JP2013203652A - 窒化物単結晶の製造方法 - Google Patents

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全喜 包
Chiaki Yokoyama
千昭 横山
Daisuke Tomita
大輔 冨田
Shigehide Chichibu
重英 秩父
Rinzo Kayano
林造 茅野
Mutsuo Ueda
睦男 植田
Makoto Saito
真 斉藤
Yuji Kagamitani
勇二 鏡谷
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Abstract

【課題】反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の腐食を防止しながら、高い純度の結晶を得ることができる窒化物単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】反応容器中で超臨界状態および/または亜臨界状態にある窒素含有溶媒雰囲気において鉱化剤を用いて結晶成長を行う際に、前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部にNiを使用し、且つ、前記鉱化剤としてフッ素系鉱化剤であって、フッ素以外のハロゲン原子を含まない鉱化剤を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、窒化物単結晶の製造方法に関する。特に、周期表第13族元素の窒化物結晶を製造する際に有用な製造方法に関する。
アモノサーマル法は、超臨界状態および/または亜臨界状態にあるアンモニアなどの窒素含有溶媒を用いて、原材料の溶解−析出反応を利用して所望の材料を製造する方法である。結晶成長へ適用するときは、アンモニア溶媒への原料溶解度の温度依存性を利用して温度差により過飽和状態を発生させて結晶を析出させる。具体的には、オートクレーブなどの耐圧性容器やカプセルといった反応容器内に原料や種結晶を入れて密閉し、反応容器内外に設置されたヒーター等で加熱することにより反応容器内に高温域と低温域を形成し、その一方において原料を溶解し、他方において結晶を育成することにより、所望の結晶を製造することができる。
例えば、アモノサーマル法による窒化ガリウム(GaN)結晶育成は、高温高圧(500℃以上、150MPa以上)の超臨界状態での反応であり、このような環境に耐える装置の設計および材料の選定には自ずと制約がある。また、超臨界状態の純アンモニアなどの窒素含有溶媒中への窒化ガリウムの溶解度は極めて小さいため、溶解度を向上させ結晶成長を促進させるために鉱化剤を添加することが一般に行われている。鉱化剤はハロゲン化アンモニウムNH4X(X=F、Cl、Br、I)に代表される酸性鉱化剤とアルカリアミドXNH2(X=Li、Na、K)に代表される塩基性鉱化剤に分類される。これら鉱化剤を含む超臨界状態および/または亜臨界状態の窒素含有溶媒の環境は極めて苛酷な腐食環境となっている。このため、このような環境下においても十分な耐食性を有する装置設計や材料選択をすることが必要とされている。
例えば酸性鉱化剤を使ったアモノサーマル法によるGaN結晶育成では、反応容器にPtを用いることにより結晶の高純度化を図ることが可能である。しかしながら、Ptは高価であることから、工業的にコストを抑えた製造を行おうとすると他の材料による装置設計が必要である。そこで、装置内で用いるカプセルのライニング材としてCu,Ag,Mo,Fe,Taを用いることや、オートクレーブ材としてTi,Fe,Co,Cr,Niを用いることなどが提案されている(特許文献1〜6参照)。
特表2006−513122号公報 特開2010−222247号公報 国際公開WO2003/97906号公報 特開2007−56320号公報 特開2004−2152号公報 特開2010−222152号公報
このようにオートクレーブやカプセルを構成する材料として種々の材料が提案されているが、特許文献に記載されている通りに材料選択を行ってアモノサーマル法によりGaN結晶育成を試みても、鉱化剤種や成長条件によっては十分にオートクレーブやカプセルの腐食を防止することができないことが判明した。そこで本発明者らは、反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の腐食を防止しながら、高い純度の窒化物単結晶を得ることができる方法を提供することを目的として検討を進めた。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、結晶成長に用いられる反応容器内部の表面並びに該反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部を、Niを含む金属で形成し、更に、用いる鉱化剤に含まれるハロゲンとしてフッ素のみを含むものに限定することで、反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面にフッ素含有被膜が形成され、これにより反応容器表面等の腐食が防止されることを見出し、結晶の高純度化を達成した。特に、本発明の製造方法ではPtなどの貴金属を用いずとも不純物の低減を図れることからPtを用いた製造方法に比してコスト面で有利である。
すなわち、上記の課題は、以下の本発明の窒化物単結晶の製造方法により解決される。
[1] 反応容器中で超臨界状態および/または亜臨界状態にある窒素含有溶媒雰囲気において鉱化剤を用いて結晶成長を行う結晶成長工程を含み、前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部にNiを含み、且つ、前記鉱化剤はフッ素系鉱化剤であって、フッ素以外のハロゲン原子を含まないことを特徴とする窒化物単結晶の製造方法。
[2] 前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部が、Ni含有量が40質量%を超えるNi基合金である、[1]に記載の窒化物単結晶の製造方法。
[3] 前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部が、Ni含有量が50質量%を超えるNi基合金である、[1]に記載の窒化物単結晶の製造方法。
[4] 前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部の炭素含有量が0.2質量%以下である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
[5] 前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部のFe含有量が2.5質量%以下である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
[6] 前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部が、Cr、Al、Ti、Nb、V、WおよびMoから選ばれる少なくとも一種を含む、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
[7] 前記結晶成長工程を複数回実施する、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
[8] 反応容器中で超臨界および/または亜臨界状態の窒素含有溶媒雰囲気において鉱化剤を用いて結晶成長を行う結晶成長工程を含む窒化物単結晶の製造方法であって、該反応容器表面並びに該反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部がフッ素含有被膜で被覆されていることを特徴とする、窒化物単結晶の製造方法。
[9] 前記フッ素含有被膜の厚みが5nm〜50μmである、[8]に記載の窒化物単結晶の製造方法。
[10] 前前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部が、Ni含有量が40質量%を超えるNi基合金である、[8]または[9]に記載の窒化物単結晶の製造方法。
[11] 前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部が、Ni含有量が50質量%を超えるNi基合金である、[8]又は[9]に記載の窒化物単結晶の製造方法。
[12] 前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部の炭素含有量が0.2質量%以下である、[8]〜[11]のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
[13] 前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部のFe含有量が2.5質量%以下である、[8]〜[12]のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
[14] 前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部が、Cr、Al、Ti、Nb、V、WおよびMoから選ばれる少なくとも一種を含む、[8]〜[13]のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
[15] 前記結晶成長工程を複数回実施する、[8]〜[14]のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
[16] 前記結晶成長工程中の少なくとも一部で、前記被膜形成工程を同時に実施する、[8]〜[15]のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
本発明の製造方法によれば、反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の腐食を防止し、高い純度の結晶を得ることができる。
本発明で用いることができる結晶製造装置の模式図である。
以下において、本発明の窒化物単結晶の製造方法、およびそれに用いる結晶製造装置や部材について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
第1の本発明の窒化物単結晶の製造方法(以下、単に「第1の製造方法」と称する)は、反応容器中で超臨界状態および/または亜臨界状態にある窒素含有溶媒雰囲気において鉱化剤を用いて結晶成長を行う結晶成長工程を含み、前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部にNiを含み、且つ、前記鉱化剤はフッ素系鉱化剤であって、フッ素以外のハロゲン原子を含まない。
また、第2の本発明の窒化物単結晶の製造方法(以下、単に「第2の製造方法」と称する)は、反応容器中で超臨界状態および/または亜臨界状態にある窒素含有溶媒雰囲気において鉱化剤を用いて結晶成長を行う結晶成長工程と、前記反応容器表面及び該反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部にフッ素含有被膜を形成する被膜形成工程とを含み、前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部にNiを含む。
さらに、第3の本発明の窒化物単結晶の製造方法(以下、単に「第3の製造方法」と称する)は、反応容器中で超臨界及び/又は亜臨界状態の窒素含有溶媒雰囲気において鉱化剤を用いて結晶成長を行う結晶成長工程を含む窒化物単結晶の製造方法であって、該反応容器表面並びに該反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部がフッ素含有被膜で被覆されている。
以下、特に限定がない限り「本発明の製造方法」と称した場合には、第1の製造方法、第2の製造方法および第3の製造方法のすべてを含むものを意味する。
第1の製造方法は、少なくとも結晶成長工程を含むものであるが、鉱化剤をフッ素以外のハロゲン原子を含まないフッ素系鉱化剤のみを用いることで、Niを含む前記反応容器表面及び該反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部にフッ素含有被膜を形成することができる。
同様に第2の製造方法では、前記結晶成長工程に加えて、Niを含む前記反応容器表面及び該反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部にフッ素含有被膜を形成する被膜形成工程を含むものである。上述のように前記フッ素含有被膜は、Niを含む反応容器表面等に形成される被膜である。これら各工程はそれぞれ別々に順次実施してもよいし、同時に実施してもよい。また、窒化物単結晶の製造方法として、全体の工程にかかる時間が短縮できることから結晶成長工程中の少なくとも一部で、被膜形成工程を同時に実施することが好ましい。
第3の製造方法では、反応容器表面及び該反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部が前記フッ素含有被膜で被覆されている反応容器中で前記結晶成長を行うものである。
また、本発明の製造方法においては、結晶成長工程及び/または被膜形成工程を複数回実施してもよい。結晶成長工程及び/または被膜形成工程を複数回実施しても、反応容器内部の表面並びに該反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部に形成されたフッ素含有被は安定して存在するため、反応容器及び/または部材を腐蝕することなく、長期間にわたり使用できるため大きく生産性が向上する。
本発明の製造方法は超臨界状態および/または亜臨界状態にある窒素含有溶媒を用いて、原材料の溶解−析出反応を利用して所望の材料を製造する方法であって、一般にアモノサーマル法と称される(以下、本明細書中でもアモノサーマル法と称する場合がある)。具体的には、結晶成長へ適用するときは、アンモニア等の窒素含有溶媒への原料溶解度の温度依存性を利用して温度差により過飽和状態を発生させて結晶を析出させる方法である。
本発明の製造方法で得られる窒化物単結晶としては、特に限定されないが、Al、Ga、In等の周期表第13族元素の単独金属の窒化物単結晶が好ましい。周期表第13族金属窒化物単結晶としてはGaN、AlN、InNなどが挙げられ、GaInN、GaAlNなどの合金族の窒化物単結晶も含まれる。本発明は、このうち、特にGaを含む金属窒化物単結晶を得る場合に好適である。
(結晶製造装置)
本発明の各工程は、少なくとも耐圧性容器内に、超臨界状態および/または亜臨界状態にある窒素含有溶媒雰囲気において結晶成長を行うための反応容器が設置されてなる結晶製造装置を用いて行われる。該反応容器内部の表面及び該反応容器内部で使用される部材表面の少なくとも一部はフッ素含有被膜で被覆されてなる。フッ素含有被膜の詳細については、被膜形成工程の説明の項で詳述する。
(反応容器)
「反応容器」とは、超臨界状態および/または亜臨界状態の窒素含有溶媒がその内壁面に直接接触しうる状態で窒化物結晶の製造を行うための容器を意味し、耐圧性容器内部の構造そのものや、耐圧性容器内に設置されるカプセルなどを好ましい例として挙げることができる。
本発明に用いる耐圧性容器は、アモノサーマル法により窒化物結晶を成長させるときの高温高圧条件に耐え得るもの中から選択する。本発明の製造方法においては、前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部にNiを含む。即ち、反応容器等は、Niを含む金属で構成されていることが好ましく、アンモニア等の窒素含有溶媒に対する耐腐食性に優れたNi系の合金で構成されているものが好ましい。より好ましくはNi基合金である。前記Niを含む金属としては、炭素含有量が0.2質量%以下の純Ni(Ni200,Ni201など);Ni含有量が40質量%以上で不純元素としてのFe,Co含有量が5質量%以下のNi基合金(例えば、Inconel 625など(Inconelはハンティントン アロイズ カナダ リミテッドの登録商標、以下同じ);Ni含有量が40質量%以上のNi−Cu合金(モネル400など)が挙げられる。前記Ni基合金は、超臨界NH3環境下で窒物を形成するCr,Al,Ti,Nb、Vを含有しても良く、更に、固溶強化元素としてW,Moを含有してもよい。
前記純Niには、炭素含有量が0.2質量%以下の規格のもの「Ni200」と、極低炭素の規格「Ni201」などが挙げられる。本発明で用いられるNiとしては、極低炭素のグレードが好ましい。炭素含有量が低いNiの場合、時効脆化が起こりにくく、500〜600℃程度の温度であっても炭素がグラファイトとして粒界に析出することなく、材料として脆くなりにくい傾向があるため好ましい。
前記Ni基合金としては、例えば、Fe含有量を好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下に制限したNi−Cr、Ni−Cr−Mo、Ni−Cr−W合金等が挙げられる。また、前記Ni基合金は、フッ素環境下におけるFeやCoの選択溶出を抑制する観点から、Fe含有量5.0質量%以下,Co含有量2.0質量%以下のNi基合金であることが好ましい。
以上の観点からすると、前記Niを含む金属としては、Ni含有量40質量%を超えるNi基合金であることが好ましく、Ni含有量45質量%を超えるNi基合金であることが更に好ましく、Ni含有量50質量%を超えるNi基合金であることが特に好ましい。
前記Niを含む金属、即ち、当該金属を含む前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部の炭素含有量は、脆化の観点から0.2質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下が更に好ましく、0.05質量%以下が特に好ましい。
前記Niを含む金属、即ち、当該金属を含む前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部のFe含有量は、フッ素との反応性の観点から8.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以下が更に好ましく、2.0質量%以下が特に好ましい。
前記Niを含む金属、即ち、当該金属を含む前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部のCo含有量は、フッ素との反応性の観点から8質量%以下であることが好ましく、5質量%以下が更に好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
例えば、前記反応容器の表面等に用いられるNiを含む金属は、SIMS分析でFe濃度1×1019atoms/ccであることが好ましく、Niの純度は17乗台であることが好ましい。
前記Niを含む金属、即ち、当該金属を含む前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部は、Cr、Al、Ti、Nb、V、WおよびMoから選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。即ち、前記Ni基合金を用いた場合には、超臨界NH3環境下で窒物を形成するCr,Al,Ti,Nb、Vを含有しても良く、更に、固溶強化元素としてW,Moを含有してもよい。
これらの合金の組成比率は、系内の溶媒の温度や圧力条件、および系内に含まれる鉱化剤およびそれらの反応物との反応性および/または酸化力・還元力、pH等の条件に従い、適宜選択すればよい。これら耐圧性容器に用いられる合金の耐腐食性は高いとはいえ、結晶品質に影響を全く及ぼさないほどに高い耐腐食性を有しているわけではない。これら合金は超臨界状態および/または亜臨界状態の窒素含有溶媒雰囲気、特に鉱化剤を含有するより厳しい腐食環境下においてはNi、Cr、Feなどの成分が溶液中に溶け出し結晶中に取り込まれることとなる。したがって本発明では、これら耐圧性容器の内面腐食を抑制するために、用いる鉱化剤をハロゲンとしてフッ素のみを含む鉱化剤に限定することで、反応容器内面をフッ素含有被膜によって被覆する。
反応容器を構成する様態としては、特に限定されないが、耐圧性容器の内面を直接ライニングまたはコーティングする方法では、反応容器内部の窒素含有溶媒に接触し得るすべての表面をライニングまたはコーティングすることが困難であるため、耐腐食性に優れる材料からなるカプセルを耐圧性容器内に配置する方法がより好ましい様態として挙げられる。但し、純Niは柔らかく加工性に富むので容器内面に0.5mm厚さ程度のライニングを行って反応容器を形成することも簡単に行う事が出来る。また、数年に一回程度内張りを交換する事も可能である。
反応容器の形状は、円筒形などをはじめとして任意の形状とすることができる。また、反応容器は立設しても横置きにしても斜めに設置して使用してもよい。
(部材)
本発明の製造方法は、反応容器内部に部材を設置した状態で行うのが一般的である。ここでいう「部材」とは、アモノサーマル法により窒化物結晶を製造する際に容器中に設置するものであって、反応容器から分離することができるものを意味する。例えば、種結晶を保持するための育成枠、溶液の対流を制御するバッフル板、原料カゴ、種結晶を吊るすワイヤーなどを挙げることができる。本発明では、これら部材の表面も、上述のような耐腐食性に優れる材料によって覆うことが好ましい。
本発明の製造方法に用いることのできる反応容器を含む結晶製造装置の具体例を図1に示す。図1は、本発明で用いることができる結晶製造装置の模式図である。図1に示される結晶製造装置は、オートクレーブ内で結晶成長を行う装置であるが、オートクレーブ中に内筒として装填されるカプセル(反応容器)中で結晶成長を行う装置を採用してもよい。図1のオートクレーブ中は、原料を溶解するための原料溶解領域1と結晶を成長させるための結晶成長領域2から構成されている。原料溶解領域1には原料4とともに溶媒や鉱化剤を入れることができ、結晶成長領域2には種結晶6をワイヤーで吊すなどして設置することができる。原料溶解領域1と結晶成長領域2との間には、2つの領域を区画バッフル板5が設置されている。バッフル板5の開孔率は2〜60%であるものが好ましく、3〜40%であるものがより好ましい。バッフル板5の表面の材質は、反応容器であるカプセル20の材料と同一であることが好ましい。また、より耐腐食性を持たせ、成長させる結晶を高純度化するために、バッフル板5の表面は、Ni、Ta、W、Mo、Ti、Nb、Pd、Pt、Au、Ir、pBNであることが好ましく、Ni、Pd、Pt、Au、Ir、pBNであることがより好ましく、Niを含む金属であることが特に好ましい。
オートクレーブ中に内筒として装填されるカプセル(反応容器)中で結晶成長を行う場合は、オートクレーブの内壁とカプセルの外壁の間の空隙には、第2溶媒を充填することができるようになっていて、バルブを介して窒素ボンベから窒素ガスを充填したり、アンモニアボンベからマスフローメーターで流量を確認したりしながら第2溶媒としてアンモニアを充填することができる。また、真空ポンプにより必要な減圧を行うこともできる。なお、窒化物単結晶の製造方法を実施する際に用いる結晶製造装置には、バルブ、マスフローメーター、導管は必ずしも設置されていなくてもよい。
以下、本発明の製造方法の各工程について詳細に説明する。
結晶成長工程は、反応容器中で超臨界状態および/または亜臨界状態の窒素含有溶媒雰囲気において結晶成長を行う工程である。
(結晶成長工程)
「アモノサーマル法」は、超臨界状態および/または亜臨界状態にあるアンモニア等の窒素含有溶媒を用いて、原材料の溶解−析出反応を利用して所望の材料を製造する方法である。アモノサーマル法を結晶成長へ適用するときは、アンモニア等の窒素含有溶媒への原料溶解度の温度依存性を利用して温度差により過飽和状態を発生させて結晶を析出させる。
アモノサーマル法による結晶成長は、高温高圧の超臨界窒素含有溶媒環境下での反応であり、さらに、超臨界状態の純アンモニア等の窒素含有溶媒中への窒化ガリウム等の溶解度は極めて小さいため、溶解度を向上させ結晶成長を促進させるために鉱化剤を用いることができる。前記結晶成長は、例えば、原料、種結晶、および、窒素を含有する溶媒を反応容器内に設置し、前記反応容器内を窒化物単結晶の成長温度まで昇温して行われる。
(種結晶)
種結晶としては、成長結晶として成長させる窒化物の単結晶を用いることができる。前記種結晶の具体例としては、例えば窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)等の窒化物単結晶が挙げられる。
前記種結晶は、溶媒への溶解度および鉱化剤との反応性を考慮して決定することができる。例えば、GaNの種結晶としては、サファイア等の異種基板上にエピタキシャル成長させた後に剥離させて得た単結晶、金属GaからNaやLi、Biをフラックスとして結晶成長させて得た単結晶、液相エピタキシ法(LPE法)を用いて得たホモ/ヘテロエピタキシャル成長させた単結晶、溶液成長法に基づき作製された単結晶およびそれらを切断した結晶などを用いることができる。前記エピタキシャル成長の具体的な方法については特に制限されず、例えば、ハイドライド気相成長法(HVPE)法、有機金属化学気相堆積法(MOCVD法)、液相法、アモノサーマル法などを採用することができる。
(鉱化剤)
前記鉱化剤はフッ素系鉱化剤であって、フッ素以外のハロゲン原子を含まない。即ち、ハロゲン元素としてフッ素原子のみを含む鉱化剤のみが用いられる。このようなハロゲン元素としてフッ素原子のみを含む鉱化剤の例としては、フッ化アンモニウム、フッ化水素、およびヒドロカルビルアンモニウムフルオリドや、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化ベンジルトリメチルアンモニウム、フッ化ジプロピルアンモニウム、およびフッ化イソプロピルアンモニウムなどのアルキルアンモニウム塩、フッ化アルキルナトリウムのようなフッ化アルキル金属、フッ化アルカリ土類金属、フッ化金属等が例示される。このうち、好ましくはフッ化アルカリ、アルカリ土類金属のフッ化物、金属のフッ化物、フッ化アンモニウム、フッ化水素であり、さらに好ましくはフッ化アルカリ、フッ化アンモニウム、周期表13族金属のフッ化物であり、特に好ましくはフッ化アンモニウム(NH4F)、フッ化ガリウムである。
アモノサーマル法に用いられる鉱化剤の使用量は、鉱化剤に含まれるフッ素の窒素含有溶媒に対するモル濃度が0.1mol%以上が好ましく、0.3mol%以上がより好ましく、0.5mol%以上がさらに好ましい。また、鉱化剤に含まれるフッ素の窒素含有溶媒に対するモル濃度は30mol%以下が好ましく、20mol%以下がより好ましく、10mol%以下がさらに好ましい。濃度が低すぎる場合、溶解度が低下し成長速度が低下する傾向がある。一方濃度が濃すぎる場合、溶解度が高くなりすぎて自発核発生が増加したり、過飽和度が大きくなりすぎたりするため制御が困難になるなどの傾向がある。
また、前記結晶成長工程における結晶中のフッ素濃度は、得られる結晶をデバイス作製用基板として使用した際に、フッ素が装置を腐食するおそれがないことから、1×1017atoms/cc以下が好ましく、5×1016atoms/cc以下atoms/ccが更に好ましく、が1×1016atoms/cc以下が特に好ましい。
(溶媒)
アモノサーマル法に用いられる溶媒としては、窒素含有溶媒を用いることができる。窒素含有溶媒としては、成長させる窒化物単結晶の安定性を損なうことのない溶媒が挙げられる。前記溶媒としては、例えば、アンモニア、ヒドラジン、尿素、アミン類(例えば、メチルアミンのような第1級アミン、ジメチルアミンのような第二級アミン、トリメチルアミンのような第三級アミン、エチレンジアミンのようなジアミン)、メラミン等を挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
溶媒に含まれる水や酸素の量はできるだけ少ないことが望ましく、これらの含有量は1000ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましく、0.1ppm以下であることがさらに好ましい。アンモニアを溶媒として用いる場合、その純度は通常99.9%以上であり、好ましくは99.99%以上であり、さらに好ましくは99.999%以上である。
(原料)
原料としては、種結晶上に成長させようとしている窒化物単結晶を構成する元素を含む原料を用いることができる。好ましくは窒化物単結晶の多結晶原料および/または窒化される金属であり、より好ましくは窒化ガリウムおよび/または金属ガリウムである。多結晶原料は、完全な窒化物である必要はなく、条件によってはIII族元素がメタルの状態(ゼロ価)である金属成分を含有してもよく、例えば、結晶が窒化ガリウムである場合には、窒化ガリウムと金属ガリウムの混合物が挙げられる。
前記多結晶原料の製造方法は、特に制限されない。例えば、アンモニアガスを流通させた反応容器内で、金属またはその酸化物もしくは水酸化物をアンモニアと反応させることにより生成した金属窒化物多結晶を用いることができる。また、より反応性の高い金属化合物原料として、ハロゲン化物、アミド化合物、イミド化合物、ガラザンなどの共有結合性M−N結合を有する化合物などを用いることができる。さらに、Gaなどの金属を高温高圧で窒素と反応させて作製した金属窒化物多結晶を用いることもできる。
本発明において原料として用いる多結晶原料に含まれる水や酸素の量は、少ないことが好ましい。多結晶原料中の酸素含有量は、通常10000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、特に好ましくは1ppm以下である。多結晶原料への酸素の混入のしやすさは、水分との反応性または吸収能と関係がある。多結晶原料の結晶性が悪いほど表面にNH基などの活性基が多く存在し、それが水と反応して一部酸化物や水酸化物が生成する可能性がある。このため、多結晶原料としては、通常、できるだけ結晶性が高い物を使用することが好ましい。結晶性は粉末X線回折の半値幅で見積もることができ、(100)の回折線(ヘキサゴナル型窒化ガリウムでは2θ=約32.5°)の半値幅が、通常0.25°以下、好ましくは0.20°以下、さらに好ましくは0.17°以下である。
結晶成長の成長速度は、量産による低コスト化の観点から、50μm/day以上が好ましく、100μm/day以上更に好ましく、150μm/day以上が特に好ましい。
また、前記結晶成長工程における反応容器内の酸素濃度は18乗台であり、同じオートクレーブで鉱化剤としてヨウ素を含むものを用いた場合に比しておおよそ1/100程度である。即ち、上述のように鉱化剤としてハロゲンとしてフッ素のみを含むフッ素含有鉱化剤のみを用いることで、成長結晶の純度を向上させることができる。
前記結晶成長工程において、アモノサーマル法によって窒化物単結晶を成長させる際の反応時間としては、結晶成長工程の初期は種結晶が溶解する場合があるため、種結晶より大きな結晶の育成と、各種デバイス用基板としての利用の観点から、その下限を6時間以上とすることができ、更に12時間以上とすることができ、更に24時間以上とすることができる。同様に、原料の枯渇による種結晶の溶解を防ぐ観点から、前記成長温度の上限は2400時間以下とすることができ、更に2160時間以下とすることができ、更に1440時間以下とすることができる。
前記結晶成長工程において、アモノサーマル法によって窒化物単結晶を成長させる際の成長圧力としては、成長速度を上げることが可能となるとの観点から、その下限を3MPa以上とすることができ、更に5MPa以上とすることができ、更に10MPa以上とすることができる。同様に、耐圧性容器の製造が容易となったり、製造上の取り扱いが容易となるとの観点から、前記反応圧力の上限は250Pa以下とすることができ、更に200Pa以下とすることができ、更に150Pa以下とすることができる。
前記結晶成工程において、アモノサーマル法によって窒化物単結晶を成長させる際の成長温度としては、結晶成長領域が300℃以上の領域で結晶成長を行うことが可能であるが、負の溶解度特性を示し、溶解度が逆転して高温領域で結晶成長を行うことで良質な結晶を得ることができることからその下限を500℃以上とすることが好ましく、更に550℃以上とすることが好ましく、更に580℃以上とすることが好ましい。同様に、耐圧性容器の製造が容易となったり、製造上の取り扱いが容易となるとの観点から、前記成長温度の上限は650℃以下とすることができ、更に630℃以下とすることができ、更に620℃以下とすることができる。
(被膜形成工程)
被膜形成工程は、反応容器内部の表面並びに該反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部にフッ素含有被膜を形成する工程である。第1の製造方法においては、成長工程においてハロゲンとしてフッ素のみを含むフッ素系鉱化剤のみを用いることで、前記反応容器表面等にフッ素含有被膜を形成することができる。この場合、第2の製造法に置き換えると、上述のように被膜形成工程が前記結晶成長工程において同時に実施されることとなる。
前記被膜形成工程においてNiを含む反応容器内部の表面等にフッ素含有被膜が形成されると、それが不動態膜として機能すると推測され、反応容器内部の表面等が超臨界および/または亜臨界状況下において腐食されるのを効果的に抑制することができる。このように反応容器内の表面の腐食を防止することで、成長結晶を高純度化することができる。このため、本発明の製造方法によって得られた結晶(半導体)は、透明度が高い。
前記フッ素含有被膜の厚さは、5nm〜50μmであることが好ましい。特に、前記結晶成長工程等においてフッ素含有被膜は安定しており、自動修復環境での実施となるため、特に厚膜は必要とされず、材料の最表面(10−100nm)程度の被膜であればよい。また、例えばNiF2などのフッ素含有被膜は、フッ化Fe、フッ化Cr、フッ化Coと比較して、高温域の蒸気圧が極めて低く、固体NiF2被膜として安定に存在するので揮発減肉が起こり難い。これに対し、塩素やヨウ素環境下で生じる塩化Ni、塩化Cr、塩化Fe、又は、ヨウ化Ni、ヨウ化Fe、ヨウ化Crは蒸気圧が高く気相となって溶媒NH3環境側に選択的に溶出し、反応容器の腐食減肉や得られる結晶の汚染の原因となる。
また、運転環境は常にフッ化雰囲気なので、フッ素含有被膜が自己修復し得る環境で運転されているため、フッ化雰囲気のアモノサーマル法は、事前にフッ化処理などする必要はなく、自己修復被膜を作りながら製造方法を実施することができる。
上述のように前記フッ素含有被膜は、超臨界状態および/または亜臨界状態の窒素含有溶媒やこれに鉱化剤、原材料などが溶解した溶液に対して極めて安定なので、反応容器内部の表面並びに該反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部を被覆した場合には、反応容器や部材が腐食されることがなく、得られる窒化物結晶中の不純物を低減することが可能となる。不純物がより低減されることから、該反応容器内部の表面並びに該反応容器内部で使用される部材のNiを含む材料からなる表面の総面積のうち、50%以上が被覆されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であり、100%被覆されていてもよい。
前記フッ素含有被膜は、フッ素を含んでいれば特に限定されず、本発明の効果を奏する限りにおいてNi以外の金属を含んでいてもよい。例えばSi,Ca,Mg,Zn等、窒化物結晶のドーパントとして機能する金属を含んでいてもよい。
なお、被膜形成工程が複数回実施される場合には、フッ素含有被膜は回数を重ねるごとにより厚くなる傾向がある。
(被膜の形成方法)
フッ素含有被膜の形成方法は特に限定されず、たとえば反応容器内にフッ素及びフッ素と反応し得る金属が存在する環境下において、温度及び圧力を上げることによって形成することができる。具体的には、フッ素系鉱化剤及びNi、Fe、Cr、Coなどの金属が存在する環境下において、温度及び圧力を上げることによって形成することができる。
被膜を形成する際には、反応容器内に超臨界状態および/または亜臨界状態の窒素含有溶媒や鉱化剤などが存在していてもよく、結晶成長工程中の少なくとも一部で被膜形成工程を同時に実施すると工程が簡略化できることから、結晶成長工程と同一の条件とすることが好ましい。
被膜形成工程は、反応容器内部の表面並びに該反応容器内部で使用される部材の表面にすでにフッ素含有被膜が形成されている状態で実施してもよい。
被膜を形成する際には、酸素や水などの結晶成長工程に必要な物質以外の物質を反応容器から除去することが好ましい。具体的には、これらの物質の濃度を100ppm以下にすることが好ましく、より好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。これらの物質を低減させる具体的な方法としては、反応容器内の窒素パージ、真空引きなどがあげられる。窒素パージと真空引きは組み合わせて行うことが好ましい。真空引きと合わせて反応容器を加熱してもよい。
本発明では、上記のフッ素含有被膜の形成条件を組み合わせて実施することが好ましい。例えば、反応容器内を超臨界状態および/または亜臨界状態の窒素含有溶媒及びフッ素系鉱化剤の存在下で、温度400〜700℃、圧力100〜700MPaに設定する態様を好ましく採用することができる。
以上のようにして得られた窒化物単結晶は、不純物が少なく、また、高温領域で結晶育成を行うため結晶の質が良く、PL強度も強い。また、本発明の製造方法によれば、大型化が可能な条件で透明なバルク結晶作製をすることができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1、2>
(試験片による腐食試験)
Ptを内張りした内寸が直径22mm、長さ293mmのオートクレーブ(容積約119ml)内部にバッフル板を設置し、鉱化剤として十分に乾燥した純度99.99%のNH4FをNH3充填量に対し0.5mol%投入した。次いで、上部および下部にInconel625製試験片(10mm×10mm)を設置した。その後、素早くバルブが装着されたオートクレーブの蓋を閉じ、オートクレーブの計量を行った。次いで、オートクレーブに付属したバルブを介して導管を真空ポンプ部に通じるように操作し、バルブを開けてオートクレーブ内を真空脱気した。その後、真空状態を維持しながら、オートクレーブをドライアイス/メタノールによって冷却し、一旦バルブを閉じた。次いで、導管を、バルブを介してNH3ボンベに通じるように操作した後、再びバルブを開け、外気に触れることなくNH3を連続してオートクレーブ内に充填した。流量を制御して、NH3をオートクレーブ内に液体として充填した後、再びバルブを閉じた。オートクレーブの温度を室温に戻し、外表面を十分に乾燥させて充填したNH3の増加分の計量を行った。
続いて、オートクレーブを上下に2分割されたヒーターで構成された電気炉内に収納した。オートクレーブ内の下部領域の温度が588℃に、上部領域の温度が508℃になるように昇温し、その温度にて96時間保持した。オートクレーブ内の圧力は150MPaであった。また、保持中の温度幅は±5℃以下に制御した。その後、オートクレーブの下部外面の温度が50℃になるまで約9時間かけて降温した後、ヒーターによる加熱を止め、電気炉内で自然放冷した。オートクレーブの下部外面の温度がほぼ室温まで降下したことを確認した後、まずオートクレーブに付属したバルブを開放し、オートクレーブ内のNH3を取り除いた。その後、オートクレーブを計量し、NH3の排出を確認した。その後、一旦バルブを閉じ、真空ポンプに通ずるように導管を操作し、バルブを再び開放し、オートクレーブのNH3をほぼ完全に除去した。
その後、オートクレーブの蓋を開け、試験片を取り出した。試験片の表面に荒れなどの腐食痕が確認されなかった。また、フッ素含有被膜の形成により0.001gの重量増が確認できた。
<実施例3〜6>
表1に示した、試験片の材質、鉱化剤、温度を変更等した以外は、実施例1、2と同様に試験を行った。なお、表1に示す温度は、各々試験片を設置した領域での温度である。試験終了後、試験片の表面に荒れなどの腐食痕が確認されなかった。また、フッ素含有被膜の形成により、いずれも0.001〜0.015gの重量増が確認できた。
尚、Incone625、Ni−12Cr−14MoはNi含有量が50%超である。また、重量変化がプラスであるということは、表面に膜が形成されていることを示している。
<比較例1〜22>
表1に示した、試験片の材質、鉱化剤、温度を変更等した以外は、実施例1と同様に試験を行った。溶媒であるアンモニアに対して正の溶解度特性を有する鉱化剤を用いた場合は、オートクレーブの上部を結晶成長領域とし、オートクレーブの下部を原料溶解領域として種結晶および原料を配置した。なお、表1に示す温度は、各々試験片を設置した領域での温度である。試験終了後、一部の試験片には、重量の減少や試験片の消失が観察された。その他は重量の増減がなくNi−Fのフッ素含有被膜が形成されていないことが確認された。
以上の結果から、Ni基合金を含む試験片を用い、フッ素以外のハロゲンを含まない鉱化剤を用いた実施例は、重量変化がプラスであり、試料片表面にフッ素を含む膜が形成されていた。これに対し、比較例の試験片では、重量変化がマイナスであり、試料片が腐食されていた。上記試験片を用いた実施例から、反応容器内壁にNiを含む金属からなる反応容器内で、鉱化剤としてフッ素のみを含む鉱化剤を用いて、アモノサーマル法で窒化物単結晶を製造した場合、前記反応容器はフッ素含有被膜で被覆され、反応容器内壁や反応容器内部で使用される部材の腐食を抑制できることが分かる。
<実施例7>
Ptを内張りした内寸が直径22mm、長さ293mmのオートクレーブ(容積約119ml)内の下部にHVPE法で作製したGaN結晶を種結晶として設置した。次いで、オートクレーブ内部にバッフル板を設置し、バッフル板より上部に原料としてHVPE法にて作製した多結晶体GaNを44.5g入れた。次いでその上から鉱化剤として十分に乾燥した純度99.99%のNH4FをNH3充填量に対し0.5mol%投入した。その後、Inconel625製のガスケットを装着し、素早くバルブが装着されたオートクレーブの蓋を閉じ、オートクレーブの計量を行った。次いで、オートクレーブに付属したバルブを介して導管を真空ポンプ部に通じるように操作し、バルブを開けてオートクレーブ内を真空脱気した。その後、真空状態を維持しながら、オートクレーブをドライアイス/メタノールによって冷却し、一旦バルブを閉じた。次いで、導管を、バルブを介してNH3ボンベに通じるように操作した後、再びバルブを開け、外気に触れることなくNH3を連続してオートクレーブ内に充填した。流量を制御して、NH3をオートクレーブ内に液体として充填した後、再びバルブを閉じた。オートクレーブの温度を室温に戻し、外表面を十分に乾燥させて充填したNH3の増加分の計量を行った。
続いて、オートクレーブを上下に2分割されたヒーターで構成された電気炉内に収納した。オートクレーブ内の結晶育成領域(下部)の温度が638℃に、上部の原料溶解領域の温度が558℃になるように昇温し、その温度にて96時間保持した。オートクレーブ内の圧力は147MPaであった。その後、オートクレーブの下部外面の温度が50℃になるまで約9時間かけて降温した後、ヒーターによる加熱を止め、電気炉内で自然放冷した。オートクレーブの下部外面の温度がほぼ室温まで降下したことを確認した後、まずオートクレーブに付属したバルブを開放し、オートクレーブ内のNH3を取り除いた。その後、オートクレーブを計量し、NH3の排出を確認した。その後、一旦バルブを閉じ、真空ポンプに通ずるように導管を操作し、バルブを再び開放し、オートクレーブのNH3をほぼ完全に除去した。
その後、オートクレーブの蓋を開け、種結晶を取り出した。結晶成長後の種結晶上のGaN結晶に含まれる不純物をSIMSで分析したところ、Fe濃度が1×1019atoms/cc、Niは15乗台であった。このことからNiを含むInconel625製のガスケットにフッ素含有被膜が形成され、これにより結晶中の不純物が低減していると考えられる。
<比較例23>
鉱化剤の種類を変更した以外は、実施例7と同様に行った。
得られた成長のSIMS分析を行ったところ、Ni、Fe、Oの不純物濃度は実施例7に比較して高くなっていることがわかった。
本発明は、周期表第13族元素の窒化物の塊状単結晶、とりわけGaNの塊状単結晶の育成に有用である。本発明の製造方法によれば得られる結晶中の反応容器や部材に由来する不純物を低減することが可能となり、さらに結晶成長において安定な表面を有する反応容器を複数回用いることが可能であり、時間とコストの両面において大幅な改善が期待できる。よって、本発明は産業上の利用可能性が極めて高い。
1 原料溶解領域
2 結晶成長領域
3 外壁
4 原料
5 バッフル板
6 種結晶

Claims (11)

  1. 反応容器中で超臨界状態および/または亜臨界状態にある窒素含有溶媒雰囲気において鉱化剤を用いて結晶成長を行う結晶成長工程を含み、前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部にNiを含み、且つ、前記鉱化剤はフッ素系鉱化剤であって、フッ素以外のハロゲン原子を含まないことを特徴とする、窒化物単結晶の製造方法。
  2. 反応容器中で超臨界状態および/または亜臨界状態にある窒素含有溶媒雰囲気において鉱化剤を用いて結晶成長を行う結晶成長工程と、前記反応容器表面及び該反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部にフッ素含有被膜を形成する被膜形成工程とを含み、前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部にNiを含むことを特徴とする、窒化物単結晶の製造方法。
  3. 前記結晶成長工程中の少なくとも一部で、前記被膜形成工程を同時に実施する、請求項2に記載の窒化物単結晶の製造方法。
  4. 反応容器中で超臨界および/または亜臨界状態の窒素含有溶媒雰囲気において鉱化剤を用いて結晶成長を行う結晶成長工程を含む窒化物単結晶の製造方法であって、該反応容器表面並びに該反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部がフッ素含有被膜で被覆されていることを特徴とする、窒化物単結晶の製造方法。
  5. 前記フッ素含有被膜の厚みが5nm〜50μmである、請求項2〜4のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
  6. 前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部が、Ni含有量が40質量%を超えるNi基合金である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
  7. 前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部が、Ni含有量が50質量%を超えるNi基合金である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
  8. 前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部の炭素含有量が0.2質量%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
  9. 前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部のFe含有量が5質量%以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
  10. 前記反応容器表面並びに前記反応容器内部で使用される部材の表面の少なくとも一部が、Cr、Al、Ti、Nb、V、WおよびMoから選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
  11. 前記結晶成長工程を複数回実施することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の窒化物単結晶の製造方法。
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