JP2013185292A - 繊維用抗菌加工薬剤とその製造方法及び抗菌性繊維の製造方法 - Google Patents

繊維用抗菌加工薬剤とその製造方法及び抗菌性繊維の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、後加工にて繊維材料に付与する加工薬剤であり、分散安定性に優れ、繊維材料に対して優れた抗菌性及び洗濯耐久性を付与できる繊維用抗菌加工薬剤、該抗菌加工薬剤の製造方法、及び該抗菌加工薬剤を提供することである。
【解決手段】 本発明は、無機担体に銀を含有する抗菌性金属を担持させてなる銀系無機抗菌剤(A)と、一般式(1)で示される化合物、一般式(2)で示される化合物及び一般式(3)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)と、水とを必須に含み、該銀系無機抗菌剤(A)が水に分散されてなる、繊維用抗菌加工薬剤である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、繊維材料に抗菌性を付与するために用いられる繊維用抗菌加工薬剤と該抗菌加工薬剤の製造方法、及び該抗菌加工薬剤を繊維材料に付与する抗菌性繊維の製造方法に関する。
近年、快適性や衛生面が重視され、そのニーズを担う機能の一つに抗菌機能・防臭機能がある。今や抗菌機能は一般に根強く浸透し、商品素材に抗菌性を付与していることが当然のようになってきている。抗菌性を付与する素材の中でも、特に衣類や寝具・リビング品などに使われている繊維材料への抗菌加工が注目されている。
繊維材料に抗菌性を付与する抗菌剤としては、従来から、第4級アンモニウム系化合物やピリチオン系の有機抗菌剤、抗菌性を有する金属や金属酸化物、更にこれらをゼオライト等の担体に担持させてなる無機抗菌剤が用いられている。このような抗菌剤の中でも、無機抗菌剤は繊維材料の抗菌加工に広く用いられている。特に銀系無機抗菌剤は、抗菌効果が高く、広い抗菌スペクトルを有し、かつ人体または環境への安全性が高いとの理由から、現在使用されている無機抗菌剤の主流となっている。
繊維材料に抗菌性を付与する方法としては、繊維材料の製造段階における紡糸原液に抗菌剤を予め練り込む方法、抗菌剤を後加工にて繊維材料に付与する方法等が知られている。
紡糸原液に抗菌剤を予め練り込む方法では、樹脂内部に入った抗菌剤は全く効果が出ないばかりでなく、樹脂表面近傍の抗菌剤の多くは樹脂被覆により充分な抗菌効果を発揮できないこと、溶融紡糸段階で糸切れを起こすことがある。抗菌効果を高める目的で抗菌剤を多く添加したときは、繊維の物理的性質が損なわれたり、繊維が不透明になったりしやすい。逆に抗菌剤の添加量が少ないときは、抗菌効果が充分に発揮されない。このように、紡糸原液に抗菌剤を予め練り込む方法には、多くの問題点がある。
このような理由から、優れた抗菌性を付与するためには、抗菌剤を後加工にて繊維材料に付与する方法が望ましいが、繊維材料に対する抗菌剤の固着力が不足し、洗濯をすると抗菌性が低下する(洗濯耐久性が劣る)という問題点があった。この問題を解決するために、例えば、特許文献1の抗菌性繊維の製造法や特許文献2の繊維品の抗菌加工剤が提案されている。
特許文献1の抗菌性繊維の製造法は、加工条件により洗濯耐久性を得ているものであり、使用されている抗菌加工薬剤自体は、繊維材料に対して優れた洗濯耐久性を付与できるものではなかった。さらに、この方法は複雑な工程・条件を必要とし、現実的ではなかった。
特許文献2の繊維品の抗菌加工剤は、ホウ酸、ホウ酸アルカリ金属塩及びリン酸アルカリ金属塩から選ばれる無機分散剤にて無機抗菌剤を分散させたものである。また、特許文献2の比較例には、非イオン界面活性剤やアニオン界面活性剤にて無機抗菌剤を分散させた抗菌加工剤が記載されている。このような抗菌加工剤を用いた場合であっても、洗濯耐久性の点では不十分であった。さらにこれら抗菌加工剤は、その分散安定性が極めて劣るため、経時後の抗菌加工剤を用いると、繊維材料に対して優れた抗菌性を付与することはできなかった。
特開平7−243180号公報 特開2002−370911号公報
本発明は、かかる従来の繊維材料の抗菌加工における問題を解決するためになされたものであり、後加工にて繊維材料に付与する加工薬剤であり、分散安定性に優れ、繊維材料に対して優れた抗菌性及び洗濯耐久性を付与できる繊維用抗菌加工薬剤、該抗菌加工薬剤の製造方法、及び該抗菌加工薬剤が付与された抗菌性繊維の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、銀系無機抗菌剤(A)、特定の化合物(B)及び水を含み、該銀系無機抗菌剤(A)が水に分散されてなる繊維用抗菌加工薬剤であれば、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明の繊維用抗菌加工薬剤(以下、「抗菌加工薬剤」ということがある)は、無機担体に銀を含有する抗菌性金属を担持させてなる銀系無機抗菌剤(A)と、下記一般式(1)で示される化合物、下記一般式(2)で示される化合物及び下記一般式(3)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)と、水とを必須に含み、該銀系無機抗菌剤(A)が水に分散されてなるものである。
Figure 2013185292
(式中、AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、nは2〜70の整数であり、mは1〜3の整数である。)
Figure 2013185292
(式中、AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、lは2〜70の整数であり、kは1〜3の整数である。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRで示される基である。R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。)
Figure 2013185292
(式中、AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、hは2〜70の整数であり、sは1〜3の整数であり、tは1又は2の整数である。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRで示される基である。R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。)
前記銀系無機抗菌剤(A)の平均粒子径は0.01〜3μmであることが好ましい。
前記銀系無機抗菌剤(A)と前記化合物(B)の重量比(A/B)が99.9/0.1〜10/90であることが好ましい。
前記銀系無機抗菌剤(A)における銀の重量割合は、無機担体100重量部に対して0.01〜20重量部であることが好ましい。
前記無機担体は、ゼオライト、リン酸ジルコニウム、シリカゲル、アパタイト、含水酸化チタン、モンモリロナイト、ガラス粉末及びチタン酸カリウムウインスカーから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の繊維用抗菌加工薬剤の製造方法は、前記化合物(B)及び水の存在下、前記銀系無機抗菌剤(A)を湿式粉砕する工程を含むものである。
本発明の抗菌性繊維の製造方法は、上記の抗菌加工薬剤及び/又は上記の繊維用抗菌加工薬剤の製造方法で得られる抗菌加工薬剤を繊維材料に付与する工程を含むものである。
本発明の繊維用抗菌加工薬剤は、分散安定性に優れ、繊維材料に対して優れた抗菌性及び洗濯耐久性を付与することができる。さらに、経時後の抗菌加工薬剤を用いた場合であっても、繊維材料に対して優れた抗菌性及び洗濯耐久性を付与できる。
本発明の繊維用抗菌加工薬剤の製造方法は、分散安定性に優れ、繊維材料に対して優れた抗菌性及び洗濯耐久性を付与することができる繊維用抗菌加工薬剤を得ることができる。
また、本発明の抗菌性繊維の製造方法は、抗菌性に優れ、洗濯耐久性にも優れた抗菌性繊維を得ることができる。
本発明の繊維用抗菌加工薬剤は、銀系無機抗菌剤(A)、特定の化合物(B)及び水を必須に含み、該銀系無機抗菌剤(A)が水に分散されてなるものである。以下に、詳細に説明する。
[銀系無機抗菌剤(A)]
銀系無機抗菌剤(A)は、無機担体に銀を含有する抗菌性金属を担持させてなるものである。
無機担体としては、粉末状のものが用いられ、これらは市販されている。無機担体としては、例えば、ゼオライト、リン酸ジルコニウム、シリカゲル、アパタイト、含水酸化チタン、モンモリロナイト、ガラス粉末、チタン酸カリウムウイスカー等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。無機担体は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。これら無機担体の中でも、ゼオライト、リン酸ジルコニウム、シリカゲル、アパタイト、モンモリロナイト、ガラス粉末、チタン酸カリウムウイスカーが好ましく、ゼオライト、リン酸ジルコニウム、アパタイト、チタン酸カリウムウイスカーがさらに好ましい。
無機担体に担持させる抗菌性金属は、銀を必須に含有するものである。抗菌性金属としては、銀単独を担持させてもよく、銀と銀以外の抗菌性金属を併用して担持させてもよい。銀以外の抗菌性金属としては、例えば、銅、亜鉛、水銀、鉛、ビスマス、カドミウム、クロム、コバルト、ニッケル等を挙げることができ、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。銀以外の抗菌性金属を併用する場合、銅、亜鉛、鉛、ビスマス、コバルト、ニッケルが好ましい。
無機担体に銀を含有する抗菌性金属を担持させる方法は、特に限定はなく、公知の方法を採用できる。例えば、物理吸着又は化学吸着により抗菌性金属を担持させる方法、イオン交換反応により抗菌性金属を担持させる方法、結合剤により抗菌性金属を担持させる方法、抗菌性金属を無機化合物に打ち込むことにより担持させる方法、蒸着、溶解析出反応、スパッタ等により無機担体の表面に抗菌性金属の薄膜を形成して担持させる方法等が挙げられる。これらの中でも、物理吸着又は化学吸着により抗菌性金属を担持させる方法、イオン交換反応により抗菌性金属を担持させる方法が好ましい。
無機担体に担持させる銀の重量割合は、無機担体100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましく、0.03〜10重量部がより好ましく、0.05〜7重量部がさらに好ましい。銀の重量割合が0.01重量部未満の場合、抗菌性を発現しない可能性がある。銀の重量割合が20重量部超の場合、銀全てが無機担体に担持しない可能性があり、担持していない銀は繊維への固着が非常に低く、優れた抗菌性及び洗濯耐久性が発揮しないおそれがある。
銀系無機抗菌剤(A)の好ましい具体例として、例えば、ゼオライトに銀をイオン結合させて担持させたもの、リン酸ジルコニウムにイオン交換によって銀を担持させたもの、シリカゲルに銀を担持させたもの、アパタイトにイオン交換によって銀を担持させたもの、含水酸化チタンに銀を担持させたもの、モンモリロナイトに銀を担持させたもの、ガラス粉末に銀を担持させたもの、チタン酸カリウムウィスカーに銀を担持させたもの等を挙げることができる。
[化合物(B)]
本発明の繊維用抗菌加工薬剤は、上記一般式(1)で示される化合物(B1)、上記一般式(2)で示される化合物(B2)及び上記一般式(3)で示される化合物(B3)から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)を必須に含有するものである。化合物(B)を用いることにより、他の界面活性剤を用いた時と比較して、銀系無機抗菌剤(A)の分散性や、銀系無機抗菌剤(A)の分散体の経時的な安定性を飛躍的に向上させることができる。また、繊維材料に対して優れた抗菌性及び洗濯耐久性を付与することができる。化合物(B)は、上記の観点から、一般式(1)で示される化合物(B1)及び一般式(2)で示される化合物(B2)から選ばれる少なくとも1種であるであることが好ましく、一般式(1)で示される化合物(B1)であることがさらに好ましい。
一般式(1)で示される化合物(B1)について、式(1)中、A1Oは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。炭素数は2〜3が好ましく、2がさらに好ましい。A1Oは、1種または2種以上であってもよく、2種以上の場合、ブロック付加体、交互付加体、またはランダム付加体のいずれを構成してもよい。A1Oは、オキシエチレン基を必須に含有することが好ましい。オキシアルキレン基全体に占めるオキシエチレン基の割合は、40モル%以上が好ましく、50モル%がより好ましく、60モル%以上がさらに好ましく、80モル%以上が特に好ましい。
mは1〜3の整数であり、2〜3が好ましい。mが3より大きいと、化合物(B1)の合成が困難となる。
nは2〜70の整数であり、3〜60が好ましく、4〜50がより好ましく、5〜40がさらに好ましい。nが2未満又は70超であると、銀系無機抗菌剤(A)の分散性が不良となる。
一般式(2)で示される化合物(B2)について、式(2)中、A2Oは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。炭素数は2〜3が好ましく、2がさらに好ましい。A2Oは、1種または2種以上であってもよく、2種以上の場合、ブロック付加体、交互付加体、またはランダム付加体のいずれを構成してもよい。A2Oは、オキシエチレン基を必須に含有することが好ましい。オキシアルキレン基全体に占めるオキシエチレン基の割合は、40モル%以上が好ましく、50モル%がより好ましく、60モル%以上がさらに好ましく、80モル%以上が特に好ましい。
kは1〜3の整数であり、2〜3が好ましい。kが3より大きいと、化合物(B2)の合成が困難となる。
lは2〜70の整数であり、3〜60が好ましく、4〜50がより好ましく、5〜40がさらに好ましい。lが2未満又は70超であると、銀系無機抗菌剤(A)の分散性が不良となる。
は、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRで示される基である。
アルカリ金属としては、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム等を挙げることができる。アルカリ土類金属としては、たとえば、マグネシウム、カルシウム、バリウム等を挙げることができる。
、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜10がさらに好ましい。このようなアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。アルカノール基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜10がさらに好ましい。このようなアルカノール基としては、たとえば、メタノール基、エタノール基、n−プロパノール基、イソプロパノール基等が挙げられる。ポリオキシアルキレン基の炭素数は、2〜4が好ましい。このようなポリオキシアルキレン基としては、たとえば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等が挙げられる。
これらの中でも、Mは、アルカリ金属、NRで示される基が好ましく、アルカリ金属がさらに好ましい。
一般式(3)で示される化合物(B3)について、式(3)中、A3Oは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。炭素数は2〜3が好ましく、2がさらに好ましい。A3Oは、1種または2種以上であってもよく、2種以上の場合、ブロック付加体、交互付加体、またはランダム付加体のいずれを構成してもよい。A3Oは、オキシエチレン基を必須に含有することが好ましい。オキシアルキレン基全体に占めるオキシエチレン基の割合は、40モル%以上が好ましく、50モル%がより好ましく、60モル%以上がさらに好ましく、80モル%以上が特に好ましい。
sは1〜3の整数であり、2〜3が好ましい。sが3より大きいと、化合物(B3)の合成が困難となる。
tは1又は2の整数であり、2が好ましい。
hは2〜70の整数であり、3〜60が好ましく、4〜50がより好ましく、5〜40がさらに好ましい。hが2未満又は70超であると、銀系無機抗菌剤(A)の分散性が不良となる。
2は、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRで示される基である。R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRで示される基については、一般式(2)で示される化合物(B2)のところで記載したものと同様である。
これらの中でも、M2は、アルカリ金属、NRで示される基が好ましく、アルカリ金属がさらに好ましい。
[繊維用抗菌加工薬剤]
本発明の繊維用抗菌加工薬剤は、繊維材料に抗菌性を付与するために用いられるものである。すなわち、後加工にて繊維材料に付与する抗菌加工薬剤である。
本発明の抗菌加工薬剤は、銀系無機抗菌剤(A)、化合物(B)及び水を必須に含み、該銀系無機抗菌剤(A)が水に分散されてなるものである。このような構成により、繊維材料に対して優れた抗菌性を付与することができるとともに、加工された繊維材料を洗濯した場合においても抗菌性の低下を防ぐことができる(優れた洗濯耐久性を付与できる)という効果を有する。さらに、このような構成により抗菌加工薬剤は分散安定性に優れており、経時後の抗菌加工薬剤を用いた場合であっても、繊維材料に対して優れた抗菌性及び洗濯耐久性を付与できる。
銀系無機抗菌剤(A)の平均粒子径は、0.01〜3μmが好ましく、0.03〜2μmがより好ましく、0.05〜1.5μmがさらに好ましく、0.1〜1μmが特に好ましく、0.1〜1μmが最も好ましい。平均粒子径が0.01μm未満の場合、銀系無機抗菌剤(A)が繊維材料の内部に入り込み過ぎ、抗菌性が発現し難くなる。一方、平均粒子径が3μm超の場合、繊維表面に付着し難く、固着率が低くなり、抗菌性が発現し難くなる。なお、本発明で用いる平均粒子径とは、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置LA−910(堀場製作所製)を用いて、体積基準とするメジアン粒径を測定したものをいう。
抗菌加工薬剤における銀系無機抗菌剤(A)と化合物(B)の重量比(A/B)は、99.9/0.1〜10/90が好ましく、99.5/0.5〜20/80がより好ましく、99/1〜25/75がさらに好ましく、98/2〜30/70が特に好ましい。該割合が99.9/0.1より大きいとき、銀系無機抗菌剤(A)の分散性が不良となることがある。一方、該割合が10/90より小さいとき、優れた洗濯耐久性を付与できないことがある。
本発明の効果をより発揮させる点から、抗菌加工薬剤の不揮発分に占める銀系無機抗菌剤(A)の重量割合は、1〜50重量%が好ましく、2〜40重量%がより好ましく、3〜30重量%がさらに好ましい。1重量%未満の場合、優れた洗濯耐久性を付与できないことがある。一方、50重量%超の場合、銀系無機抗菌剤(A)の分散性が不良となることがある。なお、本発明における不揮発分とは、試料を105℃で熱処理して溶媒等を除去し、恒量に達した時の絶乾成分をいう。
同様に、抗菌加工薬剤の不揮発分に占める化合物(B)の重量割合は、0.01〜30重量%が好ましく、0.1〜20重量%がより好ましく、0.5〜15重量%がさらに好ましい。0.01重量%未満の場合、銀系無機抗菌剤(A)の分散性が不良となることがある。一方、30重量%超の場合、優れた洗濯耐久性を付与できないことがある。
本発明の抗菌加工薬剤は水を必須に含有する。本発明に使用する水としては、純水、蒸留水、精製水、軟水、イオン交換水、水道水等のいずれであってもよい。
本発明の効果を損なわない範囲で上記成分以外のその他成分を含んでもよい。その他成分としては、変色防止剤、抗菌剤、防黴剤、防虫剤、防ダニ剤、消臭剤、帯電防止剤、撥水撥油剤、紫外線吸収剤、難燃剤、防汚剤、深色化剤、平滑剤、柔軟剤または吸水剤等の繊維の後加工剤、油剤、界面活性剤、無機物、防腐剤、pH調整剤、消泡剤、溶剤、脂肪酸(塩)等が挙げられる。
本発明の抗菌加工薬剤は、変色防止剤を含有することが好ましい。変色防止剤とは、銀系無機抗菌剤(A)を含有させた繊維が着色や変色しやすいという問題に対し、その着色や変色を防止、抑制できるものをいう。変色防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、オキザリックアシッドアニリド系化合物、サリチル酸系化合物、シアノアクリレート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、硫黄系化合物及びヒドラジン系化合物が挙げられる。
抗菌加工薬剤の不揮発分に占める変色防止剤の重量割合は、0.1〜30重量%が好ましく、0.2〜20重量%がより好ましく、0.5〜15重量%がさらに好ましい。
本発明の抗菌加工薬剤は、本発明の効果を損なわない範囲でバインダー樹脂を含んでもよい。しかし、抗菌加工薬剤がバインダー樹脂を含有する場合に、繊維材料の風合いを低下させるおそれがある。風合いの低下を防止する観点からは、バインダー樹脂の配合割合は、銀系無機抗菌剤(A)100重量部に対して、20重量部以下が好ましく、10重量部以下がより好ましく、5重量部以下がさらに好ましく、0重量部が特に好ましい。
ここでバインダー樹脂としては、ポリ酢酸ビニル、ポリグリセリン、ポリビニルアルコール、多糖類系化合物、メラミン系化合物、グリオキサール系化合物、ウレタン系化合物、ブロック化イソシアネート系化合物、シリコン系化合物、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコンを含有するアクリル系樹脂等を挙げられる。
多糖類系化合物としては、でんぷん、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
メラミン系化合物としては、例えば、メラミンとホルムアルデヒドを重合して得られる合成樹脂等が挙げられる。
グリオキサール系化合物としては、グリオキサール等が挙げられる。
ウレタン系化合物としては、例えば、イソシアネート基に対して反応性のある活性水素を2個以上有する化合物と、ポリイソシアネートとを反応させた化合物等が挙げられる。このうち、活性水素を2個以上有する化合物としては、多価アルコール、カルボキシル基と2個のヒドロキシル基を有する化合物、ポリアミン等が挙げられる。また、ポリイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。また、このウレタン系化合物の末端にイソシアネート基を有する場合は、そのイソシアネート基の一部を重亜硫酸ナトリウムやメチルエチルケトオキシム等によりブロック化した化合物を使用することもできる。
ブロック化イソシアネート系化合物としては、重亜硫酸ナトリウム、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、ジエチルマロネート等をイソシアネート基と反応させて一時的に安定な化合物を作り、後から熱処理することにより解離しイソシアネート基を再生するブロック化イソシアネート基を分子中に少なくとも1個以上含有する化合物の少なくとも1種を、(メタ)アクリル化合物、シリコン変性(メタ)アクリル系化合物又はフッ素変性(メタ)アクリル系化合物と反応させて得られた化合物等が挙げられる。
シリコン系化合物としては、シリコーンレジン又はシリコーンワニスに分類される縮合架橋型樹脂等が挙げられる。この縮合架橋型樹脂は、テトラエトキシシランやメチルトリメトキシシランなどのシラン化合物から選ばれる一種又は二種以上のシラン化合物を重縮合することによって得ることができる。
アクリル系樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレートなど、(メタ)アクリレート系モノマー等の(メタ)アクリル系モノマーの一種又は二種以上のモノマーの重合体、またはこれら(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能な他のビニル系モノマーとの共重合体が挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート/ テレフタレート共重縮合体等が挙げられる。
シリコンを含有するアクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとオルガノポリシロキサン化合物の重縮合物等が挙げられる。
本発明の抗菌加工薬剤の不揮発分の濃度は、0.0001〜90重量%が好ましく、0.0005〜70重量%がより好ましく、0.001〜50重量%がさらに好ましい。なお、本発明の抗菌加工薬剤とは、後述する製造方法で製造された薬剤のみならず、繊維材料に付与する際に該薬剤を水等により希釈した加工処理液を含むものである。
[繊維用抗菌加工薬剤の製造方法]
本発明の繊維用抗菌加工薬剤の製造方法は、前述の化合物(B)及び水の存在下、前述の銀系無機抗菌剤(A)を湿式粉砕する工程を含ものである。このような工程により、銀系無機抗菌剤(A)の分散性や、銀系無機抗菌剤(A)の分散体の経時的な安定性を向上させることができる。また、得られた抗菌加工薬剤は、製造直後に限らず経時後であっても、繊維材料に対して優れた抗菌性及び洗濯耐久性を付与することができる。湿式粉砕する方法としては、特に限定はなく、公知の方法を採用できる。
詳細には、まず、化合物(B)、水及び未粉砕の銀系無機抗菌剤(A)を混合撹拌してスラリー液を調製する。スラリー液を調製する際の銀系無機抗菌剤(A)、化合物(B)の配合比や配合量は、前述した銀系無機抗菌剤(A)、化合物(B)の重量比や重量割合と同様である。また、このスラリー液の不揮発分の重量割合は、1〜90重量%が好ましく、3〜70重量%がより好ましく、5〜50重量%がさらに好ましい。1重量%未満の場合、抗菌加工薬剤中の抗菌成分が少量で、処理した繊維が抗菌性を示さなくなることがある。90重量%超の場合、経時的に銀系無機抗菌剤(A)の凝集が起こり、優れた抗菌性及び洗濯耐久性が発揮し難いことがある。
次いで、ビーズミル、サンドグラインダ−、アトライター、ボールミル等の湿式粉砕機に調製したスラリー液を通過させて微粒子化を行う。微粒子化された銀系無機抗菌剤(A)の平均粒子径の好ましい範囲や平均粒子径の測定方法については、抗菌加工薬剤で記載したものと同様である。湿式粉砕する工程としては、例えば、パス方式又は槽内部循環方式等の連続工程やバッチ工程が挙げられる。
[抗菌性繊維の製造方法]
本発明の抗菌性繊維の製造方法は、本発明の抗菌加工薬剤及び/又は本発明の製造方法で得られる抗菌加工薬剤を繊維材料に付与する工程を含むものである。すなわち、本発明の抗菌繊維の製造方法は、抗菌加工薬剤を後加工にて繊維材料に付与する工程を含むものである。後加工とは、繊維材料が製造された後に加工することを意味する。本製造方法によれば、抗菌性が優れ、洗濯耐久性にも優れた抗菌性繊維を得ることができる。
繊維材料としては、天然繊維、化学繊維のいずれであってもよい。天然繊維としては、例えば、綿、***、亜麻、ヤシ、いぐさ等の植物繊維;羊毛、山羊毛、モヘア、カシミア、ラクダ、絹等の動物繊維;石綿等の鉱物繊維等を挙げることができる。化学繊維としては、例えば、ロックファィバ−、金属繊維、グラファイト、シリカ、チタン酸塩等の無機繊維;レーヨン、キュプラ、ビスコ−ス、ポリノジック、精製セルロース繊維等の再生セルロース系繊維;溶融紡糸セルロース繊維;牛乳タンパク、大豆タンパク等のタンパク質系繊維;再生絹、アルギン酸繊維等の再生・半合成繊維;ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、カチオン可染ポリエステル繊維、ポリビニル繊維、ポリアクリルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニリデン繊維、ポリスチレン繊維等の合成繊維を挙げることができる。また、これら繊維を2種以上複合(混紡、混繊、交織、交編等)されていてもよい。
これらの中でも、吸水性の繊維の方が抗菌性を発揮し易い点から、植物繊維、動物繊維、再生セルロース系繊維、溶融紡糸セルロース繊維、又はこれらが複合された繊維が好ましい。
繊維材料の形態としては、例えば、織物、編物、布帛、糸状、不織布等の形態を挙げることができる。繊維材料の用途としては、抗菌性、吸水性、耐洗濯性を付与する対象物、例えば、アンダーウェア、スポーツ衣料、寝具類、カバー類等を挙げることができる。
抗菌加工薬剤を繊維材料に付与する方法としては、特に限定はなく、公知の方法を採用できる。これらの中でも、抗菌加工薬剤を繊維材料に確実に固着させることができる点から、吸尽法、パッドドライ法、スプレー法及びコーティング法から選ばれる少なくとも1種の方法が好ましく、パッドドライ法がさらに好ましい。
吸尽法、パッドドライ法、スプレー法、コーティング法としては、公知の方法を採用できる。吸尽法とは、薬剤の希薄溶液を用い、温度、浸せき時間、液循環回数等の条件を設定して、薬剤を繊維に選択吸着させることで吸尽付着させる方法である。その後、通常、水洗を行い、遠心脱水、乾燥を行う。パッドドライ法とは、薬剤の溶液中に繊維を短時間浸漬し、直ちに脱水マングル等で絞ることで付着させる方法である。その後乾燥を行い、必要に応じて、キュアリングを行う。スプレー法とは、一定速度のコンベアー上に繊維を乗せ、その上から、薬剤の溶液を一定量スプレーする事で付着させる方法である。その後乾燥を行い、必要に応じて、キュアリングを行う。コーティング法とは、通常マングルで薬剤の溶液を片面より塗布することで付着させる方法である。その後、余分の薬剤はドクターでかき落とし、乾燥を行い、必要に応じて、キュアリングを行う。
繊維材料に付与する際の抗菌加工薬剤(加工処理液)の不揮発分の重量割合は、0.0001〜10重量%が好ましく、0.0005〜7重量%がより好ましく、0.001〜5重量%がさらに好ましい。なお、所定の重量割合は、水等で希釈することにより調製することができる。
本発明の抗菌加工薬剤を繊維材料に付与する際の温度は、5〜40℃が好適である。付与温度が5℃より低いと、一定温度保持が難しいために繊維材料への一定付与ができなくなることがある。一方、付与温度が40℃より高いと、繊維材料に含まれる染料等の溶出が多くなることがある。
抗菌加工薬剤が付与された繊維材料は、テンションレス、あるいはテンションを加える等の方法によって乾燥され、本発明の抗菌性繊維を得ることができる。テンションレスで乾燥する方法としては、ノンタッチ乾燥機、ショートループ乾燥機、テンションレスローラ型、シリンダー乾燥機等が挙げられ、テンションを加え乾燥する方法としては、ピンテンター、クリップテンター等が挙げられる。
乾燥温度については、特に限定はないが、抗菌加工薬剤を繊維材料に固着させるためには、100℃以上が好ましく、110〜200℃がさらに好ましい。乾燥温度が100℃より低いと、抗菌加工薬剤が繊維材料に固着しないことがある。
繊維材料に対する抗菌加工薬剤の不揮発分の付与量については、特に限定はないが、繊維材料に対して0.01〜20重量%が好ましく、0.03〜15重量%がより好ましく、0.05〜10重量%がさらに好ましい。0.01重量%未満の場合、抗菌加工薬剤中の抗菌成分が少量で、処理した繊維が抗菌性を示さなくなることがある。20重量%超の場合、抗菌性及び洗濯耐久性のこれ以上の向上は見られず、経済的に不利となることがある。
同時に加工可能な工程としては、変色防止剤、変色抑制剤、防虫剤、防黴剤、防ダニ剤、消臭剤、帯電防止剤、撥水撥油剤、紫外線吸収剤、難燃剤、防汚剤、深色化剤、平滑剤、柔軟剤又は吸水剤を付与する工程等が挙げられる。これら工程は、複数同時に行うことも可能である。各薬剤については、公知のものを採用できる。
以下、本発明の実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、例中の「部」および「%」とあるのは、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
(実施例1)
表1の配合割合にあるように、ゼオライトに銀を含む抗菌性金属をイオン結合させた銀系無機抗菌剤1 200重量部、POE(3)ジスチレン化フェノール 20重量部、軟水 780重量部を攪拌機に加え、十分に攪拌および分散させて、スラリー液を調製した。なお、銀系無機抗菌剤1は、抗菌剤全体に対して銀元素を2.4重量%、亜鉛を5.2重量%含有するものである。次いで、このスラリー液をスターミルZRS(アシザワファインテック(株)製)を用いて4時間微粒子化し、銀系無機抗菌剤の平均粒子径が0.4μmである繊維用抗菌加工薬剤を得た。平均粒子径については、下記方法により測定した。得られた抗菌加工薬剤について、下記方法により安定性を評価した。その結果を表1に示す。
次に、得られた抗菌加工薬剤(製造直後)に水を投入し、不揮発分の重量割合が1重量%となる加工処理液を調製した。綿ブロード(綿100%平織り)をこの加工処理液に浸漬させ、マングルで絞った。この際、加工処理液の繊維に対する付着量は80重量%であった。なお、繊維に対する付着量は次式により計算した。
繊維に対する付着量(重量%)=(加工処理液が含まれる綿ブロードの重量−未加工綿ブロードの重量)/未加工綿ブロードの重量×100
次に、この水溶液が含まれる綿ブロードをピンテンターで110℃、3分間乾燥させ、目的の試料(抗菌性繊維)を得た。得られた試料の抗菌性、洗濯耐久性、風合いについて、下記方法により評価した。
これとは別に、70℃で1週間放置した抗菌加工薬剤を用いて、抗菌加工薬剤(製造直後)の場合と同様にして、抗菌性、洗濯耐久性の評価を行った。それらの結果を表1に示す。
<平均粒子径>
抗菌加工薬剤を不揮発分の重量割合が3重量%となるよう蒸留水で希釈し、この希釈液についてレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置LA−910(堀場製作所製)を用いて、体積基準とするメジアン粒径を測定した。
<繊維用抗菌加工薬剤の安定性>
抗菌加工薬剤100mLをスクリュー管に投入し、密閉した。これを温度70℃に調節したインキュベーターに1週間放置し、安定性を以下の4段階に分類して判定した。
◎:水分散体の5%未満しか沈殿しない。
○:水分散体の5%以上、10%未満が沈殿する。
△:水分散体の10%以上、20%未満が沈殿する。
×:水分散体の20%以上が沈殿する。
<抗菌性(加工仕上がり)>
得られた試料について、SEK統一試験法(JIS L 1902、菌吸収法)に準じて、抗菌性を測定した。試験には、試験菌として黄色ぶどう球菌を用い、その際の増殖値は2.1と試験成立条件を満たしていた。SEK統一試験法によれば、抗菌性を有するためには、下記を満たす必要がある。
制菌基準 :殺菌活性値≧0
抗菌防臭基準:静菌活性値≧2.2
<抗菌性(洗濯後)>
得られた試料を下記の条件で洗濯したものについて、上記の抗菌性(加工仕上がり)の試験方法と同じ方法により抗菌性を測定して、洗濯耐久性の評価を行った。
JIS L 0217 103号に従って、JAFET標準洗剤を3g/Lの割合で用い、浴比1:30として、40℃で5分間水洗擢した後、40℃で2分間のすすぎを2回行い、遠心脱水を行い、その後、陰干しする作業を1サイクルとし、これを10サイクル行った。
<風合い>
得られた試料について、風合を、触感にて評価した。なお、風合の評価は以下の基準に基づき、以下の4段階に分類して判定した。
◎: 柔軟である。
○: やや柔軟である(未加工の綿ブロード布と同等)。
△: やや粗硬である。
×: 粗硬である。
(実施例2〜5、8、9、12〜32、比較例2〜15)
実施例2〜5、8、9、12〜32、比較例2〜15は、実施例1のスラリー液を表1〜5に示す成分及び配合割合に変更したスラリー液を調製した以外は、実施例1と同様にして、評価をした。その結果を表1〜5に示す。
なお、銀系無機抗菌剤2は、ゼオライトに銀を含む抗菌性金属をイオン結合させた銀系無機抗菌剤であり、抗菌剤全体に対して銀元素を1.2重量%、亜鉛を2.6重量%含有するものである。銀系無機抗菌剤3は、ゼオライトに銀を含む抗菌性金属をイオン結合させた銀系無機抗菌剤であり、抗菌剤全体に対して銀元素を0.5重量%、亜鉛を1.1重量%含有するものである。銀系無機抗菌剤4は、リン酸ジルコニウムに銀を含む抗菌性金属をイオン結合させた銀系無機抗菌剤であり、抗菌剤全体に対して銀元素を0.5重量%、亜鉛を1.1重量%含有するものである。
(黄変性の評価)
実施例18〜21で得られた試料について、下記の方法でさらに黄変性の評価を行った。その結果、各実施例のΔYIは以下であり、黄変しないものであった。
実施例18:0.66、実施例19:1.23、実施例20:1.35、実施例21:1.28
<黄変性の評価方法>
試料を温度70℃、湿度90%に調節したインキュベーターに4日間放置し、黄変性を評価した。黄変性の評価は、分光測色計(CM−3600d、コニカミノルタ製)を使用し、未加工の綿ブロード布を基準にΔYIを測定し、行った。
評価基準はΔYI<5ならば、黄変していないと見なした。
(実施例6、7)
実施例6、7は、実施例1のスラリー液をスターミルZRSにより、それぞれ2時間、3時間微粒子化し、銀系無機抗菌剤1の平均粒子径が1.3μm、2.6μmである抗菌加工薬剤を得た以外は、実施例1と同様にして、評価をした。その結果を表1に示す。
(実施例10、11)
実施例10、11は、実施例1の繊維用抗菌加工薬剤に水を投入し、不揮発分の重量割合がそれぞれ0.1重量%、0.001重量%となる加工処理液を調製した以外は実施例1と同様にして、評価をした。その結果を表1に示す。
(比較例1)
ブランク(BL)として、未加工の綿ブロードについて、実施例1と同様に評価した。その結果を表4に示す。
Figure 2013185292
Figure 2013185292
Figure 2013185292
Figure 2013185292
Figure 2013185292
表1〜5より、本発明の繊維用抗菌加工薬剤は、分散安定性に優れていることがわかる。また、本発明の繊維用抗菌加工薬剤を付与した繊維材料は、優れた抗菌性を有しており、また洗濯後もその抗菌性を維持している(洗濯耐久性を有している)ことがわかる。さらに、経時後の繊維用抗菌加工薬剤を付与した繊維材料においても、優れた抗菌性を有しており、また洗濯後もその抗菌性を維持していることがわかる。
本発明の抗菌加工薬剤は、繊維材料に抗菌性を付与するときに好適に使用できる。

Claims (7)

  1. 無機担体に銀を含有する抗菌性金属を担持させてなる銀系無機抗菌剤(A)と、下記一般式(1)で示される化合物、下記一般式(2)で示される化合物及び下記一般式(3)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)と、水とを必須に含み、
    該銀系無機抗菌剤(A)が水に分散されてなる、繊維用抗菌加工薬剤。
    Figure 2013185292
    (式中、AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、nは2〜70の整数であり、mは1〜3の整数である。)
    Figure 2013185292
    (式中、AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、lは2〜70の整数であり、kは1〜3の整数である。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRで示される基である。R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。)
    Figure 2013185292
    (式中、AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、hは2〜70の整数であり、sは1〜3の整数であり、tは1又は2の整数である。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRで示される基である。R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。)
  2. 前記銀系無機抗菌剤(A)の平均粒子径が0.01〜3μmである、請求項1に記載の抗菌加工薬剤。
  3. 前記銀系無機抗菌剤(A)と前記化合物(B)の重量比(A/B)が99.9/0.1〜10/90である、請求項1又は2に記載の抗菌加工薬剤。
  4. 前記銀系無機抗菌剤(A)における銀の重量割合が、無機担体100重量部に対して0.01〜20重量部である、請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌加工薬剤。
  5. 前記無機担体が、ゼオライト、リン酸ジルコニウム、シリカゲル、アパタイト、含水酸化チタン、モンモリロナイト、ガラス粉末及びチタン酸カリウムウインスカーから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載の抗菌加工薬剤。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の抗菌加工薬剤の製造方法であって、
    前記化合物(B)及び水の存在下、前記銀系無機抗菌剤(A)を湿式粉砕する工程を含む、繊維用抗菌加工薬剤の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の抗菌加工薬剤及び/又は請求項6に記載の製造方法で得られる抗菌加工薬剤を繊維材料に付与する工程を含む、抗菌性繊維の製造方法。
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