JP2013206488A - サスペンション用基板、サスペンション、素子付サスペンション、ハードディスクドライブ、およびサスペンション用基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、配線層を独立化するための金属支持基板のエッチングにおいてビア部または配線層が露出することを防止でき、ビア部または配線層の腐食を防止したサスペンション用基板を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明においては、金属支持基板1、絶縁層2、配線層3を有するサスペンション用基板であって、配線層3は絶縁層2の開口部に形成されたビア部6と接続され、ビア部6は金属支持基板1から絶縁され、ビア部6の底面に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜から構成されるバリア部7が形成されていることを特徴とするサスペンション用基板を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図2
【解決手段】本発明においては、金属支持基板1、絶縁層2、配線層3を有するサスペンション用基板であって、配線層3は絶縁層2の開口部に形成されたビア部6と接続され、ビア部6は金属支持基板1から絶縁され、ビア部6の底面に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜から構成されるバリア部7が形成されていることを特徴とするサスペンション用基板を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図2
Description
本発明は、配線層を独立化するための金属支持基板のエッチングにおいてビア部または配線層が露出することを防止でき、ビア部または配線層の腐食を防止したサスペンション用基板に関する。
近年、インターネットの普及等によりパーソナルコンピュータの情報処理量の増大や情報処理速度の高速化が要求されてきており、それに伴って、パーソナルコンピュータに組み込まれているハードディスクドライブ(HDD)も大容量化や情報伝達速度の高速化が必要となってきている。
HDDに用いられるサスペンション用基板(フレキシャ)は、通常、一方の先端部分に形成され、磁気ヘッドスライダ等の記録再生用素子を実装する記録再生用素子実装領域と、他方の先端部分に形成され、外部回路基板との接続を行う外部回路基板接続領域と、記録再生用素子実装領域および外部回路基板接続領域を接続する配線層とを有する。また、サスペンション用基板は、通常、金属支持基板、絶縁層および配線層がこの順に積層された基本構造を有する。
例えば配線層の端子部の表面には、劣化防止や接続信頼性向上を目的として、めっき部を設けることが知られている。従来、めっき部を形成するために、配線層の一部をめっき線として用いることが知られている。(例えば後述する図3)。これに対して、配線層および金属支持基板を、絶縁層を貫通するビア部により接続した部材(後述する中間部材)を作製し、次に、金属支持基板からの給電により配線層の表面にめっき部を形成し、その後、金属支持基板をエッチングし、配線層(およびビア部)を金属支持基板から独立化する技術が知られている。例えば特許文献1には、電解めっき後、金属薄膜が露出するように、金属支持層に第1開口部を設け、導体層を独立化することが開示されている。また、特許文献2には、金属薄膜が露出することを防ぐために、被覆部(絶縁された金属支持層)を設けることが開示されている。
なお、無電解めっきを用いる技術ではあるものの、特許文献3には、第1の接地部において金属支持基板に電気的に接続されるようにベース絶縁層上に形成された配線パターンを有し、第1の接地部を金属支持基板の分離部に設けた配線回路基板が開示され、無電解めっき後に、分離部を本体部から分離(切断)することにより、配線パターンを独立化することが開示されている。
配線層を独立化する場合、配線層に接続されたビア部と、金属支持基板とを確実に絶縁する必要がある。金属支持基板のエッチングは、通常、ドライフィルムレジスト(DFR)等のレジストパターンから露出する金属支持基板に対して行われる。この際、金属支持基板形成用エッチング液によるエッチングで、ビア部または配線層が露出する場合がある。ビア部または配線層が露出すると、その露出面が腐食しやすいという問題がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、配線層を独立化するための金属支持基板のエッチングにおいてビア部または配線層が露出することを防止でき、ビア部または配線層の腐食を防止したサスペンション用基板を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明においては、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成され、表面にめっき部を有する配線層とを有するサスペンション用基板であって、上記配線層は、絶縁層の開口部に形成されたビア部と接続され、上記ビア部は、上記金属支持基板から絶縁され、上記開口部における上記ビア部の上記金属支持基板側の表面に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜から構成されるバリア部が形成されていることを特徴とするサスペンション用基板を提供する。
本発明によれば、ビア部の金属支持基板側の表面にバリア部が形成されていることから、配線層を独立化するための金属支持基板のエッチングにおいてビア部または配線層が露出することを防止でき、ビア部または配線層の腐食を防止できる。
上記発明においては、上記バリア部が、Ti、Pd、Au、PtおよびAgの少なくとも一つを含有することが好ましい。配線層を独立化するための金属支持基板のエッチングにおいてビア部または配線層が露出することをより防止できるからである。
上記発明においては、上記ビア部が、上記配線層と材料的な連続性を有するビア部であることが好ましい。バリア部を設けることにより、ビア部の腐食を効果的に防止できるからである。
上記発明においては、上記バリア部が、上記ビア部と材料的な連続性を有するバリア部であることが好ましい。
また、本発明においては、上述したサスペンション用基板と、上記金属支持基板側の表面に設けられたロードビームと、を有することを特徴とするサスペンションを提供する。
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、配線層を独立化するための金属支持基板のエッチングにおいてビア部または配線層が露出することを防止でき、ビア部または配線層の腐食を防止したサスペンションとすることができる。
また、本発明においては、上述したサスペンションと、上記サスペンションに配置された記録再生用素子と、を有することを特徴とする素子付サスペンションを提供する。
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、配線層を独立化するための金属支持基板のエッチングにおいてビア部または配線層が露出することを防止でき、ビア部または配線層の腐食を防止した素子付サスペンションとすることができる。
また、本発明においては、上述した素子付サスペンションを有することを特徴とするハードディスクドライブを提供する。
本発明によれば、上述した素子付サスペンションを用いることで、より高機能化されたハードディスクドライブとすることができる。
また、本発明においては、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成され、表面にめっき部を有する配線層とを有するサスペンション用基板の製造方法であって、上記絶縁層の開口部に形成され、上記配線層および金属支持部材を接続するビア部を備える中間部材を準備する準備工程と、上記金属支持部材からの給電により、上記配線層の表面に上記めっき部を形成するめっき部形成工程と、上記金属支持部材をエッチングし、上記ビア部と絶縁した上記金属支持基板を形成する金属支持基板形成工程とを有し、上記中間部材は、上記開口部における上記ビア部の上記金属支持基板側の表面に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜から構成されるバリア部を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法を提供する。
本発明によれば、中間部材がバリア部を有することから、配線層を独立化するための金属支持基板のエッチングにおいてビア部または配線層が露出することを防止でき、ビア部または配線層の腐食を防止したサスペンション用基板を得ることができる。
本発明のサスペンション用基板は、配線層を独立化するための金属支持基板のエッチングにおいてビア部または配線層が露出することを防止でき、ビア部または配線層の腐食を防止できるという効果を奏する。
以下、本発明のサスペンション用基板、サスペンション、素子付サスペンション、ハードディスクドライブ、およびサスペンション用基板の製造方法について詳細に説明する。
A.サスペンション用基板
本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成され、表面にめっき部を有する配線層とを有するサスペンション用基板であって、上記配線層は、絶縁層の開口部に形成されたビア部と接続され、上記ビア部は、上記金属支持基板から絶縁され、上記開口部における上記ビア部の上記金属支持基板側の表面に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜から構成されるバリア部が形成されていることを特徴とするものである。
本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成され、表面にめっき部を有する配線層とを有するサスペンション用基板であって、上記配線層は、絶縁層の開口部に形成されたビア部と接続され、上記ビア部は、上記金属支持基板から絶縁され、上記開口部における上記ビア部の上記金属支持基板側の表面に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜から構成されるバリア部が形成されていることを特徴とするものである。
図1は、本発明のサスペンション用基板の一例を示す模式図である。図1(a)はサスペンション用基板の概略平面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A断面図である。なお、図1(a)では、便宜上、絶縁層およびカバー層の記載は省略している。図1(a)に示されるサスペンション用基板100は、一方の先端部分に形成された記録再生用素子実装領域101と、他方の先端部分に形成された外部回路基板接続領域102と、記録再生用素子実装領域101および外部回路基板接続領域102を電気的に接続する複数の配線層103a〜103dとを有するものである。配線層103aおよび配線層103bは一対の配線層であり、同様に、配線層103cおよび配線層103dも一対の配線層である。これらの一対の配線層は、一方が書込用配線層であり、他方が読取用配線層である。また、図1(b)に示すように、サスペンション用基板100は、金属支持基板1と、金属支持基板1上に形成された絶縁層2と、絶縁層2上に形成された配線層3と、配線層3を覆うように形成されたカバー層4とを有する。
図2は、本発明のサスペンション用基板を説明する模式図である。図2(a)は、本発明における外部回路基板接続領域を示す概略平面図であり、図2(b)は図2(a)のA−A断面図であり、図2(c)は図2(a)のB−B断面図である。なお、図2(a)では、便宜上、カバー層およびめっき部の記載は省略している。図2(a)に示すように、配線層3は、素子接続用端子部(図示せず)に接続された引き回し部3aと、引き回し部3aに接続された端子部(外部回路基板接続用端子部)3bと、端子部3bに接続されためっき線部3cとを有する。また、図2(b)に示すように、端子部3bの表面にはめっき部5が形成され、めっき線部3cは絶縁層2の開口部に形成されたビア部6と接続されている。本発明においては、図2(b)、(c)に示すように、開口部におけるビア部6の底面(金属支持基板1側の表面)に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜から構成されるバリア部7が形成されていることを大きな特徴とする。
本発明によれば、ビア部の金属支持基板側の表面にバリア部が形成されていることから、配線層を独立化するための金属支持基板のエッチングにおいてビア部または配線層が露出することを防止でき、ビア部または配線層の腐食を防止できる。
ここで、図3に示すように、従来のサスペンション用基板では、複数の端子部3bに、複数のめっき線部3cがそれぞれ形成され、各々のめっき線部3cが、支持枠110の導体層3dに接続されていた。これに対して、図4(a)に示すように、絶縁層2を貫通するビア部6を介してめっき線部3cと金属支持基板1とを接続し、金属支持基板1からの給電によりめっき部5を形成する場合、図3のように、各々が導体層3dに接続されためっき線部3cを設ける必要が無く、サスペンション用基板の小型化を図ることができる。一方、図4(a)におけるめっき線部3cは、ビア部6を介して金属支持基板1と接続されているため、配線層3を金属支持基板1から独立化する必要がある。
配線層を独立化する場合、図4(b)に示すように、ビア部6の底面に位置する金属支持基板1を除去する方法が挙げられる。しかしながら、この方法では、例えばビア部6が金属支持基板形成用エッチング液によってエッチングされやすいものである場合、金属支持基板のエッチング時に、ビア部6もエッチングされ、最悪の場合は絶縁層2の開口部周辺における配線層3の一部が露出する。また、図4(c)に示すように、ビア部6および配線層3が連続的に形成されている場合には、金属支持基板のエッチングにより、ビア部6が露出する。なお、特許文献1では、ビア部6の底面に、クロム薄膜および銅薄膜から構成される金属薄膜(いわゆるシード層)を設けることが記載されているが、クロムおよび銅は、材料的に金属支持基板用エッチング液(例えば塩化鉄系エッチング液)によりエッチングされる材料であるため、エッチング条件によってはビア部が露出する。一方、配線層を独立化する他の例として、図4(d)に示すように、ビア部6の底面に位置する金属支持基板を被覆部1aとして残し、被覆部1aの周囲を除去して絶縁する方法が挙げられる。この方法では、配線層を独立化するための金属支持基板のエッチングにおいてビア部または配線層が露出することは防止できるものの、リング状開口部のサイズS1が大きくなり、サスペンション用基板の小型化が図れないという問題がある。
これに対して、本発明においては、図2(b)、(c)に示すように、ビア部6の底面に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜から構成されるバリア部7が形成されていることから、配線層を独立化するための金属支持基板のエッチングにおいてビア部または配線層が露出することを防止でき、ビア部または配線層の腐食を防止できる。また、本発明においては、図4(d)のような被覆部1aを設ける必要が無いため、サスペンション用基板の小型化を図ることができる。サスペンション用基板を小型化することで、例えばサスペンション用基板の製造効率(面付け個数)が向上するという利点がある。
以下、本発明のサスペンション用基板について、サスペンション用基板の部材と、サスペンション用基板の構成とに分けて説明する。
以下、本発明のサスペンション用基板について、サスペンション用基板の部材と、サスペンション用基板の構成とに分けて説明する。
1.サスペンション用基板の部材
まず、本発明のサスペンション用基板の部材について説明する。本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板、絶縁層および配線層を少なくとも有する。
まず、本発明のサスペンション用基板の部材について説明する。本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板、絶縁層および配線層を少なくとも有する。
本発明における金属支持基板は、サスペンション用基板の支持体として機能するものである。金属支持基板の材料は、ばね性を有する金属であることが好ましく、具体的にはステンレス鋼等を挙げることができる。また、金属支持基板の厚さは、その材料の種類により異なるものであるが、例えば10μm〜20μmの範囲内である。
本発明における絶縁層は、金属支持基板上に形成されるものである。絶縁層の材料は、絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば樹脂を挙げることができる。上記樹脂としては、例えばポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂およびポリ塩化ビニル樹脂を挙げることができ、中でもポリイミド樹脂が好ましい。絶縁性、耐熱性および耐薬品性に優れているからである。また、絶縁層の材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。絶縁層の厚さは、例えば5μm〜30μmの範囲内であることが好ましく、5μm〜18μmの範囲内であることがより好ましく、5μm〜12μmの範囲内であることがさらに好ましい。
本発明における配線層は、絶縁層上に形成されるものである。配線層の材料は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば金属を挙げることができ、中でも銅(Cu)が好ましい。また、配線層の材料は、圧延銅であっても良く、電解銅であっても良い。配線層の厚さは、例えば5μm〜18μmの範囲内であることが好ましく、5μm〜12μmの範囲内であることがより好ましい。
上記配線層としては、例えば書込用配線層、読取用配線層、熱アシスト用配線層、アクチュエータ素子用配線層、電源用配線層、フライトハイトコントロール用配線層、グランド用配線層、ノイズシールド用配線層、クロストーク防止用配線層等を挙げることができる。
本発明におけるめっき部は、配線層の表面の少なくとも一部に形成されるものである。めっき部を設けることにより、配線層の劣化(腐食等)を防止できる。特に、本発明においては、端子部にめっき部が形成されていることが好ましい。めっき部の種類は特に限定されるものではないが、例えば、Auめっき、Niめっき、Agめっき、Cuめっき等を挙げることができる。中でも、配線層の表面側からNiめっきおよびAuめっきが形成されていることが好ましい。めっき部の厚さは、例えば0.1μm〜4μmの範囲内である。
本発明におけるサスペンション用基板は、配線層を覆うカバー層を有していることが好ましい。配線層の劣化(例えば腐食)を防止することができるからである。カバー層の材料は、例えば、上述した絶縁層の材料として記載した樹脂を挙げることができ、中でもポリイミド樹脂であることが好ましい。また、カバー層の材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。配線層上のカバー層の厚さは、例えば2μm〜30μmの範囲内であることが好ましく、2μm〜10μmの範囲内であることがより好ましい。
2.サスペンション用基板の構成
次に、本発明のサスペンション用基板の構成について説明する。本発明においては、絶縁層の開口部におけるビア部の底面に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜から構成されるバリア部が形成されている。ここで、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜とは、以下の金属薄膜をいう。すなわち、金属支持基板形成用エッチング液に対する、金属支持基板および金属薄膜のエッチングレートを同条件で測定し、両者の差が5倍以上(好ましくは10倍以上)ある時に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜と判断することができる。なお、金属支持基板がステンレス鋼であり、金属薄膜がニッケルである場合、両者の差は通常1倍以上5倍未満である。また、金属支持基板がステンレス鋼であり、金属薄膜がクロムである場合、両者の差は通常1倍以上2倍以下である。また、金属支持基板形成用エッチング液としては、例えば塩化鉄系エッチング液を挙げることができ、具体的には、塩化第二鉄溶液等を挙げることができる。
次に、本発明のサスペンション用基板の構成について説明する。本発明においては、絶縁層の開口部におけるビア部の底面に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜から構成されるバリア部が形成されている。ここで、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜とは、以下の金属薄膜をいう。すなわち、金属支持基板形成用エッチング液に対する、金属支持基板および金属薄膜のエッチングレートを同条件で測定し、両者の差が5倍以上(好ましくは10倍以上)ある時に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜と判断することができる。なお、金属支持基板がステンレス鋼であり、金属薄膜がニッケルである場合、両者の差は通常1倍以上5倍未満である。また、金属支持基板がステンレス鋼であり、金属薄膜がクロムである場合、両者の差は通常1倍以上2倍以下である。また、金属支持基板形成用エッチング液としては、例えば塩化鉄系エッチング液を挙げることができ、具体的には、塩化第二鉄溶液等を挙げることができる。
本発明におけるバリア部の材料は、特に限定されるものではないが、通常、配線層の材料およびビア部の材料とは異なる材料である。中でも、本発明におけるバリア部は、Ti、Pd、Au、PtおよびAgの少なくとも一つを含有することが好ましく、AuおよびPdの少なくとも一方を含有することがより好ましい。耐エッチング性に加え、耐腐食性が優れているからである。また、本発明におけるバリア部は、金属単体から構成される金属薄膜であっても良く、金属合金から構成される金属薄膜であっても良い。図5に示すように、バリア部7の厚さをTとした場合、Tは、例えば1μm以上であることが好ましく、1μm〜3μmの範囲内であることがより好ましい。上記範囲であれば、配線層を独立化するための金属支持基板のエッチングにおいてビア部または配線層が露出することを十分に防止できるからである。
また、図5に示すように、バリア部7の底面(金属支持基板1側の表面)71と、絶縁層2の底面21とは、面一であることが好ましい。金属支持基板形成用エッチング液によるビア部のエッチングを効果的に防止できるからである。「面一」とは、厚さ方向におけるバリア部7の底面71と絶縁層2の底面21との差(絶対値)が1μm以下であることをいう。なお、図示しないが、本発明におけるバリア部の底面は、絶縁層の底面よりも内側(配線層側)にあっても良い。
また、本発明におけるビア部は、図6(a)に示すように、配線層3とは材料的な連続性を有しないビア部6であっても良く、図6(b)に示すように、配線層3と材料的な連続性を有するビア部6であっても良い。また、本発明におけるビア部が、図6(a)に示すように、配線層3とは材料的な連続性を有しないビア部6である場合、バリア部7およびビア部6が材料的な連続性を有していても良い。バリア部およびビア部を共通工程で形成でき、工程の短縮が図れるからである。
ここで、「材料的な連続性を有しない」とは、材料が異なること、または、同じ材料でも結晶サイズが異なることをいう。一方、「材料的な連続性を有する」とは、材料および結晶サイズが同じであることをいう。後述するアディティブ法のように、ビア部および配線層を同時に形成する場合には、ビア部および配線層の材料および結晶サイズは同じになり、両者は材料的に連続した状態となる。この場合は「材料的な連続性を有する」といえる。一方、後述するサブトラクティブ法のように、ビア部および配線層の材料が異なる場合、または、両者の材料が同一(例えば銅)であっても、配線層の形成後にビア部を形成する場合には、両者の界面に材料的特性(結晶サイズ等)の違いに起因する不連続性が生じる。この場合は「材料的な連続性を有しない」といえる。
本発明におけるビア部が、配線層とは材料的な連続性を有しないビア部である場合、ビア部の材料選択の幅が広がるという利点がある。ビア部の材料は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばめっきを挙げることができる。中でも、本発明においては、ビア部の材料が、配線層の材料よりも耐腐食性が高い材料であることが好ましい。めっきの種類としては、例えばNiめっき等を挙げることができる。電解Niめっき法によりビア部を形成する場合、用いられる電解Niめっき浴としては、例えばワット浴およびスルファミン酸浴等を挙げることができる。
一方、本発明におけるビア部が、配線層と材料的な連続性を有するビア部である場合、配線層およびビア部を同時に形成することができ、製造工程の簡略化を図ることができるという利点がある。また、バリア部を設けることにより、ビア部の腐食を効果的に防止できる。この場合、絶縁層および配線層の間にシード層が形成されていることが好ましい。配線層の形成が容易になるからである。特に、本発明においては、図7に示すように、ビア部6およびバリア部7の間にシード層9が形成されていることが好ましい。配線層を独立化するための金属支持基板のエッチングにおいてシード層が露出することを防止できるからである。
本発明における配線層は、絶縁層の開口部に形成されたビア部と接続されている。絶縁層の開口部の平面視形状は特に限定されるものではないが、円状、楕円状、櫛状、十字状、棒状、任意の多角形状等を挙げることができる。図2(c)に示すように、絶縁層2の開口部のサイズをS2とした場合、S2は、例えば20μm〜60μmの範囲内であり、30μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。また、本発明におけるビア部は、通常、金属支持基板から絶縁されている。そのため、ビア部が形成される位置において金属支持基板は除去され、開口部が形成される。金属支持基板の開口部の平面視形状は特に限定されるものではないが、円状、楕円状、櫛状、十字状、棒状、任意の多角形状等を挙げることができる。
また、本発明においては、図8に示すように、絶縁層2の開口部の端部が、通常、金属支持基板1の開口部の端部よりも突出する。両端部の差をL1とした場合、L1は、例えば15μm以上であることが好ましく、15μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲内であれば、ビア部と金属支持基板とを確実に絶縁しつつ、サスペンション用基板の小型化を図ることができるからである。また、金属支持基板1の開口部のサイズをS11とした場合、S11は、例えば50μm〜120μmの範囲内であることが好ましく、60μm〜110μmの範囲内であることがより好ましい。
本発明におけるビア部は、配線層に接続できる位置であれば任意の位置に設けることができる。ビア部の位置としては、例えば図2(a)のように、端子部3bよりも下流側(めっき線部3c側)の位置を挙げることができる。また、図示しないが、端子部よりも上流側(引き回し部側)にビア部を設けても良い。なお、本発明における端子部の種類は特に限定されるものではないが、例えば、外部回路基板接続用端子部、サスペンション用基板の電気検査を行うための電極を接触させるテスト用端子部(テストパッド)等を挙げることができる。
図9〜図11は、本発明における金属支持基板の開口部を説明する模式図である。図9(a)は、本発明における外部回路基板接続領域を示す概略平面図であり、図9(b)は図9(a)のA−A断面図である。また、図9(a)では、便宜上、絶縁層、カバー層およびめっき部の記載は省略している。なお、これらの事項は、図10および図11においても同様である。本発明における金属支持基板は、図9に示すように、閉じた開口部(全周に金属支持基板が存在する開口部)を有していても良く、図10に示すように、開いた開口部(全周に金属支持基板が存在しない開口部)を有していても良い。また、本発明における金属支持基板は、図11に示すように、閉じた開口部を有する、リング状金属支持部を備えていても良い。
また、図12は、本発明のサスペンション用基板を説明する模式図である。図12(a)は、本発明における外部回路基板接続領域を示す概略平面図であり、図12(b)は図12(a)のA−A断面図であり、図12(c)は図12(a)のB−B断面図である。図12に示すように、本発明のサスペンション用基板は、金属支持基板1とは絶縁されたビア部6aの他に、金属支持基板と接続されたビア部6bを有していても良い。金属支持基板と接続されたビア部6bは、例えば、アクチュエータ素子に接続される共通電源用配線層に用いることができる。
B.サスペンション
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上述したサスペンション用基板と、上記金属支持基板側の表面に設けられたロードビームと、を有することを特徴とするものである。
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上述したサスペンション用基板と、上記金属支持基板側の表面に設けられたロードビームと、を有することを特徴とするものである。
図13は、本発明のサスペンションの一例を示す概略平面図である。図13に示されるサスペンション300は、上述したサスペンション用基板100と、サスペンション用基板100の金属支持基板側の表面に設けられたロードビーム200とを有するものである。
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、配線層を独立化するための金属支持基板のエッチングにおいてビア部または配線層が露出することを防止でき、ビア部または配線層の腐食を防止したサスペンションとすることができる。
本発明のサスペンションは、サスペンション用基板と、ロードビームとを有する。本発明におけるサスペンション用基板については、上記「A.サスペンション用基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。一方、本発明におけるロードビームは、サスペンション用基板の金属支持基板側の表面に設けられるものである。ロードビームの材料は、特に限定されるものではないが、例えば金属を挙げることができ、ステンレス鋼であることが好ましい。
C.素子付サスペンション
次に、本発明の素子付サスペンションについて説明する。本発明の素子付サスペンションは、上述したサスペンションと、上記サスペンションに配置された記録再生用素子と、を有することを特徴とするものである。
次に、本発明の素子付サスペンションについて説明する。本発明の素子付サスペンションは、上述したサスペンションと、上記サスペンションに配置された記録再生用素子と、を有することを特徴とするものである。
図14は、本発明の素子付サスペンションの一例を示す概略平面図である。図14に示される素子付サスペンション400は、上述したサスペンション300と、サスペンション300の記録再生用素子実装領域101に実装された記録再生用素子301と、を有するものである。
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、配線層を独立化するための金属支持基板のエッチングにおいてビア部または配線層が露出することを防止でき、ビア部または配線層の腐食を防止した素子付サスペンションとすることができる。
本発明の素子付サスペンションは、少なくともサスペンションおよび記録再生用素子を有する。本発明におけるサスペンションについては、上記「B.サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、本発明における記録再生用素子は、特に限定されるものではないが、磁気発生素子を有するものが好ましい。具体的には、磁気ヘッドスライダを挙げることができる。また、本発明の素子付サスペンションは、熱アシスト用素子、アクチュエータ素子等の他の素子を有していても良い。
D.ハードディスクドライブ
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上述した素子付サスペンションを有することを特徴とするものである。
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上述した素子付サスペンションを有することを特徴とするものである。
図15は、本発明のハードディスクドライブの一例を示す概略平面図である。図15に示されるハードディスクドライブ500は、上述した素子付サスペンション400と、素子付サスペンション400がデータの書き込みおよび読み込みを行うディスク401と、ディスク401を回転させるスピンドルモータ402と、素子付サスペンション400の素子を移動させるアーム403およびボイスコイルモータ404と、上記の部材を密閉するケース405とを有するものである。
本発明によれば、上述した素子付サスペンションを用いることで、より高機能化されたハードディスクドライブとすることができる。
本発明のハードディスクドライブは、少なくとも素子付サスペンションを有し、通常は、さらにディスク、スピンドルモータ、アームおよびボイスコイルモータを有する。素子付サスペンションについては、上記「C.素子付サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、その他の部材についても、一般的なハードディスクドライブに用いられる部材と同様のものを用いることができる。
E.サスペンション用基板の製造方法
次に、本発明のサスペンション用基板の製造方法について説明する。本発明のサスペンション用基板の製造方法は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成され、表面にめっき部を有する配線層とを有するサスペンション用基板の製造方法であって、上記絶縁層の開口部に形成され、上記配線層および金属支持部材を接続するビア部を備える中間部材を準備する準備工程と、上記金属支持部材からの給電により、上記配線層の表面に上記めっき部を形成するめっき部形成工程と、上記金属支持部材をエッチングし、上記ビア部と絶縁した上記金属支持基板を形成する金属支持基板形成工程とを有し、上記中間部材は、上記開口部における上記ビア部の上記金属支持基板側の表面に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜から構成されるバリア部を有することを特徴とするものである。
次に、本発明のサスペンション用基板の製造方法について説明する。本発明のサスペンション用基板の製造方法は、金属支持基板と、上記金属支持基板上に形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成され、表面にめっき部を有する配線層とを有するサスペンション用基板の製造方法であって、上記絶縁層の開口部に形成され、上記配線層および金属支持部材を接続するビア部を備える中間部材を準備する準備工程と、上記金属支持部材からの給電により、上記配線層の表面に上記めっき部を形成するめっき部形成工程と、上記金属支持部材をエッチングし、上記ビア部と絶縁した上記金属支持基板を形成する金属支持基板形成工程とを有し、上記中間部材は、上記開口部における上記ビア部の上記金属支持基板側の表面に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜から構成されるバリア部を有することを特徴とするものである。
図16は、本発明のサスペンション用基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。図16においては、まず、金属支持部材1A、絶縁部材2Aおよび導体部材3Aがこの順に積層された積層部材を準備する(図16(a))。次に、導体部材3Aに対して、ウェットエッチングを行い、配線層3を形成する(図16(b))。この際、金属支持部材1Aに対して、同時にウェットエッチングを行い、治具孔等を設けても良い。次に、配線層3上にカバー層4を形成し(図16(c))、絶縁部材2Aに対してウェットエッチングを行い、開口部を有する絶縁層2を形成する(図16(d))。次に、金属支持部材1Aからの給電により、絶縁層2の開口部から露出する表面にバリア部7を形成する(図16(e))。次に、金属支持部材1Aからの給電により、配線層3および金属支持部材1Aを接続するビア部6を絶縁層2の開口部に形成する。これにより、中間部材11が得られる(図16(f))。次に、金属支持部材1Aからの給電により、配線層3(端子部3b)の表面にめっき部5を形成する(図16(g))。次に、金属支持部材1Aに対してウェットエッチングを行い、ビア部6と絶縁した金属支持基板1を形成する(図16(h))。これにより、サスペンション用基板が得られる。
図17は、本発明のサスペンション用基板の製造方法の他の例を示す概略断面図である。図17においては、まず、金属支持部材1Aを準備する(図17(a))。次に、金属支持部材1Aの表面上に、開口部を有する絶縁層2を形成する(図17(b))。次に、金属支持部材1Aからの給電により、絶縁層2の開口部から露出する表面にバリア部7を形成する(図17(c))。次に、図示しないが、絶縁層2側の表面全体に、スパッタリングによりシード層を形成し、所定のレジストパターンを形成する。次に、レジストパターンから露出するシード層の表面に配線層3を形成する(図17(d))。次に、配線層3上にカバー層4を形成する(図17(e))。これにより、中間部材11が得られる。次に、金属支持部材1Aからの給電により、配線層3(端子部3b)の表面にめっき部5を形成する(図17(f))。次に、金属支持部材1Aに対してウェットエッチングを行い、ビア部6と絶縁した金属支持基板1を形成する(図17(g))。これにより、サスペンション用基板が得られる。
本発明によれば、中間部材がバリア部を有することから、配線層を独立化するための金属支持基板のエッチングにおいてビア部または配線層が露出することを防止でき、ビア部または配線層の腐食を防止したサスペンション用基板を得ることができる。また、本発明のサスペンション用基板の製造方法は、例えば、サブトラクティブ法による製造方法と、アディティブ法による製造方法とに大別することができる。
1.サブトラクティブ法
まず、サブトラクティブ法による製造方法について説明する。サブトラクティブ法による製造方法の一例としては、金属支持部材、絶縁部材および導体部材がこの順に積層された積層部材を準備する積層部材準備工程と、上記導体部材をエッチングし、配線層を形成する配線層形成工程と、上記配線層上にカバー層を形成するカバー層形成工程と、上記絶縁部材をエッチングし、開口部を有する絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、上記開口部から露出する表面に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜から構成されるバリア部を形成するバリア部形成工程と、上記開口部に、上記配線層および上記金属支持部材を接続するビア部を形成するビア部形成工程と、上記金属支持部材からの給電により、上記配線層の表面にめっき部を形成するめっき部形成工程と、上記金属支持部材をエッチングし、上記ビア部と絶縁した金属支持基板を形成する金属支持基板形成工程と、を有する製造方法を挙げることができる。なお、上述した図16は、サブトラクティブ法によるサスペンション用基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。
以下、サブトラクティブ法によるサスペンション用基板の製造方法について、工程ごとに説明する。
まず、サブトラクティブ法による製造方法について説明する。サブトラクティブ法による製造方法の一例としては、金属支持部材、絶縁部材および導体部材がこの順に積層された積層部材を準備する積層部材準備工程と、上記導体部材をエッチングし、配線層を形成する配線層形成工程と、上記配線層上にカバー層を形成するカバー層形成工程と、上記絶縁部材をエッチングし、開口部を有する絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、上記開口部から露出する表面に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜から構成されるバリア部を形成するバリア部形成工程と、上記開口部に、上記配線層および上記金属支持部材を接続するビア部を形成するビア部形成工程と、上記金属支持部材からの給電により、上記配線層の表面にめっき部を形成するめっき部形成工程と、上記金属支持部材をエッチングし、上記ビア部と絶縁した金属支持基板を形成する金属支持基板形成工程と、を有する製造方法を挙げることができる。なお、上述した図16は、サブトラクティブ法によるサスペンション用基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。
以下、サブトラクティブ法によるサスペンション用基板の製造方法について、工程ごとに説明する。
(1)積層部材準備工程
積層部材準備工程は、金属支持部材、絶縁部材および導体部材がこの順に積層された積層部材を準備する工程である。
積層部材準備工程は、金属支持部材、絶縁部材および導体部材がこの順に積層された積層部材を準備する工程である。
サブトラクティブ法においては、積層部材の金属支持部材をエッチングすることにより金属支持基板が得られ、積層部材の絶縁部材をエッチングすることにより絶縁層が得られ、積層部材の導体部材をエッチングすることにより配線層が得られる。積層部材は、市販の三層材であっても良く、金属支持部材に対して、絶縁部材および導体部材を順次形成して得られたものであっても良い。
(2)配線層形成工程
配線層形成工程は、上記導体部材をエッチングし、配線層を形成する工程である。
配線層形成工程は、上記導体部材をエッチングし、配線層を形成する工程である。
配線層の形成方法としては、例えば、積層部材の導体部材上に、ドライフィルムレジスト(DFR)等を用いてレジストパターンを形成し、そのレジストパターンから露出する導体部材をウェットエッチングする方法を挙げることができる。ウェットエッチングに用いられるエッチング液の種類は、導体部材の種類に応じて適宜選択することが好ましく、例えば導体部材の材料がCuである場合には、塩化鉄系エッチング液等を用いることができる。
また、サブトラクティブ法においては、導体部材のエッチングと同時に、金属支持部材のエッチングを行っても良い。金属支持部材のエッチングは、例えば治具孔の形成のためのエッチングを挙げることができる。また、必要であれば、後述する金属支持基板形成工程で行う加工の一部を、導体部材のエッチングと同時に行っても良い。
(3)カバー層形成工程
カバー層形成工程は、上記配線層上にカバー層を形成する工程である。
カバー層形成工程は、上記配線層上にカバー層を形成する工程である。
カバー層の形成方法は、特に限定されるものではなく、カバー層の材料に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、カバー層の材料が感光性材料である場合には、全面形成したカバー層に露光現像を行うことによりパターン状のカバー層を得ることができる。また、カバー層の材料が非感光性材料である場合は、全面形成したカバー層の表面に所定のレジストパターンを形成し、そのレジストパターンから露出した部分を、ウェットエッチングにより除去することによりパターン状のカバー層を得ることができる。
(4)絶縁層形成工程
絶縁層形成工程は、上記絶縁部材をエッチングし、開口部を有する絶縁層を形成する工程である。
絶縁層形成工程は、上記絶縁部材をエッチングし、開口部を有する絶縁層を形成する工程である。
絶縁層の形成方法としては、例えば、絶縁部材に対して、ドライフィルムレジスト(DFR)等を用いてレジストパターンを形成し、そのレジストパターンから露出する絶縁部材をウェットエッチングする方法を挙げることができる。ウェットエッチングに用いるエッチング液の種類は、絶縁部材の種類に応じて適宜選択することが好ましく、例えば絶縁部材の材料がポリイミド樹脂である場合は、アルカリ系エッチング液等を用いることができる。
(5)バリア部形成工程
バリア部形成工程は、上記開口部から露出する表面に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜から構成されるバリア部を形成する工程である。
バリア部形成工程は、上記開口部から露出する表面に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜から構成されるバリア部を形成する工程である。
バリア部の形成方法としては、所望のバリア部を得ることができる方法であれば特に限定されるものではないが、電解めっき法および無電解めっき法等のめっき法、スパッタリング法等のPVD法等を挙げることができる。
(6)ビア部形成工程
ビア部形成工程は、上記開口部に、上記配線層および上記金属支持部材を接続するビア部を形成する工程である。
ビア部形成工程は、上記開口部に、上記配線層および上記金属支持部材を接続するビア部を形成する工程である。
ビア部の形成方法としては、所望のめっき部を得ることができる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば電解めっき法を挙げることができる。本発明においては、金属支持部材からの給電により、ビア部を形成することが好ましい。また、例えば、Niめっきから構成されるビア部を形成する場合、用いられる電解Niめっき浴としては、例えば、ワット浴およびスルファミン酸浴等を挙げることができる。めっき条件は、特に限定されるものではなく、所望の条件(めっき時間、印加電圧等)を選択すれば良い。
(7)めっき部形成工程
めっき部形成工程は、上記金属支持部材からの給電により、上記配線層の表面にめっき部を形成する工程である。
めっき部形成工程は、上記金属支持部材からの給電により、上記配線層の表面にめっき部を形成する工程である。
金属めっき部の形成方法としては、所望のめっき部を得ることができる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば電解めっき法を挙げることができる。例えば電解Auめっき浴としては、シアン化金浴、酸性金浴等を挙げることができる。
(8)金属支持基板形成工程
金属支持基板形成工程は、上記金属支持部材をエッチングし、上記ビア部と絶縁した金属支持基板を形成する工程である。本工程において、通常は、金属支持基板の外形加工を行う。
金属支持基板形成工程は、上記金属支持部材をエッチングし、上記ビア部と絶縁した金属支持基板を形成する工程である。本工程において、通常は、金属支持基板の外形加工を行う。
金属支持基板の形成方法としては、例えば、金属支持部材の導体部材上に、ドライフィルムレジスト(DFR)等を用いてレジストパターンを形成し、そのレジストパターンから露出する金属支持部材をウェットエッチングする方法を挙げることができる。ウェットエッチングに用いられるエッチング液の種類は、上記「A.サスペンション用基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
2.アディティブ法
次に、アディティブ法による製造方法について説明する。アディティブ法による製造方法の一例としては、金属支持部材を準備する金属支持部材準備工程と、上記金属支持部材上に開口部を有する絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、上記開口部から露出する表面に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜から構成されるバリア部を形成するバリア部形成工程と、上記絶縁層上に配線層を形成し、同時に、上記開口部に上記配線層および上記金属支持部材を接続するビア部を形成する配線層形成工程と、上記配線層上にカバー層を形成するカバー層形成工程と、上記金属支持部材からの給電により、上記配線層の表面にめっき部を形成するめっき部形成工程と、上記金属支持部材をエッチングし、上記ビア部と絶縁した金属支持基板を形成する金属支持基板形成工程と、を有する製造方法を挙げることができる。なお、上述した図17は、アディティブ法によるサスペンション用基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。
以下、アディティブ法によるサスペンション用基板の製造方法について、工程ごとに説明する。
次に、アディティブ法による製造方法について説明する。アディティブ法による製造方法の一例としては、金属支持部材を準備する金属支持部材準備工程と、上記金属支持部材上に開口部を有する絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、上記開口部から露出する表面に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜から構成されるバリア部を形成するバリア部形成工程と、上記絶縁層上に配線層を形成し、同時に、上記開口部に上記配線層および上記金属支持部材を接続するビア部を形成する配線層形成工程と、上記配線層上にカバー層を形成するカバー層形成工程と、上記金属支持部材からの給電により、上記配線層の表面にめっき部を形成するめっき部形成工程と、上記金属支持部材をエッチングし、上記ビア部と絶縁した金属支持基板を形成する金属支持基板形成工程と、を有する製造方法を挙げることができる。なお、上述した図17は、アディティブ法によるサスペンション用基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。
以下、アディティブ法によるサスペンション用基板の製造方法について、工程ごとに説明する。
(1)金属支持部材準備工程
金属支持部材準備工程は、金属支持部材を準備する工程である。金属支持部材には、例えば市販の金属支持部材を用いることができる。
金属支持部材準備工程は、金属支持部材を準備する工程である。金属支持部材には、例えば市販の金属支持部材を用いることができる。
(2)絶縁層形成工程
絶縁層形成工程は、上記金属支持部材上に、開口部を有する絶縁層を形成する工程である。
絶縁層形成工程は、上記金属支持部材上に、開口部を有する絶縁層を形成する工程である。
絶縁層の形成方法は、特に限定されるものではなく、絶縁層の材料に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、絶縁層の材料が感光性材料である場合には、全面形成した絶縁層に露光現像を行うことによりパターン状の絶縁層を得ることができる。また、絶縁層の材料が非感光性材料である場合は、全面形成した絶縁層の表面に所定のレジストパターンを形成し、そのレジストパターンから露出した部分を、ウェットエッチングにより除去することによりパターン状の絶縁層を得ることができる。
(3)バリア部形成工程
バリア部形成工程については、上述したサブトラクティブ法におけるバリア部形成工程と同様であるので、ここでの記載は省略する。
バリア部形成工程については、上述したサブトラクティブ法におけるバリア部形成工程と同様であるので、ここでの記載は省略する。
(4)配線層形成工程
配線層形成工程は、上記絶縁層上に配線層を形成し、同時に、上記開口部に上記配線層および上記金属支持部材を接続するビア部を形成する工程である。
配線層形成工程は、上記絶縁層上に配線層を形成し、同時に、上記開口部に上記配線層および上記金属支持部材を接続するビア部を形成する工程である。
配線層およびビア部の形成方法としては、例えば電解めっき法等を挙げることができる。具体的には、絶縁層上に、ドライフィルムレジスト(DFR)等を用いてレジストパターンを形成し、そのレジストパターンから露出する絶縁層の表面上に、電解めっき法を行う方法を挙げることができる。電解めっき法を用いる場合、配線層の形成前に、スパッタリング法等により絶縁層の表面にシード層を形成することが好ましい。なお、シード層形成およびビア部形成の間に、上記バリア部形成工程を行っても良い。
(5)その他の工程
その他の工程については、上述したサブトラクティブ法における各工程と同様であるので、ここでの説明は省略する。
その他の工程については、上述したサブトラクティブ法における各工程と同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
まず、厚さ18μmのSUS304(金属支持部材)、厚さ10μmのポリイミド樹脂層(絶縁部材)、厚さ9μmの電解銅層(導体部材)を有する積層部材を準備した(図16(a))。次に、ドライフィルムレジストを積層部材の両面にラミネートし、レジストパターンを形成した。次に、塩化第二鉄液を用いてエッチングし、エッチング後レジスト剥膜を行った。これにより、導体部材から配線層を形成し(図16(b))、金属支持部材に治具孔を形成した(図示せず)。
まず、厚さ18μmのSUS304(金属支持部材)、厚さ10μmのポリイミド樹脂層(絶縁部材)、厚さ9μmの電解銅層(導体部材)を有する積層部材を準備した(図16(a))。次に、ドライフィルムレジストを積層部材の両面にラミネートし、レジストパターンを形成した。次に、塩化第二鉄液を用いてエッチングし、エッチング後レジスト剥膜を行った。これにより、導体部材から配線層を形成し(図16(b))、金属支持部材に治具孔を形成した(図示せず)。
その後、パターニングされた配線層上に、ポリイミド前駆体溶液をダイコーターでコーティングし、所定のパターニングによりカバー層を形成した(図16(c))。次に、絶縁部材をパターニングするために、レジスト製版し、露出する部位のポリイミド樹脂をウェットエッチングし、開口部を有する絶縁層を形成した(図16(d))。次に、金属支持部材からの給電により、絶縁層の開口部で露出する表面にバリア部(電解Auめっき、厚さ2μm)を形成した(図16(e))。次に、金属支持部材からの給電により、配線層および金属支持部材を接続するビア部(電解Niめっき)を形成した(図16(f))。次に、金属支持部材からの給電により、配線層の端子部に、めっき部(電解Auめっき)を形成した(図16(g))。最後に、塩化第二鉄液を用いて、金属支持部材のエッチングを行った(図16(h))。これにより、サスペンション用基板を得た。
1…金属支持基板、 1a…被覆部、 2…絶縁層、 3…配線層、 3a…引き回し部、 3b…端子部、 3c…めっき線部、 3d…導体層、 4…カバー層、 5…めっき部、 6…ビア部、 7…バリア部、 9…シード層、 21…絶縁層の底面、 71…バリア部の底面、 100…サスペンション用基板、 101…記録再生用素子実装領域、 102…外部回路基板接続領域、 103…配線層
Claims (8)
- 金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成され、表面にめっき部を有する配線層とを有するサスペンション用基板であって、
前記配線層は、絶縁層の開口部に形成されたビア部と接続され、
前記ビア部は、前記金属支持基板から絶縁され、
前記開口部における前記ビア部の前記金属支持基板側の表面に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜から構成されるバリア部が形成されていることを特徴とするサスペンション用基板。 - 前記バリア部が、Ti、Pd、Au、PtおよびAgの少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
- 前記ビア部が、前記配線層と材料的な連続性を有するビア部であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサスペンション用基板。
- 前記バリア部が、前記ビア部と材料的な連続性を有するバリア部であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板。
- 請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板と、前記金属支持基板側の表面に設けられたロードビームと、を有することを特徴とするサスペンション。
- 請求項5に記載のサスペンションと、前記サスペンションに配置された記録再生用素子と、を有することを特徴とする素子付サスペンション。
- 請求項6に記載の素子付サスペンションを有することを特徴とするハードディスクドライブ。
- 金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成され、表面にめっき部を有する配線層とを有するサスペンション用基板の製造方法であって、
前記絶縁層の開口部に形成され、前記配線層および金属支持部材を接続するビア部を備える中間部材を準備する準備工程と、
前記金属支持部材からの給電により、前記配線層の表面に前記めっき部を形成するめっき部形成工程と、
前記金属支持部材をエッチングし、前記ビア部と絶縁した前記金属支持基板を形成する金属支持基板形成工程とを有し、
前記中間部材は、前記開口部における前記ビア部の前記金属支持基板側の表面に、金属支持基板形成用エッチング液では実質的にエッチングされない金属薄膜から構成されるバリア部を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法。
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