積(底部面積)が0.001〜1μm2であり、上記柱状部の底部の直径(底部直径)に対する高さの比(高さ/直径)(以下、「アスペクト比」ともいう。)が2以上であり、上記柱状部の高さの半分の位置で水平に切断したときの切断面の面積(以下、単に「断面積」ともいう。)が上記柱状部の底部面積に対して80%以上であり、上記柱状部が樹脂からなる柱状部本体と金属酸化物を含む被覆層とで構成されているナノインプリント用の樹脂モールドである。
次に、本発明のモールドの特徴的な形状について、図1および図2を用いて説明する。
なお、図1においては、柱状部本体13の全ての表面が被覆層14で被覆されているが、柱状部本体13の少なくとも先端を含む表面が被覆層14で被覆されていればよい。
上記柱状部12の底部面積S0および断面積Sが上述した範囲であると、上記柱状部12の先端密度を高く維持できる。
これらの効果がより向上する理由から、上記柱状部12の底部面積S0は0.001〜0.05μm2であるのが好ましく、0.005〜0.01μm2であるのがより好ましい。
また、同様の理由から、上記柱状部12の断面積Sは上記柱状部12の底部面積S0に対して90%以上であるのが好ましく、95%以上であるのがより好ましい。
ここで、「柱状部の底部面積」とは、モールドの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、任意の10個の柱状部の底部の半径を測定し、これらの平均値から算出した面積をいう。
また、「柱状部の断面積」とは、上記柱状部の高さの半分の位置で水平に切断したときの切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、任意の10個の切断面の半径を測定し、これらの平均値から算出した面積をいう。
上記アスペクト比が2以上であると、本発明のモールドを対象物に押し付けた際に形成される転写孔やエッチャントの転写における再現性が良好となる。
ここで、「柱状部の底部直径」とは、モールドの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、任意の10個の柱状部の底部の直径を測定し、これらの値を平均したものをいう。
また、「柱状部の高さ」とは、モールドの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、任意の10個の柱状部の底部から先端までの垂直距離を測定し、これらの値を平均したものをいう。
ここで、「面積占有率」とは、上記樹脂基板の表面に対する(すなわち、本発明のモールドの表面における)すべての柱状部の断面積(切断面の面積)の合計面積の占める割合である。
次に、本発明のモールドの各構成について、材料、寸法等を説明する。
本発明のモールドが具備する樹脂基板の形成材料は、特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂等を用いることができる。
上記熱硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
一方、上記光硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、アクリル樹脂、アジド化樹脂等が挙げられる。
本発明のモールドが具備する柱状部の底部直径は、本発明のモールドを使用する対象物によって適宜設計することができるため特に限定されないが、40〜300nmであるのが好ましく、60〜100nmであるのがより好ましい。
同様に、上記柱状部の高さも特に限定されないが、1〜100μmであるのが好ましく、5〜20μmであるのがより好ましい。
なお、上記柱状部の底部直径に対する高さの比(アスペクト比)は、上述したように、2以上であり、5以上であるのが好ましく、10以上であるのがより好ましい。
同様に、隣接する各柱状部の中心間距離も特に限定されないが、60〜500nmであるのが好ましく、100〜300nmであるのがより好ましい。
上記柱状部における柱状部本体を形成する材料は、樹脂材料であれば特に限定されず、例えば、上記樹脂基板と同様の材料を用いることができる。なお、上記柱状部本体は、後述する製造方法に示すように、上記樹脂基板と一体形成するのが好ましい。
上述した樹脂材料のうち、本発明のモールドの耐摩耗性がより良好になり、また、耐熱性および耐久性も良好となる理由から、熱硬化性樹脂を用いるのが好ましく、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂であるのがより好ましく、シリコーン樹脂であるのが更に好ましい。
上記柱状部における被覆層は、金属酸化物を含む被覆層であれば特に限定されない。
ここで、上記金属酸化物としては、例えば、アルミニウム、ケイ素およびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含むものが挙げられ、具体的には、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム(ジルコニア)等が挙げられる。
本発明においては、このような被覆層を有することにより、シリコン基板等の無機材料に対して押し付けた場合の耐摩耗性が良好となる。
本発明のモールドが具備していてもよい陽極酸化皮膜は、バルブ金属の陽極酸化皮膜であれば特に限定されない。
ここで、バルブ金属とは、陽極酸化により金属表面がその金属の酸化物の皮膜で覆われる特性を有し、更にその酸化皮膜が、電流を一方方向にのみ流して逆方向には非常に流しにくい特性を有する金属のことであり、その具体例としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン等が挙げられる。
本発明のナノインプリント用樹脂モールドの製造方法(以下、「本発明のモールド製造方法」という。)は、少なくとも、バルブ金属基板に陽極酸化処理を施し、細孔を有する陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化処理工程、上記細孔の細孔内壁に金属酸化物を含む被覆層を形成する被覆層形成工程、上記被覆層を形成した上記細孔内に樹脂を充填する充填工程、および、上記陽極酸化皮膜の少なくとも一部を溶解し、柱状部を形成する柱状部形成工程をこの順に有する製造方法である。
次に、本発明のモールド製造方法の各工程の概要について、図3を用いて説明する。
バルブ金属基板20に陽極酸化処理を施し、細孔21を有する陽極酸化皮膜22を形成する陽極酸化処理工程(図3(A)および(B)参照)と、
細孔21の細孔内壁に陽極酸化皮膜22とは溶解性の異なる金属酸化物を含む被覆層14を形成する被覆層形成工程(図3(B)および(C)参照)と、
被覆層14を形成した細孔21内に樹脂13を充填する充填工程(図3(C)および(D)参照)と、
バルブ金属基板20の残部とともに陽極酸化皮膜22の少なくとも一部を溶解し、柱状部を形成する柱状部形成工程(図3(D)〜(F)参照)と、を有する製造方法である。
次に、本発明のモールド製造方法の各工程について、使用材料、処理条件等を説明する。
上記陽極酸処理工程は、バルブ金属基板に陽極酸化処理を施し、細孔を有する陽極酸化皮膜を形成する工程である。
上記バルブ金属基板は、バルブ金属からなる基板である。
ここで、バルブ金属としては、上述した本発明のモールドにおいて説明したものと同様のものが挙げられる。
これらのうち、加工性および強度にも優れる理由から、以下に詳述するアルミニウム基板であるのが好ましい。
ここで、上記合金板に含まれてもよい異元素としては、ケイ素、鉄、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等が挙げられ、合金中の異元素の含有量は、10質量%以下であるのが好ましい。
なお、このようなアルミニウム基板は、従来公知の組成や調製方法(例えば、鋳造方法等)等を適宜採用することができる。
上記陽極酸化処理は特に限定されず、従来行われている方法で行うことができる。
上記陽極酸化処理に用いられる溶液としては、具体的には、例えば、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸、マロン酸、クエン酸、酒石酸、ホウ酸、等を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記陽極酸化処理により形成される陽極酸化皮膜中の細孔の細孔径は、40〜300nmであるのが好ましく、60〜100nmであるのがより好ましい。
更に、上記細孔の密度は、200万個/mm2以上であるのが好ましく、1000万個/mm2以上であるのがより好ましい。
上記被覆層形成工程は、上記細孔の細孔内壁に金属酸化物を含む被覆層を形成する工程であり、上述した本発明のモールドにおける被覆層を形成する工程である。
上記被覆層は、金属酸化物を含む被覆層であれば特に限定されないが、本発明の製造方法においては、後述する柱状部形成工程において陽極酸化皮膜を溶解する際の作業性を考慮し、上記陽極酸化皮膜とは溶解性の異なる金属酸化物(例えば、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム等)からなる被覆層であるのが好ましい。
上記被覆層を形成する方法は特に限定されず、例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液やフッ化ジルコン酸ナトリウム水溶液を上記細孔内に塗布(浸入)させる方法等が挙げられる。
上記充填工程は、上記被覆層を形成した上記細孔内に樹脂を充填する工程であり、上述した本発明のモールドにおける柱状部本体を形成する工程である。
本発明においては、図3(C)および(D)に示す通り、細孔(C)内に樹脂を充填する際に、柱状部本体13だけでなく、樹脂基板11も同時に形成するのが好ましい。
また、上記樹脂としては、上述した本発明のモールドにおいて説明したものと同様のものが挙げられる。
上記樹脂を充填する方法は特に限定されず、例えば、(メタ)アクリレート、エポキシ化合物、シリコーン化合物等とともに重合開始剤や硬化剤を配合した硬化性組成物を減圧ないし加圧下で細孔内に充填した後に硬化させる方法等が挙げられる。
上記柱状部形成工程は、上記陽極酸化皮膜の少なくとも一部を溶解し、柱状部を形成する工程である。
本発明においては、陽極酸化皮膜の一部を溶解する工程であってもよく(図3(E)参照)、陽極酸化皮膜の全部を溶解する工程であってもよい(図3(F)参照)。
溶解に用いる溶液としては、上記被覆層(金属酸化物)は溶解せずに、陽極酸化皮膜のみを除去できる水溶液を用いるのが好ましい。
ここで、陽極酸化皮膜は、pH6.5〜7.5の中性水溶液には溶解せず、pH4〜6.5の弱酸やpH7.5〜10の弱アルカリにはゆっくりと溶解し、強酸や強アルカリには溶解する。
そのため、溶解に用いる溶液は、弱酸性または弱アルカリ性の水溶液が好ましい。
また、溶解時の温度範囲は、5〜60℃であるのが好ましく、15〜45℃であるのがより好ましい。
更に、溶解の処理時間は、10分〜60時間であるのが好ましく、30分〜12時間であるのがより好ましい。
(1)陽極酸化処理工程
予め、純度99.99%のアルミニウム基板(日本軽金属社製)に対して、リン酸溶液中で電解研磨処理を施し、表面を20um除去した。
その後、0.5M/l蓚酸(15℃)を電解液とし、SUS板を対極としアルミニウム基板を陽極として両者の間に40Vの電圧を1時間印加する陽極酸化処理を施した。
その結果、直管状の細孔(密度:3000万個/mm2、細孔径:60nm、深さ:10μm)を有する陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基板を得た。
次いで、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基板を、70℃に昇温した2.5質量%の3号ケイ酸ソーダ(富士化学社製)水溶液に14秒間浸漬させ、その後に水洗処理を施すことにより、細孔内壁に酸化ケイ素を含む被覆層を形成させた。
上記基板を乾燥後、減圧下に置き、エポキシ樹脂溶液(SU−8 3000、日本化薬株式会社)を滴下し、10分間静置した。
その後、同じ減圧下で加熱して硬化させることにより、細孔内にエポキシ樹脂を充填させた。
水酸化カリウム水溶液(pH:13)を用いて、アルミニウム基板の残部と陽極酸化皮膜の全部とを溶解し、樹脂基板の表面に複数の柱状部を有するナノインプリント用樹脂モールドを作製した。
充填工程において、エポキシ樹脂溶液に代えて、シリコーン樹脂溶液〔シリコーンコーティング剤(KR−400)、信越シリコーン株式会社製〕を用いてシリコーン樹脂を充填した以外は、実施例1と同様に方法によりナノインプリント用樹脂モールドを作製した。
陽極酸化処理工程において、印加時間を10時間とした以外は、実施例1と同様に方法によりナノインプリント用樹脂モールドを作製した。
なお、陽極酸化処理工程により、細孔(密度:3000万個/mm2、細孔径:60nm、深さ:100μm)を有する陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基板が得られた。
被覆層形成工程において、リン酸2水素ナトリウム(和光純薬社製)を1質量%、フッ化ジルコン酸ナトリウム(森田化学工業株式会社製)を0.1質量%配合した混合水溶液を用い、70℃で10秒間浸漬させ、細孔内壁に酸化ジルコニウムを含む被覆層を形成させた以外は、実施例1と同様に方法によりナノインプリント用樹脂モールドを作製した。
充填工程において、エポキシ樹脂溶液に代えて、フッ素系シリコーン樹脂溶液〔パーフルオロアルキルシラン、KBM7803(ヘプタデカトリフルオロデシルトリメトキシシラン)、信越化学工業株式会社〕を用いてフッ素系シリコーン樹脂を充填した以外は、実施例4と同様に方法によりナノインプリント用樹脂モールドを作製した。
柱状部形成工程において、アルミニウム基板の残部と陽極酸化皮膜の一部とを溶解した以外は、実施例1と同様に方法によりナノインプリント用樹脂モールドを作製した。
作製したモールドは、図1(B)に示すように、樹脂基板の表面にアルミニウムの陽極酸化皮膜(厚さ:10nm)を有していることが確認できた。
なお、下記第1表中、実施例6で形成した柱状部の高さやアスペクト比等は、この陽極酸化皮膜の膜厚(10nm)分を考慮せずに記載しているため括弧書きで記載しているが、実施例6で形成した柱状部が本発明で規定している特定形状の柱状部を満たすのは明らかである。
被覆層形成工程を施さなかった以外は、実施例1と同様に方法によりナノインプリント用樹脂モールドを作製した。
被覆層形成工程を施さなかった以外は、実施例3と同様に方法によりナノインプリント用樹脂モールドを作製した。
柱状部形成工程において、アルミニウム基板の残部と陽極酸化皮膜の全部とを剥離した以外は、実施例1と同様に方法によりナノインプリント用樹脂モールドを作製した。
なお、作製されたモールドは、剥離の際に柱状部が破断してしまった。
陽極酸化処理工程において以下に示す方法で陽極酸化処理を施し、柱状部形成工程においてアルミニウム基板の残部と陽極酸化皮膜の全部とを剥離した以外は、実施例1と同様に方法によりナノインプリント用樹脂モールドを作製した。
(陽極酸化処理方法)
予め、純度99.99%のアルミニウム基板(日本軽金属社製)に対して、リン酸溶液中で電解研磨処理を施し、表面を20um除去した。
その後、0.5M/l蓚酸(15℃)を電解液とし、SUS板を対極としアルミニウム板を陽極として両者の間に40Vの電圧を4時間印加して電解を行なった(第1の酸化皮膜形成工程)。
次いで、形成した第1の酸化皮膜を、6質量%のリン酸と2質量%のクロム酸混合水溶液中で一旦溶解除去した後(酸化皮膜除去工程)、再び、第1の酸化皮膜形成工程と同一条件下において、30秒間陽極酸化を施し、第2の酸化皮膜を形成した(第2の酸化皮膜形成工程)。
次いで、5質量%リン酸水溶液(30℃)中に8分間浸漬して、酸化皮膜の細孔を拡径する孔径拡大処理を施した(孔径拡大処理工程)。
次いで、第2の酸化皮膜形成工程と、上記孔径拡大処理工程を繰り返し、これらを合計で5回追加実施し、テーパー状の細孔〔細孔径(開口部):100nm、細孔径(底部):40nm、深さ:220nm〕を有する陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基板が得られた。
また、以下に示す評価方法により耐摩耗性および直立性(へたり)を評価し、これらの結果を下記第1表に示す。
作製した各モールドの柱状部を回転(100rpm)するシリコンウェハ(6インチ)上に荷重50gをかけて1分間押し付けた後、柱状部の先端を走査型電子顕微鏡で観察した。
その結果、先端の形状が、初期状態を保っているものを耐摩耗性に極めて優れているものとして「1」と評価し、バリ形状が見られるものを耐摩耗性に優れているものとして「2」と評価し、平坦化しているものを耐摩耗性に劣るものとして「3」と評価した。
作製した各モールドを厚み方向から走査型電子顕微鏡で観察し、柱状部の基板に対する直立性を評価した。
その結果、柱状部の傾きが、10度以内であるものを直立性が極めて優れるものとして「1」と評価し、10度以上45度未満であるものを直立性が優れるものとして「2」と評価し、45度以上であるものを直立性が劣るものとして「3」と評価した。
また、柱状部を形成する際に陽極酸化皮膜を剥離させた場合は、柱状部が破断し、アスペクト比が低く、耐摩耗性にも劣ることが分かった(比較例3)。
更に、底部面積に対する断面積が所定の範囲より小さい柱状部を有するモールドは、被覆層を有していても、耐摩耗性に劣ることが分かった(比較例4)。
特に、樹脂基板の表面にアルミニウムの陽極酸化皮膜を有する実施例6で作製したモールドは、耐摩耗性および直立性(へたり)がいずれも極めて良好であり、また、モールドを積み重ねて保管しても形状の変化が見られないことが分かり、取扱性に優れていることが分かった。
11 樹脂基板
12 柱状部
13 柱状部本体
14 被覆層
20 バルブ金属基板
21 細孔
22 陽極酸化皮膜
Claims (5)
- 樹脂基板の表面に複数の柱状部を有するナノインプリント用樹脂モールドであって、
前記柱状部の底部の面積が0.001〜1μm2であり、
前記柱状部の底部の直径に対する高さの比(高さ/直径)が2以上であり、
前記柱状部の高さの半分の位置で水平に切断したときの切断面の面積が前記柱状部の底部の面積に対して80%以上であり、
前記柱状部が樹脂からなる柱状部本体と金属酸化物を含む被覆層とで構成されているナノインプリント用樹脂モールド。 - 更に、前記樹脂基板の表面に、バルブ金属の陽極酸化皮膜を有し、
前記陽極酸化皮膜の厚さが前記柱状部の高さよりも値が小さい請求項1に記載のナノインプリント用樹脂モールド。 - 前記切断面の前記樹脂基板の表面に対する面積占有率が10%以上である請求項1または2に記載のナノインプリント用樹脂モールド。
- 前記金属酸化物が、アルミニウム、ケイ素およびジルコニウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む請求項1〜3のいずれかに記載のナノインプリント用樹脂モールド。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のナノインプリント用樹脂モールドを製造するナノインプリント用樹脂モールドの製造方法であって、少なくとも、
バルブ金属基板に陽極酸化処理を施し、細孔を有する陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化処理工程、
前記細孔の細孔内壁に金属酸化物を含む被覆層を形成する被覆層形成工程、
前記被覆層を形成した前記細孔内に樹脂を充填する充填工程、および、
前記陽極酸化皮膜の少なくとも一部を溶解し、柱状部を形成する柱状部形成工程をこの順に有するナノインプリント用樹脂モールドの製造方法。
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