JP2013192716A - 医療機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】管状体の先端部を小さな曲率半径で屈曲させることができ、且つ、キンクの発生を抑制できる医療機器を提供する。
【解決手段】医療機器(例えばカテーテル10)は体腔内に挿入される管状体300と操作線40を有する。管状体300は、管状本体(シース16)と棒状体80を有する。棒状体80は、管状本体よりも高剛性の弾性体からなり、管状本体の先端部における管壁部に埋設されて管状体300の長手方向に延在している。操作線40の先端は、棒状体80の先端よりも先端側において、管状体300に固定されている。管状体300は、棒状体80の配設領域R1より曲げ剛性が大きい高剛性領域を配設領域R1より基端側に有し、配設領域R1より曲げ剛性が小さい低剛性領域R2を棒状体80の先端と操作線40の先端との間に有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、医療機器に関する。
長尺な管状体を有し、管状体の先端部(以下「遠位端部」という)を屈曲させる操作を行うことにより、体腔への進入方向を変更可能に構成された、各種の医療機器が開発されている。その代表例として、たとえば、カテーテルが知られている。管状体の基端部においてはトルク伝達性や押し込み力の伝達性を確保し、且つ、管状体の先端部における屈曲性を確保するため、管状体の曲げ剛性は、その先端側ほど小さくなっている。
特許文献1に記載されたカテーテルにおいては、管状体の内部に管状部材が設けられている。管状部材は、先端部の方が基端部よりも小さい剛性に設定されている。管状部材の先端部には、一対の板状ロッドが並列の配置で固定されている。管状体の先端部を屈曲させるための操作用ワイヤは、その先端が管状部材の先端に固定されている。特許文献1の技術では、管状部材に板状ロッドが設けられていることにより、管状体の屈曲方向が、一対の板状ロッドを結ぶ線に対して直角方向(2方向)に規定される。
特許文献2には、管状体の長手方向における特定の領域に、互いに長手方向に離間する複数のノッチ(切れ込み)を形成することによって、管状体が特定の領域において屈曲するようにしたカテーテルが記載されている。
特開2003−144554号公報 特表2002−512534号公報
管状体を体腔内に進入させて用いられる医療機器においては、管状体を所望の体腔へ所望の進入方向で進入させることが可能であること、すなわち高い方向選択性が求められている。例えば、血管内に進入させて用いられる血管カテーテルには、所望の分岐血管へ容易に進入させることができること、すなわち高い血管選択性が求められている。
管状体の曲率半径が大きいと、狭い体腔(狭い血管等)の内部では十分な曲げ角度を確保できず、所望の進入方向で所望の体腔へ管状体の先端を入り込ませることができない場合がある。つまり方向選択性が低い。このため、医療機器における方向選択性を向上するためには、管状体の先端部を小さな曲率半径で屈曲できるようにすることが望ましい。
その一方で、一般的には、管状体の屈曲部における曲率半径を小さくするほど、キンク(管状体が折れてその内腔(ルーメン)が閉塞してしまうこと)が発生しやすい。
特許文献1の技術では、管状部材の先端部は、該管状本体の基端部よりも小さい剛性に設定されているものの、当該先端部には板状ロッドが添えられて、該先端部がいわば補強されている。このため、管状部材の先端部の曲率半径を十分に小さくすることが困難である。
また、特許文献2の技術では、管状体の屈曲性を高めるための複数のノッチが管状体の長手方向において互いに離間しているため、管状体が広範囲に亘って屈曲する。それゆえ、管状体の曲率半径を十分に小さくすることが困難である。しかも、ノッチの存在により、管状体が局所的に過度の曲げ角度で屈曲してキンクする可能性があるとともに、管状体の強度不足が生じる懸念がある。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、管状体の先端部を小さな曲率半径で屈曲させることができ、且つ、管状体におけるキンクの発生を抑制することができる医療機器を提供する。
本発明は、長尺で可撓性を有し、体腔内に挿入される管状体と、
前記管状体に埋設されている操作線であって、当該操作線を前記管状体の基端側へ牽引する操作がなされた場合に前記管状体を屈曲させる1本以上の操作線と、
を有し、
前記管状体は、
長尺で可撓性の管状本体と、
前記管状本体よりも高剛性の弾性体からなり、前記管状本体の先端部における前記管壁部に埋設されて、前記管状体の長手方向に延在している棒状体と、
を有し、
前記操作線の先端は、前記棒状体の先端よりも先端側において、前記管状体に固定され、
前記管状体は、前記管状体における前記棒状体の配設領域よりも曲げ剛性が大きい高剛性領域を、前記棒状体の配設領域よりも基端側に有しているとともに、前記棒状体の配設領域よりも曲げ剛性が小さい低剛性領域を、前記棒状体の先端と前記操作線の先端との間に有していることを特徴とする医療機器を提供する。
本発明によれば、医療機器の長尺な管状体の先端部を小さな曲率半径で屈曲させることができ、且つ、管状体におけるキンクの発生を抑制することができる。
第1の実施形態に係る医療機器の先端部を示す模式図(透視図)である。 図1のA−A断面図(横断面図)である。 第1の実施形態に係る医療機器の先端部を示す模式的な斜視図である。 第1の実施形態に係る医療機器の棒状体と補強層との位置関係の例を示す模式的な側面図(透視図)である。 第1の実施形態に係る医療機器の先端部の模式的な縦断面図である。 第1の実施形態に係る医療機器の先端部(図5よりも基端側)の模式的な縦断面図である。 図5のB−B断面図(横断面図)である。 第1の実施形態に係る医療機器の模式的な平面図である。 第1の実施形態に係る医療機器の製造工程を示す模式的な横断面図である。 第1の実施形態に係る医療機器の動作のメカニズムを示す模式図である。 第1の実施形態に係る医療機器の動作例を示す模式図である。 第1の実施形態に係る医療機器の横断面内における棒状体の配置の変形例を示す模式図である。 第2の実施形態に係る医療機器の先端部を示す模式的な側面図(透視図)である。 第2の実施形態に係る医療機器の屈曲時の先端部を示す模式図である。 第1及び第2の実施形態の変形例に係る医療機器を示す模式的な側面図(透視図)である。 第3の実施形態に係る医療機器の先端部を示す模式的な側面図(透視図)である。 第3の実施形態の変形例に係る医療機器を示す模式的な側面図(透視図)である。 比較例に係る医療機器の動作を示す模式図である。 比較例に係る医療機器の動作のメカニズムを示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
〔第1の実施形態〕
図1(a)及び図1(b)は第1の実施形態に係る医療機器としてのカテーテル10の先端部を示す模式図である。このうち図1(a)は平面図、図1(b)は側面図である。図1はカテーテル10の内部構成である固定部材66、棒状体80及び操作線40を示す透視図としている。
図2は図1のA−A断面図(横断面図)である。
図3はカテーテル10の先端部を示す模式的な斜視図である。
図4はカテーテル10の棒状体80と補強層(例えばコイル50)との位置関係の例を示す模式的な側面図である。図4はカテーテル10の内部構成である固定部材66、棒状体80、操作線40及びコイル50を示す透視図としている。
図5及び図6は第1の実施形態に係るカテーテル10の先端部の模式的な縦断面図である。図6は図5よりも基端側の部分を示している。
図7は図5のB−B断面図(横断面図)である。
図8は第1の実施形態に係るカテーテル10の模式的な平面図である。
図9は第1の実施形態に係るカテーテル10の製造工程を示す模式的な横断面図である。
本実施形態に係るカテーテル10は、長尺で可撓性を有し体腔内に挿入される管状体300と、管状体300に埋設されている1本以上の操作線40と、を有している。操作線40は、当該操作線40を管状体300の基端側へ牽引する操作がなされた場合に管状体300を屈曲させる。管状体300は、長尺で可撓性の管状本体(シース16)と、棒状体80と、を有している。棒状体80は、管状本体よりも高剛性の弾性体からなる。棒状体80は、管状本体の内径よりも細く、且つ、管状本体の管壁部の肉厚よりも細い。棒状体80は、管状本体の先端部の管壁部に埋設されて、管状体300の長手方向に延在している。
操作線40の先端は、棒状体80の先端よりも先端側において、管状体300に固定されている。
管状体300は、管状体300における棒状体80の配設領域R1よりも曲げ剛性が大きい高剛性領域R5(図4)を、配設領域R1よりも基端側に有している。なお、図4(a)に示すように高剛性領域R5と配設領域R1とが互いにオーバーラップしている場合、配設領域R1と高剛性領域R5との曲げ剛性の大小関係は、それらがオーバーラップしていない領域どうしの大小関係を意味する。
更に、管状体300は、配設領域R1よりも曲げ剛性が小さい低剛性領域R2を、棒状体80の先端と操作線40の先端との間に有している。
以下、詳細に説明する。
図8に示すように、カテーテル10は、管状体300と、管状体300の先端部の屈曲操作を行うための操作機構と、を有している。
操作機構は、操作線40(図1〜図7)と、この操作線40を牽引する操作を行うための操作部70と、を有している。
カテーテル10の本体としての管状体300は、長尺で可撓性を有しており、体腔内に挿入して用いられる。
操作線40は、管状体300の長手方向に沿って該管状体300に埋設されている。より具体的には、操作線40は、後述するシース16(管状本体)の管壁部に埋設されている。操作線40の先端は、管状体300の先端部に固定されている。なお、具体的には、後述するように、操作線40は、例えば、固定部材66に固定されることによって、管状体300に対して間接的に固定されている。
操作部70は、管状体300の基端部に設けられている。操作部70には、操作線40の基端部が連結されている。操作部70に対して操作を行うことによって、操作線40を管状体300の基端側へ牽引し、管状体300の先端部を屈曲させることができるようになっている。
カテーテル10は、血管内に挿通させて用いられる血管内カテーテルであることが好適な一例である。より具体的には、カテーテル10の管状体300は、当該管状体300を肝臓の8つの亜区域の何れにも進入させることが可能な寸法に形成されていることが好適な一例である。
なお、本明細書では、カテーテル10(並びに管状体300)の遠位端(先端)DEを含む所定の長さ領域のことを、カテーテル10(並びに管状体300)の遠位端部15という。同様に、カテーテル10(並びに管状体300)の近位端(基端)(不図示)を含む所定の長さ領域のことを、カテーテル10(並びに管状体300)の近位端部(基端部)17(図8)という。
図5乃至図7に示すように、管状体300の内部には、メインルーメン(管状体300の内腔)20と、サブルーメン30とが形成されている。メインルーメン20及びサブルーメン30は、管状体300の(カテーテル10の)長手方向(図5及び図6における左右方向)に沿って延在している。
メインルーメン20は、管状体300の先端において開口している(図3参照)。メインルーメン20を介して管状体300の基端から先端へ薬液などの液体を供給可能となっている。
メインルーメン20は、例えば、管状体300の横断面(長手方向に直交する断面)における中央に配置され、サブルーメン30は、メインルーメン20の周囲に配置されている。より具体的には、例えば、横断面において、サブルーメン30どうしは、メインルーメン20の中心を基準として、回転対称位置に配置されている。
カテーテル10は、例えば、複数個のサブルーメン30を有している。各サブルーメン30は、メインルーメン20よりも小径である。
サブルーメン30どうし、並びに、メインルーメン20とサブルーメン30とは、互いに離間して個別に配置されている。複数のサブルーメン30は、例えば、メインルーメン20の周囲に分散して配置されている。図5乃至図7の例では、サブルーメン30の数は2つであり、サブルーメン30は、メインルーメン20の周囲に180度間隔で配置されている。
これらサブルーメン30の内部には、それぞれ操作線40が挿通されている。すなわち、カテーテル10は、例えば、2本の操作線40を有する。
操作線40は、サブルーメン30の周壁に対して摺動することにより、サブルーメン30に対して相対的に、サブルーメン30の長手方向へ移動可能となっている。すなわち、操作線40は、サブルーメン30の長手方向に摺動可能となっている。
操作線40は、単一の線材により構成されていても良いが、複数本の細線を互いに撚りあわせることにより構成された撚り線であっても良い。
一本の撚り線を構成する細線の本数は特に限定されないが、3本以上であることが好ましい。細線の本数の好適な例は、3本又は7本である。
操作線40を構成する細線の本数が3本の場合、横断面において3本の細線が点対称に配置される。操作線40を構成する細線の本数が7本の場合、横断面において7本の細線が点対称にハニカム状に配置される。
操作線40の外形寸法(撚り線の外接円の直径)は、例えば、25〜55μmとすることができる。
操作線40を構成する線材(或いは撚り線を構成する細線)の材料としては、低炭素鋼(ピアノ線)、ステンレス鋼(SUS)、チタンもしくはチタン合金などの可撓性の金属線のほか、ポリ(パラフェニレンベンゾビスオキサゾール)(PBO)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド(PI)もしくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ボロン繊維などの高分子ファイバーを用いることができる。
サブルーメン30の構造としては、例えば、以下の2通りの構造を例示することができる。
1つ目の構造では、図5乃至図7に示すように、予め形成された中空管32を管状体300の長手方向に沿って外層60(後述)内に埋設し、その中空管32の内腔をサブルーメン30とする。すなわち、これらの例では、サブルーメン30は、管状体300内に埋設された中空管32の内腔により構成されている。
中空管32は、例えば、熱可塑性樹脂により構成することができる。その熱可塑性樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの低摩擦樹脂が挙げられる。
2つ目の構造では、外層60(後述)内に、管状体300の長手方向に沿う長尺な中空を形成することによって、サブルーメン30を形成する。
上述のように、管状体300は、長尺で可撓性の管状本体としてのシース16を有している。
シース16は、例えば、内層21と、内層21の周囲に積層して形成された外層60と、外層60の周囲に形成されたコート層64と、を有する。
内層21は樹脂材料を管状に成形することにより構成されている。内層21の中心には、メインルーメン20が形成されている。
外層60は、内層21と同種または異種の樹脂材料からなる。外層60は、例えば、(外層本体61と、外層本体61の周囲に形成された被覆樹脂62と、を含んで構成される(図9(c))。なお、被覆樹脂62は、シース16の先端部にのみ形成されていても良いし、シース16の長手方向全域に亘って形成されていても良い。例えば、被覆樹脂62の厚さは、外層本体61の厚さよりも薄い。外層本体61と被覆樹脂62とは、例えば、互いに同種の樹脂材料からなり、互いに溶融一体化している。
サブルーメン30は、外層60の内部に形成されている。
内層21の材料は、例えば、フッ素系の熱可塑性ポリマー材料であることが挙げられる。このフッ素系の熱可塑性ポリマー材料は、具体的には、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、或いはペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)である。
内層21をこのようなフッ素系樹脂により構成することによって、メインルーメン20を通じて造影剤や薬液などを患部に供給する際のデリバリー性が良好となる。
外層60(外層本体61及び被覆樹脂62)の材料は、例えば、熱可塑性ポリマーであることが挙げられる。この熱可塑性ポリマーとしては、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ナイロンエラストマー、ポリウレタン(PU)、エチレン−酢酸ビニル樹脂(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)またはポリプロピレン(PP)を挙げることができる。
管状体300は、例えば、樹脂材料からなる。すなわち、管状体300は、それぞれ樹脂材料からなる上記の外層60及び内層21を含んで構成されている。
換言すれば、管状体300は、外層60及び内層21を含む中空の樹脂層を有している。外層60及び内層21を含む中空の樹脂層のことを、シース16の管壁部と称する。
管状体300を構成する樹脂材料は、無機フィラーを含有していても良い。例えば、管状体300の肉厚の大部分を占める外層60を構成する樹脂材料として、無機フィラーを含有するものを用いることができる。
この無機フィラーは、例えば、硫酸バリウム、或いは次炭酸ビスマスであることが挙げられる。このような無機フィラーを外層60に混入することにより、X線造影性が向上する。
コート層64は、カテーテル10の最外層を構成するものであり、親水性の材料からなる。なお、コート層64は、管状体300の遠位端部15の一部長さに亘る領域にのみ形成されていても良いし、管状体300の全長に亘って形成されていても良い。
コート層64は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドンなどの親水性の樹脂材料で成形することによって、親水性となっている。なお、コート層64は、外層60の外表面に潤滑処理を施して少なくとも外層60の外表面を親水性とすることによって形成されていても良い。
管状体300は、更に、シース16を構成する樹脂材料よりも高剛性の管状の補強層を有している。この補強層は、シース16と同軸に配置されて、シース16の管壁部に埋設されている。この補強層の配設領域が、高剛性領域R5を構成する。
本実施形態の場合、この補強層は、例えば、図4及び図6に示すように、コイル50である。コイル50は、内層21の周囲に巻回され、且つ、外層60に内包(埋設)されている。
コイル50は、例えば、弾性体により構成された単数又は複数の線材52を螺旋状に巻回することにより構成されている。コイル50を構成する線材52の材料としては、例えば、金属を用いることが好ましい一例であるが、この例に限らず、内層21及び外層60よりも高剛性で弾性を有する材質であれば、その他の材質(例えば樹脂等)を用いても良い。具体的には、線材52の金属材料として、例えば、ステンレススチール(SUS)、ニッケルチタン系合金、鋼、チタン或いは銅合金を用いることができる。線材52の断面形状は特に限定されないが、例えば、矩形状又は円形であることが好ましい例である。
本実施形態においては、サブルーメン30は、外層60の内部において、コイル50の外側に形成されている。
なお、後述するように、棒状体80の配設領域R1や低剛性領域R2にも、柔軟なコイルを配置しても良い。すなわち、管状体300は、シース16よりも高剛性で(つまり曲げ剛性が大きく)且つシース16と同軸にシース16に埋設された管状の補強層を、少なくとも高剛性領域R5に有している。
なお、カテーテル10は、コイル50に代えて、ブレード層(図示略)を補強層として有していても良い。ブレード層は、ワイヤをメッシュ状に編む(編組する)ことによって構成され、コイル50と同等の位置に配置される。
カテーテル10は、シース16よりも高剛性の(曲げ剛性が大きい)固定部材66を有している。固定部材66は、管状体300の遠位端部15に設けられている。操作線40の先端は、固定部材66に固定されている。
固定部材66は、例えば、管状体300と同軸の環状に形成されている。固定部材66は、シース16に埋設されている。固定部材66は、メインルーメン20の周囲、且つ、外層60の内部に設けられている。
固定部材66は、X線等の特定の放射線に対して不透明な材質により構成されている。このため、例えばX線撮影したときに固定部材66の位置すなわち管状体300の先端部の位置を容易に認識できる。すなわち、固定部材66は、マーカーとしての機能を兼ねる。なお、固定部材66の全体が、特定の放射線に対して不透明な材質により構成されていても良いし、固定部材66の一部分のみが、特定の放射線に対して不透明な材質により構成されていても良い。
固定部材66は、例えば、白金などの金属材料により構成されている。
操作線40の先端を固定部材66に固定する態様は特に限定されない。たとえば、操作線40の先端を固定部材66に溶接或いは締結しても良いし、接着剤により固定部材66に接着固定してもよい。
ここで、固定部材66は、例えば、内層21の周囲にかしめ固定することにより、管状体300の先端部に設けられている。
ここで、本実施形態のカテーテル10の各構成要素の代表的な寸法について説明する。
メインルーメン20の半径は200〜300μm程度、内層21の厚さは10〜30μm程度、外層60の厚さは50〜150μm程度、コイル50の外径は直径500〜860μm、コイル50の内径は直径420〜660μmとすることができる。
カテーテル10の軸心からサブルーメン30の中心までの半径(距離)は300〜450μm程度、サブルーメン30の内径(直径)は40〜100μmとする。そして、操作線40の太さは30〜60μm程度とする。
管状体300の最外径(半径)は350〜490μm程度、すなわち外径が直径1mm未満である。これにより、本実施形態のカテーテル10は腹腔動脈などの血管に挿通可能である。
サブルーメン30は、少なくともカテーテル10の近位端部17側において開口している。各操作線40の基端部は、サブルーメン30の開口から近位端側に突出している。各操作線40の基端部は、管状体300の近位端部17に設けられた操作部70に連結されている。
図8に示すように、操作部70は、例えば、本体ケース700と、本体ケース700に対して回転可能に設けられたホイール操作部760と、を有している。
管状体300の基端部は、本体ケース700内に導入されている。本体ケース700の後端部には、ハブ790が取り付けられている。管状体300の基端は、ハブ790の前端部に固定されている。
ハブ790は、当該ハブ790を前後に貫通する中空が内部に形成された筒状体である。ハブ790の中空は、管状体300のメインルーメン20と連通している。
ハブ790には、その後方から、図示しない注入器(シリンジ)を挿入できるようになっている。この注入器によって、ハブ790内に薬液等の液体を注入することにより、メインルーメン20を介してその液体を管状体300の先端へ供給し、該液体を管状体300の先端から患者の体腔内へ供給することができる。
例えば、操作線40及び中空管32は、本体ケース700の前端部において管状体300のシース16から分岐している。
中空管32は、その基端部が開口しており、操作線40の基端部は、中空管32の基端部の開口から近位端側に突出している。
各操作線40の基端部は、ホイール操作部760に対して、直接的又は間接的に連結されている。ホイール操作部760を何れかの方向に回転操作することにより、操作線40を個別に基端側に牽引して、カテーテル10の遠位端部15(管状体300の遠位端部15)を屈曲させることができるようになっている。
図8(b)に示すようにホイール操作部760をその回転軸周りにおいて一方向に回転させる操作を行うと、一方の操作線40が基端側に牽引される。すると、カテーテル10の遠位端部15には、当該一方の操作線40を通じて引張力が与えられる。これにより、管状体300の軸心を基準として、当該一方の操作線40が挿通されているサブルーメン30の側に向かって、管状体300の遠位端部15は屈曲する。すなわち、管状体300の遠位端部15が一方向に屈曲する。
また、図8(c)に示すようにホイール操作部760をその回転軸周りにおいて他方向に回転させる操作を行うと、他方の操作線40が基端側に牽引される。すると、カテーテル10の遠位端部15には、当該他方の操作線40を通じて引張力が与えられる。これにより、管状体300の軸心を基準として、当該他方の操作線40が挿通されているサブルーメン30の側に向かって、管状体300の遠位端部15は屈曲する。すなわち、管状体300の遠位端部15が他方向に屈曲する。
ここで、管状体300が屈曲するとは、管状体300が「くの字」状に折れ曲がる態様と、弓なりに湾曲する態様とを含む。
このように、操作部70のホイール操作部760に対する操作によって、2本の操作線40を選択的に牽引することにより、カテーテル10の遠位端部15を第1の方向と、その反対方向である第2の方向と、に屈曲させることができる。第1の方向と、第2の方向は、互いに同一平面に含まれる。
カテーテル10の全体を軸回転させるトルク操作と、牽引操作と、を組み合わせて行うことにより、カテーテル10の遠位端DEの向きを自在に制御することが可能となる。
更に、操作線40の牽引量を調節することにより、カテーテル10の遠位端DEの屈曲量を調節することができる。
このため、本実施形態のカテーテル10は、たとえば分岐する血管等の体腔に対して、所望の方向に進入させることが可能である。
すなわち、遠位端部15を屈曲させる操作を行うことにより、体腔への進入方向を変更可能である。
次に、管状体300の遠位端部15の構造について、より詳細に説明する。
図1乃至図7に示すように、管状体300は、その遠位端部15に棒状体80を有している。棒状体80は、シース16の遠位端部15における管壁部に埋設されて、管状体300の長手方向に延在している。
ここで、長手方向に延在しているとは、棒状体80の長手方向と、管状体300の長手方向とが互いに平行である場合の他、棒状体80が管状体300に沿って蛇行している場合なども含まれる。ただし、棒状体80が管状体300を1周以上周回する場合(螺旋状となっている場合)は除く。
棒状体80は、単なる棒すなわち中実棒(中実の棒)の他、中空管又はコイルであっても良い。コイルは、線材を螺旋状に巻回することにより構成されたものである。棒状体80としてコイルを用いる場合、特に、密着巻きのコイルを用いることが好ましい。
棒状体80は、曲げ方向にある程度の柔軟性を持つもの、すなわち軸方向に対して交差する方向にある程度柔軟に屈曲できるものが好ましい。つまり棒状体80は曲げを許容する。
ただし、棒状体80は、軸方向圧縮を実質的に許容しない。つまり棒状体80は軸方向に十分な剛性をもつ。
棒状体80は軸圧縮方向に実質的に変形しない(座屈しない)ため、操作線40を牽引して管状体300の遠位端部15を屈曲させる際にも、管状体300における棒状体80の配設領域R1は僅かしか屈曲しない。
操作線40を牽引して管状体300の遠位端部15を屈曲させる際は、管状体300における配設領域R1及びそれよりも基端側の部分の屈曲は規制される。よって、管状体300において配設領域R1よりも先端側の部分(低剛性領域R2を含む部分)が主として屈曲する。よって、管状体300の遠位端部15を小さい曲率半径で屈曲させることができる。
配設領域R1は、それよりも基端側の高剛性領域R5と比べると、大きく屈曲する。また、配設領域R1は、例えば、その先端側ほど大きく屈曲する。
なお、シース16は、少なくとも棒状体80の配設領域R1から低剛性領域R2に亘って、同一の樹脂材料により構成されている。このため、シース16自体は、配設領域R1と低剛性領域R2との境界に、剛性の不連続点を持たない。棒状体80が配置されていることにより、配設領域R1と低剛性領域R2との境界(棒状体80の先端位置)に剛性の不連続点が形成される。
なお、シース16は、例えば、その基端から先端に亘って、同一の樹脂材料により構成されている。
棒状体80の太さ(径)は、シース16の管壁部の肉厚よりも細い。なお、棒状体80の横断面形状は、例えば円形であることが好ましい一例であるが、楕円形又は多角形状、或いはその他の異形形状であっても良い。
棒状体80は、シース16を構成する樹脂材料よりも弾性率が大きい弾性体により構成され、棒状体80の曲げ剛性は、シース16の曲げ剛性よりも大きい。棒状体80は、例えば、金属により構成することが好ましい一例である。棒状体80を構成する金属材料としては、例えば、ニッケル−チタン合金のような弾性金属材料が好適である。棒状体80は、必要とする剛性と弾性を有するものであれば良く、金属以外の材料により構成されていても良い。
本実施形態の場合、棒状体80は、例えば、弾性金属材料の中実棒である。
棒状体80の先端は、管状体300の遠位端(先端)DE及びシース16の遠位端(先端)よりも近位端側(基端側)に位置している。
管状体300において、その遠位端DEから棒状体80の先端までの部分を、最遠位端部18と称することとする。最遠位端部18の長さは、例えば、5mm程度であることが好ましい一例である。
また、最遠位端部18と配設領域R1との合計の長さは、例えば、管状体300の外径の50倍〜100倍であることが好ましい一例である。
操作線40の先端は、棒状体80の先端よりも管状体300の先端側において、管状体300に固定されている。具体的には、例えば、操作線40の先端は、上述のように、固定部材66に固定されている。
管状体300は、管状体300における棒状体80の配設領域R1よりも曲げ剛性が小さい低剛性領域R2を、棒状体80の先端と操作線40の先端との間に有している。なお、低剛性領域R2は、最遠位端部18の一部分である。
本実施形態の場合、低剛性領域R2は、棒状体80の先端から固定部材66の基端までの領域である。本実施形態の場合、低剛性領域R2には、操作線40及び中空管32以外には、管状体300の曲げ剛性を高める構成要素がシース16に設けられてはいない。このため、管状体300は、低剛性領域R2において柔軟に屈曲することができる。
操作線40を牽引して管状体300を屈曲させる際には、管状体300において棒状体80よりも先端側の部分(低剛性領域R2を含む部分)が主として屈曲する。これにより、管状体がその長手方向における広範囲に亘ってなだらかに屈曲する場合と比べて、管状体300の屈曲部位の曲率半径を小さくすることができる。
棒状体80の長さは、管状体300の外径(直径)以上であることが好ましい。これにより、詳細は後述するが、管状体300におけるキンクの発生を好適に抑制できる。すなわち管状体300の耐キンク性が良好となる。また、棒状体80の長さが管状体300の外径以上であることにより、管状体300の屈曲時に棒状体80の両端がシース16を損傷してしまうことを抑制することができる。
また、管状体300の長手方向における低剛性領域R2の長さは、管状体300の外径(直径)以上であることが好ましい。これにより、管状体300の屈曲性が良好となり、管状体300を十分な屈曲角度で屈曲させることができる。
管状体300の周方向において、操作線40と棒状体80とが近接して配置されていることが好ましい(図1乃至図3、図7参照)。この場合、棒状体80は、操作線40の近傍において操作線40に沿って延在する。例えば、管状体300の横断面において、管状体300の中心と操作線40の中心とを結ぶ線分と、管状体300の中心と棒状体80の中心とを結ぶ線分と、のなす角度は、45°以下又は15°以下となっている。
操作線40と棒状体80とが近接していることにより、操作線40の牽引によりシース16を屈曲させようとする力が、操作線40の近傍に位置する棒状体80の存在により緩和される。その結果、管状体300の耐キンク性が良好となる。
より具体的には、例えば、図1(a)、図2及び図7に示すように、各々の操作線40の両側に近接して、それぞれ棒状体80が配置されている。すなわち、一対の棒状体80が操作線40を挟んで配置されている。この場合、一対の棒状体80の曲げ剛性の中心(一対の棒状体80の剛心)が操作線40と一致することが好ましい一例である。
なお、本実施形態のように、操作線40が中空管32に挿通されている構造の場合、棒状体80を中空管32に近接して配置する。
操作線40と棒状体80とは、シース16における同層に配置されている。ここで、同層とは、管状体300の中心からの距離が完全に同じである場合の他、棒状体80の少なくとも一部分と操作線40とが、管状体300の中心からの距離が同じである場合(一部が重複する場合)を含む。
上述のように、本実施形態の場合、管状体300は、補強層としてのコイル50を、高剛性領域R5に有している。
コイル50の先端は、例えば、図4(a)及び(b)に示すように、棒状体80の先端よりも基端側に位置していることが好ましい。すなわち、棒状体80は、コイル50よりも遠位端側に配置されていることが好ましい。
ただし、コイル50の先端は、棒状体80の先端よりも先端側に位置していても良い。すなわち、例えば低剛性領域R2にコイル50の一部分が存在していても良い。コイル50は、ピッチ巻き(密着巻きでない)であれば、低剛性領域R2における管状体300の屈曲性を阻害しない。低剛性領域R2にコイル50の一部分を配置する場合、特に、単条の線材52からなるピッチ巻きのコイル50が好ましい。
一方、コイル50の基端(図4には示されていない部分)は、棒状体80の基端よりも基端側に位置している。具体的には、コイル50の基端は、例えば、管状体300の近位端部17に位置している。
一例として、図4(a)及び図6に示すように、コイル50の先端は、棒状体80の基端よりも先端側に位置していることが挙げられる。すなわち、棒状体80とコイル50とが互いにオーバーラップして配置されている。この場合、棒状体80の配設領域R1よりも基端側の領域から、配設領域R1にかけての、管状体300の曲げ剛性の変化を緩やかにすることができる。
ただし、棒状体80は、その長手方向の全域に亘って、コイル50が存在しない領域に配置されていても良い。例えば、図4(b)に示すように、コイル50の先端が棒状体80の基端に位置していても良い。また、図示は省略するが、コイル50の先端が棒状体80の基端よりも基端側に位置していても良い。すなわち、管状体300の長手方向における棒状体80の基端の位置は、コイル50の先端部と同じか、又はそれよりも先端側とすることができる。
コイル50の配設領域における管状体300の曲げ剛性は、棒状体80の配設領域R1(その中でも特にコイル50が配置されていない領域)における管状体300の曲げ剛性よりも大きい。これにより、管状体300の屈曲操作時において、棒状体80よりも基端側における管状体300の屈曲を抑制し、管状体300の遠位端部15を小さい曲率半径で屈曲させることができる。
ここで、シース16の曲げ剛性は、少なくとも遠位端部15においては、その長手方向における位置にかかわらず一定となっている。また、コイル50の曲げ剛性も、少なくとも遠位端部15においては、その長手方向における位置にかかわらず一定となっている。
これにより、棒状体80の配設領域R1よりも基端側の領域と、配設領域R1との境界部におけるキンクの発生を抑制できる。また、棒状体80の配設領域R1と、配設領域R1よりも先端側の領域との境界部におけるキンクの発生を抑制できる。
なお、コイル50は、例えば、互いに曲げ剛性が異なる複数のコイル(例えば図4に示す第1コイル50a及び第2コイル50b)を長手方向に連接することにより構成されている。これらのうち、先端側に位置するコイルほど、曲げ剛性が小さい。これにより、管状体300の曲げ剛性は、その先端側ほど小さくなっている。
次に、上述した構成のカテーテル10の製造方法の一例を説明する。
例えば、以下に説明するように、カテーテル10の各部を別個に作成し、それらを組み合わせることによって、カテーテル10を製造する。
外層60の外層本体61(図9(a))は、例えば、押出成形装置(図示略)により、成形材料としての樹脂材料を押出成形することによって作成する。この押出成形の際には、樹脂材料とともに芯線(マンドレル)を押し出すことにより、この芯線の周囲に、外層本体61となる樹脂材料を被着させる。
芯線の材質は特に限定されないが、一例として、銅または銅合金、炭素鋼やSUS等の合金鋼、ニッケルまたはニッケル合金を挙げることができる。
芯線の表面には、任意で離型処理を施してもよい。離型処理としては、フッ素系やシリコン系などの離型剤の塗布のほか、光学的または化学的な表面処理をおこなってもよい。
ここで、外層本体61において後に中空管32が埋設されることによりサブルーメン30が形成される位置の各々に、長手方向に沿う長尺な中空が形成されるように、例えば、その位置にガスなどの流体を供給しながら押出成形する。この中空の内径は、中空管32の外径よりも大きい。これは、後にこの中空内に中空管32を差し込む工程を容易にするためである。
押出成形後、芯線を引き抜くことにより、中空形状の外層本体61を作成することができる。なお、外層本体61の成形に用いられる芯線の線径は、コイル50の外径よりも大きい。これは、後にコイル50(及び内層21)の周囲に外層本体61を被せる工程を容易にするためである。
内層21は、外層本体61を作成するための押出成形装置とは別の押出成形装置(図示略)により樹脂材料を押出成形することによって作成する。この押出成形の際には、樹脂材料とともに芯線(外層本体61の作成用とは別の芯線)を押し出すことにより、この芯線の周囲に、内層21となる樹脂材料を被着させる。芯線の線径は、メインルーメン20の径に相当する。なお、内層21は、ディスパージョン成形装置により成形しても良い。
コイル50は、芯線(内層21の作成用、外層本体61の作成用とは別の芯線)の周囲に、線材を螺旋状に巻回する工程などを経て作成する。その後、コイル50内の芯線を引き抜く。
その後、芯線付きの内層21の周囲にコイル50を被せる。従って、この段階では、未だ、内層21内には芯線が挿通されたままである。
中空管32は、内層21を作成するための押出成形装置、並びに、外層本体61を作成するための押出成形装置とは別の押出成形装置(図示略)により、樹脂材料を押出成形することによって作成する。ここで、押出成形装置の押出口(ノズル)の中心に配置された吐出管から、ガスなどの流体を吐出しながら押出成形を行うことによって、中空管32の中心に中空を形成する。
また、中空管32内に挿通されるダミー芯線を別途準備し、このダミー芯線を中空管32内に挿通する。
外層本体61を作成し、且つ、内層21の周囲にコイル50を被せた後で、そのコイル50の周囲に外層本体61を被せる。これにより、中心側から順に、芯線(内層21の形成に用いたもの)、内層21、コイル50及び外層本体61が同心状に配置された状態となる。
次に、外層本体61の中空の各々に対し、中空管32(ダミー芯線入り)を挿通する。
次に、外層本体61の周囲に熱収縮チューブ(図示略)を被せる。次に、加熱により、熱収縮チューブを収縮させて、外層本体61を周囲から締め付けるとともに、外層本体61を溶融させる。なお、この加熱温度は、外層本体61の溶融温度よりも高く、内層21の溶融温度よりも低い。この加熱により、外層本体61と内層21とが溶着により接合する。このとき、外層本体61を構成する樹脂材料が、コイル50を内包し、該樹脂材料がコイル50に含浸する。また、外層本体61と中空管32とが溶着により接合する。
次に、熱収縮チューブに切り込みを入れ、該熱収縮チューブを引き裂くことによって、熱収縮チューブを外層本体61から取り除く。
次に、中空管32からダミー芯線を引き抜き、中空管32内に操作線40を挿通する。ここまでの状態を図9(a)に示す。
また、別途、固定部材66を準備し、固定部材66に対して各操作線40を固定する。
次に、管状体300の先端部に固定部材66を固定する。このためには、例えば、管状体300の先端部の外層本体61を切除し、管状体300の先端部において、内層21を露出させる。このとき、中空管32も外層本体61とともに切除する。次に、操作線40の先端部を中空管32の先端より先端側に突出させた状態とする。
次に、固定部材66を管状体300の先端部において内層21の周囲に外挿し、固定部材66を内層21の周囲に対してかしめ固定する。
また、図9(b)に示すように、棒状体80を外層本体61の外表面に仮固定する。この仮固定は、例えば、棒状体80を外層本体61の外表面に対して溶着(レーザー溶着など)又は接着(接着材による接着など)することにより行う。
次に、管状体300の先端部の周囲を、予め筒状に成形した被覆樹脂62で覆い、上記熱収縮チューブとは別の熱収縮チューブを用いて、被覆樹脂62を外層本体61及び内層21に対して溶着により接合する。こうして、外層本体61と被覆樹脂62とからなる外層60を形成する。このとき、棒状体80が被覆樹脂62内に埋め込まれる(図9(c))。なお、外層本体61と被覆樹脂62とは、例えば、溶融し互いに一体化する。なお、固定部材66の先端側の面も、溶融した外層60により覆われる。
次に、管状体300の基端部に対し、ハブ790を接続する。
次に、内層21内の芯線を引き抜く。芯線の引き抜きは、芯線の長手方向両端を引っ張ることにより芯線を細径化した状態で行う。これにより、内層21の中心には、メインルーメン20となる中空が形成される。
次に、別途作成した操作部70のホイール操作部760に対し、直接的又は間接的に、操作線40の基端部を連結する。更に、操作部70の本体ケース700とホイール操作部760とを組み立てるとともに、本体ケース700にハブ790を取り付ける。
こうして、操作線40に対する牽引操作により管状体300が屈曲する状態とする。
次に、コート層64を形成する。
こうして、カテーテル10を製造することができる。
次に、カテーテル10の動作を説明する。
図10は第1の実施形態に係るカテーテル10の動作のメカニズムを示す模式図である。図11は第1の実施形態に係るカテーテル10の動作例を示す模式図である。
操作線40を牽引して管状体300を屈曲させる際(以下、屈曲操作時という)には、管状体300において棒状体80よりも先端側の部分(低剛性領域R2を含む部分)が主として屈曲する(図10参照)。なぜなら、棒状体80は、上記のように軸圧縮方向に実質的に変形しないため、棒状体80の配設領域R1は屈曲操作時にも僅かしか屈曲しないためである。よって、管状体300を屈曲させる力を、配設領域R1よりも先端側の領域に集中できるため、管状体300の屈曲部位の曲率半径を小さくすることができる。
その結果、例えば、図11に示すように、鋭角に分岐する血管19に対しても、容易にカテーテル10の先端(遠位端DE)を進入させることができる。遠位端部15に適度な剛性(コシ)があれば、このままカテーテル10を押し込むことにより、該カテーテル10を血管19に進入させることができる。
しかも、管状体300の屈曲操作時において、以下の理由から、管状体300におけるキンクの発生が抑制される。
カテーテル10においては、上述のように、管状体300において棒状体80の配設領域R1よりも先端側の部分(低剛性領域R2を含む部分)が小さい曲率半径で屈曲する。その屈曲変形に伴い、棒状体80の配設領域R1におけるシース16の材質である樹脂が管状体300の長手方向においてある程度の自由度で移動することができる。なぜなら、環状などの部材でなく棒状の部材である棒状体80がシース16に埋設された構造であるため、棒状体80によるシース16の拘束作用が、シース16の周方向における特定箇所に限定されるからである。つまり、シース16において、その周方向にて棒状体80から離間した部位の材質は、応力を受けた際に管状体300の長手方向においてある程度の自由度で移動可能である。よって、管状体300の屈曲時に、棒状体80の配設領域R1におけるシース16の材質が、応力を緩和するバッファとなるため、管状体300の長手方向における特定箇所に応力が集中することが抑制される。これにより、管状体300が長手方向において局所的に折れ変形してしまうことが抑制される。つまり、管状体300におけるキンクの発生が抑制される。
ここで、棒状体80の配設領域R1が長いほど、応力を緩和するバッファとなる樹脂材料の量が多くなり、配設領域R1における応力緩和作用が高まるため、棒状体80は、ある程度以上の適切な長さを有することが好ましい。例えば、上記のように、棒状体80の長さは、管状体300の外径(直径)以上であることが好ましい。棒状体80の長さは、管状体300の外径の例えば2倍以上、或いは3倍以上である方が良く、このようにすることにより、屈曲時に棒状体80の先端がシース16を損傷する可能性を低減できる。
ただし、上記のように、管状体300の屈曲操作時に、配設領域R1は僅かに屈曲し、且つ、その屈曲量は、配設領域R1の基端側に位置する高剛性領域R5での屈曲量よりも大きい。つまり、高剛性領域R5すなわちコイル50の配設領域と、それよりも先端側の部分との境界で、曲げ剛性の変化が過度に急峻とはなっていない。このことによっても、管状体300におけるキンクの発生が抑制される。
図18は比較例に係る医療機器としてのカテーテル1000の動作を示す模式図である。このカテーテル1000は、棒状体80を有していない点でのみ、本実施形態のカテーテル10と相違する。
このカテーテル1000の場合、屈曲操作時に、配設領域R1に対応する領域も屈曲する。このため、図18に示すように、管状体がその長手方向における広範囲に亘ってなだらかに屈曲する。つまり、管状体の先端部の曲率半径を小さくすることが困難である。その結果、鋭角に分岐する血管19に対してカテーテル1000の先端を進入させることが困難である。
また、比較例に係るカテーテル1000は、以下の理由から、管状体のキンクが発生しやすい。
図19は比較例に係るカテーテル1000の動作のメカニズムを示す模式図である。
管状体のキンクは、曲げの内径側(インコース)の側周面が内側に座屈することによって開始する。曲げ剛性が高い領域は座屈しない。つまり、例えば、コイル50の配設領域は座屈しない。また、コイル50の非配設領域であっても、コイル50の配設領域の近傍では、コイル50によるシース16の樹脂材料の拘束作用が及んでいるため座屈しにくい。
比較例の場合、本実施形態とは異なり、コイル50の配設領域とそれよりも先端側の領域との境界位置で顕著に曲げ剛性の不連続が存在する。このため、図19に示すように、管状体において、コイル50の配設領域から少し離れた箇所で、キンク1001が発生しやすい。
以上のような第1の実施形態によれば、管状体300のシース16の管壁部には、シース16よりも高剛性の弾性体からなり、管状体300の長手方向に延在する棒状体80が埋設されている。操作線40の先端は棒状体80の先端よりも先端側において管状体300に固定されている。そして、管状体300は、管状体300における棒状体80の配設領域R1よりも曲げ剛性が小さい低剛性領域R2を、棒状体80の先端と操作線40の先端との間に有している。
したがって、操作線40を牽引して管状体300を屈曲させる際には、管状体300において棒状体80よりも先端側の部分(低剛性領域R2を含む部分)が主として屈曲するようにできる。すなわち、管状体300において屈曲操作に応じて屈曲する部位を、棒状体80よりも先端側の部分に実質的に限定することができる。これにより、管状体300がその長手方向における広範囲に亘ってなだらかに屈曲する場合と比べて、管状体300の屈曲部位の曲率半径を小さくすることができる。
本実施形態によれば、要するに、管状体300の先端部を小さな曲率半径で屈曲させることができ、且つ、管状体300におけるキンクの発生を抑制することができる。
管状体300の先端部を小さな曲率半径で屈曲できることから、狭い体腔(具体的には狭い血管)の内部においても管状体300の十分な曲げ角度を確保することができ、管状体300を所望の体腔(所望の血管)へ容易に所望の進入方向で進入させることが可能である。すなわち、このカテーテル10によれば高い方向選択性(血管選択性)が得られる。よって、例えば、鋭角に分岐する血管に対しても、容易にカテーテル10の先端を進入させることができる。
なお、特許文献1の技術では、管状部材に板状ロッドが設けられていることにより、管状体の屈曲方向が2方向のみに限定されてしまう。このため、特許文献1の技術は、例えば、管状体を操作により3方向以上に屈曲させるタイプの医療機器には適用できない。
これに対し、本実施形態に係るカテーテル10は、低剛性領域R2の屈曲方向を限定する構成要素を有しているわけではないため、管状体300の遠位端部15を任意の方向に屈曲させることができる。よって、カテーテル10は、その管状体300を操作により3方向以上に屈曲させるタイプのものであっても支障がない。
また、特許文献2の技術では、管状体の屈曲性を高めるために、管状体にノッチが形成されている。このため、特許文献2の技術は、本実施形態で説明したような薬液供給型のカテーテルには適用することが困難である。なぜなら、ノッチの存在により管状体の強度不足(耐圧性の不足)が生じる懸念があるためである。
<第1の実施形態の変形例>
図12(a)及び(b)は第1の実施形態に係るカテーテル10の横断面内における棒状体80の配置の変形例を示す模式図である。
例えば、図12(a)に示すように、管状体300の周方向において、操作線40と棒状体80とが離間していても良い。図12(a)の例では、管状体300の周方向において、2つの操作線40の中間位置に棒状体80が配置されている。
また、図12(b)に示すように、操作線40が1つ(中空管32、サブルーメン30及び操作線40が1つずつ)である場合に、その操作線40に近接する位置にのみ棒状体80を配置しても良い。なお、この場合、管状体300の周方向において、棒状体80、中空管32及び操作線40が配置されている部分において、シース16の管壁部の肉厚を厚くし、その他の部分の肉厚を薄くすることができる。
〔第2の実施形態〕
図13は第2の実施形態に係る医療機器としてのカテーテル10の先端部を示す模式的な側面図である。図13はカテーテル10の内部構成である固定部材66、棒状体80、第2棒状体90及び操作線40を示す透視図としている。図14は第2の実施形態に係るカテーテル10の屈曲時の先端部を示す模式図である。
第2の実施形態に係るカテーテル10は、以下に説明する点でのみ、第1の実施形態と相違し、その他の点では、第1の実施形態と同様に構成されている。
本実施形態の場合、カテーテル10は、棒状体80と同様の第2棒状体90を有している。すなわち、第2棒状体90は、シース16よりも高剛性の弾性体からなり、シース16の遠位端部15の管壁部に埋設されて、管状体300の長手方向に延在している。なお、第2棒状体90も、シース16の内径及びシース16の管壁部の肉厚よりも細い。
第2棒状体90は、棒状体80の先端と操作線40の先端との間に配置されている。すなわち、管状体300の長手方向に離間する2つ以上の領域に、それぞれ棒状体(棒状体80、第2棒状体90)が配置されている。
本実施形態の場合、管状体300の長手方向において、第2棒状体90と棒状体80との間に、低剛性領域R2が配置されている。
更に、本実施形態の場合、管状体300は、第2棒状体90の先端と操作線40の先端との間に、第2低剛性領域R4を有している。第2低剛性領域R4は、管状体300における第2棒状体90の配設領域R3よりも曲げ剛性が小さい。
このように、本実施形態の場合、管状体300は、その長手方向に離間する2つの低剛性領域(低剛性領域R2及び第2低剛性領域R4)を有している。このため、管状体300の屈曲操作時に、管状体300は、その長手方向における2箇所で小さい曲率半径で屈曲する。すなわち、管状体300は、2段階に屈曲する(図14参照)。
ここで、遠位側の第2低剛性領域R4が先に屈曲し、その後、近位側の低剛性領域R2が屈曲しても良いし、第2低剛性領域R4と低剛性領域R2とが同時に(並行して)屈曲しても良い。または、近位側の低剛性領域R2が先に屈曲し、その後、遠位側の第2低剛性領域R4が屈曲しても良い。低剛性領域R2と第2低剛性領域R4との曲げ剛性の大小関係を適宜設定することにより、これらの何れかの屈曲態様を実現することができる。すなわち、低剛性領域R2と第2低剛性領域R4とのうち、曲げ剛性が小さい方を先に屈曲させることができる。例えば、低剛性領域R2と第2低剛性領域R4とのうち一方に、ピッチ巻きの柔軟なコイル(図示略)をシース16と同軸にシース16に埋設することにより、そのコイルを埋設した方の曲げ剛性を大きくすることができる。
第2棒状体90の長さは、管状体300の外径以上であることが好ましい。これは、棒状体80の長さが管状体300の外径以上であることが好ましいのと同様の理由による。
また、管状体300の長手方向における第2低剛性領域R4の長さは、管状体300の外径以上であることが好ましい。これは、管状体300の長手方向における低剛性領域R2の長さが管状体300の外径以上であることが好ましいのと同様の理由による。
管状体300の横断面において、操作線40に対する第2棒状体90の配置は、操作線40に対する棒状体80の配置と同様である。従って、第2棒状体90と棒状体80とが直列に配置されることになる。
管状体300の周方向において、操作線40と第2棒状体90とが近接して配置されていることが好ましい。これは、管状体300の周方向において、操作線40と棒状体80とが近接して配置されていることが好ましいのと同様の理由による。また、各々の操作線40の両側に近接して、それぞれ第2棒状体90を配置することができる。
管状体300において、その遠位端DEから棒状体80の先端までの部分を、最遠位端部28と称することとする。最遠位端部28の長さは、例えば、20mm程度であることが好ましい一例である。また、管状体300において、その遠位端DEから第2棒状体90の先端までの部分を、第2最遠位端部29と称することとする。第2最遠位端部29の長さは、例えば、5mm程度であることが好ましい一例である。
以上のような第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
また、管状体300が2段階に屈曲するため、第1の実施形態と比べて更に方向選択性(血管選択性)が向上する。
<第1の実施形態及び第2の実施形態の変形例>
図15は第1及び第2の実施形態に係るカテーテル10の変形例を示す模式的な側面図である。図15はカテーテル10の内部構成(固定部材66、棒状体80、第2棒状体90、操作線40及び連結部材110、120の何れか)を示す透視図としている。
本変形例に係るカテーテル10は、以下に説明する点でのみ、第1の実施形態又は第2の実施形態と相違し、その他の点では、第1の実施形態又は第2の実施形態と同様に構成されている。
本変形例の場合、固定部材66と棒状体(棒状体80又は第2棒状体90)とが、連結部材(連結部材110、120のいずれか)を介して相互に連結されている。連結部材110、120は、固定部材66及び棒状体(棒状体80又は第2棒状体90)よりも曲げ剛性が小さい。
連結部材110、120は、例えば、線材を螺旋状に巻回することにより構成されたコイルである。線材は、例えば、線材52と同様の材質のものとすることができる。ただし、連結部材110、120の曲げ剛性を固定部材66及び棒状体の曲げ剛性よりも小さくするために、連結部材110、120を構成する線材は、線材52よりも細径のものとする。すなわち、連結部材110、120は、例えば、柔軟なコイルである。
連結部材110、120は、シース16と同軸の配置で、シース16に埋設されている。なお、連結部材110、120は、操作線40よりもシース16の外周寄りに位置しており、操作線40と干渉しないようになっている。つまり、具体的には、連結部材110、120は、例えば、中空管32よりもシース16の外周寄りに位置している。
図15に示す4つの態様のカテーテル10のうち、先ず、図15(a)に示すカテーテル10について説明する。
図15(a)に示すカテーテル10は、第1の実施形態の構成に加えて、連結部材110を有している。固定部材66と棒状体80とが、連結部材110を介して相互に連結されている。すなわち、低剛性領域R2に連結部材110が配置されている。
ここで、連結部材110は、例えば、棒状体80の各々と対応するコイルを有している。上記のように棒状体80の数が4つのケースでは、連結部材110は、4つのコイルを有している。これらコイルの集合体である連結部材110は、多条巻きコイルのようになる。連結部材110の各コイルの基端は、対応する棒状体80の先端に対して接合され、連結部材110の各コイルの先端は、固定部材66に対して接合されている。各コイルと棒状体80との接合、及び、各コイルと固定部材66との接合は、レーザ溶接、又は、接着材或いは金属蝋を用いた接着などにより行うことができる。
なお、連結部材110は、何れか1つ以上の棒状体80を固定部材66と連結するコイル(例えば、1つだけのコイル)を有していても良い。
図15(a)に示すカテーテル10によれば、固定部材66及び棒状体80よりも曲げ剛性が小さい連結部材110が低剛性領域R2に配置されているので、連結部材110によって低剛性領域R2を適度に(軽微に)補強することができる。その結果、低剛性領域R2の屈曲性を阻害せずに、低剛性領域R2におけるキンクの発生を抑制することができる。しかも、連結部材110により固定部材66と棒状体80とが連結されているので、棒状体80の配設領域R1から、固定部材66の配設領域への、トルク伝達性を高めることもできる。
次に、図15(b)に示すカテーテル10は、第2の実施形態の構成に加えて、連結部材110及び連結部材120を有している。連結部材110は、第2棒状体90及び棒状体80よりも曲げ剛性が小さい。連結部材120は、固定部材66及び第2棒状体90よりも曲げ剛性が小さい。
第2棒状体90と棒状体80とが、連結部材110を介して相互に連結されている。すなわち、低剛性領域R2に連結部材110が配置されている。
連結部材110の各コイルの基端は、対応する棒状体80の先端に対して接合され、連結部材110の各コイルの先端は、対応する第2棒状体90の基端に対して接合されている。ここで、コイルを介して連結されている棒状体80と第2棒状体90との組み合わせは、互いに直列に配置されたものどうしであっても良いし、直列の配置ではないものどうしであっても良い。
各コイルと第2棒状体90との接合についても、レーザ溶接、又は、接着材或いは金属蝋を用いた接着などにより行うことができる。
更に、固定部材66と第2棒状体90とが、連結部材120を介して相互に連結されている。すなわち、第2低剛性領域R4に連結部材120が配置されている。連結部材120は、連結部材110と同様の構造のものである。連結部材120の各コイルの基端は、対応する第2棒状体90の先端に対して接合され、連結部材120の各コイルの先端は、固定部材66に対して接合されている。各コイルと第2棒状体90との接合、及び、各コイルと固定部材66との接合は、レーザ溶接、又は、接着材或いは金属蝋を用いた接着などにより行うことができる。
なお、連結部材120は、何れか1つ以上の第2棒状体90を固定部材66と連結するコイル(例えば、1つだけのコイル)を有していても良い。
図15(b)に示すカテーテル10によれば、第2棒状体90及び棒状体80よりも曲げ剛性が小さい連結部材110が低剛性領域R2に配置されているので、連結部材110によって低剛性領域R2を適度に(軽微に)補強することができる。その結果、低剛性領域R2の屈曲性を阻害せずに、低剛性領域R2におけるキンクの発生を抑制することができる。しかも、連結部材110により第2棒状体90と棒状体80とが連結されているので、棒状体80の配設領域R1から、第2棒状体90の配設領域R3への、トルク伝達性を高めることもできる。
同様に、固定部材66及び第2棒状体90よりも曲げ剛性が小さい連結部材120が低剛性領域R4に配置されているので、連結部材120によって低剛性領域R4を適度に(軽微に)補強することができる。その結果、低剛性領域R4の屈曲性を阻害せずに、低剛性領域R4におけるキンクの発生を抑制することができる。しかも、連結部材120により固定部材66と第2棒状体90とが連結されているので、第2棒状体90の配設領域R3から、固定部材66の配設領域への、トルク伝達性を高めることもできる。
次に、図15(c)に示すカテーテル10は、図15(b)に示すカテーテル10から、連結部材120を除いた構成となっている。この場合も、図15(b)に示すカテーテル10において連結部材110の存在により得られる効果と同様の効果が得られる。
なお、図15(c)のカテーテル10では、第2低剛性領域R4の曲げ剛性を低剛性領域R2の曲げ剛性よりも小さくできるため、屈曲操作時に低剛性領域R2よりも先に第2低剛性領域R4が屈曲する構成を容易に実現することができる。
次に、図15(d)に示すカテーテル10は、図15(b)に示すカテーテル10から、連結部材110を除いた構成となっている。この場合も、図15(b)に示すカテーテル10において連結部材120の存在により得られる効果と同様の効果が得られる。
なお、図15(d)のカテーテル10では、低剛性領域R2の曲げ剛性を低剛性領域R4の曲げ剛性よりも小さくできるため、屈曲操作時に第2低剛性領域R4よりも先に低剛性領域Rが屈曲する構成を容易に実現することができる。
〔第3の実施形態〕
図16は第3の実施形態に係る医療機器としてのカテーテル10の先端部を示す模式的な側面図である。図16はカテーテル10の内部構成である固定部材66、棒状体80、第2棒状体90及び操作線40を示す透視図としている。
第3の実施形態に係るカテーテル10は、以下に説明する点でのみ、第2の実施形態と相違し、その他の点では、第2の実施形態と同様に構成されている。
本実施形態の場合、カテーテル10は、第2の実施形態と同様に、第2棒状体90を有している。また、第2の実施形態と同様に、第2棒状体90は、棒状体80の先端よりも先端側に配置されている。更に、第2の実施形態と同様に、管状体300の長手方向において、第2棒状体90と棒状体80との間に、低剛性領域R2が配置されている。
ただし、第2棒状体90は、固定部材66と連結されており、第2棒状体90が固定部材66より基端側に突出している。第2棒状体90は、例えば、溶接(レーザー溶接など)や接着(接着材又ははんだによる接着)によって、固定部材66に対して接合されている。例えば、固定部材66として、その基端側に開口する差し込み穴が形成されているものを用いる。その差し込み穴に対して第2棒状体90の先端部を差し込むとともに接着材により固定することで、第2棒状体90を固定部材66に連結することができる。
第2棒状体90が固定部材66と連結されているため、第2の実施形態とは異なり、操作線40の先端と棒状体80の先端との間には1つの低剛性領域R2のみが存在する。第3の実施形態の場合のカテーテル10の動作は、第2の実施形態よりも第1の実施形態に近いものとなる。
第2棒状体90が固定部材66と連結されているため、固定部材66の配設領域と第2棒状体90の配設領域R3とが一体となって屈曲する。
第2棒状体90が固定部材66より基端側に突出しているため、低剛性領域R2は、その先端側の第2棒状体90の配設領域R3と基端側の棒状体80の配設領域R1とで挟まれる。
配設領域R1の存在によって低剛性領域R2でのキンクの発生が抑制されるのと同様のメカニズムにより、配設領域R3の存在によって低剛性領域R2でのキンクの発生が抑制される。よって、第1の実施形態よりも好適に低剛性領域R2でのキンクの発生を抑制できる。
なお、カテーテル10の使用前に、第2棒状体90が塑性変形するように屈曲させることにより、第2棒状体90の配設領域R3をシェイピング部として使用することもできる。
<第3の実施形態の変形例>
図17は第3の実施形態の変形例に係るカテーテル10を示す模式的な側面図である。図17はカテーテル10の内部構成である固定部材66、棒状体80、第2棒状体90、操作線40及び連結部材130を示す透視図としている。
この変形例では、第2棒状体90と棒状体80とが、第2棒状体90及び棒状体80よりも曲げ剛性が小さい連結部材130を介して相互に連結されている。連結部材130は、連結部材110と同様のものである。連結部材130により第2棒状体90と棒状体80とを連結する態様は、図15(b)に示す例において連結部材110により第2棒状体90と棒状体80とを連結する態様と同様である。
この変形例によれば、第3の実施形態の効果と、図15(b)の構成において連結部材110の存在により得られる効果とを組み合わせた効果が得られる。
なお、上記においては、操作線40の先端を固定部材66に固定することによって、操作線40の先端を管状体300の遠位端部15に固定する例を説明したが、操作線40の先端を遠位端部15に固定する態様は特に限定されない。操作線40の先端をシース16の遠位端部15に溶着しても良いし、接着剤によりシース16の遠位端部15に接着固定してもよい。
また、上記においては、各操作線40に近接させて棒状体80を2本ずつ配置する例を説明したが、各操作線40に近接させて1本ずつ又は3本以上の複数ずつ棒状体80を配置しても良い。
同様に、各操作線40に近接させて第2棒状体90を2本ずつ配置する例に限らず、各操作線40に近接させて1本ずつ又は3本以上の複数ずつ第2棒状体90を配置しても良い。
上記の各形態における各構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はない。複数の構成要素が一個の部材として形成されていても良いし、一つの構成要素が複数の部材で形成されていても良いし、ある構成要素が他の構成要素の一部であっても良いし、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していても良い。
例えば、棒状体(棒状体80、第2棒状体90の何れか)と連結部材(連結部材110、120、130のいずれか)とが一個の部材として形成されていたり、それらの一部ずつが重複していても良い。同様に、第2棒状体90と固定部材66とが一個の部材として形成されていたり、それらの一部ずつが重複していても良い。同様に、連結部材110、120と固定部材66とが一個の部材として形成されていたり、それらの一部ずつが重複していても良い。
上記の第2の実施形態では、2段階に屈曲するように管状体300が構成されている例を説明したが、管状体300は3段階以上に屈曲するように構成されていても良い。すなわち、管状体300の長手方向に離間する3つ以上の領域に、それぞれ棒状体を配置し、棒状体の各配設領域の間の領域、及びに、最先端に位置する棒状体と固定部材との間の領域を、それぞれ低剛性領域としても良い。
10 カテーテル
15 遠位端部
16 シース(管状本体)
17 近位端部
18 最遠位端部
19 血管
20 メインルーメン
21 内層
28 最遠位端部
29 第2最遠位端部
30 サブルーメン
32 中空管
40 操作線
50 コイル
50a 第1コイル
50b 第2コイル
52 線材
60 外層
61 外層本体
62 被覆樹脂
64 コート層
66 固定部材
70 操作部
80 棒状体
90 第2棒状体
110 連結部材
120 連結部材
130 連結部材
300 管状体
700 本体ケース
760 ホイール操作部
790 ハブ
1000 カテーテル
1001 キンク
DE 遠位端
R1 棒状体の配設領域
R2 低剛性領域
R3 第2棒状体の配設領域
R4 第2低剛性領域
R5 高剛性領域

Claims (22)

  1. 長尺で可撓性を有し、体腔内に挿入される管状体と、
    前記管状体に埋設されている操作線であって、当該操作線を前記管状体の基端側へ牽引する操作がなされた場合に前記管状体を屈曲させる1本以上の操作線と、
    を有し、
    前記管状体は、
    長尺で可撓性の管状本体と、
    前記管状本体よりも高剛性の弾性体からなり、前記管状本体の先端部における管壁部に埋設されて、前記管状体の長手方向に延在している棒状体と、
    を有し、
    前記操作線の先端は、前記棒状体の先端よりも先端側において、前記管状体に固定され、
    前記管状体は、前記管状体における前記棒状体の配設領域よりも曲げ剛性が大きい高剛性領域を、前記棒状体の配設領域よりも基端側に有しているとともに、前記棒状体の配設領域よりも曲げ剛性が小さい低剛性領域を、前記棒状体の先端と前記操作線の先端との間に有していることを特徴とする医療機器。
  2. 前記棒状体の長さは、前記管状体の外径以上であることを特徴とする請求項1に記載の医療機器。
  3. 前記管状体の長手方向における前記低剛性領域の長さが、前記管状体の外径以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の医療機器。
  4. 前記管状体の周方向において、前記操作線と前記棒状体とが近接して配置されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の医療機器。
  5. 各々の前記操作線の両側に、それぞれ前記棒状体が配置されていることを特徴とする請求項4に記載の医療機器。
  6. 前記管状体は、
    前記管状本体よりも高剛性で且つ前記管状本体と同軸に前記管状本体に埋設された管状の補強層を、少なくとも前記高剛性領域に有し、
    前記補強層の先端は、前記棒状体の先端よりも基端側に位置し、
    前記補強層の基端は、前記棒状体の基端よりも基端側に位置していることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の医療機器。
  7. 前記補強層の先端は、前記棒状体の基端よりも先端側に位置していることを特徴とする請求項6に記載の医療機器。
  8. 前記管状体の長手方向における前記棒状体の基端の位置は、前記補強層の先端部と同じか、又はそれよりも先端側であることを特徴とする請求項6に記載の医療機器。
  9. 前記補強層は、線材を螺旋状に巻回することにより構成されたコイルであることを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項に記載の医療機器。
  10. 前記管状本体は、少なくとも前記棒状体の配設領域から前記低剛性領域に亘って、同一の樹脂材料により構成されていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の医療機器。
  11. 前記管状本体よりも高剛性で、前記管状体の先端部に設けられている固定部材を更に有し、
    前記操作線の先端は、前記固定部材に固定されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の医療機器。
  12. 前記固定部材は、前記管状体と同軸の環状に形成されていることを特徴とする請求項11に記載の医療機器。
  13. 前記固定部材は、特定の放射線に対して不透明な材質により構成されていることを特徴とする請求項11又は12に記載の医療機器。
  14. 前記管状本体よりも高剛性の弾性体からなり、前記管状本体の先端部における前記管壁部に埋設されて、前記管状体の長手方向に延在している第2棒状体を更に有し、
    前記第2棒状体は、前記棒状体の先端と前記操作線の先端との間に配置され、
    前記管状体の長手方向において、前記第2棒状体と前記棒状体との間に、前記低剛性領域が配置されていることを特徴とする請求項1乃至13の何れか一項に記載の医療機器。
  15. 前記管状体は、前記第2棒状体の先端と前記操作線の先端との間に、前記管状体における前記第2棒状体の配設領域よりも曲げ剛性が小さい第2低剛性領域を有していることを特徴とする請求項14に記載の医療機器。
  16. 前記管状本体よりも高剛性の弾性体からなり、前記管状本体の先端部における前記管壁部に埋設されて、前記管状体の長手方向に延在している第2棒状体を更に有し、
    前記第2棒状体は、前記棒状体の先端と前記操作線の先端との間に配置され、
    前記管状体の長手方向において、前記第2棒状体と前記棒状体との間に、前記低剛性領域が配置され、
    前記第2棒状体は、前記固定部材と連結されて、前記固定部材より基端側に突出していることを特徴とする請求項11乃至13の何れか一項に記載の医療機器。
  17. 前記第2棒状体と前記棒状体とが直列に配置されていることを特徴とする請求項14乃至16の何れか一項に記載の医療機器。
  18. 前記固定部材と前記棒状体とが、前記固定部材及び前記棒状体よりも曲げ剛性が小さい連結部材を介して相互に連結されていることを特徴とする請求項11乃至13の何れか一項に記載の医療機器。
  19. 前記第2棒状体と前記棒状体とが、前記第2棒状体及び前記棒状体よりも曲げ剛性が小さい連結部材を介して相互に連結されていることを特徴とする請求項14乃至17の何れか一項に記載の医療機器。
  20. 前記固定部材と前記第2棒状体とが、前記固定部材及び前記第2棒状体よりも曲げ剛性が小さい連結部材を介して相互に連結されていることを特徴とする請求項15に記載の医療機器。
  21. 前記連結部材は、線材を螺旋状に巻回することにより構成されたコイルであることを特徴とする請求項18乃至20の何れか一項に記載の医療機器。
  22. 前記管状体の内腔は、前記管状体の先端において開口しており、
    前記内腔を介して前記管状体の基端から先端へ液体を供給可能であることを特徴とする請求項1乃至21の何れか一項に記載の医療機器。
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