JP2013204027A - 樹脂組成物の製造方法、樹脂組成物および成形体 - Google Patents

樹脂組成物の製造方法、樹脂組成物および成形体 Download PDF

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節幸 原
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光男 前田
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Abstract

【課題】ポリスルホンと液晶ポリエステルとを含み、従来よりも光線透過率に優れた樹脂組成物の製造方法、および当該製造方法で製造される樹脂組成物を用いた成形体を提供する。
【解決手段】ポリスルホン75質量部以上99質量部以下及び液晶ポリエステル1質量部以上25質量部以下(ただし、ポリスルホンと液晶ポリエステルとの合計が100質量部)を含む混合物を、1000/秒以上9000/秒以下のせん断速度で溶融混練することを含む樹脂組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物の製造方法、樹脂組成物および成形体に関するものである。
従来、電気電子部品や自動車部品、雑貨など様々な用途分野において、成形材料としてプラスチックを含む組成物(以下、樹脂組成物)が好適に用いられている。例えば、ポリスルホンと液晶ポリエステルとを含む樹脂組成物は、ポリスルホンが有する耐熱性、機械物性および耐薬品性と、液晶ポリエステルが有する耐熱性、高流動性とを兼ね備える優れた樹脂材料として検討されており、例えば特許文献1および2に開示されている。
特開2001−181504号公報 特開2011−178829号公報
ところで、近年、樹脂成形体の接合方法としてレーザー溶着法が盛んに適用されている。レーザー溶着法は、細かく複雑な接合界面を持つ部材でも無振動で容易に安定した接合ができること、溶着時にバリや煙の発生がないこと、接合品の外観が向上すると共に接合部の設計自由度が広がること、等の利点を有することから、適用の機会が増えている。
レーザー溶着法では、溶着に用いるレーザー光を透過させる成形体(光透過性樹脂成形体)と、レーザー光を吸収して熱を発生する成形体(光吸収樹脂成形体)を用い、これらを接合させる。詳しくは、これら2種の成形体を当接させ、光透過性樹脂成形体の側からレーザー光を照射することで、光透過性樹脂成形体を透過したレーザー光が光吸収樹脂成形体に照射される。光吸収樹脂成形体のレーザー光照射面では、レーザー光を吸収して発熱し、更にレーザー光照射面に接する光透過性樹脂成形体にも熱を伝えることで、2種の成形体がいずれも溶融し、これらの成形体が溶着する。
溶着法用のレーザー光の光源としては、波長1064nmのNd:YAGレーザーや、波長が800〜1000nmである半導体レーザーが主として使用される。このため、レーザー溶着用の光透過性樹脂成形体としては、波長800〜1200nmの近赤外線の波長を効率よく透過する材料が用いられる。
しかし、ポリスルホンと液晶ポリエステルとは相溶し難いため、ポリスルホンと液晶ポリエステルとを含む樹脂組成物のうち従来知られたものは、不透明であり光透過性が非常に低い。そのため、ポリスルホンと液晶ポリエステルとを含む樹脂組成物は、上述したような良好な物性を備えながらも、レーザー溶着法が適用しにくかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、ポリスルホンと液晶ポリエステルとを含み、従来よりも光線透過率に優れた樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。また、このような製造方法によって製造された樹脂組成物および樹脂組成物を成形した成形体を提供することをあわせて目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、ポリスルホン75質量部以上99質量部以下及び液晶ポリエステル1質量部以上25質量部以下(ただし、ポリスルホンと液晶ポリエステルとの合計が100質量部)を含む混合物を、1000/秒以上9000/秒以下のせん断速度で溶融混練することを含む樹脂組成物の製造方法を提供する。
本発明の一態様においては、前記ポリスルホンと前記液晶ポリエステルとの溶融混練を、帰還型スクリューを備えた混練機を用いて行うことが望ましい。
本発明の一態様においては、前記ポリスルホンが、前記ポリスルホンを構成する全繰返し単位の合計量に対して、下記式(1a)で示される繰返し単位を80モル%以上有することが望ましい。
Figure 2013204027
本発明の一態様においては、前記液晶ポリエステルが、下記(2a)、(2b)及び(2c)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
(2a):下記式(I)で表される繰返し単位を有する液晶ポリエステル
(2b):下記式(II)で表される繰返し単位及び下記式(III)で表される繰返し単位を有する液晶ポリエステル
(2c):下記式(I)で表される繰返し単位、下記式(II)で表される繰返し単位及び下記式(III)で表される繰返し単位を有する液晶ポリエステル
(I)−O−Ar−CO−
(II)−CO−Ar−CO−
(III)−X−Ar−Y−
(式中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表し;Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(IV)で表される基を表し;X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基(−NH−)を表し;Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(IV)−Ar−Z−Ar
(式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し;Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
本発明の一態様は、上述の樹脂組成物の製造方法で製造された樹脂組成物を提供する。
本発明の一態様は、上述の樹脂組成物を成形してなる成形体を提供する。
本発明によれば、ポリスルホンと液晶ポリエステルとを含み、従来よりも光線透過率に優れた樹脂組成物の製造方法を提供することができる。また、このような製造方法によって製造された樹脂組成物および樹脂組成物を成形した成形体を提供することができる。
[樹脂組成物の製造方法]
本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、ポリスルホン75質量部以上99質量部以下及び液晶ポリエステル1質量部以上25質量部以下(ただし、ポリスルホンと液晶ポリエステルとの合計が100質量部)を含む混合物を、1000/秒以上9000/秒以下のせん断速度で溶融混練することを含むものである。
以下、順に説明する。
(ポリスルホン)
本実施形態の樹脂組成物の製造方法で用いられるポリスルホンは、典型的には、2価の芳香族基(芳香族化合物から、その芳香環に結合した水素原子を2個除いてなる残基)とスルホニル基(−SO−)と酸素原子とを含む繰返し単位を有する樹脂である。
ポリスルホンは、耐熱性や耐薬品性の点から、下記式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」ということがある。)を有することが好ましく、さらに、下記式(2)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(2)」ということがある。)や、下記式(3)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(3)」ということがある。)等の他の繰返し単位を1種以上有していてもよい。
(1)−Ph−SO−Ph−O−
(Ph及びPhは、それぞれ独立に、フェニレン基を表す。前記フェニレン基にある水素原子は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。)
(2)−Ph−R−Ph−O−
(Ph及びPhは、それぞれ独立に、フェニレン基を表す。前記フェニレン基にある水素原子は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。Rは、アルキリデン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。)
(3)−(Ph−O−
(Phは、フェニレン基を表す。前記フェニレン基にある水素原子は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。nは、1〜3の整数を表す。nが2以上である場合、複数存在するPhは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
Ph〜Phのいずれかで表されるフェニレン基は、p−フェニレン基であってもよいし、m−フェニレン基であってもよいし、o−フェニレン基であってもよいが、得られる樹脂の耐熱性、強度が高くなるためp−フェニレン基であることが好ましい。
前記フェニレン基にある水素原子を置換していてもよいアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基及びn−デシル基が挙げられ、その炭素数は、1〜10であることが好ましい。
前記フェニレン基にある水素原子を置換していてもよいアリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、6〜20であることが好ましい。
前記フェニレン基にある水素原子を置換していてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
前記フェニレン基にある水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、前記フェニレン基毎に、それぞれ独立に、好ましくは1個または2個であり、より好ましくは1個である。
Rで表されるアルキリデン基の例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基及び1−ブチリデン基が挙げられ、その炭素数は、1〜5であることが好ましい。
なお、本実施形態の製造方法で使用されるポリスルホンは、繰返し単位(1)を、全繰返し単位の合計に対して、50モル%以上100モル%以下有することが好ましく、80モル%以上100モル%以下有することがより好ましく、繰返し単位として実質的に繰返し単位(1)のみ(100モル%)を有することがさらに好ましい。
また、本実施形態の製造方法で使用されるポリスルホンは、全繰返し単位の合計に対して、下記式(1a)で表される繰返し単位を80モル%以上100モル%以下有することが好ましく、繰返し単位として実質的に繰返し単位(1a)のみ(100モル%)を有することがより好ましい。繰返し単位(1a)は、繰返し単位(1)において、Ph及びPhがいずれも1,4−フェニレン基であるものに相当する。
Figure 2013204027
なお、ポリスルホンは、繰返し単位(1)〜(3)を、それぞれ独立に、2種以上有してもよい。
ポリスルホンは、それを構成する繰返し単位に対応するジハロゲノスルホン化合物とジヒドロキシ化合物とを重縮合させることにより、製造することができる。
例えば、繰返し単位(1)を有する樹脂は、ジハロゲノスルホン化合物として下記式(4)で表される化合物(以下、「化合物(4)」ということがある。)を用い、ジヒドロキシ化合物として下記式(5)で表される化合物を用いることにより、製造することができる。
(4)X−Ph−SO−Ph−X
(Xは及びXは、それぞれ独立に、ハロゲン原子を表す。Ph及びPhは、前記と同義である。)
(5)HO−Ph−SO−Ph−OH
(Ph及びPhは、前記と同義である。)
また、繰返し単位(1)と繰返し単位(2)とを有する樹脂は、ジハロゲノスルホン化合物として化合物(4)を用い、ジヒドロキシ化合物として下記式(6)で表される化合物を用いることにより、製造することができる。
(6)HO−Ph−R−Ph−OH
(Ph、Ph及びRは、前記と同義である。)
また、繰返し単位(1)と繰返し単位(3)とを有する樹脂は、ジハロゲノスルホン化合物として化合物(4)を用い、ジヒドロキシ化合物として下記式(7)で表される化合物を用いることにより、製造することができる。
(7)HO−(Ph−OH
(Ph及びnは、前記と同義である。)
前記重縮合は、炭酸のアルカリ金属塩を用いて、溶媒中で行うことが好ましい。炭酸のアルカリ金属塩は、正塩である炭酸アルカリであってもよいし、酸性塩である重炭酸アルカリ(炭酸水素アルカリ)であってもよいし、両者の混合物であってもよく、炭酸アルカリとしては、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムが好ましく用いられ、重炭酸アルカリとしては、重炭酸ナトリウムや重炭酸カリウムが好ましく用いられる。
重縮合に用いる溶媒としては、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリドン、スルホラン(1,1−ジオキソチラン)、1,3-ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジフェニルスルホン等の有機極性溶媒が好ましい。
ポリスルホンは、その還元粘度が、好ましくは0.3dL/g以上、より好ましくは0.3dL/g以上0.6dL/g以下、さらに好ましくは0.3dL/g以上0.55dL/g以下である。還元粘度が高いほど、耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、あまり高いと、溶融温度や溶融粘度が高くなり易く、その成形に必要な温度が高くなり易い。
前記重縮合において、仮に副反応が生じなければ、ジハロゲノスルホン化合物とジヒドロキシ化合物とのモル比が1:1に近いほど、炭酸のアルカリ金属塩の使用量が多いほど、重縮合温度が高いほど、また、重縮合時間が長いほど、得られるポリスルホンの重合度が高くなり易く、還元粘度が高くなり易い。
しかし実際は、副生する水酸化アルカリ(アルカリ金属の水酸化物)等により、ハロゲノ基のヒドロキシル基への置換反応や解重合等の副反応が生じ、この副反応により、得られるポリスルホンの重合度が低下し易く、還元粘度が低下し易い。
したがって、この副反応の度合いも考慮して、所望の還元粘度を有するポリスルホンが得られるように、ジハロゲノスルホン化合物とジヒドロキシ化合物とのモル比、炭酸のアルカリ金属塩の使用量、重縮合温度及び重縮合時間を調整することが好ましい。
ポリスルホンの市販品の例としては、住友化学(株)製の「スミカエクセルPES3600P」や「スミカエクセルPES4100P」(繰返し単位(1)を有するポリスルホン)、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製の「UDEL P−1700」(繰返し単位(1)及び(2)を有するポリスルホン)が挙げられる。なお、ポリスルホンの末端基は、その製法により適宜選択することができ、その例としては、クロロ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物の製造方法で使用されるポリスルホンは、溶融粘度が100Pa・sより大きく600Pa・s未満であることが好ましく、100Pa・sより大きく400Pa・s以下であることがより好ましい。溶融粘度が600Pa・s以上になると、得られる成形体の溶融粘度も高くなるため、成形加工し難くなり、100Pa・s以下になると、得られる成形体の耐熱性や機械強度が低下しやすくなる。
なお、本明細書において「溶融粘度」とは、(株)東洋精機製作所製の「キャピログラフ1B」により、内径1mm、長さ10mmのオリフィスを用い、加熱温度340℃で、且つせん断速度が1216/秒となる荷重を加えた条件で測定した値を指す。
本実施形態の樹脂組成物の製造方法で使用される芳香族ポリスルホンは、以上のようなものである。
(液晶ポリエステル)
本実施形態の樹脂組成物の製造方法で用いられる液晶ポリエステルは、溶融状態で液晶性を示す液晶ポリエステルであり、450℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。なお、液晶ポリエステルは、液晶ポリエステルアミドであってもよいし、液晶ポリエステルエーテルであってもよいし、液晶ポリエステルカーボネートであってもよいし、液晶ポリエステルイミドであってもよい。液晶ポリエステルは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリエステルであることが好ましい。
液晶ポリエステルの典型的な例としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸と芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを重合(重縮合)させてなるもの、複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させてなるもの、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを重合させてなるもの、及びポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと芳香族ヒドロキシカルボン酸とを重合させてなるものが挙げられる。ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンは、それぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、その重合可能な誘導体が用いられてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシル基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの(エステル)、カルボキシル基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、及びカルボキシル基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)が挙げられる。芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシル基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
液晶ポリエステルは、下記(2a)、(2b)及び(2c)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
(2a):下記式(I)で表される繰返し単位を有する液晶ポリエステル
(2b):下記式(II)で表される繰返し単位及び下記式(III)で表される繰返し単位を有する液晶ポリエステル
(2c):下記式(I)で表される繰返し単位、下記式(II)で表される繰返し単位及び下記式(III)で表される繰返し単位を有する液晶ポリエステル
(I)−O−Ar−CO−
(II)−CO−Ar−CO−
(III)−X−Ar−Y−
(Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(IV)で表される基を表す。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基(−NH−)を表す。Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
(IV)−Ar−Z−Ar
(Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子と置換可能なハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子と置換可能なアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、ノニル基及びn−デシル基等が挙げられ、その炭素数は、1〜10であることが好ましい。
Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子と置換可能なアリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基等のような単環式芳香族基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基等のような縮環式芳香族基が挙げられ、その炭素数は、6〜20であることが好ましい。
Ar、ArまたはArで表される前記基の水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar、Ar又はArで表される前記基毎に、それぞれ独立に、好ましくは1個または2個であり、より好ましくは1個である。
前記アルキリデン基の例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、n−ブチリデン基及び2−エチルヘキシリデン基等が挙げられ、その炭素数は1〜10であることが好ましい。
繰返し単位(I)は、所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(I)としては、Arがp−フェニレン基であるもの(p−ヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位)、及びArが2,6−ナフチレン基であるもの(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(II)は、所定の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(II)としては、Arがp−フェニレン基であるもの(テレフタル酸に由来する繰返し単位)、Arがm−フェニレン基であるもの(イソフタル酸に由来する繰返し単位)、Arが2,6−ナフチレン基であるもの(2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位)、及びArがジフェニルエ−テル−4,4’−ジイル基であるもの(ジフェニルエ−テル−4,4’−ジカルボン酸に由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(III)は、所定の芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシルアミン又は芳香族ジアミンに由来する繰返し単位である。繰返し単位(III)としては、Arがp−フェニレン基であるもの(ヒドロキノン、p−アミノフェノール又はp−フェニレンジアミンに由来する繰返し単位)、及びArが4,4’−ビフェニリレン基であるもの(4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル又は4,4’−ジアミノビフェニルに由来する繰返し単位)が好ましい。
繰返し単位(I)の含有量は、全繰返し単位の合計量(液晶ポリエステルを構成する各繰返し単位の質量をその各繰返し単位の式量で割ることにより、各繰返し単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは30モル%以上80モル%以下、さらに好ましくは40モル%以上70モル%以下、よりさらに好ましくは45モル%以上65モル%以下である。
繰返し単位(II)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%以上35モル%以下、さらに好ましくは15モル%以上30モル%以下、よりさらに好ましくは17.5モル%以上27.5モル%以下である。
繰返し単位(III)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%以上35モル%以下、さらに好ましくは15モル%以上30モル%以下、よりさらに好ましくは17.5モル%以上27.5モル%以下である。
例えば、液晶ポリエステルが繰返し単位(I)、繰返し単位(II)および繰返し単位(III)から構成される場合には、繰返し単位(I)の含有率が30モル%以上80モル%以下、繰返し単位(II)の含有率が10モル%以上35モル%以下、繰返し単位(III)の含有率が10モル%以上35モル%以下であることが好ましい。
液晶ポリエステルは、繰返し単位(I)の含有量が多いほど、溶融流動性や耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、あまり多いと、溶融温度や溶融粘度が高くなり易く、成形に必要な温度が高くなり易い。
繰返し単位(II)の含有量と繰返し単位(III)の含有量との割合は、[繰返し単位(II)の含有量]/[繰返し単位(III)の含有量](モル/モル)で表して、好ましくは0.9/1〜1/0.9、より好ましくは0.95/1〜1/0.95、さらに好ましくは0.98/1〜1/0.98である。
なお、液晶ポリエステルは、繰返し単位(I)〜(III)を、それぞれ独立に、2種以上有してもよい。また、液晶ポリエステルは、繰返し単位(I)〜(III)以外の繰返し単位を有してもよいが、その含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは0モル%以上10モル%以下、より好ましくは0モル%以上5モル%以下である。
液晶ポリエステルは、繰返し単位(III)として、X及びYがそれぞれ酸素原子であるものを有すること、すなわち、所定の芳香族ジオールに由来する繰返し単位を有することが、溶融粘度が低くなり易いので、好ましく、繰返し単位(III)として、X及びYがそれぞれ酸素原子であるもののみを有することが、より好ましい。
液晶ポリエステルは、それを構成する繰返し単位に対応する原料モノマーを溶融重合させ、得られた重合物(以下、「プレポリマー」ということがある。)を固相重合させることにより、製造することが好ましい。これにより、耐熱性や強度・剛性が高い高分子量の液晶ポリエステルを操作性良く製造することができる。溶融重合は、触媒の存在下に行ってもよく、この触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物や、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1−メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物が挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。
液晶ポリエステルは、その流動開始温度が、好ましくは270℃以上、より好ましくは270℃以上400℃以下、さらに好ましくは280℃以上380℃以下である。流動開始温度が高いほど、耐熱性や強度・剛性が向上し易いが、あまり高いと、溶融させるために高温を要し、成形時に熱劣化しやすくなったり、溶融時の粘度が高くなり、流動性が低下したりする。
なお、流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kgf/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
本実施形態の樹脂組成物で使用される液晶ポリエステルは、以上のようなものである。
(樹脂組成物の製造方法)
本実施形態の樹脂組成物の製造方法では、上述したポリスルホンおよび液晶ポリエステルを溶融混練することにより、樹脂組成物を製造する。ポリスルホンと液晶ポリエステルとの使用割合は、両者の合計量を100質量部として、ポリスルホンが75質量部以上99質量部以下、液晶ポリエステルが1質量部以上25質量部以下である。
両者の使用割合は、好ましくは、ポリスルホンが80質量部以上99質量部以下、液晶ポリエステルが1質量部以上20質量部以下であり、より好ましくは、ポリスルホンが85質量部以上99質量部以下、液晶ポリエステルが1質量部以上15質量部以下である。
液晶ポリエステルの使用量が1質量部未満であると、得られる成形体の成形加工性が不十分になり、また、液晶ポリエステルの使用量が25質量部より多いと、得られる成形体の光線透過率が不十分になる。また、液晶ポリエステルの使用量を上記好適な範囲に近づけるほど、得られる樹脂組成物が成形加工し易く、流動性が良好なものとなる。
また、本実施形態の製造方法で用いるポリスルホンおよび液晶ポリエステルは、上述したものの中から、両者の溶融粘度に基づいて選択するとよい。用いるポリスルホンおよび液晶ポリエステルは、ポリスルホンの溶融粘度(ηa)と液晶ポリエステルの溶融粘度(ηb)との比(ηa/ηb)が、0.5以上2.0以下であることが好ましく、0.8以上1.8以下であることがより好ましく、1.0以上1.6以下であることがさらに好ましい。この溶融粘度の比を上記好適な範囲に近づけるほど、得られる樹脂組成物における液晶ポリエステルの分散性が良くなるため、光線透過率が高いものとなる。
なお、これらのポリスルホン及び液晶ポリエステルの溶融粘度は、各樹脂を構成するモノマーの比率や重合度を変更することで適宜制御可能である。
本実施形態の樹脂組成物の製造方法では、ポリスルホンと液晶ポリエステルとの溶融混練を、1000/秒以上9000/秒以下のせん断速度で行う。このような高いせん断速度で溶融混練を行うことにより、ポリスルホンの中に液晶ポリエステルが良好に分散した樹脂組成物を得ることができる。このような樹脂組成物を用いると、ポリスルホンと液晶ポリエステルのアロイを成形材料としながらも、従来よりも光線透過率が高い成形体を製造することが可能となる。
溶融混練時のせん断速度は、好ましくは1000/秒以上5000/秒以下、より好ましくは1000/秒以上3000/秒以下である。このせん断速度が1000/秒より小さいと、液晶ポリエステルの分散が不十分になり、得られる樹脂組成物を成形材料として用いた成形体の光線透過率が低下する。また、せん断速度が9000/秒と超えると、熱劣化により、得られる樹脂組成物が分解しやすくなる。また、溶融混練時のせん断速度を上記好適な範囲に近づけるほど、樹脂材料に十分なせん断を加えながらも生産性良く樹脂組成物を製造することが可能となる。
溶融混練時の温度は、ポリスルホン及び液晶ポリエステルの種類に応じて適宜調節すればよいが、好ましくは250℃以上400℃以下、より好ましくは270℃以上400℃以下、さらに好ましくは280℃以上380℃以下である。
前記溶融混練は、従来の2軸押出機では不可能であったナノコンパウンディング等の押出成形を可能にする高せん断型の混練機、例えば、完全噛合型同方向回転平行4軸押出機(例えば(株)テクノベル製の「KZW FR」)や、帰還型スクリューを備えた高せん断成形加工機(例えばニイガタマシンテクノ(株)製の「NHSS2−28」)を用いて行うことができ、特に帰還型スクリューを備えたせん断成形加工機を用いて行うことが好ましい。
帰還型スクリューを備えたせん断成形加工機(溶融混練機)は、一定時間内部で高せん断の混練を行った後に樹脂を排出するバッチ式のものでもよく、溶融混練する樹脂の一部を排出しながら、残部を内部で循環させて、高せん断の溶融混練を行う連続式のものでもよい。
なお、前記溶融混練は、ポリスルホン、液晶ポリエステル及び必要に応じて他の成分を、予めヘンシェルミキサー、タンブラー等を用いて混合した後、この混合物を混練機に供給してもよい。また、他の成分を用いる場合は、ポリスルホンと液晶ポリエステルとを予め混合した後、この混合物と他の成分とを別々に混練機に供給することにより行ってもよい。また、取り扱いが容易となることから、ポリスルホン、液晶ポリエステル及び必要に応じて他の成分を、通常の押出機で低せん断下に溶融混練してペレット化した後、得られるペレットを1000/秒以上9000/秒以下の高せん断速度で溶融混練してもよい。
以上のような製造方法によれば、ポリスルホンと液晶ポリエステルとを含み、従来よりも光線透過率に優れた樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
また、以上のような製造方法で得られる樹脂組成物は、従来よりも光線透過率に優れたものとなる。
なお、本実施形態の製造方法で製造される樹脂組成物には、発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、ポリスルホン及び液晶ポリエステル以外の成分(他の成分)を含むこととしてもよい。
他の成分の例としては、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカー等の繊維状充填材;タルク、マイカ、クレー等の板状無機充填材;ガラスビーズ等の粒状無機充填剤;フッ素樹脂、金属石鹸類等の離型改良材;染料、顔料等の着色剤;酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤、ポリスルホンおよび液晶ポリエステル以外の樹脂が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
また、ポリスルホンおよび液晶ポリエステル以外の樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル及びその変成物、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂;ゴム成分が挙げられ、必要に応じて1種又は2種以上用いてもよい。
[成形体]
本実施形態の成形体は、上述の樹脂組成物の製造方法で製造された樹脂組成物を成形してなるものである。
上述のようにして得られる樹脂組成物は、ポリスルホンが有する耐薬品性と、液晶ポリエステルが有する流動性や耐薬品性とを兼ね備えつつ、耐熱性、成形加工性にも優れ、光線透過率も優れることから、各種成形体を製造するための成形材料として好適に用いられる。
成形方法としては、樹脂を溶融・賦型・固化させうる各種方法が採用でき、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形が挙げられ、中でも射出成形が好ましく用いられる。得られた成形体は、さらに切削やプレスにより加工してもよい。
得られる成形体は、レーザー溶着するための成形体として好適に用いることができる。上述の製造方法で製造した樹脂組成物は、光透過性に優れることから、レーザー溶着するための光透過性樹脂成形体として用いることができる。また、黒色顔料などの光吸収性の添加物を加えて成形することにより、光吸収樹脂組成物として用いることができる。
本実施形態の成形体は、例えば、自動車や航空機の部品、産業用機器、家電製品、食器、医療機器、食品容器、OA・AV機器、電気・電子部品、半導体製造プロセス関連部品、家庭日用品、包装・容器資材として採用することができる。また、本実施形態の成形体は、特に、耐熱性と透明性が必要とされる製品・部品、例えば、ランプ部品、継ぎ手、バルブ類、電子レンジ容器、コーヒーサーバ容器、ウエハーキャリヤー、センサー類部品、エンジンルーム内部品として好適に用いることができる。
以上のような構成の成形体は、ポリスルホンと液晶ポリエステルとを含み、従来よりも光線透過率に優れたものとなる。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[測定方法]
(液晶ポリエステルの流動開始温度の測定)
液晶ポリエステルの流動開始温度は、フローテスター((株)島津製作所製、CFT−500型)を用いて測定した。液晶ポリエステル約2gを、内径1mm及び長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダーに充填し、9.8MPa(100kgf/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、ノズルから押し出し、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度を、流動開始温度として測定した。
(溶融粘度)
樹脂の溶融粘度は、(株)東洋精機製作所製の「キャピログラフ1B」により、内径1mm、長さ10mmのオリフィスを用い、加熱温度340℃で、且つせん断速度が1216/秒となる荷重を加えた条件で測定した。
(光線透過率の測定)
成形体の光線透過率は、島津製作所製「U−3500」を用いて測定される、900nmにおける透過率を採用した。
[液晶ポリエステルの製造]
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸を994.5g(7.2モル)、テレフタル酸を299.1g(1.8モル)、イソフタル酸99.7g(0.6モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを446.9g(2.4モル)、無水酢酸を1347.6g(13.2モル)及び1−メチルイミダゾールを0.2g入れ、窒素ガス気流下、攪拌しながら、室温から150℃まで30分間かけて昇温し、150℃で1時間還流させた。
次いで、1−メチルイミダゾールを0.9g添加し、副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、320℃まで2時間50分かけて昇温し、320℃でトルクの上昇が認められるまで保持した後、反応器から内容物を取り出し、これを室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粉砕して、粉末状のプレポリマーを得た。
次いで、このプレポリマーを、窒素ガス雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から285℃まで5時間かけて昇温して、285℃で3時間保持することにより、固相重合させた後、冷却して、流動開始温度が327℃の粉末状の液晶ポリエステルを得た。
[樹脂組成物の製造]
(製造例1)
340℃における溶融粘度344Pa・sのポリスルホン(住友化学(株)製「スミカエクセルPES 3600P」)を95質量部と、製造例1で得られた340℃における溶融粘度428Pa・sの液晶ポリエステルを5質量部とを用いた。ポリスルホンの溶融粘度(ηa)/液晶ポリエステルの溶融粘度(ηb)は、0.8である。
上記ポリスルホンと液晶ポリエステルとの混合物を、ヘンシェルミキサーで混合した後、二軸押出機(池貝鉄工社製、PCM−30)を用いて、シリンダー温度340℃で100/秒のせん断速度で混練して造粒し、樹脂組成物1aを得た。
(製造例2)
ポリスルホンの使用量を90質量部とし、液晶ポリエステルの使用量を10質量部としたこと以外は、製造例1と同様の方法で樹脂組成物2aを得た。
(製造例3)
ポリスルホンの使用量を80質量部とし、液晶ポリエステルの使用量を20質量部としたこと以外は、製造例1と同様の方法で樹脂組成物3aを得た。
[樹脂組成物及び成形体の製造]
(実施例1)
樹脂組成物1aを、帰還型スクリューを備えた高せん断成形加工機(ニイガタマシンテクノ社製、NHSS2−28、スクリュー径28mm、スクリュー帰還部の内径2.5mm)に投入し、ギャップを2mmに設定し、可塑化部温度320℃、混練部温度340℃にて加熱溶融させ、スクリュー回転数を2000rpmとして、2940/秒のせん断速度で20秒間混練し、その後、T−ダイから押し出して、仮成形体1xを得た。その際、せん断発熱を低減するため、冷却機構を用いて、混練部の温度が340℃を超えないように温度制御した。
得られた仮成形体1xを、プレス機(神藤金属工業所製、NP−37)を用いて、340℃、100MPaの条件でプレス成形し、30mm×30mm×0.3mmtの成形体1を得た。
(実施例2)
樹脂組成物1aに代えて樹脂組成物2aを使用したこと以外は、実施例1と同様にしてT−ダイから押し出し、仮成形体2xを得た。
樹脂組成物1に代えて得られた仮成形体2xを用いたこと以外は、実施例1と同様にして成形体2を得た。
(実施例3)
樹脂組成物1aに代えて樹脂組成物3aを使用したこと以外は、実施例1と同様にしてT−ダイから押し出して、仮成形体3xを得た。
樹脂組成物1に代えて、得られた仮成形体3xを用いたこと以外は、実施例1と同様にして成形体3を得た。
(比較例1)
樹脂組成物1aを、プレス機(神藤金属工業所製、NP−37)を用いて、340℃、100MPaの条件でプレス成形し、30mm×30mm×0.3mmtの成形体1Rを得た。
(比較例2)
樹脂組成物1aに代えて、樹脂組成物2aを使用したこと以外は、比較例1と同様の方法で成形体2Rを得た。
(比較例3)
樹脂組成物1aに代えて、樹脂組成物3aを使用したこと以外は、比較例1と同様の方法で成形体3Rを得た。
(比較例4)
樹脂組成物2aを、帰還型スクリューを備えた高せん断成形加工機(ニイガタマシンテクノ社製、NHSS2−28、スクリュー径28mm、スクリュー帰還部の内径2.5mm)に投入し、ギャップを2mmに設定し、可塑化部温度320℃、混練部温度340℃にて加熱溶融させ、スクリュー回転数を500rpmとして、730/秒のせん断速度で20秒間混練し、その後、T−ダイから押し出して、仮成形体4xを得た。その際、せん断発熱を低減するため、冷却機構を用いて、混練部の温度が340℃を超えないように温度制御した。
得られた仮成形体4xを、プレス機(神藤金属工業所製、NP−37)を用いて、340℃、100MPaの条件でプレス成形し、30mm×30mm×0.3mmtの成形体4Rを得た。
(比較例5)
混練時間を300秒としたこと以外は、比較例4と同様の方法で成形体5Rを得た。
実施例1〜3、比較例1〜4で得られた各成形体について、上記測定方法にて光線透過率を測定した。結果を下記表1に示す。
Figure 2013204027
評価の結果、実施例1〜3では、いずれも光線透過率が20%以上となった。対して、比較例1〜5では、光線透過率が低いものとなった。比較例5では、低せん断速度の運転条件で長時間混練を行ったが、同じせん断速度で短時間混練を行った比較例4と比べて、光線透過率の改善は見られなかった。実施例の成形体は、レーザー溶着法を採用した接合加工時に、良好にレーザー光を透過させることができ、レーザー溶着が可能となる。
これらの結果から、本発明の有用性が確かめられた。

Claims (6)

  1. ポリスルホン75質量部以上99質量部以下及び液晶ポリエステル1質量部以上25質量部以下(ただし、ポリスルホンと液晶ポリエステルとの合計が100質量部)を含む混合物を、1000/秒以上9000/秒以下のせん断速度で溶融混練することを含む樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記ポリスルホンと前記液晶ポリエステルとの溶融混練を、帰還型スクリューを備えた混練機を用いて行う請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記ポリスルホンが、前記ポリスルホンを構成する全繰返し単位の合計量に対して、下記式(1a)で示される繰返し単位を80モル%以上有する請求項1または2に記載の樹脂組成物の製造方法。
    Figure 2013204027
  4. 前記液晶ポリエステルが、下記(2a)、(2b)及び(2c)からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1から3のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
    (2a):下記式(I)で表される繰返し単位を有する液晶ポリエステル
    (2b):下記式(II)で表される繰返し単位及び下記式(III)で表される繰返し単位を有する液晶ポリエステル
    (2c):下記式(I)で表される繰返し単位、下記式(II)で表される繰返し単位及び下記式(III)で表される繰返し単位を有する液晶ポリエステル
    (I)−O−Ar−CO−
    (II)−CO−Ar−CO−
    (III)−X−Ar−Y−
    (式中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表し;Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(IV)で表される基を表し;X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基(−NH−)を表し;Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
    (IV)−Ar−Z−Ar
    (式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し;Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法で製造された樹脂組成物。
  6. 請求項5の樹脂組成物を成形してなる成形体。
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