JP2013201317A - 表面処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面処理装置において、表面処理の均一性を確保しながら、原料流体の量を削減することである。
【解決手段】表面処理装置10の構造体12は、試料8を保持する試料保持台20が内部に設けられ、表面処理流体を導入する流入部34と、導入された流体を排出する排出部52とを有し、その内部空間には、流入部34を複数に仕切ることで試料8に流入する流入流体の流れを複数の領域に仕切る仕切壁44を有する仕切壁付整流板40が配置され、高さ移動部60は、仕切壁付整流板40を上下させて流入高さhを可変する。仕切壁44によって仕切られる中央側空間46を流れる流体には原料ガスを含むが、外周側空間48を流れる流体には表面処理用の原料流体が含まれない。
【選択図】図1
【解決手段】表面処理装置10の構造体12は、試料8を保持する試料保持台20が内部に設けられ、表面処理流体を導入する流入部34と、導入された流体を排出する排出部52とを有し、その内部空間には、流入部34を複数に仕切ることで試料8に流入する流入流体の流れを複数の領域に仕切る仕切壁44を有する仕切壁付整流板40が配置され、高さ移動部60は、仕切壁付整流板40を上下させて流入高さhを可変する。仕切壁44によって仕切られる中央側空間46を流れる流体には原料ガスを含むが、外周側空間48を流れる流体には表面処理用の原料流体が含まれない。
【選択図】図1
Description
本発明は、表面処理装置に係り、特に、試料表面に表面処理用の原料流体を流して表面処理を行う表面処理装置に関する。
例えば、半導体素子等を製造するために、適当な反応ガス等の原料流体を基板上に供給して、基板上に半導体層や絶縁膜、導電体層等を形成し、あるいは、基板の表面をエッチングし、あるいはクリーニング処理し、あるいはコーティング材料を形成することが行われる。このような処理は半導体素子の製造以外にも広く行われており、これらの処理を広義の表面処理と呼ぶことができ、この表面処理を行う装置を広義の表面処理装置と呼ぶことができる。
例えば、半導体ウェハあるいは絶縁体ウェハ等に半導体層をエピタキシャル成長させるエピタキシャル装置、半導体ウェハ上に適当な酸化膜等の絶縁膜を堆積させる気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)装置、半導体ウェハ上に形成された薄膜等を除去するドライエッチング装置等は、広義の表面処理装置である。
表面処理装置として、表面処理用の原料流体を基板の表面にほぼ垂直な方向に供給する縦型方式が用いられる。縦型方式では、表面処理の均一性を確保するために、基板をその表面に垂直な方向の軸の周りに回転させることが行われることが多い。
表面処理の均一性を向上させるために、特許文献1には、膜の全面に渡って膜厚を均一にする薄膜気相成長装置として、成膜反応ガスを円筒状反応炉の頂部に設けられた複数のガス供給口から整流板を介して、同心円状に複数の空間に区画させて流下させる構成が開示されている。ここで、供給される成膜反応ガスの濃度、速度を、複数の区画ごとに異ならせることで、下方に設けられた回転式サセプタに載せたウェハ基板上で気相成長する膜の膜厚分布を径方向に均一化できると述べられている。
また、特許文献2には、エピタキシャルウェハの製造装置として、チャンバ内部に設けられウェハを保持する回転体ユニットに対し、その上部を取り囲み下方に向けて拡開した環状の整流壁を有する構成が開示されている。これによって、反応後ガスの逆流を防止できると述べられている。
本発明に関連する技術として、特許文献3には、閉塞流を用いて、モリブデン基板の上に一様なダイヤモンド薄膜を形成するために、基板の上から反応ガスを流し、基板の直上で酸化燃焼を形成するとき、理想的な閉塞流は、基板の中心位置から半径で3cmまでであると述べられている。そして、これを実現するために、基板に向かって流す反応ガスの内側流れの外側に不活性ガスを流すことが述べられている。
縦型方式の表面処理装置では、回転対称形のチャンバを用いて、その上部側から原料流体をチャンバ内に供給し、チャンバ内の下部に設けられる試料の表面に原料流体を流すことが行われる。試料は試料保持台に保持されて回転されるので、チャンバの内径は試料の直径よりも大きく設定される。したがって、原料流体は、試料の直径よりも大きな断面直径で流れる。このことは、特許文献1,2においても同様である。
このように、試料の直径よりも大きな断面直径を有するチャンバ内の全体に渡って原料流体が流れるので、試料の表面処理に必要な流量よりも大きな流量の原料流体が流されることになり、不経済である。また、例えば、表面処理が膜生成処理であるときは、チャンバ内壁にも膜が堆積するので、場合によっては、その堆積物を除去することが必要になる。
本発明の目的は、メンテナンスが容易な表面処理装置を提供することである。また、他の目的は、原料流体の量を削減することが可能な表面処理装置を提供することである。さらに他の目的は、表面処理の均一性等を確保しながら原料流体の量を削減することが可能な表面処理装置を提供することである。以下の手段は、これらの目的の少なくとも1つに貢献する。
本発明に係る表面処理装置は、表面処理対象の試料を保持し、軸周りに回転可能な試料保持台と、外壁に囲まれた内部空間に試料保持台が設けられ、表面処理に関する流体を試料に向かって導入する流入部と、導入された流体を排出する排出部とを有する構造体と、流入部を複数に仕切ることで試料に流入する流入流体の流れを複数の領域に仕切る仕切壁と、を備え、仕切壁は、構造体の内部空間について試料が配置される中央側空間とその外側の外周側空間とを少なくとも仕切り、外周側空間に対応する流入部から流される流体に含まれる表面処理用の原料流体の濃度は、中央側空間に対応する流入部から流される流体に含まれる表面処理用の原料流体の濃度に比べ、低濃度か濃度ゼロであることを特徴とする。
また、本発明に係る表面処理装置において、仕切壁によって流入流体の流れが複数に仕切られる位置の試料の表面に対する高さを流入高さとして、流入高さを可変する高さ移動部を備えることが好ましい。
また、本発明に係る表面処理装置において、構造体は、試料を搬入搬出する出入口を有し、高さ移動部は、試料表面に対する出入口の高さよりも高い位置から、出入口の高さよりも低い位置の間で、流入高さを可変することが好ましい。
また、本発明に係る表面処理装置において、高さ移動部は、試料の搬入搬出のときの流入高さと比べて、表面処理を行うときの流入高さを低くすることが好ましい。
また、本発明に係る表面処理装置において、高さ移動部は、均一性の要求精度が高い場合の流入高さと比べて、均一性の要求精度が低い場合には流入高さを高く設定することが好ましい。
また、本発明に係る表面処理装置において、構造体は回転対称形を有することが好ましい。
また、本発明に係る表面処理装置において、流体の流れを整流する整流板を備え、仕切壁は、整流板に一体化して取り付けられ、高さ移動部は、仕切壁付の整流板の高さを可変することが好ましい。
上記構成により、表面処理装置は、表面処理に関する流体を試料に向かって導入する流入部を複数に仕切ることで、試料に流入する流入流体の流れを複数の領域に仕切る仕切壁を有する。例えば、仕切壁によって構造体の内部空間について試料が配置される中央側空間とその外側の外周側空間とに仕切るときは、外周側空間に対応する流入部から流される流体に含まれる表面処理用の原料流体の濃度は、中央側空間に対応する流入部から流される流体に含まれる表面処理用の原料流体の濃度に比べ、低濃度か濃度ゼロとする。これによって、試料の表面処理に必要な原料流体の量を削減することが可能となる。
このように、外周側空間における原料流体の濃度を下げ、あるいは原料流体を含まないものとすると、流入高さが高すぎるときに、試料表面における表面処理の均一性が損なわれることが考えられる。そこで、上記構成では、流入流体の流れが複数に仕切られる位置の高さである流入高さを可変できる。これによって、表面処理の均一性を確保しながら、表面処理に必要な原料流体の量を削減することが可能となる。
また、構造体の内周壁に沿って流される流体に含まれる表面処理用の原料流体の濃度は、中央側空間に流される流体に含まれる表面処理用の原料流体の濃度に比べ、低濃度か濃度ゼロとなる。したがって、構造体の内周壁には、反応生成物等の不要な堆積が少なくなり、メンテナンスが容易となる。
また、表面処理装置において、仕切壁によって流入流体の流れが複数に仕切られる位置の試料の表面に対する高さを流入高さとして、流入高さを可変する高さ移動部を備えるので、表面処理の均一性の要求精度が高いとき、低いときのそれぞれに合わせて、表面処理に必要な原料流体の量を削減しながら、均一性の仕様を確保できる。また、仕切壁の位置を変更して、試料の搬入搬出を容易に行うことができる。
また、表面処理装置において、構造体が試料を搬入搬出する出入口を有するときは、試料表面に対する出入口の高さよりも高い位置から、出入口の高さよりも低い位置の間で、流入高さを可変する。これによって、試料の搬入搬出を可能にしながら、表面処理の均一性を確保しつつ、原料流体の量を削減できる。
また、表面処理装置において、試料の搬入搬出のときの流入高さと比べて、表面処理を行うときの流入高さを低くするので、試料の搬入搬出を可能にしながら、表面処理の均一性を十分に確保できる。
また、表面処理装置において、均一性の要求精度が高い場合の流入高さと比べて、均一性の要求精度が低い場合には流入高さを高く設定する。流入高さが低いときは、中央側空間の原料流体の濃度の維持が容易である。一方、流入高さが高いときは、中央側空間と外周側空間との間の原料流体の濃度差によって原料流体が中央側空間から外周側空間に拡散し、濃度ばらつきが大きくなる。上記構成によれば、均一性の要求精度に応じて、流入高さを変更するので、要求される均一性の精度を確保できる。
また、表面処理装置において、構造体が回転対称形を有する。これにより、試料保持台を回転して、試料の表面処理の周方向に沿った均一性を向上させることができる。
また、表面処理装置において、流体の流れを整流する整流板と仕切壁とが一体化されるときは、仕切壁付の整流板の高さが可変される。なお、整流板と仕切壁を分離してもよい。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下では、表面処理装置の例として、シリコン単結晶のエピタキシャル成長装置を説明するが、これは例示である。ここでは、適当な反応性ガス等の原料流体を基板上に供給して、基板上に半導体層や絶縁膜、導電体層等を形成し、あるいは、基板の表面をエッチングし、あるいはクリーニング処理し、あるいはコーティング材料を形成する表面処理装置であってもよい。
また、以下では、シリコン単結晶成長のために、SiHCl3とH2を用いる例を説明するが、この場合は、SiHCl3が反応性の原料流体であり、H2が原料流体を運ぶキャリアガスである。これは表面処理装置の1例であって、表面処理の内容に応じ、他の種類の表面処理用のガスとキャリアガスを用いてもよい。また、他の液体等の原料流体とキャリア流体であってもよい。例えば、原料流体として、噴霧状のエッチング液、レジスト液等であってもよい。
また、以下では、基板を加熱してシリコン単結晶成長させることを説明するが、これは表面処理の一例であって、場合によっては、基板を非加熱としてもよい。また、以下では、回転する基板に表面処理用原料流体を供給するものとしたが、場合によっては基板を非回転としてもよい。また、以下では、流入高さを可変する高さ移動部を設ける例を説明するが、場合によっては、高さ移動部を省略することができる。
なお、以下で説明する材料、寸法、形状、温度、流量等は説明のための例示であって、表面処理の内容に応じ、適宜変更が可能である。
以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
図1は、表面処理装置10の構成を示す図である。図2は、表面処理装置10の断面図である。この表面処理装置10は、SiHCl3とH2を用いて、シリコン薄膜を基板上にエピタキシャル成長させる装置である。図1には、表面処理装置10の構成要素ではないが、基板としての試料8が示されている。試料8は、シリコンウェハである。
表面処理装置10は、回転対称形の外形として、裾広がりの形状を有する略円筒形の構造体12を有する。構造体12は、円筒状の側壁に設けられる出入口14と、円筒状の頂部に設けられる2種類のガス供給口30,32と、裾広がりの下部に設けられるガス排出口16と、頂部の2種類のガス供給口30,32の間に円環状に設けられる移動ガイド18を有する。また、構造体12の内部には、試料8を保持する試料保持台20が配置される。
2種類のガス供給口30,32は、原料流体供給部50に接続され、原料流体供給部50から供給される2種類のガスを区別して、それぞれ構造体12の内部に導入する。原料流体供給部50は、SiHCl3の原料ガス源と、H2のキャリアガス源を含み、ガス供給口30,32にそれぞれ、SiHCl3とH2を任意の濃度割合で供給するガス供給装置である。図1ではガス供給口32が1つ示されているが、図2に示されるように、頂部の周方向に沿って複数のガス供給口32を設けるものとしてもよい。
ガス供給口30に供給される混合ガスにおける原料ガスであるSiHCl3の濃度は、エピタキシャル成長に適した所定の原料ガス濃度に設定される。ガス供給口32には、H2以外の不活性ガスを混合してもよい。あるいは、H2を用いずに、不活性ガスのみを供給するものとしてもよい。また、場合によって、ガス供給口30の原料ガス濃度よりも低濃度の原料ガスを含むガスを供給してもよい。このように、ガス供給口32に供給されるガスに含まれる原料ガスの濃度は、ガス供給口30に供給されるガスに含まれる原料ガスの濃度に比べ、低濃度か、あるいは、濃度ゼロである。以下では、ガス供給口32に供給されるガスに含まれる原料ガスの濃度をゼロとして説明を続ける。
試料保持台20は、構造体12の内部に配置され、試料8を保持し、必要に応じ加熱し、また回転する機能を有する。試料保持台20の外径は、構造体12の頂部から下方に延びる円筒部の内径とほぼ同じ寸法である。したがって、試料保持台20は、構造体12が頂部から下方に延びる円筒部が裾広がりとなる位置よりもやや下部に配置される。
試料保持台20に設けられるヒータ22は、加熱部56の制御の下で、エピタキシャル成長に適した温度に試料8を加熱する機能を有する。回転部54は、試料保持台20をその回転中心軸の周りに回転させる機能を有する。この回転によって、試料8の表面における表面処理の周方向に沿った均一性を向上させることができる。
ガス排出口16は、構造体12が裾広がりとなってその内壁が試料保持台20の外径との間で形成する隙間の先に設けられる。ガス排出口16は、ガス供給口30,32によって構造体12の内部空間に導入された流入ガスが試料保持台20に保持される試料8の表面に流されて表面処理を行った処理済みのガスを構造体12の外部に排出するための開口である。ガス排出口16は、適当な排ガス処理等を行う排出部52に接続される。
出入口14は、構造体12の外部から表面処理前の試料8を搬入し、また、構造体12の内部から表面処理済みの試料8を搬出するための開口部である。出入口14は、試料8をピックアップして構造体12の外部と内部との間で移動させる搬入搬出部58と接続される。出入口14には開口部の開閉機構を設け、試料8の搬入と搬出のときには開き、搬入あるいは搬出が行われないときには閉じられるようにできる。開閉機構を設けずに出入り口14を常時開いたままとするときは、内部のガスが漏れないように、構造体12の外側にパージガスを流す。パージガスとしては、水素ガス、不活性ガスを用いることができる。
移動ガイド18は、構造体12の内部空間において、試料保持台20の上方に設けられる仕切壁付整流板40を軸方向に沿って上下移動させるための環状の案内部である。ここで軸方向とは、回転対称形を有する構造体12の回転対称軸の方向で、図1,2で紙面の上下方向である。
仕切壁付整流板40は、円板状で複数の整流孔43が設けられる整流板42と、円環状の仕切壁44とが一体化した部材である。整流孔43は、円板状の整流板42の表側と裏側を貫通する小孔で、ここを通るガスの流れを一定方向に揃える機能を有する。
整流板42の外径は、構造体12の頂部から下方に延びる円筒部の内径よりやや小さめに設定される。円環状の仕切壁44の外径は、整流板42の外径に対し、小さい比に予め設定される。図2では、整流板42の外径が流入部直径DINとして示され、仕切壁44の外径が仕切径dINとして示されている。仕切径dINと流入部直径DINの比=(dIN/DIN)は、表面処理装置10における原料ガスの削減量に関係する値である。ここでは、原料ガスの削減量を30%として、(dIN/DIN)2=0.7とし、(dIN/DIN)=0.83に設定される。勿論、これ以外の値に設定することもできる。
仕切壁44の上部は移動ガイド18に案内されるので、構造体12の内部空間において整流板42の上部の空間である流入部34は、環状の仕切壁44によって2つの空間に仕切られることになる。すなわち、仕切壁44の内径側で、直径dINの円筒状空間36と、仕切壁44の外周部と構造体12の内壁部とで囲まれた環状空間38の2つの空間に仕切られる。
円筒状空間36に導入されたガスは、整流板42の複数の整流孔43を介して、整流板42の下方の中央側空間46に入り、試料8の表面に向かって流れる。同様に、環状空間38に導入されたガスは、整流板42の複数の整流孔43を介して、整流板42の下方の外周側空間48に入り、試料8の外側に向かって流れる。このように、仕切壁44は、ガス供給口30,32から表面処理に関するガスを試料8に向かって導入する流入部34を2つの空間に仕切ることで、試料8に流入する流入ガスの流れを2つの領域に仕切る機能を有する。
上記では、仕切壁44は、流入部34を2つの空間に仕切るものとして説明したが、2つ以外の複数に仕切るものとしてもよい。
ここで、中央側空間46に流れる流入ガスは、ガス供給口30から供給されたもので、原料ガスであるSiHCl3を含む。これに対し、外周側空間48を流れる流入ガスは、ガス供給口32から供給されたもので、原料ガスであるSiHCl3を含まない。中央側空間46の直径は仕切径dINである。上記のように、仕切径dINと流入部直径DINの比=(dIN/DIN)=0.83に設定される。したがって、仕切壁44を設けずに流入部直径DINの全体に原料ガスであるSiHCl3を含むガスを流した場合に比して、原料ガスの量は、(dIN/DIN)2=0.7に削減できる。これが仕切壁44を設けたことの効果である。
仕切壁44を設けて、中央側空間46にのみ原料ガスであるSiHCl3を含むようにして、試料8に所望のエピタキシャル成長を行うには、仕切径dINを試料8の直径dMと同じにすることが好ましい。dINがdMより大きいと原料ガスの削減が不十分の可能性があり、dINがdMより小さいと試料8の外周側でエピタキシャル成長の均一性がばらつきやすくなるためである。
高さ移動部60は、仕切壁44によって流入ガスの流れが2つに仕切られる位置の試料8の表面からの高さを流入高さhとして、流入高さhを可変する機能を有する。流入高さhを可変にするのは、2つの理由からである。
1つは、後述するように、流入高さによって中央側空間46における原料ガスの濃度ばらつきが相違するので、表面処理の均一性の仕様に合わせて原料ガスの濃度ばらつきを合わせるためである。もう1つは、そのように表面処理の均一性に合わせて設定された流入高さhが、試料8の搬入搬出に用いられる出入口14の高さよりも低い場合に、試料8の搬入搬出を可能にするため、一時的に仕切壁付整流板40の高さを高くするためである。これらについて、図3以下を用いて詳細に説明する。
図3は、表面処理装置10の断面図の一部拡大図で、特に各部の高さ関係を示す図である。図3では、仕切壁付整流板40について仕切壁44の図示を省略した。ここでは、試料8の表面を基準として、流入高さh、流出部高さhOUT、出入口高さH1、境界層厚さδが示されている。
境界層厚さδは、これらの高さを規格化するときに用いることができる寸法で、試料8が回転するときに運ばれる流体の層の厚さで、ポンプ効果モデルの理論によって計算することができる。この厚さδは、回転する試料8の表面において表面処理に寄与する境界層の厚さと考えることができる。1つの例では、δ=10mm程度である。
流出部高さhOUTは、表面処理装置10の裾広がりの部分において、試料8の表面を流れてきた流れがガス排出口16に導かれる開口部の高さである。流出部高さhOUTは、境界層厚さδの流れを妨げないように、処理済みガスを試料8の端部から流出させるために、境界層厚さδよりも大きい寸法に設定される。
出入口高さH1は、ここでは、仕切壁付整流板40との干渉を考えているので、出入口14の開口部の上縁の高さが示されている。出入口高さH1は、搬入搬出部58の機構の寸法で制約され、一例を示すと、H1=50mm程度である。先ほどのδ=10mmを用いると、H1/δ=5.0となる。
図4から図9は、原料ガスの濃度分布と流入高さhの関係を示す図である。流入高さhは、境界層厚さδで規格化してh/δで示した。図4は、h/δ=2.0、図5は、h/δ=3.5、図6は、h/δ=5.5、図7は、h/δ=7.0、図8は、h/δ=9.0、図9は、h/δ=11.0である。各図は、試料保持台20の中心線CLから右半分の断面図について、シミュレーションによって得られた原料ガスであるSiHCl3の濃度分布を等濃度線で示したものである。ここでは、原料ガスの濃度が低いほど、斜線の密度を濃くして示し、白地の所が最も高濃度である。したがって、ガス供給口32からの外周側空間の領域が原料ガスの濃度が低濃度となっており、中心線CLの側が高濃度である。
図4から図9から理解できるように、流入高さhの値が大きくなるほど、原料ガスの低濃度領域が広くなり、中央側空間における原料ガスの濃度のばらつきが増加する傾向にある。
図10は、図4−9に基づいて、成膜速度の均一性と流入高さhの関係を示す図である。横軸は、試料8の半径RM=dM/2で規格化した径方向の位置xである。x/RM=0は、図4−9のCLの位置、x/RM=1.0は、試料8の外周端の位置である。縦軸は、成膜速度の均一性={(成膜速度)/(成膜速度の面内平均値)}である。したがって、図10は、試料8の径方向における成膜速度のばらつきが各流入高さhについて示されている。
図11は、図10に基づいて、表面処理の均一性と流入高さhの関係を示す図である。横軸は、境界層厚さδで規格化した流入高さhで、縦軸は、面内均一性を示す成膜速度のばらつきの大きさである。成膜速度は、成膜厚さに対応すると考えられるので、例えば、縦軸の0.05とは、成膜厚さのばらつきが5%であることを示す。
図11を用いて、表面処理の面内均一性の仕様が与えられるときに、その仕様を守るために設定すべき流入高さh/δを求めることができる。例えば、表面処理の面内均一性の仕様を、要求される均一性の精度とすると、均一性の要求精度が高く、3%以下のときは、h/δが3.3以下とする必要がある。均一性の要求精度が低く10%でよいときは、h/δが9.5でよいことが分かる。図11は、仕切壁44の設定を(dIN/DIN)=0.83と設定した場合であるので、原料ガスの量は、(dIN/DIN)2=0.7に削減される。このように、原料ガスの量を30%削減しながら、流入高さh/δを上下することで、要求される均一性の精度を確保することができる。このように、流入高さを変更しながら、均一性の仕様に合わせて原料ガスの量を制御することができる。高さ移動部60を設ける利点の1つである。
図11から、出入口高さH1=50mmに対応するh/δ=5.0では、面内均一性が6%となることが分かる。仕切壁付整流板40の高さである流入高さhが出入口高さH1よりも低いときは、出入口14を使えない。つまり、試料8の搬入搬出が不可能となり、そのままでは、面内均一性が6%未満の仕様を達成できないことになる。
そこで、表面処理を行うときのh/δは、面内均一性の仕様を満たす値に設定し、試料8の搬出搬入するときには、h/δを5.0以上とする。一例を上げると、面内均一性の仕様が3%のときは、表面処理を行うときの流入高さh/δを3.3以下とし、試料8の搬入搬出のときは、流入高さを一時的にh/δ=5.0とする。すなわち、試料8の搬入搬出のときだけ、仕切壁付整流板40を上方に移動させる。これによって、試料8の搬入搬出を可能にしながら、表面処理の面内均一性を仕様通り確保することができる。これが、高さ移動部60を設けるもう1つの利点である。
図12は、図7を例として、原料ガスの低濃度領域が最も広がった高さで、構造体12の径方向に沿ったA−A線上の原料ガス濃度を示す図である。横軸は、流入部直径DINに対応する半径RINで規格化した径方向の位置xで、x/RIN=0は、図4等で説明したCLの位置、x/RIN=1.0は、構造体12の内周壁の位置である。縦軸は無次元化した原料ガス濃度で、x/RIN=0の位置における原料ガス濃度=1.0としてある。図12に示されるように、原料ガス濃度は、構造体12の中心部から外周部に向かって、低濃度となり、流出部に近くなると再び濃度が上昇する傾向を示す。
図12の原料ガス濃度が低下する指標として、無次元化した原料ガス濃度が0.9となる径方向の位置xを用いることにする。図12の例では、その指標値は、x/RIN=0.3である。xの規格化をRINに代えて、試料8の半径RMで示すことにして計算すると、x/RM=0.43である。
図13は、無次元化した原料ガス濃度が0.9となる径方向の位置xを試料8の外周端から測った値をdTとして、dT/RMと流入高さh/δの関係を示す図である。dT/RMは、図7からも分かるように、原料ガスの低濃度の領域の広さを示す指標である。図12の結果は、h/δ=7.0のときに、dT/RM=(1−x/RM)=1−0.43=0.57のデータで示されている。
図14は、図11と図13に基づいて、原料ガスの低濃度の領域の広さを示す指標であるdT/RMと面内均一性の関係を示す図である。図14に示されるように、dT/RMが小さくなって、原料ガスの高濃度領域が広がるに従って、面内均一性が向上する。また、面内均一性とdT/RMは、線形関係があることが分かる。
上記構成の作用効果について、仕切壁を有さない従来技術の表面処理装置と比較して説明する。図15は、従来技術による縦型方式の表面処理装置11の断面図である。この表面処理装置11では、裾広がりの形状を有する構造体13の上方のガス供給口31から原料ガスであるSiHCl3とキャリアガスのH2が所定の混合比で供給される。構造体13の内部空間の上部には整流板42が配置され、ここでSiHCl3+H2の混合ガスが整流されて、下方の試料8に向かって流れる。混合ガスは、試料保持台20によって保持され加熱されて回転される試料8の表面を流れて、シリコンのエピタキシャル成長が生じる。それと共に、混合ガスは、構造体13の内壁においてもシリコン9を堆積させる。
このように、従来技術においては、原料ガスを含む混合ガスは試料8の表面のみならず構造体13の内周壁に沿って流れるので、不要なシリコン9の堆積を生じさせる。このために、構造体13の内周壁の清掃等のメンテナンスが必要になる。これに対し、図1,2の構成では、整流板42に仕切壁44が設けられ、構造体12に内部空間において、供給ガスの流れが中央側空間46と外周側空間48に分けられる。中央側空間46には、原料ガスを含むガスが供給され、外周側空間48には原料ガスを含まないガスが供給される。
これによって、試料8の表面にはシリコンのエピタキシャル成長が行われるが、構造体12の内周壁にはシリコンが堆積しない。また、これによって、従来技術の表面処理装置11に比較して原料ガスの量を削減できる。上記の例では、30%の原料ガスの削減ができる。
また、高さ移動部60の機能によって仕切壁付整流板40を上下できるので、表面処理の均一性に関係する流入高さhを最適なものとすることができる。これによって、原料ガスの削減を図りながら、表面処理の均一性の仕様を満足させることができる。また、表面処理を行うときの流入高さと、試料8の搬入搬出を行うときの仕切壁付整流板40の高さ位置を異なるものとできる。これによって、原料ガスの削減を図りつつ、表面処理の均一性の仕様を満足させながら、試料8の搬入搬出が可能になる。
上記では、仕切壁44が整流板42の上下に渡って配置されるものとして説明したが、構造体12の内部空間において、供給ガスの流れを複数に区分できれば、これ以外の構成であっても構わない。例えば、図16に示すように、整流板72の一方側の表面からのみ仕切壁74が突き出す構成の仕切壁付整流板70を用いることができる。また、図17に示すように、整流板76を構造体12のガス供給口30,32に固定として、仕切壁78を構造体12に対し高さ位置を可変とする構成を用いることもできる。
本発明に係る表面処理装置は、縦型方式の気相成長装置、エッチング装置等に利用できる。
8 試料、9 シリコン、10,11 表面処理装置、12,13 構造体、14 出入口、16 ガス排出口、18 移動ガイド、20 試料保持台、22 ヒータ、30,31,32 ガス供給口、34 流入部、36 円筒状空間、38 環状空間、40,70 仕切壁付整流板、42,72,76 整流板、43 整流孔、44,74,78 仕切壁、46 中央側空間、48 外周側空間、50 原料流体供給部、52 排出部、54 回転部、56 加熱部、58 搬入搬出部、60 高さ移動部。
Claims (7)
- 表面処理対象の試料を保持し、軸周りに回転可能な試料保持台と、
外壁に囲まれた内部空間に試料保持台が設けられ、表面処理に関する流体を試料に向かって導入する流入部と、導入された流体を排出する排出部とを有する構造体と、
流入部を複数に仕切ることで試料に流入する流入流体の流れを複数の領域に仕切る仕切壁と、
を備え、
仕切壁は、構造体の内部空間について試料が配置される中央側空間とその外側の外周側空間とを少なくとも仕切り、外周側空間に対応する流入部から流される流体に含まれる表面処理用の原料流体の濃度は、中央側空間に対応する流入部から流される流体に含まれる表面処理用の原料流体の濃度に比べ、低濃度か濃度ゼロであることを特徴とする表面処理装置。 - 請求項1に記載の表面処理装置において、
仕切壁によって流入流体の流れが複数に仕切られる位置の試料の表面に対する高さを流入高さとして、流入高さを可変する高さ移動部を備えることを特徴とする表面処理装置。 - 請求項2に記載の表面処理装置において、
構造体は、試料を搬入搬出する出入口を有し、
高さ移動部は、
試料表面に対する出入口の高さよりも高い位置から、出入口の高さよりも低い位置の間で、流入高さを可変することを特徴とする表面処理装置。 - 請求項3に記載の表面処理装置において、
高さ移動部は、試料の搬入搬出のときの流入高さと比べて、表面処理を行うときの流入高さを低くすることを特徴とする表面処理装置。 - 請求項2に記載の表面処理装置において、
高さ移動部は、
均一性の要求精度が高い場合の流入高さと比べて、均一性の要求精度が低い場合には流入高さを高く設定することを特徴とする表面処理装置。 - 請求項1に記載の表面処理装置において、
構造体は回転対称形を有することを特徴とする表面処理装置。 - 請求項1に記載の表面処理装置において、
流体の流れを整流する整流板を備え、
仕切壁は、整流板に一体化して取り付けられ、
高さ移動部は、仕切壁付の整流板の高さを可変することを特徴とする表面処理装置。
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