JP2013195123A - イリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対 - Google Patents

イリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、高温域(1700〜2100℃)において高精度に温度を測定できるイリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対を提供することである。
【解決手段】本発明に係るイリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対1は、イリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対において、イリジウム線2及びイリジウム・ロジウム合金線3が、それぞれ鉄(Fe)を含有し、イリジウム・ロジウム合金線3のFe含有量が、イリジウム線2のFe含有量よりも多い。
【選択図】図1

Description

本発明は、イリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対(以降、Ir‐Ir・Rh熱電対ということもある。)に関する。
Ir‐Ir・Rh熱電対は、測定可能な温度範囲が0〜2100℃であり、例えば、金属溶湯の温度測定(例えば、特許文献1又は2を参照。)、石英ガラスの合成面の温度測定(例えば、特許文献3を参照。)などの高温域での温度測定に利用されている。
特開2002−350240号公報 特開2002−372463号公報 特開2000−95529号公報
近年、炭化珪素若しくは窒化ガリウムなどのパワー半導体の製造又はサファイアなどの単結晶の育成の分野では、2000℃付近での温度制御が求められており、高温域で高精度に温度を測定することが求められている(以降、本明細書において、高温域とは、1700〜2100℃の温度範囲をいう。)。
本発明の目的は、高温域において高精度に温度を測定できるイリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対を提供することである。
本発明者らは、Ir線及びIr・Rh線が含む鉄の含有量を特定の範囲とすることで、熱起電力のばらつき及び熱起電力のリニアリティ(直線性)を制御できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明に係るイリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対は、イリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対において、イリジウム線及びイリジウム・ロジウム合金線が、それぞれ鉄を含有し、前記イリジウム・ロジウム合金線の鉄含有量が、前記イリジウム線の鉄含有量よりも多いことを特徴とする。
本発明に係るイリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対では、前記イリジウム・ロジウム合金線の鉄含有量が、1ppmを超え1000ppm(質量ppm)以下であり、前記イリジウム線の鉄含有量が、1ppm以上100ppm以下であることが好ましい。高温域での精度をより高めることができる。
本発明に係るイリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対では、前記イリジウム・ロジウム合金線のロジウム含有率が、38〜43wt%(質量%)であることが好ましい。熱起電力のばらつきをより小さくすることができる。
本発明に係るイリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対では、前記イリジウム線及び前記イリジウム・ロジウム合金線を被覆する絶縁管を更に備え、該絶縁管が、融点2000℃以上の耐熱材料からなることが好ましい。温度測定をより安定して行うことができる。
本発明に係るイリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対では、前記絶縁管が、マグネシア安定化ジルコニア、カルシア安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、アルミナ安定化ジルコニア、シリカ安定化ジルコニア、アルミナ、サファイア、マグネシア、ベリリア又はハフニアからなる形態を包含する。
本発明に係るイリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対では、前記イリジウム線及び前記イリジウム・ロジウム合金線を内部に収容する保護管を更に備え、該保護管が、タンタル、モリブデン、タングステン若しくはイリジウムからなるか又はこれらを主成分とし、かつ、融点が2000℃以上の合金からなることが好ましい。耐久性をより高めることができる。
本発明に係るイリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対では、前記イリジウム線及び前記イリジウム・ロジウム合金線の測温接点とは反対側の端部に接続した補償導線を更に備え、該補償導線としてアルミニウム線が前記イリジウム線に接続し、かつ、前記補償導線として銅線が前記イリジウム・ロジウム合金線に接続することが好ましい。イリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対と近似した起電力特性を有し、補償接点における温度誤差が小さいため、より高精度な温度測定が可能となる。
本発明に係るイリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対では、前記補償導線が、撚り糸構造をなしていることが好ましい。補償導線の耐久性を高めることができる。
本発明は、高温域において高精度に温度を測定できるイリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対を提供することができる。
本実施形態に係るIr‐Ir・Rh熱電対の一部を拡大して示す側面断面図である。 公差を測定する装置の一例を示す概略図である。 実施例1〜9及び比較例1並びに参考例の公差を示す。 Ir‐Ir・Rh熱電対及びAl‐Cu熱電対の温度と熱起電力との関係を示す。
次に本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
図1は、本実施形態に係るIr‐Ir・Rh熱電対の一部を拡大して示す側面断面図である。本実施形態に係るIr‐Ir・Rh熱電対1は、Ir線2及びIr・Rh線3が、それぞれ鉄(Fe)を含有し、Ir・Rh線3のFe含有量が、Ir線2のFe含有量よりも多い。
Ir線2は、マイナス極側の熱電対素線である。Ir線2のFe含有量は、1〜100ppmであることが好ましく、5〜80ppmであることがより好ましく、10〜50ppmであることが特に好ましい。Ir線2のFe含有量が1ppm未満では、高温域での精度が劣る場合がある。Ir線2のFe含有量が100ppmを超えると、高温域での精度が劣る場合がある。
Ir線2は、Fe以外の微量金属成分を含有していてもよい。Fe以外の微量金属成分は、例えば、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、珪素(Si)、タンタル(Ta)、マンガン(Mn)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、ジルコニム(Zr)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、ナトリウム(Na)、クロム(Cr)、銀(Ag)、タングステン(W)である。Ir線2中のFe以外の微量金属成分の合計含有量は、100〜1000ppmであることが好ましく、150〜700ppmであることがより好ましく、200〜600ppmであることが特に好ましい。100ppm未満では、高温域での精度が劣る場合がある。1000ppmを超えると、高温域での精度が劣る場合がある。
Ir・Rh線3は、プラス極側の熱電対素線である。Ir・Rh線3のFe含有量は、Ir線2のFe含有量よりも多い。Ir・Rh線3のFe含有量がIr線2のFe含有量以下であると、高温域での精度が劣る。Ir・Rh線3のFe含有量は、1ppmを超え1000ppm以下であることが好ましく、20〜800ppmであることがより好ましく、30〜500ppmであることが特に好ましい。Ir・Rh線3のFe含有量が1ppm以下では、高温域での精度が劣る場合がある。Ir・Rh線3のFe含有量が1000ppmを超えると、高温域での精度が劣る場合がある。Ir・Rh線3のFe含有量(F1)とIr線2のFe含有量(F2)との差(F1−F2)は、5〜500ppmであることが好ましく、10〜100ppmであることがより好ましく、20〜50ppmであることが特に好ましい。
Ir・Rh線3のRh含有率は、38〜43wt%であることが好ましく、高温域での精度をより向上できる点で、38wt%以上39wt%未満であることがより好ましい。
Ir・Rh線3は、Fe以外の微量金属成分を含有していてもよい。Fe以外の微量金属成分は、例えば、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、珪素(Si)、タンタル(Ta)、マンガン(Mn)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、ジルコニム(Zr)、パラジウム(Pd)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、ナトリウム(Na)、クロム(Cr)、銀(Ag)、タングステン(W)である。Ir・Rh線3中のFe以外の微量金属成分の合計含有量は、100〜1100ppmであることが好ましく、150〜1000ppmであることがより好ましく、200〜700ppmであることが特に好ましい。100ppm未満では、高温域での精度が劣る場合がある。1100ppmを超えると、高温域での精度が劣る場合がある。
本実施形態に係るIr‐Ir・Rh熱電対1は、長寿命とすることができる点で、真空又は不活性雰囲気での温度測定に使用することが好ましい。
本実施形態に係るIr‐Ir・Rh熱電対1では、2000℃における公差が±20℃以内であることが好ましく、±10℃以内であることがより好ましい。公差の好ましい範囲を前記の範囲とした理由は、ASTM988−1996によるタングステン‐タングステン・レニウム熱電対(以降、W‐W・Re熱電対という。)(使用温度範囲:0〜2315℃)の2000℃における許容差が、±10%以内又は±20℃以内であるため、Ir‐Ir・Rh熱電対1の精度を、W‐W・Re熱電対と同等又はW‐W・Re熱電対よりも高くするためである。本実施形態に係るIr‐Ir・Rh熱電対1は、Ir線2及びIr・Rh線3が含むFeの含有量を特定の範囲とすることで、高温域での公差をW‐W・Re熱電対の許容差の範囲内とすることができる。また、ロット間での熱起電力のばらつきを小さくして、安定した温度測定を行うことができる。
本明細書において、公差とは、リファレンス熱電対とIr‐Ir・Rh熱電対1とで同時に温度を測定したとき、リファレンス熱電対が示す温度に対するIr‐Ir・Rh熱電対1が示す温度の差である。リファレンス熱電対901は、例えば、R熱電対である。図2は、公差を測定する装置の一例を示す概略図である。図2に示す公差を測定する装置900は、電気炉910と、0℃基準接点装置920と、起電力測定装置930とを備える。Ir‐Ir・Rh熱電対101のIr線102及びIr・Rh線103の一端部同士を接合した測温接点104を電気炉910内に配置する。Ir線102又はIr・Rh線103の測温接点104とは反対側の端部は、それぞれ補償導線107,108に接続され、補償導線107,108は、起電力測定装置930に接続される。Ir線102又はIr・Rh線103と補償導線107,108との接続部(補償接点)109a,109bを、0℃基準接点装置920で0℃に保ち、基準接点とする。リファレンス熱電対901は、Ir‐Ir・Rh熱電対101に並列に配置する。すなわち、リファレンス熱電対901の測温接点904を電気炉910内に配置し、熱電対素線902,903(リファレンス熱電対901がR熱電対のときは、白金・ロジウム線902及び白金線903)と補償導線907,908との接続部(補償接点)909a,909bを、0℃基準接点装置920で0℃に保ち、基準接点とする。公差は、電気炉910の温度を所定の範囲(例えば、リファレンス熱電対901がR熱電対であれば400〜1300℃)で変化させたとき、リファレンス熱電対901が示す温度に対するIr‐Ir・Rh熱電対101が示す温度の差として記録する。
本実施形態に係るIr‐Ir・Rh熱電対1では、図1に示すように、Ir線2又はIr・Rh線3の測温接点4とは反対側の端部は、それぞれ補償導線7,8に接続することが好ましい。補償導線7,8の端部のうち、Ir線2又はIr・Rh線3との接続部(以降、補償接点という。)9a,9bとは反対側の端部は、熱起電力測定装置10の端子11a,11bに接続する。そして、測温接点4と端子11a,11bとが、補償導線7,8を介して電気的に導通する。Ir線2に接続する補償導線7はアルミニウム線(Al線)であり、かつ、Ir・Rh線3に接続する補償導線8は銅線(Cu線)であることが好ましい。Al線及びCu線を組み合わせた補償導線7,8は、Ir‐Ir・Rh熱電対1と近似した熱起電力特性を有し、補償接点9a,9bにおける起電力誤差が小さいため、より高精度な温度測定が可能となる。また、Al線及びCu線は、いずれも入手が容易、かつ、安価であり、補償導線7,8として適している。
補償導線7,8は、耐久性の点で、撚り糸構造をなしていることが好ましい。撚り糸構造をなすAl又はCuの単線の本数は、単線の線径によって異なるが、例えば、単線の線径が0.2mmである場合では、2〜8本であることが好ましく、3〜7本であることがより好ましい。Al線及びCu線は、同一の撚り糸構造とするか又は異なる撚り糸構造としてもよい。
補償導線7,8は、表面を絶縁層(不図示)で被覆されていることが好ましい。絶縁層(不図示)は、例えば、ガラス繊維、ポリテトラフルオロエチレン、塩化ビニル、シリコンである。
本実施形態に係るIr‐Ir・Rh熱電対1では、Ir線2及びIr・Rh線3を被覆する絶縁管5を更に備え、絶縁管5が、融点2000℃以上の耐熱材料からなることが好ましい。絶縁管5を設けることで、温度測定をより安定して行うことができる。
絶縁管5は、両端が開口した中空部材である。図1では、一つの管に2つの細長孔5a,5bを設け、各細長孔5a,5bにそれぞれIr線2とIr・Rh線3とを通す形態を示したが、Ir線2用の絶縁管とIr・Rh線3用の絶縁管とをそれぞれ絶縁管を一つの管に一つの細長孔を設けた中空部材としてもよい。
Ir線2及びIr・Rh線3用の絶縁管5の材質は、(i)真空又は不活性雰囲気で、かつ、(ii)高温域において、(iii)Ir線2及びIr・Rh線3と反応しないこと及び(iv)測温に影響がない程度の絶縁性を確保できること、の4つの条件を満たす必要がある。ここで、(iv)測温に影響がない程度の絶縁性とは、例えば、Ar雰囲気中で2000℃における抵抗値が10Ω・cm以上であることをいう。
絶縁管5は、マグネシア安定化ジルコニア、カルシア安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、アルミナ安定化ジルコニア、シリカ安定化ジルコニア、アルミナ、サファイア、マグネシア、ベリリア又はハフニアからなることが好ましい。
本実施形態に係るIr‐Ir・Rh熱電対1では、Ir線2及びIr・Rh線3を内部に収容する保護管6を更に備え、保護管6が、タンタル、モリブデン、タングステン若しくはイリジウムからなるか又はこれらを主成分とし、かつ、融点が2000℃以上の合金からなることが好ましい。保護管6を設けることで、Ir線2及びIr・Rh線3並びに絶縁管5を物理的及び化学的に保護することができる。
保護管6は、一端が開口した中空部材であり、開口した一端は、Ir線2及びIr・Rh線3並びに絶縁管5を保護管6内に収容後、ガス置換又は絶縁物を充填して、ガス置換による空間における絶縁又は絶縁物による絶縁を行ってから封止部6aで密閉する。または、開口した一端は、Ir線2及びIr・Rh線3並びに絶縁管5を保護管6内に収容後、高温で加熱した状態でガス置換を行ってから封止部6aで密閉してもよい。ガスは、例えば、アルゴンガス、窒素ガスであり、絶縁物は、例えば、マグネシア安定化ジルコニア、カルシア安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、アルミナ安定化ジルコニア、シリカ安定化ジルコニア、アルミナ、サファイア、マグネシア、ハフニア又はチタニアなどの粉体である。
保護管6を形成する耐熱金属の融点は、2000℃以上であることが好ましく、2100℃以上であることがより好ましい。保護管6の材質は、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)若しくはイリジウム(Ir)の金属又はこれらを主成分とし、かつ、融点が2000℃以上の合金である。タンタル基合金は、例えば、Ta−C合金である。モリブデン基合金は、例えば、Mo−Re合金、Mo−W合金である。タングステン基合金は、例えば、W−Re合金である。イリジウム基合金は、例えば、Ir−Re、Ir−Zr、Ir−Rh合金である。
別形態(第二実施形態)に係るIr‐Ir・Rh熱電対1では、Ir・Rh線3のFe含有量が1ppmを超え1000ppm以下である。Ir・Rh線3のFe含有量は、20〜800ppmであることがより好ましく、30〜500ppmであることが特に好ましい。第二実施形態に係るIr‐Ir・Rh熱電対1では、Ir・Rh線3のFe含有量が、Ir線2のFe含有量よりも多いことが好ましい。第二実施形態に係るIr‐Ir・Rh熱電対1では、Ir線2のFe含有量は、1ppm以上100ppm以下であることが好ましく、5〜80ppmであることがより好ましく、10〜50ppmであることが特に好ましい。
以下、実施例を示しながら本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されない。
(Ir‐Ir・Rh熱電対の性能評価)
Ir線(線径0.5mm)2としてA〜F及びIr・Rh線(線径0.5mm)3としてa〜hを用意した。表1に、各実施例及び比較例のIr線及びIr・Rh線の組み合わせ並びにIr線及びIr・Rh線のFe含有量を示す。表2に、Ir線A〜FについてFe以外の各微量金属成分の含有量を示す。表3に、Ir・Rh線a〜hについてRh含有量及びFe以外の各微量金属成分の含有量を示す。
Figure 2013195123
Figure 2013195123
Figure 2013195123
実施例1〜8及び比較例1の熱電対について、図1を参照して説明する。Ir線(線形0.5mm)2及びIr・Rh線(線形0.5mm)3を、表1に示す組み合わせで絶縁管5の細長孔5a,5b内に通した。Ir線2及びIr・Rh線3の一端側を溶接して測温接点4を形成した。Ir線2及びIr・Rh線3の測温接点4とは反対側の端部に補償導線7,8としてAl線(線径0.5mm)及びCu線(線径0.5mm)をそれぞれ溶接した。Al線及びCu線は、熱起電力測定装置10の端子11a,11bにそれぞれ接続した。実施例9の熱電対では、更に、絶縁管5に挿入したIr線2及びIr・Rh線3を保護管6に挿入し、保護管6内にアルゴンガスを充填して封止部6aで密閉した。絶縁管は、アルミナ製で、外径3mmの2孔管を用いた。保護管は、アルミナ製で、外径8mmの管を用いた。
実施例1〜9及び比較例1のIr‐Ir・Rh熱電対について公差を測定した。公差は、図2に示す装置を用いて測定した。電気炉として比較校正炉を、リファレンス熱電対としてR熱電対(クラス1)を用いて、JCSS(Japan Calibration Service System)に則って、試験を実施した。測定範囲は400〜1300℃とした。また、参考例としてW‐W・Re熱電対(Hoskins Manufacturing Co.製)の公差を測定した。図3に実施例1〜9及び比較例1並びに参考例の公差を示す。図3中、S,S´はASTM988−1996によるW‐W・Re熱電対の許容差を示す。
実施例1〜9は、いずれも400〜1300℃における公差がASTM988−1996によるW‐W・Re熱電対の許容差の範囲内であった。図3において、外挿法で2000℃における公差を推測したところ、ASTM988−1996によるW‐W・Re熱電対の許容差の範囲内であった。また、実施例1〜9間の1300℃における公差のばらつきは5.68℃であり、ロット間での起電力のばらつきが小さいことが確認できた。また、図3において、外挿法で推測した2000℃における公差を実施例1、4、5、7、8で比較すると、実施例7が最も誤差が小さかった。一方、比較例1は、Ir・Rh線のFe含有量が多すぎたため、400〜1300℃における公差がASTM988−1996によるW‐W・Re熱電対の許容差の範囲外であった。また、比較例1は、図3において、外挿法で2000℃における公差を推測したが、2000℃における公差もASTM988−1996によるW‐W・Re熱電対の許容差の範囲外であった。
(絶縁管の材質選定試験)
次に絶縁管の材質を選定するための試験として高温反応試験を行った。高温反応試験は、雰囲気温度2000℃及びアルゴン雰囲気の雰囲気炉中に、試験片として(1)カルシア安定化ジルコニア(カルシア含有率11mol%)の板材(縦10mm、横11mm、厚さ1mm)、(2)ハフニアの円柱材(径3mm、長さ10mm)又は(3)熱分解窒化ホウ素(P‐BN)の板材(縦10mm、横10mm、厚さ1mm)をIr板(縦10mm、横20mm、厚さ1mm)とIr・Rh板(縦10mm、横10mm、厚さ1mm)との間に挟んだ状態で置いた。1時間経過後雰囲気炉から取り出して、試験片の状態をマイクロスコープによる外観観察及び、試験前後での質量変化を確認した。試験片の外観に変化がなく、かつ、質量変化が無い場合は反応性なし(実用可能)、試験片の外観に変化があった場合又は質量変化があった場合は反応性あり(実用不適)とした。(1)カルシア安定化ジルコニア及び(2)ハフニアは反応性なしであった。(3)P‐BNは反応性ありであった。
高温反応試験の結果から、(1)カルシア安定化ジルコニア、(2)ハフニアが絶縁管として適していることを確認できた。
(補償導線の性能試験)
次に、補償導線の性能について評価した。Ir‐Ir・Rh熱電対として、実施例9で用いたIr線とIr・Rh線との一端部同士を溶接して測温接点を形成し、測温接点とは反対側の端部を熱起電力測定装置に接続した。Al‐Cu熱電対として、実施例1で補償導線として用いたAl線とCu線との一端部同士を溶接して測温接点を形成し、測温接点とは反対側の端部を熱起電力測定装置に接続した。Ir‐Ir・Rh熱電対及びAl‐Cu熱電対のそれぞれについて、測温接点の温度を室温〜100℃に変化させたときの熱起電力を測定した。図4にIr‐Ir・Rh熱電対及びAl‐Cu熱電対の温度と熱起電力との関係を示す。図4に示すとおり、Al‐Cu熱電対は、0〜100℃の範囲でIr‐Ir・Rh熱電対と似た熱起電力特性を有することが確認できた。
Al線の曲げ試験を行った。曲げ試験は、(1)Al単線(線径0.5mmの単線)及び(2)Al撚り線(線径0.2mmの単線を7本撚り線加工したもの)を3本用意し、各線について、それぞれバイスで一端側を保持し、他端側を手で持ち、左に90°曲げた後、右に90°曲げる操作を1回として断線するまでの回数を記録した。試験結果を表4に示す。表4より、(2)Al撚り線は、(1)Al単線よりも耐曲げ性が8倍向上することが確認できた。
Figure 2013195123
1 Ir‐Ir・Rh熱電対
2 Ir線
3 Ir・Rh線
4 側温接点
5 絶縁管
5a,5b 細長孔
6 保護管
6a 封止部
7,8 補償導線
9a,9b 補償接点
10 熱起電力測定装置
11a,11b 端子
101 Ir‐Ir・Rh熱電対
102 Ir線
103 Ir・Rh線
104 測温接点
107,108 補償導線
109a,109b 補償接点
900 公差を測定する装置
901 リファレンス熱電対
902,903 熱電対素線
904 測温接点
907,908 補償導線
909a,909b 補償接点
910 電気炉
920 0℃基準接点装置
930 起電力測定装置

Claims (8)

  1. イリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対において、
    イリジウム線及びイリジウム・ロジウム合金線が、それぞれ鉄を含有し、
    前記イリジウム・ロジウム合金線の鉄含有量が、前記イリジウム線の鉄含有量よりも多いことを特徴とするイリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対。
  2. 前記イリジウム・ロジウム合金線の鉄含有量が、1ppmを超え1000ppm以下であり、
    前記イリジウム線の鉄含有量が、1ppm以上100ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のイリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対。
  3. 前記イリジウム・ロジウム合金線のロジウム含有率が、38〜43wt%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のイリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対。
  4. 前記イリジウム線及び前記イリジウム・ロジウム合金線を被覆する絶縁管を更に備え、
    該絶縁管が、融点2000℃以上の耐熱材料からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のイリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対。
  5. 前記絶縁管が、マグネシア安定化ジルコニア、カルシア安定化ジルコニア、イットリア安定化ジルコニア、アルミナ安定化ジルコニア、シリカ安定化ジルコニア、アルミナ、サファイア、マグネシア、ベリリア又はハフニアからなることを特徴とする請求項4に記載のイリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対。
  6. 前記イリジウム線及び前記イリジウム・ロジウム合金線を内部に収容する保護管を更に備え、該保護管が、タンタル、モリブデン、タングステン若しくはイリジウムからなるか又はこれらを主成分とし、かつ、融点が2000℃以上の合金からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のイリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対。
  7. 前記イリジウム線及び前記イリジウム・ロジウム合金線の測温接点とは反対側の端部に接続した補償導線を更に備え、該補償導線としてアルミニウム線が前記イリジウム線に接続し、かつ、前記補償導線として銅線が前記イリジウム・ロジウム合金線に接続することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のイリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対。
  8. 前記補償導線が、撚り糸構造をなしていることを特徴とする請求項7に記載のイリジウム‐イリジウム・ロジウム熱電対。
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