JP2013194065A - ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】加硫戻りが少ない遅延性加硫ゴム組成物を提供する。
【解決手段】ゴムに、硫黄と、加硫促進剤としてN,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドと、2−メルカプトベンゾチアゾールおよび/またはジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドを1重量部以下含有し、かつN,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドの重量が、2−メルカプトベンゾチアゾールとジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドの重量の和よりも大であるゴム組成物による。
【選択図】なし
【解決手段】ゴムに、硫黄と、加硫促進剤としてN,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドと、2−メルカプトベンゾチアゾールおよび/またはジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドを1重量部以下含有し、かつN,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドの重量が、2−メルカプトベンゾチアゾールとジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドの重量の和よりも大であるゴム組成物による。
【選択図】なし
Description
この発明はゴム組成物ならびにその加硫方法に関する。さらに詳細には、加硫戻りのない加硫促進剤として作用するスルフェンアミド化合物を含むゴム組成物に関する。
従来、ゴム製品、例えばタイヤに使用されている加硫促進剤としては、N-シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤が使用されており、特に重荷重タイヤ用としては、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドが賞用されている。
ところで、ジエン系ゴムを主体としたゴム組成物を、硫黄と加硫促進剤を用いてポリスルフィド型の架橋構造でゴムを高温加硫した場合、加硫戻り(リバージョン)現象や耐熱性が悪くなる現象が見られる。特に重荷重タイヤ用の遅効性加硫促進剤であるN,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドは、この加硫戻りの現象が特に強く見られ、のみならず、その毒性のために、使用にあたっては注意が必要とされている。
特許文献1には、重荷重タイヤ用加硫促進剤としてN,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドを使用した例が開示されている。また、特許文献2には、本発明で使用するN,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドの製造例が開示されている。
従来のスルフェンアミド系加硫促進剤の中で、最も加硫反応に遅効性を与える加硫促進剤として知られるN,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドは、重荷重タイヤ用加硫促進剤としては優れているものの、その毒性と加硫戻り現象が問題とされ、注意を重ねて使用されている。従って加硫促進剤の更なる改善が求められているものである。本発明の目的は、加硫遅延効果を有しながら他の物性を変えることなく、加硫戻り抵抗性を改良した加硫ゴム組成物、ならびにこのための加硫促進剤を提供することにある。
本発明はスルフェンアミド系加硫促進剤のひとつであるN,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドを必須とし、これにチアゾール系加硫促進剤の2−メルカプトベンゾチアゾールおよび/またはジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドを配合してもよいゴム組成物に関する。なお、2−メルカプトベンゾチアゾールおよび/またはジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドの添加は必須ではないが、添加によって、より加硫戻りに抵抗するゴム組成物が得られる。
本発明の構成は、ゴム成分100重量部に、硫黄0.1〜5重量部と、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド0.3〜3重量部に、2−メルカプトベンゾチアゾールおよび/またはジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドを、2−メルカプトベンゾチアゾールおよび/またはジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドの重量の和は、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドの重量よりも小さいという条件のもとに1重量部以下存在させた加硫促進剤からなるゴム組成物、およびその加硫系を提供することにある。この促進剤により、従来の問題点である加硫戻り抵抗性を改良した加硫ゴム組成物が提供できるものである。
本発明は、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドの単独加硫系でも加硫戻り抵抗性加硫促進剤として有用であること、さらにこの単独系に2−メルカプトベンゾチアゾールおよび/またはジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドを配合することにより、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドと同等の加硫速度で、かつ、加硫速度と接着性の点から、最もバランスが良い、目的のゴム組成物が得られることをも見い出し、本発明を完成するに至ったものである。
また、本発明のN,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド単独系あるいはこの単独系に2−メルカプトベンゾチアゾールおよび/またはジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドを配合した複合加硫促進剤は、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドと同等の加硫遅延効果を有し、ゴム組成物に好適に使用することができるものである。
この発明の加硫促進剤は、ゴム成分100重量部に対し、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドを0.3〜3重量部、2−メルカプトベンゾチアゾールおよび/またはジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドを1重量部以下含有し、かつN,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドの重量が、2−メルカプトベンゾチアゾールとジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドの重量の和よりも大であることを必須とする。
さらに述べればN,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドの含有量は、ゴム成分100重量部に対し、0.5〜1重量部が好ましい。2−メルカプトベンゾチアゾールおよび/またはジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドの重量の和は、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドの重量よりも小さいことを条件に0.8重量部以下が好ましい。加硫促進剤総量が0.3重量部未満であると、十分に加硫しなくなり、一方、4重量部を越えると、ゴムへのブルームが問題となり、好ましくない。
加硫剤である硫黄の含有量は、ゴム成分100重量部に対し、0.1〜5重量部、好ましくは1〜3重量部である。硫黄の含有量が0.1重量部未満であると十分に加硫しなくなり、一方、5重量部を越えるとゴムの老化性能が低下するので好ましくない。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分と、硫黄と、上記の単独系あるいは複合系加硫促進剤を含有してなることを特徴とするものである。本発明に用いるゴム成分としては、天然ゴム及び/又はジエン合成系ゴムが用いられる。具体的には、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、クロロプレンゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等の少なくとも1種を使用することができる。
本発明のゴム組成物には、上記ゴム成分、硫黄、加硫促進剤の他に、ゴム組成物で通常使用される充填材を含有することができ、例えば、カーボンブラック、シリカ等の無機充填材を含有することができる。これらの無機充填材の合計含有量は、ゴム成分100重量部に対して、20重量部以上、好ましくは、30〜150重量部の範囲である。
ここで用いるカーボンブラックとしては特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意のものを選択して用いることができる。カーボンブラックとしては、例えば、GPF、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAF等が挙げられる。カーボンブラックを用いることにより、諸物性の改良効果は大きくなる。
同様に、ここで用いることができるシリカにおいても特に制限はなく、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でも破壊特性優れる湿式シリカが好ましい。また、上記カーボンブラックと併用して用いることができる。充填材としてシリカを用いる場合は、シランカップリング剤を含有することができる。このシランカップリング剤としては、特に制限はなく、従来ゴム組成物に使用されている公知のもの、例えば、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどを用いることができる。
本発明のゴム組成物には、さらに通常ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば、プロセス油、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸などを含有させることができる。
この発明によると、ジエンゴムの加硫において、加硫戻りを防止した、遅延加硫性の優れたゴム組成物を得ることができる。
本発明に用いる加硫促進剤、ゴム組成物の実施例及び比較例に基づいて更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
ゴム試験結果
表1および表2に示した配合処方に従い、常法によって混合し、カーボン配合のゴム組成物を得た。このゴム組成物をJISK6300−2(未加硫ゴム物理試験方法)に準拠して、振動式加硫試験機を用い、加硫特性を測定した。また、JISK6251(加硫ゴム物理試験方法)に準拠して、150℃で加硫特性(t10,t90、INDEX評価)を測定した。結果もまとめて表に示した。
表1および表2に示した配合処方に従い、常法によって混合し、カーボン配合のゴム組成物を得た。このゴム組成物をJISK6300−2(未加硫ゴム物理試験方法)に準拠して、振動式加硫試験機を用い、加硫特性を測定した。また、JISK6251(加硫ゴム物理試験方法)に準拠して、150℃で加硫特性(t10,t90、INDEX評価)を測定した。結果もまとめて表に示した。
この表で、加硫促進剤1は本発明のN,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、加硫促進剤2はジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、加硫促進剤3は2−メルカプトベンゾチアゾール、加硫促進剤4はN,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、加硫促進剤5はN-シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、加硫促進剤6はN-t-ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドである。
本発明の範囲となるスルフェンアミド系加硫促進剤を含有したゴム組成物である実施例1〜6は、比較例2,3に較べて、遅効性促進剤として知られている加硫促進剤4を使用した比較例1を基準としてこの比較例に近いスコーチ安定性を有することが判る。さらに、比較例1と比べてより高い加硫戻り抑制効果を有しており、高温加硫に際し優れた特性を示している。
本発明のゴム組成物は、実施例記載のとおり、加硫戻りを抑制するなど加硫特性に優れるため、タイヤなどのゴム製品に好適に使用することができる。
Claims (4)
- ゴム成分100重量部に対し、硫黄を0.1〜5重量部、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドを0.3〜3重量部含有してなるゴム組成物。
- ゴム成分100重量部に対し、硫黄を0.1〜5重量部、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドを0.3〜3重量部、2−メルカプトベンゾチアゾールおよび/またはジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドを1重量部以下含有し、かつN,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドの重量が、2−メルカプトベンゾチアゾールとジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドの重量の和よりも大であるゴム組成物。
- ゴム成分が、天然ゴム及びポリイソプレンゴムの少なくとも一方を含む請求項1または2に記載のゴム組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物を使用してなる当該ゴムの加硫戻り抑制方法。
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